説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】貫通電極を有する半導体装置及びその製造方法において、処理時間及び処理コストを大幅に低減できる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】貫通電極19を有する半導体装置及びその製造方法において、半導体基板5の裏面の貫通電極19を含む再配線層18の周囲を囲むように配線同士を絶縁する絶縁部形成用ダミー溝穴部7bを有することにより、配線間を絶縁するためには絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部に存在する金属層のみを除去すれば良く、大幅な処理時間及び処理コストの低減が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、貫通電極を有する半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、三次元実装技術として、また新たなパッケージ技術として、CSP(Chip Size Package)が注目されている。CSPとは、半導体チップの外形寸法と略同サイズの外形寸法を有する小型パッケージをいう。
従来より、CSPの一種として、貫通電極を有したBGA型の半導体装置が知られている。このBGA型の半導体装置は、半導体基板を貫通してパッド電極と接続された貫通電極を有する。また、当該半導体装置は、当該裏面上に半田等の金属部材からなるボール上の導電端子が格子状に複数配列されたものである。
【0003】
そして、この半導体装置を電子機器に組み込む際には、各導電端子を回路基板(例えばプリント基板)上の配線パターンに接続している。
このようなBGA型の半導体装置は、側部に突出したリードピンを有するSOP(Small Outline Package)又はQFP(Quad Flat Package)等の他のCSP型の半導体装置に比べて、多数の導電端子を設けることができ、しかも小型化できるという長所を有する。
次に、特許文献1に示すような従来例1に係る貫通電極を有したBGA型の半導体装置の製造方法の概要についてのフローチャートを図7を示し、各段階での断面図を図8A〜図8Kに示し、これらを用いて説明する。
【0004】
最初に、図8Aに示すように、第1の絶縁膜51を介して、電子デバイス52(例えば、CCD又は赤外線センサー等の受光素子、もしくは発光素子等)、前記電子デバイス52と接続された外部接続用電極であるパッド電極53が形成されたシリコンの半導体基板55の表面(図8Aでは下面)に、樹脂製の接着層を介して支持体54を接着する(ステップS101)。
次に、図8Bに示すように、半導体基板55の裏面(図8Aでは上面)にレジストビアパターン層56を形成する(ステップS102)。
【0005】
次に、図8Cに示すように、このレジストビアパターン層56をマスクとして、半導体基板55の裏面からパッド電極53に到達するシリコンのビアホール57を、ドライエッチング法により形成する(ステップS103)。ビアホール57の底部には、第1の絶縁膜51が露出されている。続いて、ビアホール57のドライエッチングに用いたレジスト層56をマスクとして、ビアホール57の底部の第1の絶縁膜51を、ドライエッチング法により除去する。これにより、ビアホール57の底部でパッド電極53の一部が露出される。その後、半導体基板55の裏面からレジスト層56を除去する。
次に、図8Dに示すように、ビアホール57内を含む半導体基板55上に、第2の絶縁膜58を形成する(ステップS104)。ここで、ビアホール57の底部の第2の絶縁膜58は、当該ビアホール57の深さに応じて、半導体基板55の表面の第2の絶縁膜58よりも薄く形成される。
【0006】
次に、図8Eに示すように、第2の絶縁膜58が形成された半導体基板55を、異方性のドライエッチングにより、第2の絶縁膜58のエッチングを行なう(ステップS105)。上記エッチングにより、ビアホール57の底部では、第2の絶縁膜58が除去されてパッド電極53の一部が露出されるが、半導体基板55の表面及びビアホール57の側壁では、第2の絶縁膜58が残存することになる。
次に、図8Fに示すように、ビアホール57内及び半導体基板55の表面の第2の絶縁膜58上に、バリアメタル層59を形成する(ステップS106)。続いて、ビアホール57内及び半導体基板55の表面のバリアメタル層59上に、シードメタル層60を形成する(ステップS107)。このシードメタル層60は、後述する配線形成層61をメッキ形成するための電極となるものである。
次に、図8Gに示すように、半導体基板55の表面に形成されたバリアメタル層59及びシードメタル層60を被覆するように配線形成層61を形成する(ステップS112)。
【0007】
そして、前記配線形成層61上の所定の領域に第2のレジスト層62を形成する(ステップS113)。
次に、図8Hに示すように、前記第2のレジスト層62をマスクとして、前記配線形成層61をパターニングして、貫通電極49及びこの貫通電極49と連続した配線層48を形成する(ステップS114)。なお、前記第2のレジスト層62を形成する上記所定の領域とは、ビアホール57の形成領域であり、かつ後述する所定のパターンを有した配線層を形成する半導体基板55の表面の領域である。
ここで、貫通電極49は、シードメタル層60及びバリアメタル層59を介して、ビアホール57の底部で露出するパッド電極53と電気的に接続されて形成される。また、貫通電極49と連続し、電気的に接続された配線層(前記配線形成層61)48は、シードメタル層60及びバリアメタル層59を介して、半導体基板55の表面の所定のパターンを有して形成される。
【0008】
続いて、図8Iに示すように、前記第2のレジスト層62をマスクにして、シードメタル層60とバリアメタル層59をパターニングして除去する(ステップS114)。
次に、図8Jに示すように、第2のレジスト層62を除去する(ステップS110)。
次に、図8Kに示すように、ビアホール57内を含む半導体基板55の表面上、すなわち、第2の絶縁膜58上、貫通電極49及び配線層48上に、これらを覆うようにして、保護層63を形成する(ステップS111)。保護層63は、例えばレジスト材料等からなる。保護層63のうち配線層48に対応する位置には開口部63aが設けられる。そして、当該開口部63aで露出する配線層48上に、例えばハンダ等の金属からなるボール状の導電端子64が形成される。
【0009】
次に、不図示のダイシングラインに沿って当該半導体基板55をダイシングする。これにより、貫通電極49を有した半導体チップからなる複数の半導体装置が完成する。
