説明

化学増幅型レジスト組成物、並びに、これを用いたモールドの作成方法、及び、レジスト膜

【課題】モールドの作成において、感度及び解像力に優れるとともに、ラインウィズスラフネス(LWR)性能にも優れたパターンを形成可能な、モールドの作成に用いられる化学増幅型レジスト組成物を提供する。
【解決手段】特定の酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂を含有する化学増幅型レジスト組成物、並びに、これを用いたモールドの作成方法、及び、レジスト膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリントプロセスに使用されるモールドの作成に好適に使用可能な化学増幅型レジスト組成物、好ましくは電子線用化学増幅型レジスト組成物に関する。特に、情報記録媒体の作成、及び、ナノインプリントに用いられるモールド(スタンパー)の作成に好適なレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電子線用レジスト組成物は、従来から、半導体微細パターン形成用途や、微細パターン投影用マスクパターンの形成用途に広く検討されているが、近年では、インプリントプロセスに使用されるモールド(「スタンパー」などともいう。以下、本明細書中、「モールド」と「スタンパー」は、特に断りの無い限り同義とする)への使用も検討されている。
1つの応用として、例えば、特許文献1や特許文献2には、情報記録媒体作成プロセスにおいて、凹凸構造を有するモールド構造体やスタンパー担体が使用されているが、これらモールド構造体やスタンパー自体の作成に、レジスト組成物を使用する旨が記載されている。ここで、情報記録媒体とは、ハードディスクなどの磁気記録媒体、光ディスク、光磁気ディスクなどを含む概念である。
また、いわゆるナノインプリント技術は、半導体微細回路形成、特に線幅22nm以下の世代の超微細半導体回路パターン形成における候補技術の1つとして位置づけられているが、この技術においても、モールド作成において電子線レジストの適用が検討されている。
【0003】
一例としては、基板上に反応性イオンエッチングを行う際に、そのマスクとしてレジスト組成物により形成されたパターンを用い、基板表面を選択的にエッチングすることで凹凸パターンのモールドを作成する。
また、(1)シリコン(Si)基板などの、強度と寿命の点で不利なものの、反応性イオンエッチング(RIE)などの加工性の観点から優れている基板にまず凹凸パターンを形成してモールド(マスターモールドとも言う)を作成し、(2)そのマスターモールドのパターンを、より耐久性の高い基板に転写することで、実用に耐えるモールド(レプリカモールドとも言う)を複数作成するという手順でモールドを作成する際、(1)でRIEのマスクとして電子線用レジスト組成物により形成したパターンを利用するものである。
この方法の一例として、非特許文献1の30頁や60頁には、Siモールドをマスターモールドとして、電鋳によりNiのモールド(レプリカモールド)を作成する方法が紹介されている。
【0004】
ここで、電子線照射によるパターン形成においては、いわゆる「近接効果」と呼ばれる効果の補正が重要である。これは、担体に衝突した電子が、近傍に散乱することにより、照射していない部分にまで潜像を形成し、所望のパターンを得られない問題のことである。従来の半導体微細パターン形成用途におけるx−y方向の走査によるパターン描画では、機器の発達によりこの効果をある程度抑えることが可能である。
一方で、前述の、凹凸構造を有する、情報記録媒体作成に使用されるモールド構造体やスタンパー担体などの作成においては、円盤状の基板をr−θ方向の電子線走査により露光することが前述の特許文献には記載されている。r−θ方向の走査においても、近接効果の問題を機器の面からのみならずレジスト材料の面からも解決することが求められている。
【0005】
また、x−y方向の走査によるパターン描画でも、ナノインプリント用の超微細パターン形成のため、電子線レジストの更なる高性能化が必要である。これは、従来の電子線用レジスト組成物の主用途であるリソグラフィーのマスクパターン形成用途においては、最終的な半導体回路の形成はいわゆる縮小露光により行われるため、パターンサイズと比較して倍程度のマスクパターンを作成できれば実用に供せた一方、ナノインプリントプロセスは原理上等倍のパターン転写しかできず、スタンパー作成段階において20nmオーダーの線幅を有するパターンを満足に形成しなければならないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−158287号公報
【特許文献2】特開2008−162101号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開―ナノインプリントの基板技術と最新の技術展開―編集:平井義彦 フロンティア出版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の技術課題を鑑みなされたものであり、その目的は、感度及び解像力に優れるとともに、ラインウィズスラフネス(LWR)性能にも優れたパターンを形成可能な、モールドの作成に特に好適な化学増幅型レジスト組成物(より好ましくは電子線用化学増幅型レジスト組成物)、並びに、これを用いたモールドの作成方法、及び、レジスト膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成を有する。
<1>
モールド作成に用いられることを特徴とする、化学増幅型レジスト組成物。
<2>
前記モールドが、情報記録媒体の作成用途に用いられるモールドであることを特徴とする、上記<1>に記載の化学増幅型レジスト組成物。
<3>
前記モールドが、半導体微細回路形成用途に用いられるモールドであることを特徴とする、上記<1>に記載の化学増幅型レジスト組成物。
<4>
前記レジスト組成物が、(A)酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂を含有し、該樹脂が、下記一般式(I)又は(II)で示される構造を有することを特徴とする、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の化学増幅型レジスト組成物。
【化1】


一般式(I)中、
、Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
Wは2価の有機基を表す。
はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
【化2】


一般式(II)中、R、R、Wは、一般式(I)におけるものと同義である。Rは、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
<5>
前記レジスト組成物が、(A)酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂を含有し、該樹脂が、下記一般式(III)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の化学増幅型レジスト組成物。
【化3】


一般式(III)中、
〜Rは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又はアルキル基を表す。
は酸の作用により脱離する基を表す。
Lは単結合又は2価の連結基を表す。
<6>
前記樹脂(A)が、更に、下記一般式(IV)〜(VI)から選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位を有することを特徴とする、上記<4>又は<5>に記載の化学増幅型レジスト組成物。
【化4】

式中、R04、R05及びR07〜R09は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
06は、シアノ基、カルボキシル基、−CO−OR25又は−CO−N(R26)(R27)を表す。R26とR27が結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。
〜Xは、各々独立に、単結合、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−SO−、−CO−、−COO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。
25は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
26、R27及びR33は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
Bは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生じる構造部位を表す。
<7>
前記レジスト組成物が、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有し、該化合物(B)が下記一般式(a)で表される酸を発生する化合物を含むことを特徴とする、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の化学増幅型レジスト組成物。
【化5】


式(a)中、R1a、R2a、R3aは、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、Mは単結合又は2価の連結基を表す。
<8>
上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の化学増幅型レジスト組成物を用いて基板上にパターンを形成する工程と、該パターンをマスクとしてエッチング処理を行う工程を有することを特徴とする、モールドの作成方法。
<9>
上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の化学増幅型レジスト組成物により形成されるレジスト膜。
【0010】
本発明は、更に下記の構成であることが好ましい。
<10>
前記樹脂(A)が上記一般式(I)で表される構造を有するとともに、Rがアリール基又はアラルキル基であることを特徴とする、上記<4>、<6>及び<7>のいずれか1つに記載の化学増幅型レジスト組成物。
<11>
前記一般式(IV)〜(VI)におけるBが、下記一般式(ZI´)又は(ZII´)で表される構造であることを特徴とする、上記<6>、<7>又は<10>に記載の化学増幅型レジスト組成物。
【化6】


式中、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。
204及びR205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを示す。
<12>
前記一般式(ZI’)、(ZII’)における酸アニオンZが、α位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子若しくはフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、又は、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンに対応する酸アニオンであることを特徴とする上記<11>に記載の化学増幅型レジスト組成物。
<13>
前記レジスト組成物が、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を更に含有し、該化合物(B)の含有量は、前記レジスト組成物の全固形分を基準として、3〜30質量%であることを特徴とする上記<1>〜<5>、<7>及び<10>のいずれか1つに記載の化学増幅型レジスト組成物。
<14>
前記レジスト組成物が、前記化合物(B)の含有量は、前記レジスト組成物の全固形分を基準として、5〜25質量%であることを特徴とする上記<13>に記載の化学増幅型レジスト組成物。
<15>
前記レジスト組成物が、(C)有機塩基性化合物を更に含有することを特徴とする上記<1>〜<7>及び<10>〜<14>のいずれか1つに記載の化学増幅型レジスト組成物。
<16>
前記(C)有機塩基性化合物が、オニウムヒドロキシド構造を有する化合物であることを特徴とする上記<15>に記載の化学増幅型レジスト組成物。
<17>
前記オニウムヒドロキシド構造を有する化合物が、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドであることを特徴とする上記<16>に記載の化学増幅型レジスト組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、感度及び解像力に優れるとともに、ラインウィズスラフネス(LWR)性能にも優れたパターンを形成可能な、モールドの作成に特に好適な化学増幅型レジスト組成物(より好ましくは電子線用化学増幅型レジスト組成物)、並びに、これを用いたモールドの作成方法、及び、レジスト膜を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書中、「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。なお、本発明の組成物は電子線照射に対して特に有効であるが、その他の活性光線や放射線による使用を制限するものではない。
【0013】
まず、本願発明の化学増幅型レジスト組成物について説明する。
本発明の組成物は、モールド作成に用いられることを特徴とする化学増幅型レジスト組成物である。ここで、モールドは、例えば、情報記録媒体の作成用途に用いられるモールドであっても良く、あるいは、半導体微細回路形成用途に用いられるモールドであっても良い。
本発明の組成物は、好ましくは、ポジ型レジスト組成物、即ち、電子線などの活性光線を照射した部分が溶解することにより像が形成されるレジスト組成物である。
このポジ型画像を形成するためには、組成物は、(A)酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂(以下、樹脂(A)あるいは酸分解性樹脂ともいう)を含有することが好ましい。
【0014】
樹脂(A)は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂であり、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する樹脂である。
前記アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホン酸基などが好ましく挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらのアルカリ可溶性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
【0015】
本発明においては、樹脂(A)は、下記一般式(I)若しくは(II)で示される構造を有することが好ましい。これらの構造は、上述の酸分解性基として機能する。
【0016】
【化7】

