説明

包装用高強度ポリプロピレンベース保護フィルム、その製造方法と使用方法

同時押出成形された多層初期フィルムの同時延伸により製造され、PA機能層がフィルムの外側層又は2つの支持層間に配設されたフィルムの中心内側層を構成する、非晶質又は部分結晶性ポリアミド(PA)又はそのポリアミドのエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)との混合体をベースとする少なくとも1つの機能層を備える二軸方向性のポリプロピレンフィルム(PPフィルム)から成る少なくとも1つの支持層をベースとする多層フィルムの形態の、包装用の、特に食料品及び嗜好品の包装用の高強度の輝きのある品質で調製可能な保護フィルム、その製造方法及び使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを構成する重合体として結晶性ポリプロピレンを使用し、更に、非晶質又は部分結晶性のポリアミド(PA)又は該ポリアミドのエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)との混合体のベース上に同時押出成形された層を機能層又は保護層として表面又は場合により内側層内に使用する、二軸方向性フィルムにより十分に機械的特性を選定した多層フィルムの形態であり、包装、特に食料品、嗜好品及び他の傷つき易い商品の包装用の高強度保護フィルムに関する。
【0002】
本発明は、更に前記フィルムの製造方法、包装、特にフィルムの傑出した光学特性、強度特性及び保護特性を利用する食料品及び嗜好品の包装用フィルムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチックフィルムをベースとする包装は、最早現代の食料品に不可欠であると思われる。包装すべき商品に応じて、プラスチックフィルムに種々の要求が発生する。その際、食料品及び嗜好品の包装用プラスチックフィルムでは、販売経路及び食料品の消費までの末端消費者に対して、包装された食料品及び嗜好品の安定性を保証する特性が注目される。一般に包装された商品、製造業者事項等に関する情報を包装に表示し、興味を引く販売促進の外観を備えかつ広告支持体となるべき付加的な要求がフィルムに明らかに求められている。
【0004】
包装プラスチックフィルムは、多数の食料品の芳香損失に対する保護、香りの強い素材からの洩れの阻止、主として大気中の酸素及び/又は大気中の湿度及び/又は商品からの水分損失に対する保護の品質も保証しなければならない。これらの特性を備えるフィルムは、保護フィルム又は遮断層フィルムとも呼ばれる。
【0005】
フィルム上に確実に印刷を行うため、適宜の表面張力と共に所定の特性をフィルム表面に付与しなければならない。更に、フィルムの外観と触感、即ち表面品質、剛性、形状安定性及び剛性又は柔軟性も、販売目的に重要な特性である。
【0006】
同一のフィルム材料により種々の前記要求を同時に満足することは通常できないので、特別の表面処理及び/又はコーティング処理をフィルム材料に施しかつ/又は、種々の異なる特性を有する層を含む多層フィルムを単一フィルムの代わりに使用して、所望の特性を保証することが必要である。
【0007】
通常、多層フィルムは、少なくとも1つの最も重要な機械的特性を決定するフィルムを構成する主重合体から成る支持層と、所望の保護特性を達成する外側又は内側に位置する保護層と、印刷可能性、コーティング可能性又は密閉包装の調製又は積層に必要な密閉可能性を保証する外側層とを含む。
【0008】
包装フィルムに対する高い要求が発生すると、現在の食料品及び嗜好品の分野では、良好な強度、良好な光学特性及び光沢のある特にアルミニウム製の金属フィルム又は特に酸化珪素(SiOx)又は酸化アルミニウム(AlOx)から成る透明なセラミックコーティング用の良好なコーティング特性を有するポリエステルベースフィルム(PET、ポリエチレンテレフタレート)を使用することが多い。薄い金属又はセラミックフィルムは、特に水蒸気に対する透過性(水蒸気透過率、WVTR、g/(m2d)即ちg/(m224h)で測定)及び酸素(酸素透過率、OTR、cm3/(m2dbar)即ち1barの気圧におけるcm3/(m224h)で測定)に対して、フィルムへの高い要求を満足できる保護特性を与える。包装調製に必要なフィルムの溶着可能性又は密閉可能性を確実に付与するため、追加の外側ポリオレフィン層、例えば金属コーティング又はセラミックコーティングを有する例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)から成るポリエチレン層が通常設けられる。
【0009】
ポリエステルフィルムは、高い要求品質を満足するが、特にポリエステル重合体が比較的高価でありかつ比較的高い密度を有する難点がある。
【0010】
従って、ポリエステルフィルムの代わりに、ポリオレフィンフィルム、特に二軸方向性ポリプロピレンフィルム(BOPPフィルム)として大量に比較的安く製造できかつ良好な強度を有し、ポリエステルフィルムより軽い、ポリプロピレンフィルムに頼ることが試みられた。しかしながら、ポリプロピレンフィルムは、高い使用要求に必要な保護特性を備えておらず、前処理を行わずに光沢のあるアルミニウム又は透明なセラミックコーティングを備えることはできない。このため、コロナ処理、炎熱処理又はプラズマ処理として実施されかつその際、濡れ性に重要な表面張力又は表面極性を高める方向性ポリプロピレンフィルムの表面処理が必要である。しかしながら、この表面処理は、BOPPフィルムでは、専門家が「マギーアーチジェン(薬草の一種)様の」臭気として知られる悪臭を発生する。更に、金属又はセラミックのコーティングを設けたポリプロピレンフィルムは、透明な光沢がありセロファンのような、即ちパリパリ鳴り又はパチパチ鳴る包装材料に消費者に慣れ親しまれる又は期待する使用にあまり適さない。
