説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】 p型MOSトランジスタおよびn型MOSトランジスタのオン電流を共に増加可能とすると共に、コンタクトの不良発生を防止する半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 シリコン基板11の第1領域13pに形成されたp型MOSトランジスタ14と、第2領域13nに形成されたn型MOSトランジスタ15と、第2領域13nには、シリコン基板11および素子分離領域12の一部の表面とゲート積層体34を覆う引っ張り応力を有する第2応力制御膜38と、第1領域13pのシリコン基板11および素子分離領域12の一部の表面とゲート積層体23を覆うと共に、第2領域の第2応力制御膜38を覆う、圧縮応力を有する第1応力制御膜26が形成される。第1応力制御膜26の膜厚t1、圧縮応力の大きさP1、第2応力制御膜38の膜厚t2、圧縮応力の大きさP2として、t1×P1<t2×P2の関係を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に係り、特にCMOS半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSトランジスタを覆うコンタクト・エッチ・ストッパー膜を、プラズマCVD法を用いて形成したシリコン窒化膜により、チャネル領域にゲート長方向の圧縮応力が印加されると共に深さ方向に引っ張り応力が印加されると、pチャンネルトランジスタではオン電流が増加し、nチャンネルトランジスタではオン電流が減少することが報告されている(非特許文献1参照。)。一方、上記コンタクト・エッチ・ストッパー膜を、熱CVD法を用いて形成したシリコン窒化膜により、チャネル領域にゲート長方向の引っ張り応力が印加されると共に深さ方向に圧縮応力が印加されると、逆にpチャンネルトランジスタではオン電流が減少し、nチャンネルトランジスタではオン電流が増加することが報告されている(非特許文献2参照。)。このように、一つのコンタクト・エッチ・ストッパー膜を用いると、一方の導電型のチャンネルトランジスタのオン電流が増加し、他方の導電型のチャンネルトランジスタのオン電流が減少してしまうので、この手法ではCMOSトランジスタの性能向上を図れなかった。
【0003】
そこで、pチャンネルトランジスタを覆う引っ張り応力のコンタクト・エッチ・ストッパー膜にGeイオンを注入することで、pチャンネルトランジスタのオン電流を減少させずにnチャンネルトランジスタのオン電流を増加させるCMOSトランジスタが提案されている(非特許文献3参照。)。
【0004】
さらに、図1に示すように、pチャンネルトランジスタ101には圧縮応力を印加するシリコン窒化膜102を形成し、nチャンネルトランジスタ103には引っ張り応力を印加するシリコン窒化膜104を形成し、両チャネルのオン電流を共に増加させるCMOSトランジスタ100が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【非特許文献1】Ito et al., “Mechanical stress effect of etch-stop nitride and its impact on deep submicron transistor design” IEDM Tech. Dig., p.247-250 (2000)
【非特許文献2】Ootsuka et al., “A highly dense, high-performance 130 nm node CMOS technology for large scale system-on-a-chip applications” IEDM Tech. Dig., p.575-578 (2000)
【非特許文献3】Shimizu et al., “Local mechanical-stress control (LMC): a new technique for CMOS-performance enhancement” IEDM Tech. Dig., p.19.4.1-19.4.4 (2001)
【特許文献1】特開2003−273240号公報
【特許文献2】特開2003−60076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図1に示すCMOSトランジスタ100では、図2(A)に示すように、p型MOS領域105pとn型MOS領域105nに亘って引っ張り応力を印加するシリコン窒化膜104を形成し、第1レジスト膜106でn型MOS領域105nを覆い、p型MOS領域105pのシリコン窒化膜104をエッチングし、次いで、図2(B)に示すように、p型MOS領域105pとn型MOS領域105nに亘って圧縮応力を印加するシリコン窒化膜102を形成する。そして第2レジスト膜108でp型MOS領域105pを覆い、n型MOS領域105nのシリコン窒化膜102を除去する。
【0006】
このような形成方法では、第1レジスト膜106と第2レジスト膜108の2つのレジスト膜を用いているので、露光する際のマスクの位置ずれが相対的に生じ易く、例えば、図3(A)に示すように、第2レジスト膜108の位置が右にずれると、p型MOS領域105pのシリコン窒化膜102が除去され、素子分離領域109の表面109aが露出する。このような場合、図3(B)に示すように、層間絶縁膜110にコンタクトホール110aを形成する際にエッチング・ストッパ膜としてのシリコン窒化膜102が欠けている領域では、シリコン酸化膜からなる素子分離領域109がエッチングされ、シリコン基板111に達する溝110bが形成されてしまい、接合リークが生じる。
【0007】
また、第2レジスト膜の位置が左にずれた場合は、図2(B)に示すn型MOS領域105nのシリコン窒化膜102とシリコン窒化膜104の重なる領域が残るおそれがあり、このような場合、図1に示す複数のコンタクトのコンタクトホールを一度に形成する場合は、重なりが生じた領域ではコンタクトホールがシリコン基板まで達し難くなり、コンタクト不良の問題が生じる。
【0008】
また、このようなマスクの位置ずれの問題を回避するため、図2(B)において第2レジスト膜108を用いてn型MOS領域105nのシリコン窒化膜102の除去を行わず、シリコン窒化膜102を残す半導体装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この半導体装置では、マスクに位置ずれが生じても、第1シリコン窒化膜と第2シリコン窒化膜との接続部において、シリコン基板あるいは素子分離領域の表面の露出を回避でき、コンタクトホールを形成する際の問題は解消できると考えられている。
【0009】
しかし、この半導体装置では、p型MOSトランジスタのオン電流は増加しているが、第1窒化シリコン膜と第2シリコン窒化膜が重なり合うn型MOSトランジスタではオン電流が増加していない。
【0010】
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、CMOSトラジスタの性能向上が可能な半導体装置およびその製造方法を提供することであり、具体的には、p型MOSトランジスタおよびn型MOSトランジスタのオン電流を共に増加可能とすると共に、コンタクトの不良発生を防止する半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一観点によれば、半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置であって、前記第1の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜と、前記第2の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜と、該第2の応力制御膜を覆う前記第1の応力制御膜とを備え、前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1<t2×P2の関係を有する半導体装置が提供される。
【0012】
本発明によれば、第1の領域は半導体基板の表面とゲート積層体が第1の応力制御膜により覆われ、第2の領域は、半導体基板の表面とゲート積層体が第2の応力制御膜および第1の応力制御膜により覆われている。第2の領域では、第1の応力制御膜と第2の応力制御膜とが、前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1<t2×P2の関係を有するように設定されているので、n型MOSトランジスタのチャネル領域には引っ張り歪みが印加される。また、p型MOSトランジスタのチャネル領域には第1の応力制御膜により圧縮歪みが印加される。したがって、p型MOSトランジスタおよびn型MOSトランジスタのオン電流を共に増加可能とすると共に、半導体基板の表面およびゲート積層体がエッチング・ストッパ膜としての第1の応力制御膜および第2の応力制御膜に覆われているので、コンタクトの不良発生を防止できる。
【0013】
本発明の他の観点によれば、半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置であって、前記第2の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜と、前記第1の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜と、該第1の応力制御膜を覆う前記第2の応力制御膜とを備え、前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1>t2×P2の関係を有する半導体装置が提供される。
【0014】
本発明によれば、第1の領域は半導体基板の表面とゲート積層体が第1の応力制御膜および第2の応力制御膜により覆われ、第2の領域は半導体基板の表面とゲート積層体が第2の応力制御膜により覆われている。第1の領域では、第1の応力制御膜と第2の応力制御膜とが、前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1>t2×P2の関係の関係を有するように設定されているので、p型MOSトランジスタのチャネル領域には圧縮歪みが印加される。また、n型MOSトランジスタのチャネル領域には第2の応力制御膜により引っ張り歪みが印加される。したがって、p型MOSトランジスタおよびn型MOSトランジスタのオン電流を共に増加可能とすると共に、半導体基板の表面およびゲート積層体がエッチング・ストッパ膜としての第1の応力制御膜および第2の応力制御膜に覆われているので、コンタクトの不良発生を防止できる。
