説明

医用画像の分散画像処理

【課題】分散型網の全体にわたって医用画像処理タスクを効率的に割り当てる。分散型医用イメージング・システムの利用者に柔軟性及び制御を提供する。
【解決手段】サーバ302、クライアント312及び通信経路305に関連するシステム資源308、316を含んでいる分散型網で通信を行ない、監視データを生成するように、少なくとも一つの工程モニタ310、314でシステム資源308、316及び帯域幅を監視し、クライアント312に表示可能な二次元画像データを形成するように三次元画像データを処理するためのシステム資源308、316の少なくとも一部の割当てを、監視データに少なくとも部分的に基づいて推奨する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施形態は一般的には、分散処理に関する。具体的には、幾つかの実施形態は、クライアントに画像を表示するためにクライアントとサーバとの間で医用画像データ処理を割り当てることに関する。
【背景技術】
【0002】
現代のコンピュータの急増に伴って、コンピュータ網(ネットワーク)も急増している。コンピュータ網には、構内網(LAN)、広域網(WAN)、有線網、無線網及び光網等、又はこれらの任意の組み合わせがある。ネットワークは、ネットワーク上の個々のコンピュータの間の通信を可能にする。
【0003】
データを共有することに加え、コンピュータ網はまた、コンピュータ資源の共有を容易にする。資源を共有したネットワークでは、個々のコンピュータが利用可能な全資源量が増強される。資源を共有したネットワークを分散型網とも呼ぶことができる。というのは、ネットワークで利用可能な全資源がネットワークの全体に分散しているからである。
【0004】
分散型網との用語は広い意味であり、広範なネットワーク・モデルを包含している。例えば、分散型網はサーバ中心型網であってもよいし、クライアント中心型網であってもよい。サーバ中心型網は、何らかの重要資源がサーバによって供給されるように設計され得る。このことは、例えば相対的に安価なクライアント又は処理能力をあまり有しないクライアントが求められる場合に有利であり得る。対照的に、クライアント中心型網は、何らかの重要資源の供給についてクライアントの方により多く頼る場合がある。
【0005】
ネットワークに影響を及ぼし得る要因の一つに、帯域幅がある。比較的低い帯域幅の分散型網では、網通信量を低減する設計を選択すると望ましい場合がある。例えば、低帯域幅ネットワークでは、サーバ中心型網を提供すると望ましい場合がある。対照的に、相対的に高い帯域幅の分散型網は、アーキテクチャの柔軟性を高めることができる。
【0006】
合成モデル撮像のための分散型網は公知である。例えば、米国特許第6,377,257号「METHODS AND APPARATUS FOR DELIVERING 3D GRAPHICS IN A NETWORKED ENVIRONMENT」(以下「Borrel特許」と呼ぶ。特許文献1)は、クライアント及びサーバの両方で合成モデルをレンダリングする方法を議論している。Borrel特許の示すところによれば、従来技術の諸方式は、合成モデルをその構成部分(例えば前景物体及び背景)に分解して、サーバに構成部分の幾つかをレンダリングさせ、クライアントに残りの構成部分をレンダリングさせることにより動作するとして公知である。
【0007】
加えて、合成モデリング・システムは、クライアントからのフィードバックに基づいて分散型撮像手法を適応構成するとして公知である。Borrel特許は、クライアントからフィードバックを供給する方式について議論している。かかるフィードバックは、誤差補正、利用者定義によるフィードバック及び画質から成る。サーバは、フィードバックを処理し、次いで、効率的な解に到達するために分散型工程に調節を加えるように試みなければならない。
【0008】
しかしながら、合成モデリングに適用可能な解は、医療撮像には実用的でないことが判明する場合がある。モデリングとは異なり、医用画像は有機的でありすなわち一元的である傾向がある。換言すると、医用画像は、構成部分に容易に分解し得ない場合がある。例えば、人体の脊椎の合成モデルは、該モデルを生成して、各々の椎骨、各々の椎間板、各々の椎骨の表面テクスチャ生成、及び各々の椎間板の表面テクスチャ生成等を含めて多様な構成部分に基づいて記憶することができる。対照的に、人体の脊椎の医用画像(例えばX線によって撮影したもの)はかかる成分的構成要素を含んでいない場合がある。その代わりに、人体の脊椎の医用画像は、成分的構成要素には容易に分解しない一元的な画像であり得る。このように、分解という解が医用画像の分散型撮像に実用的でない場合がある。
【0009】
加えて、フィードバック依存型の適応型手法では、処理タスクの開始時に分散型資源の効率的な割当てに失敗する場合がある。換言すると、フィードバック依存型のシステムは最終的には、効率的な解に引き付けられ得るが、タスクの開始時に資源を効率的に割り当てない場合がある。さらに、フィードバックは資源の効率的な割当てを決定する大まかな尺度であり得る。例えば、公知の形式のフィードバックは、タイム・スタンプを用いてクライアントがどの程度高速にタスク又はその一部を実行するかを測定する。かかるフィードバック情報は、ネットワーク帯域幅、クライアントの中央処理ユニット(「CPU」)の速度及び負荷、クライアントのランダム・アクセス・メモリの空き容量、クライアントのビデオ・メモリの空き容量、並びにサーバのCPU速度及び負荷等を含めた広範な要因に基づいて変化し得る。このように、いずれの特定のファクタがフィードバック情報に影響を与え得るかを効率的に決定するのが不可能な場合がある。
【0010】
医用画像を表示するためには、医用イメージング・システムの利用を介して取得された医用画像データを処理することができる。計算機式断層写真法(CT)走査システムのような医用イメージング・システムは、画像データをスライスとして得ることができる。スライスは二次元(2D)スライスであってよい。1枚のスライスは第三の次元については比較的小さい厚みを有し得るが、スライスを2Dとして参照する方が概念的には好都合であろう。関心のある3D空間の様々な断面に対応する多数の2Dスライスを得ることができる。複数の2D画像データ・スライスを処理して3D画像データ空間とすることができる。1又は複数の相対的に大きいデータ・ファイルが、3D医用画像データ空間を記憶し且つ/又は処理することができる。
【0011】
医師は、さらなる処理を行なわなければ3D医用画像データ空間を観察することができない場合がある。フラット・パネル液晶ダイオード表示器又は陰極線管表示器のような表示器は、2D画像を表示することができるに留まる場合がある。但し、2D画像は観察者にとって3Dとして見えるようにすることができる。このように、表示器に医用画像を表示するために、3Dデータを処理して2Dデータを形成することができる。
【0012】
3D画像データを処理して2D画像データとする多様な手法が公知である。これらの手法には、多断面再構成(MPR)、最大(又は最小)強度投影(MIP)及びボリューム・レンダリング(VR)等がある。MPR処理では、3D空間を処理して2Dスライスを得ることができ、この2Dスライスを医用イメージング・システムによって得られたスライスとは異なるものにすることができる。例えば、MPR機能を組み入れたアプリケーションは、利用者が空間内の任意の位置を中心として表示画像を任意の角度で回転させることを可能にすることができる。このように、MPRは、医師が多様な位置及び角度の任意のものから解剖学的構造を観察することを可能にする。
【0013】
MIP処理では、3D空間を処理して、観察者が3Dであるものと認知し得る2Dスライスを得ることができる。MIP処理は、複数の2Dスライスの積層の結合である2D画像を作成することができる。各々の2Dスライスのピクセルを結合して2D画像を形成する幾つかの方法が存在する。例えば、最終的な2D画像の各々のピクセルを、2Dスライスの積層の対応するピクセルの中で最も明るいピクセル又は最も暗いピクセルとすることができる。もう一つの例では、最終的な2D画像の各々のピクセルを、2Dスライスの積層の対応するピクセルの平均としてもよい。
【0014】
VR処理は、3D空間を2Dで表示するもう一つの方法である。VR処理は、対象の表面及び/又は内部をレンダリングして、対象の表面が中実、透明及び/又は半透明に見えるようにする。関心のある空間(器官、血管及び骨等)の内部の対象も、中実、透明及び/又は半透明に見えるようにすることができる。
【特許文献1】米国特許第6,377,257号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
3DデータをMPR、MIP及びVRのような2D表示可能な画像へ変換する手法は、医師にとって有用であろう。加えて、かかる手法はまた、データの容量を大幅に減少させることができる。2D表示可能な画像は、3Dデータ空間の容量の小部分となり得る。しかしながら、MPR、MIP及びVRのような手法は、かなりの処理資源量を消費し得る。処理資源が直ちに利用可能でない場合には、撮像能力は低速化し又は劣化し得る。同様に、ネットワークが比較的低い帯域幅を有する場合には、ネットワークを横断して3D画像データを転送するのに比較的長い時間が掛かる可能性がある。さらに、3Dデータ及び処理後の2Dデータの両方についての画質のような他の要因が画像表示システムの能力に影響を及ぼす可能性もある。
