半導体装置の製造方法
【目的】ウェット処理を行った場合でも絶縁膜上に庇形状が形成されない半導体装置の製造方法を提供する。
【構成】本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、基板上に絶縁膜を形成する工程(S102)と、絶縁膜上に保護膜を形成する工程(S104)と、保護膜に第1の開口部を形成する工程(S114)と、第1の開口部内に保護膜よりもウェットエッチングレートが大きい犠牲膜を形成する工程(S116)と、第1の開口部内の犠牲膜に第1の開口部よりも幅の狭い第2の開口部を形成する工程(S122の一部)と、第2の開口部を転写することで絶縁膜に第3の開口部を形成する工程(S122の一部)と、第3の開口部が形成された後に、ウェット処理を行なう工程(S126)と、ウェット処理後に、第3の開口部内にバリアメタル膜を形成する工程(S128)と、第3の開口部内に導電性材料を埋め込む工程(S132)と、を備えたことを特徴とする。
【構成】本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、基板上に絶縁膜を形成する工程(S102)と、絶縁膜上に保護膜を形成する工程(S104)と、保護膜に第1の開口部を形成する工程(S114)と、第1の開口部内に保護膜よりもウェットエッチングレートが大きい犠牲膜を形成する工程(S116)と、第1の開口部内の犠牲膜に第1の開口部よりも幅の狭い第2の開口部を形成する工程(S122の一部)と、第2の開口部を転写することで絶縁膜に第3の開口部を形成する工程(S122の一部)と、第3の開口部が形成された後に、ウェット処理を行なう工程(S126)と、ウェット処理後に、第3の開口部内にバリアメタル膜を形成する工程(S128)と、第3の開口部内に導電性材料を埋め込む工程(S132)と、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。例えば、絶縁膜に配線溝が形成された後にウェット処理を行なう半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化、及び高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。特に、最近はLSIの高速性能化を達成するために、配線材料を従来のアルミ(Al)合金から低抵抗の銅(Cu)或いはCu合金(以下、まとめてCuと称する。)に代える動きが進んでいる。Cuは、Al合金配線の形成において頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難であるので、溝加工が施された絶縁膜上にCu膜を堆積し、溝内に埋め込まれた部分以外のCu膜を化学機械研磨(CMP)により除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン(damascene)法が主に採用されている。
【0003】
そして、層間絶縁膜には、比誘電率の低い低誘電率絶縁膜(low−k膜)を用いることが検討されている。将来の高密度化、配線寸法の微細化に向けて、low−k膜の比誘電率kはより低減させることが要求されている。すなわち、比誘電率kが、約4.2のシリコン酸化膜(SiO2)膜から比誘電率kが2.6以下のlow−k膜を用いることにより、配線間の寄生容量を低減することが試みられている。
【0004】
かかるlow−k膜は比誘電率kを低減するために膜密度を減少させているため、酸化性ガス或いは還元性ガスといった反応性ガスを用いた後工程のプラズマ処理により膜変質が生じる。例えば、low−k膜上にエッチングマスクを目的とした保護膜を形成するプラズマ化学気相成長(CVD)処理等で顕著である。low−k膜が例えばSiOC膜であれば、酸化作用または還元作用をもったプラズマ雰囲気に曝されることにより、low−k膜表面のSi−O−Si結合、及びSi−CH3結合を分断する。そのため、Si−H、Si−OHを多く形成する変質がSiOC膜表面にダメージ層として発生する。このような変質によるダメージ層が導入されると親水性が高くなる。
【0005】
ここで、一般的なダマシン配線形成プロセスでは、配線溝をドライエッチング処理にて保護膜及びlow−k膜に加工した後に、エッチング副生成物およびレジスト残渣除去を目的としたウェットクリーニング処理が行われる。その際、配線溝では、保護膜直下の親水性が高いダメージ層が側面方向にエッチングされ、ダメージ層部分の開口幅が保護膜の開口幅よりも広くなり保護膜が庇のように残った形状となってしまうといった問題があった。ダマシン配線形成プロセスでは、ウェットクリーニング処理後の配線溝にスパッタリング技術またはCVD技術によってバリアメタル膜を形成するが、庇形状を持った配線溝では、保護膜直下のえぐれた部分にバリアメタル膜が形成されず、いわゆる膜切れが生じしまう。膜切れが生じるとCu等の配線材料のlow−k膜への拡散が生じてしまうことになる。さらに、保護膜直下のえぐれた部分にCu等の配線材料の埋め込み不良も生じてしまう。これらの問題は、Cu配線の信頼性劣化の原因およびCu配線の電気特性の劣化の原因となる。low−k膜表面での変質抑制のために、たとえば変質を起こしにくいガスまたはプロセス条件を用いたドライエッチング処理や、low−k膜中の破壊された結合を修復する処理を行うプロセスが検討されているが庇形状の形成抑制には十分ではない。
【0006】
ここで、ドライエッチング処理にて保護膜及びlow−k膜に配線溝を加工する際に、配線溝側面の表層にもダメージ層が生じ得る。かかる側面の表層のダメージ層がウェットクリーニング処理で除去されることも保護膜が庇のように残ってしまう原因の1つと成り得る。かかる問題に対して、ウェットクリーニング処理を行う際、側面の表層のダメージ層が除去された後、low−k膜の開口幅よりも保護膜の開口幅が広くなるまでウェットクリーニング処理をし続けるといった技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ウェットクリーニング処理をし続けると保護膜直下のダメージ層はlow−k膜表面全体に生じているので側面方向にさらにエッチングが進んでしまうことになる。そのため、特許文献1記載の技術では、保護膜直下のダメージ層のエッチングの進行に対して十分対応することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−221118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一態様は、上述したような従来の問題点を克服し、ウェット処理を行った場合でも絶縁膜上に保護膜による庇形状が形成されない半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に保護膜を形成する工程と、前記保護膜に前記絶縁膜まで貫通する第1の開口部を形成する工程と、前記第1の開口部内に前記保護膜よりもウェットエッチングレートが大きい犠牲膜を形成する工程と、前記第1の開口部内の前記犠牲膜に前記第1の開口部よりも幅の狭い第2の開口部を形成する工程と、前記第2の開口部を転写することで前記絶縁膜に第3の開口部を形成する工程と、前記第3の開口部が形成された後に、ウェット処理を行なう工程と、前記ウェット処理後に、少なくとも一部の幅が変化した前記第3の開口部内にバリアメタル膜を形成する工程と、前記バリアメタル膜が形成された前記第3の開口部内に導電性材料を埋め込む工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウェット処理を行った場合でも絶縁膜上に保護膜による庇形状が形成されないようにできる。そのため、配線の信頼性劣化および配線の電気特性の劣化を共に低減できる。その結果、電気特性が優れ、さらに信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。
【図2】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図3】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図4】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図5】実施の形態1における開口部の形状と従来の形状とを比較した概念図である。
【図6】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図7】実施の形態1におけるバリアメタル膜の成膜状況と従来方法によるバリアメタル膜の成膜状況とを比較するための概念図である。
【図8】実施の形態2における図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図9】実施の形態3における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。
【図10】実施の形態3における図9のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図11】実施の形態4における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。
【図12】実施の形態4における図11のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図13】実施の形態6における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、実施の形態1について、図面を用いて説明する。
図1は、実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。図1において、実施の形態1の半導体装置の製造方法では、絶縁膜形成工程(S102)と、保護膜形成工程(S104)と、レジストパターン形成工程(S106)と、エッチング工程(S110)と、レジスト除去工程(S112)と、保護膜全面エッチング工程(S114)と、犠牲膜形成工程(S116)と、レジストパターン形成工程(S118)と、エッチング工程(S122)と、レジスト除去工程(S124)と、ウェットクリーニング処理工程(S126)と、バリアメタル膜形成工程(S128)と、シード膜形成工程(S130)と、めっき及びアニール工程(S132)と、研磨工程(S134)という一連の工程を実施する。
【0013】
図2は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図2では、図1の絶縁膜形成工程(S102)からエッチング工程(S110)までを示している。
【0014】
図2(a)において、絶縁膜形成工程(S102)として、下地膜210が表面に形成された基板200上に例えば多孔質の低誘電率絶縁材料を用いた絶縁膜220を例えば300nmの厚さで形成する。絶縁膜220の材料として、多孔質の炭酸化シリコン(SiOC)を用いると好適である。多孔質のSiOC膜により、比誘電率kが例えば2.6以下の層間絶縁膜を得ることができる。形成方法としては、例えば、PECVD法を用いて形成できる。例えば、メチルジエトキシシラン(Methyl−di−ethoxy−silane)、アルファターピネン(alpha−terpinene:C10H16)、酸素(O2)、ヘリウム(He)からなる混合ガスを図示しないチャンバ内に流入し、チャンバ内の圧力を例えば1.3×103Pa(10Torr)以下に維持した状態で、基板200を例えば250℃に加熱し、チャンバ内の図示しない下部電極及び上部電極に高周波電力を供給し、プラズマを発生させる。メチルジエトキシシランは主骨格成分形成用のガスであり、アルファターピネンはポロジェン成分形成用ガスである。そして、SiOC膜中に含まれるポロジェンを加熱して気化させることにより除去する。そして、窒素雰囲気中、ポロジェン除去温度よりも高温の例えば450℃で紫外線(UV)照射によるキュアを行なう。これにより、多孔質の絶縁膜220を形成できる。形成方法は、CVD法に限らず、溶液をスピンコートし熱処理して薄膜を形成するSOD(spin on dielectric coating)法を用いても好適である。絶縁膜220の材料としては、例えば、メチルシロキサンを主成分とするポリメチルシロキサン、ポリシロキサン、ハイドロジェンシロセスキオキサン、メチルシロセスキオキサンなどのシロキサン骨格を有する膜を用いると好適である。
