説明

半導体封止用エポキシ樹脂組成物

【課題】優れた難燃性とともに、流動性が良好な封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、及び、中心部のメラミン樹脂を無機酸化物で被覆し、更にその無機酸化物の外側を外層部のメラミン樹脂で被覆してなる複合粒子を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物は優れた難燃性及び流動性を示す。前記樹脂組成物は前記無機充填材を樹脂組成物中に90重量%未満配合することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は半導体装置の封止に用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物に関するものであり、特に詳しくは難燃性及び流動性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子部品・半導体装置などの封止用樹脂組成物には、その取り扱い及び機械的物性の高さからエポキシ樹脂が多用されている。このような封止用樹脂組成物に難燃性を付与するためには、従来ハロゲンや三酸化アンチモンを添加する手法が用いられてきた。
【0003】
しかしながら昨今の産業廃棄物中に含まれるハロゲン・アンチモンなどの物質が環境負荷物質として規制される傾向にあり、世界的に法制化される動きがあり、それに伴いハロゲンや三酸化アンチモン以外の物質を難燃剤として添加することが求められ、新たにリンやリン化合物、或いは金属水酸化物などが上記に代わる難燃剤として広く検討されている。
【0004】
しかし、ハロゲン・アンチモンフリーの半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、難燃性試験UL94でV−0の高い難燃性を満たすためには無機充填材(フィラー)の量を90重量%以上とするか、もしくはリンや、金属水酸化物などを難燃剤として添加する必要があった。
【0005】
一方、半導体封止用ではないが、一般にメラミン樹脂を添加することにより難燃効果が得られることは判っており、中心部のメラミン樹脂の表面をシリカなどの無機酸化物で被覆した粒子も難燃付与剤として検討されてきている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−327036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1のような粒子を半導体封止用のエポキシ樹脂組成物の難燃性の成分として配合すると、流動性が不足して半導体封止のためのパッケージなどを成型する際の成型性が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は上記のような半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、難燃性及び流動性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はエポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、及び、中心部のメラミン樹脂が無機酸化物で被覆され、更にその無機酸化物の外側を外層部のメラミン樹脂で被覆されてなる複合粒子を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物とすることにより、難燃性と優れた流動性を両立したものである。
【0009】
本発明は上記の樹脂組成物とすることにより、無機充填材を樹脂組成物中、90重量%未満、さらには75重量%以下で配合しても難燃性を十分に確保することができる。
【0010】
また、本発明の前記複合粒子の前記外層部のメラミン樹脂の被覆量としては、複合粒子全体中0.001重量%以上、0.05重量%以下とすることが好ましい。
【0011】
そして、このような半導体封止用エポキシ樹脂組成物で封止することにより、封止が確実に行われた難燃性の樹脂組成物で形成した電子部品・半導体装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、中心部のメラミン樹脂をシリカなどの無機酸化物で被覆した粒子の表面を外層部のメラミン樹脂によりさらに被覆した複合粒子をエポキシ樹脂組成物に配合することにより、難燃効果を与えるだけでなく成型時の流動性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得ることができる。
【0013】
また本発明では、無機充填材(フィラー)の量が90重量%に満たない半導体封止用樹脂組成物であっても上記複合粒子を用いることにより、充分な難燃性を得ることができる。
【0014】
またさらに、本発明では、前記被覆する外層部のメラミン樹脂の被覆量が複合粒子全体中0.001重量%以上、0.05重量%以下のものを用いることにより、さらに流動性を改善することができる。
【0015】
そして、上記半導体封止用エポキシ樹脂組成物で電子部品・半導体装置を封止することにより、得られた電子部品・半導体装置に優れた難燃性を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下,本発明を具体的に説明する。
【0017】
本発明において、エポキシ樹脂としては特に限定されないが、例えばo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0018】
エポキシ樹脂の配合量は、樹脂組成物中5〜35重量%とすることが好ましく、7〜20重量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0019】
本発明において、硬化剤としては特に限定されないが、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等、各種多価フェノール樹脂あるいは各種ナフトール樹脂を用いることができる。
