説明

印刷はんだ検査装置

【課題】
印刷はんだ状態の良否の判定に対応して、良否判定を視覚的に確認できるよう、印刷はんだ状態を示す画像を容易に観察しやすくした印刷はんだ検査装置の提供である。
【解決手段】
上記課題を達成するため、画像形成手段9が、印刷はんだ状態の判定と対応関係の取りやすい測定値に基づく3次元画像データであって、基板の所望の一部領域を所望の角度で臨んだ3次元画像を形成して、該角度を変更指定可能に表示手段12bに表示するとともに、撮影手段11が、この3次元画像に対応する、同じ領域を同じ角度で臨んだ実画像を、3次元画像に連動した角度で撮影し、3次元画像と同時に表示する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等を表面実装するためのプリント板上に、はんだ印刷装置等でクリーム状はんだが印刷されたときの印刷はんだ形成状態を測定し、検査する印刷はんだ検査装置に関する。
【0002】
特に、基板(以下、プリント板を単に「基板」と言う。)を光学的に測定した結果として得られた測定値、例えば、基板上の印刷はんだ箇所の変位(高さを含む)或いは輝度(基板から反射した光の量、受光量(光の強さ)を含む。)の測定値から、はんだ印刷されたときの印刷はんだ量を表す要素となる画像データ(高さ、面積、或いは体積等のデータ:以下、これらの一部又は全部を「判定用画像データ」という。)に変換して、その判定用画像データを判定の基準となる基準データと比較して判定する検査装置(方法)においては、基板の印刷はんだ箇所のパターン形状、印刷はんだ状態、測定条件、雑音、上記のデータを変換する条件等及びそれらの組み合わせからして高度の判定が要求されるため、上記判定手段による判定結果、特に否と判定された結果については、印刷はんだされた状態を、視覚的に確認することがしばしば行われている。本発明は、上記判定用画像データに近い3次元画像、及び撮影された実画像を基に、容易に、比較視認できるようにするための技術に係る。
【背景技術】
【0003】
従来、基板上のはんだ等の状態を光学的に測定する方法としては、レーザ光を走査しながら照射して三角測量する方法(特許文献1)、や照射光を照射して撮影(撮像)する方法(特許文献2)があるが、いずれの印刷はんだ検査装置においても、測定値をデジタル化して判定用画像データを形成して、基準の画像データと比較して印刷はんだ状態の良否を判定していた。例えば、特許文献1では、3次元の判定用画像データを生成して体積、面積を判定している。しかし、実際に測定値から判定用画像データに変換するときは、基板の測定条件、雑音、データを変換する条件等の数々条件を反映して、例えば、フィルタ条件等でフィルタリングして雑音を除去し、はんだを識別するためのしきい値で2値データに変換するなどの処理をした上で、面積や体積等の印刷はんだ量を表す判定用画像データを作るという加工処理をしている。それに対し、作業者は、従来の目視検査に慣れていることもあって、問題があると現物の印刷はんだ箇所を確認する作業が発生する。また、本当に否と判定された箇所についてその原因を調査するために現物の印刷はんだ箇所を確認することが行われる。
【0004】
現物の印刷はんだ箇所を確認するにあたっては、直接確認するより、机上の表示画面で容易に現物に近い確認ができることが望ましい。そこで、上記の走査しながら三角測量する測定方法においては、測定値を基にデジタル化したデータから形成した3次元の画像を所望の角度から観察できるように表示して、判定が否とされた箇所の印刷はんだ状態を確認できるようにしていた。一方で、上記の撮影して測定する方法では、撮影しているその撮影画像そのものを表示して確認できるようにすることができる。
【0005】
また、はんだ状態の外観検査装置としては、レーザ光の死角を無くして精度向上のため、レーザ光をスリット光に変換して照射し、レーザとカメラを一体的に回転させて外観検査を行っているものがある(特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−22412号公報(段落〔0030〕−〔0034〕、図4)
【特許文献2】特開2000−65552号公報(請求項1、段落〔0030〕−〔0043〕、図2)
【特許文献3】特開平5−018723号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1の走査しながら三角測量する測定方法においては、同一の測定値(デジタルデータ)を基に、判定する判定用画像データと、観察確認用の画像データ(3D画像)を形成しているので、対応関係が明瞭である。しかし、この観察確認用の画像は、上記したように各種の処理を施されてデジタル化されたデータにより形成されているため、目視検査に慣れている作業者にとって、感覚的に見づらいという印象を与える欠点があり、アナログに近い画像表示が要求されていた。
