説明

半導体装置の不良解析方法、チップ状半導体装置の不良解析方法及び半導体装置の動的不良解析装置

【課題】半導体装置の動的解析を短時間で行う技術を提供する。
【解決手段】SDL/LADA解析に用いるスポット光12の径を変更可能なようにする。大径のスポット光による検査対象の半導体装置の照射中、テスタは該当する照射範囲の電気的動作の検証を行う。この照射中、不良箇所を見つけた場合には、小径のスポット光に切り替えて、検査対象の半導体装置に照射し、テスタによるより小範囲の電気的動作の検証を行う。これを反復することで、不良箇所の特定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の不良解析技術、特に動的な状態での不良解析に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の動的な不良解析手法としては、レーザ顕微鏡とテスタを組み合わせたDLS解析(Dynamics Laser Stimulation)が知られている。DLS解析は半導体装置がぎりぎりに動作する状態に電圧や周波数を設定した状態で半導体装置の表面あるいは裏面からレーザ光を照射・走査する。このレーザ光の照射・走査により、その熱で生じる配線やビアの抵抗変化あるいはレーザ光励起で生じるトランジスタの特性の変化による信号遅延時間からPass/Failを判定する。そして判定結果をレーザ照射位置に同期して画像表示することにより不良箇所を特定する手法である。
【0003】
DLS解析には、SDL解析(Soft Defect Localization)とLADA解析(Laser Assisted Device Alteration)が存在する。
【0004】
SDL解析は、OBIRCH解析(Optical Beam Induced Resistance CHange)と同様に、レーザ照射による熱で半導体装置内の配線やビアの抵抗を変化させ、それによって生じる信号遅延時間からPass/Failを判定する。SDL解析は配線系の高抵抗不良検出に用いられることが多い。
【0005】
一方、LADA解析は、波長1.06μmのレーザ光を照射・走査し、その光エネルギでセル内に電子―正孔対を生じさせ、トランジスタ特性を変化させ、それによって生じる信号遅延時間からPass/Failを判定する。LADA解析はセル内故障やクリティカルパス(信号の伝播経路が最も遅くなる経路)の検出に主に用いられる。
【0006】
これらに関する先行文献としては以下のようなものが挙げられる。
【0007】
(株)東芝;DLS解析システムの構築;LSITS/2007会議録;pp363−368(非特許文献1)には、一般的なDLS解析の手法が開示されている。
【0008】
(株)富士通;レーザビーム光照射によるLSI回路のダイナミック解析;LSITS/2004会議録;pp303−308(非特許文献2)及び(株)富士通;レーザビーム光を用いたLSIのダイナミック故障解析事例;LSITS/2005会議録;pp309−314(非特許文献3)にはSDL解析およびレーザ光照射位置に同期して画像表示することで不良箇所を特定する手法が開示されている。
【0009】
LSIテスティング学会;LSIテスティングハンドブック;pp307−311(非特許文献4)にはLADA解析時に、上記の波長1.06μmのレーザ光の照射・走査によって生じる熱により抵抗値が変化することを利用してLADA解析とSDL解析の混合解析を実行することが開示されている。
【0010】
また、これらを利用した応用事例としては、以下のような公知文献が挙げられる。
【0011】
特開2007−127499号公報(特許文献1)には、SDL解析及びOBIRCH解析を用いてX方向及びY方向の一次元の像を取得し、これらの取得した一次元の像から演算で二次元の像を再構築する方法が開示されている。
【0012】
また、特開2008−300486号公報(特許文献2)には、SDL解析およびレーザ光照射位置に同期して画像表示する技術が開示されている。すなわち、レーザ光を走査した状態で並行して解析及び画像表示を行うことで、処理時間の短縮を図っている。
【0013】
具体的には、1回のテスト時間中にレーザ光を一定距離移動させ、その区間の判定結果をレーザ照射位置に対応させて二次元配列し、Fail判定結果がレーザ光の走査方向の直交方向に連続する場合(例えば3画素以上)を不良領域と判定し、それ以外(2画素以下)の判定結果は良領域と判定し二次元画像表示をする。これにより、1回のテスト時間中にレーザ光を15画素分移動させた場合、前述のレーザ照射箇所毎にテストプログラムを走らせて解析を進める場合よりも、解析時間が1/15で済むこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−127499号公報
【特許文献2】特開2008−300486号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】(株)東芝;DLS解析システムの構築;LSITS/2007会議録;pp363−368
【非特許文献2】(株)富士通;レーザビーム光照射によるLSI回路のダイナミック解析;LSITS/2004会議録;pp303−308
【非特許文献3】(株)富士通;レーザビーム光を用いたLSIのダイナミック故障解析事例;LSITS/2005会議録;pp309−314
【非特許文献4】LSIテスティング学会;LSIテスティングハンドブック;pp307−311
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これらの解析手法は、レーザ照射箇所を1画素として、画素毎にテストプログラムを走らせて解析を進めることから、照射するレーザ光の照射スポット径が小さいほど不良箇所を正確に特定することが可能である。
【0017】
