医療器具セット
【課題】導入用シースの生体への挿入深さを簡単な方法で正確に定めることができる。
【解決手段】医療器具セット1は、針管2と導入用シース3とを備える。針管2は、先端に鋭利な針先21が形成された針管本体22と、針管本体22の基端部に接続されたハブ23とを備え、針管本体22の外周面には、針管本体22の生体への穿刺深さを示す目盛り24が形成されている。針管本体22の外周部には、針管本体22の長手方向に移動可能な指標25が装着されている。導入用シース3は、可撓性を有する管状のシース本体32と、シース本体32の基端部に接続されたハブ33とで構成され、シース本体32の外周面には、シース本体32の生体への挿入深さを示す目盛り34が形成されている。両目盛り24、34は、同一スケールの目盛りとされる。
【解決手段】医療器具セット1は、針管2と導入用シース3とを備える。針管2は、先端に鋭利な針先21が形成された針管本体22と、針管本体22の基端部に接続されたハブ23とを備え、針管本体22の外周面には、針管本体22の生体への穿刺深さを示す目盛り24が形成されている。針管本体22の外周部には、針管本体22の長手方向に移動可能な指標25が装着されている。導入用シース3は、可撓性を有する管状のシース本体32と、シース本体32の基端部に接続されたハブ33とで構成され、シース本体32の外周面には、シース本体32の生体への挿入深さを示す目盛り34が形成されている。両目盛り24、34は、同一スケールの目盛りとされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、心臓カテーテル法、心臓および血管造影法、ヒス束心電図法などを行う際には、カテーテルを経皮的に血管内に挿入、留置して処置を行う。処置を終えた後は、その穿刺孔の止血をする必要があるが、この止血を容易かつ確実に行うために、穿刺孔を塞ぐ止血部材を充填(挿入)する方法が知られている。
【0003】
従来、このような止血部材の充填を行う止血器具としては、プラグ状の止血部材(コラーゲン等で構成されたもの)が装填された筒状部材と、該筒状部材内に挿入可能であり、前記止血部材を筒状部材の先端から押し出すための押出し棒と、筒状部材の生体への挿入深さを規制する係止部材とを有し、係止部材の生体表面への係止により筒状部材の先端が血管の穿刺孔(血管内壁面)に一致するよう位置決めをした状態で、押出し棒を操作して止血部材を筒状部材から押し出し、穿刺孔内に充填、留置する構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この止血器具では、前記処置に用いたシースを一旦抜き取った後、当該部位に止血器具を挿入して止血操作を行うので、操作に手間がかかり、出血量も多く、患者の負担も大きいという欠点がある。
【0005】
さらに、この止血器具では、止血器具の生体への挿入深さを規制する手段(係止部材)は存在するが、実際には、生体への挿入深さがどの程度であるかを知る手段がなく、従って、止血器具の先端を血管の穿刺孔(血管内壁面)に一致よう正確に位置決めすることができない。
【0006】
その結果、止血部材の先端部が不適正な位置に充填、留置されてしまうことがある。すなわち、止血部材の先端部が深く入りすぎると、止血部材が血管内に侵入し、血流を阻害するおそれがあり、また、止血部材の先端部の挿入位置が浅過ぎると、十分な止血効果が得られない場合がある。
【0007】
【特許文献1】WO00/30553
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、導入用シースの生体への挿入深さを簡単な方法で正確に定めることができる医療器具セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
(1) 針管本体を有する針管と、管状のシース本体を有する導入用シースとを備える医療器具セットであって、
前記針管は、前記針管本体の生体への穿刺深さを示す穿刺深さ表示手段を有し、
前記導入用シースは、前記シース本体の外周面に前記シース本体の生体への挿入深さを示す目盛りを有することを特徴とする医療器具セット。
【0010】
(2) 前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体の外周面に形成された目盛りである上記(1)に記載の医療器具セット。
【0011】
(3) 前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体に対しその長手方向に沿って移動可能に設置され、生体表面に当接する指標を有する上記(2)に記載の医療器具セット。
【0012】
(4) 前記指標は、その自重によるも前記針管本体に対し移動しない程度の保持力で前記針管本体に対し保持されている上記(3)に記載の医療器具セット。
【0013】
(5) 前記穿刺深さ表示手段は、目盛りが形成され、前記針管本体に対しその長手方向に沿って移動可能に設置された部材である上記(1)に記載の医療器具セット。
【0014】
(6) 前記部材の先端部に、生体表面に当接する当接部を有する上記(5)に記載の医療器具セット。
【0015】
(7) 前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体の基端部に設置され、前記部材に対しその長手方向に相対的に移動可能な指標を有する上記(5)または(6)に記載の医療器具セット。
【0016】
(8) 前記部材は、その自重によるも前記針管本体に対し移動しない程度の保持力で前記針管本体に対し保持されている上記(5)ないし(7)のいずれかに記載の医療器具セット。
【0017】
(9) 前記導入用シースの目盛りと、前記穿刺深さ表示手段の目盛りとは、同一スケールである上記(2)ないし(8)のいずれかに記載の医療器具セット。
【0018】
(10) 前記導入用シースは、血管に穿刺して用いられ、当該血管の穿刺孔を塞ぐための止血部材を前記穿刺孔に供給するものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の医療器具セット。
【0019】
(11) 前記導入用シース内に挿入して使用され、前記止血部材を押し出す押し出し具を備える上記(10)に記載の医療器具セット。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、構成が簡易であり、しかも簡単な方法(操作手順)で、導入用シースの生体への挿入深さを正確に定めることができる。
【0021】
そのため、導入用シースを用いて血管の穿刺孔を止血部材で塞ぐ場合、簡単な操作で止血部材を適正な箇所へ充填(導入)、留置することができ、止血効果の向上を図ることができる。また、止血部材が適正な位置に位置決めされたか否かを容易に知ることができる。
【0022】
また、本発明によれば、情報収集や治療等に用いたシースをそのまま止血部材の供給等に用いることができるので、シース等の抜き変えを必要としていた従来に比べ、出血量が少なく、感染のおそれも減少し、患者の負担が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の医療器具セットを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本発明の医療器具セットの第1実施形態を示す側面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「基端」、下側を「先端」と言う。
【0025】
図1に示すように、本発明の医療器具セット1は、針管2と導入用シース3とを備える。針管2は、先端に鋭利な針先21が形成された管状の針管本体22と、針管本体22の基端部に接続されたハブ23とで構成されている。
【0026】
針管本体22の外径は、特に限定されず、例えば0.5〜2.0mm程度とされる。また、針管本体22の長さは、特に限定されず、例えば50〜100mm程度とされる。
【0027】
針管本体22の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム系合金、チタンまたはチタン系合金、銅または銅系合金等の各種金属材料や、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン等の比較的硬質な樹脂材料、その他各種セラミックス材料が挙げられる。
【0028】
ハブ23は、その内径および外径が基端方向に向かって漸増したテーパ管で構成されている。このハブ23には、チューブ類、各種コネクタ、血液のフラッシュバックを確認するため器具等が必要に応じ接続して用いられる。また、ハブ23自体を透明な材料で構成し、ハブ23自体で血液のフラッシュバックを確認できるようにすることもできる。
【0029】
ハブ23の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アイオノマー、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂材料、さらには、これらのうちの2種以上を組み合わせたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体)、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅系合金等の各種金属材料、その他各種セラミックス材料等が挙げられる。
【0030】
このような針管2は、針管本体22の生体への穿刺深さを示す穿刺深さ表示手段を有する。すなわち、針管本体22の外周面には、針管本体22の穿刺深さ、すなわち針管本体22の針先21の基端位置からの長さを示す目盛り(深度目盛り)24が形成されており、針管本体22を生体組織に穿刺したとき、目盛り24における生体表面に露出している部分の数字を読むことにより、針管本体22の穿刺深さを知ることができる。この目盛り24では、針先21の基端位置、すなわち針先21の孔が閉じた位置を「0」とし、基端方向に向かって等間隔で1ずつ増大している。なお、「0」の位置は、針先21の途中または先端であってもよい。
