説明

化粧品組成物

【課題】改善された肌触り特性をもたらす化粧品組成物を提供すること。
【解決手段】(i)0.1%〜15%の、平均粒径が少なくとも20ミクロンの、ポリオキシアルキレン単位が欠けている非乳化型架橋シロキサンエラストマーと、(ii)0.1%〜15%の、1つ以上のポリオキシアルキレン単位を有する乳化型架橋シロキサンエラストマーと、(iii)10%〜80%の、架橋シロキサンエラストマーを懸濁し、膨潤させて、弾性のあるゲル様網状組織またはマトリックスを提供する溶媒であって、非極性で揮発性の油、比較的極性で不揮発性の油および非極性で不揮発性の油から成る群から選択される溶媒と、(iv)0%を超え30%以下の多価アルコールと、(v)0%を超え85%以下の水とを含む化粧品組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願に対する相互対照〕
本出願は、米国仮特許出願第60/217,211号(2000年7月10日出願)および米国仮特許出願第60/276,998号(2001年3月19日出願)の利益を主張するものである。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、非乳化型および乳化型架橋シロキサンエラストマーの組合せを含む化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
〔発明の背景〕
有機エステル類および炭化水素類を含む皮膚軟化剤、特にワセリンは、長い間、皮膚コンディショニング剤として医薬品で使用されてきた。これらの物質は、水だけに次ぐ、最適な保湿成分である。それらは、主に閉鎖性の障壁として働く。
ヒトの皮膚角質層外層の水分含有量は、乾燥した皮膚症状の外観に関与する支配要因である。角質層が10〜20パーセントの範囲の十分な量の水を含むときには、皮膚は柔軟性を残している。しかし、水分含有量が10パーセントを下回ると、角質層は、しばしば脆くザラザラになり、鱗屑状剥離(scaling)およびひび割れを示すことがある。
【0004】
角質層は、拡散によって表皮の深層から、または水と直接接触するときに、その水分を受け取る。拡散プロセスは、皮膚の水分含有量ならびに濃度勾配によって調節される。非常に乾燥した環境では、外側の皮膚層からの水分喪失量が著しく、しばしば拡散による交換速度を超えることがある。皮膚の表面に置かれる閉鎖性または半閉鎖性障壁物質は、環境への水の喪失を遅らせるように作用する。それがまた、拡散メカニズムにより皮膚表面の潤いを取り戻させる。
多くの有効かつ経済的な皮膚コンディショニング剤があるが、それでもそれらにはある欠点がある。
【0005】
皮膚軟化剤型は、しばしば油中水型エマルションとして放出される。長期間の保存安定性を保証するのに十分な程度に油相と水相の間の決定的な配合バランスを達成するのは難しい。この決定的なバランスの一部分は、内部相の容量である。系を生成し安定化させる、化学的および物理的相互作用を最大限にするには、決定的な容量が得られなければならない。この決定的な容量が適切にバランスを取っていないと、製品が粘度変化を起こし、最終的には相分離を起こす可能性がある。通常、最適な容量はかなり大きいものであり、それが外相の容量サイズを制限し、系に、突っ張った望ましくない緩やかな破断特性を与える。この決定的な内相容量の制限が、機能性を低減させ、望ましくない肌触り特性を増加させる可能性がある。
比較的高レベルの水ベース保湿成分(例えばグリセリン)を担持するには、新しい系が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の一態様は、改善された肌触り特性をもたらす化粧品組成物を提供することである。
本発明の他の態様は、凍結/融解サイクル下でさえ、相分離に対して安定性を有する、皮膚処置組成物を提供することである。
本発明のさらに他の態様は、初めて皮膚に適用するときに、滑らかで突っ張り感なく擦り込める、皮膚処置組成物を提供することである。
前述およびその他の本発明の態様は、以下の要約および詳細な説明を考慮することでより容易に明らかとなろう。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明は
(i)0.1%〜15%の、平均粒径が少なくとも20ミクロンの、ポリオキシアルキレン単位が欠けている非乳化型架橋シロキサンエラストマーと、
(ii)0.1%〜15%の、1つ以上のポリオキシアルキレン単位を有する乳化型架橋シロキサンエラストマーと、
(iii)10%〜80%の、架橋シロキサンエラストマーを懸濁し、膨潤させて、弾性のあるゲル様網状組織またはマトリックスを提供する溶媒であって、非極性で揮発性の油、比較的極性で不揮発性の油および非極性で不揮発性の油から成る群から選択される溶媒と、
(iv)0%を超え30%以下の多価アルコールと、
(v)0%を超え85%以下の水とを含む化粧品組成物に関する。
【0008】
〔詳細な説明〕
本明細書で使用するとき、「化粧品」という用語は、メークアップ製品、ファンデーション製品、およびスキンケア製品を含む。「メークアップ」という用語は、ファンデーション、黒または茶色、すなわち、マスカラ、コンシーラー(concealer)、アイライナー、眉墨(brow color)、アイシャドー、頬紅(blusher)、口紅(lip paint)、パウダー、固体エマルションコンパクトなどを含む、顔に色を付ける製品を差す。「スキンケア製品」とは、皮膚を処置または手入れし、または何らかの形で保湿、改善、または清浄化するために使用する製品である。「スキンケア製品」という語が意図する製品としては、絆創膏、包帯、練り歯磨き、無水閉鎖性保湿剤、制汗剤、防臭剤、身体洗浄製品、粉末洗濯洗剤、布帛柔軟タオル、閉鎖性薬物送達パッチ、マニキュア液、パウダー、ティッシュ、拭取り布、無水ヘアコンディショナー、髭剃りクリームなどが挙げられるが、これに限定されない。「ファンデーション」という用語は、皮膚の全体的な色を均等にするための、化粧品会社によって製造または再導入される液体、クリーム、ムース、パンケーキ、コンパクト、コンシーラー(concealer)などの製品を差す。ファンデーションは、保湿し過ぎた皮膚および/または油分を与えた皮膚に、より効果を示すように製造される。本明細書で使用するとき、「過剰な水分」とは、ヒトの皮膚上に、望ましくない、かつ/または不健康なレベルの体液が付着していることを意味する。
【0009】
本明細書で使用するとき、「周囲条件」という用語は、特に指定しない限り、圧力約1気圧、相対湿度約50%、約25℃の環境条件を差す。
本明細書で使用するとき、「降伏点」という用語は、非指向性であり、応力を与えた流れに対する初期抵抗を差し、ハーケ応力レオメーター(Haake Controlled Stress Rheometer)RS150を用いて、35mm/4°円錐および平板で測定される。
本明細書で使用するとき、「含む」という用語は、組成物が、組成物と適合性があり、好ましくは本発明の組成物を実質的に分解しない他の成分を含むことができることを意味する。その用語は、「から成る」や「から本質的に成る」という用語を包含する。
特に指定しない限り、本明細書で用いるすべてのパーセントおよび割合は、組成物全体の重量を基準とする。特に指定しない限り、すべての重量パーセントは、活性物質の重量を基準とする。特に指定しない限り、すべての測定は、25℃で実施する。
【0010】
(架橋シロキサンエラストマー)
本発明の必須成分は、架橋オルガノポリシロキサンエラストマーである。架橋オルガノポリシロキサンエラストマーのための出発物質として働くことができる、硬化可能なオルガノポリシロキサン組成物の種類に対しては、特別な制限はない。この点に関しては、例えば、SiH含有ジオルガノポリシロキサンと、ケイ素が結合したビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの間の付加反応によって、白金金属触媒下で硬化する、付加反応−硬化型オルガノポリシロキサン組成物;ヒドロキシル終端型ジオルガノポリシロキサンとSiH含有ジオルガノポリシロキサンとの間の脱水素反応によって、有機スズ化合物の存在下で硬化する、縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物;ヒドロキシル終端型ジオルガノポリシロキサンと加水分解型オルガノシランとの縮合反応(この縮合反応の例は、脱水、アルコール遊離、オキシム遊離、アミン遊離、アミド遊離、カルボキシル遊離、およびケトン遊離反応によって例証される)によって、有機スズ化合物またはチタン酸エステルの存在下で硬化する、縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物;オルガノペルオキシド触媒の存在下で熱的に硬化する、過酸化物硬化型オルガノポリシロキサン組成物;およびガンマ線、紫外線、電子ビームなどによる高エネルギー放射によって硬化する、オルガノポリシロキサン組成物がある。
【0011】
付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、硬化速度が速く、硬化の均一性に優れているので好ましい。特に好ましい付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、
(A)各分子中に、少なくとも2つの低級アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、
(B)各分子中に、少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと、
(C)白金型の触媒とから調製される。
【0012】
前述の点に関しては、成分(A)は、シリコーンエラストマー生成オルガノポリシロキサンの基本成分であり、成分(C)による触媒作用下で、成分(A)と成分(B)との付加反応によって硬化が進行する。この成分(A)は、各分子中に、少なくとも2つのケイ素結合低級アルケニル基を含まなければならず、低級アルケニル基が2つ未満であれば、網状構造が形成されないので、十分に硬化した生成物が得られない。前記低級アルケニル基は、例えば、ビニル、アリル、およびプロペニルである。低級アルケニル基は、分子中のどの位置にも存在することができるが、分子終端に存在することが好ましい。この成分の分子構造は、直鎖、分枝状直鎖、環状、または網状とすることができるが、直鎖またはわずかに分枝状であるものが好ましい。その成分の分子量については、特に制限がなく、したがってその粘度は、低粘度の液体から、きわめて高粘度のゴムまでにすることができる。硬化生成物をゴム状エラストマーの形態で得るためには、25℃における粘度が少なくとも100センチストークであることが好ましい。これらのオルガノポリシロキサンとしては、例えば、メチルビニルシロキサン、メチルビニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ終端型ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ終端型ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ終端型ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ終端型ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ終端型ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ終端型メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、およびジメチルビニルシロキシ終端型ジメチルシロキサン−メチル(3,3,−トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマーがある。
【0013】
成分(B)は、各分子中に、少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、成分(A)のための架橋剤である。成分(C)による触媒作用下で、成分(B)中のケイ素結合水素原子が、成分(A)中の低級アルケニル基と付加反応することによって、硬化が進む。架橋剤として働くためには、この成分(B)は、各分子中に少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含まなければならない。さらに、成分(A)の各分子中のアルケニル基の数と、成分(B)の各分子中のケイ素結合水素原子の数との合計が、少なくとも5であるべきである。網状構造が本質的に形成されないので、5より低い値は避けるべきである。
【0014】
この成分の分子構造に関する特別な制限はなく、直鎖、分枝を含む直鎖、環状など、いずれでもよい。この成分の分子量には特に制限がないが、成分(A)との良い混和性を得るには、25℃での粘度が1〜50,000センチストークであることが好ましい。この成分中のケイ素結合水素原子の合計量と、成分(A)中のすべての低級アルケニル基の合計量との間のモル比が、1.5:1〜20:1の範囲内に入るような量で、この成分を加えることが好ましい。このモル比が0.5:1より低くなると、良い硬化特性を得るのが難しい。20:1を超えると、硬化生成物を加熱したときに、硬度が高いレベルに上昇する傾向がある。さらに、例えば補強の目的で、実質的なアルケニルを含むオルガノシロキサンを補助的に添加するときには、SiH含有成分の補助的添加が、これらのアルケニル基を相殺する量であることが好ましい。具体的には、この成分は、例えば、トリメチルシロキシ終端型メチル水素ポリシロキサン、トリメチルシロキシ終端型ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサンコポリマー、およびジメチルシロキサン−メチル水素−シロキサン環状コポリマーである。
【0015】
成分(C)は、ケイ素結合水素原子とアルケニル基の付加反応の触媒であり、具体的には、例えば、塩化白金酸、できれば、アルコールまたはケトン中に溶解し、任意選択で熟成させた塩化白金酸、塩化白金酸−オレフィン錯体、塩化白金酸−アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸−ジケトン錯体、白金黒、およびキャリア支持白金である。
この成分は、成分(A)と成分(B)の合計量の1,000,000重量部あたり、白金型金属プロパーとして、0.1〜1,000重量部で添加することが好ましく、1〜100重量部で添加することがより好ましい。前述の硬化可能なオルガノポリシロキサン組成物のための基礎を形成するオルガノポリシロキサン中のケイ素に結合できる他の有機基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチルなどのアルキル基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルなどの置換されたアルキル基;フェニル、トリル、キシリルなどのアリール基;フェニルエチルなどの置換されたアリール基;および、例えばエポキシ基、カルボン酸エステル基、メルカプト基などで置換した一価の炭化水素基である。
【0016】
オルガノポリシロキサンエラストマー粉末の製造例は、以下の通りである。
前述のオルガノポリシロキサン組成物(付加硬化型、縮合硬化型、または過酸化硬化型)を、界面活性剤(非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、または両性)の存在下で水と混合し、ホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザー、プロペラミキサーなどで混合して均一にした後、温水(温度は少なくとも50℃)中に放出して硬化させ、その後乾燥する;オルガノポリシロキサン組成物(付加硬化型、縮合硬化型、または過酸化硬化型)を直接加熱流に噴霧することによって硬化させる;高エネルギー放射下での噴霧による、放射硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化によって粉末を得る;オルガノポリシロキサン組成物(付加硬化型、縮合硬化型、または過酸化硬化型)または高エネルギー硬化型オルガノポリシロキサン組成物を、後者は高エネルギー放射によって硬化させ、次いでその生成物を、例えばボールミル、噴霧器、混練器、ロールミルなどの既知の粉砕機を用いて粉砕して、粉末を生成する。好適なオルガノポリシロキサンエラストマー粉末としては、信越(Shin-Etsu)のKSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−103、KSP−104、KSP−105などのビニルジメチコーン/メチコーン・シレスキオキサン(silesquioxane)クロスポリマー、信越(Shin-Etsu)のKSP−200などのフルオロアルキル基含有ハイブリッドシリコーン粉末、および信越(Shin-Etsu)のKSP−300などのフェニル基含有ハイブリッドシリコーン粉末、ならびにダウ・コーニング(Dow Corning)のDC9506が挙げられる。
【0017】
好ましいオルガノポリシロキサン組成物は、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマーである。そのようなジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマーは、ダウ・コーニング(Dow Corning)(DC9040およびDC9041)、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)(SFE839)、信越(Shin Etsu)(KSG−15、16、18[ジメチコーン/フェニルビニルジメチコーンクロスポリマー])、グラント・インダストリーズ(Grant Industries)(グランシル(Gransil)(商標)系列の材料)、および信越(Shin Etsu)から供給されているラウリルジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー(例えば、KSG−31、KSG−32、KSG−41、KSG−42、KSG−43、およびKSG−44)を含む様々な供給元から供給されている。本発明およびその製造プロセスで有用な架橋オルガノポリシロキサンエラストマーについては、さらに、米国特許第4,970,252号(サクタ(Sakuta)他、1990年11月13日発行)、米国特許第5,760,116号(キルガー(Kilgour)他、1998年6月2日発行)、米国特許第5,654,362号(シュルツ・ジュニア(Schulz, Jr.)他、1997年8月5日発行)、および日本特許出願特開昭61−18708(ポーラ化成工業(Pola Kasei Kogyo KK)に譲渡)に記載されており、それぞれの全体を参照として本明細書に組み込む。
【0018】
本発明の組成物は、乳化型と非乳化型の架橋オルガノポリシロキサンエラストマーの組合せを含む。本明細書で使用するとき、「非乳化型」という用語は、ポリオキシアルキレン単位が欠けている架橋オルガノポリシロキサンエラストマーとして定義する。本明細書で使用するとき、「乳化型」という用語は、少なくとも1つのポリオキシアルキレン単位を有する架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを意味する。乳化型架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、特に、米国特許第5,412,004号(1995年5月2日発行)、同第5,837,793号(1998年11月17日発行)、同第5,811,487号(1998年9月22日発行)に記載の架橋ポリマーから選択することができる。なお、これらすべての特許の全体を、参照として本明細書に組み込む。
特に有用な乳化型エラストマーは、ジビニル化合物から形成されるポリオキシアルキレン変性エラストマー、特に、ポリシロキサン主鎖上のSi−H結合と反応する、少なくとも2つの遊離ビニル基を有するシロキサンポリマーである。エラストマーが、分子的に球形のMQ樹脂上のSi−H部によって架橋された、ジメチルポリシロキサンであることが好ましい。
【0019】
本発明の非乳化型架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、10パス未満で、ソノレータ(Sonolator)を介して、シロキサンエラストマーのための溶媒の存在下での高剪断(約5,000psi)処置によってさらに処理することが好ましい。ソノレーション(Sonolation)により、ホリバ(Horiba)のLA−910で測定して(以下で説明する)、エラストマーの平均粒径が少なくとも20(または約20)〜約200ミクロン、好ましくは約30〜約150ミクロン、より好ましくは40(または約40)〜約95ミクロン、最も好ましくは約50〜約90ミクロンの組成物が得られる。本明細書で使用するとき、エラストマーの「粒径」という用語は、膨潤した状態のエラストマーの粒径を表す。本明細書で使用するとき、「膨潤した」とは、エラストマー粒子が、その溶媒化合物の吸収効果によって、通常の径および形状を超えて拡張していることを意味する。粘度は、ブルックフィールド(Brookfield)LV粘度計(サイズ4bar、60rpm、0.3sec)によって25℃で測定したとき、20,000(または約20,000)〜約6,000,000の範囲内、好ましくは約25,000〜約4,000,000、より好ましくは約30,000〜約3,000,000、最も好ましくは約40,000〜約2,000,000、最適には約60,000〜約1,500,000cpsが最良である。
【0020】
理論に制限するものではないが、本発明者らは、非乳化型エラストマー/溶媒ゲルを組み込み、非乳化型架橋オルガノポリシロキサンエラストマーの平均粒径が、10ミクロンより大きく(または約10ミクロンより大きく)かつ/または粘度が20,000cpsより大きい組成物が、改善された滑らかさ、ならびに改善された一様かつ均一な被膜内粒子(例えば顔料)分布を提供する(すなわち、そのような粒子が被膜から被膜/空気境界面内に、かつ/またはその境界面を横切って突き出しているのではなく、固体粒子が被膜内かつ被膜全体にわたって分布したままである)と考えている。
【0021】
非乳化型架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを、再生処理しないことが好ましい。理論に制限するものではないが、再生処理により、本発明の肌触り利益を実現するのに必要であるよりも、大きいまたは小さい粒子を含む、広範囲な粒径分布が生成される。具体的には、ゲル球は、200ミクロンより大きいシリコーンエラストマー粒子から得られることが多いが、10ミクロンより小さいエラストマー粒子は、肌触りおよび粘度利益を低減させる。そのような粒径分布は、すべてのエラストマー粒子材料が処理全体にわたって同じ剪断力を受けなかった結果生じる。通常、再生処理を行うと、粒子の一部だけが剪断を受け、その後これらの剪断を受けた粒子が処理の開始点に戻され、残りの剪断を受けていない粒子と混合される。同様に、次のサイクルは、この粒子混合物の一部分だけが剪断を受けた状態で始まり、その後、新たに剪断を受けた混合粒子が処理の開始点に戻され、残りの剪断を受けていない粒子混合物と合わせられる。かなりの再生処理の後でさえ、高度な剪断を受けた粒子がある一方で、実際に剪断を受けていない粒子もあることが重要である。その結果、本発明を実現するのに必要であるよりも、大きい粒子と小さい粒子の両方を含む、粒径の幅が生じる。
【0022】
それに対し、前述のように、別の経路処理により、確実にすべての粒子が剪断を受け、ならびに各処理実行または経路で同じ剪断を受ける。さらに具体的には、すべての粒子が同じ剪断力を受けるまでは、処理実行または経路が完了しない。したがって、特定の粒径に関する「再生処理」によって生成したときよりも、粒径分布が狭まる。その結果、ゲル球の形成と粘度、ならびに肌触りと粘度の間のバランスが良くなる。
非乳化型架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、約0.1重量%〜約15重量%、最適には約1重量%〜約10重量%、最も好ましくは約3重量%〜約8重量%の濃度で本発明の組成物中に存在する。
乳化型架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、約0.1重量%〜約15重量%、最適には約1重量%〜約10重量%、最も好ましくは約3重量%〜約8重量%の濃度で本発明の組成物中に存在する。
【0023】
(非乳化型および乳化型架橋シロキサンエラストマーのための溶媒)
本発明の組成物は、前述した架橋オルガノポリシロキサンエラストマーのための溶媒を含む。本発明の架橋オルガノポリシロキサンエラストマー粒子と合わせると、溶媒は、エラストマー粒子を懸濁し、膨潤させる働きをして、弾性のあるゲル様網状組織またはマトリックスを提供する。架橋シロキサンエラストマーのための溶媒は、周囲条件下で液体であり、皮膚上への広がりが改善されるように低粘度であることが好ましい。
本発明の化粧品組成物中の溶媒の濃度は、主に、使用する溶媒および架橋シロキサンエラストマーの、種類および量によって変わる。溶媒の濃度は、組成物の10重量%〜80重量%、好ましくは約30重量%〜約70重量%である。
【0024】
架橋シロキサンエラストマーのための溶媒は、ヒトの皮膚への局所適用に好適な1つ以上の液体キャリアを含む。これらの液体キャリアは、有機でも、ケイ素含有またはフッ素含有でも、揮発性または不揮発性でも、極性または非極性でもよく、液体キャリアが、温度約28℃〜約250℃、好ましくは約28℃〜約100℃、好ましくは約28℃〜約78℃において、選択されたシロキサンエラストマー濃度で、選択した架橋シロキサンエラストマーと、溶液、または他の均質液体、または液体分散を生成する。架橋シロキサンエラストマーのための溶媒の溶解度パラメータが、約3〜約13(cal/cm30.5、より好ましくは約5〜約11(cal/cm30.5、最も好ましくは約5〜約9(cal/cm30.5であることが好ましい。液体キャリアまたは他の材料に関する溶解度パラメータ、ならびにそのようなパラメータを決定する手段は、化学分野では周知である。溶解度パラメータの記載およびその決定手段については、C.D.ボーガン(Vaughan)、「製品、包装、浸透、および保存における溶解度の影響(Solubility Effects in Product, Package, Penetration and Preservation)」、コスメティクス・アンド・トイレタリーズ(Cosmetics and Toiletries)、103巻の47〜69(1988年10月)、および、C.D.ボーガン(Vaughan)、「化粧品の配合における溶解度パラメータの使用(Using Solubility Parameters in Cosmetics Formulation)」、化粧品化学協会誌(J. Soc. Cosmetic Chemists)、36巻の319〜333(1988年9月/10月)に記載されており、これらの文献を参照により本明細書に組み込む。
【0025】
本発明で用いられる溶媒は、非極性で揮発性の油、比較的極性で不揮発性の油および非極性で不揮発性の油から成る群から選択される。これらの油は、それぞれ下文でさらに完全に説明する。本明細書で使用するとき、「不揮発性」という用語は、1気圧、25℃にて約0.2mmHg以下の蒸気圧を示す材料、および/または1気圧での沸点が少なくとも約300℃の材料を差す。本明細書で使用するとき、「揮発性」という用語は、本明細書で前に定義した「不揮発性」でないすべての材料を差す。本明細書で使用するとき、「比較的極性」という語は、溶解度パラメータの点で他の材料より極性があることを意味し、溶解度パラメータが高いほど液体の極性が強い。「非極性」という用語は、通常、材料の溶解度パラメータが約6.5(cal/cm30.5より小さいことを意味する。
【0026】
1.非極性の揮発性油
非極性の揮発性油は、本発明の組成物にきわめて望ましい審美的特性を与える傾向にある。したがって、非極性の揮発性油をかなり高いレベルで用いることが好ましい。本発明で特に有用な非極性の揮発性油は、シリコーン油、炭化水素、およびこれらの混合物から成る群から選択される。そのような非極性の揮発性油については、例えば、「化粧品、科学、および技術(Cosmetics, Science, and Technology)」、第1巻、27〜104(1972年、バルサム(Balsam)およびサガリン(Sagarin)編)に開示されている。本発明で有用な非極性の揮発性油は、飽和でも不飽和でも、脂肪族形質を有しても、直鎖でも分枝鎖でもよく、または脂環式または芳香族環を含んでもよい。好ましい非極性で揮発性の炭化水素の例としては、イソドデカンやイソデカンなどのポリデカン類(例えばプレスパース社(Presperse Inc.)から入手可能なパーメチル(Permethyl)−99A)、ならびにC7〜C8からC12〜C15イソパラフィン(エクソン・ケミカルズ(Exxon Chemicals)から入手可能なイソパール(Isopar)シリーズなど)が挙げられる。非極性で揮発性の液体シリコーン油については、米国特許第4,781,917号(ルーベ(Luebbe)他、1988年11月1日発行)に開示されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。さらに、様々な揮発性シリコーン材料について、トッド(Todd)他、「化粧品用揮発性シリコーン流体(Silicone Fluids for Cosmetics)」、コスメティクス・アンド・トイレタリーズ(Cosmetics and Toiletries)、91巻:27〜32(1976年)に見出され、その全体を参考として本明細書に組み込む。特に好ましい揮発性シリコーン油は、以下の式に相当する環式揮発性シリコーンから成る群から選択される。
【0027】
【化1】

