説明

半導体装置

【課題】効率的な放熱効果を発揮することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体素子3が搭載される搭載面6を有する搭載部11と、上記半導体素子3の周囲で光を反射する反射面7を有する反射部12と、熱を放散するための第1の放熱面8を有する放熱部13とを有し、上記搭載部11、反射部12および放熱部13が金属により一体に形成されているため、半導体素子3で発生した熱は、搭載部11と一体となった放熱部13に速やかに熱伝導され、第1の放熱面8から効果的に放散される。また、反射面7に光が照射されることで反射部12に蓄積された熱も、反射部12と一体となった放熱部13に速やかに熱伝導され、第1の放熱面8から効果的に放散される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光素子や受光素子が搭載された光機能性の半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、光機能性の半導体装置として、LED等の発光素子が搭載された半導体発光装置が広く用いられている。このような半導体発光装置は、発光素子が発光する光を反射させる反射部を有して外部に均一かつ効率よく反射させるとともに、温度変化によって光の強度や放射角度および光の強度分布が変化しない安定した光学的特性が得られるよう、素子の搭載部や反射部の放熱を効果的に行う必要がある。
【0003】
上記のような反射部を有する半導体装置としては、例えば、下記の特許文献1および2に係るものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3991624号公報
【特許文献2】特許第4009208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の半導体装置は、LEDチップ(16)が搭載された薄型平板(13)と、上記薄型平板(13)に接合された金属基板(15)とを備えている。この半導体装置では、上記金属基板(15)が放熱部およびリフレクタ部として機能するとともに、上記薄型平板(13)を構成する第1および第2の金属薄板(13b,13c)が電気的な接続部として機能するようになっている(公報の図1および段落0019、0020、0023、0031等;括弧内の符号は公報記載のものである)。
【0006】
上記特許文献2に記載の半導体装置は、発光素子(5)が搭載される基体(2)と、配線導体(3a)が形成された第1枠体(3)と、上記第1枠体(3)の上に取り付けられた第2枠体(4)とを備えている。この半導体装置では、上記基体(2)が放熱部材として機能し、上記第2枠体(4)が反射部として機能するとともに、第1枠体(3)に設けられた配線導体(3a)が電気的な接続部として機能するようになっている(公報の図1および段落0018、0019、0024等;括弧内の符号は公報記載のものである)。
【0007】
上記特許文献1に記載された半導体装置は、発光素子(5)が搭載される搭載部(薄型平板(13))や電気的接続部(第1および第2の金属薄板(13b,13c))と、反射部および放熱部(金属基板(15))とが別個のパーツから構成されている。
また、上記特許文献2に記載された半導体装置も、発光素子(5)が搭載されて放熱部としても機能する搭載部(基体(2))と電気的接続部(配線導体(3a))を有する部材(第1枠体(3))および反射部(第2枠体(4))とが別個のパーツから構成されている。
【0008】
上記特許文献1および2記載の半導体装置では、上記複数のパーツを組み合わせてなるため、パーツ同士の接合部において熱伝導性を低下させることが避けられない。
すなわち、特許文献1の装置では、発光素子(5)が搭載される薄型平板(13)と反射部として機能する金属基板(15)とを接着フィルム(19)で貼り合わせることが行われており(公報の段落0031(第4の工程))、接着フィルム(19)が介在する分だけ熱伝導が妨げられて放熱性が阻害される。
また、特許文献2の装置では、発光素子が搭載された基体(2)と反射部として機能する第2枠体(4)とが、セラミックや樹脂で形成された第1枠体(3)を介して接合されており(公報の段落0021等)、セラミックや樹脂が介在する分だけ熱伝導が妨げられて放熱性が阻害される。
【0009】
また、上記のような反射部を有する半導体装置では、発光素子(5)やLEDチップ(16)が直接発する熱を効率的に放熱する必要があるとともに、反射部に照射された光によって反射部に蓄積される熱も効率的に放熱する必要がある。