【0015】
下地膜210の材料としては、例えば、炭窒化シリコン(SiCN)、炭化シリコン(SiC)、或いは多孔質ではない炭酸化シリコン(denseSiCO)等が好適である。形成方法は、PECVD法で形成できるが、これに限るものではなくその他の方法で成膜しても構わない。下地膜210は、例えば、50nmの膜厚で形成される。また、基板200として、例えば、直径300ミリのシリコンウェハを用いる。ここでは、コンタクトプラグ層やデバイス部分等の図示は省略している。そして、基板200上には、その他の金属配線等、図示しない各種の半導体素子あるいは構造を有する層が形成されていても構わない。或いは、その他の層が形成されていても構わない。
【0016】
図2(b)において、保護膜形成工程(S104)として、PECVD法を用いて絶縁膜220上に絶縁膜220の保護膜222となるSiO2膜を例えば70nmの膜厚で形成する。SiO2膜は、例えばTEOS膜を用いると好適である。保護膜222を形成することで、後工程となるエッチング処理やCMP処理時に機械的強度の弱い絶縁膜220を保護できる。但し、保護膜222を形成する際に、反応性ガスによるプラズマ雰囲気に絶縁膜220の表面が晒されることにより、絶縁膜220表面のSi−O−Si結合、及びSi−CH3結合を分断する。そのため、Si−H、Si−OHを多く形成する変質が絶縁膜220となるSiOC膜表面にダメージ層10として発生する。このような変質によるダメージ層10が導入されると親水性が高くなる。保護膜222を形成する際、絶縁膜220表面全体が露出しているので、ダメージ層10は絶縁膜220表面全体に生じることになる。保護膜222の材料は、SiO2の他、たとえば、SiON、或いはSiOCでも構わない。或いは、これらの積層膜でも構わない。
【0017】
図2(c)において、レジストパターン形成工程(S106)として、保護膜222上にレジスト材を塗布し、リソグラフィ技術を用いて、ダマシン配線を作製するための配線溝(トレンチ)の幅W1となる開口パターン150が形成されたレジストパターン270を形成する。このようにして保護膜222が形成された後に保護膜222上にレジストパターン270(第1のレジストパターン)を形成する。
【0018】
図2(d)において、エッチング工程(S110)として、レジストパターン270をマスクとして、保護膜222の上部を異方性エッチング法によりエッチングして、保護膜222に絶縁膜220まで貫通しない開口部152を形成する。エッチング深さは、例えばエッチング時間により調整すればよい。異方性エッチング法により除去することで、基板200の表面に対し、略垂直に開口部152を形成することができる。例えば、一例として、反応性イオンエッチング(RIE)法により開口部152を形成すればよい。
【0019】
図3は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図3では、図1のレジスト除去工程(S112)からレジストパターン形成工程(S118)までを示している。
【0020】
図3(a)において、レジスト除去工程(S112)として、アッシング等によりレジストパターン270を除去する。これにより、絶縁膜220まで貫通しない配線溝の幅W1の開口部152が形成された保護膜222が表面全体に露出する。
【0021】
図3(b)において、保護膜全面エッチング工程(S114)として、開口部152が形成され表面全体が露出した保護膜222を全面エッチング(全面エッチバック)して、保護膜222に配線溝の幅W1より広い幅W2の絶縁膜220表面まで貫通する開口部154(第1の開口部)を形成する。例えば、後述するウェットクリーニング処理工程(S126)により側面方向にダメージ層10がエッチングされる寸法以上に幅W2が幅W1より広くなるように保護膜222をスリミングする。例えば、片側3nmエッチングされる場合には、両側のエッチング量を踏まえて幅W1より6nm以上幅が広くなるように開口部側壁を後退させて開口部154を形成する。
【0022】
ここでは、異方性を弱めたRIE法により開口部154を形成すればよい。例えば、保護膜222のエッチングレートが絶縁膜220より大きいフッ素(F2)、CxFy、CxHyFz、或いはNFx等をエッチングガスとして供給する。そして、主エッチャントであるイオン成分を低減させるリモートプラズマシステムを使って、又は基板200への電界バイアスが無い若しくは小さいプロセス条件でエッチングすればよい。或いは、等方性エッチング法によりエッチングを行なってもよい。例えば、ケミカルドライエッチング(CDE)法により開口部154を形成してもよい。CDE法でもRIE法と同様のエッチングガスを供給すればよい。CDE法ではラジカル成分の多いエッチャントを利用して等方性エッチングができる。或いは、ウェットエッチング法により開口部154を形成してもよい。例えば、エッチング液として、希フッ酸(dHF)を用いると好適である。例えば、HF:水=1:(50〜1000)で混合すると好適である。
【0023】
ここで、上述したエッチング工程(S110)においてハーフエッチングで止めた開口部152のエッチング深さは、保護膜全面エッチング工程(S114)において絶縁膜220の表面が露出した時点或いは直後に開口部154の幅寸法がW2になるように調整すると好適である。できるだけ、絶縁膜220の表面が露出する時間が短くなるように調整することで絶縁膜220をプラズマ雰囲気に晒す時間を短くできる。これにより、絶縁膜220表面が過剰なダメージを受けることを回避できる。
【0024】
例えば、ウェットエッチング法により開口部154を形成する場合、保護膜222の膜厚THM、所望の配線幅W00、ウェットエッチング時の保護膜222のエッチング量W01、最終的な保護膜222(或いは後述する犠牲膜)直下の配線幅W02を用いて、ハーフエッチングで止めた開口部152のエッチング深さDは、以下の式(1)で求めることができる。
(1) D≧THM−(W02/2−W00/2),W01=W02/2−W00/2
【0025】
図3(c)において、犠牲膜形成工程(S116)として、開口部154内を含む保護膜222上に犠牲膜224を例えば40nmの膜厚で形成する。犠牲膜224は、PECVD法を用いて形成できる。犠牲膜224としてSiO2膜が好適である。SiO2膜は、保護膜222と同様、例えばTEOS膜を用いると好適である。
【0026】
ここで、上述したように、従来の製造方法におけるウェットクリーニング処理工程時に絶縁膜上の保護膜が庇状に残るのは、保護膜が直下の絶縁膜のダメージ層よりもウェットクリーニング処理時でのウェットエッチングレートが小さいからである。そこで、実施の形態1では、保護膜222よりも後述するウェットクリーニング処理工程(S126)でのウェットエッチングレートが大きい犠牲膜224を形成する。ここでは、犠牲膜224がダメージ層10と同等或いはダメージ層10以上のウェットエッチングレートになるように形成する。例えば、ウェットクリーニング処理において、ダメージ層10が3nmエッチングされるのに対して、保護膜222は1.5nm程度エッチングされ、ダメージを受けていない部分の絶縁膜220は1nm程度エッチングされる。かかる状況で、犠牲膜224がダメージ層10と同じ3nmエッチングされるように、或いはダメージ層10以上エッチングされるように成膜条件を調整する。例えば、保護膜222の形成時より低周波パワーを小さくする、並行平板間距離を大きくする、或いはチャンバ内圧力を高くするといった条件の調整により、保護膜222よりもウェットエッチングレートが大きい犠牲膜224を形成できる。言い換えれば、かかる条件の調整により、犠牲膜224がダメージ層10と同じ或いはそれ以上のウェットエッチングレートになるように調整できる。
【0027】
一方で、ウェットエッチングレートと耐透水性とはトレードオフの関係にあり、絶縁膜220のダメージ層10と同等のウェットエッチングレートの犠牲膜224だけを絶縁膜220上に形成すると絶縁膜220の吸湿状況が悪化してしまう。絶縁膜220の吸湿状況の悪化は、絶縁膜220の誘電率増加、RIEプロセスのエッチングレート変動、及びCu配線の信頼性劣化の原因となる。そのため、絶縁膜220上に形成される膜の耐透水性が必要となる。そこで、実施の形態1では、ダメージ層10と同等のウェットエッチングレートの犠牲膜224だけを絶縁膜220上に形成するのではなく、密度が相対的に低く透水性が高い犠牲膜224の側面側に密度が相対的に高く透水性が低い保護膜222をあえて残すように形成することで、耐透水性を実現できる。
【0028】
図3(d)において、レジストパターン形成工程(S118)として、犠牲膜224上にレジスト材を塗布し、リソグラフィ技術を用いて幅W3となる開口パターン156が形成されたレジストパターン272を形成する。開口パターン156の幅W3の寸法は、W1と同じ、ダマシン配線を作製するための配線溝の幅に設定する。このようにして犠牲膜224が形成された後に犠牲膜224上にレジストパターン272(第2のレジストパターン)を形成する。
【0029】
実施の形態1では、レジストパターン270を形成する際の開口パターンの幅寸法W1を、レジストパターン272を形成する際の開口パターンの幅寸法W3と同じ寸法に合わせた。これにより、レジストパターン270,272を形成する際の露光用マスクを共用できる。よって、わざわざ別の露光用マスクを製作する必要がなく、コストと手間を低減できる。
【0030】
図4は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図4では、図1のエッチング工程(S122)からウェットクリーニング処理工程(S126)までを示している。
【0031】
図4(a)において、エッチング工程(S122)として、レジストパターン272をマスクとして開口部154の犠牲膜224を異方性エッチング法によりエッチングして、犠牲膜224に開口部157を形成する。その後、レジストパターン272と犠牲膜224とをマスクとして、絶縁膜220を異方性エッチング法によりエッチングして開口部157を転写することで、絶縁膜220に開口部158を形成する。絶縁膜220をエッチングする際には、下地膜210をエッチングストッパとしてエッチングすればよい。その後、露出した下地膜210を同様にエッチングして基板200まで貫通させればよい。異方性エッチング法により除去することで、基板200の表面に対し、略垂直に開口部157,158を形成することができる。例えば、一例として、RIE法により開口部157,158を形成すればよい。以上のように、実施の形態1では、開口部154内の犠牲膜224に開口部154よりも幅の狭い開口部157(第2の開口部)を形成する工程と、開口部157が形成された犠牲膜224をハードマスクとして、絶縁膜220に開口部158(第3の開口部)を形成する工程とを連続的に行なう。
【0032】
図4(b)において、レジスト除去工程(S124)として、アッシング等によりレジストパターン272を除去する。これにより、開口部154内に開口部154よりも幅の狭い開口部157が形成された犠牲膜224が表面全体に露出する。
【0033】
図4(c)において、ウェットクリーニング処理工程(S126)として、開口部157,158が形成され、上面と開口部157壁面には犠牲膜224が、開口部158壁面にはダメージ層10を含む絶縁膜220が露出した基板200に対してウェットクリーニング処理を行う。ウェットクリーニング液は、例えば、希フッ酸を用いる。ウェットクリーニング処理により、ドライエッチング時に生じる副生成物、レジスト残渣、吸湿悪化の原因となる絶縁膜220の開口部158側壁に生じるダメージ層の除去ができる。
【0034】
かかるウェットクリーニング処理により、ダメージ層10と共に犠牲膜224が同等以上のウェットエッチングレートでエッチングされる。その結果、ウェットクリーニング処理後に、開口部157の幅と開口部158の少なくとも一部の幅(ここでは上部の幅)とが共に広がるように変化する。図4(c)では、犠牲膜224の一部が残っているが、ウェットクリーニング処理によるエッチング量によっては、犠牲膜224が無くなってしまっても構わない。
【0035】
