説明

半径流形流体機械

【課題】シール蒸気による性能低下を抑制できる半径流形流体機械を提供すること。
【解決手段】タービン翼車2と、タービン翼車2に接続された回転軸5と、回転軸5を支持する軸受6と、タービン翼車2上の動翼35が配置され、蒸気が流通する主流路36と、回転軸5の外周側に設けられたラビリンスシール31と、タービン翼車2の径方向外側端部17が位置する部分で主流路36と接続され、ラビリンスシール31に作動流体を導く作動流体供給流路41とを備え、作動流体供給流路41におけるラビリンスシール31側の端部を、ラビリンスシール31の歯間に開口させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半径流形流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
半径流形流体機械(例えば、半径流形タービンや、遠心型圧縮機)は、単段での圧力比が比較的大きく取れることから、産業用の小形タービンに広く用いられている。半径流形流体機械では、翼車の近傍にその回転軸を支持する軸受が設置されるため、軸受潤滑剤の翼車側への侵入を防止する軸封装置(シール)が翼車と軸受の間に設置されている。
【0003】
この種の軸封装置は、通常、ラビリンスシール等によって構成されており、翼車と軸受の間の軸方向における2箇所に設置される。軸受側のラビリンスシールには、軸受潤滑剤の混入を防止するための第1のシール流体(例えば空気)が供給されている。一方、翼車側のラビリンスシールには、軸受潤滑剤混入防止用に供給した第1のシール流体の翼車側への侵入を防止するための第2のシール流体(例えば作動流体)が供給されている。そして、これら2個のラビリンスシール間には上記2つのシール流体を排気するための排出流路が接続されており、当該排出流路は復水器等の低圧源と繋がれている(特許文献1等参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2008−57452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで上記技術を蒸気を作動流体とする半径流形タービンに適用した場合について考える。この場合、第2のシール流体としては、タービン上流側の膨張前の蒸気が使用される。この供給蒸気は、比較的高圧なため、軸受潤滑剤のタービン翼車側への混入は防止できる。しかし、供給蒸気の一部は、ラビリンスシールから回転軸を伝ってタービン翼車に向かって流れ、タービン翼車の背面を伝って径方向外側に向かい、タービン翼車における径方向外側の端部から再びタービン流路に流入してしまう。
【0006】
このように再度タービン流路に流入した蒸気は、タービン流路部内圧力よりも圧力が高いので、タービン翼車の径方向外側端部からタービン流路内に向かって勢い良く噴出する。このようにタービン流路内に噴出したシール蒸気は、タービン入口での流れを乱し、混合損失を発生させる。また、タービンに流入する流れと干渉するため、タービン流入角度に影響を与え、設計流入角度を大きく偏向させる。これらは結果として損失の増加を招き、タービン性能に大きな影響を及ぼす。また、このようにシール蒸気の供給圧力が高いと、排出流路への排気量も増大して蒸気損失が増加するので、タービン性能が低下する傾向がある。そして、さらに復水器の真空排気ポンプの容量が増加するので、補機容量の増加によりシステムの全体効率の低下にも繋がる。
【0007】
本発明の目的は、シール流体として作動流体を利用したときに生じる性能低下を抑制できる半径流形流体機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、半径流形の翼車と、該翼車に接続された回転軸と、該回転軸を支持する軸受と、前記翼車上の翼が配置され、作動流体が流通する主流路と、前記回転軸の外周側に設けられた軸封装置と、前記翼車の径方向外側端部が位置する部分で前記主流路と接続され、前記軸封装置に作動流体を導く作動流体供給流路とを備え、前記作動流体供給流路における前記軸封装置側の端部を、前記軸封装置の設置位置に開口させるものとする。
