半導体記憶装置およびその製造方法
【課題】容量絶縁膜である強誘電体のアニール工程を経ても、PchMOS型トランジスタのVth変動を抑制することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】半導体基板1上に形成され、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタ4と、前記PchMOS型トランジスタ4の上方を覆うように、前記半導体基板1上に形成された第1の水素バリア膜8と、前記第1の水素バリア膜8上に形成され、容量絶縁膜として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタ7と、前記強誘電体キャパシタ7の上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタ7の周縁部において前記第1の水素バリア膜8と接続する第2の水素バリア膜14とを備え、前記第1の水素バリア膜8は、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含む。
【解決手段】半導体基板1上に形成され、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタ4と、前記PchMOS型トランジスタ4の上方を覆うように、前記半導体基板1上に形成された第1の水素バリア膜8と、前記第1の水素バリア膜8上に形成され、容量絶縁膜として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタ7と、前記強誘電体キャパシタ7の上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタ7の周縁部において前記第1の水素バリア膜8と接続する第2の水素バリア膜14とを備え、前記第1の水素バリア膜8は、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置およびその製造方法に関し、特に、容量絶縁膜として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタを水素バリア膜で被覆した構造の半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリキャパシタを備えた半導体記憶装置において、キャパシタの容量絶縁膜として強誘電体が用いられる。強誘電体は、ヒステリシス特性による残留分極特性や高い比誘電率を備えることから、不揮発性メモリ装置やDRAM装置の分野において、従来の酸化シリコンまたは窒化シリコンからなる容量絶縁膜に置き換えられている。
【0003】
しかし、強誘電体キャパシタに用いられる強誘電体は、結晶構造自体がその物理的特性を決定する金属酸化物であるため、水素による還元作用の影響を大きく受けてしまう。半導体記憶装置の製造プロセスにおいて、MOSトランジスタの形成プロセスや多層配線の形成プロセス、さらには、保護膜の形成プロセス等では、水素ガスはもとより水素原子を含むシランガス、レジスト材料、および、水(水分)等を用いる工程を多く含むため、これらの工程で容量絶縁膜に用いられる強誘電体が水素による還元作用を受けて特性が劣化することが懸念される。
【0004】
そこで、近年、半導体記憶装置に形成される強誘電体キャパシタ単体ごとに、または、複数の強誘電体キャパシタを一括して覆うような水素バリア膜を設けて、強誘電体である容量絶縁膜の特性劣化を防止する技術が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
図16に、特許文献1に記載された、強誘電体を用いた容量絶縁膜を有するキャパシタを備えた従来の半導体記憶装置の第1の構成例を示す。
【0006】
図16に示された、従来の半導体記憶装置の第1の例では、半導体基板101上にMOS型トランジスタ102が形成され、層間絶縁膜104でワードラインWLを含めたMOSトランジスタ102上を覆うと共に、その上面を平坦化している。層間絶縁膜104上に、下部電極107、強誘電体膜108および上部電極109によって構成される強誘電体の容量絶縁膜を有するキャパシタが形成され、このキャパシタを、複数のバリア膜105、105a、106,110,で覆っている。
【0007】
このように、従来の半導体記憶装置の第1の例では、強誘電体を用いた容量絶縁膜を有するキャパシタが、その上方、側方および下方を水素バリア膜で覆われるため、キャパシタ形成以降の半導体記憶装置の製造プロセスにおいて水素雰囲気中に晒されても容量絶縁膜の強誘電体が還元されず、信頼性の高いキャパシタを備えた半導体記憶装置を得ることができる。
【0008】
図17に、特許文献2に記載された、強誘電体を用いた容量絶縁膜を有するキャパシタを備えた従来の半導体記憶装置の第2の構成例を示す。
【0009】
図17に示された、従来の半導体記憶装置の第2の例では、例えば200Ω・cmの比抵抗を有する半導体基板であるP型シリコン基板201の所定領域に、LOCOS法を用いて膜厚600nmの酸化シリコン膜からなる素子分離絶縁膜202が形成されている。素子分離絶縁膜202に囲まれた活性領域に、MOS型トランジスタのソースとなるN型拡散層203およびドレインとなるN型拡散層204が、例えばリンを80KeVで5E15/cm2イオン注入することにより形成されている。P型シリコン基板201上におけるN型拡散層203、204の間には、例えば熱酸化法によって膜厚25nmに形成された酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜208および不純物としてリンがドープされたゲート電極205が積層形成されている。
【0010】
MOS型トランジスタ上には、気相成長法を用いて膜厚300nmに形成された第1の層間絶縁膜206および気相成長法を用いて形成された窒化シリコンを主成分とする水素バリア膜213を介して、強誘電体キャパシタの下部電極211、強誘電体膜からなる容量絶縁膜209および上部電極210が形成されている。
【0011】
上部電極210上には、上部電極210の上面の一部を露出する開口部を有する第2の層間絶縁膜207が、気相成長法を用いて膜厚300nmで形成され、この開口部を埋め込んで第2の層間絶縁膜207上を覆うAlからなる配線電極212が形成されている。
【0012】
図17に示した従来の半導体記憶装置の第2の例では、窒化シリコンを主成分とする水素バリア膜213が、強誘電体を用いた容量絶縁膜209を有するキャパシタとトランジスタ素子との間に、MOS型トランジスタ素子形成領域の全面を覆うとともに半導体基板に対して非接触状態となるように配置されている。このため、強誘電体膜の電気特性向上のために、通常温度600〜1000度の酸素雰囲気下で行われる酸素アニール処理を行なっても、トランジスタの特性を変動無く維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3654585号公報
【特許文献2】特許第3111416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記従来の半導体記憶装置では、強誘電体を用いた容量絶縁膜を備えたキャパシタを水素バリア膜で覆うことで、強誘電体の水素による還元を抑制することができる。しかし、P型不純物が拡散されたゲート電極(P+ゲート)を有するPchMOS型トランジスタが存在している場合、強誘電体の電気特性を得るために必要な、強誘電体膜を焼結する結晶化アニール工程によって、PchMOS型トランジスタのVthが変動するという問題が生じることが分かった。
【0015】
そこで本発明は上記課題に鑑みて、容量絶縁膜である強誘電体のアニール工程を経ても、PchMOS型トランジスタのVth変動を抑制することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明の半導体記憶装置は、半導体基板上に形成され、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、前記PchMOS型トランジスタの上方を覆うように、前記半導体基板上に形成された第1の水素バリア膜と、前記第1の水素バリア膜上に形成され、容量絶縁膜として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタと、前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜とを備え、前記第1の水素バリア膜は、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の半導体記憶装置の製造方法は、半導体基板上に、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、N型不純物が導入されたゲート電極を有するNchMOS型トランジスタとを形成する第1の工程と、前記PchMOS型トランジスタ上および前記NchMOS型トランジスタ上を覆うように、前記半導体基板上に第1の層間絶縁膜を形成する第2の工程と、前記第1の層間絶縁膜上に第1の水素バリア膜を形成する第3の工程と、前記第1の水素バリア膜上に、下部電極、強誘電体の容量絶縁膜、上部電極を順次積層して強誘電体キャパシタを形成する第4の工程と、前記容量絶縁膜を焼結する第5の工程と、前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜を形成する第6の工程とを備え、前記第3の工程で形成される前記第1の水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の半導体記憶装置は、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、強誘電体キャパシタの容量絶縁膜との間に形成された水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含んでいる。このため、容量絶縁膜が水素によって還元されることを確実に防止しつつ、水素バリア膜からの脱離水素を低減させてPchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置を得ることができる。
【0019】
また、本発明の半導体記憶装置の製造方法は、PchMOS型トランジスタ上およびNchMOS型トランジスタ上を覆うように形成された第1の層間絶縁膜上に第3の工程で形成される第1の水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含んでいる。このため、容量絶縁膜が水素によって還元されることが防止され、PchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の概略構成を示す要部拡大断面図である。
【図2】炭窒化シリコン膜と窒化シリコン膜との水素脱離量を示す図である。
【図3】PchMOS型トランジスタにおける、ゲート直下のホウ素(B)の深さ方向の濃度プロファイルを示す図である。
【図4】種々の原子の結合に関する物理データを示す。図4(a)は2原子分子間の平衡原子間距離を示し、図4(b)は結合エネルギーの大きさを示す。
【図5】炭化シリコン膜の完全な状態での結晶構造を示す膜である。
【図6】窒化シリコン膜の完全な状態での結晶構造を示す膜である。
【図7】炭窒化シリコン膜の完全な状態での結晶構造を示す膜である。
【図8】窒化シリコン膜の不完全な結晶構造を示す図である。
【図9】炭窒化シリコン膜の不完全な結晶構造を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の概略構成を示す要部拡大断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の最初の段階を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の次の段階を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法のその次の段階を示す図である。
【図14】炭窒化シリコン膜の成膜装置の概略構成を示す模式断面図である。
【図15】炭窒化シリコン膜の成膜条件の一例を示す。
【図16】従来の半導体記憶装置の第1の構成例を示す要部拡大断面図である。