また、ウェットクリーニング処理により犠牲膜224が除去されても、ウェットクリーニング処理後に透水性の低い保護膜222が絶縁膜220の大部分を覆っているので絶縁膜220の吸湿を抑制できる。
【0036】
図5は、実施の形態1における開口部の形状と従来の形状とを比較した概念図である。従来の製造方法では、ウェットクリーニング処理した場合、図5(a)に示すように、ダメージ層10がエッチングより側面方向に欠けた除去部分20上に保護膜223の庇部分22が形成されてしまう。これに対して、実施の形態1によれば、開口部158周囲の絶縁膜220上には保護膜222ではなく犠牲膜224が形成されているので、図5(b)に示すように、ダメージ層10がエッチングより側面方向に欠けた除去部分20上の犠牲膜224も同様にエッチングされる。よって、犠牲膜224が庇状に残ることがない。
【0037】
図6は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図6では、図1のバリアメタル膜形成工程(S128)から研磨工程(S134)までを示している。
【0038】
図6(a)において、バリアメタル膜形成工程(S128)として、ウェットクリーニング処理により幅が広がった開口部157及び少なくとも上部の幅が広がった開口部158内面上及び犠牲膜224表面上、或いは保護膜222が露出している場合には保護膜222表面上に導電性材料の一例となるバリアメタル材料を用いたバリアメタル膜240を形成する。スパッタ法を用いるスパッタリング装置内でタンタル(Ta)膜を例えば膜厚5nm堆積し、バリアメタル膜240を形成する。バリアメタル材料の堆積方法としては、PVD法に限らず、原子層気相成長(atomic layer deposition:ALD、あるいは、atomic layer chemical vapor deposition:ALCVD)法やCVD法などを用いることができる。PVD法を用いる場合より被覆率を良くすることができる。バリアメタル膜240の材料としては、Taの他、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)等の金属、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)等に代表されるこれらの金属の窒化物、或いはこれらの金属を含有するその他の材料を単独でまたは積層して用いることができる。
【0039】
図7は、実施の形態1におけるバリアメタル膜の成膜状況と従来方法によるバリアメタル膜の成膜状況とを比較するための概念図である。従来の製造方法では、絶縁膜220のダメージ層10がウェットクリーニング処理により側面方向に欠けたため保護膜223が庇状に突き出てしまう。そのため、図7(a)に示すように、ダメージ層10が欠けた部分にバリアメタル膜241が成膜されず、膜切れ30を生じてしまう。これに対して、実施の形態1では、上方に向かって開口部が広がるように形成できるので、保護膜222或いは犠牲膜224が庇状に形成されず、連続的にバリアメタル膜240を成膜できる。よって、実施の形態1では、バリアメタル膜240の膜切れを防止できる。よって、後述するCu等の配線材料が絶縁膜220へと拡散することを防止或いは抑制できる。さらに、保護膜直下のえぐれた部分が存在しないのでCu等の配線材料の埋め込み不良を回避できる。
【0040】
図6(b)において、シード膜形成工程(S130)として、スパッタ等の物理気相成長(PVD)法により、次の工程である電解めっき工程のカソード極となるCu薄膜をシード膜250としてバリアメタル膜240が形成された開口部157,158内壁及び基板200表面に例えば5nmの膜厚で堆積(形成)させる。
【0041】
図6(c)において、めっき及びアニール工程(S132)として、シード膜250をカソード極として、電解めっき等の電気化学成長法により導電性材料の一例となるCu膜260をシード膜250が形成された開口部157,158内及び基板200表面に同時に堆積させる。ここでは、例えば、膜厚900nmのCu膜260を堆積させ、堆積させた後にアニール処理を例えば250℃の温度で30分間行なう。
【0042】
図6(d)において、研磨工程(S134)として、CMP法によって、基板200の表面を研磨して、開口部158以外に表面に堆積した配線層となるシード膜250を含むCu膜260とバリアメタル膜240と犠牲膜224と保護膜222を研磨除去する。その結果、図6(d)に示すように、Cu膜260の表面と絶縁膜220の表面とが同一面となるように平坦化される。以上によりダマシン法によるCu配線を形成できる。
【0043】
上述した例では、犠牲膜224として、保護膜222とは成膜条件の異なるSiO2膜を用いたが、ウェットクリーニング処理によるエッチング量が絶縁膜220のダメージ層10のエッチング量と整合が取れていれば、これに限るものではない。犠牲膜224の材料は、SiO2の他、たとえば、SiON、SiOC、或いはSiOFでも構わない。或いは、これらの積層膜でも構わない。また、犠牲膜224の形成方法もPECVD法に限らず、LPCVD法、ALD法、スパッタリング法、蒸着法、塗布法でもかまわない。
【0044】
また、上述した例では、ドライエッチング処理によって絶縁膜220中に配線溝となる開口部158を加工後、ウェットクリーニング処理を行い絶縁膜220の開口部158側壁に生じるダメージ層の除去を行ったが、ドライエッチング処理後に変質した絶縁膜220のダメージ層を修復する処理を行った後、ウェットクリーニング処理を行ってもかまわない。たとえば、アルキル基とシラノール基を持った分子を含む反応性ガスまたは薬液にさらし、破壊されたSi−CH3基の修復を行う処理を行ってもかまわない。修復処理を行う場合、犠牲膜224のウェットクリーニング処理によるエッチング量は、犠牲膜224直下の修復されたダメージ層10のウェットクリーニング処理によるエッチング量と整合を取ることが望ましい。
【0045】
以上のように、実施の形態1によれば、ウェットクリーニング処理を行った場合でも絶縁膜220上に保護膜222或いは犠牲膜224による庇形状が形成されないようにできる。そのため、Cu配線の信頼性劣化およびCu配線の電気特性の劣化を共に低減できる。その結果、電気特性が優れ、さらに信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0046】
実施の形態2.
実施の形態1では、エッチング工程(S110)にて保護膜222に絶縁膜220まで貫通しない開口部152を形成した後に、保護膜全面エッチング工程(S114)にて保護膜222を全面エッチングして開口部の幅を広げたが、これに限るものではない。実施の形態2では、保護膜222に絶縁膜220まで貫通する開口部を形成する場合について説明する。実施の形態2における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートは図1と同様である。また、実施の形態2において特に説明しない内容は実施の形態1と同様である。
【0047】
図8は、実施の形態2における図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図8では、図1のエッチング工程(S110)からレジスト除去工程(S112)までを示している。レジストパターン形成工程(S106)までの各工程は実施の形態1と同様である。
【0048】
図8(a)において、エッチング工程(S110)として、レジストパターン270をマスクとして、保護膜222に絶縁膜220まで貫通する開口部153を形成する。ここでも、実施の形態1と同様、RIE法により開口部153を形成すればよい。
【0049】
図8(b)において、レジスト除去工程(S112)として、アッシング等によりレジストパターン270を除去する。これにより、絶縁膜220まで貫通した配線溝の幅W1の開口部153が形成された保護膜222が表面全体に露出する。
【0050】
そして、保護膜全面エッチング工程(S114)として、図3(b)に示したように、開口部153が形成された保護膜222を全面エッチング(全面エッチバック)して、開口部153側壁を後退させて、保護膜222に配線溝の幅W1より広い幅W2の開口部154(第1の開口部)を形成する。レジストパターン270をマスクとして開口された保護膜222に、異方性を弱めたRIE法、或いは、等方性エッチング法によりエッチングを行なえばよい。実施の形態1と同様、ウェットクリーニング処理工程(S126)により側面方向にダメージ層10がエッチングされる寸法以上に幅W2が幅W1より広くなるように保護膜222をスリミングする。以降の各工程は実施の形態1と同様である。
【0051】
以上のように実施の形態2では、絶縁膜220まで貫通する開口部153が形成された状態の保護膜222をスリミングする。そのため、実施の形態2では、一方で、保護膜全面エッチング工程(S114)時に絶縁膜220が最初から露出しているので、実施の形態1の場合よりも絶縁膜220表面にさらにダメージを与えることにつながる。しかしながら、他方で、実施の形態2では同一材料中でエッチングを停止させる必要がないため、実施の形態1の場合よりもエッチングにおけるプロセス制御を容易にできる。かかる点以外については、実施の形態2の製造方法でも実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、保護膜全面エッチング工程(S114)後に変質した絶縁膜220のダメージ層をまず修復する処理を行っても好適である。それにより過剰なダメージを回避できる。修復処理の内容は実施の形態1と同様である。
【0052】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、レジストパターン270をマスクとして、保護膜222に開口部を形成した後に開口幅を広げたが、これに限るものではない。実施の形態3では、レジストパターン270の開口幅を先に広げる場合について説明する。
【0053】
図9は、実施の形態3における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。図9において、レジストパターン形成工程(S106)とエッチング工程(S110)の間に、レジスト全面エッチング工程(S108)を追加した点と、保護膜全面エッチング工程(S114)を削除した点以外は、図1と同様である。また、実施の形態3において特に説明しない内容は実施の形態1と同様である。
【0054】
図10は、実施の形態3における図9のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図10では、図9のレジスト全面エッチング工程(S108)からエッチング工程(S110)までを示している。レジストパターン形成工程(S106)までの各工程は実施の形態1と同様である。
【0055】
図10(a)において、レジスト全面エッチング工程(S108)として、図2(c)に示したように、配線溝の幅W1となる開口パターン150が形成されたレジストパターン270を全面エッチング(全面エッチバック)して、開口パターン150側壁を後退させて、レジストパターン270に配線溝の幅W1より広い幅W2の開口パターン155を形成する。異方性を弱めたRIE法、或いは、等方性エッチング法によるドライエッチング処理をレジストパターン270に行なえばよい。或いは等方性エッチング法によるウェットエッチング処理でも構わない。ウェットクリーニング処理工程(S126)により側面方向にダメージ層10がエッチングされる寸法以上に幅W2が幅W1より広くなるようにレジストパターン270をスリミングする。
【0056】
図10(b)において、エッチング工程(S110)として、幅W2の開口パターン155が形成されたレジストパターン270をマスクとして、保護膜222に絶縁膜220まで貫通する開口部154を形成する。実施の形態1と同様、RIE法により開口部154を形成すればよい。
【0057】