【0009】
(2)上記目的を達成するために、また、本発明は、半径流形の翼車と、該翼車に接続された回転軸と、該回転軸を支持する軸受と、前記翼車上の翼が配置され、作動流体が流通する主流路と、前記回転軸の外周側に設けられた軸封装置と、前記翼車の径方向外側端部が位置する部分で前記主流路と接続され、前記軸封装置に作動流体を導く作動流体供給流路と、前記回転軸の外周側において、前記軸封装置よりも前記軸受側に設けられた他の軸封装置と、該他の軸封装置に空気を導く空気供給流路と、前記軸封装置と前記他の軸封装置との間に設けられ、作動流体と空気を外部に排出する排気流路とを備え、前記作動流体供給流路における前記軸封装置側の端部を、前記軸封装置の設置位置に開口させるものとする。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記軸封装置に導かれた作動流体の一部は、前記翼車の背面に沿って前記主流路と前記作動流体供給流路との接続部分に導かれ、前記軸封装置に再度導かれるものとする。
【0011】
(4)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記軸封装置は、前記回転軸の外周に設けられたラビリンスシールであるものとする。
【0012】
(5)上記(4)において、好ましくは、前記作動流体供給流路における前記軸封装置側の端部は、前記ラビリンスシールを形成する複数の歯の間に開口しているものとする。
【0013】
(6)上記(2)において、好ましくは、前記主流路を流通する作動流体は蒸気であり、前記排気流路に接続された復水器室と、 前記排気流路における前記復水器室の上流側に設けられた排気圧力調整容器と、前記排気流路における前記排気圧力調整容器の上流側に設けられ、前記排気圧力調整容器の圧力を調整する圧力調整手段とをさらに備えるものとする。
【0014】
(7)上記(1)から(6)いずれかにおいて、好ましくは、前記主流路において前記翼車の径方向外側に設けられた静翼をさらに備え、前記作動流体供給流路は、前記静翼と前記翼車の間において前記主流路と接続されているものとする。
【0015】
(8)上記(1)から(7)いずれかにおいて、前記翼車は、作動流体によって回転されるタービン翼車であるものとする。
【0016】
(9)上記(1)から(7)いずれかにおいて、前記翼車は、作動流体を圧縮する圧縮機インペラであるものとする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作動流体をシール流体として利用しても、半径流形流体機械の性能低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施の形態である半径流形蒸気タービンの概略断面図である。
【0020】
この図に示す蒸気タービンは、タービン翼車2と、タービンノズル1と、回転軸5と、軸受6と、内側ケーシング8と、外ケーシング9と、シールブラケット10と、第1ラビリンスシール(第1軸封装置)31と、第2ラビリンスシール(第2軸封装置)32と、作動流体供給流路41と、空気供給流路42と、排気流路43を主に備えている。
【0021】
半径流形のタービン翼車2は、複数の動翼35を備えており、タービン翼車2の背面側から突出した回転軸5に接続されている。回転軸5は、タービン翼車2から間隔を介して設置された軸受6によって支持されている。タービンノズル(静翼)1は、内側ケーシング8に取り付けられており、タービン翼車2と共に外ケーシング9によって覆われている。内側ケーシング8と外ケーシング9の間には、タービン翼車2上の動翼35が配置されており、蒸気(作動流体)が流通する主流路(本体流路)36が形成されている。また、内側ケーシング8におけるタービン翼車2の背面側には、シールブラケット10が設置されている。
【0022】
シールブラケット10の内周側(すなわち回転軸5の外周側)には、第1ラビリンスシール(第1軸封装置)31と、第2ラビリンスシール(第2軸封装置)32と、排出溝13が設けられている。
【0023】