図9A及び図9Bには、前述した製造方法で作成された半導体装置の一部の一例を示している。2つの貫通電極49と、それら貫通電極49同士を接続する配線層48であり、保護膜63を形成する前の状態を示している。図9Aは、貫通電極49の断面構造を示しており、図9Bは、2つの貫通電極49と、それら貫通電極49同士を接続する配線層48の上部からの構造を簡単に示している。図9Bにおいて、2つの貫通電極と、それら貫通電極同士を接続する配線61であり、その周囲との絶縁が目的の第2の絶縁膜58からなる。
【0010】
次に、特許文献2に示すような従来例2に係る貫通電極を有したBGA型の半導体装置の製造方法の概要についてのフローチャートを図10、及び、各工程での断面図を図11A〜図11Kを用いて、説明する。
この方法は、セミアディティブ法と呼ばれている。前述した特許文献1の半導体装置の製造方法のうち、図11A〜図11Fに示すように、バリアメタル層59の形成、及びシードメタル層60の形成までは同一の製造方法であるため、説明は省略し、主として、異なる工程について説明する。
【0011】
まず、図11Gに示すように、バリアメタル層59及びシードメタル層60上の所定の領域に第2のレジスト層62を形成する(ステップS108)。ここで、第2のレジスト層62を形成する上記所定の領域とは、ビアホール57の形成領域を除く領域であり、かつ後述する所定のパターンを有した配線層48を形成しない半導体基板55の表面の領域である。
次に、図11Hに示すように、第2のレジスト層62をマスクとして、配線形成層61を形成する(ステップS109)。
次に、図11Iに示すように、第2のレジスト層62を除去する(ステップS110)。
【0012】
次に、図11Jに示すように、配線形成層61をマスクとして、シードメタル層60及びバリアメタル層59を除去する(ステップS115)。
次に、図11Kに示すように、ビアホール57内を含む半導体基板55の表面上、すなわち、第2の絶縁膜58上、貫通電極49及び配線層48上に、これらを覆うようにして、保護層63を形成する(ステップS111)。保護層63は、例えばレジスト材料等からなる。保護層63のうち配線層48に対応する位置には開口部63aが設けられる。そして、当該開口部63aで露出する配線層61上に、例えばハンダ等の金属からなるボール状の導電端子64が形成される。
次に、不図示のダイシングラインに沿って当該半導体基板55をダイシングする。これにより、貫通電極49を有した半導体チップからなる複数の半導体装置が完成する。
【0013】
図12A及び図12Bには、前述した製造方法で作成された半導体装置の一部の一例を示している。図12A及び図12Bは、2つの貫通電極49と、それら貫通電極49同士を接続する配線層48であり、保護膜63を形成する前の状態を示している。図12Aは、貫通電極49の断面構造を示しており、図12Bは、2つの貫通電極49と、それら貫通電極49同士を接続する配線層48の上部からの構造を簡単に示している。図12Bにおいて、2つの貫通電極49と、それら貫通電極49同士を接続する配線層48であり、その周囲との絶縁が目的の第2の絶縁膜58からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−128171号公報
【特許文献2】特開2003−198122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に示すような従来例1の半導体装置及びその製造方法においては、配線形成層と、シードメタル層と、バリアメタル層とをウエットエッチングにてパターン形成することになるが、配線形成層とシードメタル層とバリアメタル層との膜厚を合わせると、7μm〜10μmにもなり、ウエットエッチング時間として70分〜100分が必要であり、処理時間と処理コストが増大になるという問題点があった。
また、特許文献2に示すような従来例2の半導体装置及びその製造方法においては、配線形成層の形成で第2のレジストをマスクとして、メッキ法により配線形成層のみを選択的に形成する。したがって、配線形成層領域以外の領域のシードメタル層とバリアメタル層とのみを除去すればよいことになる。しかしながら、シードメタル層とバリアメタル層との膜厚を合わせても2μm〜3μmにもなり、ウエットエッチング時間として20分〜30分が必要であり、特許文献1に示すような従来例1より処理時間と処理コストが減少するものの、依然処理時間と処理コストが必要であるという問題点があった。また、メッキ法で形成した配線形成層をマスクとするので、シードメタル層とバリアメタル層とのウエットエッチング時の配線形成層の膜減りが大きく、その結果、半導体装置の電気特性のバラツキを引き起こすという問題点もあった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、貫通電極を有する半導体装置及びその製造方法において、ウエットエッチング工程の処理時間及び処理コストを大幅に低減できる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の半導体装置は、半導体基板の表面に形成された電子デバイスと、前記電子デバイスと導通されたパッド電極と、前記半導体基板を厚さ方向に貫通する貫通電極と、前記半導体基板の裏面に形成されて前記貫通電極同士を接続する配線層と、前記配線層又は前記貫通電極に接続される導電端子とを備える半導体装置であって、前記半導体基板の裏面において、前記貫通電極及び前記配線層を囲むように形成された絶縁部形成用溝部を備える、ことを特徴とする。
また、本発明の半導体装置の製造方法は、電子デバイスとパッド電極とが表面側に配置された半導体基板の裏面側から前記半導体基板を厚さ方向に貫通して前記半導体基板の表面の前記パッド電極に導通する貫通電極を形成し、前記貫通電極と導通しかつ前記半導体基板の裏面に配置される配線層を形成する半導体装置の製造方法において、前記半導体基板の裏面側から前記半導体基板の前記厚さ方向に延びる貫通電極用のビアホールを形成するビアホール形成工程と、前記ビアホールにおける絶縁部の形成前に、前記貫通電極及び前記配線層を囲むように絶縁部形成用溝部を形成する溝部形成工程を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、ウエットエッチング工程の処理時間及び処理コストを大幅に低減することができる。また、ダミー溝穴部の底部の導電性層を除去するための時間のみウエットエッチングすればよいため、ウエットエッチングの時間が少ないことから、導電性層(例えば、シードメタル層とバリアメタル層と)のウエットエッチング時の配線形成層の膜減りも大幅に少なく、電気特性のバラツキの大幅に低減でき、電気特性の信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態における半導体装置の製造方法のフローチャート