そして、レジスト除去工程(S112)において、アッシング等によりレジストパターン270を除去する。これにより、絶縁膜220まで貫通した、図3(b)と実質的に同様の配線溝の幅W2の開口部154が形成された保護膜222が表面全体に露出する。実施の形態3では、配線幅より広げた開口パターンのレジストパターン270をマスクとしてエッチングしているので、全面エッチバックした図3(b)の形状とは異なり、略垂直の開口部154が保護膜222に形成される。但し、絶縁膜220との界面での幅寸法は図3(b)と同様にできる。以降の各工程は実施の形態1と同様である。かかる実施の形態3の製造方法でも実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0058】
なお、実施の形態3では、上述したように、まず、レジストパターン270をスリミングしてから、広がった開口パターンを持ったレジストをマスクとして保護膜222をエッチングする。そのため、実施の形態3では、レジスト除去工程(S112)時に、絶縁膜220の一部が露出しているのでアッシング雰囲気に晒されてしまうことで絶縁膜220に対してダメージを与えてしまう。そこで、レジスト除去工程(S112)後に変質した絶縁膜220のダメージ層をまず修復する処理を行っても好適である。それにより過剰なダメージを回避できる。修復処理の内容は実施の形態1と同様である。
【0059】
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、レジストパターン272をマスクとして犠牲膜224をエッチングしたが、これに限るものではない。実施の形態4では、マスク材を用いずに犠牲膜224をエッチングする場合について説明する。
【0060】
図11は、実施の形態4における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。図11において、レジストパターン形成工程(S118)の代わりに、犠牲膜全面エッチング工程(S120)を備えた点と、レジスト除去工程(S124)を削除した点以外は、図1と同様である。また、実施の形態4において特に説明しない内容は実施の形態1と同様である。
【0061】
図12は、実施の形態4における図11のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図12では、図11の犠牲膜全面エッチング工程(S120)からウェットクリーニング処理工程(S126)までを示している。犠牲膜形成工程(S116)までの各工程は実施の形態1と同様である。
【0062】
図12(a)において、犠牲膜全面エッチング工程(S120)として、図3(c)で示した犠牲膜224を形成した状態から犠牲膜224を異方性エッチング法により全面エッチング(全面エッチバック)して、保護膜222の側面に膜を残しつつ絶縁膜220まで貫通する開口部159(第2の開口部)を形成する。開口部159の絶縁膜220界面での幅W3は、配線溝の幅W1と実質的に同じ寸法に形成する。ここでは、RIE法によるドライエッチング処理を犠牲膜224に行なえばよい。
【0063】
ここで、絶縁膜220の表面が露出した時点或いは直後に開口部159底の幅寸法がW3になるように犠牲膜形成工程(S116)で形成される犠牲膜224の膜厚を調整すると好適である。できるだけ、絶縁膜220の表面が露出する時間が短くなるように調整することで絶縁膜220をプラズマ雰囲気に晒す時間を短くできる。これにより、絶縁膜220表面が過剰なダメージを受けることを回避できる。逆に、絶縁膜220の表面が露出した時点で開口部159底の幅寸法が所望する配線幅よりも広くならないように犠牲膜224の膜厚を調整すると好適である。
【0064】
図12(b)において、エッチング工程(S122)として、保護膜222及び犠牲膜224をハードマスクとして絶縁膜220を異方性エッチング法によりエッチングして、絶縁膜220に開口部158を形成する。
【0065】
実施の形態1と同様のウェットクリーニング処理工程(S126)を行うことで、図12(c)に示すように、ダメージ層10と共に犠牲膜224が同等以上のウェットエッチングレートでエッチングされる。その結果、ウェットクリーニング処理後に、開口部159の幅と開口部158の少なくとも一部の幅(ここでは上部の幅)とが共に広がるように変化する。図12(c)では、犠牲膜224の一部が残っているが、ウェットクリーニング処理によるエッチング量によっては、犠牲膜224が無くなってしまっても構わない。ウェットクリーニング処理により犠牲膜224が除去されても、ウェットクリーニング処理後に透水性の低い保護膜222が絶縁膜220の大部分を覆っているので、実施の形態1と同様、絶縁膜220の吸湿を抑制できる。
【0066】
以降の各工程は実施の形態1と同様である。かかる実施の形態4の製造方法でも実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0067】
さらに、実施の形態4では、犠牲膜224をパターニングする際にレジストパターン272を用いないので、リソグラフィに必要な複数の工程が不要であり、その分、工程数を減らすことができる。さらに、絶縁膜220に開口部158が形成された後にレジストを除去する必要がないので、アッシングによる絶縁膜220の開口部158側壁へのダメージを回避できる。
【0068】
実施の形態5.
実施の形態4で説明したように犠牲膜224をパターニングする際にレジストパターン272を用いない場合でも、実施の形態2と同様、エッチング工程(S110)にて保護膜222に絶縁膜220まで貫通する開口部を形成してもよい。実施の形態5における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートは図11と同様である。そして、図11のエッチング工程(S110)から保護膜全面エッチング工程(S114)までの内容は実施の形態2と同様である。その他の工程は、実施の形態4と同様である。
【0069】
実施の形態5によれば、実施の形態1と同様の効果の他、実施の形態2と同様、保護膜222をエッチングする際に、同一材料中でエッチングを停止させる必要がないため、実施の形態1,4の場合よりもエッチングにおけるプロセス制御を容易にできる。さらに、実施の形態4と同様、犠牲膜224をパターニングする際にレジストパターン272を用いないので、その分、工程数を減らすことができる。さらに、絶縁膜220に開口部158が形成された後にレジストを除去する必要がないので、アッシングによる絶縁膜220の開口部158側壁へのダメージを回避できる。
【0070】
実施の形態6.
実施の形態4で説明したように犠牲膜224をパターニングする際にレジストパターン272を用いない場合でも、実施の形態3と同様、保護膜222をパターニングする際のレジストパターン270の開口幅を先に広げるようにしてもよい。
【0071】
図13は、実施の形態6における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。図13において、レジストパターン形成工程(S106)とエッチング工程(S110)の間に、レジスト全面エッチング工程(S108)を追加した点と、保護膜全面エッチング工程(S114)を削除した点以外は、図11と同様である。そして、図11のレジスト全面エッチング工程(S108)からレジスト除去工程(S112)までの内容は実施の形態3と同様である。その他の工程は、実施の形態4と同様である。
【0072】
実施の形態6によれば、実施の形態1と同様の効果の他、実施の形態4と同様、犠牲膜224をパターニングする際にレジストパターン272を用いないので、その分、工程数を減らすことができる。さらに、絶縁膜220に開口部158が形成された後にレジストを除去する必要がないので、アッシングによる絶縁膜220の開口部158側壁へのダメージを回避できる。
【0073】
以上の説明において、上記各実施の形態における配線層の材料として、Cu以外に、Cu−Sn合金、Cu−Ti合金、Cu−Al合金等の、半導体産業で用いられるCuを主成分とする材料を用いても同様の効果が得られる。
【0074】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、上述した例では、シングルダマシン法により一層分の配線層を形成する場合について説明したが、デュアルダマシン法により配線とヴィアプラグとを同時に形成する場合についても同様に成り立つ。
【0075】
さらに、層間絶縁膜の膜厚や、開口部のサイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
【0076】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置及び半導体装置の製造方法は、本発明の範囲に包含される。
【0077】
また、説明の簡便化のために、半導体産業で通常用いられる手法、例えば、レジストパターン形成および除去以外のフォトリソグラフィプロセス、処理前後のクリーニング等は省略しているが、それらの手法が含まれ得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0078】
10 ダメージ層、150,155,156 開口パターン、152,153,154,157,158,159 開口部、200 基板、220 絶縁膜、222 保護膜、224 犠牲膜、240 バリアメタル膜、260 Cu膜、270,272 レジストパターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。例えば、絶縁膜に配線溝が形成された後にウェット処理を行なう半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化、及び高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。特に、最近はLSIの高速性能化を達成するために、配線材料を従来のアルミ(Al)合金から低抵抗の銅(Cu)或いはCu合金(以下、まとめてCuと称する。)に代える動きが進んでいる。Cuは、Al合金配線の形成において頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難であるので、溝加工が施された絶縁膜上にCu膜を堆積し、溝内に埋め込まれた部分以外のCu膜を化学機械研磨(CMP)により除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン(damascene)法が主に採用されている。
【0003】
そして、層間絶縁膜には、比誘電率の低い低誘電率絶縁膜(low−k膜)を用いることが検討されている。将来の高密度化、配線寸法の微細化に向けて、low−k膜の比誘電率kはより低減させることが要求されている。すなわち、比誘電率kが、約4.2のシリコン酸化膜(SiO2)膜から比誘電率kが2.6以下のlow−k膜を用いることにより、配線間の寄生容量を低減することが試みられている。
【0004】
かかるlow−k膜は比誘電率kを低減するために膜密度を減少させているため、酸化性ガス或いは還元性ガスといった反応性ガスを用いた後工程のプラズマ処理により膜変質が生じる。例えば、low−k膜上にエッチングマスクを目的とした保護膜を形成するプラズマ化学気相成長(CVD)処理等で顕著である。low−k膜が例えばSiOC膜であれば、酸化作用または還元作用をもったプラズマ雰囲気に曝されることにより、low−k膜表面のSi−O−Si結合、及びSi−CH3結合を分断する。そのため、Si−H、Si−OHを多く形成する変質がSiOC膜表面にダメージ層として発生する。このような変質によるダメージ層が導入されると親水性が高くなる。
【0005】
ここで、一般的なダマシン配線形成プロセスでは、配線溝をドライエッチング処理にて保護膜及びlow−k膜に加工した後に、エッチング副生成物およびレジスト残渣除去を目的としたウェットクリーニング処理が行われる。その際、配線溝では、保護膜直下の親水性が高いダメージ層が側面方向にエッチングされ、ダメージ層部分の開口幅が保護膜の開口幅よりも広くなり保護膜が庇のように残った形状となってしまうといった問題があった。ダマシン配線形成プロセスでは、ウェットクリーニング処理後の配線溝にスパッタリング技術またはCVD技術によってバリアメタル膜を形成するが、庇形状を持った配線溝では、保護膜直下のえぐれた部分にバリアメタル膜が形成されず、いわゆる膜切れが生じしまう。膜切れが生じるとCu等の配線材料のlow−k膜への拡散が生じてしまうことになる。さらに、保護膜直下のえぐれた部分にCu等の配線材料の埋め込み不良も生じてしまう。これらの問題は、Cu配線の信頼性劣化の原因およびCu配線の電気特性の劣化の原因となる。low−k膜表面での変質抑制のために、たとえば変質を起こしにくいガスまたはプロセス条件を用いたドライエッチング処理や、low−k膜中の破壊された結合を修復する処理を行うプロセスが検討されているが庇形状の形成抑制には十分ではない。
