説明

印刷回路基板

【課題】最外側回路層に放熱性を有するコーティング剤を塗布することにより、印刷回路基板の最外側回路層の短絡及び腐食などを防止すると同時に、発熱素子から発生した熱の放出経路を追加的に供給して、放熱性能がさらに改善された印刷回路基板を提供する。
【解決手段】本発明による印刷回路基板100は、ベース基板111と、ベース基板111の一面に形成され、開口部170を含む回路層130と、開口部170に塗布され、ベース基板111から発生する熱を外部に放出する放熱コーティング剤160と、ベース基板111の他面に形成された放熱板150と、を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子製品は、多機能化及び高速化の傾向が早い速度で進んでいる。このような傾向に応じるべく、半導体チップなどの発熱素子及び発熱素子と主基板を連結させる発熱素子実装印刷回路基板も非常に早い速度で発展している。このような傾向は、印刷回路基板の高速化及び高密度化と密接に関連されており、これらを満足させるためには、印刷回路基板の軽薄短小化、微細回路化、高信頼性、高速信号伝逹構造において、多くの性能改善及び発展が必要な実情である。
【0003】
一方、印刷回路基板の発展につれて印刷回路基板上には、より多くの電子部品が実装されるようになり、実装される電子部品の数及び密度の増加は、印刷回路基板に多くの熱を発生させる原因となる。これにより、発熱素子などから発生した熱を迅速に放出することができる印刷回路基板に関する研究が行われている。
【0004】
従来の印刷回路基板は、基本的に、絶縁層及び内層回路層を含むベース基板と、ベース基板に実装された発熱素子とで構成される。このような構造により、発熱素子から発生した熱は、ベース基板を介して外部に放出される。従って、ベース基板上に形成された発熱素子は、高い熱を受けることなく、これにより、発熱素子の性能が低下する問題を解決することができた。
【0005】
しかし、従来の印刷回路基板の場合、発熱素子から発生した熱は、発熱素子と直接的に接しているベース基板に伝導され、印刷回路基板の外部に放出される。即ち、発熱素子から発生した熱は、たった一つの移動経路のみを通じて放出される。印刷回路基板の軽薄短小化の傾向、印刷回路基板に実装される電子部品の数及び密度の増加の傾向を考慮すると、ベース基板の熱伝導能力には、限界が存在するという問題点があった。これは、印刷回路基板に形成された回路層または発熱素子に影響を与え、製品の全体的な信頼性を低下させるという問題点に繋がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述のような従来技術の問題点を解決するために導き出されたものであり、本発明の目的は、最外側回路層に放熱性を有するコーティング剤を塗布することにより、印刷回路基板の最外側回路層の短絡及び腐食などを防止すると同時に、発熱素子から発生した熱の放出経路を追加的に供給して、放熱性能がさらに改善された印刷回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施例による印刷回路基板は、ベース基板と、前記ベース基板の一面に形成され、開口部を有する回路層と、前記開口部に塗布され、前記ベース基板から発生する熱を外部に放出する放熱コーティング剤と、を含むことを特徴とする。
【0008】
ここで、前記ベース基板の他面に付着された放熱板をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
また、前記ベース基板の一面に付着された発熱素子をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記ベース基板は、コア層と、前記コア層の一面または両面に形成された絶縁層と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、前記コア層は、金属で形成されることを特徴とする。
【0012】
また、前記コア層は、セラミックで形成されることを特徴とする。
【0013】
また、前記放熱コーティング剤は、有機物とセラミックフィラー(ceramic filler)とを含んで形成されることを特徴とする。
【0014】
また、前記セラミックフィラーは、アルミナ(Al)、カーボンナノチューブ(CNT;carbone nanotube)、窒化ホウ素(BN;Boron Nitride)、またはこれらの組合により形成されることを特徴とする。
【0015】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以下の詳細な説明によって、さらに明らかになるであろう。
【0016】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって、本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、印刷回路基板の最外側に形成された回路層の一部に放熱コーティング剤を塗布することにより、印刷回路基板の放熱性能を向上させる効果がある。
【0018】
