説明

化粧料及びその製造方法

【課題】界面活性剤および高粘度シリコーンのように石鹸等と馴染みにくい油性成分を配合しない紫外線防止化粧料を提供することで十分な耐水性を持ちながら、しかも洗い流しが容易な紫外線防止化粧料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタン、高級アルコール、高級アルコールを除く油性成分及び多糖類を含有し、多糖類はフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種を構成単糖とし、フコース及び/又はラムノースを側鎖に含む多糖類が化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有される乳化状態の化粧料およびその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を含水ケイ酸およびその化合物にて被覆した微粒子酸化チタンを安定に分散及び乳化させ、白浮きが少なく、耐水性に優れ、感触が良い化粧料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線が肌の老化を促進することが言われており、紫外線防止を目的として紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を配合した化粧料や皮膚用外用剤が多く使用されるようになってきた。紫外線散乱剤としては、酸化チタンを、特に微粒子化した微粒子酸化チタンが主に用いられ、目的に応じて、固型粉末状、乳液状、オイル状等各種剤型に配合されている。これらの紫外線防止化粧料の殆どは、界面活性剤を使用したW/O型乳化化粧料である。
【0003】
紫外線防止化粧料の紫外線を防止する効果の主な部分は、化粧料に含まれる微粒子酸化チタンが紫外線を反射させることで得られる。したがってより効率的に紫外線を反射させるためには、酸化チタンを含んだ化粧料が、塗布後に皮膚表面にて均一となり、その状態を保つ必要がある。一般的に乳化型の化粧料は、塗布後に水分が蒸発あるいは皮膚に浸透し、残った油性成分と分散した酸化チタンが、皮膚上に均一に残り、密着する。
【0004】
ところが、乳化型の化粧料は各成分を乳化させるために、その成分に界面活性剤が含まれているため、汗をかくと、汗と界面活性剤、さらに界面活性剤と油性成分及び酸化チタンが馴染んでしまい、汗とともに皮膚における酸化チタンの均一性が崩れてしまう。こうして、皮膚上にて酸化チタンの均一性が崩れてまだら状態になると、紫外線の反射率が著しく低下し、紫外線防止化粧料としての働きを成さなくなる。
【0005】
そこで多くの紫外線防止化粧料はW/O型乳化を採用し、界面活性剤と馴染みにくい高粘度シリコーンを配合することで、配合された界面活性剤はW/O型紫外線防止化粧料の内部に局在し、さらに最外部に高粘度シリコーンが局在するため、汗と馴染むことがなくなる。このようにして、紫外線防止化粧料の耐水性が向上し、汗をかいても、皮膚における酸化チタンの均一性が保たれ、紫外線防止効果が十分に持続される。
【0006】
ところが、このように耐水性を向上させることにより、石鹸や洗顔フォームをつかった通常の洗顔で落とすことが困難になる。そして、紫外線防止化粧料を落とすには、専用のオイルでふき取った後、石鹸や洗顔フォームをつかった洗顔が行われている。一般の成人女性が顔に紫外線防止化粧料を使用した場合には、前述のように2段階の洗浄を行なうことで、洗浄できずに残存した紫外線防止化粧料によるトラブルは少ないが、紫外線防止化粧料を腕や足に塗布する場合や子供が使用する場合には、石鹸による洗浄のみで紫外線防止化粧料を落とそうとすることが多く、十分に紫外線防止化粧料を除去することは困難なのが現状である。その結果、紫外線防止化粧料の洗浄が不十分となり、毛穴等に残ってしまい、肌荒れや吹き出物等の原因となる問題点があった。また、上記のように従来の紫外線防止化粧料は、洗い流し易さを犠牲にして紫外線防止化粧料の耐水性を上げていたために耐水性があり、洗い流しが容易ではない紫外線防止化粧料が多くを占めていた。
【0007】
このため、石鹸や洗顔フォームをつかった通常の洗顔で落とすことが容易な化粧料として、界面活性剤を使用しない乳化方法で乳化したO/W型の化粧料が考えられている。界面活性剤を用いない乳化方法としては、ナノ分散等の技術を用いて界面活性剤を添加しないで油性成分を乳化させる技術が知られている(例えば、非特許文献1、2及び特許文献1参照)。これは、例えば本発明で用いる多糖類が「油/両親媒性化合物/水」系の中で独立相として存在する多糖類から構成されるナノ粒子がファンデルワールス力によって油性成分表面に付着させることで乳化を行なう三相乳化法である。この乳化は界面活性剤(実質的な界面活性性能を有する物質を含む)を添加しなく、その油性成分等の被乳化成分の乳化安定性が長時間保たれる乳化方法として優れている。
【0008】
しかしながら、紫外線防止効果を有する、微粒子酸化チタンの乳化分散は、必ずしも十分ではなかった。その理由として、化粧料に配合する微粒子酸化チタンは光活性を有することから、安全性のために微粒子酸化チタンが直接肌に触れないように各種無機化合物及び有機化合物による微粒子酸化チタン表面の被覆処理を行っている。
【0009】
その被覆処理に用いられる化合物も多種にわたっており、例えば水酸化アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム酸、含水ケイ酸、ジメチルポリシロキサン及びメチルハイドロジエンポリシロキサン等が挙げられる。例えば、これらの化合物にて表面処理を行った酸化チタンと本発明で用いる多糖類を配合することにより、紫外線防御作用を有する感触の良い化粧料を得ることができるが上述の多糖類の構成単糖にカルボキシル基を有しているグルクロン酸が構成単糖の場合は使用できる酸化チタンの表面処理が限定されてしまう。
【0010】
すなわち、酸化チタンの表面処理に多価金属イオンあるいは多価金属イオン化合物が含まれていると、微量ながら経時により金属イオンが溶出してくる。溶出した多価金属イオンは、多糖類のカルボキシル基と結合し多糖類に凝集作用をもたらす。凝集力を持った多糖類は徐々に締まり、均一に化粧料化されている化粧料は固化し、場合によっては離水を生じてしまう。また、表面処理剤として多価金属が含まれていなくても、表面処理工程において多価金属系の表面処理剤が使用され、その残留物が混入した場合も同様な現象が生じてしまう。
【0011】
したがって、酸化チタンの表面処理工程において、酸化チタン粉末に直接ケイ酸ナトリウム溶液を反応させて製造する。あるいはメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理をした後、含水ケイ酸および含水ケイ酸化合物にて表面処理すると言う方法を用いることにより、多価金属が残留しない表面処理を行った微細酸化チタン粒子を使用することが必要となる。
【非特許文献1】第43回日本油化学年次大会、大阪大学コンベンションセンター 要旨(11/1−11/2,2004)
【非特許文献2】日本化学会、第57回 コロイドおよび界面化学討論会要旨(9/9−9/11,2004)、
【特許文献1】特開2004−130300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような問題を解決するために本発明者らは、界面活性剤および高粘度シリコーンのように石鹸等と馴染みにくい油性成分を配合しない紫外線防止化粧料を提供することで十分な耐水性を持ちながら、しかも洗い流しが容易な紫外線防止化粧料及びその製造方法を提供することを目的とする。
さらに、特定の多糖類と特定の高級アルコールを配合し、70℃以上で乳化させた後、撹拌したまま40℃まで冷却させることで、肌になじみが良い乳化状態の化粧料を得ることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタン、高級アルコール、高級アルコールを除く油性成分及び多糖類を含有し、多糖類はフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種を構成単糖とし、フコース及び/又はラムノースを側鎖に含む多糖類が化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有されることを特徴とする乳化状態の化粧料である。
【0014】
請求項1の本発明では、表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンを有する。含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物は、その構成成分にカルボキシル基を有するグルクロン酸を含む多糖類に対して最も反応性がない物質である。このため、この含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物で表面処理された酸化チタンは、化粧料中に広がっている多糖類による凝集が生じ難いので、化粧料中で高い安定性が得られる。
【0015】
本発明の化粧料は、高級アルコール、高級アルコールを除く油性成分及び多糖類を含有し、多糖類はフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種を構成単糖とし、フコース及び/又はラムノースを側鎖に含む多糖類が化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有されている。このため、この多糖類が化粧料中にランダムに細分化したナノ粒子を、ファンデルワールス力によって油性成分の表面に付着させることができ、この油性成分を三相乳化法により乳化することができる。したがって、化粧料中に界面活性剤(実質的な界面活性性能を有する物質を含む)を添加しなくてもよく、その油性成分等の被乳化成分の乳化安定性は長時間保たれることができる。
【0016】
請求項2の本発明は、含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、微粒子酸化チタンに直接含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物にて直接表面処理、あるいはメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理をした後、含水ケイ酸および含水ケイ酸化合物にて表面処理する微粒子酸化チタンを含有する乳化状態の化粧料である。
【0017】
請求項2の本発明では、含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンが、微粒子酸化チタンに直接含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物にて直接表面処理、あるいはメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理をした後、含水ケイ酸および含水ケイ酸化合物にて表面処理する。このため、微粒子酸化チタンの表面に多価金属が残留しなくなり、この表面処理を行った微細酸化チタン粒子を使用することで、化粧料内に、プラスにチャージする成分の持込を減らすこととなり、多糖類がランダムに細分化したナノ粒子に凝集力が生じないので、化粧料の乳化状態がより安定にすることができる。
【0018】
請求項3の本発明は、含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、実質的にアルミニウム又はアルミニウム化合物を含まない微粒子酸化チタンを含有する乳化状態の化粧料である。
【0019】
請求項3の本発明では、含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、実質的にアルミニウム又はアルミニウム化合物を含まない微粒子酸化チタンを含有する。このため、多糖類がランダムに細分化したナノ粒子に凝集力が生じないので、化粧料の乳化状態がより安定にすることができる。
【0020】
請求項4の本発明は、表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有され、高級アルコールは化粧料の全量に対して1重量%〜15重量%含有され、高級アルコールを除く油性成分は化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%含有された乳化状態の化粧料である。
【0021】
請求項4の本発明では、微粒子酸化チタンは、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有されているため、化粧料が充分な紫外線防止効果を有することができる。1重量%以下では、紫外線防止効果が十分ではなく、20重量%以上含有しても増加量に見合う効果が期待できないため、コスト的に好ましくない。
高級アルコールは化粧料の全量に対して1重量%〜15重量%含有され、高級アルコールを除く油性成分は化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%含有された。このため、油性成分が十分に乳化される。高級アルコールが化粧料の全量に対して、1重量%以下であると十分な乳化は得られず、15重量%以上においても安定した乳化は可能であるが、配合割合を上げると常温以上の成分が増えるため、塗布後の感触が硬くなり使用感が悪くなる。
高級アルコールを除く油性成分は化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%含有されている。油性成分が0、5%重量以下であると肌に対して、化粧料として充分な滑らかさを与えることができなく、30重量%以上では、高級アルコールと本発明の多糖類により安定した乳化状態を得ることができない。
【0022】
請求項5の本発明は、高級アルコールは、融点が45℃以上の高級アルコールを2種以上含有した乳化状態の化粧料である。
【0023】
請求項5の本発明では、高級アルコールは、融点が45℃以上の高級アルコールを2種以上含有したため、高級アルコールと多糖類の会合体の大きさが不均一となり、結晶化しにくくなることで乳化がより安定になる。高級アルコールが1種類でも乳化はできるが、40℃等の高温で静置すると離水を生じる。高級アルコールが1種類の場合は他の油と水との間で高級アルコールが規則正しい状態(液晶化状態)になり、経時と共に上記会合体の結晶化が進み、それに伴い水の吐き出し現象が起きると考えられる。
そしてさらに、融点が45℃以上の高級アルコールを2種類以上含有させることで、肌馴染みを良くするとともに安定性もさらに向上させた。
【0024】
請求項6の本発明は、2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲である乳化状態の化粧料である。
【0025】
請求項6の本発明では、2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲であるため、2種以上混合された高級アルコールは、1つの高級アルコールが少なくとも他の1つの高級アルコールに対して五分の一以上混合されているので、分子量の異なる高級アルコールと多糖類の会合体が実質的に相当量の異なる大きさの会合体を形成して、均一な粒子構造を形成することを防止して、乳化状態を安定化させることができる。
【0026】
請求項7の本発明は、高級アルコールは、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、選ばれた2種以上の各々が上記化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が上記化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有されている乳化状態の化粧料である。
【0027】
請求項7の本発明では、上記特定の高級アルコールを2種類以上使用するため、水酸基を持った化合物が複数含まれることにより多糖類と高級アルコールから生じる会合体が多様な大きさを有して、分子量の異なる高級アルコールと多糖類の会合体が均一な粒子構造を形成することを防止して、乳化状態を安定化させることができる。
また、それぞれの高級アルコールを0.4重量%以上使用しないと実質的に2種類以上の高級アルコールを使用した効果が得られない。また、2種類以上の高級アルコールの混合物が化粧料の全量に対して0.8重量%以下では、多糖類と充分な粒子構造を形成することができなく、20重量%以上混入しても、混入量に見合う効果が生じなく、コスト的に好ましくない。
【0028】
請求項8の本発明は、化粧料は、第三リン酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸カリウム、ペンタポリリン酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ジエチレントリアミン五酢酸からなる群より選ばれる1種以上を化粧料の全量に対して0.1重量%〜5重量%含有する乳化状態の化粧料である。
【0029】
請求項8の本発明では、化粧料は、第三リン酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸カリウム、ペンタポリリン酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ジエチレントリアミン五酢酸からなる群より選ばれる1種以上を化粧料の全量に対して0.1重量%〜5重量%含有する。このため、化粧料にプラスにチャージする成分を配合しても、上記のリン酸塩(イオン)、クエン酸塩(イオン)、ホスホン酸化合物(イオン)、酢酸化合物(イオン)がいち早く反応、中和するとともに、乳化物の見かけのチャージをマイナスにすることで乳化状態の安定性を向上させることができる。
【0030】
請求項9の本発明は、多糖類は、少なくとも下記の一般式(化1)で表される多糖が含まれている乳化状態の化粧料である。
【化1】