【図2A】前記第1実施形態における半導体装置の製造方法における半導体基板への支持体の接着形成時の断面図
【図2B】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法における貫通ビアホール用レジスト形成時の断面図
【図2C】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法における貫通ビアホール形成時の断面図
【図2D】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法における絶縁部形成用ダミー溝穴用レジスト形成時の断面図
【図2E】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法における絶縁部形成用ダミー溝穴形成時の断面図
【図2F】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法における絶縁膜層形成時の断面図
【図2G】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法における絶縁膜エッチバック除去時の断面図
【図2H】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法におけるバリアメタル層形成時の断面図
【図2I】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法におけるシードメタル層形成時の断面図
【図2J】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法における配線用レジスト形成時の断面図
【図2K】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法における配線層形成時の断面図
【図2L】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法におけるレジスト除去時の断面図
【図2M】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法におけるシードメタル層・バリアメタル層除去時の断面図
【図2N】前記第1実施形態の半導体装置の製造方法における保護層形成時の断面図
【図3A】前記第1実施形態における半導体装置の構造の一例における保護膜形成前の断面図
【図3B】前記第1実施形態の半導体装置の構造の一例における2つの貫通電極と貫通電極間の配線の上部からの図
【図3C】前記第1実施形態の半導体装置の構造の別の例における2つの貫通電極と貫通電極との間の配線、及び、外部端子と貫通電極との間の配線の上部からの図
【図4】本発明の第2実施形態における半導体装置の製造方法のフローチャート
【図5A】前記第2実施形態における半導体装置の製造方法における半導体基板への支持体の接着形成時の断面図
【図5B】図5Aの半導体装置の製造方法における貫通ビアホール用・絶縁部形成用ダミー溝穴用レジスト形成時の断面図
【図5C】前記第2実施形態の半導体装置の製造方法における貫通ビアホール・絶縁部形成用ダミー溝穴形成時の断面図
【図5D】前記第2実施形態の半導体装置の製造方法における絶縁膜層形成時の断面図
【図5E】前記第2実施形態の半導体装置の製造方法における絶縁膜エッチバック除去時の断面図
【図5F】前記第2実施形態の半導体装置の製造方法におけるバリアメタル層形成時の断面図
【図5G】前記第2実施形態の半導体装置の製造方法におけるシードメタル層形成時の断面図
【図5H】前記第2実施形態の半導体装置の製造方法における配線用レジスト形成時の断面図
【図5I】前記第2実施形態の半導体装置の製造方法における配線層形成時の断面図
【図5J】前記第2実施形態の半導体装置の製造方法におけるレジスト除去時の断面図
【図5K】前記第2実施形態の半導体装置の製造方法におけるシードメタル層・バリアメタル層除去時の断面図
【図5L】前記第2実施形態の半導体装置の製造方法における保護層形成時の断面図
【図6A】前記第2実施形態における半導体装置の構造の一例における保護膜形成前の断面図
【図6B】図6Aの半導体装置の構造の一例における2つの貫通電極と貫通電極間の配線の上部からの図
【図6C】前記第2実施形態における半導体装置の構造において、貫通電極を形成するビアホールの開口(半導体基板の裏面上での開口)の貫通穴径φと、配線同士を絶縁する絶縁部形成用ダミー溝穴部の開口(半導体基板の裏面上での開口)の溝幅Lとの関係を説明するための断面図
【図7】従来例1の半導体装置の製造方法のフローチャート
【図8A】従来例1の半導体装置の製造方法における半導体基板への支持体の接着形成時の断面図
【図8B】従来例1の半導体装置の製造方法における貫通ビアホール用レジスト形成時の断面図
【図8C】従来例1の半導体装置の製造方法における貫通ビアホール形成時の断面図
【図8D】従来例1の半導体装置の製造方法における絶縁膜層形成時の断面図
【図8E】従来例1の半導体装置の製造方法における絶縁膜エッチバック除去時の断面図
【図8F】従来例1の半導体装置の製造方法におけるバリアメタル層・シードメタル層形成時の断面図
【図8G】従来例1の半導体装置の製造方法における配線層形成時の断面図
【図8H】従来例1の半導体装置の製造方法における配線用レジスト形成時の断面図
【図8I】従来例1の半導体装置の製造方法におけるシードメタル層及びバリアメタル層除去時の断面図
【図8J】従来例1の半導体装置の製造方法におけるレジスト除去時の断面図
【図8K】従来例1の半導体装置の製造方法における保護層形成時の断面図
【図9A】従来例1の半導体装置の構造の一例における保護膜形成前の断面図
【図9B】従来例1の半導体装置の構造の一例における2つの貫通電極と貫通電極間の配線の上部からの図
【図10】従来例2の半導体装置の製造方法のフローチャート
【図11A】従来例2の半導体装置の製造方法における半導体基板への支持体の接着形成時の断面図
【図11B】従来例2の半導体装置の製造方法における貫通ビアホール用レジスト形成時の断面図
【図11C】従来例2の半導体装置の製造方法における貫通ビアホール形成時の断面図
【図11D】従来例2の半導体装置の製造方法における絶縁膜層形成時の断面図
【図11E】従来例2の半導体装置の製造方法における絶縁膜エッチバック除去時の断面図
【図11F】従来例2の半導体装置の製造方法におけるバリアメタル層・シードメタル層形成時の断面図
【図11G】従来例2の半導体装置の製造方法における配線用レジスト形成時の断面図
【図11H】従来例2の半導体装置の製造方法における配線層形成時の断面図
【図11I】従来例2の半導体装置の製造方法におけるレジスト除去時の断面図
