説明

半導体装置

【課題】層間絶縁膜(特に、低誘電率絶縁膜)が剥離することを防止すると共に、封止樹脂がチップの裏面上に這い上がることを防止する。
【解決手段】半導体装置は、基板10と、基板10上に形成された層間絶縁膜11と、層間絶縁膜11上に形成されたパッドとを有するチップ12と、ランドを有し、パッドとランドとが対向するように配置された実装基板14と、パッドとランドとを電気的に接続するバンプ15と、チップ12と実装基板14との間に充填される封止樹脂16とを備えている。チップ12の側面は、下部領域17aと、上部領域17cと、下部領域17aと上部領域17cとの間に位置する中央領域17bとを有している。上部領域17cは、層間絶縁膜11の側面を含む。中央領域17bの粗度は、下部領域17aの粗度及び上部領域17cの粗度よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、層間絶縁膜を有するチップと実装基板との間に封止樹脂が充填された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フリップチップ実装により、実装基板にチップが実装された半導体装置が提案されている。この場合、バンプにより、チップのパッドと、実装基板のランドとが、電気的に接続されている。チップと実装基板との間には、封止樹脂が充填されている。
【0003】
チップは、基板と、基板上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に形成されたパッドとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−078382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、半導体装置内に熱応力が発生した場合、封止樹脂の終端に最も大きな熱応力が印加される。このため、チップと実装基板との間に充填された封止樹脂が、チップの表面(パッド形成面)上からチップの側面上に這い上がり、封止樹脂の終端が、層間絶縁膜の側面上に位置する場合、層間絶縁膜が剥離するという問題がある。特に、層間絶縁膜として、低誘電率絶縁膜を用いた場合、一般に、低誘電率絶縁膜は脆弱な膜であるため、低誘電率絶縁膜が容易に剥離する。
【0006】
なお、低誘電率絶縁膜の剥離を抑制する技術として、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1に記載の技術では、低誘電率絶縁膜を切断するレーザ加工溝が設けられ、レーザ加工溝の幅X(μm)と、封止樹脂のフィレット長さY(mm)とが、Y>−0.233X+3.5の条件を満足している。
【0007】
一方、封止樹脂が、チップの側面上からチップの裏面上に這い上がった場合、層間絶縁膜が剥離するという問題が発生することはないものの、封止樹脂がチップの裏面上に這い上がることは、外観品質上、好ましくない。
【0008】
前記に鑑み、本発明の目的は、層間絶縁膜(特に、低誘電率絶縁膜)が剥離することを防止すると共に、封止樹脂がチップの裏面上に這い上がることを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置は、基板と、基板上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に形成されたパッドとを有するチップと、ランドを有し、パッドとランドとが対向するように配置された実装基板と、パッドとランドとを電気的に接続するバンプと、チップと実装基板との間に充填される封止樹脂とを備え、チップの側面は、下部領域と、上部領域と、下部領域と上部領域との間に位置する中央領域とを有し、上部領域は、層間絶縁膜の側面を含み、中央領域の粗度は、下部領域の粗度及び上部領域の粗度よりも小さいことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る半導体装置によると、中央領域の粗度を、上部領域の粗度よりも小さくする。これにより、樹脂(樹脂は、後に硬化されて封止樹脂となる)を、上部領域よりも粗度が小さい中央領域にまで流すことができる。言い換えれば、毛細管現象による樹脂の流れを、上部領域で止めずに、中央領域にまで流すことができる。一方、下部領域の粗度を、中央領域の粗度よりも大きくする。これにより、樹脂が、中央領域を超えて、中央領域よりも粗度が大きい下部領域にまで流れることを防止することができる。言い換えれば、毛細管現象による樹脂の流れを、中央領域で止めることができる。
【0011】
このため、樹脂が硬化されてなる封止樹脂により、チップの側面における上部領域及び中央領域を覆うことができる。一方、封止樹脂により、チップの側面における下部領域を覆わずに露出させることができる。このように、封止樹脂の終端の位置を制御し、封止樹脂の終端を、チップの側面における下部領域と中央領域との境界に位置させることができる。
【0012】
従って、封止樹脂の終端が、層間絶縁膜の側面上に位置することを防止することができるため、封止樹脂の終端に熱応力が印加されることがあっても、層間絶縁膜が剥離することを防止することができる。さらに、封止樹脂がチップの裏面上にまで這い上がることを防止することができる。
