説明

包装装置

【課題】挿入した被包装物の検知信号によりその被包装物に対する包装フィルム印刷部位の修正ができる包装装置の提供。
【解決手段】印刷位置マーク検知手段(レジセンサ11)と、包装物において先端と印刷位置マーク間の適正とされる距離を置いた被包装物先端検知手段(内部センサ13)と、印刷フィルム2の引き出しに対するブレーキ手段(ブレーキローラ3)と制御回路18を設け、制御回路18は両検知信号を同時に受信したときは修正せず、印刷位置マーク検知信号のみを受信したときはブレーキ手段を予め定めた時間動作させ、先端検知信号のみを受信したときは、印刷位置マーク24の後端を検知した後予め定めた時間を経過したときに搬送ローラ19を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告その他の印刷が一定間隔で印刷された印刷フィルムと無印刷フィルムの間に、新聞等の被包装物を挟んで前後左右を熱溶着して封入包装する際に1包装につき印刷部位が1つ適正範囲の位置に来るように制御しつつ包装を行う包装装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
配達する新聞が雨にぬれないように樹脂フィルムで包装するために、新聞を2枚の樹脂フィルムで挟み、その四方を溶着して密閉包装する包装装置が使用されている。
この包装装置に適用される樹脂フィルムに、印刷が施されたものが使用されるようになってきた。印刷は、美的効果や広告宣伝効果などをもたらす等の、新たな付加価値を生み出している。
包装装置には、ロール状に巻かれた長尺フィルムが適用され、これを新聞包装と同時に切断して使用しているため、印刷は長尺フィルムに一定間隔に施されている。この印刷の位置と新聞の位置が合っていないと、印刷の途中で切断されることになって印刷部分が分断され、広告宣伝の意味をなさず、美的にも好ましくないものとなるから、印刷部分と新聞の位置が合うように制御する包装装置が提案されている。印刷フィルムには、その幅方向中央部に、長手方向に一定の間隔で広告等の印刷が配置され、印刷位置にそれぞれ対応して、フィルムの幅方向の一端に印刷位置マークが付され、包装装置ではこれを検知することにより、制御を行っている。
【0003】
このような包装装置の従来の第1の例として、印刷フィルムロールと無印刷フィルムロールをそれぞれ別に駆動する駆動手段を設け、2枚のフィルムの間に挿入された新聞に対して、印刷フィルムの印刷位置ずれを修正するものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この例では駆動手段を2つ設けるため高価になる。
【0004】
そこで第2の例として、印刷フィルム側のフィルム供給部にブレーキ手段を設け、新聞の後端と印刷位置マークの後端の検知タイミングの前後関係によって、印刷が新聞に対して先行気味であると判断された場合は、次の新聞挿入の際にブレーキを所定時間作用させることにより、修正を行っている包装装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
これは、一方のフィルム供給部側にブレーキを設けるだけであるのでコストが低く、新聞が搬送ベルトにくわえられる前に修正することができるので、しわ等の不具合も起きないという利点がある。
【特許文献1】特開2001−225807号公報([0018]、図4)
【特許文献2】特開2006−1628号公報([0027]、図4、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の第2の例では、新聞と印刷マークのタイミングの前後のずれ関係を、その次に挿入される新聞に対しブレーキを作用させるので、次のような問題がある。
第1に最初に挿入される新聞に対しては、ずれを修正することができない。
第2に新聞の後端及び印刷位置マークが検知された以後修正までに生じるフィルム搬送量のバラツキを反映させることができないので、修正が十分でない。
【0007】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点に鑑みて、挿入した被包装物の先端検知信号およびフィルムの印刷位置マーク検知信号によりその被包装物に対するフィルム印刷位置の修正を行うようにすることにより、最初に挿入した新聞に対してもずれ修正ができるようにするとともに、検知から修正迄の時間が従来装置より短くなることにより、より的確な修正ができる包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は次の各構成を有する。