【0015】
本発明のその他の観点によれば、半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置であって、前記第1の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜と、前記第2の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜と、前記第2の応力制御膜を覆い、第2の領域に延在する前記第1の応力制御膜に不純物を導入して改質された第3の応力制御膜とを備え、前記第3の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP3、膜厚をt3、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t3×P3<t2×P2の関係を有する半導体装置が提供される。
【0016】
本発明によれば、第2の領域では、半導体基板の表面とゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜と、その上に圧縮応力を有する第1の応力制御膜に不純物を導入して改質された第3の応力制御膜が形成されている。第3の応力制御膜は、不純物が導入されたことで圧縮応力が緩和されている。前記第3の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP3、膜厚をt3、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t3×P3<t2×P2の関係を有するように設定されているので、n型MOSトランジスタのチャネル領域には引っ張り歪みが印加される。また、p型MOSトランジスタのチャネル領域には第1の応力制御膜により圧縮歪みが印加される。したがって、p型MOSトランジスタおよびn型MOSトランジスタのオン電流を共に増加可能とすると共に、半導体基板の表面およびゲート積層体がエッチング・ストッパ膜としての第1の応力制御膜、第2の応力制御膜、および第3の応力制御膜に覆われているので、コンタクトの不良発生を防止できる。
【0017】
本発明のその他の観点によれば、半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜を形成する工程と、前記第1の領域の第2の応力制御膜を選択的に除去し、半導体基板の表面およびゲート積層体を露出する工程と、前記第1の領域の半導体基板の表面およびゲート積層体と前記第2の領域の第2の応力制御膜を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜を形成する工程とを備え、前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1<t2×P2の関係を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0018】
本発明によれば、引っ張り応力を有する第2の応力制御膜を全面に形成し、第1の領域の第2の応力制御膜のみを除去して第2の領域の第2の応力制御膜を残し、次いで第1の領域および第2の領域に第1の応力制御膜を形成しているので、第1の応力制御膜と第2の応力制御膜により半導体基板の表面およびゲート積層体が覆われる。従来、第1の領域と第2領域の境界付近で、シリサイド膜や素子分離領域が第1の応力制御膜あるいは第2の応力制御膜のいずれにも被覆されない領域の発生を、本発明は防止できる。したがって、コンタクトホールを形成する際に、シリサイド膜の表面の損傷や素子分離領域のオーバーエッチングを抑制できる。
【0019】
本発明のその他の観点によれば、半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜を形成する工程と、前記第1の応力制御膜を覆う第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第2の領域において第1の絶縁膜および第1の応力制御膜を選択的に除去して半導体基板表面およびゲート積層体を露出する工程と、前記第1の領域の第1の絶縁膜と前記第2の領域の半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜を形成する工程と、前記第2の応力制御膜を覆う第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の領域の第1の絶縁膜が露出するように前記第2の絶縁膜および第2の応力制御膜の一部を平坦化する工程と、前記第1の絶縁膜および第2の絶縁膜と、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とに挟まれた第2の応力制御膜の一部を除去する除去工程と、を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0020】
本発明によれば、第1の領域および第2の領域を覆う第1の応力制御膜および第1の絶縁膜をこの順に形成し、第2の領域の第1の絶縁膜および第1の応力制御膜を選択的にエッチングし、さらに、第2の応力制御膜を形成する際は、第2の領域の第1の応力制御膜をエッチングした際のマスクと同形の第1の絶縁膜に覆われているので、第1の応力制御膜と第2の応力制御膜は互いに重なることなく、あるいは、第1の応力制御膜と第2の応力制御膜の端部が互いに離隔して素子分離領域やソース・ドレイン領域の表面が露出することが回避される。したがって、コンタクトホールを形成する際に、コンタクトホールがソース・ドレイン領域の表面に到達せずにコンタクトとソース・ドレイン領域との接触不良の発生や、素子分離領域の打ち抜きを回避して接合リークの発生を防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、p型MOSトランジスタおよびn型MOSトランジスタのオン電流を共に増加可能とすると共に、コンタクトの不良発生を防止する半導体装置およびその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照しつつ実施の形態を説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。図4は、ゲート長方向と平行な方向の断面を示している。
【0024】
図4を参照するに、半導体装置10は、シリコン基板11に、素子分離領域12により互いに離隔され、第1領域13pに形成されたp型MOSトランジスタ14と、第2領域13nに形成されたn型MOSトランジスタ15と、これらのトランジスタ14、15に接続されたコンタクト42等から構成されている。
【0025】
第1領域13pのp型MOSトランジスタ14は、n型ウェル領域18にp型の不純物が注入されたソース・ドレイン領域19と、シリコン基板11の表面に形成されたゲート酸化膜20、ゲート電極21、および側壁絶縁膜22からなるゲート積層体23と、ソース・ドレイン領域19およびゲート電極21の表面側に形成されたシリサイド膜24、25等から構成される。
【0026】
さらに、第1領域13pには、シリコン基板11および素子分離領域12の表面とゲート積層体23を覆う第1応力制御膜26が設けられる。第1応力制御膜26は、例えばプラズマCVD法により形成したシリコン窒化膜からなる。第1応力制御膜26は、内部応力として圧縮応力を有し、ゲート酸化膜20の直下のチャネル領域28に、ゲート長方向に圧縮応力を印加する。そのことによりチャネル領域28の正孔移動度が向上する。第1応力制御膜26は、内部応力として圧縮応力を有するものであれば、第1応力制御膜26の材料や製造方法は限定されない。 一方、第2領域のn型MOSトランジスタ15は、p型ウェル領域29に形成されたn型の不純物が注入されたソース・ドレイン領域30と、シリコン基板11の表面にゲート酸化膜31、ゲート電極32、および側壁絶縁膜33からなるゲート積層体34と、ソース・ドレイン領域30およびゲート電極32の表面側に形成されたシリサイド膜35、36等から構成される。
【0027】
さらに、第2領域13nには、シリコン基板11および素子分離領域12の表面とゲート積層体34を覆う第2応力制御膜38と、第2応力制御膜38を覆う第1応力制御膜26が設けられる。第2応力制御膜38は、例えば熱CVD法により形成したシリコン窒化膜からなる。第2応力制御膜38は、内部応力として引っ張り応力を有し、ゲート酸化膜31の直下のチャネル領域39に、ゲート長方向に引っ張り応力を印加する。第2応力制御膜38は、内部応力として引っ張り応力を有するものであれば、第2応力制御膜38の材料や製造方法は限定されない。
【0028】
第2領域13nには、第2応力制御膜38上に、上述した内部応力として圧縮応力を有する第1応力制御膜26が第1領域13pから延在して設けられる。第2領域13nでは、第1応力制御膜26と第2応力制御膜38とは、下記式(1)の関係を有するように設定される。
t1×P1<t2×P2 … (1)
ここで、第1応力制御膜26の膜厚t1、圧縮応力の大きさP1、第2応力制御膜38の膜厚t2、引っ張り応力の大きさP2である。なお、第1応力制御膜26の膜厚t1および第2応力制御膜38の膜厚t2は、下地が平坦な領域での膜厚とし、例えば第2領域13nのシリコン基板11の表面に積層された第1応力制御膜26/第2応力制御膜38の膜厚とする。但し、第1応力制御膜26の膜厚は、第1領域13pのシリコン基板11の表面に堆積した第1応力制御膜26の膜厚としてもよい。
【0029】
上記式(1)の関係は、膜厚と内部応力の大きさとの積を、圧縮応力の項よりも引っ張り応力の項を大とすることで、ゲート酸化膜31の直下のチャネル領域39に、その正味の引っ張り応力がゲート長方向に印加される。その結果、チャネル領域39の電子移動度が向上する。ここで、第1応力制御膜26の膜厚t1と第2応力制御膜38の膜厚t2がほぼ等しい場合は、内部応力の大きさP1、P2が、P1<P2となるように設定することで制御可能である。
