説明

化合物およびその使用法

本発明は、電荷を有する基またはかさ高い基のいずれかに、インビボ切断を受けにくい様式で結合された、電荷修飾抗うつ剤および化合物を特徴とする。本発明は、本発明の化合物を炎症性疾患を有する患者に投与することによってその患者を治療するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形性関節症、クローン病、乾癬、および関節リウマチなどの免疫炎症性障害の治療に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2005年2月14日に出願され、参照により本明細書に組み入れられる米国仮出願第60/652,624号からの恩典を請求する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
脳は、脳間質腔への多くの循環している分子、細胞、または微生物の自由な侵入を妨害する血液脳関門によって、外的影響から十分に保護される。しかし、このことは、うつ病を軽減するために血液脳関門を透過しなくてはならない抗うつ剤については真実ではない。従って、末梢障害(例えば、乾癬または関節炎)の治療において、脳は、いかなる治療的利益を伴うことなく、および重篤な副作用の可能性を伴って、抗うつ剤に曝露される。PDRに記載されているこれらの副作用には、鎮静、悪心、視界不良、体重増加、勃起不全、寝汗、眩暈、不整脈、および狭心症が含まれる。
【0004】
治療の改善が免疫炎症性障害の治療のために必要とされている。
【発明の開示】
【0005】
1つの局面において、本発明は、リンカーを介して300ダルトンより大きなかさ高い基または電荷を有する300ダルトン未満の基に共有結合された化合物を含む結合体を特徴とする。この結合体は下記式
(A)-(L)-(B)
によって記述され、式中、(B)は、300ダルトンより大きなかさ高い基または電荷を有する300ダルトン未満の基のいずれかであり;(L)は化合物(A)および上記基(B)と連結基を形成するリンカーであり;ならびに(A)は式I〜VIのいずれかの化合物である。望ましくは、この結合体は、インビボでの抗炎症活性、および親の化合物と比較して中枢神経系における活性の減少を有する。
【0006】
結合体は、式(A)-(L)-(B)を有する化合物を含み、ここで、(A)は下記式(I)の化合物である。

【0007】
式(I)において、W3はO、CHCH2R5、またはC=CHR5であり;W1-W2はOCHR11、SCHR11、N=CR11、CHR10-CHR11、またはCR10=CR11であり;R1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、およびR9の各々は、H、OH、ハロゲン化物、およびOG1から独立して選択され;R5はCH2CH2X1またはCH(CH3)CH2X1であり;R10はH、OH、またはOG1であり;R11はH、OH、OG1、または基

であり;X1はNH2、NHCH3、N(CH3)2、NG1(CH3)2、NG1CH3、またはNHG1であり;X2はNH、NCH3、NG1CH3、またはNG1であり;および
G1は(A)と(L)の間の連結基中の結合であり、ここで、上記化合物は1つのG1を含む。特定の態様において、(B)が電荷を有する300ダルトン未満の基である場合、(B)はカルボン酸部分を含まない。
【0008】
特定の態様において、式(I)の結合体は下記式(II)によってさらに記述することができる。

【0009】
式(II)において、R7およびR8の各々は、H、OH、およびOG1から独立して選択され;R12はH、CH3、またはG1であり;R13はCH3であるかまたは存在せず;ならびにG1は(A)と(L)の間の連結基中の結合である。
【0010】
他の態様において、式(I)の結合体は下記式(III)によってさらに記述することができる。

【0011】
式(III)において、X3はNH2、NHCH3, N(CH3)2、NG1(CH3)2、NG1CH3、またはNHG1であり;R1およびR10の各々はH、OH、およびOG1から独立して選択され;ならびにG1は(A)と(L)の間の連結基中の結合である。
【0012】
式(I)の結合体には、例えば、化合物1

などのモルホリン誘導体が含まれる。
【0013】
本発明の結合体はまた、式(A)-(L)-(B)を有する化合物を含み、ここで、(A)は下記式(IV)の化合物である。

【0014】
式(IV)において、X4はNG1(CH3)2、NG1CH3、またはNHG1であり;およびG1は(A)と(L)の間の連結基中の結合である。
【0015】
本発明の結合体はまた、式(A)-(L)-(B)を有する化合物を含み、ここで、(A)は下記式(V)の化合物である。

【0016】
式(V)において、X5はNG1(CH3)2、NG1CH3、またはNHG1であり;およびG1は(A)と(L)の間の連結基中の結合である。
【0017】
結合体は、式(A)-(L)-(B)を有する化合物を含み、ここで、(A)は下記式(VI)の化合物である。

【0018】
式(VI)において、X6はNG1CH3またはNG1であり;およびG1は(A)と(L)の間の連結基中の結合である。
【0019】
前述の化合物のいずれかにおいて、望ましくは、リンカーは下記式(VII)によって記述される。
G1-(Z1)o-(Y1)u-(Z2)s-(R30)-(Z3)t(Y2)v-(Z4)p-G2 (VII)
【0020】
式(VII)において、G1は上記化合物(A)と上記リンカーの間の連結基中の結合であり;G2は上記リンカーとかさ高い基の間、または上記リンカーと、電荷を有する基の間の連結基中の結合であり;Z1、Z2、Z3、およびZ4は、各々独立して、O、S、およびNR31から選択され;R31は水素、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルであり;Y1およびY2は、各々独立して、カルボニル、チオカルボニル、スルホニル、またはホスホリルから選択され;o、p、s、t、u、およびvは、各々独立して、0または1であり;ならびにR30は、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-10ヘテロアルキル、またはG1-(Z1)o-(Y1)u-(Z2)s-を-(Z3)t-(Y2)v-(Z4)p-G2に連結する化学結合である。
【0021】
かさ高い基は、天然のポリマーまたは合成ポリマーであり得る。使用することができる天然のポリマーの例には、糖タンパク質、ポリペプチド、またはポリサッカリドが非限定的に含まれる。かさ高い基として使用することができる合成ポリマーの例には、ポリエチレングリコールおよび合成ポリペプチドN-hxgが非限定的に含まれる。かさ高い基はまた、コルチコステロイドも含み得る。望ましくは、コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ブデソニド、およびトリアムシノロンから選択される。
【0022】
電荷を有する基はカチオンまたはアニオンであり得る。望ましくは、電荷を有する基は、少なくとも2つの負に荷電した部分を含むポリアニオン、または少なくとも1つの正に荷電した部分を有するカチオンである。望ましくは、電荷を有する基は2つ、3つ、または4つの電荷を有する部分を含む。例示的な電荷を有する基には、生理学的pHにおいてカチオン性であるモルホリン環系を含む。
【0023】
本発明はまた、アミノ窒素を有する親の抗うつ剤を含み、該アミノ窒素は第四級アミノ基またはグアニジニウム基に転換されている電荷修飾抗うつ剤を特徴とする。望ましくは、この電荷修飾抗うつ剤は、インビボにおける抗炎症活性および上記親の抗うつ剤と比較して中枢神経系における減少した活性を有する。
【0024】
本明細書に記載される組成物、方法およびキットのいずれかにおいて、望ましくは、親の抗うつ剤は三環系抗うつ剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、またはセロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤である。
【0025】
電荷修飾抗うつ剤には下記式(VIII)の化合物が含まれる。

【0026】
式(VIII)において、W3はO、CHCH2R5、またはC=CHR5であり;W1-W2はOCHR11、SCHR11、N=CR11、CHR10-CHR11、またはCR10=CR11であり;R1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、およびR9の各々は、H、OH、およびハロゲン化物から独立して選択され;R5はCH2CH2X1またはCH(CH3)CH2X1;R10はHまたはOHであり;R11はH、OH、または基

であり;
X1はNH2、NHCH3、N(CH3)2、NR14R15R16、またはNR17X7であり;X2はNH、NCH3、NR21R22、またはNX7であり;R14、R15、R16、R21、およびR22の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;R17はHまたはCH3であり;X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【0027】
特定の態様において、式(VIII)の電荷修飾抗うつ剤は下記式(IX)によってさらに記述することができる。

【0028】
式(IX)において、R7およびR8の各々は、HおよびOHから独立して選択され;X2はNR21R22またはNX7であり;R21およびR22の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;
X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【0029】
他の態様において、式(VIII)の電荷修飾抗うつ剤は下記式(X)によってさらに記述することができる。

【0030】
式(X)において、R1およびR10の各々は、HおよびOHから独立して選択され;X3はNR14R15R16またはNR17X7であり;R14、R15、およびR16の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;R17はHまたはCH3であり;
X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【0031】
本発明の電荷修飾抗うつ剤にはまた、下記式(XI)の化合物が含まれる。

【0032】
式(XI)において、X4はNR14R15R16またはNR17X7であり;R14、R15、およびR16の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;R17はHまたはCH3であり;X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【0033】
本発明の電荷修飾抗うつ剤にはまた、下記式(XII)の化合物が含まれる。

【0034】
式(XII)において、X5はNR14R15R16またはNR17X7であり;R14、R15、およびR16の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;
R17はHまたはCH3であり;X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【0035】
本発明のなお他の電荷修飾抗うつ剤は、下記式(XIII)の化合物である。

【0036】
式(XIII)において、X6はNR21R22またはNX7であり;R21およびR22の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【0037】
本発明はまた、患者における炎症誘発性サイトカインの分泌を抑制するために十分な量で、本発明の結合体または電荷修飾抗うつ剤を上記患者に投与することによって、その必要がある患者における1つまたは複数の炎症誘発性サイトカインの分泌を抑制するための方法を特徴とする。
【0038】
本発明はまた、患者を治療するために十分な量で、本発明の結合体または電荷修飾抗うつ剤を上記患者に投与することによって、免疫炎症性障害と診断された患者を治療するための方法を特徴とする。
【0039】
患者を治療するために十分な量で本発明の結合体または電荷修飾抗うつ剤を上記患者に投与することによって治療することができる免疫炎症性障害には、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、変形性関節症、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性多発性筋痛、巨細胞性動脈炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強直性脊椎炎、または乾癬性関節炎が非限定的に含まれる。
【0040】
本発明はまた、関節リウマチ、変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性多発性筋痛、巨細胞性動脈炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強直性脊椎炎、および乾癬性関節炎から選択される免疫炎症性障害と診断された患者を治療するための方法を特徴とする。この方法は、下記式

を有する化合物を、患者を治療するために十分な量で投与することを含む。
【0041】
本発明は、300ダルトンよりも大きなかさ高い基または電荷を有する300ダルトン未満の基の共有結合によって、血液脳関門の化合物の通過を阻害するための方法を特徴とする。望ましくは、上記基は、上記基に共有結合した化合物の抗炎症活性を消失させることなく、血液脳関門の通過を阻害するのに十分に化合物のサイズを増加させ、化合物の電荷を変化させる。望ましくは、共有結合はインビボ切断に対して抵抗性であり、CNS活性代謝物から脳をさらに保護する。かさ高い基または電荷を有する基は、親の化合物に存在する窒素原子を介して結合することができる。
【0042】
本発明は、アミン窒素を第四級アミノ基またはグアニジニウム基に転換することによって、アミン窒素を有する化合物の血液脳関門の通過を阻害するための方法を特徴とする。上記基は、抗うつ剤の抗炎症活性を消失させることなく、血液脳関門の通過を阻害するために十分に抗うつ剤の電荷を変化させる。
【0043】
本発明は、薬学的に許容される担体または希釈剤とともに、任意の薬学的に許容される型で、本明細書に記載される結合体または電荷修飾抗うつ剤の有効量を含む薬学的組成物を特徴とする。
【0044】
本発明は、その必要がある患者における免疫炎症性障害を治療するためにともに十分な量で、結合体または電荷修飾抗うつ剤およびコルチコステロイドを含む薬学的組成物を特徴とする。
【0045】
本発明はさらに、下記式

を有する化合物を含み、またはコルチコステロイドと組み合わせた薬学的組成物を特徴とし、ここで、化合物およびコルチコステロイドは、患者に投与された際に、免疫炎症性障害を治療するためにともに十分な量である。
【0046】
所望される場合、上記の薬学的組成物は、1つまたは複数のさらなる化合物(例えば、糖質コルチコイド受容体調節物質、NSAID、COX-2阻害剤、DMARD、生物製剤、小分子免疫調節物質、キサンチン、抗コリン作用性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、または5-アミノサリチル酸)を含んでもよい。この組成物は、例えば、局所投与または全身投与のために製剤化されてもよい。
【0047】
本発明はまた、患者を治療するためにともに十分な量で、結合体または電荷修飾抗うつ剤およびコルチコステロイドを、同時にまたは互いに14日以内に投与することによって、免疫炎症性障害と診断されたか、またはそれを発症するリスクがあると診断された患者を治療するための方法を特徴とする。
【0048】
本発明はさらに、患者における免疫応答を調節するためにともに十分な量で、結合体または電荷修飾抗うつ剤およびコルチコステロイドを、同時にまたは互いに14日以内に投与することによって、患者における免疫応答を調節する方法(例えば、炎症誘発性サイトカイン分泌もしくは産生を減少させることによる、または接着、遺伝子発現、ケモカイン分泌もしくは産生、MHC複合体の提示を調節することによる)を特徴とする。
【0049】
本発明はまた、関節リウマチ、変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性多発性筋痛、巨細胞性動脈炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強直性脊椎炎、および乾癬性関節炎から選択される免疫炎症性障害と診断されたか、またはそれを発症するリスクがあると診断された患者を治療するための方法を特徴とする。この方法は、患者に、
(i)下記式

を有する化合物;および
(ii)コルチコステロイド
を患者に投与する工程を含み、
ここで、上記化合物および上記コルチコステロイドは、上記患者を治療するためにともに十分な量で、同時にまたは互いに14日以内に投与される。
【0050】
前述の方法のいずれかにおいて、患者はまた、1つまたは複数のさらなる化合物(例えば、糖質コルチコイド受容体調節物質、NSAID、COX-2阻害剤、DMARD、生物製剤、小分子免疫調節物質、キサンチン、抗コリン作用性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、または5-アミノサリチル酸)を投与されてもよい。
【0051】
所望される場合、結合体または電荷修飾抗うつ剤およびコルチコステロイドは、低投薬量または高投薬量で投与されてもよい。薬物は、望ましくは、互いに10日間以内、より望ましくは、互いに5日間以内、およびさらにより望ましくは互いに24時間以内または同時に(すなわち、付随的に)さえ投与される。
【0052】
本発明は、結合体または電荷修飾抗うつ剤の非存在下でのコルチコステロイドの投与よりも、免疫炎症性障害を治療する際にともにより有効である量で、結合体または電荷修飾抗うつ剤およびコルチコステロイドを患者に同時投与することによって、その必要がある患者における免疫炎症性障害を治療するための方法を特徴とする。
【0053】
本発明はまた、コルチコステロイドの非存在下での結合体または電荷修飾抗うつ剤の投与よりも、免疫炎症性障害を治療する際にともにより有効である量で、結合体または電荷修飾抗うつ剤およびコルチコステロイドを患者に同時投与することによって、その必要がある患者における免疫炎症性障害を治療するための方法を特徴とする。
【0054】
本発明はさらに、コルチコステロイドを患者に投与すること、および結合体または電荷修飾抗うつ剤を患者に投与することによって、その必要がある患者における免疫炎症性障害を治療するための方法を特徴とし;ここで(i)コルチコステロイドおよび結合体または電荷修飾抗うつ剤は同時に投与され、ならびに(ii)患者に投与されるコルチコステロイドおよび結合体または電荷修飾抗うつ剤のそれぞれの量は、結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤の非存在におけるコルチコステロイドの投与、またはコルチコステロイドの非存在における結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤の投与と比較して、免疫炎症性障害を治療する際により有効である。
【0055】
本発明はまた、単位剤形における薬学的組成物を特徴とし、この組成物はコルチコステロイド;および結合体または電荷修飾抗うつ剤を含み、ここで、コルチコステロイドおよび結合体または電荷修飾抗うつ剤の量は、患者に投与された際に、結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤の非存在におけるコルチコステロイドの投与、またはコルチコステロイドの非存在における結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤の投与と比較して、免疫炎症性障害を治療する際により有効である。
【0056】
本発明は、(i)結合体または電荷修飾抗うつ剤およびコルチコステロイドを含む組成物;ならびに(ii)免疫炎症性障害と診断された患者に組成物を投与するための説明書を含むキットを特徴とする。
【0057】
本発明は、(i)結合体または電荷修飾抗うつ剤;(ii)コルチコステロイド;ならびに(iii)結合体または電荷修飾抗うつ剤およびコルチコステロイドを、免疫炎症性障害と診断された患者に投与するための説明書を含むキットを含む。
【0058】
本発明はまた、(i)結合体または電荷修飾抗うつ剤;ならびに(ii)免疫炎症性障害と診断されたか、またはそのリスクがある患者に、結合体または電荷修飾抗うつ剤およびコルチコステロイドを投与するための説明書を含むキットを特徴とする。
【0059】
本発明は、(i)下記式