しかしながら、上記特許文献1および2記載の半導体装置では、複数のパーツを組み合わせることによる熱伝導性の阻害により、効果的な放熱が妨げられるという問題を有している。このように放熱効果が妨げられると、発光素子(5)やLEDチップ(16)の温度上昇により、光の強度や強度分布、放射角度等に変動をきたして光学的特性が不安定になるおそれがある。また、複数パーツを組み合わせている場合、パーツ同士の熱膨張係数の違いから、接合部に歪を生じやすく、力学的なストレスがかかることによる信頼性の低下等が懸念される。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、効率的な放熱効果を発揮することができる半導体装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の半導体装置は、半導体素子が搭載される搭載面を有する搭載部と、上記半導体素子の周囲で光を反射する反射面を有する反射部と、熱を放散するための放熱面を有する放熱部とを有し、上記搭載部、反射部および放熱部が金属により一体に形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体装置は、半導体素子が搭載される搭載面を有する搭載部と、上記半導体素子の周囲で光を反射する反射面を有する反射部と、熱を放散するための放熱面を有する放熱部とを有し、上記搭載部、反射部および放熱部が金属により一体に形成されている。
このため、半導体素子で発生した熱は、搭載部と一体となった放熱部に速やかに熱伝導され、放熱面から効果的に放散される。また、反射面に光が照射されることで反射部に蓄積された熱も、反射部と一体となった放熱部に速やかに熱伝導され、放熱面から効果的に放散される。このように、速やかな放熱が行われることにより、熱による半導体素子の性能低下や劣化を防止することができる。例えば半導体素子が発光素子である場合、光の強度や強度分布、放射角度等の変動を防止して安定した光学的特性を維持できる。また、複数パーツを組み合わせた従来品のように、パーツ同士の接合部に歪を生じたり力学的なストレスがかかったりすることによる信頼性の低下の懸念が解消される。
【0013】
上記半導体装置において、上記搭載部および反射部と一体になった放熱部の放熱面が、半導体装置が実装される実装面への取り付け面を兼ねている場合には、
半導体素子で発生した熱や反射部に蓄積された熱は、搭載部および反射部と一体となった放熱部に速やかに熱伝導され、放熱面から実装面へ効果的に放散される。また、半導体装置を実装面に取り付けるだけで、放熱面から実装面へ効果的に熱が放散される構造となり、それ以外の放熱のための構造をあえて設ける必要がなく、構造が簡素化する。
【0014】
上記半導体装置において、上記搭載部および反射部と一体になった放熱部が、半導体装置が実装される際に外部との電気的な接続を行う電気接続部を兼ねている場合には、
半導体素子で発生した熱や反射部に蓄積された熱は、搭載部および反射部と一体となった放熱部に速やかに熱伝導され、放熱面から外部へ効果的に放散される。また、半導体装置を外部に電気的接続するだけで、放熱面から実装面へ効果的に熱が放散される構造となり、それ以外の放熱のための構造をあえて設ける必要がなく、構造が簡素化する。
【0015】
上記半導体装置において、上記搭載部と反射部は、搭載面から反射面にわたる面が、搭載面を底面として上広がり状に反射面が形成されるように形成され、
上記搭載部の搭載面と反対側の面が、上記放熱部の放熱面と面一になって第2の放熱面として機能するように構成されている場合には、
半導体素子で発生した熱は、一部が搭載部の搭載面から搭載部を介して第2の放熱面から放散され、一部が反射部および放熱部を介して放熱面から放散される。このように、放熱面と第2の放熱面の双方から熱が放散されるため、放熱効率が格段に向上する。
また、この場合において、上記放熱面および第2の放熱面が半導体装置が実装される実装面への取り付け面を兼ねている場合には、半導体素子で発生した熱や反射部に蓄積された熱は、放熱面および第2の放熱面から実装面へ効果的に放散され、半導体装置を実装面に取り付けるだけで、放熱面および第2の放熱面から実装面へ効果的に熱が放散される構造となり、それ以外の放熱のための構造をあえて設ける必要がなく、構造が簡素化する。
【0016】
上記半導体装置において、上記搭載部、反射部および放熱部が一体に形成された第1の基体とは別に、上記半導体素子と配線導体を介して電気的に接続される第2の基体を備え、