【0031】
請求項9の本発明では、多糖類は、少なくとも上記の一般式(化1)で表される多糖が含まれているため、上記の一般式(化1)で表される多糖類及び特定の高級アルコール2種類以上で他の油性成分である被乳化成分を乳化すると、乳化状態が安定した化粧料を得ることができる。上記多糖類と特定の高級アルコールを2種類以上を使用すると、その多糖類と高級アルコールが、水素結合にて結合し、更に会合体(塊)を生じることで粒子構造を形成し、安定した乳化状態を有する化粧料を得ることができる。
【0032】
請求項10の本発明は、上記油性成分が、少なくとも
油性成分(A)として、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)、液体ロウから選ばれた1種以上のものと、
油性成分(B)として、固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)、リン脂質から選ばれた1種以上のものを
重量比で上記油性成分(A)と上記油性成分(B)が2:1〜50:1となる範囲で含む乳化状態の化粧料である。
【0033】
請求項10の発明では、常温で液体の油性成分(A)と、常温で固体あるいはペースト状で含水性の油性成分(B)を添加することで、塗布時の滑らかな感触と仕上がり、そして塗布後の閉塞感の緩和や感触の改善、さらに全体としての使用感が向上する。
油性成分(A)と油性成分(B)の添加量比は、2:1〜 50:1 望ましくは 3:1〜 30:1 更に望ましくは 5:1〜 10:1である。
【0034】
請求項11の本発明は、常温で液体の油性成分(A)として、特にジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、スクワラン、パラフィン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸の混合酸)グリセリル、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、オリブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油、ホホバ油が好ましく、これらの1種以上を用いることができる。
常温で固体あるいはペースト状の油性成分(B)としては、特にミツロウ(蜜蝋)、水素添加ホホバ油、キミルアルコール、バチルアルコール、コレステロール、ステアリン酸コレステリル、フィトステロール、トリミリスチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリルが好ましく、これらの1種以上を用いることができる。この組み合わせを用いることで、本発明の高級アルコールとのバランスが良くなり、塗布時の滑らかさや浸透感が良く、塗布後の皮膜感が改善される。
【0035】
請求項11の本発明では、油性成分を油性成分(A)と油性成分(B)の2組に分け、それぞれの油性成分から1種以上を選択して組み合わせて用いる方法は、経験的に見出されたものであり、その効果を発揮する理由は十分解明されていない。
【0036】
請求項12の本発明は、化粧料が、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤あるいはアルキレン(炭素数2〜4)オキシド付加物からなる非イオン界面活性剤のいずれも含まない乳化状態の化粧料である。
【0037】
請求項12の本発明では、化粧料が、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤あるいはアルキレン(炭素数2〜4)オキシド付加物からなる非イオン界面活性剤のいずれも含まないため、長期間安定する馴染みがよい乳化物を得ることができ、実質的な界面活性能を有する界面活性剤を使用しなくてもよい。このため環境汚染の少ない、肌になじみのよい化粧料を得ることができる。また、実質的な界面活性能を有する界面活性剤を使用したことで、耐水性がありしかも石鹸洗浄等の一般的な洗顔や入浴で落とすことが出来る安全性が高い化粧料を得ることができる。
【0038】
請求項13の本発明は、化粧料において、多糖類がランダムな粒径に細分化された乳化状態の化粧料である。
【0039】
請求項13の本発明では、多糖類がランダムな粒径に細分化されたため、油性成分の乳化状態が安定した化粧料を得ることができる。
【0040】
請求項14の本発明は、表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタン、高級アルコール、該高級アルコールを除く油性成分及び多糖類を含有する乳化状態の化粧料の製造方法において、
70℃以上の水及び/又は親水性溶媒にフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内、少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類について、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%に相当する量を水及び/又は親水性溶媒に溶解させて溶液を製造した後に、
高級アルコールについて、化粧料の全量に対して1重量%〜15重量%に相当する量と、油性成分について、化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%に相当する量を溶液に添加し、溶解させ、70℃以上で乳化攪拌させ、
更に、乳化攪拌したまま成分が含有された溶液を40℃以下まで冷却させる乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0041】
請求項14の本発明では、まず、70℃以上の水および/又は親水性溶媒に、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む上記多糖類について、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%に相当する量を溶解させて溶液を製造する。このため、この多糖類の溶液が化粧料中にランダムに細分化したナノ粒子を、ファンデルワールス力によって油性成分の表面に付着させることができ、この油性成分を三相乳化法により乳化することができる。したがって、化粧料中に界面活性剤(実質的な界面活性性能を有する物質を含む)を添加しなくてもよく、その油性成分等の被乳化成分の乳化安定性は長時間保たれることができる。多糖類と2種類以上の高級アルコール及び上記油性成分を分散された溶液に、70℃以上で、乳化させることにより被乳化成分を安定して乳化させることができる。
【0042】
高級アルコールについて、化粧料の全量に対して1重量%〜15重量%に相当する量と、油性成分について、化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%に相当する量を溶液に添加し、溶解させ、70℃以上で乳化攪拌させる。このため、上記多糖類の溶液により1重量%〜20重量%に相当する量の油性成分が十分に乳化される。高級アルコールが化粧料の全量に対して、1%以下であると十分な乳化は得られず、15%以上においても安定した乳化は可能であるが、配合割合を上げると常温以上の成分が増えるため、塗布後の感触が硬くなり使用感が悪くなる。
【0043】
更に、乳化攪拌したまま成分が含有された溶液を40℃以下まで冷却させる。70℃以上で、上記の多糖類と上記の高級アルコール2種類以上と油性成分の集合体が乳化攪拌により水および親水性溶媒を巻き込み分散した状態を、乳化攪拌しつづけることで維持しながら、40℃以下まで冷却し、その状態を固定することができる。これにより本発明の化粧料はこのように油性成分と水が特殊に分散した状態であるため、肌になじみのよい乳化状態の化粧料を得ることができる。この乳化攪拌したまま40℃以下まで冷却するときは、そのまま同じ攪拌装置を使用することができる。
【0044】
請求項15の本発明は、含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、微粒子酸化チタンに直接含水ケイ酸及びおよび含水ケイ酸化合物にて直接表面処理、あるいはメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理をした後、含水ケイ酸および含水ケイ酸化合物にて表面処理する微粒子酸化チタンである乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0045】
請求項15の本発明では、表面処理工程において、酸化チタン粉末に直接ケイ酸ナトリウム溶液を反応させて製造する、あるいはメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理をした後、含水ケイ酸および含水ケイ酸化合物にて表面処理すると言う方法を用いることにより、多価金属が残留しない表面処理を行った微細酸化チタン粒子を使用することで、化粧料内に、プラスにチャージする成分の持込を減らすこととなり、本発明の化粧料がより安定となる。
【0046】
請求項16の本発明は、含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、実質的にアルミニウム又はアルミニウム化合物を含まない微粒子酸化チタンである乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0047】
請求項16の本発明では、含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、実質的にアルミニウム又はアルミニウム化合物を含まない微粒子酸化チタンである。このため、含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、実質的にアルミニウム又はアルミニウム化合物を含まない微粒子酸化チタンを含有するので、多糖類がランダムに細分化したナノ粒子に凝集力が生じなく、化粧料の乳化状態がより安定にすることができる。
【0048】
請求項17の本発明は、表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有され、高級アルコールは化粧料の全量に対して1重量%〜15重量%含有され、高級アルコールを除く油性成分は化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%含有された乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0049】
請求項17の本発明では、表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有されているため、化粧料が充分な紫外線防止効果を有することができる。1重量%以下では、紫外線防止効果が十分ではなく、20重量%以上含有しても増加量に見合う効果が期待できないため、コスト的に好ましくない。
【0050】
含水ケイ酸および含水ケイ酸化合物で被覆した微粒子酸化チタンは化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%する量を添加攪拌する。その際、本発明の酸化チタンをグリセリンやブチレングリコール等でスラリー状に溶いておくと添加がスムーズに行える。本発明の化粧料では、上記の特定の多糖類と、後でその溶液に入れる高級アルコールを溶解すると、親水性部分と疎水性部分を持った擬似活性剤が生成し、この擬似活性剤が油性成分を安定的に乳化させることができる。この多糖類が0.01重量%以下では十分な安定性は得られず、1重量%以上では添加量に見合う安定性能の向上が見られず、コスト的に好ましくない。
【0051】
高級アルコールは化粧料の全量に対して1重量%〜15重量%含有され、高級アルコールを除く油性成分は化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%含有された。このため、油性成分が十分に乳化される。高級アルコールが化粧料の全量に対して、1重量%以下であると十分な乳化は得られず、20重量%以上においても安定した乳化は可能であるが、配合割合を上げると常温以上の成分が増えるため、製造された化粧料の塗布後の感触が硬くなり使用感が悪くなる。
【0052】
請求項18の本発明は、高級アルコールは融点が45℃以上であり、少なくとも2種以上を用いる乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0053】
請求項18の本発明では、高級アルコールは融点が45℃以上であり、少なくとも2種以上を用いるため、上記高級アルコールと多糖類から構成される粒子の大きさが不均一となり、油性成分を含む乳化粒子は、結晶化しにくくなり、乳化はより安定になる。どれか1種類では十分な乳化安定は得られない。
【0054】
請求項19の本発明は、2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲とする乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0055】
請求項19の本発明では、2種類以上の高級アルコールの混合物の混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲であるため、2種以上混合された高級アルコールは、1つの高級アルコールが少なくとも他の1つの高級アルコールに対して五分の一以上混合されているので、分子量の異なる高級アルコールと多糖類の会合体が実質的に相当量の異なる大きさの会合体を形成して、均一な粒子構造を形成することを防止して、乳化状態を安定化させることができる。
【0056】
請求項20の本発明は、高級アルコールは、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、選ばれた2種以上の各々が上記化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が上記化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有されている乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0057】
請求項20の本発明では、特定の高級アルコールを2種類以上使用するため、水酸基を持った化合物が複数含まれることにより多糖類と高級アルコールから生じる会合体が多様な大きさを有して、分子量の異なる高級アルコールと多糖類の会合体が均一な粒子構造を形成することを防止して、乳化状態を安定化させることができる。
それぞれの高級アルコールを0.4重量%以上使用しないと実質的に2種類以上の高級アルコールを使用した効果が得られない。また、2種類以上の高級アルコールの混合物が化粧料の全量に対して0.8重量%以下では、多糖類と充分な粒子構造を形成することができなく、20重量%以上混入しても、混入量に見合う効果が生じなく、コスト的に好ましくない。
【0058】
請求項21の本発明は、化粧料は、第三リン酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸カリウム、ペンタポリリン酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ジエチレントリアミン五酢酸からなる群より選ばれる1種以上を化粧料の全量に対して0.1重量%〜5重量%含有する乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0059】
請求項21の本発明では、上記リン酸化合物からなる群より選ばれる1種以上を化粧料の全量に対して0.1重量%〜5重量%含有するため、化粧料にプラスにチャージする成分を配合しても、リン酸塩(イオン)、クエン酸塩(イオン)、ホスホン酸化合物(イオン)、酢酸化合物(イオン)がいち早く反応、中和するとともに、見かけのチャージをマイナスにすることで化粧料の乳化状態の安定性を向上させる。
【0060】
請求項22の本発明は、多糖類は、少なくとも下記の一般式(化1)で表される多糖が含まれている乳化状態の化粧料の製造方法である。
【化1】

