説明

単相および二相の媒体による粒子除去のための材料

【課題】
【解決手段】本発明の実施形態は、微細なフィーチャを備えたパターニング済み基板を洗浄するための改良された洗浄剤を提供する。この洗浄剤は、フィーチャを実質的に損傷することなく微細なフィーチャを備えたパターニング済みウエハを洗浄するのに有効である。洗浄剤は、液相または液/気相の流体であり、デバイスのフィーチャの周りで変形するため、実質的にデバイスのフィーチャを損傷することも損傷をまとめて低減することもない。分子量の大きい高分子化合物のポリマを含む洗浄剤は、基板上の汚染物質を捉える。さらに、洗浄剤は、汚染物質を取り込み、基板表面に汚染物質を戻さない。分子量の大きい1または複数の高分子化合物のポリマは、長いポリマ鎖を形成しており、ポリマ鎖は、さらに、架橋されて網目(すなわちポリマ網目)を形成しうる。長いポリマ鎖および/またはポリマ網目は、従来の洗浄剤と比較して、汚染物質を捉えて取り込む能力が高い。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
集積回路、メモリセルなど、半導体素子の製造では、一連の製造動作を実行して、半導体ウエハ(「ウエハ」)上にフィーチャを規定する。ウエハ(または基板)は、シリコン基板上に規定された多層構造の形態の集積回路素子を備える。基板レベルには、拡散領域を有するトランジスタ素子が形成される。それに続くレベルには、相互接続メタライゼーション配線がパターニングされて、トランジスタ素子に電気的に接続されており、それによって、所望の集積回路素子が規定される。また、パターニングされた導電層は、誘電材料によって他の導電層から絶縁されている。
【0002】
一連の製造動作中に、ウエハ表面は、様々な種類の汚染物質にさらされる。基本的に、製造動作中に存在するすべての物質が、潜在的な汚染源になる。例えば、汚染源としては、特に、プロセスガス、化学物質、蒸着材料、および、液体が挙げられる。様々な汚染物質が、微粒子の形態でウエハ表面上に堆積しうる。粒子状汚染物質が除去されなければ、汚染物質の近傍の素子は動作不能になる可能性がある。したがって、ウエハ上に規定された形状に損傷を与えることなく、ほぼ完全にウエハ表面から汚染物質を取り除くことが必要である。しかしながら、粒子状汚染物質のサイズは、しばしば、ウエハ上に加工されたフィーチャのクリティカルディメンションのサイズと同等である。ウエハ上の形状に悪影響を与えずに、かかる小さい粒子状汚染物質を除去することは、非常に困難な場合がある。
【0003】
従来のウエハ洗浄方法は、ウエハ表面から粒子状汚染物質を除去する際に、機械的な力に大きく依存していた。形状のサイズが小さくなって壊れやすくなるにつれ、ウエハ表面に機械力を加えることによってフィーチャが損傷する可能性が高くなる。例えば、アスペクト比の高いフィーチャは、十分な機械力を作用させた時に、倒壊や破壊を受けやすい。洗浄の問題をさらに複雑にしていることは、フィーチャサイズを小さくすると、粒子状汚染物質のサイズも小さくなることである。十分に小さいサイズの粒子状汚染物質は、高アスペクト比の形状によって囲まれたトレンチ内など、到達するのに困難な領域内に入りうる。したがって、現在の半導体製造においては、損傷なしに汚染物質を効率的に除去することが、ウエハ洗浄技術における継続的な進歩によって対処すべき課題となっている。平面ディスプレイの製造動作は、上述の集積回路製造と同じ欠点を抱えていることを理解されたい。
【0004】
上記に鑑みて、汚染物質の除去に有効であり、パターニング済みウエハ上のフィーチャを損なわずにパターニング済みウエハを洗浄する装置および方法が求められている。
【発明の概要】
【0005】
概して、本発明の実施形態は、ウエハ表面、特に、パターニング済みウエハ(または基板)の表面を洗浄するための改良された材料、装置、および、方法を提供する。上述の洗浄剤、装置、および、方法は、フィーチャを実質的に損傷することなく微細なフィーチャを備えたパターニング済みウエハを洗浄するのに有効である。洗浄剤は、液相または気液二相の流体であり、デバイスのフィーチャの周りで変形するため、洗浄剤がデバイスのフィーチャを損傷することはない。洗浄剤は、分子量の大きい1または複数の高分子化合物のポリマを含み、基板上の汚染物質を捉える。1種類のモノマから形成されたポリマは、1種類の高分子化合物を含む。コポリマまたはポリマの混合物など、2種類以上のモノマから形成されたポリマは、2種類以上の高分子化合物を含む。さらに、洗浄剤は、汚染物質を取り込み、基板表面に汚染物質を戻さない。
【0006】
分子量の大きい高分子化合物のポリマは、長いポリマ鎖を形成しており、ポリマ鎖は、さらに、架橋されて網目(すなわちポリマ網目)を形成しうる。実質的に架橋されていない、または、ほとんど架橋されていないポリマについては、ポリマ鎖の長さは、ポリマの分子量を、モノマ種の分子量で割ることにより推定できる(長さ〜(ポリマの分子量)/(モノマの分子量))。長いポリマ鎖および/または高分子ネットワークは、従来の洗浄剤と比較して、汚染物質を捉えて取り込む能力が高い。結果として、流体の形態であり、かかるポリマを含む洗浄剤は、優れた粒子除去性能を示す。その後、捉えられた、または、取り込まれた汚染物質は、基板の表面から除去される。
【0007】
上述のように、ポリマは、架橋されてもよい。しかしながら、ポリマが硬くなりすぎて溶媒に溶解しなくなったり基板表面上のデバイスフィーチャの周りで変形しなくなったりすることを避けるように、架橋の程度は、比較的制限される。
【0008】
本発明は、システム、方法、および、チャンバを含む種々の形態で実施できることを理解されたい。以下では、本発明の実施形態をいくつか説明する。
【0009】
一実施形態では、集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面上に供給されて、表面から汚染物質を除去するための洗浄剤が提供されている。洗浄剤は、溶媒と、洗浄剤の水素イオン指数(pH)値を変化させるための緩衝剤とを含む。緩衝剤および溶媒は、洗浄溶液を形成する。洗浄剤は、さらに、10,000g/molを越える分子量を有する高分子化合物のポリマを含む。ポリマは、洗浄剤を形成するために洗浄溶液中に溶解可能になる。溶解されたポリマは、集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面から汚染物質の少なくとも一部を捉えて取り込むために長いポリマ鎖を有する。洗浄剤は、液相として規定される。パターニング済み基板を覆う洗浄剤に力が加えられた時に、洗浄剤は、パターニング済み基板の表面上のデバイスフィーチャの周りで変形する。洗浄剤は、パターニング済み基板の表面上に供給されて、表面上のデバイスフィーチャを実質的に損傷することなく表面から汚染物質を除去する。洗浄剤は、パターニング済み基板の表面上に供給される前には研磨粒子を実質的に含まない。
【0010】
別の実施形態では、集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面に供給されて、表面から汚染物質を除去するための洗浄剤が提供されている。洗浄剤は、溶媒と、溶媒に溶解可能になった時にゲルの形態のポリマ鎖およびポリマ網目を形成するのに十分な大きさの分子量を有するポリマとを含む。溶媒および溶解されたポリマは、洗浄剤を形成する。洗浄剤がパターニング済み基板の表面上に供給される前に含む金属汚染物質は、1パーツ・パー・ビリオン(ppb)未満である。ポリマ鎖およびポリマ網目を含むポリマは、集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面から汚染物質を捉えて取り込む。パターニング済み基板の表面を覆う洗浄剤に力が加えられた時に、洗浄剤は、パターニング済み基板の表面上のデバイスフィーチャの周りで変形する。洗浄剤は、基板の表面上に供給されて、表面上のデバイスフィーチャを実質的に損傷することなく表面から汚染物質を除去する。洗浄剤は、パターニング済み基板の表面上に供給される前には研磨粒子を実質的に含まない。
【0011】
別の実施形態では、集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面上に供給されて、表面から汚染物質を除去するための洗浄剤が提供されている。洗浄剤は、溶媒と、洗浄剤の水素イオン指数(pH)値を変化させるための緩衝剤とを含む。緩衝剤および溶媒は、洗浄溶液を形成する。洗浄剤は、さらに、500,000g/mol以上の分子量を有するポリアクリルアミド(PAM)のポリマを含む。ポリマは、洗浄溶液中に溶解可能になり、洗浄剤を形成する。洗浄剤がパターニング済み基板の表面上に供給される前に含む金属汚染物質は1ppb未満であり、洗浄剤のpH値は約7から約12の間である。
【0012】
溶解されたポリマは、集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面から汚染物質の少なくとも一部を捉えて取り込むために長いポリマ鎖を有する。洗浄剤は、液相として規定される。パターニング済み基板を覆う洗浄剤に力が加えられた時に、洗浄剤は、パターニング済み基板の表面上のデバイスフィーチャの周りで変形する。洗浄剤は、パターニング済み基板の表面上に供給されて、表面上のデバイスフィーチャを実質的に損傷することなく表面から汚染物質を除去する。洗浄剤は、パターニング済み基板の表面上に供給される前には研磨粒子を実質的に含まない。
【0013】
さらに別の実施形態では、集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面上に供給されて、表面から汚染物質を除去するための洗浄剤が提供されている。洗浄剤は、溶媒と、洗浄剤の水素イオン指数(pH)値を変化させるための緩衝剤とを含み、緩衝剤および溶媒は、洗浄溶液を形成する。洗浄剤は、さらに、500,000g/mol以上の分子量を有するCarbopol 940(商標)のポリマを含む。ポリマは、洗浄剤を形成するために洗浄溶液中に溶解可能になる。洗浄剤がパターニング済み基板の表面上に供給される前に含む金属汚染物質は、1ppb未満である。
【0014】
