説明

半導体素子の微細パターン形成方法

【課題】液浸露光工程を利用した半導体素子の微細パターン形成方法を提供する。
【解決手段】液浸露光工程でフォトレジスト膜の上部をアルカンまたはアルコール溶媒で前処理した後、オーバーコーティング膜を形成する段階を含むことにより、少量の溶媒でむらのないオーバーコーティング膜を形成することのできる半導体素子の微細パターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸(immersion)露光工程を利用した半導体素子のパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体素子の集積度の向上に伴い、サブマイクロン級の微細パターンを形成するための技術の開発が求められており、これに伴い半導体製造の工程で回路の微細化と集積度を決定付ける核心技術であるフォトリソグラフィ工程の開発のための研究が加速化されてきた。
従来、フォトリソグラフィ工程ではg−ライン(436nm)及びi−ライン(365nm)光源が露光源として用いられていたが、漸次KrF(248nm)またはArF(193nm)等のような遠紫外線(DUV:Deep Ultra Violet)領域の光源からF2(157nm)またはEUV(Extremely Ultraviolet;13nm)等のような短波長光源が生産工程に適用されている。
一方、新しい光源を採用する場合新しい露光装備の開発が必要であるので、製造コストの面で効率的でない。さらに、短波長光源を用いる露光装備から得られるパターンの解像度が1umに制限されているので、微細パターンを含む高集積素子の製造が困難である。
このような問題を解決するため、最近はドライ(dry)露光工程の代りに露光レンズとウェーハとの間を溶液で埋めた後、露光工程を行なう液浸露光工程が素子の量産工程に適用されている。液浸露光工程はフォトレジスト膜と露光レンズとの間に屈折率を有する溶液を媒介体に形成して行なわれるので、空気に対する水の屈折率ほどのハイパー(hyper)NAレンズを具現することができるため解像力の上昇効果を得ることができ、焦点深度の低下がないため小さいピッチ(pitch)を有する超精密パターンの形成が可能である。
しかし、液浸露光工程で用いられる媒介体は大部分比熱(specific heat)の高い水等の溶液であるので、除去してもパターン上に一部残留して円形ブリッジ(bridge)形態のウォーターマークディフェクト(water mark defect)や、バブル(bubble)等を発生させる。さらに、液浸露光工程中にフォトレジストから媒介体(溶液)に汚染源等が湧き出しながら、接触した露光レンズが汚染する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記のような従来の問題点を解決するため提案されたものであり、液浸露光工程でフォトレジストの上部をアルカンまたはアルコール溶媒で前処理した後、オーバーコーティング膜を形成する段階を含む液浸露光工程を利用した半導体素子の微細パターン形成方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、本発明では、
被食刻層が形成された基板の上部にフォトレジスト膜を塗布する段階と、
前記フォトレジスト膜の表面をアルコールまたはアルカン溶媒を利用して前処理する段階と、
前記結果物の上部にオーバーコーティング膜を形成する段階と、
液浸露光装備を利用して前記の結果構造物を露光する段階とを含むことを特徴とする半導体素子のパターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本願発明の方法では、オーバーコーティング膜の構成溶媒を利用してフォトレジスト膜の表面を前処理した後、その上部にオーバーコーティング膜を形成することにより、少量の溶媒でむらのないオーバーコーティング膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明に係る半導体素子の微細パターンを形成する方法によるSEM写真である。
被食刻層の上部にフォトレジスト膜11を形成し、フォトレジストの上部をフォトレジスト組成物の構成溶媒を利用して前処理する。前記前処理されたフォトレジスト膜の上部に露光レンズの汚染を防止するため、オーバーコーティング膜13を形成した後、液浸露光工程を行なう。このとき、前記前処理溶液によりフォトレジスト膜の一部が溶解される。この溶解されたフォトレジスト膜の一部はオーバーコーティング膜組成物の形成時に、オーバーコーティング膜組成物溶媒と混合され(15で表記される)、むらのないオーバーコーティング膜の形成が困難である。
【0007】
図2a及び図2bは、本発明に係る具体的な半導体素子の微細パターン形成方法を示した工程断面図である。
フォトレジスト組成物を半導体基板上に形成された被食刻層110上にコーティングし、100〜120℃で80〜100秒間ソフトベークしてフォトレジスト膜111を形成する。
前記被食刻層はシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、ボロフォスフォシリケートグラス(Borophosphosilicate Glass:BPSG)、PSG(Phosphosilicate Glass)、USG膜(Undoped Silicate Glass)、PE−TEOS(Plasma Enhanced-Tetraethoxysilicate Glass)酸化膜、シリコン酸化窒化膜、ポリシリコン膜、有機系乱反射膜、無機系乱反射膜、これらの積層膜及びこれらの組合せでなるものを用いて形成する。
【0008】