【0008】
一方、上記の特許文献2の撮影して測定する方法では、撮影しているその撮影画像(実画像)そのものを表示するので、感覚的にはかなりアナログ的に確認しやすい画像で表示されるが、判定される判定用画像データとの対応関係が必ずしも良くないことと、これまでの製品では、基板の上部から一方向で固定的に撮影したものが多く、高さ方向の確認が容易でないという欠点があった。
【0009】
特許文献3の技術では、斜めから撮影し外観検査が死角なく行えるが、良否判定の測定、判定とは別個の技術であり、上記特許文献2と同様の問題が生じる。
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を改良するものであって、印刷はんだ状態の良否と対応して、容易に観察しやすい画像情報を提供できる印刷はんだ検査装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため、本発明は、印刷はんだ状態の判定と対応関係の取りやすい3次元画像データであって、基板の所望の一部領域を所望の角度で臨んだ3次元画像を形成して表示するとともに、この3次元画像に対応する、同じ領域を同じ角度で臨んだ実画像を、同時に表示するように構成した。
【0012】
さらに、表示された3次元画像の臨む角度を変更すると、実画像も連動して同じ角度から臨んだ実画像となるようにして、色々な角度から容易に確認できる構成とした。
【0013】
なお、従来技術として上記2種類の測定方法の印刷はんだ検査装置を挙げたが、本発明は、原則として、いずれの測定方法にも適用できるものである。また、上記「実画像」は、CCDカメラ等で撮影されてデジタル的に記憶される画像を含む。CCDカメラ等で撮影した画像データを他の目的、例えば、判定に用いる判定用画像データに加工処理して変換して、変換された判定用画像データに基づく画像は、「実画像」に含めない。
【0014】
具体的には、請求項1に記載の発明は、プリント板の表面に光を照射させ、その反射光から得られるプリント板表面の各位置における高さの測定値を取得する測定手段と、該測定値を記憶する測定値記憶手段とを有し、該測定値記憶手段の測定値に基づいてはんだの印刷状態を検査し、前記プリント板表面の3次元画像を表示手段に表示する印刷はんだ検査装置において、
前記プリント板表面の所望の一部領域を前記測定値記憶手段に格納された測定値に基づいて、所望の角度から臨んだ該一部領域の3次元画像として形成する画像形成手段と、
前記一部領域の3次元画像に対応する実画像を得るための、カメラを含む撮影手段にして、該カメラを前記プリント板表面の前記所望の一部領域との相互の位置を制御する手段を有する前記撮影手段と、
前記一部領域の3次元画像と対応する実画像を同時に表示させる表示制御手段とを備えた。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記表示制御手段は、前記同時に表示する前記3次元画像を、その臨む所望の角度に変更指定可能に表示させ、かつ操作手段による変更指定に追随して角度変更された該3次元画像を表示させ、前記撮影手段は、該変更指定された角度に追随して前記カメラを移動させて前記一部領域を撮影し、さらに、前記表示制御手段は、前記撮影手段による実画像の撮影に応答して、先に同時表示した実画像を更新して表示させる構成とした。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記表示制御手段は、前記プリント板表面のはんだの領域を示すレイアウトを、前記所望の一部領域を指定可能に前記表示手段に表示させるとともに、操作手段によって該所望の一部領域が指定されたとき、該所望の一部領域についての領域情報を出力し、
前記画像形成手段は、該領域情報を受けて、前記測定値記憶手段から前記所望の一部領域についての測定値を読み出す観測領域アクセス手段と、前記読み出された測定値を基に、所定の角度から臨んだ前記3次元画像として形成する3D画像形成手段とを備え、
さらに、前記表示制御手段は、該所定の角度から臨んだ3次元画像を所望の角度に変更指定可能に前記表示手段に表示させるとともに、前記操作手段によって変更指定されたときは、前記3D画像形成手段は、前記所定の角度を該所望の角度に変更した前記3次元画像を形成し、前記撮影手段は、前記領域情報、及び前記所定の角度もしくは前所定の角度が変更指定されたときは前記所望の角度についての角度にしたがって、前記カメラを移動制御して撮影する構成とした。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記はんだの印刷状態を検査するために、前記測定値記憶手段の測定値に基づいて、前記はんだの領域毎に前記印刷状態の良否を判定するとともに、少なくともその判定結果が否と判断されたはんだの領域について前記所望の一部領域の領域情報として出力する判定手段を備え、