【0017】
式(I)中、
、Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基(総炭素数1〜4が好ましい)を表し、
Wは2価の有機基を表し、
はアルキル基(総炭素数1〜30が好ましく、11〜18がより好ましい)、シクロアルキル基(総炭素数3〜30が好ましく、11〜18がより好ましい)、アリール基(総炭素数6〜40が好ましく、6〜25がより好ましい)、アラルキル基(総炭素数7〜40が好ましく、12〜25がより好ましい)を表す。
【0018】
一般式(I)中のRは、アリール基又はアラルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)におけるR、Rのアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であっても良く、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基が挙げられる。
Wにおける2価の有機基としては、好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アラルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R)−、−SO−、−SO−、又は、これらの基を2つ以上組み合わせた2価の基を挙げることができる。ここでRは水素原子又はアルキル基(アルキル基の具体例としては上記Rと同様のものが挙げられる)を挙げることができる。
【0019】
Wのアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であっても良く、炭素数が1〜10のものが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、2,3−ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
Wのシクロアルキレン基は、炭素数が6〜20のものが好ましく、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,2−シクロヘプチレン基、1,3−シクロヘプチレン基、1,4−シクロヘプチレン、ノルボルニレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。
Wのアリーレン基は、炭素数が6〜10のものが好ましく、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,3−トリレン基、2,4−トリレン基、2,5−トリレン基、1,4−ナフチレン基等が挙げられる。
Wのヘテロアリーレン基は、炭素数が5〜9のものが好ましく、ピリジンジイル、チオフェンジイル等が挙げられる。
Wのアラルキレン基は、炭素数7〜13のものが好ましく、o−キシリレン基、m−キシリレン基、p−キシリレン基等が挙げられる。
【0020】
Wとしては、アルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキレン基であることがより好ましい。
【0021】
上記Rのアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であっても良く、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、i−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、i−ノニル基、n−デシル基、i−デシル基、n−ウンデシル基、i−ウンデシル基、n−ドデシル基、i−ドデシル基、n−トリデシル基、i−トリデシル基、n−テトラデシル基、i−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、i−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、i−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、i−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、i−オクタデシル基、n−ノナデシル基、i−ノナデシル基等を挙げることができる。
【0022】
上記Rのシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、4−シクロヘキシルシクロヘキシル基、4−n−ヘキシルシクロヘキシル基、ペンタニルシクロヘキシル基、ヘキシルオキシシクロヘキシル基、ペンタニルオキシシクロヘキシル基等を挙げることが出来る。
【0023】
上記Rのアリール基としては、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−シクロヘプテニルフェニル基、4−シクロオクタニルフェニル基、2−シクロペンチルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘプテニルフェニル基、2−シクロオクタニルフェニル基、3−シクロペンチルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、3−シクロヘプテニルフェニル基、3−シクロオクタニルフェニル基、4−シクロペンチルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、4−シクロヘプテニルオキシフェニル基、4−シクロオクタニルオキシフェニル基、2−シクロペンチルオキシフェニル基、2−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−シクロヘプテニルオキシフェニル基、2−シクロオクタニルオキシフェニル基、3−シクロペンチルオキシフェニル基、3−シクロヘキシルオキシフェニル基、3−シクロヘプテニルオキシフェニル基、3−シクロオクタニルオキシフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−n−ヘプテニルフェニル基、4−n−オクタニルフェニル基、2−n−ペンチルフェニル基、2−n−ヘキシルフェニル基、2−n−ヘプテニルフェニル基、2−n−オクタニルフェニル基、3−n−ペンチルフェニル基、3−n−ヘキシルフェニル基、3−n−ヘプテニルフェニル基、3−n−オクタニルフェニル基、2,6−ジ−イソプロピルフェニル基、2,3−ジ−イソプロピルフェニル基、2,4−ジ−イソプロピルフェニル基、3,4−ジ−イソプロピルフェニル基、3,6−ジ−t−ブチルフェニル基、2,3−ジ−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、3,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−n−ブチルフェニル基、2,3−ジ−n−ブチルフェニル基、2,4−ジ−n−ブチルフェニル基、3,4−ジ−n−ブチルフェニル基、2,6−ジ−i−ブチルフェニル基、2,3−ジ−i−ブチルフェニル基、2,4−ジ−i−ブチルフェニル基、3,4−ジ−i−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−アミルフェニル基、2,3−ジ−t−アミルフェニル基、2,4−ジ−t−アミルフェニル基、3,4−ジ−t−アミルフェニル基、2,6−ジ−i−アミルフェニル基、2,3−ジ−i−アミルフェニル基、2,4−ジ−i−アミルフェニル基、3,4−ジ−i−アミルフェニル基、2,6−ジ−n−ペンチルフェニル基、2,3−ジ−n−ペンチルフェニル基、2,4−ジ−n−ペンチルフェニル基、3,4−ジ−n−ペンチルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、2−アダマンチルフェニル基、4−イソボロニルフェニル基、3−イソボロニルフェニル基、2−イソボロニルフェニル基、4−シクロペンチルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、4−シクロヘプテニルオキシフェニル基、4−シクロオクタニルオキシフェニル基、2−シクロペンチルオキシフェニル基、2−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−シクロヘプテニルオキシフェニル基、2−シクロオクタニルオキシフェニル基、3−シクロペンチルオキシフェニル基、3−シクロヘキシルオキシフェニル基、3−シクロヘプテニルオキシフェニル基、3−シクロオクタニルオキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、4−n−ヘプテニルオキシフェニル基、4−n−オクタニルオキシフェニル基、2−n−ペンチルオキシフェニル基、2−n−ヘキシルオキシフェニル基、2−n−ヘプテニルオキシフェニル基、2−n−オクタニルオキシフェニル基、3−n−ペンチルオキシフェニル基、3−n−ヘキシルオキシフェニル基、3−n−ヘプテニルオキシフェニル基、3−n−オクタニルオキシフェニル基、2,6−ジ−イソプロピルオキシフェニル基、2,3−ジ−イソプロピルオキシフェニル基、2,4−ジ−イソプロピルオキシフェニル基、3,4−ジ−イソプロピルオキシフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルオキシフェニル基、2,3−ジ−t−ブチルオキシフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルオキシフェニル基、3,4−ジ−t−ブチルオキシフェニル基、2,6−ジ−n−ブチルオキシフェニル基、2,3−ジ−n−ブチルオキシフェニル基、2,4−ジ−n−ブチルオキシフェニル基、3,4−ジ−n−ブチルオキシフェニル基、2,6−ジ−i−ブチルオキシフェニル基、2,3−ジ−i−ブチルオキシフェニル基、2,4−ジ−i−ブチルオキシフェニル基、3,4−ジ−i−ブチルオキシフェニル基、2,6−ジ−t−アミルオキシフェニル基、2,3−ジ−t−アミルオキシフェニル基、2,4−ジ−t−アミルオキシフェニル基、3,4−ジ−t−アミルオキシフェニル基、2,6−ジ−i−アミルオキシフェニル基、2,3−ジ−i−アミルオキシフェニル基、2,4−ジ−i−アミルオキシフェニル基、3,4−ジ−i−アミルオキシフェニル基、2,6−ジ−n−ペンチルオキシフェニル基、2,3−ジ−n−ペンチルオキシフェニル基、2,4−ジ−n−ペンチルオキシフェニル基、3,4−ジ−n−ペンチルオキシフェニル基、4−アダマンチルオキシフェニル基、3−アダマンチルオキシフェニル基、2−アダマンチルオキシフェニル基、4−イソボロニルオキシフェニル基、3−イソボロニルオキシフェニル基、2−イソボロニルオキシフェニル基、等が挙げられこれらは上記範囲内であれば更に置換しても良く上記例以外の置換基に限定しない。
【0024】
のアラルキル基としては、ベンジル基、ジフェニルメチル基、α−メチルベンジル基、α−ジメチルベンジル基、α−トリフルオロメチルベンジル基、1,2−ジフェニル−2−プロピル基、1−フェニル−1−プロピル基、2、2−ジメチル−1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−1−ブチル基、α−シクロプロピルベンジル基、シクロプロピルジフェニルメチル基、フェニルエチル基、α−メチル−フェニルエチル基、β−メチル−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、フェニルブチル基、シンナミル基、ナフチルメチル基、フルオレニル基、フルオレニルメチル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基、インダニル基、アセナフチル基、アンスラセンメチル基、ピレンメチル基、4−シクロペンチルフェニルエチル基、4−シクロヘキシルフェニルエチル基、4−シクロヘプテニルフェニルエチル基、4−シクロオクタニルフェニルエチル基、2−シクロペンチルフェニルエチル基、2−シクロヘキシルフェニルエチル基、2−シクロヘプテニルフェニルエチル基、2−シクロオクタニルフェニルエチル基、3−シクロペンチルフェニルエチル基、3−シクロヘキシルフェニルエチル基、3−シクロヘプテニルフェニルエチル基、3−シクロオクタニルフェニルエチル基、4−シクロペンチルオキシフェニルエチル基、4−シクロヘキシルオキシフェニルエチル基、4−シクロヘプテニルオキシフェニルエチル基、4−シクロオクタニルオキシフェニルエチル基、2−シクロペンチルオキシフェニルエチル基、2−シクロヘキシルオキシフェニルエチル基、2−シクロヘプテニルオキシフェニルエチル基、2−シクロオクタニルオキシフェニルエチル基、3−シクロペンチルオキシフェニルエチル基、3−シクロヘキシルオキシフェニルエチル基、3−シクロヘプテニルオキシフェニルエチル基、3−シクロオクタニルオキシフェニルエチル基、4−n−ペンチルフェニルエチル基、4−n−ヘキシルフェニルエチル基、4−n−ヘプテニルフェニルエチル基、4−n−オクタニルフェニルエチル基、2−n−ペンチルフェニルエチル基、2−n−ヘキシルフェニルエチル基、2−n−ヘプテニルフェニルエチル基、2−n−オクタニルフェニルエチル基、3−n−ペンチルフェニルエチル基、3−n−ヘキシルフェニルエチル基、3−n−ヘプテニルフェニルエチル基、3−n−オクタニルフェニルエチル基、2,6−ジ−イソプロピルフェニルエチル基、2,3−ジ−イソプロピルフェニルエチル基、2,4−ジ−イソプロピルフェニルエチル基、3,4−ジ−イソプロピルフェニルエチル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニルエチル基、2,3−ジ−t−ブチルフェニルエチル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニルエチル基、3,4−ジ−t−ブチルフェニルエチル基、2,6−ジ−n−ブチルフェニルエチル基、2,3−ジ−n−ブチルフェニルエチル基、2,4−ジ−n−ブチルフェニルエチル基、3,4−ジ−n−ブチルフェニルエチル基、2,6−ジ−i−ブチルフェニルエチル基、2,3−ジ−i−ブチルフェニルエチル基、2,4−ジ−i−ブチルフェニルエチル基、3,4−ジ−i−ブチルフェニルエチル基、2,6−ジ−t−アミルフェニルエチル基、2,3−ジ−t−アミルフェニルエチル基、2,4−ジ−t−アミルフェニルエチル基、3,4−ジ−t−アミルフェニルエチル基、2,6−ジ−i−アミルフェニルエチル基、2,3−ジ−i−アミルフェニルエチル基、2,4−ジ−i−アミルフェニルエチル基、3,4−ジ−i−アミルフェニルエチル基、2,6−ジ−n−ペンチルフェニルエチル基、2,3−ジ−n−ペンチルフェニルエチル基、2,4−ジ−n−ペンチルフェニルエチル基、3,4−ジ−n−ペンチルフェニルエチル基、4−アダマンチルフェニルエチル基、3−アダマンチルフェニルエチル基、2−アダマンチルフェニルエチル基、4−イソボロニルフェニルエチル基、3−イソボロニルフェニルエチル基、2−イソボロニルフェニルエチル基、4−シクロペンチルオキシフェニルエチル基、4−シクロヘキシルオキシフェニルエチル基、4−シクロヘプテニルオキシフェニルエチル基、4−シクロオクタニルオキシフェニルエチル基、2−シクロペンチルオキシフェニルエチル基、2−シクロヘキシルオキシフェニルエチル基、2−シクロヘプテニルオキシフェニルエチル基、2−シクロオクタニルオキシフェニルエチル基、3−シクロペンチルオキシフェニルエチル基、3−シクロヘキシルオキシフェニルエチル基、3−シクロヘプテニルオキシフェニルエチル基、3−シクロオクタニルオキシフェニルエチル基、4−n−ペンチルオキシフェニルエチル基、4−n−へキシルオキシフェニルエチル基、4−n−ヘプテニルオキシフェニルエチル基、4−n−オクタニルオキシフェニルエチル基、2−n−ペンチルオキシフェニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシフェニルエチル基、2−n−ヘプテニルオキシフェニルエチル基、2−n−オクタニルオキシフェニルエチル基、3−n−ペンチルオキシフェニルエチル基、3−n−ヘキシルオキシフェニルエチル基、3−n−ヘプテニルオキシフェニルエチル基、3−n−オクタニルオキシフェニルエチル基、2,6−ジーイソプロピルオキシフェニルエチル基、2,3−ジ−イソプロピルオキシフェニルエチル基、2,4−ジ−イソプロピルオキシフェニルエチル基、3,4一ジーイソプロピルオキシフェニルエチル基、2,6−ジ−t−ブチルオキシフェニルエチル基、2,3−ジ−t−ブチルオキシフェニルエチル基、2,4−ジ−t−ブチルオキシフェニルエチル基、3,4−ジ−t−ブチルオキシフェニルエチル基、2,6−ジ−n−ブチルオキシフェニルエチル基、2,3−ジ−n−ブチルオキシフェニルエチル基、2,4−ジ−n−ブチルオキシフェニルエチル基、3,4−ジ−n−ブチルオキシフェニルエチル基、2,6−ジ−i−ブチルオキシフェニルエチル基、2,3−ジ−i−ブチルオキシフェニルエチル基、2,4−ジ−i−ブチルオキシフェニルエチル基、3,4−ジ−i−ブチルオキシフェニルエチル基、2,6−ジ−t−アミルオキシフェニルエチル基、2,3−ジ−t−アミルオキシフェニルエチル基、2,4−ジ−t−アミルオキシフェニルエチル基、3,4−ジ−t−アミルオキシフェニルエチル基、2,6−ジ−i−アミルオキシフェニルエチル基、2,3−ジ−i−アミルオキシフェニルエチル基、2,4−ジ−i−アミルオキシフェニルエチル基、3,4−ジ−i−アミルオキシフェニルエチル基、2,6−ジ−n−ペンチルオキシフェニルエチル基、2,3−ジ−n−ペンチルオキシフェニルエチル基、2,4−ジ−n−ペンチルオキシフェニルエチル基、3,4−ジ−n−ペンチルオキシフェニルエチル基、4−アダマンチルオキシフェニルエチル基、3−アダマンチルオキシフェニルエチル基、2−アダマンチルオキシフェニルエチル基、4−イソボロニルオキシフェニルエチル基、3−イソボロニルオキシフェニルエチル基、2−イソボロニルオキシフェニルエチル基等が挙げられる。
【0025】
、R、R、Rのアルキル基、及び、Wのアルキレン基は、更に、置換基を有していてもよく、このような更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、シクロプロピル基・シクロブチル基・シクロペンチル基・シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、メトキシ基・エトキシ基・ヒドロキシエトキシ基・プロポキシ基・ヒドロキシプロポキシ基・n−ブトキシ基・イソブトキシ基・sec−ブトキシ基・t−ブトキシ基・シクロペンチルオキシ基・シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基・エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基・フェネチル基・クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基・アセチル基・ブチリル基・ベンゾイル基・シアナミル基・バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシルオキシ基、ビニル基・プロペニル基・アリル基・ブテニル基等のアルケニル基、ビニルオキシ基・プロペニルオキシ基・アリルオキシ基・ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、フェニル基・キシリル基・トルイル基・クメニル基・ナフチル基・アントラセニル基等のアリール基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基を挙げることができる。
Wのシクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基及びアラルキレン基、並びに、Rのシクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、更に、置換基を有していてもよく、このような更なる置換基としては、メチル基・エチル基・プロピル基・n−ブチル基・sec−ブチル基・t−ブチル基等のアルキル基、並びに、R、R、R、Rのアルキル基及びWのアルキレン基が更に有していてもよい前述の各基を挙げることができる。
【0026】
は、アリール基又はアラルキル基であることが好ましい。
【0027】
【化8】