また、本発明によると、放熱コーティング剤がソルダーレジストとしての役割もするため、別のソルダーレジストを用いなくても印刷回路基板の絶縁機能及び保護機能を遂行する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好ましい実施例による印刷回路基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、係わる公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0021】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の好ましい実施例による印刷回路基板の断面図である。
【0023】
本発明による印刷回路基板100は、ベース基板111と、ベース基板111の一面に形成され、開口部170を含む回路層130と、前記開口部170に塗布され、前記ベース基板111から発生する熱を外部に放出する放熱コーティング剤160と、ベース基板111の他面に形成された放熱板150と、を含んで構成される。
【0024】
前記ベース基板111は、コア層110と、コア層110の一面または両面に形成された絶縁層120と、で構成される。
【0025】
前記コア層110は、印刷回路基板100の基礎をなす構成であり、基本的に印刷回路基板100の剛性を向上させる。コア層110は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、亜鉛(Zn)などの多様な金属、または、窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックで形成することができ、構成材質は、特に制限されない。一方、前記絶縁層120は、コア層110の一面または両面に形成される。絶縁層120は、印刷回路基板100に一般的に用いられる絶縁素材で形成することができ、例えば、プリプレグ(PPG;prepreg)のような複合高分子樹脂、FR−4、BTなどのエポキシ系樹脂、またはABF(Ajinomoto Build−up Film)などを含むことができる。しかし、その構成材質は、特にこれにより限定されず、当業界で公知された全ての絶縁材を用いることができる。一方、絶縁層120は、液状の絶縁資材であることができ、フィルム形態の絶縁資材であることができる。
【0026】
例えば、本発明のベース基板111を構成するコア層110は、アルミニウム(Al)で形成することができ、この場合、絶縁層120は、アルミナ(Al)で形成することが好ましい。アルミナは、アルミニウムの陽極酸化反応によって、アルミニウム表面に密着するように形成された絶縁物質である。アルミニウムは、軽量の素材であるため、印刷回路基板100の全体重量を減少させる効果がある。
【0027】
一方、図1では、ベース基板111が単一のコア層110及び絶縁層120で構成されたことを図示したが、本発明は、これに限定されず、多層の絶縁層120と回路層130及びビア(不図示)で構成されたビルドアップ層で形成させることもできる。
【0028】
前記回路層130は、ベース基板111を構成する絶縁層120上に形成され、所定のパターンを有する。回路層130には、開口部170が形成されており、パッド部135を含む。パッド部135は、発熱素子140が実装される部分である。発熱素子140は、パッド部135上に実装することもでき、開口部170によって露出した絶縁層120に直接接触することもできる。回路層130は、金、銀、銅、ニッケルなどの電気伝導性を有する金属で構成することができ、特に制限されず、一般的に用いられる銅で形成することが好ましい。
【0029】
前記放熱コーティング剤160は、回路層130内の開口部170に塗布され、ソルダーレジスト機能及び放熱機能を同時に遂行することができる部材である。即ち、絶縁性及び放熱特性を同時に有する部材であり、放熱コーティング剤160は、有機物及びセラミックフィラー(ceramic filler)を含んで形成される。この際、セラミックフィラー(ceramic filler)は、アルミナ(Al)、カーボンナノチューブ(CNT;carbone nanotube)、窒化ホウ素(BN;Boron Nitride)またはこれらのうち少なくとも一つ以上を組み合わせて形成される。カーボンナノチューブ(CNT;Carbon nanotube)は、熱伝導率に優れ、放熱コーティング剤160の放熱特性を改善させる役割をする。また、窒化ホウ素(BN;Boron Nitride)は、熱伝導性、耐熱性などに優れた材料であり、放熱コーティング剤160の成分に添加され、印刷回路基板100の放熱特性を向上させる。また、各種化学物(例えば、鉛)に反応しない性質を有し、絶縁性に優れるため、印刷回路基板100を保護して回路層130内の部分間を絶縁させるソルダーレジストに代えて用いることができる。
【0030】
放熱コーティング剤160は、絶縁層120またはパッド部135上に形成されており、発熱素子140の周りに塗布され、発熱素子140を回路層130から電気的に絶縁させる役割をするだけでなく、熱伝導及び熱輻射を通じてベース基板111または発熱素子140から発生する熱を印刷回路基板100の外部に放出することにより、印刷回路基板100の性能または寿命を向上させる。後述する放熱板150を通じる熱伝導及び熱輻射と比較すると、放熱コーティング剤160は、発熱素子140に直接的に接するか、またはパッド部135を通じて発熱素子140と近距離で間接的に接するため、熱輻射効率がより高いという長所がある。即ち、コア層110に伝導される熱の一部が、放熱コーティング剤160を介して印刷回路基板100の外部に放出されるため、放熱板150の熱放出の限界を補完する。