【0006】
ここで、ドライエッチング処理にて保護膜及びlow−k膜に配線溝を加工する際に、配線溝側面の表層にもダメージ層が生じ得る。かかる側面の表層のダメージ層がウェットクリーニング処理で除去されることも保護膜が庇のように残ってしまう原因の1つと成り得る。かかる問題に対して、ウェットクリーニング処理を行う際、側面の表層のダメージ層が除去された後、low−k膜の開口幅よりも保護膜の開口幅が広くなるまでウェットクリーニング処理をし続けるといった技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ウェットクリーニング処理をし続けると保護膜直下のダメージ層はlow−k膜表面全体に生じているので側面方向にさらにエッチングが進んでしまうことになる。そのため、特許文献1記載の技術では、保護膜直下のダメージ層のエッチングの進行に対して十分対応することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−221118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一態様は、上述したような従来の問題点を克服し、ウェット処理を行った場合でも絶縁膜上に保護膜による庇形状が形成されない半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に保護膜を形成する工程と、前記保護膜に前記絶縁膜まで貫通する第1の開口部を形成する工程と、前記第1の開口部内に前記保護膜よりもウェットエッチングレートが大きい犠牲膜を形成する工程と、前記第1の開口部内の前記犠牲膜に前記第1の開口部よりも幅の狭い第2の開口部を形成する工程と、前記第2の開口部を転写することで前記絶縁膜に第3の開口部を形成する工程と、前記第3の開口部が形成された後に、ウェット処理を行なう工程と、前記ウェット処理後に、少なくとも一部の幅が変化した前記第3の開口部内にバリアメタル膜を形成する工程と、前記バリアメタル膜が形成された前記第3の開口部内に導電性材料を埋め込む工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウェット処理を行った場合でも絶縁膜上に保護膜による庇形状が形成されないようにできる。そのため、配線の信頼性劣化および配線の電気特性の劣化を共に低減できる。その結果、電気特性が優れ、さらに信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。
【図2】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図3】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図4】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図5】実施の形態1における開口部の形状と従来の形状とを比較した概念図である。
【図6】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図7】実施の形態1におけるバリアメタル膜の成膜状況と従来方法によるバリアメタル膜の成膜状況とを比較するための概念図である。
【図8】実施の形態2における図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図9】実施の形態3における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。
【図10】実施の形態3における図9のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図11】実施の形態4における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。
【図12】実施の形態4における図11のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図13】実施の形態6における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、実施の形態1について、図面を用いて説明する。
図1は、実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。図1において、実施の形態1の半導体装置の製造方法では、絶縁膜形成工程(S102)と、保護膜形成工程(S104)と、レジストパターン形成工程(S106)と、エッチング工程(S110)と、レジスト除去工程(S112)と、保護膜全面エッチング工程(S114)と、犠牲膜形成工程(S116)と、レジストパターン形成工程(S118)と、エッチング工程(S122)と、レジスト除去工程(S124)と、ウェットクリーニング処理工程(S126)と、バリアメタル膜形成工程(S128)と、シード膜形成工程(S130)と、めっき及びアニール工程(S132)と、研磨工程(S134)という一連の工程を実施する。
【0013】
図2は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図2では、図1の絶縁膜形成工程(S102)からエッチング工程(S110)までを示している。
【0014】
図2(a)において、絶縁膜形成工程(S102)として、下地膜210が表面に形成された基板200上に例えば多孔質の低誘電率絶縁材料を用いた絶縁膜220を例えば300nmの厚さで形成する。絶縁膜220の材料として、多孔質の炭酸化シリコン(SiOC)を用いると好適である。多孔質のSiOC膜により、比誘電率kが例えば2.6以下の層間絶縁膜を得ることができる。形成方法としては、例えば、PECVD法を用いて形成できる。例えば、メチルジエトキシシラン(Methyl−di−ethoxy−silane)、アルファターピネン(alpha−terpinene:C10H16)、酸素(O2)、ヘリウム(He)からなる混合ガスを図示しないチャンバ内に流入し、チャンバ内の圧力を例えば1.3×103Pa(10Torr)以下に維持した状態で、基板200を例えば250℃に加熱し、チャンバ内の図示しない下部電極及び上部電極に高周波電力を供給し、プラズマを発生させる。メチルジエトキシシランは主骨格成分形成用のガスであり、アルファターピネンはポロジェン成分形成用ガスである。そして、SiOC膜中に含まれるポロジェンを加熱して気化させることにより除去する。そして、窒素雰囲気中、ポロジェン除去温度よりも高温の例えば450℃で紫外線(UV)照射によるキュアを行なう。これにより、多孔質の絶縁膜220を形成できる。形成方法は、CVD法に限らず、溶液をスピンコートし熱処理して薄膜を形成するSOD(spin on dielectric coating)法を用いても好適である。絶縁膜220の材料としては、例えば、メチルシロキサンを主成分とするポリメチルシロキサン、ポリシロキサン、ハイドロジェンシロセスキオキサン、メチルシロセスキオキサンなどのシロキサン骨格を有する膜を用いると好適である。
【0015】
下地膜210の材料としては、例えば、炭窒化シリコン(SiCN)、炭化シリコン(SiC)、或いは多孔質ではない炭酸化シリコン(denseSiCO)等が好適である。形成方法は、PECVD法で形成できるが、これに限るものではなくその他の方法で成膜しても構わない。下地膜210は、例えば、50nmの膜厚で形成される。また、基板200として、例えば、直径300ミリのシリコンウェハを用いる。ここでは、コンタクトプラグ層やデバイス部分等の図示は省略している。そして、基板200上には、その他の金属配線等、図示しない各種の半導体素子あるいは構造を有する層が形成されていても構わない。或いは、その他の層が形成されていても構わない。
【0016】
図2(b)において、保護膜形成工程(S104)として、PECVD法を用いて絶縁膜220上に絶縁膜220の保護膜222となるSiO2膜を例えば70nmの膜厚で形成する。SiO2膜は、例えばTEOS膜を用いると好適である。保護膜222を形成することで、後工程となるエッチング処理やCMP処理時に機械的強度の弱い絶縁膜220を保護できる。但し、保護膜222を形成する際に、反応性ガスによるプラズマ雰囲気に絶縁膜220の表面が晒されることにより、絶縁膜220表面のSi−O−Si結合、及びSi−CH3結合を分断する。そのため、Si−H、Si−OHを多く形成する変質が絶縁膜220となるSiOC膜表面にダメージ層10として発生する。このような変質によるダメージ層10が導入されると親水性が高くなる。保護膜222を形成する際、絶縁膜220表面全体が露出しているので、ダメージ層10は絶縁膜220表面全体に生じることになる。保護膜222の材料は、SiO2の他、たとえば、SiON、或いはSiOCでも構わない。或いは、これらの積層膜でも構わない。
【0017】
図2(c)において、レジストパターン形成工程(S106)として、保護膜222上にレジスト材を塗布し、リソグラフィ技術を用いて、ダマシン配線を作製するための配線溝(トレンチ)の幅W1となる開口パターン150が形成されたレジストパターン270を形成する。このようにして保護膜222が形成された後に保護膜222上にレジストパターン270(第1のレジストパターン)を形成する。
【0018】
図2(d)において、エッチング工程(S110)として、レジストパターン270をマスクとして、保護膜222の上部を異方性エッチング法によりエッチングして、保護膜222に絶縁膜220まで貫通しない開口部152を形成する。エッチング深さは、例えばエッチング時間により調整すればよい。異方性エッチング法により除去することで、基板200の表面に対し、略垂直に開口部152を形成することができる。例えば、一例として、反応性イオンエッチング(RIE)法により開口部152を形成すればよい。
【0019】
図3は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図3では、図1のレジスト除去工程(S112)からレジストパターン形成工程(S118)までを示している。
【0020】
図3(a)において、レジスト除去工程(S112)として、アッシング等によりレジストパターン270を除去する。これにより、絶縁膜220まで貫通しない配線溝の幅W1の開口部152が形成された保護膜222が表面全体に露出する。
【0021】
図3(b)において、保護膜全面エッチング工程(S114)として、開口部152が形成され表面全体が露出した保護膜222を全面エッチング(全面エッチバック)して、保護膜222に配線溝の幅W1より広い幅W2の絶縁膜220表面まで貫通する開口部154(第1の開口部)を形成する。例えば、後述するウェットクリーニング処理工程(S126)により側面方向にダメージ層10がエッチングされる寸法以上に幅W2が幅W1より広くなるように保護膜222をスリミングする。例えば、片側3nmエッチングされる場合には、両側のエッチング量を踏まえて幅W1より6nm以上幅が広くなるように開口部側壁を後退させて開口部154を形成する。
【0022】
ここでは、異方性を弱めたRIE法により開口部154を形成すればよい。例えば、保護膜222のエッチングレートが絶縁膜220より大きいフッ素(F2)、CxFy、CxHyFz、或いはNFx等をエッチングガスとして供給する。そして、主エッチャントであるイオン成分を低減させるリモートプラズマシステムを使って、又は基板200への電界バイアスが無い若しくは小さいプロセス条件でエッチングすればよい。或いは、等方性エッチング法によりエッチングを行なってもよい。例えば、ケミカルドライエッチング(CDE)法により開口部154を形成してもよい。CDE法でもRIE法と同様のエッチングガスを供給すればよい。CDE法ではラジカル成分の多いエッチャントを利用して等方性エッチングができる。或いは、ウェットエッチング法により開口部154を形成してもよい。例えば、エッチング液として、希フッ酸(dHF)を用いると好適である。例えば、HF:水=1:(50〜1000)で混合すると好適である。