第1ラビリンスシール(第1軸封装置)31は、タービン翼車2の背面側に設けられており、第2ラビリンスシール(第2軸封装置)32は、第1ラビリンスシール31よりも軸受6側に設けられている。本実施の形態におけるシールブラケット10の内周(回転軸5側)と回転軸5の外周には凸状に突出した複数の歯11が加工されており、この歯11によって回転軸5の外周側における2箇所にラビリンスシール31,32が形成されている。
【0024】
シールブラケット10には、第1ラビリンスシール31に作動流体を導くシール蒸気供給孔16が回転軸5の径方向に沿って設けられている。シール蒸気供給孔16における上流側の端部は内側ケーシング8に設けられた翼車端部圧導通孔18に接続されており、シール蒸気供給孔16における下流側の端部は第1ラビリンスシール31の設置位置に開口している。本実施の形態のシール蒸気供給孔16における下流側の開口部は、第1ラビリンスシール31を形成する複数の歯11の間(歯間)に開口しており、さらに具体的には第1ラビリンスシール31の中央部分に開口している。
【0025】
翼車端部圧導通孔18は、タービン翼車2における径方向の外側端部17(以下において「タービン翼車の径方向外側端部」と称することがある)における圧力をシール蒸気供給孔16に導くもので、タービン翼車2の径方向外側端部17が位置する部分において主流路36と接続されている。また、図1に示すように、翼車端部圧導通孔18と主流路36の接続部分は、タービンノズル1とタービン翼車2の径方向外側端部17の間に位置している。本実施の形態における翼車端部圧導通孔18は、シール蒸気供給孔16に対して回転軸5の径方向における外側に位置し、内側ケーシング8の内周側に環状に設けられている。
【0026】
そして、上記のシール蒸気供給孔16と翼車端部圧導通孔18によって、第1ラビリンスシール31にシール蒸気(作動流体)を導く作動流体供給流路41が形成されている。この作動流体供給流路41によって、シール蒸気供給孔16の第1ラビリンスシール31への開口部には、タービン翼車2の径方向外側端部17における静圧が導かれている。
【0027】
ところで、タービン稼働中におけるタービン翼車2の背面(回転軸5側)では、タービン翼車2の回転による遠心力効果で、タービン翼車の根元部19の圧力がシール蒸気供給孔16の開口部の圧力よりも低下し、回転軸5の軸方向における圧力差を生じさせる。そして、この圧力差によって、シール蒸気供給孔16を介して回転軸5の径方向から第1ラビリンスシール31に導入されたシール蒸気の一部は、タービン翼車2の根元部19に向かって流れる。また、タービン翼車2の回転による遠心力効果は、タービン翼車の根元部19の圧力を外側端部17の静圧よりも低下させる。このため、タービン翼車2の背面には、根元部19から外側端部17に向かってタービン翼車2の背面を伝わる流れが生じる。
【0028】
すなわち、上記のようにシール蒸気供給孔16と翼車端部圧導通孔18を繋げることで、主流路36内を流れる蒸気の一部は、タービン翼車2の外側端部17から翼車端部圧導通孔18に導かれ、(1)翼車端部圧導通孔18→(2)シール蒸気供給孔16→(3)第1ラビリンスシール31→(4)タービン翼車2の根元部19→(5)タービン翼車2の外側端部17→(6)翼車端部圧導通孔18の順に流れるので、蒸気の循環流が発生する。ここで、翼車2の背面を伝わってタービン翼車2の外側端部17(翼車端部圧導通孔18)に再び戻される蒸気の圧力は、翼車端部圧導通孔18との接続部分における主流路36の静圧と同じになるため、翼車端部圧導通孔18を介して主流路36に蒸気が噴出することはない。また、このようにシール蒸気を循環利用することにより、排気流路43からシール空気と一緒に排出される蒸気量が低減されるので、蒸気損失によるタービン性能の低下を防止することができる。さらに、本実施の形態におけるシール蒸気供給孔16とタービン翼車2の根元部19の間には第1ラビリンスシール31の歯11が数枚設置されているため、そのラビリンスシール効果によりシール蒸気の流量をさらに少量に抑えることができる。
【0029】