【0061】
請求項22の本発明では、化粧料の製造方法において、多糖類は、少なくとも上記の一般式(化1)で表される多糖が含まれているため、上記の一般式(化1)で表される多糖類及び特定の高級アルコール2種類以上で他の油性成分である被乳化成分を乳化すると、安定した化粧料を得ることができる。上記多糖類と特定の高級アルコールを2種類以上を使用して化粧料を製造すると、その多糖類と高級アルコールが、水素結合にて結合し、更に会合体(塊)を生じることで粒子構造を形成し、安定した乳化状態を有する化粧料を得ることができる。
【0062】
請求項23の本発明は、油性成分が、少なくとも
油性成分(A)として、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)、液体ロウから選ばれた1種以上のものと、
油性成分(B)として、固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)、リン脂質から選ばれた1種以上のものを
重量比で上記油性成分(A)と上記油性成分(B)が2:1〜50:1となる範囲で含む乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0063】
請求項23の本発明では、高級アルコール、油性成分、多糖類に加えた乳化状態において、油性成分の中の特定の成分を油性成分(A)と油性成分(B)とに別け、それぞれから1種以上選択し添加することで、油性成分の表面に極性油があつまり、それにより油滴表面がより極性を持つことで乳化状態の安定性が増す。これにより、表面活性を持つ粉体であるセラミド粉末、酸化亜鉛粉末、二酸化チタン粉末、マイカ粉末、あるいは析出し易いアルコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド等の乳化安定性を損なう成分が含まれていても、安定した乳化状態を維持する化粧料を製造することができる。
また、油性成分(A)が、油性成分(B)より多いことが必要であり、その比が2:1以上であることが必要である。また、50:1以上となると、表面に十分な極性がえられないことから、安定した乳化は得られない。
【0064】
請求項24の本発明は、油性成分(A)は、ジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、スクワラン、パラフィン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸の混合酸)グリセリル、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、オリブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油、ホホバ油から選ばれた1種以上のものであり、
油性成分(B)は、ミツロウ(蜜蝋)、水素添加ホホバ油、キミルアルコール、バチルアルコール、コレステロール、ステアリン酸コレステリル、フィトステロール、トリミリスチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリルから選ばれた1種以上のものであり、
油性成分(A)と上記油性成分(B)を組み合わせて用いる乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0065】
請求項24の本発明では、油性成分を油性成分(A)と油性成分(B)の2組に分け、それぞれの油性成分から1種以上を選択して組み合わせて用いる方法は、経験的に見出されたものであり、その効果を発揮する理由は十分解明されていない。
【0066】
請求項25の本発明は、化粧料が、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤あるいはアルキレン(炭素数2〜4)オキシド付加物からなる非イオン界面活性剤のいずれも含まない乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0067】
請求項25の本発明では、化粧料が、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤あるいはアルキレン(炭素数2〜4)オキシド付加物からなる非イオン界面活性剤のいずれも含まない。このため、長期間安定する肌に馴染みがよい乳化物を得ることができ、実質的な界面活性能を有する界面活性剤を使用しなくてもよく、このため環境汚染の少ない、肌に馴染みのよい化粧料を製造することができる。また、実質的な界面活性能を有する界面活性剤を使用することで、耐水性がありしかも石鹸洗浄等の一般的な洗顔や入浴で落とすことが出来る安全性が高い化粧料を製造することができる。
【0068】
請求項26の本発明は、化粧料において、多糖類がランダムな粒径に細分化された乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0069】
請求項26の本発明では、上記化粧料において、上記多糖類がランダムな粒径に細分化されたため、多糖類がランダムな粒径に細分化されたため、油性成分の乳化状態が安定した化粧料を製造することができる。
【発明の効果】
【0070】
本発明は、表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンを有するため、化粧料中に広がっている多糖類に凝集力が生じないので、化粧料中で微粒子酸化チタンの高い乳化安定性が得られる。
本発明の化粧料は、高級アルコール、高級アルコールを除く油性成分及び多糖類を含有し、多糖類はフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種を構成単糖とし、フコース及び/又はラムノースを側鎖に含む多糖類が化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有されているため、化粧料中に界面活性剤(実質的な界面活性性能を有する物質を含む)を添加しなくてもよく、その油性成分等の被乳化成分の乳化安定性は長時間保たれることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
本発明の化粧料は、表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタン、高級アルコール、その高級アルコールを除く油性成分及び特定の多糖類を含有し、その多糖類が化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有される化粧料である。
上記微粒子酸化チタンは、紫外線反射材として化粧料に配合されたものである。また、本発明の化粧料は、耐水性を上げるために界面活性剤を配合しないにもかかわらず、十分な耐水性を持ちながら、使用感に優れ、安定性優れて、しかも石鹸等での洗い流しが容易で製品安定性の高い紫外線防止をすることができる化粧料である。
【0072】
本発明の対象となる紫外線防止化粧料としては、日焼け止めクリーム、日焼け止め乳液、化粧下地(メイクアップベース)、ファンデーション、コントロールカラー、コンシーラー、日中用美容液(クリーム、乳液)である。
【0073】
本発明で用いる高級アルコールは融点が45℃以上の高級アルコールで、具体的には直鎖飽和脂肪族アルコールのヘキサデカノール(セチルアルコール)(融点50℃)、オクタデカノール(ステアリルアルコール)(融点59℃)、エイコサノール、ドコサノール(ベヘニルアルコール)(融点72℃)、テトラコアサノール(融点74℃)等であり、さらに植物抽出油脂を水素添加して得られたアルコールの水添ナタネ油アルコール(融点60〜70℃)、水添ココナッツアルコール(融点50〜65℃)、水添パーム油アルコール(融点50〜65℃)等がある、これらの高級アルコールを1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましくは、上記高級アルコールがヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、各々が化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が化粧料の全量に対して1重量%〜15重量%含有させる。
【0074】
本発明における被乳化成分である油性成分としては、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、融点45℃未満のアルコール、多価アルコール、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、有機酸エステル、ロウ、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル、リン脂質等がある。好ましくは油性成分の中から特定の成分を油性成分(A)と油性成分(B)の2組に分け、油性成分として少なくともそれぞれの油性成分から1種以上を選択して組み合わせて用いられる。
【0075】
本発明で使用される油性成分(A)は、常温では、液体の油性成分であり、油性成分(B)は、常温では固体あるいはペースト状の油性成分である。本発明の化粧料は、体温より融点が高い高級アルコールを配合しているため、塗布時に重い感触となり、塗布後の閉塞感が高くなる。そこで浸透性やスムーズな塗布感触を得るため、常温で液体の油性成分(A)を配合する必要がある。
本発明の融点が45℃以上の高級アルコールと、油性成分(A)だけの組み合わせは、お互いの馴染みが悪く、塗布時も、油性成分(A)が肌の上で広がり浸透した後、滑りの悪い高級アルコールが重く引きずる感触となる上、閉塞感も改善されない。
【0076】
そこに、本発明の常温で固体あるいはペースト状の含水性の油性成分(B)を配合すると、油性成分(A)と本発明の高級アルコール繋ぎ、相溶性を上げることができる。これにより、塗布時も全体として滑りが良くなり、滑らかな感触となる。そして、油性成分(B)の含水性により、閉塞感も緩和され、塗布後の感触も改善され、全体として使用感が向上する。油性成分(B)は、繋ぎの役割をする成分であり、油性成分(A)より少ない量でその効果を発揮することができる。油性成分(A)と、油性成分(B)の割合は、重量比で2:1〜50:1の範囲で使用することができる。望ましくは、3:1〜30:1の範囲で、更に望ましくは、5:1〜10:1の範囲で使用する。
【0077】
油性成分(A)としては、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)、液体ロウが挙げられ、油性成分(B)としては固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)、リン脂質が挙げられる。
具体的な脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ウンデシレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸等がある。
融点45℃未満のアルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール等がある。
【0078】
油性成分(A)のシリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシロキサン−メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチル(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体などのようなポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン−アルコキシ(炭素数4〜12)メチルシロキサン共重合体、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどのような環状ジメチルポリシロキサン、フルオロメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などのフッ素変性オルガノポリシロキサン、フルオロメチルシロキサン・ポリオキシエチレンメチルシロキサン共重合体やフルオロメチルメチルシロキサン・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメチルシロキサン共重合体などのフルオロアルキル・ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、末端に水酸基を導入したジメチルポリシロキサン変性物や側鎖に部分的に水酸基を導入したヒドロキシメチルシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体等の末端あるいは側鎖変性オルガノポリシロキサン、側鎖にジアルキルアミノアルキル基を持つジメチルアミノブチルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン重合体などの変性アミノオルガノポリシロキサンがあげられる。特にジメチルポリシロキサン、トリメチルシロキサンが適している。
【0079】
油性成分(A)のフッ素化炭化水素としては、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロヒドロキシエチル、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロヒドロキシエチルPEGリン酸、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロヒドロキシメチルジステアラミド、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタンがある。
【0080】
油性成分(A)の炭化水素としては、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン(炭素数16から炭素数40までのn−炭化水素単独あるいはそれらの混合物)、マイクロクリスタリンワックス(分子量450〜1000のイソパラフィンと少量のn−パラフィン及びナフテン系炭化水素の混合物)、流動パラフィン、流動イソパラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、ワセリン等がある。好ましくは、スクワラン、パラフィンである。
【0081】
油性成分(A)の1価アルコールの脂肪酸エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、コハク酸−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−ジ−2−ヘプチルウンデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸オレイル等が挙げられる。中でもパルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリルが好ましい。
【0082】
油性成分(A)の動植物油脂としては、植物由来の油脂と動物由来の油脂がある。植物由来の油脂には、乾性油、半乾性油、不乾性油及び常温で固型の植物脂があり、乾性油としてはサフラワー油、大豆油、月見草油、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ククイナッツ油等、半乾性油としてはアルモンド油、ごま油、コムギ胚芽油、とうもろこし油、綿実油等、不乾性油としてはアボガド油、オリブ油、ツバキ油、パーシック油、ひまし油、落花生油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油等、植物脂としてはカカオ脂、シア脂、木ロウ、ヤシ油、パーム油、パーム核油等がある。中でもぶどう種子油、ローズヒップ油、オリブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油が適している。
【0083】
動物由来の油脂としては、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、タートル油、豚脂、馬脂、ミンク油、肝油、卵黄油等がある。
油性成分(A)のオキシカルボン酸エステルとしては、リンゴ酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリエチル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、コハク酸ジオクチル等が挙げられる。
油性成分(A)の多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)としては、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、トリカプリル酸グリセル、トリラウリン酸グリセル、イソステアリン酸コレステリル、トリイソパルミチン酸グリセル、トリオレイン酸グリセル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル酸・カプリン酸)プロピレングリコール、ジステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等が挙げられる。特にトリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリルが適している。
油性成分(A)の液体ロウとしては、液状ラノリン、ホホバ油があり、中でもホホバ油が好ましい。
【0084】
油性成分(B)の固体ロウとしては、動物性ロウと植物性ロウがあり、動物性ロウにはミツロウ(蜜蝋)、鯨ロウ、ラノリン、硬質ラノリン、硬化ラノリン、還元ラノリン、精製ラノリンを含む)等があり、植物性ロウにはカルナウバロウ、キャンデリラロウ、水素添加ホホバ油等がある。中でもミツロウ(蜜蝋)が好ましい。
油性成分(B)の2価の高級アルコールとしては、キミルアルコール(モノパルミチルグリセリンエーテル)、バチルアルコール(モノステアリルグリセリンエーテル)がある。
【0085】
油性成分(B)の環状アルコールとしては、コレステロール(コレステリン)、ジヒドロコレステロール、フィトステロール(シトステロール)、カンペステロール、スチグマステロール等があり、中でもコレステロール(コレステリン)、フィトステロール(シトステロール)が好適である。
油性成分(B)の 環状アルコールの脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシルエステル、コレステリル・オクチルドデシルエステル、オレイン酸・フィトステリルエステル、2−オクチル、ドデシルフィトステリルエステル、2−オクチルドデシル・ベヘニル・フィトステリルエステル等がある。中でもステアリン酸コレステリルが好適である。
【0086】
油性成分(B)の多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)としては、トリパルミチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリオキシステアリン酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリラノリン脂肪酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセルオリゴエステル、トリ(カプリル酸・カプリン酸・ミリスチン酸・ステアリン酸)グリセリル、エリスリトール脂肪酸エステルのジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット等がある。特に(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセルオリゴエステル、トリ(カプリル酸・カプリン酸・ミリスチン酸・ステアリン酸)グリセリル、(ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸の混合酸)ジペンタエリスリチル、12―ヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルが適している。
油性成分(B)のリン脂質としては、大豆リン脂質、卵黄レシチン等がある。
【0087】
本発明において使用される多糖類は、ナノ粒子としてフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類である。この多糖類は、親水性溶媒中でナノ粒子状の形態をとることができる。また、紫外線を反射させる成分として微粒子酸化チタンを配合する。
【0088】
さらに、化粧料は各種成分を多く配合させるので、その配合成分の種類及び量によっては安定性が不十分な場合がある。特に表面活性を持つ粉体であるセラミド粉末、あるいは析出易いアルコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド等を配合した場合はその影響が大きい。その場合、本発明の微粒子酸化チタン、高級アルコール、多糖類を配合させ、さらに第三リン酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸カリウム、ペンタポリリン酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ジエチレントリアミン五酢酸より選ばれるリン酸塩の1種以上を化粧料の全量に対して0.1重量%〜5重量%配合することにより化粧料の安定性が改善される。
【0089】
本発明リン酸塩の作用機構は明らかではないが、次のように推測する。化粧料中にプラスにチャージする成分が存在すると、本発明で用いる多糖類との間で凝集作用が働き、乳化物が締まることにより固化や離水を生じる。その際にリン酸塩があると、本発明で用いる多糖類よりも先に化粧料中でプラスにチャージする成分と反応し、プラスのチャージを打ち消し、さらに全体的にマイナスにチャージさせる作用があると推測される。これにより本発明で用いる多糖類の分散状態は保たれ、化粧料はより安定になると推測される。
【0090】
その構成成分にカルボキシル基を有するグルクロン酸を含む多糖類に対して最も反応性がない物質である含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物にて表面処理を行う必要がある。本発明表面処理を用いた酸化チタンは、化粧料中にてプラスにチャージしないため、化粧料中に広がっている多糖類に凝集力が生じないため高い安定性が得られる。
また、本発明の化粧料は、耐水性を上げるために界面活性剤を配合しない。そのため、界面活性剤を配合しなくても安定で肌なじみの良い乳化を得る必要がある。
【0091】
本発明は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類をランダムに細分化したナノ粒子をファンデルワールス力によって油性成分表面に付着させることで乳化を行なう三相乳化法を利用する。この乳化は界面活性剤(実質的な界面活性性能を有する物質を含む)を添加しなく、その油性成分等の被乳化成分の乳化安定性は長時間保たれるものであり乳化方法としては優れている。そしてさらに、融点が45℃以上の高級アルコールを2種類以上含有させることで、肌馴染みを良くするとともに安定性もさらに向上させた。
【0092】
本発明に使用する含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物が被覆した微粒子酸化チタンは、微粒子状の酸化チタンの表面を含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物で反応処理し表面改質を行った酸化チタンである。例えば、四塩化チタン水溶液を室温に保持しながら、水酸化ナトリウム水溶液で中和してコロイド状の非晶質水酸化チタンを析出させ、熟成してルチル型の微小チタニアゾルを調製する。二酸化ケイ素(SiO)と水酸化ナトリウム(NaOH)を反応させて調製した水ガラス(アルカリ−ケイ酸)を無機酸、例えば硫酸と共に当該微小チタニアゾルに添加することにより、微小二酸化チタン表面にケイ酸を析出させて被覆を作り、水酸化ナトリウムでpHを中性〜弱アルカリ性に調製し、熟成させて無機酸、例えば硫酸でpHを中性にすることで含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物被覆微粒子酸化チタンの水スラリーが得られる。
【0093】
水ガラス(アルカリ−ケイ酸)の添加速度を適度に調整することで種々の含水ケイ酸および含水ケイ酸化合物被覆二酸化チタンのスラリーが得られる。これを濾過、水洗、乾燥して粉体を得、さらに用途によってこの粉体を粉砕等の処理を行い、目的とする含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物被覆微粒子酸化チタンが得られる。
【0094】
本発明で用いる多糖類(以下「多糖類」とする)は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む上記多糖類である。例えば、下記式(化1)に示されるようなグルコース、グルクロン酸、ラムノースからなる繰返し構造の主鎖からなり、主鎖中の1つのグルコースに1つのフコースが分岐した構造からなっている多糖類(A)である。
【化1】