【図17】従来の半導体記憶装置の第2の構成例を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の半導体記憶装置は、半導体基板上に形成され、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、前記PchMOS型トランジスタの上方を覆うように、前記半導体基板上に形成された第1の水素バリア膜と、前記第1の水素バリア膜上に形成され、容量絶縁膜として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタと、前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜とを備え、前記第1の水素バリア膜は、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含む。
【0022】
上記本発明の半導体記憶装置は、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含んでいる水素バリア膜が、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、強誘電体の容量絶縁膜を用いた強誘電体キャパシタとの間に形成されている。このため、水素バリア膜からの脱離水素を低減させてPchMOS型トランジスタのP型不純物が導入されたゲート電極(P+ゲート)中のホウ素(B)が増速拡散することを抑制することができる。その結果、水素バリア膜によって容量絶縁膜が水素によって還元されることを確実に防止することができると共に、PchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置を得ることができる。
【0023】
前記半導体記憶装置において、前記第3の元素は、水素元素との結合エネルギーが、シリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きな元素であることが好ましい。また、前記第3の元素は、水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離がシリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短い元素であることが好ましい。このようにすることで、脱離水素の少ない第1の水素バリア膜を得ることができる。
【0024】
また、前記第1の水素バリア膜における、シリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離と、前記第3の元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離との加重平均値が1.520[Å]よりも小さいことが好ましい。このようにすることで、水素の脱離を効果的に低減した第1の水素バリア膜を得ることができる。
【0025】
さらに、前記第1の水素バリア膜における、シリコン元素と水素元素との結合基の含有量に対する前記第3の元素と水素元素との結合基の含有量の比率が、0.3038以上であることが好ましい。このようにすることで、第1の水素バリア膜に、良好な水素脱離抑制効果を与えることができる。
【0026】
さらにまた、前記第3の元素は、C、P、S、Cl、Se、B、FおよびBrから選ばれた1つであることが好ましく、前記第1の元素が炭素であり、前記第1の水素バリア膜が炭窒化シリコン膜であるとすることができる。
【0027】
また、前記誘電体キャパシタ上に形成された第2の水素バリア膜が、前記第1の水素バリア膜と同一の組成であることが好ましい。このようにすることで、水素バリア膜の形成を容易に行うことができる。
【0028】
本発明の半導体記憶装置の製造方法は、半導体基板上に、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、N型不純物が導入されたゲート電極を有するNchMOS型トランジスタとを形成する第1の工程と、前記PchMOS型トランジスタ上および前記NchMOS型トランジスタ上を覆うように、前記半導体基板上に第1の層間絶縁膜を形成する第2の工程と、前記第1の層間絶縁膜上に第1の水素バリア膜を形成する第3の工程と、前記第1の水素バリア膜上に、下部電極、強誘電体の容量絶縁膜、上部電極を順次積層して強誘電体キャパシタを形成する第4の工程と、前記容量絶縁膜を焼結する第5の工程と、前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜を形成する第6の工程とを備え、前記第3の工程で形成される前記第1の水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含む。
【0029】
上記本発明の半導体記憶装置の製造方法は、PchMOS型トランジスタ上およびNchMOS型トランジスタ上を覆うように形成された第1の層間絶縁膜上に形成される第1の水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第1の元素を含んでいる。このため、容量絶縁膜が水素によって還元されることが防止されるとともに、水素バリア膜からの脱離水素によってPchMOS型トランジスタのP型不純物が導入されたゲート電極(P+ゲート)中のホウ素(B)が増速拡散することを抑制することができ、PchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置を容易に製造することができる。
【0030】
上記本発明の半導体記憶装置の製造方法において、前記第3の元素は、水素元素との結合エネルギーが、シリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きな元素であることが、また、前記第3の元素は、水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離がシリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短い元素であることが好ましい。このようにすることで、水素バリア膜からの脱離水素を効果的に低減できる半導体記憶装置を容易に製造することができる。
【0031】
また、前記第2の水素バリア膜が、前記第1の水素バリア膜と同一の組成であることが好ましい。このようにすることで、水素バリア膜の製造工程を簡易にすることができ、より低コストで効率的な半導体記憶装置の製造方法とすることができる。
【0032】
以下、本発明の半導体記憶装置およびその製造方法について、図面を参照して説明する。
【0033】
なお、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態である半導体記憶装置を構成する部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明にかかる半導体記憶装置およびその製造方法は、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備えることができる。
【0034】
また、各図中の部材の寸法、特に、半導体記憶装置の厚さ方向の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を必ずしも忠実に表したものではない。
【0035】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる半導体記憶装置の概略構成を示す要部拡大断面図である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の半導体記憶装置100は、シリコン製の半導体基板1のメモリ部2に例えばP型のPchMOS型トランジスタ4が形成されていて、メモリデータを読み出すためのロジック・セルプレートドライバ部3に例えばN型のNchMOS型トランジスタ5が形成されている。
【0037】
半導体基板1上には、メモリ部2においてPchMOS型トランジスタ4上を覆い、ロジック・セルプレートドライバ部3においてNchMOS型トランジスタ5上を覆う、例えばBPSG膜からなる層間絶縁膜6が形成され、層間絶縁膜6上の強誘電体キャパシタ7が形成される位置に、第1の水素バリア膜8が形成されている。本実施形態において、第1の水素バリア膜8は、シリコン元素と水素元素、そして、シリコン元素よりもよりも水素を脱離しにくい第3の元素である炭素(C)を含んだ、炭窒化シリコン膜で形成されている。
【0038】
強誘電体キャパシタ7が形成される領域には、層間絶縁膜6および第1の水素バリア膜8を貫通して、PchMOS型トランジスタ4の図示しない一方の不純物拡散層に接続するための、タングステン製の第1のコンタクトプラグ9が形成されている。
【0039】
第1のコンタクトプラグ9に接続するように、第1の水素バリア膜8上に、導電性のチタン窒化シリコン膜である第3の水素バリア膜10が形成され、第3の水素バリア膜10上に、白金膜からなる下部電極11、強誘電体の容量絶縁膜12、白金からなる上部電極13を積層して形成された強誘電体キャパシタ7が形成されている。
【0040】
ここで、下部電極11および上部電極13は、不活性な電極材料を用いることが好ましく、上記白金(Pt)以外にも、白金族の金属やRuO2などの導電性酸化膜を用いることができる。また、強誘電体キャパシタ7の容量絶縁膜12としては、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)、SrBi2Ta2O9(SBT)、(Bi,La)Ti3O12(BLT)、Bi4Ti3O12(BTO)などの強誘電体材料を用いることができる。
【0041】
強誘電体キャパシタ7の上部電極13上には、第1の水素バリア膜8と同じく、炭窒化シリコン膜からなる第2の水素バリア膜14が形成されていて、強誘電体キャパシタ7の上方と側方を覆っている。第2の水素バリア膜14は、強誘電体キャパシタ7の周縁部において第1の水素バリア膜8と接続されている。このようにして、強誘電体キャパシタ7の周囲は、水素バリア膜8、14で覆われる。
【0042】
第2の水素バリア膜14で覆われた強誘電体キャパシタ7を上方から覆うように、第1の層間絶縁膜6上の全面にわたって、例えばBPSG膜(boron phosphor silicate glass)からなる第2の層間絶縁膜15が形成されている。
【0043】
そして、NchMOS型トランジスタ5が形成されているロジック・セルプレートドライバ部3では、NchMOS型トランジスタ5の図示しない不純物拡散層にそれぞれ接続されるように、第2の層間絶縁膜15を貫通するように、第2のコンタクトプラグ16a、16bが形成され、第2のコンタクトプラグ16a、16bは、第2の層間絶縁膜15上に形成されたアルミ配線17a、17bとそれぞれ接続されている。
【0044】
同様に、PchMOS型トランジスタ4が形成されているメモリ部2では、PchMOS型トランジスタ4の図示しない不純物拡散層に接続されるように、第2の層間絶縁膜15を貫通する第2のコンタクトプラグ16cが形成され、第2のコンタクトプラグ16cは、第2の層間絶縁膜15上に形成されたアルミ配線17cと接続されている。
【0045】
本実施形態の半導体記憶装置100は、容量絶縁膜12として強誘電体膜を備えた強誘電体キャパシタ7が、その上下を炭窒化シリコン膜からなる第1の水素バリア膜8および第2の水素バリア膜14で覆われている。このため、強誘電体キャパシタ7の容量絶縁膜12が半導体記憶装置100の製造時に、水素によって還元されることを防止するとともに、水素バリア膜8自体からの脱離水素を低減させることができ、PchMOS型トランジスタのP型不純物が導入されたゲート電極(P+ゲート)中のホウ素(B)が増速拡散することを抑制することができる。その結果、PchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置100を得ることができる。
【0046】
次に、本実施形態の半導体記憶装置100における、第1の水素バリア膜8に炭窒化シリコン膜を用いることによる効果を、推定メカニズムを用いて説明する。
【0047】
図2は、昇温脱離ガス分析(TDS)を用い、室温から1000度までの昇温範囲で分析を実施したときの、炭窒化シリコン膜(SiCN:シリコンカーボナイトライド膜)と、窒化シリコン膜(SiN:シリコンナイトライド膜)との脱離水素量を測定した結果を示す。
【0048】
また、図3は、第1の水素バリア膜8として炭窒化シリコン膜、および、窒化シリコン膜を用いたときの、P+ゲートのP型トランジスタにおける、ゲート直下のゲート酸化膜と半導体基板との界面近傍におけるホウ素(B)の深さ方向の濃度プロファイルを示す図である。ここで、黒丸でプロットされた実線aは、炭窒化シリコン膜を用いたときのホウ素(B)の深さ方向の濃度プロファイルを示し、白丸でプロットされた点線bが、窒化シリコン膜を用いたときのホウ素(B)の深さ方向の濃度プロファイルを示している。
【0049】