【0030】
また、第1応力制御膜26の圧縮応力の大きさP1と第2応力制御膜38の引っ張り応力の大きさP2がほぼ等しい場合は、第2応力制御膜38の膜厚t2を第1応力制御膜26の膜厚t1よりも大きく、すなわちt1<t2となるように設定する。このようにすることで、チャネル領域39に、ゲート長方向に引っ張り応力が印加される。
【0031】
シリコン基板11は、その表面が{100}結晶面であり、ゲート長方向が略〈110〉結晶方位でかつ{100}結晶面に平行であることが好ましい。これ以外の結晶方位にゲート長方向を設定した場合よりもオン電流が増加する。なお、ここで、{100}結晶面は、シリコンは面心立方格子の結晶構造を有するので、(100)結晶面およびこの結晶面に等価な(010)結晶面、および(001)結晶面のうちいずれかであることを示す。なお、{100}結晶面を有する基板は微傾斜基板であってもよい。また、〈110〉結晶方位は、[110]結晶方位と、[110]結晶方位に等価な、

結晶方位のうちいずれかであることを示す。
【0032】
ゲート酸化膜20、31は、シリコン酸化膜から構成される。ゲート酸化膜20、31は、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、Al23、Ta25、HfO2、ZrO2、及びこれらの積層膜のいずれかでもよい。半導体装置10の他の構成要素については以下の製造方法において説明する。
【0033】
次に、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を図5〜図7を参照しつつ具体的に説明する。図5〜図7は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図である。
【0034】
最初に、図5(A)の工程では、シリコン基板11にSTI(Shallow Trench Isolation)法により素子分離領域12を形成し、p型MOSトランジスタが形成される第1領域13pにn型の導電型の不純物を注入しn型ウェル領域18を形成し、n型MOSトランジスタが形成される第2領域13nにp型の導電型の不純物を注入し、p型ウェル領域29を形成する。
【0035】
図5(A)の工程では、さらに、シリコン基板11の表面にゲート酸化膜20、31、およびポリシリコンからなるゲート電極21、32を形成し、ゲート電極21、32をマスクとして第1領域13pにはp型の導電型の不純物を注入し、第2領域にはn型の導電型の不純物を注入し、それぞれ浅い接合領域19a、30aを形成する。次いで、シリコン基板11の表面とゲート電極21、32を覆うようにシリコン酸化膜等からなる絶縁膜を形成し、絶縁膜をエッチバックして側壁絶縁膜22を形成し、ゲート酸化膜20、31、ゲート電極21、32、および側壁絶縁膜22、33からなるゲート積層体23、34が形成される。
【0036】
図5(A)の工程ではさらに、ゲート積層体23、34をマスクとして、第1領域13pにはp型の導電型の不純物を注入し、第2領域13nにはn型の導電型の不純物を注入し、深い接合領域19b、30bを形成する。次いで、熱処理を行い不純物の活性化を行い、ソース・ドレイン領域19、30が形成される。
【0037】
図5(A)の工程ではさらに、シリコン基板11の表面とゲート積層体23、34を覆う例えばNi膜(不図示)を形成し、450℃程度の加熱処理を行い、NiSi2のシリサイド膜24、25、35、36を、ソース・ドレイン領域19、30およびゲート電極21、32に形成し、次いで未反応のNi膜を除去する。
【0038】
次いで、図5(B)の工程では、図5(A)の構造体の表面の全体に、熱CVD法により例えば膜厚80nmの引っ張り応力を有する第2応力制御膜38としてのシリコン窒化膜(以下、第2応力制御膜と同じ符号「38」を用いる。)を形成する。具体的には、シリコン窒化膜38は、例えば、基板温度を500℃〜700℃、圧力13.3Pa〜5.32×104Pa、SiH2Cl2+SiH4+Si24+Si26ガス(流量5〜50sccm)、NH3ガス(流量500〜10000sccm)、およびN2+Arガス(流量500〜10000sccm)を供給して形成する。この条件で形成したシリコン窒化膜38は、内部応力としての引っ張り応力が1.4GPaとなる。
【0039】
なお、内部応力は、以下の方法を測定する。直径20cmの円形のシリコン基板(板厚0.6mm)の表面に上記条件と同様の方法により膜厚100nmのシリコン窒化膜を形成する。このようにして得られた基板を、ニュートン環法を用いて基板の曲がり量を測定し、下記式(2)により内部応力σを算出する。
【0040】
【数1】

【0041】
ここで、Eは基板のヤング率、bは基板の板厚、νは基板のポアソン比、rは測定により得られた基板の曲率半径、dはシリコン窒化膜の膜厚である。
【0042】
次いで、図6(A)の工程では、シリコン窒化膜38上にレジスト膜40を形成し、次いで、第1領域13pに開口部40−1を形成する。
【0043】
図6(A)の工程ではさらに、レジスト膜40をマスクとして、第1領域13pのシリコン窒化膜38をRIE法によりCHF3ガスを用いてエッチングし、シリコン基板11の表面およびゲート積層体23を露出させる。
【0044】
次いで、図6(B)の工程では、図6(A)のレジスト膜40を除去する。次いで、第1領域13pのシリコン基板11の表面およびゲート積層体23と、第2領域13nのシリコン窒化膜38を覆うように、プラズマCVD法により第1応力制御膜26としてのシリコン窒化膜(以下、第1応力制御膜と同じ符号「26」を用いる。)を形成する。具体的には、シリコン窒化膜26は、例えば、圧力13.3Pa〜5.32×104Pa、SiH4ガス(流量100〜1000sccm)、NH3ガス(流量500〜10000sccm)、およびN2+Arガス(流量500〜10000sccm)を供給して、RFパワー100〜1000Wで形成する。この条件により膜厚60nm、圧縮応力1.4GPaを有するシリコン窒化膜26が形成される。このことにより、第2領域13nでは、t1×P1=84Pa・m、t2×P2=112Pa・mとなり、上記式(1)の関係を有する。
【0045】
図6(B)の工程ではさらに、シリコン窒化膜26上に例えばシリコン酸化膜からなる膜厚600nmの層間絶縁膜16を形成し、次いでその表面をCMP法により平坦化し、図4に示す半導体装置が形成される。
【0046】
次いで、図7の工程では、層間絶縁膜16の表面にレジスト膜41を形成し、開口部41−1、41−2を形成したレジスト膜41をマスクとして、RIE法により、CF4とH2の混合ガスを用いて、第1応力制御膜26をエッチング・ストッパ膜としてシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜16を貫通するコンタクトホール16−1、16−2の一部を形成する。
【0047】
図7の工程ではさらに、RIE法により、CHF3ガスを用いて、第1領域では第1応力制御膜26を、第2領域では第1応力制御膜26および第2応力制御膜38を貫通し、それぞれシリサイド膜24、35を露出し、コンタクトホール16−1、16−2を完成する。ここで、第2応力制御膜38は、第1応力制御膜26よりもエッチングレートが高い材料からなることが好ましく、あるいは、第1応力制御膜26よりも第2応力制御膜38のエッチングレートが高いエッチングガスを用いることが、第1領域13pのシリサイド膜24の損傷を抑制する点で好ましい。
【0048】
図7の工程ではさらに、コンタクトホール16−1、16−2をTi膜/TiN膜の積層膜からなるバリアメタル膜(不図示)とCu、W、Al等の導電材料で充填しコンタクト42を形成する。
【0049】
本実施の形態に係る半導体装置10は、第1領域13pはシリコン基板11および素子分離領域12の表面とゲート積層体23を覆う第1応力制御膜26に覆われ、第2領域13nは、シリコン基板11および素子分離領域12の表面とゲート積層体34を覆う第2応力制御膜38と、第2応力制御膜38を覆うと共に第1領域13pから延在する第1応力制御膜26が設けられ、第2領域13nでは、第1応力制御膜26と第2応力制御膜38とは、上記式(1)の関係を有するように設定されているので、p型MOSトランジスタ14のチャネル領域28には圧縮歪みが印加され、n型MOSトランジスタ15のチャネル領域39には圧縮歪みが印加される。したがって、p型MOSトランジスタ14およびn型MOSトランジスタ15のオン電流を共に増加可能とすると共に、シリコン基板11および素子分離領域12の表面とゲート積層体23、34がエッチング・ストッパ膜として第1応力制御膜26および第2応力制御膜38に覆われているので、コンタクトの不良発生を防止できる。
【0050】
本実施の形態に係る製造方法は、引っ張り応力を有する第2応力制御膜38を全面に形成し、第1領域13pの第2応力制御膜38だけをエッチングして第2領域13nの第2応力制御膜38を残し、次いで第1領域13pおよび第2領域13nに第1応力制御膜26を形成しているので、第1応力制御膜26と第2応力制御膜38によりシリコン基板11および素子分離領域12の表面およびゲート積層体23、34が覆われる。従来、第1領域と第2領域の境界付近で、シリサイド膜や素子分離領域が第1応力制御膜あるいは第2応力制御膜のいずれにも被覆されない領域の発生を、本実施の形態では防止できる。したがって、コンタクトホール16−1、16−2を形成する際に、シリサイド膜24、35の表面の損傷や素子分離領域12のオーバーエッチングを抑制できる。
【0051】
次に第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置を説明する。
【0052】
図8は、第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置の断面図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0053】
図8を参照するに、半導体装置50は、シリコン酸化膜51がシリコン基板11および素子分離領域12の表面およびゲート積層体23、34を覆うように形成され、その上に第1領域13pでは第1応力制御膜26が、第2領域13nでは第2応力制御膜38および第1応力制御膜26が形成されている以外は、図4に示す第1の実施の形態に係る半導体装置と同様に構成されている。