しかし、微小スポットのレーザ光を用いるほど、画素数(=解析点数)が増加する。その為、半導体装置全体の解析に多大な時間を要することとなる。
【0018】
例えば、10mm×10mmの半導体装置のチップにスポット径φ2μmのレーザ光を2μmピッチで照射し、テスト時間200μsecと仮定した場合を考える。この場合の解析時間は、単純計算でも解析点数(5000×5000)×テスト時間(200μsec)=5000sec=1.4時間となる。もし1回の解析で不良箇所の特定に至らない場合は、上記解析を複数回(N回)繰り返すために、更にこのN倍の時間がかかることとなる。
【0019】
特許文献1では、ライン状に成形した光を用いて、1個の半導体装置あるいはΦ300mmウェハに対して、Y方向に長い形状の光でX方向に走査し、X方向に長い形状の光でY方向に走査する。しかし、一般的な半導体装置1個の寸法は5mm×5mmから10mm×10mmであり、これを横切るライン形状の光において横手方向(=幅の狭い側)がμmオーダの微細な照射寸法を得ることは、回折等の影響により非常に難しい。現実的には、1個の半導体装置を横切るライン形状の光を得る光学系は低倍率の物となり、得られるライン形状の横手方向の寸法は低倍率対物レンズで得られるスポット径と同程度の物となる。2つのライン形状の光の交差部から特定した不良領域を高倍率対物レンズで更に絞り込む必要がある。
【0020】
また特許文献2の方法では、Pass/Fail変化を生じる前に不良箇所をレーザ光が通過し、反応不十分で見落とす可能性がある。また、見落としを回避するために複数回繰り返すと、結局解析時間はさほど短縮されないと考えられる。
【0021】
さらに、Pass/Fail変化の促進を狙ってレーザ光の照射パワーをあげた場合、1)レーザ光の密度が高くなることと、2)半断線状態の不良箇所は熱的に不均一かつ耐パワー性が正常部に比べて低いこと、から焼損する虞がある。仮に、スポット径Φ2μm、パワー100mWのレーザ光を照射した場合のパワー密度は3.2×10W/cmであり、不良箇所はおろか微細配線にもダメージを与える値になる。
【0022】
本発明の目的は、半導体装置の動的解析を短時間で行う技術を提供することにある。
【0023】
また、本発明の別の目的として、一度の解析で不良領域を確実に絞り込む技術を提供することにある。
【0024】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0026】
本発明の代表的な実施の形態に関わる半導体装置の不良解析方法は、解析領域を包含する大寸法スポット光を用いて不良領域を絞り込む第1の解析ステップと、第1の解析ステップで絞り込んだ不良領域を微小スポット径のレーザ光を用いて不良箇所を特定する第2の解析ステップと、を含むことを特徴とする。
【0027】
本発明の代表的な実施の形態に関わるウェハ中のチップ状半導体装置の不良解析方法は、解析対象のチップ状半導体装置を包含するスポット光を照射することで動的解析を行うことを特徴とする。
【0028】
本発明の代表的な実施の形態に関わる半導体装置の動的不良解析装置は、動的解析を行うテスタと、テスタと解析対象の半導体装置との間を電気的に接続する電気的接続手段と、解析対象の半導体装置を搭載するステージと、ステージ上の解析対象の半導体装置の不良領域の絞り込みに用いる第1の光学系と、ステージ及び第1の光学系を制御すると共にテスタとの信号の授受と解析装置とのデータの転送を行う制御装置と、を含むことを特徴とする。
【0029】
この半導体装置の動的不良解析装置において、第1の光学系は、出力の調整可能な解析用光源と、解析用光源から出射される光から解析領域に応じたスポット光を得る整形手段と、スポット光の波長を制限する波長選択手段と、を含むことを特徴としても良い。
【0030】
この半導体装置の動的不良解析装置において、解析用光源はハロゲンランプやキセノンランプ等の各種ランプあるいはダイオードレーザを光源として用いることを特徴としても良い。
【0031】
この半導体装置の動的不良解析装置において、解析対象の半導体装置のスポット光の被照射箇所の温度を検知する温度検知手段を更に含むことを特徴としても良い。
【0032】
この半導体装置の動的不良解析装置において、さらに解析対象の半導体装置を観察するための観察光学系を含むことを特徴としても良い。
【0033】
この半導体装置の動的不良解析装置において、さらに、第1の光学系で絞り込んだ不良領域から不良箇所を特定するための第2の光学系を含むことを特徴としても良い。
【0034】
この半導体装置の動的不良解析装置において、制御装置は第2の光学系も制御することを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0035】
本発明に関わる半導体装置の不良解析方法及び半導体装置の不良解析装置を導入することで、ウェハ全体からチップの不良解析を行う際の時間を短縮することが可能となる。
【0036】
また、本発明に関わる半導体装置の不良解析方法及び半導体装置の不良解析装置を導入することで、SDL解析・LADA解析時のレーザ光による焼損を防止し、歩留まりを上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態の第1の解析工程に関わるウェハ状態の半導体装置に対する不良チップの選別から不良領域の絞り込みまでの手順を示す概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に関わる第2の解析方法において焦点距離10mmの対物レンズを用いて不良領域を絞り込み後、焦点距離2mmの対物レンズを用いて不良箇所の特定を行う概念図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に関わる解析工程に用いる解析装置の一形態を表すブロック図である。