上記第2の基体における配線導体の接続部が、上広がり状に形成された反射面の上端部よりも高い位置に配置されている場合には、
半導体素子と第2の基体を配線導体で電気的に接続する際に、配線導体が反射面の上端部に接触することによるショートを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態の半導体装置を示す図である。
【図2】上記半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図3】本発明の第2実施形態の半導体装置を示す図である。
【図4】本発明の第3実施形態の半導体装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の半導体装置を示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【0020】
この例における半導体装置は、半導体素子3が搭載された第1の基体1と、上記半導体素子3と配線導体4によって電気的に接続される第2の基体2とを備え、上記第1の基体1、第2の基体2、半導体素子3および配線導体4は、その半導体素子3が搭載された側である上側がモールド樹脂5で覆われている。
【0021】
この例では、上記半導体素子3として発光素子が用いられるとともに、モールド樹脂5として透明樹脂が使用され、モールド樹脂5で覆われた上側が光を照射する発光側とされている。なお、上記半導体素子3として受光素子を用い、モールド樹脂5として透明樹脂を使用し、モールド樹脂5で覆われた上側を光を受け入れる受光側とすることもできる。
【0022】
上記第1の基体1は、金属により形成され、半導体素子3が搭載される搭載面6を有する搭載部11と、上記半導体素子3の周囲で光を反射する反射面7を有する反射部12と、熱を放散するための第1の放熱面8を有する放熱部13とを有している。そして、上記第1の基体1は、上記搭載部11、反射部12および放熱部13が、上記金属により一体に形成されて構成されている。
【0023】
この例では、上記第1の基体1は、上記搭載部11および反射部12と一体になった放熱部13の第1の放熱面8が、半導体装置が実装される実装面への取り付け面となっており、上記放熱部13が実装面への取付部を兼ねている。すなわち、放熱部13の放熱面8は、モールド樹脂5で覆われる発光側や受光側とは反対の下面に位置していて、この半導体装置は、上記第1の放熱面8を実装面に対面させた状態で実装される。また、上記第1の放熱面8は、モールド樹脂5で覆われずに金属が露出した状態で、上記放熱面8が実装面に直接接触することにより放熱面から実装面へ熱伝導されて放熱が行われる。
【0024】
また、この例では、上記搭載部11および反射部12と一体になった放熱部13は、半導体装置が実装される際に外部との電気的な接続を行う電気接続部を兼ねている。すなわち、上記第1の放熱面8は、上述したようにモールド樹脂5で覆われずに金属が露出した状態で、上記第1の放熱面8が外部端子等の接点に直接接触することにより電気的な接続が行われる。
【0025】
また、上記第1の基体1では、上記搭載部1と反射部12が、搭載面6から反射面7にわたる面が、搭載面6を底面として上広がり状に反射面7が形成されるように形成されている。この例では、搭載面6はトラック状の長円形状に形成され、その周囲に略すり鉢状に反射面7が形成されている。
【0026】
そして、この例では、上記搭載部1と反射部12における長円形状の片側に放熱部13が設けられている。上記放熱部13は、上記長円形状の長軸に沿うよう設けられ、略すり鉢状の反射部12の上端縁から下向きに屈曲形成された縦壁15の下端部において横方向に屈曲形成されることにより形成されている。
【0027】
この例では、上記搭載部11の搭載面6と反対側の面が、上記放熱部13の第1の放熱面8と面一になって第2の放熱面9として機能するように構成されている。
【0028】
一方、上記第2の基体2は、第1の基体1と同様に金属により形成され、上記搭載部11、反射部12および放熱部13が一体に形成された第1の基体1とは別に設けられ、上記半導体素子3と配線導体4を介して電気的に接続される。
【0029】
上記第2の基体2は、上記第1の基体1との間に所定の隙間16を隔て、上記放熱部13と反対側において長円形状の長軸に沿うよう設けられている。上記第2の基体2は、上記反射部12の上端縁と隙間16を隔てて対峙した上端縁から下向きに縦壁19が屈曲形成され、上記縦壁19の下端部において実装部17が横方向に屈曲形成されることにより形成されている。