前記画像形成手段は、該領域情報を受けて、前記測定値記憶手段から前記所望の一部領域についての測定値を読み出す観測領域アクセス手段と、前記読み出された測定値を基に、所定の角度方向から臨んだ所望の前記3次元画像として形成する3D画像形成手段とを備え、
さらに、前記表示制御手段は、前記所望の3次元画像を、臨む角度を指定可能に前記表示手段に表示させるとともに、前記操作手段によって、前記所望の角度が変更指定されたときは、前記3D画像形成手段は、前記所定の角度方向を所望の角度に変更して前記3次元画像を形成し、前記撮影手段は、前記領域情報、及び前記所定の角度もしくは前所定の角度が変更指定されたときは前記所望の角度にしたがって前記カメラを移動制御し撮影する構成とした。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項2、3又は4に記載の発明において、前記撮影手段は、前記カメラと、該カメラを、前記プリント板に対して相対的に位置及び角度を移動可能に支持する移動機構部と、該移動機構部に対して、前記カメラを、前記領域情報及び前記所定の角度もしくは前所定の角度が変更指定されたときは前記所望の角度についての角度情報にしたがって移動させるように制御する移動制御部とを備えた。
【0019】
請求項6に記載の発明は、プリント板の表面にレーザ光を照射させ、その反射光から得られるプリント板表面の各位置における高さの測定値を取得する測定手段と、
該測定値を記憶する測定値記憶手段と、前記測定値を基に該印刷はんだ基板上のはんだ状態の良否判定を行う判定手段と、
前記プリント板表面の一部領域における、前記測定値記憶手段に格納された測定値に基づいて、該一部領域を所定の角度から臨んだ3次元画像として形成する画像形成手段と、
カメラを有し、該カメラを前記プリント板表面に対して、前記一部領域を前記所定の角度から臨んだ位置に移動して撮影することによって、実画像を取得する撮影手段と、
表示手段と、操作手段と、前記プリント板のレイアウトを該レイアウト内の前記一部領域が指定可能に、前記3次元画像を前記所定の角度が指定可能に、及び前記実画像を同時に表示し、前記操作手段により前記一部領域又は該角度が指定されたことによって、前記表示された3次元画像及び実画像を該指定された領域を指定された角度から臨む3次元画像及び実画像に更新して表示させる表示制御手段とを含むユーザインターフェース手段と、を備えた。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記判定手段は、少なくとも、前記はんだ状態を否と判定した箇所の位置を検出し、前記表示制御手段は、前記否と判定された箇所の位置を前記レイアウト上に識別可能に、かつ前記操作手段により指定可能に表示させる構成とした。
【発明の効果】
【0021】
請求項1又は6に記載の発明は、そのために、測定値の基にした3次元画像を形成し、所望の一部領域を所望の角度で臨んだこの3次元画像と実画像が同時に表示されることから、感覚的にも視認しやすく、目視比較が容易である。また、判定結果、3次元画像、実画像の対応関係がとりやすい。
【0022】
請求項2又は3に記載の発明は、3次元画像をベースに、臨む角度を指定することにより、連動して同じ角度の実画像が表示されるので、操作が容易である。さらに、実際は、角度を指定すると、指定された角度からの3次元画像が即表示される。或いは、言い換えると、表示画面上で3次元画像の臨む角度を指定して変更することになる。一方、カメラは、位置を移動し、角度を変更する動作が必要である。したがって、3次元画像上で所望の角度をいろいろ変更してみて、選択後に、カメラによる実画像を取得し、同時表示することができる。また、請求項3は、レイアウト画面の上で容易に、所望の位置を指定できる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、特に観察したい箇所である、判定手段により否とされた箇所を含む一部領域について所望の角度からの3次元画像及び実画像を表示できるので、操作が容易である。
【0024】
請求項5に記載の発明は、カメラがプリント板上の所望の位置を所望の角度から臨めるようにした。
【0025】
請求項7に記載の発明は、レイアウト画面の上で、特に観察したい箇所である、判定手段で否と判定された箇所を容易に指定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施形態を図1〜図6を用いて説明する。図1は、本発明の構成を示す機能ブロック図である。図2は、図1の表示画面の表示の仕方を説明するための図、図3は、同時表示の例を示す図である。図4〜図6は、図1における移動機構部5を説明するための図である。
【0027】