【0011】
特別の付着層によりポリプロピレン−ベースフィルムに結合される非晶質又は場合により半結晶性ポリアミドのベース上への薄い同時押出成形された層を付着又は接着することにより、前記ポリプロピレンフィルムの濡れ−表面張力が強く高められるので、非常に良好に付着したアルミニウム層を蒸着できることが下記特許文献1又は対応する下記特許文献2から知られている。特許文献1の説明例では、非晶質ポリアミド(ヘキサメチレンジアミンのイソ無水フタル酸との縮合物)から成る第1の層と、本来の根本となるフィルム層を構成し且つ実質的にポリアミド層の付着力を改良するため、無水マレイン酸で変態したポリプロピレンを添加したポリプロピレン単独重合体から成る第2の層と、溶着性又は密閉可能性用の層として役立ちかつ公知のエチレン−プロピレン−1−ブテン−三量体から成る第3の層とを備える3層の多層フィルムの同時押出成形が行なわれる。
【0012】
同時押出成形された溶融物は、冷却ローラ上で初期の多層フィルムに硬化され、次に、まず機械方向(MD)に元の長さの3.5倍に延伸され、続いて横方向(TD)に元の幅の8倍に順次延伸される(28倍の延伸比、即ち28倍の面積拡大)。得られるフィルムのポリアミド側は、50dyn/cmより大きい濡れ−表面張力を有していた。従来のように、2.5の光学濃度までの真空蒸着により、フィルムは、アルミニウム層を備える。
【0013】
アルミニウムの蒸着後に得られるフィルムは、0.02g/100inch2/24h、即ち、換算すると0.31g/m2dの水蒸気透過率(WVTR)と、1.0cm3/100inch2/24h、即ち15.5cm3/(m2d)の酸素透過率(OTR)とを有する。
【0014】
特に、金属蒸着したフィルムの酸素透過率は、高級な現代の保護フィルムに要求され、例えば、ポリエステルベース上に金属蒸着したフィルムでは、0.1cm3/m2/24h以下の酸素透過率を明らかに上回る。
【0015】
特許文献1により得られるフィルムの強度及び外観に対する説明を省略する。しかしながら、ポリプロピレンフィルムの二軸方向性に慣れた専門家にとって、機械方向(MD)への僅かな延伸に横方向(TD)のより強い延伸が続く前記順次の延伸で得られる二軸延伸されたポリプロピレンフィルムの機械方向での強度特性(引張強度、弾性係数)は、横方向より低く、引張強度に関する典型的な値は、所与の製造条件の下で、機械方向でほぼ140N/mm2、横方向で280N/mm2であることは周知である。これにより、機械方向のフィルムの引張伸びは、横方向(50〜60%)より高い(通常150〜250%)。引張強度に関する同様の関係が、弾性係数にも適用される。
【0016】
特許文献1に示されるアルミニウム蒸着フィルムの市場試験を重要な分野で行い又は使用したことを現在まで確認できない。外観、その他のフィルム特性及びフィルムの芳香及び臭気保持に関して、ポリアミドコーティング及びアルミニウム蒸着による明らかに方向性のあるポリプロピレンフィルムの好適な使用方法に対する記載から推定可能には特許文献1に記載されていない。更に、延伸比のプロセス技術的な制限が許容不能な悪い厚さ公差になることは、排除できない。
【0017】
少なくとも2つのエチレン単独重合体又は共重合体から成る外側層を備え、少なくとも1つの根本となるエチレンビニルアルコール共重合体フィルムの形態の芯層をベースとする多層フィルムの形態の包装目的用の保護フィルムを同時押出成形した多層初期フィルムの同時延伸により製造することが下記特許文献3から公知である。このフィルムは、例えば総量を高めかつ/又は収縮及び/若しくは機械的特性等を改良する付加層として、ポリアミドとも呼ばれる種々の他の重合体をベースとする1つ以上の中間層を含んでもよい。エチレンビニルアルコール共重合体用の軟化剤として役立つポリアミド添加物を備える芯層の両面の各々にポリアミド結合層を設けた7層のフィルムを開示する。
【0018】
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)のベースによる同時押出成形された少なくとも1つの機能層を備えるポリプロピレンフィルム(PPフィルム)の形態の少なくとも1つの支持層のベースによる多層フィルムの形態の特に酸素、窒素及び二酸化炭素に対する保護層としての包装目的の保護フィルムが下記特許文献4から知られている。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0,546,709号公報
【特許文献2】米国特許第5,591,520号公報
【特許文献3】独国特許第699,16,111号公報
【特許文献4】欧州特許第0,311,293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、付加的に金属蒸着可能であり又は透明なセラミックコーティングを備えることができ、特に酸素透過性に関しても保護特性を有し、積層したポリエチレンテレフタレートをベースとする現代の保護フィルムの大きさであるが、ポリエステルフィルムに対するポリプロピレンフィルムのコスト及び重量の利点及び製造の利点を有し、芳香及び臭気に対する傑出した不透過性を備える高品質で輝き、即ち透明で光沢のある高強度の包装フィルムを提供する課題に基づく。
【0020】
本発明者らは、横方向(TD)より少なくとも同一、一般的にはより良好な強度特性が機械方向(MD)に得られ、ポリプロピレンから成る多層フィルムとポリアミド層を同時にかつ接触させずに40〜80倍の初期フィルムの面積拡大に対応する高い延伸比で延伸して、全体として高強度を備えるフィルムを得れば、意外にもこの課題を解決できることを確認した。