【0031】
針管本体22への目盛り24の形成方法は、特に限定されず、例えば、印刷、その他着色、変色、刻設、溶着が挙げられる。
【0032】
針管本体22の外周部には、リング状をなす指標(マーカ)25が装着されている。この指標25は、針管本体22に対しその長手方向に沿って移動可能に装着されている。この場合、指標25は、その自重を越える相当の外力を加えない限り、針管本体22の外周面に対する摩擦力により針管本体22上で静止状態(保持された状態)を維持する。すなわち、指標25は、指標25の自重により針管本体22に対し移動することはなく、さらには、ある程度の揺動、振動が加えられたとしても、針管本体22上で静止状態を維持する。これにより、針管本体22を生体に穿刺する際、指標25を指で押さえたりする必要がなく、操作性に優れる。
【0033】
指標25の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリウレタン、ポリアミド、天然ゴム、ブタジエンゴム等の弾性材料(エラストマー)またはこれらの多孔質体(発泡体)が挙げられる。指標25の形状もリング状に限定されず、例えばC字状や、その他任意の形状が可能である。
【0034】
図1中(a)は、生体への穿刺前の指標25の位置を示し、図1中(b)は、生体への穿刺後の指標25の位置を示す。図1中(a)に示す状態で、針管本体22をその針先21側から生体組織に穿刺してゆくと、指標25は生体表面(皮膚表面)13に当接し、生体表面13に押圧されて針管本体22の基端方向へ徐々に移動する。針管本体22を穿刺が停止(終了)すると、指標25の針管本体22に対する移動も停止する(図1中(b))。この状態で、指標25が指し示している目盛り24の数字を読むことにより、針管本体22の穿刺深さを知ることができる。このような指標25を有することにより、目盛り24の数字を読みやすいという利点がある。
【0035】
針管本体22を生体組織から抜き取った後も、指標25は、針管本体22に対する位置を維持しているため、針管本体22を抜き取った後でも、針管本体22の穿刺深さを確認することができる。
【0036】
本実施形態では、上述したような目盛り24および指標25により、穿刺深さ表示手段が構成されるが、目盛り24のみであってもよい。
【0037】
導入用シース3は、可撓性を有する管状のシース本体32と、シース本体32の基端部に接続(装着)されたハブ33とで構成されている。
【0038】
シース本体32の外径は、特に限定されず、例えば1.5〜4.0mm程度とされる。シース本体32の内径は、特に限定されず、例えば1.3〜3.8mm程度とされる。また、シース本体32の長さは、特に限定されず、例えば50〜150mm程度とされる。
【0039】
シース本体32の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、PTFE、ETFE等のフッ素系樹脂等の各種樹脂材料、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の各種熱可塑性エラストマー、シリコンゴム等の各種ゴム材料、さらには、これらのうちの2種以上を組み合わせたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体)が挙げられる。
【0040】
ハブ33は、その内径および外径が基端方向に向かって漸増したテーパ管で構成された部分と、外径がほぼ一定の管で構成された部分とを有している。ハブ33の基端開口からは、目的に応じ、カテーテル類(例えば、ガイドカテーテル、造影用カテーテル、バルーンカテーテル等の心臓用カテーテル、薬液投与用カテーテル)、内視鏡、ダイレータ(シース本体32内に挿入可能な先端がテーパ状に先細りしたチューブ状の器具)、ガイドワイヤ等の長尺な医療器具が挿入される。また、ハブ33の内部には、血液の逆流を防止する弁体が設置されていてもよい。
【0041】
ハブ23の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アイオノマー、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂材料、さらには、これらのうちの2種以上を組み合わせたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体)、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅系合金等の各種金属材料、その他各種セラミックス材料等が挙げられる。
【0042】
シース本体32の外周面には、シース本体32の生体への挿入深さ、すなわちシース本体32の先端31からの長さを示す目盛り(深度目盛り)34が形成されており、シース本体32が生体組織に挿入されている状態で、目盛り34における生体表面に露出している部分の数字を読むことにより、シース本体32の挿入深さを知ることができる。この目盛り34では、シース本体32の先端31の位置を「0」とし、基端方向に向かって等間隔で1ずつ増大している。
【0043】
シース本体32への目盛り34の形成方法は、特に限定されず、例えば、印刷、その他着色、変色、刻設、溶着が挙げられる。
【0044】
針管本体22に形成された目盛り24と、シース本体32に形成された目盛り34とは、同一スケール(縮尺が同じ)であるのが好ましく、特に、同一パターン(縮尺が同じでかつ目盛りの最小表示単位も同じ)の目盛りであるのがより好ましい。これにより、シース本体32の生体への穿刺深さの位置決めをより容易かつ正確に行うことができる。
【0045】
なお、本発明では、目盛り24と目盛り34は、同一スケールや同一パターンのものに限らず、両者が何らかの相関関係を持っているもの、すなわち、一方から他方を特定できるものであればよい。
【0046】
また、両目盛り24、34の最小表示単位は、それぞれ、「mm」表示とすることができるが、その他例えば、1mmの整数倍や任意の長さが可能である。
【0047】
次に、医療器具セット1の使用方法(作用)の一例について詳細に説明する。図3〜図6は、それぞれ、本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。以下、これらの図に基づき、操作手順を順次説明する。
【0048】
[1] まず、針管2を生体表面13から皮下組織14に穿刺する(図3参照)。このとき、針管2は、指標25が目盛り24における「0」の位置またはその近傍に位置するようにセットされている。
【0049】
[2] 図3に示す状態から、針管2を針先21より皮下組織14に穿刺し、徐々に深く刺してゆく。これに伴い、指標25は生体表面13に当接し、生体表面13に押圧されて針管本体22の基端方向へ徐々に移動する。
【0050】
図4に示すように、針先21が血管壁11を刺通して血管10内に挿入されると、血圧により血管10内の血液が針先21の開口より入り、針管本体22内を基端方向に流れ、ハブ23内に達する。例えばハブ23にフラッシュバック確認用の器具を接続しておくことにより、このような状態、すなわち、針先21が血管壁11を刺通して血管10内に挿入されたことを目視で確認することができる。
【0051】
[3] 血液のフラッシュバックを確認したら、針管2の進行を止め、それ以上深く穿刺しないようにするとともに、指標25が指し示す目盛り24を読み取る。図4に示す例では、指標25は、目盛り24の「3.5」を指している。なお、指標25を使用せず、生体表面13の位置の目盛り24を読み取ってもよい。
以上のようにして読み取られた目盛り24の値「3.5」を記憶しておく。
【0052】
[4] 以上のようにして血管10を確保している針管2を用い、セルジンガー法により、導入用シース3を挿入、留置する。以下、その手順を説明する。
【0053】
まず、針管2内に比較的短いガイドワイヤ(図示せず)を挿入し、先端方向へ進め、ガイドワイヤが針先21の開口から所定長さ突出させる。この状態で、ガイドワイヤを残したまま、針管2を生体から抜去する。
【0054】
次に、留置されているガイドワイヤに沿って導入用シース3を生体内に挿入してゆく。ここで、導入用シース3内には、前述したダイレータ(図示せず)を予め挿入しておき、このダイレータの内腔にガイドワイヤを挿入するようにして導入用シース3をダイレータごと生体内に挿入する。
【0055】
導入用シース3を先端方向へ徐々に進めると、その先端31(または先端31より突出するダイレータの先端部)が、針管2の穿刺により形成された血管10の穿刺孔12を押し広げ、さらに、先端31は、該穿刺孔12を越えて血管10内に入る。導入用シース3をさらに先端方向へ進め、所定の位置で停止する。
【0056】
導入用シース3の先端31が血管10の目的位置に到達したら、導入用シース3からダイレータおよびガイドワイヤを抜去する。これにより、導入用シース3は、血管10内に所望の位置で留置され、図5に示す状態となる。
【0057】
[5] ハブ33の基端開口より導入用シース3内に目的に応じたカテーテル類(図示せず)を挿入し、カテーテル類の先端部を導入用シース3の先端31より突出させ、必要な処置(治療、検査等)を行う。この処置としては、例えば、血液の吸引(サンプリング等の目的)、組織の採取、体温、血流量等の各種情報の収集、薬液、造影剤等の液体の投与、血管狭窄部の拡張治療、超音波画像診断等が挙げられる。
【0058】
処置が終了したら、導入用シース3を残したまま、導入用シース3からカテーテル類を抜去する。
【0059】
[6] 導入用シース3を基端方向へ引き、徐々に抜き取ってゆく。目盛り34が生体表面13から露出し始めたら、目盛り34の値に注目する。生体表面13の位置が指し示す目盛り34の値が「3.5」(前記工程[3]で記憶した目盛りの値と同じ値)となったら、導入用シース3の引き抜きを停止する。この状態で、導入用シース3は、その先端31が血管10の穿刺孔12の位置にほぼ一致するように位置決めされる(図6参照)。