【図11J】従来例2の半導体装置の製造方法におけるシードメタル層及びバリアメタル層除去時の断面図
【図11K】従来例2の半導体装置の製造方法における保護層形成時の断面図
【図12A】従来例2の半導体装置の構造の一例における保護膜形成前の断面図
【図12B】従来例2の半導体装置の構造の一例における2つの貫通電極と貫通電極間の配線の上部からの図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同じ構成には同じ符号を付けて、適宜説明を省略している。
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置について、その製造方法の概要について、フローチャートを図1に示し、各段階(工程)での断面図を図2A〜図2Nに示し、これらの図を用いて説明する。後述の製造方法にて作成された半導体装置に関しては、図3A及び図3B及び図3Cを参照して説明する。
最初に、図2Aに示すように、第1の絶縁膜1を介して、電子デバイス2、半導体基板5の表面(図2Aの下面)に、接着機能を有する樹脂層(接着層)(図示せず)を介して支持体4を接着する(ステップS101)。ここで、電子デバイス2は、例えば、CCD又は赤外線センサー等の受光素子、もしくは発光素子等である。また、半導体基板5は、電子デバイス2と接続された外部接続用電極であるパッド電極3が形成され、例えばシリコン基板で構成されるものである。なお、支持体4は、必要に応じて接着させればよく、必ず接着される必要はない。また、3Aはパッド電極3の周囲に配置された絶縁性保護層である。
【0021】
次に、図2Bに示すように、半導体基板5の裏面(図2Bの上面)に、半導体基板5を貫通してパッド電極3の直上の第1の絶縁膜1まで到達する貫通電極形成用のビアホール7aを形成するために、レジスト層(レジストビアパターン層)6aを形成する(ステップS102)。レジスト層6aには、ビアホール7aを形成する予定の部分に開口部6a−1が形成されている。
次に、図2Cに示すように、このレジスト層6aをマスクとして、半導体基板5の裏面からパッド電極3の直上の第1の絶縁膜1に到達するシリコンのビアホール7aを、ドライエッチング法により形成する(ステップS103)。例えばエッチングガスとしては、SF又はO又はC等を含むガスを用いる。ビアホール7aの底部には、第1の絶縁膜1が露出されている。続いて、ビアホール7aのドライエッチングに用いたレジスト層6aをマスクとし、開口部6a−1を利用して、ビアホール7aの底部の第1の絶縁膜1を、ドライエッチング法により除去する。例えばエッチングガスとしては、CF又はO又はC等を含むガスを用いる。これにより、ビアホール7aの底部でパッド電極3の一部が露出される。その後、半導体基板5の裏面からレジスト層6aを除去する。
【0022】
次に、図2Dに示すように、半導体基板5の裏面に、枠状の絶縁部形成用ダミー溝穴部(絶縁部形成用溝部の一例)7bを形成するために、レジストパターン層6bを形成する(ステップS201)。レジストパターン層6bには、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bを形成する予定の部分に枠状開口溝部6b−1が形成されている。レジストパターン層6bは、ビアホール7aをすべて埋めるように形成されている。
次に、このレジストパターン層6bをマスクとして、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bを、ドライエッチング法により形成する(ステップS202)。この絶縁部形成用ダミー溝穴部7bは、半導体基板5を表面から裏面にかけての厚さ方向に貫通させないで、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部は、半導体基板5の厚さ方向の中間部に位置している。例えばエッチングガスとしては、SF又はO又はC等を含むガスを用いる。その後、図2Eに示すように、半導体基板5の裏面からレジストパターン層6bを除去する。
【0023】
次に、図2Fに示すように、ビアホール7a内及び絶縁部形成用ダミー溝穴部7b内を含む半導体基板5の裏面上に、第2の絶縁膜8を形成する(ステップS104)。ここで、ビアホール7aの底部の第2の絶縁膜8は、当該ビアホール7aの深さに応じて、半導体基板5の裏面に形成される第2の絶縁膜8よりも薄く形成される。同様に、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部の第2の絶縁膜8も、当該絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの深さに応じて、半導体基板5の裏面に形成される第2の絶縁膜8よりも薄く形成される。
次に、図2Gに示すように、第2の絶縁膜8が形成された半導体基板5を、好ましくは異方性のドライエッチングにより、第2の絶縁膜8のエッチングを行なう(ステップS105)。上記エッチングにより、ビアホール7aの底部及び絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部では、第2の絶縁膜8が除去されてパッド電極3の一部が露出されるが、半導体基板5の裏面及びビアホール7aの側部内壁及び絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの側部内壁では、第2の絶縁膜8が残存することになる。
【0024】
次に、図2Hに示すように、ビアホール7aの側部内壁と、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの側部内壁と底面と、半導体基板5の裏面との第2の絶縁膜8上の全面、及び、ビアホール7aの底部で露出したパッド電極3の一部の上に、導電性のバリアメタル層9を形成する(ステップS106)。ここで、上記バリアメタル層9は、例えばチタンタングステン層、チタンナイトライド層、又は、タンタルナイトライド層等の金属層から構成することができる。また、バリアメタル層9は、例えば、スパッタ法、又は、CVD法等の成膜方法によって形成される。
次に、図2Iに示すように、ビアホール7aの側部内壁と、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの側部内壁と底面と、半導体基板5の裏面とのバリアメタル層9上の全面、及び、ビアホール7aの底部で露出したパッド電極3の一部の上のバリアメタル層9上の全面に、導電性のシードメタル層10を形成する(ステップS107)。このシードメタル層10は、後述する配線形成層をメッキ形成するための電極となるものであり、例えば銅等の金属から構成されている。
【0025】