【0016】
このように、分散型網で医用画像データを効率的に処理する方法及びシステムが求められている。加えて、分散型網の全体にわたって医用画像処理タスクを効率的に割り当てる方法及びシステムが求められている。また、分散型医用イメージング・システムの利用者に柔軟性及び制御を提供する方法及びシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の幾つかの実施形態は、分散型網での医用画像処理の方法を提供し、この方法は、サーバ、クライアント及び所定の帯域幅を有する通信経路を備えており、サーバ、クライアント及び通信経路に関連するシステム資源を含んでいる分散型網で通信を行なうステップと、監視データを生成するように、少なくとも一つの工程モニタでシステム資源及び帯域幅を監視するステップと、クライアントに表示可能な二次元画像データを形成するように三次元画像データを処理するためのシステム資源の少なくとも一部の割当てを、監視データに少なくとも部分的に基づいて推奨するステップと、を含んでいる。一実施形態では、二次元画像データを形成するように三次元画像データを処理する処理は、多断面再構成、最小強度投影、最大強度投影及びボリューム・レンダリングの少なくとも一つを含んでいる。一実施形態では、二次元画像データを形成するように三次元画像データを処理する処理は、回転、ズーム、パン、コントラスト調節、輝度調節及び濃淡調節の少なくとも一つを含んでいる。一実施形態では、画像は医用画像データに対応している。一実施形態では、少なくとも一つの工程モニタは、クライアント側モニタ及びサーバ側モニタを含んでいる。一実施形態では、割当ては、サーバ及びクライアントの少なくとも一方によって自動的に受け入れられる。一実施形態では、システム資源は、サーバの処理負荷及びクライアントの処理速度を含んでいる。一実施形態では、システム資源はさらに、クライアントの処理能力を含んでいる。一実施形態では、この方法はさらに、監視データに少なくとも部分的に基づいて画像の画質を推奨するステップを含んでいる。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態は、医用画像処理のシステムを提供し、このシステムは、資源を処理するサーバを含んでおり、三次元画像データを記憶することが可能なサーバと、所定の帯域幅を有する通信経路を介したサーバとの通信が可能であり、資源を処理するクライアントを含んでおり、三次元画像データから形成された二次元画像を表示することが可能なクライアントと、資源を処理するクライアント、資源を処理するサーバ及び帯域幅に少なくとも部分的に基づいて、クライアントに画像を表示するために資源を処理するサーバの少なくとも一部及び資源を処理するクライアントの少なくとも一部を割り当てることが可能な構成制御と、を含んでいる。一実施形態では、構成制御は、資源を処理するクライアント、資源を処理するサーバ及び帯域幅に少なくとも部分的に基づいて、クライアントとサーバとの間での画像処理の配分についての推奨を供給する推奨供給器と相互作用することが可能である。一実施形態では、二次元画像は、多断面再構成、最小強度投影、最大強度投影及びボリューム・レンダリングの少なくとも一つによって三次元画像データから形成可能である。一実施形態では、構成制御は、利用者によって調節可能である。一実施形態では、構成制御はさらに、画像の画質を制御することが可能である。一実施形態では、構成制御は、帯域幅、資源を処理するサーバ及び資源を処理するクライアントに対応する情報を受け取ることが可能である。一実施形態では、構成制御は、推奨供給器の推奨を無視することが可能である。一実施形態では、構成制御は、画質の事前指定の無視を帰結することが可能である。
【0019】
本発明の幾つかの実施形態は、クライアントとサーバとの間で画像処理を配分するシステムを提供し、このシステムは、資源を処理するサーバを含んでおり、三次元医用画像データを記憶することが可能なサーバと、資源を処理するクライアントを含んでおり、二次元画像を表示することが可能なクライアントと、クライアントとサーバとの間に設けられており、所定の帯域幅を含む通信路と、監視データを生成するように、帯域幅、資源を処理するクライアント及びサーバ資源を監視する少なくとも一つの工程モニタと、二次元画像を形成するように三次元画像データを処理するために、監視データに少なくとも部分的に基づいてクライアントとサーバとの間での処理の配分を含む推奨を供給する推奨供給器と、を含んでいる。一実施形態では、三次元画像データは、多断面再構成、最小強度投影、最大強度投影及びボリューム・レンダリングの少なくとも一つで二次元画像を形成するように処理可能である。一実施形態では、モニタはさらに、監視データを形成するためにクライアントの処理能力を監視する。一実施形態では、少なくとも一つの工程モニタは、サーバ側工程モニタ及びクライアント側工程モニタを含んでいる。一実施形態では、推奨の少なくとも一部は、サーバ及びクライアントの少なくとも一方によって自動的に受け入れられる。一実施形態では、推奨はさらに、画像の画質を含んでいる。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態は、コンピュータ用の命令セットを含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、命令セットは、クライアント及びサーバ、並びにクライアント及びサーバを結合する所定の帯域幅の通信路を含む分散型網のシステム資源を監視して、監視データを生成する監視ルーチンと、サーバに記憶可能な三次元画像データを処理することにより形成可能な二次元画像のクライアントでの表示を要求する要求ルーチンと、監視データに少なくとも基づいて、二次元画像をクライアントにおいて表示するために二次元画像の画質及び分散型網でのシステム資源の割当てを推奨する推奨ルーチンと、を含んでいる。一実施形態では、システム資源は、サーバの処理負荷及びクライアントの処理速度を含んでいる。一実施形態では、システム資源の割当ては、3D画像処理及び2D画像処理のためのサーバに対応するシステム資源の割当て、3D画像処理及び2D画像処理のためのクライアントに対応するシステム資源の割当て、並びにシステムの割当ての少なくとも一つを含んでいる。一実施形態では、サーバに対応する資源を3D画像処理のためのものとし、クライアントに対応するシステム資源を2D画像処理のためのものとする。一実施形態では、推奨ルーチンは、サーバが実質的に負荷を加えられていないことを示す監視データに少なくとも部分的に基づいて、3D画像処理及び2D画像処理のためにサーバに対応するシステム資源の割当てを推奨する。一実施形態では、推奨ルーチンは、サーバが実質的に負荷を加えられており、通信路の帯域幅が実質的な遅延を伴わずにサーバからクライアントへ三次元画像データを通信することが可能であることを示す監視データに少なくとも部分的に基づいて、3D画像処理及び2D画像処理のためにクライアントに対応するシステム資源の割当てを推奨する。一実施形態では、推奨ルーチンは、サーバが実質的に負荷を加えられており、通信路の帯域幅が実質的な遅延を伴ってサーバからクライアントへ三次元画像データを通信することが可能であることを示す監視データに少なくとも部分的に基づいて、3D画像処理のためにサーバに対応するシステム資源及び2D画像処理のためにクライアントに対応するシステム資源という割当てを推奨する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以上の概要、及び本出願の幾つかの実施形態についての以下の詳細な説明は、添付図面と共に精読するとさらに十分に理解されよう。本発明を説明する目的で幾つかの実施形態を図面に示す。しかしながら、本発明は、添付図面に示されている構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0022】
図1は、本出願の一実施形態による分散型網100のブロック図を示す。分散型網100は、サーバ102、クライアント104及び通信経路106を含み得る。通信経路106は関連する帯域幅を有する。通信経路106の帯域幅は、通信経路106全体にわたり一様であってもよいし、様々なセグメントに沿って変化してもよい。例えば、通信経路106は、銅ワイヤ撚り二線式網及び光網のように様々な帯域幅を有する様々な形式のネットワークの組み合わせを含み得る。通信経路106は、構内網(LAN)、広域網(WAN)、有線網、無線網及び光網等、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。同様に、通信経路106は、ルータ、リピータ、スイッチ、ハブ、スプリッタ、カプラ又は中継コンピュータ等のような様々な網要素を含み得る。
【0023】