を有する化合物;(ii)コルチコステロイド;および(iii)免疫炎症性障害と診断されたか、またはそのリスクがある患者に、化合物およびコルチコステロイドを全身投与するための説明書を含むキットを特徴とする。
【0060】
本発明は、(i)下記式

を有する化合物;ならびに(ii)関節リウマチ、変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性多発性筋痛、巨細胞性動脈炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強直性脊椎炎、および乾癬性関節炎から選択される免疫炎症性障害と診断された患者に、この化合物を投与するための説明書を含むキットを特徴とする。
【0061】
所望される場合、コルチコステロイドは、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、糖質コルチコイド受容体調節物質または他のステロイド受容体調節物質で置き換えることができる。
【0062】
従って、別の局面において、本発明は、その必要がある患者における免疫炎症性障害を治療するためにともに十分な量で、結合体または電荷修飾抗うつ剤および糖質コルチコイド受容体調節物質を含む組成物を特徴とする。所望される場合、この組成物は、1つまたは複数のさらなる化合物を含んでもよい。この組成物は、例えば、局所投与または全身投与のために製剤化されてもよい。
【0063】
本発明は、患者を治療するためにともに十分な量で、同時にまたは互いに14日以内に、結合体または電荷修飾抗うつ剤および糖質コルチコイド受容体調節物質を患者に投与することによって、免疫炎症性障害と診断されたか、またはそのリスクがある患者を治療するための方法を特徴とする。薬物は、望ましくは互いに10日間以内、より望ましくは互いに5日間以内、およびさらにより望ましくは互いに24時間以内または同時に(すなわち、付随的に)さえ投与される。
【0064】
本発明はまた、患者における免疫応答を調節するためにともに十分な量で、結合体または電荷修飾抗うつ剤および糖質コルチコイド受容体調節物質を、同時にまたは互いに14日以内に投与することによって、患者における免疫応答を調節する方法(例えば、炎症誘発性サイトカイン分泌もしくは産生を減少させることによる、または接着、遺伝子発現、ケモカイン分泌もしくは産生、MHC複合体の提示を調節することによる)を特徴とする。
【0065】
関連する局面において、本発明は、結合体または電荷修飾抗うつ剤の非存在下における糖質コルチコイド受容体調節物質の投与よりも、免疫炎症性障害を治療する際により有効である量で、結合体または電荷修飾抗うつ剤および糖質コルチコイド受容体調節物質を患者に同時投与することによって、その必要がある患者における免疫炎症性障害を治療するための方法を特徴とする。
【0066】
さらに別の関連する局面において、本発明は、糖質コルチコイド受容体調節物質の非存在下における結合体または電荷修飾抗うつ剤の投与よりも、免疫炎症性障害を治療する際にともにより有効である量で、結合体または電荷修飾抗うつ剤および糖質コルチコイド受容体調節物質を患者に同時投与することによって、その必要がある患者における免疫炎症性障害を治療するための方法を特徴とする。
【0067】
さらに別の関連する局面において、本発明は、糖質コルチコイド受容体調節物質を患者に投与すること;および結合体または電荷修飾抗うつ剤を患者を投与することによって、その必要がある患者に免疫炎症性障害を治療するための方法を特徴とし、ここで(i)糖質コルチコイド受容体調節物質および結合体または電荷修飾抗うつ剤は同時に投与され、ならびに(ii)結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤の非存在下における糖質コルチコイド受容体の投与、または糖質コルチコイド受容体調節物質の非存在下における結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤の投与と比較して、患者に投与される糖質コルチコイド受容体および結合体または電荷修飾抗うつ剤のそれぞれの量が、免疫炎症性障害を治療する際により有効である。
【0068】
本発明はまた、単位剤形における薬学的組成物を特徴とし、この組成物は、糖質コルチコイド受容体調節物質;および本発明の結合体または電荷修飾抗うつ剤を含み、ここで、糖質コルチコイド受容体調節物質および結合体または電荷修飾抗うつ剤は、患者に投与される際に、結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤の非存在下における糖質コルチコイド受容体の投与、または糖質コルチコイド受容体調節物質の非存在下における結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤の投与と比較して、免疫炎症性障害を治療する際により有効である。
【0069】
本発明はまた、(i)本発明の結合体または電荷修飾抗うつ剤および糖質コルチコイド受容体調節物質を含む組成物;ならびに(ii)免疫炎症性障害と診断された患者にこの組成物を投与するための説明書を含むキットを特徴とする。
【0070】
関連する局面において、本発明は、(i)本発明の結合体または電荷修飾抗うつ剤;(ii)糖質コルチコイド受容体調節物質および(iii)免疫炎症性障害と診断された患者に結合体または電荷修飾抗うつ剤および糖質コルチコイド受容体調節物質を投与するための説明書を含むキットを特徴とする。
【0071】
関連する局面において、本発明は、(i)本発明の結合体または電荷修飾抗うつ剤;および(ii)結合体または電荷修飾抗うつ剤、ならびに糖質コルチコイド受容体調節物質、小分子免疫調節物質、キサンチン、抗コリン作用性化合物、生物製剤、NSAID、DMARD、COX-2阻害剤、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、および5-アミノサリチル酸からなる群より選択される第2の化合物を、免疫炎症性障害と診断されたか、またはそれを発症するリスクがあると診断された患者に投与するための説明書を含むキットを特徴とする。
【0072】
別の局面において、本発明は、本発明の結合体または電荷修飾抗うつ剤、ならびに糖質コルチコイド受容体調節物質、NSAID、COX-2阻害剤、DMARD、生物製剤、小分子免疫調節物質、キサンチン、抗コリン作用性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、および5-アミノサリチル酸からなる群より選択される第2の化合物を含む薬学的組成物を特徴とする。
【0073】
本発明は、(i)コルチコステロイド;および(ii)コルチコイドおよび本発明の結合体または電荷修飾抗うつ剤を、免疫炎症性障害と診断されたか、またはそれを発症するリスクがあると診断された患者に投与するための説明書を含む別のキットを特徴とする。
【0074】
本発明はまた、免疫応答を調節する(例えば、炎症誘発性サイトカイン分泌もしくは産生を減少させることによる、または接着、遺伝子発現、ケモカイン分泌、MHC複合体の提示、同時刺激シグナルの提示、または他のメディエーターの細胞表面発現を調節することによる)ために有用であり得る化合物または化合物の組み合わせを同定するための方法を特徴とする。1つのこのような方法は以下の方法を含む:(a)結合体または電荷修飾抗うつ剤および候補化合物と細胞をインビトロで接触させる工程;ならびに(b)結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤とは接触されるが候補化合物とは接触されない細胞、または候補化合物とは接触されるが結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤とは接触されない細胞と比較して、結合体または電荷修飾抗うつ剤および候補化合物の組み合わせが、抗炎症性サイトカイン分泌を減少させるか否かを決定する工程を含む。炎症誘発性サイトカインの分泌または産生、接着、遺伝子発現、ケモカイン分泌、MHC複合体の提示、同時刺激シグナルの提示、または他のメディエーターの細胞表面発現の調節が、このような治療の必要がある患者を治療するために有用である組み合わせとしての組み合わせを同定する。
【0075】
別の局面において、本発明者らは、(a)免疫応答を調節する化合物を同定する工程;(b)結合体または電荷修飾抗うつ剤、および工程(a)において同定された化合物と、インビトロで増殖している細胞を接触させる工程;ならびに(c)結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤とは接触されるが工程(a)において同定された化合物とは接触されない細胞の免疫応答、または工程(a)において同定された化合物とは接触されるが結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤とは接触されない細胞の免疫応答と比較して、結合体または電荷修飾抗うつ剤および工程(a)において同定された化合物の組み合わせが免疫応答を調節するか否かを決定する工程によって、免疫炎症性障害の治療のために有用であり得る組み合わせを同定するための方法を特徴とする。免疫応答の調節(例えば、炎症誘発性サイトカインの産生または分泌の減少)は、免疫炎症性障害の治療のために有用であり得る組み合わせとしての組み合わせを同定する。
【0076】
本発明はまた、(a)結合体または電荷修飾抗うつ剤および候補化合物とインビトロで細胞を接触させること;ならびに(b)結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤とは接触されるが候補化合物とは接触されない細胞、または候補化合物とは接触されるが結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤とは接触されない細胞と比較して、結合体または電荷修飾抗うつ剤および候補化合物の組み合わせが、サイトカインを分泌するように刺激された血液細胞中のサイトカインレベルを減少させるか否かを決定する工程を含み、ここで、サイトカインレベルの減少は、このような治療の必要がある患者を治療するために有用である組み合わせとしての組み合わせを同定する。
【0077】
本発明において有用な化合物には、そのジアステレオマーおよびエナンチオマー、塩、エステル、溶媒和物、および多形体、ならびに本明細書に記載される化合物のラセミ混合物および純粋な異性体などを含む、それらの任意の薬学的に許容される型である本明細書に記載されるものが含まれる。
【0078】
本明細書に記載される方法および組成物はまた、例えば、企業における投資を増加するため、または方法および/もしくは組成物についての消費者の要求を増加させるために有用である情報を生成するために使用することができる。
【0079】
それゆえに、本発明は、本明細書に記載される薬学的組成物(例えば、本発明の品目)または治療レジメン(例えば、本発明の品目の投与)についての消費者の要求を増加させる方法を特徴とする。この方法は、薬学的組成物または治療レジメンに関する情報を広める工程を含む。
【0080】
本発明はさらに、本明細書に記載される薬学的組成物および/または治療レジメンの販売のための政府の認可を求めている企業における投資を増加する方法を特徴とする。この方法は、i)薬学的組成物または治療レジメンに関する情報を広める工程、およびii)薬学的組成物または治療レジメンを販売する企業の意向に関する情報を広める工程を含む。
【0081】
本明細書に記載される薬学的組成物についての消費者の要求は、薬学的組成物の有用性、効力、または安全性に関する情報を広めることによって増加することができる。消費者には、健康管理組織、病院、医師、および患者が含まれる。典型的には、情報は、本発明の組成物または治療レジメンの安全性についての政府の認可の前に広められる。
【0082】
本明細書に記載される薬学的組成物を販売することを計画している企業は、本発明の薬学的組成物および/または治療レジメンの販売についての政府の認可を求めている企業の意向に関する情報を広めること、および本発明の薬学的組成物および/または治療レジメンに関する情報を広めることによって、その中での投資を増加させることができる。例えば、企業は、本発明の薬学的組成物または治療レジメンの毒性、効力、または投薬の要求性に関する情報を非限定的に含む、企業によって実施されるかまたは計画されるインビボ研究に関する情報を広めることによって、投資を増加することができる。企業はまた、本発明の薬学的組成物または治療レジメンの政府の認可の計画日を広めることによって、投資を増加することができる。
【0083】
情報は、プレスリリース、公的な発表(例えば、見本市または大会における口頭またはポスターでの発表)、ウェブサイトにおけるオンライン投稿、および郵送(mailing)を非限定的に含む、種々の方法のいずれかで広めることができる。薬学的組成物または治療レジメンに関する情報には、構造、ダイアグラム、図面、化学名、一般名、商標、式、参照ラベル、または、本発明の薬学的組成物もしくは治療レジメンの同一性を人に伝える任意の他の識別子が非限定的に含まれる。
【0084】
「インビボ研究」は、非臨床的研究、例えば、毒性および効力に関するデータを収集するため、ならびに臨床研究を非限定的に含む、本発明の薬学的組成物または治療レジメンが哺乳動物に投与される任意の研究を意味する。
【0085】
「政府の認可の計画日」は、本発明の薬学的組成物または治療レジメンを、例えば、患者、医師、または病院に販売するための政府機関からの認可を、企業が受領する日付の任意の見積もりを意味する。政府の認可には、例えば、とりわけ、米国食品医薬品局(the Food and Drug Administration)による医薬品申請の認可が含まれる。
【0086】
本発明の化合物の一般的説明において、置換基中の特定の態様において、置換基中の特定の型の原子の数は、一定の範囲として、例えば、1〜4つの炭素原子を含むアルキル基、またはC1-4アルキルとして一般的に与えられる。このような範囲に関する参照は、特定の範囲内の原子の整数の各々を有する基に関する特定の参照を含むことが意図される。例えば、1〜4つの炭素原子のアルキル基は、C1、C2、C3、およびC4の各々を含む。C1-12ヘテロアルキルは、例えば、1つまたは複数のヘテロ原子に加えて、1〜12個の炭素原子を含む。原子および他の型の原子の他の数が、同様の様式で示されてもよい。
【0087】
本明細書において使用される場合、「アルキル」という用語および「アルク-」という接頭語は、直鎖と分枝鎖の両方、および環状基、すなわち、シクロアルキルを含む。環状基は単環式または多環式であり得、好ましくは、両端を含む、3〜6個の環の炭素を有する。例示的な環状基には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基が含まれる。
【0088】
「C1-4アルキル」は、1〜4つの炭素原子を有する分枝または非分枝炭化水素基を意味する。C1-4アルキル基は、置換されてもよく、または置換されなくてもよい。例示的な置換基には、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルフヒドリル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン化物基、ヒドロキシル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アミノ基、アミノアルキル基、二置換アミノ基、第四級アミノ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、およびカルボキシ基が含まれる。C1-4アルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、およびシクロブチルが非限定的に含まれる。
【0089】
「C2-4アルケニル」は、1つまたは複数の二重結合を含み、かつ2〜4つの炭素原子を有する分枝状または分枝状でない炭化水素基を意味する。C2-4アルケニルは、各環が望ましくは3〜6個のメンバーを有する単環式または多環式の環を任意に含んでもよい。C2-4アルケニル基は、置換されてもよいし、または置換されなくてもよい。例示的な置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲン化物、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、第四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシ基が含まれる。C2-4アルケニルには、ビニル、アリル、2-シクロプロピル-1-エテニル、1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル-1-プロペニル、および2-メチル-2-プロペニルが非限定的に含まれる。
【0090】
「C2-4アルキニル」は、1つまたは複数の三重結合を含み、かつ2〜4つの炭素原子を有する分枝状または分枝状でない炭化水素基を意味する。C2-4アルキニルは、各環が望ましくは5個または6個のメンバーを有する単環式、二環式、または三環式の環を任意に含んでもよい。C2-4アルキニル基は、置換されてもよいし、または置換されなくてもよい。例示的な置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲン化物、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、第四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシ基が含まれる。C2-4アルキニルには、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、および3-ブチニルが非限定的に含まれる。
【0091】
「C2-6ヘテロシクリル」は、飽和、部分的に不飽和、または不飽和(芳香族)であり、ならびに2〜6個の炭素原子、N、O、およびSから独立して選択される1、2、3または4つのヘテロ原子を含み、ならびに上記に定義した複素環のいずれかがベンゼン環に縮合されている二環式基を含む、安定な5〜7員単環式または7〜14員二環式の複素環である。ヘテロシクリル基は、置換されてもよいし、または置換されなくてもよい。例示的な置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲン化物、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、第四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシ基が含まれる。窒素および硫黄ヘテロ原子は、任意に酸化されてもよい。複素環は、安定な構造を生じる任意のヘテロ原子または炭素原子を介して共有結合されてもよく、例えば、イミダゾリニル環は、環の炭素原子の位置または窒素原子のいずれかにおいて連結されてもよい。複素環における窒素原子は、任意に、第四級化されてもよい。好ましくは、複素環中のS原子およびならびにO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接しない。ヘテロ環には、非限定的に以下が含まれる:1H-インダゾール、2-ピロリドニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、2H-ピロリル、3H-インドリル、4-ピペリドニル、4aH-カルバゾール、4H-キノリジニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダザロニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、b-カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、キサンテニル。好ましい5〜10員複素環には非限定的に以下が含まれる:ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、1H-インダゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシインドリル、ベンズオキサゾリニル、キノリニル、およびイソキノリニル。好ましい5〜6員複素環には非限定的に以下が含まれる:ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、およびテトラゾリル。
【0092】
「C6-12アリール」は、共役π電子を有する炭素原子から構成される環系を有する芳香族基(例えば、フェニル)を意味する。アリール基は6〜12個の炭素原子を有する。アリール基は、各環が望ましくは5個または6個のメンバーを有する単環式、二環式、または三環式の環を含んでもよい。アリール基は、置換されてもよいし、置換されなくてもよい。例示的な置換基には、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルフヒドリル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン化物基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノ基、アミノアルキル基、一置換アミノ、二置換アミノ、および第四級アミノ基が含まれる。
【0093】
「C7-14アルクアリール」は、7〜14個の炭素原子を有する、アリール基(例えば、ベンジル、フェネチル、または3,4-ジクロロフェネチル)によって置換されたアルキルを意味する。
【0094】
「C3-10アルクヘテロシクリル」は、1つまたは複数のヘテロ原子に加えて、3〜10個の炭素原子を有するアルキル置換複素環(例えば、3-フラニルメチル、2-フラニルメチル、3-テトラヒドロフラニルメチル、または2-テトラヒドロフラニルメチル)を意味する。
【0095】
「C1-7アルクヘテロシクリル」は、N、O、S、およびPからなる群より独立して選択される1つ、2つ、3つ、または4つのヘテロ原子に加えて、1〜7個の炭素原子を有する、分枝状または分枝状でない、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を意味する。ヘテロアルキルには、第三級アミン、第二級アミン、エーテル、チオエーテル、アミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、ヒドラゾン、イミン、ホスホジエステル、ホスホルアミデート、スルホンアミド、およびジスルフィドが非限定的に含まれる。ヘテロアルキルは、各環が望ましくは3〜6個のメンバーを有する、単環式、二環式、または三環式の環を任意に含んでもよい。ヘテロアルキル基は、置換されてもよいし、置換されなくてもよい。例示的な置換基には、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲン化物、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、第四級アミノ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシル基が含まれる。C1-7ヘテロアルキルの例には、メトキシメチルおよびエトキシエチルが非限定的に含まれる。
【0096】
「ハロゲン化物」は、臭素、塩素、ヨウ素、またはフッ素を意味する。
【0097】
「フルオロアルキル」は、フッ素原子で置換されているアルキル基を意味する。
【0098】
「パーフルオロアルキル」は、炭素原子およびフッ素原子のみからなるアルキル基を意味する。
【0099】
「カルボキシアルキル」は、式-(R)-COOHを有する化学部分を意味し、ここで、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される。
【0100】
「ヒドロキシアルキル」は、式-(R)-OHを有する化学部分を意味し、ここで、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される。
【0101】
「アルコキシ」は、式-ORの化学置換基を意味し、ここで、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される。
【0102】
「アリールオキシ」は、式-ORの化学置換基を意味し、ここで、RはC6-12アリール基である。
【0103】
「アルキルチオ」は、式-SRの化学置換基を意味し、ここで、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される。
【0104】
「アリールチオ」は、式-SRの化学置換基を意味し、ここで、RはC6-12アリール基である。
【0105】
「第四級アミノ」は、式-(R)-N(R')(R'')(R''')+の化学置換基を意味し、ここで、R、R'、R''、およびR'''は、各々独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基である。Rは、置換基としての第四級アミノ窒素を別の部分に連結するアルキル基であり得る。窒素原子Nは、アルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、および/またはアリール基の4つの炭素原子に共有結合され、窒素原子における正電荷を生じる。
【0106】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、予防目的および/または治療目的のための薬学的組成物を投与することをいう。「疾患を予防する」こととは、まだ病気ではないが、特定の疾患に対して感受性であるか、またはさもなくばそのリスクがある患者の予防的治療をいう。「疾患を治療する」こと、または「治療的処置」の使用とは、患者の状態を改善するために、すでに疾患に罹患している患者に治療を投与することをいう。従って、特許請求の範囲および態様において、治療することは、治療目的または予防目的のいずれかでの哺乳動物への投与である。
【0107】
「投与」または「投与すること」という用語は、哺乳動物に薬学的組成物の投薬量を与える方法をいい、ここで、結合体または電荷修飾抗うつ剤が、吸入、眼、非経口、皮膚、経皮、口腔、直腸、舌下、舌周辺、鼻の投与、局所投与、および経口投与から非限定的に選択される経路によって投与される。非経口投与には、静脈内、腹腔内、皮下、および筋肉内の投与が含まれる。好ましい投与の方法は、種々の要因、例えば、薬学的組成物の成分、潜在的なまたは実際の疾患の部位、および疾患の重篤度に依存して変化し得る。
【0108】
「親の抗うつ剤」は、かさ高い基もしくは電荷を有する基への転換によって修飾される抗うつ剤、または親の抗うつ剤に存在するアミン窒素の第四級アミノ基もしくはグアニジニウム基への転換によって修飾される抗うつ剤を意味する。
【0109】
本明細書で使用される場合、「電荷修飾抗うつ剤」は、アミノ窒素を有し、この窒素が第四級アミノ基またはグアニジニウム基に転換された親の抗うつ剤を意味する。望ましくは、電荷修飾抗うつ剤は、インビボで抗炎症活性、および親の抗うつ剤と比較して中枢神経系において減少した活性を有する。電荷修飾抗うつ剤は、任意の抗うつ剤活性を示すことを必要とはしない。多くの例において、それらの変化した生体内分布によって、修飾抗うつ剤は、インビボで抗うつ剤活性をほとんど示さないか、または全く示さない。
【0110】
結合体または電荷修飾抗うつ剤についての「CNS活性の減少」は、AUC血液(全血中の曲線下面積)に対するAUC(脳組織中の曲線下面積)の比率が、同じ条件下で投与された親の抗うつ剤と比較して減少していることを意味する。AUCの計算は、その任意の抗炎症活性を有する、投与された化合物および任意の代謝物を含む。
【0111】
「電荷を有する部分」は、生理的pHでプロトンを失い、それによって負に荷電する部分(例えば、カルボン酸、またはホスホジエステル)、生理的pHでプロトンを得て、それによって正に荷電する部分(例えば、アンモニウム、グアニジニウム、またはアミジニウム)、プロトン化なしで正味の形式的な正電荷を含む部分(例えば、第四級アンモニウム)、またはプロトンを失うことなしに正味の形式的な負電荷を含む部分(例えば、ホウ酸、BR4-)を意味する。
【0112】
「インビボ切断に対して抵抗性である」は、インビボで、30、20、10、5、2または1パーセント未満の投与された薬物が切断され、例えば、排出の前に、電荷を有する基またはかさ高い基から抗うつ剤を分離することを意味する。
【0113】
「十分な量」は、臨床的に関連する様式で、免疫炎症性疾患を治療または予防するために必要とされる本発明の化合物の量を意味する。免疫炎症性疾患によって引き起こされる状態、または免疫炎症性疾患に寄与する状態の治療的処置のために本発明を実施するために使用される活性化合物の十分な量は、投与の様式、患者の年齢、体重、および一般的健康に依存して変化する。最終的には、処方者が適切な量および投薬レジメンを決定する。本明細書に記載される任意の単独療法または組み合わせ治療のための適切な量は、動物モデル、インビトロアッセイ、および/または臨床モデルから決定することができる。
【0114】
「免疫炎症性障害」という用語は、自己免疫疾患、増殖性皮膚障害、および炎症性皮膚疾患を含む種々の状態を包含する。免疫炎症性障害は、炎症性プロセス、免疫系の調節不全、および望まれていない細胞の増殖による健常組織の破壊を生じる。免疫炎症性障害の例は以下である:尋常性ざ瘡;急性呼吸促迫症候群;アジソン病;アレルギー性鼻炎;アレルギー性眼内炎症疾患;ANCA-関連小血管血管炎;強直性脊椎炎;関節炎、変形性関節症;アテローム性動脈硬化症;アトピー性皮膚炎;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性肝炎;ベーチェット病;ベル麻痺;水疱性類天疱瘡;脳虚血;慢性閉塞性肺疾患;コーガン症候群;接触性皮膚炎;COPD;クローン病;クッシング症候群;皮膚筋炎;真性糖尿病;円板状エリテマトーデス;好酸球性筋膜炎;結節性紅斑;剥脱性皮膚炎;線維筋痛;巣状糸球体硬化症;巨細胞性動脈炎;痛風;痛風性関節炎;対宿主性移植片病;手湿疹;ヘノッホ-シェーンライン紫斑病;妊娠性疱疹;多毛症;特発性角膜強膜炎;突発性肺線維症;突発性血小板減少性紫斑病;炎症性腸または胃腸障害、炎症性皮膚疾患;扁平苔癬;ループス腎炎;リンパ腫気管気管支炎;重症筋無力症;筋炎;変形性関節症;膵炎;類天疱瘡妊娠症(pemphigoid gestationis);尋常性天疱瘡;結節性多発性動脈炎;ウマチ性多発性筋痛;陰嚢かゆみ症;かゆみ症/炎症、乾癬;乾癬性関節炎;再発性多発性軟骨炎;サルコイドーシスによって引き起こされる酒さ;強皮症によって引き起こされる酒さ;スイート症候群によって引き起こされる酒さ;全身性エリテマトーデスによって引き起こされる酒さ;じんま疹によって引き起こされる酒さ;帯状疱疹関連の痛みによって引き起こされる酒さ;サルコイドーシス;強皮症;分節性糸球体硬化症;敗血症性ショック症候群;肩の腱炎または滑液包炎;シェーグレン症候群;スティル病;脳卒中誘導性脳細胞死;スイート疾患;全身性エリテマトーデス;全身性硬化症;高安動脈炎;側頭動脈炎;中毒性表皮壊死症;結核;1型糖尿病;潰瘍性大腸炎;ブドウ膜炎;血管炎;およびヴェーゲナー肉芽腫症。
【0115】
「増殖性皮膚疾患」は、表皮または真皮における細胞分裂の加速によって特徴付けられる良性または悪性の疾患を意味する。増殖性皮膚疾患の例は、乾癬、アトピー性皮膚炎、非特異性皮膚炎、一次刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、皮膚の基底細胞および扁平細胞の癌腫、葉状魚鱗癬、表皮剥離性角質増殖症、前癌性角化症、座瘡、および脂漏性皮膚炎である。当業者によって認識されるように、特定の疾患、障害、または状態は、増殖性皮膚疾患と炎症性皮膚疾患の両方であるとして特徴付けられ得る。このような疾患の例は乾癬である。
【0116】
「治療すること」は、免疫炎症性疾患の治療または予防のために薬学的組成物を投与または処方することを意味する。
【0117】
「患者」は、任意の動物(例えば、ヒト)を意味する。本発明の方法、組成物、およびキットを使用して治療することができる他の動物には、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、サル、モルモット、ラット、マウス、トカゲ、ヘビ、ヒツジ、ウシ、魚類、および鳥類が含まれる。本発明の1つの態様において、本明細書に記載される治療に供される患者は、臨床的うつ病、不安またはパニック障害、妄想性/強迫性障害、アルコール依存症、摂食障害、注意欠陥障害、境界性人格障害、睡眠障害、頭痛、月経前症候群、不規則な心拍、統合失調症、ツレット症候群、または恐怖症を有さない。
【0118】
「SSRI」は、(i)中枢神経系のニューロンによるセロトニンの取り込みを阻害し、(ii)10nM以下の阻害定数(Ki)を有し、かつ(iii)ノルエピネフリンを超えたセロトニンについての100より大きな選択性(すなわち、Ki(セロトニン)を超えたKi(ノルエピネフリン)の比率)を有する、化合物のクラスの任意のメンバーを意味する。典型的には、SSRIは、抗うつ剤として使用される場合に、1日あたり10mgより大きな投薬量で投与される。本発明における使用のための例示的なSSRIは、本明細書に記載される。
【0119】
三環系抗うつ剤および関連化合物において番号付けされた位置についての本明細書において提供される任意の参照については、列挙される位置は、以下の番号付けスキームによって定義され、ここで、W1、W2、およびW3は式XIVにおいて定義されるものと同様である。