一方、シール蒸気供給孔16から第1ラビリンスシール31に噴出された蒸気の一部は、復水器室21(後述)との圧力差によって、タービン翼車2とは逆方向である軸受6側に流れ、排出溝13でシール空気と混合されて復水器室21に排出される。このように排出溝13に向かって流れるシール蒸気は、シール空気またはシール空気に混入した軸受6の潤滑剤(軸受潤滑剤)がタービン翼車2側に侵入するのを防ぐ。
【0030】
ところで、シールブラケット10には、軸受6における雰囲気圧以上の圧力に保持されたシール空気を第2ラビリンスシール32に導くシール空気供給孔12が設けられている。シール空気供給孔12における上流側の端部は空気源(図示せず)と接続されており、シール空気供給孔12における下流側の端部は第2ラビリンスシール32の設置位置に開口している(本実施の形態では、第2ラビリンスシール32の歯間に開口しており、さら具体的には第2ラビリンスシール32の中央部分に開口している)。このようにシール空気供給孔12によって、第2ラビリンスシール32にシール空気を導く空気供給流路42が形成されている。シール空気供給孔12から第2ラビリンスシール32に導入されたシール空気は、回転軸5に向かって噴出され、軸受潤滑剤がタービン翼車2側へ侵入することを防止している。なお、軸受潤滑剤の侵入を効果的に防止する観点からは、シール蒸気供給孔16及びシール空気供給孔12はシールブラケット10に対して複数設けることが好ましい。
【0031】
排出溝13は、シールブラケット10の内周側に環状に掘られた溝であり、第1ラビリンスシール31と第2ラビリンスシール32の間に位置している。排出溝13は、シールブラケット10内に設けられた溝であって、鉛直方向下側に向かって設けられた排出孔14と接続されている。排出孔14は、内側ケーシング内8内に設けられた排出流路15と接続され、さらに外部排気管23を介して復水器室21に接続されている。すなわち、上記の排出溝13、排出孔14、排出流路15、及び外部排気管23によって、ラビリンスシール31,32に導かれた作動流体及び空気を外部に排出する排気流路43が形成されている。シール蒸気供給孔16及びシール空気供給孔12から噴出された作動流体及び空気の一部は、復水器室21(通常は大気圧以下に保持されている)との圧力差で排気流路43を介して復水器室21に導かれる。これにより、シール空気及び軸受潤滑剤がタービン翼車2側に侵入することを防止できる。また、外部排気管23における復水気室21の上流側にはバルブ24が設置されている。タービン停止中にはバルブ24によって復水器室21との連通をカットできる。
【0032】
上記のように構成された蒸気タービンにおいて、タービン作動流体である蒸気は蒸気供給源(図示せず)からタービンノズル1の上流に流入される。タービンノズル1を通過した蒸気は、タービン翼車2の翼間3で膨張してタービン翼車2を回転させ、タービン下流域4に流出する。
【0033】
次に本実施の形態の効果について説明する。
上記で説明したように、本実施の形態に係る蒸気タービンは、タービン翼車2の径方向外側端部17が位置する部分で主流路36と接続され、第1ラビリンスシール31にシール蒸気を導く作動流体供給流路41を備えており、その作動流体供給流路41における第1ラビリンスシール31側の端部をラビリンスシール31の設置位置に開口させている。
【0034】
このように蒸気タービンを構成すると、タービン翼車の外側端部17から引き込んだシール蒸気をタービン翼車2の背面を介して循環させることができ、さらに、タービン翼車2の背面を伝わってタービン翼車2の外側端部17に戻されるシール蒸気の圧力は、作動流体供給流路41の入口部分(翼車端部圧導通孔18と主流路36との接続部分)の静圧と同じになる。これにより、外側端部17に戻されるシール蒸気(戻りシール蒸気)が主流路36に噴出することがないので、タービン作動流体と戻りシール蒸気との混合による圧力損失の発生を抑制できる。
【0035】