[測定、判定及び3次元画像生成に係る構成の説明]
図1において、センサ3、移動台2及びセンサ3をプリント板1(以下。基板1と言う。)に対して相対的に移動走査させる移動機構部5、及び移動機構部5に対して基板1のレイアウトを基に、基板1の上を移動制御部4aを介して走査させる測定制御手段4によって、測定手段100を構成している。同様にして、カメラを基板1に対して相対的に移動させ、かつその臨む角度を変更する移動機構部5(図2を基に後記する。)、及び移動機構部5に対して基板1のレイアウトを基に、基板1の上を移動させ、かつ撮影角度を制御する移動制御部4aによって、撮影手段11を構成している。なお、撮影については、後記の[撮影に係る構成の説明]の中で説明する。
【0028】
図1における上記、測定手段100は、いわば、レーザ変位計の例であって、センサ3は、基板1に対して走査してX軸、Y軸の各方向にレーザを照射可能なレーザ光源と、基板1からの反射光を受光する受光手段からなり、特にはんだが印刷された印刷はんだ箇所の変位、つまり印刷はんだ箇所の高さ(Z軸方向)をその印刷はんだ箇所の位置と対応づけて測定する。そのときはんだ面からは、位置に対応した受光量(輝度)も得られる。レーザ変位計としての詳細の動作説明は省くが、原理としては、同一出願人が出願している特開平3−291512号公報のものがあり、その第4図及び第7図とそれらの説明のものと同様である。
【0029】
測定制御手段4は、検査対象である基板1を設計したときの印刷はんだ箇所或いはレジスト箇所等のレイアウト(図2(a)にその一部だけを模式的に示したものを示す。)が後記する設計情報記憶手段13に記憶されているので、そのレイアウトを受けて、そのレイアウトに沿って相対的にセンサ3に対して走査測定を行わせ、前記センサ部2aが印刷はんだ箇所の位置に対応して、検出した上記の変位量及び/又は受光量を測定値として出力し、測定値記憶手段6に記憶させる。上記相対的な走査は、例えば、移動制御部4aが、レイアウトのX軸方向にセンサ3を移動させることにより主走査し、Y軸方向に沿って移動台2を移動させて副走査させることにより行っている。したがって、測定値は、レイアウト上のX、Yの位置におけるZ軸(高さ)方向のデータ(変位量)を得ることになる。
【0030】
なお、センサ3の代わりに、カメラ11a(例えば、CCDカメラ)により、撮影のための光を照射して撮影し、撮影したデータから上記のような位置に対応した輝度を測定値として取得し、測定値記憶手段6に記憶する構成としてもよい。以下の例は、センサ3を用いた例で説明する。
【0031】
設計情報記憶手段13は、設計した基板1のはんだ箇所、やレジスト箇所を示すレイアウトと、判定手段8によって、はんだ状態の良否を判定するときの基準となる基準データを、予め記憶している。レイアウトは、検査対象とする基板1の設計されたときの配置図であって、例えば図2(a)に模式的に示すように、印刷はんだ箇所、印刷はんだののらないレジスト箇所及び位置の基準となる認識マーク(不図示)等の基板上の配置情報を記憶している。このレイアウトそのものを画像として(レイアウト画面として)、表示制御手段12aを介して表示手段12bに表示することができる。また、基板1を検査して良否判定を行うための基準データとして、検査対象とする基板1に対応して記憶している。これらの基準データは、具体的には、例えば印刷はんだ箇所の高さ、面積、体積、及び印刷はんだの欠損等の値をはんだ箇所毎に準備され、判定用画像データ生成手段7が生成する判定用画像データに対応して準備されている。また、これらの基準データは、印刷はんだ箇所の印刷はんだを量的(画像的)に認識しやすい情報である。
【0032】
なお、検査対象の基板1の種類が多い場合は、それらの基板情報を設計情報記憶手段13に識別情報を付して記憶しておき、識別情報のリスト及び/又はレイアウト画面を表示手段8に表示して操作手段4で画面上でマーカ等により指定することによって選択できるようにしている。
【0033】
判定用画像データ生成手段7は、測定値記憶手段6に記憶されている基板1の印刷はんだ箇所の位置とその位置における変位データ(変位量)又は輝度データ(受光量)等を受けて、上記したフィルタ、はんだブリッジやはんだパターンエッジ等の繊細パターンを識別する感度を示す数々の所定の画像パラメータ値を基に、測定データを各印刷はんだ箇所の印刷はんだ量を表す判定用画像データに加工処理する。また、判定用画像データ生成手段7は、測定値(2値化されたデータ)を用いて印刷はんだ箇所における高さ、面積及び/又は体積等の演算を行う演算する手段等を有している。
【0034】