【図4】図3の解析装置における光学系の具体例を表すブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に関わる光学系の一部の内部構成を表すブロック図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に関わる解析装置の光学系に関するブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に関わる別の解析装置の光学系に関するブロック図である。
【図8】図1で述べた第1の解析工程を図6及び図7の光学系で行った場合の説明図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に関わる解析工程に用いる解析装置の一形態を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。しかし、特に明示した場合を除き、それは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部又は全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものでなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0039】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合を除き、必ずしも必須のものでないことは言うまでもない。
【0040】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0041】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の第1の解析工程に関わるウェハ状態の半導体装置に対する不良チップの選別から不良領域の絞り込みまでの手順を示す概念図である。
【0042】
(第1の解析工程)
図1(a)はウェハ状態の半導体装置をチェックする概念図、図1(b)はウェハで不良の特定がなされた半導体装置の1回目の不良領域の絞り込みについての概念図、図1(c)は1回目の不良領域で特定したエリアから更に不良箇所を絞り込む2回目の不良領域の絞り込みについての概念図である。
【0043】
最初に図1(a)の工程について説明する。
【0044】
まずウェハ100を図示していないステージ上に搭載する。位置合わせ後、同じく図示していないプローブカードを用いて、パッド又はバンプに針当てをする。
【0045】
プローブカードに設けたスポット光の照射のための開口からチップ101全体を包含するスポット径(例えば、チップ101の寸法が10mm×10mmの場合、スポット径はφ14.2mm)を持つスポット光12を照射する。
【0046】
もし、パッドやバンプがチップ101全体に配置されてプローブカードに前記開口を設けられない場合には、前記ステージのウェハ100搭載面をガラスで構成し、ガラス越しにSi基板側からスポット光12を照射する。
【0047】
ここで用いるスポット光12は、SDL解析の場合とLADA解析の場合とで波長を選ぶ必要がある。即ち、前述したように、SDL解析では温度上昇による配線やビアの抵抗変化によって生じる信号遅延時間の長/短でPass/Failを判断することから、基本的に被照射部に吸収されたスポット光12が熱に変われば何れでも良い。
【0048】
しかし、LADA解析においては、光のエネルギによって電子−正孔対をセル内に生じさせることで生ずるタイミング変動からPass/Failを判断することから、セル内に電子−正孔対を生じさせる波長1.1μm以下の光を照射する必要がある。
【0049】
以上のことから、SDL解析において、半導体装置表面から照射する場合は波長1.1μm以上のスポット光12を用いる。また、SDL解析で半導体装置裏面から照射する場合はSi基板をほとんど透過しない波長あるいは波長1.1μm以上のスポット光12を用いる。
【0050】
一方、LADA解析においては、半導体装置表面から照射する場合は可視域から波長1.1μmのスポット光12を用い、半導体装置裏面から照射する場合は波長1〜1.1μmのスポット光12を用いる。
【0051】
スポット光12を照射開始後、テストプログラムを走らせ、対象のチップ101が良品か不良品かを判定する。
【0052】
1個目のチップ101の良品/不良品判定を終了後、スポット光12の照射を停止し、プローブカードを上げてステージを移動する。その後、2個目のチップ101に針当てし、1個目と同様に解析を行う。
【0053】
以上の動作を繰り返し、最終的に図1(a)下段に示すような良品/不良品の判定マップを作成する。
【0054】
次に図1(b)について説明する。
【0055】
上記工程を経ることでウェハ100上の良品、不良品の選別がなされることとなる。上記図1(a)関連の手順で得られたマップから解析対象の不良チップ101aを選択し、絞り込みのための解析領域を設定する。この解析領域に応じて絞り込みに用いるスポット光12のスポット径を設定する。例えば、チップ寸法10mm×10mmをX方向・Y方向共に10等分して解析領域を一辺1mmの正方形とした場合、この領域を包含するスポット径φ1.5mmとする。
【0056】
これにより、解析点数は10×10=100となる。
【0057】
上記工程と同様に不良チップ101aのパッドあるいはバンプにプローブカードの針を当て、最初の解析領域に位置合わせ後、スポット光12を照射する。次いで、テストプログラムを走らせ、Pass/Fail判定を行う。判定結果が得られたら、スポット光12の照射を停止し、次の解析領域にステージを移動し、1箇所目と同様に解析を行う。
【0058】
以上の動作を繰り返し、最終的に図1(b)下段に示すようなPass/Fail判定マップを作成する。
【0059】
最後に図1(c)について説明する。
【0060】