さらに、図4は、種々の原子の結合に関する物理データを示していて、図4(a)は2原子分子間の平衡原子間距離を示し、図4(b)は結合エネルギーの大きさを示している。ここで、2原子分子間の平衡原子間距離とは、熱力学関数が極小になる状態での2原子分子間の結合の長さ、すなわち、初期状態ではなく、十分に長い時間を経た後における安定状態での長さを意味するものと定義する。
【0050】
図2、図3の測定結果と、図4(a)、図4(b)に示した物理データより、以下のようなメカニズムを推定することができる。
【0051】
すなわち、図4(b)の表からわかるように、C−H基の結合エネルギーはSi−H基の結合エネルギーよりも約1.4倍大きい。このことは、C−H基の方がSi−H基よりも水素を脱離しにくいことを示している。このことと、炭窒化シリコン膜の方が窒化シリコン膜よりも水素脱離量が少ないことを示す図2の測定結果より、炭窒化シリコン膜中ではSi原子の一部がC原子に置き換わることにより、Si−H基が減少してC−H基が増加し、脱離水素の発生を抑制しているものと考えられる。逆に、窒化シリコン膜の場合には、脱離水素が発生しやすい状態にあるものと考えられる。
【0052】
図2の測定結果から炭窒化シリコン膜の水素結合量を算出し、C−H基とSi−H基との比率を求めたところ、C−H基とSi−H基との比率は0.3038以上であった。
【0053】
さらに、図3の測定結果では、PchMOS型トランジスタにおけるゲート直下のゲート酸化膜と半導体基板との界面近傍において、図中「SiO2−Si界面」として示したラインを越えて右側部分に表れる、半導体基板へ染み出すホウ素(B)の濃度は、水素バリア膜として窒化シリコン膜を用いた方が、水素バリア膜として炭窒化シリコン膜を用いた場合よりも高いことがわかる。
【0054】
このことから、プロセス中の高温アニール処理である、強誘電体膜を焼結する結晶化アニール工程を経ることにより、水素バリア膜として機能する窒化シリコン膜から水素が容易に脱離し、その脱離水素がゲート酸化膜中に拡散することによって、PchMOS型トランジスタのP+ゲートからゲート酸化膜中に拡散したホウ素(B)の半導体基板への拡散を助長しているものと推測される。逆に、水素バリア膜として炭窒化シリコン膜を用いた場合に、PchMOS型トランジスタにおけるゲート直下のゲート酸化膜と半導体基板との界面近傍において、半導体基板へ染み出すホウ素(B)の濃度が低いのは、高温アニール処理である強誘電体膜の結晶化アニール工程を経ても、水素バリア膜として機能する炭窒化シリコン膜から水素が脱離しにくく、その結果、PchMOS型トランジスタのP+ゲートからゲート酸化膜中へのホウ素(B)の拡散、そして、半導体基板へのホウ素(B)の拡散が抑制されているものと推測することができる。
【0055】
次に、水素バリア膜の結晶構造について説明する。
【0056】
図5は炭化シリコン膜(SiC)、図6は窒化シリコン膜(Si3N4)、図7は炭窒化シリコン膜(SiCN)の、それぞれ完全な状態での結晶構造の一例を示す。結晶方位は図5〜図7に示した方位に限定されるものではないが、これを代表例として説明する。また、図5〜図7各図において点線で囲った部分が、それぞれの膜の一つの構成範囲を示している。
【0057】
図5において、炭化シリコン膜の結晶構造はSi−C基の結合からなり、Si−C基2原子分子間の平衡原子間距離は1.540Åである。また、図6において、窒化シリコン膜の結晶構造はSi−N基の結合からなり、Si−N基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.572Åである。そして、図7において、炭窒化シリコン膜の結晶構造はシリコン原子の一部が炭素原子に置き換わった構造であり、Si−N基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.572Åと変わらないが、C−H基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.172Åとなる。
【0058】
以上の各水素バリア膜における結晶構造は、上述のとおり完全な状態での結晶構造であり、膜中に水素は存在しない。しかし、実際には完全な結晶構造にはならない。例えば、窒化シリコン膜中にはSi−H基が取り込まれている。
【0059】
図8は、不完全な状態での窒化シリコン膜の結晶構造を示す。
【0060】
図8に示すように、窒化シリコン膜中にSi−H基が取り込まれており、Si−H基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.520Åである。
【0061】
図9は、不完全な状態の炭窒化シリコン膜の結晶構造を示す。図9に示すように、炭窒化シリコン膜中には、Si−H基とC−H基とが取り込まれており、Si−H基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.520Åであり、C−H基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.118Åである。ここで、図4(b)より、Si−H基の結合エネルギーは295.7kJ/molであり、C−H基の結合エネルギーは411.6kJ/molである。つまり、C−H基の方がSi−H基よりも1.4倍安定していると言うことができる。このため、Si−H基の一部をC−H基に置き換えた炭窒化シリコン膜を用いることにより、窒化シリコン膜よりも炭窒化シリコン膜の方が膜中からの脱離水素を低減することができることが分かる。
【0062】
以上の検討より明らかなように、第1の水素バリア膜に、水素元素とシリコン元素に加えて、シリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素として炭素を用いた場合には、炭素元素と水素元素との結合エネルギーが、シリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きいこと、もしくは、炭素元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離が、シリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短いことから、水素バリア膜からの脱離水素を低減することができると理解することができる。
【0063】
このため、本実施形態の半導体記憶装置の水素バリア膜に含まれる、シリコン元素と水素元素、そして、シリコン元素よりもよりも水素を脱離しにくい第3の元素としては、炭素元素のように、Si−H基結合よりも水素との結合エネルギーの大きな元素、もしくは、Si−H基結合よりも水素との2原子分子間の平衡原子間距離が短い元素を選べばよいことが理解できる。
【0064】
ここで、Si−H基結合よりも水素との2原子分子間の平衡原子間距離が短い元素は、Si−H基結合よりも水素との結合エネルギーが大きいため、例えば、図4(a)に列挙した、P、S、Cl、Se、B、F、Brの各元素を、水素元素およびシリコン元素とともに、水素バリア膜に混在させることで、第3の元素として炭素(C)を選択した場合の炭窒化シリコン膜と同じように、水素の脱離を低減できる水素バリア膜を形成することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態にかかる半導体記憶装置について、図面を参照して説明する。
【0066】
図10に示す、第2の実施形態の半導体記憶装置200は、第2の水素バリア膜が、第1の水素バリア膜と異なる材料の膜で形成されている点で、上記第1の実施形態にかかる半導体記憶装置100と異なっている。なお、第2の水素バリア膜以外の、上記第1の実施形態の半導体記憶装置100と同じ構成部材については、図10では同じ符号を付し詳細な説明は省略する。
【0067】
図10に示すように、第2の実施形態の半導体記憶装置200は、半導体基板1のメモリ部2にP型のPchMOS型トランジスタ4、ロジック・セルプレートドライバ部3にN型のNchMOS型トランジスタ5が形成され、これらを覆うように層間絶縁膜6が形成されている。層間絶縁膜6上の誘電体キャパシタ7が形成される位置に、炭窒化シリコン膜からなる第1の水素バリア膜8が形成されている。
【0068】
強誘電体キャパシタ7が形成される領域には、層間絶縁膜6および第1の水素バリア膜8を貫通する第1のコンタクトプラグ9が形成され、これと接続して第1の水素バリア膜8上に、第3の水素バリア膜10が形成され、第3の水素バリア膜10上に、白金膜からなる下部電極11と上部電極13、強誘電体からなる容量絶縁膜12とからなる強誘電体キャパシタ7が形成されている。
【0069】
本実施形態では、強誘電体キャパシタ7の容量絶縁膜12が、半導体記憶装置200の形成時に水素によって還元されることを防止するための第2の水素バリア膜18として、TiAlO膜がメモリキャパシタ7の上部を覆うように形成されている。
【0070】
さらに、第2の水素バリア膜18で覆われた強誘電体キャパシタ7を覆うように、第1の層間絶縁膜6上の全面にわたって、第2の層間絶縁膜15が形成されている。また、ロジック・セルプレートドライバ部3では、第2の層間絶縁膜15を貫通するように、第2のコンタクトプラグ16a、16bが形成され、第2のコンタクトプラグ16a、16bは、第2の層間絶縁膜15上に形成されたアルミ配線17a、17bとそれぞれ接続されている。
【0071】
同様に、PchMOS型トランジスタ4が形成されているメモリ部2では、PchMOS型トランジスタ4の図示しない不純物拡散層に接続されるように、第2の層間絶縁膜15を貫通する第2のコンタクトプラグ16cが形成され、第2のコンタクトプラグ16cは、第2の層間絶縁膜15上に形成されたアルミ配線17cと接続されている。
【0072】
本実施形態の半導体記憶装置200は、強誘電体である容量絶縁膜12を備えた強誘電体キャパシタ7の上側を覆い、半導体プロセス中に容量絶縁膜12が水素に還元されることを防止するための第2の水素バリア膜18が、炭窒化シリコン膜では形成されていない。しかし、第2の水素バリア膜18は、メモリキャパシタ7の上側を覆う膜であり、高温で容量絶縁膜を焼成した後に形成されるため、半導体基板1上に形成されるPchMOS型トランジスタのP+ゲートが第2の水素バリア膜18からの脱離水素の影響を受ける可能性は極めて低い。
【0073】
以上のことから、PchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置200とすることができる。
【0074】
(第3の実施形態)
次に、本発明の半導体記憶装置の製造方法を、第3の実施形態として図面を用いて説明する。
【0075】
図11〜図13は、本実施形態の半導体記憶装置の製造工程の流れを示す図である。
【0076】
まず、最初の段階を示す図11において、図11(a)に示すように、シリコン製の半導体基板1のロジック・セルプレートドライバ部3上、および、メモリ部上2に、P+ゲートのPchMOS型トランジスタ4や図示しないNchMOS型トランジスタを形成する。また、ロジック・セルプレートドライバ部3上には、NchMOS型トランジスタ5や図示しないPchMOS型トランジスタが形成される。ここまでが、第1の工程である。
【0077】
次に、第2の工程において、これらのトランジスタ4、5上に、半導体基板1の全面にわたって、第1層間絶縁膜6を形成し、さらに、第3の工程で、後に強誘電体キャパシタ7が形成されるメモリ部2上の第1層間絶縁膜6上に、炭窒化シリコン膜の第1の水素バリア膜8が形成される。
【0078】
その後、第1層間絶縁膜6および第1の水素バリア膜8を貫通するように、メモリ部2に第1コンタクトプラグ9を形成する。
【0079】
次に、第3の工程として、図11(b)に示すようにメモリ領域2において、第1コンタクトプラグ9と接続されるように、第1の水素バリア8上に例えば導電性のチタン窒化膜からなる第3の水素バリア膜10を形成する。
【0080】
さらに、第3の水素バリア膜10上に、白金からなる下部電極11、強誘電体からなる容量絶縁膜12,白金からなる上部電極13を順次積層して強誘電体キャパシタ7が形成される。これが、第4の工程である。
【0081】
次に、第5の工程として、図11(b)の状態において、強誘電体キャパシタ7の強誘電体からなる容量絶縁膜12を焼結処理して、強誘電体を分極し、高い絶縁性を確保する。
【0082】
この強誘電体の焼結処理の結果、図11(c)に示すように、強誘電体膜が結晶化され、強誘電体分極が出現する。なお、強誘電体の焼結処理工程は、例えば、ラピット・サーマル・アニール装置を用い、酸素雰囲気下にて約750度〜900度の温度範囲で、30秒以上実施する。
【0083】
次に、第6の工程として、図12(a)に示すように、強誘電体キャパシタ7上を覆うように、炭窒化シリコン膜の第2の水素バリア膜14を形成する。なお、図12(a)では省略しているが、第2の水素バリア膜14は、強誘電体キャパシタ7の側方も覆っていて、強誘電体キャパシタ7の周縁部において第1の水素バリア膜8と接続されている。このようにして、強誘電体キャパシタ7の周囲を水素バリア膜で覆うことができる。