【0021】
本発明者らは、製造されるPA外側層を備えるテストフィルムに関して更に、追加のコーティングを設けずにポリアミド層がフィルムの高い芳香密閉性及び臭気密閉性を有し、更に十分に延伸されたポリプロピレンフィルムの全体強度及び剛性に十分に寄与することを確認できるので、方向性のあるポリオレフィンから成る2つの層間、例えば同一又は場合により異なる2つのポリプロピレン層又は例えばポリプロピレン層及びポリプロピレン再生物層の間でフィルム芯内にポリアミド層を有する更に変形例として使用するフィルムも説明する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
添付された請求項の請求項1及び2に本発明による新規なフィルムを示す。
【0023】
請求項1及び/又は2による一方若しくは双方のフィルムの有利な実施の形態を従属請求項3〜20に示す。
【0024】
請求項21〜26は、ポリプロピレンベースフィルムの製造方法の有利な実施の形態を記載し、請求項27及び28は、請求項1〜20によるフィルムの食料品及び嗜好品用の包装フィルムとしての使用方法を記載する。
【発明の効果】
【0025】
本発明者らは、方向性のポリプロピレンから成るベース層と、付着層を介してベース層上に付着又は接着した非晶質又は半結晶性のポリアミド又は前記ポリアミドとエチレンビニルアルコール共重合体等の保護重合体とから成る層とを備える初期フィルムに、高い延伸比で接触させずに同時延伸を実行すると、傑出した表面特性、強度値及び100以上、特にほぼ101〜107の範囲の高い光沢(Gross、ASTM-2457)及びより高い透明性を備える透明なフィルムが得られる事実を確認した。外側のポリアミド層上にそれ自体公知の方法でアルミニウムコーティング又は酸化珪素(SiOx)又は酸化アルミニウム(AlOx)から成るセラミックコーティングを付着又は接着すると、非常に薄いコーティングでも、傑出した保護特性が得られる。例えば、光学濃度2.3のアルミニウム層の付着又は接着により、温度23℃及び相対大気湿度75%では、0.05〜0.5cm3/m3dの範囲内にある酸素透過率(OTR)を備えるフィルムとなり、この酸素透過率は、特許文献1に開示されるフィルムより30〜300倍だけ良好である。光学濃度2.3で金属蒸着されたフィルムの水蒸気透過率(WVTR、38℃、90%の相対大気湿度におけるASTM-E96)は、0.5g/m224h以下であり、金属蒸着前の表面処理に応じて、0.3乃至2.5間の値が得られた。
【0026】
その際、特に(機械方向及び横方向の延伸の製品として達成される)40〜80の範囲の高い延伸比として選択される。その際、初期多層フィルムは、機械方向(MD)に少なくとも6倍の長さに延伸され、同時に、初期多層フィルムは、機械方向に少なくとも7倍に延伸されかつ横方向(TD)に少なくとも7倍以下に延伸され、好ましくは機械方向に8倍以上、好ましくは少なくとも9倍以上に延伸され、横方向に少なくとも8倍以下に延伸される。
【0027】
本発明者らは、従来のローラ装置を使用する特許文献1に開示される長手方向の順次延伸において、ポリアミドが高過ぎる融点を有しかつ介在する溶融する表面層の形成による補足的な表面を改良できないので、ポリアミド層の光沢のある表面の形成が妨げられ、この層が後続の横方向での延伸の際にもはや平滑にならないため、明らかな改良、例えば金属蒸着した本発明によるフィルムの酸素保護層に帰着する。順次延伸を行う際に生ずるポリアミド層の表面欠陥は、後工程で金属蒸着を行う際に、高い保護特性、特に酸素に対する高い保護作用に必要な申し分のない密な金属層を形成できない。
【0028】
更に、本発明者らは、同時延伸により可能となる高い延伸比において、その特性の多くでセロファンに似て、例えばパリパリ/パチパチ鳴り、輝きのある透明性及び高い光沢のある高い強度を備えるフィルムが得られることを確認した。その際、強度値は、製造の機械方向に対応する方向で、横方向に対応するそれに直角な方向と少なくとも同一であるが、一般にはそれよりも良好である。
【0029】
フィルムの引張強度(ASTM-D822)は、機械方向で170〜280N/mm2の範囲にあり、横方向で130〜215N/mm2の範囲にあり、引張伸び(ASTM-D82)は、機械方向で50〜120%の範囲にあり、横方向で100〜220%の範囲にある。テストフィルムの弾性係数(ASTM-D882)値として、機械方向でほぼ2750N/mm2とほぼ3630N/mm2との間の範囲の値が測定され、対応する横方向の値は、ほぼ1900N/mm2からほぼ2600N/mm2まで以上の範囲にある。
【0030】
本発明による同時延伸されたフィルムの固有の強度特性に基づいて、特にフィルムの双方の主方向の強度比及び光沢により、当業者は、特許文献1に記載される方法により製造されるフィルムに対し、本発明により同時に高延伸されたフィルムを即座に区別することができる。
【0031】
同時延伸の実施に好適な方法は、リニアモータ駆動装置(LISIM(登録商標))を備える同時延伸装置による延伸である。しかしながら、機械的同時延伸装置(MSO、チェーン駆動装置を備える機械式同時延伸装置)による同時延伸のあまり有利ではない方法及びバブル(BUBBLE)又はダブルバブル(DOUBLE BUBBLE)法の延伸による管状フィルムの製造法も、同様に本発明の範囲に含まれるべきである。多層管状フィルムを製造する際に、延伸されたチューブの内側をPA層によりブロー成形で形成する組み合わせ層の配置が好ましい。