【0095】
上記式(化1)の多糖類は、例えばアルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015号)の産生物として得ることができる。アルカリゲネス レータスB−16株細菌は、通常の微生物培養方法で培養され、培養後、該培養液にアセトン、エタノール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒を入れると産出多糖類が不溶解物として析出する。析出物を分離して多糖類を得ることができる。
【0096】
本発明の多糖類において、微生物は一般に2種以上の多糖類を産生することが多いが、本発明の効果を妨げるものでなければ、他種の多糖類が含まれていても差し支えない。例えば、アルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類には少なくとも2種の多糖類が含まれていることが確かめられており、培養液から分離した多糖類の構成単糖比率はモル比でフコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1:(0.5〜4):(0.5〜2):(0.5〜2)であるが、2種の多糖類を分離すると、一つは、前記一般式(化1)に示すようなグルコース、グルクロン酸、ラムノースからなる繰返し構造の主鎖中にある1つのグルコースに1つのフコースが分岐した構造を有する多糖類であり、他はフコースとマンノースを繰り返し単位とする多糖類である。
【0097】
前者は、本発明の多糖類であり、フコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノースの単糖構成比は1:2:1:1であり、分子量は10〜10程度の高分子成分である(1998年度日本農芸化学会大会要旨集、371頁参照)。後者は、フコースとマンノースが1:1の繰り返し構造の多糖類であり、分子量が10〜10の低分子成分である(Y.Nohata,J.Azuma,R.Kurane,Carbohydrate Research 293,(1996)213〜222参照)。この低分子成分は本発明の多糖類の範囲外であるが、本発明の安定化効果を妨げるようなことはなく、結果的に本発明に用いられることになっても差し支えない。この多糖類は、アルカシーラン(商品名、INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製)として市販されている。
【0098】
また、アルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015号)の代わりに、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011(FERM BP−08582)又はSPH−012(FERM BP−08579)を使用しても、本発明の多糖類を得ることができる。それ以外に、主鎖がグルクロン酸、グルコース、ラムノースで、側鎖がラムノースである、ウエランガム(CPケルコ社製)、ダイユータンガム(CPケルコ社製)等がある。
【0099】
本発明の 表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物が被覆した微粒子酸化チタンを配合したO/Wタイプの乳化状態の化粧料においてその製造方法は特に限定される物ではないが例えば以下の方法を用いる。
化粧料の製造方法は、まず、70℃以上の水単独、親水性溶媒単独、または水と親水性溶媒の混合物に被乳化成分と本発明多糖類である少なくともグルクロン酸を構成単糖とし、フコース及び/又はラムノースを側鎖に含む多糖類を全量に対して0.01〜1重量%を溶解させる。その際、強いシェアーをかける必要があり、ホモジナイザー(例えば、TKホモミクサーMARKツー2.5型羽根を本体がTKKロボミックスに取付けたもの、特殊機化工業株式会社製)あるいはデイスパーザー(例えば、TKホモィスパーザー2.5型2.5型羽根に本体がTKロボミックスに取付けたもの、特殊機化工業株式会社製)を使用する。
【0100】
溶解時間は装置、液量により異なるが、10分〜60分程度である。次に本発明に使用する含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物が5%〜30%被覆した微粒子酸化チタンを予め多価アルコール、例えば、グリセリン、1,3ブタンジオール、1,2ペンタンジオール、オクタンジオール、1−(2−エチルヘキシル)グリコールエーテルに分散させ70℃に加温したものを多糖類溶解液に添加し撹拌する。
この撹拌には、ホモジナイザーと称される通常の乳化装置を用いることができ、撹拌時間は装置、液量により異なるが、10分〜20分程度である。そして更に、70℃以上に加熱した状態のところに、70℃以上に加熱した油性基剤を添加し乳化させる。乳化時間は装置、液量により異なるが、10分〜60分攪拌した後、攪拌をそのまま続けた状態で、冷却を開始する。冷却時間は装置、液量により異なるが、10分〜60分かけ常温にする。
【0101】
この方法にて、本発明の含水ケイ酸および含水ケイ酸化合物が被覆した微粒子酸化チタンが均一に分散した乳化状態の化粧料を得ることができる。本発明の含水ケイ酸および含水ケイ酸化合物が被覆した微粒子酸化チタンの配合量としては、化粧料の全量に対して1重量%〜30重量%であり、望ましくは3重量%〜20重量%、更に望ましくは5重量%〜15重量%である。1重量%以下では十分な紫外線防止効果は得られない。また30重量%以上では、紫外線防止効果は得られるが、塗布後に白浮きしてしまい、化粧品としての美観を損なうので実用に耐えられるものではない。油性基剤の配合量は0.5重量%〜30重量%であり、望ましくは1重量%〜20重量%、更に望ましくは5重量%〜15重量%である。0.5重量%以下では、十分な耐水性が得られない。また30重量%以上では、耐水性は得られる物の塗布後のべたつきが生じてしまい、化粧品としての感触を損なうので実用に耐えられるものではない。
【0102】
また、化粧料は各種成分を多く配合させるので、その配合成分の種類及び量によっては、本発明の多糖類と高級アルコールを2種類以上配合した場合だけでは安定性が不十分な場合がある。特に表面活性を持つ粉体であるセラミド粉末、酸化亜鉛粉末、マイカ粉末、あるいは析出易いアルコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド等を配合した場合はその影響が大きい。その場合は、本発明の多糖類と高級アルコールを2種以上配合するとともに、安定した乳化状態を得るために、第三リン酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸カリウム、ペンタポリリン酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ジエチレントリアミン五酢酸より選ばれるリン酸塩を1種類以上を化粧料の全量に対して0.1重量%〜5重量%配合させる。
【0103】
配合方法としては、本発明と多糖類を溶解する際に添加し、本発明の多糖類と同時に溶解させる。これにより、後から添加した化粧料にプラスにチャージする成分は、本発明多糖類と反応する前に、リン酸塩(イオン)、クエン酸塩(イオン)、ホスホン酸化合物(イオン)、酢酸化合物(イオン)がいち早く反応、中和、見かけのチャージをマイナスするため、化粧料を安定化させることが可能となる。
【0104】
また、本発明の乳化をさらに安定化させるために、親水性成分を添加しても良い。アミノ酸、糖およびその誘導体、(POEメチルグルコシド)、親水性ポリマー、低分子多価アルコール等である。
アミノ酸としては、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、オルチニン、グルタミン、グリシン、グルタミン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、システイン、シスチン、シトルリン、スレオニン、セリン、チロシン、トリプトファン、テアニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、ピロリドンカルボン酸及びその塩等が上げられる。糖およびその誘導体、ハチミツ、エリスリトール、マルトース、マルチトール、キシリトール、キシロース、ペンタエリスリトール、フルクトース、デキストリン及びその誘導体、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、トレハロース、ブドウ糖、POEメチルグルコシド、加水分解水添デンプン、グルコシドトレハロース等がある。
【0105】
親水性ポリマーとしては、例えばキサンタンガム、アラビアゴム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲンなどの天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、セルロース結晶体、デンプン・アクリル酸ナトリウムクラフト重合体、疎水化ヒドトキシプロピルメチルセルロースなどの半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子などであり、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライトなどの無機鉱物などを併用することもある。低分子多価アルコールとしては、エタノール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブタノール、プロパノール、ペンタンジオール、オクタンジオール、1-(2-エチルヘキシル)グリコールエーテル等が上げられる。
【0106】
本発明の化粧料は、その使用目的により種々のものがあり、従って必要によりさらに、薬品類、医薬部外品類、化粧品類などに配合される成分である精製水、温泉水、深層水、増粘剤、色素、保湿剤、収れん剤、美白剤、紫外線防止剤、抗炎症(消炎)剤、皮膚(細胞)賦活化剤、抗菌剤、経皮吸収促進剤、清涼剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、褪色防止剤、緩衝剤などが任意に加えられる。本発明は、その目的とする効果を妨げない範囲でこれら各種添加剤の配合することを制限するものではない。
【0107】
本発明の化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲内で、外用剤の他、内服剤、注射剤等、種々の形態の化粧料とすることができるが、通常は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の外用剤として用いることが好ましい。化粧料の形態(剤型)については、特に制限されず、溶液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等任意の剤型をとることができる。また、本発明のサンレス日焼け用化粧料は、オイル、ローション、クリーム、乳液、ゲル、シャンプー、ヘアリンス本発明の化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲内で、ヘアコンディショナー、エナメル、ファンデーション、リップスティック、おしろい、パック、軟膏、錠剤、注射液、顆粒、カプセル、パウダー、歯磨、石鹸、エアゾル、クレンジングフォーム等に用いることができる。
【実施例】
【0108】
以下に実施例をあげて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに制約されるものではない。
(多糖類)
(1)多糖類(A−1):アルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類(粗製品)
グルコース(和光純薬工業(株)製、試薬)40.0g、リン酸水素二カリウム(和光純薬工業(株)製、試薬)4.0g、リン酸二水素カリウム(和光純薬工業(株)製、試薬)2.0g、塩化ナトリウム(和光純薬工業(株)製、試薬)0.1g、硫酸マグネシウム(和光純薬工業(株)製、試薬)0.2g、硝酸カリウム(和光純薬工業(株)製、試薬)1.0g、イーストエキストラクト(オキソイド(OXOID)社製)1.5gをイオン交換水に溶解し、水酸化ナトリウムあるいは硫酸を用いpH6.5に調整し、全量を1リットルとした。この水溶液150mLを500mLの三角フラスコに取り、オートクレーブにより加熱滅菌(121℃、15分間)した後、室温まで戻し、アルカリゲネスレータスB−16株(FERM BP−2015号)を1白金耳接種し、30℃にて6日間振とう培養(180rpm)した。培養終了後、培養物に約3倍容量のイソプロピルアルコールを加えて攪拌混合し、析出した凝集物を濾過、回収、減圧下にて乾燥してアルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類(A−1)を得た。この多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他フコースとマンノースをモル比1:1で構成される多糖類を含み、その存在比は7:1(重量比)である。尚、構成単糖類は、多糖類を硫酸で加水分解した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
【0109】
(2)多糖類(A−2):上記多糖類(A−1)の精製品
上記多糖類(A−1)の0.5重量%水溶液を調製し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを12とした。この水溶液をイオン交換樹脂「ダイヤイオンHPA−75(OH−)(商品名)」(日本錬水(株)製)のカラムを用いて8Ru以下で処理し、さらに濾過助剤「ラジオライトRL700」と5μmメンブランフイルターで濾過し、タンパク質、核酸、微生物類を除去した。濾液を希塩酸にてpHを7にしてから減圧濃縮し、アセトンを投入して多糖類を沈澱させ、さらに10倍量のアセトンで洗浄し、フコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1:2:1:1で構成され、分子量が5,000万の多糖類(A−2)を得た。
【0110】
(3)多糖類(A−3):アルカシーラン(商品名、INCIname:Alcaligenes Polysacchaides;伯東(株)製)
(4)多糖類(A−4):スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌の産出多糖類(粗製品)。
丸菱エンジニアリング(株)製の90Lの発酵槽に下記組成の培地50Lを入れ、滅菌後、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011(FERM BP−08582)を摂取し、培養を行った。発酵槽の攪拌羽にはタービン攪拌羽根を用いて、700rpm〜800rpmの範囲で撹拌し、通気量は1vvm〜2vvmの範囲とした。pHは6.5±0.4の範囲となるようにNaOHの1N水溶液を使用してコントロールした。また、培養温度は30℃±0.2でコントロールを行った。培養は6日間行った。培養終了後、培養物に約3倍容量のイソプロピルアルコールを加えて攪拌混合し、析出した凝集物を濾過、回収、減圧下にて乾燥してスフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011細菌の産出多糖類(A−4)を得た。多糖類(A−4)はフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他ラムノースとマンノースをモル比2:1で構成される多糖類を含む。構成単糖類は、多糖類を硫酸で加水分解した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
【0111】
(5)多糖類(A−5):スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012株細菌の産出多糖類(粗製品)。
スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012(FERM BP−08579)を用いて、多糖類(A−4)と同様にして培養を行ない、多糖類(A−5)を得た。多糖類(A−5)はフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他フコースとマンノースをモル比1:1で構成される多糖類を含む多糖類である。
【0112】
(6)多糖類(A−6):スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌の産出多糖類(精製品)。
多糖類(A−4)の0.5重量%水溶液に水酸化ナトリウムを0.02重量%濃度になるように添加し、一晩撹拌を行って多糖類を分散させた。更に121℃、10分間の条件で加熱して溶解させた。次に遠心分離(40,000G,40分)にて除菌を行った。菌体除去の確認は上清の透明度で判断した。次に前記メンブレンフィルターシステムにて濾過を行い、濾過残渣を得た。この濾過残渣に再度、体積として約100倍量の純水を足し、撹拌した後、再濾過をおこなった。この操作を5回繰り返し水不溶成分の脱塩を行なった。メンブレンフィルターシステムによりある程度脱水したゲル状の水不溶成分をそのまま常温減圧乾燥し、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌の産出多糖類(A−6)(精製品)を得た。
【0113】
(7)多糖類(A−7):スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012株細菌の産出多糖類(精製品)。
スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌に代えてスフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012株細菌を用いて、多糖類(A−6)と同様に多糖類(A−5)中の産生多糖類の分離を行い、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012株細菌の産出多糖類(A−7)を得た。
【0114】
上記多糖類を生成する培地の組成は、次の通りである。
グルコース (和光純薬工業(株)製)4.00g
リン酸水素二カリウム(和光純薬工業(株)製)0.40g
リン酸二水素カリウム(和光純薬工業(株)製)0.20g
塩化ナトリウム (和光純薬工業(株)製)0.01g
硫酸マグネシウム (和光純薬工業(株)製)0.02g
硝酸カリウム (和光純薬工業(株)製)0.10g
イーストエキストラクト Hy−Yeast 412 (シグマ社製)0.15g
【0115】
(酸化チタン)
(1)チタニアゾル(B−0):四塩化チタン水溶液(TiO2 200g/l)を室温に保持しながら、水酸化ナトリウム水溶液で中和してコロド状の非晶質水酸化チタンを析出させ、その後熟成してルチル型の微小チタニアゾル(B−0)を得た。
【0116】
(2)酸化チタン(B−1):二酸化ケイ素(SiO2 320g/l)と水酸化ナトリウムNaOH 480g/Lを混合し反応させて水ガラス(Na2SiO3)を調製した。この水ガラス水溶液:220mL(SiO2換算で180g/L)を硫酸と共に、微小チタニアゾル分散液(B−0)1000mLに添加し、二酸化チタン表面にケイ酸を析出、被覆させた。次いで2Nの水酸化ナトリウム水溶液を約1mL/分の速度で60分間添加してpHを8とした。その後、硫酸でpHを7に調整し、撹拌しながら60分間熟成し、含水ケイ酸被覆二酸化チタンスラリーを得た。次にこのスラリーを濾過、水洗、乾燥して粉体を得た。衝撃式粉砕機を使用してこの粉体を20秒間粉砕し、酸化チタン(B−1)を得た。粉砕後の被覆粉体粒径は0.05μm〜3μmの間に分布し、平均粒径は0.5μmであった。
【0117】
(3)酸化チタン(B−2):MT−150W(商品名)(メタリン酸ナトリウム被覆酸化チタン;テイカ(株)製)
(4)酸化チタン(B−3):MT−01(商品名)(水酸化アルミニウム、ステアリン酸被覆酸化チタン;テイカ(株)製)
(5)酸化チタン(B−4):MT−100AQ(商品名)(水酸化アルミニウム、含水ケイ酸、アルギン酸ナトリウム被覆酸化チタン;テイカ(株)製)
(6)酸化チタン(B−5):MT−100SA(商品名)(水酸化アルミニウム、含水ケイ酸被覆酸化チタン;テイカ(株)製)
・酸化チタン(B−6):MT−02(商品名)メチルハイドリジエンポリシロキサン被覆酸化チタン;テイカ(株)製)
【0118】
(高級アルコール)
(1)セトステアリルアルコール(C−1):(「セトステアリルアルコール(ヘキサデカノール50%、オクタデカノール50%、融点54−56度℃)」(商品名);高級アルコール工業(株)製)
(2)ベヘニルアルコール(C−2):「ベヘニルアルコール65(ドコサノール65〜70%、エイコサノール10〜20%、オクタデカノール10〜20%、融点65−73℃)」(商品名);高級アルコール工業(株)製
【0119】
(リン酸塩)
(1)第三リン酸カリウム(D−1)(試薬;太平化学産業(株)製)
(2)第三リン酸ナトリウム(D−2)(試薬;太平化学産業(株)製)
(3)メタリン酸カリウム(D−3)(試薬;太平化学産業(株)製)
(4)メタリン酸ナトリウム(D−4)(試薬;太平化学産業(株)製)
(5)ピロリン酸ナトリウム(D−5)(試薬;太平化学産業(株)製)
(6)トリポリリン酸ナトリウム(D−6)(試薬;太平化学産業(株)製)
(7)テトラポリリン酸ナトリウム(D−7)(試薬;太平化学産業(株)製)
(8)ペンタポリリン酸ナトリウム(D−8)(試薬;太平化学産業(株)製)
(9)ピロリン酸カリウム(D−9)(試薬;太平化学産業(株)製)
(10)トリポリリン酸カリウム(D−10)(試薬;太平化学産業(株)製)
(11)テトラポリリン酸カリウム(D−11)(試薬;太平化学産業(株)製)
(12)ペンタポリリン酸カリウム(D−12)(試薬;太平化学産業(株)製)
(13)クエン酸ナトリウム(D−13)(試薬;関東化学(株)製)
(14)クエン酸カリウム(D−14)(試薬;関東化学(株)製)
(15)ヒドロキシエタンジホスホン酸(D−15)(試薬;キレスト(株)製)
(16)ジエチレントリアミン5酢酸(D−16)(試薬;キレスト(株)製)
【0120】
本発明の実施例1であるサンスクリーン1−1の組成を表1に示す。
【表1】