本発明の第1の構成は、2個のフィルムロールのうち一方からは一定間隔で同内容の印刷が施された樹脂フィルムが繰り出され、他方からは無印刷の樹脂フィルムが繰り出され、その先端が互いに溶着された2枚の樹脂フィルムの間に被包装物を挿入して、フィルムと共に搬送して一旦停止させ、被包装物の後端側と幅方向の両側を熱溶着して密封し、搬送を再開して後端側溶着部で切断して排出する包装装置であって、下記の各手段を具備することを特徴とする包装装置である。
イ.挿入された被包装物の先端の到来を検知する先端検知手段
ロ.印刷フィルム上の各印刷の位置に対応させて設けられている印刷位置マークを検知する印刷位置マーク検知手段
ハ.印刷フィルムのフィルムロールからの引き出しに対してブレーキを掛けるブレーキ手段
ニ.先端検知信号および印刷位置マーク検知信号の受信タイミング状況により、被包装物に対して印刷部位が適正位置範囲にあるか、印刷部位が適正位置範囲よりも先方へ進んでいるか、適正位置範囲よりも後方へ遅れているかを判断し、適正位置範囲にあると判断した場合には通常の包装動作を続行させ、進んでいると判断した場合には、ブレーキ手段に予め定めた時間ブレーキ動作を行わせ、遅れていると判断した場合には位置マーク検知信号の受信時点より予め定めた時間後に搬送停止させ溶着動作を行わせるようにし、前記先端検知された被包装物に対する印刷部位の位置ずれが一定の範囲内に納まるように制御する制御手段
【0009】
本発明の第2の構成は、前記第1の構成において、制御手段が、印刷位置マーク検知信号を受信した時点で先端検知信号が受信されていない場合に、印刷部位が適正位置範囲よりも先へ進んでいると判断することを特徴とする包装装置である。
【0010】
本発明の第3の構成は、前記第1の構成又は第2の構成において、制御手段が、先端検知信号と印刷位置マーク検知信号を同時に受信した場合に、印刷部位が適正位置範囲にあると判断することを特徴とする包装装置である。
【0011】
本発明の第4の構成は、前記第1の構成、第2の構成又は第3の構成において、制御手段が、先端検知信号を受信した時点で、印刷位置マーク検知信号が受信されていない場合に、印刷部位が適正位置範囲よりも後方へ遅れていると判断することを特徴とする包装装置である。
【0012】
本発明の第5の構成は、前記第1の構成ないし第4の構成のいずれか1つの構成において、印刷位置マーク検知手段が、印刷フィルムの幅方向の一方側に、印刷部位のフィルム長手方向の範囲に対応させて設けられた1条の印刷位置マークの先端および後端を検知し得るものであることを特徴とする包装装置である。
【0013】
本発明の第6の構成は、前記第1の構成ないし第4の構成のいずれか1つの構成において、印刷位置マーク検知手段が、印刷フィルムの幅方向の一方側に、印刷部位のフィルム長手方向の範囲に対応させて複数のマークが1列に配列された印刷位置マークのいずれかのマークの先端又は後端を検知し得るものであることを特徴とする包装装置である。
【0014】
本発明の第7の構成は、前記第6の構成において、制御手段がブレーキ動作を行わせる予め定めた時間が、印刷位置マーク検知手段が、1列に配列された印刷位置マークの最初のマークを検知してから予め定めた順番目のマークを検知する迄の時間であることを特徴とする包装装置である。
【0015】
本発明の第8の構成は、前記第1の構成の制御手段がブレーキ手段にブレーキ動作を行わせる予め定めた時間に換えて、印刷位置マーク検知信号を受信してから先端検知信号を受信するまでの時間とすることを特徴とする包装装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の構成(基本構成)においては、先端が溶着されている印刷フィルムと無印刷フィルムの間に被包装物を押し込み或いは落下により挿入したときの被包装物の先端検知信号と印刷フィルムの印刷位置マーク検知信号とから、被包装物に対して印刷フィルムの印刷箇所が適正位置範囲にあるか否かを判断し、その結果を検知された被包装物の包装の修正に用いているので、最初に挿入した被包装物の包装に対しても印刷部位の位置修正ができるという利点がある。またその結果として、従来装置のように1つ前の包装工程におけるずれデータに基づいて次の包装工程でずれ修正を行う場合に較べて、ずれ検知から修正までの時間が短いので、より的確な修正が可能となるという利点がある。