【0032】
本発明者らは、この方法で溶融物の他の面に作用する空気ナイフにより生ずる表面の障害を回避し、更にポリアミド溶融物が抽出ノズル縁に集結する問題を回避できるので、例えば、同時延伸の際にポリアミド層が外側層を構成するとき、冷却ローラに直接接触して同時押出成形できるリジム(LISIM)(登録商標)法により平坦なフィルムが最適なフィルム特性を得る重合体の多層フィルムの製造法が有利であることを確認した。
【0033】
初期の製造された多層フィルムの外側層をポリアミドフィルムが構成するとき、ポリアミドフィルムの厚さを大き過ぎず、5μm以下、好ましくは2.5μm以下にすべきであり、さもなければ、延伸の際にポリアミド層の固有の強度が高められて、冷却の際にフィルムが丸まり又は変形する欠陥を生ずる。しかしながら、他方で、延伸されたフィルムのポリアミド層は、特に得られるフィルムの印刷可能性又は筆記可能性の改良が問題でありかつ強度及び密閉性特性が下位の条件となるとき、非常に薄く、例えばほぼ0.1μm又はそれ以下の範囲に保持してもよい。印刷可能性及び記録可能性のみが問題のとき、基準値として少なくとも0.5μm以下から0.1μm以下までのPA外側層の層厚を選定し、0.5から1.0μmまでの範囲の値は、真空蒸着、特にアルミニウムの金属蒸着の場合、傑出した保護層となり、1.0から2.0μmの範囲の値は、臭気及び芳香阻止及び保護作用に傑出した効果を生ずる。
【0034】
主構造要素として同時二軸延伸されたポリプロピレンから成る支持層と、共抽出されかつ同時に延伸されるポリアミド層とを有するフィルムは、通常更なる層を有する。また、ポリプロピレン層とポリアミド層との間には、例えば特許文献1に記載されるように、変態したポリプロピレンから成る層でもよい付着を改良する層が通常設けられる。
【0035】
更に、熱可塑性の溶解可能又は密閉可能なポリオレフィン層をポリアミド層に対向するフィルム面に配置することが好ましく、この目的に対し、従来公知の重合体、例えばポリエチレン−プロピレン−ブテン−三量体又は同様の重合体からポリオレフィン層を構成でき、場合により介在する付着層又はベースフィルムの除去可能性を容易にする中間層によりポリプロピレン層に結合してもよい。
【0036】
本発明者らは、ポリアミド外側層が、高い表面品質により直接の金属蒸着又はセラミックコーティングに良好に適することを確認した。しかしながら、従来のコロナ処理、プラズマ処理又は炎熱処理をポリアミド外側層に施して、表面特性を更に付加的に変態させてもよい。その際、適宜の処理に対して、方向性ポリプロピレンは、不愉快な臭気を発生しないことを確認した。しかしながら、その際、炎熱処理が後続する金属蒸着の品質をより悪化させるので、総合的にあまり有利ではないことも確認した。
【0037】
このように、ポリアミド層は、追加のコーティングを設けずにフィルムの高い芳香密閉性及び臭気密閉性を生じかつ更に得られる保護多層フィルムの剛性及び機械的特性を明らかに改良できるので、保護多層フィルムの芯にポリアミド層を配置し、その中で同一の又は異なるポリプロピレン支持層により両面を覆う更なるフィルムを請求項2に提案する。この場合、ポリアミド層の両面に付着層を押出成形し、従来と同様に、プロピレン−エチレン−共重合体又はプロピレン−エチレン−ブチレン−三量体から通常成る追加の機能層をポリプロピレン層の外側層上に付着又は接着し、表面処理及び/又はフィルムの溶着及び密閉可能性を改良できる。ポリアミド層を多層フィルムの芯に配置し又はより厚いフィルムの中心にポリアミド層を配置するとき、フィルムの歪み又は波打ち又は丸まりを生じないので、外側層としてポリアミド層を配置するときより、明らかに厚くなり、即ち、ほぼ10μmまでの厚さでもよい。
【0038】
本特許出願の範囲内のポリプロピレンを論ずるとき、高いアイソタクチック構造を備えるポリプロピレン単独重合体である高級な二軸延伸により方向性を付与したポリプロピレンを意図することが好ましい。しかしながら、他の同様の目的に使用するポリプロピレン特性、例えば、共重合される他のモノマーに僅かな成分を含むものも使用できる。特許文献1に記載される「ポリプロピレン」の概念の定義に関して、本特許出願の目的にも補完的に参照できる。
【0039】
同様に、「非晶質ポリアミド」又は「半結晶性ポリアミド」の概念の定義及び/又はポリプロピレンとポリアミド層との間に一般的に必要である付着層の定義にも、上記を同様に適用できる。これらの構成要素に関しても、特許文献1の対応する材料接着に関して、下記例の材料付着又は材料接着に対して、本発明の目的に補完的に参照できる。更に、各フィルムの意図した使用目的に応じて、全ての層は、種々の従来の添加物を含んでもよく、それにより、微小空所、充填材、吸収剤、紫外線保護剤又は光保護剤及び不透明色素を形成する例えば鉱物性又は有機性の添加物を挙げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
方法条件、材料及びフィルム特性の当業者が、本発明の内容及びその利点を理解するように、実施の形態に基づいて本発明を以下より詳細に説明する。
【0041】
下記例のうち、例1から例15は、ポリアミド外側層を有する全体を5層の多層フィルムを製造する例を説明し、原則として例1の前にその層構造をより詳細に説明する。
【0042】
例16から例18は、中心にポリアミド層を有する7層の多層フィルムを説明し、その一般構造を例16の前に説明する。
【0043】
例1から例18の全例から得られる保護多層フィルムの特性を添付するテスト結果表に纏めた。
【0044】
各例の処理名称を示す材料に以下の種類の材料を使用した。