次に、図2Jに示すように、シードメタル層10上の所定の領域に、第2のレジスト層12を形成する(ステップS108)。ここで、第2のレジスト層12を形成する上記所定の領域とは、ビアホール7aの形成領域を除く領域であり、かつ後述する所定のパターンを有した配線層18を形成しない半導体基板5の裏面の領域である。第2のレジスト層12は、絶縁部形成用ダミー溝穴部7b内をすべて埋めるように形成されている。
次に、図2Kに示すように、第2のレジスト層12をマスクとして、ビアホール7aの側部内壁と底面と、半導体基板5の裏面の配線層18を形成する予定領域とに、配線形成層11を形成する(ステップS109)。配線形成層11は、例えば電解メッキ法により、例えば銅で構成される金属層である。
次に、図2Lに示すように、前記の第2のレジスト12を除去する(ステップS110)。第2のレジスト層12を除去するために、例えばアッシング法が用いられる。
次に、図2Mに示すように、配線形成層11をマスクとして、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部のシードメタル層10及びバリアメタル層9を除去する(ステップS203)。前記シードメタル層10及びバリアメタル層9の除去によるパターニングは、例えばウエットエッチング法により形成される。このとき、配線形成層11で覆われていない半導体基板5の裏面及び絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの内部側壁などの他の部分のシードメタル層10は若干厚さが減少する。ここで、ウエットエッチング法により除去されるシードメタル層10及びバリアメタル層9は、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部の層だけでよく、半導体基板5の裏面のシードメタル層10及びバリアメタル層9は残存していても良い。
【0026】
次に、図2Nに示すように、ビアホール7a内と、絶縁部形成用ダミー溝穴部7b内とを含む半導体基板5の裏面上の全面に、これらを覆うようにして、絶縁層の一例としての保護層13を形成する(ステップS111)。ここで、半導体基板5の裏面上の全面とは、すなわち、シードメタル層10及び配線形成層11などの上で、貫通電極19(配線形成層11の一部とシードメタル層10とバリアメタル層9とで構成される導体部)及び配線層18上である。保護層13は、例えば絶縁性のレジスト材料等から構成される。保護層13のうち配線層18に対応する位置には開口部13aが設けられる。そして、当該開口部13aで露出する配線層18上に、例えばハンダ等の金属から構成されるボール状の導電端子14が形成される。なお、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部では、絶縁部形成用ダミー溝穴部7b内に配置される保護層13の絶縁材料と半導体基板5の構成材料とが直接接触しており、絶縁性を発揮できるようにしている。よって、絶縁部形成用ダミー溝穴部7b内に保護層13が挿入されて充填されることにより、枠状の絶縁部20を形成することができる。
次に、不図示のダイシングラインに沿って当該半導体基板5をダイシングする。これにより、貫通電極19を有した半導体チップから構成される複数の半導体装置が完成する。
【0027】
図3A及び図3Bには、前述した製造方法で作成された半導体装置の一部の一例を示している。図3A及び図3Bに示すものは、2つの貫通電極19と、それら貫通電極19同士を接続する配線層18であり、保護膜13を形成する前の状態を示している。図3Aは、貫通電極19の断面構造を示しており、図3Bは、2つの貫通電極19と、それら貫通電極19同士を接続する配線層(再配線層)18の上部からの構造を簡単に示している。図3Bにおいて、半導体装置の上部の構造は、2つの貫通電極19と、それら貫通電極19同士を接続する配線部18aと、それらの2つの貫通電極19と配線部18aとの周囲との絶縁が目的の枠状の絶縁部20とで構成される。枠状の絶縁部20は、2つの貫通電極19と配線部18aとの周囲を所定間隔離れて囲むように(言い換えれば、2つの貫通電極19と配線部18aとの外形形状に沿って)枠形状に配置されている。ここで、このように外形形状に沿って配置することで、貫通電極19が狭ピッチの場合でも高密度配線が可能となり、より好ましい。しかしながら、枠状の絶縁部20は、2つの貫通電極19と配線部18aとの周囲を囲んで、他の貫通電極19又は配線部18aから絶縁されればよいため、2つの貫通電極19と配線部18aとの外形形状に沿った枠形状に限らず、単純な四角形状又は楕円形状などでもよいことは言うまでもない。
【0028】
配線層18は、例えば、複数の貫通電極19を相互に電気的に接続する再配線層として機能する配線部18aを構成するように形成されている。なお、配線層18としては、さらに、外部端子18bと、外部端子18bと貫通電極19又は配線部18aとが接続される第2配線部18cとをさらに備えるように構成してもよい(図3C参照)。すなわち、図3Cでは、2つの貫通電極19と、それら貫通電極19同士を接続する配線部18aと、外部端子18bと、外部端子18bと貫通電極19とが接続される第2配線部18cとを備える配線層18の上部からの構造を簡単に示している。図3Cにおいて、半導体装置の上部の構造は、2つの貫通電極19と、2つの配線層18aと第2配線部18cと、外部端子18bと、それの周囲との絶縁が目的の枠状の絶縁部20とで構成される。
このような半導体装置の製造方法では、貫通電極19及び配線層18を他の配線と絶縁するためには、枠状の絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部のシードメタル層10及びバリアメタル層9を除去すればよい。そのため、本実施形態の半導体の製造方法を用いることで、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの側部内壁など他の部分の導電性層(シードメタル層10及びバリアメタル層9)を除去する必要がないので、従来例1,2の中でも配線形成層11とシードメタル層10とバリアメタル層9とのウエットエッチング工程の処理時間に有利な従来例2で示したウエットエッチング時間(20分〜30分)と比較して、その時間の1/10〜1/5と非常に短くて済むことになる。したがって、配線形成層11と、シードメタル層10と、バリアメタル層9とのウエットエッチング工程の処理時間及び処理コストを大幅に低減できる半導体装置及びその製造方法の提供が実現できる。
【0029】
また、前述したようにウエットエッチング時間が短くなるため、シードメタル層10とバリアメタル層9とのウエットエッチング時の配線形成層11の膜減りも大幅に少なく、電気特性のバラツキの大幅に低減でき、電気特性の信頼性の高い半導体装置及びその製造方法の提供が実現できる。