【0084】
次に、図12(b)に示すように、強誘電体キャパシタ7を覆う第2の水素バリア膜14を覆うように、メモリ部2と周辺のロジック・セルプレートドライバ部3とを含めた全域の第1の層間絶縁膜6上に、第2の層間絶縁膜15を形成する。その後、第2の層間絶縁膜15を貫通するように、ロジック・セルプレートドライバ部3に第2コンタクトプラグ16a、16bを形成する。なお、このとき、メモリ部2に第2コンタクトプラグ16cを同時に形成する。
【0085】
その後、図13に示すように、第2コンタクトプラグ16a、16b、16c上に、既存の技術を用いアルミニウム配線17a、17b、17cを形成する。アルミニウム配線17a、17bは4層から8層の配線を施すことができる。
【0086】
このようにして、第1の実施形態として説明した半導体記憶装置100を形成することができる。
【0087】
ここで、第1の水素バリア膜8、および、第2の水素バリア膜14として形成された、炭窒化シリコン膜の形成方法について詳述する。
【0088】
図14は、炭窒化シリコン膜成膜装置の概略構成を示す図である。
【0089】
図14に示すように、本実施形態で炭窒化シリコン膜の成膜に用いられる成膜装置1000は、半導体基板51を載置するサセプタ52を備え、内部には炭シリコン窒化膜を成膜する際に半導体基板51を所定の温度に加熱する、図示しないヒータが内蔵されている。サセプタ52は保持棒58によって保持される。チャンバ内53へは、ガス供給口56から所定のガス61が導入され、ガス通過口55で分散されて、チャンバ内53で反応し、炭窒化シリコン膜が半導体基板51上に形成され、ガス排出口54から反応済ガス62が排出される。サセプタ52は保持軸58によって、ガス通過口55との距離を自在に変更することができる。このため、ガス通過口55面と半導体基板51面との距離を自在に決めることができ、成膜装置1000の成膜厚均一性を最適に制御できる。
【0090】
なお、図14では、サセプタ52内に図示しないヒータが内蔵された、ヒータ加熱方式の化学気相成長法の成膜装置1000を示したが、本実施形態における半導体記憶装置における炭窒化シリコン膜の成膜装置としては、このようなヒータ加熱方式の物に限定されず、サセプタ52内を外部から加熱するランプ加熱式や、チャンバ53とサセプタ52との全体がヒータで加熱されているホットウォール型ヒータ加熱方式の化学気相成長装置や、さらには、ECRプラズマ方式の化学気相成長装置を用いることもできる。
【0091】
本実施形態の炭窒化シリコン膜の成膜方法においては、まず、半導体基板51をサセプタ52の上にセットする。この時、半導体基板51は、チャンバ53の外側の図示しない加熱用ランプで約350度に加熱されている。
【0092】
そして、図15において示す成膜条件を満足するように、例えば、ガス導入口56からSiH4ガスを150sccm、CH4ガスを500sccm、NH3ガスを500sccm、He2ガスを5000sccm、圧力が700Paとなるように導入して、半導体基板51上に、炭窒化シリコン膜を厚さ20nm形成する。なお、この炭窒化シリコン膜の膜厚20nmというのは一例であって、一般的には、水素バリア膜の膜厚は10nm程度以上あれば、所望の水素バリア性を確保することができる。
【0093】
上記第1の実施形態において詳述したように、本実施形態の炭窒化シリコン膜の容量絶縁膜では、Si−H基結合の一部をC−H基に置き換えることが重要である。上記、図15で示した成膜条件で成膜することによって、C-H基とSi−H基とが形成され、その比率は0.3038以上となる。
【0094】
なお、図14および図15に示した、成膜装置および成膜条件は、炭窒化シリコン膜を成膜する上でのあくまで一例であって、成膜装置が変われば成膜条件もそれに伴って変わることは言うまでもない。
【0095】
また、上記の通り、半導体記憶装置の第1の水素バリア膜としては、水素元素と、シリコン元素の他に、シリコン元素よりも水素の脱離が少ない第3の元素として、炭素以外にも、P、S、Cl、Se、B、F、Brのなどの、水素元素との結合エネルギーがシリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きい元素、もしくは、水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離がシリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短い元素を用いることができる。
【0096】
この場合には、第1の水素バリア膜を成膜する際の製造ガスとしては、図15に示した各種ガスの他に、CH3、C2H2、CH2F、SiF6、SF4、Si2F6、CH2F、PH3、PH5などの各ガス、またはHe、Ar、Ne、Xeなどの不活性ガスを用いることができ、また、これら各種ガスの混合原料を用いて化学気相析出反応を用いて製造することができる。また、第1の水素バリア膜に含まれる第1の元素を含んだ、有機金属ガスを用いて成膜することもできる。
【0097】
また、有機系のSiソースガスとしては、テトラメチルシラン(4MS)、トリメチルシラン(3MS)、ジメチルジメトキシシラン(2MDS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、オクタメチルトリシロキサン(OMTS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、あるいは、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)が望ましく、有機系Siソースガスとしては、特に、テトラメチルシラン(4MS)が好適に使用することができる。
【0098】
以上、本実施形態の半導体記憶装置の製造方法によれば、Si−H基結合よりも水素との2原子分子間の平衡原子間距離が短い元素、または、Si−H基よりも水素との結合エネルギーが大きい元素を、水素元素、シリコン元素とともに含む水素バリア膜を形成することができ、強誘電体キャパシタの容量絶縁膜が、水素によって還元されることを防ぐことができるとともに、強誘電体からなる容量絶縁膜の結晶化アニール時に水素バリア膜から水素が脱離することを抑制することができ、半導体基板に形成されたP+ゲート中のホウ素(B)が増速拡散することを抑制し、PchMOS型トランジスタのVth変動を抑制することができる。
【0099】
以上説明してきたように、本発明の半導体記憶装置、およびその製造方法によれば、容量絶縁膜である強誘電体のアニール工程を経ても、PchMOS型トランジスタのVth変動を抑制することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供することができる。
【0100】
また、本発明の半導体記憶装置、およびその製造方法は、MOS型のトランジスタと強誘電体キャパシタとの間に、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含む水素バリア膜が形成されればよいため、強誘電体キャパシタの形状や材質、半導体記憶装置の構造に限定されるものではない。このため、半導体記憶装置のメモリ構造としても、平面キャパシタ型や立体キャパシタ型など、各種の形態のものに適用することができる。
【0101】
なお、MOS型のトランジスタと強誘電体キャパシタとの間に形成される第1の水素バリア膜に、第3の元素として例示したC、P、S、Cl、Se、B、FおよびBrのうちの複数の元素が同時に含まれていても、上記本発明の効果を奏することができると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上説明したように、本発明の半導体記憶装置およびその製造方法は、強誘電体キャパシタの容量絶縁膜として用いられる強誘電体の水素による還元を確実に防止しつつ、水素バリア膜からの脱離水素を低減させてP+ゲート中のホウ素(B)が増速拡散することを抑制し、PchMOS型トランジスタのVth変動を抑制できるものであり、周辺回路などにPchMOS型トランジスタが存在する、各種の半導体記憶装置およびその製造方法として有用である。
【符号の説明】
【0103】
1 半導体基板
4 PchMOS型トランジスタ
5 NchMOS型トランジスタ
7 強誘電体キャパシタ
8 炭窒化シリコン膜(第1の水素バリア膜)
11 下部電極
12 容量絶縁膜
13 上部電極
14 炭窒化シリコン膜(第2の水素バリア膜)
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置およびその製造方法に関し、特に、容量絶縁膜として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタを水素バリア膜で被覆した構造の半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリキャパシタを備えた半導体記憶装置において、キャパシタの容量絶縁膜として強誘電体が用いられる。強誘電体は、ヒステリシス特性による残留分極特性や高い比誘電率を備えることから、不揮発性メモリ装置やDRAM装置の分野において、従来の酸化シリコンまたは窒化シリコンからなる容量絶縁膜に置き換えられている。
【0003】
しかし、強誘電体キャパシタに用いられる強誘電体は、結晶構造自体がその物理的特性を決定する金属酸化物であるため、水素による還元作用の影響を大きく受けてしまう。半導体記憶装置の製造プロセスにおいて、MOSトランジスタの形成プロセスや多層配線の形成プロセス、さらには、保護膜の形成プロセス等では、水素ガスはもとより水素原子を含むシランガス、レジスト材料、および、水(水分)等を用いる工程を多く含むため、これらの工程で容量絶縁膜に用いられる強誘電体が水素による還元作用を受けて特性が劣化することが懸念される。
【0004】
そこで、近年、半導体記憶装置に形成される強誘電体キャパシタ単体ごとに、または、複数の強誘電体キャパシタを一括して覆うような水素バリア膜を設けて、強誘電体である容量絶縁膜の特性劣化を防止する技術が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
図16に、特許文献1に記載された、強誘電体を用いた容量絶縁膜を有するキャパシタを備えた従来の半導体記憶装置の第1の構成例を示す。
【0006】
図16に示された、従来の半導体記憶装置の第1の例では、半導体基板101上にMOS型トランジスタ102が形成され、層間絶縁膜104でワードラインWLを含めたMOSトランジスタ102上を覆うと共に、その上面を平坦化している。層間絶縁膜104上に、下部電極107、強誘電体膜108および上部電極109によって構成される強誘電体の容量絶縁膜を有するキャパシタが形成され、このキャパシタを、複数のバリア膜105、105a、106,110,で覆っている。
【0007】
このように、従来の半導体記憶装置の第1の例では、強誘電体を用いた容量絶縁膜を有するキャパシタが、その上方、側方および下方を水素バリア膜で覆われるため、キャパシタ形成以降の半導体記憶装置の製造プロセスにおいて水素雰囲気中に晒されても容量絶縁膜の強誘電体が還元されず、信頼性の高いキャパシタを備えた半導体記憶装置を得ることができる。
【0008】
図17に、特許文献2に記載された、強誘電体を用いた容量絶縁膜を有するキャパシタを備えた従来の半導体記憶装置の第2の構成例を示す。
【0009】
図17に示された、従来の半導体記憶装置の第2の例では、例えば200Ω・cmの比抵抗を有する半導体基板であるP型シリコン基板201の所定領域に、LOCOS法を用いて膜厚600nmの酸化シリコン膜からなる素子分離絶縁膜202が形成されている。素子分離絶縁膜202に囲まれた活性領域に、MOS型トランジスタのソースとなるN型拡散層203およびドレインとなるN型拡散層204が、例えばリンを80KeVで5E15/cm2イオン注入することにより形成されている。P型シリコン基板201上におけるN型拡散層203、204の間には、例えば熱酸化法によって膜厚25nmに形成された酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜208および不純物としてリンがドープされたゲート電極205が積層形成されている。
【0010】
MOS型トランジスタ上には、気相成長法を用いて膜厚300nmに形成された第1の層間絶縁膜206および気相成長法を用いて形成された窒化シリコンを主成分とする水素バリア膜213を介して、強誘電体キャパシタの下部電極211、強誘電体膜からなる容量絶縁膜209および上部電極210が形成されている。
【0011】