図2は、本出願の一実施形態による分散型イメージング・システム100のブロック図を示す。サーバ102は、CPU202、キャッシュ・メモリ204、記憶メモリ206、RAM208、オペレーティング・システム230、並びに他のドライバ及びアプリケーション232を含み得る。CPU202は、多数のプロセッサを含み得る。キャッシュ・メモリ204は、CPU202によって高速にアクセスされ得る揮発性メモリを含み得る。記憶メモリ206は、磁気ハード・ドライブ、光ハード・ドライブ、フラッシュ・メモリ又はEEPROM等のようなディジタル不揮発性記憶装置を含み得る。RAM208は、ダイナミックRAM、スタティックRAM又はバッテリ・バックアップ式RAM等を含み得る。オペレーティング・システム230は、例えばWindows(登録)、Unix(商標)、Linux(商標)又はMacintosh(商標)等のオペレーティング・システムを含み得る。オペレーティング・システム230は、サーバ102での動作向けに設計されていてよい。オペレーティング・システム230は、様々なサーバ102構成要素の間での相互作用を容易にすることができる。他のドライバ及びアプリケーション232は、多様なハードウェア・モジュール及びソフトウェア・モジュールを含み得る。例えば、他のドライバ及びアプリケーション232は、グラフィックス・アクセラレータ・ハードウェア・モジュール及び三次元グラフィックス・プロセッサ・ソフトウェア・モジュールを含み得る。他のドライバ及びアプリケーション232は、医用画像処理を容易にするためのドライバ及びアプリケーションを含み得る。本出願で用いられる画像処理との用語は、例えば画像表示及びボリューム・レンダリングを含めた広い意味の用語である。画像処理は、例えば2D画像データ、3D画像データ及び2D投影画像データの処理等を含み得る。画像処理は、例えばMPR、MIP及びVR等を含み得る。画像データは、例えばDICOM、ANALYZE、BMP、JPG、GIF及びTIF等を含めた多様なフォーマットに書式化されていてよい。画像データは、圧縮されていてもよいしいなくてもよい。
【0024】
クライアント104は、パーソナル・コンピュータ、デスクトップ、ラップトップ、ワークステーション、ダム端末又はシン・クライアント等であってよい。クライアント104は、CPU210、表示ドライバ212、表示器214、ユーザ・インタフェイス216、キャッシュ・メモリ218、記憶メモリ220、ビデオ・メモリ222、RAM224、オペレーティング・システム226、並びに他のドライバ及びアプリケーション228を含み得る。CPU210は、多数のプロセッサを含み得る。表示ドライバ212は、表示器214を駆動するように特殊化されたハードウェアを含み得る。表示器214は、陰極線管、フラット・パネル・モニタ、液晶表示器又は発光ダイオードのアレイ等を含み得る。ユーザ・インタフェイス216は、マウス及びキーボード、又は利用者からの動作を受け入れるその他外部入力装置を含み得る。キャッシュ・メモリ218は、CPU210によって高速にアクセスされ得る揮発性メモリを含み得る。記憶メモリ220は、磁気ハード・ドライブ、光ハード・ドライブ、フラッシュ・メモリ又はEEPROM等のようなディジタル不揮発性記憶装置を含み得る。ビデオ・メモリ222は、ダイナミックRAMビデオのようなRAMを含み得る。ビデオ・メモリ222は、対応する画像が表示器214に表示される前に画像データをバッファリングすることができる。RAM224は、ダイナミックRAM、スタティックRAM又はバッテリ・バックアップ式RAM等を含み得る。オペレーティング・システム226は、例えばWindows(商標)、Unix(商標)、Linux(商標)又はMacintosh(商標)等のオペレーティング・システムを含み得る。オペレーティング・システム226は、クライアント104での動作向けに設計されていてよい。オペレーティング・システム226は、様々なクライアント104構成要素の間での相互作用を容易にすることができる。他のドライバ及びアプリケーション228は、多様なハードウェア・モジュール及びソフトウェア・モジュールを含み得る。例えば、他のドライバ及びアプリケーション228は、グラフィックス・アクセラレータ・ソフトウェア・モジュール及び三次元グラフィックス・プロセッサ・ハードウェア・モジュールを含み得る。他のドライバ及びアプリケーション228は、MPR、MIP及びVR等のような医用画像データ処理を容易にするためのドライバ及びアプリケーションを含み得る。
【0025】
図3は、本出願の一実施形態による分散型イメージング・システム300のブロック図を示す。サーバ302は、図1及び図2に示すサーバ102と同様のものであってよい。サーバ302は、サーバ資源308、サーバ側モニタ310及び推奨供給器306を含み得る。サーバ資源308は、図2に示すサーバ構成要素の諸相を含み得る。例えば、サーバ資源308は、CPU202、キャッシュ・メモリ204、記憶メモリ206、RAM208、オペレーティング・システム230、並びに他のドライバ及びアプリケーション232の諸相を含み得る。サーバ資源308は、オペレーティング・システム230の形式及びバージョン情報、CPU202の空き状況、RAM208の空き容量、キャッシュ204の空き容量、記憶メモリ206の空き容量、並びに他のドライバ及びアプリケーション232の形式、バージョン及び空き状況を含み得る。例えば、サーバ資源308は、CPU202の負荷状況を含むこともできるし、未処理要求の待ち行列に対応する情報を含むこともできる。
【0026】
サーバ側モニタ310は、システム資源及び通信経路305の帯域幅を監視することができる。システム資源は、サーバ資源308及びクライアント資源316を含み得る。サーバ側モニタ310は、システム資源及び帯域幅に対応する監視データを供給することができる。サーバ側モニタは、例えば、サーバ資源308及び通信経路305の帯域幅を監視することができる。サーバ側モニタ310はまた、クライアント312と通信して、例えばクライアント資源316のようにクライアント側モニタ314によって収集された情報を受け取ることができる。サーバ側モニタ310はまた、クライアント312と通信して、性能指標器320からの情報を受け取ることもできる。サーバ側モニタ310は省かれてもよいし、サーバ302に対して外部に位置する装置として設けられてもよい。サーバ側モニタ310は、ソフトウェア、ハードウェア、又はファームウェア若しくはこれらの任意の組み合わせで具現化され得る。また、クライアント312にサーバ側モニタ310を含めることも可能であり得る。サーバ側モニタ310は、サーバ資源308の幾つか及び帯域幅に対応する情報を繰り返しチェックすることができる。例えば、サーバ側モニタ310は、サーバCPU202(図2に示す)に対する負荷を周期的にチェックすることができる。というのは、サーバCPU202の負荷はサーバ102の動作中に変化し得るからである。サーバ側モニタ310はまた、サーバ資源308の幾つか及び帯域幅に対し、1回限りのチェックを行なうこともできる。例えば、サーバ側モニタ310は、起動時にのみサーバのオペレーティング・システム230(図2に示す)のバージョンをチェックすることができる。というのは、オペレーティング・システムのバージョンはサーバ302の連続動作中には変化しない可能性が高いからである。
【0027】
推奨供給器306は、サーバ302とクライアント312との間でのシステム資源の割当てを推奨する。推奨供給器306は、サーバ側モニタ310、クライアント側モニタ314、構成制御318及び性能指標器320によって収集された情報を扱うことができる。推奨供給器306はサーバ302に位置している必要はない。推奨供給器306は、クライアント312の一部であってもよいし、通信経路305で通信する追加装置であってもよいし、サーバ302、クライアント312又は追加装置の全体に分散されていてもよい。推奨供給器306は、ソフトウェア、ハードウェア若しくはファームウェア、又はこれらの組み合わせで具現化され得る。推奨供給器306については後にあらためて詳述する。
【0028】
クライアント312は、クライアント資源316、クライアント側モニタ314、構成制御318及び性能指標器320を含み得る。クライアント312は、図2に示すクライアント104と同様のものであってよい。クライアント資源316は、図2に示すクライアント104構成要素を含み得る。例えば、クライアント資源は、CPU210、キャッシュ・メモリ218、記憶メモリ220、RAM224、ビデオ・メモリ222、表示ドライバ212、表示器214、ユーザ・インタフェイス216、オペレーティング・システム226、並びに他のドライバ及びアプリケーション228の諸相を含み得る。クライアント資源316は、オペレーティング・システム226の形式及びバージョン情報、CPU210の空き状況、RAM224の空き容量、キャッシュ210の空き容量、記憶メモリ220の空き容量、ビデオ・メモリ222の空き容量、表示器214の形式、表示ドライバ212の形式、並びに他のドライバ及びアプリケーション228の形式、バージョン及び空き状況を含み得る。例えば、クライアント資源316は、表示ドライバ212及びCPU210動作速度に対応するハードウェア情報及びソフトウェア情報を含み得る。