【0028】
式中、nは約3〜約7である。直鎖揮発性シリコーンは以下の式に相当する。
(CH33Si−O−[Si(CH32−O]m−Si(CH33
式中、mは約1〜約7である。直鎖揮発性シリコーンの粘度は、一般的には25℃で約5センチストーク未満である一方、環状シリコーンの粘度は、25℃で約10センチストーク未満である。揮発性シリコーン油のきわめて好ましい例としては、様々な粘度のシクロメチコン、例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning)200、ダウ・コーニング244、ダウ・コーニング245、ダウ・コーニング344、およびダウ・コーニング345(ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corp.)から市販);SF−1204およびSF−1202シリコーン流体(G.E.シリコーンズ(G. E. Silicones)から市販)、GE7207および7158(ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Co.)から市販);ならびに、SWS−03314(SWSシリコーン・コーポレーション(SWS Silicones Corp.)から市販)が挙げられる。
【0029】
2.比較的極性のある不揮発性油
不揮発性油は、上で議論した非極性の揮発性油に比べて、「比較的極性」である。したがって、不揮発性の共溶媒は、少なくとも1つの非極性の揮発性油より極性がある(すなわち、溶解度パラメータが高い)。本発明で潜在的に有用な、比較的極性のある不揮発性油については、例えば、化粧品、科学、および技術(Cosmetics, Science, and Technology)、第1巻、27〜104(1972年、バルサム(Balsam)およびサガリン(Sagarin)編)、米国特許第4,202,879号(シェルトン(Shelton)、1980年5月13日発行)、および同第4,816,261号(ルーベ(Luebbe)他、1989年3月28日発行)に開示されており、これらすべての全体を、参考として本明細書に組み込む。本発明で有用な比較的極性のある不揮発性油は、シリコーン油、炭化水素油、脂肪族アルコール、脂肪酸、一塩基および二塩基カルボン酸と一価および多価アルコールとのエステル、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンと脂肪族アルコールのポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンエーテルの混合物およびこれらの混合物から成る群から選択することが好ましい。本発明で有用な、比較的極性のある不揮発性共溶媒は、飽和でも不飽和でも、脂肪族形質を有しても、直鎖でも分子鎖でもよく、または脂環式または芳香族環を含んでもよい。比較的極性のある不揮発性液体共溶媒が、約12〜26個の炭素原子を有する脂肪族アルコール;約12〜26個の炭素原子を有する脂肪酸;一塩基カルボン酸と約14〜30個の炭素原子を有するアルコールとのエステル;二塩基カルボン酸と約10〜30個の炭素原子を有するアルコールとのエステル;多価アルコールと約5〜26個の炭素原子を有するカルボン酸とのエステル;約12〜26個の炭素原子を有する、エトキシル化およびプロポキシル化度が約50未満の脂肪族アルコールの、エトキシル化エーテル、プロポキシル化エーテル、およびエトキシル化とプロポキシル化の混合エーテル;およびこれらの混合物から成る群から選択されることがより好ましい。プロポキシル化度が約50未満のC14〜C18脂肪族アルコールのプロポキシル化エーテル、C2〜C8アルコールとC12〜C26カルボン酸とのエステル(例えば、エチルミリステート、パルミチン酸イソプロピル)、C12〜C26アルコールと安息香酸とのエステル(例えば、ファインテックス(Finetex)から販売されているファインソルブ(Finsolv)TN)、C2〜C8アルコールと、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸とのジエステル(例えば、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、ジ−n−フタル酸ブチル)、C6〜C26カルボン酸の多価アルコールエステル(例えば、ジカプリン酸/ジカプリル酸プロピレングリコール、イソステアリン酸プロピレングリコール)、およびこれらの混合物がより好ましい。約12〜26個の炭素原子を有する分枝鎖脂肪族系脂肪族アルコールがさらに好ましい。イソセチルアルコール、オクチルデカノール、オクチルドデカノール、およびウンデシルペンタデカノールがより好ましく、オクチルドデカノールが最も好ましい。このような好ましい脂肪族系脂肪族アルコールは、溶媒の平均溶解度を調整するための、本明細書で述べた揮発性液体シリコーン油との組合せで特に有用である。
【0030】
3.非極性の不揮発性油
上記で議論した液体に加えて、架橋シロキサンエラストマーのための溶媒は、任意で、非極性の不揮発性油を含むことができる。典型的な不揮発性で非極性の皮膚軟化剤については、例えば、化粧品、科学、および技術(Cosmetics, Science, and Technology)、第1巻、27〜104(1972年、バルサム(Balsam)およびサガリン(Sagarin)編);米国特許第4,202,879号(シェルトン(Shelton)、1980年5月13日発行)、および同第4,816,261号(ルーベ(Luebbe)他、1989年3月28日発行)に開示されており、両方を参考として本明細書に組み込む。本発明で有用な不揮発性油は、本質的に不揮発性のポリシロキサン、パラフィン系炭化水素油、およびこれらの混合物である。本発明で有用なポリシロキサンは、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、およびこれらの混合物から成る群から選択される。これらの例としては、25℃で粘度が約1〜約100,000センチストークのポリジメチルシロキサンが挙げられる。本組成物中で有用な好ましい不揮発性シリコーン皮膚軟化剤には、25℃で粘度が約2〜約400センチストークのポリジメチルシロキサンがある。このようなポリアルキルシロキサンとしては、ビスカシル(Viscasil)シリーズ(ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)から販売)、およびダウ・コーニング(Dow Corning)200シリーズ(ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)から販売)が挙げられる。ポリアルキルアリールシロキサンには、25℃で粘度が約15〜約65センチストークのポリメチルフェニルシロキサンが含まれる。これらは、例えば、SF1075メチルフェニル流体(ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)から販売)、および556化粧品グレード流体(ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)から販売)として入手可能である。有用なポリエーテルシロキサンコポリマーとしては、例えば、25℃で粘度が約1200〜1500センチストークのポリオキシアルキレンエーテルコポリマーが挙げられる。このような流体は、SF1066オルガノシリコーン界面活性剤(ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)から販売)として入手可能である。ポリシロキサンエチレングリコールエーテルコポリマーは、本組成物での使用に好ましいコポリマーである。
【0031】
本発明で有用な不揮発性のパラフィン系炭化水素油には、鉱油および特定の分枝鎖炭化水素が含まれる。これらの流体の例が、米国特許第5,019,375号(タナー(Tanner)他、1991年5月28日発行)に開示されており、その全体を参考として本明細書に組み込む。好ましい鉱油は、以下の特性を有する。
(1)40℃で粘度が約5〜約70センチストーク、
(2)25℃で密度が約0.82〜0.89g/cm3
(3)引火点が約138〜約216℃、
(4)炭素鎖長が炭素原子約14〜約40個。
好ましい分枝鎖炭化水素油は、以下の特性を有する。
(1)20℃で密度が約0.79〜約0.89g/cm3
(2)沸点が約250℃より高い、
(3)引火点が約110〜約200℃。
【0032】
特に好ましい分枝鎖炭化水素としては、パーメチル・コーポレーション(Permethyl Corporation)から購入可能な、平均約24個の炭素原子を含むパーメチル(Permethyl)103A、平均約68個の炭素原子を含むパーメチル(Permethyl)104A、平均約20個の炭素原子を含むパーメチル(Permethyl)102A、ならびに、エチル社(Ethyl Corp.)から購入可能な、30個の炭素原子と40個の炭素原子の混合物を含むエチルフロー(Ethylflo)364が挙げられる。
本発明で有用な他の溶媒については、米国特許第5,750,096号(ジェラルド・J・ガスキー((Gerald J. Guskey)他、1998年5月12日発行)に記載されており、その全体を参考として本明細書に組み込む。
【0033】
(水)
本発明の化粧品組成物は、0%を超え85%以下、好ましくは約5%〜約85%、最も好ましくは約10%〜約85%の水を含むことが好ましい。
【0034】
(光沢調節剤)
皮膚の光沢のある外観の状態を改善および/または調節する化粧品製品は、ますます消費者の人気を得ており、本明細書では「光沢調節剤」と呼ぶ。
本発明の組成物中に、光沢調節剤を含めることができる。
頻繁に起こる望ましくない状態は、「オイリースキン」であり、これは皮膚上に分泌された皮脂と汗の量が過剰なために起こる。皮脂は、主に、スクアラン、トリグリセリド、脂肪酸、およびワックスエステルで構成される油性混合物である。皮脂は、皮膚の脂腺で生成される。オイリースキンは、光沢のある望ましくない外観、および触覚的な不快感に関連する。汗の主成分は水であり、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの微量の無機塩を溶解している。
【0035】
典型的には、光沢調節剤は、本来多孔質である。これらの薬剤は、皮膚に適用されると、孔の中に過剰な水分を吸収するリザーバとなり、その結果皮膚上の目に見える水分量を低減させる。
理論に制限されないで、有効な多孔質吸収材料を、非吸収性の球形材料と組合せて使用することが好ましいと考えられている。非吸収性の球形材料は、問題のある鏡面反射に対し反射の拡散効果を高め、皮膚に光学的変性を起こさせて、皮膚の光沢のある外観を軽減させる。吸収体と非吸収性の球形粒子との組合せは、光沢調節が最適な製品の開発を可能にして、製品に最高の触覚感覚性能を与えるので好ましい。
【0036】
好適な光沢調節剤としては、シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、タルク、セリサイト、および様々な有機コポリマーが挙げられるが、これらに限るものではない。特に有効な光沢調節剤としては、炭酸塩またはケイ酸塩と、アルカリ(IA)金属、アルカリ土類(IIA)金属、または遷移金属との反応によって生成されるケイ酸塩または炭酸塩、ならびにシリカ(ニ酸化ケイ素)が挙げられる。好ましい光沢調節剤は、ケイ酸カルシウム、無定形シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、およびこれらの組合せから成る群から選択される。本発明で有用なケイ酸塩および炭酸塩のいくつかの具体例については、ヴァン・ノストランド・レインホールドの化学百科事典(Van Nostrand Reinhold's Encyclopedia of Chemistry)、第4版、155、169、556、および849ページ(1984年)でより詳細に説明されている。
【0037】
光沢調節剤の合成種、特にケイ酸塩が好ましい。本発明で有用な合成ケイ酸塩の例は、JMヒューバー(Huber)から入手可能な、ヒューバーソーブ(Hubersorb)250(登録商標)またはヒューバーソーブ(Hubersorb)600(登録商標)である。
主としてシリカを含む光沢調節剤は、水分および光沢調節のために使用するときには、主にケイ酸塩および/または炭酸塩を含む材料よりも好ましい。最も好ましいシリカは、効果的な水分吸収に加えて、良い肌触り特性に貢献することがわかっている、微小球および/または楕円体の形態である。本発明で有用なシリカ楕円体は、デュポン(DuPont)からゼレック(ZELEC)Silとして、コボ(Kobo)からシリカ・シェル(Silica Shells)として入手可能である。
【0038】
シリカ微小球は、コボ(Kobo)からMSS−500、MSS500/3、MSS−500H、MSS500/3N、MSS−500N、およびMSS500/3Nとして、プレスパース(Presperse)からスフィロン(Spheron)L1500、スフェロン(Spheron)P1500として入手可能である。シリカのフュームド種も、デグッサ(Degussa)のエアロシル(Aerosil)およびカボット(Cabot)のCab−O−Silと共に使用することができ、これらは両方共に特に有用である。
一連のケイ酸塩の中では、ケイ酸アルミニウムマグネシウムが有用であり、特にミヨシ化成(Miyoshi Kasei)から入手可能なセブマーゼ(Sebumase)が有用である。
【0039】
シリカ、特にシリカ楕円体およびシリカ微小球を、水分吸収の主な手段にするときには、吸収性粉末が、組成物の約1重量%〜約40重量%、より好ましくは約1重量%〜約25重量%、最も好ましくは約2重量%〜約10重量%のシリカを含むことが好ましい。
デンプンベースの材料も、光沢調節剤として使用することができる。
有用な例は、ナショナル・スターチ(National Starch)のナトロソーブ(Natrosorb)Wおよびナトロソーブ(Natrosorb)HFW、ならびに、ケミカル・カンパニー(Chemical Company)のドライフロー・プラス(DryFlo plus)およびドライフローAFピュア(DryFlo AF pure)である。
【0040】
メタクリレートベースの高分子材料も有用であることが判明している。それらは、ジメチコーンコポリマーと併せて、またはメタクリレートベースのコポリマーとして使用することができる。具体的には、有用な例は、エンハンスト・ダーム・テクノロジー(Enhanced Derm technologies)から入手可能な、マイクロスポンジ(Microsponge)5640w.グリセリン、ポリトラップ(Polytrap)6603;コボ(Kobo)のDSPCS−I2シリーズおよびSPCAT−I2;アムコール(Amcol)のポリ−ポア(Poly-Pore)200シリーズである。
任意であるが、本発明の組成物が、平均粒径が10ミクロン以上、好ましくは15ミクロンより大きい、より好ましくは20ミクロンより大きい球形粒子を含むことが好ましい。粒子直径は、初期粒子または1次粒子の粒径と理解されたい。
【0041】
好ましい球形粒子としては、これらに限るものではないが、メチルシルセスキオキサン樹脂微小球、例えば東芝シリコーン(Toshiba silicone)から商品名トスパール(Tospearl)145Aとして販売されているものなど;ポリメチルメタクリレートの微小球、例えばセピック(Seppic)から商品名マイクロパール(Micropearl)M100として販売されているものなど;架橋ポリジメチルシロキサンの球形粒子、特にダウ・コーニング・トーレ・シリコーン(Dow Corning Toray Silicone)から商品名トレフィル(Trefil)E506Cまたはトレフィル(Trefil)E505Cとして販売されているものなど、ポリアミドの球形粒子、より詳細にはナイロン(Nylon)12、特にアトケム(Atochem)から商品名オルガゾル(Orgasol)2002D Nat C05として販売されているものなど、ポリスチレン(polystyerene)微小球、例えばダイノ・パーティクルズ(Dyno Particles)から商品名ダイノスフィアズ(Dynospheres)として販売されているもの、コボ(Kobo)から商品名フロービード(FloBead)EA209として販売されているエチレンアクリレートコポリマー、およびこれらの混合物から選択されるポリマー系粒子が挙げられる。
コボ社(Kobo Inc)のロナンスフィア(Ronasphere)LDPも有用であることが判明している。
球形粒子が、約0〜約40%、より好ましくは約5〜約35%、最も好ましくは約8〜約30%の濃度で存在することが好ましい。
【0042】
(被膜形成剤)