【0120】
本発明は、とりわけ、変形性関節症、関節リウマチ、および乾癬などの炎症性疾患の治療のために有用である結合体および電荷修飾抗うつ剤を特徴とする。望ましくは、本発明の化合物は、それらの親の抗うつ剤と比較して、減少したCNS活性を有する。結果として、本発明の化合物は、炎症性状態の治療のために使用することができるが、CNSの副作用を伴わない。
【0121】
「コルチコステロイド」は、水素化シクロペンタノパーハイドロ-フェナントレン環系によって特徴付けられ、免疫抑制活性および/または抗炎症活性を有する、任意の天然のまたは合成の化合物を意味する。天然のコルチコステロイドは、一般的に、副腎皮質によって産生される。合成コルチコステロイドはハロゲン化されてもよい。例示的なコルチコステロイドは本明細書に提供される。
【0122】
「非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤」または「NsIDI」は、炎症誘発性のサイトカインの産生または分泌を減少し、イムノフィリンを結合し、または炎症誘発性反応のダウンレギュレーションを引き起こす任意の非ステロイド性薬剤を意味する。NsIDIには、シクロスポリン、タクロリムス、アスコマイシン、ピメクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤、ならびにカルシニューリンのホスファターゼ活性を阻害する他の薬剤(ペプチド、ペプチドフラグメント、化学修飾ペプチド、またはペプチド模倣物)が含まれる。NsIDIには、FK506-結合タンパク質、FKBP-12に結合し、かつ白血球細胞の抗原誘導性増殖およびサイトカイン分泌をブロックする、ラパマイシン(シロリムス)およびエバロリムス(everolimus)もまた含まれる。
【0123】
「小分子免疫調節物質」は、炎症誘発性サイトカイン産生または分泌を減少し、炎症誘発性反応のダウンレギュレーションを引き起こし、またはさもなくばイムノフィリン依存性様式で免疫系を調節する、非ステロイド性、非NsIDI化合物を意味する。例示的な小分子免疫調節物質は、VX 702(Vertex Pharmaceuticals)、SCIO 469 (Scios)、ドラマピモッド(doramapimod)(Boehringer Ingelheim)、RO 30201195(Roche)、およびSCIO 323 (Scios)などのp38 MAPキナーゼ阻害剤、DPC 333(Bristol Myers Squibb)などのTACE阻害剤、プラナルカサン(pranalcasan)(Vertex Pharmaceuticals)などのICE阻害剤、ならびにミコフェノレート(mycophenolate)(Roche)およびメリメポジブ(merimepodib)(Vertex Pharamceuticals)などのIMPDH阻害剤である。
【0124】
「低投薬量」は、任意のヒトの疾患または状態の治療のための投与の所定の経路のために製剤化された特定の化合物の最低の標準的な推奨される投薬量よりも、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、50%、80%、90%、または95%さえ)少ないことを意味する。例えば、吸入による投与のために製剤化されるコルチコステロイドの低投薬量は、経口投与のために製剤化されたコルチコステロイドの低投薬量とは異なる。
【0125】
「高投薬量」は、任意のヒトの疾患または状態の治療のための特定の化合物の最高の標準的な推奨される投薬量よりも、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、50%、100%、200%、または300%さえ)少ないことを意味する。
【0126】
「中程度の投薬量」は、低投薬量と高投薬量の間の投薬量を意味する。
【0127】
「プレドニゾロンと等価である投薬量」は、所定の投薬量の結合体または電荷修飾抗うつ剤と組み合わせて、その投薬量と組み合わせたプレドニゾロンの投薬量と同じ、患者における抗炎症性効果を生じるコルチコステロイドの投薬量を意味する。
【0128】
「より有効な」は、方法、組成物、またはキットが、それが比較される別の方法、組成物またはキットよりも、より大きな効力を示し、より低毒性であり、より安全であり、より便利であり、より耐容性であり、またはより安価であり、またはより大きな治療の満足度を提供することを意味する。効力は、所定の適応症のために適切である任意の標準的な方法を使用して当業者によって測定されてもよい。
【0129】
「持続放出」または「制御放出」は、成分の治療的に有益な血液レベル(しかし毒性レベルよりも下)が、例えば、約12〜24時間の範囲の長時間にわたって維持され、従って、例えば、12時間または24時間の剤形を提供するように、治療的に活性な化合物が制御された速度で製剤から放出されることを意味する。
【0130】
「連結基」という用語は、(A)または(B)の官能基とのリンカー(L)の反応性部分の組み合わせから生じる共有結合をいう。連結基の例には、エステル、カルバメート、チオエステル、イミン、ジスルフィド、アミン、エーテル、チオエーテル、スルホンアミド、イソウレア、イソチオウレア、イミドエステル、アミジン、ホスホルアミデート、ホスホジエステル、およびチオエーテルが非限定的に含まれる。
【0131】
本明細書の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかである。
【0132】
詳細な説明
本発明は、それらの親の抗うつ剤と比較して、減少したCNS活性を有する末梢性に作用する結合体または電荷修飾抗うつ剤を特徴とする。本明細書に記載される結合体は、3つの特徴的な成分を有する:かさ高いまたは電荷を有する基に、リンカーを介して、共有結合的につながれた化合物である。本明細書に記載される電荷修飾抗うつ剤は、電荷を含むように構造的に修飾された抗うつ剤である。
【0133】
抗うつ剤
血液脳関門の通過を阻害するために修飾することができる化合物には、三環系抗うつ剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、およびセロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤が非限定的に含まれる。本明細書の方法および組成物において有用な抗うつ剤の構造は以下に提供される。これらは、CNS活性の減少を達成するために、本明細書に記載されるように修飾することができる親の抗うつ剤の構造的な例である。本発明の結合体は、抗うつ剤中に存在する利用可能な官能基(例えば、アミノ基またはヒドロキシル基)の修飾によって調製されてもよい。または、アルキル基は、かさ高い基もしくは電荷を有する基との結合、または第四級アミノ基もしくはグアニジニウム基への化学転換のいずれかの前に、例えば、第一級または第二級のアミンを形成するために、親の抗うつ剤から除去することができる。
【0134】
三環系抗うつ剤(TCA)
TCAは下記式(XIV)を有する抗うつ剤化合物である。

式(XIV)において、W3はO、CHCH2R5、またはC=CHR5であり;W1-W2はOCHR11、SCHR11、N=CR11、CHR10-CHR11、またはCR10=CR11であり;R1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、およびR9の各々は、H、OH、およびハロゲン化物であり;R5はCH2CH2X1またはCH(CH3)CH2X1から独立して選択され;R10はHまたはOHであり;R11はH、OH、または基