溶解されたポリマは、集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面から汚染物質の少なくとも一部を捉えて取り込むために長いポリマ鎖を有する。洗浄剤は、液相として規定される。パターニング済み基板を覆う洗浄剤に力が加えられた時に、洗浄剤は、パターニング済み基板の表面上のデバイスフィーチャの周りで変形する。洗浄剤は、パターニング済み基板の表面上に供給されて、表面上のデバイスフィーチャを実質的に損傷することなく表面から汚染物質を除去する。洗浄剤は、パターニング済み基板の表面上に供給される前には研磨粒子を実質的に含まない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付の図面を参照して行う以下の詳細な説明から、本発明を容易に理解することができる。なお、同じ符号は、同じ構造要素を示している。
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に従って、基板上の欠陥およびデバイスフィーチャを示す説明図。
【0017】
【図2A】本発明の一実施形態に従って、パターニング済み基板上への洗浄剤の適用に関する3つの反応曲線を示すグラフ。
【0018】
【図2B】パターニング済み基板への洗浄剤の適用に関連した3つの反応曲線を示すグラフ。
【0019】
【図2C】本発明の一実施形態に従って、異なる技術ノードに対する3つの損傷曲線と、洗浄剤の力強度曲線とを示すグラフ。
【0020】
【図3A】本発明の一実施形態に従って、洗浄溶液に溶解した分子量の大きい高分子化合物のポリマを含む洗浄剤を示す説明図。
【0021】
【図3B】本発明の一実施形態に従って、図3Aの洗浄剤が汚染物質を取り込む様子を示す説明図。
【0022】
【図3C】本発明の一実施形態に従って、図3Aの洗浄剤がパターニング済みウエハ上に供給されて基板表面から汚染物質を洗浄する様子を示す説明図。
【0023】
【図3D】本発明の一実施形態に従って、図3Aの洗浄剤がパターニング済みウエハ上に供給されて基板表面から汚染物質を洗浄する様子を示す説明図。
【0024】
【図3E】本発明の一実施形態に従って、図3Aの洗浄剤が、トレンチおよびビアを有するパターニング済みウエハ上に供給されて基板表面から汚染物質を洗浄する様子を示す説明図。
【0025】
【図3F】本発明の一実施形態に従って、洗浄溶液中に乳化されたゲル状のポリマ滴を含む洗浄剤を示す説明図。
【0026】
【図3G】本発明の一実施形態に従って、洗浄溶液中に懸濁されたゲル状のポリマ塊を含む洗浄剤を示す説明図。
【0027】
【図3H】本発明の一実施形態に従って、泡洗浄剤を示す説明図。
【0028】
【図4A】本発明の一実施形態に従って、基板を洗浄するためのシステムを示す概略上面図。
【0029】
【図4B】本発明の一実施形態に従って、図4Aの洗浄ヘッドを示す底面図。
【0030】
【図4C】本発明の一実施形態に従って、洗浄ヘッドが、洗浄ヘッドの下方でウエハ上に洗浄剤の洗浄体を供給する様子を示す側面図。
【0031】
【図4D】本発明の一実施形態に従って、基板の上方の洗浄ヘッドを示す断面図。
【0032】
【図4E】本発明の一実施形態に従って、基板洗浄システムを示す説明図。
【0033】
【図4F】本発明の一実施形態に従って、分子量の大きい高分子化合物のポリマを含む洗浄剤を用いて基板を洗浄する洗浄装置と、洗浄剤を洗い流すためのリンス装置とを示す説明図。
【0034】
【図4G】本発明の一実施形態に従って、分子量の大きい高分子化合物のポリマを含む洗浄剤を用いて基板を洗浄する洗浄・リンス装置を示す説明図。
【0035】
【図4H】本発明の一実施形態に従って、洗浄システムを示す説明図。
【0036】
【図4I】本発明の一実施形態に従って、基板を洗浄するためのシステムを示す概略上面図。
【0037】
【図4J】本発明の一実施形態に従って、図4Iの洗浄ヘッドおよびリンスヘッドを示す底面図。
【0038】
【図4K】本発明の一実施形態に従って、洗浄剤準備システムを示す説明図。
【0039】
【図5A】本発明の一実施形態に従って、ポリアクリル酸(PAA)およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)の分子量の関数として粒子除去効率(PRE)を示す説明図。
【0040】
【図5B】本発明の一実施形態に従って、ポリアクリルアミド(PAM)の分子量の関数としてPREを示す説明図。
【0041】
【図5C】本発明の一実施形態に従って、塩化アンモニウムを用いて、ポリアクリルアミド(PAM)で形成された洗浄剤の粘度を低下させる実験結果を示すグラフ。
【0042】
【図6A】本発明の一実施形態に従って、分子量の大きい高分子化合物のポリマを含む洗浄剤を用いてパターニング済み基板を洗浄する処理フローを示す工程図。
【0043】
【図6B】本発明の一実施形態に従って、洗浄剤を浄化する処理フローを示す工程図。
【0044】
【図6C】本発明の別の実施形態に従って、洗浄剤を浄化する処理フローを示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
表面フィーチャを損傷することなくウエハ表面を洗浄するための物質、方法、および装置の実施形態について説明する。本明細書に記載の洗浄剤、装置、および、方法は、フィーチャを損傷することなく微細なフィーチャを備えたパターニング済みウエハを洗浄するのに有効である。洗浄剤は、液相または液/気相の流体であり、デバイスのフィーチャの周りで変形するため、洗浄剤がデバイスのフィーチャを損傷することはない。洗浄剤は、分子量の大きい高分子化合物のポリマを含み、基板上の汚染物質を捉える。さらに、洗浄剤は、汚染物質を取り込み、基板表面に汚染物質を戻さない。分子量の大きい高分子化合物のポリマは、長いポリマ鎖を形成しており、ポリマ鎖は、さらに、架橋されて網目(すなわちポリマ網目)を形成しうる。長いポリマ鎖および/またはポリマ網目は、従来の洗浄剤と比較して、汚染物質を捉えて取り込む能力が高い。
【0046】
しかしながら、本発明が、これらの詳細の一部または全てがなくとも実施可能であることは、当業者にとって明らかである。また、本発明が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の説明は省略した。
【0047】
本明細書に記載の実施形態は、汚染物質を除去するのに有効で、高アスペクト比のフィーチャを部分的に含みうるパターニング済みウエハ上のフィーチャを損傷しない洗浄剤および洗浄方法を提供する。実施形態では、半導体洗浄の用途に関連した具体的な例を提供しているが、これらの洗浄用途は、基板から汚染物質を除去することが必要な任意の技術に拡張されてもよい。
【0048】
図1は、本発明の一実施形態に従って、基板本体101を備えた基板100を示す図である。基板101上には、デバイス構造102と、表面105の近傍の粒子103が存在する。粒子103は、おおよその直径107を有しており、その直径は、デバイス構造102の幅104と同程度の大きさを有しうる。
【0049】
65nm、45nm、32nm、22nm、および、16nm技術ノードなど、高度な技術では、デバイス構造102の幅104は、65nm以下である。デバイス構造102の幅104など、デバイス構造の幅は、制限のあるチップの表面領域上に、より多くのデバイスを収容するために、各技術ノードに応じて絶えずスケールダウンされる。デバイス構造102の高さ106など、デバイス構造の高さは、一般に、抵抗率の問題によりデバイスフィーチャの幅に比例してスケールダウンすることがない。ポリシリコン配線および金属相互接続などの導電構造について、構造の幅および高さを小さくすると、抵抗率が高くなりすぎて、大幅なRC遅延を引き起こすと共に導電構造に対して過度の熱を発生することになる。結果として、構造102などのデバイス構造は、高いアスペクト比を有し、構造に対して加えられた力111による損傷を受けやすくなる。一実施形態において、デバイス構造のアスペクト比は、約2以上の範囲内にあってよい。粒子103の除去を支援するために、力112が粒子103に掛けられる。力111および112は、粒子103などの表面微粒子を除去するために、デバイス構造102近傍の基板表面上に洗浄剤(図示せず)によって掛けられる。一実施形態において、力111および112は、互いに位置が近いために、大きさが極めて近い。基板表面に掛けられる力111、112は、洗浄剤および基板表面の間の任意の相対運動から生じうる。例えば、洗浄剤の供給または洗浄剤のリンスから生じうる。
【0050】
デバイス構造102の幅104が小さくなり、デバイス構造102のアスペクト比が相対的に大きくなったことによって、デバイス構造102は、力111が掛かることで破損したり力111が掛かることでエネルギが蓄積したりしやすくなる。損傷を受けたデバイス構造102は、粒子源となり、歩留まりを低下させる。さらに、損傷を受けたデバイス構造102は、損傷によって動作不能になる場合もある。
【0051】
図2Aは、本発明の一実施形態に従って、パターニング済み基板上への洗浄剤の適用に関する3つの反応曲線を示す図である。曲線201は、洗浄剤によって基板表面に与えられる(力の結果としての)エネルギに対する強度を示している。洗浄剤によって与えられる洗浄エネルギの強度は、EPで最大となる。曲線202は、洗浄剤によって基板上に与えられるエネルギの関数として、粒子除去効率を示す。粒子除去速度は、ER付近で最大になる。洗浄剤によって与えられるエネルギがERに達すると、洗浄剤が基板表面から粒子を除去する効率は最大になる。曲線203は、洗浄剤によって基板表面に与えられるエネルギの関数として、洗浄剤によって引き起こされるデバイス構造の損傷量を示す。デバイス構造は、洗浄剤によって基板に与えられるエネルギの上限ENよりも大きいES以上で損傷を受ける。デバイス構造の損傷曲線203は、洗浄剤がパターニング済み基板に与えるエネルギの分布201の範囲外にあるため、パターニング済み基板上のデバイス構造は、損傷を受けない。粒子除去曲線202は、洗浄剤が、基板上の構造を損傷することなく、基板表面から粒子を除去できる(または、基板に接触する)ことを示している。
【0052】