被膜の実質性ならびに皮膚への接着に役立つように、任意で、本発明の組成物中に被膜形成剤を含むことができる。本組成物の長期装着および非遷移性能を改善することは全く望ましい。所望の最終利益を得るために、本組成物の内相および外相中で、水溶性、非水溶性、および水分散性の被膜形成剤を使用することができる。
組成物が、約0重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の被膜形成剤を含むことが好ましい。
【0043】
好適な被膜形成剤は、
1)有機シリコーン樹脂、フッ素化シリコーン樹脂、有機シリコーン樹脂のコポリマー、例えば、GEのトリメチルシロキシシリケート(SR1000)、GEのシリコーン樹脂のコポリマー、例えば、SF1318(シリコーン樹脂とイソステアリン酸コポリマーの有機エステル)およびCF1301(シリコーン樹脂とαメチルスチレンコポリマー)、ダウ・コーニング(Dow Corning)の感圧接着剤−シリコーン樹脂および様々のPDMS(BIO−PSAシリーズ)のコポリマーと、
2)アクリルおよびメタクリルポリマーおよび樹脂、シリコーンアクリレート型コポリマーおよびフッ素化種(3Mのシリコーン・プラス・ポリマー(silicones plus polymer)SA70、信越(Shin-Etsu)のKP545を含む)、アルキルアクリレートコポリマー、例えば信越(Shin-Etsu)のKP561および562と、
3)コラボレイティブ・ラボ(Collaborative Labs)のデセン/ブテンコポリマーと、
4)ポリビニルベース材料、例えば、ISPのアンタロン(Antaron)/ガネックス(Ganex)(PVP/トリアコンテン(Triacontene)コポリマー)、BASFのルビスコル(Luviskol)材料を含めた、PVP、PVP/VAと、
5)ポリウレタン、例えばこれらに限るものではないが、ポリダーム(Polyderm)PE/PA、ポリダーム(Polyderm)PPI−SI−WS、ポリダーム(Polyderm)PPI−GHを含むアルゾ(Alzo)のポリダーム(Polyderm)シリーズ、BASFのルビセット(Luviset)P.U.R.と、
6)ポリクアテルニウム材料、例えばBASFのルビクァット(Luviquat)シリーズと、
7)アクリレートコポリマー、およびアクリレート/アクリルアミドコポリマー、例えば共にBASFから入手可能なルビメール(Luvimer)およびウルトラホールド(Ultrahold)シリーズと、
8)スチレンベース材料と、
9)セルロースおよびセルロースベース材料を含めた、キトサンおよびキトサンベース材料とを含む。
このような被膜形成物質については、例えば、国際化粧品成分事典およびハンドブック(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)、第7版、第2巻、1636〜1638に開示されている。
【0044】
(皮膚コンディショニング剤)
任意で、本発明の組成物は、さらに皮膚コンディショニング剤を含むことができる。これらの剤は、保湿剤、剥脱剤、または皮膚軟化剤から選択することができる。
保湿剤は、保湿、鱗屑状剥離の軽減、および層状化した鱗屑状物の皮膚からの除去の促進を目的とする多価アルコールである。典型的な多価アルコールとしては、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオール、およびそれらの誘導体が挙げられる。例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン、およびこれらの混合物である。保湿剤がグリセリンであることが最も好ましい。多価アルコールの量は、0重量%を超え30重量%以下、好ましくは1重量%〜20重量%、最適には1重量%〜10重量%の範囲である。
【0045】
本発明による剥脱剤は、C2〜C30のα−ヒドロキシカルボン酸、β−ヒドロキシカルボン酸、およびこれらの酸の塩から選択することができる。最も好ましいのは、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、およびそれらのアンモニウム塩である。剥脱剤の量は、1重量%〜15重量%の範囲、好ましくは2重量%〜10重量%である。
多種多様なC2〜C30のα−ヒドロキシカルボン酸を使用することができる。その好適な例としては、
α−ヒドロキシエタン酸、
α−ヒドロキシプロパン酸、
α−ヒドロキシヘキサン酸、
α−ヒドロキシオクタン酸、
α−ヒドロキシデカン酸、
α−ヒドロキシドデカン酸、
α−ヒドロキシテトラデカン酸、
α−ヒドロキシヘキサデカン酸、
α−ヒドロキシオクタデカン酸、
α−ヒドロキシエイコサン酸、
α−ヒドロキシドコサン酸、
α−ヒドロキシヘキサコサン酸、および、
α−ヒドロキシオクタコサン酸が挙げられる。
【0046】
コンディショニング剤が皮膚軟化剤であるときには、それは、炭化水素、脂肪酸、脂肪族アルコール、およびエステルから選択することができる。イソノナン酸イソノニルは、最も好ましい炭化水素型の皮膚軟化コンディショニング剤である。使用できる他の炭化水素としては、鉱油、ポリデセンなどのポリオレフィン類、イソヘキサデカンなどのパラフィン類(例えば、パーメチル(Permethyl)99(登録商標)、パーメチル(Permethyl)101(登録商標))が挙げられる。本発明の組成物が、ワセリン、ラノリンおよびラノリン誘導体、ステロール(例えば、エトキシル化大豆ステロール)、高分子量ポリブテン、カカオバターなどの半固体炭化水素を、実質的に含まないことが好ましい。本明細書で使用するとき、「実質的に含まない」とは、半固体炭化水素の濃度が、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは2%未満、さらに好ましくは0であることを意味する。理論によって制限されずに、そのような半固体炭化水素は、本発明の油っぽくない軽い肌触りのような、シロキサンエラストマー組成物の感覚利益を覆い隠する傾向にある。
【0047】
脂肪酸およびアルコールは、10〜30個の炭素原子を有する。このカテゴリーの例は、ペラルゴン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸、およびアルコールである。
油性のエステル皮膚軟化剤は、以下の1以上の部類から選択することができる。
1)植物および動物性の脂肪および油などのトリグリセリドエステル。例としては、ヒマシ油、ベニバナ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、スクアラン、キクイ(Kikui)油、および大豆油が挙げられる。
2)アセチル化モノグリセリドなどのアセトグリセリドエステル。
3)エトキシル化グリセルルモノステアレートなどのエトキシル化グリセリド。
4)10〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルキルエステル。脂肪酸の、メチル、イソプロピル、およびブチルエステルが、本発明で有用である。例としては、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソヘキシル、アジピン酸ジヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、および乳酸セチルが挙げられる。
【0048】
5)10〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルエステル。その例としては、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイルが挙げられる。
6)エトキシル化脂肪族アルコールの脂肪酸エステルなどのエーテルエステル。
7)多価アルコールエステル。エチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノ−およびジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリグリセロール多脂肪性エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,2−ブチレングリコールモノステアレート、1,2−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、申し分のない多価アルコールエステルである。
【0049】
8)蜜蝋、鯨蝋、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリルなどのワックスエステル。
9)糖および関連材料の、C1〜C30モノエステルおよびポリエステルこれらのエステルは、糖またはポリオール部分、ならびに1以上のカルボン酸部分から誘導される。構成要素である酸および糖によっては、これらのエステルは室温で液体または固体形態をとることができる。液状エステルの例としては、グルコーステトラオレエート、大豆油脂肪酸(不飽和)のグルコーステトラエステル、混合大豆油脂肪酸のマンノーステトラエステル、オレイン酸のガラクトーステトラエステル、リノール酸のアラビノーステトラエステル、キシローステトラリノレート、ガラクトースペンタオレエート、ソルビトールテトラオレエート、不飽和大豆油脂肪酸のソルビトールヘキサエステル、キシリトールペンタオレエート、スクローステトラオレエート、スクロースペンタオレエート、スクロースヘキサオレエート、スクロースヘプタオレエート、スクロースオクタオレエート、およびこれらの混合物が挙げられる。固体エステルの例としては、カルボン酸エステル部分がモル比1:2のパルミトレエートおよびアラキデートである、ソルビトールヘキサエステル;カルボン酸エステル部分がモル比1:3のリノレエートおよびベヘネートである、ラフィノースのオクタエステル;エステル化カルボン酸部分がモル比3:4のヒマワリの種油脂肪酸およびリグノセレートである、マルトースのヘプタエステル;エステル化カルボン酸部分がモル比1:3のオレエートおよびベヘネートである、スクロースのオクタエステル;ならびに、エステル化カルボン酸部分がモル比1:3:4のラウレート、リノレート、およびベヘネートである、スクロースのオクタエステルが挙げられる。好ましい固体材料は、エステル化度が7〜8で、脂肪酸部分がC18モノ−および/またはジ−不飽和およびベヘン酸で、不飽和:ベヘン酸のモル比が1:7〜3:5のスクロースポリエステルである。特に好ましい固体糖ポリエステルは、分子中に約7のベヘン脂肪酸部分と約1のオレイン酸部分を有するスクロースのオクタエステルである。その他の材料としては、スクロースの綿実油または大豆油の脂肪酸エステルが挙げられる。エステル材料については、米国特許第2,831,854号、米国特許第4,005,196号(ジャンダセク(Jandacek)、1977年1月25日発行)、米国特許第4,005,195号(ジャンダセク(Jandacek)、1977年1月25日発行)、米国特許第5,306,516号(レットン(Letton)他、1994年4月26日発行)、米国特許第5,306,515号(レットン(Letton)他、1994年4月26日発行)、米国特許第5,305,514号(レットン(Letton)他、1994年4月26日発行)、米国特許第4,797,300号(ジャンダセク(Jandacek)他、1989年1月10日発行)、米国特許第3,963,699号(リッジ(Rizzi)他、1976年1月15日発行)、米国特許第4,518,772号(ボルペンハイン(Volpenhein)、1985年5月21日発行)、米国特許第4,517,360号(ボルペンハイン(Volpenhein)、1985年5月21日発行)にさらに記載されている。
【0050】
(固化剤)
本発明の化粧品組成物は、化粧品組成物で使用する特定の液体ベース材料を固化するのに有効な、1以上の材料を含むことができ、本明細書では、これを、単独または総称的に「固化剤」と呼ぶ。(本明細書で使用するとき、「固化」という用語は、周囲環境で固体または半固体形態を取るようにするための、すなわち、安定な物理構造を有し、通常の使用条件時に皮膚上に付着する最終組成物を形成するための、液体ベース材料の物理的および/または化学的変性を指す。)当業者に認識されているように、化粧品組成物で使用するための特定の固化剤の選択は、所望の組成物の特定の種類(すなわち、ゲルまたは蝋ベース物質)、所望のレオロジー、使用する液体ベース材料、および組成物で使用するその他の材料に依存する。固化剤が、約0〜約90%、より好ましくは約1〜約50%、さらに好ましくは約5〜約40%、最も好ましくは約1〜約15%の濃度で存在することが好ましい。
【0051】
好適な固化剤としては、キャンデリラ、カルナウバ蝋、蜜蝋、鯨蝋、カルナウバ、ベイスベリー(baysberry)、モンタン、地蝋、セレシン、パラフィンのような蝋状物質、フィッシャー・トロッシュ(Fisher-Tropsch)ワックス、シリコーンワックス(例えば、ダウ・コーニングのDC2503)、微結晶ワックスなどのような合成ワックス;高級脂肪酸(すなわち12〜22個の炭素原子を有する酸)のナトリウム塩およびカリウム塩などの石鹸類;高級脂肪酸アミド;アルキロルアミン(alkylolamine)の高級脂肪酸アミド;ジベンズアルデヒド−モノソルビトールアセタール;アセテート、プロピオネート、およびラクテートのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩;およびこれらの混合物が挙げられる。イナゴマメゴム、アルギン酸ナトリウム、カゼイン酸ナトリウム、卵アルブミン、ゼラチン寒天、カラゲニンゴム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、マルメロ種子抽出物、トラガカントガム、デンプン、化学修飾したデンプンなどの高分子材料;セルロースエーテル(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、可溶性デンプン、陽イオン性セルロース、陽イオン性グアーなどの半合成高分子材料;ならびにカルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールポリアクリル酸ポリマー、ポリメタクリル酸ポリマー、ポリビニルアセテートポリマー、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリ塩化ビニリデンポリマーなどの合成高分子材料も有用である。例えば、ベントナイト、またはポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールステアレートまたはジステアレートの混合物といったケイ酸アルミニウムのような無機増粘剤も用いてもよい。天然ポリマーまたは生体ポリマー、ならびにその使用については、欧州特許出願第522624号(ダンフィ(Dunphy)他)にさらに記載されている。天然ポリマーまたは生体ポリマーの他の例は、コスメティック・ベンチ・リファレンス(Cosmetic Bench Reference)の1.40〜1.42ページに見ることができ、それを参考として本明細書に組み込む。
【0052】
商品名カルボポール(Carbopol)(登録商標)樹脂としてB.F.グッドリッチ社(Goodrich Company)から販売されている、カルボキシビニルポリマーや、アクリル酸/エチルアクリル酸コポリマーなどの親水性ゲル化剤も、本発明に有用である。これらの樹脂は、本質的に、ポリアリルスクロースやポリアリルペンタエリスリトールなど、0.75〜2.00%の架橋剤で架橋したアクリル酸の、コロイド状水溶性ポリアルケニルポリエーテル架橋ポリマーから成る。例としては、カルボポール(Carbopol)934、カルボポール940、カルボポール950、カルボポール980、カルボポール951、およびカルボポール981が挙げられる。カルボポール(Carbopol)934は、各スクロース分子に平均約5.8個のアリル基を有する、スクロースのポリアリルエーテル約1%で架橋した、アクリル酸の水溶性ポリマーである。商品名カルボポール(Carbopol)ウルトレズ(Ultrez)10、カルボポールETD2020、カルボポール1382、カルボポール1342、およびペムレン(Pemulen)TR−1(CTFA表記:アクリル酸/10〜30アクリル酸アルキルクロスポリマー)として販売されているカルボマーも本発明での使用に有用である。前述のポリマーの組合せも、本発明で有用である。本発明での使用に好適な他のゲル化剤としては、トリヒドロキシステアリンなどのオレオゲルが挙げられる。
【0053】
疎水変性セルロースもまた、本発明での使用に好適である。これらのセルロースについては、米国特許第4,228,277号および同第5,104,646号に詳細に記載されており、共にその全体を参考として本明細書に組み込む。