また、本実施形態の半導体装置によれば、半導体基板5の裏面の貫通電極19と配線層18との周囲を囲んで他の貫通電極19又は再配線層18から絶縁する枠状の絶縁部20を有するので、枠状の絶縁部20の絶縁材料、すなわち、保護層13の材料が半導体基板5、たとえばシリコン基板のシリコンよりも柔らかいレジストなどの樹脂材料で構成すれば、応力緩和機能を有することができる。そのため、半導体装置に作用する応力を枠状の絶縁部20内の絶縁材料で緩和することができる。
【0030】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置について、その半導体装置の製造方法の概要について、フローチャートを図4に示し、各段階(工程)での断面図を図5A〜図5Lに示し、これらの図を用いて、説明する。後述の製造方法にて作成された半導体装置に関しては、図6A及び図6Bを参照して説明する。
最初に、図5Aに示すように、第1の絶縁膜1を介して、電子デバイス2、半導体基板5の表面(図5Aの下面)に、接着機能を有する樹脂層(接着層)(図示せず)を介して支持体4を接着する(ステップS101)。ここで、電子デバイス2は、例えば、CCD又は赤外線センサー等の受光素子、もしくは発光素子等である。また、半導体基板5は、電子デバイス2と接続された外部接続用電極であるパッド電極3が形成されかつ例えばシリコン基板で構成されたものである。なお、支持体4は、必要に応じて接着させればよく、必ず接着される必要はない。また、3Aはパッド電極3の周囲に配置された絶縁性保護層である。
【0031】
次に、図5Bに示すように、半導体基板5の裏面(図5Bの上面)に、半導体基板5を貫通してパッド電極3の直上の第1の絶縁膜1まで到達する貫通電極形成用のビアホール7aと、枠状の絶縁部形成用ダミー溝穴部(絶縁部形成用溝部の一例)7bとを形成するために、レジスト層(レジストビアパターン層)6を形成する(ステップS204)。レジスト層6には、ビアホール7aを形成する予定の部分に開口部6−1と、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bを形成する予定の部分に枠状開口溝部6−2とが形成されている。ここで、絶縁部形成用ダミー溝穴部7b用の枠状開口溝部6−2は、ビアホール7a用のレジスト開口部6−1より小さくする。
次に、図5Cに示すように、このレジスト層6をマスクとし、開口部6−1及び枠状開口溝部6−2を利用して、半導体基板5の裏面からパッド電極3の直上の第1の絶縁膜1に到達するシリコンのビアホール7aと、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bとをドライエッチング法により同時に形成する(ステップS205)。例えばエッチングガスとしては、SF又はO又はC等を含むガスを用いる。ビアホール7aの底部には、第1の絶縁膜1が露出されている。また、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bは、その枠状開口溝部6−2がビアホール7a用の開口部6−1より小さく設定してあるので、半導体基板5を貫通することはない。続いて、ビアホール7aのドライエッチングに用いたレジスト層6をマスクとし、開口部6−1を利用して、ビアホール7aの底部の第1の絶縁膜1を、ドライエッチング法により除去する。例えばエッチングガスとしては、CF又はO又はC等を含むガスを用いる。これにより、ビアホール7aの底部でパッド電極3の一部が露出される。その後、半導体基板5の裏面からレジスト層6を除去する。
【0032】
次に、図5Dに示すように、ビアホール7a及び絶縁部形成用ダミー溝穴部7b内を含む半導体基板5の裏面上に、第2の絶縁膜8を形成する(ステップS104)。ここで、ビアホール7aの底部の第2の絶縁膜8は、当該ビアホール7aの深さに応じて、半導体基板5の裏面に形成される第2の絶縁膜8よりも薄く形成される。同様に、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部の第2の絶縁膜8も、当該絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの深さに応じて、半導体基板5の裏面に形成される第2の絶縁膜8よりも薄く形成される。
次に、図5Eに示すように、第2の絶縁膜8が形成された半導体基板5を、好ましくは異方性のドライエッチングにより、第2の絶縁膜8のエッチングを行なう(ステップS105)。上記エッチングにより、ビアホール7aの底部及び絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部では、第2の絶縁膜8が除去されてパッド電極3の一部が露出されるが、半導体基板5の裏面及びビアホール7aの側部内壁及び絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの側部内壁では、第2の絶縁膜8が残存することになる。
【0033】
次に、図5Fに示すように、ビアホール7aの側部内壁と、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの側部内壁と底面と、半導体基板5の裏面との第2の絶縁膜8上の全面、及び、ビアホール7aの底部で露出したパッド電極3の一部の上に、導電性のバリアメタル層9を形成する(ステップS106)。ここで、上記バリアメタル層9は、例えばチタンタングステン層、チタンナイトライド層、又は、タンタルナイトライド層等の金属層から構成することができる。また、バリアメタル層9は、例えば、スパッタ法、又は、CVD法等の成膜方法によって形成される。
次に、図5Gに示すように、ビアホール7aの側部内壁と、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの側部内壁と底面と、半導体基板5の裏面とのバリアメタル層9上の全面、及び、ビアホール7aの底部で露出したパッド電極3の一部の上のバリアメタル層9上の全面に、導電性のシードメタル層10を形成する(ステップS107)。このシードメタル層10は、後述する配線形成層をメッキ形成するための電極となるものであり、例えば銅等の金属から構成されている。
次に、図5Hに示すように、シードメタル層10上の所定の領域に、第2のレジスト層12を形成する(ステップS108)。ここで、前記第2のレジスト層12を形成する上記所定の領域とは、ビアホール7aの形成領域を除く領域であり、かつ後述する所定のパターンを有した配線層18を形成しない半導体基板5の裏面の領域である。第2のレジスト層12は、絶縁部形成用ダミー溝穴部7b内をすべて埋めるように形成されている。