【0060】
[7] 次に、位置決めがなされた導入用シース3を用いて、止血部材4を導入し、穿刺孔12を塞ぐ操作を行う。以下、その手順を図7〜図9に基づき説明する。
【0061】
導入用シース3の基端開口よりシース本体32内にプラグ状(短い棒状)の止血部材4を挿入し、該止血部材4を押し出し具5を用いて先端方向へ押し込み、シース本体32の先端部に位置させる(図7参照)。
【0062】
図7に示すように、押し出し具5は、シース本体32内に挿入可能なロッド(押し出し棒)51と、該ロッド51の基端に固着された円盤状の押圧操作部(指当て部)52とで構成されている。ロッド51は、押圧操作部52をハブ33の基端35に当接させたとき、ロッド51の先端がシース本体32の先端31とほぼ一致するような長さに設定されている(図8参照)。
【0063】
導入用シース3の基端開口より止血部材4を挿入し、次いで押し出し具5のロッド51を挿入し、止血部材4を徐々に先端方向へ押圧移動してゆく。ハブ33の基端35と押圧操作部52の先端面との距離Lが止血部材4の長さ(既知)と等しくなったとことで、押し出し具5による止血部材4の押圧を停止する(図7参照)。ロッド51の長さが前述したような長さに設定されているため、この状態で、止血部材4は、その先端がシース本体32の先端31とほぼ一致するように位置決めされる。従って、止血部材4の先端は、シース本体32の先端31とともに、穿刺孔12の位置にほぼ一致するように位置決めされる(図7参照)。
【0064】
なお、図示されていないが、ハブ33の基端35と押圧操作部52の先端面との距離L(すなわち、シース本体32に対する止血部材4の位置)を知るための手段として、例えばロッド51の表面に目盛りやマーカが形成されていてもよい。
【0065】
また、図示の構成では、止血部材4と押し出し具5は、導入用シース3内に直接挿入されているが、これに限らず、管体(図示せず)内に止血部材4と押し出し具5とが挿入されており、止血部材4と押し出し具5とをこの管体ごと導入用シース3内に挿入して用いるものでもよい。
【0066】
[8] 押し出し具5を先端方向へ押圧するとともに、導入用シース3を基端方向へ引く。押圧操作部52がハブ33の基端35に当接するまで押圧すると、止血部材4はシース本体32の先端開口から押し出され、穿刺孔12を塞ぐ(図8参照)。
【0067】
[9] 導入用シース3を押し出し具5ごと生体より抜き取る。これにより、皮下組織14に形成された穿刺孔も塞がれ、図9に示す状態となる。
【0068】
前記止血部材4としては、主に、水親和性物質で構成されているものが好ましく、血液等と接触して湿潤し、ゲル化する性質を有するものがより好ましい。これにより、止血部材4のゲル化物(塊状物)が穿刺孔12付近で膨潤、拡大して穿刺孔12を効率良く塞ぐとともに、止血部材4が基端方向へ押し戻されることを防止する効果が生じ、これらの相乗効果により血液の漏れを有効に阻止し、より高い止血効果が得られる。
【0069】
このような止血部材4としては、例えば、セルロース系高分子材料、コラーゲン、アルギン酸、キトサン等が挙げられる。
【0070】
セルロース系高分子材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシシメチルセルロース(HMC)、オキシセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等、またはこれらの塩(特に、ナトリウム、カリウム等の塩)が挙げられる。さらに、特開平10−77571号公報に記載された物質を用いることもできる。
【0071】
このような水親和性物質は、生体吸収性材料でもある。これにより、生体に挿入、充填した後、除去する必要がなくなる。
【0072】
このような材料で構成される止血部材4は、生体に挿入され、血液等の水分と接触して湿潤すると、ゲル化し、優れた止血機能を発揮する。
【0073】
<第2実施形態>
図2は、本発明の医療器具セットの第2実施形態を示す側面図である。図2中(a)は、生体への穿刺前のスケール部材26の位置を示し、図2中(b)は、生体への穿刺後のスケール部材26の位置を示す。以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態と相違する点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。また、図2中の上側を「基端」、下側を「先端」と言う。
【0074】
図2に示すように、第2実施形態の医療器具セット1は、針管2と導入用シース3とを備える。このうち、導入用シース3の構成は、第1実施形態と同様であり、針管2の構成が異なる。
【0075】
図2(a)、(b)に示すように、針管2は、先端に鋭利な針先21が形成された管状の針管本体22と、針管本体22の基端部に接続されたハブ23とで構成されている。そしてこの針管2は、穿刺深さ表示手段として、針管本体22に対しその長手方向に沿って移動可能に設置されたスケール部材26を備えている。
【0076】
スケール部材26は、例えば帯状をなす部材であり、その先端には、支持部材28が固着または一体形成されている。支持部材28には針管本体22が挿通されるガイド孔281が形成されおり、支持部材28は、針管本体22に沿って摺動する(図2(a)参照)。
【0077】
一方、ハブ23の先端部(針管本体22の基端部)には、スケール部材26を移動可能に支持する支持部材29が固着または一体形成されている。支持部材29にはスケール部材26が挿通されるガイド孔291が形成されおり、スケール部材26は、その長手方向に摺動する(図2(a)参照)。
【0078】
また、スケール部材26の先端には、支持部材29のガイド孔291を通過できないストッパー261が形成されている。スケール部材26を針管本体22に対し先端方向へ移動すると、ストッパー261が支持部材29に当接し、それ以上の移動が阻止される。ストッパー261が支持部材29に当接した状態では、支持部材28は針先21の先端に到達していない。これにより、スケール部材26が針管本体22から離脱することが防止される。
【0079】
支持部材28は、針管2を生体に穿刺する際に生体表面13に当接する当接部を構成し、支持部材29は、後述する目盛り27を指し示し、スケール部材26に対しその長手方向に沿って相対的に移動可能な指標を構成する。
【0080】
スケール部材26および支持部材28は、針管本体22の外周面とガイド孔281の内面との摩擦力およびスケール部材26の表面とガイド孔291の内面との摩擦力により、それらの自重を越える相当の外力を加えない限り、針管本体22に対する静止状態(保持された状態)を維持する。すなわち、スケール部材26および支持部材28は、自重により針管本体22に対し移動することはなく、さらには、ある程度の揺動、振動が加えられたとしても、針管本体22に対し静止状態を維持する。これにより、針管本体22を生体に穿刺する際、スケール部材26を指で押さえたりする必要がなく、操作性に優れる。
【0081】
なお、前記摩擦力(保持力)を得るために、スケール部材26を比較的摩擦の大きい材料で形成したり、ガイド孔281および/または291の内面に例えば粗面化処理や溝の形成等がなされていてもよい。
【0082】
スケール部材26の表面には、スケール部材26の長手方向に沿って前記目盛り24と同様の機能を果たす目盛り27が形成されている。この目盛り27は、生体に対する針管本体22の穿刺深さを示すものであるから、目盛りの数字は、前記目盛り24とは逆に、基端側から先端側に向かって順次大きくなるように付されている。
【0083】
スケール部材26に形成された目盛り27とシース本体32に形成された目盛り34との関係は、前記と同様である。
【0084】
スケール部材26、支持部材28、29、ストッパー261の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アイオノマー、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂材料、さらには、これらのうちの2種以上を組み合わせたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体)、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅系合金等の各種金属材料、その他各種セラミックス材料等が挙げられる。
【0085】
なお、本実施形態において、スケール部材26、支持部材28、29は、それぞれ、針管本体22に対し着脱自在に設置されていてもよい。
【0086】
次に、第2実施形態の医療器具セット1の使用方法(作用)の一例について説明する。図10および図11は、それぞれ、第2実施形態の医療器具セットの使用方法における針管の穿刺工程を示す図である。
【0087】
[1] まず、針管2を生体表面13から皮下組織14に穿刺する(図10参照)。このとき、スケール部材26は、指標である支持部材29が目盛り27における「1」またはそれ以下の任意の位置を指すようにセットされている。
【0088】
[2] 図10に示す状態から、針管2を針先21より皮下組織14に穿刺し、徐々に深く刺してゆく。これに伴い、支持部材28が生体表面13に当接し、生体表面13に押圧されて、スケール部材26が針管本体22の基端方向へ徐々に移動する。
【0089】
図11に示すように、針先21が血管壁11を刺通して血管10内に挿入されると、血圧により血管10内の血液が針先21の開口より入り、針管本体22内を基端方向に流れ、ハブ23内に達する。例えばハブ23にフラッシュバック確認用の器具を接続しておくことにより、このような状態、すなわち、針先21が血管壁11を刺通して血管10内に挿入されたことを目視で確認することができる。