【0029】
クライアント側モニタ314は、システム資源及び通信経路305の帯域幅に対応する情報を集積することができる。クライアント側モニタ314は特に、クライアント資源316及び帯域幅を監視することができる。クライアント側モニタは、システム資源及び帯域幅に対応する監視データを供給することができる。クライアント側モニタ314はまた、サーバ302と通信して、例えばサーバ資源308のようにサーバ側モニタ310によって収集された情報を受け取ることができる。クライアント側モニタ314は、性能指標器320からの情報を受け取ることができる。クライアント側モニタ314は省かれてもよいし、クライアント312に対して外部に位置する装置として設けられてもよい。また、サーバ302に別個の装置としてクライアント側モニタ314を含めることも可能であるし、クライアント側モニタ314が網構成装置の全体に分散されていてもよい。クライアント側モニタ314は、ソフトウェア、ハードウェア若しくはファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせで具現化され得る。クライアント側モニタ314は、クライアント資源316の幾つか及び帯域幅に対応する情報を繰り返しチェックすることができる。例えば、クライアント側モニタ314は、クライアントRAM224の空き容量を周期的にチェックすることができる。というのは、RAM224の空き容量はクライアント104の動作中に変化し得るからである。クライアント側モニタ314はまた、クライアント資源316の幾つか及び帯域幅に対し、1回限りのチェックを行なうこともできる。例えば、クライアント側モニタ314は、起動時にのみ表示ドライバ212に対応する情報をチェックすることができる。というのは、表示器ドライバ212は、クライアント312の連続動作中には変化しない可能性が高いからである。
【0030】
性能指標器320は、クライアント312の1又は複数の能力規準を推定し且つ/又は集積することができる。性能指標器320は、クライアント312の一部であってもよいし、サーバ302の一部であってもよいし、追加装置であってもよいし、ネットワークの全体に分散されていてもよい。性能指標器320は、ソフトウェア、ハードウェア及び/若しくはファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせで具現化され得る。一例として、性能指標器320は、医用画像を表示するためのクライアント312の処理能力を推定することができる。性能指標器320は、利用者が観察するようにクライアント312が医用画像を表示器214に表示する速度又は迅速性に対応する情報を供給することができる。工程指標器318は、クライアント側モニタ314、サーバ側モニタ310、構成制御318及び/又は推奨供給器306と通信して、情報を共有することができる。
【0031】
構成制御318は、システム資源を割り当て、また画質のような他の変数に値を設定する能力を提供するクライアント側モジュールであってよい。構成制御318は、クライアント312の一部であってもよいし、サーバ302の一部であってもよいし、追加装置であってもよいし、ネットワークの全体に分散されていてもよい。構成制御318は、ソフトウェア、ハードウェア及び/若しくはファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせで具現化され得る。構成制御318は、利用者が、クライアント312のユーザ・インタフェイス216(図2にクライアント104の一部として示す)と相互作用(対話)して、如何にシステム資源を割り当て、また他の変数を設定すべきであるかを指令するのを可能にすることができる。構成制御318は、システム管理者が、如何にシステム資源を割り当てて設定すべきであるかを指令するのを可能にすることができる。構成制御318は、分散型撮像工程が分散型システム300に如何に割り当てられるかを決定することができる。構成制御318は、クライアント104及びサーバ102の図2に示す様々な構成要素と通信することができる。構成制御318は、オペレーティング・システム230と通信するソフトウェア・モジュールの形態であってよい。構成制御318は、画像処理アプリケーションに統合されて、例えば「設定」、「オプション」又は「初期設定」のようなメニュー選択肢を介してアクセス可能にされ得る。構成制御318の動作については後にあらためて詳述する。
【0032】
通信経路305の帯域幅は、クライアント312に医用画像を表示するために如何にシステム資源を割り当てるかを決定する要因となり得る。帯域幅は、クライアント312又はサーバ302のいずれかによって推定され又は測定され得る。例えば、クライアント側モニタ314又はサーバ側モニタ304は、多くの公知の手法の任意のものによって帯域幅を推定することができる。帯域幅を推定する一手法は、通信経路305を介して既知のサイズの試験用パケットを通信して、試験用パケット通信の完了に掛かる時間を測定するものである。
【0033】
図7は、本発明の一実施形態による分散型撮像表示の方法700の流れ図を示す。第一の枝740、第二の枝750及び第三の枝760の3列の異なる枝が示されている。枝740、750及び760の各々は、ステップ702で開始することができ、このステップでは、3D画像データをサーバ(図3に示すサーバ302等)に記憶させる。枝740、750及び760の各々は、ステップ728で終了することができ、このステップでは、2D画像データを処理して、クライアント(図3に示すクライアント312と同様のもの)の表示器に表示させる。点線730は、いずれのステップがサーバによって実行されいずれのステップがクライアントによって実行されるかを示す。ステップ702のように点線730よりも上の全ステップがサーバによって実行され得る。ステップ728のように点線730よりも下の全ステップがクライアントによって実行され得る。
【0034】
ステップ702の後に、第一の枝740はステップ704に続き、このステップでは、3D画像データをサーバによって処理して2D画像データを形成することができる。処理は、MPR、MIP、VRのような手法、及び/又は3Dデータを2Dデータへ変換するその他の画像処理手法を含み得る。ステップ706では、2D画像データをさらに処理して、表示される画像データを形成することができる。例えば、2D画像データは、濃淡、コントラスト及び/又は輝度を調節することによりさらに処理され得る。ステップ708で2D画像データはサーバから送信され、ステップ710でクライアントによって受信されることができる。ステップ728では、2Dデータをクライアントによって処理して表示させることができる。
【0035】
第二の枝750は、ステップ702の後にステップ712へ進み、このステップでは、サーバが3D画像データを処理して2D画像データを形成する。処理は、MPR、MIP、VRのような手法、及び/又は3Dデータを2Dデータへ変換するその他の画像処理手法を含み得る。次に、ステップ714で2D画像データはサーバから送信されて、ステップ716でクライアントによって受信される。2D画像データの受信の後に、クライアントは2D画像データをさらに処理して、表示用の画像データを形成することができる。ステップ728では、クライアントは2D画像データを処理して表示器に表示させることができる。
【0036】
第三の枝760は、ステップ702の後にステップ720へ進み、このステップでは、3D画像データはサーバから送信されて、ステップ722でクライアントにおいて受信される。ステップ724では、クライアントが3D画像データを処理して2D画像データを形成することができる。処理は、MPR、MIP、VRのような手法、及び/又は3Dデータを2Dデータへ変換するその他の画像処理手法を含み得る。次に、クライアントは、2D画像データをさらに処理して、表示用の画像データを形成することができる。ステップ728では、クライアントは、2D画像データを処理して、表示器に表示させることができる。点線730の角度から分かるように、クライアント及びサーバによって実行される処理の量は、流れ図700のいずれの枝を辿っているかによって異なる。流れ図700の各ステップは異なる順序で実行されてもよい。加えて、流れ図700の1又は複数のステップを省いてもよい。例えば、ステップ718、726又は706を省いてもよい。3列の枝740、750及び760は、分散型撮像のための全ての可能な工程フローを網羅している訳ではない。その代わりに、これらの枝は、工程フローを異なるシナリオで如何に割り当て得るかの概念を例示するに過ぎない。ステップ704、712及び724で行なわれる処理をクライアント及びサーバの両方で分担する等の付加的な変形も可能である。
【0037】
クライアントとサーバとの間で分散処理を如何に割り当てるかを決定するために、幾つかの形式の割当て工程が望ましい場合がある。図4は、本出願の一実施形態による分散画像処理のために資源の割当てを推奨する方法400の流れ図を示す。ステップ402で開始して、分散型網での通信が行なわれる。例えば、クライアント312がサーバ302に対し、画像をクライアント312側で表示させたいと通信することができる。通信は、監視データ、画像処理割当て及び構成制御指令を含め多様な情報を含み得る。