HP522H:バセル社のアイソタクチック構造のポリプロピレン単独重合体「Moplen(登録商標)」HP522H
PA3426:デュポン(商標)社のSelar(登録商標)PA3426非晶質ポリアミド樹脂
Bynel(登録商標)21E781:デュポン(商標)社の無水変態エチレンアクリレート樹脂
Bynel(登録商標)50E739:デュポン(商標)社の無水変態ポリプロピレン樹脂
TD110BF:デンマーク、ボレアリスA/S社のC2/C4−三量体−PP樹脂Boeseal(商標)TD110BF
TD120BF:デンマーク、ボレアリスA/S社のC2/C4−三量体−PP樹脂Boeseal(商標)TD120BF
【例】
【0045】
【例1の前に】
【0046】
例1から例15では、外側層としてポリアミド層を有する5層の保護多層フィルムを製造し、5層の幅広スリット溶融物ノズルによる冷却ローラにより押出成形を行ない、例示と同様に、ブリュクナー社の「Laboratoriums-LISIM(登録商標)」延伸装置により、冷却ローラで形成した5層の初期フィルムを直ちに同時延伸した。
【0047】
その際、所与の搬送装置に関して、下記のノズル装置により多層フィルムを製造する溶融物の層調整を行なった。
層A−外側層、空気ナイフ側:35mmの単軸スクリュー式押出成形機
層B−中間層:50mmの溶融物ポンプを備える単軸スクリュー式押出成形機
層C−芯層:55mmの溶融物ポンプを備える2軸スクリュー式押出成形機
層D−中間層:43mmの溶融物ポンプを備える単軸スクリュー式押出成形機
層E−外側層、冷却ローラ側:35mmの単軸スクリュー式押出成形機
【0048】
冷却ローラ及び対向する空気ナイフに対する溶融物押出成形機の幅広スリットノズルの配置又はその位置に従い層Aから層Eの符号を付す点に注意すべきである。
【0049】
例1から例5では、層Aとしてポリアミド層を押出成形するが、例6から例15では、層Eとして冷却ローラ側でポリアミド層を好適に押出成形する。
【例1】
【0050】
材料及び押出成形機の運転五条件は、以下の通りである。
層A:PA3426、回転速度30回転/分の押出成形機
層B:Bynel、21E781、回転速度30回転/分の溶融物ポンプを有する押出成形機
層C:HP522H、回転速度45.7回転/分の溶融物ポンプを有する芯押出成形機
層D:HP522H、回転速度8回転/分の溶融物ポンプを有する押出成形機
層E:TD110BF、回転速度26回転/分の押出成形機
【0051】
溶融物の5層同時押出成形により得られた初期フィルムは、二軸方向性のポリプロピレンフィルム(S−BOPPフィルム)の同時方向性付与に最適な条件で、ベースフィルム上で延伸前に印刷された格子の拡大比により、機械方向(MD)に8倍に延伸しかつ横方向(TD)に7倍に延伸する方向性を付与した。ほぼ1.2μm厚さのポリアミド層(層A)を有する全厚20μmのフィルムを得た。
【0052】
BOPPフィルム用の標準条件下で、フィルムのポリアミド層(層A)の表面にコロナ処理を施した。
【0053】
得られたフィルムは、輝きのある外観を有しパリパリ鳴った。コロナ処理したBOPPフィルムは、従来の「マギーアーチジェン(薬草の一種)様の」臭気はなく、55dyn/cm以上の濡れ−表面張力を測定した。
【例2】
【0054】
対応する押出成形機の回転速度を15回転/分に減速して層Aを押出成形する点を除き、例1と同様に、フィルムを製造した。ポリアミド外側層(層A)の厚さは、ほぼ0.6μmであった。得られたフィルムは、例1と同様の輝きのある外観と同様の高い表面張力を備えた。
【例3】
【0055】
例2と同様にフィルムを製造したが、コロナ処理を行なわなかった。フィルムの外観は、前出の例と同様であり、新たに製造したフィルムの表面張力は、ほぼ50dyn/cmであった。
【0056】
切断機に向かう例1、例2及び例3の試料により、巻き上げたフィルムロールを製造し、BOPPフィルムの金属蒸着用の標準条件に対応する同一条件の下で、アプライドフィルムズ社の金属蒸着器内で、2.3の最適な光学濃度まで、3つの全フィルムロールに金属蒸着を行った。全て同一条件の下で金属蒸着した3つの試料に関する金属付着が傑出することを確認した。
【例4】
【0057】
層Aの押出成形機の回転速度を64回転/分に上昇し、方向性のあるS−BOPPフィルム上のPA層の層厚ほぼ2.5μmを備えるフィルムになる点を除き、例1と同様にフィルムを製造した。
【0058】
フィルムは、前出と同様の輝かしい外観を有したが、高い表面張力を有する外側のポリアミド層(層A)の高い剛性により、高い丸まり傾向を示した。
【例5】
【0059】
50%のBynel、21E781と50%のHP522HPPから成る混合体を層B(付着層)に使用した点を除き、例1とほぼ同様に、フィルムを製造した。
【0060】
得られたフィルムは、改良された外観と、非常に良好な構造上の統合性及びポリアミド層(層A)の傑出した付着力を有していた。
【0061】
ポリアミド押出成形用の外側の溶融物ノズルの角に、ポリアミドが集結し、それが空気ナイフの作用と共にフィルム表面に形成される認識可能な筋が認められたので、以下の例6から例15では、溶融物の冷却ローラに直接接触する側にポリアミド層を構成するように、層Aから層E用の溶融物ノズルの供給を逆転した。従って、以下の例6から例15では、ポリアミド層は、層Eである。
【例6】
【0062】
5つの幅広スリットにより、以下の装置で異なる5つの重合体の同時押出成形を行なった。
層A:TD110BF、押出成形機−回転速度25回転/分
層B:HP522H、溶融物ポンプを有する押出成形機、回転速度35回転/分
層C:HP522H、溶融物ポンプを有する芯押出成形機、回転速度46回転/分