図2Bは、パターニング済み基板への洗浄剤の適用に関連した3つの反応曲線を示す図である。曲線201’は、洗浄剤によってパターニング済み基板に与えられるエネルギに対する強度を示している。洗浄剤によって与えられる強度は、EP’で最大となる。曲線202’は、基板に適用されたエネルギに対する粒子除去速度を示す。粒子除去速度は、ER’付近で最大になる。洗浄剤によって与えられるエネルギがER’に達すると、洗浄剤が基板表面から粒子を除去する効率は最大になる。曲線203’は、洗浄剤によって基板表面に与えられるエネルギの関数として、洗浄剤によって引き起こされるデバイス構造の損傷量を示す。基板上のデバイス構造は、洗浄剤によって与えられるエネルギの分布の下限EN’よりも大きいES’以上で損傷を受ける。デバイス構造の損傷曲線203’は、洗浄剤がパターニング済み基板に与えるエネルギの分布201’の範囲内にあるため、パターニング済み基板上のデバイス構造は、洗浄剤によって損傷を受け、粒子(または、欠陥)を増やす。
【0053】
上述のように、洗浄処理中にデバイス構造を損傷させると、デバイスが動作不能になる場合があり、損傷したデバイス構造が基板表面上に残ることで、デバイスの歩留まりが低くなることがある。したがって、図2Bの洗浄曲線201’および損傷曲線203’の間の関係は望ましくない。一方、図2Aの洗浄曲線201および損傷曲線203の間の関係は望ましい。
【0054】
従来の基板洗浄装置および方法は、機械力を用いて基板表面から粒子を除去するブラシおよびパッドを含む。幅が狭くアスペクト比の高いデバイス構造を用いる高度な技術では、ブラシおよびパッドによって加えられる機械力は、デバイス構造を損傷しうる。さらに、粗いブラシおよびパッドは、基板表面にスクラッチを引き起こしうる。メガソニック洗浄および超音波洗浄など、キャビテーション気泡および音響流を用いて基板を洗浄する洗浄技術も、傷つきやすい構造を損傷しうる。噴出および噴霧を用いた洗浄技術は、薄膜の浸食を引き起こし、傷つきやすい構造を損傷する可能性がある。図2Cは、本発明の一実施形態に従って、従来の方法(メガソニック洗浄など)によって適用された従来の洗浄剤の洗浄曲線201’’を示す。3つの技術ノード、90nm、65nm、および、45nmに対してそれぞれ、曲線203I、203II、および、203IIIが図示されている。90nm技術ノードのパターニング済みウエハについて、損傷は、曲線203IのエネルギESIで始まる。ESIは、パターニング済み基板上の洗浄剤のエネルギ分布の上限EN’’より大きい。したがって、デバイス構造に対する損傷はない。図2Cの従来の洗浄剤は、65nm技術ノードについても、EN’’よりも大きいESIIで損傷が始まるため有効である。技術がより狭い幅に対応するほど、損傷は、より低いエネルギレベルで始まるようになる。技術ノードが45nm以下になると、曲線201’’の従来の洗浄剤および方法は、デバイス構造に損傷を与えるようになる。45nm技術ノードでの損傷の開始点ESIIIは、EN’’よりも小さい。図2Cによると、一部の洗浄剤および方法は、従来技術に対しては有効であるが、より狭いフィーチャ幅を用いる先進技術に対してはもはや有効ではない。したがって、デバイス構造に対しては穏やかで、先進技術の基板表面から粒子を除去するのに効果的である洗浄剤を用いた洗浄機構が求められている。
【0055】
図2Cは、本発明の一実施形態に従って、従来の方法(メガソニック洗浄など)によって適用された従来の洗浄剤の洗浄曲線201’’を示す。3つの技術ノード、90nm、65nm、および、45nmに対してそれぞれ、曲線203I、203II、および、203IIIが図示されている。90nm技術ノードのパターニング済みウエハについて、損傷は、曲線203IのエネルギESIで始まる。ESIは、パターニング済み基板上の洗浄剤のエネルギ分布の上限EN’’より大きい。したがって、デバイス構造に対する損傷はない。図2Cの従来の洗浄剤は、65nm技術ノードについても、EN’’よりも大きいESIIで損傷が始まるため有効である。技術がより狭い幅に移行するほど、損傷は、より低いエネルギレベルで始まるようになる。技術ノードが45nm以下になると、曲線201’’の従来の洗浄剤および方法は、デバイス構造に損傷を与えるようになる。45nm技術ノードでの損傷の開始点ESIIIは、EN’’よりも小さい。図2Cによると、一部の洗浄剤および方法は、従来技術に対しては有効であるが、より狭いフィーチャ幅を用いる先進技術に対してはもはや有効ではない。したがって、デバイス構造に対しては穏やかで、先進技術の基板表面から粒子を除去するのに効果的である洗浄剤を用いた洗浄機構が求められている。
【0056】
図3Aは、本発明の一実施形態に従って、洗浄溶液305に溶解した分子量の大きいポリマ310を含む洗浄溶液305を含む液体洗浄剤300を示す。一実施形態では、液体洗浄剤300は、ゲルである。別の実施形態では、液体洗浄剤300は、ゾルである。さらに別の実施形態では、液体洗浄剤300は、溶液である。液体洗浄剤300は、基板表面上に粒子のある基板に対して適用されると、基板表面上の粒子を除去することができる。一実施形態において、除去された粒子320は、図3Bに示すようにポリマ310に結合される。10,000g/molまたは100,000g/molを越えるような高分子量を有する高分子化合物のポリマは、長いポリマ鎖およびポリマ網目を形成し、それにより、除去した粒子を捉えて取り込むことで、粒子が基板表面に再付着しないようにする。ポリマは、洗浄溶液内に溶解しており、洗浄溶液は、pH値に影響してポリマの溶解度を高める成分を含む。洗浄溶液に溶解したポリマは、柔らかいゲルであってもよいし、洗浄溶液に懸濁されたゲル状の液滴になってもよい。一実施形態において、基板表面上の汚染物質は、高分子が汚染物質の近傍に接近した時に、イオン力、ファンデルワールス力、静電力、疎水性相互作用、立体相互作用、または、化学結合力によって、溶媒和ポリマに結合する。ポリマは、汚染物質を捉えて取り込む。
【0057】
一実施形態において、分子量の大きい高分子化合物のポリマは洗浄溶液305内で網目を形成する。さらに、分子量の大きい高分子化合物のポリマは、液体洗浄溶液305内に分散されている。液体洗浄剤300は、洗浄処理中、基板上のデバイス構造に対しては穏やかに作用する。洗浄剤300内のポリマ310は、図3Cの洗浄空間330内に図示したような構造302などのデバイス構造の周囲で、デバイス構造302に対して強い影響を及ぼすことなく、滑らかに動きうる。それとは対照的に、上述の硬いブラシおよびパッドは、変形せずにデバイス構造と接触し、デバイス構造を損傷する。メガソニック洗浄におけるキャビテーションによって生成する力(またはエネルギ)と、ジェット噴霧中の液体による高速衝撃も、構造を損傷しうる。あるいは、洗浄溶液中に2以上の種類のポリマを溶解して、洗浄剤を構成してもよい。例えば、洗浄剤中のポリマ体は、「A」高分子化合物および「B」高分子化合物を含んでよい。
【0058】
分子量の大きい高分子化合物のポリマは、長いポリマ鎖を形成しており、ポリマ網目を形成する架橋結合を持つ場合と持たない場合がある。図3Cに示すように、ポリマ310は、パターニングされた(または、パターニングされていない)基板表面上の汚染物質(汚染物質320I、320II、320III、320IVなど)と接触して、汚染物質を捉える。汚染物質は、ポリマによって捉えられた後、ポリマに結合され、洗浄剤中に懸濁される。図3Cは、ポリマ鎖311Iおよび311IIにそれぞれ結合した汚染物質320IIIおよび320IVを示している。汚染物質320Iおよび320IIは、他のポリマ鎖に結合されている。あるいは、汚染物質320I、320II、320III、および、320IVは、複数のポリマ鎖にそれぞれ結合してもよいし、1つのポリマ網目に結合してもよい。洗浄剤300中のポリマが基板表面からリンス動作などによって除去される時、ポリマ鎖に結合した汚染物質は、ポリマ鎖と共に基板表面から除去される。
【0059】
図3Cに示す実施形態は、単一のデバイス構造302のみを示している。基板301などの基板上に、320I、320II、320III、および、320IVなどの複数のデバイス構造が、本発明の一実施形態に従って図3Dに示すように、互いに隣り合って、群として構成されてもよい。図3Cと同様に、洗浄空間330’の液体洗浄剤300は、洗浄処理の際に基板上のデバイス構造に対して穏やかに作用する。洗浄剤300中に含まれるポリマ310は、デバイス構造に対して強い影響を及ぼすことなく、デバイス構造302I、302II、302III、および、302IVの周囲を滑らかに動く。図3Cの汚染物質320I、320II、320III、および、320IVが、ポリマ鎖に結合されるのと同様に、汚染物質325I、325II、325III、および、325IVもポリマ鎖に結合される。
【0060】
図3Cおよび3Dに示したような、配線フィーチャを有する基板の洗浄に加えて、他のパターニング済みフィーチャを有する基板も、本発明に記載された材料および方法によって洗浄することができる。図3Eは、本発明の一実施形態に従って、ビア315およびトレンチ316を形成する構造302’を備えた基板301’を示す。汚染物質326I、326II、326III、および、326IVも、図3Cおよび3Dで上述した機構で洗浄剤300によって除去することができる。一実施形態において、ポリマは、基板表面からの粒子(すなわち汚染物質)をフロックにする凝集剤として機能する。なお、フロックとは、微細な懸濁粒子の凝集によって形成された塊である。別の実施形態において、ポリマは、凝集剤として機能しない。
【0061】