【0090】
[3] 血液のフラッシュバックを確認したら、針管2の進行を止め、それ以上深く穿刺しないようにするとともに、支持部材(指標)29が指し示す目盛り27を読み取る。図11に示す例では、支持部材29は、目盛り27の「3.5」を指している。以上のようにして読み取られた目盛り27の値「3.5」を記憶しておく。
【0091】
なお、前記第1実施形態では、目盛り24の読み取りは、生体表面13付近で行うのに対し、本実施形態では、針管本体22の基端付近(生体表面13から相当距離離れた位置)で目盛り27を読み取るため、目盛り27の読み取りがより見やすいという利点がある。
以後は、前記第1実施形態で説明した工程[4]〜[9]と同様の工程を行う。
【0092】
<第3実施形態>
図12〜16は、本発明の第3実施形態を示す図である。第3実施形態は、第1実施形態における止血部材4が、水親和性物質ではなく、血管壁11の穿刺孔12をかしめて(挟持して)閉鎖するクリップ型の止血部材60である点で相違する。
【0093】
第3実施形態においては、前記第1実施形態における工程[6]〜[9]を以下の通り変更することができる。
【0094】
[6’] 先端が血管10内に位置している状態の導入用シース3に対し、ロッド(押し出し棒)65の先端にクリップ状の止血部材(クリップ型止血部材)60を有する止血装置6を用意する。止血部材60は、枠状をなす変形可能な変形部61と扁平形状のシール部62とが連結・一体化されたものである。変形部61には糸63が架け回されており、この糸63は変形部61の先端部外側において結び目64を形成するとともに、その一端部がロッド65内に挿通されている。
【0095】
この止血装置6を導入用シース3の基端開口より挿入し、導入用シース3の先端から止血部材60のシール部62を突出させる(図12参照)。
【0096】
[7’] 導入用シース3を固定したまま止血装置6を基端方向へ僅かに引き、止血部材60のシール部62を導入用シース3の先端に密着させ、シール部62を導入用シース3の軸方向とほぼ垂直な姿勢にする。次いで、導入用シース3を基端方向に徐々に引いていく。すると、止血部材60のシール部62が血管壁11に当接して止まる(図13参照)。
【0097】
この状態で、導入用シース3に設けられた目盛り34を確認する。生体表面13の位置が指し示す目盛り34の値が「3.5」(前記工程[3]で記憶した値と同じ値)であれば、シール部62は正しく血管壁11に当接していると判断することができるので、次の作業に移る。
【0098】
ここで、生体表面13の位置が指し示す目盛り34の値が「3.5」よりも大きかった場合には、シール部62は血管壁11ではない別の部分(例えば、血管内の分岐部等)に引っかかっている可能性がある。また逆に、生体表面13の位置が指し示す目盛り34の値が「3.5」より小さかった場合には、シール部62が血管壁11に形成された穿刺孔12を通り抜けてしまっている可能性がある。いずれの場合も、シール部62が適正な位置に位置決めされなかったこととなる。
【0099】
このように、シール部62が適正な位置に位置決めされなかったと判断された場合には、手技を中断し、止血部材60を回収する作業を行う。
【0100】
[8’] シール部62が適正に位置決めされたと判断された場合(読み取られた目盛り34の値が「3.5」であった場合)には、止血装置6を固定したまま、止血部材60全体が導入用シース3の先端から押し出されるまで導入用シース3を基端方向へ引く(図14参照)。
【0101】
次いで、ロッド65を先端方向へ押し、糸63の結び目64を先端方向へ移動させることにより変形部61を変形させる。これにより、変形部61とシール部62とで血管壁11が挟持(クリッピング)され、穿刺孔12が塞がれる(図15参照)。結び目64は、糸63の基端方向へは戻らず、よって、変形部61の変形状態(すなわち止血部材60の挟持力)は、変形部61の先端と基端との間に張られた糸63の張力によって保持される。なお、止血部材60の挟持力は、血液の漏れを生じることなく穿刺孔12を塞ぐことができる程度であればよい。
【0102】
[9’] 糸63を結び目64付近で切断することにより止血装置6から止血部材60を分離する。そして、導入用シース3を止血装置6ごと生体より抜き取る(図16参照)。
【0103】
なお、上記で用いたクリップ型止血部材60の好ましい構成材料としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノンや、それらの共重合体、複合体等の生分解性樹脂(生体吸収性材料)が挙げられる。このような材料を用いることにより、止血部材60は、生体中で所定時間経過後、分解、吸収されるので、好ましい。
【0104】
また、クリップ型止血部材60の形状、構造、特に挟持力を保持する機構は、上述したものに限定されないことは言うまでもない。
【0105】
以上、本発明の医療器具セットを、図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものと置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や機能が付加されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の医療器具セットの第1実施形態を示す側面図である。
【図2】本発明の医療器具セットの第2実施形態を示す側面図である。
【図3】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図4】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図5】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図6】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図7】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図8】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図9】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図10】本発明の医療器具セットの第2実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図11】本発明の医療器具セットの第2実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図12】本発明の医療器具セットの第3実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図13】本発明の医療器具セットの第3実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図14】本発明の医療器具セットの第3実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図15】本発明の医療器具セットの第3実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図16】本発明の医療器具セットの第3実施形態の使用方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0107】
1 医療器具セット
2 針管
21 針先
22 針管本体
23 ハブ
24 目盛り
25 指標
26 スケール部材
261 ストッパー
27 目盛り
28 支持部材
281 ガイド孔
29 支持部材
291 ガイド孔
3 導入用シース
31 先端
32 シース本体
33 ハブ
34 目盛り
35 基端
4 止血部材
5 押し出し具
51 ロッド(押し出し棒)
52 押圧操作部
6 止血装置
60 止血部材(クリップ型)
61 変形部
62 シール部
63 糸
64 結び目
65 ロッド
10 血管
11 血管壁
12 穿刺孔
13 生体表面
14 皮下組織
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、心臓カテーテル法、心臓および血管造影法、ヒス束心電図法などを行う際には、カテーテルを経皮的に血管内に挿入、留置して処置を行う。処置を終えた後は、その穿刺孔の止血をする必要があるが、この止血を容易かつ確実に行うために、穿刺孔を塞ぐ止血部材を充填(挿入)する方法が知られている。
【0003】
従来、このような止血部材の充填を行う止血器具としては、プラグ状の止血部材(コラーゲン等で構成されたもの)が装填された筒状部材と、該筒状部材内に挿入可能であり、前記止血部材を筒状部材の先端から押し出すための押出し棒と、筒状部材の生体への挿入深さを規制する係止部材とを有し、係止部材の生体表面への係止により筒状部材の先端が血管の穿刺孔(血管内壁面)に一致するよう位置決めをした状態で、押出し棒を操作して止血部材を筒状部材から押し出し、穿刺孔内に充填、留置する構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この止血器具では、前記処置に用いたシースを一旦抜き取った後、当該部位に止血器具を挿入して止血操作を行うので、操作に手間がかかり、出血量も多く、患者の負担も大きいという欠点がある。
【0005】
さらに、この止血器具では、止血器具の生体への挿入深さを規制する手段(係止部材)は存在するが、実際には、生体への挿入深さがどの程度であるかを知る手段がなく、従って、止血器具の先端を血管の穿刺孔(血管内壁面)に一致よう正確に位置決めすることができない。
【0006】
その結果、止血部材の先端部が不適正な位置に充填、留置されてしまうことがある。すなわち、止血部材の先端部が深く入りすぎると、止血部材が血管内に侵入し、血流を阻害するおそれがあり、また、止血部材の先端部の挿入位置が浅過ぎると、十分な止血効果が得られない場合がある。