【0028】
一般式(II)中、R、R、Wの定義、具体例及び好ましい例は、一般式(I)におけるものと同義である。Rは、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
のシクロアルキル基は、単環でも多環でもよいが、単環のものが好ましい。Rのシクロアルキル基の炭素数は好ましくは3〜12、より好ましくは5〜8であり、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基等を挙げることができる。
のアリール基の炭素数は好ましくは6〜40、より好ましくは6〜11であり、具体的には、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基等を挙げることができる。
のシクロアルキル基及びアリール基は、更に置換基を有していてもよく、このような更なる置換基の具体例としては、上記一般式(I)におけるWとしてのシクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基及びアラルキレン基、並びに、Rのシクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基が有していてもよい更なる置換基の前述の具体例と同様である。
一般式(I)又は(II)で表される構造の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
【化9】

【0030】
【化10】

【0031】
【化11】

【0032】
【化12】

【0033】
【化13】

【0034】
更に、樹脂(A)として、下記一般式(II’)で表される構造を有する樹脂も好ましく挙げることができる。
【0035】
【化14】

【0036】
一般式(II’)中、R、R、Wの定義、具体例及び好ましい例は、式(I)におけるものと同義である。
Xは有機基であり、−O−Xが、フェノールのイオン化ポテンシャル値(IP値)より小さいイオン化ポテンシャル値を示すH−O−Xの残基(c)である。
nは1〜4の整数を表す。nが2〜4のとき、複数のWは同じでも異なっていてもよい。
【0037】
ここで言うIP値とは、MOPACによる分子軌道計算で算出されたものを指す。
MOPACによる分子軌道計算とは、James J.P.Stewart,Journal of Computer−Aided Molecular Design Vol.4, No.1 (1990), pp.1−105 に開示された手法によるものである。
この分子軌道計算は、例えば、Oxford Molecular 社のソフトウエアー、CACheを使用することにより行うことができる。
なお、この計算において使用するパラメーターとしては、PM3パラメーターが好ましい。
この計算により算出されるフェノールのIp値は、9.175eVであり、残基(c)が由来する、フェノールのIp値より小さいIp値を有する化合物のIp値は、好ましくは9.0未満、より好ましくは8.8以下、更に好ましくは8.5以下である。
下限については特に限定されないが、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上である。
本発明において、フェノールより小さいIp値を有する化合物の残基とは、当該Ip値を有する化合物から水素原子をひとつ除いた基を意味する。
【0038】
また、一般式(II’)中のXは、一般式(II”)で表される構造であることが好ましい。
【0039】
【化15】

【0040】
一般式(II”)中、Lは単結合又はアルキレン基、Yは下記一般式(Y−1)〜(Y−7)から選ばれる基を表す。
【0041】
【化16】

【0042】
ここで、
は、各々独立に、アルキル基、又はアルコキシ基を表す。
n1は0〜3の整数、n2は0〜7の整数、n3は0〜9の整数、n4は0〜9の整数、n5は0〜9の整数、n6は0〜3の整数、n7は0〜3の整数を表す。
*はLとの連結部を表す。
一般式(II”)及び一般式(Y−1)〜(Y−7)について詳細に説明する。
Lとしてのアルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Rf)(Rg)〕r−
上記式中、Rf、Rgは、各々独立に、水素原子、アルキル基、又は、アルコキシ基を表し、rが2以上であるとき、複数のRf及び複数のRgは、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる。
rは1〜10の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
【0043】
としてのアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であっても良く、炭素数1〜6のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
としてのアルコキシ基は、炭素数1〜4のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができ、好ましくはメトキシ基である。
n1〜n7は、好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0又は1である。
Rf、Rg、Rとしてのアルキル基及びアルコキシ基は更に置換基を有していてもよく、このような更なる置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられ、好ましくは炭素数10以下である。
【0044】
一般式(I)、(II)又は(II’)で表される構造は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂のフェノール性水酸基を置き換える形で、樹脂中に導入されていることが好ましい。
ここで、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、o−、m−又はp−ヒドロキシスチレン(これらを総称してヒドロキシスチレンと言う)、あるいはo−、m−又はp−ヒドロキシ−α−メチルスチレン(これらを総称してヒドロキシ−α−メチルスチレンと言う)に相当する繰り返し単位を少なくとも30モル%、好ましくは50モル%以上含有する共重合体又はそのホモポリマー、あるいは該単位のベンゼン核が部分的に水素添加された樹脂であることが好ましく、p−ヒドロキシスチレンホモポリマーがより好ましい。上記共重合体を共重合により調製するためのヒドロキシスチレン及びヒドロキシ−α−メチルスチレン以外のモノマーとしては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレン、アセトキシスチレン、アルコキシスチレン類が好ましく、スチレン、アセトキシスチレン、t−ブトキシスチレンがより好ましい。
本発明では、このような樹脂中における一般式(I)、(II)又は(II’)で表される構造を有する繰り返し単位の含有量としては、全繰り返し単位に対して5モル%〜50モル%が好ましく、より好ましくは5モル%〜35モル%である。
【0045】
なお、樹脂(A)が一般式(I)、(II)又は(II’)で表される構造を有する場合、これ以外の酸分解性基を有していてもよい。
【0046】
上記一般式(I)、(II)又は(II’)で示される基を含有する樹脂は、対応するビニルエーテルを合成し、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒に溶解したフェノール性水酸基含有アルカリ可溶性樹脂と既知の方法により反応させることで得ることができる。反応は、通常酸性の触媒、好ましくは、酸性イオン交換樹脂や、塩酸、p−トルエンスルホン酸あるいは、ピリジニウムトシレートのような塩の存在下実施される。対応する上記ビニルエーテルは、クロロエチルビニルエーテルのような活性な原科から、求核置換反応などの方法により合成することができる。
【0047】
また、樹脂(A)が一般式(I)、(II)又は(II’)以外の構造の酸分解性基を有する場合の好ましい態様として、以下の一般式(III)で表される繰り返し単位を有する樹脂も好適に用いられる。
【0048】
【化17】

【0049】
一般式(III)中、
〜Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を表す。
は酸の作用により脱離する基を表す。
Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【0050】
〜Rのアルキル基としては、炭素数1〜6のものが挙げられ、メチル基が好ましい。
〜Rのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
の酸の作用により脱離する基としては、例えば、−C(R11a)(R12a)(R13a)を挙げることができる。
11a〜R13aは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基又はアリール基を表す。但し、R11a〜R13aの2つ以上が同時に水素原子となることはない。
11a〜R13aのアルキル基としては、炭素数1〜12のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
11a〜R13aのシクロアルキル基としては、炭素数3〜12のものが好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基、ジアマンチル基等を挙げることができる。
11a〜R13aのアルケニル基としては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基等を挙げることができる。
11a〜R13aのアラルキル基とては、炭素数7〜20のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。
11a〜R13aのアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基等を挙げることができる。
【0051】
11a〜R13aの炭素数は好ましくは1〜10である。なお、R11a、R12a、R13aのうちの2つが結合して環を形成してもよい。この環の炭素数は4〜12が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6が最も好ましい。このような態様の具体例として、R11aがエチル基で、R12aとR13aが連結してシクロペンタン環を形成しているもの、R11aがメチル基で、R12aとR13aが連結してシクロヘキサン環を形成しているものなどを挙げることができる。これら構造は反応性が比較的高く、組成物の高感度化に寄与することができる。
Lで表される2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、−COO−L’−、−O−L’−、これらの2つ以上を組み合わせて形成される基等が挙げられる。ここで、L’はアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基を表し、その具体例としては、一般式(I)におけるWのアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0052】
Lは、単結合、−COO−L’−(L’は炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、メチレン、プロピレン基がより好ましい。)で表される基、又はアリーレン基が好ましい。
【0053】
本発明では、このような樹脂中における一般式(III)で表される繰り返し単位の含有量としては、全繰り返し単位に対して5モル%〜60モル%が好ましく、より好ましくは5モル%〜40モル%である。
【0054】
以下に一般式(III)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
【化18】

【0056】
【化19】

【0057】
また、樹脂(A)は、下記一般式(X)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0058】
【化20】

【0059】
ここで、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。またR03は、アルキレン基を表し、Arと結合して5員若しくは6員環を形成していても良い。
Arは、芳香環基を表す。nは、1〜4の整数を表す。
【0060】
一般式(X)におけるR01〜R03のアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは置換基を有していても良いメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
01〜R03のアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R01〜R03におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
01〜R03のシクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよいシクロアルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。好ましくは置換基を有していても良いシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
03がアルキレン基を表す場合、アルキレン基としては、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
Arの芳香環基は炭素数6〜14個のものが好ましく、具体的にはベンゼン環、トルエン環、ナフタレン環等が挙げられる。
Arは、水酸基以外に、更に置換基を有していても良く、このような更なる置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基等を挙げることができる。
更なる置換基としては、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数1〜8のアルケニル基、炭素数7〜16のアラルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニルオキシ基、炭素数1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜16のアリールオキシカルボニル基であることが好ましい。
Arは、上記更なる置換基を複数有していても良く、その場合、複数の更なる置換基は、互いに結合して環を形成しても良い。
【0061】
一般式(X)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
【化21】

【0063】
本発明の樹脂(A)中における一般式(X)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、3〜90モル%の範囲で含有することが好ましく、15〜85モル%の範囲で含有することがより好ましく、30〜80モル%の範囲で含有することが特に好ましい。
【0064】
なお、樹脂(A)は、上記で説明した構造以外の構造を有する繰り返し単位を適宜含有していてもよい。この例として、以下に説明するような、酸の作用に対して安定な繰り返し単位、ラクトン構造を有する繰り返し単位などを好ましく挙げることができる。
【0065】
酸の作用に対して安定な繰り返し単位としてより具体的には、下記一般式(CIII)で表される繰り返し単位が挙げられる。この構造を有することにより、コントラストの調節、エッチング耐性の向上などが期待できる。
【0066】
【化22】