であり;X1はNH2、NHCH3、N(CH3)2;およびX2はNHまたはNCH3である。
【0135】
例示的な三環系抗うつ剤には以下が含まれる:アモキサピン、8-ヒドロキシアモキサピン、7-ヒドロキシアモキサピン、ロキサピン、8-ヒドロキシロキサピン、アミトリプチリン、10-ヒドロキシアミトリプチリン(EおよびZ異性体)、3-ヒドロキシアミトリプチリン、2-ヒドロキシアミトリプチリン、クロミプラミン、8-ヒドロキシクロミプラミン、11-ヒドロキシクロミプラミン、8-ヒドロキシデスメチル(hydroxydesmethhyl)クロミプラミン、ジデスメチルクロミプラミンおよび2-ヒドロキシデスメチルクロミプラミン、ドキセピン、2-ヒドロキシドキセピン、7-ヒドロキシドキセピン、8-ヒドロキシドキセピン、9-ヒドロキシドキセピン、イミプラミン、2-ヒドロキシイミプラミン、トリミプラミン、デシプラミン、2-ヒドロキシデシプラミン、ノルトリプチリン、1-ヒドロキシノルトリプチリン(EおよびZ異性体)、10-ヒドロキシノルトリプチリン(EおよびZ異性体)、2-ヒドロキシプロトリプチリン(hydroxyprotripyline)、およびプロトリプチリン。これらの化合物のいくつかの構造を以下に提供する。



【0136】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
SSRIには、セリクラミン、シタロプラム、クロボキサミン、シアノドチエピン、ダポキセチン、エスシタロプラム、フェモキセチン、フルオキセチン、フルボキサミン、イホキセチン、インダルピン、インデロキサジン、リトキセチン、パロキセチン、セルトラリン、タメトラリン、ビクアリン、およびジメルジンが含まれる。


【0137】
セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)
SNRIにはミルナシプラム、ベンラファキシンおよびデュロキセチンが含まれる。

【0138】
リンカー
本発明のリンカー成分は、その最も単純なものにおいて、成分と、かさ高いかまたは電荷を有する基との間の結合である。リンカーは、かさ高いかまたは電荷を有する基に化合物を共有結合的に連結するペンダント基を有する、直鎖状、環状、または分枝状の分枝骨格を提供する。
【0139】
従って、かさ高いかまたは電荷を有する基に化合物を連結することは、化合物、およびかさ高いかまたは電荷を有する基に位置する1つまたは複数の官能基との結合形成を含む、共有結合的手段によって達成される。この目的のために利用されてもよい化学的に反応性の官能基の例には、アミノ基、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、カルボキシル基、カルボニル基、炭水化物基、近接するジオール基、チオエステル基、2-アミノアルコール基、2-アミノチオール基、グアニジニル基、イミダゾリル基、およびフェノール基が非限定的に含まれる。
【0140】
化合物、およびかさ高いかまたは電荷を有する基の共有結合的連結は、化合物、およびかさ高いかまたは電荷を有する基に存在するこのような官能基との反応が可能である反応性部分を含むリンカーを使用してもたらされてもよい。例えば、化合物のアミン部分は、リンカーまたはその活性化誘導体と反応してもよく、この2つを連結するアミドの形成を生じる。
【0141】
スルフヒドリル基との反応が可能である部分の例には、Gurd, Methods Enzymol. 11:532 (1967)によって記載されるように、スルフヒドリル基についての特定の反応性を示すが、イミダゾリル、チオエステル、フェノール、およびアミノ基を修飾するために使用することもできる、XCH2CO-(ここで、X=Br、ClまたはIである)型のα-ハロアセチル化合物を含む。N-マレイミドもまた、スルフヒドリル基に対して選択性であると見なされるが、しかし特定の条件下でアミノ基にカップリングする際にさらに有用である可能性がある。アミノ基の転換を通してチオール基を導入する2-アミノチオラン(Traut et al., Biochemistry 12:3266 (1973))などの試薬は、ジスルフィド架橋の形成を通して連結が起こる場合に、スルフヒドリル試薬と見なされてもよい。
【0142】
アミノ基との反応が可能である反応性部分の例には、例えば、アルキル化剤およびアシル化剤が含まれる。代表的なアルキル化剤には以下が含まれる:
(i)α-ハロアセチル化合物、これは、例えば、Wong Biochemistry 24:5337(1979)によって記載されるように、反応性チオール基の非存在下でアミノ基に対して特異性を示し、かつXCH2CO-(ここで、X=Cl、BrまたはIである)型である;
(ii)N-マレイミド、これは、例えば、Smyth et al., J. Am. Chem. Soc. 82:4600(1960)およびBiochem. J. 91:589 (1964)によって記載されるように、マイケル(Michael)型反応を通して、または環のカルボニル基への付加によるアシル化を通してのいずれかで、アミノ基と反応することができる;
(iii)反応性ニトロハロ芳香族化合物などのアシルハライド;
(iv)例えば、McKenzie et al., J. Protein Chem. 7:581(1988)によって記載されているようなハロゲン化アルキル;
(v)アミノ基とのシッフ塩基形成が可能であるアルデヒドおよびケトン、この形成した付加物は、通常、還元を通して安定化され、安定なアミンを与える;
(vi)エピクロロヒドリンおよびビスオキシランなどのエポキシド誘導体、これは、アミノ、スルフヒドリル、またはフェノール性ヒドロキシル基と反応し得る;
(vii)s-トリアジンの塩素含有誘導体、これは、アミノ、スルフヒドリル、およびヒドロキシル基などの求核基に対して非常に反応性である;
(viii)例えば、Ross, J. Adv. Cancer Res. 2:1(1954)によって記載されるような、上記に詳述されるs-トリアジン化合物に基づくアジリジン、これは、開環によって、アミノ基などの求核基と反応する;
(ix)Tietze, Chem. Ber. 124:1215(1991)によって記載されるような、スクアリン酸ジエチルエステル;ならびに
(x)Benneche et al., Eur. J. Med. Chem. 28:463(1993)によって記載されるような、α-ハロアルキルエーテル、これは、エーテル酸素原子によって引き起こされる活性化のために、通常のハロゲン化アルキルよりもより反応性のアルキル化剤である。
【0143】
代表的なアミノ反応性アシル化剤には以下が含まれる:
(i)イソシアネートおよびイソチオシアネート、特に、芳香族性誘導体、これは、安定な尿素およびチオ尿素誘導体をそれぞれ形成する;
(ii)塩化スルホニル、これは、Herzig et al., Biopolymers 2:349 (1964)によって記載されている;
(iii)酸ハロゲン化物;
(iv)ニトロフェニルエステルまたはN-ヒドロキシスクシニミジルエステルなどの活性エステル;
(v)混合の、対称的な、またはN-カルボキシ無水物などの酸無水物;
(vi)例えば、M. Bodansky, Principles of Peptide Synthesis, Springer- Verlag, 1984によって記載されるような、アミド結合形成のための他の有用な試薬;
(vii)Wetz et al., Anal. Biochem. 58:347(1974)によって記載されるような、アシルアジド、例えば、アジド基が、亜硝酸ナトリウムを使用してあらかじめ形成したヒドラジド誘導体から生成されるもの;および
(viii)例えば、Hunter and Ludwig, J. Am. Chem. Soc. 84:3491 (1962)によって記載されるような、アミノ基との反応に際して安定なアミジンを形成するイミドエステル。
【0144】
アルデヒドおよびケトンは、アミンと反応させてシッフ塩基を形成してもよく、これは、還元的アミン化を通して有利に安定化されてもよい。例えば、Webb et al., Bioconjugate Chem. 1:96 (1990)によって記載されるように、アルコキシアミノ部分はケトンおよびアルデヒドと容易に反応して、安定なアルコキシアミンを産生する。
【0145】
カルボキシル基との反応が可能である反応性部分の例には、ジアゾアセテートエステルおよびジアゾアセトアミドなどのジアゾ化合物が含まれ、これは、例えば、Herriot, Adv. Protein Chem. 3:169 (1947)によって記載されるように、高い特異性で反応してエステル基を生成する。O-アシル尿素形成、続いてアミド結合形成を通して反応する、カルボジイミドなどのカルボキシル修飾試薬もまた、利用されてもよい。
【0146】
化合物中の官能基および/またはかさ高いもしくは電荷を有する基が、所望される場合、例えば、さらなる反応性または選択性を付与するために、反応の前に他の官能基に転換されてもよいことが認識される。子の目的のために有用な方法の例には、ジカルボン酸無水物などの試薬を使用する、カルボキシルへのアミンの転換;N-アセチルホモシステイン チオラクトン、S-アセチルメルカプトコハク酸無水物、2-イミノチオラン、またはチオール含有スクシニミジル誘導体などの試薬を使用する、チオールへのアミンの転換;α-ハロアセテートなどの試薬を使用する、カルボキシルへのチオールの転換;エチレンイミンまたは2-ブロモエチルアミンなどの試薬を使用する、アミンへのチオールの転換;カルボジイミド、続いてジアミンなどの試薬を使用する、アミンへのカルボキシルの転換;ならびに塩化トシルなどの試薬を使用し、続いてチオ酢酸を用いるトランスエステル化、および酢酸ナトリウムを用いるチオールへの加水分解を行う、チオールへのアルコールの転換。
【0147】
さらなる連結物質を導入することなく、かさ高い基または電荷を有する基の反応性化学基と、抗うつ剤の反応性化学基の直接的な共有結合的な結合を含む、いわゆるゼロ長さリンカーが、所望される場合、本発明に従って使用されてもよい。例えば、抗うつ剤のアミノ基は、スルファミン酸基(R-NH-S(O)2(OH))に転換することができる。スルファミン酸誘導体は、生理学的pHにおいてアニオンである。
【0148】
しかし、最も一般的には、リンカーは、スペーサーエレメントによって接続される、上記のような2つ以上の反応性部分を含む。このようなスペーサーの存在は、二官能性リンカーが抗うつ剤中の特定の官能基およびかさ高いまたは電荷を有する基と反応することを許容し、2つの間の共有結合的連結を生じる。リンカー中の反応性部分は、同じであるか(ホモ二官能性リンカー)または異なっていてもよく(ヘテロ二官能性リンカー、または、いくつかの同じでない反応性部分が存在する場合、ヘテロ多官能性リンカー)、抗うつ剤と、かさ高いまたは電荷を有する基との間の共有結合をもたらし得る多様な潜在的な試薬を提供する。
【0149】
リンカー中のスペーサーは、典型的には、直鎖または分枝鎖からなり、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-10ヘテロアルキルを含んでもよい。
【0150】
いくつかの場合において、リンカーは下記式(VII)によって記述される。
G1-(Z1)O-(Y1)u-(Z2)s-(R30)-(Z3)t-(Y2)v-(Z4)p-G2 (VII)
【0151】
式(VII)において、G1は化合物とリンカーの間の連結基中の結合であり;G2はリンカーとかさ高い基の間、またはリンカーと、電荷を有する基の間の結合であり;Z1、Z2、Z3、およびZ4は、各々独立して、O、S、および NR31から選択され;R31は水素、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルであり;Y1およびY2は、各々独立して、カルボニル、チオカルボニル、スルホニル、またはホスホリルから選択され;o、p、s、t、u、およびvは、各々独立して、0または1であり;ならびにR30は、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-10ヘテロアルキル、またはG1-(Z1)o-(Y1)u-(Z2)s-を-(Z3)t-(Y2)v-(Z4)p-G2に連結する化学結合である。
【0152】
かさ高い基
かさ高い基の機能は、血液脳関門の通過を阻害するために十分に化合物のサイズを増加させることである。血液脳関門の化合物の通過を阻害することが可能であるかさ高い基には、300、400、500、600、700、800、900、または1000ダルトンより大きな分子量を有するものが含まれる。望ましくは、これらの基は、親の化合物の窒素原子を通して結合される。
【0153】
コルチコステロイド
かさ高い基はコルチコステロイドを含んでもよい。例示的なコルチコステロイドには、ヒドロコルチゾン、ブデソニド、ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、およびベータメタゾンが非限定的に含まれる。いくつかのコルチコステロイドの構造を以下に提供する。コルチコステロイドに結合された化合物は、親のコルチコステロイド中に存在する利用可能な官能基の修飾によって調製することができる。典型的には、コルチコステロイドは、コルチコステロイドの利用可能なヒドロキシル基を介してリンカーに結合される。または、アシル基または環状アセタール基は、化合物への結合の前に親のコルチコステロイドから除去することができる。従って、本明細書に記載されるものに構造的に関連するコルチコステロイドは、本発明の方法および組成物においてかさ高い基として利用することができる。

【0154】
かさ高い基はまた電荷を有してもよい。例えば、かさ高い基には、ポリ-アルギニン(グアニジニウム側鎖)、ポリ-リジン(アンモニウム側鎖)、ポリ-アスパラギン酸(カルボン酸側鎖)、ポリ-グルタミン酸(カルボン酸側鎖)、またはポリ-ヒスチジン(イミダゾリウム側鎖)などの電荷を有するポリペプチドが非限定的に含まれる。電荷を有する例示的なポリサッカリドはヒアルロン酸である(以下を参照されたい)。

【0155】
望ましくは、結合体の細胞取り込みを増強するかさ高い基が選択される。例えば、特定のペプチドは、原形質膜を横切っての細胞への能動的な移行を可能にする(例えば、RKKRRQRRR、Tat(49-57)ペプチド)。細胞取り込みを促進する例示的なペプチドは、例えば、参照により本明細書に組み入れられるWender et al., Natl. Acad. Sci. USA 97:13003 (2000)およびLaurent et al., FEBS Lett. 443:61(1999)によって開示されている。細胞取り込みを容易にする、電荷を有するかさ高い基の例は、以下に示される、ポリグアニジンペプトイド(N-hxg)9である。9個のグアニジン側鎖の各々は、生理学的pHにおいて電荷を有するグアニジニウムカチオンである。

【0156】
電荷を有する基
電荷を有する基の機能は、血液脳関門の通過を阻害するために十分に化合物の電荷を変化させることである。望ましくは、電荷を有する基は、親の化合物の窒素原子を通して結合される。
【0157】
電荷を有する基は、カチオン性またはアニオン性である。電荷を有する基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の負に荷電した部分、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の正に荷電した部分を含む。電荷を有する部分には、カルボン酸、ホスホジエステル、ホスホルアミデート、ホウ酸、リン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、スルホン酸、硫酸、チオレート、フェノラート、アンモニウム、アミジニウム、グアニジニウム、第四級アンモニウム、およびイミダゾリウムの部分が非限定的に含まれる。例えば、アンモニウム基は、モルホリン環中などで、生理学的pHにおいてプロトン化される任意のアミンであり得る。
【0158】
結合体
本発明の結合体は、大部分がインビボで接触したままであるように設計され、細胞内または細胞外の酵素(例えば、アミダーゼ、エステラーゼ、およびホスファターゼ)による切断に抵抗性である。結合体の任意のインビボ切断は親の化合物を産生し、この化合物に対する中枢神経系の不必要かつ潜在的に有害な曝露を生じる。従って、本発明の結合体はプロドラッグではないが、しかし、それらの結合型で免疫炎症性障害に対して治療的に活性であり得、それらの親の、結合体でない化合物と比較して、改善された治療的指標を生じる。
【0159】
結合体は、下記式(XV)-(XXI)のいずれか1つによってさらに記述することができる。


【0160】
式(XV)-(XXI)において、R7およびR8の各々は、HおよびOHから独立して選択され;R23、R24、R25、およびR26の各々は、HおよびCH3から独立して選択される。Lは、上記のように、式(VII)のリンカーである。Bは、上記のように、かさ高い基または電荷を有する基である。
【0161】
結合体は、当業者によく知られている技術を使用して調製することができる。この結合体は、例えば、G. Hermanson, Bioconjugate Techniques, Academic Press, Inc., 1996、ならびに米国特許第2,779,775号、同第2,932,657号、同第4,472,392号、同第4,609,496号、同第4,820,700号、同第4,948,533号、同第4,950,659号、同第5,063,222号、同第5,215,979号、同第5,482,934号、同第5,939,409号、および同第6,140,308号において開示される方法を使用して調製することができ、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる。さらなる合成の詳細は、実施例において提供される。
【0162】
電荷修飾抗うつ剤
本発明の電荷修飾抗うつ剤はプロドラッグではないが、しかし、それらの電荷修飾型で免疫炎症性障害に対して治療的に活性であり得、それらの親の、非修飾の化合物と比較して、改善された治療的指標を生じる。
【0163】
電荷修飾抗うつ剤には下記式(XXII)-(XXXI)の化合物が含まれる。


【0164】
式(XXII)-(XXXI)において、R1、R7、R8およびR10の各々は、HおよびOHから独立して選択され;R14、R15、R16、R21、およびR22の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;R17はHまたはCH3であり;ならびにR18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。R18およびR19が2つの窒素原子を有する複素環を形成する場合、得られるグアニジウム基は、望ましくは、