【0121】
1.区分cの多糖類(A−1)を80℃まで加温し、ディスパーザを用いて精製水に前分散させ多糖類(A−1)水分散液とした。
2.区分bの各成分を計量し、均一混合80℃にて加温溶解して混合液1とした。
3.区分aの各成分を計量し、80℃にて加温溶解して混合液2とした。
4.多糖類(A−1)水分散液に混合液2を添加し、ホモジナイザーorホモミキサー8000回転を行いながら、混合液1を徐々に添加した。添加後10分間攪拌を行い、室温まで冷却してサンスクリーン1−1(実施例1)を得た。
【0122】
(実施例2:サンスクリーン1−2)〜(実施例7:サンスクリーン1−7)と(比較例1:サンスクリーン1−8)〜(比較例8:サンスクリーン1−14)を以下にしめす。
(実施例2:サンスクリーン1−2)
実施例1のc区分の多糖類(A−1)を同量の多糖類(A−2)に置き換えて調製し、サンスクリーン1−2(実施例2)を得た。
(実施例3:サンスクリーン1−3)
実施例1のc区分の多糖類(A−1)を同量の多糖類(A−3)に置き換えて調製し、サンスクリーン1−3(実施例3)を得た。
(実施例4:サンスクリーン1−4)
実施例1のc区分の多糖類(A−1)を同量の多糖類(A−4)に置き換えて調製し、サンスクリーン1−4(実施例4)を得た。
(実施例5:サンスクリーン1−5)
実施例1のc区分の多糖類(A−1)を同量の多糖類(A−5)に置き換えて調製し、サンスクリーン1−5(実施例5)を得た。
(実施例6:サンスクリーン1−6)
実施例1のc区分の多糖類(A−1)を同量の多糖類(A−6)に置き換えて調製し、サンスクリーン1−6(実施例6)を得た。
(実施例7:サンスクリーン1−7)
実施例1のc区分の多糖類(A−1)を同量の多糖類(A−7)に置き換えて調製し、サンスクリーン1−7(実施例7)を得た。
【0123】
(比較例1:サンスクリーン1−8)
実施例1のc区分の多糖類(A−1)を同量のキサンタンガム(ケルトロール(商品名);CPケルコ社製)に置き換え、更にショ糖ミリスチン酸エステル(M−160(商品名);第一工業製薬(株)製)1%を区分aに添加して調製し、サンスクリーン1−8(比較例1)を得た。
【0124】
(比較例2:サンスクリーン1−9)
実施例1のc区分の多糖類(A−1)を、同量のヒドロキシメチルセルロース(メトローズSH9000(商品名);信越化学工業(株)製)に置き換え、更にショ糖ミリスチン酸エステル(M−160(商品名);第一工業製薬(株)製)1%を区分aに添加して調製し、サンスクリーン1−9(比較例2)を得た。
【0125】
(比較例3:サンスクリーン1−10)
実施例3のa区分の酸化チタン(B−1)を同量の酸化チタン(B−2)に置き換えて調製し、サンスクリーン1−10(比較例3)を得た。
(比較例4:サンスクリーン1−11)
実施例3のa区分の酸化チタン(B−1)を同量の酸化チタン(B−3)に置き換えて調製し、サンスクリーン1−11(比較例4)を得た。
(比較例5:サンスクリーン1−12)
実施例3のa区分の酸化チタン(B−1)を同量の酸化チタン(B−4)に置き換えて調製し、サンスクリーン1−12(比較例5)を得た。
(比較例6:サンスクリーン1−13)
実施例3のa区分の酸化チタン(B−1)を同量の酸化チタン(B−5)に置き換えて調製し、サンスクリーン1−13(比較例6)を得た。
(比較例7:サンスクリーン1−14)
実施例3のa区分の酸化チタン(B−1)を同量の酸化チタン(B−6)に置き換えて調製し、サンスクリーン1−14(比較例7)を得た。
(比較例8:サンスクリーン1−14)
実施例3のa区分に、ショ糖ミリスチン酸エステル(M−160(商品名);第一工業製薬(株)製)1g/100mlを加えて調製し、サンスクリーン1−14(比較例8)を得た。
【0126】
(実施例8:サンスクリーン2−1)
サンスクリーン2−1の組成を表2に示す。
【表2】