上述のように、分子量の大きい高分子化合物のポリマは、洗浄溶液内に拡散される。分子量の大きい高分子化合物の例としては、以下が含まれるがそれらに限定されない:ポリアクリルアミド(PAM)、ポリアクリル酸(PAA)(Carbopol 940(商標)およびCarbopol 941(商標)など)、ポリ−(N,N−ジメチルアクリルアミド)(PDMAAm)、ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリメタクリルアミド(PMAAm)などのアクリルポリマ;ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)などのポリイミンおよび酸化物;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンスルホン酸(PESA)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ−4−ビニルピリジン(P4VP)などのビニルポリマ;メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体;アカシア(アラビア・ゴム)、寒天およびアガロース、ヘパリン、グアーガム、キサンタンゴムなどの多糖類;アルブミン、コラーゲン、グルテンなどのタンパク質。数例のポリマ構造を説明すると、ポリアクリルアミドは、アクリルアミドサブユニットから形成されるアクリレートポリマ(−CH2CHCONH2−)nである。ポリビニルアルコールは、ビニルアルコールサブユニットから形成されるポリマ(−CH2CHOH−)mである。ポリアクリル酸は、アクリル酸サブユニットから形成されるポリマ(−CH2=CH−COOH−)oである。ここで、「n」、「m」、および、「o」は整数である。分子量の大きい高分子化合物のポリマは、水溶液中に溶解可能であるか、または、高い吸水性を有して水溶液中で柔らかいゲルを形成する。一実施形態では、高分子化合物の分子量は、100,000g/molよりも大きい。別の実施形態では、高分子化合物の分子量は、約0.1Mg/molから約100Mg/molの間である。別の実施形態では、高分子化合物の分子量は、約1Mg/molから約20Mg/molの間である。さらに別の実施形態では、高分子化合物の分子量は、約15Mg/molから約20Mg/molの間である。洗浄剤中のポリマの重量パーセントは、一実施形態では、約0.001%から約20%の間である。別の実施形態では、重量パーセントは、約0.001%から約10%の間である。別の実施形態では、重量パーセントは、約0.01%から約10%の間である。さらに別の実施形態では、重量パーセントは、約0.05%から約5%の間である。ポリマは、洗浄剤に溶解して、洗浄溶液中に完全に拡散され、洗浄溶液中で(乳化された)液滴を形成、または、洗浄溶液中で塊を形成する。
【0062】
あるいは、ポリマは、2以上のモノマ種から誘導されたコポリマであってもよい。例えば、コポリマは、PAM90%およびPAA10%を含んでよく、PAMおよびPAAのモノマから形成される。さらに、ポリマは、2以上の種類のポリマの混合であってもよい。例えば、ポリマは、溶媒中で二種類のポリマ(PAM90%およびPAA10%など)を混合することによって作られてよい。
【0063】
図3A〜図3Cに示した実施形態において、分子量の大きい高分子化合物のポリマは、洗浄溶液中に均一に溶解される。洗浄溶液のベースとなる液体すなわち溶媒は、テレピン油などの非極性液体、または、水(H2O)などの極性液体であってよい。溶媒の他の例としては、イソプロピルアルコール(IPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、および、ジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられる。一実施形態において、溶媒は、2以上の液体を含み、2以上の液体の混合物である。PAM、PAA、または、PVAなど、極性のあるポリマについて、洗浄溶液に適した溶媒は、水(H2O)などの極性液体である。
【0064】
別の実施形態において、洗浄溶液は、洗浄溶液中にポリマを混合することによって形成される洗浄剤の特性を修正するために、溶媒(水など)以外の化合物を含む。例えば、洗浄溶液は、洗浄溶液および洗浄溶液によって形成される洗浄剤の水素イオン指数(pH)の値を調整するために、緩衝剤(弱酸または弱塩基)を含んでよい。弱酸の一例は、クエン酸である。弱塩基の一例は、アンモニウム(NH4OH)である。洗浄剤のpH値は、約1ないし約12の間である。一実施形態において、(銅および金属間誘電体の蒸着前の)フロントエンド用途については、洗浄剤は塩基性である。一実施形態において、フロントエンド用途のためのpH値は、約7から約12の間である。別の実施形態において、フロントエンド用途のためのpH値は、約8から約11の間である。さらに別の実施形態において、フロントエンド用途のためのpH値は、約8から約10の間である。一実施形態において、(銅および金属間誘電体の蒸着後の)バックエンド処理については、洗浄溶液は、若干塩基性であるか、中性、または、酸性である。バックエンドの相互接続での銅は、銅を攻撃するアンモニウムを含む塩基性溶液には適合しない。一実施形態において、バックエンド用途のためのpH値は、約1から約7の間である。別の実施形態において、バックエンド用途のためのpH値は、約1から約5の間である。さらに別の実施形態において、バックエンド用途のためのpH値は、約1から約2の間である。別の実施形態において、洗浄溶液は、洗浄溶液中にポリマを拡散させるのを助けるために、ドデシル硫酸アンモニウム(ADS)などの界面活性剤を含む。一実施形態において、界面活性剤は、さらに、基板表面上での洗浄剤のぬれを支援する。基板表面上を洗浄剤で湿潤させると、洗浄剤が基板表面および基板表面上の粒子と密着するようになる。湿潤させることで、洗浄効率が向上する。表面のぬれ性、基板の洗浄、リンス、および、その他の関連する特性を改善するために、他の添加剤を加えてもよい。
【0065】
緩衝化した洗浄溶液(または洗浄溶液)の例としては、0.44重量%のNH4OHおよび0.4重量%のクエン酸などの塩基性および酸性緩衝剤を溶液中に含んだ緩衝化アンモニウム溶液(BAS)が挙げられる。あるいは、BASなどの緩衝化溶液は、洗浄溶液中にポリマを懸濁および拡散させるのを助けるために、ある程度の量の界面活性剤(1重量%のADSなど)を含む。1重量%のADS、0.44重量%のNH3、および、0.4重量%のクエン酸を含む溶液を、溶液「100」と呼ぶこととする。溶液「100」およびBASは共に、約10のpH値を有する。
【0066】
図3A〜図3Eに示した実施形態は、洗浄溶液305中に高分子量のポリマ310を均一に拡散(または溶解)した液体洗浄剤300を提供する。上述のように、この用途のための高分子量のポリマは、洗浄溶液(水溶液であってよい)の中に完全に溶解される。ポリマは、高い吸水性を有し、水溶液中で柔らかいゲルを形成する。図3Fは、洗浄溶液305’中で乳化されたゲル状のポリマ滴340を含む液体洗浄剤300’の一実施形態を示す。洗浄溶液305’は、さらに、分離した小さいポリマ306を含む。ゲル状のポリマ滴340が洗浄溶液305’中で均一に拡散されるのを助けるために、ADSなどの界面活性剤を洗浄溶液に添加してもよい。図3Fに示した実施形態において、洗浄溶液305’およびゲル状ポリマ滴340の間に、境界341が存在する。ゲル状ポリマ滴340は、柔らかいため、基板表面上のデバイスフィーチャの周りで変形する。ゲル状ポリマ滴340は、デバイスフィーチャの周りで変形するため、デバイスフィーチャに大きなエネルギ(すなわち、力)を加えて損傷することがない。一実施形態において、ポリマ滴の直径は、約0.1μmから約100μmの間である。
【0067】
別の実施形態において、分子量の大きい高分子化合物のポリマは、洗浄溶液中に溶解して、図3Gに示すように、洗浄溶液305’’と明瞭な境界を確立しないゲル状ポリマ塊350を形成する。洗浄溶液305’’は、さらに、分離した小さいポリマ306を含む。ゲル状ポリマ塊350は、柔らかく、基板表面上のデバイスフィーチャの周りで変形するため、基板表面上のデバイスフィーチャに大きなエネルギ(すなわち、力)を加えて損傷することがない。一実施形態において、ポリマ塊の直径は、約0.1μmから約100μmの間である。
【0068】
上述の洗浄剤は、すべて液相である。さらに別の実施形態において、上述の液体洗浄剤300、300’、および、300’’などの洗浄剤を撹拌して、N2、不活性ガスなどの気体、または、空気などの混合気体を加え、図3Hに示すように洗浄剤を泡にすることもできる。図3Fにおいて、洗浄剤300*は、洗浄溶液305中に拡散された気泡360を有する。ポリマ310も、洗浄剤305中に拡散されている。他の実施形態において、図3Hのポリマ310は、図3Fおよび3Gに記載したポリマ滴340またはポリマ塊350であってよい。洗浄剤300*は、気相および液相を有する。
【0069】
上述の洗浄剤は、多くの機構によって基板表面上に分配されてよい。図2Aおよび2Bで上述したように、パターニング済み基板上のデバイスフィーチャの損傷を避けるには、洗浄剤がパターニング済み基板に対して加えるエネルギは、デバイスフィーチャの損傷を避けることのできる最小の力ESまたはES’より小さい必要がある。上述の洗浄剤300、300’、300’’、および、300*などの洗浄剤は、液相状態または気相/液相状態のいずれかである。液体および泡は、基板表面上を流れ、基板表面上のデバイスフィーチャの周りで変形する(または、流れる)ことができる。したがって、洗浄剤は、基板表面上のデバイスフィーチャに大きなエネルギを加えることなく、パターニング済み基板に対して適用することができる。
【0070】
図4Aは、本発明の一実施形態に従って、基板を洗浄するためのシステム400の概略上面図を示す。ウエハ(すなわち基板)420は、洗浄ヘッド410(すなわち洗浄近接ヘッド)に向かって直線方向に移動する。洗浄ヘッドは、支持構造450(アームであってよい)によって保持される。洗浄ヘッド410は、上述の洗浄剤を供給(または分配)する。一実施形態において、洗浄ヘッド410の長さ440は、ウエハ420の直径451よりも長い。ウエハ420は、洗浄ヘッドの下を1回だけ移動される。別の実施形態において、洗浄ヘッド410の長さ440は、ウエハ420の直径451よりも短い。ウエハ420は、ウエハ420全体を洗浄するために、洗浄ヘッド410の下を複数回移動される。
【0071】
一実施形態において、洗浄剤は、供給ライン460を通してリザーバ470から供給される。なお、リザーバ470は、加圧されてよい。あるいは、洗浄ヘッド410は、ウエハ420が静止または移動している時に、ウエハ420の上を移動してよい。上述したように、洗浄剤は、液体溶液、泡、または、エマルションの形態であってよい。リザーバ470が加圧される場合、洗浄溶液またはエマルションは、洗浄ヘッドに供給される前に、通気され、泡になってよい。リザーバが加圧されない場合、洗浄溶液は、他の周知の方法で、送出または供給されてよい。
【0072】
一実施形態において、洗浄ヘッドは、さらに、基板表面から吸い取られた使用済み洗浄剤のための容器423、および、真空を提供する真空ポンプ425に接続されている。
【0073】