上部電極210上には、上部電極210の上面の一部を露出する開口部を有する第2の層間絶縁膜207が、気相成長法を用いて膜厚300nmで形成され、この開口部を埋め込んで第2の層間絶縁膜207上を覆うAlからなる配線電極212が形成されている。
【0012】
図17に示した従来の半導体記憶装置の第2の例では、窒化シリコンを主成分とする水素バリア膜213が、強誘電体を用いた容量絶縁膜209を有するキャパシタとトランジスタ素子との間に、MOS型トランジスタ素子形成領域の全面を覆うとともに半導体基板に対して非接触状態となるように配置されている。このため、強誘電体膜の電気特性向上のために、通常温度600〜1000度の酸素雰囲気下で行われる酸素アニール処理を行なっても、トランジスタの特性を変動無く維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3654585号公報
【特許文献2】特許第3111416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記従来の半導体記憶装置では、強誘電体を用いた容量絶縁膜を備えたキャパシタを水素バリア膜で覆うことで、強誘電体の水素による還元を抑制することができる。しかし、P型不純物が拡散されたゲート電極(P+ゲート)を有するPchMOS型トランジスタが存在している場合、強誘電体の電気特性を得るために必要な、強誘電体膜を焼結する結晶化アニール工程によって、PchMOS型トランジスタのVthが変動するという問題が生じることが分かった。
【0015】
そこで本発明は上記課題に鑑みて、容量絶縁膜である強誘電体のアニール工程を経ても、PchMOS型トランジスタのVth変動を抑制することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明の半導体記憶装置は、半導体基板上に形成され、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、前記PchMOS型トランジスタの上方を覆うように、前記半導体基板上に形成された第1の水素バリア膜と、前記第1の水素バリア膜上に形成され、容量絶縁膜として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタと、前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜とを備え、前記第1の水素バリア膜は、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の半導体記憶装置の製造方法は、半導体基板上に、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、N型不純物が導入されたゲート電極を有するNchMOS型トランジスタとを形成する第1の工程と、前記PchMOS型トランジスタ上および前記NchMOS型トランジスタ上を覆うように、前記半導体基板上に第1の層間絶縁膜を形成する第2の工程と、前記第1の層間絶縁膜上に第1の水素バリア膜を形成する第3の工程と、前記第1の水素バリア膜上に、下部電極、強誘電体の容量絶縁膜、上部電極を順次積層して強誘電体キャパシタを形成する第4の工程と、前記容量絶縁膜を焼結する第5の工程と、前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜を形成する第6の工程とを備え、前記第3の工程で形成される前記第1の水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の半導体記憶装置は、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、強誘電体キャパシタの容量絶縁膜との間に形成された水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含んでいる。このため、容量絶縁膜が水素によって還元されることを確実に防止しつつ、水素バリア膜からの脱離水素を低減させてPchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置を得ることができる。
【0019】
また、本発明の半導体記憶装置の製造方法は、PchMOS型トランジスタ上およびNchMOS型トランジスタ上を覆うように形成された第1の層間絶縁膜上に第3の工程で形成される第1の水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含んでいる。このため、容量絶縁膜が水素によって還元されることが防止され、PchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の概略構成を示す要部拡大断面図である。
【図2】炭窒化シリコン膜と窒化シリコン膜との水素脱離量を示す図である。
【図3】PchMOS型トランジスタにおける、ゲート直下のホウ素(B)の深さ方向の濃度プロファイルを示す図である。
【図4】種々の原子の結合に関する物理データを示す。図4(a)は2原子分子間の平衡原子間距離を示し、図4(b)は結合エネルギーの大きさを示す。
【図5】炭化シリコン膜の完全な状態での結晶構造を示す膜である。
【図6】窒化シリコン膜の完全な状態での結晶構造を示す膜である。
【図7】炭窒化シリコン膜の完全な状態での結晶構造を示す膜である。
【図8】窒化シリコン膜の不完全な結晶構造を示す図である。
【図9】炭窒化シリコン膜の不完全な結晶構造を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の概略構成を示す要部拡大断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の最初の段階を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の次の段階を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法のその次の段階を示す図である。
【図14】炭窒化シリコン膜の成膜装置の概略構成を示す模式断面図である。
【図15】炭窒化シリコン膜の成膜条件の一例を示す。
【図16】従来の半導体記憶装置の第1の構成例を示す要部拡大断面図である。
【図17】従来の半導体記憶装置の第2の構成例を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の半導体記憶装置は、半導体基板上に形成され、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、前記PchMOS型トランジスタの上方を覆うように、前記半導体基板上に形成された第1の水素バリア膜と、前記第1の水素バリア膜上に形成され、容量絶縁膜として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタと、前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜とを備え、前記第1の水素バリア膜は、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含む。
【0022】
上記本発明の半導体記憶装置は、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含んでいる水素バリア膜が、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、強誘電体の容量絶縁膜を用いた強誘電体キャパシタとの間に形成されている。このため、水素バリア膜からの脱離水素を低減させてPchMOS型トランジスタのP型不純物が導入されたゲート電極(P+ゲート)中のホウ素(B)が増速拡散することを抑制することができる。その結果、水素バリア膜によって容量絶縁膜が水素によって還元されることを確実に防止することができると共に、PchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置を得ることができる。
【0023】
前記半導体記憶装置において、前記第3の元素は、水素元素との結合エネルギーが、シリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きな元素であることが好ましい。また、前記第3の元素は、水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離がシリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短い元素であることが好ましい。このようにすることで、脱離水素の少ない第1の水素バリア膜を得ることができる。
【0024】
また、前記第1の水素バリア膜における、シリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離と、前記第3の元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離との加重平均値が1.520[Å]よりも小さいことが好ましい。このようにすることで、水素の脱離を効果的に低減した第1の水素バリア膜を得ることができる。
【0025】
さらに、前記第1の水素バリア膜における、シリコン元素と水素元素との結合基の含有量に対する前記第3の元素と水素元素との結合基の含有量の比率が、0.3038以上であることが好ましい。このようにすることで、第1の水素バリア膜に、良好な水素脱離抑制効果を与えることができる。
【0026】
さらにまた、前記第3の元素は、C、P、S、Cl、Se、B、FおよびBrから選ばれた1つであることが好ましく、前記第1の元素が炭素であり、前記第1の水素バリア膜が炭窒化シリコン膜であるとすることができる。
【0027】
また、前記誘電体キャパシタ上に形成された第2の水素バリア膜が、前記第1の水素バリア膜と同一の組成であることが好ましい。このようにすることで、水素バリア膜の形成を容易に行うことができる。
【0028】
本発明の半導体記憶装置の製造方法は、半導体基板上に、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、N型不純物が導入されたゲート電極を有するNchMOS型トランジスタとを形成する第1の工程と、前記PchMOS型トランジスタ上および前記NchMOS型トランジスタ上を覆うように、前記半導体基板上に第1の層間絶縁膜を形成する第2の工程と、前記第1の層間絶縁膜上に第1の水素バリア膜を形成する第3の工程と、前記第1の水素バリア膜上に、下部電極、強誘電体の容量絶縁膜、上部電極を順次積層して強誘電体キャパシタを形成する第4の工程と、前記容量絶縁膜を焼結する第5の工程と、前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜を形成する第6の工程とを備え、前記第3の工程で形成される前記第1の水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含む。
【0029】
上記本発明の半導体記憶装置の製造方法は、PchMOS型トランジスタ上およびNchMOS型トランジスタ上を覆うように形成された第1の層間絶縁膜上に形成される第1の水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第1の元素を含んでいる。このため、容量絶縁膜が水素によって還元されることが防止されるとともに、水素バリア膜からの脱離水素によってPchMOS型トランジスタのP型不純物が導入されたゲート電極(P+ゲート)中のホウ素(B)が増速拡散することを抑制することができ、PchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置を容易に製造することができる。
【0030】
上記本発明の半導体記憶装置の製造方法において、前記第3の元素は、水素元素との結合エネルギーが、シリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きな元素であることが、また、前記第3の元素は、水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離がシリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短い元素であることが好ましい。このようにすることで、水素バリア膜からの脱離水素を効果的に低減できる半導体記憶装置を容易に製造することができる。
【0031】
また、前記第2の水素バリア膜が、前記第1の水素バリア膜と同一の組成であることが好ましい。このようにすることで、水素バリア膜の製造工程を簡易にすることができ、より低コストで効率的な半導体記憶装置の製造方法とすることができる。
【0032】