また、本実施の形態においてタービン翼車2の外側端部17から取り込まれたシール蒸気は、作動流体供給流路41を循環して流れる中で第1ラビリンスシール31を通過するため、そのラビリンスシール効果によりシール蒸気の循環量を低減できる。これにより、シールとして使用する蒸気の引き込み量を低減できるので、蒸気損失によるタービン効率の低下を防止できる。なお、本実施の形態における第1ラビリンスシール31は、シール効果を高めるためにシールブラケット10側と回転軸5側の両方に歯11を設置したが、回転軸5側又はシールブラケット10側のいずれか一方のみに歯11を設置してラビリンスシールを構成しても蒸気損失の低減効果が得られる。
【0036】
以上のように、本実施の形態によれば、シール蒸気が主流路36に混入して生じる損失(混合損失)を低減できるとともに、シール蒸気の引き込み量を低減できるので、シール蒸気によるタービン性能の低下を抑制することができる。
【0037】
図2は本発明の第2の実施の形態である半径流形蒸気タービンの概略断面図である。なお、先の図と同じ部分には同じ符号を付して説明は省略する(後の図も同様とする)。
【0038】
この図に示す蒸気タービンは、排気圧力調整容器22と、圧力調整バルブ(圧力調整手段)25を備えている点で第1の実施の形態の蒸気タービンと異なる。
【0039】
排気圧力調整容器22は、外部排気管23上における復水器室21の上流側に設置されている。圧力調整バルブ25は、外部排気管23上における排気圧力調整容器22の上流側(排気圧力調整容器22の入口側)に設置されている。圧力調整バルブ25の開度を変更すると、排気圧力調整容器22内の圧力が変更されるので、シール蒸気とシール空気の排出圧力を調整することができる。
【0040】
このように構成した本実施の形態によれば、圧力調整バルブ25によってシール蒸気及びシール空気の排気圧力を調整できるので、例えば、排気圧力調整容器22内の圧力をタービン翼車2の根元部19における静圧と同等の圧力に調節することで、排気流路43から排出されるシール蒸気量を著しく低減できる。これにより、シールのために抽気する蒸気量を第1の実施の形態よりも低減できるので、タービン性能の低下をさらに防止することができる。
【0041】
図3は本発明の第3の実施の形態である遠心型圧縮機の概略断面図である。
【0042】
第1及び第2の実施の形態では、蒸気を供給して半径流形の翼車を作動させる蒸気タービンの例について説明したが、本実施の形態では、圧縮機のインペラとして翼車を利用する場合について説明する。
【0043】
この図に示す遠心型圧縮機は、第1の実施の形態におけるタービン翼車2及びタービンノズル1に換えて、圧縮機インペラ(翼車)7及び圧縮機ディフューザ(静翼)26を備えており、作動流体である蒸気の流れが第1の実施の形態と逆になっている。このように構成した圧縮機において、圧縮機インペラ7をモータ等の駆動装置で回転させると、圧縮機入口部27から吸引された蒸気(作動流体)は、圧縮機インペラ7の翼間3を通過する間で圧縮され、ディフューザ26で減速される。圧縮機インペラ7の径方向外側端部17における圧力をシール蒸気としてラビリンスシール31に引き込む手段と、その手段によるシール蒸気の循環状態は、第1の実施の形態と同じとなる。
【0044】
このように本発明を圧縮機に適用しても、圧縮機インペラ7の径方向外側端部17でのシール蒸気の混合損失の発生を抑制することができるとともに、シール蒸気の引き込み量を低減できるので、シール蒸気による圧縮機性能の低下を抑制することができる。
【0045】
また、本実施の形態においても、第2の実施の形態のように排気圧力調整容器22及び圧力調整バルブ25を外部排気管23上に追設すれば、圧力調整バルブ25によってシール蒸気及びシール空気の排気圧力を調整できるので、タービン性能の低下をさらに防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施の形態である半径流形蒸気タービンの概略断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態である半径流形蒸気タービンの概略断面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態である遠心型圧縮機の概略断面図。
【符号の説明】
【0047】
1 タービンノズル(静翼)
