説明

半導体装置用検査装置およびこれを用いた半導体装置の検査方法

【課題】斜め方向パターンを持つようなデバイスの欠陥検査に際しても、検査精度の向上をはかり、高感度で、信頼性の高い半導体装置の検査方法を提供する。
【解決手段】 検査ユニット2000に対して支持台1002が相対的に回動可能に形成されており、支持台1002を検査ユニットに対して相対的に所望の値だけ回転し、その位置で固定する回転位置調整手段5000を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置用検査装置およびこれを用いた半導体装置の検査方法にかかり、特にハニカム構造の固体撮像素子のように、斜め方向に走行するパターンの多い半導体装置における欠陥検出の高精度化に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固体撮像素子においては、ギガピクセル以上まで撮像画素数の増加が進んでおり、画素領域の微細化も高まる一方である。このような状況の中で、フォトダイオードで構成される光電変換部上には反射防止用の高屈折率膜を形成する一方で、低スミア化のために、受光領域の周りはタングステン遮光膜で被覆した構造が提案されている。また、電荷転送部では電荷転送電極がフォトダイオード領域間に形成されている。
【0003】
特に、ハニカム構造の固体撮像素子では、図3に示すように、光電変換部を構成するフォトダイオード30は八角形であるため、遮光膜のエッジは斜め方向となっている。さらに電荷転送部の電荷転送電極3a、3bはこのフォトダイオード30の外縁に沿って形成されるため、斜め45度方向の経路を有して形成される。また、垂直電荷転送路40もフォトダイオード30の間隙を縫って斜め45度方向の経路を有して形成される。パターン形成後、検査がなされるが、例えば、所定方向にパターンを走査し、観測された画像データと、参照パターン記憶部に記憶されている参照パターンとの比較結果に基づいて、欠陥検出装置で抽出された欠陥の正誤を判定することにより半導体ウェハ上の欠陥位置を検出する方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
このように、通常用いられる検査装置は、半導体ウェハの挿入方向に対して水平方向に走査されるように構成されている。このため、ハニカム構造の固体撮像素子のように斜め方向パターン成分を多くもつようなデバイスの場合には、パターンに対して斜め方向に走査することになり、高精度のパターン認識が困難であり、十分な検査精度を得ることができないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−363223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリコンウェハ等の半導体ウェハは、外周の一部に直線状の切欠部であるオリエンテーションフラット(以下オリフラ)を形成し、結晶方位が判別できるように特徴部分をもって構成される。またオリフラに代えて外周の一部にV字形の切欠部(ノッチ)が設けられているものもある。この特徴部分によって、半導体基板表面における直交二軸方向(X方向及びY方向)が規定される。即ち、ノッチの場合は、例えばノッチ位置を最下位置とした場合に、半導体ウェハの水平・垂直方向が規定できる。また、オリフラの場合は、直線状の切り欠き部に対する直線方向を水平方向、これに直交する方向を垂直方向等と規定することができる。
【0007】
通常この特徴部分を位置決めに用い、パターンの検査がなされるが、ノッチ位置を基準にして0度、90度、180度、270度の4方向で検査のための走査が行われており、上述したハニカム構造の固体撮像素子の場合は、パターンの方向に沿った検査を行うのは不可能であり、十分な検査精度を得ることができないという問題があった。
【0008】
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、斜め方向パターンを持つようなデバイスの欠陥検査に際しても、検査精度の向上をはかり、高感度で、信頼性の高い半導体装置の検査を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、半導体基板を載置する支持台と、検査用対物レンズを備えた検査ユニットとを備え、半導体基板上に形成されたパターンを検査する半導体装置用検査装置であって、前記検査ユニットに対して前記支持台が相対的に回動可能に形成されており、前記支持台を前記検査ユニットに対して相対的に所望の値だけ回転し、その位置で固定する回転位置調整手段を具備している。