【0054】
本変形例に係る半導体装置50の製造方法は、上述した図5(A)の工程を行い、次いで、シリコン酸化膜51を例えばプラズマCVD法により膜厚20nmに形成する。具体的には、シリコン酸化膜51は、SiH4とO2の混合ガスを用いて基板温度を400℃前後に設定して行う。なお、シリコン酸化膜51は、第1応力制御膜26および第2応力制御膜38に対してエッチング選択性を有する材料であればシリコン酸化膜に限定されない。
【0055】
次いで、上述した図5(B)〜図7の第1応力制御膜26と第2応力制御膜38を貫通するコンタクトホール16−1、16−2を形成する工程までを行う、このコンタクトホールの形成工程では、シリコン酸化膜51を設けることで、第1応力制御膜26と第2応力制御膜38を貫通するコンタクトホール16−1、16−2を形成する際に、第1領域13pが第2領域13nよりも第2応力制御膜38の厚さだけ薄くても、エッチングがシリコン酸化膜51により停止し、第1領域13pのシリサイド膜24の損傷を防止できる。
【0056】
次いで、シリコン酸化膜51をRIE法により、CF4とH2の混合ガスを用いて、シリサイド膜24、35の表面を露出する。以下図7の工程と同様にコンタクトを形成する。
【0057】
本実施の形態の変形例によれば、上述した実施の形態の効果に加え、第1領域13pのシリサイド膜24の損傷を一層確実に防止できる。
【0058】
図9は、本実施の形態の半導体装置の引っ張り応力を有する第2応力制御膜の膜厚を異ならせた場合の効果を説明するための図である。図9は、図4に示すp型MOSトランジスタ14のチャネル領域28およびn型MOSトランジスタ15のチャネル領域39の歪みと、引っ張り応力を有する第2応力制御膜38の膜厚との関係を示す図であり、半導体装置の構成は図4に示すものと同様である。なお、圧縮応力を有する第1応力制御膜26と引っ張り応力を有する第2応力制御膜38のそれぞれの内部応力の大きさを1.4GPaとし、第1応力制御膜26の膜厚を60nm、第2応力制御膜38の膜厚を80nmから140nmまで異ならせた。また、ゲート長を50nm、ゲート高さ(シリコン基板11の表面からゲート電極21、32のシリサイド膜25、36の表面までの高さ)を100nmとした。チャネル領域28、39の歪み量は、プロセスシミュレータ(商品名:TSUPREM4、Synopsys社製)を用いて算出した。
【0059】
図9を参照するに、第2応力制御膜の膜厚の増加に対して、n型MOSトランジスタのチャネル領域の中央の歪み量は増加していることが分かる。一方、第2応力制御膜の膜厚の増加に対して、p型MOSトランジスタのチャネル領域の歪み量は一定となっており、p型MOSトランジスタのチャネル領域は、第2応力制御膜の膜厚の増加の影響を受けず、また、n型MOSトランジスタのチャネル領域の歪みの影響を受けないことが分かる。したがって、第2応力制御膜の膜厚を制御することで、第1応力制御膜の圧縮応力に抗してn型MOSトランジスタのチャネル領域の引っ張り歪みの歪み量を制御でき、p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタのオン電流をそれぞれ増加させることができ、さらに均衡良く増加させることができることが分かる。
【0060】
ここで歪み量は第1応力制御膜および第2応力制御膜の内部応力が0の場合のゲート長方向の格子定数L0、応力が印加されている場合のゲート長方向の格子定数L1として、歪み量=(L1−L0)/L0で表す。
【0061】
図10は、本実施の形態の半導体装置の引っ張り応力を有する第2応力制御膜の内部応力の大きさを異ならせた場合の効果を説明するための図である。図10は、図4に示すp型MOSトランジスタ14のチャネル領域28およびn型MOSトランジスタ15のチャネル領域39の歪みと、引っ張り応力を有する第2応力制御膜38の内部応力との関係を示す図であり、半導体装置の構成は図4に示すものと同様である。なお、圧縮応力を有する第1応力制御膜26の内部応力の大きさを1.4GPaとし、引っ張り応力を有する第2応力制御膜38の内部応力の大きさを1.4GPaから2.2GPaまで異ならせた。第1応力制御膜26および第2応力制御膜38の膜厚を60nmとした。また、ゲート長、ゲート高さを図9の条件と同様とし、チャネル領域28、39の歪み量を図9と同様のプロセスシミュレータを用いて算出した。
【0062】
図10を参照するに、第2応力制御膜の内部応力(引っ張り応力)の増加に対して、n型MOSトランジスタのチャネル領域の中央の歪み量は増加していることが分かる。一方、第2応力制御膜の内部応力の増加に対して、p型MOSトランジスタのチャネル領域の歪み量は一定となっており、p型MOSトランジスタのチャネル領域は、第2応力制御膜の内部応力の影響を受けず、また、n型MOSトランジスタのチャネル領域の歪みの影響を受けないことが分かる。したがって、第2応力制御膜の内部応力を制御することで、第1応力制御膜の圧縮応力に抗してn型MOSトランジスタのチャネル領域の引っ張り歪みの歪み量を制御でき、p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタのオン電流をそれぞれ増加させることができ、さらに均衡良く増加させることができることが分かる。
【0063】
(第2の実施の形態)
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。図11は、ゲート長方向と平行な方向の断面を示している。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0064】
図11を参照するに、半導体装置60は、第1領域13pでは圧縮応力を有する第1応力制御膜26と引っ張り応力を有する第2応力制御膜38がこの順に積層され、第2領域13nでは第2応力制御膜38が設けられている以外は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0065】
第1領域13pには、シリコン基板11および素子分離領域12の表面とゲート積層体23を覆う第1応力制御膜26が形成され、さらに第1応力制御膜26を覆う第2応力制御膜38が形成されている。
【0066】
第1応力制御膜26と第2応力制御膜38とは、下記式(3)の関係を有するように設定される。
t1×P1>t2×P2 … (3)
ここで、第1応力制御膜26の膜厚t1、圧縮応力の大きさP1、第2応力制御膜38の膜厚t2、引っ張り応力の大きさP2である。第1応力制御膜26の膜厚t1および第2応力制御膜38の膜厚t2は第1の実施の形態と同様に設定される。上記式(3)の関係に設定することで、p型MOSトランジスタのチャネル領域28に印加される応力が圧縮応力となり、正孔移動度が増加する。内部応力の制御方法および測定方法は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。なお、P1とP2がほぼ同等の場合は、t1>t2に設定する。または、t1とt2をほぼ同等とし、P1>P2に設定してもよい。
【0067】
次に第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を、図12および図13を参照しつつ具体的に説明する。
【0068】
図12および図13は、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図である。
【0069】
最初に、図12(A)の工程では、第1の実施の形態の図5(A)の工程と同様にしてシリサイド膜24、25、35、36までを形成する。
【0070】
図12(A)の工程ではさらに、シリコン基板11の表面およびゲート積層体23、34を覆うようにプラズマCVD法により、例えば圧縮応力を有する第1応力制御膜26としてシリコン窒化膜(以下、第1応力制御膜と同じ符号「26」を用いる。)を形成する。具体的には、シリコン窒化膜26は、図6(B)の工程の第1応力制御膜と同様の条件を用いて、膜厚t1を80nmに設定し、圧縮応力の大きさが1.4GPaになる。
【0071】
次いで、図12(B)の工程では、シリコン窒化膜26上にレジスト膜61を形成し、次いで、第2領域13nのレジスト膜に開口部61−1を形成する。
【0072】
図12(B)の工程ではさらに、レジスト膜61をマスクとして、第2領域13nのシリコン窒化膜26をRIE法によりCHF3ガスを用いてエッチングし、シリコン基板11および素子分離領域12の表面とゲート積層体34を露出させる。
【0073】
次いで、図13の工程では、図12(B)のレジスト膜61を除去する。次いで、第1領域13pのシリコン窒化膜26と、第2領域13nのシリコン基板11の表面およびゲート積層体34を覆うように、熱CVD法により第2応力制御膜38としてのシリコン窒化膜(以下、第2応力制御膜と同じ符号「38」を用いる。)を形成する。具体的には、シリコン窒化膜38は、図5(B)の工程のシリコン窒化膜と同様の条件を用いて、膜厚t2を60nmに設定する。シリコン窒化膜の引っ張り応力は1.4GPaになる。
【0074】
このように形成すると第1領域13pでは、t1×P1=112Pa・m、t2×P2=84Pa・mとなり上記式(3)の関係を有し、チャネル領域28に圧縮応力が印加される。
【0075】
次いで、図13の工程の後に、図13の構造体の表面に層間絶縁膜16を形成し、さらに、図7と同様にしてコンタクト42を形成する。ここで、第1の領域13pの第2の応力制御膜および第1の応力制御膜を貫通するコンタクトホールの形成と、第2の領域の第2の応力制御膜を貫通するコンタクトホールの形成とを同時に行う。第1の応力制御膜26は、第2の応力制御膜38よりもエッチングレートが高い材料からなることが好ましく、あるいは、第2応力制御膜38よりも第1応力制御膜26のエッチングレートが高いエッチングガスを用いることが、第2領域13nのシリサイド膜35の損傷を抑制する点で好ましい。以上により、図11に示す半導体装置60が形成される。
【0076】
本実施の形態によれば、p型MOSトランジスタ14のチャネル領域28とn型MOSトランジスタ15のチャネル領域39にそれぞれ圧縮応力、引っ張り応力が印加されているので、それぞれのキャリア移動度が増加し、いずれのトランジスタもオン電流が増加し、CMOSトランジスタとしての半導体装置60の性能が向上する。
【0077】