好適なゲル化剤またはゲラントの追加的な例については、コスメティック・ベンチ・リファレンス(Cosmetic Bench Reference)の1.27ページに見ることができる。なお、それを参考として本明細書に組み込む。
【0054】
好適な固化剤のさらなる例については、米国特許第4,151,272号(ギアリー(Geary)他、1979年4月24日発行);米国特許第4,229,432号(ゲリア(Geria)、1980年10月21日発行);米国特許第4,280,994号(ターニー(Turney)、1981年7月28日発行);「ワックスの化学と技術(The Chemistry and Technology of Waxes)」、A・H・ワース(Warth)、第2版、1960年再版、レインホールド出版社(Reinhold Publishing Corporation)、391〜393、および421ページ;「石油化学産業(The Petroleum Chemicals Industry)」、R.F.ゴールドスタイン(Goldstein)とA.L.ワッディーム(Waddeam)、第3版(1967年)、E&F・N・スパン社(Span Ltd.)、33〜40ページ;「化粧品の化学と製造(The Chemistry and Manufacture of Cosmetics)」、M・G・デナベル(DeNavarre)、第2版(1970年)、バン・ノストランド・アンド・カンパニー(Van Nostrand & Company)、354〜376ページ;「化学技術百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」、第24巻、カーク・オスマー(Kirk-Othmer)、第3版(1979年)、466〜481ページ;米国特許第4,126,679号(デヴィ(Davy)他、1978年11月21日発行);欧州特許出願第117,070号(1984年8月29日公開);米国特許第2,900,306号(スレイター(Slater)、1959年8月18日発行)、米国特許第3,255,082号(バートン(Barton)、1966年6月7日発行);米国特許第4,137,306号(ルビノ(Rubino)他、1979年1月30日発行);米国特許第4,154,816号(ロール(Roehl)他、1979年5月15日発行);米国特許第4,226,889号(ユハス(Yuhas)、1980年10月7日発行);米国特許第4,346,079号(ロール(Roehl)、1982年8月24日発行);米国特許第4,383,988号(テング(Teng)他、1983年5月17日発行);欧州特許第107,330号(ルーベ(Luebbe)他、1984年5月2日公開);欧州特許第24,365号(サンプソン(Sampson)他、1981年3月4日公開);および米国特許出願第630,790号(ジピエトロ(DiPietro)、1984年7月13日出願)に開示されており、これらすべてを参考として本明細書に組み込む。
【0055】
本発明の組成物の硬度値が、TA−XT2iテキスチャ・アナライザ(以下で述べる)を使用して測定したときに、約25グラム重量まで、より好ましくは約0.5〜約20グラム重量、最も好ましくは約1〜約15グラム重量、最適には約1〜約10グラム重量であることが好ましい。理論に拘泥するものではないが、スティック硬度値が25グラム重量を超える組成物は、ポリシロキサンエラストマーによる被膜構造の形成に干渉し、したがって、滑らかさ、ならびに被膜中の粒子分布の改善された一様性および均一性を妨げると考えられている。このことは、言い換えれば、架橋ポリシロキサンエラストマー成分の感覚的利益に否定的に悪影響を及ぼす。
【0056】
(着色剤)
本発明のある実施形態は、無水顔料において、約0重量%〜約30重量%、好ましくは約1重量%〜約20重量%、より好ましくは約2重量%〜約15重量%、最も好ましくは約5重量%〜約15重量%の着色剤を含む。それらは通常、アルミニウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、またはレーキである。染料が約0〜約3%、パールなどが0〜約10%含まれることが好ましい。
本発明で有用な着色剤は、化粧品組成物での使用に好適な、すべての無機および有機着色剤/顔料である。使用する場合、本発明の口紅組成物中に組み込むときには、顔料を十分に分散させるために通常顔料は皮膚軟化剤中に分散されており、したがって色を均一に分布させる。レーキは、固体希釈剤によってのばされたまたは薄められた顔料、または、通常はアルミニウム水和物である吸収性表面上に水溶性染料を沈着させることによって調製される有機顔料である。可溶性染料がアルミニウム水和物の表面上に沈着して染色された無機顔料を生成するのか、または単に基材の存在下で沈着するのか、不確実な場合もある。酸性染料または塩基性染料からの不溶性塩の沈着によっても、レーキが形成される。本発明では、カルシウムレーキおよびバリウムレーキも使用する。
【0057】
本発明での使用に好適なレーキとしては、赤色3号アルミニウムレーキ、赤色21号アルミニウムレーキ、赤色27号アルミニウムレーキ、赤色28号アルミニウムレーキ、赤色33号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色6号アルミニウムレーキ、黄色10号アルミニウムレーキ、橙色5号アルミニウムレーキおよび青色1号アルミニウムレーキ、赤色6号バリウムレーキ、赤色7号カルシウムレーキが挙げられる。
リップスティックには、他の色素、例えば染料なども含むことができる。好適な例としては、赤色6号、赤色21号、茶色、ラセット染料、シエナ染料、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0058】
組成物中で使用する、顔料、着色剤、または充填剤粉末に関する特別な制限はない。それぞれ、体用顔料、無機白色顔料、無機着色顔料、パール化剤などにすることができる。特定の例は、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、赤色酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、ポリエチレン粉末、メタクリレート粉末、ポリスチレン粉末、シルク粉末、結晶性セルロース、デンプン、雲母チタン(titanated mica)、酸化鉄被覆雲母チタン(iron oxide titanated mica)、オキシ塩化ビスマスなどである。
【0059】
追加の顔料/粉末充填剤としては、これらに限るものではないが、ゴム類、白墨、フラー土、カオリン、セリサイト、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、酸化リチウム雲母、バーミキュライト、ケイ酸アルミニウム、デンプン、スメクタイト粘土、アルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学的に改質したケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機的に改質したモンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、コハク酸ヒュームドアルミニウムデンプンオクテニルケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属、マグネシウム、シリカアルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼硫酸カルシウム(焼き石膏)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミック粉末、金属石鹸(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、およびステアリン酸アルミニウム)、コロイド状二酸化ケイ素、窒化ホウ素などの無機粉末;ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、シクロデキストリン、メチルポリメタクリレート粉末、スチレンとアクリル酸のコポリマー粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ(四フッ化エチレン)粉末、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロースやカルボキシメチルナトリウムセルロースなどのセルロース粉末、エチレングリコールモノステアレート;酸化マグネシウムなどの無機白色顔料が挙げられる。その他の有用な粉末については、米国特許第5,688,831号(エル・ノカリー(El-Nokaly)他、1997年11月18日発行)に開示されており、その全体を参考として本明細書に組み込む。これらの顔料および粉末は、単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0060】
BASFから販売されるナノ着色剤(nanocolorant)のようなカプセル化顔料および/または染料、ならびにBASFから販売されるシコパール(Sicopearls)などの多層干渉顔料も、本発明に有用である。
色の安定性を高め、配合を容易にするために、顔料/粉末を表面処理することが好ましい。溶媒/油相に容易に分散できるので、疎水性処理した顔料がより好ましい。それに加え、シリコーン相と融和性のある材料で顔料を処理することが有用なこともある。シリコーン中水型エマルションで使用するのに特に有用な疎水性顔料処理としては、米国特許第5,143,722号に開示のようなポリシロキサン処理が挙げられ、その特許の全体を参考として本明細書に組み込む。1次平均粒径が、約5〜約100,000nm、より好ましくは約50〜約5,000nm、最も好ましくは約100〜約1000nmの顔料/粉末も好ましい。
【0061】
粒径が異なる、異なった粒径を有する同一のまたは異なった顔料/粉末の混合物も本明細書で有用である(例えば、1次粒径が約100〜約400nmのTiO2に、1次粒径が約10〜約50nmのTiO2を組み合わせる)。
本発明の色素および顔料と併せて、分散剤も使用することができる。好適な分散剤の例としては、これらに限るものではないが、米国特許第5,688,493号に記載のものが挙げられ、その全体を参考として本明細書に組み込む。
【0062】
(防腐剤)
本発明の組成物に好適な従来の防腐剤は、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。最近使用されるようになってきた他の防腐剤としては、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン(dimthylhydantoin)などのヒダントイン誘導体、プロピオネート塩、ならびに、塩化ベンザルコニウム、クアテルニウム15(ダウィシル(Dowicil)200)、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウムなどの様々な第四級アンモニウム化合物が挙げられる。化粧品化学者は、適切な防腐剤に精通しており、防腐剤チャレンジテストに合格し製品安定性を与えるための防腐剤を日常的に選択している。特に好ましい防腐剤は、EDTA二ナトリウム、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素(ジャーマル(Germall)1157として市販)、デヒドロ酢酸ナトリウム、およびベンジルアルコールである。防腐剤は、組成物の使用、ならびに防腐剤とエマルション中の他の成分との、可能性のある不適合性を考慮して、選択すべきである。防腐剤は、組成物の約0重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約2.5重量%、最も好ましくは約0.01重量%〜約1重量%の範囲の量を用いることが好ましい。
【0063】
(乳化剤)
乳化型架橋シロキサンエラストマーに加えて、本発明では、他の乳化剤または界面活性剤も使用することができる。これらの乳化剤は、非イオン性でも、陰イオン性でも、陽イオン性でもよい。好適な乳化剤については、例えば、米国特許第3,755,560号(ディカート(Dickert)他、1973年8月28日発行);米国特許第4,421,769号(ディクソン(Dixon)他、1983年12月20日発行);マカッチャンの洗剤および乳化剤(McCutcheon's Detergents and Emulsifiers)、北米出版(North American Edition)、317〜324ページ(1986年)に開示されており、それぞれの全体を参考として本明細書に組み込む。
【0064】
非イオン性界面活性剤の例は、C10〜C22脂肪族アルコールおよび酸ベースのアルコキシル化化合物、ならびにソルビタンである。これらの材料は、例えば、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Company)から商標ネオドール(Neodol)として入手可能であり、BASFコーポレーション(BASF Corporation)から商標プルロニック(Pluronic)として販売されているポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンのコポリマーも、ときには有用である。ヘンケル社(Henkel Corporation)から入手可能なアルキルポリグリコシドも、本発明の目的で使用することができる。陰イオン型乳化剤または界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノ−およびジ−アルキル酸ホスフェート、およびナトリウム脂肪族アシルイセチオネートが挙げられる。両性乳化剤または界面活性剤としては、ジアルキルアミンオキシドなどの材料、および様々な種類のベタイン類(コカミドピオピル(cocamidopiopyl)ベタインなど)が挙げられる。
【0065】
シリコーンポリエーテルとしても知られるポリオキシアルキレンコポリマーが、本発明での使用に好ましい。ポリマーについては、米国特許第4,268,499号に詳細に記載されており、その全体を参考として本明細書に組み込む。特に好ましいポリオキシアルキレンコポリマーは、CTFA表記ジメチコーンコポリオールとして知られるものである。ジメチコーンコポリオールの特に好ましい形態は、ダウ・コーニング(Dow Corning)からDC5225Cとして供給される。
乳化剤の全体的な濃度は、組成物の0重量%〜約10重量%の配合、好ましくは0.1重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約2重量%とすることができる。好適な乳化剤の例は、米国特許第5,085,856号(ダンフィ(Dunphy)他);日本特許公開特開昭第61−83110号;欧州特許出願第522624号(ダンフィ(Dunphy)他);米国特許第5,688,831号(エル・ノカリー(El-Nokaly)他)に見ることができ、好適な水分の例は、コスメティック・ベンチ・リファレンス(Cosmetic Bench Reference)、1.22、1.24〜1.26ページ(1996年)に見ることができ、それらすべての全体を参考として本明細書に組み込む。
【0066】
(有機日焼け止め剤)
本発明の組成物は、有機日焼け止め剤を含むことが好ましい。好適な日焼け止め剤は、UVA吸収特性、UVB吸収特性、またはこれらの混合を有することができる。日焼け止め活性物質の正確な量は、組成物の所望の太陽光線保護指数、すなわち「SPF」、ならびにUVA保護の所望のレベルによって変わる。本発明の組成物が、少なくとも10、好ましくは少なくとも15のSPFを含むことが好ましい。(SPFは通常、紅斑に対する日焼け止め剤の光防護性の尺度として使用される。SPFは、保護していない皮膚に最小限の紅斑を生成するのに必要な紫外線エネルギーに対する、同一人物の保護された皮膚に同一の最小限の紅斑を生成するのに必要な紫外線エネルギーの比として定義される。米国官報(Federal Register)、43、第166号、38206〜38269ページ(1978年8月25日)を参照のこと。)
本発明の組成物が、約2重量%〜約20重量%、より典型的には約4重量%〜約14重量%の有機日焼け止め剤を含むことが好ましい。好適な日焼け止め剤としては、これらに限るものではないが、CTFA国際化粧品成分事典およびハンドブック(CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)、第7版、第2巻、1672ページ、ウェニンガー(Wenninger)およびマキューエン(McEwen)編(化粧品、トイレタリー、および芳香製品協会(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association, Inc.)、ワシントンDC、1997年)に見られるものが挙げられる。
