説明

参照レンズユニットの取付構造および方法

【課題】参照レンズユニットの取付構造および方法において、磨耗による劣化を抑制することができるとともに参照レンズユニットの交換の作業性を向上することができるようにする。
【解決手段】参照レンズユニットの取付構造であって、レンズ枠は、レンズ光軸Pに直交する位置合わせ面と、端部の外周側に丸アリ部2Aとを備え、参照レンズユニット取付部4は、測定基準軸Oに直交する位置決め面5cと、傾斜面5d、円錐傾斜面5eを有し丸アリ部2Aが係止可能に設けられた基準側アリ溝部5A、位置決め突起5Bと、測定基準軸Oを挟んで基準側アリ溝部5A、位置決め突起5Bと反対側に、進退可能に設けられた押圧部材9とを備え、丸アリ部2Aを、基準側アリ溝部5A、位置決め突起5Bおよび押圧部材9の間に挟んだ状態で、押圧部材9を進退させて参照レンズユニットを着脱させる構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉計に用いる参照レンズを筒体状のレンズ枠に保持した参照レンズユニットを、参照レンズユニット取付部を介して干渉計本体に着脱可能に取り付ける参照レンズユニットの取付構造および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、レンズや反射鏡などの光学素子のレンズ面やミラー面の面形状測定や、曲率半径測定などを行うために干渉計が用いられている。
例えば、特許文献1には、レーザ光を上向きに射出するレーザ光源と、このレーザ光源からのレーザ光を発散光にする発散レンズと、レーザ光を直角に反射して水平方向にするミラーと、ビームスプリッタと、レーザ光を再度反射して下向きにするミラーと、発散光を平行光にするコリメータレンズと、ビームスプリッタからの反射光の集光点に置かれたフィルタと、フィルタを透過した反射光の光路中に置かれたレンズと、カメラとを具備した干渉計本体を有し、この干渉計本体に、コリメータレンズから射出される平行光であるレーザ光が入射するように、レンズ枠に内蔵され参照面を有する参照レンズがレンズ枠によって参照レンズユニット取付部を介して取り付けられている干渉計装置が記載されている。
参照レンズから出射されるレーザ光は、被測定体である光学素子に照射され、光学素子の被測定面で反射された光を参照レンズに再入射させて干渉縞を形成し、干渉計本体のカメラを通して干渉縞を観察できるようになっている。
このような干渉計の参照レンズは、被測定体の被測定面の曲率半径に応じて交換する必要があるため、参照レンズは干渉計本体に対してレンズ枠ごと交換できるようになっている。すなわち、レンズ枠と参照レンズとは、干渉計本体に着脱可能に取り付けられる参照レンズユニットを構成している。
参照レンズユニットの取付構造としては、干渉計本体側に雌ねじを設け、この雌ねじに螺合する雄ねじをレンズ枠に設けたねじ式の取付構造や、レンズ枠から径方向外側に突設された嵌合ピンを、干渉計本体側の円筒取付孔の内側面に設けられた軸方向に延びる開口と周方向に延びる溝とが連結されたL字状の引っかけ溝に嵌合させるはめこみ方式の取付構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−297089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の参照レンズユニットの取付構造および方法には、以下のような問題があった。
ねじ式の取付構造では、参照レンズユニットの着脱を繰り返すことによって、レンズ枠の雄ねじ部と、干渉計本体側の雌ねじ部との間に磨耗しやすいという問題がある。このため、ねじ部を定期的に交換する必要がある。特に、参照レンズユニット側の雄ねじ部はレンズ枠に一体に設けられているため、この雄ねじ部の交換には高額の費用が発生するという問題がある。
また、参照レンズユニットの外径は、例えば、φ80mm〜φ130mm程度と大口径であり、参照レンズユニットの質量は、500g〜1.8kg程度ある。このため、参照レンズユニットを手に持って、ねじ同士がこじないように雌ねじ部に対して位置合わせし、螺合させていく交換作業は、作業者の大きな負荷になっていた。特に、参照レンズを外す際は、外れるタイミングがはっきりしないため、特許文献1の装置のように干渉計本体の下側に取り付けられた場合や、干渉計本体の側面に取り付けられた場合は、誤って参照レンズを落下させやすいという問題がある。
