説明

半導体回路設計プログラム、半導体回路設計装置および半導体回路

【課題】低消費電力、省回路サイズとともにレイアウトが容易な半導体回路を設計する。
【解決手段】半導体回路設計装置100は、設計対象回路111の構成が記述されたネットリスト110を取得し、取得されたネットリスト110に含まれるフリップ・フロップと、当該フリップ・フロップ外のトランジスタとを抽出する。さらに、抽出されたフリップ・フロップを、当該フリップ・フロップよりも入出力ビット数の大きなフリップ・フロップとなるように所定数ごとに統合する。そして、統合後のフリップ・フロップの数と、抽出されたトランジスタの数との比率を算出し、この比率に応じた統合後のフリップ・フロップとトランジスタとを基本ブロックとする半導体回路121の設計データ120を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体回路を設計する半導体回路設計プログラムおよび半導体回路設計装置と、設計された半導体回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、多様かつ複雑化した半導体回路の設計に対応するため、ゲートアレイ(Gate Arrays:以下「G/A」という)やエンベデッドアレイ(Embedded Arreys:以下「E/A」という)など様々なASICが提供されている。G/Aは、多数のトランジスタを形成したウェハから構成されており、ウェハより上の配線層のみユーザが設計する方式のASICである。また、E/Aは、セルベースICのウェハ製造と、回路設計とを平行しておこなう方式のASICである(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
G/A、E/Aいずれの場合も設計期間や製造工程の短縮が期待できるという特徴を備えているが、その反面、半導体回路を構成するFFやその他のトランジスタの素子の配置がパターン化されているため、設計内容によっては冗長な素子を含んだ構成となってしまう可能性もあった。そこで、近年は、設計内容により柔軟に対応可能なASICとしてスタンダードセル(Standard Cells:以下「S/C」という)が提供され広く用いられている(たとえば、下記特許文献2参照。)。
【0004】
S/Cの場合、白紙状態のウェハに、あらかじめ用意されたマクロセルを配置・配線することができる。また、S/Cは、G/AやE/Aよりも集積度、回路速度が優れるため、面積を縮小することができる。一方でS/Cは、上述のような自由度を実現するためにウェハの拡散層から製造されるため、G/AやE/Aに比べて製造工程や、開発費が多くなる傾向にある。したがって、半導体回路設計者は、半導体回路の設計内容や、用途、開発費用などの設計環境を考慮して最適な手法を利用していた。
【0005】
【特許文献1】特開2004−13205号公報
【特許文献2】米国特許第6242767号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のように、G/AやE/Aによって設計された半導体回路を製造した場合、同等の機能を備えたS/Cによって設計された半導体回路と比較して消費電力が大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
また、上記特許文献2のようなS/Cを利用する場合、設計された半導体回路はブロック単位ごとに一定量のフリップ・フロップが埋め込まれた構成となる。したがって、半導体回路に含まれる論理回路の構成内容によっては、FFが過剰もしくは不足してしまうことがある。このような状況を解消するには、結局冗長なレイアウトの半導体回路となり、非効率な回路構成になってしまうという問題があった。
【0008】
また、近年は、半導体回路の微細化が進んでいるため、いずれの方式の場合であっても半導体回路製造時の製造ばらつきが大きくなってしまうという問題があった。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、低消費電力、省回路サイズであるとともにレイアウトが容易な半導体回路を設計する半導体回路設計プログラム、半導体回路設計装置および半導体回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この半導体回路設計プログラムおよび半導体回路設計装置は、設計対象となる半導体回路に関するネットリストを取得し、前記取得されたネットリストに含まれるフリップ・フロップと、当該フリップ・フロップ外のトランジスタとを抽出し、前記抽出されたフリップ・フロップを、当該フリップ・フロップよりも入出力ビット数の大きなフリップ・フロップとなるように所定数ごとに統合し、前記統合後のフリップ・フロップの数と、前記抽出されたトランジスタの数との比率を算出し、前記算出された比率に応じた前記統合後のフリップ・フロップと前記トランジスタとを基本ブロックとする前記半導体回路の設計データを生成する処理を備えることを要件とする。
【0011】