【0020】
エポキシ樹脂と硬化剤との当量比は適宜決定できるが、エポキシ樹脂の全量/硬化剤の全量=約0.5〜1.5(当量比)、好ましくは、0.8〜1.2の範囲が良い。この配合割合が0.5よりも小さいと、硬化剤の硬化が早くなりすぎ充填不良など成型性が低下する恐れがあり、また上記の配合割合が1.5を超えると、硬化剤の配合量が少なすぎて硬化不足になる恐れがある。
【0021】
本発明において、無機充填材としては従来から公知の半導体封止用のエポキシ樹脂組成物に使用される無機充填材を使用することができ、例えば結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、窒化珪素等を使用することができる。無機充填材の配合量は、樹脂組成物中60〜93重量%、好ましくは60〜90重量%の範囲で使用することができるが、本発明では前記の複合粒子により難燃性を付与できるため65〜75重量%の範囲でも十分に目的を達成することができる。
【0022】
本発明においては、上記のような樹脂組成物中に中心部のメラミン樹脂を無機酸化物で被覆し、更にその無機酸化物の外側を外層部のメラミン樹脂で被覆してなる複合粒子を所定量配合する。このような複合粒子としては、例えば特許文献1に記載された硬化メラミン樹脂粒子の更にその無機酸化物の外側を外層部のメラミン樹脂で被覆してなる複合粒子を挙げることができる。
【0023】
具体的には、水性媒体中、5〜70nmの平均粒子径を有するシリカなどの懸濁下で、メラミン化合物とアルデヒド化合物を塩基性条件下で反応させて、水に可溶なメラミン系樹脂の初期縮合物の水溶液を生成させる(a)工程、及び(a)工程で得られた水溶液に酸触媒を加えて、硬化メラミン樹脂粒子を析出させる(b)工程を含む方法や、更に無機化合物で該粒子の表面を被覆する(c)工程を含むことによってまず硬化メラミン樹脂粒子を製造することができる。なお前記(c)工程は、(b)工程で得られた硬化メラミン樹脂粒子と、該硬化メラミン樹脂粒子の平均粒子径に対して1/5以下の平均粒子径を有する無機化合物粒子とを、直接又は水性媒体中で混合して、無機化合物粒子で該硬化メラミン樹脂粒子の表面を被覆する工程を含む硬化メラミン樹脂粒子の製造方法である。
【0024】
そして、上記(a)及び(b)工程あるいは更にこれらと(c)工程で得られる硬化メラミン樹脂粒子は、無機酸化物が粒子表面付近に偏在した硬化メラミン樹脂粒子であり、一次粒子が球状で独立しており、空孔は有していない。中心部のメラミン樹脂を被覆する無機酸化物として、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタンなども用いることができる。ただし、製造を考慮するとシリカが好ましい。
【0025】
前記中心部のメラミン樹脂の粒径は、1.0〜30μmとすることが好ましくは、3.5〜20μmとすることがより好ましい。また、この中心部のメラミン樹脂を被覆する前記無機酸化物の被覆量は、重量割合で外層部のメラミン樹脂を被覆した後の複合粒子全体に対して0.0005〜0.05重量%の範囲とすることが好ましく、その無機酸化物被膜の膜厚は10nm〜1μmが好ましく、10nm〜100nmが更に好ましい。
【0026】
前記(a)工程で使用されるメラミン化合物としては、メラミン、メラミンのアミノ基の水素をアルキル基、アルケニル基、フェニル基で置換した置換メラミン化合物、そしてメラミンのアミノ基の水素をヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキル(オキサアルキル)n基、アミノアルキル基で置換した置換メラミン化合物などが使用できる。この中では安価なメラミンが最も好ましい。
【0027】
またメラミン化合物とメラミン化合物の一部を尿素、チオ尿素、エチレン尿素などの尿素類、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンなどのグアナミン類、フェノール、クレゾール、アルキルフェノール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロールなどのフェノール類、アニリンで置き換えて混合物として使用することもできる。これらのメラミン化合物は1種または2種以上を併用することもできる。
【0028】
アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラールなどが挙げられるが、安価でメラミン化合物との反応性が良いホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒドが好ましい。
【0029】
ここで被覆する無機酸化物としてシリカが用いられる場合、その原料にはコロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカは、沈降性シリカパウダー、気相法シリカパウダーなどのパウダー状のコロイダルシリカを使用することもできるが、好ましくは媒体中で一次粒子レベルまで安定分散させたコロイダルシリカのゾルを使用すると良い。コロイダルシリカのゾルとしては水性シリカゾルとオルガノシリカゾルがありどちらも適用可能であるが、メラミン樹脂の製造に水性媒体を用いるため、コロイダルシリカのゾルの分散安定性の面から水性シリカゾルを使用することが最も好ましい。コロイダルシリカのゾル中のシリカ濃度は5〜50重量%のものが一般に市販されており、容易に入手できるので好ましい。
【0030】
前記(b)工程の硬化反応で使用する酸触媒としては特に制限はなく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸や、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、スルファミン酸などのスルホン酸類、ギ酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸などの有機酸などが挙げられる。