図4Bは、本発明の一実施形態に従って、洗浄剤を供給するための複数の供給口411を備えた洗浄ヘッド410の底面図の一例である。あるいは、供給口411は、長くて狭い供給スロットに置き換えられる。一実施形態において、供給口411(の列)は、基板表面から洗浄剤を除去する真空穴414に囲まれている。
【0074】
図4Cは、洗浄ヘッド410が、表面421を洗浄するために、洗浄ヘッド410下方でウエハ420の表面421上に洗浄剤の洗浄体430を供給する様子を示す側面図の一実施形態を示す。洗浄剤は、供給ライン460によって供給される。洗浄剤は、真空ライン465によって提供される真空によって基板表面から除去される。ウエハ420は、矢印422で示す方向に洗浄ヘッド410の下を移動する。洗浄剤の洗浄体430は、「メニスカス」を形成する。本明細書で用いるように、「メニスカス」という用語は、部分的には液体の表面張力によって、境界を規定され閉じ込められた液体を含む洗浄体(または領域)430を指す。また、メニスカスは、制御可能であり、閉じ込められた形状で表面上を移動されることが可能である。具体的な実施形態において、メニスカスは、メニスカスが制御可能なままであるように、表面に流体を供給しつつ流体を除去することによって維持される。さらに、メニスカスの形状は、ネットワーク化されてよいコンピュータシステムの制御部と部分的にインターフェース接続された精密な流体供給・除去システムによって制御可能である。基板の表面上にメニスカスを形成する供給ヘッドの詳細については、2006年12月18日出願の米国特許出願(11/641,362)(代理人整理番号LAM2P581)、「Substrate Preparation Using Stabilized Fluid Solutions and Methods for Making Stable Fluid Solutions」に記載されている。この関連特許出願の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0075】
一実施形態において、洗浄体430は、ウエハ420が洗浄ヘッド410の下を移動する時に、表面421上に洗浄剤の薄層(図示せず)を後に残す。洗浄剤の薄層は、真空によって完全には除去されなかった洗浄剤の結果である。洗浄ヘッド410は、アーム450によってウエハ420の表面421に近接するよう保持される。したがって、洗浄ヘッド410は、近接ヘッドと呼ばれる。一実施形態において、洗浄ヘッド410から供給された洗浄剤は、洗浄体430の下で基板の表面421に対してせん断力432をかける。
【0076】
別の実施形態において、洗浄ヘッド410から供給された洗浄剤は、さらに、洗浄体430の下で基板の表面421に対して下向きの力(図示せず)をかける。一実施形態において、下向きの力およびせん断力は、汚染物質がポリマ鎖および/またはポリマ網目に結合されるようにポリマを汚染物質に接触させることを支援する。一実施形態において、汚染物質は、ファンデルワールス力によってポリマに結合される。別の実施形態において、汚染物質は、ポリマ網目によって取り込まれる。別の実施形態においては、洗浄溶液中のポリマを汚染物質と接触させるのに、下向きの力もせん断力も必要ない。洗浄剤に分散されたポリマは、洗浄剤が基板表面に供給される時に、基板表面上の汚染物質と接触する。ポリマによって結合および/または取り込まれた汚染物質は、基板表面から洗浄剤を除去するリンス工程中に、洗浄剤と共に基板表面から除去される。
【0077】
図4Dは、基板420上に洗浄剤を供給する洗浄ヘッド420’’の断面図である。洗浄剤は、洗浄剤供給ライン460につながる供給口を通して供給され、真空ライン465につながる真空口によって基板420の表面から除去される。洗浄剤は、洗浄ヘッド420および基板420の間にメニスカス430’を形成する。さらに、表面張力低下ガスの供給ライン467につながる表面張力低下ガスの供給口(図示せず)が設けられており、基板420の表面の表面張力を低減させるために用いられる。一実施形態において、表面張力低下ガスは、イソプロピルアルコール(IPA)および窒素(N2)の混合物を含む。
【0078】
図4Eは、上側洗浄ヘッド(すなわち近接ヘッド)410、下側洗浄ヘッド(すなわち近接ヘッド)410’、および、支持構造419を含む洗浄剤供給アセンブリ418を備えた洗浄システム400’の一実施形態を示す。上側洗浄ヘッド410’は、下側洗浄ヘッド410’の鏡像にあたる。洗浄剤供給アセンブリ418は、制御部419によって制御される。基板420は、基板ホルダ424によって保持されており、上側及び下側洗浄ヘッド410、410’の間を、466の方向に通過する。上側および下側洗浄ヘッド410、410’を用いると、基板の前面および背面の両方が、同時に洗浄される。
【0079】
各洗浄ヘッドは、メニスカス200を形成する洗浄剤を供給するための複数の供給口(またはノズル)を備える。液体は、脱イオン水、洗浄溶液、または、基板160の処理、洗浄、もしくはリンス用に設計されたその他の液体であってよい。複数の真空口114が、メニスカス200の周囲に真空を提供する。真空口114は、メニスカス200の液体と、ノズル112によって供給された空気またはその他の気体などの周囲の流体とを吸引する。特定の実施形態において、ノズル112は、真空口114を取り囲み、イソプロピルアルコール蒸気、窒素、それらの混合物、もしくは、その他の気体、または、気体/液体の二相流体を供給する。ノズル112およびそこから供給された流体は、メニスカス200の表面でコヒーレントな液体/気体の界面を維持するのに役立つ。近接ヘッド構造および動作に関するさらなる詳細は、上記の「関連技術の相互参照」において参照よって組み込まれる。特に、米国特許出願第10/261,839号、第10/330,843号、および、第10/330,897号は、近接ヘッド構造および動作に関するさらなる詳細について参照されている。
【0080】
近接ヘッドを用いて洗浄剤を供給する洗浄装置の詳細については、2006年9月15日出願の米国特許出願(11/532,491)(代理人整理番号LAM2P548B)、「Method and Material for Cleaning a Substrate」、2006年9月15日出願の米国特許出願(11/532,493)(代理人整理番号LAM2P548C)、「Apparatus and System for Cleaning a Substrate」、2006年12月18日出願の米国特許出願(11/641,362)(代理人整理番号LAM2P581)、「Substrate Preparation Using Stabilized Fluid Solutions and Methods for Making Stable Fluid Solutions」、に記載されている。これらの関連特許出願の各々の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0081】
上述の実施形態は例に過ぎない。基板表面上に洗浄剤を供給し、基板表面から洗浄剤を除去するための洗浄ヘッドについて、他の実施形態も可能である。図4Fは、本発明の一実施形態に従って、洗浄剤481を含む洗浄タンク480と、リンス液491を含むリンスタンクとを示す図である。基板420’は、基板キャリア423によって保持されて、まず、タンク480の洗浄剤481に浸漬され、これにより、洗浄剤が基板表面上の汚染物質と接触できるようになる。基板420’は、機械的機構(図示せず)によって洗浄タンク480内の洗浄剤481の中に下げられ、引き上げられる。その後、基板420’は、基板キャリア426によって保持され、洗浄剤を洗い流すために、洗浄タンク490のリンス液491内に浸漬される。機械的機構(図示せず)を用いて、リンスタンク490に対して基板を出し入れする。洗浄剤が、リンスタンク490内で基板420’の表面から離れる時に、汚染物質は、洗浄剤と共に基板表面から除去される。基板420’は、機械的機構(図示せず)によってリンスタンク490内のリンス液491の中に下げられる。図4Fに示した基板の方向は鉛直方向であるが、他の方向も可能である。例えば、基板は、水平方向の姿勢で洗浄タンクおよび/またはリンスタンク内に浸漬されてもよい。
【0082】
図4Gは、基板表面の汚染物質を洗浄するための別の実施形態の洗浄装置499を示す図である。洗浄装置は、基板支持体483を備えた洗浄タンク485を有する。基板420*は、洗浄処理中に回転する基板支持体483上に配置される。洗浄装置499は、基板420*の表面上に洗浄剤を供給する洗浄剤供給ヘッド497を有する。洗浄剤供給ヘッド497(または供給ノズル)は、洗浄剤の貯蔵タンク470に接続される。洗浄装置499は、基板420’’の表面上にリンス液を噴霧するリンス液供給ヘッド498をさらに有する。リンス液供給ヘッド498は、リンス液の貯蔵タンク496に接続されている。基板420*が回転することにより、洗浄剤およびリンス液は、基板表面全体を覆うことができる。洗浄剤が、基板表面上に供給された後に、リンス液が、基板表面から洗浄剤を除去するために供給される。
【0083】
洗浄剤がパターニング済み基板の表面から洗い流された後、パターニング済み基板は、比較的速い速度で基板をスピン(すなわち回転)させることによって乾燥される。スピン中、基板は、図4Gには図示されていないデバイス(または機構)によって固定される。一実施形態では、リンスおよび残留洗浄剤の除去を支援するために、表面張力低下ガスが、パターニング済み基板の表面に供給される。一実施形態において、表面張力低下ガスは、イソプロピルアルコール(IPA)および窒素(N2)の混合物を含む。その他の表面張力低下ガスを用いることもできる。
【0084】
洗浄タンク485は、洗浄処理の廃液を受けることができる。洗浄処理の廃液は、使用済み洗浄剤および使用済みリンス液を含む。一実施形態において、洗浄タンク485は、廃液口403を有しており、廃液口403は、廃液ライン404に接続されている。廃液ライン404は、洗浄タンク485からの洗浄廃液の排出を制御するバルブ405に接続されている。洗浄廃液は、再利用処理部406または廃液処理部407に送られてよい。
【0085】