以下、本発明の半導体記憶装置およびその製造方法について、図面を参照して説明する。
【0033】
なお、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態である半導体記憶装置を構成する部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明にかかる半導体記憶装置およびその製造方法は、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備えることができる。
【0034】
また、各図中の部材の寸法、特に、半導体記憶装置の厚さ方向の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を必ずしも忠実に表したものではない。
【0035】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる半導体記憶装置の概略構成を示す要部拡大断面図である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の半導体記憶装置100は、シリコン製の半導体基板1のメモリ部2に例えばP型のPchMOS型トランジスタ4が形成されていて、メモリデータを読み出すためのロジック・セルプレートドライバ部3に例えばN型のNchMOS型トランジスタ5が形成されている。
【0037】
半導体基板1上には、メモリ部2においてPchMOS型トランジスタ4上を覆い、ロジック・セルプレートドライバ部3においてNchMOS型トランジスタ5上を覆う、例えばBPSG膜からなる層間絶縁膜6が形成され、層間絶縁膜6上の強誘電体キャパシタ7が形成される位置に、第1の水素バリア膜8が形成されている。本実施形態において、第1の水素バリア膜8は、シリコン元素と水素元素、そして、シリコン元素よりもよりも水素を脱離しにくい第3の元素である炭素(C)を含んだ、炭窒化シリコン膜で形成されている。
【0038】
強誘電体キャパシタ7が形成される領域には、層間絶縁膜6および第1の水素バリア膜8を貫通して、PchMOS型トランジスタ4の図示しない一方の不純物拡散層に接続するための、タングステン製の第1のコンタクトプラグ9が形成されている。
【0039】
第1のコンタクトプラグ9に接続するように、第1の水素バリア膜8上に、導電性のチタン窒化シリコン膜である第3の水素バリア膜10が形成され、第3の水素バリア膜10上に、白金膜からなる下部電極11、強誘電体の容量絶縁膜12、白金からなる上部電極13を積層して形成された強誘電体キャパシタ7が形成されている。
【0040】
ここで、下部電極11および上部電極13は、不活性な電極材料を用いることが好ましく、上記白金(Pt)以外にも、白金族の金属やRuO2などの導電性酸化膜を用いることができる。また、強誘電体キャパシタ7の容量絶縁膜12としては、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)、SrBi2Ta2O9(SBT)、(Bi,La)Ti3O12(BLT)、Bi4Ti3O12(BTO)などの強誘電体材料を用いることができる。
【0041】
強誘電体キャパシタ7の上部電極13上には、第1の水素バリア膜8と同じく、炭窒化シリコン膜からなる第2の水素バリア膜14が形成されていて、強誘電体キャパシタ7の上方と側方を覆っている。第2の水素バリア膜14は、強誘電体キャパシタ7の周縁部において第1の水素バリア膜8と接続されている。このようにして、強誘電体キャパシタ7の周囲は、水素バリア膜8、14で覆われる。
【0042】
第2の水素バリア膜14で覆われた強誘電体キャパシタ7を上方から覆うように、第1の層間絶縁膜6上の全面にわたって、例えばBPSG膜(boron phosphor silicate glass)からなる第2の層間絶縁膜15が形成されている。
【0043】
そして、NchMOS型トランジスタ5が形成されているロジック・セルプレートドライバ部3では、NchMOS型トランジスタ5の図示しない不純物拡散層にそれぞれ接続されるように、第2の層間絶縁膜15を貫通するように、第2のコンタクトプラグ16a、16bが形成され、第2のコンタクトプラグ16a、16bは、第2の層間絶縁膜15上に形成されたアルミ配線17a、17bとそれぞれ接続されている。
【0044】
同様に、PchMOS型トランジスタ4が形成されているメモリ部2では、PchMOS型トランジスタ4の図示しない不純物拡散層に接続されるように、第2の層間絶縁膜15を貫通する第2のコンタクトプラグ16cが形成され、第2のコンタクトプラグ16cは、第2の層間絶縁膜15上に形成されたアルミ配線17cと接続されている。
【0045】
本実施形態の半導体記憶装置100は、容量絶縁膜12として強誘電体膜を備えた強誘電体キャパシタ7が、その上下を炭窒化シリコン膜からなる第1の水素バリア膜8および第2の水素バリア膜14で覆われている。このため、強誘電体キャパシタ7の容量絶縁膜12が半導体記憶装置100の製造時に、水素によって還元されることを防止するとともに、水素バリア膜8自体からの脱離水素を低減させることができ、PchMOS型トランジスタのP型不純物が導入されたゲート電極(P+ゲート)中のホウ素(B)が増速拡散することを抑制することができる。その結果、PchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置100を得ることができる。
【0046】
次に、本実施形態の半導体記憶装置100における、第1の水素バリア膜8に炭窒化シリコン膜を用いることによる効果を、推定メカニズムを用いて説明する。
【0047】
図2は、昇温脱離ガス分析(TDS)を用い、室温から1000度までの昇温範囲で分析を実施したときの、炭窒化シリコン膜(SiCN:シリコンカーボナイトライド膜)と、窒化シリコン膜(SiN:シリコンナイトライド膜)との脱離水素量を測定した結果を示す。
【0048】
また、図3は、第1の水素バリア膜8として炭窒化シリコン膜、および、窒化シリコン膜を用いたときの、P+ゲートのP型トランジスタにおける、ゲート直下のゲート酸化膜と半導体基板との界面近傍におけるホウ素(B)の深さ方向の濃度プロファイルを示す図である。ここで、黒丸でプロットされた実線aは、炭窒化シリコン膜を用いたときのホウ素(B)の深さ方向の濃度プロファイルを示し、白丸でプロットされた点線bが、窒化シリコン膜を用いたときのホウ素(B)の深さ方向の濃度プロファイルを示している。
【0049】
さらに、図4は、種々の原子の結合に関する物理データを示していて、図4(a)は2原子分子間の平衡原子間距離を示し、図4(b)は結合エネルギーの大きさを示している。ここで、2原子分子間の平衡原子間距離とは、熱力学関数が極小になる状態での2原子分子間の結合の長さ、すなわち、初期状態ではなく、十分に長い時間を経た後における安定状態での長さを意味するものと定義する。
【0050】
図2、図3の測定結果と、図4(a)、図4(b)に示した物理データより、以下のようなメカニズムを推定することができる。
【0051】
すなわち、図4(b)の表からわかるように、C−H基の結合エネルギーはSi−H基の結合エネルギーよりも約1.4倍大きい。このことは、C−H基の方がSi−H基よりも水素を脱離しにくいことを示している。このことと、炭窒化シリコン膜の方が窒化シリコン膜よりも水素脱離量が少ないことを示す図2の測定結果より、炭窒化シリコン膜中ではSi原子の一部がC原子に置き換わることにより、Si−H基が減少してC−H基が増加し、脱離水素の発生を抑制しているものと考えられる。逆に、窒化シリコン膜の場合には、脱離水素が発生しやすい状態にあるものと考えられる。
【0052】
図2の測定結果から炭窒化シリコン膜の水素結合量を算出し、C−H基とSi−H基との比率を求めたところ、C−H基とSi−H基との比率は0.3038以上であった。
【0053】
さらに、図3の測定結果では、PchMOS型トランジスタにおけるゲート直下のゲート酸化膜と半導体基板との界面近傍において、図中「SiO2−Si界面」として示したラインを越えて右側部分に表れる、半導体基板へ染み出すホウ素(B)の濃度は、水素バリア膜として窒化シリコン膜を用いた方が、水素バリア膜として炭窒化シリコン膜を用いた場合よりも高いことがわかる。
【0054】
このことから、プロセス中の高温アニール処理である、強誘電体膜を焼結する結晶化アニール工程を経ることにより、水素バリア膜として機能する窒化シリコン膜から水素が容易に脱離し、その脱離水素がゲート酸化膜中に拡散することによって、PchMOS型トランジスタのP+ゲートからゲート酸化膜中に拡散したホウ素(B)の半導体基板への拡散を助長しているものと推測される。逆に、水素バリア膜として炭窒化シリコン膜を用いた場合に、PchMOS型トランジスタにおけるゲート直下のゲート酸化膜と半導体基板との界面近傍において、半導体基板へ染み出すホウ素(B)の濃度が低いのは、高温アニール処理である強誘電体膜の結晶化アニール工程を経ても、水素バリア膜として機能する炭窒化シリコン膜から水素が脱離しにくく、その結果、PchMOS型トランジスタのP+ゲートからゲート酸化膜中へのホウ素(B)の拡散、そして、半導体基板へのホウ素(B)の拡散が抑制されているものと推測することができる。
【0055】
次に、水素バリア膜の結晶構造について説明する。
【0056】
図5は炭化シリコン膜(SiC)、図6は窒化シリコン膜(Si3N4)、図7は炭窒化シリコン膜(SiCN)の、それぞれ完全な状態での結晶構造の一例を示す。結晶方位は図5〜図7に示した方位に限定されるものではないが、これを代表例として説明する。また、図5〜図7各図において点線で囲った部分が、それぞれの膜の一つの構成範囲を示している。
【0057】
図5において、炭化シリコン膜の結晶構造はSi−C基の結合からなり、Si−C基2原子分子間の平衡原子間距離は1.540Åである。また、図6において、窒化シリコン膜の結晶構造はSi−N基の結合からなり、Si−N基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.572Åである。そして、図7において、炭窒化シリコン膜の結晶構造はシリコン原子の一部が炭素原子に置き換わった構造であり、Si−N基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.572Åと変わらないが、C−H基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.172Åとなる。
【0058】
以上の各水素バリア膜における結晶構造は、上述のとおり完全な状態での結晶構造であり、膜中に水素は存在しない。しかし、実際には完全な結晶構造にはならない。例えば、窒化シリコン膜中にはSi−H基が取り込まれている。
【0059】
図8は、不完全な状態での窒化シリコン膜の結晶構造を示す。
【0060】
図8に示すように、窒化シリコン膜中にSi−H基が取り込まれており、Si−H基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.520Åである。
【0061】
図9は、不完全な状態の炭窒化シリコン膜の結晶構造を示す。図9に示すように、炭窒化シリコン膜中には、Si−H基とC−H基とが取り込まれており、Si−H基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.520Åであり、C−H基の2原子分子間の平衡原子間距離は1.118Åである。ここで、図4(b)より、Si−H基の結合エネルギーは295.7kJ/molであり、C−H基の結合エネルギーは411.6kJ/molである。つまり、C−H基の方がSi−H基よりも1.4倍安定していると言うことができる。このため、Si−H基の一部をC−H基に置き換えた炭窒化シリコン膜を用いることにより、窒化シリコン膜よりも炭窒化シリコン膜の方が膜中からの脱離水素を低減することができることが分かる。
【0062】
以上の検討より明らかなように、第1の水素バリア膜に、水素元素とシリコン元素に加えて、シリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素として炭素を用いた場合には、炭素元素と水素元素との結合エネルギーが、シリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きいこと、もしくは、炭素元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離が、シリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短いことから、水素バリア膜からの脱離水素を低減することができると理解することができる。
【0063】