から選択され、ここで、R20はHまたはCH3である。望ましくは、R18およびR19は合わせて、2〜4つの炭素原子のアルキレンまたはアルケニレン、例えば、5員環、6員環、および7員環の環系を形成する。このような環系は、例えば、Schlama et al., J. Org. Chem., 62:4200(1997)によって開示される方法を使用して調製することができる。
【0165】
本明細書に記載される任意の抗うつ剤は、親の抗うつ剤と比較して、減少したCNS活性を有する電荷修飾抗うつ剤を形成するために、上記のように修飾することができる。
【0166】
電荷修飾抗うつ剤は、当業者によく知られている技術を使用して調製することができる。これらの修飾は、例えば、J. March, Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure, John Wiley & Sons, Inc., 1992, page 617によって記載される技術を使用して、親の抗うつ剤のアルキル化によって作製することができる。アミノ基のグアニジン基への転換は、標準的な合成プロトコールを使用して達成することができる。例えば、Mosherは、アミンとのアミノイミノメタンスルホン酸の反応によって、一置換グアニジンを調製するための一般的方法を記載している(Kim et al., Tetrahedron Lett. 29:3183 (1988))。第一級アミンおよび第二級アミンのグアニル化のためのより便利な方法は、1H-ピラゾール-1-カルボキサミジン塩酸塩;1-H-ピラゾール-1-(N,N'-ビス(tert-ブトキシカルボニル)カルボキサミジン;または1-H-ピラゾール-1-(N,N'-ビス(ベンジルオキシカルボニル)カルボキサミジンを利用して、Bernatowiczによって開発された。これらの試薬は、アミンと反応して一置換グアニジンを与える(Bernatowicz et al., J. Org. Chem. 57:2497 (1992);およびBernatowicz et al., Tetrahedron Lett. 34:3389 (1993)を参照されたい)。加えて、チオ尿素およびS-アルキル-イソチオ尿素は、置換グアニジンの合成における有用な中間体であることが示されてきた(Poss et al., Tetrahedron Lett. 33:5933 (1992))。さらなる合成の詳細は実施例において提供される。
【0167】
アッセイ
本発明の化合物は、それらの治療活性を評価するために、標準的なインビボモデルまたは動物モデルを使用してアッセイすることができる。これらのアッセイは、現在文献に記載されており、当業者にはよく知られている。これらのいくつかは以下および実施例に説明される。
【0168】
本発明の化合物は、2003年9月24日に出願され、参照により本明細書に組み入れられるU.S.S.N. 10/670,488に記載されるように、未処理の刺激された白血球細胞と比較して、刺激された白血球細胞からのIFNγ、IL-1β、IL-2、およびTNFαの分泌を抑制する能力、ならびにサイトカイン分泌の阻害パーセントについて試験することができる。
【0169】
結合体の生体内分布は、オートラジオグラフィーによって測定することができる(実施例9を参照されたい)。
【0170】
治療
結合体および電荷修飾抗うつ剤は、炎症および免疫応答を減少させるために、局所的にまたは全身に投与することができる。これらは、例えば、アナフィラキシー反応を治療するために、緊急時には高用量で全身的に使用することができる。これらは、関節炎を含む炎症性疾患を治療するために、より低用量で使用することができる。
【0171】
治療用製剤は、液体の溶液または懸濁液の型であってもよい;経口投与のために、製剤は、錠剤またはカプセルの型であってもよい;眼投与のために、製剤は、点眼剤の型であってもよい;局所投与のために、製剤は、クリームまたはローションの型であってもよい;および鼻内投与のために、散剤、鼻ドロップ、またはエアロゾルの型である。
【0172】
製剤を作製するための当技術分野において周知である方法は、例えば、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」(20th ed., ed. A.R. Gennaro, 2000, Lippincott Williams & Wilkins)において見い出される。非経口投与のための製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水もしくは滅菌生理食塩水、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、植物起源のオイル、または水素化ナフタレンを含んでもよい。生体適合性、生物分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーが、化合物の放出を制御するために使用されてもよい。ナノ粒子製剤(例えば、生物分解性ナノ粒子、固体液体ナノ粒子、リポソーム)は、化合物の生体内分布を制御するために使用されてもよい。他の潜在的に有用な非経口送達系には、エチレン酢酸ビニルコポリマー分子、浸透圧ポンプ、移植可能な注入系、およびリポソームが含まれる。吸入のための製剤は、賦形剤、例えば、ラクトースを含んでもよく、または例えば、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリコール酸およびデオキシコール酸を含む水溶液であってもよく、または鼻ドロップの型で、もしくはゲルとしての投与のための油性溶液であってもよい。製剤中の化合物の濃度は、投与される薬物の投薬量、および投与の経路を含む多数の要因に依存して変化する。
【0173】
結合体および電荷修飾抗うつ剤は、製薬業界において一般的に使用される非毒性酸付加塩または金属などの薬学的に許容される塩として任意に投与されてもよい。酸付加塩の例には以下が含まれる:酢酸、乳酸、パモン酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸など;タンニン酸、カルボキシメチルセルロースなどのポリマー酸;および塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸。金属錯体には、亜鉛、鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウムなどが含まれる。
【0174】
制御放出製剤中の結合体および電荷修飾抗うつ剤の投与は、式Iの化合物が、(i)狭い治療指標(例えば、有害な副作用または毒性反応に導く血漿濃度と、治療効果に導く血漿濃度との間の差異が小さい;一般的に、治療指標TIは、メジアン有効用量(ED50)に対するメジアン致死用量(LD50)の比率として定義される);(ii)胃腸管における狭い吸収ウィンドウ;または(iii)短い生物学的半減期を有し、その結果、1日の間の頻繁な投薬が、治療レベルにある血漿レベルを持続するために必要とされる場合に有用である。
【0175】
多くのストラテジーを、結合体または電荷修飾抗うつ剤の制御放出を得るために探求することが可能である。例えば、制御放出は、例えば、適切な制御放出組成物およびコーティングを含む、製剤パラメーターおよび成分の適切な選択によって得ることができる。例には、単回または複数単位の錠剤またはカプセル組成物、オイル溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、およびリポソームが含まれる。
【0176】
経口使用のための製剤には、非毒性の薬学的に許容される賦形剤とともに、混合物中に活性成分を含む錠剤が含まれる。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤または増量剤(例えば、スクロースおよびソルビトール)、潤滑剤、流動促進剤、および付着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素化植物油、またはタルク)であってもよい。
【0177】
経口使用のための製剤はまた、チュアブル錠剤として、または活性成分が不活性固体希釈剤と混合されるハードゼラチンカプセルとして、または活性成分が水もしくは油媒体と混合されるソフトゼラチンカプセルとして提供されてもよい。
【0178】
本発明は、免疫炎症性障害、増殖性皮膚疾患、臓器移植拒絶、または対宿主移植片病を治療するための手段として免疫応答を調節するための方法を特徴とする。
【0179】
組み合わせ治療
本発明は、免疫炎症性障害、増殖性皮膚疾患、臓器移植拒絶、または対宿主移植片病を治療するための手段として免疫応答を調節するための方法を特徴とする。サイトカイン分泌の抑制は、結合体または電荷修飾抗うつ剤を1つまたは複数のステロイドと組み合わせることによって達成することができる。さらなる治療は以下に説明される。
【0180】
慢性閉塞性肺疾患
1つの態様において、本発明の方法、組成物、およびキットは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のための使用される。所望される場合、COPDを治療するために典型的に使用される1つまたは複数の薬剤が、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるコルチコステロイドの代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。このような薬剤には、キサンチン(例えば、テオフィリン)、抗コリン作用性化合物(例えば、イプラトロピウム、チオトロピウム)、生物製剤、小分子免疫調節物質、およびベータ受容体アゴニスト/気管支拡張剤(bronchdilator)(例えば、硫酸イブテロール、ビトルテロール メシラート、エピネフリン、フマル酸フォルモテロール、イソプロテロノール(isoproteronol)、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロール(pirbuterol scetate)、キシナホ酸サルメテロール、およびテルブタリン)が含まれる。従って、1つの態様において、本発明は、結合体または電荷修飾抗うつ剤および気管支拡張剤の組み合わせ、ならびにそれを用いてCOPDを治療する方法を特徴とする。
【0181】
乾癬
本発明の方法、組成物、およびキットは、乾癬の治療のために使用されてもよい。所望される場合、乾癬を治療するために典型的に使用される1つまたは複数の抗乾癬薬剤が、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるコルチコステロイドの代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。このような薬剤には以下が含まれる:生物製剤(例えば、アレファセプト、インフリキシマブ、アデリムマブ、エファリズマブ、エタナーセプト(etanercept)、およびCDP-870)、小分子免疫調節物質(例えば、VX 702、SCIO 469、ドラマピモッド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、ミコフェノール酸、およびメリメポジブ)、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、およびISAtx247)、ビタミンDアナログ(例えば、カルシポトリエン、カルシポトリオール)、ソラレン(例えば、メトキシサレン)、レチノイド(例えば、アシトレチン、タゾレテン)、DMARD(例えば、メトトレキサート)、およびアントラリン。従って、1つの態様において、本発明は、結合体または電荷修飾抗うつ剤および抗乾癬剤の組み合わせ、ならびにそれを用いて乾癬を治療する方法を特徴とする。
【0182】
炎症性腸疾患
本発明の方法、組成物、およびキットは、炎症性腸疾患の治療のために使用されてもよい。所望される場合、炎症性腸疾患を治療するために典型的に使用される1つまたは複数の薬剤が、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるコルチコステロイドの代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。このような薬剤には以下が含まれる:生物製剤(例えば、インフリキシマブ、アデリムマブ、およびCDP-870)、小分子免疫調節物質(例えば、VX 702、SCIO 469、ドラマピモッド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、ミコフェノール酸、およびメリメポジブ)、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、およびISAtx247)、5-アミノサリチル酸(例えば、メサラミン、スルファサラジン、バルサラジド二ナトリウム、およびオルサラジンナトリウム)、DMARD(例えば、メトトレキサートおよびアザチオプリン)、およびアロセトロン。従って、1つの態様において、本発明は、結合体または電荷修飾抗うつ剤および前述の薬剤のいずれかの組み合わせ、ならびにそれを用いて炎症性腸疾患を治療する方法を特徴とする。
【0183】
関節リウマチ
本発明の方法、組成物、およびキットは、関節リウマチの治療のために使用されてもよい。所望される場合、関節リウマチを治療するために典型的に使用される1つまたは複数の薬剤が、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるコルチコステロイドの代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。このような薬剤には以下が含まれる:NSAID(例えば、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサルチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサレート)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダク、およびトルメチン)、COX-2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、およびルミラコキシブ)、生物製剤(例えば、インフリキシマブ、アデリムマブ、エタナーセプト、CDP-870、リツキシマブ、およびアトリズマブ)、小分子免疫調節物質(例えば、VX 702、SCIO 469、ドラマピモッド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、ミコフェノール酸、およびメリメポジブ)、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、およびISAtx247)、5-アミノサリチル酸(例えば、メサラミン、スルファサラジン、バルサラジド二ナトリウム、およびオルサラジンナトリウム)、DMARD(例えば、メトトレキサート、レフルノミド、ミノサイクリン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、アウロチオグルコース、およびアザチオプリン)、硫酸ヒドロキシクロロキン、およびペニシラミン。従って、1つの態様において、本発明は、前述の薬剤のいずれかとの、結合体または電荷修飾抗うつ剤の組み合わせ、およびそれを用いて関節リウマチを治療する方法を特徴とする。
【0184】
喘息
本発明の方法、組成物、およびキットは、喘息の治療のために使用されてもよい。所望される場合、喘息を治療するために典型的に使用される1つまたは複数の薬剤が、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるコルチコステロイドの代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。このような薬剤には以下が含まれる:ベータ2アゴニスト/気管支拡張剤/ロイコトリエン修飾剤(例えば、ザフィルルカスト、モンテルカスト、およびジレウトン)、生物製剤(例えば、オマリズマブ)、小分子免疫調節物質、抗コリン作用性化合物、キサンチン、エフェドリン、グアイフェネシン、クロモリンナトリウム、ネドクロミルナトリウム、およびヨウ化カリウム。従って、1つの態様において、本発明は、本発明は、結合体または電荷修飾抗うつ剤および前述の薬剤のいずれかの組み合わせ、ならびにそれを用いて喘息を治療する方法を特徴とする。
【0185】
コルチコステロイド
所望される場合、1つまたは複数のコルチコステロイドが、本発明の方法において投与されてもよく、または本発明の組成物中で結合体または電荷修飾抗うつ剤とともに製剤化されてもよい。適切なコルチコステロイドには以下が含まれる:11-α,17-α,21-トリヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;11-β, 16-α, 17,21-テトラヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;11-β, 16-α, 17,21-テトラヒドロキシプレグン-1,4-ジエン-3,20-ジオン;11-β,17-α,21-トリヒドロキシ-6-α-メチルプレグン-4-エン-3,20-ジオン;11-デヒドロコルチコステロン;11-デオキシコルチゾール;11-ヒドロキシ-1,4-アンドロスタジエン-3,17-ジオン;11-ケトテストステロン;14-ヒドロキシアンドロスト-4-エン-3,6,17-トリオン;15,17-ジヒドロキシプロゲステロン;16-メチルヒドロコルチゾン;17,21-ジヒドロキシ-16-α-メチルプレグナ-1,4.9(11)-トリエン-3,20-ジオン;17-α-ヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;17-α-ヒドロキシプレグネノロン;17-ヒドロキシ-16-β-メチル-5-β-プレグン-9(11)-エン-3,20-ジオン;17-ヒドロキシ-4,6,8(14)-プレグナトリエン-3,20-ジオン;17-ヒドロキシプレグナ-4,9(11)-ジエン-3,20-ジオン;18-ヒドロキシコルチコステロン;18-ヒドロキシコルチゾン;18-オキソコルチゾール;21-アセトキシプレグネノロン;21-デオキシアルドステロン;21-デオキシコルチゾン;2-デオキシエクジソン;2-メチルコルチゾン;3-デヒドロエクジソン;4-プレグネ-17-α,20-β, 21-トリオール-3,11-ジオン;6,17,20-トリヒドロキシプレグン-4-エン-3-オン;6-α-ヒドロキシコルチゾール;6-α-フルオロプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン 21-アセテート、6-α-メチルプレドニゾロン 21-ヘミコハク酸ナトリウム塩、6-β-ヒドロキシコルチゾール、6-α, 9-α-ジフルオロプレドニゾロン 21-アセテート 17-ブチレート、6-ヒドロキシコルチコステロン;6-ヒドロキシデキサメタゾン;6-ヒドロキシプレドニゾロン;9-フルオロコルチゾン;アルクロメタゾン ジプロピオネート;アルドステロン;アルゲストン;アルファダーム;アマジノン;アムシノニド;アナゲストン;アンドロステンジオン;アネコルテーブアセテート(anecortave acetate);ベクロメタゾン;ジプロピオン酸ベクロメタゾン; ベータメタゾン 17-バレレート;酢酸ベータメタゾンナトリウム;リン酸ベータメタゾンナトリウム;ベータメタゾンバレレート;ボラステロン;ブデソニド;カルステロン;クロルマジノン;クロルプレドニゾン;クロルプレドニゾンアセテート;コレステロール;シクレソニド;クロベタゾール;プロピオン酸クロベタゾール;クロベタゾン;クロコルトロン;クロコルトロン ピバレート;クロゲストン;クロプレドノール;コルチコステロン;コルチゾール;コルチゾール アセテート;コルチゾール ブチレート;コルチゾール シピオネート;コルチゾール オクタノエート;リン酸コルチゾールナトリウム;コハク酸コルチゾールナトリウム;コルチゾール バレレート;コルチゾン;コルチゾンアセテート;コルチバゾール;コルトドキソン;ダツラオロン;デフラザコート、21-デオキシコルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン;デルマジノン;デオキシコルチコステロン;デプロドン;デスシノロン(descinolone);デソニド;デソキシメタゾン;デキサフェン;デキサメタゾン;デキサメタゾン21-アセテート;デキサメタゾン アセテート;リン酸デキサメタゾンナトリウム;ジクロリゾン;ジフロラゾン;ジフロラゾン ジアセテート;ジフルコルトロン;ジフルプレドネート;ジヒドロエラテリシン a;ドモプレドネート;ドキシベタゾール;エクジソン;エクジステロン;エモキソロン;エンドリゾン;エノキソロン;フルアザコート;フルシノロン;フルクロロニド;フルドロコルチゾン;フルドロコルチゾン アセテート;フルゲストン;フルメタゾン;フルメタゾン ピバレート;フルモキソニド;フルニソリド;フルオシノロン;フルオシノロン アセトニド;フルオシノニド;フルオコルチン ブチルl;9-フルオロコルチゾン;フルオコルトロン;フルオロヒドロキシアンドロステンジオン;フルオロメトロン;フルオロメトロン アセテート;フルオキシメステロン;フルペロロン アセテート;フルプレドニデン;フルプレドニゾロン;フルアンドレノリド;フルチカゾン;プロピオン酸フルチカゾン;フォルメボロン;フォルメスタン;フォルモコルタール;ゲストノロン;グリデリニン;ハルシノニド;プロピオン酸ヘロベータゾール;ハロメタゾン;ハロプレドン;ハロプロゲステロン;ヒドロコルタメート;ヒドロコルチゾン シピオネート(hydrocortiosone cypionate);ヒドロコルチゾン;ヒドロコルチゾン21-ブチレート;ヒドロコルチゾン アセポネート;ヒドロコルチゾン アセテート;ヒドロコルチゾン ブテプレート;ヒドロコルチゾン ブチレート;ヒドロコルチゾン シピオネート;ヒドロコルチゾン ヘクスクシネート;ヒドロコルチゾン プロブテート;リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム;コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム;ヒドロコルチゾン バレレート;ヒドロキシプロゲステロン;イノコステロン;イソフルプレドン;イソフルプレドン アセテート;イソプレドニデン;ロテプレドノール エタボネート;メクロリゾン;メコルトロン;メドロゲストン;メドロキシプロゲステロン;メドリゾン;メガストロール;メガストロール アセテート;メレンゲストロール;メプレドニゾン;メタアンドロステノロン;メチルプレドニゾロン; メチルプレドニゾロン アセポネート; メチルプレドニゾロン アセテート; メチルプレドニゾロン ヘミスクシネート;コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム;メチルテストステロン;メトリボロン;モメタゾン;モメタゾン フロエート;モメタゾン フロエート一水和物;ニソン(nisone);ノメゲストロール;ノルゲストメット;ノルビニステロン;オキシメステロン;パラメタゾン;パラメタゾン アセテート;ポナステロン;プレドニカルベート;プレドニソラメート;プレドニゾロン;プレドニゾロン 21-ジエチルアミノアセテート;プレドニゾロン 21-ヘミスクシネート;プレドニゾロン アセテート;プレドニゾロン ファルネシレート;プレドニゾロン ヘミスクシネート;プレドニゾロン-21(β-D-グルクロニド);プレドニゾロン メタスルホベンゾエート;リン酸プレドニゾロンナトリウム;プレドニゾロン ステアグレート;プレドニゾロン テブテート;プレドニゾロン テトラヒドロフタレート;プレドニゾン;プレドニバール(prednival);プレドニリデン;プレグネノロン;プロシノニド;トラロニド;プロゲステロン;プロメゲストン;ラポンチステロン;リメキソロン;ロキシボロン;ルブロステロン;スチゾフィリン;チキソコルトール(tixocortol);トプテロン(topterone);トリアムシノロン;トリアムシノロン アセトニド;トリアムシノロン アセトニド 21-パルミテート;トリアムシノロン ベネトニド;トリアムシノロン ジアセテート;トリアムシノロン ヘキサアセトニド;トリメゲストン;ターケステロン(turkesterone);およびワートマニン(wortmannin)。
【0186】
種々のステロイド/疾患の組み合わせのための標準的な推奨投薬量は、以下の表1に提供される。
【0187】
(表1)標準的な推奨されるコルチコステロイド投薬量