また、本実施の形態によれば、第1応力制御膜26を全面に形成し、第2領域13nの第1応力制御膜26だけを除去して第1領域13pの第1応力制御膜26を残し、次いで第1領域13pおよび第2領域13nの全面に第2応力制御膜38を形成しているので、第1応力制御膜26と第2応力制御膜38がシリコン基板11の表面およびゲート積層体23、34を覆っている。したがって、コンタクトホールを形成する際に、素子分離領域12のオーバーエッチングやシリサイド膜24、25、35、36の表面の損傷を回避できる。
【0078】
(第3の実施の形態)
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。図14は、ゲート長方向と平行な方向の断面を示している。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0079】
図14を参照するに、半導体装置70は、圧縮応力を有する第1応力制御膜26が、第2領域13nに形成されている部分に不純物が導入されて改質されている以外は、第1の実施の形態の半導体装置と同様に構成される。
【0080】
第2領域13nに形成されている第1応力制御膜(以下、「第3応力制御膜26a」と呼ぶ。)は、圧縮応力を有する第1応力制御膜26に、不純物が注入されている。第3応力制御膜26aは、不純物の注入により内部応力が緩和されるので、チャネル領域39に印加される圧縮応力が低減され、チャネル領域39に印加される正味の応力は引っ張り応力が増加する。なお、不純物は特に限定されないが、4価の元素がイオンを形成しない点で好ましく、特にGeおよびCが好ましい。
【0081】
図15は、第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図である。
【0082】
図15の工程では、第1の実施の形態の図6(B)の工程の第1応力制御膜26の形成工程までを同様にして行う。次いで、第1応力制御膜26上にレジスト膜71を形成し、次いで、第2領域13nのレジスト膜に開口部71−1を形成する。
【0083】
図15の工程ではさらに、レジスト膜71をマスクとしてイオン注入法を用いて不純物を第2領域13nの第1応力制御膜26に注入し、第1応力制御膜26の内部応力を緩和させた第3応力制御膜26aに変換する。不純物の注入は、例えば、不純物にGeを用いて、加速電圧100keV、ドーズ量5×1014/cm2に設定して行う。不純物を注入することで圧縮応力を有する第1応力制御膜26に応力緩和が生じ、チャネル領域39に印加される圧縮応力を低減し、その結果引っ張り応力が増加することでオン電流を増加させる。この際、不純物の選択、加速電圧、およびドーズ量は下記式(4)の関係を満たすように適宜選択する。
t3×P3<t2×P2 … (4)
ここで、第3応力制御膜26aの膜厚t3、圧縮応力の大きさP3、第2応力制御膜38の膜厚t2、引っ張り応力の大きさP2である。
【0084】
図15の工程の後に、レジスト膜71を除去し、次いで、図7の工程と同様にして、層間絶縁膜16およびコンタクト42を形成し、図14の半導体装置が形成される。
【0085】
本実施の形態によれば、第2領域13nに形成した第1応力制御膜26の圧縮応力を低減することで、第2領域13nの第2応力制御膜38を薄膜化することができる。その結果、層間絶縁膜16、および第1応力制御膜26、あるいは、第3応力制御膜26aと第2応力制御膜38を貫通してコンタクトホールを形成する際に、第1領域13pの第1応力制御膜26と、第2領域13nの第3応力制御膜26aと第2応力制御膜38の膜厚の差を低減することができ、コンタクトホールを一度に形成し易くなる。
【0086】
また、次に説明するように、上述した図11に示す第2の実施の形態に係る半導体装置においても、同様に、第1応力制御膜26と第2応力制御膜38が積層した第1領域13pにおいて、引っ張り応力を有する第2応力制御膜38に不純物を導入し、応力緩和を生じさせ、引っ張り応力を低減してもよい。
【0087】
図16は、第3の実施の形態の変形例に係る半導体装置の断面図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0088】
図16を参照するに、半導体装置75は、引っ張り応力を有する第2応力制御膜38が、第1領域13pに形成されている部分に不純物が導入されて改質されている以外は、第2の実施の形態の半導体装置と同様に構成される。
【0089】
第1領域13pに形成されている第2応力制御膜(以下、「第4応力制御膜38a」と呼ぶ。)は、引っ張り応力を有する第2応力制御膜38に不純物が注入されている。第4応力制御膜38aは、不純物の注入により内部応力が緩和されるので、p型MOSトランジスタ14のチャネル領域28に印加される引っ張り応力が低減され、第1応力制御膜26から印加される圧縮応力との正味の応力は、圧縮応力が増加する。なお、不純物は上述した第3の実施の形態と同様の不純物を用いる。
【0090】
図17は、第3の実施の形態の変形例に係る半導体装置の製造工程図である。
【0091】
図17の工程では、第2の実施の形態の図13の工程の第2応力制御膜38の形成工程までを同様にして行う。次いで、第2応力制御膜38上にレジスト膜76を形成し、次いで、第1領域13pのレジスト膜に開口部76−1を形成する。
【0092】
図17の工程ではさらに、レジスト膜76をマスクとしてイオン注入法を用いて不純物を第1領域の第2応力制御膜38に導入し、内部応力が緩和した第4応力制御膜38aに変換する。例えば、不純物にGeを用いて、加速電圧100keV、ドーズ量5×1014/cm2に設定する。不純物を導入することで第2応力制御膜38の応力緩和が生じ、p型MOSトランジスタのチャネル領域28に印加される引っ張り応力を低減し、その結果圧縮応力が増加することでオン電流を増加させる。この際、不純物の選択、加速電圧、およびドーズ量は下記式(5)の関係を満たすように適宜選択する。
t1×P1>t4×P4 … (5)
ここで、第1応力制御膜26の膜厚t1、圧縮応力の大きさP1、第4応力制御膜38aの膜厚t4、引っ張り応力の大きさP4である。
【0093】
図17の工程の後に、レジスト膜を除去し、次いで、図7の工程と同様にして層間絶縁膜16およびコンタクト42を形成し、図16の半導体装置が形成される。
【0094】
本実施の形態の変形例によれば、第1応力制御膜26の膜厚を薄膜化でき、上述した本実施の形態と同様の効果が得られる。
【0095】
(第4の実施の形態)
図18は、本発明の第4の実施の形態に係る製造方法により形成した半導体装置の断面図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0096】
図18を参照するに、半導体装置80は、シリコン基板11に素子分離領域12により互いに離隔され、第1領域13pに形成されたp型MOSトランジスタ14と、第2領域13nに形成されたn型MOSトランジスタ15と、これらのトランジスタ14、15を覆う層間絶縁膜16等から構成されている。
【0097】
第1領域13pには、シリコン基板11および素子分離領域12の表面とゲート積層体23を覆うように第1応力制御膜81が形成されている。第1応力制御膜81は、ゲート酸化膜20の直下のチャネル領域28に、ゲート長方向に圧縮応力を印加することでチャネル領域28の正孔移動度を向上する。第1応力制御膜81は、上述した第1の実施の形態の第1応力制御膜26と同様の膜を用いることができる。
【0098】
一方、第2領域13nには、シリコン基板11および素子分離領域12の表面とゲート積層体34を覆うように第2応力制御膜82が形成されている。第2応力制御膜82は、ゲート酸化膜31の直下のチャネル領域39に、ゲート長方向に引っ張り応力を印加することでチャネル領域39の電子移動度を向上する。第2応力制御膜82は、上述した第1の実施の形態の第2応力制御膜38と同様の膜を用いることができる。
【0099】
次に、第4の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を図19〜図21を参照しつつ具体的に説明する。図19〜図21は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図である。
【0100】
最初に、図19(A)の工程では、第1の実施の形態の図5(A)と同様にして、シリサイド膜24、25、35、36までを形成する。
【0101】
図19(A)の工程ではさらに、シリコン基板11および素子分離領域12の表面およびゲート積層体23、34を覆うように、圧縮応力を有する第1応力制御膜81を形成する。第1応力制御膜81は、プラズマCVD法を用いてシリコン窒化膜を形成する。具体的には、プラズマCVD装置を用いて、例えば、圧力13.3Pa〜5.32×104Pa、SiH4ガス(流量100〜1000sccm)、NH3ガス(流量500〜10000sccm)、およびN2+Arガス(流量500〜10000sccm)を供給して、RFパワー100〜1000Wに設定し、膜厚60nmのシリコン窒化膜を形成する。
【0102】
図19(A)の工程ではさらに、第1応力制御膜81を覆う、CVD法によりTEOSガスを用いて形成したシリコン酸化膜(例えば膜厚600nm)からなる第1絶縁膜83を形成する。第1絶縁膜83は、第1応力制御膜81とエッチング選択性を有するものであれば、特に限定されず、例えばBPSG(Boro−Phospho Silicate Glass)膜等を用いてもよい。
【0103】
図19(A)の工程ではさらに、CMP法により第1絶縁膜83aの表面を平坦化する。なお、第1絶縁膜83aのステップカバレッジが良好な場合は、平坦化処理を省略してもよい。
【0104】
次いで、図19(B)の工程では、図19(A)の表面が平坦となった第1絶縁膜83上にレジスト膜84を形成し、次いで、第2領域13nのレジスト膜84に開口部84−1を形成する。
【0105】
図19(B)の工程ではさらに、レジスト膜84をマスクとして、第2領域13nの第1絶縁膜83をRIE法によりCF4とH2の混合ガスを用いてエッチングし、第1応力制御膜81を露出させる。エッチングガスは、第1絶縁膜83に対してエッチング速度が大であり、シリコン窒化膜からなる第1応力制御膜81に対してエッチング選択性を有するものであればCF4とH2の混合ガスに限定されない。
【0106】