【0067】
本発明の組成物が、約320〜約400nmの波長の紫外線を吸収する、UVA吸収日焼け止め活性物質を含むことが好ましい。好適なUVA吸収日焼け止め活性物質は、ジベンゾイルメタン誘導体、メチルアントラニレートおよびホモメチルなどのアントラニレート誘導体、1−N−アセチルアントラニレート、およびこれらの混合物から選択される。ジベンゾイルメタン日焼け止め活性物質の例は、デポロ(Depolo)に発行された米国特許第4,387,089号に記載されており、日焼け止め剤については、「開発、評価、および調整態様(Development, Evaluation, and Regulatory Aspects)」、N.J.ローベ(Lowe)およびN.A.シャース(Shaath)編、マーセル・デッカー・インコーポレーテッド(Marcel Dekker, Inc)(1990年)に記載されている。UVA吸収日焼け止め活性物質が、単独で、または組成物中に存在し得る他のUV保護活性物質と併せて、広域スペクトルのUVA保護を提供する量で存在することが好ましい。
【0068】
好ましいUVA日焼け止め活性物質類は、ジベンゾイルメタン日焼け止め活性物質およびそれらの誘導体である。それらには、これに限るものではないが、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−第3ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルベンゾイルメタン、4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−第3ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,6−ジメチル−4’第3ブチル−4’メトキシジベンゾイルメタン、およびこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。好ましいジベンゾイル日焼け止め活性物質には、4−(1,1−ジメチルエチル)−4’メトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、およびこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。より好ましい日焼け止め活性物質は、4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンである。
【0069】
日焼け止め活性物質4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンは、ブチルメトキシジベンゾイルメタンまたはアボベンゾン(Avobenzone)としても知られ、ジボダン・ルーア(インターナショナル)(Givaudan Roure(International))S.A.(スイス、バーゼル)から商品名パーソル(Parsol)(登録商標)1789として、メルク社(Merck & Co., Inc)(米国ニュージャージー州、ホワイトハウスステーション)から商品名ユーソレックス(Eusolex)(登録商標)9020として市販されている。日焼け止め剤4−イソプロピルジベンゾイルメタン(isoproplydibenzoylmethane)は、イソプロピルジベンゾイルメタンとしても知られ、メルク(Merck)から商品名ユーソレックス(Eusolex)(登録商標)8020として市販されている。
【0070】
本発明の組成物が、約290〜約320nmの波長の紫外線を吸収する、UVB日焼け止め活性物質をさらに含むことが好ましい。本組成物が、単独で、または本組成物中に存在し得る他のUV保護活性物質と併せてUVB保護作用を提供する、安全かつ有効な量のUVB日焼け止め活性物質を含むことが好ましい。
本組成物は、好ましくは約0.1重量%〜約16重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約12重量%、最も好ましくは約0.5重量%〜約8重量%のUVB吸収有機日焼け止め剤を含む。
【0071】
本発明での使用には、多種多様なUVB日焼け止め活性物質が好適である。そのような有機日焼け止め活性物質の非限定的な例については、米国特許第5,087,372号(ハフェイ(Haffey)他、1992年2月11日発行)、および米国特許第5,073,371号および第5,073,372号(共に、ターナー(Turner)他、1991年12月17日発行)に記載されている。好ましいUVB日焼け止め活性物質は、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレンと呼ぶ)、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−スルホン酸(PBSA)、2−エチルヘキシル−p−メトキシケイ皮酸塩やオクチル−p−メトキシケイ皮酸塩などのケイ皮酸塩およびその誘導体、サルチル酸TEA、オクチルジメチルPABA、カンファー誘導体およびそれらの誘導体、ならびにこれらの混合物から選択される。好ましい有機日焼け止め活性物質は、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレンとも呼ぶ)、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−スルホン酸(PBSA)、オクチル−p−メトキシシンナメート、およびこれらの混合物である。酸性日焼け止め剤の塩および酸中和した形態も、本発明に有用である。PBSAなどの有機日焼け止め塩を本発明の組成物中で使用すると、それらが増粘剤の作用を妨害し、結果として最終製品のレオロジーが次善のものになることがある。これは、最終製品のレオロジーを望ましいレベルに戻す、より高レベルの増粘剤、脂肪族アルコール、または非イオン性界面活性剤を添加することによって対抗することができる。
【0072】
紫外線に曝すことにおけるUVA日焼け止め剤の光分解を防止し、それによってそのUV防護効果を維持するように、UVA日焼け止め剤を安定化するため、本発明に有用な任意の組成物に薬剤を加えてもよい。これらの安定性特性を提供する広範囲の化合物について述べてきたが、UVA日焼け止め剤と本組成物が全体として相補しあうように選択すべきである。好適な安定化剤としては、これらに限るものではないが、米国特許第5,972,316号、第5,968,485号、第5,935,556号、第5,827,508号、および国際公開第00/06110号に記載のものが挙げられる。本発明での使用に好ましい安定化剤の例としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレンと呼ばれる)、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−3,3−ビス(4−メトキシフェニル)アクリレート、およびこれらの混合物が挙げられる。2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートが最も好ましい。
【0073】
それらの組成物の皮膚実質性を改善するために、特に、水で洗い落すまたはこすり落とすことに対する抵抗性を高めるために、本発明に有用な任意の組成物に薬剤を加えてもよい。この利益を提供する好ましい薬剤は、エチレンとアクリル酸のコポリマーである。このコポリマーを含む組成物については、米国特許第4,663,157号(ブロック(Brock)、1987年5月5日発行)に開示されている。
【0074】
(無機日焼け止め剤)
有機日焼け止め剤に加えて、本発明の組成物は、さらに無機物理日焼け防止剤を含むことができる。好適な物理日焼け防止剤の非限定的な例は、CTFA国際化粧品成分事典(CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary)、第6版(1995年)、1026〜1028ページ、および1103ページ、サイヤ(Sayre)R・M他、「物理日焼け止め剤(Physical Sunscreens)」、化粧品化学協会誌(J. Soc. Cosmet. Chem.)、第41巻、No.2、103〜109ページ(1990年)に記載されている。好ましい無機物理日焼け防止剤は、酸化亜鉛、および二酸化チタン、ならびにこれらの混合物である。
【0075】
使用する場合、本組成物が皮膚上で透明になる(すなわち白くない)量の、好ましくは約5%以下の物理日焼け防止剤を含む。二酸化チタンを使用するときには、アナターゼ、ルチル、または非晶性構造を持つことができる。物理日焼け防止剤粒子、例えば、二酸化チタンや酸化亜鉛は、様々な材料で被覆してもしなくてもよく、その材料としては、これらに限るものではないが、アミノ酸、アルミナ、ステアリン酸アルミニウムやラウリン酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物;カルボン酸およびその塩、例えばステアリン酸およびその塩;レシチンなどのリン脂質;有機シリコーン化合物;シリカやケイ酸塩などの無機シリコーン化合物、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい二酸化チタンは、テイカ(Tayca)(日本)から市販されており、トリ−Kインダストリーズ(Tri−K Industries)(米国ニュージャージー州エマーソン)からMT微小イオン化シリーズ(MT micro-ionized series)(例えば、MT100SAS)として流通されている。
本発明の組成物が、約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約4重量%、最も好ましくは約0.5重量%〜約2.5重量%の無機日焼け止め剤を含むことが好ましい。
【0076】
(気泡組成物)
任意であるが、本発明の組成物が気泡を有することが好ましい。本明細書で使用するとき、「気泡を有する」とは、手、機械混和、または従来の発泡または泡立て器具技術の任意の他の形態のものを用いて、空気を組み込むことを意味する。
本発明の組成物が、少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約2%、最適には約3〜約5%の空気を含むことが好ましい。
【0077】
(その他の任意成分)
本発明の組成物には、様々な追加成分を組み込むことができる。これらの追加成分の非限定的な例としては、ペプチド(例えばマトリキシル[ペンタペプチド誘導体])、ファルネソール、ビサボロール、フィタントリオール、グリセロール、尿素、グアニジン(例えばアミノグアニジン)などの追加スキンケア活性物質;アスコルビン酸、ビタミンA(例えば、パルミチン酸レチニルやプロピオン酸レチニルなどのレチノイド誘導体)、ビタミンE(例えば酢酸トコフェロール)、ビタミンB3(例えばナイアシンアミド)、ビタミンB5(例えばパンテノール)などおよびこれらの混合物のようなビタミン類およびその誘導体、ならびにこれらの混合物;日焼け止め剤;ニキビ防止薬(レゾルシノール、サリチル酸など);酸化防止剤(例えば、フィトステロール、リポ酸);フラボノイド(例えば、イソフラボン、フィトエストロゲン);アロエベラ抽出物、アラントインなどの皮膚鎮静化および治癒剤;キレート剤および金属イオン封鎖剤;ならびに精油、芳香剤、香料、皮膚感覚剤(skin sensates)、乳白剤、芳香族化合物(例えば、丁子油、メンソール、樟脳、ユーカリ油、オイゲノール)などの審美目的に好適な薬剤が挙げられる。好適な、カルボン酸コポリマー、乳化剤、皮膚軟化剤、および他の追加成分の非限定的な例については、米国特許第5,011,681号(シオッティ(Ciotti)他、1991年4月30日発行)、および米国特許5,939,082号(オブロング(Oblong)他、1999年8月17日発行)に開示されており、その両方を参項として本明細書に組み込む。
前述のビタミンB3化合物は、組成物中に結晶化形態のまま、または部分的に可溶な結晶のまま残る(すなわち、組成物中で、結晶の一部が溶解し、他の部分が結晶の形態のまま残る)、再結晶化した結晶として組み込むことができる。
【0078】
<分析試験方法>
(粒径の決定)
小瓶に、架橋エラストマー(ゲル)約1グラムと、1:1のイソプロピルアルコール:ジメチコーン(DC245)溶液(IPA:DC245)約30グラムとを入れて、サンプルを調製する。1:1のIPA:DC245溶液を、0.2μmシリンジフィルタを通過させて、異質粒子(例えばゴミ)を除去する。次いで、グラス−コル組織培養回転装置(Glass-Col Tissue Culture Rotator)を用いて、70%の設定で約5日間サンプルを混合する(エラストマーを分散させる)。
次に、細胞断片ホルダ(fraction cell holder)および磁気攪拌棒を備えるホリバ(Horiba)LA−910を用いてサンプルを測定した。ブランクに関しては、30グラムの1:1のIPA:DC245だけを含む、別のサンプルを調製した。
【0079】
測定前に、調製したサンプルの一部10mlを小さなバイアルに入れ、30分間静置した(大きい凝集体を析出させるために)。測定時には攪拌を行い、試料採取グ時間を25秒に設定し、相対屈折率1.06−0.00iを用いて、容量ベースでデータを記録した。ホリバ(Horiba)LA−910の作業範囲濃度に達するのに必要なだけ、1:1のIPA:DC245でサンプルをさらに希釈する。
より詳細な説明は、ホリバ(Horiba)LA910用の操作マニュアルに見ることができ、それを参考として本明細書に組み込む。方法については、米国特許第5,998,542号および米国特許第5,929,162号にさらに記載されており、その両方の全体を参考として本明細書に組み込む。
【0080】
(硬度値試験)
本明細書で使用するとき、「製品硬度」という用語は、以下の試験条件下で、ロッドを化粧品組成物中で、指定した距離、管理された速度で動かすのに必要な力を反映する。高い値は製品が硬いことを表し、低い値は製品が柔らかいことを表す。
これらの値は、テキスチャ・テクノロジー社(Texture Technology Corp.)(米国ニューヨーク州スカーズデール)から入手できる、TA−XT2iテキスチャ・アナライザを使用して、27℃、相対湿度15%で測定する。本明細書で使用するとき、製品硬度値は、長さ16mm、直径0.254mmのステンレス鋼ロッドを、組成物中を0.85mm/秒の速度で12.2mmの距離を移動させるのに必要な力の量を表す。ロッドは、適切なアダプタ手段(例えばドリル型のつかみ具)によって器具に取り付ける。その他の試験パラメータには、事前試験速度0.85mm/s、事後試験速度1.70mm/s、誘引距離0.1mmがある。より詳細な説明は、TA−XT2i用の操作マニュアルに見ることができ、それを参考として本明細書に組み込む。
【0081】
(関連方法)
本出願人らは、本発明の組成物が、哺乳類の皮膚の向上を目的とした様々な用途に有用であることを見出した。本明細書で開示し主張される組成物のための使用方法としては、これらに限るものではないが、1)皮膚への化粧品の実質性を高める方法、2)皮膚を保湿する方法、3)皮膚の自然な外観を改善する方法、4)皮膚に着色化粧品を適用する方法、5)しわを防止し、抑制し、かつ/または処置する方法、6)皮膚にUV保護を施す方法、7)油性の外観を防止し、抑制し、かつ/または調節する方法、8)皮膚の肌触りおよびきめを修正する方法、9)皮膚の色調を均一にする方法、10)クモ状血管腫および静脈瘤の外観を防止し、抑制し、かつ/または治療する方法、11)皮膚上の産毛の外観を覆い隠す方法、12)ニキビ、染み、そばかす、ほくろ、傷跡、眼の下のくま、あざ、炎症後色素沈着過度などを含めた、ヒトの皮膚の欠陥および/または不完全さを隠す方法が挙げられる。本明細書で議論された各方法は、主張された組成物の皮膚への局所適用に関係する。
【実施例】
【0082】
以下の実施例により、本発明の実施形態をより詳細に説明する。本明細書および特許請求の範囲で使用する、すべての割合、パーセント、および比率は、特に指定のない限り、重量による。
以下の実施例中の化粧品製品は、本発明の化粧品組成物の具体的な実施形態を説明するものであるが、それだけに限定するものではない。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者には他の修正形態が実施できる。例示するすべての組成物は、従来の配合および混合技術によって調製することができる。成分の量は、重量パーセントで列記し、希釈剤や充填材などの微量材料は除外してもよい。したがって、列記した配合は、列記した成分と、その成分に関連する任意の微量材料を含む。
【0083】
(実施例I)
本発明のリップスティック組成物は、以下のように調製する。
【0084】
【表1】