【0023】
ここで、上述したエッチング工程(S110)においてハーフエッチングで止めた開口部152のエッチング深さは、保護膜全面エッチング工程(S114)において絶縁膜220の表面が露出した時点或いは直後に開口部154の幅寸法がW2になるように調整すると好適である。できるだけ、絶縁膜220の表面が露出する時間が短くなるように調整することで絶縁膜220をプラズマ雰囲気に晒す時間を短くできる。これにより、絶縁膜220表面が過剰なダメージを受けることを回避できる。
【0024】
例えば、ウェットエッチング法により開口部154を形成する場合、保護膜222の膜厚THM、所望の配線幅W00、ウェットエッチング時の保護膜222のエッチング量W01、最終的な保護膜222(或いは後述する犠牲膜)直下の配線幅W02を用いて、ハーフエッチングで止めた開口部152のエッチング深さDは、以下の式(1)で求めることができる。
(1) D≧THM−(W02/2−W00/2),W01=W02/2−W00/2
【0025】
図3(c)において、犠牲膜形成工程(S116)として、開口部154内を含む保護膜222上に犠牲膜224を例えば40nmの膜厚で形成する。犠牲膜224は、PECVD法を用いて形成できる。犠牲膜224としてSiO2膜が好適である。SiO2膜は、保護膜222と同様、例えばTEOS膜を用いると好適である。
【0026】
ここで、上述したように、従来の製造方法におけるウェットクリーニング処理工程時に絶縁膜上の保護膜が庇状に残るのは、保護膜が直下の絶縁膜のダメージ層よりもウェットクリーニング処理時でのウェットエッチングレートが小さいからである。そこで、実施の形態1では、保護膜222よりも後述するウェットクリーニング処理工程(S126)でのウェットエッチングレートが大きい犠牲膜224を形成する。ここでは、犠牲膜224がダメージ層10と同等或いはダメージ層10以上のウェットエッチングレートになるように形成する。例えば、ウェットクリーニング処理において、ダメージ層10が3nmエッチングされるのに対して、保護膜222は1.5nm程度エッチングされ、ダメージを受けていない部分の絶縁膜220は1nm程度エッチングされる。かかる状況で、犠牲膜224がダメージ層10と同じ3nmエッチングされるように、或いはダメージ層10以上エッチングされるように成膜条件を調整する。例えば、保護膜222の形成時より低周波パワーを小さくする、並行平板間距離を大きくする、或いはチャンバ内圧力を高くするといった条件の調整により、保護膜222よりもウェットエッチングレートが大きい犠牲膜224を形成できる。言い換えれば、かかる条件の調整により、犠牲膜224がダメージ層10と同じ或いはそれ以上のウェットエッチングレートになるように調整できる。
【0027】
一方で、ウェットエッチングレートと耐透水性とはトレードオフの関係にあり、絶縁膜220のダメージ層10と同等のウェットエッチングレートの犠牲膜224だけを絶縁膜220上に形成すると絶縁膜220の吸湿状況が悪化してしまう。絶縁膜220の吸湿状況の悪化は、絶縁膜220の誘電率増加、RIEプロセスのエッチングレート変動、及びCu配線の信頼性劣化の原因となる。そのため、絶縁膜220上に形成される膜の耐透水性が必要となる。そこで、実施の形態1では、ダメージ層10と同等のウェットエッチングレートの犠牲膜224だけを絶縁膜220上に形成するのではなく、密度が相対的に低く透水性が高い犠牲膜224の側面側に密度が相対的に高く透水性が低い保護膜222をあえて残すように形成することで、耐透水性を実現できる。
【0028】
図3(d)において、レジストパターン形成工程(S118)として、犠牲膜224上にレジスト材を塗布し、リソグラフィ技術を用いて幅W3となる開口パターン156が形成されたレジストパターン272を形成する。開口パターン156の幅W3の寸法は、W1と同じ、ダマシン配線を作製するための配線溝の幅に設定する。このようにして犠牲膜224が形成された後に犠牲膜224上にレジストパターン272(第2のレジストパターン)を形成する。
【0029】
実施の形態1では、レジストパターン270を形成する際の開口パターンの幅寸法W1を、レジストパターン272を形成する際の開口パターンの幅寸法W3と同じ寸法に合わせた。これにより、レジストパターン270,272を形成する際の露光用マスクを共用できる。よって、わざわざ別の露光用マスクを製作する必要がなく、コストと手間を低減できる。
【0030】
図4は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図4では、図1のエッチング工程(S122)からウェットクリーニング処理工程(S126)までを示している。
【0031】
図4(a)において、エッチング工程(S122)として、レジストパターン272をマスクとして開口部154の犠牲膜224を異方性エッチング法によりエッチングして、犠牲膜224に開口部157を形成する。その後、レジストパターン272と犠牲膜224とをマスクとして、絶縁膜220を異方性エッチング法によりエッチングして開口部157を転写することで、絶縁膜220に開口部158を形成する。絶縁膜220をエッチングする際には、下地膜210をエッチングストッパとしてエッチングすればよい。その後、露出した下地膜210を同様にエッチングして基板200まで貫通させればよい。異方性エッチング法により除去することで、基板200の表面に対し、略垂直に開口部157,158を形成することができる。例えば、一例として、RIE法により開口部157,158を形成すればよい。以上のように、実施の形態1では、開口部154内の犠牲膜224に開口部154よりも幅の狭い開口部157(第2の開口部)を形成する工程と、開口部157が形成された犠牲膜224をハードマスクとして、絶縁膜220に開口部158(第3の開口部)を形成する工程とを連続的に行なう。
【0032】
図4(b)において、レジスト除去工程(S124)として、アッシング等によりレジストパターン272を除去する。これにより、開口部154内に開口部154よりも幅の狭い開口部157が形成された犠牲膜224が表面全体に露出する。
【0033】
図4(c)において、ウェットクリーニング処理工程(S126)として、開口部157,158が形成され、上面と開口部157壁面には犠牲膜224が、開口部158壁面にはダメージ層10を含む絶縁膜220が露出した基板200に対してウェットクリーニング処理を行う。ウェットクリーニング液は、例えば、希フッ酸を用いる。ウェットクリーニング処理により、ドライエッチング時に生じる副生成物、レジスト残渣、吸湿悪化の原因となる絶縁膜220の開口部158側壁に生じるダメージ層の除去ができる。
【0034】
かかるウェットクリーニング処理により、ダメージ層10と共に犠牲膜224が同等以上のウェットエッチングレートでエッチングされる。その結果、ウェットクリーニング処理後に、開口部157の幅と開口部158の少なくとも一部の幅(ここでは上部の幅)とが共に広がるように変化する。図4(c)では、犠牲膜224の一部が残っているが、ウェットクリーニング処理によるエッチング量によっては、犠牲膜224が無くなってしまっても構わない。
【0035】
また、ウェットクリーニング処理により犠牲膜224が除去されても、ウェットクリーニング処理後に透水性の低い保護膜222が絶縁膜220の大部分を覆っているので絶縁膜220の吸湿を抑制できる。
【0036】
図5は、実施の形態1における開口部の形状と従来の形状とを比較した概念図である。従来の製造方法では、ウェットクリーニング処理した場合、図5(a)に示すように、ダメージ層10がエッチングより側面方向に欠けた除去部分20上に保護膜223の庇部分22が形成されてしまう。これに対して、実施の形態1によれば、開口部158周囲の絶縁膜220上には保護膜222ではなく犠牲膜224が形成されているので、図5(b)に示すように、ダメージ層10がエッチングより側面方向に欠けた除去部分20上の犠牲膜224も同様にエッチングされる。よって、犠牲膜224が庇状に残ることがない。
【0037】
図6は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図6では、図1のバリアメタル膜形成工程(S128)から研磨工程(S134)までを示している。
【0038】
図6(a)において、バリアメタル膜形成工程(S128)として、ウェットクリーニング処理により幅が広がった開口部157及び少なくとも上部の幅が広がった開口部158内面上及び犠牲膜224表面上、或いは保護膜222が露出している場合には保護膜222表面上に導電性材料の一例となるバリアメタル材料を用いたバリアメタル膜240を形成する。スパッタ法を用いるスパッタリング装置内でタンタル(Ta)膜を例えば膜厚5nm堆積し、バリアメタル膜240を形成する。バリアメタル材料の堆積方法としては、PVD法に限らず、原子層気相成長(atomic layer deposition:ALD、あるいは、atomic layer chemical vapor deposition:ALCVD)法やCVD法などを用いることができる。PVD法を用いる場合より被覆率を良くすることができる。バリアメタル膜240の材料としては、Taの他、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)等の金属、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)等に代表されるこれらの金属の窒化物、或いはこれらの金属を含有するその他の材料を単独でまたは積層して用いることができる。
【0039】
図7は、実施の形態1におけるバリアメタル膜の成膜状況と従来方法によるバリアメタル膜の成膜状況とを比較するための概念図である。従来の製造方法では、絶縁膜220のダメージ層10がウェットクリーニング処理により側面方向に欠けたため保護膜223が庇状に突き出てしまう。そのため、図7(a)に示すように、ダメージ層10が欠けた部分にバリアメタル膜241が成膜されず、膜切れ30を生じてしまう。これに対して、実施の形態1では、上方に向かって開口部が広がるように形成できるので、保護膜222或いは犠牲膜224が庇状に形成されず、連続的にバリアメタル膜240を成膜できる。よって、実施の形態1では、バリアメタル膜240の膜切れを防止できる。よって、後述するCu等の配線材料が絶縁膜220へと拡散することを防止或いは抑制できる。さらに、保護膜直下のえぐれた部分が存在しないのでCu等の配線材料の埋め込み不良を回避できる。
【0040】
図6(b)において、シード膜形成工程(S130)として、スパッタ等の物理気相成長(PVD)法により、次の工程である電解めっき工程のカソード極となるCu薄膜をシード膜250としてバリアメタル膜240が形成された開口部157,158内壁及び基板200表面に例えば5nmの膜厚で堆積(形成)させる。
【0041】
図6(c)において、めっき及びアニール工程(S132)として、シード膜250をカソード極として、電解めっき等の電気化学成長法により導電性材料の一例となるCu膜260をシード膜250が形成された開口部157,158内及び基板200表面に同時に堆積させる。ここでは、例えば、膜厚900nmのCu膜260を堆積させ、堆積させた後にアニール処理を例えば250℃の温度で30分間行なう。
【0042】
図6(d)において、研磨工程(S134)として、CMP法によって、基板200の表面を研磨して、開口部158以外に表面に堆積した配線層となるシード膜250を含むCu膜260とバリアメタル膜240と犠牲膜224と保護膜222を研磨除去する。その結果、図6(d)に示すように、Cu膜260の表面と絶縁膜220の表面とが同一面となるように平坦化される。以上によりダマシン法によるCu配線を形成できる。
【0043】
上述した例では、犠牲膜224として、保護膜222とは成膜条件の異なるSiO2膜を用いたが、ウェットクリーニング処理によるエッチング量が絶縁膜220のダメージ層10のエッチング量と整合が取れていれば、これに限るものではない。犠牲膜224の材料は、SiO2の他、たとえば、SiON、SiOC、或いはSiOFでも構わない。或いは、これらの積層膜でも構わない。また、犠牲膜224の形成方法もPECVD法に限らず、LPCVD法、ALD法、スパッタリング法、蒸着法、塗布法でもかまわない。