【0017】
第2の構成、第3の構成、第4の構成においては、先端検知信号と印刷位置マーク検知信号の受信が同時であるか、どちらが先に受信されるかによって印刷部位が被包装物に対して適正な位置範囲にあるか、進んでいるか遅れているかを判断する構成であり、判断の仕方が単純であるという利点がある。
【0018】
第5の構成においては、印刷位置マーク検知手段が印刷部位の長手方向の範囲に対応させてフィルムの幅方向一方側に設けられた1条の印刷位置マークの先端および後端を検知するようになっているので、印刷部位が進んでいる場合には、印刷位置マーク検知手段が印刷位置マークの先端を検知した時点から予め定めた時間だけブレーキ手段を動作させ、印刷部位を適正位置範囲に持ってくるよう修正でき、印刷部位が遅れている場合には印刷位置マーク検知手段が印刷位置マークの後端を検知した時点から予め定めた時間だけ搬送させ、印刷部位が1包装から外れないよう修正できるという利点がある。
【0019】
第6の構成では、印刷位置マーク検知手段が、印刷部位のフィルム長手方向の範囲に対応させて複数のマークが1列に配列された印刷位置マークのいずれかのマークの先端又は後端を検知し得るようになっているので、どのマークの先端又は後端を検知したときを印刷位置マーク検知信号の検知とするかを選択設定することができ、印刷位置マーク検知手段の設置の変更に対応し得る利点がある。
【0020】
第7の構成では、前記1列に配列された印刷位置マークの何番目かを指定しておくことにより、印刷位置マーク検知手段が1番目のマークを検知してから指定したマークを検知するまでの時間を印刷フィルムロールのブレーキ動作時間とすることができる利点がある。
【0021】
第8の構成は、第1の構成から第7の構成までのブレーキ動作時間が予め定めた時間であるのに対し、印刷位置検知信号を受信してから先端検知信号を受信するまでの時間だけ印刷フィルムロールのブレーキ動作を行わせるというものであり、結局、印刷部位の進み量に応じて修正するというものであり、第1の構成から第7の構成に較べて、印刷部位が適正範囲の中心により近付くよう制御されるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
まず、先端検知手段および印刷位置マーク検知手段は、発光素子と受光素子を対向させその間を検知対象が通過したときに、光が遮断され或いは遮断されている光が受光される光学的検知手段が最良である。
ブレーキ手段は、フィルムロールから引き出した1枚のフィルムを2つのローラで挟みローラの回転にブレーキをかけることによりフィルムの引き出しにブレーキをかける構成のものが最良である。
【0023】
制御手段における、印刷フィルムの進み遅れの判断は、先端検知信号と印刷位置マーク検知信号の受信タイミングの前後関係によって判断するのが単純で最良である。即ち、両信号が同時であれば、被包装物に対する印刷フィルムの印刷部位が適正位置範囲にあると判断し、印刷位置マーク検知信号が先に受信された場合は印刷部位が進んでいると判断し、先端検知信号が先に受信された場合には印刷部位が遅れていると判断するのが単純で最良である。その実施のためには、先端検知手段を印刷位置マーク検知手段よりも被包装物を挟んだフィルムの流れの下流側に配置し、その間隔を、先端が溶着されたフィルムに被包装物を先端迄挿入したときの先端から印刷フィルムの印刷位置マークまでの適正距離に合わせておくことになる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施例の構成および配置側面を示す図である。まず、印刷部位の位置の修正を考慮しない基本動作について説明する。
図1は、1つ前の包装動作が完了して、次の被包装物5(以下、1つの例として新聞とする)が、被包装物挿入口4から挿入された途中の状態を示している。
印刷フィルムロール1からは印刷フィルム2がブレーキローラ3を経てシャッタ15とナイフ受け17の間を通り溶着位置の所まで達しており、無印刷フィルムロール7からは無印刷フィルム8が途中のローラを経てシャッタ15とナイフ受け17の間を通り溶着位置の所まで達しており、両フィルムの先端Mは1つ前の包装工程で溶着されて閉じられている。