【0031】
前記(b)工程において、(a)工程で得られた初期縮合物の水溶液に酸触媒を加えて硬化反応を行うが、通常は酸触媒添加後、数分で硬化メラミン樹脂粒子が析出する。硬化反応は、反応液のpHを酸触媒により3〜7に調整して、70〜100℃で行うことが好ましい。
【0032】
以上の(a)及び(b)工程あるいは更にこれらと(c)工程にて製造された、硬化メラミン樹脂粒子は、一般的な濾過又は遠心分離した固形分を乾燥したり、又は樹脂粒子の水分散スラリーを直接噴霧乾燥することにより、粉末状の粒子として得ることができる。乾燥された粉末状の粒子が粒子間凝集している場合は、ホモミキサー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサーなどの剪断力を有する混合機や、ピンディスクミル、パルベライザー、イノマイザー、カウンタージェットミルなどの粉砕機で適切に処理すれば、粒子を破壊することなく粒子間凝集をほぐすことができる。
【0033】
本発明の複合粒子は、上記のような硬化メラミン樹脂粒子の無機酸化物の外側を更に外層部のメラミン樹脂で被覆することによって得ることができる。複合粒子の形状は特に限定されず、球状だけでなく不定形状であっても良い。
【0034】
前記無機酸化物を被覆する外層部のメラミン樹脂としては、メラミン化合物とアルデヒド化合物の付加・縮合反応物であるメラミン樹脂あるいはその誘導体を挙げることができ、これらの中でもメチロールメラミン樹脂が好ましい。これらのメラミン樹脂は1種または2種以上を併用することができる。上記メラミン化合物及びアルデヒド化合物としては、中心部のメラミン樹脂に用いられるものを用いることができる。なお、両メラミン樹脂は同種のものを用いてもよいし、それぞれ異なるメラミン樹脂とすることもできる。
【0035】
上記外層部のメラミン樹脂の数平均分子量としては、ゲル浸透クロマトグラフで350以上、600以下が好ましく、400以上、500以下がより好ましい。
【0036】
また、外層部のメラミン樹脂被膜の被覆量は、重量割合で複合粒子中、0.001重量%以上、0.05重量%以下が好ましく、0.005重量%以上、0.03重量%以下がより好ましく、その膜厚は10nm以上、0.5μm以下が好ましい。これより厚いと耐湿信頼性が低下することとなる。なお、本発明の複合粒子は難燃性及び流動性を低下させなければ、前記外層部のメラミン樹脂のさらに外側に他の被覆層を設けても良い。
【0037】
本発明において、外層部のメラミン樹脂による被膜は、前記のようにして得られる硬化メラミン樹脂粒子を用い、この無機酸化物で被覆された硬化メラミン樹脂粒子と溶融状態の外層部用のメラミン樹脂とを加熱混合などすることにより得ることができる。例えば、加熱撹拌分散機を用いて外層部のメチロールメラミン樹脂と前記無機酸化物で被覆した硬化メラミン樹脂粒子を室温から90〜120℃まで加熱混合し、さらに145〜180℃で30〜180分間加熱することにより前記無機酸化物の外側を外層部のメラミン樹脂で被覆した複合粒子を得ることができる。また、外層部のメラミン樹脂を溶剤に溶解して使用する場合には、溶解したメラミン樹脂を無機酸化物で被覆した硬化メラミン樹脂粒子に噴霧しながら乾燥することによっても被覆することもできる。前記溶剤としては、例えば、有機溶剤としてアセトン、メタノールなどを用いることができ、また水を用いることも可能である。なお、得られる複合粒子が塊状となる場合には、適宜粉砕工程を設けることが好ましい。
【0038】
前記外層部のメラミン樹脂の被膜は、中間の無機酸化物が表面に現れていない完全な被覆とすることが好ましいが、部分的な被覆あるいは被覆が点在していれば一定の流動性の効果を得ることができる。
【0039】
本発明の複合粒子の平均粒径は30μm以下が好ましく、20μm以下が更に好ましく、特に樹脂組成物の流動性の見地から1.0〜15μmの範囲が望ましい。なお、前記したように本発明の複合粒子は、無機酸化物及び外層部のメラミン樹脂いずれも薄い被覆であるため、前記複合粒子の粒径は中心部のメラミン樹脂の径と略同じ大きさとなる。
【0040】
本発明の上記複合粒子の配合量は、エポキシ樹脂組成物中0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲とすることができる。これより少ないと難燃効果が充分に得られず、これより多いと流動性が低下することとなる。
【0041】
また、本発明では、任意成分として例えば硬化促進剤、離型剤、シランカップリング剤、難燃剤、着色剤、シリコーン可撓剤等を配合することができる。
【0042】
硬化促進剤としては、例えば2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類の他、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン等の有機ホスフィン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン等の1種以上を用いることができる。
【0043】
離型剤としては、例えば天然カルナバ、脂肪酸アミド、ステアリン酸、モンタン酸アミド、脂肪酸エステル、カルボキシル基含有ポリオレフィン等を用いることができる。
【0044】
さらに、シランカップリング剤としては、例えばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランの他、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシシラン、またアミノシラン等の1種以上を用いることができる。
【0045】