【0067】
一般式(CIII)に於いて、
c31は、水素原子、フッ素原子で置換されていても良いアルキル基、シアノ基又は−CH−O−Rac基を表す。式中、Racは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Rc31は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
c32は、炭化水素基を有する基を表し、この基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、珪素原子を含む基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)等で置換されていても良い。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。
【0068】
c32としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、及び、アラルキル基等を挙げることができる。
c32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
c32のシクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
c32のアルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
c32のシクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
c32のアリール基は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がより好ましく、これらは置換基を有していてもよい。
c32のアラルキル基は、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。
c32は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
c3の2価の連結基は、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、フェニレン基、エステル結合(−COO−で表される基)が好ましい。
【0069】
繰り返し単位(CIII)としては、下記一般式(CIII−1)又は(CIII−2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0070】
【化23】

【0071】
一般式(CIII−1)中、Rは炭化水素基を表す。Rc31は、一般式(CIII)のRc31と同義である。
【0072】
の炭化水素基は、その中に環状構造を有することが好ましい。環状構造を有する場合の具体例として、単環又は多環のシクロアルキル基(炭素数3〜12が好ましく、より好ましくは炭素数3〜7)、単環又は多環のシクロアルケニル基(炭素数3〜12が好ましい)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜12)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜12)などが挙げられる。
【0073】
シクロアルキル基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、架橋環式炭化水素環としては、2環式炭化水素環、3環式炭化水素環、4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、例えば5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
【0074】
アリール基の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられ、アラルキル基の好ましい例としては、フェニルメチル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0075】
これらの炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基を挙げることができる。
【0076】
前記水素原子の置換基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0077】
【化24】

【0078】
一般式(CIII−2)中、Rc31は、一般式(CIII)のRc31と同義である。
は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシカルボニル基又はアルキルカルボニルオキシ基を表す。更に、これらの基はフッ素原子、珪素原子で置換されていても良い。
のアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
のシクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
のアルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
のシクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
のアルコキシカルボニル基は、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。
のアルキルカルボニルオキシ基は、炭素数2〜20のアルキルカルボニルオキシ基が好ましい。
nは0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。
は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、t−ブチル基が特に好ましい。
【0079】
樹脂(A)は、一般式(CIII)で表される繰り返し単位を含有してもしなくても良いが、含有する場合、その含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは1〜20モル%である。
一般式(CIII)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、又はCFを表す。
【0080】
【化25】

【0081】
【化26】

【0082】
ラクトン構造を有する繰り返し単位が有するラクトン構造としては、ラクトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)、(LC1−17)、特に好ましいラクトン構造としては(LC1−4)であり、特定のラクトン構造を用いることでラインエッジラフネス、現像欠陥が良好になる。
【0083】
【化27】

【0084】
ラクトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。nは、0〜4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
【0085】
一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AII)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【0086】
【化28】

【0087】
一般式(AII)中、
Rbは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。Rbのアルキル基は、置換基を有していても良く、このような置換基の好ましい例としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rbのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rbは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であることが好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環若しくは多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。好ましくは、単結合、−Ab−CO−で表される2価の連結基である。
Abは、アルキレン基(直鎖状であっても、分岐状であってもよい)又は単環又は多環のシクロアルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基である。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の内のいずれかで示される構造を有する基を表す。
【0088】
ラクトン基を有する繰り返し単位は、通常、光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上のものが好ましく、より好ましくは95%以上である。
【0089】
ラクトン構造を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、RxはH、CH、CHOH、又はCFを表す。
【0090】
【化29】

【0091】
【化30】

【0092】
【化31】

【0093】
特に好ましいラクトン基を有する繰り返し単位としては、下記の繰り返し単位が挙げられる。最適なラクトン基を選択することにより、パターンプロファイル、疎密依存性が良好となる。式中、Rx及びRはH、CH、CHOH、又はCFを表す。
【0094】
【化32】

【0095】
【化33】

【0096】
樹脂(A)は、ラクトン構造を有する繰り返し単位を含有してもしなくても良いが、含有する場合、その含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは3〜30モル%、更に好ましくは5〜15モル%である。
【0097】
樹脂(A)の重量平均分子量は2000〜50000が好ましく、より好ましくは2500〜30000である。分子量分散度(Mw/Mn)の範囲は、1.01〜4.0であり、好ましくは1.05〜3.00とである。このような分子量分布のポリマーを得るにはアニオン重合、ラジカル重合などの手法を用いることが好ましい。なお、分子量の測定方法は、ポリスチレン換算によるGPC測定法が好ましい。
【0098】
樹脂(A)の具体例を以下に例示するが、これらに限定されるものではない。
【0099】
【化34】

【0100】
【化35】

【0101】
【化36】

【0102】
【化37】

【0103】
【化38】

【0104】
【化39】

【0105】
【化40】

【0106】
本発明において、樹脂(A)の組成物中の添加量は特に限定されないが、組成物の固形分の全質量に対して60〜97質量%が好ましく、より好ましくは70〜90質量%である。
また、本発明において、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。あるいは、樹脂(A)と、樹脂(A)には該当しないその他の樹脂を併用して用いてもよい。その場合、全樹脂中、樹脂(A)が50質量%以上存在することが好ましい。
【0107】
なお、本発明においては、樹脂(A)の側鎖に、後述する酸発生剤(B)に相当する化学構造を導入して、(a)酸分解性繰り返し単位と、(b)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する構造を有する繰り返し単位、とを同時に有する樹脂(以下、樹脂(Ap)ともいう)を用いる態様も好ましい。なお、この場合、後述の酸発生剤(B)は、組成物中に含有されていてもいなくてもよい。
この場合、(a)酸分解性繰り返し単位としては、前述の樹脂(A)の有する酸分解性基を有する繰り返し単位を挙げることができる。即ち、より具体的には、側鎖に前記一般式(I)、(II)及び(II’)のいずれかで表される構造を有する繰り返し単位、又は、一般式(III)で表される繰り返し単位などが挙げられる。前記一般式(I)又は(II)で表される構造を有する繰り返し単位は、酸分解のエネルギー障壁が低く高感度化を達成しやすい。また、溶解コントラストも高いことが特徴である。一方、一般式(III)で表される繰り返し単位については、特にLWRの観点を鑑みた場合に好ましく用いられる。
【0108】
また、(b)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する構造を有する繰り返し単位としては、活性光線又は放射線の照射により樹脂の側鎖に酸アニオンを発生する構造を有する繰り返し単位が好ましく、これにより、LWRをより良好にすることができる。
繰り返し単位(b)としては、例えば、下記一般式(IV)〜(VI)のいずれかで表わされる繰り返し単位が好ましい。
【0109】
【化41】

【0110】
ここで、R04、R05及びR07〜R09は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
06は、シアノ基、カルボキシル基、−CO−OR25又は−CO−N(R26)(R27)を表す。R26とR27が結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。
〜Xは、各々独立に、単結合、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−SO−、−CO−、−COO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。
25は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
26、R27及びR33は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
Bは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生じる構造部位を表す。
【0111】
前記一般式(IV)〜(VI)における、R04〜R05、R07〜R09のアルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などの炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
【0112】
04、R05及びR07〜R09のシクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよいシクロアルキル基が挙げられる。好ましくはシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
【0113】
04、R05及びR07〜R09のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
04、R05及びR07〜R09のアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R04〜R05、R07〜R09におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
【0114】
25〜R27、R33のアルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
【0115】
25〜R27、R33のシクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよいシクロアルキル基が挙げられる。好ましくはシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
25〜R27、R33のアルケニル基としては、好ましくはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基の様な炭素数2〜6個のものが挙げられる。
【0116】
25〜R27、R33のアリール基としては、炭素数6〜14個の単環、多環の芳香族基が好ましく、具体的にはフェニル基、トリル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。またアリール基同士が結合して、複環を形成していてもよい。
25〜R27、R33のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等の置換基を有していても良い炭素数7〜15個のものが挙げられる。
26とR27が結合して窒素原子とともに形成する環としては、5〜8員環を形成するものが好ましいが、具体的にはピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
【0117】
〜Xのアリーレン基は、置換基を有していても良い炭素数6〜14個のものが好ましく、具体的にはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0118】
〜Xのアルキレン基としては、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
【0119】
〜Xのシクロアルキレン基としては、好ましくは置換基を有していても良いシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数5〜8個のものが挙げられる。
〜Xとしては、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−COO−アリーレン基、−COO−アルキレン基、−COO−シクロアルキレン基が好ましい。また、酸強度の点では、X〜Xが電子求引性の置換基(フッ素原子、フッ化アルキル基、ニトロ基など)で置換されていることが好ましい。更に、水酸基やシアノ基などの極性基で置換されることによって、アルカリ現像液に対する溶解性の向上などが期待できる。
【0120】
前記一般式(IV)〜(VI)における各基は、更に置換基を有していてもよく、このような更なる置換基の好ましい具体例としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、R04〜R09、R25〜R27、R33で挙げたアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基が挙げられ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
【0121】
Bは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生じる構造部位を表し、前述のように樹脂側に酸アニオンを生じる構造であることが好ましい。Bとしては、スルホニウム塩あるいはヨードニウム塩を含むイオン性構造部位がより好ましい。より具体的には、Bは、下記一般式(ZI’)又は(ZII’)で表される構造が好ましい。
【0122】
【化42】

【0123】
上記一般式(ZI’)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
【0124】
は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを示し、非求核性アニオンが好ましい。非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これにより樹脂の経時安定性が向上し、レジストの経時安定性も向上する。
一般式(ZI’)、(ZII’)における酸アニオンZの具体例及び好ましい例は、後述する一般式(ZI)のZにおいて挙げたアニオンの具体例及び好ましい例に対応する酸アニオンと同様である。
【0125】
201、R202及びR203としての有機基としては、例えば、後述の化合物(ZI−1)における対応する基を挙げることができる。
上記一般式(ZII’)において、Zは一般式(ZI’)のZと同義である。
204,R205は、後述の一般式(ZII)におけるR204,R205と同義である。
また、Bの別の態様として、以下の一般式で表される構造も挙げることができる。
【0126】
【化43】

【0127】
上記一般式(ZCI)及び(ZCII)において、
301、R302は、各々独立に、有機基を表す。
301、R302としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
【0128】
301〜R302が結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
301、R302の有機基として具体的には、例えば後述の一般式(ZI)におけるR201〜R203の例として挙げているアリール基、アルキル基、シクロアルキル基等を挙げることができる。
【0129】
Mはプロトンが付与して酸を形成する原子団を表す。より具体的には、後述の一般式(ZI)におけるZと同様のものが挙げられる。
【0130】
303は有機基を表す。R303としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。R303の有機基として具体的には、例えば後述の一般式(ZII)におけるR204、R205の具体例として挙げたアリール基、アルキル基、シクロアルキル基等を挙げることができる。
【0131】
樹脂(A)は、繰り返し単位(b)を含有してもしなくても良いが、含有する場合、その含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0.5〜80モル%が好ましく、より好ましくは1〜60モル%、更に好ましくは3〜40モル%である。
【0132】
繰り返し単位(b)に相当する構造を以下に例示するが、これらに限定されるものではない。
【0133】
【化44】

【0134】
【化45】

【0135】
【化46】

【0136】
【化47】

【0137】
【化48】

【0138】
【化49】

【0139】
(a)酸分解性繰り返し単位と、(b)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する構造を有する繰り返し単位、とを同時に有する樹脂(Ap)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0140】
【化50】