このため、本実施形態の半導体記憶装置の水素バリア膜に含まれる、シリコン元素と水素元素、そして、シリコン元素よりもよりも水素を脱離しにくい第3の元素としては、炭素元素のように、Si−H基結合よりも水素との結合エネルギーの大きな元素、もしくは、Si−H基結合よりも水素との2原子分子間の平衡原子間距離が短い元素を選べばよいことが理解できる。
【0064】
ここで、Si−H基結合よりも水素との2原子分子間の平衡原子間距離が短い元素は、Si−H基結合よりも水素との結合エネルギーが大きいため、例えば、図4(a)に列挙した、P、S、Cl、Se、B、F、Brの各元素を、水素元素およびシリコン元素とともに、水素バリア膜に混在させることで、第3の元素として炭素(C)を選択した場合の炭窒化シリコン膜と同じように、水素の脱離を低減できる水素バリア膜を形成することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態にかかる半導体記憶装置について、図面を参照して説明する。
【0066】
図10に示す、第2の実施形態の半導体記憶装置200は、第2の水素バリア膜が、第1の水素バリア膜と異なる材料の膜で形成されている点で、上記第1の実施形態にかかる半導体記憶装置100と異なっている。なお、第2の水素バリア膜以外の、上記第1の実施形態の半導体記憶装置100と同じ構成部材については、図10では同じ符号を付し詳細な説明は省略する。
【0067】
図10に示すように、第2の実施形態の半導体記憶装置200は、半導体基板1のメモリ部2にP型のPchMOS型トランジスタ4、ロジック・セルプレートドライバ部3にN型のNchMOS型トランジスタ5が形成され、これらを覆うように層間絶縁膜6が形成されている。層間絶縁膜6上の誘電体キャパシタ7が形成される位置に、炭窒化シリコン膜からなる第1の水素バリア膜8が形成されている。
【0068】
強誘電体キャパシタ7が形成される領域には、層間絶縁膜6および第1の水素バリア膜8を貫通する第1のコンタクトプラグ9が形成され、これと接続して第1の水素バリア膜8上に、第3の水素バリア膜10が形成され、第3の水素バリア膜10上に、白金膜からなる下部電極11と上部電極13、強誘電体からなる容量絶縁膜12とからなる強誘電体キャパシタ7が形成されている。
【0069】
本実施形態では、強誘電体キャパシタ7の容量絶縁膜12が、半導体記憶装置200の形成時に水素によって還元されることを防止するための第2の水素バリア膜18として、TiAlO膜がメモリキャパシタ7の上部を覆うように形成されている。
【0070】
さらに、第2の水素バリア膜18で覆われた強誘電体キャパシタ7を覆うように、第1の層間絶縁膜6上の全面にわたって、第2の層間絶縁膜15が形成されている。また、ロジック・セルプレートドライバ部3では、第2の層間絶縁膜15を貫通するように、第2のコンタクトプラグ16a、16bが形成され、第2のコンタクトプラグ16a、16bは、第2の層間絶縁膜15上に形成されたアルミ配線17a、17bとそれぞれ接続されている。
【0071】
同様に、PchMOS型トランジスタ4が形成されているメモリ部2では、PchMOS型トランジスタ4の図示しない不純物拡散層に接続されるように、第2の層間絶縁膜15を貫通する第2のコンタクトプラグ16cが形成され、第2のコンタクトプラグ16cは、第2の層間絶縁膜15上に形成されたアルミ配線17cと接続されている。
【0072】
本実施形態の半導体記憶装置200は、強誘電体である容量絶縁膜12を備えた強誘電体キャパシタ7の上側を覆い、半導体プロセス中に容量絶縁膜12が水素に還元されることを防止するための第2の水素バリア膜18が、炭窒化シリコン膜では形成されていない。しかし、第2の水素バリア膜18は、メモリキャパシタ7の上側を覆う膜であり、高温で容量絶縁膜を焼成した後に形成されるため、半導体基板1上に形成されるPchMOS型トランジスタのP+ゲートが第2の水素バリア膜18からの脱離水素の影響を受ける可能性は極めて低い。
【0073】
以上のことから、PchMOS型トランジスタのVth変動が抑えられた半導体記憶装置200とすることができる。
【0074】
(第3の実施形態)
次に、本発明の半導体記憶装置の製造方法を、第3の実施形態として図面を用いて説明する。
【0075】
図11〜図13は、本実施形態の半導体記憶装置の製造工程の流れを示す図である。
【0076】
まず、最初の段階を示す図11において、図11(a)に示すように、シリコン製の半導体基板1のロジック・セルプレートドライバ部3上、および、メモリ部上2に、P+ゲートのPchMOS型トランジスタ4や図示しないNchMOS型トランジスタを形成する。また、ロジック・セルプレートドライバ部3上には、NchMOS型トランジスタ5や図示しないPchMOS型トランジスタが形成される。ここまでが、第1の工程である。
【0077】
次に、第2の工程において、これらのトランジスタ4、5上に、半導体基板1の全面にわたって、第1層間絶縁膜6を形成し、さらに、第3の工程で、後に強誘電体キャパシタ7が形成されるメモリ部2上の第1層間絶縁膜6上に、炭窒化シリコン膜の第1の水素バリア膜8が形成される。
【0078】
その後、第1層間絶縁膜6および第1の水素バリア膜8を貫通するように、メモリ部2に第1コンタクトプラグ9を形成する。
【0079】
次に、第3の工程として、図11(b)に示すようにメモリ領域2において、第1コンタクトプラグ9と接続されるように、第1の水素バリア8上に例えば導電性のチタン窒化膜からなる第3の水素バリア膜10を形成する。
【0080】
さらに、第3の水素バリア膜10上に、白金からなる下部電極11、強誘電体からなる容量絶縁膜12,白金からなる上部電極13を順次積層して強誘電体キャパシタ7が形成される。これが、第4の工程である。
【0081】
次に、第5の工程として、図11(b)の状態において、強誘電体キャパシタ7の強誘電体からなる容量絶縁膜12を焼結処理して、強誘電体を分極し、高い絶縁性を確保する。
【0082】
この強誘電体の焼結処理の結果、図11(c)に示すように、強誘電体膜が結晶化され、強誘電体分極が出現する。なお、強誘電体の焼結処理工程は、例えば、ラピット・サーマル・アニール装置を用い、酸素雰囲気下にて約750度〜900度の温度範囲で、30秒以上実施する。
【0083】
次に、第6の工程として、図12(a)に示すように、強誘電体キャパシタ7上を覆うように、炭窒化シリコン膜の第2の水素バリア膜14を形成する。なお、図12(a)では省略しているが、第2の水素バリア膜14は、強誘電体キャパシタ7の側方も覆っていて、強誘電体キャパシタ7の周縁部において第1の水素バリア膜8と接続されている。このようにして、強誘電体キャパシタ7の周囲を水素バリア膜で覆うことができる。
【0084】
次に、図12(b)に示すように、強誘電体キャパシタ7を覆う第2の水素バリア膜14を覆うように、メモリ部2と周辺のロジック・セルプレートドライバ部3とを含めた全域の第1の層間絶縁膜6上に、第2の層間絶縁膜15を形成する。その後、第2の層間絶縁膜15を貫通するように、ロジック・セルプレートドライバ部3に第2コンタクトプラグ16a、16bを形成する。なお、このとき、メモリ部2に第2コンタクトプラグ16cを同時に形成する。
【0085】
その後、図13に示すように、第2コンタクトプラグ16a、16b、16c上に、既存の技術を用いアルミニウム配線17a、17b、17cを形成する。アルミニウム配線17a、17bは4層から8層の配線を施すことができる。
【0086】
このようにして、第1の実施形態として説明した半導体記憶装置100を形成することができる。
【0087】
ここで、第1の水素バリア膜8、および、第2の水素バリア膜14として形成された、炭窒化シリコン膜の形成方法について詳述する。
【0088】
図14は、炭窒化シリコン膜成膜装置の概略構成を示す図である。
【0089】
図14に示すように、本実施形態で炭窒化シリコン膜の成膜に用いられる成膜装置1000は、半導体基板51を載置するサセプタ52を備え、内部には炭シリコン窒化膜を成膜する際に半導体基板51を所定の温度に加熱する、図示しないヒータが内蔵されている。サセプタ52は保持棒58によって保持される。チャンバ内53へは、ガス供給口56から所定のガス61が導入され、ガス通過口55で分散されて、チャンバ内53で反応し、炭窒化シリコン膜が半導体基板51上に形成され、ガス排出口54から反応済ガス62が排出される。サセプタ52は保持軸58によって、ガス通過口55との距離を自在に変更することができる。このため、ガス通過口55面と半導体基板51面との距離を自在に決めることができ、成膜装置1000の成膜厚均一性を最適に制御できる。
【0090】
なお、図14では、サセプタ52内に図示しないヒータが内蔵された、ヒータ加熱方式の化学気相成長法の成膜装置1000を示したが、本実施形態における半導体記憶装置における炭窒化シリコン膜の成膜装置としては、このようなヒータ加熱方式の物に限定されず、サセプタ52内を外部から加熱するランプ加熱式や、チャンバ53とサセプタ52との全体がヒータで加熱されているホットウォール型ヒータ加熱方式の化学気相成長装置や、さらには、ECRプラズマ方式の化学気相成長装置を用いることもできる。
【0091】
本実施形態の炭窒化シリコン膜の成膜方法においては、まず、半導体基板51をサセプタ52の上にセットする。この時、半導体基板51は、チャンバ53の外側の図示しない加熱用ランプで約350度に加熱されている。
【0092】
そして、図15において示す成膜条件を満足するように、例えば、ガス導入口56からSiH4ガスを150sccm、CH4ガスを500sccm、NH3ガスを500sccm、He2ガスを5000sccm、圧力が700Paとなるように導入して、半導体基板51上に、炭窒化シリコン膜を厚さ20nm形成する。なお、この炭窒化シリコン膜の膜厚20nmというのは一例であって、一般的には、水素バリア膜の膜厚は10nm程度以上あれば、所望の水素バリア性を確保することができる。
【0093】
上記第1の実施形態において詳述したように、本実施形態の炭窒化シリコン膜の容量絶縁膜では、Si−H基結合の一部をC−H基に置き換えることが重要である。上記、図15で示した成膜条件で成膜することによって、C-H基とSi−H基とが形成され、その比率は0.3038以上となる。
【0094】
なお、図14および図15に示した、成膜装置および成膜条件は、炭窒化シリコン膜を成膜する上でのあくまで一例であって、成膜装置が変われば成膜条件もそれに伴って変わることは言うまでもない。
【0095】
また、上記の通り、半導体記憶装置の第1の水素バリア膜としては、水素元素と、シリコン元素の他に、シリコン元素よりも水素の脱離が少ない第3の元素として、炭素以外にも、P、S、Cl、Se、B、F、Brのなどの、水素元素との結合エネルギーがシリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きい元素、もしくは、水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離がシリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短い元素を用いることができる。
【0096】
この場合には、第1の水素バリア膜を成膜する際の製造ガスとしては、図15に示した各種ガスの他に、CH3、C2H2、CH2F、SiF6、SF4、Si2F6、CH2F、PH3、PH5などの各ガス、またはHe、Ar、Ne、Xeなどの不活性ガスを用いることができ、また、これら各種ガスの混合原料を用いて化学気相析出反応を用いて製造することができる。また、第1の水素バリア膜に含まれる第1の元素を含んだ、有機金属ガスを用いて成膜することもできる。
【0097】
また、有機系のSiソースガスとしては、テトラメチルシラン(4MS)、トリメチルシラン(3MS)、ジメチルジメトキシシラン(2MDS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、オクタメチルトリシロキサン(OMTS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、あるいは、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)が望ましく、有機系Siソースガスとしては、特に、テトラメチルシラン(4MS)が好適に使用することができる。
【0098】
以上、本実施形態の半導体記憶装置の製造方法によれば、Si−H基結合よりも水素との2原子分子間の平衡原子間距離が短い元素、または、Si−H基よりも水素との結合エネルギーが大きい元素を、水素元素、シリコン元素とともに含む水素バリア膜を形成することができ、強誘電体キャパシタの容量絶縁膜が、水素によって還元されることを防ぐことができるとともに、強誘電体からなる容量絶縁膜の結晶化アニール時に水素バリア膜から水素が脱離することを抑制することができ、半導体基板に形成されたP+ゲート中のホウ素(B)が増速拡散することを抑制し、PchMOS型トランジスタのVth変動を抑制することができる。