【0010】
この構成により、パターンの方向にあわせて回転することにより、パターンの方向に垂直に検査することができ、同一の検査時間で検査感度の向上をはかることができ、検査精度の向上をはかることができる。
【0011】
また本発明の半導体装置用検査装置は、前記位置調整手段が、複数の位置で固定するストッパを備え、あらかじめ、決められた複数の方向で測定可能に構成されたものを含む。
【0012】
この構成により、所望の方向で効率よく検査が可能となる。
【0013】
また本発明の半導体装置用検査装置は、前記位置調整手段が、さらに半導体基板を平行移動する平行移動手段を備え、スキャン可能に構成されたものを含む。
【0014】
この構成により、回転及び水平方向の移動が可能となり、所望の方向での検査が可能となる。
【0015】
また本発明の半導体装置用検査装置は、前記位置調整手段が、0度と、45度との2段で固定するストッパを備え、ハニカム構造の固体撮像素子を検査するように構成したものを含む。
【0016】
この構成により、0度にあわせて、次に45度にあわせるだけで固体撮像素子の高精度のパターン検査が容易に可能となる。
【0017】
また本発明の半導体装置用検査装置は、前記位置調整手段が、前記支持台にとりつけられ、前記支持台が回動可能に形成されたものを含む。
【0018】
この構成により、半導体ウェハを支持台に固定し、位置調整を行うことができるため、極めて高精度の調整が可能となる。
【0019】
また本発明の半導体装置用検査装置は、前記支持台が、あらかじめ定められた基本方向と、これに斜交する方向に、移動可能に形成されたものを含む。
【0020】
この構成により、支持台自体の位置調整を行うことができるため、極めて高精度の調整が可能となる。
【0021】
また本発明の半導体装置用検査装置は、前記支持台が、回転最小角度が1度刻みで回転可能に形成されたものを含む。
【0022】
この構成により、高精度の方向調整が可能となる。
【0023】
また本発明の半導体装置用検査装置は、前記検査ユニットが、複数の検査用対物レンズユニットを備え、その少なくともひとつが固定され、他の一つが回動可能であるものを含む。
【0024】
この構成により、検査用対物レンズユニットを回動するだけで容易に高精度の検査が可能となる。
【0025】
また本発明の半導体装置用検査装置は、斜め方向に形成されたパターンを含む半導体基板を検査する半導体装置の検査方法であって、第1の方向に走行する第1のパターンに対して垂直となるように、検査ユニットを用いてスキャンし半導体基板上の前記第1のパターンを検査する工程と、半導体装置用検査装置の支持台を検査ユニットに対して相対的に所望の値だけ回転し、その位置で固定する調整工程と、前記第1の方向に対して斜交する第2の方向に走行する第2のパターンに対して垂直となるように前記検査ユニットを用いてスキャンし半導体基板上の前記第2のパターンを検査する工程とを含む。
【0026】
この構成により、第1及び第2のパターンに対してともに高精度の検査を行うことが可能となる。
【0027】
また本発明の半導体装置用検査装置は、前記調整工程が、複数の位置で固定するストッパを切り替え、あらかじめ、決められた方向で測定可能に調整する工程を含むものを含む。
【0028】
この構成により、ストッパの切り替えのみで、細かな調整なしに短時間で高精度の検査が可能となる。
【0029】
また本発明の半導体装置用検査装置は、前記調整工程は、半導体基板を平行移動する平行移動工程を含むものを含む。
【0030】
この構成により、高精度の位置調整が可能となる。
【0031】
また本発明の半導体装置用検査装置は、0度と、45度との2段で固定するストッパを備えた位置調整手段を用い、前記第1のパターンを検査する工程は、ハニカム構造の固体撮像素子を0度の位置に位置あわせをして、検査する工程であり、前記第2のパターンを検査する工程は、前記固体撮像素子を45度の位置に位置あわせをして検査する工程であるものを含む。
【0032】
この構成により、ハニカム構造の固体撮像素子の検査が容易に実現可能となる。
【0033】
また本発明の半導体装置用検査装置は、前記調整工程は、前記支持台を回転して、検査すべき第2のパターンに対してスキャン方向が垂直となるように調整する工程を含むものを含む。
【0034】
この構成により、高精度の検査が可能となる。
【発明の効果】
【0035】
以上説明してきたように、本発明の半導体装置用検査装置によれば、斜め方向のパターンに対しても垂直に検査できるように、位置調整手段を具備しているため、短時間でかつ高精度の検査が可能となる。