コルチコステロイドについての他の標準的な投薬量は、例えば、the Merck Manual of Diagnosis & Therapy (17th Ed. MH Beers et al., Merck & Co.)およびPhysicians' Desk Reference 2003 (57th Ed. Medical Economics Staff et al., Medical Economics Co., 2002)において提供される。1つの態様において、投与されるコルチコステロイドの投薬量は、本明細書に定義されるようなプレドニゾロンの投薬量と等価な投薬量である。例えば、低投薬量のコルチコステロイドは、低用量のプレドニゾロンと等価な投薬量と見なされてもよい。
【0188】
ステロイド受容体調節物質
ステロイド受容体調節物質(例えば、アンタゴニストおよびアゴニスト)は、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるコルチコステロイドの代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。従って、1つの態様において、本発明は、結合体または電荷修飾抗うつ剤および糖質コルチコイド受容体調節物質または他のステロイド受容体調節物質の組み合わせ、ならびにそれを用いて炎症性腸疾患を治療する方法を特徴とする。
【0189】
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて使用されてもよい糖質コルチコイド受容体調節物質は、以下に記載される化合物を含む:米国特許第6,380,207号、同第6,380,223号、同第6,448,405号、同第6,506,766号、および同第6,570,020号、米国特許公開第2003/0176478号、同第2003/0171585号、同第2003/0120081号、同第2003/0073703号、同第2002/015631号、同第2002/0147336号、同第2002/0107235号、同第2002/0103217号、および同第2001/0041802号、ならびにPCT公開第WO00/66522号。これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる。本発明の方法、組成物、およびキットにおいてまた使用されてもよい他のステロイド受容体調節物質は、米国特許第6,093,821号、同第6,121,450号、同第5,994,544号、同第5,696,133号、同第5,696,127号、同第5,693,647号、同第5,693,646号、同第5,688,810号、同第5,688,808号、および同第5,696,130号に記載され、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる。
【0190】
他の化合物
本発明の方法、組成物、およびキットにおけるコルチコステロイドの代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい他の化合物は以下である:A-348441(Karo Bio)、副腎皮質抽出物(GlaxoSmithKline)、アルサクチド(alsactide)(Aventis)、アメブコート(Schering AG)、アメロメタゾン(Taisho)、ATSA(Pfizer)、ビトルテロール(Elan)、CBP-2011(InKine Pharmaceutical)、セバラセタム(Novartis)、CGP- 13774(Kissei)、シクレソニド(Altana)、シクロメタゾン(Aventis)、酪酸クロベタゾン(GlaxoSmithKline)、クロプレドノール(Hoffmann-La Roche)、コリスマイシン A (Kirin)、ククルビタシンE(NIH)、デフラザコート(Aventis)、プロピオン酸デプロドン(SSP)、デキサメタゾン アセフレート(Schering-Plough)、リノール酸デキサメタゾン(GlaxoSmithKline)、吉草酸デキサメタゾン(Abbott)、ジフルプレドナート(Pfizer)、ドモプレドナート(domoprednate)(Hoffmann-La Roche)、エビラチド(ebiratide)(Aventis)、エチプレドノール ジクロアセテート(etiprednol dicloacetate)(IVAX)、フルアザコート(fluazacort)(Vicuron)、フルモキソニド(flumoxonide)(Hoffmann-La Roche)、フルオコルチン ブチル(Schering AG)、フルオコルトロン一水和物(Schering AG)、GR-250495X(GlaxoSmithKline)、ハロメタゾン(Novartis)、ハロプレドン(Dainippon)、HYC-141(Fidia)、イコメタゾン エンブテート(icomethasone enbutate)(Hovione)、イトロシノニド(itrocinonide)(AstraZeneca)、L-6485(Vicuron)、Lipocort(Draxis Health)、ロシコルトン(locicortone)(Aventis)、メクロリゾン(Schering- Plough)、ナフロコート(Bristol-Myers Squibb)、NCX-1015(NicOx)、NCX-1020(NicOx)、NCX-1022(NicOx)、ニココルトニド(Yamanouchi)、NIK-236(Nikken Chemicals)、NS-126(SSP)、Org-2766(Akzo Nobel)、Org-6632(Akzo Nobel)、P16CM、プロピルメステロロン(Schering AG)、RGH-1113(Gedeon Richter)、ロフレポニド(AstraZeneca)、パルミチン酸ロフレポニド(AstraZeneca)、RPR-106541(Aventis)、RU-26559(Aventis)、Sch-19457(Schering-Plough)、T25(Matrix Therapeutics)、TBI-PAB(Sigma-Tau)、プロピオン酸チカベソン(ticabesone propionate)(Hoffmann-La Roche)、チフルアダム(tifluadom)(Solvay)、チモベゾン(Hoffmann-La Roche)、TSC-5(Takeda)、およびZK-73634(Schering AG)。
【0191】
非ステロイド性抗炎症薬物(NSAID)
所望される場合、本発明の結合体または電荷修飾抗うつ剤は、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサルチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサレート)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダク、およびトルメチンなどの1つまたは複数の抗炎症薬物(NSAID)とともに投与されてもよい。NSAIDとの、結合体または電荷修飾抗うつ剤の組み合わせは、免疫炎症性疾患、特に、TNFα、IL-1、IL-2またはIFN-γの治療のために、いずれかの薬剤単独よりもより有効であり得る。
【0192】
商標名アスピリンによってもまた知られているアセチルサリチル酸は、頭痛ならびに筋肉および関節の痛みの軽減において有用である。アスピリンは、熱、炎症、および腫れを減少させる際に有効であり、従って、関節リウマチ、リウマチ熱、および軽度の感染の治療のために使用されてきた。従って、1つの局面において、結合体または電荷修飾抗うつ剤、およびアセチルサリチル酸(アスピリン)またはそのアナログの組み合わせもまた、上記に言及される任意の疾患の治療または予防を増強するために投与することができる。
【0193】
NSAIDは、本願において記載される組み合わせの任意の1つとともに投与されてもよい。例えば、免疫炎症性障害に罹患している患者は、最初に、結合体または電荷修飾抗うつ剤およびコルチコステロイドの組み合わせを用いて治療され、次いで、上記の組み合わせとともに、アセチルサリチル酸などのNSAIDを用いて治療されてもよい。
【0194】
アセチルサリチル酸の投薬量は当業者に公知であり、一般的には、1日あたり約70mg〜約350mgの範囲である。より低用量またはより高用量のアスピリンが必要とされる場合、ジピリダモールおよびアスピリンを含む製剤は、0〜25mg、25〜50mg、50〜70mg、70〜75mg、75〜80mg、80〜85mg、85〜90mg、90〜95mg、95〜100mg、100〜150mg、150〜160mg、160〜250mg、250〜300mg、300〜350mg、または350〜1000mgのアスピリンを含んでもよい。
【0195】
本発明の組み合わせがNSAIDとともに治療のために使用される場合、NSAID(例えば、アセチルサリチル酸)または結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤を単独で投与することによるか、あるいはNSAID(例えば、アセチルサリチル酸)および結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤の組み合わせを投与することによるのと同じ効果を達成することが必要とされる投薬量よりの下の点まで、個々の成分の投薬量を減少させることが可能であり得る。
【0196】
1つの局面において、結合体または電荷修飾抗うつ剤およびNSAIDを含む組成物は、結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤またはNSAID単独を有する組成物と比較して、免疫炎症性障害に罹患しているか、またはそのリスクがある患者の治療の有効性、安全性、耐容性、または満足度を増加させた。
【0197】
非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤
1つの態様において、本発明は、結合体または電荷修飾抗うつ剤および非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(NsIDI)を利用し、任意に、コルチコステロイドまたは本明細書に記載される他の薬剤を伴う、方法、組成物、およびキットを特徴とする。
【0198】
健常個体において、免疫系は、正常細胞を無傷のままにしながら、感染性微生物および異常な細胞を標的とするために、B細胞およびT細胞などの細胞エフェクターを使用する。自己免疫障害または移植臓器を有する個体においては、活性化T細胞は健常組織を損傷させる。カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス)およびラパマイシンは、T細胞を含む多くの型の免疫調節細胞を標的とし、臓器移植および自己免疫障害における免疫応答を抑制する。
【0199】
1つの態様において、NsIDIはシクロスポリンであり、1日あたり、キログラムあたりで、0.05から50ミリグラムの間の量で投与される(例えば、経口的には、1日あたり、キログラムあたり0.1から12ミリグラムの間の量)。別の態様において、NsIDIはタクロリムスであり、1日あたり、キログラムあたりで、0.0001から20ミリグラムの間の量で投与される(例えば、経口的には、1日あたり、キログラムあたり0.01から0.2ミリグラムの間の量)。別の態様において、NsIDIはラパマイシンであり、1日あたり、0.1から502ミリグラムの間の量で投与される(例えば、6mg/日の単回負荷用量、続いて2mg/日の維持用量)。別の態様において、NsIDIはエバロリムスであり、0.75〜8mg/日の投薬量で投与される。なお他の態様において、NsIDIはピメクロリムスであり、1日あたり、0.1から200ミリグラムの間の量で投与され(例えば、アトピー性皮膚炎を治療するために、1%クリーム/1日2回、または乾癬の治療のために1日に60mg)、またはNsIDIはカルシニューリン結合ペプチドであり、患者を治療するために十分な量および頻度で投与される。2種以上のNsIDIは同時に投与することができる。
【0200】
シクロスポリン
シクロスポリンは、免疫抑制剤として作用する環状オリゴペプチドのクラスを含む真菌の代謝物である。シクロスポリンAは、11個のアミノ酸からなる疎水性環状ポリペプチドである。これは、細胞内受容体シクロフィリンに結合し、これと複合体を形成する。このシクロスポリン/シクロフィリン複合体は、Ca2+-カルモジュリン依存性セリン-スレオニン特異的タンパク質ホスファターゼであるカルシニューリンに結合し、これを阻害する。カルシニューリンは、T細胞活性化のために必要とされるシグナル伝達事象を媒介する(Schreiber et al., Cell 70:365-368, 1991において概説されている)。シクロスポリンならびにそれらの機能的および構造的アナログは、抗原によって引き起こされるシグナル伝達を阻害することによって、T細胞依存性免疫応答を抑制する。この阻害は、IL-2などの炎症誘発性サイトカインの発現を減少させる。
【0201】
多くの異なるシクロスポリン(例えば、シクロスポリンA、B、C、D、E、F、G、H、およびI)が真菌によって産生される。シクロスポリンAは、ノバルティスから商品名ネオーラルで市販されている。シクロスポリンAの構造的および機能的なアナログには、1つまたは複数のフッ化アミノ酸を有するシクロスポリン(例えば、米国特許第5,227,467号に記載されている);修飾アミノ酸を有するシクロスポリン(例えば、米国特許第5,122,511号および同第4,798,823号に記載されている);および重水素化シクロスポリン、例えば、ISAtx247(米国特許出願公開第2002/0132763 Al号に記載されている)が含まれる。さらなるシクロスポリンアナログは、米国特許第6,136,357号、同第4,384,996号、同第5,284,826号、および同第5,709,797号に記載されている。シクロスポリンアナログには以下が含まれるがこれらに限定されない:D-Sar(α-SMe)3 Val2-DH-Cs(209-825)、Allo-Thr-2-Cs、ノルバリン-2-Cs、D-Ala(3-アセチルアミノ)-8-Cs、Thr-2-Cs、およびD-MeSer-3-Cs、D-Ser(O-CH2CH2-OH)-8-Cs、およびD-Ser-8-Cs。これらは、Cruz et al. (Antimicrob. Agents Chemother. 44:143-149, 2000)に記載されている。
【0202】
シクロスポリンは高度に疎水性であり、水の存在下で容易に沈殿する(例えば、体液との接触の際に)。改善された生物学的利用能を有するシクロスポリン製剤を提供する方法は、米国特許第4,388,307号、同第6,468,968号、同第5,051,402号、同第5,342,625号、同第5,977,066号、および同第6,022,852号に記載されている。シクロスポリンマイクロエマルジョン組成物は、米国特許第5,866,159号、同第5,916,589号、同第5,962,014号、同第5,962,017号、同第6,007,840号、および同第6,024,978号に記載されている。
【0203】
シクロスポリンは、静脈内または経口的のいずれかで投与することができるが、経口投与が好ましい。シクロスポリンAの疎水性を克服するために、静脈内シクロスポリンAは、エタノール-ポリオキシエチル化キャスターオイル媒体中で提供されてもよく、これは投与の前に希釈されなければならない。シクロスポリンAは、例えば、25mgまたは100mgの錠剤中のマイクロエマルジョンとして、または100mg/ml経口溶液(ネオーラル)中で提供されてもよい。
【0204】
典型的には、経口シクロスポリンの患者の投薬量は、患者の状態に従って変化するが、いくつかの標準的な推奨投薬量が本明細書で提供される。臓器移植を受けている患者は、典型的には、12から15mg/kg/日の間の量の経口シクロスポリンAの初期用量を受ける。次いで、投薬量は、7〜12mg/kg/日の維持用量に達するまで、週あたり5%、徐々に減少させる。静脈内投与のために、2〜6mg/kg/日が大部分の患者のために好ましい。クローン病または潰瘍性大腸炎を有すると診断された患者については、6〜8mg/kg/日の投薬量が一般的に与えられる。全身性エリテマトーデスを有すると診断された患者については、2.2〜6.0mg/kg/日の投薬量が一般的に与えられる。乾癬または関節リウマチについては、0.5〜4mg/kg/日の投薬量が典型的である。提案される投薬スケジュールは表2に示される。他の有用な投薬量には、0.5〜5mg/kg/日、5〜10mg/kg/日、10〜15mg/kg/日、15〜20mg/kg/日、または20〜25mg/kg/日が含まれる。しばしば、シクロスポリンは、糖質コルチコイドなどの他の免疫抑制剤と組み合わせて投与される。
【0205】
(表2)