【0127】
1.区分cの多糖類(A−3)を80℃まで加温し、ディスパーザを用いて精製水に前分散させ多糖類(A−3)水分散液とした。
2.区分bの各成分を計量し、均一混合80℃にて加温溶解して混合液1とした。
3.区分aの各成分を計量し、80℃にて加温溶解して混合液2とした。
4.多糖類(A−3)水分散液に混合液2を添加し、ホモジナイザーorホモミキサー8000回転を行いながら、混合液1を徐々に添加した。添加後10分間攪拌を行い、室温まで冷却した。
5.冷却後、区分dの各成分を添加、攪拌混合してサンスクリーン2−1(実施例8)を得た。
【0128】
(実施例9:サンスクリーン2−2)〜(実施例19:サンスクリーン2−12)と(比較例9:サンスクリーン2−13)〜(比較例10:サンスクリーン2−14)を以下に示す。
(実施例9:サンスクリーン2−2)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のリン酸塩(D−2)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−2(実施例9)を得た。
(実施例10:サンスクリーン2−3)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のリン酸塩(D−3)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−3(実施例10)を得た。
(実施例11:サンスクリーン2−4)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のリン酸塩(D−4)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−4(実施例11)を得た。
(実施例12:サンスクリーン2−5)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のリン酸塩(D−5)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−5(実施例12)を得た。
(実施例13:サンスクリーン2−6)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のリン酸塩(D−6)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−6(実施例13)を得た。
(実施例14:サンスクリーン2−7)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のリン酸塩(D−7)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−7(実施例14)を得た。
(実施例15:サンスクリーン2−8)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のリン酸塩(D−8)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−8(実施例15)を得た。
(実施例16:サンスクリーン2−9)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のリン酸塩(D−9)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−9(実施例16)を得た。
(実施例17:サンスクリーン2−10)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のリン酸塩(D−10)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−10(実施例17)を得た。
(実施例18:サンスクリーン2−11)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のリン酸塩(D−11)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−11(実施例18)を得た。
(実施例19:サンスクリーン2−12)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のリン酸塩(D−12)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−12(実施例19)を得た。
(実施例20:サンスクリーン2−13)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のクエン酸ナトリウム(D−13)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−13(実施例20)を得た。
(実施例21:サンスクリーン2−14)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のクエン酸カリウム(D−14)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−14(実施例21)を得た。
(実施例22:サンスクリーン2−15)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のヒドロキシエタンジホスホン酸(D−15)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−15(実施例22)を得た。
(実施例23:サンスクリーン2−16)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量のジエチレントリアミン5酢酸(D−16)に置き換えて調製し、サンスクリーン2−16(実施例23)を得た。
【0129】
(比較例9:サンスクリーン2−17)
実施例8のC区分のリン酸塩(D−1)を同量の水に置き換えて調製し、サンスクリーン2−17(比較例9)を得た。
(比較例10:サンスクリーン3)
サンスクリーン3の組成を表3に示す。
【表3】