層D:50%のBynel、50E739及び50%のHP522H、溶融物ポンプを有する押出成形機、回転速度8回転/分
層E:PA3426、押出成形機回転速度12回転/分
【0063】
冷却ローラで得られた初期フィルムを同時に機械方向に8.6倍に延伸し、横方向に7倍延伸して、厚さ20μmのフィルムが得られ、ポリアミド層(層E)の厚さはほぼ0.6μmであった。
【0064】
幅800mmで製造した例6のS−BOPPフィルムは、もはや筋を認識できないので、前記例1から例5で製造したフィルムよりも全体外観が良好であった。PA外側層の表面張力をほぼ50dyn/cm程度と確認した。
【例7】
【0065】
リジム(LISIM)(登録商標)延伸装置を調製して、横方向に7.5倍に延伸しかつ幅900mm、長さ4000mの完成したS−BOPPフィルムロールを製造する点を除き、例6と同様に、フィルムを製造した。
【例8】
【0066】
例7と同様にフィルムを製造し、金属蒸着のために長さ8000mのロールを製造し、最後の2000mのポリアミド外側層(層E)の表面が、BOPPフィルムに通常適用される条件の下で、炎熱処理を施した。
【0067】
炎熱処理した表面の表面張力は、55dyn/cm以上であった。
【0068】
従来の方法を使用して、例8で製造したフィルムをアルミニウム蒸気で真空蒸着して、光学濃度2.3とした。その際、金属蒸着前のフィルムのポリアミド表面を種々の方法で以下のように前処理した。
1200m、炎熱処理及び真空中でのプラズマ処理を施した。
800m、排他的に炎熱処理を施した。
4500m、追加処理を行なわなかった。
1500m、排他的に真空中でプラズマ処理を施した。
【0069】
種々の前処理による金属蒸着の効果を例18の後に別紙に添付する表に示す。
【例9】
【0070】
BOPPフィルム用の従来の条件でPA外側層(層E)の全体2000mに炎熱処理を施した点を除き、例8と同様にフィルムを製造した。
【例10】
【0071】
PA層(層E)の厚さをほぼ1.2μmに増加した点を除き、例7と同様にフィルムを製造した。
【0072】
例7、例9及び例10で製造したフィルムを切断機上で連結ローラに取り付けて、同一条件で透明セラミック保護コーティング(SiOx)の真空コーティングを施した。
【例11】
【0073】
同時延伸の際に、機械方向に延伸比を9、横方向延伸比を7.5としかつ12μmの全フィルム厚を得るように芯層用の押出成形機の回転速度を調製し、厚さほぼ0.75μmのポリアミド層(層E)とする点を除き、例7と同様にフィルムを製造した。
【例12】
【0074】
芯押出成形機の装置速度及び回転速度を調製し、層E用の押出成形機の回転速度を24回転/分に調整して、厚さ0.65μmのPA層を有する全厚15μmのフィルムを得る点を除き、例11と同様にフィルムを製造した。
【例13】
【0075】
例13及び下記例14及び例15の双方では、ポリアミド層(層E)の厚さを変化させて、多層フィルムの印刷可能性及び記録可能性に関するPA層の厚さの影響を確認した。
【0076】
例13では、押出成形機の回転速度を12回転/分に増加して、ポリアミド層(層E)の厚さをほぼ0.38μmに増大する点を除き、例12と同様にフィルムを製造した。
【例14】
【0077】
層E用の押出成形機の回転速度を6回転/分まで減速して、ポリアミド層(層E)の厚さをほぼ0.2μmに低減する点を除き、例11と同様にフィルムを製造した。
【例15】
【0078】
層E用の押出成形機の回転速度を僅か3回転/分に減速して、ポリアミド層(層E)の厚さを更に低減する点を除き、例11と同様にフィルムを製造した。
【0079】
得られた厚さ15μmのS−BOPPフィルムは、低結晶性のポリアミドから成る0.1μm以下の非常に薄い層により、良好で一様な表面保護を示した。
【0080】
例1から例15の全5層フィルムは、高い表面張力、傑出した光学特性及び強度特性を有し、それを下表に示す。
【例16】
【0081】
以下の例では、400mmの幅の幅広スリットノズルにより、前記5つの押出成形機を使用して、下記の通り製造した。
層A:1μmのTD120BFの押出成形用の2軸スクリュー式−同時押出成形機、コロナ処理
層B:2軸スクリュー式押出成形機:添加剤を含むHP522H
層C:35mmの単軸スクリュー式押出成形機:50%のHP522H/50%のBynel、50E739から成る1μmの厚さの付着層
層D:35mmの単軸スクリュー式押出成形機:ポリアミド保護層
層E:層Cと同一押出成形機及び同一材料
層F:層Bと同一押出成形機及び同一材料
層G:溶融物ポンプを備える50mmの単軸スクリュー式押出成形機:1μmのTD110BFの層の押出成形
【例17】
【0082】
冒記7層構造を備えるフィルムを押出成形し、冷却ローラ上に形成した初期フィルムを機械方向に8.5倍延伸し横方向に5.5倍延伸して、厚さ1.45μmのPA保護層(層D)を中心に有する厚さ20μmのフィルムが得られた。
【例18】
【0083】
ポリアミド保護層(層D)用の押出成形機の回転速度を増加して、層厚1.75μmを得る点を除き、例16と同様にフィルムを製造した。
【例19】
【0084】
ポリアミド保護層(層D)用の押出成形機の回転速度を更に増加して、層厚2.15μmの保護層を得る点を除き、例17と同様にフィルムを製造した。
【結果】
【0085】
例1から例18で製造したフィルムの測定した範囲内の特性を下表に示す。
【0086】
例に記載したフィルム製造試験の結果は、本発明により、傑出した保護特性と更に際立ちかつ包装目的に望ましい特性の組合せを備えるBOPPフィルムが得られ、芳香密閉性及び臭気密閉性に傑出する特性及び表で推定可能な傑出した他の保護特性を備える非常に良好なフィルム強度、剛性、傑出した光学特性が得られたことを明らかに示す。