そして、判定用画像データとしては、印刷はんだ箇所におけるはんだ量を表す要素となるデータであって、上記基準データと同様に、それぞれのはんだ箇所の高さ、面積、体積、及び欠損(存在すべきはんだ量が無い状態の検出)等がある。これら高さ、面積、体積等のデータは3次元画像情報或いはその要素ともなりうる情報である。なお、基板1の良否を判定するには上記の画像の全てを必要とするとは限らないが、高さ、面積、体積の内、少なくともいずれか1つは不可欠である。判定にあたって、検査しようとする基板1の判定用画像データとして何を用いるか、或いはどの判定用画像データの組み合わせで判定するかは、基板1の種類、内容によって異なることがある。
【0035】
判定手段8は、上記判定用画像データ生成手段7が出力する判定用画像データと、設計情報記憶手段13が記憶している対応する基準データとを比較し、判定用画像データが基準データに対して許容値以内であれば、良と判定し、それ以外は否と判定する。そのとき、判定手段8は、印刷はんだ箇所毎に判定するので、否と判定された箇所の位置情報も検知できる。
【0036】
画像形成手段9は、例えば、基板1の一部領域である、判定が否とされた印刷はんだ箇所を立体的に視覚的に確認するための3次元画像(以下、「3D画像」という。)を所望の角度から臨めるように生成するもの(一般的にはグラフィック画像とも言われている。)であって、上記判定用画像データの基になる測定値を基にデジタル的に演算して求めるものである。3D画像は、判定手段8の判定結果が正常かどうかの確認をするため、或いは、判定手段8で否と判定されたはんだ箇所のトラブル内容を解析するために便利な情報である。したがって、3D画像は、判定手段8の判定に対応していなければ意味が薄れてしまうので、判定用画像データ生成手段7が用いた測定値と同じ測定値を基に形成される。
【0037】
画像形成手段9は、具体的には、観測領域アクセス手段9bと3D画像形成手段9aで構成される。観測領域アクセス手段9bは、判定手段8で判定が否とされた印刷はんだ箇所の位置情報を受けて、或いは、後記するユーザインタフェース12から所望の位置情報を受けて、それらの位置情報を含む所望の一部領域について測定値を測定値記憶手段6から読み出す。この一部の領域の範囲はデフォルト値として予め定めたものでもよい。ユーザインタフェース12から所望の位置を指定することは、表示制御手段12aが、図2(a)のようにレイアウト画面をマーカ(図の中の矢印)等で指定可能に表示手段12bへ表示させ、操作手段12cでマーカを移動して位置を確定したとき、表示制御手段12aは、その確定したマーカの位置を所望の観測位置における位置情報を出力することによって、行える。同様にしてマーカを矢印ではなく、四角枠等の領域を大きさを可変できるマーカで行えば、領域の大きさも指定できる。本発明では、少なくとも位置が指定できれば、領域はデフォルト値であってもよい。
【0038】
なお、上記の所望の位置をレイアウト画面ではなく、一度、全体の3D画像を生成し、その全体の3D画像上で拡大したい位置を指定するようにしても良い。例えば、図2(b)のようにデフォルトの角度からみた全体の3D画像を形成し(この場合は、印刷はんだ箇所の全ての測定値を使用することになる)、その後、操作手段12cによりマーカを判定手段8がNGと判定した印刷はんだ箇所を選択する(操作手段12cでなく、判定手段8からの情報により自動で選択させてもよい。)ことにより、図2(c)のように、拡大画像を得るようにしても良い。
【0039】
3D画像形成手段9aは、上記の観測領域アクセス手段9bが読み出した測定値及び位置情報を基に所定の3次元座標上に3D画像を演算して求める。この3D画像を演算して求める方法は、一般的な市場に流布している画像形成ソフトが利用できるので、詳細説明は省略する。形成された3D画像は、表示制御手段12aを介して、表示手段12bへ表示される(図2(c)を参照)が、最初はその臨む角度及び拡大率は、予め決められたデフォルト値にしたがった画像である。そして表示されるときに、操作手段12cにより角度が指定可能に表示される。
【0040】
例えば、図2(c)を表示しているとき、操作手段12cにより図の星印箇所を45度回転すると、図2(d)のように角度変更した画像を表示し、さらに図2(d)が表示されているとき、×印箇所を45度あおり角を変更すると、図2(e)のように表示する。これらの角度変更も、一般の画像ソフトと同様に行える。この角度変更したときの3D画像の変更は、3D画像生成手段9aが、表示制御手段12aから角度情報を受けて変更して生成してもよいし、表示制御手段12aが先に受けた3D画像を操作手段12cの指示に応じて角度変更してもよい。角度変更は、先に3D画像形成手段9aが形成した所定の3次元座標上の3D画像を、表示手段12bの表示画面上の3次元座標にそのまま載せ、表示画面の3次元座標上で、上記所定の3次元座標を回転することにより、簡易に臨む角度を変更できる。したがって、3D画像の角度変更は角度変更に即、追随して行われ、表示が最新の角度からみた画像に更新される。