【0085】
1 #1154−141−1、GEシリコーン製
2 ジメチコーン中25%ジメチコーン/コポリオールクロスポリマー
3 シクロメチコン中5%ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー(平均粒径が少なくとも20ミクロン)
【0086】
顔料を除く、会合構造相に関する成分を、会合構造が形成されるまで混合する。
会合構造が形成された後、顔料を加え、3本ロールミル上で挽く。次いで、混合物を残りの成分に混ぜ、混合物が均一になるまで混ぜ合わせる。(または、別法として、前述の成分を同時に加え、併せて混合する。)この混合物を85℃まで加熱し、室温で金型に注ぐ。
リップスティックは、唇に適用して、着色・保湿し、唇の感触を改善する。
【0087】
(実施例II)
本発明のマスカラは、以下のように調製する。
【0088】
【表2】

【0089】
1 ヘンケル/エメリー(Henkel/Emery)からエメレスト(Emerest)2400として入手可能。
2 クローダ社(Croda,Inc.)からシンクロ蝋状物質(Syncrowax)HGL−Cとして入手可能。
3 ハーキュレス社(Hercules,Inc.)からフォラル(Foral)105として入手可能。
4 ジメチコーン中25%ジメチコーン/コポリオールクロスポリマー
5 セントラル・ソーヤ社(Central Soya,Inc.)からセントロレックス(Centrolex)Fとして入手可能。
6 ジボダン(Givaudan)からアンフィゾル(Amphisol)Kとして入手可能。
7 シクロメチコン中12%ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー(平均粒径が少なくとも20ミクロン)。
【0090】
熱源を備えた容器の中で、蝋状物質と脂肪を混合する。蝋状物質と脂肪を加熱し、従来の混合機を用いて低速で混ぜ合わせて混合物を液状化させる。混合物が均一になるまで混合を続ける。均一な混合物に顔料を加える。混合速度を高め、約30〜35分間、均一に分散するまで混合物中に顔料を混合する。乳化剤を加える間、混合を継続する。
熱源を備えた第2の容器に水を加え、次いでニコチン酸アミド、レシチン、および任意の他の水分散性成分を加える。混合物を加熱し、約80℃〜95℃の温度で混合する。必要に応じて追加の水を加え、水分喪失量を補う。
【0091】
水性混合物と親油性混合物を合わせて、分散機型混合器を用いて混合する。混合物が約65℃〜70℃の温度に冷却されるまで、混合を続ける。混合しながらエラストマーゲルおよび防腐剤を加えて、混合物を45℃〜47℃までさらに冷却する。混合しながら残りの成分を加える。合わせた混合物を、上記の固化点より高い温度まで冷却し、次いで適切な容器に注ぐ。
マスカラ組成物は、睫毛および/または眉に適用され、柔軟性・保湿性およびコンディショニング性を与える。
【0092】
(実施例III)
本発明の保湿ローションは、以下のように調製する。
【0093】
【表3】