この半導体回路設計プログラムおよび半導体回路設計装置によれば、ネットリストに記述されたフリップ・フロップをよりビット数の多いフリップ・フロップに統合するため、設計対象となる半導体回路に含まれるフリップ・フロップ数を削減することができる。さらに、統合後のフリップ・フロップ数と、トランジスタ数との比率に基づいて基本ブロックを設定するため、必要最低限のフリップ・フロップ数によって構成された半導体回路を設計することができる。
【0012】
また、上記の半導体回路設計プログラムおよび半導体回路設計装置は、1個の前記統合後のフリップ・フロップと前記比率のトランジスタとを基本ブロックとしてもよい。
【0013】
この半導体回路設計プログラムおよび半導体回路設計装置によれば、1個のフリップ・フロップ(統合後のフリップ・フロップ)と上述のように算出した比率に基づいて個数のトランジスタとからなる基本ブロックによって半導体回路の設計データを生成することができる。
【0014】
また、上記の半導体回路設計プログラムおよび半導体回路設計装置は、前記統合後のフリップ・フロップと前記トランジスタとの配置が同一の基本ブロック群を用いて、前記設計データを生成してもよい。
【0015】
この半導体回路設計プログラムおよび半導体回路設計装置によれば、同一の基本ブロックのみによって前記半導体回路が構成されるような設計データを生成することができる。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するため、この半導体回路は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体回路設計プログラムによって生成された設計データにより製造された半導体回路である。
【0017】
この半導体回路は、算出結果に応じた所定の比率でフリップ・フロップとフリップ・フロップ外のトランジスタとが配置された基本ブロック群によってネットリストに記述された機能を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
この半導体回路設計プログラム、半導体回路設計装置および半導体回路によれば、低消費電力、省回路サイズであるとともにレイアウトが容易な半導体回路を設計し、提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この半導体回路設計プログラム、半導体回路設計装置および半導体回路の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
(半導体回路設計処理の概要)
まず、本実施の形態にかかる半導体回路設計処理の概要について説明する。図1は、本実施の形態にかかる半導体回路設計処理の概要を示す説明図である。図1のように、本実施の形態では、半導体回路設計装置100によって設計対象回路111の設計データ120を生成する。図1では汎用の情報処理装置に半導体回路設計プログラム101を実行させることによって半導体回路設計装置100を実現している。なお、図1のような形態に限らず、後述する機能部を備えた装置を半導体回路設計装置100として特化して提供してもよい。
【0021】
半導体回路設計処理の手順としては、まず、従来の半導体回路設計と同様に、設計対象回路111のネットリスト110を取得する。そして、半導体回路設計装置100は、取得したネットリスト110の記述から設計対象回路111を構成するフリップ・フロップ(以下「FF」という)とFF外のトランジスタを抽出する。
【0022】
ここで、ネットリスト110とは、設計対象回路111における端子間の接続情報をあらわしたデータである。また、FF外のトランジスタとは、設計対象回路111に含まれるFFを構成するトランジスタ以外のトランジスタをあらわす。
【0023】
抽出されたFFは、よりビット数の大きなFFに統合される。統合をおこなうには、まず、ネットリスト110に記述されたFFが、入出力が1ビットの1ビットFFであれば、この1ビットFFを入出力が2ビットのFFや、4ビットのFFなどに変換する。そしてこれら変換後のFFをさらに入出力ビット数に対応したFF数ごとにまとめることによってFFが統合されたこととなる。
【0024】
具体的には、たとえば、抽出されたFFが1ビットのFFであれば、これらの1ビットのFFを2ビットのFFに統合する場合には、2つのFFの入出力を1つの2ビットのFFに変換することによって統合をおこなう。同様に、1ビットのFF4個であれば、4ビットのFFに統合してもよいし、2ビットのFF2個であれば4ビットのFFに統合してもよい。
【0025】
なお、上述のようなFFの統合の際に、抽出したFFを変換するFFのビット数は、あらかじめ設定されたビット数のFFに統合するようにしてもよいし、半導体回路設計処理の際に設計者がどのようなビット数のFFに統合するかを設計条件に応じて適宜選択するようにしてもよい。いずれの場合であっても、1つのネットリスト110があらわす設計対象回路111において、FFの統合の際に用いるFFは、ビット数を統一させる必要がある。
【0026】
半導体回路設計装置100では、FFを統合後、設計対象回路111におけるFF(統合後)とトランジスタの数とを比較し、比率を算出する。さらに、算出された比率に基づいて基本ブロック122を設定する。そして、この基本ブロック122を用いて設計対象回路111の設計データ120を生成する。