【0013】
本発明に係る半導体装置において、封止樹脂により、チップの側面における上部領域及び中央領域が覆われており、封止樹脂により、チップの側面における下部領域が覆われずに露出されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る半導体装置において、層間絶縁膜は、低誘電率絶縁膜であることが好ましい。
【0015】
本発明に係る半導体装置において、チップの側面における下部領域と中央領域との間には、第1の段差部が設けられており、チップの中央からチップの側面における下部領域までの距離は、チップの中央からチップの側面における中央領域までの距離よりも長いことが好ましい。
【0016】
本発明に係る半導体装置において、第1の段差部の段差面は、チップにおける基板の主面に対して平行な面であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る半導体装置において、第1の段差部の段差面は、チップにおける基板の主面に対して傾斜する面であり、第1の段差部の段差面は、中央領域側から下部領域側に向かって下に傾斜する面であることが好ましい。
【0018】
本発明に係る半導体装置において、チップの側面における中央領域と上部領域との間には、第2の段差部が設けられており、チップの中央からチップの側面における中央領域までの距離は、チップの中央からチップの側面における上部領域までの距離よりも長いことが好ましい。
【0019】
本発明に係る半導体装置において、第2の段差部の段差面は、チップにおける基板の主面に対して平行な面であることが好ましい。
【0020】
本発明に係る半導体装置において、第2の段差部の段差面は、チップにおける基板の主面に対して傾斜する面であり、第2の段差部の段差面は、上部領域側から中央領域側に向かって下に傾斜する面であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る半導体装置によると、封止樹脂の終端の位置を制御し、封止樹脂の終端を、チップの側面における下部領域と中央領域との境界に位置させることができる。これにより、封止樹脂の終端が、層間絶縁膜の側面上に位置することを防止することができるため、封止樹脂の終端に熱応力が印加されることがあっても、層間絶縁膜が剥離することを防止することができる。さらに、これにより、封止樹脂がチップの裏面上にまで這い上がることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】(a) は、実装基板に実装される前のチップの構成を示す平面図である。(b) は、チップが実装される前の実装基板の構成を示す平面図である。
【図3】図1に示す○で囲まれた部分(チップの側面を含む部分)の構成を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施形態の変形例1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図5】図4に示す○で囲まれた部分(チップの側面を含む部分)の構成を示す拡大断面図である。
【図6】段差部を設ける方法を示す斜視図である。
【図7】(a) 及び(b) は、段差部を設ける方法を工程順に示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態の変形例2に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図9】図8に示す○で囲まれた部分(チップの側面を含む部分)の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
(一実施形態)
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置について、図1、図2(a) 及び(b) 並びに図3を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。図2(a) は、実装基板に実装される前のチップの構成を示す平面図である。図2(b) は、チップが実装される前の実装基板の構成を示す平面図である。図3は、図1に示す○で囲まれた部分(チップの側面を含む部分)の構成を示す拡大断面図である。
【0025】
本実施形態に係る半導体装置は、図1に示すように、パッド(図示省略)を有するチップ12と、ランド(図示省略,図2(b):13参照)を有し、パッドとランドとが対向するように配置された実装基板14と、パッドとランドとを電気的に接続するバンプ15と、チップ12と実装基板14との間に充填される封止樹脂16とを備えている。バンプ15は、例えばはんだ又は金からなる。
【0026】
チップ12は、図1に示すように、基板10と、基板10上に形成された層間絶縁膜11と、層間絶縁膜11上に形成されたパッドとを有している。基板10は、例えばシリコン基板である。層間絶縁膜11は、例えば低誘電率絶縁膜である。なお、層間絶縁膜11上に、パッドの周縁部を覆い、且つ、パッドの中央部を露出する開口部を有する保護膜を形成してもよい。