表の説明
CsA=シクロスポリンA
RA=関節リウマチ
UC=潰瘍性大腸炎
SLE=全身性エリテマトーデス
【0206】
タクロリムス
タクロリムス(FK506)は、T細胞細胞内シグナル伝達経路を標的とする免疫抑制剤である。タクロリムスは、シクロフィリンには構造的には関連しない細胞内タンパク質、FK506結合タンパク質(FKBP-12)に結合する(Harding et al. Nature 341:758-7601, 1989;Siekienka et al. Nature 341:755-757, 1989;およびSoltoff et al., J. Biol. Chem. 267:17472-17477, 1992)。FKBP/FK506複合体は、カルシニューリンに結合し、カルシニューリンのホスファターゼ活性を阻害する。この阻害は、炎症誘発性サイトカイン(例えば、IL-2、γインターフェロン)産生およびT細胞活性化のために必要とされる遺伝子転写を開始する核成分である、活性化T細胞の核因子(NFAT)の脱リン酸化および核移行を妨害する。従って、タクロリムスはT細胞活性化を阻害する。
【0207】
タクロリムスは、ストレプトマイセス ツクバエンシス(Streptomyces tsukubaensis)によって産生されるマクロライド系抗生物質である。これは、免疫系を抑制し、移植臓器の生存を延長する。これは、現在、経口製剤および注射用製剤中で利用可能である。タクロリムスカプセルは、ゼラチンカプセルシェル中に0.5mg、1mg、または5mgの無水タクロリムスを含む。注射用製剤は、注射の前に0.9%塩化ナトリウムまたは5%デキストロースで希釈される、キャスターオイルおよびアルコール中の5mg無水タクロリムスを含む。経口投与が好ましいが、経口カプセルを摂取不可能な患者は、注射用タクロリムスを受容してもよい。移植の6時間後すぐに、初期用量が連続的静脈内注入によって投与されるべきである。
【0208】
タクロリムスおよびタクロリムスアナログは、Tanaka et al.,(J. Am. Chem. Soc, 109:5031, 1987)および米国特許第4,894,366号、同第4,929,611号、および同第4,956,352号によって記載されている。FR-900520、FR-900523、およびFR-900525を含むFK506-関連化合物は、米国特許第5,254,562号に記載されている;O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニルマクロライドは、米国特許第5,250,678号、同第532,248号、同第5,693,648号に記載されている;アミノO-アリールマクロライドは、米国特許第5,262,533号に記載されている;アルキリデンマクロライドは米国特許第5,284,840号に記載されている;N-ヘテロアリール、N-アルキルヘテロアリール、N-アルケニルヘテロアリール、およびN-アルキニルヘテロアリールマクロライドは、米国特許第5,208,241号に記載されている;アミノマクロライドおよびその誘導体は米国特許第5,208,228号に記載されている;フルオロマクロライドは米国特許第5,189,042号に記載されている;アミノO-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニルマクロライドは、米国特許第5,162,334号に記載されている;ならびにハロマクロライドは米国特許第5,143,918号に記載されている。
【0209】
提案された投薬量は患者の状態とともに変化するが、標準的な推奨投薬量が以下に提供される。典型的には、クローン病または潰瘍性大腸炎を有すると診断された患者は、0.1〜0.2mg/kg/日の経口タクロリムスを投与される。臓器移植された患者は、典型的には、0.1〜0.2mg/kg/日の経口タクロリムスを受容する。関節リウマチについて治療される患者は、典型的には、1〜3mg/日の経口タクロリムスを受容する。乾癬の治療のために、0.01〜0.15mg/kg/日の経口タクロリムスが患者に投与される。アトピー性皮膚炎は、患部に0.03〜0.1%タクロリムスを有するクリームを適用することによって、1日に2回治療することができる。経口タクロリムスカプセルを受容する患者は、典型的には、移植の6時間後すぐに最初の用量を受容し、または静脈内タクロリムス注入の8〜12時間後に中断する。他の提案されるタクロリムス投薬量には、0.005〜0.01mg/kg/日、0.01〜0.03mg/kg/日、0.03〜0.05mg/kg/日、0.05-0.07mg/kg/日、0.07〜0.10mg/kg/日、0.10〜0.25mg/kg/日、または0.25〜0.5mg/kg/日が含まれる。
【0210】
タクロリムスは、混合機能のオキシダーゼ系によって、特に、シトクロムP-450系によって広範に代謝される。代謝の最初の機構は脱メチル化および水酸化である。種々のタクロリムス代謝物は免疫抑制的な生物学的活性を示すようであるが、13-デメチル代謝物は、タクロリムスと同じ活性を有することが報告されている。
【0211】
ピメクロリムス
ピメクロリムスは、マクロラクタム アスコミインの33-エピ-クロロ誘導体である。ピメクロリムスの構造的および機能的アナログは、米国特許第6,384,073号に記載されている。ピメクロリムスは、アトピー性皮膚炎の治療のために特に有用である。ピメクロリムスは、1%クリームとして現在利用されている。ピメクロリムスのために提案されるスケジュールは表2に示される。個々の投薬は患者の状態とともに変化するが、いくつかの標準的な投薬量が以下に提供される。経口ピメクロリムスは、乾癬または関節リウマチの治療のために、40〜60mg/日の量で与えることができる。クローン病または潰瘍性大腸炎の治療のために、80〜160mg/日の量のピメクロリムスを与えることができる。臓器移植を受けた患者は、160〜240mg/日のピメクロリムスを投与することができる。全身性エリテマトーデスを有すると診断された患者は、40〜120mg/日のピメクロリムスを投与することができる。ピメクロリムスの他の有用な投薬量には、0.5〜5mg/日、5〜10mg/日、10〜30mg/日、40〜80mg/日、80〜120mg/日、または120〜200mg/日さえもが含まれる。
【0212】
ラパマイシン
ラパマイシンは、ストレプトマイセス ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)によって産生される環状ラクトンである。ラパマイシンは、T細胞活性化および増殖を阻害する免疫抑制剤である。シクロスポリンおよびタクロリムスと同様に、ラパマイシンは、イムノフィリンFKBP-12と複合体を形成するが、ラパマイシン-FKBP-12複合体は、カルシニューリンホスファターゼ活性を示さない。ラパマイシンイムノフィリン複合体は、ラパマイシンの哺乳動物キナーゼ標的(mTOR)に結合し、これを阻害する。mTORは、細胞周期の進行のために必要とされるキナーゼである。mTORキナーゼ活性の阻害は、T細胞活性化および炎症誘発性サイトカイン分泌をブロックする。
【0213】
ラパマイシンの構造的および機能的アナログには以下が含まれる:モノアシル化およびジアシル化ラパマイシン誘導体(米国特許第4,316,885号);ラパマイシン水溶性プロドラッグ(米国特許第4,650,803号);カルボン酸エステル(PCT公開第WO 92/05179号);カルバミン酸(米国特許第5,118,678号);アミドエステル(米国特許第5,118,678号);ビオチンエステル(米国特許第5,504,091号);フッ化エステル(5,100,883);アセタール(米国特許第5,151,413号);シリルエーテル(米国特許第5,120,842号);二環式誘導体(米国特許第5,120,725号);ラパマイシンダイマー(米国特許第5,120,727号);O-アリール、O-アルキル、O-アルケニルおよびO-アルキニル誘導体(米国特許第5,258,389号);ならびに重水素化ラパマイシン(米国特許第6,503,921号)。さらなるラパマイシンアナログは、米国特許第5,202,332号および同第5,169,851号に記載されている。
【0214】
ラパマイシンは、現在、液体製剤および錠剤製剤での投与のために利用可能である。RAPAMUNE液剤は、投与の前に水またはオレンジジュースで希釈される1mg/mLラパマイシンを含む。1mgまたは2mgのラパマイシンを含む錠剤もまた利用可能である。ラパマイシンは、移植後できるだけ早く、毎日1回与えられる。これは、経口投与後に、迅速かつ完全に吸収される。典型的には、患者のラパマイシンの投薬量は患者の状態に従って変化するが、しかし、いくつかの標準的な推奨投薬量が以下に提供される。ラパマイシンについての初期の負荷用量は6mgである。0.5〜2mg/日の引き続く維持用量が典型的である。または、3mg、5mg、10mg、15mg、20mg、または25mgの負荷用量が、1日あたり1mg、3mg、5mg、7mg、または10mgの維持用量とともに使用することができる。40kg未満の体重の患者において、ラパマイシンの投薬量は、典型的には、体表面積に基づいて調整される;一般的に、3mg/m2/日の負荷用量および1mg/m2/日の維持用量が使用される。
【0215】
さらなる適用
本発明の化合物は、他の組み合わせ、または単独の薬剤が、その例が本明細書に記載される当技術分野において一般的に公知であるアッセイを使用して、炎症誘発性サイトカインの分泌もしくは産生を阻害するか、または免疫応答を調節する組み合わせと同程度に有効であるか否かを決定するために、免疫調節アッセイまたは機構的アッセイにおいて利用することができる。例えば、候補化合物は、結合体もしくは電荷修飾抗うつ剤またはコルチコステロイドと組み合わせてもよく、刺激されたPBMCに適用されてもよい。適切な時間後、細胞はサイトカインの分泌もしくは産生について、または他の適切な免疫応答について調べられる。互いに対する、および単独の薬剤に対する組み合わせの相対的な効果が比較され、有効な化合物および組み合わせが同定される。
【0216】
本発明の組み合わせはまた、炎症に関与する生物学的経路に関する機構の情報を説明する際の有用なツールである。このような情報は、炎症誘発性サイトカインによって引き起こされる炎症を阻害するための新規な組み合わせまたは単独の薬剤の開発に導くことができる。生物学的経路を決定するための当技術分野において公知の方法は、炎症誘発性サイトカインを産生するように刺激された細胞を、本発明の化合物と接触させることによって影響を受けた経路、または経路のネットワークを決定するために使用することができる。このような方法は、未処理の、陽性の、もしくは陰性の対照化合物、ならびに/または新規な単独の薬剤および組み合わせと比較して、本発明の化合物との接触後に発現または抑制された細胞成分を分析すること、あるいは酵素活性、栄養の取り込み、および増殖などのいくつかの他の細胞の代謝活性を分析することを含むことができる。分析される細胞成分には、遺伝子転写物およびタンパク質発現を含めることができる。適切な方法は、標準的な生化学技術、本発明の化合物を放射性標識すること(例えば、14Cまたは3H標識)、および2dゲル、遺伝子発現プロフィールを使用して、タンパク質に結合する化合物を観察することを含むことができる。一旦同定されると、このような化合物は、ツールとさらに確証するため、または新規な抗炎症剤を開発するために、インビボモデルにおいて使用することができる。
【0217】
以下の実施例は、本明細書において特許請求される方法および化合物がいかにして実施され、作製され、および評価されるかの完全な開示および説明を当業者に提供するために示され、純粋に本発明の例示であることが意図され、そして本発明者らが我々の発明と見なしているものの範囲を限定することを意図しない。
【0218】
実施例1:反応基の保護および脱保護
結合体および電荷修飾抗うつ剤の合成は、親の抗うつ剤、リンカー、かさ高い基、および/または電荷を有する基のアルコール、アミン、ケトン、スルフヒドリル、またはカルボキシル官能基の選択的保護および脱保護を含んでもよい。例えば、アミンのために一般的に使用される保護基には、tert-ブチル、ベンジル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、9-フルオレニルメチル、アリル、およびm-ニトロフェニルなどのカルバミン酸が含まれる。アミンのための他の一般的に使用される保護基には、ホルムアミド、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、スルホンアミド、トリフルオロメタンスルホニルアミド、トリメチルシリルエタンスルホンアミド、およびtert-ブチルスルホニルアミドなどのアミドが含まれる。カルボキシルのために一般的に使用される保護基の例には、メチル、エチル、tert-ブチル、9-フルオレニルメチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、ベンジル、ジフェニルメチル、O-ニトロベンジル、オルト-エステル、およびハロ-エステルなどのエステルが含まれる。アルコールのための一般的に使用される保護基の例には、メチル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、テトラヒドロピラニル、エトキシエチル、ベンジル、2-ナフチルメチル、O-ニトロベンジル、P-ニトロベンジル、P-メトキシベンジル、9-フェニルキサンチル、トリチル(メトキシトリチルを含む)、およびシリルエーテルなどのエーテルが含まれる。スルフヒドリルのための一般的に使用される保護基の例には、ヒドロキシルのために使用されるのと同じ保護基の多くが含まれる。加えて、スルフヒドリルは、還元型(例えば、ジスルフィドとして)または酸化型(例えば、スルホン酸、スルホンエステル、またはスルホンアミドとして)で保護することができる。保護基は、選択的条件(例えば、酸性条件、塩基性条件、求核試薬による触媒作用、ルイス酸による触媒作用、または水素化)が、各々を除去するために必要とされ、分子中の他の保護基を除外するように選択することができる。アミン、アルコール、スルフヒドリル、およびカルボキシル官能基への保護基の付加のために必要とされる条件、ならびにそれらの除去のために必要とされる条件は、T.W. Green and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis (2nd Ed.), John Wiley & Sons, 1991およびP.J. Kocienski, Protecting Groups, Georg Thieme Verlag, 1994において詳細に提供されている。
【0219】
実施例2:水酸化三環系抗うつ剤の調製
三環系抗うつ剤の選択的水酸化は、利用可能な方法使用して酵素的に達成することができる。例えば、クロミプラミン、Nielsen et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 277:1659 (1996)を参照されたい;アミトリプチリン、Zhang et al., Drug Metab. Dispos. 23:1417(1995)を参照されたい;ドキセピン、Moody et al., Drug Metab. Dispos. 27:1157 (1999)を参照されたい;およびアモキサピン、Moody et al., Appl. Environ. Microbiol. 66:3646 (2000)を参照されたい;の水酸化のためのインビトロ方法が記載されている。三環系抗うつ剤は、例えば、カニンガメラ エレガンス(Cunninghamella elegans)、肝ミクロソーム、またはP450酵素、例えば、CYP3A4 (Research Diagnostics, Inc., 製品番号RDI-CYP3A4)の存在下でインキュベートすることができる。得られる水酸化生成物の混合物はHPLCを使用して分離することができる。または、水酸化三環系抗うつ剤は、例えば、実施例3に記載されるように、合成的に調製することができる。
【0220】
実施例3:8-ヒドロキシアモキサピンの調製
8-ヒドロキシアモキサピンは、スキーム1に示すように合成することができる。

【0221】
実施例4:第四級化アミンを含む電荷修飾抗うつ剤の調製
電荷修飾抗うつ剤は、スキーム2に示すように、親の抗うつ剤のアミン窒素のアルキル化によって調製することができる。

【0222】
本明細書に記載される任意の抗うつ剤は、スキーム2に示すように修飾することができる。
【0223】
実施例5:グアニジン基を含む電荷修飾抗うつ剤の調製
親の抗うつ剤は、スキーム3に示すように、シアナミド(cynamide)、例えば、メチルシアナミドと反応させることができる。または、親の抗うつ剤は、スキーム4に示すように、臭化シアンと反応させることができ、続いて、メチルクロロアルミニウムアミドと反応させることができる。


【0224】
本明細書に記載される任意の抗うつ剤は、スキーム3および4に示すように修飾することができる。
【0225】
実施例5:アニオン基に結合された化合物の調製
アモキサピンおよび8-ヒドロキシアモキサピンについて、それぞれ、化合物は、スキーム5および6に示すように、アニオン基、例えば、カルボン酸に結合することができる。


【0226】
本明細書に記載される任意の抗うつ剤は、スキーム5および6に示すように修飾することができる。
【0227】
実施例6:カチオン基に結合された化合物の調製
化合物は、スキーム7に示すように、カチオン基、例えば、モルホリンに結合することができる。

【0228】
本明細書に記載される任意の抗うつ剤は、スキーム7に示すように修飾することができる。
【0229】
実施例7:かさ高い基に結合された化合物の調製
化合物は、スキーム8および9に示すように、かさ高い基、例えば、PEGに結合することができる。
【0230】
パロキセチンは、スキーム4に示すように、モノ-メチルポリエチレングリコール5,000プロピオン酸N-スクシニミジルエステル(Fluka, 製品番号85969)に結合することができる。以下に示すように、得られるmPEG結合体は、かさ高い、電荷を有さない基に結合された化合物の例である。

【0231】
より低いおよびより高い分子量のmPEG化合物の結合体は同様の様式で調製することができる。
【0232】
スキーム9の化学は、RO-CH2-Clで略記されるPEG基が、利用可能なヒドロキシル基のアルキル化を経由して結合されることを可能にする。得られるエーテル結合はインビボ分解に対して抵抗性である。

【0233】
本明細書に記載される任意の抗うつ剤は、スキーム8および9に示すように修飾することができる。
【0234】
実施例8:コルチコステロイド結合体の調製
化合物は、スキーム10に示すように、かさ高い基、例えば、コルチコステロイドに結合することができる。