さらに絞り込みを行う場合は、プローブカードの針を当てた状態で図1(c)へと進む。
【0061】
図1(b)で絞り込んだ1mm×1mmの不良領域102を選択し、図1(b)の工程と同様に解析領域を設定する。例えば、図1(b)の解析領域を更に10等分し、解析領域を0.1mm×0.1mm、スポット径φ0.15mmとする。
【0062】
図1(b)の処理と同様に、最初の解析領域を位置合わせ後、スポット光12照射→テストプログラムRUN→Pass/Fail判定→スポット光12の照射停止→ステージ移動を繰り返し、図1(c)下段に示すようなPass/Fail判定マップを作成する。
【0063】
以上の操作により、不良領域103は0.1mm×0.1mmまで絞り込まれる。続いて、第2の解析工程で不良箇所の特定を行う。
【0064】
(第2の解析工程)
続いて、第2の解析工程について説明する。
【0065】
第1の解析工程により、概ねの不良箇所を特定できるので、次はより厳密な不良箇所の特定を行うこととなる。
【0066】
この解析工程では、用いる光学系から得られるスポット径で設定する。
【0067】
例えば、レーザ光の波長が1.3μm、レーザ光のビーム径φ1mm、対物レンズの焦点距離10mmの場合、得られるスポット径はφ16.6μmとなり、これに包含される正方形は11.7μm×11.7μmとなる。
【0068】
また、対物レンズの焦点距離が5mmの例では、スポット径φ8.3μmで、これに包含される正方形は一辺5.8μmである。さらに対物レンズの焦点距離を2mmとした場合、得られるスポット径はφ3.3μmとなり、これに包含される正方形は一辺2.3μmである。
【0069】
第1の解析工程の図1(c)までで絞り込んだ0.1×0.1mmの不良領域103に対し、焦点距離2mmの対物レンズで解析すると、解析点数は43×43=1849となり、解析時間が長くなる。従って、第1の解析工程で不良領域103を20μm×20μm程度まで絞り込むか、あるいは本解析工程で先ず焦点距離10mmの対物レンズを用いて絞り込む。
【0070】
焦点距離10mmの対物レンズを用いた場合の解析点数は、9×9=81となる。
【0071】
図2は、本発明の第1の実施の形態に関わる第2の解析方法において焦点距離10mmの対物レンズを用いて不良領域を絞り込み後、焦点距離2mmの対物レンズを用いて不良箇所の特定を行う概念図である。
【0072】
ここで不良領域103は第1の解析工程の図1(c)下図のそれと同じものである。
【0073】
この0.1mm×0.1mmまで絞り込まれた不良領域103に対して、X方向およびY方向に9等分し、解析領域を一辺11.1μmの正方形とする。
【0074】
第1の解析工程手順と同様に、不良チップ101aのパッドあるいはバンプにプローブカードの針を当て、解析領域を位置合わせ後、レーザ光42照射→テストプログラムRUN→Pass/Fail判定→レーザ光42の移動を繰り返し、図2(a)下段に示すようなPass/Fail判定マップを作成する。
【0075】
次に、絞り込まれた不良領域104から焦点距離2mmの対物レンズを用いて不良箇所の特定を行う。焦点距離2mmの対物レンズで得られるスポット径に包含される正方形は一辺2.3μmであることから、不良領域104(一辺22.2μm)をX方向およびY方向に10等分し、解析領域を一辺2.2μmとする。
【0076】
そして、第1の解析工程同様に解析領域を位置合わせした後、レーザ光42a照射→テストプログラムRUN→Pass/Fail判定→レーザ光42aの移動を繰り返し、図2(b)下段に示すようなPass/Fail判定マップを作成し、不良箇所を特定する。
【0077】
本実施の形態の不良箇所特定方法には以下のような効果がある。
【0078】
上記第1の解析工程では、チップサイズを一辺10mmと仮定している。図1(a)のウェハ100がφ300mmの場合、約650チップを取得できる。仮に、チップ1個当たりの解析時間を1sec、チップ間のステージ移動時間を1secとした場合、φ300mmウェハ中の全チップの動的な良品/不良品の選別時間は1sec/チップ×650チップ+1sec/移動×649移動=1299sec=21.7minとなる。
【0079】
第1の解析工程の図1(b)以降では、1チップ当たりの解析時間となる。図1および図2の解析手順から解析時間をトータルすると、下記の通りとなる。
【0080】
図1(b)では、一辺10mmのチップ101aをX方向・Y方向共に10等分(解析領域の寸法=一辺1mm)し、解析点数を10×10=100としている。また図1(c)では、図1(b)における解析領域の寸法一辺1mmをさらにX方向・Y方向共に10等分(解析領域の寸法=一辺0.1mm)し、解析点数を10×10=100としている。
【0081】
仮に、図1(b)及び図1(c)の解析点数1箇所当たりの解析時間を1sec、解析領域間のステージ移動時間を1secとした場合、一辺10mmの不良チップ101aから不良領域を一辺0.1mmの矩形領域に絞り込むトータル解析時間は、2×(1sec/箇所×100箇所+1sec/移動×99移動)=398sec=6.6minとなる。
【0082】
以上のことから、φ300mmウェハの全チップの良品/不良品の判定を行い、その中の不良チップ1個の不良領域を一辺0.1mmの矩形領域に絞り込むまでのトータル時間は1299sec+199sec+199sec=1697sec=28.3minとなる。
【0083】
もし、650チップ/ウェハの10%が不良チップで、それら全てを一辺0.1mmの矩形領域までに絞り込む場合のトータル時間は1299sec+650×0.1×(199sec+199sec)=27169sec=452.8min=7.5hrとなる。
【0084】