また本発明に検査方法によれば、検査しようとするパターンに対応した方向から検査を行うことができるため、高精度で信頼性の高いパターン検査が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の半導体装置用検査装置は、検査ユニットに対して支持台が相対的に回動可能に形成されており、支持台を検査ユニットに対して相対的に所望の値だけ回転し、その位置で固定する回転位置調整手段を具備したことを特徴とする。
図1,2は、被検査対象としての半導体ウェハを示す平面図であり、各図において(a)は半導体ウェハを示し破線1はダイシングエリア、2はノッチである。(b)は半導体ウェハ上に形成された代表的な多結晶シリコンの配線電極パターン3である。図3に固体撮像素子の平面図を示すように、多結晶シリコン3aと3bは電荷転送電極を構成し、0度、45度、135度の3方向に走行する。
すなわちこの検査装置は、図4に概略説明図を示すように、クリーンルーム内に配置され、ファンフィルタユニット1010によって異物除去のなされた空気を送入し、内部を清浄化されたクリーンブース1000と、検査ユニット2000と、この検査ユニット2000により、マガジン3000から取り出された被検査対象の固体撮像素子ウェハを撮像し、画像処理装置4000と、パターン検査を行うウェハの位置調整を行う位置調整手段置換5000を含み、画像処理によって欠陥パターンを抽出するものである。
例えば、被検査対象である多結晶シリコンの配線パターンの形成された固体撮像装置を形成した半導体ウェハ1001を、検査ユニット2000を用いて配線パターンの方向にスキャン方向が垂直となるように位置調整手段によって、位置あわせをして、撮像し、この撮像データに対し画像処理装置4000によって画像処理を行うことにより、欠陥を検出できるように構成されている。
【0037】
このクリーンブース1000内には、さらに支持台1002に載置された固体撮像素子を搭載した半導体ウェハの、θ方向の位置調整を行うθステージ1003と、θステージ1003を載置しXY方向の位置調整を行うXYステージ1004と、このXYステージ1004を防振ゴム1006を介してクリーンブース1000に固定する固定台1005とが配設されている。
【0038】
またクリーンブース1000内にはマガジン3000に支持台1002が収納された状態で、移動可能に装着されている。
【0039】
また検査ユニット2000は、明暗視野と対物レンズとの自動切換え機能を備えたレンズユニット2001と、このレンズユニットの位置を調整する位置調整手段5000と、オートフォーカス機能を備えたカメラユニット2002とを備え、このカメラユニット2002によって得られた撮像データを画像処理装置4000で、基準パターンと比較処理し、欠陥であるか否かを判断するように構成されている。また検査用ユニットも固定の対物レンズユニットと、可動の対物レンズユニットの2眼鏡筒にしてもよい。
【0040】
検査に際しては、まず、図1に示すようにノッチ2を下方にあわせて、多結晶シリコン層のパターン3aをパターンの幅方向a1にスキャンし、測定する。
【0041】
次いで、位置調整手段5000を用いて支持台1002を回転し、θ方向の位置調整を行うθステージ1003によって、図2に示すようにノッチを45度方向にあわせて、多結晶シリコン層のパターン3bをパターンの幅方向a2にスキャンし、測定する。このようにして得られた画像データを画像処理装置4000で画像処理し、欠陥の有無を検出する。
【0042】
あらかじめパターンの方向がわかっている場合には、ストッパをその位置に形成しておき、支持台1002を回転してストッパ位置で位置決めをするようにすれば、極めて短時間で測定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上説明してきたように、本発明の検査装置によれば、斜め方向のパターンを備えた半導体ウェハの検査を容易かつ高精度に形成することができることから、固体撮像素子など種々のデバイスの検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態1の検査方法を示す要部断面図
【図2】本発明の実施の形態1の検査方法を示す要部断面図
【図3】本発明の実施の形態1で用いられる固体撮像素子を示す平面図
【図4】本発明の実施の形態1の半導体装置用検査装置を示す図
【符号の説明】
【0045】
1 ダイシングエリア、
2 ノッチ