【0030】
上記第2の基体2の実装部17は、上記長円形状の長軸に対して第1の基体1の放熱部13と対象となるよう形成されており、この半導体装置は、上記実装部17の下面と放熱部13の下面とは、半導体装置が実装される実装面への取付面14となっている。また、上記実装部17の下面は、外部端子等の接点に直接接触することにより電気的な接続が行われ、実装部17は電気的な接続部としての機能を兼ね備えている。
【0031】
また、この例では、上記第2の基体2には配線導体4が接続される接続部18が設けられ、上記第2の基体2における配線導体4の接続部18は、上広がり状に形成された反射部12の上端部よりも高い位置に配置されている。
【0032】
この場合、後述するように、第1の基体1と第2の基体2を1枚の金属板であるリードフレームから同時に成形した場合、第1の基体1と第2の基体2の間に所定の隙間16が形成されることを避けがたいことから、上記第2の基体2における配線導体4の接続部18を反射部12の上端部よりも高い位置に配置することにより、配線導体4と第2の基体2との接触によるショートを効果的に防止できる。
【0033】
上記第1の基体1は、この例では、1枚の金属板がプレス成形により深絞り加工および曲げ加工等が行われることにより形成されている。上記第2の基体2も、第1の基体1と同様に1枚の金属板がプレス成形により曲げ加工等が行われることにより形成されている。
【0034】
この例では、上述したように、第1の基体1における放熱部13が半導体装置が実装される際に外部との電気的な接続を行う電気接続部を兼ねており、実装面への取付部を兼ねている。また、第2の基体2における実装面への取付部である実装部17は、外部との電気的な接続を行う電気接続部を兼ねている。
【0035】
すなわち、半導体素子3が搭載された第1の基体1が導体であって、その実装面への取付部である放熱部13が第1電極として機能し、上記半導体素子3と配線導体4で接続された第2の基体2も導体であって、その実装面への取付部である実装部17が第2電極として機能するようになっている。このように、半導体素子3が搭載された第1の基体1に第1電極としての機能をもたせる部分を設け、上記半導体素子3と配線導体4で接続された第2の基体2に第2電極としての機能をもたせる部分を設ける構成は、搭載部11に1つの半導体素子3を搭載する半導体装置において有効である。
【0036】
このように、第1の基体1において、放熱機能をになう放熱部13に、放熱機能だけでなく、実装面への取付部としての機能、外部との電気的接続部としての機能等の複数の機能をもたせることから、各機能ごとに機能部を設けないですむことから、装置全体としてシンプルになり小型化も達成できる。また、第2の基体2においても、実装面への取付機能をになう実装部17に、外部との電気的な接続を行う電気接続部としての機能をもたせ、各機能ごとに機能部を設けないですむことから、装置全体としてシンプルになり小型化も達成できる。
【0037】
ここで、上記第1の基体1を構成する金属材料としては、とくに限定されるものではないが、熱伝導性、導電性、展延性、耐食性、反射効率等を勘案して適宜の材料を採用することができ、適宜めっき等の表面処理を行うこともできる。上記各特性を満たすものとして、例えば、アルミニウム、銀、鉄−ニッケル系合金等を用いることができるが、特に好ましいのは、銅系の材料に銀めっきを施したものである。また、上記第2の基体2を構成する金属材料も、第1の基体1と同様の材料を選定することができる。
【0038】
図2は、上記半導体装置を製造工程の一部を説明する図である。
【0039】
上記第1の基体1と第2の基体2は、1枚の金属板をプレス成形により塑性加工して形成することができる。すなわち、帯状の金属板であるリードフレーム21を順じプレスにより打ち抜いて、前側開口22、後側開口23、左側開口24および右側開口25を形成する。上記前側開口22、後側開口23、左側開口24および右側開口25に囲まれた領域に第1の基体1と第2の基体2を成形する。なお、矢印10は、この例におけるリードフレーム21の進行方向を示す。
【0040】
上記左側開口24と右側開口25は、上述した第1の基体1と第2の基体2の隙間16となる湾曲したスリット26で連続している。上記スリット26と前側開口22の間の領域に第2の基体2が成形され、上記スリット26と後側開口23の間の領域に第1の基体1が成形される。
【0041】