第2の解析工程では一辺0.1mmの不良領域103から不良箇所105の特定までを行っている。一辺0.1mmのチップ101aをX方向・Y方向共に9等分(解析領域の寸法=一辺1mm)し、解析点数を9×9=81としている。そして、絞り込んだ不良領域104(一辺22.2μm)をさらにX方向・Y方向共に10等分し、解析点数を10×10=100としている。仮に、これらの解析点数1箇所当たりの解析時間を非特許文献3と同じ200μsecとした場合、一辺0.1mmの不良領域103から不良箇所105を特定するまでのトータル解析時間は、200μsec/箇所×81箇所+200μsec/箇所×100箇所=36.2msecとなる。
【0085】
以上のことから、1チップのトータル解析時間は398sec+36.2msec=398.04secとなる。この値は、非特許文献3(解析時間=600sec)の約2/3である。
【0086】
しかも、解析領域を包含するサイズでスポット光12及びレーザ光42を照射し、解析領域毎にPass/Fail判定を行っているため、従来例のようなレーザスポット間の未照射部による不良箇所の見落としが無く、確実な判定結果が得られる。
【0087】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態に付いて図を用いて説明する。この実施の形態は、第1の実施の形態を実現するための装置の構成に関するものである。
【0088】
図3は、本発明の第2の実施の形態に関わる解析工程に用いる解析装置の一形態を表すブロック図である。
【0089】
この解析装置は、光学系10、テスタ50、DUTボード51、制御装置60、ステージ61、表示装置62及び第2の解析装置200を含んで構成される。
【0090】
光学系10は、ウェハ100の観察像を取得すると共に、不良領域の絞り込みに用いるスポット光12をウェハ100に照射する光学装置群である。
【0091】
テスタ50は、解析領域のPass/Fail判定を行う判定装置である。テスタ50にはチップ101を装着するソケットを備えたDUTボード51が電気的に接続されている。
【0092】
DUT(Device Under Test)ボード51は、被測定デバイスとテストヘッドの間に介在し、試験に必要な信号を伝達する電気的接続手段のことをいう。ここでDUTとは試験対象デバイスのことであり、本稿においてはチップ101のことを指す。
【0093】
制御装置60は、DUTボード51を搭載してXY方向に移動可能なステージ61及び光学系10を制御する。
【0094】
制御装置60による光学系10の制御対象は図4であらためて詳述する。
【0095】
また、制御装置60は、テスタ50との信号の授受および不良領域の絞り込みデータを第2の解析装置200に送る。
【0096】
さらに制御装置60は、光学系10で取得した観察像およびテスタ50による解析像及び判定結果を表示装置62に送る。
【0097】
ステージ61は、スポット光12の照射位置を微調整するためのX方向及びY方向へ可動可能な台(ステージ)である。
【0098】
表示装置62は、テスタ50より送られてきた解析像及び判定結果を表示する液晶表示装置などである。
【0099】
次に、光学系10について詳述する。
【0100】
図4は、図3の解析装置における光学系10の具体例を表すブロック図である。
【0101】
この光学系10は、光源11、波長選択フィルタ21、ハーフミラー22、パワーメータ23、シャッタ24、ダイクロイックミラー25、対物レンズ群26、照明光源30、ハーフミラー32、結像レンズ33、カメラ34を含んで構成される。
【0102】
光源11はハロゲンランプ、キセノンランプなどの各種ランプあるいはダイオードレーザを用いた光源である。この光源11からスポット光12が照射される。
【0103】
波長選択フィルタ21は、光源11から照射されるスポット光12から特定の波長の光のみを透過させ、他の波長の光を遮るフィルタである。通常の光源では、一定の範囲内の全ての波長の光を包含するため、その中から一定の周波数の光を抽出する役割を波長選択フィルタ21は果たす。波長選択フィルタ21は、SDL解析あるいはLADA解析に適した波長を選択する。
【0104】
SDL解析においてチップ101表面から照射する場合には、波長選択フィルタ21には、1.1μm以上の波長を選択する。
【0105】
SDL解析においてチップ101の裏面から照射する場合には、波長選択フィルタ21には、チップ101のシリコン基板を透過しない可視域あるいは1.1μm以上の波長を選択する。
【0106】
LADA解析においてチップ101表面から照射する場合には、波長選択フィルタ21には、1.1μm以下の波長を選択する。
【0107】
LADA解析においてチップ101の裏面から照射する場合には、1.0〜1.1μmの波長を選択する。
【0108】
なお、波長選択フィルタ21は複数種類用意し、適宜切り替えられるようにしても良い。
【0109】
ハーフミラー32は、スポット光12に対する反射率が5%以下であるハーフミラーである。
【0110】
パワーメータ23は、ハーフミラー22が反射したスポット光12のパワー(=スポット光12の光量)を測定し、測定結果を制御装置60に送るための光パワーメータである。
【0111】
シャッタ24は、ハーフミラー22を透過したスポット光12の光路に入出することで、チップ101へのスポット光12の照射をON/OFFする。
【0112】
図4では、シャッタ24について、機械的なシャッタを示している。しかし、シャッタ24として、AO(Acoustic−Optics)素子やEO(Electro−Optics)素子、液晶素子といった光変調素子を用いても良い。これらを用いる事で、高速なシャッタのON/OFF切替を行うことが可能となる。
【0113】
ダイクロイックミラー25は、特定の波長の光を反射しその他の波長の光を透過する鏡である。本発明においては、SDL/LADA解析に用いるスポット光12と該スポット光12の照射位置決め及びチップ101の観察を行うための観察光31(後述)とを分離する。