【0141】
本発明において、酸分解性樹脂と共に、組成物中に酸分解性基を含有していないアルカリ可溶性樹脂を用いることができ、これにより感度が向上する。上記酸分解性基を含有していないアルカリ可溶性樹脂(以下単にアルカリ可溶性樹脂と言う)は、アルカリに可溶な樹脂であり、ポリヒドロキシスチレン及びこれらの誘導体を好ましく挙げることができる。またp−ヒドロキシスチレン単位を含有する共重合樹脂もアルカリ可溶性であれば用いることができる。なかでもポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p/m−ヒドロキシスチレン)共重合体、ポリ(p/o−ヒドロキシスチレン)共重合体、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)共重合体が好ましく用いられる。更に、ポリ(4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン)樹脂、ポリ(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルスチレン)樹脂のようなポリ(アルキル置換ヒドロキシスチレン)樹脂、上記樹脂のフェノール性水酸基の一部がアルキル化又はアセチル化された樹脂もアルカリ可溶性であれば好ましく用いられる。
【0142】
本発明に用いられる特に好ましいアルカリ可溶性樹脂は、p−ヒドロキシスチレンの単位を含有するアルカリ可溶性樹脂(好ましくはポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p/m−ヒドロキシスチレン)共重合体、ポリ(p/o−ヒドロキシスチレン)共重合体、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)共重合体)、ポリ(4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン)樹脂、ポリ(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルスチレン)樹脂のようなポリ(アルキル置換ヒドロキシスチレン)樹脂、上記樹脂のフェノール性水酸基の一部がアルキル化又はアセチル化された樹脂、部分水添ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、部分水添ノボラック樹脂である。
本発明において、ポリヒドロキシスチレンとは、p−ヒドロキシスチレンモノマー、m−ヒドロキシスチレンモノマー、o−ヒドロキシスチレンモノマー及び上記モノマーの水酸基の結合位置からオルソ位が炭素数1〜4のアルキルで置換されたヒドロキシスチレンモノマーからなる群から選ばれた少なくとも一種のモノマーを重合して得られたポリマーを示す。
【0143】
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤とも言う)
本発明の組成物は、好ましくは、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する。酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている、酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0144】
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0145】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0146】
更に米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0147】
好ましい酸発生剤として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【0148】
【化51】

【0149】
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが単結合又は2価の連結基を介して結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。好ましいものとしては、単結合、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、)エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルホニル基などを挙げることができる。R201〜R203のうち2つが単結合又は2価の連結基を介して結合して環構造を形成することで、露光機内の汚染の低減、活性光線又は放射線の捕捉能アップによる高感度化なども期待できる。
は、非求核性アニオンを表す。
【0150】
としての非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
【0151】
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
【0152】
スルホン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
【0153】
カルボン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
【0154】
脂肪族スルホン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができる。
【0155】
芳香族スルホン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0156】
脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
【0157】
脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位としては、脂肪族スルホン酸アニオンおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができる。
【0158】
芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のアリール基を挙げることができる。
【0159】
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等を挙げることができる。
【0160】
脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、置換基を有していてもよい。脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の置換基としては、例えば、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0161】
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
【0162】
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができ、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
【0163】
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
【0164】
の非求核性アニオンとしては、スルホン酸のα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくは炭素数4〜8のパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
【0165】
201、R202及びR203としての有機基としては、例えば、後述する化合物(ZI−1)における対応する基を挙げることができる。
【0166】
なお、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0167】
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)を挙げることができる。
【0168】
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
【0169】
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
【0170】
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
【0171】
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
【0172】
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0173】
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
なお、R201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基はが、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基のいずれかを置換基として有する場合、これら置換基が更に水酸基で置換されていることが好ましい態様として挙げられる。
【0174】
一般式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
【0175】
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。
【0176】
204〜R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
【0177】
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
【0178】
は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0179】
使用することができる活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【0180】
【化52】

【0181】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar及びArは、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
Ar、Ar、R208、R209及びR210のアリール基の具体例としては、上記一般式(ZI)におけるR201、R202及びR203としてのアリール基の具体例と同様のものを挙げることができる。
208、R209及びR210のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例としては、それぞれ、上記一般式(ZI)におけるR201、R202及びR203としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例と同様のものを挙げることができる。
Aのアルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基など)を、Aのアルケニレン基としては、炭素数2〜12のアルケニレン基(例えば、エチニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など)を、Aのアリーレン基としては、炭素数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基など)を、それぞれ挙げることができる。
【0182】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物である。また、酸発生剤として、スルホン酸基又はイミド基を1つ有する酸を発生する化合物が好ましく、更に好ましくは1価のパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する化合物、又は1価のフッ素原子又はフッ素原子を含有する基で置換された芳香族スルホン酸を発生する化合物、又は1価のフッ素原子又はフッ素原子を含有する基で置換されたイミド酸を発生する化合物であり、更により好ましくは、フッ化置換アルカンスルホン酸、フッ素置換ベンゼンスルホン酸、フッ素置換イミド酸又はフッ素置換メチド酸のスルホニウム塩である。使用可能な酸発生剤は、発生した酸のpKaが−1以下のフッ化置換アルカンスルホン酸、フッ化置換ベンゼンスルホン酸、フッ化置換イミド酸であることが特に好ましく、感度が向上する。
【0183】
本発明においては、酸発生剤として、特に、活性光線又は放射線の照射により、下記式(a)で表される酸を発生する化合物を用いることが好ましい。
【0184】
【化53】

【0185】
式(a)中、R1a、R2a、R3aは、各々独立に、アルキル基、又はシクロアルキル基を表し、Mは単結合又は2価の連結基を表す。
1a、R2a、R3aで表されるアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でも良く、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基などが挙げられる。炭素数の上限は特にないが、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。
1a、R2a、R3aで表されるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。炭素数の限定は特にないが、好ましくは5〜10である。
【0186】
1a、R2a、R3aとしては、分岐のアルキル基又はシクロアルキル基であることがより好ましい。また、炭素数は3以上のであることが好ましく、より好ましくは3以上12以下、更に好ましくは3以上10以下である。
また、R1a、R2a、R3aのアルキル基、又はシクロアルキル基は、更に置換基を有していてもよい。
1a、R2a、R3aとしてのアルキル基が更に有していても良い置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メチルチオキシ基、エチルチオキシ基及びtert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基;フェニルチオキシ基及びp−トリルチオキシ基等のアリールチオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基;アセチレン基;プロピニル基及びヘキシニル基等のアルキニル基;フェニル基及びトリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;スルホン酸基;並びにカルボニル基等が挙げられる。
1a、R2a、R3aとしてのシクロアルキル基が更に有していても良い置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基等の直鎖アルキル基;2―エチルヘキシル基等の分岐アルキル基、及び、R1a、R2a、R3aとしてのアルキル基が更に有していても良い置換基の前述の例を挙げることができる。
【0187】
Mで表される2価の連結基は、下式で示されるものが好ましい。
【0188】
【化54】

【0189】
式中、Rfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、xは1以上の整数を表す。
Gは、単結合、又はエーテル酸素を含んでいてもよいアルキレン基、エーテル酸素を含んでいてもよいシクロアルキレン基、アリーレン基、若しくはこれらの組み合わせからなる基を表し、組み合わされる基は酸素原子を介して連結されていてもよい。
Lは、単結合又は2価の連結基を表し、yは0以上の整数を表す。
x及びyがそれぞれ2以上の時、括弧内のRf−C−Rf及びLはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0190】
Rfとして、好ましくはフッ素原子、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH又はCHCH等が挙げられる。中でもフッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基が好ましく、フッ素原子又はCFがより好ましく、フッ素原子が最も好ましい。
xは1〜8が好ましく、1〜4がより好ましい。
【0191】
Gにより表されるアルキレン基及びシクロアルキレン基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、1,4−シクロヘキシレン)であり、炭素に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。また、エーテル酸素を含んでいてもよい。
Gにより表されるアリーレン基は、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数1〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン、ナフチレン)であり、炭素に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。これらのアルキレン基、シクロアルキレン基及びアリーレン基は、単独で用いてもよいし、これらを複数組み合わせて用いてもよい。この際、これらのアルキレン基、シクロアルキレン基及びアリーレン基は、酸素原子を介して組み合わせることもできる。
【0192】
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、アルキレン基、シクロアルキレン基及びアルケニレン基が挙げられる。yは好ましくは、0〜4の整数であり、より好ましくは、1〜2の整数である。
【0193】
本発明において、酸発生剤が、オニウム塩化合物であることが好ましい。また、これらの化合物は2種以上を混合させてもよい。
酸発生剤の含有量は、本発明のレジスト組成物の全固形分(塗布溶媒を除く成分)を基準として通常1〜40質量%の範囲で用いられ、好ましくは3〜30質量%、更に好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。特に、樹脂(A)が上記一般式(I)又は(II)で表される構造を有する場合、本発明のレジスト組成物は、酸発生剤を含有するとともに、酸発生剤の含有量が本発明のレジスト組成物の全固形分を基準として、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは9〜17質量%、更に好ましくは9〜13質量%の範囲で使用される。
【0194】
酸発生剤の含有量が1質量%より少ないと感度が低くなる傾向となり、また添加量が40質量%より多いとポリマー成分が低減することにより感度が低下する傾向となることから、酸発生剤の含有量は、上記範囲であることが好ましい。
なお、酸発生剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0195】
本発明において用いることのできる酸発生剤の具体例を示すが、これらに限定されるわけではない。
【0196】
【化55】

【0197】
【化56】

【0198】
【化57】

【0199】
(C)有機塩基性化合物
本発明の組成物に有機塩基性化合物を用いることができる。これにより、保存時の安定性向上及びPEDによる線巾変化が少なくなるため好ましい。本発明で用いることのできる好ましい有機塩基性化合物とは、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。中でも含窒素塩基性化合物が好ましい。好ましい化学的環境として、下記式(A)〜(G)の構造のものを挙げることができる(式(B)〜(E)は部分構造を表している)。
【0200】
【化58】

【0201】
式(A)中、R250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜20)であり、ここでR250とR251は互いに結合して環を形成してもよい。
これらは置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基又は炭素数3〜20のアミノシクロアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素数3〜20のヒドロキシシクロアルキル基が好ましい。
また、これらはアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでも良い。
【0202】
式(E),(F)中、R253、R254、R255、R256、R、R、R、Rは、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6)を示す。
式(G)中、Yは−(CRaRb)ny−を表し、Zは−(CRaRb)nz−を表す。
Ra及びRbはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル基であり、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜15のアリール基であり、例えば、フェニル、ナフチル)であり、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。ny,nzはそれぞれ独立に2〜10の整数を表す。Ra及びRbは好ましくは水素原子であり、nyは好ましくは2〜6の整数であり、より好ましくは3〜5の整数である。nzは好ましくは2〜4の整数であり、より好ましくは2又は3である。
【0203】
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンを挙げることができ、置換基を有していてもよい。更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができ、好ましくは、オニウムヒドロキシド構造(特に好ましくは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)を有する化合物である。
【0204】
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等があげられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンなどがあげられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはトリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシドなどがあげられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等があげられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
【0205】
更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物から選ばれる少なくとも1種類の含窒素化合物を挙げることができる。
【0206】
アミン化合物は、1級、2級、3級のアミン化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアミン化合物が好ましい。アミン化合物は、3級アミン化合物であることがより好ましい。アミン化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。
また、アミン化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CHCHO−)若しくはオキシプロピレン基(−CH(CH)CHO−若しくは−CHCHCHO−)が好ましく、更に好ましくはオキシエチレン基である。
なお、(C)有機塩基性化合物は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
本発明に係るレジスト組成物は、塩基性化合物を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、通常は0.001〜10質量%とし、好ましくは0.01〜5質量%とする。
後述する光酸発生剤の塩基性化合物に対するモル比は、1.5〜300であることが好ましい。即ち、感度及び解像度を向上させる観点から1.5以上が好ましく、露光後加熱処理前におけるパターン太りによる解像度の低下を抑制する観点から300以下が好ましい。このモル比は、より好ましくは2.0〜200であり、更に好ましくは2.5〜150である。
なお、樹脂(A)が上記一般式(IV)〜(VI)から選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位を有する場合には、上記モル比における光酸発生剤とは、該繰り返し単位と光酸発生剤との合計の量を基準とするものである。
【0207】
(D)有機溶剤
本発明のレジスト組成物は、上記の成分を好ましくは有機溶剤に溶解して、調製する。
レジスト組成物中の全固形分濃度は、好ましくは1.0〜5.0質量%、更に好ましくは1.5〜3.5質量%である。
全固形分とは、組成物から溶剤を除いたものに相当し、組成物から形成される、乾燥後の塗膜の質量に相当する。
【0208】
レジスト組成物の調製のための溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、別名1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等などの有機溶剤が好ましく、更に好ましくは、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルであり、特に好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルである。
溶剤は、1種単独でも2種以上を混合した混合溶剤であってもよい。
全溶剤量のうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルを50質量%以上含有することが特に好ましく、50〜80質量%含有することが最も好ましい。プロピレングリコールモノメチルエーテルと併用する溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが最も好ましい。
【0209】
(E)界面活性剤
本発明の組成物は、更に界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が好ましい。これらに該当する界面活性剤としては、大日本インキ化学工業(株)製のメガファックF176、メガファックR08、OMNOVA社製のPF656、PF6320、トロイケミカル(株)製のトロイゾルS−366、住友スリーエム(株)製のフロラードFC430、信越化学工業(株)製のポリシロキサンポリマーKP−341などが挙げられる。
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類などが挙げられる。
【0210】
その他、公知の界面活性剤が適宜使用可能である。使用可能な界面活性剤としては、例えば、US2008/0248425A1号明細書の[0273]以降に記載の界面活性剤が挙げられる。
【0211】
本発明に用いられる界面活性剤としては、式(II)で表される構造を有する界面活性剤が特に好ましい。
【0212】
【化59】