【0087】
その際、順次延伸により得られた典型的なBOPPフィルムに関する比較値として、ほぼ140N/mm2(機械方向)及び280N/mm2(横方向)の引張強度値を引用し、また、150〜250%(機械方向)及び50〜60%(横方向)の範囲の引張伸び値を引用し、2000〜2200N/mm2(機械方向)から3800N/mm2(横方向)までの弾性係数値を引用する。
【0088】
その際、再び金属蒸着もセラミックコーティングもないフィルムに関しても、芳香密閉性及び臭気密閉性が認められることを指摘できる。例に示す製造条件の範囲は、実験中に使用できる設備によってのみ制限されるが、所与の方法条件は、本発明又は本発明によるフィルムを製造する方法の限界を表わさない。意図するフィルムの使用に依存して、例えば、特にそれが望ましくは、芯内に配置した保護層に関して、10μmまでの保護層の厚さを得ることができる。
【0089】
更に、得られたフィルムが安定化するように、同時延伸の条件を制御できるので、製造の機械方向又は横方向に対応する主方向の一方又は双方にて、5%以下の収縮が得られる点を指摘できる。しかしながら、135℃での一方向又は双方向の収縮が20%になるように延伸条件を選定してもよい。
【0090】
更に、例16から例18に説明したように、7層構造では、ポリプロピレン再生品を使用し又は他の層(層B)に使用されるポリプロピレンとは異なるポリオレフィンを使用して、使用される最終用途に従ってポリプロピレン層の1つを製造でき、中央のPA保護層により他方の全フィルム面に関する全ての純度要求を有利に保証できる事実を指摘できる。
【0091】
表に示すフィルム特性を補完するために、所与の値のいくつかは、フィルムの経時変化中に変更され、特に製造後60日以内でほぼ30%の弾性係数に関する値の上昇が重要である点を指摘できる。また、PA保護層が外側層を構成する処理後又は未処理の本発明によるフィルムの表面張力が、実質的に恒久的に一定に保持され、表面処理(炎熱処理、プラズマ処理)により比較的迅速に表面張力が変化する通常のBOPPフィルムに対して明らかな利点を示す点が重要である。
【0092】
従って、本発明のフィルムは、直ちに積層(金属蒸着、セラミックコーティング)する必要がなく、準備の完成したフィルムを使用して必要に応じてコーティングを行なうことができる。
【0093】
傑出した保護層特性に基づいて、包装される商品が芳香損失を受けずかつ/又は包装を通して臭気の不拡散を要する全ての包装目的に、フィルムを適用できる。また、現在高価でかつ強く重ねて高い密閉性を生ずるポリエステルフィルムを使用すべき最も多い用途に、本発明によるフィルムの酸素透過性及び蒸気透過性は、最適である。
【0094】
特に好適な使用方法は、食料品、例えば新鮮な食料品、菓子及びケーキ、例えばコーヒー、紅茶又はタバコも属し得る嗜好品の包装用への使用である。他の商品、例えば薬品の包装にも、フィルムを使用できる。セロファン等の外観及び手触りにより、セロファン等の材料を消費者が期待する全ての用途にもフィルムを使用できる。良好な印刷可能性により、本発明によるフィルムは、全ての種類の広告効果のあるデザインの包装にも傑出している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質若しくは部分結晶性ポリアミド(PA)又は前記ポリアミドのエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)との混合体をベースとする同時押出成形された少なくとも1つの機能層を備える二軸方向性のポリプロピレンフィルム(PPフィルム)の形態の少なくとも1つの支持層をベースとする多層フィルムの形態であり、包装、特に食料品及び嗜好品の包装用の保護フィルムにおいて、
同時押出成形された多層の初期フィルムの同時延伸により製造され、PA機能層によりフィルムの外側層を構成することを特徴とする保護フィルム。
【請求項2】
非晶質若しくは部分結晶性ポリアミド(PA)又は前記ポリアミドのエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)との混合体をベースとする同時押出成形された少なくとも1つの機能層を備える二軸方向性のポリプロピレンフィルム(PPフィルム)の形態の少なくとも1つの支持層をベースとする多層フィルムの形態であり、包装、特に高強度の輝きを有する食料品包装用の保護フィルムにおいて、
同時押出成形された多層の初期フィルムの同時延伸により製造され、2つの支持層間に配置されたフィルムの中心内側層をPA機能層により構成することを特徴とする保護フィルム。
【請求項3】
フィルムの引張強度及び弾性係数は、機械方向(MD)において、またその引張伸びは、横方向(TD)において、それぞれ横方向及び機械方向と同一かそれより高い請求項1又は2に記載の保護フィルム。
【請求項4】
弾性係数の縦方向及び横方向の合計は、3500N/mm2、好ましくは4500N/mm2を越える請求項1又は2に記載の保護フィルム。
【請求項5】
引張強度(ASTM-D822)は、機械方向で170〜280N/mm2の範囲内にあり、横方向で130〜215N/mm2の範囲内にある請求項3又は4に記載の保護フィルム。
【請求項6】
引張伸び(ASTM-D82)は、機械方向で50〜120%の範囲内にあり、横方向で100〜220%の範囲内にある請求項3、4又は5に記載の保護フィルム。
【請求項7】
100以上の光沢(Gloss、ASTM-2457)を有する請求項1及び3〜6の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項8】