【0114】
対物レンズ群26は、焦点距離の異なる(=倍率の異なる)複数の対物レンズから構成された一群の対物レンズである。
【0115】
この対物レンズ群26によって、スポット光12は解析領域に応じたスポット径でチップ101に集光・照射される。
【0116】
照明光源30は、チップ101の観察を行うための観察光31の光源である。本発明においては、観察光31はカメラ34に対して有効な波長を持つことが望ましい。またダイクロイックミラー25でスポット光12と観察光31を分離することを考えると、観察光31の波長はスポット光12の波長と異なることが不可欠である。
【0117】
ハーフミラー32は、照明光源30から出射された観察光31の光路を曲げ、チップ101が反射した観察光31をそのままカメラ34に透過させるハーフミラーである。
【0118】
結像レンズ33はチップ101が反射した観察光31を集光し、カメラ34に入力するための結像レンズである。
【0119】
カメラ34は、観察光31によりチップ101の表面を撮影するためのカメラである。
【0120】
なお、制御装置60による光学系10の制御対象としては、1)対物レンズ群26のレンズ切替、2)光源11の光量の増減、3)波長選択フィルタ21の切替(複数枚あれば)、4)シャッタ24の開閉、5)カメラ34の画像取得タイミング、6)対物レンズ群26のフォーカシング、などが上げられる。
【0121】
また、制御装置60に対して返す光学系10の情報としては、パワーメータ23で取得した光源11の光量情報が上げられる。
【0122】
以上のような構成により、以下の効果が上げられる。
【0123】
通常の解析装置では、光源にハロゲンランプ、キセノンランプなどの各種ランプ、あるいはダイオードレーザを採用している。これらの内、ダイオードレーザ以外はYAGレーザやYLFレーザのように微細なスポット径を得ることは難しい。一方で、大スポット径を得るのは容易であり、またハロゲンランプ、キセノンランプは安価に入手可能である。
【0124】
本発明の上記解析装置を適用することで、ハロゲンランプ、キセノンランプなどを用いても小径のスポット光を得ることが可能となる。またハロゲンランプ、キセノンランプなどの各種ランプから得られる発光スペクトルの波長は、可視光のそれから赤外線の波長までと幅広い。このため、波長選択フィルタ21によりSDL解析及びLADA解析に適した波長を得ることが容易であり、従来のように波長の異なるレーザ発振器を複数台設ける必要が無いという利点がある。
【0125】
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態に付いて説明する。
【0126】
第2の実施の形態に関わる解析装置では、光学系10から制御装置60に対して返される情報がパワーメータ23で取得した光源11の光量情報のみであった。これを補強するためにより多くの情報を制御装置60に対して提供可能なようにするのが本発明の第3の実施の形態である。
【0127】
図5は、本発明の第3の実施の形態に関わる光学系10の一部の内部構成を表すブロック図である。
【0128】
本実施の形態では、第2の実施の形態の光学系10に対して、放射温度計28を追加すること及び対物レンズ群26で用いられる対物レンズを改良したものとするところに特徴がある。このため、ダイクロイックミラー25と検査対象であるチップ101の間にリングミラー27が設けられる構成を採る。
【0129】
本実施の形態で用いられる対物レンズ群26に採用される対物レンズはスポット光12を集光するレンズ26aと、リング状レンズ26bから構成される。
【0130】
チップ101のスポット光12被照射部は加熱されて放射光13を発する。この放射光13をリング状レンズ26bにより集光される。なお、リング状レンズ26bの代わりにガラスファイバを用いても良い。
【0131】
リングミラー27は、その開口部によりスポット光12の波長を透過すると共に、チップ101からの反射光が放射温度計28に入力されることを防止する。一方、リング状レンズ26bにより集光された放射光13はリングミラー27で反射して放射温度計28に導く。
【0132】
放射温度計28は、放射光13の波長及び強度からチップ101の実温度を検知できる。放射温度計28は、この検知結果を制御装置60に送る。制御装置60は、該データ及び第2の実施の形態で説明した光源11の光量情報に基づき、光源11の出力を調整する。
【0133】
これにより、チップ101を所望の温度に加熱することが可能となり、不良領域を過剰に加熱することを防止できる。このため、不良箇所を損傷することなく、不良領域を絞り込むことがより確実に可能となる。
【0134】
なお、放射温度計28を設けた場合、パワーメータ23及びハーフミラー22を無くすことも設計上の選択肢に含まれる。
【0135】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態に付いて図を用いて説明する。本実施の形態では、スポット光12の整形手段の提供を目的とする。
【0136】
図6は、本発明の第4の実施の形態に関わる解析装置の光学系10に関するブロック図である。また図7は本発明の第4の実施の形態に関わる別の解析装置の光学系10に関するブロック図である。
【0137】
本実施の形態では波長選択フィルタ21とハーフミラー22の間に、可変アパーチャ35aなどの整形手段35と、結像レンズ36を挿入する点に特徴がある。
【0138】
整形手段35は、スポット光12の半径方向の断面形状を矩形に整形するものである。
【0139】
図6では、整形手段35として可変アパーチャ35aを用いている。この可変アパーチャ35aは、制御装置60からの指令に基づき、図示しない駆動機構により解析領域に応じた任意の矩形開口部を形成する。
【0140】