前記フォトレジスト組成物は特に制限されず、US5,212,043(1993.5.18)、US5,750,680(1998.5.12)、US6,051,678(2000.4.18)、US6,132,926(2000.10.17)、US6,143,463(2000.11.7)、US6,150,069(2000.11.21)、US6,180,316B1(2001.1.30)、US6,225,020B1(2001.5.1)、US6,235,448B1(2001.5.22)及びUS6,235,447B1(2001.5.22)等に開示されているものを用いることができるが、好ましくはポリビニルフェノール系、ポリヒドロキシスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリアダマンチル系、ポリイミド系、ポリアクリレート系、ポリメタアクリレート系、ポリフルオリン系の中から選択される1つ以上をベース樹脂に含む。特に、フォトレジスト膜のベース樹脂は置換された無水マレイン酸を重合反復単位として含むROMA型重合体と、シクロオレフィン重合反復単位、無水マレイン酸の重合反復単位及びメタクリレートまたはアクリレート系重合反復単位を含むCOMA型重合体と、前記重合体等が1つ以上混合された形態(hybrid type)の重合体を含む。
【0009】
図2aは、前記フォトレジスト膜111に対する前処理工程112を示す図である。
前記前処理工程は、前記アルコール溶媒やアルカン溶媒を気体状態で噴射するか、液体状態でコーティングする過程を1回または多数回行なうことができ、このとき60〜150℃の温度で50〜150秒間行なうのが好ましい。
前記アルコール溶媒は、フォトレジスト層が溶解されない溶媒であれば特に制限されず、好ましくは炭素数4以上、好ましくは炭素数4〜15のアルコール溶媒、例えばブタノール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール及びデカノールでなる群から選択される1つ以上の溶媒を用いる。
前記アルカン溶媒は、フォトレジスト層が溶解されない溶媒であれば特に制限されず、好ましくは炭素数7以上、好ましくは炭素数7〜20の有機溶媒、例えばヘプタン、オクタン、ノナン及びデカンでなる群から選択される1つ以上の溶媒を用いる。
【0010】
図2bは、前記処理されたフォトレジスト膜111の上部にコーティングされたオーバーコーティング膜を示す図である。
前記オーバーコーティング膜は、屈折率の低い液浸露光用オーバーコーティング膜に用いるフッ素系炭化水素化合物を含むものであれば特に限定されず、特に炭素数4以上、好ましくは炭素数4〜15のアルコール溶媒や、炭素数7以上、好ましくは炭素数7〜20のアルカン溶媒と共に、前記溶媒に溶解されるペルフルオロアルキル化合物を含む。本発明では、TCX−041(JSR社製造)を用いてスピンコーティング法で形成する。
【0011】
本発明に係る方法のように、オーバーコーティング膜の形成前にフォトレジスト膜の表面をフォトレジストが溶解され得る溶媒の代わりに、前述のように前記オーバーコーティング膜を構成する溶媒と類似する溶液で前処理するので、フォトレジスト組成物は処理溶媒に溶解されない。その結果、図3に示されているように、後続する工程の際にフォトレジスト膜111とオーバーコーティング膜113との混合が防止されるだけでなく、フォトレジスト膜の表面の湿性(wetting property)が改良され、300mmウェーハ上に最少のコーティング溶液を利用してもむらのないオーバーコーティング膜のコーティングが可能である。
【0012】
さらに、本発明に係る方法は前記フォトレジスト膜の塗布前に、前記被食刻層の上部に下部反射防止膜を形成する段階をさらに含むことができる。このとき、下部反射防止膜の上部をプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチル3−メトキシプロピオネート、t−ブチルアセテート及びこれらの混合溶液でなる群から選択される溶液で前処理して親感光性を与えた後、その上部にフォトレジスト膜を形成するのが好ましい。
前記液浸露光工程は、露光源としてはKrF、ArF、VUV、EUV、E−ビーム(beam)、X−線またはイオンビーム等を用い、0.1〜100mJ/cmの露光エネルギーで行なうのが好ましい。
前記液浸露光工程は媒介体に水、ヘキサン、キシレン、シクロオクタン、ペルフルオロポリエーテル及びこれらの混合溶液の中で選択されるものを利用して行なうのが好ましい。
結論的に、本発明に係る方法はフォトレジスト膜の上部をオーバーコーティング膜の構成溶媒を利用して前処理した後、その上部にオーバーコーティング膜を形成する段階を含むことにより、むらのないオーバーコーティング膜の形成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る半導体素子の微細パターンを形成する方法によるSEM写真である。
【図2a】本発明に係る具体的な半導体素子の微細パターン形成方法を示す工程断面図である。
【図2b】本発明に係る具体的な半導体素子の微細パターン形成方法を示す工程断面図である。
【図3】本発明に係る具体的な半導体素子の微細パターンを形成する方法によるSEM写真である。
【符号の説明】
【0014】
11、111 フォトレジスト膜
13、113 オーバーコーティング膜
110 被食刻層
112 処理工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被食刻層が形成された基板の上部にフォトレジスト膜を塗布する段階と、
前記フォトレジスト膜の表面を溶媒で前処理するものの、前記溶媒はアルコール、アルカンまたはこれらを含む段階と、
前記結果物の上部にオーバーコーティング膜を形成する段階と、