【0027】
図2(a) に示すように、パッドは、行列状に配列され、パッド上には、バンプ15が形成される。図2(b) に示すように、ランド13は、行列状に配列されている。
【0028】
チップ12の側面は、図3に示すように、チップ12の裏面側に位置する下部領域17aと、チップ12の表面側に位置する上部領域17cと、下部領域17aと上部領域17cとの間に位置する中央領域17bとを有している。チップ12の側面における上部領域17cは、層間絶縁膜11の側面を含む。チップ12の「裏面」とは、チップ12におけるパッド形成面と反対側の面をいう。一方、チップ12の「表面」とは、チップ12におけるパッド形成面をいう。
【0029】
中央領域17bの粗度は、下部領域17aの粗度及び上部領域17cの粗度よりも小さい。
【0030】
図3に示すように、封止樹脂16により、チップ12の側面における上部領域17c及び中央領域17bは覆われている。一方、封止樹脂16により、チップ12の側面における下部領域17aは覆われずに露出されている。
【0031】
封止樹脂16により、上部領域17c及び中央領域17bが覆われる一方、下部領域17aが覆われずに露出されるのは、以下のような理由による。
【0032】
封止樹脂16は、以下のようにして形成される。
【0033】
まず、アンダーフィル(液状硬化性樹脂)等の樹脂を、チップ12と実装基板14との間隙に、一定の塗布量及び一定の圧力で注入する。このとき、チップ12と実装基板14との間隙は狭いため、毛細管現象により、樹脂は、チップ12と実装基板14との間隙に流れ込む。次に、樹脂を硬化して、封止樹脂16を形成する。
【0034】
一般に、粗度が比較的小さい面は、粗度が比較的大きい面よりも濡れ易いため、粗度が比較的小さい面は、粗度が比較的大きい面よりも毛細管現象が発生し易い。このため、毛細管現象により流れる液体は、粗度が比較的小さい面へ引き寄せられる傾向がある。
【0035】
そこで、本実施形態では、中央領域17bの粗度を、上部領域17cの粗度よりも小さくする。これにより、樹脂を、上部領域17cよりも粗度が小さい中央領域17bにまで流すことができる。言い換えれば、毛細管現象による樹脂の流れを、上部領域17cで止めずに、中央領域17bにまで流すことができる。
【0036】
一方、下部領域17aの粗度を、中央領域17bの粗度よりも大きくする。これにより、樹脂が、中央領域17bを超えて、中央領域17bよりも粗度が大きい下部領域17aにまで流れることを防止することができる。言い換えれば、毛細管現象による樹脂の流れを、中央領域17bで止めることができる。
【0037】
このため、図3に示すように、封止樹脂16により、上部領域17c及び中央領域17bを覆うことができる。一方、封止樹脂16により、下部領域17aを覆わずに露出させることができる。このように、封止樹脂16の終端の位置を制御し、封止樹脂16の終端を、チップ12の側面における下部領域17aと中央領域17bとの境界に位置させることができる。
【0038】
本実施形態によると、上述の通り、封止樹脂16の終端を、チップ12の側面における下部領域17aと中央領域17bとの境界に位置させることができる。これにより、封止樹脂16の終端が、層間絶縁膜11の側面上に位置することを防止することができる。このため、封止樹脂16の終端に熱応力が印加されることがあっても、層間絶縁膜11が剥離することを防止することができる。
【0039】
特に、層間絶縁膜が低誘電率絶縁膜である場合、既述の通り、一般に、低誘電率絶縁膜は脆弱な膜であるため、低誘電率絶縁膜が容易に剥離する。しかしながら、層間絶縁膜11が低誘電率絶縁膜であっても、本発明を適用することにより、低誘電率絶縁膜が剥離することを防止することができ、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0040】
さらに、上述の通り、封止樹脂16の終端を、チップ12の側面における下部領域17aと中央領域17bとの境界に位置させることができる。これにより、封止樹脂16がチップ12の裏面上にまで這い上がることを防止することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、チップ12が、単層の層間絶縁膜11を有する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、チップが、複数層の層間絶縁膜を有してもよい。
【0042】
<一実施形態の変形例1>
以下に、本発明の一実施形態の変形例1に係る半導体装置について、図4、図5、図6並びに図7(a) 及び(b) を参照しながら説明する。図4は、本発明の一実施形態の変形例1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。図5は、図4に示す○で囲まれた部分(チップの側面を含む部分)の構成を示す拡大断面図である。図6は、段差部を設ける方法を示す斜視図である。図7(a) 及び(b) は、段差部を設ける方法を工程順に示す断面図である。なお、本変形例1では、一実施形態と同様の構成要素には、一実施形態と同一の符号を付す。従って、本変形例1では、一実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0043】