【0213】
一般式(II)において、
10は、水素原子又はアルキル基を表す。
Rfは、フルオロアルキル基又はフルオロアルキルカルボニル基を表す。
mは1〜50の整数を表す。
【0214】
一般式(II)に於ける、Rfのフルオロアルキル基としては、アルキル鎖中に酸素原子を有してもよく、二重結合を有してもよい。例えば、−CF、−C、−C、−CHCF、−CH、−CH、−CH、−CH13、−CCF、−C、−C、−C13、−C17、−CHCH(CH)CF、−CHCH(CF、−CHCF(CF、−CHCH(CF、−CFCF(CF)OCF、−CFCF(CF)OC、−COCFCF(CF)OCF、−COCFCF(CF)OC、−C(CF)=C(CF(CF等を挙げることができる。
Rfのフルオロアルキルカルボニル基としては、例えば、−COCF、−COC、−COC、−COC、−COC13、−COC17等を挙げることができる。
10としてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5である。
【0215】
本発明のレジスト組成物は、界面活性剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、その含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0216】
<その他成分>
本発明のレジスト組成物には、必要に応じて更に染料、可塑剤、上記(E)成分以外の界面活性剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を、本発明の効果を阻害しない範囲で、含有してもよいし、含有しなくても良い。
(F)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物、フェノール化合物のフェノール性水酸基を酸分解基で置換した構造を含有する化合物。特に、フェノール化合物としてはフェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、更に好ましくは2〜6個含有するもの。
(G)現像液に対する溶解促進性化合物。特に、フェノール性OH基を2個以上、又はカルボキシ基を1個以上有する分子量1,000以下の低分子化合物。
(H)酸の作用により分解し、カルボン酸よりも強い酸を生成する物質(以下、「酸増殖剤」ともいう)。酸増殖剤から生成する酸は、その酸の強度が大きいものが好ましく、具体的にはその酸の解離定数(pKa)として3以下が好ましく、より好ましくは2以下である。酸増殖剤から発生する酸としてはスルホン酸が好ましい。
【0217】
酸増殖剤は、WO95/29968号、WO98/24000号、特開平8−305262号、特開平9−34106号、特開平8−248561号、特表平8−503082号、米国特許第5,445,917号、特表平8−503081号、米国特許第5,534,393号、米国特許第5,395,736号、米国特許第5,741,630号、米国特許第5,334,489号、米国特許第5,582,956号、米国特許第5,578,424号、米国特許第5,453,345号、米国特許第5,445,917号、欧州特許第665,960号、欧州特許第757,628号、欧州特許第665,961号、米国特許第5,667,943号、特開平10−1508号、特開平10−282642号、特開平9−512498号、特開2000−62337号、特開2005−17730号等に記載の酸増殖剤を1種、或いは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0218】
具体的には下記一般式(1)〜(6)で表される化合物が好ましい。
【0219】
【化60】

【0220】
一般式(1)〜(6)に於いて、
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、酸の作用により脱離する基を表す。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアリーロキシ基を表す。
は、アルキル基又はアラルキル基を表す。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
、Rは、各々独立に、アルキル基を表し、RとRが互いに結合して環を形成しても良い。
は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、Rと結合して環を形成しても良い。
10は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基又はアルケニルオキシ基を表す。
11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基又はアルケニル基を表す。
10とR11は、互いに結合して環を形成してもよい。
12は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基又は環状イミド基を表す。
【0221】
一般式(1)〜(6)に於いて、アルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数3〜10個のシクロアルキル基が挙げられ、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基等基等が挙げられる。
【0222】
アリール基としては、炭素数6〜14個のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、トリル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜20個のアラルキル基が挙げられ、具体的にはベンジル基、フェネチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8個のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素2〜6個のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0223】
アリーロキシ基としては、炭素数6〜14個のアリーロキシ基が挙げられ、具体的にはフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、炭素数2〜8個のアルケニルオキシ基が挙げられ、具体的にはビニルオキシ基、アリルオキシ基等が挙げられる。
【0224】
上記各置換基には更に置換基を有してもよく、置換基としてはたとえば次のようなものを例示できる。すなわち、Cl、Br、Fなどのハロゲン原子、−CN基、−OH基、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数3〜8個のシクロアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、アセチルアミノ基などのアシルアミノ基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基、フェノキシエチル基などのアリロキシアルキル基、炭素数2〜5個のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜5個のアシルオキシ基等を挙げることができる。しかも、置換基の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0225】
とRが互いに結合して形成する環としては、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジオキサン環等が挙げられる。
とRが互いに結合して形成する環としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環等が挙げられる。
10とR11が互いに結合して形成する環としては、環内に酸素原子を含んでいてもよい、3−オキソシクロヘキセニル環、3−オキソインデニル環等が挙げられる。
Roの酸の作用により脱離する基としては、例えば、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリル基、3−オキソシクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0226】
上記R、R、R〜R11の各々の好ましいものとして以下のものが挙げられる。
R;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、トリフルオロメチル基、ノナフルオロブチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、トルイル基、メシチル基、フルオロフェニル基、ナフチル基、シクロヘキシル基、樟脳基。
;t−ブチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基。
;メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基。
;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基。
;メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基。
、R;メチル基、エチル基、プロピル基、互いに結合してエチレン基、プロピレン基を形成したもの。
;水素原子、メチル基、エチル基。
【0227】
、R;水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、互いに結合してシクロペンチル環、シクロヘキシル環を形成したもの。
;メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基。
10;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ビニロキシ基、メチルビニロキシ基、互いに結合して酸素原子をふくんでよい、3−オキソシクロヘキセニル環、3−オキソインデニル環を形成したもの。
11;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ビニル基、アリル基、互いに結合して酸素原子をふくんでよい、3−オキソシクロヘキセニル環、3−オキソインデニル環を形成したもの。
【0228】
一般式(6)に於いて、R12がアルキル基を表すとき、アルキル基としては、炭素原子数が1〜20の直鎖状、分岐状のアルキル基を挙げることができる。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1〜12の直鎖状、炭素原子数3〜12の分岐状のアルキル基がより好ましい。
12がシクロアルキル基を表すとき、シクロアルキル基としては、炭素原子数が3〜20のシクロアルキル基を挙げることができる。その具体例としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基がより好ましい。
【0229】
12が置換アルキル基、置換シクロアルキル基を表すとき、その置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
【0230】
これらの置換基におけるアルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(R13CO−)におけるR13としては、水素及び上記のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を挙げることができる。
【0231】
これら置換基の内、更により好ましいものとしては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基等が挙げられる。
【0232】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては、前述の炭素数1〜20のアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除き、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1〜12までの直鎖状、炭素原子数3〜12までの分岐状、及び炭素原子数5〜10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
【0233】
12が、アリール基を表すとき、アリール基としては、1個〜3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基等を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。また、アリール基には上記炭素環式アリール基の他、複素環式(ヘテロ)アリール基が含まれる。複素環式アリール基としては、ピリジル基、フリル基、その他ベンゼン環が縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾール基等の炭素数3〜20、ヘテロ原子数1〜5を含むものが用いられる。
【0234】
12が、置換アリール基を表すとき、置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、シクロアルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
【0235】
この様な、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
【0236】
12が、アルケニル基、置換アルケニル基[−C(R14)=C(R15)(R16)]、アルキニル基、又は置換アルキニル基[−C≡C(R17)]を表すとき、R14〜R17としては、一価の非金属原子団を使用することができる。好ましいR14〜R17の例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基を挙げることができる。これらの具体例としては、前述の例として示したものを挙げることができる。R14〜R17のより好ましい置換基としては、水素原子、ハロゲン原子及び炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を挙げることができる。アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基の具体例としては、ビニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、エチニル基、プロピニル基、フェニルエチル基等を挙げることができる。
【0237】
12が環状イミド基を表すとき、環状イミドとしては、コハク酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキサンジカルボン酸イミド、ノルボルネンジカルボン酸イミド等の炭素原子4〜20までのものを用いることができる。
一般式(1)〜(6)で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2008−209889の〔0215〕以降に例示された化合物を参照されたい。
【0238】
<本発明のレジスト組成物の使用方法>
本発明のレジスト組成物は、既に述べたが、モールドの作成に好適に用いられ、この目的に用いられる限り、使用方法は特に限定されない。モールド作成の方法に関しては種々の方法が提案され、その幾つかは前述の特許文献1、特許文献2、非特許文献1などで紹介されているが、ここでは、本発明の組成物を用いて直接モールドを作成する方法(方法1)と、本発明の組成物を用いてまずマスターモールドを作成し、そのマスターモールドを用いてレプリカモールドを作成する方法(方法2)、の2つの概要を簡潔に説明する。
方法1では、まず、前述のレジスト組成物を、所望の基板に塗布し、レジスト膜を形成する。基板の材質は、石英、ガラス、Si、SiO、SiN、Ti、Tl、Pd、Ni、TiN、Cu、Cr、Fe、Al、などから適宜選択可能である。これら基板には、後述する反応性イオンエッチング(RIE)の選択性を向上させるため、Crなどによりハードマスク(HM)層が形成されていることが好ましい。この層の厚さは通常3〜50nm、好ましくは10〜20nmである。
【0239】
塗布の方法は特に限定されないが、スピン塗布やインクジェット方式による塗布方法が好ましく挙げられる。レジスト膜の膜厚は特に限定されないが、通常30〜300nm、好ましくは30〜200nm、より好ましくは30〜100nmとなるように塗布する。
必要に応じ、露光前ベーク(好ましくは80℃〜150℃で90秒間程度)を行った後、好ましくは電子線により描画を行う。
描画後、必要に応じて照射後加熱(Post Exposure Bake)を行った後、現像液により現像を行うことでレジストパターンを形成する。
照射後加熱を行う場合、その温度は80〜150℃が好ましく、100〜140℃がより好ましい。またその時間は30〜120秒が好ましい。
【0240】
現像液には通常、半導体微細パターン作成用途で汎用のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ水溶液が用いられるが、本発明の目的を達成する限りにおいてこれ以外のアルカリ水溶液、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
【0241】
このようにしてレジストパターンを形成した基板に対して、エッチング処理(好ましくは反応性イオンエッチング(RIE))を行い、凹凸構造を形成する。このとき、レジストパターンはエッチングに対するマスクとして機能する。
RIEプロセスに使用できるガスは特に限定されないが、代表的なものとして、CHF,CF,C,Cなどのフルオロカーボン系のガス、SF,CH,CFIなどが挙げられる。また、これらの希釈用のガスとしてAr,Heなどの希ガスがしばしば用いられる。
RIEプロセスの条件は特に限定されないが、フルオロカーボン系のガスの流量は好ましくは5〜50sccm、より好ましくは10〜30sccm、希釈用ガスの流量は好ましくは20〜200sccm、より好ましくは50〜150sccmである(sccmは、1atm、0℃における単位)。また、ガスの圧力は好ましくは0.5〜10Pa、より好ましくは1〜6Paである。
また、その他装置の条件として、例えば誘導結合方式(ICP)のRIE装置では、アンテナ電力(ICP電力)は好ましくは50〜600W、より好ましくは100〜300W、バイアス電力は好ましくは10〜300W、より好ましくは20〜150W、装置(チャンバ、エッチング室)内の温度は好ましくは50℃〜150℃、より好ましくは80℃〜120℃、基板ステージの温度は好ましくは−20℃〜70℃、より好ましくは10℃〜60℃に調整して用いられる。
なお、エッチングの前に、レジストパターンにエネルギーを与えてレジスト改質(キュア)を行っても良い。キュアの方法としては、熱キュア、紫外線キュア、電子線キュアなどがある。例えば、加速電圧1kV、露光量1mC/cmの条件で電子線キュアを行った後、エッチングを行うと、電子線キュアを行わない場合に比べて、0.5nm程度、LWRを良化することが出来る。
エッチング終了後、レジストパターンを除去、基板を洗浄することでモールド(スタンパー)を得ることができる。なお、基板の洗浄後、転写材料の付着を防ぐために、離型処理を行うことが好ましい。離形処理の材料としてはシランカップリング剤がよく用いられる。シランカップリング剤の具体例としては、オプツールDSX、デュラサーフHD−1100、2100シリーズ(ダイキン化成品販売株式会社製)、Novec ECG−1720(住友スリーエム社製)などが挙げられる。離形処理の方法としては、基板をシランカップリング剤の溶液に浸漬後、加熱して固定する方法、シランカップリング剤の溶液をスピンコート法により基板上に薄く塗布した後に加熱する方法などが挙げられる。
【0242】
方法2では、基板へのレジスト塗布〜レジストパターン形成までのプロセスは上記の方法1と同様だが、このプロセスにおいて、特にマスターモールド作成用の基板としては、Si基板、SiO処理の施されたSi基板などを選択し、この上に本発明のレジスト組成物を塗布することが好ましい。
基板上にレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクとして反応性イオンエッチングを行い(エッチングの概要は方法1における説明と同様である)、レジストを除去、洗浄することで、凹凸の形成されたモールド(マスターモールド)を得る。
このモールドを、硬化性組成物を塗布した基板に押し当て、インプリント工程を行うことにより、マスターモールドの凹凸パターンを基板上の硬化性組成物に転写することで、硬化性組成物によるパターンを形成する。硬化性組成物は熱硬化性でも光硬化性でもよいが、基板が光を透過する材質の場合は光硬化性組成物を使用することが可能である。なお、硬化性組成物を塗布した基板を用意する際、前述のシランカップリング剤などによる離型処理を行っておくことも好ましい。
ここで用いる硬化性組成物についてより具体的に説明すると、硬化性組成物は通常、重合性モノマー、重合開始剤、界面活性剤、その他任意成分などを含有する。硬化性組成物が通常含有する各成分の具体例としては、例えば特開2009−016000号公報の段落0032〜段落0142に記載の成分が挙げられる。
なお、市販されている硬化性組成物として、東洋合成工業株式会社製のPAK−01、PAK−02なども使用可能である。
【0243】
硬化性組成物による凹凸パターン形成後、この凹凸パターンをマスクとしてエッチング処理(RIE)を行う。ここでのRIE処理は、硬化性組成物によるパターン間の残膜除去のため、Oガス、O/Ar混合ガス等による残膜除去のためのRIEを前もって行った後に、凹凸構造を形成するためのRIEプロセス(上述の方法1で説明したRIE)を行うことが好ましい。なお、このパターン間の残膜除去は、上記のフルオロカーボン系のガスで行われる場合もある。
RIE終了後、硬化性組成物の除去、基板の洗浄、好ましくは離型処理(離型処理については方法1における記載と同様である)を行うことで、モールド(レプリカモールド)を得ることができる。
また、別の方法として、凹凸が形成されたマスターモールドに対して、電鋳処理を行うことで、Niなどの金属製のレプリカモールドを得ることも可能である。なお、モールド作成方法の詳細、方法1、方法2以外のモールド作成方法などは、前述の特許文献1〜2、非特許文献1などを参照されたい。
以上のように、本発明のモールドの作成方法は、化学増幅型レジスト組成物を用いて基板上にパターンを形成する工程と、該パターンをマスクとしてエッチング処理を行う工程とを有している。このモールドの作成方法によれば、化学増幅型レジスト組成物を用いるため、感度及び解像力に優れるとともに、ラインウィズスラフネス(LWR)性能にも優れたパターンを形成でき、その結果、微細な形状の有するモールドを非常に精密に、かつ、確実に作成することができる。
【実施例】
【0244】
〔1.ビニルエーテルの合成〕
p−シクロヘキシルフェノール83.1g(0.5モル)を300mlのトルエンに溶解し、次いで2−クロロエチルビニルエーテル150gを加え、更に水酸化ナトリウム25g、テトラブチルアンモニウムブロミド5g、トリエチルアミン60gを加えて、120℃にて5時間加熱攪拌した。反応液を水洗し、減圧留去にて過剰のクロロエチルビニルエーテルとトルエンを除去した。得られたオイル分から、減圧蒸留により、目的物であるp−シクロヘキシルフェノキシエチルビニルエーテル(X−1)を得た。
また、上記と同様にして、以下に示すビニルエーテルをそれぞれ得た。
【0245】
【化61】