【0007】
【特許文献1】WO00/30553
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、導入用シースの生体への挿入深さを簡単な方法で正確に定めることができる医療器具セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
(1) 針管本体を有する針管と、管状のシース本体を有する導入用シースとを備える医療器具セットであって、
前記針管は、前記針管本体の生体への穿刺深さを示す穿刺深さ表示手段を有し、
前記導入用シースは、前記シース本体の外周面に前記シース本体の生体への挿入深さを示す目盛りを有することを特徴とする医療器具セット。
【0010】
(2) 前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体の外周面に形成された目盛りである上記(1)に記載の医療器具セット。
【0011】
(3) 前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体に対しその長手方向に沿って移動可能に設置され、生体表面に当接する指標を有する上記(2)に記載の医療器具セット。
【0012】
(4) 前記指標は、その自重によるも前記針管本体に対し移動しない程度の保持力で前記針管本体に対し保持されている上記(3)に記載の医療器具セット。
【0013】
(5) 前記穿刺深さ表示手段は、目盛りが形成され、前記針管本体に対しその長手方向に沿って移動可能に設置された部材である上記(1)に記載の医療器具セット。
【0014】
(6) 前記部材の先端部に、生体表面に当接する当接部を有する上記(5)に記載の医療器具セット。
【0015】
(7) 前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体の基端部に設置され、前記部材に対しその長手方向に相対的に移動可能な指標を有する上記(5)または(6)に記載の医療器具セット。
【0016】
(8) 前記部材は、その自重によるも前記針管本体に対し移動しない程度の保持力で前記針管本体に対し保持されている上記(5)ないし(7)のいずれかに記載の医療器具セット。
【0017】
(9) 前記導入用シースの目盛りと、前記穿刺深さ表示手段の目盛りとは、同一スケールである上記(2)ないし(8)のいずれかに記載の医療器具セット。
【0018】
(10) 前記導入用シースは、血管に穿刺して用いられ、当該血管の穿刺孔を塞ぐための止血部材を前記穿刺孔に供給するものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の医療器具セット。
【0019】
(11) 前記導入用シース内に挿入して使用され、前記止血部材を押し出す押し出し具を備える上記(10)に記載の医療器具セット。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、構成が簡易であり、しかも簡単な方法(操作手順)で、導入用シースの生体への挿入深さを正確に定めることができる。
【0021】
そのため、導入用シースを用いて血管の穿刺孔を止血部材で塞ぐ場合、簡単な操作で止血部材を適正な箇所へ充填(導入)、留置することができ、止血効果の向上を図ることができる。また、止血部材が適正な位置に位置決めされたか否かを容易に知ることができる。
【0022】
また、本発明によれば、情報収集や治療等に用いたシースをそのまま止血部材の供給等に用いることができるので、シース等の抜き変えを必要としていた従来に比べ、出血量が少なく、感染のおそれも減少し、患者の負担が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の医療器具セットを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本発明の医療器具セットの第1実施形態を示す側面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「基端」、下側を「先端」と言う。
【0025】
図1に示すように、本発明の医療器具セット1は、針管2と導入用シース3とを備える。針管2は、先端に鋭利な針先21が形成された管状の針管本体22と、針管本体22の基端部に接続されたハブ23とで構成されている。
【0026】
針管本体22の外径は、特に限定されず、例えば0.5〜2.0mm程度とされる。また、針管本体22の長さは、特に限定されず、例えば50〜100mm程度とされる。
【0027】
針管本体22の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム系合金、チタンまたはチタン系合金、銅または銅系合金等の各種金属材料や、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン等の比較的硬質な樹脂材料、その他各種セラミックス材料が挙げられる。
【0028】
ハブ23は、その内径および外径が基端方向に向かって漸増したテーパ管で構成されている。このハブ23には、チューブ類、各種コネクタ、血液のフラッシュバックを確認するため器具等が必要に応じ接続して用いられる。また、ハブ23自体を透明な材料で構成し、ハブ23自体で血液のフラッシュバックを確認できるようにすることもできる。
【0029】
ハブ23の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アイオノマー、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂材料、さらには、これらのうちの2種以上を組み合わせたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体)、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅系合金等の各種金属材料、その他各種セラミックス材料等が挙げられる。
【0030】
このような針管2は、針管本体22の生体への穿刺深さを示す穿刺深さ表示手段を有する。すなわち、針管本体22の外周面には、針管本体22の穿刺深さ、すなわち針管本体22の針先21の基端位置からの長さを示す目盛り(深度目盛り)24が形成されており、針管本体22を生体組織に穿刺したとき、目盛り24における生体表面に露出している部分の数字を読むことにより、針管本体22の穿刺深さを知ることができる。この目盛り24では、針先21の基端位置、すなわち針先21の孔が閉じた位置を「0」とし、基端方向に向かって等間隔で1ずつ増大している。なお、「0」の位置は、針先21の途中または先端であってもよい。
【0031】
針管本体22への目盛り24の形成方法は、特に限定されず、例えば、印刷、その他着色、変色、刻設、溶着が挙げられる。
【0032】
針管本体22の外周部には、リング状をなす指標(マーカ)25が装着されている。この指標25は、針管本体22に対しその長手方向に沿って移動可能に装着されている。この場合、指標25は、その自重を越える相当の外力を加えない限り、針管本体22の外周面に対する摩擦力により針管本体22上で静止状態(保持された状態)を維持する。すなわち、指標25は、指標25の自重により針管本体22に対し移動することはなく、さらには、ある程度の揺動、振動が加えられたとしても、針管本体22上で静止状態を維持する。これにより、針管本体22を生体に穿刺する際、指標25を指で押さえたりする必要がなく、操作性に優れる。
【0033】
指標25の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリウレタン、ポリアミド、天然ゴム、ブタジエンゴム等の弾性材料(エラストマー)またはこれらの多孔質体(発泡体)が挙げられる。指標25の形状もリング状に限定されず、例えばC字状や、その他任意の形状が可能である。
【0034】
図1中(a)は、生体への穿刺前の指標25の位置を示し、図1中(b)は、生体への穿刺後の指標25の位置を示す。図1中(a)に示す状態で、針管本体22をその針先21側から生体組織に穿刺してゆくと、指標25は生体表面(皮膚表面)13に当接し、生体表面13に押圧されて針管本体22の基端方向へ徐々に移動する。針管本体22を穿刺が停止(終了)すると、指標25の針管本体22に対する移動も停止する(図1中(b))。この状態で、指標25が指し示している目盛り24の数字を読むことにより、針管本体22の穿刺深さを知ることができる。このような指標25を有することにより、目盛り24の数字を読みやすいという利点がある。
【0035】
針管本体22を生体組織から抜き取った後も、指標25は、針管本体22に対する位置を維持しているため、針管本体22を抜き取った後でも、針管本体22の穿刺深さを確認することができる。
【0036】
本実施形態では、上述したような目盛り24および指標25により、穿刺深さ表示手段が構成されるが、目盛り24のみであってもよい。
【0037】
導入用シース3は、可撓性を有する管状のシース本体32と、シース本体32の基端部に接続(装着)されたハブ33とで構成されている。
【0038】
シース本体32の外径は、特に限定されず、例えば1.5〜4.0mm程度とされる。シース本体32の内径は、特に限定されず、例えば1.3〜3.8mm程度とされる。また、シース本体32の長さは、特に限定されず、例えば50〜150mm程度とされる。
【0039】
シース本体32の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、PTFE、ETFE等のフッ素系樹脂等の各種樹脂材料、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の各種熱可塑性エラストマー、シリコンゴム等の各種ゴム材料、さらには、これらのうちの2種以上を組み合わせたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体)が挙げられる。
