説明

医療センサ用二重コネクタ

好ましくはインピーダンス・カルジオグラフィ・システム内にある医療電極に接続するための二重電極コネクタは、ベースを具えるコネクタハウジングであって、ベースが、ハウジング内の所定の位置に配置された所定の直径の2つの孔をベース内に有し、2つの孔のうちの第1の孔が二重電極コネクタの第1のコネクタに結合し、2つの孔のうちの第2の孔が二重電極コネクタの第2のコネクタに結合するハウジングと;ハウジングの表面に沿って配置された一対の付勢素子であって、一対の付勢素子のそれぞれが、ハウジングの2つの孔のそれぞれの孔に挿入された一対の電極スタッドのうちの一方に対して付勢されるよう適合させた付勢素子と;ツインワイヤケーブル及びベンドリリーフを含むケーブル組立体を含み、金属ラグの対のそれぞれが第1コネクタ及び第2コネクタの一方に接続され、ベンドリリーフがベースの孔の中に配置され、金属ラグの対のそれぞれの金属ラグにツインワイヤケーブルを柔軟に接続する。付勢手段は、患者に向かう挿入力がほとんど零で、二重コネクタを2つの電極に取り付けるのを補助するためハンドルを含めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気信号を医療電極に伝達するための改善された電気留め具構造に関する。より具体的には、この発明は、インピーダンス・カルジオグラフィ用二重コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
インピーダンス・カルジオグラフィ(ICG)は、心臓のポンプ能力を測定するための医療試験である。ICGは、一回拍出量(SV)、心拍出量(CO)及び胸部体液量(TFC又はZO)を測定する非侵襲性で費用対効果の高い技術である。また、インピーダンス・カルジオグラフィは、「非侵襲性連続心拍出量(NiCCO)」とも呼ばれており、これは試験を行うのに4対の電極を必要とする。
【0003】
例えばIQシステム(ペンシルバニア州ブリストルのWantagh Incorporated)等の従来技術のシステムでは、オペレータが8個(2個が4対)のICG電極と3個のECG電極を患者に取り付ける。胸部電気的生体インピーダンスの場合には、胸部を流れる電流の受ける抵抗量を測定する。このようなシステムでは、1個の電極につき1個のコネクタがある。
【0004】
いずれもChristenssonのものである特許文献1及び2に開示されているもののように、心電図検査(ECG又はEKG)の分野において、やはり1個の電極につき1個のコネクタを有する他の装置が存在する。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,944,562号明細書
【特許文献2】米国特許第5,295,872号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまでのところ、カリフォルニア州サンディエゴのCardioDynamicsによるインピーダンス・カルジオグラフィに二重電極が使われている。対応するケーブルは、8個の分岐を有し、各二重電極に対して2個のコネクタを用いる。しかし、各二重電極に対し2個のコネクタの使用は、これらの電極に対して依然として8個の個別な接続部が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、二導体ケーブルを、2個の接続部を有する医療電極又は医療センサに容易に接続する零挿入力(ZIF)コネクタを提供する。この発明の一実施態様によれば、医療電極又はセンサは使い捨て可能であり、コネクタが零挿入力でスタッドに付着するように、スナップ接続を含むことができる。この発明の一実施態様によれば、零挿入力によって、電極が患者上に位置決めされた後に、患者に不快感を与えることなく、電極又はセンサにコネクタを取り付けることが可能となる。
【0008】
この発明の他の実施態様によれば、二重電極に適正に取り付けるために、コネクタに極性を持たせることができる。また、この発明は、接続をより迅速にし(8個ではなくわずか4個)、分岐の数を減らすことも可能とする。さらに、1個の二重コネクタは、インピーダンス・カルジオグラフィの試験結果に変動性を導入するであろう標準(単一)ECG電極の代用を防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
熟練工が発明の精神及び添付の特許請求の範囲内にあるデザインに変更を加えることができるので、ここでの図及び記載が説明を目的とするものであり、特許請求の範囲に記載された発明は、図示及び記載された実施態様に限定されないことは当業者によって理解される。
【0010】
図1A及び1Bに示した発明の態様によれば、二重コネクタは、ベース1及びカバー2を具えるハウジングを含む。ベースは射出成形したプラスチックで構成することが好ましいが、適当な代替物を用いることができる。ベースは2つの孔12、13(図1Bに示す)を有し、小さい方の孔12は、二重センサの小さい方のスタッド(図2の符号15)のみを通過可能とするが、大きい方のスタッド(図2の符号14)が入るのを防ぐ。
【0011】