【0041】
[撮影に係る構成の説明]
撮影手段11は、カメラ4、そのカメラを基板1に対して相対的に移動させ、かつその臨む角度を変更する移動機構部5及び移動機構部5に対して基板1のレイアウトを基に、基板1の上を移動させ、かつ撮影角度を制御する移動制御部4aを有している。カメラ4は、いわゆるデジタルカメラ(例えば、CCDカメラ)が利用でき、撮影倍率を変更可能にズームできることが望ましい。カメラ4は、上記センサ3と同じように基板1のX軸方向及びY軸方向に走査できるようにされている。その構造を図4に示す。カメラ4は、X軸ステージ駆動部5a(例えば、モータを含む。)にセンサ3とともに取り付けられ、モータで駆動されてX軸ステージを移動することにより、基板1のX軸方向を走査する構造とされている。Y軸方向は、上記したように移動台2を移動させればよい。
【0042】
カメラ4の駆動機構部分を示したのが図5及び図6で、図5は、図4から見て側面、図6は図4と同じ正面を示す図である。図6において、モータ5d及びギア5eは、カメラ4を基板1に対して水平に回転させるものであり、モータ5c及びギヤ5fは、カメラ4を基板1に対して垂直方向に回転させるものであり、いずれも基板1上の同一位置を種々の角度から撮影できるようにされている。ただし、図6では、基板1の完全に水平方向からの撮影、90度上からの撮影は、困難な構造であるが、観察、確認する上で実用上、困らない範囲としている。
【0043】
上記の説明のX軸ステージ駆動部5aは、観測領域アクセス手段9bが出力する位置情報にしたがって、移動制御部4aによって制御される。モータ5d及びモータ5cは、上記3D画像を表示したときに、3D画面上で操作手段12cによって操作された角度に応じて、表示制御手段12aが出力する角度情報を基に、移動制御部4aによって制御される。
【0044】
このようにして撮影手段11で撮影された実画像は、一旦、撮像記憶手段10に記憶された後(必ずしも、記憶は必要ではない。)、表示制御手段12aを介して、先に形成されている3D画像と共に同時に表示手段12bへ表示される。表示手段12bは、複数の表示画面があて、それぞれに3D画像と実画像が分けて表示されてもよいが、同時に表示されている時間が必要である。この時間は、双方を比較して、確認するために必要な時間である。
【0045】
その同時表示の例を図3に示す。図3は、レイアウトを印刷はんだ箇所の位置を指定可能に表示し、そのレイアウト上で所望の位置をマーカ(矢印)で位置を指定すると、その指定した位置を含む一部領域の3D画像を生成して表示し、そしてその3D画像と一部領域及び臨む角度が対応した実画像を撮影して表示した例である。さらに、上記説明のように図3の表示が行われているとき、3D画像上で角度が操作手段12cにより指定されたときは、3D画像は即座にその指定された角度から臨んだ3D画像に更新して表示され、さらに指定された角度から撮影した新たな実画像に更新して表示される。なお、上記レイアウトを表示するとき、表示制御手段12bは、判定手段8が判定した結果、否と判定した印刷はんだ箇所の位置情報を受けて、レイアウト上に否であることを識別可能に、例えば、赤色に染めて表示することにより、操作者にとっては観測、確認したい箇所を選ぶにあたって、より便利になる。
【0046】
3D画像及び実画像は、上記のように位置及び臨む角度が連動するように構成されているが、3D画像及び実画像の拡大率も操作手段12cからの指示に連動して同じ拡大率で形成又は撮影して、表示することができる。その例を図7、図8及び図9に示す。図7が印刷はんだのパターンを標準の大きさ(基板上の印刷はんだよりは、拡大されている。)の3D画像と実画像を同時表示した例であり、図8は、図7と同じ角度でそのまま拡大して表示した例であり、図9は、図7で表示している各画像の臨む角度を回転させた例である。
【0047】
また、上記説明では、3D画像が優先的に変更され、その後に追随して実画像が変更される形態であった。それは、3D画像が変更に一早く追随できるのに対して、実画像がカメラを移動して撮影するため、遅くなるからである。しかし、反対に実画像上で変更指示して、その変更指定に連動した3D画像及び実画像の表示も可能である。
【0048】
ユーザインタフェース12の主要部については、既に、上記各要素、機能の説明の中で説明済みである。なお、上記説明したマーカのフォーマットや、図3のように一つの画面上に三つの画像を同時ウィンドウ表示する場合の割り付けは、予め表示制御手段12aが有している。また、操作手段12cが、画面上でマーカ等で指定した位置、角度は、表示制御手段12が、検知して数値化或いはコード化し、これを受ける観測領域アクセス手段9b及び移動制御部4aが、解釈できる情報として出力する。
【0049】