【0130】
1.区分dの多糖類(A−3)を80℃まで加温し、ディスパーザを用いて精製水に前分散させ多糖類(A−3)水分散液とした。
2.区分bの各成分を計量し、均一混合80℃にて加温溶解して混合液1とした。
3.区分cの各成分を計量し、均一混合80℃にて加温溶解して混合液2とした。
4.区分aの各成分を計量し、80℃にて加温溶解して混合液3とした。
5.混合液1に混合液3を徐々に添加、混合して混合液4とした。
6.多糖類(A−3)水分散液をホモジナイザー又はホモミキサーで8000回転に撹拌しながら、混合液4を徐々に添加した。添加後10分間攪拌を行い混合液5とした。
7.攪拌している混合液5に混合液2を徐々に添加した。更に混合液4を徐々に添加し10分間を攪拌行い、室温まで冷却してサンスクリーン3(比較例10)を得た。
【0131】
(化粧料の安定性試験)
上記の調製したサンスクリーン1(実施例1〜7及び比較例1〜8)、サンスクリーン2(実施例8〜23及び比較例9)及びサンスクリーン3(比較例10)を用いて安定性試験を行った。調製直後の化粧料組成物を200mLの試料瓶に取り、栓をして5℃、50℃、サイクル(−10℃にて1日維持、50℃にて1日維持を繰り返す)の恒温器内に静置し、1週間後、3カ月後に化粧料の安定性を下記の基準で目視観察した。分離・沈澱が認められないものが好ましい。結果を表4、表5及び表6にまとめた。
(安定性の評価基準)
○:目視により、分離・沈澱が認められない。
×:目視により、分離・沈澱が認められる。
【0132】
(化粧料の耐水性試験)
上記の調製したサンスクリーン1(実施例1〜7及び比較例1〜8)及びサンスクリーン2(実施例8〜23及び比較例9)及びサンスクリーン3(比較例10)を用いて耐水性試験を行った。一辺が30mmのNo.2のろ紙(アドバンティック社製)の裏面に調整直後のサンスクリーン0.5gを均一に塗布した後、105℃で1時間乾燥させ重量を測定した。200mLのビーカーに入れた100mLの精製水に、乾燥させたろ紙の表面を下にして30分間浸漬させ、ろ紙を水中から引き上げて、105℃にて1時間乾燥させ重量を測定した。下記の式に従って化粧料の流出割合(%)を算出し、耐水性を評価した。流出割合(%)が低いほど、水に流されず、耐水性が高く、好ましい。
流出割合(%)=〔{(浸漬前重量)―(浸漬後の重量)}/(浸漬前重量)〕×100
【0133】
結果を表4、表5及び表6にまとめた。
【表4】