図1Dに最もよく示されているように、ハンドル4のそれぞれの凹部に嵌る2つの電気接点3がある。この具体例において、電気接点3はそれ自体で自発的に板ばねとして機能するが、コイルばね(図示せず)により付加的な接触力を与えることができる。ハンドル4は、ハウジング内でのハンドルの回転を可能にする円筒形部4aを一方の端部に有し、他方の端部でカバーから突出する。各ばねの少なくとも1つの接点/タブ3aを、スナップスタッド14、15の溝と係合するように位置決めされる。ばねは2つのタブを有してもよく、その結果、単一ばねデザインを2つの付勢装置のいずれかとして用いることができる。ハンドル及び/又はベンドリリーフを色分けして、電極への正確な接続を容易にすることができる。
【0012】
図1Bに示すように、好ましくは成型品であるケーブル組立体5は、ツインワイヤケーブル6(ノイズ低減のために同軸ケーブルであることが好ましい)、及び好ましくは成型品であるベンドリリーフ7を具える。ベンドリリーフは、ベース1の孔に嵌め込まれることが好ましく、適正な向きを保証するための平坦部分を含むべきである。個々のコネクタを識別するため、ベンドリリーフを異なる色に成型することができる。
【0013】
最終組立に先立ち、各同軸ワイヤ6a及び6bの導体を露出させ、それぞれのばね接点に取り付ける。この取り付けは、円筒形部3bへの圧着によることが好ましいが、他の方法を用いてもよい。
【0014】
ベース1は、部品の不要な動きを防ぎ、一方の導体のワイヤストランドが他方の導体と短絡しないように保つ。カバーを取外し可能とすることもできるが、ベース1とカバー2は、スナップ嵌め込み、接着剤又は超音波溶接により永久的に取り付けることが好ましい。カバー2は、ケーブルハーネス内の各コネクタに対する適正な位置を識別するためのアイコンを随意に含むことができる。電極の2つのスナップスタッドに似せて、2つのノブ10をカバー2上に成型することができ、これにより、便利かつすっきりとした格納のため、一方の二重コネクタを他方の二重コネクタに取り付けることができる。
【0015】
二重コネクタを取り付けるために、オペレータは、2つのハンドル4を一緒に握り、コネクタを電極の2つのスタッド上に置き、ハンドルを放す。各ばねのタブ3aが、電極13、14のそれぞれのスナップスタッドの溝に係合し、これを所定の位置に保持する。取外すためには、プロセスを逆にする。したがって、二重コネクタを零挿入力で接続/接続切り離しすることができるので、患者に向かって付勢力が適用され得る従来のスナップスタッドを用いる場合に比べて、患者の不快感が低減されるという利点がある。
【0016】
図2は、医療センサに適用される、この発明に従う二重コネクタを示す。寸法(proportions)は二重コネクタを制限するものではなく、単に例示目的のために含まれたにすぎないことは理解されよう。
【0017】
この発明の多くの特徴の幾つかは、以下の通りである。
(1)二重電極を患者上に位置決めした後に、(レバーを握ることにより付勢が除去可能であることを意味する)零挿入力でコネクタを電極に取り付けることができ、これによって、標準的なスナップ嵌め込み又は他のコネクタで発生するであろう不快感を低減又は排除する。
(2)コネクタに(異なる寸法の孔によって)極性を持たせて、電極の不注意による入れ替わりを防ぐことができる。
(3)2つの接続を1回の操作で結合することは、コネクタを患者に取り付けることのできる速さが向上し、医師に一層の利便性を提供する。
(4)ハーネス内の分岐数を8個から4個に低減し、8個の分岐を包含した従来技術の装置におけるもつれの可能性と識別時間を低減する。
(5)2本のワイヤを相互に固定することにより、2つのワイヤのキャパシタンスの、変化し電気ノイズを作り出す傾向を低減する。これは、単一電極コネクタでは可能ではないであろう。
(6)二重コネクタは、標準ECG電極が(不)経済のために代用され、結果が不必要に変動するという可能性を低減する。
(7)二重コネクタはその上に配置される1つ又はそれ以上の識別アイコンをもつのに十部の大きい。
(8)デザインは、個別の接続部の色分けを可能にする特徴を有する。
(9)デザインは、突出することなく電極輪郭内に嵌合することができ、硬質の端縁による接触から患者に与える不快感を低減し、プロバイダーが患者の皮膚に触る必要性を低減する。
(10)電極に似せた自己格納ノブによって、不使用時にコネクタを一緒にクリップ留めすることが可能となる。
【0018】
発明の精神及び添付の特許請求の範囲内であり、当業者によって行われるかもしれない多数の変更がある。例えば、ハウジングの形状、電極を受容するための孔の位置及び/又は孔の形状、並びに素子の具体的な寸法は、特定の必要性に応じて変更することができる。例えば、電極を適正に受容できる限り、孔をスロット状、楕円状、正方形状、多角形状等とすることができる。また、二重コネクタは上述した二重電極との接続に適合するものであるが、コネクタを単一電極医療システムとの使用に適することもできることにも留意される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】この発明に従う二重コネクタの斜視図である。
【図1B】二重コネクタの他の図であり、より明確にするためにカバーを除いて示す。
【図1C】カバーを取り付けた状態の二重コネクタの背面の斜視図である。
【図1D】図1A及び1Bに示した部品のいくつかの分解図である。
【図2】医療センサに適用されるコネクタを示す図である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースを有する二重電極コネクタハウジングであって、該ベースが、前記ハウジング内の所定の位置に配置された所定の直径の2つの孔を有し、2つの孔のうちの第1の孔が二重電極コネクタの第1のコネクタに結合し、2つの孔のうちの第2の孔が二重電極コネクタの第2のコネクタに結合するハウジングと、