次に、図5Iに示すように、前記第2のレジスト層12をマスクとして、ビアホール7aの側部内壁と底面と、半導体基板5の裏面の配線層18を形成する予定領域とに、配線形成層11を形成する(ステップS109)。配線形成層11は、例えば電解メッキ法により、例えば銅で構成される金属層である。
【0034】
次に、図5Jに示すように、第2のレジスト層12を除去する(ステップS110)。第2のレジスト層12を除去するために、例えばアッシング法が用いられる。
次に、図5Kに示すように、配線形成層11をマスクとして、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部のシードメタル層10及びバリアメタル層9を除去する(ステップS203)。シードメタル層10及びバリアメタル層9の除去によるパターニングは、例えばウエットエッチング法により形成される。このとき、配線形成層11で覆われていない半導体基板5の裏面及び絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの内部側壁などの他の部分のシードメタル層10は若干厚さが減少する。ここで、ウエットエッチング法により除去されるシードメタル層10及びバリアメタル層9は、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部の層だけでよく、半導体基板5の裏面のシードメタル層10及びバリアメタル層9は残存していても良い。
【0035】
次に、図5Lに示すように、ビアホール7a内と、絶縁部形成用ダミー溝穴部7b内とを含む半導体基板5の裏面上の全面に、これらを覆うようにして、保護層13を形成する(ステップS111)。ここで、半導体基板5の裏面上の全面とは、シードメタル層10及び配線形成層11などの上で、貫通電極19(配線形成層11の一部とシードメタル層10とバリアメタル層9とで構成される導体部)及び配線層18上である。保護層13は、例えば絶縁性のレジスト材料等から構成される。保護層13のうち配線層18に対応する位置には開口部13aが設けられる。そして、当該開口部13aで露出する配線層18上に、例えばハンダ等の金属から構成されるボール状の導電端子14が形成される。なお、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部では、絶縁部形成用ダミー溝穴部7b内に配置される保護層13の絶縁材料と半導体基板5の構成材料とが直接接触しており、絶縁性を発揮できるようにしている。よって、絶縁部形成用ダミー溝穴部7b内に保護層13が挿入されて充填されることにより、枠状の絶縁部20を形成することができる。
次に、不図示のダイシングラインに沿って当該半導体基板5をダイシングする。これにより、貫通電極19を有した半導体チップから構成される複数の半導体装置が完成する。
【0036】
図5A及び図5Bには、前述した製造方法で作成された半導体装置の一部の一例を示している。図5A及び図5Bに示すのは、2つの貫通電極19と、それら貫通電極19同士を接続する配線層18であり、保護膜13を形成する前の状態を示している。図5Aは、貫通電極19の断面構造を示しており、図5Bは、2つの貫通電極19と、それら貫通電極19同士を接続する配線層18の上部からの構造を簡単に示している。図5Bにおいて、半導体装置の上部の構造は、2つの貫通電極19と、それら貫通電極19同士を接続する配線層18と、それらの2つの貫通電極19と配線部18aとの周囲との絶縁が目的の枠状の絶縁部20とで構成される。枠状の絶縁部20は、2つの貫通電極19と配線部18aとの周囲を所定間隔離れて囲むように(言い換えれば、2つの貫通電極19と配線部18aとの外形形状に沿って)枠形状に配置されている。このように外形形状に沿って配置すれば、貫通電極19が狭ピッチの場合に高密度配線が可能となり、より好ましい。しかしながら、枠状の絶縁部20は、2つの貫通電極19と配線部18aとの周囲を囲んで、他の貫通電極19又は配線部18aから絶縁されればよいため、2つの貫通電極19と配線部18aとの外形形状に沿った枠形状に限らず、単純な四角形状又は楕円形状などでもよいことは言うまでもない。
【0037】
配線層18は、例えば、複数の貫通電極19を相互に電気的に接続する再配線層として機能する配線部18aを構成するように形成されている。なお、配線層18としては、図3Cと同様に、さらに、外部端子18bと、外部端子18bと貫通電極19又は配線部11aとが接続される第2配線部18cとをさらに備えるように構成してもよい。
このような半導体装置の製造方法によれば、貫通電極19及び配線層18を他の配線と絶縁するためには、枠状の絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの底部のシードメタル層10及びバリアメタル層9を除去すればよく、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの側部内壁など他の部分の導電性層(シードメタル層10及びバリアメタル層9)を除去する必要がない。そのため、従来例1,2の中でも配線形成層11と、シードメタル層10と、バリアメタル層9とのウエットエッチング工程の処理時間に有利な従来例2で示したウエットエッチング時間(20分〜30分)と比較して、その時間の1/10〜1/5と非常に短くて済むことになる。したがって、配線形成層11と、シードメタル層10と、バリアメタル層9とのウエットエッチング工程の処理時間及び処理コストを大幅に低減できる半導体装置及びその製造方法の提供が実現できる。
また、前述したようにウエットエッチング時間が短くなるため、シードメタル層10とバリアメタル層9とのウエットエッチング時の配線形成層11の膜減りも大幅に少なく、電気特性のバラツキの大幅に低減でき、電気特性の信頼性の高い半導体装置及びその製造方法の提供が実現できる。
また、貫通電極用のビアホール7aの形成工程と同時に絶縁部形成用ダミー溝穴部7bを形成できるので、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの形成において、工程増加による処理時間と処理コストの上昇はない。
【0038】
また、好適には、図6Cに示すように、貫通電極19を形成するビアホール7aの開口(半導体基板5の裏面上での開口)の貫通穴径をφ、配線同士を絶縁する絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの開口(半導体基板5の裏面上での開口)の溝幅をLとすると、貫通穴径φと溝幅Lとの間には
0<L<φ/2