本変形例1と一実施形態との相違点は、以下に示す点である。
【0044】
一実施形態では、図3に示すように、チップ12の側面における下部領域17aと、中央領域17bと、上部領域17cとは、面一である。
【0045】
これに対し、本変形例1では、図5に示すように、チップ12の側面における下部領域17aと中央領域17bとの間には、段差部18aが設けられている。
【0046】
距離Dx(図4参照)は、距離Dy(図4参照)よりも長い。図4に示すように、「距離Dx」とは、チップ12の中央からチップ12の側面における下部領域17aまでの距離をいう。「距離Dy」とは、チップ12の中央からチップ12の側面における中央領域17bまでの距離をいう。
【0047】
段差部18aの段差面は、チップ12における基板10の主面に対して平行な面である。段差部18aの「段差面」とは、チップ12の側面における下部領域17aと、チップ12の側面における中央領域17bとを結ぶ面をいう。
【0048】
段差部18aを設ける方法について、以下に説明する。
【0049】
まず、第1の切削速度で、ウェハ19を切削する。具体的には、図6に示すように、高速回転させた切削刃20をウェハ19に当接させながら、切削刃20を切削方向(図6の矢印参照)に進めて、ウェハ19を切削する。これにより、図7(a) に示すように、ウェハ19に、断面形状が凹状の切削部21を設ける。なお、10Xは基板であり、11Xは層間絶縁膜である。
【0050】
次に、第1の切削速度よりも速い第2の切削速度で、ウェハ19(特に、ウェハ19における切削部21が設けられた部分)を切削する。これにより、図7(b) に示すように、ウェハ19に、切削部21と連通する切削部22を設ける。
【0051】
このように、ダイシングと呼ばれる切削を段階的に行う。これにより、ウェハ19からチップ12を切り出すと共に、切削部21と切削部22との間に、段差部18aを設ける。
【0052】
切削部22の切削幅W22は、切削部21の切削幅W21よりも狭い。
【0053】
図7(b) から判るように、切削部21の側面の一部は、チップ12の側面における上部領域17c及び中央領域17bとなる。切削部21の底面の一部は、段差部18aの段差面となる。切削部22の側面の一部は、チップ12の側面における下部領域17aとなる。
【0054】
本変形例1によると、一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、本変形例1では、第2の切削速度を第1の切削速度よりも速くすることにより、切削部22の切削幅W22を切削部21の切削幅W21よりも狭くする場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、切削部22を設ける時に用いる切削刃の幅を、切削部21を設ける時に用いる切削刃の幅よりも狭くすることにより、切削部22の切削幅W22を切削部21の切削幅W21よりも狭くしてもよい。
【0056】
なお、本変形例1では、図7(a) に示すように、切削部21の底面を、基板10Xの主面に対して平行な面とし、段差部18aの段差面が、基板10の主面に対して平行な面である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、切削部21の断面形状を、下に凸の形状、言い換えれば、周縁から中央に向かって切削深さが深くなる形状とし、段差部18aの段差面が、基板10の主面に対して傾斜する面であり、中央領域17b側から下部領域17a側に向かって下に傾斜する面であってもよい。
【0057】
<一実施形態の変形例2>
以下に、本発明の一実施形態の変形例2に係る半導体装置について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は、本発明の一実施形態の変形例2に係る半導体装置の構成を示す断面図である。図9は、図8に示す○で囲まれた部分(チップの側面を含む部分)の構成を示す拡大断面図である。なお、本変形例2では、変形例1と同様の構成要素には、変形例1と同一の符号を付す。従って、本変形例2では、変形例1と同様の説明を適宜省略する。
【0058】
本変形例2と変形例1との相違点は、以下に示す点である。
【0059】
変形例1では、図5に示すように、チップ12の側面における中央領域17bと上部領域17cとは、面一である。
【0060】
これに対し、本変形例2では、図9に示すように、チップ12の側面における中央領域17bと上部領域17cとの間には、段差部18bが設けられている。なお、変形例1では、切削を2段階に分けて行うことにより、段差部18aを設けたが、本変形例2では、切削を3段階に分けて行うことにより、段差部18a及び段差部18bを設けることができる。
【0061】