【0040】
ハブ33は、その内径および外径が基端方向に向かって漸増したテーパ管で構成された部分と、外径がほぼ一定の管で構成された部分とを有している。ハブ33の基端開口からは、目的に応じ、カテーテル類(例えば、ガイドカテーテル、造影用カテーテル、バルーンカテーテル等の心臓用カテーテル、薬液投与用カテーテル)、内視鏡、ダイレータ(シース本体32内に挿入可能な先端がテーパ状に先細りしたチューブ状の器具)、ガイドワイヤ等の長尺な医療器具が挿入される。また、ハブ33の内部には、血液の逆流を防止する弁体が設置されていてもよい。
【0041】
ハブ23の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アイオノマー、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂材料、さらには、これらのうちの2種以上を組み合わせたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体)、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅系合金等の各種金属材料、その他各種セラミックス材料等が挙げられる。
【0042】
シース本体32の外周面には、シース本体32の生体への挿入深さ、すなわちシース本体32の先端31からの長さを示す目盛り(深度目盛り)34が形成されており、シース本体32が生体組織に挿入されている状態で、目盛り34における生体表面に露出している部分の数字を読むことにより、シース本体32の挿入深さを知ることができる。この目盛り34では、シース本体32の先端31の位置を「0」とし、基端方向に向かって等間隔で1ずつ増大している。
【0043】
シース本体32への目盛り34の形成方法は、特に限定されず、例えば、印刷、その他着色、変色、刻設、溶着が挙げられる。
【0044】
針管本体22に形成された目盛り24と、シース本体32に形成された目盛り34とは、同一スケール(縮尺が同じ)であるのが好ましく、特に、同一パターン(縮尺が同じでかつ目盛りの最小表示単位も同じ)の目盛りであるのがより好ましい。これにより、シース本体32の生体への穿刺深さの位置決めをより容易かつ正確に行うことができる。
【0045】
なお、本発明では、目盛り24と目盛り34は、同一スケールや同一パターンのものに限らず、両者が何らかの相関関係を持っているもの、すなわち、一方から他方を特定できるものであればよい。
【0046】
また、両目盛り24、34の最小表示単位は、それぞれ、「mm」表示とすることができるが、その他例えば、1mmの整数倍や任意の長さが可能である。
【0047】
次に、医療器具セット1の使用方法(作用)の一例について詳細に説明する。図3〜図6は、それぞれ、本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。以下、これらの図に基づき、操作手順を順次説明する。
【0048】
[1] まず、針管2を生体表面13から皮下組織14に穿刺する(図3参照)。このとき、針管2は、指標25が目盛り24における「0」の位置またはその近傍に位置するようにセットされている。
【0049】
[2] 図3に示す状態から、針管2を針先21より皮下組織14に穿刺し、徐々に深く刺してゆく。これに伴い、指標25は生体表面13に当接し、生体表面13に押圧されて針管本体22の基端方向へ徐々に移動する。
【0050】
図4に示すように、針先21が血管壁11を刺通して血管10内に挿入されると、血圧により血管10内の血液が針先21の開口より入り、針管本体22内を基端方向に流れ、ハブ23内に達する。例えばハブ23にフラッシュバック確認用の器具を接続しておくことにより、このような状態、すなわち、針先21が血管壁11を刺通して血管10内に挿入されたことを目視で確認することができる。
【0051】
[3] 血液のフラッシュバックを確認したら、針管2の進行を止め、それ以上深く穿刺しないようにするとともに、指標25が指し示す目盛り24を読み取る。図4に示す例では、指標25は、目盛り24の「3.5」を指している。なお、指標25を使用せず、生体表面13の位置の目盛り24を読み取ってもよい。
以上のようにして読み取られた目盛り24の値「3.5」を記憶しておく。
【0052】
[4] 以上のようにして血管10を確保している針管2を用い、セルジンガー法により、導入用シース3を挿入、留置する。以下、その手順を説明する。
【0053】
まず、針管2内に比較的短いガイドワイヤ(図示せず)を挿入し、先端方向へ進め、ガイドワイヤが針先21の開口から所定長さ突出させる。この状態で、ガイドワイヤを残したまま、針管2を生体から抜去する。
【0054】
次に、留置されているガイドワイヤに沿って導入用シース3を生体内に挿入してゆく。ここで、導入用シース3内には、前述したダイレータ(図示せず)を予め挿入しておき、このダイレータの内腔にガイドワイヤを挿入するようにして導入用シース3をダイレータごと生体内に挿入する。
【0055】
導入用シース3を先端方向へ徐々に進めると、その先端31(または先端31より突出するダイレータの先端部)が、針管2の穿刺により形成された血管10の穿刺孔12を押し広げ、さらに、先端31は、該穿刺孔12を越えて血管10内に入る。導入用シース3をさらに先端方向へ進め、所定の位置で停止する。
【0056】
導入用シース3の先端31が血管10の目的位置に到達したら、導入用シース3からダイレータおよびガイドワイヤを抜去する。これにより、導入用シース3は、血管10内に所望の位置で留置され、図5に示す状態となる。
【0057】
[5] ハブ33の基端開口より導入用シース3内に目的に応じたカテーテル類(図示せず)を挿入し、カテーテル類の先端部を導入用シース3の先端31より突出させ、必要な処置(治療、検査等)を行う。この処置としては、例えば、血液の吸引(サンプリング等の目的)、組織の採取、体温、血流量等の各種情報の収集、薬液、造影剤等の液体の投与、血管狭窄部の拡張治療、超音波画像診断等が挙げられる。
【0058】
処置が終了したら、導入用シース3を残したまま、導入用シース3からカテーテル類を抜去する。
【0059】
[6] 導入用シース3を基端方向へ引き、徐々に抜き取ってゆく。目盛り34が生体表面13から露出し始めたら、目盛り34の値に注目する。生体表面13の位置が指し示す目盛り34の値が「3.5」(前記工程[3]で記憶した目盛りの値と同じ値)となったら、導入用シース3の引き抜きを停止する。この状態で、導入用シース3は、その先端31が血管10の穿刺孔12の位置にほぼ一致するように位置決めされる(図6参照)。
【0060】
[7] 次に、位置決めがなされた導入用シース3を用いて、止血部材4を導入し、穿刺孔12を塞ぐ操作を行う。以下、その手順を図7〜図9に基づき説明する。
【0061】
導入用シース3の基端開口よりシース本体32内にプラグ状(短い棒状)の止血部材4を挿入し、該止血部材4を押し出し具5を用いて先端方向へ押し込み、シース本体32の先端部に位置させる(図7参照)。
【0062】
図7に示すように、押し出し具5は、シース本体32内に挿入可能なロッド(押し出し棒)51と、該ロッド51の基端に固着された円盤状の押圧操作部(指当て部)52とで構成されている。ロッド51は、押圧操作部52をハブ33の基端35に当接させたとき、ロッド51の先端がシース本体32の先端31とほぼ一致するような長さに設定されている(図8参照)。
【0063】
導入用シース3の基端開口より止血部材4を挿入し、次いで押し出し具5のロッド51を挿入し、止血部材4を徐々に先端方向へ押圧移動してゆく。ハブ33の基端35と押圧操作部52の先端面との距離Lが止血部材4の長さ(既知)と等しくなったとことで、押し出し具5による止血部材4の押圧を停止する(図7参照)。ロッド51の長さが前述したような長さに設定されているため、この状態で、止血部材4は、その先端がシース本体32の先端31とほぼ一致するように位置決めされる。従って、止血部材4の先端は、シース本体32の先端31とともに、穿刺孔12の位置にほぼ一致するように位置決めされる(図7参照)。
【0064】
なお、図示されていないが、ハブ33の基端35と押圧操作部52の先端面との距離L(すなわち、シース本体32に対する止血部材4の位置)を知るための手段として、例えばロッド51の表面に目盛りやマーカが形成されていてもよい。
【0065】
また、図示の構成では、止血部材4と押し出し具5は、導入用シース3内に直接挿入されているが、これに限らず、管体(図示せず)内に止血部材4と押し出し具5とが挿入されており、止血部材4と押し出し具5とをこの管体ごと導入用シース3内に挿入して用いるものでもよい。
【0066】
[8] 押し出し具5を先端方向へ押圧するとともに、導入用シース3を基端方向へ引く。押圧操作部52がハブ33の基端35に当接するまで押圧すると、止血部材4はシース本体32の先端開口から押し出され、穿刺孔12を塞ぐ(図8参照)。
【0067】
[9] 導入用シース3を押し出し具5ごと生体より抜き取る。これにより、皮下組織14に形成された穿刺孔も塞がれ、図9に示す状態となる。
【0068】
前記止血部材4としては、主に、水親和性物質で構成されているものが好ましく、血液等と接触して湿潤し、ゲル化する性質を有するものがより好ましい。これにより、止血部材4のゲル化物(塊状物)が穿刺孔12付近で膨潤、拡大して穿刺孔12を効率良く塞ぐとともに、止血部材4が基端方向へ押し戻されることを防止する効果が生じ、これらの相乗効果により血液の漏れを有効に阻止し、より高い止血効果が得られる。
【0069】
このような止血部材4としては、例えば、セルロース系高分子材料、コラーゲン、アルギン酸、キトサン等が挙げられる。
【0070】