の関係式を満足するように、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bを形成することが望ましい。その理由は、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの幅Lがφ/2を越えると、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bが半導体基板5を貫通してしまう可能性があるため、好ましくないためである。また、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bを形成することが必須であるため、絶縁部形成用ダミー溝穴部7bの幅Lは0を超える値を採るように設定するためである。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかる半導体装置及びその製造方法は、非常に処理時間と処理コストを削減することができて、特に、貫通電極を有する半導体装置及びその製造方法、一例として、CSPの一種で貫通電極を有するBGA型の半導体装置及びその製造方法等として有用である。
【符号の説明】
【0040】
1、51 第1の絶縁膜
2、52 電子デバイス
3、53 パッド電極
3A 絶縁性保護層
4、54 支持体
5、55 半導体基板
6−1、6a−1、6b−1 開口部
6−2 枠状開口溝部
6a、56 レジスト層
6b レジストパターン層
7a、57 ビアホール
7b 絶縁部形成用ダミー溝穴部
8、58 第2の絶縁膜
9、59 バリアメタル層
10、60 シードメタル層
11、61 配線形成層
12、62 第2のレジスト層
13、63 保護膜
14、64 導電端子
18 配線層(再配線層)
18a 配線部
18b 外部端子
18c 第2配線部
19 貫通電極
20 枠状の絶縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表面に形成された電子デバイスと、前記電子デバイスと導通されたパッド電極と、前記半導体基板を厚さ方向に貫通する貫通電極と、前記半導体基板の裏面に形成されて前記貫通電極同士を接続する配線層と、前記配線層又は前記貫通電極に接続される導電端子とを備える半導体装置であって、
前記半導体基板の裏面において、前記貫通電極及び前記配線層を囲むように形成された絶縁部形成用溝部を備える、
半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁部形成用溝部の底部が、前記半導体基板の表面から裏面にかけての厚さ方向の中間部に位置している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁部形成用溝部は、前記貫通電極を形成するビアホールの前記半導体基板の裏面での開口の貫通穴径φと、前記絶縁部形成用溝部の前記半導体基板の裏面での開口の幅Lとの間に
0<L<φ/2
の関係式を満足する、
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁部形成用溝部の底部では、前記絶縁部形成用溝部内に配置される絶縁層の絶縁材料と前記半導体基板の構成材料とが直接接触している、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
電子デバイスとパッド電極とが表面側に配置された半導体基板の裏面側から前記半導体基板を厚さ方向に貫通して前記半導体基板の表面の前記パッド電極に導通する貫通電極を形成し、前記貫通電極と導通しかつ前記半導体基板の裏面に配置される配線層を形成する半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板の裏面側から前記半導体基板の前記厚さ方向に延びる貫通電極用のビアホールを形成するビアホール形成工程と、
前記ビアホールにおける絶縁部の形成前に、前記貫通電極及び前記配線層を囲むように絶縁部形成用溝部を形成する溝部形成工程を有する、
半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記溝部形成工程の後に、前記絶縁部形成用溝部内に導電性層を形成する工程と、前記絶縁部形成用溝部の底部の前記導電性層を除去すると共に絶縁材料を挿入して絶縁部を形成する工程と、を備える、
請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ビアホール形成工程と前記溝部形成工程とを同時に行う、
請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記溝部形成工程において、前記絶縁部形成用溝部は、前記貫通電極用のビアホールの前記半導体基板の裏面での開口の貫通穴径φと、前記絶縁部形成用溝部の開口の幅Lとの間に
0<L<φ/2
の関係式を満足するように、前記絶縁部形成用溝部が形成されている、
請求項5〜7いずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図2L】
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【図2M】
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【図2N】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図5K】
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【図5L】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図8J】
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【図8K】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図11I】
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【図11J】
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【図11K】
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【図12A】
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【図12B】
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【公開番号】特開2011−249718(P2011−249718A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124013(P2010−124013)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】