【0094】
1 ジメチコーン中25%ジメチコーン/コポリオールクロスポリマー
2 シクロメチコン中12%ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー(平均粒径が少なくとも20ミクロン)
【0095】
適切なステンレス鋼容器内で、シクロメチコン、DC9040、KSG21、およびプロピルパラベンを、従来の混合技術を用いて混合しながら加えて、均一になるまで混合する。別の容器内で、従来の混合技術を用いて、ニコチン酸アミドと水を均一になるまで混合する。次に、ニコチン酸アミド溶液に、グリセリン、エチレン/アクリル酸コポリマー微小球およびメチルパラベンを、均一になるまで混合しながら加える。次に、ニコチン酸アミド混合物をシクロメチコン混合物と合わせ、従来の混合技術を用いて均一になるまで混合する。次いで、合わせた混合物を適切な容器に注ぐ。
保湿化粧品ローションは、顔および/または身体に適用され、柔軟性・保湿性およびコンディショニング性を与える。
【0096】
(実施例IV)
本発明の液状ファンデーションは、以下のように調製する。
【0097】
【表4】

【0098】
1 イソドデカン中25%ラウリルジメチコーン/コポリオールクロスポリマー
2 シクロメチコン中5%ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー(平均粒径が少なくとも20ミクロン)
適切なステンレス鋼容器内で、シクロメチコン、ジメチコーンコポリオール、GE SFE839、KSG32、イソノナン酸イソノニル、n−プロピル−4−ヒドロキシ安息香酸、およびエチレンブラシレートを、従来の混合技術を用いて混合しながら加え、均一になるまで混合する。熱源を備える別の容器内で、スクロースオレエートエステルと水を50℃まで加熱し、従来の混合技術を用いて均一になるまで混合する。次いで、スクロースオレエートエステル混合物を室温まで冷却する。冷却後、二酸化チタン、酸化鉄、メチルパラヒドロキシ安息香酸、グリセリン、および2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを、混合しながらスクロースオレエートエステル混合物に加えて、均一な顔料スラリーを生成する。次に、スクロースオレエートエステル混合物をシクロメチコン混合物と合わせて、従来の混合技術を用いて均一になるまで混合する。次いで、合わせた混合物を適切な容器に注ぐ。
液状ファンデーションは、顔に適用し、柔軟性・保湿性およびコンディショニング性を与える。
【0099】
(実施例V)
皮膚のきめの外観を改善する、ライン最小化製品は、以下のように調製する。
【0100】
【表5】