【0246】
〔2.アルカリ可溶性樹脂の合成〕
p−アセトキシスチレン32.4g(0.2モル)を酢酸ブチル120mlに溶解し、窒素気流及び攪拌下、80℃にてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.066gを2.5時間置きに3回添加し、最後に更に5時間攪拌を続けることにより、重合反応を行った。反応液をヘキサン1200mlに投入し、白色の樹脂を析出させた。得られた樹脂を乾燥後、メタノール150mlに溶解した。これに水酸化ナトリウム7.7g(0.19モル)/水50mlの水溶液を添加し、3時間加熱還流することにより加水分解させた。その後、水200mlを加えて希釈し、塩酸にて中和し白色の樹脂を析出させた。この樹脂を濾別し、水洗・乾燥させた。更にテトラヒドロフラン200mlに溶解し、5Lの超純水中に激しく攪拌しながら滴下、再沈を行った。この再沈操作を3回繰り返した。得られた樹脂を真空乾燥器中で120℃、12時間乾燥し、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)アルカリ可溶性樹脂R−1を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は3000であった。
また、日本曹達株式会社製、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(VP2500)をアルカリ可溶性樹脂R−2とした。重量平均分子量は3500であった。
【0247】
〔3.酸分解性樹脂の合成〕
上記アルカリ可溶性樹脂R−1 20g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 80ml
上記ビニルエーテルX−1 6.50g
をフラスコ中で混合し、フラスコを減圧加熱し共沸脱水により系中の水分を留去した。そこへピリジニウム−p−トルエンスルホン酸(10mg)を添加して、室温下5時間攪拌した。反応液にトリエチルアミンを添加して反応を停止させ、そこに、超純水100mLを添加した。内容物を分液ロートに移して分液作業を行い、水層を除去し、ついで超純水100mLで2回洗浄し、残った有機層を減圧加熱してプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを水と共に留去し十分水分を除去し、本発明に係わる置換基を有するアルカリ可溶性樹脂B−1を得た。
また、上記と同様にして、下記表1に示したアルカリ可溶性樹脂とビニルエーテルを用い、酸分解性樹脂B−2〜B−11を得た。なお、表1中、保護率とは、p−ヒドロキシスチレンユニットの水酸基が、どれくらいのモル割合で酸で脱離する基で保護(置換)されているかを示すものであり、換言すれば、樹脂の全繰り返し単位に対する、酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率(モル%)を示すものである。
【0248】
【表1】

【0249】
また、以下の樹脂を合成した。
【0250】
【表2】

【0251】
【化62】

【0252】
【表3】

【0253】
【化63】

【0254】
【化64】

【0255】
P−3は、以下の方法で合成した。
(1)4−スチレンスルホン酸トリフェニルスルホニウム塩の合成
トリフェニルスルホニウムBr塩50gをメタノール65mlに溶解させた。この液に、4−スチレンスルホン酸Na塩30gとメタノール65mlとイオン交換水130mlの混合液を室温で攪拌下、滴下した。この溶液にイオン交換水とクロロホルムを加えて抽出・洗浄を行った。有機層を濃縮後、析出した固体をヘキサン/酢酸エチル中でリスラリー化した後、ろ過することで、4−スチレンスルホン酸トリフェニルスルホニウム塩48gを得た。
(2)ポリマーP−3の合成
酢酸エチル80質量部に、p−ヒドロキシスチレン10質量部、p−トルエンスルホン酸・ピリジン塩0.01質量部を室温で溶解させた。この液を攪拌させながら、2−(4−シクロヘキシルフェノキシ)エチルビニルエーテルを20.9質量部と酢酸エチル20質量部の混合液を室温で滴下した。滴下後、更に室温で24時間反応させた。この反応液にトリエチルアミンを加えて塩基性にし、イオン交換水で洗浄した後、有機層を濃縮し、ヘキサン/酢酸エチルでカラムクロマトグラフィー精製することにより、モノマーM1を得た。
1−メトキシ−2−プロパノール4.66質量部を窒素気流下、80℃に加熱した。この液を攪拌しながら、4−ヒドロキシスチレン5.21質量部、上記で得られたモノマー(M1)3.05質量部、上記(1)で得られた4−スチレンスルホン酸トリフェニルスルホニウム塩1.74質量部、1−メトキシ−2−プロパノール18.6質量部、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V−601、和光純薬工業(株)製〕1.36質量部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で更に4時間攪拌した。反応液を放冷後、多量のヘキサン/酢酸エチルで再沈殿・真空乾燥を行うことで、樹脂P−3を得た。
【0256】
P−4は、US2007/0117043A1号明細書のExample12に記載の方法に準じて合成した。
【0257】
P−5は、以下の方法で合成した。
1−メトキシ−2−プロパノール17.5mlを窒素気流下、80℃に加熱した。この液を攪拌しながら、4−ヒドロキシスチレン10.3g(85.4mmol)、2−シクロヘキシル−2−プロピルアクリレート8.0g(38.2mmol)、4−スチレンスルホン酸トリフェニルスルホニウム塩1.7g(3.8mmol)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601、和光純薬工業(株)製)5.9g(25.5mmol)及び1−メトキシ−2−プロパノール70mlの混合溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で更に2時間攪拌した。反応液を放冷後、多量のヘキサン/酢酸エチルで再沈殿・真空乾燥を行うことで、P−5を得た。
【0258】
P−6は、特開2005−084365号公報に記載の方法に準じて合成した。
P−7は、P−3と同様にして合成した。なお、スルホン酸発生部位を有する単位は、米国特許出願公開第2007/0117043号明細書のExample3に記載の方法に準じて合成したモノマー単位を用いた。
P−8は、ビニルエーテルを変更した以外は、樹脂B−1と同様にして合成した。
P−9は、P−5の合成において2−シクロヘキシル−2−プロピルアクリレート8.0g(38.2mmol)を4−(2−シクロヘキシル−2−プロポキシカルボニル)スチレン10.4g(38.2mmol)に変更した以外は、P−5と同様にして合成した。
【0259】
P−10は、以下の方法で合成した。
<化合物(5)の合成>
下記ルートにより化合物(5)を合成した。
【0260】
【化65】