【0038】
ステップ404では、モニタが、帯域幅及びシステム資源を監視する。ステップ404は、1又は複数のモニタによって実行され得る。例えば、ステップ404は、サーバ側モニタ310及びクライアント側モニタ314によって実行され得る(図3に両方を示す)。モニタ(1又は複数)は、帯域幅及びシステム資源に対応する監視データを供給することができる。例えば、モニタ(1又は複数)は、分散型網300の特性すなわち通信経路305の帯域幅、サーバ302CPUの負荷(図2に示すサーバ202と同様のもの)及びクライアント312の処理速度を追跡することができる。モニタ(1又は複数)は、様々なシステム資源及び帯域幅に対応する監視データを供給することができる。例えば、モニタ(1又は複数)は、サーバ302CPUの負荷、クライアント312の処理速度、クライアント312の処理能力、及び通信経路305の帯域幅に対応する監視データを供給することができる。
【0039】
ステップ406では、クライアントに画像を表示させる要求を出す。例えば、クライアント312は、画像処理ソフトウェアを実行することができる。利用者は、このソフトウェアと相互作用して、医用画像に対して画像処理タスクを実行することができる。ソフトウェアは画像処理要求を開始することができ、要求はクライアント312のオペレーティング・システムに中継される。画像処理要求は、画質のような処理対象画像についての情報を含み得る。画像処理要求はまた、例えば画像をズームする又はパンする等のような画像処理要求の性質についての情報を含んでいてよい。画像処理要求は、クライアント312からサーバ302へ通信され得る。
【0040】
ステップ408では、システム資源の割当てが監視データに基づいて推奨される。ここで一時図5を参照して述べると、同図には本出願の一実施形態による割当ての幾つかの例の表500が示されている。各例は例示するものであって網羅するものではない。例1では、サーバ302は相対的に負荷を加えられておらず、すなわちサーバCPUが他の処理待ちタスクによって過度に負荷を掛けられている状態ではないことを意味する。さらに、クライアント312処理速度は相対的に遅く、通信経路の帯域幅は相対的に高い。尚、相対的に高い所定の帯域幅とは、サーバ302に記憶されている三次元画像データが実質的な遅延を伴わないでクライアント312に通信され得ることを示すものと理解されたい。遅延は、例えば代替的な画像処理フローの方がクライアント312での画像表示が高速である場合には実質的であると言える。換言すると、実質的な遅延は、非効率的な画像処理フローを選択したときに生じ得る。例1のシナリオでは、全ての処理タスクをサーバ302で主に実行するように推奨する。例1での推奨は、図7の第一の枝740に示すものと類似した工程フローに対応し、かかる工程フローを期待し、又はかかる工程フローにトリガを与えることができる。
【0041】
例2では、サーバ302は相対的に負荷を加えられておらず、すなわちサーバCPUが他の処理待ちタスクによって過度に負荷を掛けられている状態ではないことを意味する。さらに、クライアント312の処理速度は相対的に遅く、通信経路の帯域幅は相対的に低い。このシナリオでは、パン及びズームのような幾つかの単純な処理タスクはクライアント312によって実行され、高度なタスクはサーバ302に残しておくことができる。このシナリオでは、全ての処理タスクをサーバ302で主に実行するように推奨する。例2の推奨は、図7の第二の枝750に示すものと類似した工程フローに対応し、かかる工程フローを期待し、又はかかる工程フローにトリガを与えることができる。
【0042】
例3では、サーバ302は相対的に負荷を加えられており、すなわちサーバCPUが、画像処理を実行するサーバの能力に干渉し得る処理待ちタスクを有していることを意味する。さらに、クライアント処理速度は相対的に速く、通信経路の帯域幅は相対的に高い。このシナリオでは、全ての処理タスクをクライアント312で実行するように推奨する。例3の推奨は、図7の第三の枝760に示すものと類似した工程フローに対応し、かかる工程フローを期待し、又はかかる工程フローにトリガを与えることができる。
【0043】
図4に戻ると、選択随意のステップ416では、監視データに基づいて画質もまた推奨する。例えば、クライアント処理速度が相対的に遅い場合には、相対的に低い画質を推奨して画像処理速度を高めることができる。
【0044】
ステップ410では、システム資源の推奨された割当てを受け入れることができる。割当ては、例えばサーバ302及び/又はクライアント312によって受け入れられ得る。割当ては、自動的に受け入れられてもよいし、手動で受け入れられてもよい。加えて、割当ては、一組の規則に基づいて条件付きで受け入れられてもよい。構成制御318が、推奨の条件付き受け入れの規則を供給することができる。
【0045】
選択随意のステップ418では、推奨された画質を受け入れる。ここでも、推奨は、自動的に受け入れられてもよいし、手動で受け入れられてもよいし、条件付きで受け入れられてもよい。
【0046】
ステップ412では、割り当てられたシステム資源で画像データを処理する。例えば、幾つかのクライアント資源316及び幾つかのサーバ資源308が効率的な画像処理のためにステップ408で割り当てられていてよい。次いで、割り当てられたサーバ資源308は画像処理の一部を実行し、割り当てられたクライアント資源316は画像処理の残部を実行することができる。画像処理は、MPR、MIP、VRのような処理集約的手法、及び/又は付加的な3D−2D変換処理手法を含み得る。画像処理はまた、回転、パン、ズーム、コントラスト調節、輝度調節及び/又は濃淡調節等のような手法を含み得る。
【0047】
ステップ414では、対応する画像がクライアント312に表示される。ステップ412で割り当てられたシステム資源によって画像が処理された後に、得られた画像をクライアント312に表示することができる。画像をクライアント312に表示する処理はまた、さらに一般的には画像処理の一部と看做すこともできる。
【0048】
方法400の各ステップは任意の順序で実行されてよい。加えて、方法400の1又は複数のステップを省いてもよい。例えば、ステップ404をステップ406の後に実行してもよいし、ステップ410、412及び414を省いてもよい。
【0049】
説明のための例として、本出願の実施形態を次の態様で用いることができる。分散型網300において、クライアント312が表示器214に医用画像を表示する。画像データは、クライアント312にローカルに記憶されていてもよいしサーバ302に記憶されていてもよい。クライアント312は、表示画像を利用者が編集し又は変更することを可能にするアプリケーションを提供する。利用者は、ユーザ・インタフェイス216を介してクライアント312と相互作用する。利用者は、注釈記入、コントラスト調節、輝度調節、濃淡調節、パン、ズーム、回転、3D処理を含めて、表示画像を画像処理アプリケーションによって編集し又は変更する多様な画像処理タスクから選択を行なうことができる。この説明のための例では、利用者は、ユーザ・インタフェイス216に相応に指令することにより「コントラスト調節」を選択する。この間に、クライアント側モニタ314及びサーバ側モニタ310の両方が、システム資源及び帯域幅を追跡している。サーバ側モニタ310がサーバCPU202の負荷を追跡すると、最新の指標は例えばサーバCPU202が95%を上回る空き状態にある等のようにサーバCPUが相対的に負荷を加えられていないことを示す。クライアント側モニタ314は、起動時にクライアント312が相対的に低いプロセッサ速度及びクロック速度を有していることを決定している。また、クライアント側モニタ314が通信経路305の帯域幅を追跡すると、最新の指標は帯域幅が相対的に低いことを示す。サーバ側モニタ310は、サーバCPU負荷情報を監視データとして推奨供給器306へ供給する。クライアント側モニタ314は、クライアント処理速度及び帯域幅情報を監視データとして推奨供給器306へ供給する。推奨供給器306は、効率的な画像処理モードは、画像のコントラストを調節するためにはクライアント資源316を割り当てるのみでよいと決定する。推奨供給器306はまた、クライアント312は、この画像処理タスクを低品質画像に対してしか十分な速度で実行し得ないものと決定する。推奨供給器306は、このタスクにクライアント資源316を割り当てて、画像は低画質とすべきであるとの推奨を供給する。クライアント312はこれらの推奨を自動的に受け入れて、利用者の指令に従ってコントラストを調節することにより画像の処理に着手する。
【0050】