図19(B)の工程ではさらに、レジスト膜をマスクとして、第2領域13nの第1応力制御膜81をRIE法によりCHF3ガスを用いてエッチングし、シリコン基板11の表面とゲート積層体34を露出させる。ここで、エッチングガスは、シリコン窒化膜に対してエッチング速度が大であり、シリコン酸化膜およびシリコンに対してエッチング選択性を有するものであればCHF3ガスに限定されない。
【0107】
次いで、図20(A)の工程では、図19(B)のレジスト膜84を除去し、第1領域13pの第1絶縁膜83を露出させる。次いで、第1領域13pの第1絶縁膜83と第2領域13nのシリコン基板11および素子分離領域12の表面、およびゲート積層体34を覆う第2応力制御膜82を形成する。第2応力制御膜82は、チャネル領域31に引っ張り応力を印加するものであり、ここでは、熱CVD法を用いてシリコン窒化膜を形成する。具体的には、熱CVD装置を用いて、例えば、基板温度を500℃〜700℃、圧力13.3Pa〜5.32×104Pa、SiH2Cl2+SiH4+Si24+Si26ガス(流量5〜50sccm)、NH3ガス(流量500〜10000sccm)、およびN2+Arガス(流量500〜10000sccm)を供給して膜厚60nmのシリコン窒化膜を形成する。なお、この際、第1絶縁膜83の側壁にも第2応力制御膜82が薄く付着する。
【0108】
次いで、図20(B)の工程では、図20(A)の構造体を覆う第2絶縁膜85aを形成する。第2絶縁膜85は、上述した第1絶縁膜83と同様の材料から選択され、同一の材料でもよく、異なる材料でもよい。ここでは、第1絶縁膜83と同じシリコン酸化膜とする。
【0109】
図20(B)の工程ではさらに、CMP法により第2絶縁膜85aの表面を平坦化し、第1絶縁膜の表面の第2応力制御膜82を露出させる。次いで、CMP法により第1絶縁膜83の表面の第2応力制御膜82を除去すると共に第2絶縁膜85aを平坦化して第1領域の第1絶縁膜83を露出させる。
【0110】
次いで、図21の工程では、第1絶縁膜83と第2絶縁膜85とに挟まれた第2応力制御膜82を例えばリン酸溶液を用いて時間制御によりエッチングする。第2応力制御膜82のエッチングは、第1絶縁膜83と第2絶縁膜85とに挟まれた部分を除去して、エッチングされた第2応力制御膜82aが、他の第2応力制御膜82の部分と同程度の膜厚になるまで行う。
【0111】
図21の工程の後に、図21の第1絶縁膜83および第2絶縁膜85を、第1応力制御膜81および第2応力制御膜82をエッチング・ストッパ膜としてフッ酸溶液を用いて除去し、次いで、第1応力制御膜81および第2応力制御膜82を覆う層間絶縁膜85を形成し、図18に示す半導体装置が形成される。
【0112】
本実施の形態によれば、第1領域13pおよび第2領域13nを覆う第1応力制御膜81および第1絶縁膜83をこの順に形成し、第1領域13pを覆うと共に第2領域13nを開口したレジスト膜84を用いて、第2領域13nの第1絶縁膜83および第1応力制御膜81をエッチングし、さらに、第2応力制御膜82を形成する際は、第1領域13pの第1応力制御膜81がレジスト膜84と同形の第1絶縁膜83に覆われているので、第1応力制御膜81と第2応力制御膜82は互いに重なることなく、あるいは、第1応力制御膜81と第2応力制御膜82の端部が互いに離隔して素子分離領域12やソース・ドレイン領域19、30の表面が露出することが回避される。したがって、コンタクトホールを形成する際に、コンタクトホールがソース・ドレイン領域19、30の表面に到達せずにコンタクトとソース・ドレイン領域19、30との接触不良の発生や、素子分離領域12の打ち抜きを回避して接合リークの発生を防止できる。
【0113】
なお、図21の工程のかわりに図22の工程に示すように、先に第1絶縁膜83および第2絶縁膜85を、第1応力制御膜81および第2応力制御膜82をエッチング・ストッパ膜としてフッ酸溶液を用いて除去してもよい。そして、第1絶縁膜83と第2絶縁膜85とに挟まれていた第2応力制御膜82bの部分を例えばリン酸溶液を用いて時間制御によりエッチングする。この際、第1応力制御膜81および第2応力制御膜82の他の部分もわずかに浸食されるが、第1絶縁膜83と第2絶縁膜85とに挟まれていた第2応力制御膜82bの部分は、薄板状でありその2面からエッチングされるのでエッチング速度が大きく、他に影響を与えることなく除去できる。
【0114】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、第1応力制御膜よりも第2応力制御膜を先に形成し、その順序が異なる以外は第4の実施の形態とほぼ同様に形成する。
【0115】
図23〜図25は、第5の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0116】
最初に、図23(A)の工程では、第4の実施の形態の図19(A)の工程と同様に、シリサイド膜24、25、35、36の形成までを行う。
【0117】
図23(A)の工程ではさらに、上述した熱CVD法により、シリコン基板11および素子分離領域12の表面、およびゲート積層体23、34を覆うように、引っ張り応力を有する第2応力制御膜82を形成する。
【0118】
図23(A)の工程ではさらに、第2応力制御膜82を覆うシリコン酸化膜(例えば膜厚600nm)からなる第1絶縁膜83を形成し、その表面をCMP法により平坦化する。なお、第1絶縁膜83のステップカバレッジが良好な場合は平坦化処理を省略してもよい。
【0119】
次いで、図23(B)の工程では、図23(A)の第1絶縁膜83上にレジスト膜86を形成し、次いで、第1領域13pのレジスト膜86に開口部86−1を形成する。
【0120】
図23(B)の工程ではさらに、レジスト膜86をマスクとして、第1領域13pの第1絶縁膜83をRIE法によりエッチングし、第2応力制御膜82を露出させ、さらに、第1領域13pの第2応力制御膜82をRIE法によりエッチングし、シリコン基板表面とゲート積層体を露出させる。なお、エッチングガスは第4の実施の形態の図19(B)の工程と同様のガスを用いる。
【0121】
次いで、図24(A)の工程では、図23(B)のレジスト膜86を除去し、第2領域13nの第1絶縁膜83を露出させる。次いで、プラズマCVD法を用いて、第1領域13pのシリコン基板11および素子分離領域12の表面およびゲート積層体23と、第2領域13nの第1絶縁膜83を覆う第1応力制御膜81を形成する。第1応力制御膜81は、チャネル領域28に圧縮応力を印加するものである。なお、この際、第1絶縁膜83の側壁にも第1応力制御膜81が薄く付着する。
【0122】
次いで、図24(B)の工程では、図24(A)の構造体を覆う第2絶縁膜85を形成する。第2絶縁膜85は上述した第4の実施の形態の材料を用いることができるが、ここでは、第1絶縁膜83と同じシリコン酸化膜とする。次いで、CMP法により第2絶縁膜85の表面を平坦化し、第1絶縁膜83の表面の第1応力制御膜81を露出させる。
【0123】
図24(B)の工程ではさらに、CMP法により第1絶縁膜83の表面の第1応力制御膜81を除去すると共に平坦化して第2領域13nの第1絶縁膜83を露出する。
【0124】
次いで、図25(A)の工程では、第1絶縁膜83と第2絶縁膜85とに挟まれた第1応力制御膜81を例えばリン酸溶液を用いて時間制御によりエッチングする。第1応力制御膜81のエッチングは、第1絶縁膜83と第2絶縁膜85とに挟まれた部分を除去して、エッチングされた第1応力制御膜81aが、他の第1応力制御膜81の部分と同程度の膜厚になるまで行う。
【0125】
次いで、図25(B)の工程では、図25(A)の第1絶縁膜83および第2絶縁膜85を、第1応力制御膜81および第2応力制御膜82をエッチング・ストッパ膜としてフッ酸溶液を用いて除去し、次いで、第1応力制御膜81および第2応力制御膜82を覆う層間絶縁膜16を形成し、図25(B)に示す半導体装置が形成される。
【0126】
なお、第4の実施の形態と同様に、図25(A)の工程では、先に第1絶縁膜83および第2絶縁膜85を、第1応力制御膜81および第2応力制御膜82をエッチング・ストッパ膜としてフッ酸溶液を用いて除去してもよい。その結果、図26に示す構造体が得られる。そして、第1絶縁膜83と第2絶縁膜85とに挟まれていた第1応力制御膜の部分81bを例えばリン酸溶液を用いて時間制御によりエッチングする。
【0127】
本実施の形態によれば、第1領域13pおよび第2領域13nを覆う第2応力制御膜82および第1絶縁膜83をこの順に形成し、第2領域13nを覆うと共に第1領域13nを開口したレジスト膜86を用いて、第1領域13pの第1絶縁膜83および第2応力制御膜82をエッチングし、さらに、第1応力制御膜81を形成する際は、第2領域13nの第2応力制御膜82がレジスト膜86と同形の第1絶縁膜83に覆われているので、第1応力制御膜81と第2応力制御膜82は互いに重なることなく、あるいは、第1応力制御膜81と第2応力制御膜82のそれぞれの端部が離隔して素子分離領域12やソース・ドレイン領域19、30の表面が露出することが回避される。したがって、第4の実施の形態と同様に、コンタクトホールを形成する際に、コンタクトホールがソース・ドレイン領域19、30の表面に到達せずにコンタクトとソース・ドレイン領域との接触不良の発生や、素子分離領域12の打ち抜きを回避して接合リークの発生を防止できる。
【0128】
以上本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0129】
以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置であって、
前記第1の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜と、
前記第2の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜と、該第2の応力制御膜を覆う前記第1の応力制御膜とを備え、
前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1<t2×P2の関係を有することを特徴とする半導体装置。