【0261】
<化合物(2)の合成>
100.00gの化合物(1)を、400gの酢酸エチルに溶解させた。得られた溶液を0℃に冷却し、47.60gのナトリウムメトキシド(28質量%メタノール溶液)を30分かけて滴下した。その後、これを室温で5時間に亘って撹拌した。反応溶液に酢酸エチルを加えて、有機層を蒸留水で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。このようにして、化合物(2)(54質量%酢酸エチル溶液)131.70gを得た。
【0262】
<化合物(3)の合成>
18.52gの化合物(2)(54質量%酢酸エチル溶液)に、56.00gの酢酸エチルを加えた。これに、31.58gの1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルジフルオリドを加え、0℃に冷却した。12.63gのトリエチルアミンを25.00gの酢酸エチルに溶解させた溶液を30分かけて滴下し、液温を0℃に維持したまま4時間に亘って撹拌した。酢酸エチルを加えて、有機層を飽和食塩水で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。このようにして、32.90gの化合物(3)を得た。
【0263】
<化合物(4)の合成>
35.00gの化合物(3)を315gのメタノールに溶解させ、0℃に冷却し、245gの1規定水酸化ナトリウム水溶液を加えて、室温で2時間撹拌した。溶媒を留去した後、酢酸エチルを加えて、有機層を飽和食塩水で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。このようにして、34.46gの化合物(4)を得た。
【0264】
<化合物(5)の合成>
28.25gの化合物(4)を254.25gのメタノールに溶解させ、23.34gのトリフェニルスルホニウムブロミドを加え、室温で3時間撹拌した。溶媒を留去して、蒸留水を加えて、クロロホルムで3回抽出した。得られた有機層を蒸留水で3回洗浄した後、溶媒を留去した。このようにして、42.07gの化合物(5)を得た。
【0265】
<P−10の合成>
p−ヒドロキシスチレン14.75g(53.1質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)と、1−エチルシクロペンチルメタクリレート5.46gと、上記化合物(5)3.38gと、重合開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)1.61gとを、29.18gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解させた。反応容器中に8.80gのPGMEを入れ、窒素ガス雰囲気下、85℃の系中に4時間かけて滴下した。反応溶液を2時間加熱撹拌した後、これを室温まで放冷した。
反応溶液を、アセトン31gで希釈した後、この希釈液を1000gのヘキサン/酢酸エチル=質量比8/2中に滴下し、ポリマーを沈殿させ、ろ過した。250gのヘキサン/酢酸エチル=質量比8/2を用いて、ろ過した固体のかけ洗いを行なった。得られた固体を65gのアセトンに溶解させ、800gのメタノール/蒸留水=質量比2/8中に滴下し、ポリマーを沈殿させ、ろ過した。200gのメタノール/蒸留水=質量比2/8を用いて、ろ過した固体のかけ洗いを行なった。その後、洗浄後の固体を減圧乾燥に供して、9.38gの樹脂P−10を得た。
【0266】
P−11は、P−10の合成において化合物(5)3.38gを下記化合物(6)4.03gに変更した以外は、P−10と同様にして合成した。
【0267】
【化66】

【0268】
〔4.組成物の調製〕
下記表4に示す各素材をPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)/PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)の混合溶剤(質量比6/4)に溶解、ポアサイズ0.1μmのポリプロピレンフィルターで濾過し、固形分濃度2.5質量%のレジスト溶液を作成した(ただし、組成物43の固形分濃度は1.7質量%である)。なお、表の成分以外に、全ての組成物に対して、オムノバ社製界面活性剤PF6320を、組成物中濃度が100ppmとなるように加えた。
【0269】
【表4】

【0270】
実施例に用いた化合物を以下に示す。なお、化合物(E−1)のC17、及び、化合物(E−2)のCは、共に、直鎖のアルキル基である。
【0271】
【化67】

【0272】
上記化合物において、
D−1は、特開平10−282669号公報に基づいて合成した。
D−2は、以下の方法により合成した。
【0273】
<トリシクロヘキシルベンゼンの合成>
ベンゼン20.0gに塩化アルミニウム6.83gを加え、3℃で冷却攪拌し、シクロヘキシルクロリド40.4gをゆっくり滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌し、氷水にあけた。酢酸エチルで有機層を抽出し、得られた有機層を40℃で減圧留去した。更に170℃で減圧留去後、室温に冷却し、アセトン50mlを投入し、再結晶させた。析出した結晶を濾取し、トリシクロヘキシルベンゼン14gを得た。
【0274】
<トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成>
トリシクロヘキシルベンゼン30gを塩化メチレン50mlに溶解し、3℃で冷却攪拌し、クロロスルホン酸15.2gをゆっくり滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌し、氷10gを投入後、50質量%水酸化ナトリウム水溶液を40g投入した。更にエタノールを20g加え、50℃で1時間攪拌後、不溶分を濾過除去し、40℃で減圧留去した。析出した結晶を濾取し、ヘキサン洗浄し、1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30gを得た。
【0275】
<D−2の合成>
トリフェニルスルホニウムブロミド4.0gをメタノール20mlに溶解し、20mlのメタノールに溶解させた1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gを加えた。室温で2時間攪拌後、イオン交換水50mlを加えクロロホルムで抽出した。得られた有機層を水で洗浄後、40℃で減圧留去し、得られた結晶をメタノール/酢酸エチル溶媒で再結晶した。これにより化合物D−2を5.0g得た。
【0276】
D−4は、特開2007−210904号公報の実施例に記載の方法に準じて合成した。
【0277】
D−5は、以下の方法により合成した。
2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール10.0gをTHF400mlに溶解し、窒素雰囲気下、n−ブチルリチウム(1.65Mヘキサン溶液)18.7mlを0℃で加えた。0℃で1時間攪拌後、その反応溶液を1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルジフロリド9.28gのTHF100ml溶液に0℃で30分かけて滴下した。滴下後、更に30分攪拌し、蒸留水100mlと酢酸エチル200mlを加え、有機層を飽和食塩水で2回洗浄した。溶媒を留去し、メタノール100mlと1規定水酸化ナトリウム水溶液200mlを加え1時間攪拌し、メタノールを留去した後に、酢酸エチル200mlを加え有機層を飽和食塩水で2回洗浄した。溶媒を留去し、得られた固体をメタノール100ml溶解させ、トリフェニルスルホニウムブロミド10.0gを加え1時間攪拌した。溶媒を留去した後に、酢酸エチルを加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、溶媒を留去することで、19.5gのD−5を得た。
【0278】
〔5.パターン形成〕
表4に記載の各組成物を用い、円盤状のSi基板上に、スピンコート(1100rpm)でレジスト膜を形成した後、ベーク(PB)(130℃、90sec)を行うことで、膜厚40nmの膜とした。次いで、該基板を特許第4109085号公報の図3で表される装置に設置し、基板を回転させながら電子線描画を行った。
描画終了後、ベーク(PEB)(130℃、120sec)を行い、基板を2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像し、その後純水でリンスすることで、基板上に30nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを形成した。
得られたレジストパターンを測長SEM装置(日立 S−9380)にて解析し、ラインとスペースが1:1になるところを観察し、30nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを解像する時の照射エネルギーを感度(Eopt)とした。この値が小さいほど、感度が高い。
また、上記感度でライン:スペース=1:1のパターンを解像する場合における、解像可能なラインの線幅の最小値を上記走査型電子顕微鏡により観察し、これを解像力とした。
また、ラインウィズスラフネス(LWR)は、30nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを、上記測長SEM装置を使用して観察し、線幅30nmのラインパターンの長さ方向50μmの範囲における任意の30点について線幅を測定し、その標準偏差から3σ(nm)を算出することで測定した。
なお、レジスト組成物19、20の解像力に関しては、それぞれ、線幅45nm、55nmまでのラインパターン形成となったことから、これらの値をそのまま掲載した。
【0279】
【表5】

【0280】
〔6.磁気記録媒体作成用スタンパーの作成〕
上記過程によりレジストパターンを形成したSi基板に対し、特開2008−162101号公報の図2A〜図2Bに記載の手順に沿って、反応性イオンエッチング(RIE)を行って磁気記録媒体作成用スタンパー原盤(マスターモールド)の作成、及びそれを用いて石英製のモールド構造体(レプリカモールド)を作成した。
【0281】
〔7.半導体回路作成用モールドの作成(その1)〕
表4に記載のレジスト組成物1〜43を用い、回転露光の代わりにx−y走査による露光(加速電圧50kV、ビーム径5nm)に代えた以外は前記5.における露光方法と同様にしてパターン形成を行ったところ、前記表5と同程度の良好な感度、解像力、LWRでレジストパターン形成を行うことができた。
こうして形成されたレジストパターンをマスクにして、CHF/Ar混合ガス(体積混合比1:4)によるエッチングを行い、その後レジストパターンを除去することで、凹凸パターンを有するモールド(マスターモールド)を得た。
その後、石英基板上に、硬化性組成物(光硬化性樹脂:PAK−01、東洋合成工業株式会社製)を塗布し、インプリントレジスト層を形成した。該インプリントレジスト層に上記マスターモールドで光インプリントを行った後、O/Ar混合ガス(体積混合比1:4)によるパターン間残膜除去のためのエッチング、CHF/Ar混合ガス(体積混合比1:4)による石英エッチングを行い、洗浄した後、シランカップリング剤による離型処理を行った。以上により、石英製のモールド(スタンパー)を作製した。
なお、上記7.において、レジストパターン形成と、CHF/Ar混合ガス(体積混合比1:4)によるエッチング工程との間に、レジストパターンに加速電圧1kV、露光量1mC/cmの条件で電子線キュアを行う工程を追加したところ、電子線キュアを行わない場合に比べてLWRを0.5nm程度良化することができた。
【0282】
〔8.半導体回路作成用モールドの作成(その2)〕
表4に記載のレジスト組成物1〜43を用い、回転露光の代わりにx−y走査による露光(加速電圧50kV、ビーム径5nm)に代え、基板として表面にCr層を有する石英基板を用いた以外は前記5.における露光方法と同様にしてパターン形成を行ったところ、前記表5と同程度の良好な感度、解像力、LWRでレジストパターン形成を行うことができた。
こうして形成されたレジストパターンをマスクにして、Cl/O混合ガス(体積混合比4:1)によるCrエッチングを行い、更に、CHF/Ar混合ガス(体積混合比1:4)による石英エッチングを行い、レジスト、及び、Crパターンを除去・洗浄した後、シランカップリング剤による離型処理を行った。以上の工程により、モールド(スタンパー)を作成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールド作成に用いられることを特徴とする、化学増幅型レジスト組成物。
【請求項2】
前記モールドが、情報記録媒体の作成用途に用いられるモールドであることを特徴とする、請求項1に記載の化学増幅型レジスト組成物。
【請求項3】
前記モールドが、半導体微細回路形成用途に用いられるモールドであることを特徴とする、請求項1に記載の化学増幅型レジスト組成物。
【請求項4】
前記レジスト組成物が、(A)酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂を含有し、該樹脂が、下記一般式(I)又は(II)で示される基を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【化1】


一般式(I)中、
、Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
Wは2価の有機基を表す。
はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
【化2】


一般式(II)中、R、R、Wは、一般式(I)におけるものと同義である。Rは、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
【請求項5】
前記レジスト組成物が、(A)酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂を含有し、該樹脂が、下記一般式(III)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
【化3】

一般式(III)中、
〜Rは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又はアルキル基を表す。
は酸の作用により脱離する基を表す。
Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【請求項6】
前記樹脂(A)が、更に、下記一般式(IV)〜(VI)から選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位を有することを特徴とする、請求項4又は5に記載の化学増幅型レジスト組成物。
【化4】

式中、R04、R05及びR07〜R09は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
06は、シアノ基、カルボキシル基、−CO−OR25又は−CO−N(R26)(R27)を表す。R26とR27が結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。
〜Xは、各々独立に、単結合、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−SO−、−CO−、−COO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。
25は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
26、R27及びR33は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
Bは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生じる構造部位を表す。
【請求項7】
前記レジスト組成物が、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有し、該化合物(B)が、下記一般式(a)で表される酸を発生する化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
【化5】

式(a)中、R1a、R2a、R3aは、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、Mは単結合又は2価の連結基を表す。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物を用いて基板上にパターンを形成する工程と、該パターンをマスクとしてエッチング処理を行う工程を有することを特徴とする、モールドの作成方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物により形成されるレジスト膜。

【公開番号】特開2011−186418(P2011−186418A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142062(P2010−142062)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】