3 配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を載置する支持台と、検査用対物レンズを備えた検査ユニットとを備え、
半導体基板上に形成されたパターンを検査する半導体装置用検査装置であって、
前記検査ユニットに対して前記支持台が相対的に回動可能に形成されており、
前記支持台を前記検査ユニットに対して相対的に所望の値だけ回転し、その位置で固定する回転位置調整手段を具備した半導体装置用検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置用検査装置であって、
前記位置調整手段は、複数の位置で固定するストッパを備え、
あらかじめ、決められた複数の方向で測定可能に構成された半導体装置用検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置用検査装置であって、
前記位置調整手段は、さらに半導体基板を平行移動する平行移動手段を備え、スキャン可能に構成された半導体装置用検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置用検査装置であって、
前記位置調整手段は、0度と、45度との2段で固定するストッパを備え、
ハニカム構造の固体撮像素子を検査するように構成した半導体装置用検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置用検査装置であって、
前記位置調整手段は、前記支持台にとりつけられ、前記支持台が回動可能に形成された半導体装置用検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置用検査装置であって、
前記支持台が、あらかじめ定められた基本方向と、これに斜交する方向に、移動可能に形成された半導体装置用検査装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置用検査装置であって、
前記支持台が、回転最小角度が1度刻みで回転可能に形成された半導体装置用検査装置。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置用検査装置であって、
前記検査ユニットは、複数の検査用対物レンズユニットを備え、その少なくともひとつが固定され、
他の一つが回動可能である半導体装置用検査装置。
【請求項9】
斜め方向に形成されたパターンを含む半導体基板を検査する半導体装置の検査方法であって、
第1の方向に走行する第1のパターンに対して垂直となるように、検査ユニットを用いてスキャンし半導体基板上の前記第1のパターンを検査する工程と、
半導体装置用検査装置の支持台を検査ユニットに対して相対的に所望の値だけ回転し、その位置で固定する調整工程と、
前記第1の方向に対して斜交する第2の方向に走行する第2のパターンに対して垂直となるように前記検査ユニットを用いてスキャンし半導体基板上の前記第2のパターンを検査する工程とを含む半導体装置の検査方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の検査方法であって、
前記調整工程は、複数の位置で固定するストッパを切り替え、あらかじめ、決められた方向で測定可能に調整する工程を含む半導体装置の検査方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の半導体装置の検査方法であって、
前記調整工程は、半導体基板を平行移動する平行移動工程を含む半導体装置の検査方法。
【請求項12】
請求項9に記載の半導体装置の検査方法であって、
0度と、45度との2段で固定するストッパを備えた位置調整手段を用い、
前記第1のパターンを検査する工程は、ハニカム構造の固体撮像素子を0度の位置に位置あわせをして、検査する工程であり、
前記第2のパターンを検査する工程は、前記固体撮像素子を45度の位置に位置あわせをして検査する工程である半導体装置の検査方法。
【請求項13】
請求項11に記載の半導体装置の検査方法であって、
前記調整工程は、前記支持台を回転して、検査すべき第2のパターンに対してスキャン方向が垂直となるように調整する工程を含む半導体装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−5690(P2007−5690A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186485(P2005−186485)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】