ハウジングの表面に沿って配置された一対の付勢素子であって、該一対の付勢素子のそれぞれが、ハウジングの前記2つの孔のそれぞれの孔に挿入された一対の電極スタッドのうちの一方に対して付勢されるよう適合させた付勢素子と、
ハウジング、ツインワイヤケーブル及び一対の金属接点を具えるケース組立体であって、一対の金属接点のそれぞれが、ツインワイヤケーブルの第1導体及び第2導体のうちの一方に圧着されているケース組立体とを具える、二重電極コネクタ。
【請求項2】
第1コネクタ及び第2コネクタが、一対の電極スタッドのそれぞれ一方に零挿入力で接続される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
付勢素子のそれぞれの接点が、一対の電極スタッドのそれぞれの電極スタッドに対して付勢するよう適合させたタブを具える、請求項1に記載の二重コネクタ。
【請求項4】
付勢素子が板ばねを具え、付勢素子のそれぞれが、コネクタハウジングの外方に突出する板ばねに取り付けられたハンドルをさらに具える、請求項3に記載の二重コネクタ。
【請求項5】
ハンドル及びベンドリリーフの少なくとも一方が、特定の電極への接続のために色分けされている、請求項4に記載の二重コネクタ。
【請求項6】
ケースハウジングがカバー及びベースを含み、これらの双方が射出成形されたプラスチックからなる、請求項1に記載の二重コネクタ。
【請求項7】
ベースに形成された2つの孔の所定の直径は、前記2つの孔のうちの一方が他方よりも小さくなるような寸法に仕上げられている、請求項1に記載の二重コネクタ。
【請求項8】
前記2つの孔の所定の直径が、電極スタッドの少なくとも一方の直径に対応するような寸法に仕上げられている、請求項1に記載の二重コネクタ。
【請求項9】
付勢素子3のそれぞれが、互いに反対側に配置された2つ以上のタブを含む、請求項4に記載の二重コネクタ。
【請求項10】
第1の位置において、前記ハンドルは、電極スタッドがベースの2つの孔の一方に挿入可能になるように配置されている、請求項4に記載の二重コネクタ。
【請求項11】
第2の位置において、ハンドルは、板ばねを、ベースの2つの孔の一方に挿入された電極スタッドに付勢するよう配置されている、請求項10に記載の二重コネクタ。
【請求項12】
ベースの2つの孔から突出し、他の二重コネクタへの取り付けが可能である自己格納ノブをさらに具える、請求項1に記載の二重コネクタ。
【請求項13】
コネクタハウジングが、二重電極との接続を容易にするために、その上に配置された少なくとも一つのアイコンを有している、請求項1に記載の二重コネクタ。
【請求項14】
ハンドルの第1の位置において、板ばねは、患者の首及び/又は胴に向かって押し下げる挿入力を与えない、請求項11に記載の二重コネクタ。
【請求項15】
ハンドルの第2の位置において、板ばねは、患者の首及び/又は胴の接線方向に付勢力を与える、請求項11に記載の二重コネクタ。
【請求項16】
ハウジングは2対の凹部を有し、各凹部は、ハンドルを旋回可能にしつつ、それぞれのハンドルの一方の端部を保持する、請求項4に記載の二重コネクタ。
【請求項17】
請求項1に記載の二重コネクタを4つ具え、単一のコネクタにより機器に接続される分岐の数が合計で4となる、インピーダンス・カルジオグラフィ接続システム。
【請求項18】
(a)ベースを具えるコネクタハウジングであって、該ベースがハウジングの所定の場所に配置された所定の直径の2つの孔をそのベースに有し、2つの孔のうちの第1の孔が第1のコネクタに結合し、2つの孔のうちの第2の孔が二重電極コネクタの第2のコネクタに結合するコネクタハウジングを与えるステップと、
(b)ハウジングの表面に沿って一対の付勢素子を配置し、該一対の付勢素子のそれぞれが、ハウジングの2つの孔のそれぞれの孔に挿入された電極スタッドに対して付勢されるよう適合させるステップと、
(c)ツインワイヤケーブルと、一対の金属接点と、前記ツインワイヤケーブルをケース組立体のハウジングに接続するベンドリリーフとを具え、前記一対の金属接点のそれぞれを第1導体ワイヤ及び第2導体ワイヤに接続してなるケース組立体を与えるステップ
を結合する、二重電極コネクタを製造する方法。
【請求項19】
第1コネクタ及び第2コネクタは、零挿入力で電極スタッドに接続する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1コネクタ及び第2コネクタは、スナップ方式により電極スタッドに接続する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ツインワイヤケーブルの第1導体ワイヤ及び第2導体ワイヤは、圧着により金属接点に接続される、請求項18に記載の方法。

【図2】
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【公表番号】特表2006−510437(P2006−510437A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561857(P2004−561857)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005984
【国際公開番号】WO2004/057704
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】