上述の洗浄剤は、基板表面上に、(トレンチおよび/またはビアによる)ポリシリコン配線または金属相互接続などの微細なフィーチャ(またはトポロジ)を備えた基板の洗浄において特に有利である。これらの微細フィーチャの最小幅(すなわち、クリティカルディメンション)は、45nm、32nm、25nm、または、それ未満である。上述の洗浄剤を用いた先進的な洗浄では、洗浄剤がもたらす金属汚染物質および/または粒子状汚染物質は、可能な限り少ない必要がある。一実施形態では、準備された洗浄剤中の金属汚染物質は、基板表面に供給される前には、すべての金属汚染物質について100ppb(パーツ・パー・ビリオン)未満になるよう規定される。別の実施形態において、準備された洗浄剤中の金属汚染物質は、10ppb(パーツ・パー・ビリオン)未満に規定される。さらに別の実施形態において、準備された洗浄剤中の金属汚染物質は、先進的な洗浄に対しては、1ppb未満に規定される。一実施形態において、準備された洗浄剤に対する粒子の仕様は、基板表面に供給される前には、65nmを越える粒子サイズについては50未満である。別の実施形態において、粒子の仕様は、65nmを越える粒子サイズについて20未満である。別の実施形態において、粒子の仕様は、50nmを越える粒子サイズについて10未満である。さらに別の実施形態において、粒子の仕様は、30nmを越える粒子サイズについて5未満である。金属汚染物質および粒子についての仕様は、より微細な(すなわち小さい)フィーチャサイズを用いるより先進的な技術では、さらに厳格になる。
【0086】
洗浄剤を金属汚染物質の仕様に適合させる(すなわち浄化する)際に、複数の方法およびシステムを利用できる。例えば、洗浄剤中の金属汚染物質は、分別によって除去できる(すなわち、洗浄剤を浄化できる)。一実施形態では、アルコールがポリマの水溶液に加えられる。ポリマは水よりもアルコールに溶けにくいので、より純度の高いポリマが沈殿する。アルコールに加えて、ポリマの水溶液に酸を追加することで、ポリマから金属を分離するのを支援できる。酸は、H+を供給して、ポリマに結合したNa+などの金属イオンと置換させることが可能であり、それによって、ポリマから金属を分離するのに役立つ。金属汚染物質を除去する別の方法は、イオン交換を用いる方法である。洗浄剤は、樹脂の小粒子を充填されたカラムを通され、洗浄剤中の金属イオンを、カラムによって供給された水素イオンに交換される。カラムに酸を満たせば、水素イオンを供給して、Na+などの金属イオンを置換する。Na+は、一例にすぎない。他の金属イオンが、かかる方法およびシステムによって除去されてもよい。また、他の方法が、洗浄剤の浄化に用いられてよい。
【0087】
図4Hは、本発明の一実施形態に従って、基板を洗浄するためのシステム475の概略図を示す。洗浄ヘッド410(すなわち洗浄近接ヘッド)は、図4Aに示したものと同様である。基板420’’は、基板ホルダ(または基板キャリア)424によって保持される。洗浄ヘッド410は、上述の洗浄剤300などの洗浄剤のリザーバ470に接続される。洗浄ヘッド410は、さらに、使用済み洗浄剤のための容器423に接続されており、容器423は、さらに、真空ポンプ425に接続されている。一実施形態において、システム475は、リンス液を供給して基板420’’の表面から洗浄剤を除去するリンスヘッド417を有する。リンスヘッド417は、リンス液のリザーバ471に接続される。一実施形態において、リンスヘッド417は、リンス液供給口および真空口を備えた洗浄ヘッドと同様の構成である。リンスヘッド417は、使用済みリンス液の容器408に接続されており、容器408は、さらに、真空ポンプ425’に接続されている。別の実施形態において、システム475は、基板表面上に残った任意の残留洗浄剤および/またはリンス液を除去する真空ヘッド412を有する。真空ヘッドは、使用済み洗浄剤およびリンス液の廃液容器409に接続されている。廃液容器409は、さらに、真空ポンプ425’’に接続されている。
【0088】
図4Iは、本発明の一実施形態に従って、別の洗浄システム400*を示す断面図である。ウエハ(すなわち基板)420は、洗浄ヘッド410*(すなわち洗浄近接ヘッド)に向かって直線方向に移動する。洗浄ヘッドは、支持構造450(アームであってよい)によって保持される。洗浄ヘッド410は、洗浄剤のリザーバ470に接続されている。洗浄ヘッド410*は、上述の洗浄剤を供給(または分配)する。一実施形態において、洗浄ヘッド410*の長さ440は、ウエハ420の直径451よりも長い。ウエハ420は、洗浄ヘッドの下を1回だけ移動される。別の実施形態において、洗浄ヘッド410*の長さ440は、ウエハ420の直径451よりも短い。ウエハ420は、洗浄ヘッド410*の下を複数回移動され、それにより、ウエハ420全体が確実に洗浄される。
【0089】
図4Iの実施形態には、洗浄ヘッド410*の隣に、リンスヘッド417*が設けられている。洗浄ヘッド410*と同様に、リンスヘッド417*の長さ440’は、ウエハの直径451より長くてもよいし短くてもよい。ウエハ420は、最初に洗浄ヘッド410*の下を移動し、次にリンスヘッド417*の下を移動する。洗浄ヘッド410*は、洗浄剤を供給するためのスリット411*を備える。図4Jは、スリット411*を備えた洗浄ヘッド410*の底面図を示す。リンス液ヘッド417*は、リンス液のリザーバ471に接続されている。一実施形態において、リンスヘッド417*は、リンス液供給口401および真空口402を備えた図4Aおよび4Bの洗浄ヘッド410と同様の構成である。図4Jは、複数の真空口402に取り囲まれた複数のリンス液供給口401を備えたリンスヘッド417*の底面図を示す。リンスヘッド417は、使用済みリンス液の容器408に接続されており、容器408は、さらに、真空ポンプ425’に接続されている。
【0090】
ウエハ420が、洗浄ヘッド410*およびリンスヘッド417*の下を移動する時に、洗浄ヘッド410*は、基板表面上に洗浄剤を供給し、リンスヘッド417*は、ウエハ420の表面から洗浄剤を洗い流す。リンスヘッド417*は、さらに、ウエハ420の表面上の粒子および汚染物質、洗浄剤、並びに、リンス液を含む洗浄廃液を除去する。
【0091】
図4Kは、本発明の一実施形態に従って、洗浄剤準備システム482を示す図である。システム482は、洗浄剤に用いられるポリマを貯蔵するポリマ容器484を有する。ポリマ容器484は、さらに、システム482のプレミックス容器493に供給されるポリマの量を制御する供給制御部488に接続されている。システム482は、さらに、洗浄剤に用いられる溶媒を貯蔵する溶媒容器486を有する。溶媒容器486は、さらに、プレミックス容器493および洗浄剤調整容器495(以下で詳述する)に供給される溶媒の量を制御する供給制御部489に接続されている。さらに、システム482は、洗浄剤に用いられる界面活性剤などの緩衝剤および添加剤を貯蔵する緩衝剤/添加剤容器487を有する。緩衝剤/添加剤容器487は、プレミックス容器493および洗浄剤調整容器495に供給される緩衝剤および添加剤の量を制御する供給制御部492に接続されている。別の実施形態では、洗浄剤に添加剤を入れる必要がなく、その場合、緩衝剤/添加剤容器487内に添加剤は存在しない。さらに別の実施形態において、緩衝剤および添加剤は、別々の容器に収容され、別々の制御部によって制御される。
【0092】
一実施形態において、ポリマ、溶媒、緩衝剤、および、添加剤は、まず、プレミックス容器493で混合される。その後、容器493からの混合物は、金属汚染物質およびその他の汚染物質を混合物から除去するために、浄化器(または浄化システム)494に供給される。一実施形態において、浄化器494は、さらに、混合液から任意の粒子(柔らかいものまたは研磨作用のあるもの)をろ過するためのろ過機能を有する。別の実施形態では、ポリマおよび溶媒だけが、プレミックス容器493で混合される。緩衝剤および添加剤は、プレミックス容器493でポリマおよび溶媒に混合されない。
【0093】
金属汚染物質が除去された後は、さらに、洗浄剤の最終混合物を作成するのに必要なさらなる溶媒、緩衝剤、および、添加剤を追加するために、調整容器495に移される。準備された洗浄剤は、基板洗浄での利用に向けて容器427に貯蔵される。あるいは、浄化器494から出た混合物は、使用できる状態であり、洗浄剤のための調整容器495でさらに処理される必要がない。かかる場合、浄化器494からの混合物が、最終洗浄剤であり、洗浄剤の貯蔵容器427に供給される。別の実施形態において、プレミックス容器493から出た混合物は、使用できる状態であり、浄化器494を通す必要がない。かかる場合、その混合物(洗浄液)は、貯蔵容器427に供給される。
【0094】
システム482は、浄化器494および調整容器495を持たず、プレミックス容器は、混合用容器である。かかる場合、混合された洗浄剤は、貯蔵容器427に直接供給される。一実施形態において、図4A、4E、4G、4H、および、4Iの洗浄剤リザーバ470内の洗浄剤は、洗浄剤の貯蔵容器427からのものである。
【0095】
表1は、BAS中に異なる重量パーセントのCarbopol 941(商標)PAAを含む場合について、粘度、リンス時間、および、粒子除去効率(PRE)を比較したものである。粘度は、500s-1の歪み速度で測定される。リンス時間は、基板表面から洗浄剤を洗い流すのにかかる時間を測定する。PREは、様々なサイズの窒化シリコン粒子を意図的に堆積された粒子監視基板を用いて測定される。本研究では、90nmから1μmの間の粒子サイズのみを測定した。PREは、以下の式(1)で算出される:
PRE=(洗浄前のカウント数−洗浄後のカウント数)/洗浄前のカウント数・・・(1)
【0096】
【表1】

【0097】
表1の洗浄剤は、上述のBAS中に市販のCarbopol 941(商標)PAAを混合することによって作成される。使用されたCarbopol 941(商標)PAA は、1,250,000(すなわち1.25M)g/molの分子量を有する。表1の結果によると、PREは、Carbopol 941(商標)PAAの重量%が約0.5%になるまではそれと共に増大することが示されている。0.5%および1%のポリマの間では、PREに有意差はない。結果は、洗浄剤の粘性が、ポリマの重量パーセントと共に増大することも示している。さらに、洗浄剤を洗い流すのにかかるリンス時間は、洗浄剤の粘性と共に増大する。基板をリンスするために、水が用いられる。
【0098】
表2は、異なる洗浄剤について、洗浄剤中に粒子を取り込む、または、懸濁させる能力を比較したものである。意図的に窒化シリコン粒子を洗浄剤に加える。窒化シリコン粒子を加えた後、洗浄剤は、洗浄基板上に供給される。次いで、洗浄剤は、基板から洗い流され、その後、基板は、表面上の粒子(窒化シリコン)の数を測定される。