2 タービン翼車
5 回転軸
6 軸受
7 圧縮機インペラ
8 内側ケーシング
10 シールブラケット
11 歯
12 シール空気供給孔
13 排出溝
14 排出孔
15 排出流路
16 シール蒸気供給孔
17 翼車における径方向の外側端部
18 翼車端部圧導通孔
19 根元部
21 復水器室
26 圧縮機ディフューザ(静翼)
31 第1ラビリンスシール
32 第2ラビリンスシール
35 動翼
36 主流路
41 作動流体供給流路
42 空気供給流路
43 排気流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径流形の翼車と、
該翼車に接続された回転軸と、
該回転軸を支持する軸受と、
前記翼車上の翼が配置され、作動流体が流通する主流路と、
前記回転軸の外周側に設けられた軸封装置と、
前記翼車の径方向外側端部が位置する部分で前記主流路と接続され、前記軸封装置に作動流体を導く作動流体供給流路とを備え、
前記作動流体供給流路における前記軸封装置側の端部は、前記軸封装置の設置位置に開口していることを特徴とする半径流形流体機械。
【請求項2】
半径流形の翼車と、
該翼車に接続された回転軸と、
該回転軸を支持する軸受と、
前記翼車上の翼が配置され、作動流体が流通する主流路と、
前記回転軸の外周側に設けられた軸封装置と、
前記翼車の径方向外側端部が位置する部分で前記主流路と接続され、前記軸封装置に作動流体を導く作動流体供給流路と、
前記回転軸の外周側において、前記軸封装置よりも前記軸受側に設けられた他の軸封装置と、
該他の軸封装置に空気を導く空気供給流路と、
前記軸封装置と前記他の軸封装置との間に設けられ、作動流体と空気を外部に排出する排気流路とを備え、
前記作動流体供給流路における前記軸封装置側の端部は、前記軸封装置の設置位置に開口していることを特徴とする半径流形流体機械。
【請求項3】
請求項1又は2記載の半径流形流体機械において、
前記軸封装置に導かれた作動流体の一部は、前記翼車の背面に沿って前記主流路と前記作動流体供給流路との接続部分に導かれ、前記作動流体供給流路を介して前記軸封装置に再度導かれることを特徴とする半径流形流体機械。
【請求項4】
請求項1又は2記載の半径流形流体機械において、
前記軸封装置は、前記回転軸の外周に設けられたラビリンスシールであることを特徴とする半径流形流体機械。
【請求項5】
請求項4記載の半径流形流体機械において、
前記作動流体供給流路における前記軸封装置側の端部は、前記ラビリンスシールを形成する複数の歯の間に開口していることを特徴とする半径流形流体機械。
【請求項6】
請求項2記載の半径流形流体機械において、
前記主流路を流通する作動流体は蒸気であり、
前記排気流路に接続された復水器室と、
前記排気流路における前記復水器室の上流側に設けられた排気圧力調整容器と、
前記排気流路における前記排気圧力調整容器の上流側に設けられ、前記排気圧力調整容器の圧力を調整する圧力調整手段とをさらに備えることを特徴とする半径流形流体機械。
【請求項7】
請求項1から6いずれかに記載の半径流形流体機械において、
前記主流路において前記翼車の径方向外側に設けられた静翼をさらに備え、
前記作動流体供給流路は、前記静翼と前記翼車の間において前記主流路と接続されていることを特徴とする半径流形流体機械。
【請求項8】
請求項1から7いずれかに記載の半径流形流体機械において、
前記翼車は、作動流体によって回転されるタービン翼車であることを特徴とする半径流形流体機械。
【請求項9】
請求項1から7いずれかに記載の半径流形流体機械において、
前記翼車は、作動流体を圧縮する圧縮機インペラであることを特徴とする半径流形流体機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−156204(P2010−156204A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333294(P2008−333294)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】