上記前側開口22と左側開口24および右側開口25の間には、それぞれ、加工している間、第2の基体2の成形領域をリードフレーム21に連結しておくための第2の連結部28が形成されている。同様に、後側開口23と左側開口24および右側開口25の間には、それぞれ、加工している間、第1の基体1の成形領域をリードフレーム21に連結しておくための第1の連結部27が形成されている。
【0042】
上記のような状態のリードフレーム21において、第2の基体2の成形領域、第1の基体1の成形領域にそれぞれ深絞り加工や曲げ加工を施して、第2の基体2および第1の基体1を成形する。すなわち、第1の基体1は、搭載部11、反射部12、縦壁15、放熱部13等を成形することにより形成し、第2の基体2は、接続部18、縦壁19、実装部17等を成形することにより形成する。
【0043】
上記第1の基体1および第2の基体2が成形されたのち、搭載部11に半導体素子3を搭載し、接続部18と半導体素子3とを配線導体4で接続する。つぎに、半導体素子3の搭載された側にモールド樹脂5で覆うことが行われる。そののち、第1の連結部27および第2の連結部28を切断箇所Cで切断することにより、本実施形態の半導体装置を得ることが出来る。
【0044】
なお、第1の基体1と第2の基体2とは、上述した説明のように、1枚のリードフレーム21から同時に成形することもできるが、別々に成形したものを組み合わせで1組とし、本発明の半導体装置を構成することもできる。
【0045】
以上のように、本実施形態の半導体装置は、半導体素子3が搭載される搭載面6を有する搭載部11と、上記半導体素子3の周囲で光を反射する反射面7を有する反射部12と、熱を放散するための第1の放熱面8を有する放熱部13とを有し、上記搭載部11、反射部12および放熱部13が金属により一体に形成されている。
このため、半導体素子3で発生した熱は、搭載部11と一体となった放熱部13に速やかに熱伝導され、第1の放熱面8から効果的に放散される。また、反射面7に光が照射されることで反射部12に蓄積された熱も、反射部12と一体となった放熱部13に速やかに熱伝導され、第1の放熱面8から効果的に放散される。このように、速やかな放熱が行われることにより、熱による半導体素子3の性能低下や劣化を防止することができる。例えば半導体素子3が発光素子である場合、光の強度や強度分布、放射角度等の変動を防止して安定した光学的特性を維持できる。また、複数パーツを組み合わせた従来品のように、パーツ同士の接合部に歪を生じたり力学的なストレスがかかったりすることによる信頼性の低下の懸念が解消される。
【0046】
上記実施形態において、上記搭載部11および反射部12と一体になった放熱部13の第1の放熱面8が、半導体装置が実装される実装面への取付面を兼ねている場合には、
半導体素子3で発生した熱や反射部12に蓄積された熱は、搭載部11および反射部12と一体となった放熱部13に速やかに熱伝導され、第1の放熱面8から実装面へ効果的に放散される。また、半導体装置を実装面に取り付けるだけで、第1の放熱面8から実装面へ効果的に熱が放散される構造となり、それ以外の放熱のための構造をあえて設ける必要がなく、構造が簡素化する。
【0047】
上記実施形態において、上記搭載部11および反射部12と一体になった放熱部13が、半導体装置が実装される際に外部との電気的な接続を行う電気接続部を兼ねている場合には、
半導体素子3で発生した熱や反射部12に蓄積された熱は、搭載部11および反射部12と一体となった放熱部13に速やかに熱伝導され、第1の放熱面8から外部へ効果的に放散される。また、半導体装置を外部に電気的接続するだけで、第1の放熱面8から実装面へ効果的に熱が放散される構造となり、それ以外の放熱のための構造をあえて設ける必要がなく、構造が簡素化する。
【0048】
上記実施形態において、上記搭載部11と反射部12は、搭載面6から反射面7にわたる面が、搭載面6を底面として上広がり状に反射面7が形成されるように形成され、
上記搭載部11の搭載面6と反対側の面が、上記放熱部13の第1の放熱面8と面一になって第2の放熱面9として機能するように構成されている場合には、
半導体素子3で発生した熱は、一部が搭載部11の搭載面6から搭載部11を介して第2の放熱面9から放散され、一部が反射部12および放熱部13を介して第1の放熱面8から放散される。このように、第1の放熱面8と第2の放熱面9の双方から熱が放散されるため、放熱効率が格段に向上する。