溶着は、溶着ナイフ16が右方へ前進して2枚のフィルムをナイフ受け17に押し付け加熱して行われる。
【0025】
新聞は自重或いは押し込みによりばね性のあるガイド6によって右側の壁へ押し寄せられつつガイド6の先端と壁の間を下降し、更に、ばね回動するシャッタ15を押し下げて先端Mに達する。その途中、挿入センサ9が新聞の先端を検知するとその検知信号は制御回路18へ送られ、制御回路18は搬送ローラ駆動器21へ駆動指示信号を送り、搬送ローラ19を回転させる。従って、溶着されたフィルムの先端Mを更に押しながら下降させて搬送ローラ19、19に達すると両ローラにかかっている搬送ベルト20の間に挟まれて下方へ搬送される。そして、新聞の後端の通過が内部センサ13によって検知されると、その検知信号は制御回路18へ送られ、制御回路18は搬送ローラ駆動器21へ停止指令信号を送り搬送ローラ19の回転を停止させる。
【0026】
従って、この時はナイフ受け17の部分にはもはや新聞はなく、2枚のフィルムのみがシャッタ15によってナイフ受け17の方へ押されている。そして、溶着ナイフ16が右方へ前進して2枚のフィルムをナイフ受け17に押し付けるようにして熱溶着して制御回路18は再び搬送ローラ19を回転させ下方へ引っ張り溶着部分で切断する。
これにより、新聞を包装した2枚のフィルムの後端も、各フィルムロールからのフィルムの先端も溶着されることになる。
【0027】
なお、新聞を挟んで搬送された2枚のフィルムの幅方向両側も搬送途上で溶着され、新聞を全周で密封することになる。
なお、挿入センサ9、レジセンサ11、内部センサ13の各センサはそれぞれ対向する挿入センサ発光器10、レジセンサ発光器12、内部センサ発光器14からの光ビームが遮断されるか或いは遮断されていた状態から受光状態となるかによって、被包装物の先端或いは後端や印刷位置マークの先端或いは後端の到来を検知している。
【0028】
次に、包装される新聞に対する印刷フィルムの印刷部位の位置の修正動作について述べる。
この動作にかかわる構成手段は、新聞の先端を検知する先端検知手段としての内部センサ13、印刷フィルム2の印刷位置マーク検知手段としてのレジセンサ11、この両信号を受信する制御回路18、ブレーキローラ3およびブレーキ駆動器22である。
印刷フィルム2には、図2に示すように、発信したいメッセージが印刷部位23に印刷されており、この印刷部位のフィルム長手方向の範囲に対応させて幅方向の一方側(図では右側)に印刷位置マーク24が印刷されている。
【0029】
図2の(a)は複数のマークがフィルム長手方向に1列に配列されて印刷されている場合であり、(b)は1条のマークが印刷されている場合である。この他、印刷部位との位置関係が固定されてさえいればどのようなマークであってもよい。
このような印刷が、被包装物の寸法に合わせて、1つの包装について印刷部位が1つ割当たるように長手方向に繰り返されている。被包装物を挟むもう一方のフィルムは無印刷である。
【0030】
図3は、包装完了後の状態を示している。
(a)は印刷部位23が適正位置範囲にある場合であり、(b)は印刷部位23が後方(図では上方)へ遅れている場合、(c)は、印刷部位23が先(図では下方)へ進んでいる場合をそれぞれ示している。従って、印刷部位が適正位置範囲に来るようにするには、熱溶着する前に現に包装途上にある印刷部位23が適正位置範囲にあるのか、遅れているのか、進んでいるのかを検知する必要がある。
【0031】
そこで、図3の(a)の場合、即ち適正な場合の印刷位置マークの先端からフィルムの先端側溶着までの寸法がDであるならば、図1におけるレジセンサ11と内部センサ13の間隔もDに設定してある。
このようにすることにより、図1において、印刷フィルム2の印刷位置マーク24の先端が、先端M(溶着端)から寸法Dの位置にあれば、被包装物5を押し下げて行った場合、先端Mが内部センサ13の高さ位置に達するのと印刷位置マーク24の先端がレジセンサ11の高さ位置に達するのは同時ということになり、内部センサ13からの先端検知信号とレジセンサ11からの印刷位置マーク検知信号は同時に出力され、制御回路18はこの両検知信号を同時に受信することになる。
【0032】