【0134】
本発明のサンスクリーン(実施例1〜7)は、5℃、50℃、サイクル(−10℃にて1日維持、50℃にて1日維持を繰り返す)の貯蔵条件において、3カ月以上の安定性を維持し、水への流出割合は40%以下の高い耐水性を示している。一方、従来の二酸化チタンを使用したサンスクリーン(比較例1〜7)は、水への流出は抑えられるものの、その乳化状態の安定性は、1週間以下であった。また、表面処理をした含水シリカを使用し、界面活性剤を添加した比較例8は経時安定性は高いが、46.2%と耐水性がなかった。
【0135】
【表5】

【0136】
本発明のサンスクリーン(実施例8〜19)は、5℃、50℃、サイクル(−10℃にて1日維持、50℃にて1日維持を繰り返す)の貯蔵条件において、乳化を不安定にするアスコルビン酸グルコシドを添加しても3カ月以上の安定性を維持し、水への流出割合(%)も40%以下を示し、高い耐水性を持つことが分かる。リン酸塩を添加しない比較例9では、耐水性や安定性もあるが、サイクル条件での安定性が劣り、3ヶ月後に分離を生じた。
【0137】
(石鹸洗浄試験−さっぱり感の評価)
調整直後の化粧料組成物、サンスクリーン1−1(実施例1)及びサンスクリーン3(比較例10)を10人の試験者にそれぞれ2gを、白浮きが消えるまで延ばし肌に馴染ませ、使用した。1時間後、十分に水分が蒸発した後、石鹸にて洗顔し、除去度合いの評価を行った。評価は、「べたつき」の有無、「さっぱりとした良好な感触」の有無の官能試験を行った。また、洗顔後、コットンにシクロペンタシロキサン(KF−995信越化学工業)を1g湿潤させたものでふき取りを行い、拭き取りの良否を目視評価した。よく拭き取れない方が、洗顔による除去性が高く好ましい。結果を表7に示した。
【0138】
【表6】

【0139】
【表7】

【0140】
本発明の実施例1は、石鹸で洗顔しただけで容易に洗い流すことができることが分かる。一方、含水シリカで表面処理をしていない二酸化チタンを使用し、界面活性剤および高粘度シリコーン化合物を使用した比較例10は、表6に示されるように水への流出は抑えられ、耐水性が高く、安定性も高い。しかし、表7に示すように石鹸で洗い流すことはできなく、洗顔後拭き取りを行うと、化粧料がコットンに多く付着し、洗顔後も肌に残っていることが分かる。また、比較例8は表4に示すように耐水性に劣るが、表7に示すように石鹸で洗浄できる。本発明は、石鹸での洗浄性に優れており、表4、5に示すように耐水性にも優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタン、高級アルコール、該高級アルコールを除く油性成分及び多糖類を含有し、該多糖類はフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種を構成単糖とし、フコース及び/又はラムノースを側鎖に含む多糖類が化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有されることを特徴とする乳化状態の化粧料。
【請求項2】
上記含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、微粒子酸化チタンに直接含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物にて直接表面処理、あるいはメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理をした後、含水ケイ酸および含水ケイ酸化合物にて表面処理する微粒子酸化チタンである請求項1に記載の乳化状態の化粧料。
【請求項3】
上記含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、実質的にアルミニウム又はアルミニウム化合物を含まない微粒子酸化チタンである請求項1に記載の乳化状態の化粧料。
【請求項4】
上記表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、上記化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有され、上記高級アルコールは上記化粧料の全量に対して1重量%〜15重量%含有され、上記高級アルコールを除く油性成分は上記化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%含有された請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【請求項5】
上記高級アルコールは、融点が45℃以上の高級アルコールを2種以上含有した請求項1乃至請求項4のいずれかに記載する乳化状態の化粧料。
【請求項6】
上記2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲とである請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【請求項7】
上記高級アルコールは、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、選ばれた2種以上の各々が上記化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が上記化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有されている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【請求項8】
上記化粧料は、第三リン酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸カリウム、ペンタポリリン酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ジエチレントリアミン五酢酸からなる群より選ばれる1種以上を上記化粧料の全量に対して0.05重量%〜5重量%含有する請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【請求項9】
上記多糖類は、少なくとも下記の一般式(化1)で表される多糖が含まれている請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【化1】

【請求項10】
上記油性成分が、少なくとも
油性成分(A)として、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)、液体ロウから選ばれた1種以上のものと、
油性成分(B)として、固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)、リン脂質から選ばれた1種以上のものを
重量比で上記油性成分(A)と上記油性成分(B)が2:1〜50:1となる範囲で含む請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【請求項11】
上記油性成分(A)は、ジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、スクワラン、パラフィン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸の混合酸)グリセリル、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、オリブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油、ホホバ油から選ばれた1種以上のものであり、
上記油性成分(B)は、ミツロウ(蜜蝋)、水素添加ホホバ油、キミルアルコール、バチルアルコール、コレステロール、ステアリン酸コレステリル、フィトステロール、トリミリスチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリルから選ばれた1種以上のものであり、
上記油性成分(A)と上記油性成分(B)を組み合わせて用いる請求項10記載の乳化状態の化粧料。
【請求項12】
上記化粧料が、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤あるいはアルキレン(炭素数2〜4)オキシド付加物からなる非イオン界面活性剤のいずれも含まない請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【請求項13】
上記化粧料において、上記多糖類がランダムな粒径に細分化された請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【請求項14】
微粒子酸化チタン、高級アルコール、該高級アルコールを除く油性成分及び多糖類を含有する乳化状態の化粧料の製造方法において、
上記微粒子酸化チタンは、表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンを使用し、
70℃以上の水及び/又は親水性溶媒にフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内、少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む上記多糖類について、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%に相当する量を上記水及び/又は親水性溶媒に溶解させて溶液を製造した後に、
上記高級アルコールについて、上記化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%に相当する量と、上記油性成分について、上記化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%に相当する量を上記溶液に添加し、溶解させ、70℃以上で乳化攪拌させ、
更に、乳化攪拌したまま上記成分が含有された上記溶液を40℃以下まで冷却させることを特徴とする乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項15】
上記含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、微粒子酸化チタンに直接含水ケイ酸及びおよび含水ケイ酸化合物にて直接表面処理、あるいはメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理をした後、含水ケイ酸および含水ケイ酸化合物にて表面処理する微粒子酸化チタンである請求項14記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項16】
上記含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、実質的にアルミニウム又はアルミニウム化合物を含まない微粒子酸化チタンである請求項14に記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項17】
上記表面に含水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸化合物を被覆した微粒子酸化チタンは、上記化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有され、上記高級アルコールは上記化粧料の全量に対して1重量%〜15重量%含有され、上記高級アルコールを除く油性成分は上記化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%含有された請求項14乃至請求項16のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項18】
上記高級アルコールは融点が45℃以上であり、少なくとも2種以上を用いる請求項14乃至請求項17のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項19】
上記2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲とする請求項14乃至請求項18のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項20】
上記高級アルコールは、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、選ばれた2種以上の各々が上記化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が上記化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有させた請求項14乃至請求項19のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項21】
上記化粧料は、第三リン酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸カリウム、ペンタポリリン酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ジエチレントリアミン五酢酸からなる群より選ばれる1種以上を上記化粧料の全量に対して0.05重量%〜5重量%含有させた請求項14乃至請求項20のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項22】
上記多糖類は、少なくとも下記の一般式(化1)で表される多糖が含ませた請求項14乃至請求項21のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【化1】

【請求項23】
上記油性成分が、少なくとも
油性成分(A)として、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)、液体ロウから選ばれた1種以上のものと、
油性成分(B)として、固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)、リン脂質から選ばれた1種以上のものを
重量比で上記油性成分(A)と上記油性成分(B)が2:1〜50:1となる範囲で含ませた請求項14乃至請求項22のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項24】
上記油性成分(A)は、ジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、スクワラン、パラフィン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸の混合酸)グリセリル、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、オリブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油、ホホバ油から選ばれた1種以上のものであり、
上記油性成分(B)は、ミツロウ(蜜蝋)、水素添加ホホバ油、キミルアルコール、バチルアルコール、コレステロール、ステアリン酸コレステリル、フィトステロール、トリミリスチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリルから選ばれた1種以上のものであり、
上記油性成分(A)と上記油性成分(B)を組み合わせて用いる請求項23に記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項25】
上記化粧料が、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤あるいはアルキレン(炭素数2〜4)オキシド付加物からなる非イオン性界面活性剤のいずれも含まない請求項14乃至請求項24のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項26】
上記化粧料において、上記多糖類をランダムな粒径に細分化させた請求項14乃至請求項25のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。

【公開番号】特開2008−7491(P2008−7491A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182306(P2006−182306)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(592218300)学校法人神奈川大学 (243)
【出願人】(000234166)伯東株式会社 (135)
【Fターム(参考)】