説明のための例を続けると、利用者は次に、相対的に複雑な画像処理タスクを実行しようとする。利用者は、異なる角度の画像を観察しようとする。この形式の画像処理は、相対的に集約的なMPR手法を必要とする。加えて、利用者は、新たな角度の画像を観察しているときにも以前に適用したコントラスト調節を保存しておこうとする。クライアント側モニタ314及びサーバ側モニタ310の両方とも、システム資源及び帯域幅に著しい変化を認めない。サーバ側モニタ310は、サーバCPU負荷情報を監視データとして推奨供給器306へ供給する。クライアント側モニタ314は、クライアント処理速度及び帯域幅を情報監視データとして推奨供給器306へ供給する。この場合には、推奨供給器306は、効率的な画像処理モードは、画像を処理するためにサーバ資源308の一部及びクライアント資源316の一部を割り当てるものと決定する。サーバ資源308は最も効率的にMPR処理を実行することができる一方で、クライアント資源316は最も効率的に後続のコントラスト調節処理を実行することができる。推奨供給器306はまた、システム資源は、この処理タスクを低品質画像に対してしか十分な速度で実行し得ないものと決定する。推奨供給器306は、幾つかのサーバ資源308及び幾つかのクライアント資源316をこのタスクのために割り当てて、画像は低画質とすべきであるとの推奨を供給する。クライアント312及びサーバ302はこれらの推奨を自動的に受け入れて、利用者の指令に従って画像の処理に着手する。
【0051】
図6は、本出願の一実施形態による分散画像処理システムにおいてシステム資源を割り当てるために構成制御との相互作用(対話)を提供する方法600の流れ図を示す。ステップ602では、利用者が、システム資源の割当て及び/又は画質に関連する指令を構成制御318に与える。もう一つの選択肢として、指令はシステム管理者によって与えられてもよい。また、指令は、例えば自動タイマ又はカレンダのスケジュールを介して自動的に与えられてもよい。
【0052】
ステップ604では、分散型網での通信を行なう。例えば、クライアント312がサーバ302に対し、画像をクライアント312に表示させたいと通信することができる。通信は、監視データ、画像処理割当て及び構成制御指令を含め多様な情報を含み得る。
【0053】
ステップ606では、帯域幅及びシステム資源を監視して監視データを形成する。ステップ606は、1又は複数のモニタによって実行され得る。例えば、ステップ606は、サーバ側モニタ310及びクライアント側モニタ314(両方とも図3に示されている)によって実行され得る。モニタ(1又は複数)は、帯域幅及びシステム資源に対応する監視データを供給することができる。例えば、モニタ(1又は複数)は、分散型網300の特性すなわち通信経路305の帯域幅、サーバ302CPUの負荷(図2に示すサーバCPU202と同様のもの)及びクライアント312の処理速度を追跡することができる。モニタ(1又は複数)は、様々なシステム資源及び帯域幅に対応する監視データを供給することができる。例えば、モニタ(1又は複数)は、サーバ302CPUの負荷、クライアント312の処理速度、クライアント312の処理能力、及び通信経路305の帯域幅に対応する監視データを供給することができる。
【0054】
ステップ608では、クライアントで画像を表示させる要求を出す。例えば、クライアント312は画像処理ソフトウェアを実行していてよい。利用者は、このソフトウェアと相互作用して、医用画像に対して画像処理タスクを実行することができる。ソフトウェアは画像処理要求を開始することができ、要求はクライアント312のオペレーティング・システムに中継される。画像処理要求は、画質のような処理対象画像についての情報を含み得る。画像処理要求はまた、例えば画像をズームする又はパンする等のような画像処理要求の性質についての情報を含んでいてよい。画像処理要求は、クライアント312からサーバ302へ通信され得る。
【0055】
ステップ610では、システム資源の割当てが、監視データ及び/又は構成制御310に基づいて推奨される。システム設計及び構成制御310の選択に基づいて、多様な選択肢を可能にすることができる。例えば、推奨される割当ては、構成制御310に専ら基づいていてもよいし、監視データに専ら基づいていてもよい。推奨される割当ては、監視データ及び構成制御310の混成に基づいていてもよい。例えば、構成制御310は、特定の資源割当てについての最小限度又は最大限度を供給することができる。構成制御310は、サーバCPU202の負荷が50%が超えてはならないと指示することができる。従って、この例では、サーバCPU202の任意の推奨される割当ては、サーバCPU202の負荷が50%を下回った状態にある場合には監視データに基づくべきであるが、構成制御310によって決定された50%のサーバCPU202の負荷を上限とすべきである。構成制御310の様々な設定又はパラメータが、監視データ及び構成制御310が推奨される割当てにどの程度影響を及ぼすべきかを指示することができる。
【0056】
選択随意のステップ618では、監視データ及び/又は構成制御310に基づいて画質が推奨される。システム設計及び及び構成制御310の選択に基づいて、多様な選択肢を可能にすることができる。例えば、推奨される画質は、構成制御310に専ら基づいていてもよいし、監視データに専ら基づいていてもよい。推奨される画質は、監視データ及び構成制御310の混成に基づいていてもよい。例えば、構成制御310は、画質についての最小限度又は最大限度を供給することができる。構成制御310は、画質が一定の分解能を下回らないものと指示することができる。従って、この例では、任意の推奨される画質は、推奨が最低画質分解能を上回っている場合には監視データに基づくべきであるが、構成制御310によって決定された推奨される画質分解能を上限とすべきである。構成制御310の様々な設定が、監視データ及び構成制御310が推奨される画質にどの程度影響を及ぼすべきかを指示することができる。
【0057】
ステップ612では、推奨されたシステム資源の割当てを受け入れることができる。割当ては、例えばサーバ302及び/又はクライアント312によって受け入れられ得る。割当ては、自動的に受け入れられてもよいし、手動で受け入れられてもよい。加えて、割当ては、一組の規則に基づいて条件付きで受け入れられてもよい。構成制御318が、推奨の条件付き受け入れの規則を供給することができる。
【0058】
選択随意のステップ620では、推奨される画質が受け入れられる。ここでも、推奨は、自動的に受け入れられてもよいし、手動で受け入れられてもよい。
【0059】
ステップ614では、割り当てられたシステム資源で画像データを処理する。例えば、幾つかのクライアント資源316及び幾つかのサーバ資源308が効率的な画像処理のためにステップ610で割り当てられていてよい。次いで、割り当てられたサーバ資源308は画像処理の一部を実行し、割り当てられたクライアント資源316は画像処理の残部を実行することができる。画像処理は、MPR、MIP、VRのような処理集約的手法、及び/又は付加的な3D−2D変換処理手法を含み得る。画像処理はまた、パン、ズーム、コントラスト調節、輝度調節及び/又は濃淡調節等のような手法を含み得る。
【0060】
ステップ616では、対応する画像がクライアント104に表示される。ステップ614で割り当てられたシステム資源によって画像が処理された後に、得られた画像をクライアント312に表示することができる。画像をクライアント312に表示する処理はまた、さらに一般的には画像処理の一部と看做すこともできる。
【0061】
方法600の各ステップは任意の順序で実行されてよい。加えて、方法600の1又は複数のステップを省いてもよい。例えば、ステップ604をステップ606の後に実行してもよいし、ステップ610、612及び614を省いてもよい。
【0062】
構成制御310の相互作用の説明のための例として、利用者は、ユーザ・インタフェイス216を介してクライアント104と相互作用する。利用者は、「オプション」メニューを有する画像処理ソフトウェアを動作させる。利用者は「オプション」メニューを開いて、構成制御310設定の幾つかにアクセスする。尚、利用者がアクセス可能な構成制御310設定もあれば、アクセス不能なものもあることを特記しておく。この説明のための例では、構成制御310設定は、最小分解能設定と、最小値設定が絶対的な最小値設定であるのか、又は単に示唆的な最小値設定であるのかを表わすチェック・ボックスとを含み得る。利用者は200ドット毎インチ(「DPI」)の最小分解能を選択して、この値が示唆的な最小値設定であって絶対的な最小値設定ではないことを示すようにチェック・ボックスを選択することができる。次いで、利用者は、画像処理を実行するようにソフトウェアに指令する。推奨供給器314は、サーバ側モニタ304及びクライアント側モニタ314によって収集された監視データを検討する。推奨供給器314はまた、構成制御310の設定を検討する。推奨供給器314は様々な要因を均衡させて、画像を処理する効率的な方法は、画像が150DPIの分解能を有するようにすることであると決定する。推奨供給器314は、資源の割当て及び150DPIの分解能を推奨する。推奨は、クライアント312及びサーバ302によって受け入れられる。画像データは処理されて、画像は150DPIの分解能でクライアント312の表示器214に表示される。
【0063】