【0101】
1 シクロメチコン中12%ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー(平均粒径が少なくとも20ミクロン)
2 ジメチコーン中25%ジメチコーン/コポリオールクロスポリマー
適切な容器内に、水、グリセリン、ニコチン酸アミド、パンテノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、EDTA二ナトリウム、およびフェノキシエタノールを加える。それらを、透明な水相になるまで、従来の技術を用いて混合する。
【0102】
熱源を備える別の容器内で、AMSワックスとパーメチル(Permethyl)を加え、穏やかに混ぜ合わせながら75℃まで加熱する。3番目の容器内で、ロナスフィア(Ronasphere)とシクロメチコン(DC245)を穏やかに混ぜ合わせながら加えて、ロナスフィア(Ronasphere)/DC245プレミックスを形成する。ワックス/パーメチル(Permethyl)混合物を十分に溶融した後、DC9040とKSG21エラストマーをこの混合物に加え、均一になるまで混合する。ワックス/パーメチル(Permethyl)/エラストマー混合物を、室温まで冷却しながら、ハイドルフ(Heidolph)オーバーヘッド攪拌器(モデル#RZR50)または同等のものを用いて低速(約50〜100rpm)で混合する。ワックス/パーメチル(Permethyl)混合物を室温まで冷却した後、ロナスフィア(Ronasphere)/DC245プレミックス、およびプロピルパラベン、および酢酸トコフェロールを加え、合わせた混合物をトゥラックス(Turrax)T25を用いて低速(約8000rpm)で均一になるまで挽いて、薄く色の付いた相を形成させる。
次に、透明な水相と色の付いた相を合わせて、水が十分に混ざりエマルションが生成されるまで、トゥラックス(Turrax)T25を用いて低速(約8000rpm)で挽く。次いで、その結果得られた組成物を適切な包装に組み込む。
【0103】
(実施例VI)
本発明の液状ファンデーションは、以下のように調製する。
【0104】
【表6】

【0105】
1 シクロメチコン中12%ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー(平均粒径が少なくとも20ミクロン)
2 ジメチコーン中25%ジメチコーン/コポリオールクロスポリマー
【0106】
適切な容器内で、水、グリセリン、ニコチン酸アミド、パンテノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、EDTA二ナトリウム、およびフェノキシエタノールを加え、透明な水相が達成されるまで、従来技術を用いて混合する。
別の容器内で、AMSワックスとパーメチル(Permethyl)を加え、穏やかに混合しながら75℃まで加熱する。3番目の容器内で、酸化鉄、二酸化チタン、およびシクロメチコン(DC245)を加え、高剪断(約20,000単位)を用いて挽いて、顔料の塊をなくし、酸化鉄/二酸化チタン/DC245プレミックスを形成させる。ワックス/パーメチル(Permethyl)混合物を十分に溶融させた後、DC9040およびKSG21エラストマーをこの混合物に加え、均一になるまで混合する。ワックス/パーメチル(Permethyl)/エラストマー混合物を室温まで冷却しながら、ハイドルフ(Heidolph)オーバーヘッド攪拌器(モデル#RZR50)または同等のものを用いて低速(約50〜100rpm)で混合する。ワックス/パーメチル(Permethyl)/エラストマー混合物を室温まで冷却した後、プロピルパラベン、および酢酸トコフェロール、および酸化鉄/二酸化チタン/DC245プリミックスを加え、合わせた混合物をトゥラックス(Turrax)T25を用いて低速(約8000rpm)で均一になるまで挽いて、色の付いた相を生成させる。
【0107】
次に、透明な水相と色の付いた相を合わせて、水が十分に混ざりエマルションが生成されるまで、トゥラックス(Turrax)T25を用いて低速(約8000rpm)で挽く。次いで、適切な包装に組み込む。
【0108】
(実施例VII)
皮膚のきめの外観を改善するライン最小化製品は、以下のように調製する。
【0109】
【表7】

【0110】
1 シクロメチコン中12%ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー(平均粒径が少なくとも20ミクロン)
2 ジメチコーン中25%ジメチコーン/コポリオールクロスポリマー
適切な容器に、水、グリセリン、ニコチン酸アミド、パンテノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、EDTA二ナトリウム、およびフェノキシエタノールを加える。透明な水相が達成されるまで、従来の技術を用いてそれらを混合する。
【0111】
熱源を備える別の容器に、AMSワックスとパーメチル(Permethyl)を加え、穏やかに混合しながら75℃まで加熱する。3番目の容器に、穏やかに混合しながらEA209およびシクロメチコン(DC245)を加えて、EA209/DC245プレミックスを生成させる。ワックス/パーメチル(Permethyl)混合物が十分に溶融した後、DC9040およびKSG21エラストマーをこの混合物に加え、均一になるまで混合する。ワックス/パーメチル(Permethyl)/エラストマー混合物を、室温まで冷却しながら、ハイドルフ(Heidolph)オーバーヘッド攪拌器(モデル#RZR50)または同等のものを用いて低速(約50〜100rpm)で混合する。ワックス/パーメチル(Permethyl)/エラストマー混合物を室温まで冷却した後、EA209/DC245プレミックス、およびプロピルパラベン、および酢酸トコフェロールを加え、合わせた混合物をトゥラックス(Turrax)T25を用いて低速(約8000rpm)で均一になるまで挽いて、色の付いた相を形成させる。
次に、透明な水相と色の付いた相を合わせて、水が十分に混ざりエマルションが形成されるまで、トゥラックス(Turrax)T25を用いて低速(約8000rpm)で挽く。その後、得られた組成物を適切な包装に組み込む。
【0112】
(実施例VIII)
SPFを有する液状メークアップを、以下の成分を以下に詳細に述べるように混合して製造する。
【0113】
【表8】

【0114】
適切な容器内で、水に、トリエタノールアミンとパーソル(Parsol)HSを加え、透明な相が達成されるまで従来技術を用いて混合する。次いで、水、グリセリン、ナイアシンアミド、パンテノール、メチルパラベン、EDTA二ナトリウム、ベンジルアルコールを加える。透明な相が生成されるまで、同じ系を用いてこれらを混合する。
別の容器内で、高剪断混合器、例えば標準シルバーソン(Standard Silverson)アセンブリによって、鉄と二酸化チタン、プロピルパラベン、エチルパラベン、およびKSG21を、シクロメチコン(DC245)およびパーメチル(Permethyl)中に、8,000rpmで事前に分散させる。次いで、DC9040と酢酸トコフェロールを加え、シルバーソン(Silverson)を用いて低速で均一になるまで挽く。別の容器内で、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルサリチレート、およびオクトクリレンを、透明かつ一様な液体が得られるまで、温め、攪拌する。この液体を、顔料/エラストマー分散液に加え、シルバーソン(Silverson)によって低速で均一になるまで混合する。
【0115】
次いで、色の付いた相に透明な水の相を加え、水が十分に混ざりエマルションが形成されるまで、シルバーソン(Silverson)を用いて8000rpmで再度挽く。次いで、適切な包装に組み込む。
【0116】
(実施例IX〜X)
柔軟性・保湿性およびコンディショニング性を与え、油性で光沢のある皮膚の外観を効果的に軽減させるために顔に適用するのに好適な、クリームファンデーションを製造する。
【0117】
【表9】

【0118】
適切な容器内で、シクロメチコンとエイビル(Abil)EM90を混合し、高剪断下で混合してポリマーを分散させる。別の容器内で、水に適合性のある材料を併せて混合し、透明になるまで混合する。高剪断下で混合して、混合物を乳化させる。シリコーンエラストマーゲルを加え、均一になるまで混合する。残りの材料を加え、均一になるまで混合する。
【0119】
(実施例XI〜XIII)
長時間続く柔軟性・保湿性・コンディショニング効果を与えるために顔に適用するのに好適で、油性で光沢のある皮膚の外観を効果的に軽減させる、クリームファンデーションを製造する。
【0120】
【表10】

【0121】
適切なステンレス鋼容器内で、相A成分を均一になるまで混合する。熱源を備える別の容器内で、水相材料を50℃まで加熱し、均一になるまで混合する。日焼け止め剤材料、防腐剤、被膜形成物質、および微粒子をバッチに加え、混合して均一にする。固化剤を使用する場合には、固化剤を溶解するのに必要な温度までシクロペンタシロキサン混合物を加熱して、固化剤を加える。
水相およびシリコーン相を30℃未満まで冷却し、高剪断下で混合してエマルションを生成させる。
【0122】
(実施例XIV〜XV)
本発明の液状ファンデーションは、以下のように製造する。
【0123】
【表11】

【0124】
【表12】

【0125】
顔料を含むものの中で、各成分を合わせ、30分間または成分が分散するまで5000rpmで混合する。各成分を、顔料を含まない相の中で合わせ、均一になるまで(約10〜15分)最大1300rpmで混合する。エマルションが適切に混合されるまで、シリコーン相に水相をゆっくり加える。混合した後、混合物を適切な容器に注ぎ、使用のために保管する。
【0126】
(実施例XVI〜XX)
液状ファンデーションは、以下のように製造する。
【0127】
【表13】

【0128】
適切なステンレス鋼容器内で、相A成分を均一になるまで混合する。熱源を備える別の容器内で、水相材料を50℃まで加熱し、均一になるまで混合する。日焼け止め剤材料、防腐剤、被膜形成物質、および微粒子(B相)をバッチに加え、混合して均一にする。固化剤を使用する場合には、固化剤を溶解するのに必要な温度までシクロペンタシロキサン混合物を加熱して、固化剤を加える。
水相およびシリコーン相を30℃未満まで冷却し、高剪断下で混合してエマルションを形成させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)0.1%〜15%の、平均粒径が少なくとも20ミクロンの、ポリオキシアルキレン単位が欠けている非乳化型架橋シロキサンエラストマーと、
(ii)0.1%〜15%の、1つ以上のポリオキシアルキレン単位を有する乳化型架橋シロキサンエラストマーと、
(iii)10%〜80%の、架橋シロキサンエラストマーを懸濁し、膨潤させて、弾性のあるゲル様網状組織またはマトリックスを提供する溶媒であって、非極性で揮発性の油、比較的極性で不揮発性の油および非極性で不揮発性の油から成る群から選択される溶媒と、
(iv)0%を超え30%以下の多価アルコールと、
(v)0%を超え85%以下の水とを含む化粧品組成物。
【請求項2】
前記多価アルコールが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン、およびこれらの混合物から成る群から選択される請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
前記組成物が、乳化剤をさらに含む請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記乳化剤が、ポリオキシアルキレンコポリマーである請求項3に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記組成物が、無機顔料、有機顔料、レーキ、染料、およびトナーから成る群から選択される着色剤をさらに含む請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記顔料が、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、赤色酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、メタクリレート粉末、ポリスチレン粉末、シルク粉末、結晶性セルロース、デンプン、雲母チタン(titanated mica)、酸化鉄雲母チタン(iron oxide titanated mica)、オキシ塩化ビスマス、パール、パール雲母、干渉顔料、およびこれらの混合物から成る群から選択される請求項5に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
ファンデーション、マスカラ、コンシーラー(concealer)、アイライナー、眉墨(brow color)、アイシャドー、頬紅(blusher)、口紅(lip paint)、またはリップスティックの形態である請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
前記組成物が、日焼け止め活性物質、被膜形成剤、光沢調節剤、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される活性物質をさらに含む請求項1に記載の化粧品組成物。

【公開番号】特開2006−152005(P2006−152005A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71316(P2006−71316)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【分割の表示】特願2002−508405(P2002−508405)の分割
【原出願日】平成13年7月9日(2001.7.9)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】