上記構成における、測定制御手段4、判定用画像データ生成手段7、判定手段8、画像形成手段9及び表示制御手段12aは、CPU及びそのCPUに上記説明の機能を動作させるためのプログラムやデフォルト値を記憶したメモリ(ROM)、及び上記機能動作過程でデータを貯えるメモリ(RAM)等で構成される。測定値記憶手段6及び設計情報記憶手段13はメモリで構成され、CPUで管理される。
【0050】
次に、実施形態の主な動作の流れを説明する。
(1)測定手段100において、所望の基板1に対してセンサ3を相対的に操作させて、測定位置における変位(高さ)データを取得し、測定値記憶手段6に記憶する。その測定値に基づいて生成された判定用画像データについて、判定手段8によって良否判定し、否と判定したはんだ箇所についての位置情報を出力する。
(2)表示制御手段12aは、基板1のレイアウトを表示手段12bに表示するとともに、否と判定されたはんだ箇所を他の部分と識別できる赤色でレイアウト上の該当位置に表示する。
(3)操作者は、操作手段12cによりマーカを移動させて、否と判定された赤色で表示された箇所を所望の一部領域として選定し、確定する。
(4)観測領域アクセス手段9bが、選択された所望の一部領域についての測定値を測定値記憶手段6から読み出し、3D画像形成手段9aがデフォルト値として設定された角度から臨んだ3D画像を形成し、表示手段12bに表示させる。
(5)表示された3D画像上で、操作者が操作手段12cを操作して3D画像の角度を変更する。表示制御手段12aは、その変更に追随して3D画像の角度を更新して表示する。
(6)観測領域アクセス手段9bから一部領域の位置情報を受けた撮影手段11は、その位置情報にしたがった位置を上記デフォルト値の角度で臨んだ位置にカメラ11aを移動させて、撮影し、表示手段12bに、図3のように、レイアウト、3D画像とともに同時に表示する。
(7)3D画像上で、再び角度変更されたときは、上記(5)及び(6)を変更の都度繰り返して、表示手段12bに表示されている各画像を更新表示する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態の機能ブロックを説明するための図である。
【図2】図1の実施形態における画像表示を説明するための図である。
【図3】図1の実施形態における各画像の同時表示例を示す図である。
【図4】図1の撮影手段11の機構を説明するための図である。
【図5】図1の撮影手段11の機構を説明するための図である。
【図6】図1の撮影手段11の機構を説明するための図である。
【図7】標準の画像表示の例を示す図である。
【図8】図7の各画像を拡大表示した例を示す図である。
【図9】図7の各画像を回転させて表示した例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 基板(プリント板)、 2 移動台、 3 センサ、 4 測定制御手段、
4a 移動制御部、 5 移動機構部、 6 測定値記憶手段、
7 判定用画像データ生成手段、 8 判定手段、 9 画像形成手段、
9a 3D画像形成手段、 9b 観測領域アクセス手段、 10 撮像記憶手段
11 撮影手段、 12 ユーザインタフェース、 12a 表示制御手段
12b 表示手段、 12c 操作手段、 13 設計情報記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント板の表面に光を照射させ、その反射光から得られるプリント板表面の各位置における高さの測定値を取得する測定手段(100)と、該測定値を記憶する測定値記憶手段(6)とを有し、該測定値記憶手段の測定値に基づいてはんだの印刷状態を検査し、前記プリント板表面の3次元画像を表示手段(12b)に表示する印刷はんだ検査装置において、
前記プリント板表面の所望の一部領域を前記測定値記憶手段に格納された測定値に基づいて、所望の角度から臨んだ該一部領域の3次元画像として形成する画像形成手段(9)と、
前記一部領域の3次元画像に対応する実画像を得るための、カメラを含む撮影手段にして、該カメラを前記プリント板表面の前記所望の一部領域との相互の位置を制御する手段を有する前記撮影手段(11)と、
前記一部領域の3次元画像と対応する実画像を同時に表示させる表示制御手段(12a)とを備えたことを特徴とする印刷はんだ検査装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記同時に表示する前記3次元画像を、その臨む所望の角度に変更指定可能に表示させ、かつ操作手段による変更指定に追随して角度変更された該3次元画像を表示させ、前記撮影手段は、該変更指定された角度に追随して前記カメラを移動させて前記一部領域を撮影し、さらに、前記表示制御手段は、前記撮影手段による実画像の撮影に応答して、先に同時表示した実画像を更新して表示させることを特徴とする請求項1に記載の印刷はんだ検査装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記プリント板表面のはんだの領域を示すレイアウトを、前記所望の一部領域を指定可能に前記表示手段に表示させるとともに、操作手段によって該所望の一部領域が指定されたとき、該所望の一部領域についての領域情報を出力し、