【0235】
本明細書に記載される任意の抗うつ剤は、スキーム10に示すように修飾することができる。21-メタンスルホン酸プレドニゾロンは、米国特許第2,932,657号に記載されるような方法に従って調製することができる。
【0236】
実施例9:オートラジオグラフィー
本発明の化合物の生体内分布は、インビボオートラジオグラフィーによって評価することができる。インビボオートラジオグラフィーは、副腎摘出した雄性Sprague-Dawleyラットにおいて、3H-標識結合体または3H-標識電荷修飾抗うつ剤を使用して実施することができる。最初に、結合体または電荷修飾抗うつ剤を放射能標識し、副腎摘出した雄性Sprague-Dawleyラットに全身投与し、および動物を屠殺する。次いで、脳を迅速に取り出し、10〜μm厚切片にスライスし、およびスライドに装着した。スライドをトリチウム感光性フィルムと並置し、これを現像する。
【0237】
実施例9:リポポリサッカリド(LPS)誘導性腫瘍壊死因子α(TNFα)
本研究の目的は、雄性Lewisラットに投与した際に、リポポリサッカリド(LPS)誘導性腫瘍壊死因子α(TNFα)レベルを抑制する化合物1の能力を調べることであった。
【0238】
化合物1は、100%エタノールに直接的に加えた。この懸濁液を、すべての化合物1が完全に溶解するか、または十分に懸濁するまで激しくボルテックスした。この溶液を0.5%メチルセルロース中で体積を調節した。エタノールの最終濃度は10%であった。
【0239】
-2時間の時点で、経口胃管栄養法により、ラットに適切な量のプレドニゾロンおよび/または化合物1を、0.25mLの用量で投与した。未処理対照動物およびLPS対照動物は、0.25mLの媒体のみを受容した。
【0240】
LPSは、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中での再懸濁によって100×濃度で調製した。LPS溶液は、LPSの完全な懸濁を保証するために激しくボルテックスした。注射の直前に、LPSは、PBS中で1×作用溶液まで段階希釈した。
【0241】
時間0の時点で、動物に1.0mLの1×LPS作用溶液を腹腔内経路を経由して、25ゲージ針を使用して注射した(最終LPS用量は0.01mg/Kg体重)。媒体対照動物は1mLのPBSを受容した。
【0242】
動物は二酸化炭素窒息を介して安楽死させ、3mLシリンジに装着した27ゲージ針を使用して、下大静脈から血液を引き出した。血液を、Clot Activator (Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ)を含む血清分離チューブに放出させた。試料を室温で30分間静置し、その後、卓上遠心機で、室温にて2000rpm、10分間遠心分離した。血清をエッペンドルフチューブに移し、TNFαについてすぐにアッセイし、またはアッセイするまで-80℃で保存した。
【0243】
血清試料を、製造業者の説明書に従ってBioSourceラットTNFαELISAキットを使用してアッセイした。
【0244】
結果の評価は、処理群と対照群の間の血清TNFαの違いの統計学的分析を含んだ。群平均は一元ANOVAを使用して比較した。ANOVAが有意であった場合、p≦0.05では、多重比較検定(Tukey-Kramer)を使用して、どの群が異なるかを決定した。結果を以下の表3に要約する。データは、プレドニゾロンと組み合わせた化合物1がLPS-誘導性TNFαを抑制することを示す。
【0245】
(表3)

【0246】
他の態様
本明細書において言及されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも各々の独立した刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み入れられることが示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【0247】
本発明をその特定の態様と関連させて説明してきたが、本発明はさらなる改変が可能であること、ならびに本願は、一般的に本発明の原理に従い、かつ本開示からのこのような逸脱を含む、本発明の任意のバリエーション、用途、または適用を網羅することが意図されることが理解され、この逸脱は、本発明が属する当技術分野における公知のまたは慣例的な実務の範囲内であり、本明細書中上記に示され、かつ特許請求の範囲に示される本質的な特徴に対して適用され得る。
【0248】
他の態様は特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式を有する化合物:
(A)-(L)-(B)
式中、
(B)は、300ダルトンより大きなかさ高い基、または電荷を有する300ダルトン未満の基のいずれかであり;
(L)は化合物(A)および基(B)と連結基を形成するリンカーであり;ならびに
(A)は式Iの化合物

であって、
式中、
W3はO、CHCH2R5、またはC=CHR5であり;
W1-W2はOCHR11、SCHR11、N=CR11、CHR10-CHR11、またはCR10=CR11であり;
R1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、およびR9の各々は、H、OH、ハロゲン化物、およびOG1から独立して選択され;
R5はCH2CH2X1またはCH(CH3)CH2X1であり;
R10はH、OH、またはOG1であり;
R11はH、OH、OG1、または以下の基

であり;
X1はNH2、NHCH3、N(CH3)2、NG1(CH3)2、NG1CH3、またはNHG1であり;
X2はNH、NCH3、NG1CH3、またはNG1であり;および
G1は(A)と(L)の間の連結基中の結合であり、ここで、該化合物は1つのG1を含み、
但し、(B)が電荷を有する300ダルトン未満の基である場合に(B)はカルボン酸部分を含まない。
【請求項2】
下記式IIを有する請求項1記載の化合物:

式中、
R7およびR8の各々は、H、OH、およびOG1から独立して選択され;
R12はH、CH3、または G1であり;ならびに
R13はCH3であるかまたは存在しない。
【請求項3】
下記式IIIを有する請求項1記載の化合物:

式中、
X3はNH2, NHCH3, N(CH3)2、NG1(CH3)2、NG1CH3、またはNHG1であり;ならびに
R1およびR10の各々は、H、OH、およびOG1から独立して選択される。
【請求項4】
下記式を有する化合物:
(A)-(L)-(B)
式中、
(B)は、300ダルトンより大きなかさ高い基、または電荷を有する300ダルトン未満の基のいずれかであり;
(L)は化合物(A)および基(B)と連結基を形成するリンカーであり;ならびに
(A)は式IVの化合物

であって、
式中、
X4はNG1(CH3)2、NG1CH3、またはNHG1であり;および
G1は(A)と(L)の間の連結基中の結合である。
【請求項5】
下記式を有する化合物:
(A)-(L)-(B)
式中、
(B)は、300ダルトンより大きなかさ高い基、または電荷を有する300ダルトン未満の基のいずれかであり;
(L)は、化合物(A)および基(B)と連結基を形成するリンカーであり;ならびに
(A)は式Vの化合物

であって、
式中、
X5はNG1(CH3)2、NG1CH3、またはNHG1であり;および
G1は(A)と(L)の間の連結基中の結合である。
【請求項6】
下記式を有する化合物:
(A)-(L)-(B)
式中、
(B)は、300ダルトンより大きなかさ高い基、または電荷を有する300ダルトン未満の基のいずれかであり;
(L)は化合物(A)および基(B)と連結基を形成するリンカーであり;ならびに
(A)は式VIの化合物

であって、
式中、
X6はNG1CH3またはNG1であり;および
G1は(A)と(L)の間の連結基中の結合である。
【請求項7】
リンカーが下記式VIIで記述される、請求項1、4、5、および6のいずれか一項記載の化合物:
G1-(Z1)o-(Y1)u-(Z2)s-(R30)-(Z3)t(Y2)v-(Z4)p-G2 (VII)
式中、
G1は化合物(A)とリンカーの間の連結基中の結合であり;
G2はリンカーとかさ高い基の間、またはリンカーと電荷を有する基の間の連結基中の結合であり;
Z1、Z2、Z3、およびZ4は、各々独立して、O、S、および NR31から選択され;
R31は水素、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルであり;
Y1およびY2は、各々独立して、カルボニル、チオカルボニル、スルホニル、またはホスホリルから選択され;
o、p、s、t、u、およびvは、各々独立して、0または1であり;ならびに
R30は、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-10ヘテロアルキル、またはG1-(Z1)o-(Y1)u-(Z2)s-を-(Z3)t-(Y2)v-(Z4)p-G2に連結する化学結合である。
【請求項8】
(B)が300ダルトンより大きなかさ高い基であり、かさ高い基が天然のポリマーまたは合成ポリマーを含む、請求項1、4、5、および6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
合成ポリマーがポリエチレングリコールである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
(B)が電荷を有する300ダルトン未満の基であり、電荷を有する基がアニオンである、請求項1、4、5、および6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
電荷を有する基が少なくとも2つの負に荷電した部分を含む、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
電荷を有する基がカチオンである、請求項1、4、5、および6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項13】
電荷を有する基がモルホリン環を含む、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
(B)が300ダルトンより大きなかさ高い基であり、かさ高い基がコルチコステロイドを含む、請求項1、4、5、および6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項15】
コルチコステロイドがヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ブデソニド、およびトリアムシノロンから選択される、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
第四級アミノ基またはグアニジニウム基に転換されているアミノ窒素を有する親の抗うつ剤を含み、インビボにおける抗炎症活性、および親の抗うつ剤と比較して中枢神経系における減少した活性を有する、電荷修飾抗うつ剤。
【請求項17】
親の抗うつ剤が三環系抗うつ剤である、請求項16記載の電荷修飾抗うつ剤。
【請求項18】
親の抗うつ剤が選択的セロトニン再取り込み阻害剤である、請求項16記載の電荷修飾抗うつ剤。
【請求項19】
親の抗うつ剤がセロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤である、請求項16記載の電荷修飾抗うつ剤。
【請求項20】
下記式VIIIを有する請求項16記載の電荷修飾抗うつ剤:

式中、
W3はO、CHCH2R5、またはC=CHR5であり;
W1-W2はOCHR11、SCHR11、N=CR11、CHR10-CHR11、またはCR10=CR11であり;
R1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、およびR9の各々は、H、OH、およびハロゲン化物から独立して選択され;
R5はCH2CH2X1またはCH(CH3)CH2X1であり;
R10はHまたはOHであり;
R11はH、OH、または以下の基

であり;
X1はNH2、NHCH3、N(CH3)2、NR14R15R16、またはNR17X7であり;
X2はNH、NCH3、NR21R22、またはNX7であり;
R14、R15、R16、R21、およびR22の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;
R17はHまたはCH3であり;
X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【請求項21】
下記式IXを有する請求項20記載の電荷修飾抗うつ剤:

式中、
R7およびR8の各々は、HおよびOHから独立して選択され;
X2はNR21R22またはNX7であり;
R21およびR22の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;
X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【請求項22】
下記式Xを有する請求項20記載の電荷修飾抗うつ剤:

式中、
R1およびR10の各々は、HおよびOHから独立して選択され;
X3はNR14R15R16またはNR17X7であり;
R14、R15、およびR16の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;
R17はHまたはCH3であり;
X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【請求項23】
下記式XIを有する請求項16記載の電荷修飾抗うつ剤:

式中、
X4はNR14R15R16またはNR17X7であり;
R14、R15、およびR16の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;
R17はHまたはCH3であり;
X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【請求項24】
下記式XIIを有する請求項16記載の電荷修飾抗うつ剤:

式中、
X5はNR14R15R16またはNR17X7であり;
R14、R15、およびR16の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;
R17はHまたはCH3であり;
X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【請求項25】
下記式XIIIを有する請求項16記載の電荷修飾抗うつ剤:

式中、
X6はNR21R22またはNX7であり;
R21およびR22の各々は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、およびC1-7ヘテロアルキルから独立して選択され;
X7

であり;ならびに
R18、R19、およびR20の各々は、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリル、C3-10アルクヘテロシクリル、C1-7ヘテロアルキルから独立して選択され、またはR18およびR19は一緒に、2つの窒素原子を有する複素環を完成する。
【請求項26】
その必要がある患者における1つまたは複数の炎症誘発性サイトカインの分泌を抑制するための方法であって、患者における炎症誘発性サイトカインの分泌を抑制するために十分な量で、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項27】
免疫炎症性障害と診断された患者を治療するための方法であって、患者を治療するために十分な量で、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項28】
患者における炎症性障害を治療する方法であって、患者を治療するために十分な量で請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項29】
免疫炎症性障害が関節リウマチ、変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性多発性筋痛、巨細胞性動脈炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強直性脊椎炎、または乾癬性関節炎である、請求項27または28記載の方法。
【請求項30】
関節リウマチ、変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性多発性筋痛、巨細胞性動脈炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強直性脊椎炎、および乾癬性関節炎から選択される免疫炎症性障害と診断された患者を治療するための方法であって、下記式

を有する化合物を、患者を治療するために十分な量で患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項31】
化合物の血液脳関門の通過を阻害するための方法であって、300キロダルトンよりも大きなかさ高い基、または電荷を有する300ダルトン未満の基を共有結合する工程を含み、該基は、化合物の抗炎症活性を消失させることなく、血液脳関門の通過を阻害するのに十分に化合物のサイズを増加させ、または化合物の電荷を変化させる、方法。
【請求項32】
基が化合物の窒素原子を介して共有結合される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
アミン窒素を有する化合物の血液脳関門の通過を阻害するための方法であって、アミン窒素を第四級アミノ基またはグアニジニウム基に転換する工程を含み、該基は、化合物の抗炎症活性を消失させることなく、血液脳関門の通過を阻害するのに十分に化合物の電荷を変化させる、方法。
【請求項34】
薬学的に許容される担体または希釈剤とともに、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物の有効量を含む薬学的組成物。
【請求項35】
患者に投与された際に、免疫炎症性障害を治療するためにともに十分な量で、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物およびコルチコステロイドを含む薬学的組成物。
【請求項36】
(i)下記式

を有する化合物;および
(ii)コルチコステロイド
を含み、該化合物およびコルチコステロイドが、患者に投与された際に、免疫炎症性障害を治療するためにともに十分な量で存在する、薬学的組成物。
【請求項37】
コルチコステロイドがプレドニゾロン、コルチゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、ハイドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、フルチカゾン、プレドニゾン、トリアムシノロン、またはジフロラゾンである、請求項36記載の薬学的組成物。
【請求項38】
組成物が局所投与のために製剤化される、請求項34〜37のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項39】
組成物が全身投与のために製剤化される、請求項34〜37のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項40】
患者における炎症誘発性サイトカインの分泌または産生を減少させる方法であって、患者における炎症誘発性サイトカイン分泌または産生を減少させるのにともに十分な量で、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物およびコルチコステロイドを、同時にまたは互いに14日以内に患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項41】
免疫炎症性障害と診断されたか、またはそれを発症するリスクがあると診断された患者を治療するための方法であって、患者を治療するためにともに十分な量で、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物およびコルチコステロイドを、同時にまたは互いに14日以内に患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項42】
免疫炎症性障害が関節リウマチ、変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性多発性筋痛、巨細胞性動脈炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強直性脊椎炎、または乾癬性関節炎である、請求項40〜43のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
関節リウマチ、変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性多発性筋痛、巨細胞性動脈炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強直性脊椎炎、および乾癬性関節炎から選択される免疫炎症性障害と診断されたか、またはそれを発症するリスクがあると診断された患者を治療するための方法であって、
(i)下記式

を有する化合物;および
(ii)コルチコステロイド
を患者に投与する工程を含み、
ここで、該化合物およびコルチコステロイドは、患者を治療するためにともに十分な量で、同時にまたは互いに14日以内に投与される、方法。
【請求項44】
コルチコステロイドがプレドニゾロン、コルチゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、ハイドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、フルチカゾン、プレドニゾン、トリアムシノロン、またはジフロラゾンである、請求項40〜43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
(i)請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物およびコルチコステロイドを含む組成物;ならびに
(ii)免疫炎症性障害と診断されたか、またはそれを発症するリスクがあると診断された患者に該組成物を投与するための説明書
を含む、キット。
【請求項46】
(i)請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物;
(ii)コルチコステロイド;および
(iii)免疫炎症性障害と診断されたか、またはそれを発症するリスクがあると診断された患者に、該化合物およびコルチコステロイドを全身投与するための説明書
を含む、キット。
【請求項47】
(i)請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物;および(ii)免疫炎症性障害と診断された患者に該化合物を投与するための説明書を含む、キット。
【請求項48】
(i)請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物;および(ii)免疫炎症性障害と診断されたか、またはそれを発症するリスクがあると診断された患者に該化合物およびコルチコステロイドを投与するための説明書を含む、キット。
【請求項49】
(i)コルチコステロイド;および(ii)免疫炎症性障害と診断されたか、またはそれを発症するリスクがあると診断された患者にコルチコステロイドおよび請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物を投与するための説明書を含む、キット。
【請求項50】
(i)下記式

を有する化合物;
(ii)コルチコステロイド;ならびに
(iii)免疫炎症性障害と診断されたか、またはそれを発症するリスクがあると診断された患者に、該化合物およびコルチコステロイドを全身投与するための説明書
を含む、キット。
【請求項51】
(i)下記式

を有する化合物;ならびに
(ii)関節リウマチ、変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性多発性筋痛、巨細胞性動脈炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強直性脊椎炎、および乾癬性関節炎から選択される免疫炎症性障害と診断された患者に、該化合物を投与するための説明書
を含む、キット。

【公表番号】特表2008−530129(P2008−530129A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555312(P2007−555312)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/005006
【国際公開番号】WO2006/088786
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(501273808)コンビナトアールエックス インコーポレーティッド (21)
【Fターム(参考)】