【0099】
【表2】

【0100】
5種類の溶液を洗浄剤として用いた。第1の種類の洗浄剤「DIW」は、脱イオン水である。第2の種類の洗浄剤は、アンモニウムを加えてpH値を10よりも高く調整したDIWである。第3の種類は、BASに1重量%のADSを加えた溶液「100」である。上述のように、溶液「100」のpH値は、10である。第4の種類の洗浄剤は、「100」溶液に0.2重量%のCarbopol 940(商標)PAA を溶かしたものである。Carbopol 940(商標)PAAの分子量は、4M(すなわち400万)g/molである。第5の種類は、溶液「100」に0.5重量%のPAMを溶かしたものである。PAMの分子量は、18Mg/molである。第5の洗浄剤のpH値は、約10である。5種類の洗浄剤は、2種類の量(1Xおよび50X)の窒化シリコン粒子を混合される。50Xの窒化シリコン粒子の数は、1Xの粒子数の50倍である。1Xの窒化物粒子は、窒化物粒子の重量%が0.00048%であることを表し、50Xの窒化物粒子は、窒化物粒子の重量%が0.024%であることを表す。
【0101】
結果によると、DIWは、DIW中に窒化シリコンを懸濁させ保持することにはそれほど優れていないことが示された。(飽和した)窒化シリコン粒子の大部分は、基板表面上に残される。表2で用いた「飽和」という記述は、75,000以上の粒子(または欠陥)のカウント数を表す。対照的に、「100」中の0.2%Carbopol 940(商標)PAAおよび「100」中の0.5%PAMは、洗浄剤中に窒化シリコン粒子を懸濁させることについて、ずっと優れている。「100」中の0.5%PAMは、洗浄剤に加えられた窒化シリコン粒子の取り込みまたは懸濁に特に優れている。洗浄剤中の窒化シリコン(すなわち、Si34)粒子は、1X窒化シリコン粒子については53、50X窒化シリコン粒子については104と、少数のみが基板表面上に残った。
【0102】
洗浄剤中に用いられるポリマの分子量は、粒子除去効率(PRE)に影響しうる。図5Aは、「100」中に1%(重量%)のPAAを含む洗浄剤と、「100」中に1%(重量%)のヒドロキシエチルセルロース(HEC)を含む洗浄剤によって、基板上の90nmより大きい窒化シリコン粒子を除去した時のPREを、これらの2種類のポリマの分子量の関数として示すグラフである。図5Aのデータによると、PREは、HECの分子量が100,000g/molから1M(すなわち、1,000,000)g/molまで大きくなるにつれて増大することが示されている。また、図5Aのデータによると、PREは、PAAの分子量が500,000g/molから1Mg/molまで大きくなるにつれて増大することが示されている。しかしながら、PREは、PAAについて、1Mg/molから1.25Mg/molの間ではあまり変化しない。図5Bは、「100」中に1%(重量%)のPAMを含む洗浄剤によって、基板上の90nmより大きい窒化シリコン粒子を除去した時のPREを、PAMの分子量の関数として示すグラフである。図5Bのデータによると、PREは、PAMの分子量が500,000g/molから18Mg/molまで大きくなるにつれて増大することが示されている。両方のグラフのデータは、PREに対する分子量の影響を示している。
【0103】
上述のように、洗浄剤の粘度は、基板表面から洗浄剤を除去するためのリンス時間に影響する。図5Cは、脱イオン(DI)水に0.2重量%〜1重量%のPAMを溶かした洗浄剤に塩化アンモニウム(NH4Cl)を加えた結果を示している。PAMの分子量は、18Mg/molである。添加された塩化アンモニウムは、洗浄剤中でイオン化して、洗浄剤にさらなるイオンを供給し、洗浄剤のイオン強度を増大させる。増大したイオン強度は、洗浄剤の粘度を低下させる。例えば、1.5重量%の塩化アンモニウムは、1重量%のPAMを含む洗浄剤について、約100cPから60cPまで粘度を低下させうる。また、1.5重量%の塩化アンモニウムは、0.5重量%のPAMを含む洗浄剤については、約50cPから約25cPまで粘度を低下させうる。粘度を低下させると、基板表面から洗浄剤をリンスするのにかかる時間が短くなる。一実施形態において、洗浄剤の粘度は、製造目標を達成するために妥当な時間枠内で基板の洗浄を実行できるように、500cP以下に維持される。
【0104】
図6Aは、本発明の一実施形態に従って、分子量の大きい高分子化合物のポリマを含む洗浄剤を用いてパターニング済み基板を洗浄するための処理フロー600を示す。洗浄剤については、上述した。工程601で、パターニング済みの基板が、洗浄装置内に設置される。工程602で、洗浄剤が、パターニング済み基板の表面上に供給される。工程603で、洗浄剤を洗い流すために、リンス液が、パターニング済み基板の表面上に供給される。リンス液については、上述した。一実施形態では、リンス液が基板表面上に供給された後、基板表面上のリンス液、洗浄剤、および、汚染物質を、真空によってパターニング済み基板から除去することができる。
【0105】
図6Bは、本発明の一実施形態に従って、パターニング済み基板を洗浄するための洗浄剤を準備する処理フロー650を示す。洗浄剤は、上述のように、分子量の大きい高分子化合物のポリマを含む。工程651で、ポリマ、溶媒、および、添加剤(緩衝剤および/または界面活性剤など)などの材料が混合され、洗浄剤または洗浄剤のプレミックスを形成する。工程653で、洗浄剤(またはプレミックス)は、金属汚染物質が1ppb未満になるように浄化される。浄化処理の後に、所望の処方に洗浄剤を回復させるために、いくらかの添加物、溶媒、および/または、緩衝を添加することが必要になることがある。かかる場合には、添加剤、溶媒、および/または、緩衝剤を加えて、洗浄剤の最終産物を生成する。
【0106】
上述のように、洗浄剤から金属汚染物質を取り除くために洗浄剤を浄化する方法は複数ある。また、浄化は、洗浄剤準備処理中に実行されてもよい。図6Cは、本発明の別の実施形態に従って、パターニング済み基板を洗浄するための洗浄剤を準備する処理フロー670を示す。工程671で、高分子化合物および一部の溶媒が混合され、混合物を形成する。工程672で、ポリマおよび溶媒の混合物は、金属汚染物質が1ppb未満になるように浄化される。工程673で、ポリマおよび溶媒の混合物は、残りの原料と混合されて、洗浄剤を形成する。洗浄剤の浄化については、他の実施形態も可能である。
【0107】
上述の洗浄剤、装置、および、方法は、フィーチャを損傷することなく微細なフィーチャを備えたパターニング済みウエハを洗浄するのに有効である。洗浄剤は、液相または液/気相(泡)の流体であり、デバイスフィーチャの周りで変形するため、洗浄剤がデバイスフィーチャを損傷することはない。液相の洗浄剤は、液体、ゾル、または、ゲルの形態であってよい。分子量の大きい高分子化合物のポリマを含む洗浄剤は、基板上の汚染物質を捉える。さらに、洗浄剤は、汚染物質を取り込み、基板表面に汚染物質を戻さない。分子量の大きい高分子化合物のポリマは、長いポリマ鎖を形成しており、ポリマ鎖は、さらに、架橋されてポリマ網目を形成しうる。長いポリマ鎖および/またはポリマ網目は、従来の洗浄剤と比較して、汚染物質を捉えて取り込む能力が高い。
【0108】
洗浄剤は、基板表面から汚染物質または粒子を除去するために基板表面上に供給される前には、変形不可能な粒子(または研磨粒子)を実質的に含まない。変形不可能な粒子は、スラリまたは砂の中の粒子などの硬い粒子であり、パターニング済み基板上の微細なデバイスフィーチャを損傷しうる。基板洗浄処理中に、洗浄剤は、基板表面から汚染物質または粒子を収集する。しかしながら、洗浄剤が基板洗浄のために基板表面上に供給される前に、変形不可能な粒子が洗浄剤に意図的に混合されることはない。
【0109】
上述の実施形態では、パターニング済み基板を洗浄するための材料、方法、および、システムについて説明したが、これらの材料、方法、および、システムは、パターニングされていない基板(すなわち、ブランク基板)の洗浄にも利用可能である。
【0110】
上記の記載では、パターニング済みウエハから汚染物質を洗浄することに焦点を置いたが、洗浄装置および方法は、パターニングされていないウエハから汚染物質を洗浄するために用いられてもよい。さらに、上述のパターニング済み基板上のパターンの例は、ポリシリコン配線または金属配線など、突出した配線である。しかしながら、本発明の概念は、埋め込み型のフィーチャを備えた基板にも適用できる。例えば、CMP後に奥まったビアが、ウエハ上にパターンを形成する場合があり、チャネルの最適な設計を用いて、最良の汚染物質除去効率を達成することができる。
【0111】
本明細書で一例として用いた基板は、半導体ウエハ、ハードディスク、光学ディスク、ガラス基板、平面ディスプレイの表面、液晶ディスプレイの表面など、製造や取り扱いの動作の際に汚染される場合があるものを意味するが、これらに限定されない。実際の基板によって、表面で起こりうる汚染の様式は様々であり、汚染の許容レベルは、基板を取り扱う個々の工業分野で規定される。
【0112】
本明細書では、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明したが、本発明の趣旨や範囲を逸脱することなく、様々な他の具体的な形態で本発明を実施できることは、当業者にとって明らかである。したがって、上述した例および実施形態は、例示に過ぎず、限定の意図はないため、本発明は、本明細書に記載した詳細事項には限定されず、添付した特許請求の範囲内で変型および実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面上に供給されて、前記表面から汚染物質を除去するための洗浄剤であって、
溶媒と、
前記洗浄剤の水素イオン指数(pH)値を変化させるための緩衝剤であって、前記溶媒と共に洗浄溶液を形成する緩衝剤と、
10,000g/molを越える分子量を持つ高分子化合物のポリマと
を備え、