距離Dy(図8参照)は、距離Dx(図8参照)よりも短く、且つ、距離Dyは、距離Dz(図8参照)よりも長い(Dx>Dy>Dz)。図8に示すように、「距離Dz」とは、チップ12の中央からチップ12の側面における上部領域17cまでの距離をいう。
【0062】
段差部18aの段差面及び段差部18bの段差面は、チップ12における基板10の主面に対して平行な面である。段差部18bの「段差面」とは、チップ12の側面における中央領域17bと、チップ12の側面における上部領域17cとを結ぶ面をいう。
【0063】
本変形例2によると、本変形例1と同様の効果を得ることができる。
【0064】
なお、本変形例2では、段差部18bの段差面が、基板10の主面に対して平行な面である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、段差部18bの段差面が、基板10の主面に対して傾斜する面であり、上部領域17c側から中央領域17b側に向かって下に傾斜する面であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、層間絶縁膜が剥離することを防止すると共に、封止樹脂がチップの裏面上に這い上がることを防止することができ、層間絶縁膜を有するチップと実装基板との間に封止樹脂が充填された半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0066】
10 基板
11 層間絶縁膜
12 チップ
13 ランド
14 実装基板
15 バンプ
16 封止樹脂
17a 下部領域
17b 中央領域
17c 上部領域
18a 段差部(第1の段差部)
18b 段差部(第2の段差部)
19 ウェハ
20 切削刃
21 切削部
22 切削部
Dx,Dy,Dz 距離
W21,W22 切削幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成されたパッドとを有するチップと、
ランドを有し、前記パッドと前記ランドとが対向するように配置された実装基板と、
前記パッドと前記ランドとを電気的に接続するバンプと、
前記チップと前記実装基板との間に充填される封止樹脂とを備え、
前記チップの側面は、下部領域と、上部領域と、前記下部領域と前記上部領域との間に位置する中央領域とを有し、前記上部領域は、前記層間絶縁膜の側面を含み、
前記中央領域の粗度は、前記下部領域の粗度及び前記上部領域の粗度よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記封止樹脂により、前記チップの側面における前記上部領域及び前記中央領域が覆われており、
前記封止樹脂により、前記チップの側面における前記下部領域が覆われずに露出されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜は、低誘電率絶縁膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記チップの側面における前記下部領域と前記中央領域との間には、第1の段差部が設けられており、
前記チップの中央から前記チップの側面における前記下部領域までの距離は、前記チップの中央から前記チップの側面における前記中央領域までの距離よりも長いことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第1の段差部の段差面は、前記チップにおける前記基板の主面に対して平行な面であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第1の段差部の段差面は、前記チップにおける前記基板の主面に対して傾斜する面であり、
前記第1の段差部の段差面は、前記中央領域側から前記下部領域側に向かって下に傾斜する面であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記チップの側面における前記中央領域と前記上部領域との間には、第2の段差部が設けられており、
前記チップの中央から前記チップの側面における前記中央領域までの距離は、前記チップの中央から前記チップの側面における前記上部領域までの距離よりも長いことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記第2の段差部の段差面は、前記チップにおける前記基板の主面に対して平行な面であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記第2の段差部の段差面は、前記チップにおける前記基板の主面に対して傾斜する面であり、
前記第2の段差部の段差面は、前記上部領域側から前記中央領域側に向かって下に傾斜する面であることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−89570(P2012−89570A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232724(P2010−232724)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】