(付記2) 前記第1の応力制御膜の膜厚と第2の応力制御膜の膜厚がほぼ同等であり、かつ第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさが第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさよりも大きいことを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記3) 前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさと第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさがほぼ同等であり、かつ第2の応力制御膜の膜厚が第1の応力制御膜の膜厚よりも大きいことを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記4) 半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置であって、
前記第2の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜と、
前記第1の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜と、該第1の応力制御膜を覆う前記第2の応力制御膜とを備え、
前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1>t2×P2の関係を有することを特徴とする半導体装置。
(付記5) 前記第1の応力制御膜の膜厚と第2の応力制御膜の膜厚がほぼ同等であり、かつ第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさが第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさよりも大きいことを特徴とする付記4記載の半導体装置。
(付記6) 前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさと第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさがほぼ同等であり、かつ第1の応力制御膜の膜厚が第2の応力制御膜の膜厚よりも大きいことを特徴とする付記4記載の半導体装置。
(付記7) 前記第2の応力制御膜は、第1の領域と第2の領域に亘って形成されてなることを特徴とする付記4〜6のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
(付記8) 前記第1の応力制御膜または第2の応力制御膜を覆う層間絶縁膜と、
前記層間膜と、第1の応力制御膜および/または第2の応力制御膜を貫通しシリコン基板表面に形成されたシリサイド膜に電気的に接触するコンタクトを更に備えることを特徴とする付記1〜7のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
(付記9) 半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置であって、
前記第1の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜と、
前記第2の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜と、前記第2の応力制御膜を覆い、第2の領域に延在する前記第1の応力制御膜に不純物を導入して改質された第3の応力制御膜とを備え、
前記第3の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP3、膜厚をt3、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t3×P3<t2×P2の関係を有することを特徴とする半導体装置。
(付記10) 半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置であって、
前記第2の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜と、
前記第1の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜と、前記第1の応力制御膜を覆い、前記第1の領域に延在する第2の応力制御膜に不純物を導入して改質された第4の応力制御膜とを備え、
前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第4の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP4、膜厚をt4とすると、t1×P1>t4×P4の関係を有することを特徴とする半導体装置。
(付記11) 前記半導体基板の表面およびゲート積層体を覆うと共に、第1の領域の第1の応力制御膜および第2の領域の第2の応力制御膜の下側に、第1の応力制御膜と異なる材料からなるエッチング・ストッパ膜をさらに備えることを特徴とする付記10記載の半導体装置。
【0130】
(付記12) 半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜を形成する工程と、
前記第1の領域の第2の応力制御膜を選択的に除去し、半導体基板の表面およびゲート積層体を露出する工程と、
前記第1の領域の半導体基板の表面およびゲート積層体と前記第2の領域の第1の応力制御膜を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜を形成する工程とを備え、
前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1<t2×P2の関係を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記13) 前記第1の応力制御膜を形成する工程の後に、該第1の応力制御膜を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜を貫通する溝部を形成する工程と、
前記第1の領域において、前記溝部に連通し、第1の応力制御膜を貫通するコンタクトホールを形成すると共に、前記第2の領域において、前記溝部に連通し、第1の応力制御膜と第2の応力制御膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程を更に備え、
前記第2の応力制御膜は、第1の応力制御膜よりもエッチングレートの大きな材料からなることを特徴とする付記12記載の半導体装置の製造方法。
(付記14) 半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜を形成する工程と、
前記第2の領域の第1の応力制御膜を選択的に除去し、半導体基板の表面およびゲート積層体を露出する工程と、
前記第1の領域の第1の応力制御膜と、第2の領域の半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜を形成する工程とを備え、
前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1>t2×P2の関係を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記15) 前記第2の応力制御膜を形成する工程の後に、該第2の応力制御膜を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜を貫通する溝部を形成する工程と、
前記第1の領域において、前記溝部に連通し、第2の応力制御膜と第1の応力制御膜を貫通するコンタクトホールを形成すると共に、前記第2の領域において、前記溝部に連通し、第2の応力制御膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程を更に備え、
前記第1の応力制御膜は、第2の応力制御膜よりもエッチングレートの大きな材料からなることを特徴とする付記14記載の半導体装置の製造方法。
【0131】
(付記16) 半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜を形成する工程と、
前記第1の応力制御膜を覆う第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の領域において第1の絶縁膜および第1の応力制御膜を選択的に除去して半導体基板表面およびゲート積層体を露出する工程と、
前記第1の領域の第1の絶縁膜と前記第2の領域の半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜を形成する工程と、
前記第2の応力制御膜を覆う第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の領域の第1の絶縁膜が露出するように前記第2の絶縁膜および第2の応力制御膜の一部を平坦化する工程と、
前記第1の絶縁膜および第2の絶縁膜と、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とに挟まれた第2の応力制御膜の一部を除去する除去工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記17) 前記除去工程は、前記第2の応力制御膜の一部を除去し、次いで第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を除去することを特徴とする付記16記載の半導体装置の製造方法。
(付記18) 前記除去工程は、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を除去し、次いで前記第2の応力制御膜の一部を除去することを特徴とする付記16記載の半導体装置の製造方法。
(付記19) 半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜を形成する工程と、
前記第2の応力制御膜を覆う第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の領域において第1の絶縁膜および第2の応力制御膜を選択的に除去して半導体基板表面およびゲート積層体を露出する工程と、