併用できる難燃剤としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、臭素化ビスフェノールAエポキシ化合物、リン酸エステル、ホウ酸亜鉛などを挙げることができる。着色剤としては、例えばカーボンブラック、酸化チタン、コバルトブルーなどを用いることができ、シリコーン可塑剤としては、例えばシリコーンオイル、シリコーンゴムなどを用いることができる。
【0046】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を調製するに当たっては、一般的な製法を適宜採用することができる。例えば、調製される樹脂組成物は、各成分を配合した後にミキサーやブレンダーなどで均一に混合した後に、ニーダーやロール等で加熱混練したものを、冷却固化した後、粉砕して粉末状の樹脂組成物を得ることができる。またさらに必要に応じて粉末状の樹脂組成物をタブレット状に打錠することもできる。
【0047】
上記のようにして得られた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体を封止するにあたっては、一般的な手法を適宜採用することができるが、半導体装置を製造する一例を挙げると、先ずリードフレーム上に半導体素子をダイボンディングした後、Au等の細線ワイヤを用いたワイヤボンディング法などでリードフレームと半導体素子を結線する。次に、上記の半導体封止用樹脂組成物を用いて、半導体装置と結線部分とを樹脂封止する。ここで、樹脂封止を行うにあたっては、粉末状またはタブレット状の半導体封止用エポキシ樹脂組成物をトランスファー成形等により金型成形することができる。また必要に応じて、アフターキュアを施すようにしてもよい。
【実施例】
【0048】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
[中心部のメラミン樹脂をシリカで被覆してなる硬化メラミン樹脂粒子の作製]
特開2002−3227036号の実施例1の方法に従って、表1の径を有する中心部のメラミン樹脂の外側にシリカ被覆厚が異なる硬化メラミン樹脂粒子を作製した。
【0050】
[中心部のメラミン樹脂を無機酸化物で被覆し、更にその外側を外層部のメラミン樹脂で被覆してなる複合粒子の作製]
上記で得られた中心部のメラミン樹脂をシリカで被覆してなる硬化メラミン樹脂粒子を用い、表1に示す組成でメチロールメラミン樹脂(松下電工(株)製CP9012、数平均分子量:450)と混合し、加熱機能を有するヘンシェルミキサーを用いて室温から110℃まで加熱撹拌し、さらにエアバスにて150℃で2時間加熱撹拌してメラミン樹脂の硬化を進め、シリカの外側を外層部のメラミン樹脂で被覆した複合粒子A〜Eを得た。なお、メラミン樹脂で外層部を被覆しなかった硬化メラミン樹脂粒子を比較例用の粒子Fとした。
【0051】
【表1】

【0052】
実施例1〜6及び比較例1
[樹脂組成物の組成]
実施例及び比較例で用いた各成分は次の通りである。
・o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:住友化学工業(株)製 ESCN 195XL エポキシ当量195
・フェノールノボラック樹脂(硬化剤):荒川化学工業(株)製 タマノール752 水酸基当量104
・トリフェニルホスフィン(TPP):北興化学工業(株)製 TPP
・脂肪酸アミド:オレイン酸アミド(離型剤)
・カルナバワックス:(離型剤)
・溶融シリカ:平均粒径 15μm(無機充填剤)
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業(株)製 KBM403
・γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業(株)製 KBM803
上記で得られた各複合粒子、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材及びその他の成分を表2に示す組成で配合し、ミキサーで均一に混合した後、ニーダーで90℃、5分間、加熱・混練し、20〜30℃まで冷却固化したものをカッターミルにより粉砕して粒状の樹脂組成物を得た。
【0053】
以上のようにして作製した各エポキシ樹脂組成物を用い、金型温度175℃、注入圧力7MPa、成形時間90秒の条件でトランスファ成形を行い、評価用の試験片金型で試験片を作製した。
【0054】
上記のように作製した樹脂組成物及び試験片について、下記の耐炎性試験及び流動性の評価を行った。この結果を表2に示す。
(1)耐炎性試験
UL94の垂直燃焼94V−0の試験方法に準じて各試験片の難燃性を評価した。
(2)流動性スパイラルフロー試験
EMMI型評価用金型を用い、トランスファー成型で金型温度170℃、移送圧力7MPaの条件で成形を行ない、流れて成型された成型品の長さを測定し、流動性の指標として評価した。
【0055】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、及び、中心部のメラミン樹脂が無機酸化物で被覆され、更にその無機酸化物の外側が外層部のメラミン樹脂で被覆されてなる複合粒子を含有することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記無機充填材を樹脂組成物中に90重量%未満含有する請求項1に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記外層部のメラミン樹脂の被覆量が前記複合粒子中0.001重量%以上、0.05重量%以下である請求項1または2に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。

【公開番号】特開2006−63193(P2006−63193A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247462(P2004−247462)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】