PA保護層上に形成された金属蒸着又は透明な酸化珪素(SiOx)又は酸化アルミニウム(AlOx)セラミックコーティングを有し、23℃、75%の相対大気湿度での酸素透過率(OTR)は、0.50cm3/(m2datm)以下、特に0.20cm3/(m2datm)以下であり、熱帯条件(38℃、90%の相対大気湿度)下での水蒸気透過率(WVTR、ASTM-E96)は、0.5g/(m2d)以下である請求項1及び3〜7の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項9】
PP支持層と、PP支持層上に配置された付着層と、付着層上に配置された外側のPA保護層の少なくとも3層の層構造を含む請求項1及び3〜8の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項10】
PP支持層のPA保護層とは反対側に少なくとも1つの熱密閉可能な更なる層を有する少なくとも4層の層構造である請求項9に記載の保護フィルム。
【請求項11】
第1のPP支持層、第1の付着層、PA保護層、第2の付着層及び第2のPP支持層の層順番を含む少なくとも5層の層構造である請求項2に記載の保護フィルム。
【請求項12】
付加的に、第1のPP支持層上に形成されたコロナ処理又はプラズマ処理に適する熱可塑性の外側層を有しかつ/又は第2のPP支持層上に熱密閉可能な熱可塑性の外側層を有する請求項11に記載の保護フィルム。
【請求項13】
1つのPP支持層は、再生品PPを含む請求項12に記載の保護フィルム。
【請求項14】
PA保護層に隣接する付着層は、無水変態PP、ポリエチレン共重合体又は無水変態アクリル樹脂との混合による変態PPにより構成され、付着層のPP量は、75重量%以下である請求項9〜13の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項15】
PA保護層の厚さは、0.1〜10μmの範囲内にある請求項1又は2に記載の保護フィルム。
【請求項16】
PA保護層の厚さは、0.1〜5μmの範囲内にある請求項1に記載の保護フィルム。
【請求項17】
多層フィルムの内側に配置されたPA保護層の厚さは、0.5〜10μmの範囲内にある請求項2に記載の保護フィルム。
【請求項18】
フィルムの厚さは、8〜80μmの範囲内にある請求項1〜17の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項19】
PP支持層、付着層及び/又は保護層の1つ以上は、微小空所、充填剤、吸収剤、紫外線保護剤又は光保護剤、染料及び不透明色素を構成する鉱物性又は有機性の添加物を含む群から選択される添加物を含む請求項1〜18の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項20】
請求項21〜26に記載の方法によって製造される請求項1〜19の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項21】
溶融物として必要な数の幅広スリットノズルから冷却ローラ上に多層フィルムの層を構成する重合体を同時押出成形し、リニアモータ駆動装置を備える同時延伸装置(LISIM(登録商標))又は機械的同時延伸装置により、40〜80倍の面積拡大で接触させずに形成された初期多層フィルムを同時に延伸する請求項1〜19の何れか1項に記載の包装目的の保護フィルムを製造する方法。
【請求項22】
少なくとも長さの6倍に初期多層フィルムを機械方向(MD)に延伸する請求項21に記載の方法。
【請求項23】
初期多層フィルムを同時に機械方向に少なくとも7倍に延伸し、横方向(TD)に7倍以下に延伸する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
初期多層フィルムを同時に機械方向に8倍以上、好ましくは少なくとも9倍に延伸し、横方向に8倍以下に延伸する請求項22に記載の方法。
【請求項25】
直接冷却ローラに接触する初期フィルムの外側層としてPA層を同時に押出成形する請求項21〜24の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
多層フィルムの層を構成する重合体を溶融物として環状ノズルから同時押出成形し、バブル(BUBBLE)又はダブルバブル(DOUBLE BUBBLE)方法による同時延伸を実行し、40〜80倍に面積を拡大する請求項1〜19の何れか1項に記載の包装目的の保護フィルムを製造する方法。
【請求項27】
芳香、臭気及び酸素密閉性の食料品並びに嗜好品の包装フィルムとしての請求項1〜20の何れか1項に記載の保護フィルムの使用方法。
【請求項28】
保護フィルムは、芳香、臭気及び酸素密閉性の食料品並びに嗜好品の透明包装を調製する請求項8の透明な酸化珪素(SiOx)又は酸化アルミニウム(AlOx)セラミックコーティングを備える請求項26に記載の使用方法。

【公表番号】特表2008−540156(P2008−540156A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509310(P2008−509310)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001659
【国際公開番号】WO2006/117034
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(500192274)ブリュックナー マシーネンバウ ゲーエムベーハー (5)
【Fターム(参考)】