【0099】
以上説明してきたように、本発明の半導体記憶装置、およびその製造方法によれば、容量絶縁膜である強誘電体のアニール工程を経ても、PchMOS型トランジスタのVth変動を抑制することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供することができる。
【0100】
また、本発明の半導体記憶装置、およびその製造方法は、MOS型のトランジスタと強誘電体キャパシタとの間に、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含む水素バリア膜が形成されればよいため、強誘電体キャパシタの形状や材質、半導体記憶装置の構造に限定されるものではない。このため、半導体記憶装置のメモリ構造としても、平面キャパシタ型や立体キャパシタ型など、各種の形態のものに適用することができる。
【0101】
なお、MOS型のトランジスタと強誘電体キャパシタとの間に形成される第1の水素バリア膜に、第3の元素として例示したC、P、S、Cl、Se、B、FおよびBrのうちの複数の元素が同時に含まれていても、上記本発明の効果を奏することができると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上説明したように、本発明の半導体記憶装置およびその製造方法は、強誘電体キャパシタの容量絶縁膜として用いられる強誘電体の水素による還元を確実に防止しつつ、水素バリア膜からの脱離水素を低減させてP+ゲート中のホウ素(B)が増速拡散することを抑制し、PchMOS型トランジスタのVth変動を抑制できるものであり、周辺回路などにPchMOS型トランジスタが存在する、各種の半導体記憶装置およびその製造方法として有用である。
【符号の説明】
【0103】
1 半導体基板
4 PchMOS型トランジスタ
5 NchMOS型トランジスタ
7 強誘電体キャパシタ
8 炭窒化シリコン膜(第1の水素バリア膜)
11 下部電極
12 容量絶縁膜
13 上部電極
14 炭窒化シリコン膜(第2の水素バリア膜)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成され、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、
前記PchMOS型トランジスタの上方を覆うように、前記半導体基板上に形成された第1の水素バリア膜と、
前記第1の水素バリア膜上に形成され、容量絶縁膜として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタと、
前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜とを備え、
前記第1の水素バリア膜は、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含むことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第3の元素は、水素元素との結合エネルギーが、シリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きな元素である請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第3の元素は、水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離が、シリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短い元素である請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1の水素バリア膜における、シリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離と、前記第3の元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離との加重平均値が1.520[Å]よりも小さい請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1の水素バリア膜における、シリコン元素と水素元素との結合基の含有量に対する前記第3の元素と水素元素との結合基の含有量の比率が、0.3038以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第3の元素は、C、P、S、Cl、Se、B、FおよびBrから選ばれた1つの元素である請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第3の元素が炭素であり、前記第1の水素バリア膜が炭窒化シリコン膜である請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記誘電体キャパシタ上に形成された第2の水素バリア膜が、前記第1の水素バリア膜と同一の組成である請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
半導体基板上に、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、N型不純物が導入されたゲート電極を有するNchMOS型トランジスタとを形成する第1の工程と、
前記PchMOS型トランジスタ上および前記NchMOS型トランジスタ上を覆うように、前記半導体基板上に第1の層間絶縁膜を形成する第2の工程と、
前記第1の層間絶縁膜上に第1の水素バリア膜を形成する第3の工程と、
前記第1の水素バリア膜上に、下部電極、強誘電体の容量絶縁膜、上部電極を順次積層して強誘電体キャパシタを形成する第4の工程と、
前記容量絶縁膜を焼結する第5の工程と、
前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜を形成する第6の工程とを備え、
前記第3の工程で形成される前記第1の水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含むことを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記第3の元素は、水素元素との結合エネルギーが、シリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きな元素である請求項9に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項11】
前記第3の元素は、水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離がシリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短い元素である請求項9に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2の水素バリア膜が、前記第1の水素バリア膜と同一の組成である請求項9〜11のいずれか1項に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板上に形成され、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、
前記PchMOS型トランジスタの上方を覆うように、前記半導体基板上に形成された第1の水素バリア膜と、
前記第1の水素バリア膜上に形成され、容量絶縁膜として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタと、
前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜とを備え、
前記第1の水素バリア膜は、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含むことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第3の元素は、水素元素との結合エネルギーが、シリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きな元素である請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第3の元素は、水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離が、シリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短い元素である請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1の水素バリア膜における、シリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離と、前記第3の元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離との加重平均値が1.520[Å]よりも小さい請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1の水素バリア膜における、シリコン元素と水素元素との結合基の含有量に対する前記第3の元素と水素元素との結合基の含有量の比率が、0.3038以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第3の元素は、C、P、S、Cl、Se、B、FおよびBrから選ばれた1つの元素である請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第3の元素が炭素であり、前記第1の水素バリア膜が炭窒化シリコン膜である請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記誘電体キャパシタ上に形成された第2の水素バリア膜が、前記第1の水素バリア膜と同一の組成である請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
半導体基板上に、P型不純物が導入されたゲート電極を有するPchMOS型トランジスタと、N型不純物が導入されたゲート電極を有するNchMOS型トランジスタとを形成する第1の工程と、
前記PchMOS型トランジスタ上および前記NchMOS型トランジスタ上を覆うように、前記半導体基板上に第1の層間絶縁膜を形成する第2の工程と、
前記第1の層間絶縁膜上に第1の水素バリア膜を形成する第3の工程と、
前記第1の水素バリア膜上に、下部電極、強誘電体の容量絶縁膜、上部電極を順次積層して強誘電体キャパシタを形成する第4の工程と、
前記容量絶縁膜を焼結する第5の工程と、
前記強誘電体キャパシタの上方および側方を覆い、前記強誘電体キャパシタの周縁部において前記第1の水素バリア膜と接続する第2の水素バリア膜を形成する第6の工程とを備え、
前記第3の工程で形成される前記第1の水素バリア膜が、シリコン元素、水素元素、およびシリコン元素よりも水素元素を脱離しにくい第3の元素を含むことを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記第3の元素は、水素元素との結合エネルギーが、シリコン元素と水素元素との結合エネルギーよりも大きな元素である請求項9に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項11】
前記第3の元素は、水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離がシリコン元素と水素元素との2原子分子間の平衡原子間距離よりも短い元素である請求項9に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2の水素バリア膜が、前記第1の水素バリア膜と同一の組成である請求項9〜11のいずれか1項に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−59766(P2012−59766A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199011(P2010−199011)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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