【0027】
この設計データ120によって製造された半導体回路121は、基本ブロック122の集合によって構成される。すなわち、半導体回路121の製造をおこなうには、一定の比率で配置されたFF(黒ブロック)とトランジスタ(白ブロック)とからなる、同一の基本ブロック122を製造すればよい。したがって、同一のパターン製造の繰り返しとなるため、製造ばらつきを抑えることができる。
【0028】
このように、本実施の形態では、ネットリスト110からFFを統合した基本ブロック122を設定し、この基本ブロック122を用いて設計対象回路111の設計データ120を生成するため、必要最低限のFFによって構成された半導体回路121を製造することができる。したがって、従来のASICのように半導体回路121においてFFが余剰に配置されることによって生じる面積増や、消費電力増を防ぐこともできる。
【0029】
以下、上述した半導体回路設計処理を実現するための具体的な装置構成および処理内容について具体的に説明する。
【0030】
(半導体回路設計装置のハードウェア構成)
まず、本実施の形態にかかる半導体回路設計装置100のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施の形態にかかる半導体回路設計装置のハードウェア構成を示す説明図である。
【0031】
図2において、半導体回路設計装置100は、コンピュータ本体210と、入力装置220と、出力装置230と、から構成されており、不図示のルータやモデムを介してLAN、WANやインターネットなどのネットワーク240に接続可能である。
【0032】
コンピュータ本体210は、CPU、メモリ、インターフェースを有する。CPUは、半導体回路設計装置100の全体の制御を司る。メモリは、ROM、RAM、HD、光ディスク211、フラッシュメモリから構成される。メモリはCPUのワークエリアとして使用される。
【0033】
また、メモリには各種プログラムが格納されており、CPUからの命令に応じてロードされる。HDおよび光ディスク211はディスクドライブによりデータのリード/ライトが制御される。また、光ディスク211およびフラッシュメモリはコンピュータ本体210に対し着脱自在である。インターフェースは、入力装置220からの入力、出力装置230への出力、ネットワーク240に対する送受信の制御をおこなう。
【0034】
また、入力装置220としては、キーボード221、マウス222、スキャナ223などがある。キーボード221は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力をおこなう。また、タッチパネル式であってもよい。マウス222は、カーソルの移動や範囲選択、あるいはウィンドウの移動やサイズの変更などをおこなう。スキャナ223は、画像を光学的に読み取る。読み取られた画像は画像データとして取り込まれ、コンピュータ本体210内のメモリに格納される。なお、スキャナ223にOCR機能を持たせてもよい。
【0035】
また、出力装置230としては、ディスプレイ231、スピーカ232、プリンタ233などがある。ディスプレイ231は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。スピーカ232は、効果音や読み上げ音などの音声を出力する。また、プリンタ233は、画像データや文書データを印刷する。
【0036】
(半導体回路設計装置の機能的構成)
つぎに、半導体回路設計装置100の機能的構成について説明する。図3は、半導体回路設計装置の機能的構成を示すブロック図である。図3において、半導体回路設計装置100は、取得部301と、抽出部302と、統合部303と、算出部304と、生成部305と、を備えている。これら各機能301〜305は、半導体回路設計装置100の記憶部に記憶された当該機能301〜305に関するプログラムをCPUに実行させることにより、または、入出力I/Fにより、当該機能を実現することができる。
【0037】
まず、取得部301は、設計対象回路111の構成が記述されたネットリスト110を取得する。取得部301は、コンピュータ本体210(図2参照)のメモリから設計者があらかじめ格納したネットリスト110を取得してもよいし、入力装置220やネットワーク240からあらたに取得してもよい。
【0038】
抽出部302は、取得部301によって取得されたネットリスト110に含まれるFFと、FF外のトランジスタとをそれぞれ抽出する。この抽出処理によって、設計対象回路111にどのようなビット数のFFと、トランジスタとが配置されているかを集計することができる。
【0039】
統合部303は、抽出部302によって抽出されたFFを、所定数ごとにFFよりも入出力ビット数の大きなFFとなるように統合する。上述したように抽出部302によって設計対象回路111にどのようなビット数のFFがいくつ配置されているか集計されている。したがって、FFの総数とビット数とに基づいて何個ごとのFFに統合できるかを判断し、抽出したFFを所定数ごとにビット数の大きなFFとして統合する。
【0040】