また、この場合において、上記第1の放熱面8および第2の放熱面9が半導体装置が実装される実装面への取付面を兼ねている場合には、半導体素子3で発生した熱や反射部12に蓄積された熱は、第1の放熱面8および第2の放熱面9から実装面へ効果的に放散され、半導体装置を実装面に取り付けるだけで、第1の放熱面8および第2の放熱面9から実装面へ効果的に熱が放散される構造となり、それ以外の放熱のための構造をあえて設ける必要がなく、構造が簡素化する。
【0049】
上記実施形態において、上記搭載部11、反射部12および放熱部13が一体に形成された第1の基体1とは別に、上記半導体素子3と配線導体4を介して電気的に接続される第2の基体2を備え、
上記第2の基体2における配線導体4の接続部18が、上広がり状に形成された反射面7の上端部よりも高い位置に配置されている場合には、
半導体素子3と第2の基体2を配線導体4で電気的に接続する際に、配線導体4が反射面7の上端部に接触することによるショートを効果的に防止できる。
【0050】
図3は、本発明の第2実施形態の半導体装置を示す図である。
【0051】
(A)は第1の基体31および第2の基体32a,32b,32cからなる半導体装置の平面図、(B)は第1の基体31のB−B断面図、(C1)は第1基体31のC−C断面図、(C2)は半導体装置のC−C端面図である。
【0052】
この例は、搭載部11に、3つの半導体素子3a,3b,3cが搭載されたものである。例えば、RGBの3色の発光素子を搭載することができる。
【0053】
上記第1の基体31は、楕円形の搭載面6を有する搭載部11と、上記搭載面6の周囲において上広がり状に形成された反射面7を有する反射部12と、上記反射部12の上端縁から4隅で下方に屈曲形成された屈曲部33の下端部に形成された放熱部13とを備えて構成されている。
【0054】
一方、第2の基体32a,32b,32cは、3つの半導体素子3a,3b,3cのそれぞれに対して一対ずつ設けられている。そして、1番目の半導体素子3aから一対の第2の基体32aに対してそれぞれ配線導体4aで電気的に接続され、一対の第2の基体32aが半導体素子3aの第1電極および第2電極としての機能を担っている。同様に、2番目の半導体素子3bから一対の第2の基体32bに対してそれぞれ配線導体4bで電気的に接続され、一対の第2の基体32bが半導体素子3bの第1電極および第2電極としての機能を担っている。さらに同様に、3番目の半導体素子3cから一対の第2の基体32cに対してそれぞれ配線導体4cで電気的に接続され、一対の第2の基体32cが半導体素子3cの第1電極および第2電極としての機能を担っている。
【0055】
したがって、本実施形態は、上記第1の実施形態と違って、第1の基体31は電気的接続部として機能する部分を有しない構成となっている。
【0056】
そして、この実施形態では、第1の基体31における4つの放熱部13の下面が、実装面への取付面であり第1の放熱面8として機能する。したがって、4つの放熱部13は実装面への取付部としても機能する。
【0057】
一方、第2の基体32a,32b,32cは、上記搭載部11、反射部12および放熱部13が一体に形成された第1の基体31とは別に設けられ、上述したように、各半導体素子3a,3b,3cとそれぞれ配線導体4a,4b,4cを介して電気的に接続される。
【0058】
上記第2の基体32a,32b,32cは、上記反射部12の上端縁と所定の隙間16を隔てて対峙した上端縁から下向きに屈曲部が屈曲形成され、上記屈曲部の下端部において電気接続面34を有する電気接続部35が横方向に屈曲形成されることにより形成されている。上記第2の基体32a,32b,32cにはそれぞれ、配線導体4a,4b,4cが接続される接続部18が設けられ、上記第2の基体32a,32b,32cにおける配線導体4a,4b,4cの接続部18は、上広がり状に形成された反射部12の上端部よりも高い位置に配置されている。
【0059】
この実施形態でも、上記第1の基体31は、1枚の金属板がプレス成形により深絞り加工および曲げ加工等が行われることにより形成され、上記各第2の基体32a,32b,32cも同様に、1枚の金属板がプレス成形により曲げ加工等が行われることにより形成されている。第1の基体31と第2の基体32a,32b,32cとは、第1実施形態で説明したように、1枚のリードフレーム21から同時に成形することもできるし、別々に成形したものを組み合わせで1組とし、本発明の半導体装置を構成することもできる。
【0060】
それ以外は、上記第1実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この例でも、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0061】