また図7では、整形手段35として透過型液晶素子35bを用いている。この透過型液晶素子35bは、制御装置60からの指令に基づき、解析領域に応じた透過領域を設定する。
【0141】
これらの構成要素を挿入することで、光源11からダイクロイックミラー25までは以下のような動作となる。
【0142】
光源11から出射されたスポット光12は、整形手段35に達し、結像レンズ36と対物レンズ群26による総合倍率Mと解析領域の寸法から設定された矩形開口(可変アパーチャ35aの場合)あるいは透過領域(透過型液晶素子35bの場合)を通過することで整形される。その後、ダイクロイックミラー25により光路が曲げられて対物レンズ群26によりチップ101上に投射投影される。
【0143】
図8は図1で述べた第1の解析工程を図6及び図7の光学系で行った場合の説明図である。
【0144】
不良チップの選別では、チップ101全体に照射されるよう、矩形開口あるいは透過領域の寸法を設定する。例えば、チップ101の寸法が10mm×10mm、総合倍率Mが5倍の場合には矩形開口あるいは透過領域の寸法を一辺50mmに設定する。
【0145】
1回目および2回目の絞り込みも同様に、矩形開口あるいは透過領域の寸法を(解析領域の寸法×M)に設定する。もし、2回目の絞り込みにおいて、矩形開口あるいは透過領域の寸法が小さくなりすぎる場合には、対物レンズ群26の倍率を高くする。これにより、非透過部に照射される比率が小さくなり、整形手段への熱影響および無駄なエネルギ損失が抑えられる。
【0146】
本方式を用いることにより、スポット光12の中心部、即ちパワー密度が略均一な部分を抽出して用いることが可能なため、パワー密度不均一による見落としや不良部の損傷を防止できる。
【0147】
また、整形手段35に透過型液晶素子35bを用いることで、ステージ61を移動することなく、設定された解析領域にスポット光12を順次照射できる。このため、解析時間を短縮できる。
【0148】
(第5の実施の形態)
最後に、第5の実施の形態に付いて、図を用いて説明する。
【0149】
図9は、本発明の第5の実施の形態に関わる解析工程に用いる解析装置の一形態を表すブロック図である。
【0150】
この解析装置は、第2の実施の形態でも述べたテスタ50、DUTボード51、制御装置60、ステージ61、表示装置62の他に、レーザ発振器201、走査光学系203、切替ミラー204、ダイクロイックミラー205、観察光学系206、集光光学系208、光学系209を含む。
【0151】
レーザ発振器201及び走査光学系203は、第2の解析工程に用いるものである。レーザ発振器201から出射されたレーザ光202は走査光学系203によりXY平面上の任意領域に走査される。ここで用いるレーザ発振器201は、SDL解析とLADA解析で波長が異なるのは既に述べたとおりである。SDL解析では発振波長1.3μmのYLFレーザ、LADA解析用には波長1.06μmのYAGレーザが一般的に用いられるが、これに拘るものではない。
【0152】
制御装置60は、レーザ発振器201及びその出力であるレーザ光202を制御する。また走査光学系203に対して、制御装置60は走査領域及び走査速度を制御する。
【0153】
切替ミラー204は、第1の解析工程に用いるスポット光12と第2の解析工程に用いるレーザ光202の何れかをウェハ100もしくはチップ101に照射するためのものである。切替ミラー204が光路中にある場合には、スポット光12の光路が切替ミラー204により曲げられてウェハ100/チップ101に照射される。切替ミラー204が光路外にある場合にはレーザ光202が通過してウェハ100/チップ101に照射される。
【0154】
なお、切替ミラー204を偏光素子に置き換えてもかまわない。ここでの偏光素子とはある一方向の偏光(例えばP偏光)に対して、透過の特性を有し、それ以外の偏光に対しては反射の特性を有するものである。一般的にレーザ光202は直線偏光の特性を有していることから、それに応じた偏光素子を用いればよい。
【0155】
このように切替ミラー204を偏光素子に置き換えると、切替ミラー204を光路中に入出させる機械的構造が不要となる。さらに、スポット光12とレーザ光202を同時に照射することも可能となる。SDL解析を行う場合を考えると、第2の解析工程時に第1の解析工程で絞り込んだ不良領域にスポット光12を照射し、ある程度まで加熱した状態でレーザ光202を照射するといったことも可能となる。このようにすることで、従来の加熱無しの状態でのレーザ照射に比べて低い照射パワーで不良箇所を特定でき、不良箇所の熱損傷防止、レーザ発振器201の低出力化といった効果も期待できる。
【0156】
ダイクロイックミラー205は、可視域の波長を反射し、赤外域の波長を透過する特性を有する鏡である。それ故、観察光学系206からの観察光31は光路を曲げられてウェハ100/チップ101に照射され、その反射光も光路を曲げられて観察光学系206に戻る。
【0157】
観察光学系206は、観察光31を発する光源とウェハ100/チップ101からの反射光をカメラ上に結像する光学系と画像を取得するカメラで構成される。観察光31の光量は制御装置60により制御され、カメラからの画像信号は制御装置60に送られ、適宜に表示装置62上に表示される。
【0158】
集光光学系208は、上記したスポット光12、レーザ光202、観察光31をウェハ100/チップ101に集光・照射するものである。集光光学系208は、倍率の異なる複数の対物レンズとその切換機構、フォーカシング機構で構成される。制御装置60は、集光光学系208の対物レンズの切換機構およびフォーカシング機構を制御する。
【0159】
光学系209は、第1の解析工程に用いるスポット光12を発生する。光学系209は、図4で表した光源11、波長選択フィルタ21、ハーフミラー22、パワーメータ23、シャッタ24を含む。各構成については第2の実施の形態同様であるのでここでは省略する。光学系209は制御装置60により制御される。