セルロース系高分子材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシシメチルセルロース(HMC)、オキシセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等、またはこれらの塩(特に、ナトリウム、カリウム等の塩)が挙げられる。さらに、特開平10−77571号公報に記載された物質を用いることもできる。
【0071】
このような水親和性物質は、生体吸収性材料でもある。これにより、生体に挿入、充填した後、除去する必要がなくなる。
【0072】
このような材料で構成される止血部材4は、生体に挿入され、血液等の水分と接触して湿潤すると、ゲル化し、優れた止血機能を発揮する。
【0073】
<第2実施形態>
図2は、本発明の医療器具セットの第2実施形態を示す側面図である。図2中(a)は、生体への穿刺前のスケール部材26の位置を示し、図2中(b)は、生体への穿刺後のスケール部材26の位置を示す。以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態と相違する点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。また、図2中の上側を「基端」、下側を「先端」と言う。
【0074】
図2に示すように、第2実施形態の医療器具セット1は、針管2と導入用シース3とを備える。このうち、導入用シース3の構成は、第1実施形態と同様であり、針管2の構成が異なる。
【0075】
図2(a)、(b)に示すように、針管2は、先端に鋭利な針先21が形成された管状の針管本体22と、針管本体22の基端部に接続されたハブ23とで構成されている。そしてこの針管2は、穿刺深さ表示手段として、針管本体22に対しその長手方向に沿って移動可能に設置されたスケール部材26を備えている。
【0076】
スケール部材26は、例えば帯状をなす部材であり、その先端には、支持部材28が固着または一体形成されている。支持部材28には針管本体22が挿通されるガイド孔281が形成されおり、支持部材28は、針管本体22に沿って摺動する(図2(a)参照)。
【0077】
一方、ハブ23の先端部(針管本体22の基端部)には、スケール部材26を移動可能に支持する支持部材29が固着または一体形成されている。支持部材29にはスケール部材26が挿通されるガイド孔291が形成されおり、スケール部材26は、その長手方向に摺動する(図2(a)参照)。
【0078】
また、スケール部材26の先端には、支持部材29のガイド孔291を通過できないストッパー261が形成されている。スケール部材26を針管本体22に対し先端方向へ移動すると、ストッパー261が支持部材29に当接し、それ以上の移動が阻止される。ストッパー261が支持部材29に当接した状態では、支持部材28は針先21の先端に到達していない。これにより、スケール部材26が針管本体22から離脱することが防止される。
【0079】
支持部材28は、針管2を生体に穿刺する際に生体表面13に当接する当接部を構成し、支持部材29は、後述する目盛り27を指し示し、スケール部材26に対しその長手方向に沿って相対的に移動可能な指標を構成する。
【0080】
スケール部材26および支持部材28は、針管本体22の外周面とガイド孔281の内面との摩擦力およびスケール部材26の表面とガイド孔291の内面との摩擦力により、それらの自重を越える相当の外力を加えない限り、針管本体22に対する静止状態(保持された状態)を維持する。すなわち、スケール部材26および支持部材28は、自重により針管本体22に対し移動することはなく、さらには、ある程度の揺動、振動が加えられたとしても、針管本体22に対し静止状態を維持する。これにより、針管本体22を生体に穿刺する際、スケール部材26を指で押さえたりする必要がなく、操作性に優れる。
【0081】
なお、前記摩擦力(保持力)を得るために、スケール部材26を比較的摩擦の大きい材料で形成したり、ガイド孔281および/または291の内面に例えば粗面化処理や溝の形成等がなされていてもよい。
【0082】
スケール部材26の表面には、スケール部材26の長手方向に沿って前記目盛り24と同様の機能を果たす目盛り27が形成されている。この目盛り27は、生体に対する針管本体22の穿刺深さを示すものであるから、目盛りの数字は、前記目盛り24とは逆に、基端側から先端側に向かって順次大きくなるように付されている。
【0083】
スケール部材26に形成された目盛り27とシース本体32に形成された目盛り34との関係は、前記と同様である。
【0084】
スケール部材26、支持部材28、29、ストッパー261の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アイオノマー、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂材料、さらには、これらのうちの2種以上を組み合わせたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体)、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅系合金等の各種金属材料、その他各種セラミックス材料等が挙げられる。
【0085】
なお、本実施形態において、スケール部材26、支持部材28、29は、それぞれ、針管本体22に対し着脱自在に設置されていてもよい。
【0086】
次に、第2実施形態の医療器具セット1の使用方法(作用)の一例について説明する。図10および図11は、それぞれ、第2実施形態の医療器具セットの使用方法における針管の穿刺工程を示す図である。
【0087】
[1] まず、針管2を生体表面13から皮下組織14に穿刺する(図10参照)。このとき、スケール部材26は、指標である支持部材29が目盛り27における「1」またはそれ以下の任意の位置を指すようにセットされている。
【0088】
[2] 図10に示す状態から、針管2を針先21より皮下組織14に穿刺し、徐々に深く刺してゆく。これに伴い、支持部材28が生体表面13に当接し、生体表面13に押圧されて、スケール部材26が針管本体22の基端方向へ徐々に移動する。
【0089】
図11に示すように、針先21が血管壁11を刺通して血管10内に挿入されると、血圧により血管10内の血液が針先21の開口より入り、針管本体22内を基端方向に流れ、ハブ23内に達する。例えばハブ23にフラッシュバック確認用の器具を接続しておくことにより、このような状態、すなわち、針先21が血管壁11を刺通して血管10内に挿入されたことを目視で確認することができる。
【0090】
[3] 血液のフラッシュバックを確認したら、針管2の進行を止め、それ以上深く穿刺しないようにするとともに、支持部材(指標)29が指し示す目盛り27を読み取る。図11に示す例では、支持部材29は、目盛り27の「3.5」を指している。以上のようにして読み取られた目盛り27の値「3.5」を記憶しておく。
【0091】
なお、前記第1実施形態では、目盛り24の読み取りは、生体表面13付近で行うのに対し、本実施形態では、針管本体22の基端付近(生体表面13から相当距離離れた位置)で目盛り27を読み取るため、目盛り27の読み取りがより見やすいという利点がある。
以後は、前記第1実施形態で説明した工程[4]〜[9]と同様の工程を行う。
【0092】
<第3実施形態>
図12〜16は、本発明の第3実施形態を示す図である。第3実施形態は、第1実施形態における止血部材4が、水親和性物質ではなく、血管壁11の穿刺孔12をかしめて(挟持して)閉鎖するクリップ型の止血部材60である点で相違する。
【0093】
第3実施形態においては、前記第1実施形態における工程[6]〜[9]を以下の通り変更することができる。
【0094】
[6’] 先端が血管10内に位置している状態の導入用シース3に対し、ロッド(押し出し棒)65の先端にクリップ状の止血部材(クリップ型止血部材)60を有する止血装置6を用意する。止血部材60は、枠状をなす変形可能な変形部61と扁平形状のシール部62とが連結・一体化されたものである。変形部61には糸63が架け回されており、この糸63は変形部61の先端部外側において結び目64を形成するとともに、その一端部がロッド65内に挿通されている。
【0095】
この止血装置6を導入用シース3の基端開口より挿入し、導入用シース3の先端から止血部材60のシール部62を突出させる(図12参照)。
【0096】
[7’] 導入用シース3を固定したまま止血装置6を基端方向へ僅かに引き、止血部材60のシール部62を導入用シース3の先端に密着させ、シール部62を導入用シース3の軸方向とほぼ垂直な姿勢にする。次いで、導入用シース3を基端方向に徐々に引いていく。すると、止血部材60のシール部62が血管壁11に当接して止まる(図13参照)。
【0097】
この状態で、導入用シース3に設けられた目盛り34を確認する。生体表面13の位置が指し示す目盛り34の値が「3.5」(前記工程[3]で記憶した値と同じ値)であれば、シール部62は正しく血管壁11に当接していると判断することができるので、次の作業に移る。
【0098】
ここで、生体表面13の位置が指し示す目盛り34の値が「3.5」よりも大きかった場合には、シール部62は血管壁11ではない別の部分(例えば、血管内の分岐部等)に引っかかっている可能性がある。また逆に、生体表面13の位置が指し示す目盛り34の値が「3.5」より小さかった場合には、シール部62が血管壁11に形成された穿刺孔12を通り抜けてしまっている可能性がある。いずれの場合も、シール部62が適正な位置に位置決めされなかったこととなる。
【0099】
このように、シール部62が適正な位置に位置決めされなかったと判断された場合には、手技を中断し、止血部材60を回収する作業を行う。
【0100】