図4は、本発明の第3実施形態の半導体装置を示す図である。
【0062】
この例は、第1の基体1における搭載部11の厚みがほかの部分よりも厚く設定され、それに合わせ、厚みのある搭載部11下面の第2の放熱面9に対して、第1の放熱面8および第2の基体2の取付面14が面一になるよう構成されている。この例では、半導体素子3が搭載された搭載部11を厚くすることで、第2の放熱面9からの放熱効率を高くすることができる。
【0063】
この実施形態でも、上記第1の基体1は、1枚の金属板がプレス成形により展延加工、深絞り加工および曲げ加工等が行われることにより形成することができる。もともと搭載部11の厚みを確保する厚みのある板を準備し、それ以外の部分を展延加工で薄く延ばし、さらに深絞り加工および曲げ加工等を加えることにより形成することができる。この例でも、第1の基体1と第2の基体2とは、第1実施形態で説明したように、1枚のリードフレーム21から同時に成形することもできるし、別々に成形したものを組み合わせで1組とし、本発明の半導体装置を構成することもできる。
【0064】
それ以外は、上記第1実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この例でも、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0065】
なお、上記各実施形態では、実装面と接触する面(第1の放熱面8、取付面14、第2の放熱面9等)を平面状に示したが、これらの面は、平面状だけでなく、凸部や凹部等を設けた面としてもよい。これらの場合、伝熱性、導電性の接着剤等を介して実装面に対して伝熱性および導電性を確保した状態で取り付けることが好ましい。
【符号の説明】
【0066】
1:第1の基体
2:第2の基体
3:半導体素子
3a:半導体素子
3b:半導体素子
3c:半導体素子
4a:配線導体
4b:配線導体
4c:配線導体
4:配線導体
5:モールド樹脂
6:搭載面
7:反射面
8:第1の放熱面
9:第2の放熱面
10:矢印
11:搭載部
12:反射部
13:放熱部
14:取付面
15:縦壁
16:隙間
17:実装部
18:接続部
19:縦壁
21:リードフレーム
22:前側開口
23:後側開口
24:左側開口
25:右側開口
26:スリット
27:第1の連結部
28:第2の連結部
31:第1の基体
32a:第2の基体
32b:第2の基体
32c:第2の基体
33:屈曲部
34:電気接続面
35:電気接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が搭載される搭載面を有する搭載部と、上記半導体素子の周囲で光を反射する反射面を有する反射部と、熱を放散するための放熱面を有する放熱部とを有し、
上記搭載部、反射部および放熱部が金属により一体に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
上記搭載部および反射部と一体になった放熱部の放熱面が、半導体装置が実装される実装面への取り付け面を兼ねている請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
上記搭載部および反射部と一体になった放熱部が、半導体装置が実装される際に外部との電気的な接続を行う電気接続部を兼ねている請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
上記搭載部と反射部は、搭載面から反射面にわたる面が、搭載面を底面として上広がり状に反射面が形成されるように形成され、
上記搭載部の搭載面と反対側の面が、上記放熱部の放熱面と面一になって第2の放熱面として機能するように構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
上記搭載部、反射部および放熱部が一体に形成された第1の基体とは別に、上記半導体素子と配線導体を介して電気的に接続される第2の基体を備え、
上記第2の基体における配線導体の接続部が、上広がり状に形成された反射面の上端部よりも高い位置に配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−245359(P2010−245359A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93500(P2009−93500)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】