次に、印刷フィルム2の印刷位置マーク24の先端が図3の(b)のように先端MからDより大きい寸法の位置にあるときは、被包装物5が押し込まれ先端Mが内部センサ13の高さ位置に達しても印刷位置マーク24の先端はまだレジセンサ11の高さ位置まで下がって来ない。
従って、内部センサ13から先端検知信号が出力されている時には、レジセンサ11からの印刷位置マーク検知信号は出力されていない。従って、制御回路18は先端検知信号を受信した時点で印刷位置マーク信号は受信していないことになる。
【0033】
これに対して、印刷フィルム2の印刷位置マーク24の先端が図3の(c)のように、先端MからDより小さい寸法の位置にあるときは、被包装物が押し込まれ印刷位置マーク24の先端がレジセンサ11の高さ位置に達していても先端Mはまだ内部センサ13の高さ位置まで達していない。
【0034】
従って、レジセンサ11から印刷位置マーク検知信号が出力されている時には、内部センサ13からの先端検知信号は出力されていない。従って、制御回路18は印刷位置マーク検知信号を受信した時点で先端検知信号は受信していないことになる。
【0035】
そこで、制御回路は先端検知信号と印刷位置マーク検知信号が同時に受信されたときは、印刷部位は適正位置範囲にあると判断し、先端検知信号を受信した時点で印刷位置マーク検知信号を受信していない場合には印刷部位が後方へ遅れていると判断し、印刷位置マーク検知信号を受信した時点で先端検知信号を受信していない場合には印刷部位が進んでいると判断する。そして、適正位置範囲にあると判断した場合には、最初に説明した基本動作を続行する。
【0036】
即ち、被包装物5の先端はフィルムの溶着された先端Mを押し下げながら、搬送ローラ19、19に達すると搬送ベルト20に挟まれて下方ーへ搬送されて行く。このとき印刷フィルム2も無印刷フィルム8も同じ量だけ引き出されて行く。そして、被包装物5の後端が、内部センサ13に検知されるとその検知信号は制御回路18へ送られ、制御回路18は搬送ローラ駆動器21へ停止指令信号を送出し、搬送ローラ19、19は停止する。そして、溶着ナイフ16を右方へ前進させ2枚のフィルムをナイフ受け17へ押し付けて熱溶着する。なお、搬送ローラ19、19の停止は、レジセンサが印刷位置マークの後端を検知してから一定時間後とプログラムしておいてもよい。
熱溶着が完了すると、制御回路18は再び搬送ローラ19、19を回転させ包装物を下方へ引っ張り溶着部分で切断する。包装が完了したものを側断面で見ると、図4の(a)のようになる。フィルムの寸法は被包装物5の寸法に対して多少の遊びがある。
【0037】
次に、制御回路18が、印刷部位23が進んでいる判断した場合には、レジセンサ11が印刷位置マーク検知信号を受信した時点で、ブレーキ駆動器22へブレーキ作動信号を送出し、ブレーキローラ3に予め定めた時間だけブレーキ動作を行わせ印刷フィルム2の引き出しを停止させる。
【0038】
一方、被包装物5が押し下げられ或いは自重で下がろうとすると、印刷フィルム2の引き出しが停止されていても無印刷フィルム8にはブレーキがかかっていないので、無印刷フィルム8だけが引き出され被包装物5は下がって行く。しかし、図1の2枚のフィルムの溶着部位である先端Mは、印刷フィルム2の引き出しが停止されているので図1の位置からは下がらない。
【0039】
従って、被包装物5が下降するにつれて、無印刷フィルム8が被包装物5の先端から右側の面へ回り込むような形になり相対的にはMの位置は被包装物5の右側面を先端より上へ移動して行く形となる。
こうして、印刷部位23が進んでいる状態つまり印刷部位が適正位置よりも先端Mに近くなっている場合にも被包装物に対しては適正位置範囲への修正が可能となる。包装が完了したものを側断面で見ると図4の(b)に示すように、(a)で先端溶着部27であった部分が右側の面に回り込むことになる。
【0040】
ブレーキを動作させる時間については、実際の装置において、修正を施さなければどの位の進みずれが生ずるか、或いは修正が行われるようにして置いた場合での進みずれがどの程度かを実験的に確認したうえで設定することとなる。
この時間が定まった後の具体的設定としては、タイマを用いてもよいし、また、印刷位置マークが図2の(a)のような場合には先端のマークを検知してから何個目のマークを検知するまでの時間としてもよい。
【0041】