液浸露光装備を利用して前記の結果構造物を露光するものの、前記構造物はフォトレジスト膜上に提供されたオーバーコーティング膜を含む段階と、
を含むことを特徴とする半導体素子のパターン形成方法。
【請求項2】
前記被食刻層はシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、ボロフォスフォシリケートグラス、フォスフォシリケートグラス、アンドープドシリケートグラス、PE−TEOS酸化膜、シリコン酸化窒化膜、ポリシリコン膜、有機系乱反射膜、無機系乱反射膜、これらの積層膜及びこれらの組合せでなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項3】
前記フォトレジスト膜はポリビニルフェノール系、ポリヒドロキシスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリアダマンチル系、ポリイミド系、ポリアクリレート系、ポリメタアクリレート系及びポリフルオリン系でなる群から選択される1つ以上をベース樹脂に含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項4】
前記フォトレジスト膜のベース樹脂は置換された無水マレイン酸を重合反復単位で含むROMA型重合体と、シクロオレフィン重合反復単位、無水マレイン酸の重合反復単位及びメタクリレートまたはアクリレート系重合反復単位を含むCOMA型重合体と、前記重合体等が1つ以上混合された形態の重合体であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項5】
前記前処理工程は溶媒を気体状態で噴射するか、液体状態でコーティングして行なわれることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項6】
前記溶媒は炭素数4〜15のアルコール溶媒を含み、前記オーバーコーティング膜はフォトレジスト膜の処理後にフォトレジスト膜上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項7】
前記アルコール溶媒はブタノール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール及びデカノールでなる群から選択される1つ以上の溶媒であることを特徴とする請求項6に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項8】
前記溶媒は炭素数7〜20のアルカン溶媒を含み、前記オーバーコーティング膜はフォトレジスト膜の処理後にフォトレジスト膜上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項9】
前記アルカン溶媒はヘプタン、オクタン、ノナン及びデカンでなる群から選択される1つ以上の溶媒であることを特徴とする請求項8に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項10】
前記オーバーコーティング膜はフッ素系炭化水素化合物と溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項11】
前記溶媒は炭素数4〜15のアルコール溶媒、または炭素数7〜20のアルカン溶媒であることを特徴とする請求項10に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項12】
前記フッ素系炭化水素化合物は炭素数4〜15のアルコール溶媒や、炭素数7〜20のアルカン溶媒に溶解されるペルフルオロアルキル化合物であることを特徴とする請求項10に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項13】
前記方法はフォトレジスト膜の塗布前に、被食刻層の上部に下部反射防止膜を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項14】
前記方法はフォトレジスト膜の塗布前に、下部反射防止膜の上部をプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチル3−メトキシプロピオネート、t−ブチルアセテート及びこれらの混合溶液でなる群から選択される溶液で前処理する段階をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項15】
前記液浸露光工程は露光源としてはKrF、ArF、VUV、EUV、E−ビーム、X−線及びイオンビームでなる群から選択される光源を利用することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のパターン形成方法。
【請求項16】
前記液浸露光工程は水、ヘキサン、キシレン、シクロオクタン、ペルフルオロポリエーテル及びこれらの混合溶液でなる群から選択される媒介体を利用して行なわれることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のパターン形成方法。

【図2a】
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【図2b】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−139831(P2008−139831A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213673(P2007−213673)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】