説明のための例を続けると、利用者は150DPIの画像を観察して、分解能を高めるべきであると判断する。そして、利用者は「オプション」メニューを開き、構成制御310にアクセスする。利用者は最小分解能を175DPIに設定する。利用者は、175DPI設定は絶対的設定であることを示すチェック・ボックスを選択する。次いで、利用者は、画像処理を実行するようにソフトウェアに指令する。推奨供給器314は、サーバ側モニタ304及びクライアント側モニタ314によって収集された監視データを検討する。推奨供給器314はまた、構成制御310の設定を検討する。推奨供給器314は様々な影響のある要因を均衡させて、175DPIの分解能を有する画像を処理する最も効率的な方法を判定する。推奨供給器314は、資源の割当て及び175DPIの分解能を推奨する。推奨は、クライアント312及びサーバ102によって受け入れられる。画像データは処理されて、175DPIの分解能でクライアント104の表示器214に表示される。利用者は画像を検討して、画質に満足する。
【0064】
図8は、本発明の一実施形態によるクライアントに表示される検査に対する繰り返し式の利用者相互作用を示す方法800の流れ図である。ステップ802では、クライアント(図3に示すクライアント312と同様のもの)側に位置する利用者が、検査に対応する画像を表示することが可能であり得るアプリケーションを呼び出す。検査は、患者の放射線検査に対応する一組又は複数組の容積画像データ又は二次元画像データであってよい。例えば、検査は、3Dシネ画像データ、2Dシネ画像データ、3D静止データ及び/又は2D静止データ等を含み得る。アプリケーションは、検査全体を表示し得るものであってもよいし、検査の一部を表示し得るものであってもよい。アプリケーションは、利用者が、ユーザ・インタフェイスを介して検査の表示された部分又は検査全体と相互作用することを可能にすることができる。例えば、アプリケーションは、利用者が以下の相互作用を実行することを可能にすることができる。すなわち画像を前後にページめくりする、画像をパンする、画像をズーム・イン及び/又はズーム・アウトする、画像を回転させる、コントラストを調節する、輝度を調節する、色パラメータを調節する、濃淡パラメータを調節する、スライス厚を調節する、最大強度投影、平均強度投影及び最小強度投影の間を切り換える、ボリューム・レンダリング・モードに切り換える、視角を調節する等である。利用者が検査と相互作用するためのアプリケーションを呼び出すときに、画像処理を実行する且つ/又は支援することのできる対応するサーバ側アプリケーションを開始させると望ましい場合がある。そして、例えばクライアント側アプリケーションの呼び出しによって、メッセージをサーバへ送ることができる。メッセージは、画像処理アプリケーションがサーバでまだ実行されていない場合には、サーバに対しかかる画像処理アプリケーションを起動するように指令する又は要求することができる。例えば、サーバ側アプリケーションは、MIP、MPR及び/又はVR等のような3D処理を実行することが可能なものであってよい。
【0065】
ステップ804では、利用者は観察のための検査を選択する。例えば、利用者は放射線技師であってよく、臨床目的で検査を選択することができる。検査は、検査一覧から選択されてもよいし、過去の検査又は最近取得された検査に対応していてもよい。
【0066】
ステップ806では、監視されたシステム・データ、構成制御設定、画像処理要求及び/又は利用者指令に基づいて、処理の割当てを選択する。例えば、図4に示す方法400及び/又は図6に示す方法600に従って割当てを選択することができる。
【0067】
ステップ808では、選択された処理の割当てに従って、検査に対応する1又は複数の医用画像を処理する。画像を、例えば図7に示す方法700に従って処理することができる。例えば、一つの検査に対応する多数の画像を処理することができる。各々の画像は、例えばアキシャル像、サジタル像、コロナル像及び斜方像のような異なる像に対応していてよい。
【0068】
ステップ810では、1又は複数の医用画像をクライアントによって表示する。画像は、フラット・パネル・モニタ又は陰極線管のような表示器に表示され得る。表示される画像は実質的に2Dであってよいが、利用者にとっては3Dとして現われ得る。多数の画像は同時に表示されてもよいし、容易にアクセス可能であってもよい。例えば、一つの検査の多数の像に対応する多数の画像を同時に観察することができる。もう一つの例として、各々の画像表示がクライアントにおいてローカルにメモリに記憶されていてもよく、利用者が、画像データを再処理することに関連した遅延を招かずに多数の像の間を迅速に切り換えることもできる。
【0069】
ステップ812では、利用者は表示画像(1又は複数)と相互作用して、選択された検査の異なる像を得る。例えば、利用者はアプリケーション及び/又は画像と相互作用して、以下の相互作用を実行することができる。すなわち画像を前後にページめくりする、画像をパンする、画像をズーム・イン及び/又はズーム・アウトする、画像を回転させる、コントラストを調節する、輝度を調節する、色パラメータを調節する、濃淡パラメータを調節する、スライス厚を調節する、最大強度投影、平均強度投影及び最小強度投影の間を切り換える、ボリューム・レンダリング・モードに切り換える、視角を調節する等である。利用者は、マウス、キーボード又は他のユーザ・インタフェイス装置と相互作用することができる。例えば、利用者は、タッチ・スクリーンの指触パッド及び/又はジョイスティック等と相互作用することができる。利用者は、メニュー、制御パネル及び/又はグラフィック・ユーザ・インタフェイス(GUI)要素等を介してアプリケーション・プログラムと相互作用することができる。利用者はまた、例えば表示特性を調節することによりオペレーティング・システムを介して表示画像と相互作用することができる。利用者の表示画像との相互作用によって、画像処理要求が生じ得る。
【0070】
利用者が表示画像と相互作用するときに、利用者の相互作用を反映させてクライアントに異なる画像を表示する必要がある場合がある。例えば、利用者が画像上でズーム・インを選択する場合に、ズーム(拡大)された画像の部分を、利用者の相互作用を反映させて表示させることができる。この相互作用を達成するために、方法800のフローは1又は複数の前段のステップへ戻ることができる。例えば、相互作用を達成するために、方法800はステップ806へ戻ることができる。ステップ806では、新たな割当てを選択することができる。システム資源モニタが、システム資源が実質的に変更されたと決定して、新たな資源割当てを推奨することが可能である場合もある。例えば、初期割当ては図7の枝750に対応し得る。この割当ては、図5の例2に示すように通信経路の帯域幅が相対的に低かったため選択されたものであり得る。しかしながら、続いての相互作用時に、網条件が改善して、通信経路の帯域幅が相対的に高くなっていたという場合もある。従って、図5の例1に従って、さらに効率的な割当ては図7の枝740に対応し得る。換言すると、改善された網条件のため、サーバにさらに多くの画像処理タスクを行なわせる方が効率的となる場合がある。
【0071】
しかしながら、各回毎の相互作用時にシステム資源を割当てし直すのが望ましくない場合もある。従って、相互作用フローはステップ812からステップ808へ進んでもよい。ステップ808では、事前の処理の割当てに従って画像を処理する。例えば、画像処理タスクがサーバに割り当てられている場合には、画像処理要求はサーバへ直接向かってよい。もう一つの例として、画像処理タスクがクライアントに割り当てられている場合には、画像処理要求は、クライアントにおいてローカルに処理されてよい。
【0072】
工程フローは、画像処理要求の性質に基づいて異なるステップに戻ってよい。例えば、画像処理要求が処理資源の集約的な利用を必要とし得る場合には、資源割当てを再度決定すると望ましい場合がある。もう一つの例として、画像処理要求が資源の集約的な利用を必要としないであろう場合には、既存の資源割当てを持続した方が望ましい場合がある。
【0073】
方法800の各ステップは異なる順序で実行されてもよい。加えて、方法800の1又は複数のステップを省いてもよい。例えば、ステップ802又は804を省いてもよい。もう一つの例として、ステップ806をステップ802又は804の前に実行してもよい。
【0074】