前記第1の領域の半導体基板の表面およびゲート積層体と前記第2の領域の第1の絶縁膜を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜を形成する工程と、
前記第1の応力制御膜を覆う第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の領域の第1の絶縁膜が露出するように前記第2の絶縁膜および第1の応力制御膜の一部を平坦化する工程と、
前記第1の絶縁膜および第2の絶縁膜と、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とに挟まれた第1の応力制御膜の一部を除去する除去工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記20) 前記除去工程は、前記第1の応力制御膜の一部を除去し、次いで第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を除去することを特徴とする付記19記載の半導体装置の製造方法。
(付記21) 前記除去工程は、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を除去し、次いで前記第1の応力制御膜の一部を除去することを特徴とする付記19記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】従来の半導体装置の断面図である。
【図2】(A)および(B)は図1に示す半導体装置の製造工程を示す図である。
【図3】(A)および(B)は図1に示す半導体装置の問題点を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図5】(A)および(B)は第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図6】(A)および(B)は第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その2)である。
【図7】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その3)である。
【図8】第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置の断面図である。
【図9】第1の実施の形態の半導体装置の効果を説明するための図(その1)である。
【図10】第1の実施の形態の半導体装置の効果を説明するための図(その2)である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図12】(A)および(B)は第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図13】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その2)である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図15】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図である。
【図16】第3の実施の形態の変形例に係る半導体装置の断面図である。
【図17】第3の実施の形態の変形例に係る半導体装置の製造工程図である。
【図18】本発明の第4の実施の形態に係る製造方法により形成した半導体装置の断面図である。
【図19】(A)および(B)は第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図20】(A)および(B)は第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その2)である。
【図21】第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その3)である。
【図22】第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の変形例を示す図である。
【図23】(A)および(B)は本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図24】(A)および(B)は第5の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その2)である。
【図25】(A)および(B)は第5の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その3)である。
【図26】第5の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0133】
10、50、60、70、75、80 半導体装置
11 シリコン基板
12 素子分離領域
13n 第2領域
13p 第1領域
14 p型MOSトランジスタ
15 n型MOSトランジスタ
16 層間絶縁膜
16−1〜16−2 コンタクトホール
18 n型ウェル領域
19、30 ソース・ドレイン領域
20、31 ゲート酸化膜
21、32 ゲート電極
22、33 側壁絶縁膜
23、34 ゲート積層体
24、25、35、36 シリサイド膜
26、81 第1応力制御膜
28、39 チャネル領域
29 p型ウェル領域
38、82 第2応力制御膜
40、61、71、76、84、86 レジスト膜
42 コンタクト
83 第1絶縁膜
85 第2絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置であって、
前記第1の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜と、
前記第2の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜と、該第2の応力制御膜を覆う前記第1の応力制御膜とを備え、
前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1<t2×P2の関係を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置であって、
前記第2の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜と、
前記第1の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜と、該第1の応力制御膜を覆う前記第2の応力制御膜とを備え、
前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1>t2×P2の関係を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置であって、
前記第1の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜と、
前記第2の領域に配設され、半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜と、前記第2の応力制御膜を覆い、第2の領域に延在する前記第1の応力制御膜に不純物を導入して改質された第3の応力制御膜とを備え、
前記第3の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP3、膜厚をt3、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t3×P3<t2×P2の関係を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜を形成する工程と、
前記第1の領域の第2の応力制御膜を選択的に除去し、半導体基板の表面およびゲート積層体を露出する工程と、
前記第1の領域の半導体基板の表面およびゲート積層体と前記第2の領域の第2の応力制御膜を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜を形成する工程とを備え、
前記第1の応力制御膜の圧縮応力の大きさをP1、膜厚をt1、第2の応力制御膜の引っ張り応力の大きさをP2、膜厚をt2とすると、t1×P1<t2×P2の関係を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板の第1の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するp型MOSトランジスタと、該半導体基板の第2の領域に配設され、不純物領域と、ゲート酸化膜およびゲート電極からなるゲート積層体を有するn型MOSトランジスタとを備える半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う圧縮応力を有する第1の応力制御膜を形成する工程と、
前記第1の応力制御膜を覆う第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の領域において第1の絶縁膜および第1の応力制御膜を選択的に除去して半導体基板表面およびゲート積層体を露出する工程と、
前記第1の領域の第1の絶縁膜と前記第2の領域の半導体基板の表面およびゲート積層体を覆う引っ張り応力を有する第2の応力制御膜を形成する工程と、
前記第2の応力制御膜を覆う第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の領域の第1の絶縁膜が露出するように前記第2の絶縁膜および第2の応力制御膜の一部を平坦化する工程と、
前記第1の絶縁膜および第2の絶縁膜と、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とに挟まれた第2の応力制御膜の一部を除去する除去工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2006−80161(P2006−80161A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260140(P2004−260140)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】