【0044】
また、上述した例では、ドライエッチング処理によって絶縁膜220中に配線溝となる開口部158を加工後、ウェットクリーニング処理を行い絶縁膜220の開口部158側壁に生じるダメージ層の除去を行ったが、ドライエッチング処理後に変質した絶縁膜220のダメージ層を修復する処理を行った後、ウェットクリーニング処理を行ってもかまわない。たとえば、アルキル基とシラノール基を持った分子を含む反応性ガスまたは薬液にさらし、破壊されたSi−CH3基の修復を行う処理を行ってもかまわない。修復処理を行う場合、犠牲膜224のウェットクリーニング処理によるエッチング量は、犠牲膜224直下の修復されたダメージ層10のウェットクリーニング処理によるエッチング量と整合を取ることが望ましい。
【0045】
以上のように、実施の形態1によれば、ウェットクリーニング処理を行った場合でも絶縁膜220上に保護膜222或いは犠牲膜224による庇形状が形成されないようにできる。そのため、Cu配線の信頼性劣化およびCu配線の電気特性の劣化を共に低減できる。その結果、電気特性が優れ、さらに信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0046】
実施の形態2.
実施の形態1では、エッチング工程(S110)にて保護膜222に絶縁膜220まで貫通しない開口部152を形成した後に、保護膜全面エッチング工程(S114)にて保護膜222を全面エッチングして開口部の幅を広げたが、これに限るものではない。実施の形態2では、保護膜222に絶縁膜220まで貫通する開口部を形成する場合について説明する。実施の形態2における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートは図1と同様である。また、実施の形態2において特に説明しない内容は実施の形態1と同様である。
【0047】
図8は、実施の形態2における図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図8では、図1のエッチング工程(S110)からレジスト除去工程(S112)までを示している。レジストパターン形成工程(S106)までの各工程は実施の形態1と同様である。
【0048】
図8(a)において、エッチング工程(S110)として、レジストパターン270をマスクとして、保護膜222に絶縁膜220まで貫通する開口部153を形成する。ここでも、実施の形態1と同様、RIE法により開口部153を形成すればよい。
【0049】
図8(b)において、レジスト除去工程(S112)として、アッシング等によりレジストパターン270を除去する。これにより、絶縁膜220まで貫通した配線溝の幅W1の開口部153が形成された保護膜222が表面全体に露出する。
【0050】
そして、保護膜全面エッチング工程(S114)として、図3(b)に示したように、開口部153が形成された保護膜222を全面エッチング(全面エッチバック)して、開口部153側壁を後退させて、保護膜222に配線溝の幅W1より広い幅W2の開口部154(第1の開口部)を形成する。レジストパターン270をマスクとして開口された保護膜222に、異方性を弱めたRIE法、或いは、等方性エッチング法によりエッチングを行なえばよい。実施の形態1と同様、ウェットクリーニング処理工程(S126)により側面方向にダメージ層10がエッチングされる寸法以上に幅W2が幅W1より広くなるように保護膜222をスリミングする。以降の各工程は実施の形態1と同様である。
【0051】
以上のように実施の形態2では、絶縁膜220まで貫通する開口部153が形成された状態の保護膜222をスリミングする。そのため、実施の形態2では、一方で、保護膜全面エッチング工程(S114)時に絶縁膜220が最初から露出しているので、実施の形態1の場合よりも絶縁膜220表面にさらにダメージを与えることにつながる。しかしながら、他方で、実施の形態2では同一材料中でエッチングを停止させる必要がないため、実施の形態1の場合よりもエッチングにおけるプロセス制御を容易にできる。かかる点以外については、実施の形態2の製造方法でも実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、保護膜全面エッチング工程(S114)後に変質した絶縁膜220のダメージ層をまず修復する処理を行っても好適である。それにより過剰なダメージを回避できる。修復処理の内容は実施の形態1と同様である。
【0052】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、レジストパターン270をマスクとして、保護膜222に開口部を形成した後に開口幅を広げたが、これに限るものではない。実施の形態3では、レジストパターン270の開口幅を先に広げる場合について説明する。
【0053】
図9は、実施の形態3における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。図9において、レジストパターン形成工程(S106)とエッチング工程(S110)の間に、レジスト全面エッチング工程(S108)を追加した点と、保護膜全面エッチング工程(S114)を削除した点以外は、図1と同様である。また、実施の形態3において特に説明しない内容は実施の形態1と同様である。
【0054】
図10は、実施の形態3における図9のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図10では、図9のレジスト全面エッチング工程(S108)からエッチング工程(S110)までを示している。レジストパターン形成工程(S106)までの各工程は実施の形態1と同様である。
【0055】
図10(a)において、レジスト全面エッチング工程(S108)として、図2(c)に示したように、配線溝の幅W1となる開口パターン150が形成されたレジストパターン270を全面エッチング(全面エッチバック)して、開口パターン150側壁を後退させて、レジストパターン270に配線溝の幅W1より広い幅W2の開口パターン155を形成する。異方性を弱めたRIE法、或いは、等方性エッチング法によるドライエッチング処理をレジストパターン270に行なえばよい。或いは等方性エッチング法によるウェットエッチング処理でも構わない。ウェットクリーニング処理工程(S126)により側面方向にダメージ層10がエッチングされる寸法以上に幅W2が幅W1より広くなるようにレジストパターン270をスリミングする。
【0056】
図10(b)において、エッチング工程(S110)として、幅W2の開口パターン155が形成されたレジストパターン270をマスクとして、保護膜222に絶縁膜220まで貫通する開口部154を形成する。実施の形態1と同様、RIE法により開口部154を形成すればよい。
【0057】
そして、レジスト除去工程(S112)において、アッシング等によりレジストパターン270を除去する。これにより、絶縁膜220まで貫通した、図3(b)と実質的に同様の配線溝の幅W2の開口部154が形成された保護膜222が表面全体に露出する。実施の形態3では、配線幅より広げた開口パターンのレジストパターン270をマスクとしてエッチングしているので、全面エッチバックした図3(b)の形状とは異なり、略垂直の開口部154が保護膜222に形成される。但し、絶縁膜220との界面での幅寸法は図3(b)と同様にできる。以降の各工程は実施の形態1と同様である。かかる実施の形態3の製造方法でも実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0058】
なお、実施の形態3では、上述したように、まず、レジストパターン270をスリミングしてから、広がった開口パターンを持ったレジストをマスクとして保護膜222をエッチングする。そのため、実施の形態3では、レジスト除去工程(S112)時に、絶縁膜220の一部が露出しているのでアッシング雰囲気に晒されてしまうことで絶縁膜220に対してダメージを与えてしまう。そこで、レジスト除去工程(S112)後に変質した絶縁膜220のダメージ層をまず修復する処理を行っても好適である。それにより過剰なダメージを回避できる。修復処理の内容は実施の形態1と同様である。
【0059】
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、レジストパターン272をマスクとして犠牲膜224をエッチングしたが、これに限るものではない。実施の形態4では、マスク材を用いずに犠牲膜224をエッチングする場合について説明する。
【0060】
図11は、実施の形態4における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。図11において、レジストパターン形成工程(S118)の代わりに、犠牲膜全面エッチング工程(S120)を備えた点と、レジスト除去工程(S124)を削除した点以外は、図1と同様である。また、実施の形態4において特に説明しない内容は実施の形態1と同様である。
【0061】
図12は、実施の形態4における図11のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図12では、図11の犠牲膜全面エッチング工程(S120)からウェットクリーニング処理工程(S126)までを示している。犠牲膜形成工程(S116)までの各工程は実施の形態1と同様である。
【0062】
図12(a)において、犠牲膜全面エッチング工程(S120)として、図3(c)で示した犠牲膜224を形成した状態から犠牲膜224を異方性エッチング法により全面エッチング(全面エッチバック)して、保護膜222の側面に膜を残しつつ絶縁膜220まで貫通する開口部159(第2の開口部)を形成する。開口部159の絶縁膜220界面での幅W3は、配線溝の幅W1と実質的に同じ寸法に形成する。ここでは、RIE法によるドライエッチング処理を犠牲膜224に行なえばよい。
【0063】
ここで、絶縁膜220の表面が露出した時点或いは直後に開口部159底の幅寸法がW3になるように犠牲膜形成工程(S116)で形成される犠牲膜224の膜厚を調整すると好適である。できるだけ、絶縁膜220の表面が露出する時間が短くなるように調整することで絶縁膜220をプラズマ雰囲気に晒す時間を短くできる。これにより、絶縁膜220表面が過剰なダメージを受けることを回避できる。逆に、絶縁膜220の表面が露出した時点で開口部159底の幅寸法が所望する配線幅よりも広くならないように犠牲膜224の膜厚を調整すると好適である。
【0064】
図12(b)において、エッチング工程(S122)として、保護膜222及び犠牲膜224をハードマスクとして絶縁膜220を異方性エッチング法によりエッチングして、絶縁膜220に開口部158を形成する。
【0065】
実施の形態1と同様のウェットクリーニング処理工程(S126)を行うことで、図12(c)に示すように、ダメージ層10と共に犠牲膜224が同等以上のウェットエッチングレートでエッチングされる。その結果、ウェットクリーニング処理後に、開口部159の幅と開口部158の少なくとも一部の幅(ここでは上部の幅)とが共に広がるように変化する。図12(c)では、犠牲膜224の一部が残っているが、ウェットクリーニング処理によるエッチング量によっては、犠牲膜224が無くなってしまっても構わない。ウェットクリーニング処理により犠牲膜224が除去されても、ウェットクリーニング処理後に透水性の低い保護膜222が絶縁膜220の大部分を覆っているので、実施の形態1と同様、絶縁膜220の吸湿を抑制できる。
【0066】
以降の各工程は実施の形態1と同様である。かかる実施の形態4の製造方法でも実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0067】
さらに、実施の形態4では、犠牲膜224をパターニングする際にレジストパターン272を用いないので、リソグラフィに必要な複数の工程が不要であり、その分、工程数を減らすことができる。さらに、絶縁膜220に開口部158が形成された後にレジストを除去する必要がないので、アッシングによる絶縁膜220の開口部158側壁へのダメージを回避できる。
【0068】
実施の形態5.