[8’] シール部62が適正に位置決めされたと判断された場合(読み取られた目盛り34の値が「3.5」であった場合)には、止血装置6を固定したまま、止血部材60全体が導入用シース3の先端から押し出されるまで導入用シース3を基端方向へ引く(図14参照)。
【0101】
次いで、ロッド65を先端方向へ押し、糸63の結び目64を先端方向へ移動させることにより変形部61を変形させる。これにより、変形部61とシール部62とで血管壁11が挟持(クリッピング)され、穿刺孔12が塞がれる(図15参照)。結び目64は、糸63の基端方向へは戻らず、よって、変形部61の変形状態(すなわち止血部材60の挟持力)は、変形部61の先端と基端との間に張られた糸63の張力によって保持される。なお、止血部材60の挟持力は、血液の漏れを生じることなく穿刺孔12を塞ぐことができる程度であればよい。
【0102】
[9’] 糸63を結び目64付近で切断することにより止血装置6から止血部材60を分離する。そして、導入用シース3を止血装置6ごと生体より抜き取る(図16参照)。
【0103】
なお、上記で用いたクリップ型止血部材60の好ましい構成材料としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノンや、それらの共重合体、複合体等の生分解性樹脂(生体吸収性材料)が挙げられる。このような材料を用いることにより、止血部材60は、生体中で所定時間経過後、分解、吸収されるので、好ましい。
【0104】
また、クリップ型止血部材60の形状、構造、特に挟持力を保持する機構は、上述したものに限定されないことは言うまでもない。
【0105】
以上、本発明の医療器具セットを、図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものと置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や機能が付加されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の医療器具セットの第1実施形態を示す側面図である。
【図2】本発明の医療器具セットの第2実施形態を示す側面図である。
【図3】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図4】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図5】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図6】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図7】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図8】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図9】本発明の医療器具セットの第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図10】本発明の医療器具セットの第2実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図11】本発明の医療器具セットの第2実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図12】本発明の医療器具セットの第3実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図13】本発明の医療器具セットの第3実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図14】本発明の医療器具セットの第3実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図15】本発明の医療器具セットの第3実施形態の使用方法を説明するための図である。
【図16】本発明の医療器具セットの第3実施形態の使用方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0107】
1 医療器具セット
2 針管
21 針先
22 針管本体
23 ハブ
24 目盛り
25 指標
26 スケール部材
261 ストッパー
27 目盛り
28 支持部材
281 ガイド孔
29 支持部材
291 ガイド孔
3 導入用シース
31 先端
32 シース本体
33 ハブ
34 目盛り
35 基端
4 止血部材
5 押し出し具
51 ロッド(押し出し棒)
52 押圧操作部
6 止血装置
60 止血部材(クリップ型)
61 変形部
62 シール部
63 糸
64 結び目
65 ロッド
10 血管
11 血管壁
12 穿刺孔
13 生体表面
14 皮下組織
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針管本体を有する針管と、管状のシース本体を有する導入用シースとを備える医療器具セットであって、
前記針管は、前記針管本体の生体への穿刺深さを示す穿刺深さ表示手段を有し、
前記導入用シースは、前記シース本体の外周面に前記シース本体の生体への挿入深さを示す目盛りを有することを特徴とする医療器具セット。
【請求項2】
前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体の外周面に形成された目盛りである請求項1に記載の医療器具セット。
【請求項3】
前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体に対しその長手方向に沿って移動可能に設置され、生体表面に当接する指標を有する請求項2に記載の医療器具セット。
【請求項4】
前記指標は、その自重によるも前記針管本体に対し移動しない程度の保持力で前記針管本体に対し保持されている請求項3に記載の医療器具セット。
【請求項5】
前記穿刺深さ表示手段は、目盛りが形成され、前記針管本体に対しその長手方向に沿って移動可能に設置された部材である請求項1に記載の医療器具セット。
【請求項6】
前記部材の先端部に、生体表面に当接する当接部を有する請求項5に記載の医療器具セット。
【請求項7】
前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体の基端部に設置され、前記部材に対しその長手方向に相対的に移動可能な指標を有する請求項5または6に記載の医療器具セット。
【請求項8】
前記部材は、その自重によるも前記針管本体に対し移動しない程度の保持力で前記針管本体に対し保持されている請求項5ないし7のいずれかに記載の医療器具セット。
【請求項9】
前記導入用シースの目盛りと、前記穿刺深さ表示手段の目盛りとは、同一スケールである請求項2ないし8のいずれかに記載の医療器具セット。
【請求項10】
前記導入用シースは、血管に穿刺して用いられ、当該血管の穿刺孔を塞ぐための止血部材を前記穿刺孔に供給するものである請求項1ないし9のいずれかに記載の医療器具セット。
【請求項11】
前記導入用シース内に挿入して使用され、前記止血部材を押し出す押し出し具を備える請求項10に記載の医療器具セット。
【請求項1】
針管本体を有する針管と、管状のシース本体を有する導入用シースとを備える医療器具セットであって、
前記針管は、前記針管本体の生体への穿刺深さを示す穿刺深さ表示手段を有し、
前記導入用シースは、前記シース本体の外周面に前記シース本体の生体への挿入深さを示す目盛りを有することを特徴とする医療器具セット。
【請求項2】
前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体の外周面に形成された目盛りである請求項1に記載の医療器具セット。
【請求項3】
前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体に対しその長手方向に沿って移動可能に設置され、生体表面に当接する指標を有する請求項2に記載の医療器具セット。
【請求項4】
前記指標は、その自重によるも前記針管本体に対し移動しない程度の保持力で前記針管本体に対し保持されている請求項3に記載の医療器具セット。
【請求項5】
前記穿刺深さ表示手段は、目盛りが形成され、前記針管本体に対しその長手方向に沿って移動可能に設置された部材である請求項1に記載の医療器具セット。
【請求項6】
前記部材の先端部に、生体表面に当接する当接部を有する請求項5に記載の医療器具セット。
【請求項7】
前記穿刺深さ表示手段は、前記針管本体の基端部に設置され、前記部材に対しその長手方向に相対的に移動可能な指標を有する請求項5または6に記載の医療器具セット。
【請求項8】
前記部材は、その自重によるも前記針管本体に対し移動しない程度の保持力で前記針管本体に対し保持されている請求項5ないし7のいずれかに記載の医療器具セット。
【請求項9】
前記導入用シースの目盛りと、前記穿刺深さ表示手段の目盛りとは、同一スケールである請求項2ないし8のいずれかに記載の医療器具セット。
【請求項10】
前記導入用シースは、血管に穿刺して用いられ、当該血管の穿刺孔を塞ぐための止血部材を前記穿刺孔に供給するものである請求項1ないし9のいずれかに記載の医療器具セット。
【請求項11】
前記導入用シース内に挿入して使用され、前記止血部材を押し出す押し出し具を備える請求項10に記載の医療器具セット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−175070(P2006−175070A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372239(P2004−372239)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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