算出部304は、統合部303による統合後のFFの数と、抽出部302によって抽出されたトランジスタの数との比率を算出する。このとき、さらに算出部304は、統合部303による統合後のFFの数と、抽出部302によって抽出されたトランジスタの数とから、統合後のFF1個あたりのトランジスタの割合を比率として算出してもよい。
【0041】
生成部305は、算出部304によって算出された比率に応じた統合後のFFとトランジスタとを基本ブロック122とする半導体回路121の設計データ120を生成する。設計データ120は、図1に示したように、FFとトランジスタとの配置が同一の基本ブロック122群によって半導体回路121が実現されるように構成されている。
【0042】
なお、上述したように、算出部304によって統合後のFF1個あたりのトランジスタの割合を比率として算出した場合、生成部305は、1個のFF(統合後のFF)と、比率の応じた個数のトランジスタとが配置された基本ブロック122を用いて、設計データ120を生成する。
【0043】
(半導体回路設計処理の手順)
つぎに、半導体回路設計装置100による半導体回路設計処理の手順について説明する。図4は、半導体回路設計装置における半導体回路設計処理の手順を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、まず、ネットリスト110を取得する(ステップS401)。
【0044】
つぎに、ネットリスト110の記述内容からFFとトランジスタとを抽出する(ステップS402)。なお、このステップS402において抽出するトランジスタとは、上述したように、設計対象回路111を構成する半導体素子のうち、FF以外のトランジスタを意味する。
【0045】
図5は、取得したネットリストの等価回路を示す回路図である。図5の等価回路111aは、ネットリスト110の記述内容あらわしている。ネットリスト110の記述では、設計対象回路111は、FF501〜FF504の4個の1ビットFFを配置した構成となっている。そこで、統合部303によってこれら抽出したFFをビット数の大きなFFに統合する(ステップS403)。
【0046】
図6は、FF統合後のネットリストの等価回路を示す回路図である。図6の等価回路111bは、ステップS403によるFFの統合処理後の変換されたネットリスト110の記述内容をあらわしている。ここでは、4個の1ビットFFが1個の4ビットFF601に統合されている。
【0047】
ステップS403の統合が完了すると、続いて、算出部304によって統合後のFFとトランジスタとの比率を算出する(ステップS404)。そして、算出された比率から基本ブロック122を設定する(ステップS405)。基本ブロック122の設定がおこなわれると、最後に、生成部305において、基本ブロック122によって構成された半導体回路121の設計データ120を生成し(ステップS406)、一例の処理を終了する。
【0048】
このように、本実施の形態にかかる半導体回路設計処理では、ネットリスト110の記述に応じた基本ブロック122を設定し、基本ブロック122によって構成された効率的な半導体回路を設計することができる。特に、基本ブロック122を設定する際に、FFの統合をおこなっているため、半導体回路121のセル面積を格段に縮小することができる。
【0049】
図7は、設計対象回路のセル面積のサイズ比較を示す説明図である。図7のように、ネットリスト110の記述から1ビットFFとFF外のトランジスタとのセル面積を比較するとブロック710のような比率(F(FF):T(トランジスタ))になる。したがって、図5に示した等価回路111aの機能を実現するには、最低でもブロック710×4のセル面積となり、ブロック720のような比率になる。
【0050】
一方、本実施の形態では、複数のFFをビット数の大きなFFに統合する処理が含まれている。たとえば、図5のように、4個の1ビットFFを1個の4ビットFFに統合した場合、FF部分のセル面積が1/4に統合され、ブロック730のような比率となる。FF統合前のブロック720と、FF統合後のブロック730との面積比較から明らかなように、FFの統合によって半導体回路121のセル面積が大きく削減されることとなる。
【0051】
このように、本実施の形態にかかる半導体回路設計処理によって設計された半導体回路121は、必要最低限のFFとトランジスタとによって構成可能であるため、余剰なFFを配置することによって生じる消費電力を削減することができる。
【0052】
また、本実施の形態にかかる半導体回路設計処理によって設計された半導体回路121の場合、ネットリスト110から抽出したFFをよりビット数の大きなFFに統合しているため、FF数を大幅に減少させることもできる。
【0053】
さらに、本実施の形態にかかる半導体回路設計処理では、ネットリスト110から抽出したFFに基づいて基本ブロック122を設定しているため、冗長なレイアウトを必要とせず、効率的な回路構成を実現することができる。加えて、回路製造時には、同一構成の基本ブロック122の製造が繰り返されるため、回路製造時の製造ばらつきを最小限に留めることができる。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態によれば、消費電力、省回路サイズであるとともにレイアウトが容易な半導体回路を設計し、提供することができる。