ブレーキ動作解除後の、搬送ローラ19、19による搬送、内部センサ13が被包装物5の後端を検知したことによる搬送ローラの停止、溶着ナイフ16によるフィルムの溶着、搬送ローラの再起動、溶着部の切断、フィルムの幅方向両側の熱溶着等については、印刷部位23が適正範囲にある場合と同様である。
【0042】
次に、制御手段18が、印刷部位23が遅れていると判断した場合には、挿入センサ9が被包装物5の先端を検知したことによって開始した搬送ローラ19、19の回転を、被包装物5の後端を内部センサ13が検知しても、停止させず、レジセンサ11が印刷位置マーク24の後端を検知してから予め定めた時間が経過したときに停止させるように制御する。
【0043】
この制御は、印刷部位23が進んでいる場合のように、被包装物5に対して印刷部位23の位置を修正する制御ではなく、印刷部位23が遅れているのであるから後端溶着部分を後へずらそうとする制御である。従って、包装完了後のフィルムの搬送方向での長さは、印刷部位23が適正位置にある場合や、進んだ位置にあったため修正した場合の長さよりも図4の(c)に示すように後方(図では上方)へ長くなる。
搬送ローラ19、19を停止させた後のフィルム熱溶着、搬送ローラ再起動、溶着部での切断、幅方向両側の熱溶着等は、印刷部位が適正位置範囲にある場合と同様である。
【0044】
以上の実施例においては、印刷部位23が進んでいる場合に印刷フィルム2の引き出しに対するブレーキ動作の時間は、レジセンサ11が印刷位置マーク検知信号を出力してから予め定めた時間としているが、この時間を、レジセンサ11が印刷フィルム2の印刷位置マーク24の先端を検知してから、内部センサ13が被包装物5の先端を検知するまでの時間、つまり制御回路が印刷位置マーク検知信号を受信してから、先端検知信号を受信するまでの時間だけ停止させることとすることもできる。
これはブレーキ動作の時間を、印刷部位23の適正位置からのずれに応じた時間にするものである。
【0045】
これは、印刷部位23が適正位置より進んでいる場合において、レジセンサ11が印刷位置マークの先端を検知してから内部センサ13が被包装物5の先端を検知するまでの時間は、印刷部位23の進み量に比例するし、印刷位置マーク24の先端がレジセンサ11の高さ位置に来たときにブレーキ動作をさせて印刷フィルム2の引き出しを停止させ、被包装物5の先端が内部センサ13の高さ位置まで来たときにブレーキ動作を解除するとその状態に定まった被包装物5の先端と印刷位置マークの先端との距離は、レジセンサ11と内部センサ13との間隔と同じになり、この間隔を図3の(a)の適正位置寸法Dと同じ寸法になるように両センサを配置してあれば、上記のブレーキ動作のオン、オフで進みずれ量に応じた修正ができることになるからである。
【0046】
以上の実施例では、レジセンサ11と内容センサ13との間隔を図3の(a)の適正位置の場合の寸法Dと同じにした場合であるが、スペースの制約により、D+α或いはD−αとなってもよい。
D+αとした場合は、印刷位置マーク検知信号を受信してから、距離αを進むのにかかる時間tだけ遅れて先端検知信号が受信された場合に適正位置範囲にあると判断し、遅れがtより大きいときは印刷部位が進んでいると判断し、遅れがtより小さいか先端検知信号が先に受信されたときは印刷部位が遅れていると判断することになる。
間隔がD−αの場合には、先端検知信号を受信してから時間tだけ遅れて印刷位置マーク信号が受信された場合に適正位置範囲にあると判断し、遅れがtより大きいときは印刷部位が遅れていると判断し、遅れがtより小さいか、印刷位置マーク検知信号が先に受信されたときは印刷部位が進んでいると判断することになる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例の構成および配置側面を示す図である。
【図2】本発明包装装置に用いられる印刷フィルムの印刷面を示す図である。
【図3】印刷部位が適正位置、遅れ位置、進み位置にある各場合の包装印刷面を示す図である。
【図4】本発明包装装置により包装を行った包装物の側断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 印刷フィルムロール
2 印刷フィルム
3 ブレーキローラ
4 被包装物挿入口
5 被包装物
6 ガイド
7 無印刷フィルムロール
8 無印刷フィルム
9 挿入センサ
10 挿入センサ発光器
11 レジセンサ
12 レジセンサ発光器
13 内部センサ