以下の説明のための例では、方法800に従って利用者の画像との相互作用が如何に達成され得るかを説明する。ステップ802では、クライアント側に位置する利用者が、放射線検査を観察するように設計されているソフトウェア・アプリケーションを開く。このソフトウェア・アプリケーションはまた、利用者が検査の画像と相互作用することを可能にする。次いで、利用者はステップ804において、観察したい検査を選択する。検査はこの例では、胎児の超音波から得られたものとする。次に、ステップ806では、処理の割当てが選択される。この場合には、監視データは、サーバには負荷が加えられておらず、帯域幅は高く、クライアントは低速であることを示している。図5の例1に従って、例えば図7の枝740に示すように、画像処理の殆どをサーバで実行するように割り当てる。次に、ステップ808では、サーバに最初に記憶されていた画像データをサーバによって処理して、クライアントへ送信する。処理された画像データは胎児の2D画像であり、3Dとして現われる。ステップ810では、2D画像がクライアントに表示される。次に、ステップ812では、利用者は胎児の画像を観察する。しかしながら、利用者は、異なる角度の胎児を観察することを望む。従って、利用者は、ソフトウェア・アプリケーションの制御パネルを開いて、新たな視角を入力する。ソフトウェアはこの相互作用を解釈して、画像処理要求を生成する。新たな視角での画像は、画像データをMPR手法で再処理することを必要とし得る。ソフトウェア・アプリケーションは、この形式の相互作用が実質的な処理資源を要求し得ることを認識する。結果的に、工程フローはステップ806に戻る。ステップ806では、網条件が悪化しており、帯域幅が今は相対的に低くなっているものと決定される。従って、図5の例2に従って、3D画像処理の殆どをサーバで実行するように割り当てて、比較的単純なタスクはクライアントによって実行されるように割り当てる。この形式の割当てを、例えば図7の枝750に示す。次いで、ステップ808では、画像処理要求に従って画像データを処理する。次いで、ステップ810で画像をクライアントに表示する。
【0075】
次に、利用者は、ステップ812で新たな角度の像のコントラストを変化させることを決定する。従って、利用者は、ソフトウェア・アプリケーションの制御パネルを開いて、新たなコントラスト量を入力する。ソフトウェアはこの相互作用を解釈して、画像処理要求を生成する。ソフトウェア・アプリケーションはまた、この形式の相互作用が実質的な処理資源を要求し得ることを認識する。結果的に、工程フローはステップ808に戻る。画像データは、画像処理要求及び事前割当てに従って処理される。資源の事前割当ては、この形式の画像処理を実行するためにはクライアントを割り当てているため、画像処理要求はローカルに直接クライアントに送られる。次いで、ステップ810において画像をクライアントに表示させる。ステップ812では、利用者が画像と相互作用し続ける間は繰り返し式工程は続行する。
【0076】
このように、本出願の実施形態は、分散型網で画像データを効率的に処理する方法及びシステムを提供する。加えて、本出願の実施形態は、分散型網の全体で画像処理タスクを効率的に割り当てる方法及びシステムを提供する。さらに、本出願の実施形態は、分散型イメージング・システムの利用者に対し、柔軟性及び制御を提供する。
【0077】
幾つかの実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者には、本発明の範囲から逸脱せずに様々な変形を施し、また均等構成を置換し得ることが理解されよう。加えて、本発明の範囲から逸脱せずに、本発明の教示に合わせて特定の状況又は材料を適応構成する多くの改変を施すことができる。例えば、各特徴は、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの混成で具現化され得る。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に含まれる全ての実施形態を包含するものとする。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本出願の一実施形態による分散型網を示す図である。
【図2】本出願の一実施形態による分散型イメージング・システムのブロック図である。
【図3】本出願の一実施形態による分散型イメージング・システムのブロック図である。
【図4】本出願の一実施形態による分散画像処理のためのシステム資源の割当てを推奨する方法の流れ図である。
【図5】本出願の一実施形態による割当ての幾つかの例の表を示す図である。
【図6】本出願の一実施形態による分散画像処理システムにおいてシステム資源を割り当てるために構成制御との相互作用(対話)を提供する方法の流れ図である。
【図7】本発明の一実施形態による分散型撮像表示の方法の流れ図である。
【図8】本発明の一実施形態によるクライアントに表示される検査に対する繰り返し式の利用者相互作用を示す方法800の流れ図である。
【符号の説明】
【0079】
100、300 医用画像処理のためのシステム
102、302 サーバ
104、312 クライアント
106、305 通信経路
306 推奨供給器
308、316 システム資源
310 サーバ側モニタ
314 クライアント側モニタ
318 構成制御
400 分散型網での医用画像処理の方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ(102、302)、クライアント(104、312)及び所定の帯域幅を有する通信経路(106、305)を備えており、前記サーバ(102、302)、前記クライアント(104、312)及び前記通信経路(106、305)に関連するシステム資源(308、316)を含んでいる分散型網で通信を行なうステップと、
監視データを生成するように、少なくとも一つの工程モニタ(310、314)で前記システム資源(308、316)及び前記帯域幅を監視するステップと、
前記クライアント(104、312)に表示可能な二次元画像データを形成するように三次元画像データを処理するための前記システム資源(308、316)の少なくとも一部の割当てを、前記監視データに少なくとも部分的に基づいて推奨するステップと、
を備えた分散型網での医用画像処理の方法(400)。
【請求項2】
二次元画像データを形成するように三次元画像データを処理する前記処理は、多断面再構成、最小強度投影、最大強度投影及びボリューム・レンダリングの少なくとも一つを含んでいる、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項3】
二次元画像データを形成するように三次元画像データを処理する前記処理は、回転、ズーム、パン、コントラスト調節、輝度調節及び濃淡調節の少なくとも一つを含んでいる、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項4】
二次元画像データを形成するように三次元画像データを処理する前記処理は、前記クライアント(104、312)での相互作用に応答して実質的に実時間で実行可能である、請求項3に記載の方法(400)。
【請求項5】
前記少なくとも一つの工程モニタ(310、314)は、クライアント側モニタ(314)及びサーバ側モニタ(310)を含んでいる、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項6】
前記割当ては、前記サーバ(102、302)及び前記クライアント(104、312)の少なくとも一方により自動的に受け入れられる、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項7】
前記監視データに少なくとも部分的に基づいて前記画像の画質を推奨するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法(400)。
【請求項8】
資源を処理するサーバ(102、302)を含んでおり、三次元画像データを記憶することが可能なサーバ(102、302)と、
所定の帯域幅を有する通信経路を介した前記サーバ(102、302)との通信が可能であり、資源を処理するクライアント(104、312)を含んでおり、前記三次元画像データから形成された二次元画像を表示することが可能なクライアント(104、312)と、
前記資源を処理するクライアント(104、312)、前記資源を処理するサーバ(102、302)及び前記帯域幅に少なくとも部分的に基づいて、前記クライアント(104、312)に前記画像を表示するために前記資源を処理するサーバ(102、302)の少なくとも一部及び前記資源を処理するクライアント(104、312)の少なくとも一部を割り当てることが可能な構成制御(318)と、
を備えた医用画像処理のシステム(100、300)。
【請求項9】
前記構成制御(318)は、前記資源を処理するクライアント(104、312)、前記資源を処理するサーバ(102、302)及び前記帯域幅に少なくとも部分的に基づいて、前記クライアント(104、312)と前記サーバ(102、302)との間での画像処理の配分についての推奨を供給する推奨供給器(306)と相互作用することが可能である、請求項8に記載のシステム(100、300)。
【請求項10】
前記構成制御(318)はさらに、前記画像の画質を制御することが可能である、請求項8に記載のシステム(100、300)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−58857(P2007−58857A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221467(P2006−221467)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】