【0055】
なお、本実施の形態で説明した半導体回路設計処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な媒体であってもよい。
【0056】
また、本実施の形態で説明した半導体回路設計装置100は、スタンダードセルやストラクチャードASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定用途向けIC(以下、単に「ASIC」という。)やFPGAなどのPLD(Programmable Logic Device)によっても実現することができる。具体的には、たとえば、上述した半導体回路設計装置100の機能301〜305をHDL記述によって機能定義し、そのHDL記述を論理合成してASICやPLDに与えることにより、半導体回路設計装置100を製造することができる。
【0057】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0058】
(付記1)設計対象となる半導体回路に関するネットリストを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得されたネットリストに含まれるフリップ・フロップと、当該フリップ・フロップ外のトランジスタとを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出されたフリップ・フロップを、当該フリップ・フロップよりも入出力ビット数の大きなフリップ・フロップとなるように所定数ごとに統合する統合手段と、
前記統合手段による統合後のフリップ・フロップの数と、前記抽出手段によって抽出されたトランジスタの数との比率を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された比率に応じた前記統合後のフリップ・フロップと前記トランジスタとを基本ブロックとする前記半導体回路の設計データを生成する生成手段と、
をコンピュータにおこなわせることを特徴とする半導体回路設計プログラム。
【0059】
(付記2)前記生成手段は、1個の前記統合後のフリップ・フロップと前記比率のトランジスタとを基本ブロックとすることを特徴とする付記1に記載の半導体回路設計プログラム。
【0060】
(付記3)前記生成手段は、前記統合後のフリップ・フロップと前記トランジスタとの配置が同一の基本ブロック群を用いて、前記設計データを生成することを特徴とする付記1または2に記載の半導体回路設計プログラム。
【0061】
(付記4)設計対象となる半導体回路に関するネットリストを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得されたネットリストに含まれるフリップ・フロップと、当該フリップ・フロップ外のトランジスタとを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出されたフリップ・フロップを、当該フリップ・フロップよりも入出力ビット数の大きなフリップ・フロップとなるように所定数ごとに統合する統合手段と、
前記統合手段による統合後のフリップ・フロップの数と、前記抽出手段によって抽出されたトランジスタの数との比率を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された比率に応じた前記統合後のフリップ・フロップと前記トランジスタとを基本ブロックとする前記半導体回路の設計データを生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする半導体回路設計装置。
【0062】
(付記5)前記生成手段は、1個の前記統合後のフリップ・フロップと前記比率のトランジスタとを基本ブロックとすることを特徴とする付記4に記載の半導体回路設計装置。
【0063】
(付記6)前記生成手段は、前記統合後のフリップ・フロップと前記トランジスタとの配置が同一の基本ブロック群を用いて、前記設計データを生成することを特徴とする付記4または5に記載の半導体回路設計装置。
【0064】
(付記7)設計対象となる半導体回路に関するネットリストを取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得されたネットリストに含まれるフリップ・フロップと、当該フリップ・フロップ外のトランジスタとを抽出する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出されたフリップ・フロップを、当該フリップ・フロップよりも入出力ビット数の大きなフリップ・フロップとなるように所定数ごとに統合する統合工程と、
前記統合工程による統合後のフリップ・フロップの数と、前記抽出工程によって抽出されたトランジスタの数との比率を算出する算出工程と、
前記算出工程によって算出された比率に応じた前記統合後のフリップ・フロップと前記トランジスタとを基本ブロックとする前記半導体回路の設計データを生成する生成工程と、
を含むことを特徴とする半導体回路設計方法。