14 内部センサ発光器
15 シャッタ
16 溶着ナイフ
17 ナイフ受け
18 制御回路
19 搬送ローラ
20 搬送ベルト
21 搬送ローラ駆動器
22 ブレーキ駆動器
23 印刷部位
24 印刷位置マーク
25 溶着完了切断後のフィルム包装
26 後端溶着部
27 先端溶着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個のフィルムロールのうち一方からは一定間隔で同内容の印刷が施された樹脂フィルムが繰り出され、他方からは無印刷の樹脂フィルムが繰り出され、その先端が互いに溶着された2枚の樹脂フィルムの間に被包装物を挿入して、フィルムと共に搬送して一旦停止させ、被包装物の後端側と幅方向の両側を熱溶着して密封し、搬送を再開して後端側溶着部で切断して排出する包装装置であって、下記の各手段を具備することを特徴とする包装装置。
イ.挿入された被包装物の先端の到来を検知する先端検知手段
ロ.印刷フィルム上の各印刷の位置に対応させて設けられている印刷位置マークを検知する印刷位置マーク検知手段
ハ.印刷フィルムのフィルムロールからの引き出しに対してブレーキを掛けるブレーキ手段
ニ.先端検知信号および印刷位置マーク検知信号の受信タイミング状況により、被包装物に対して印刷部位が適正位置範囲にあるか、印刷部位が適正位置範囲よりも先方へ進んでいるか、適正位置範囲よりも後方へ遅れているかを判断し、適正位置範囲にあると判断した場合には通常の包装動作を続行させ、進んでいると判断した場合には、ブレーキ手段に予め定めた時間ブレーキ動作を行わせ、遅れていると判断した場合には位置マーク検知信号の受信時点より予め定めた時間後に搬送停止させ溶着動作を行わせるようにし、前記先端検知された被包装物に対する印刷部位の位置ずれが一定の範囲内に納まるように制御する制御手段
【請求項2】
制御手段が、印刷位置マーク検知信号を受信した時点で先端検知信号が受信されていない場合に、印刷部位が適正位置範囲よりも先へ進んでいると判断することを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
制御手段が、先端検知信号と印刷位置マーク検知信号を同時に受信した場合に、印刷部位が適正位置範囲にあると判断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
制御手段が、先端検知信号を受信した時点で、印刷位置マーク検知信号が受信されていない場合に、印刷部位が適正位置範囲よりも後方へ遅れていると判断することを特徴とする請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項5】
印刷位置マーク検知手段が、印刷フィルムの幅方向の一方側に、印刷部位のフィルム長手方向の範囲に対応させて設けられた1条の印刷位置マークの先端および後端を検知し得るものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項6】
印刷位置マーク検知手段が、印刷フィルムの幅方向の一方側に、印刷部位のフィルム長手方向の範囲に対応させて複数のマークが1列に配列された印刷位置マークのいずれかのマークの先端又は後端を検知し得るものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項7】
制御手段がブレーキ動作を行わせる予め定めた時間が、印刷位置マーク検知手段が、1列に配列された印刷位置マークの最初のマークを検知してから予め定めた順番目のマークを検知する迄の時間であることを特徴とする請求項6記載の包装装置。
【請求項8】
請求項1の制御手段がブレーキ手段にブレーキ動作を行わせる予め定めた時間に換えて、印刷位置マーク検知信号を受信してから先端検知信号を受信するまでの時間とすることを特徴とする包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−217028(P2007−217028A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40420(P2006−40420)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000109727)株式会社デュプロ (195)
【Fターム(参考)】