前記ポリマは、前記洗浄剤を形成するために前記洗浄溶液に溶解可能になり、前記溶解されたポリマは、集積回路デバイスを規定する前記パターニング済み基板の前記表面から前記汚染物質の少なくとも一部を捉えて取り込むために長いポリマ鎖を有し、前記洗浄剤は液相として規定され、前記パターニング済み基板を覆う前記洗浄剤に力が加えられた時に、前記洗浄剤は、前記パターニング済み基板の前記表面上のデバイスフィーチャの周りで変形し、前記洗浄剤は、前記パターニング済み基板の前記表面上に供給されて、前記表面上の前記デバイスフィーチャを実質的に損傷することなく前記表面から汚染物質を除去し、前記洗浄剤は、前記パターニング済み基板の前記表面上に供給される前には研磨粒子を実質的に含まない洗浄剤。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記溶媒は、水、イソプロピルアルコール(IPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、または、それらの組み合わせからなる群より選択される洗浄剤。
【請求項3】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記高分子化合物は、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリアクリル酸(PAA)(Carbopol 940(商標)およびCarbopol 941(商標)など)、PAMおよびPAAのコポリマ、ポリ−(N,N−ジメチルアクリルアミド)(PDMAAm)、ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリメタクリルアミド(PMAAm)などのアクリルポリマ;ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)などのポリイミンおよび酸化物;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンスルホン酸(PESA)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ−4−ビニルピリジン(P4VP)などのビニルポリマ;メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体;アカシア、寒天およびアガロース、ヘパリン、グアーガム、キサンタンゴムなどの多糖類;アルブミン、コラーゲン、グルテンなどのタンパク質、からなる群より選択される洗浄剤。
【請求項4】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記分子量は、約0.1Mg/molから約100Mg/molの間である洗浄剤。
【請求項5】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記洗浄剤中の前記ポリマの重量パーセントは、約0.001%から約10%の間である洗浄剤。
【請求項6】
請求項1に記載の洗浄剤であって、さらに、
前記洗浄溶液中の前記ポリマを分散または湿潤させるのを補助するために界面活性剤を含む洗浄剤。
【請求項7】
請求項6に記載の洗浄剤であって、前記界面活性剤は、ドデシル硫酸アンモニウム(ADS)である洗浄剤。
【請求項8】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記洗浄剤は、液体、ゾル、または、ゲルの形態の流体である洗浄剤。
【請求項9】
請求項8に記載の洗浄剤であって、前記洗浄剤は、前記洗浄溶液中に溶解したポリマの液滴を含む液相のエマルションである洗浄剤。
【請求項10】
請求項1に記載の洗浄剤であって、さらに、
気体を含み、前記洗浄剤は、液相および気相を含む二相を備えた泡である洗浄剤。
【請求項11】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記pH値は、フロントエンド用途に対しては約7から約12の間である洗浄剤。
【請求項12】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記pH値は、バックエンド用途に対しては約1から約7の間である洗浄剤。
【請求項13】
請求項1に記載の洗浄剤であって、さらに、
前記洗浄溶液内でイオン化して、前記洗浄剤のイオン強度を増大させ、前記洗浄剤の粘度を低下させるイオン供給化合物を備える洗浄剤。
【請求項14】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記ポリマは、ポリマ鎖を形成し、少なくとも一部は、イオン力、静電力、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、立体相互作用、または、化学結合の影響を受けて、汚染物質を捉えて取り込む洗浄剤。
【請求項15】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記洗浄剤の粘度は、500cP未満である洗浄剤。
【請求項16】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記デバイスフィーチャのフィーチャサイズは、約45nm以下のクリティカルディメンションを有する洗浄剤。
【請求項17】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記長いポリマ鎖の一部は、前記汚染物質を捉えて取り込むことを支援するポリマ網目を形成するように架橋される洗浄剤。
【請求項18】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記洗浄剤の金属汚染物質は、1ppb未満である洗浄剤。
【請求項19】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記洗浄剤の粒子状汚染物質は、65nm以上の粒子サイズについて20未満である洗浄剤。
【請求項20】
請求項1に記載の洗浄剤であって、前記高分子化合物は、ポリアクリルアミド(PAM)であり、PAMの分子量は、500,000g/mol以上である洗浄剤。
【請求項21】
集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面に供給されて、前記表面から汚染物質を除去するための洗浄剤であって、
溶媒と、
前記溶媒に溶解可能になった時に、ゲルの形態のポリマ鎖およびポリマ網目を形成するのに十分な大きさの分子量を有するポリマと
を備え、
前記溶媒および前記溶解されたポリマは、前記洗浄剤を形成し、前記洗浄剤が前記パターニング済み基板の前記表面上に供給される前に含む金属汚染物質は、1パーツ・パー・ビリオン(ppb)未満であり、前記ポリマ鎖およびポリマ網目を含む前記ポリマは、集積回路デバイスを規定する前記パターニング済み基板の前記表面から前記汚染物質を捉えて取り込み、前記パターニング済み基板の前記表面を覆う前記洗浄剤に力が加えられた時に、前記洗浄剤は、前記パターニング済み基板の前記表面上のデバイスフィーチャの周りで変形し、前記洗浄剤は、前記基板の前記表面上に供給されて、前記表面上の前記デバイスフィーチャを実質的に損傷することなく前記表面から汚染物質を除去し、前記洗浄剤は、前記パターニング済み基板の前記表面上に供給される前には研磨粒子を実質的に含まない洗浄剤。
【請求項22】
集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面上に供給されて、前記表面から汚染物質を除去するための洗浄剤であって、
溶媒と、
前記洗浄剤の水素イオン指数(pH)値を変化させるための緩衝剤であって、前記溶媒と共に洗浄溶液を形成する緩衝剤と、
500,000g/mol以上の分子量を持つポリアクリルアミド(PAM)のポリマと
を備え、
前記ポリマは、前記洗浄剤を形成するために前記洗浄溶液に溶解可能になり、前記洗浄剤が前記パターニング済み基板の前記表面上に供給される前に含む金属汚染物質は1ppb未満であり、前記洗浄剤のpH値は約7から約12の間であり、前記溶解されたポリマは、集積回路デバイスを規定する前記パターニング済み基板の前記表面から前記汚染物質の少なくとも一部を捉えて取り込むために長いポリマ鎖を有し、前記洗浄剤は液相として規定され、前記パターニング済み基板を覆う前記洗浄剤に力が加えられた時に、前記洗浄剤は、前記パターニング済み基板の前記表面上のデバイスフィーチャの周りで変形し、前記洗浄剤は、前記パターニング済み基板の前記表面上に供給されて、前記表面上の前記デバイスフィーチャを実質的に損傷することなく前記表面から汚染物質を除去し、前記洗浄剤は、前記パターニング済み基板の前記表面上に供給される前には研磨粒子を実質的に含まない洗浄剤。
【請求項23】
集積回路デバイスを規定するパターニング済み基板の表面上に供給されて、前記表面から汚染物質を除去するための洗浄剤であって、
溶媒と、
前記洗浄剤の水素イオン指数(pH)値を変化させるための緩衝剤であって、前記溶媒と共に洗浄溶液を形成する緩衝剤と、
500,000g/mol以上の分子量を持つCarbopol(商標)のポリマと
を備え、
前記ポリマは、前記洗浄剤を形成するために前記洗浄溶液に溶解可能になり、前記洗浄剤が前記パターニング済み基板の前記表面上に供給される前に含む金属汚染物質は1ppb未満であり、前記溶解されたポリマは、集積回路デバイスを規定する前記パターニング済み基板の前記表面から前記汚染物質の少なくとも一部を捉えて取り込むために長いポリマ鎖を有し、前記洗浄剤は液相として規定され、前記パターニング済み基板を覆う前記洗浄剤に力が加えられた時に、前記洗浄剤は、前記パターニング済み基板の前記表面上のデバイスフィーチャの周りで変形し、前記洗浄剤は、前記パターニング済み基板の前記表面上に供給されて、前記表面上の前記デバイスフィーチャを実質的に損傷することなく前記表面から汚染物質を除去し、前記洗浄剤は、前記パターニング済み基板の前記表面上に供給される前には研磨粒子を実質的に含まない洗浄剤。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公表番号】特表2011−507271(P2011−507271A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537991(P2010−537991)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/013714
【国際公開番号】WO2009/078975
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】