【0065】
(付記8)付記1〜3のいずれか一つに記載の半導体回路設計プログラムによって生成された設計データにより製造された半導体回路。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施の形態にかかる半導体回路設計処理の概要を示す説明図である。
【図2】本実施の形態にかかる半導体回路設計装置のハードウェア構成を示す説明図である。
【図3】半導体回路設計装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】半導体回路設計装置における半導体回路設計処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】取得したネットリストの等価回路を示す回路図である。
【図6】FF統合後のネットリストの等価回路を示す回路図である。
【図7】設計対象回路のセル面積のサイズ比較を示す説明図である。
【符号の説明】
【0067】
100 半導体回路設計装置
110 ネットリスト
111 設計対象回路
120 設計データ
121 半導体回路
210 コンピュータ本体
220 入力装置
230 出力装置
301 取得部
302 抽出部
303 統合部
304 算出部
305 生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計対象となる半導体回路に関するネットリストを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得されたネットリストに含まれるフリップ・フロップと、当該FF外のトランジスタとを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出されたフリップ・フロップを、当該フリップ・フロップよりも入出力ビット数の大きなフリップ・フロップとなるように所定数ごとに統合する統合手段と、
前記統合手段による統合後のフリップ・フロップの数と、前記抽出手段によって抽出されたトランジスタの数との比率を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された比率に応じた前記統合後のフリップ・フロップと前記トランジスタとを基本ブロックとする前記半導体回路の設計データを生成する生成手段と、
をコンピュータにおこなわせることを特徴とする半導体回路設計プログラム。
【請求項2】
前記生成手段は、1個の前記統合後のフリップ・フロップと前記比率のトランジスタとを基本ブロックとすることを特徴とする請求項1に記載の半導体回路設計プログラム。
【請求項3】
前記生成手段は、前記統合後のフリップ・フロップと前記トランジスタとの配置が同一の基本ブロック群を用いて、前記設計データを生成することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体回路設計プログラム。
【請求項4】
設計対象となる半導体回路に関するネットリストを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得されたネットリストに含まれるフリップ・フロップと、当該フリップ・フロップ外のトランジスタとを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出されたフリップ・フロップを、当該フリップ・フロップよりも入出力ビット数の大きなフリップ・フロップとなるように所定数ごとに統合する統合手段と、
前記統合手段による統合後のフリップ・フロップの数と、前記抽出手段によって抽出されたトランジスタの数との比率を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された比率に応じた前記統合後のフリップ・フロップと前記トランジスタとを基本ブロックとする前記半導体回路の設計データを生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする半導体回路設計装置。
【請求項5】
前記生成手段は、1個の前記統合後のフリップ・フロップと前記比率のトランジスタとを基本ブロックとすることを特徴とする請求項4に記載の半導体回路設計装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記統合後のフリップ・フロップと前記トランジスタとの配置が同一の基本ブロック群を用いて、前記設計データを生成することを特徴とする請求項4または5に記載の半導体回路設計装置。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体回路設計プログラムによって生成された設計データにより製造された半導体回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−199153(P2009−199153A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37448(P2008−37448)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】