前記画像形成手段は、該領域情報を受けて、前記測定値記憶手段から前記所望の一部領域についての測定値を読み出す観測領域アクセス手段(9b)と、前記読み出された測定値を基に、所定の角度から臨んだ前記3次元画像として形成する3D画像形成手段(9a)とを備え、
さらに、前記表示制御手段は、該所定の角度から臨んだ3次元画像を所望の角度に変更指定可能に前記表示手段に表示させるとともに、前記操作手段によって変更指定されたときは、前記3D画像形成手段は、前記所定の角度を該所望の角度に変更した前記3次元画像を形成し、前記撮影手段は、前記領域情報、及び前記所定の角度もしくは前記所定の角度が変更指定されたときは前記所望の角度についての角度にしたがって、前記カメラを移動制御して撮影することを特徴とする請求項1に記載の印刷はんだ検査装置。
【請求項4】
前記はんだの印刷状態を検査するために、前記測定値記憶手段の測定値に基づいて、前記はんだの領域毎に前記印刷状態の良否を判定するとともに、少なくともその判定結果が否と判断されたはんだの領域について前記所望の一部領域の領域情報として出力する判定手段(7)を備え、
前記画像形成手段は、該領域情報を受けて、前記測定値記憶手段から前記所望の一部領域についての測定値を読み出す観測領域アクセス手段(9b)と、前記読み出された測定値を基に、所定の角度方向から臨んだ所望の前記3次元画像として形成する3D画像形成手段(9a)とを備え、
さらに、前記表示制御手段は、前記所望の3次元画像を、臨む角度を指定可能に前記表示手段に表示させるとともに、前記操作手段によって、前記所望の角度が変更指定されたときは、前記3D画像形成手段は、前記所定の角度方向を所望の角度に変更して前記3次元画像を形成し、前記撮影手段は、前記領域情報、及び前記所定の角度もしくは前記所定の角度が変更指定されたときは前記所望の角度にしたがって前記カメラを移動制御し撮影することを特徴とする請求項1に記載の印刷はんだ検査装置。
【請求項5】
前記撮影手段は、前記カメラと、該カメラを、前記プリント板に対して相対的に位置及び角度を移動可能に支持する移動機構部(5)と、該移動機構部に対して、前記カメラを、前記領域情報及び前記所定の角度もしくは前記所定の角度が変更指定されたときは前記所望の角度についての角度情報にしたがって移動させるように制御する移動制御部(4a)とを備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の印刷はんだ検査装置。
【請求項6】
プリント板の表面にレーザ光を照射させ、その反射光から得られるプリント板表面の各位置における高さの測定値を取得する測定手段(100)と、
該測定値を記憶する測定値記憶手段(6)と、前記測定値を基に該印刷はんだ基板上のはんだ状態の良否判定を行う判定手段(8)と、
前記プリント板表面の一部領域における、前記測定値記憶手段に格納された測定値に基づいて、該一部領域を所定の角度から臨んだ3次元画像として形成する画像形成手段(9)と、
カメラ(11a)を有し、該カメラを前記プリント板表面に対して、前記一部領域を前記所定の角度から臨んだ位置に移動して撮影することによって、実画像を取得する撮影手段(11)と、
表示手段(1)と、操作手段(2)と、前記プリント板のレイアウトを該レイアウト内の前記一部領域が指定可能に、前記3次元画像を前記所定の角度が指定可能に、及び前記実画像を同時に表示し、前記操作手段により前記一部領域又は該角度が指定されたことによって、前記表示された3次元画像及び実画像を該指定された領域を指定された角度から臨む3次元画像及び実画像に更新して表示させる表示制御手段(12a)とを含むユーザインターフェース手段(10)と、を備えたことを特徴とする印刷はんだ検査装置。
【請求項7】
前記判定手段は、少なくとも、前記はんだ状態を否と判定した箇所の位置を検出し、前記表示制御手段は、前記否と判定された箇所の位置を前記レイアウト上に識別可能に、かつ前記操作手段により指定可能に表示させることを特徴とする請求項6に記載の印刷はんだ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−90841(P2006−90841A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276654(P2004−276654)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】