【0160】
テスタ50は第2の実施の形態で述べたように、解析領域のPass/Fail判定を行うもので、チップ101を装着するソケットを備えたDUTボード51が接続されている。
【0161】
制御装置60も第2の実施の形態で述べたように、DUTボード51を搭載してXY方向に移動可能なステージ61の制御、テスタ50との信号の授受を行うと共に、テスタ50からの解析データに基づいて不良領域の絞り込みおよび不良箇所の特定を行う。さらに、上記の通り、光学系209、レーザ発振器201、走査光学系203、切替ミラー204、観察光学系206、集光光学系208の制御を行う。
【0162】
本実施の形態の解析手順は基本的に実施例1で述べたとおりである。第1の解析工程は光学系209から出射されたスポット光12を用いて行う。不良領域を絞り込み後、切替ミラー204を光路外に出し、レーザ光202を用いた第2の解析工程を実施する。
【0163】
本実施の形態により、試料となるウェハ100/チップ101及び解析データを装置間で移動することなく解析可能となる。このため、本実施の形態により解析時間を短縮できる。更に、トータルとしての装置価格およびスペースを削減できる。
【0164】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。例えば図5で述べた放射温度計を第5の実施の形態に適用することなども当然に本発明の射程に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明は、半導体装置の不良解析、及びその不良解析に用いる解析機器への適用を想定している。
【符号の説明】
【0166】
10…光学系、11…光源、12…スポット光、13…放射光、
21…波長選択フィルタ、22…ハーフミラー、23…パワーメータ、
24…シャッタ、25…ダイクロイックミラー、
26…対物レンズ群、26a…レンズ、26b…リング状レンズ、
27…リングミラー、
28…放射温度計、30…照明光源、31…観察光、32…ハーフミラー、
33…結像レンズ、34…カメラ、
35…整形手段、35a…可変アパーチャ、35b…透過型液晶素子、
36…結像レンズ、42…レーザ光、50…テスタ、
51…DUTボード、60…制御装置、61…ステージ、62…表示装置、
100…ウェハ、101…チップ、102、103…不良領域、
200…第2の解析装置、
201…レーザ発振器、202…レーザ光、203…走査光学系、
204…切替ミラー、205…ダイクロイックミラー、206…観察光学系、
208…集光光学系、209…光学系。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の不良解析方法であって、
解析領域を包含するスポット光を用いて不良領域を絞り込む第1の解析ステップと、
前記第1の解析ステップで絞り込んだ不良領域を前記第1の解析ステップで用いたスポット光よりも微小のスポット径のレーザ光を用いて不良箇所を特定する第2の解析ステップと、を含む半導体装置の不良解析方法。
【請求項2】
ウェハ中のチップ状半導体装置の不良解析方法であって、
解析対象の前記チップ状半導体装置を包含するスポット光を照射することで動的解析を行うチップ状半導体装置の不良解析方法。
【請求項3】
半導体装置の動的不良解析装置であって、
動的解析を行うテスタと、
前記テスタと解析対象の半導体装置との間を電気的に接続する電気的接続手段と、
前記解析対象の半導体装置を搭載するステージと、
前記ステージ上の前記解析対象の半導体装置の不良領域の絞り込みに用いる第1の光学系と、
前記ステージ及び前記第1の光学系を制御すると共に前記テスタとの信号の授受と解析装置とのデータの転送を行う制御装置と、を含む半導体装置の動的不良解析装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の動的不良解析装置において、前記第1の光学系は、
出力の調整可能な解析用光源と、
前記解析用光源から出射される光から解析領域に応じたスポット光を得る整形手段と、
前記スポット光の波長を制限する波長選択手段と、を含む半導体装置の動的不良解析装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の動的不良解析装置において、前記解析用光源はハロゲンランプやキセノンランプの各種ランプあるいはダイオードレーザを光源として用いる半導体装置の動的不良解析装置。
【請求項6】
請求項3記載の半導体装置の動的不良解析装置において、前記解析対象の半導体装置の前記スポット光の被照射箇所の温度を検知する温度検知手段を更に含む半導体装置の動的不良解析装置。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれか一項記載の半導体装置の動的不良解析装置において、さらに前記解析対象の半導体装置を観察するための観察光学系を含む半導体装置の動的不良解析装置。
【請求項8】
請求項3乃至6のいずれか一項記載の半導体装置の動的不良解析装置において、さらに、前記第1の光学系で絞り込んだ不良領域から不良箇所を特定するための第2の光学系を含む半導体装置の動的不良解析装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置の動的不良解析装置において、前記制御装置は前記第2の光学系も制御する半導体装置の動的不良解析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−222263(P2012−222263A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88816(P2011−88816)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】