【0031】
前記放熱板150は、ベース基板111の他面に付着され、発熱素子140またはベース基板111で発生した熱を印刷回路基板100の外部に放出する。即ち、発熱素子140で発生した熱は、ベース基板111に熱伝導され、放熱板150は、ベース基板111に伝達された熱を印刷回路基板100の外部に熱輻射する。これにより、印刷回路基板100と放熱板150の間には、熱交換が円滑になされることができる。放熱板150は、平板形態のベース部153と、ベース部153の一面に突起形態に突出されて形成される放熱ピン155と、を有するように形成することができる。このような形状の放熱板150は、露出面積を広くすることにより、熱輻射効率を向上させる効果を有する。
【0032】
発熱素子140で発生した熱は、パッド部135(発熱素子140が絶縁層120に直接実装された場合は絶縁層120)を通じて熱伝導され、パッド部135を介して絶縁層120に伝導された熱は、コア層110に至る(実線で表示)。本発明の好ましい実施例による印刷回路基板100では、次のような経路を通じて熱を放出する。
【0033】
まず、上述したように、ベース基板111に伝導された熱は、ベース基板111の他面に付着された放熱板150を通じて印刷回路基板100の外部に輻射される(実線で表示)。放熱板150を構成するベース部153だけでなく、広い表面積を有するようにベース部153から延長して突出された突起形状の放熱ピン155によって、より効率的な熱輻射がなされる。
【0034】
一方、ベース基板111に伝導された熱は、回路層130の開口部170に塗布された放熱コーティング剤160を通じて熱輻射される(点線で表示)。放熱コーティング剤160を通じた熱輻射経路は、本発明の技術的特徴を有する部分であり、ベース基板111に伝導される熱の一部が放熱コーティング剤160を通じて印刷回路基板100の外部に放出されるため、放熱コーティング剤160は、放熱板150の熱放出の限界を補完する機能を遂行する。
【0035】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明による印刷回路基板100は、これに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0036】
本発明の単純な変形乃至変更は、いずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、印刷回路基板の最外側回路層の短絡及び腐食などを防止すると同時に、発熱素子から発生した熱の放出経路を追加的に供給して、放熱性能がさらに改善された印刷回路基板に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
100 印刷回路基板
111 ベース基板
110 コア層
120 絶縁層
130 回路層
135 パッド部
140 発熱素子
150 放熱板
153 ベース部
155 放熱ピン
160 放熱コーティング剤
170 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板の一面に形成され、開口部を有する回路層と、
前記開口部に塗布され、前記ベース基板から発生する熱を外部に放出する放熱コーティング剤と、
を含むことを特徴とする印刷回路基板。
【請求項2】
前記ベース基板の他面に付着された放熱板をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項3】
前記ベース基板の一面に付着された発熱素子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項4】
前記ベース基板は、コア層と、
前記コア層の一面または両面に形成された絶縁層と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項5】
前記コア層は、金属で形成されることを特徴とする請求項4に記載の印刷回路基板。
【請求項6】
前記コア層は、セラミックで形成されることを特徴とする請求項4に記載の印刷回路基板。
【請求項7】
前記放熱コーティング剤は、有機物とセラミックフィラー(ceramic filler)とを含んで形成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項8】
前記セラミックフィラーは、アルミナ(Al)、カーボンナノチューブ(CNT;carbone nanotube)、窒化ホウ素(BN;Boron Nitride)、またはこれらの組合により形成されることを特徴とする請求項7に記載の印刷回路基板。

【図1】
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【公開番号】特開2012−164950(P2012−164950A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103588(P2011−103588)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】