実施の形態4で説明したように犠牲膜224をパターニングする際にレジストパターン272を用いない場合でも、実施の形態2と同様、エッチング工程(S110)にて保護膜222に絶縁膜220まで貫通する開口部を形成してもよい。実施の形態5における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートは図11と同様である。そして、図11のエッチング工程(S110)から保護膜全面エッチング工程(S114)までの内容は実施の形態2と同様である。その他の工程は、実施の形態4と同様である。
【0069】
実施の形態5によれば、実施の形態1と同様の効果の他、実施の形態2と同様、保護膜222をエッチングする際に、同一材料中でエッチングを停止させる必要がないため、実施の形態1,4の場合よりもエッチングにおけるプロセス制御を容易にできる。さらに、実施の形態4と同様、犠牲膜224をパターニングする際にレジストパターン272を用いないので、その分、工程数を減らすことができる。さらに、絶縁膜220に開口部158が形成された後にレジストを除去する必要がないので、アッシングによる絶縁膜220の開口部158側壁へのダメージを回避できる。
【0070】
実施の形態6.
実施の形態4で説明したように犠牲膜224をパターニングする際にレジストパターン272を用いない場合でも、実施の形態3と同様、保護膜222をパターニングする際のレジストパターン270の開口幅を先に広げるようにしてもよい。
【0071】
図13は、実施の形態6における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。図13において、レジストパターン形成工程(S106)とエッチング工程(S110)の間に、レジスト全面エッチング工程(S108)を追加した点と、保護膜全面エッチング工程(S114)を削除した点以外は、図11と同様である。そして、図11のレジスト全面エッチング工程(S108)からレジスト除去工程(S112)までの内容は実施の形態3と同様である。その他の工程は、実施の形態4と同様である。
【0072】
実施の形態6によれば、実施の形態1と同様の効果の他、実施の形態4と同様、犠牲膜224をパターニングする際にレジストパターン272を用いないので、その分、工程数を減らすことができる。さらに、絶縁膜220に開口部158が形成された後にレジストを除去する必要がないので、アッシングによる絶縁膜220の開口部158側壁へのダメージを回避できる。
【0073】
以上の説明において、上記各実施の形態における配線層の材料として、Cu以外に、Cu−Sn合金、Cu−Ti合金、Cu−Al合金等の、半導体産業で用いられるCuを主成分とする材料を用いても同様の効果が得られる。
【0074】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、上述した例では、シングルダマシン法により一層分の配線層を形成する場合について説明したが、デュアルダマシン法により配線とヴィアプラグとを同時に形成する場合についても同様に成り立つ。
【0075】
さらに、層間絶縁膜の膜厚や、開口部のサイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
【0076】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置及び半導体装置の製造方法は、本発明の範囲に包含される。
【0077】
また、説明の簡便化のために、半導体産業で通常用いられる手法、例えば、レジストパターン形成および除去以外のフォトリソグラフィプロセス、処理前後のクリーニング等は省略しているが、それらの手法が含まれ得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0078】
10 ダメージ層、150,155,156 開口パターン、152,153,154,157,158,159 開口部、200 基板、220 絶縁膜、222 保護膜、224 犠牲膜、240 バリアメタル膜、260 Cu膜、270,272 レジストパターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に保護膜を形成する工程と、
前記保護膜に前記絶縁膜まで貫通する第1の開口部を形成する工程と、
前記第1の開口部内に前記保護膜よりもウェットエッチングレートが大きい犠牲膜を形成する工程と、
前記第1の開口部内の前記犠牲膜に前記第1の開口部よりも幅の狭い第2の開口部を形成する工程と、
前記第2の開口部を転写することで前記絶縁膜に第3の開口部を形成する工程と、
前記第3の開口部が形成された後に、ウェット処理を行なう工程と、
前記ウェット処理後に、少なくとも一部の幅が変化した前記第3の開口部内にバリアメタル膜を形成する工程と、
前記バリアメタル膜が形成された前記第3の開口部内に導電性材料を埋め込む工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記保護膜が形成された後に前記保護膜上に第1のレジストパターンを形成する工程と、
前記犠牲膜が形成された後に前記犠牲膜上に第2のレジストパターンを形成する工程と、
をさらに備え、
前記第1の開口部を形成する際、前記第1のレジストパターンをマスクとして前記保護膜をエッチングし、
前記第2の開口部を形成する際、前記第2のレジストパターンをマスクとして前記犠牲膜をエッチングすることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記保護膜が形成された後に前記保護膜上にレジストパターンを形成する工程をさらに備え、
前記第1の開口部を形成する際、前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をエッチングし、
前記第2の開口部を形成する際、異方性エッチング法により前記保護膜の側面に膜を残しつつ前記絶縁膜まで前記犠牲膜をエッチングすることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1のレジストパターンは、前記第1の開口部の幅よりも小さい幅で開口パターンが形成され、
前記第1の開口部を形成する際、前記保護膜をエッチングする前の前記第1のレジストパターン、又は前記第1のレジストパターンをマスクとして前記保護膜をエッチングした後の前記保護膜をスリミングすることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1のレジストパターン、又は前記保護膜がスリミングされる前における前記第1のレジストパターンの開口パターンと、前記犠牲膜がエッチングされる際における第2のレジストパターンの開口パターンは、同じ幅寸法で形成されることを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に保護膜を形成する工程と、
前記保護膜に前記絶縁膜まで貫通する第1の開口部を形成する工程と、
前記第1の開口部内に前記保護膜よりもウェットエッチングレートが大きい犠牲膜を形成する工程と、
前記第1の開口部内の前記犠牲膜に前記第1の開口部よりも幅の狭い第2の開口部を形成する工程と、
前記第2の開口部を転写することで前記絶縁膜に第3の開口部を形成する工程と、
前記第3の開口部が形成された後に、ウェット処理を行なう工程と、
前記ウェット処理後に、少なくとも一部の幅が変化した前記第3の開口部内にバリアメタル膜を形成する工程と、
前記バリアメタル膜が形成された前記第3の開口部内に導電性材料を埋め込む工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記保護膜が形成された後に前記保護膜上に第1のレジストパターンを形成する工程と、
前記犠牲膜が形成された後に前記犠牲膜上に第2のレジストパターンを形成する工程と、
をさらに備え、
前記第1の開口部を形成する際、前記第1のレジストパターンをマスクとして前記保護膜をエッチングし、
前記第2の開口部を形成する際、前記第2のレジストパターンをマスクとして前記犠牲膜をエッチングすることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記保護膜が形成された後に前記保護膜上にレジストパターンを形成する工程をさらに備え、
前記第1の開口部を形成する際、前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をエッチングし、
前記第2の開口部を形成する際、異方性エッチング法により前記保護膜の側面に膜を残しつつ前記絶縁膜まで前記犠牲膜をエッチングすることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1のレジストパターンは、前記第1の開口部の幅よりも小さい幅で開口パターンが形成され、
前記第1の開口部を形成する際、前記保護膜をエッチングする前の前記第1のレジストパターン、又は前記第1のレジストパターンをマスクとして前記保護膜をエッチングした後の前記保護膜をスリミングすることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1のレジストパターン、又は前記保護膜がスリミングされる前における前記第1のレジストパターンの開口パターンと、前記犠牲膜がエッチングされる際における第2のレジストパターンの開口パターンは、同じ幅寸法で形成されることを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−155074(P2011−155074A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14582(P2010−14582)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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