また、はめこみ式の取付構造でも、着脱に伴って嵌合ピンを引っかけ溝内で周方向に摺動移動させて嵌合させるため、嵌合ピンと引っかけ溝の嵌合部との間には、磨耗が発生しやすいという問題がある。このため、ねじ式の取付構造と同様に定期的に嵌合ピンや引っかけ溝を交換する必要がある。このように交換可能な引っかけ溝は、構造が複雑となり高価なものになってしまうという問題がある。
また、参照レンズユニットを取り付ける際、嵌合ピンを狭い幅で開口している引っかけ溝の位置に正確に位置合わせして取り付けなければならない。特に参照レンズユニットを干渉計本体の下側に取り付ける場合には作業性が著しく悪くなるため、参照レンズユニットを落下させやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、磨耗による劣化を抑制することができるとともに参照レンズユニットの交換の作業性を向上することができる参照レンズユニットの取付構造および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、干渉計に用いる参照レンズを筒体状のレンズ枠に保持した参照レンズユニットを、参照レンズユニット取付部を介して干渉計本体に着脱可能に取り付ける参照レンズユニットの取付構造であって、前記レンズ枠は、筒体軸方向の端部に設けられた前記参照レンズのレンズ光軸に直交する位置合わせ面と、筒体径方向の位置決め、および筒体軸方向において前記端部と反対側の端部側から前記位置合わせ面に向かう押圧力の伝達を行うため、前記端部の外周側に前記レンズ光軸と同軸に設けられた外周被係止部とを備え、前記参照レンズユニット取付部は、前記レンズ枠の前記位置合わせ面が前記干渉計本体の外部側から当接可能に設けられた、前記干渉計本体の測定基準軸に直交する位置決め面と、該位置決め面上で前記測定基準軸を中心とする円周上の互いに離間した2位置に、前記位置決め面から外部側に離れるにつれて前記測定基準軸側に向かって径方向内側に傾斜する傾斜面を有し、該傾斜面と前記位置決め面との間で前記レンズ枠の前記外周被係止部が係止可能に設けられた基準係止部と、前記位置決め面に対向する外部側で、前記測定基準軸を挟んで前記2位置の基準係止部と反対側に、前記測定基準軸に向かう径方向に進退可能に設けられた可動押圧部材とを備え、前記レンズ枠の前記外周被係止部を、前記参照レンズユニット取付部の前記2位置の基準係止部および前記可動押圧部材の間に挟んだ状態で、該可動押圧部材を進退させることにより、前記参照レンズユニットを前記参照レンズユニット取付部に対して着脱させる構造とする。
この発明によれば、レンズ枠の位置合わせ面を、参照レンズユニット取付部の位置決め面に対向させた状態で、レンズ枠の外周被係止部を2位置の基準係止部に係止させる。次に、可動押圧部材を進出させて、干渉計の測定基準軸を挟んで2位置の基準係止部と反対側の外周被係止部の少なくとも1箇所を、可動押圧部材によって測定基準軸に向かう径方向および測定基準軸に沿って位置決め面に向かう方向に押圧する。そして、レンズ枠の位置合わせ面と、参照レンズユニット取付部の位置決め面とが密着して当接された位置で、可動押圧部材の進出位置を固定することにより、レンズ枠をレンズ光軸まわりに回転させることなく参照レンズユニットを参照レンズユニット取付部に取り付けることができる。
また、可動押圧部材を退避させることにより、基準係止部と外周被係止部とを摺動させることなく、参照レンズユニットを参照レンズユニット取付部から取り外すことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の参照レンズユニットの取付構造において、前記レンズ枠の前記外周被係止部は、前記参照レンズユニット取付部の前記基準係止部の前記傾斜面と同一角度で傾斜した筒体周方向に連続して形成された円錐傾斜面からなる構成とする。
この発明によれば、参照レンズユニットのレンズ枠の外周被係止部が、基準係止部の前記傾斜面と同一角度で傾斜した筒体周方向に連続して形成された円錐傾斜面からなるので、レンズ枠の周方向の位置を、基準係止部の位置に位置合わせすることなく、参照レンズユニット取付部に取り付けることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の参照レンズユニットの取付構造において、前記参照レンズユニット取付部は、前記位置決め面上に、前記レンズ枠の前記外周被係止部を係止して、前記レンズ枠を前記測定基準軸に向かう径方向に案内するアリ溝部が設けられ、該アリ溝部が前記2位置のうちの1つの基準係止部を兼ねる構造とする。
この発明によれば、アリ溝部によって、参照レンズユニットのレンズ枠の外周被係止部を係止して、レンズ枠を測定基準軸に向かう径方向に案内しながら、外周被係止部を2位置の基準係止部に導くことができるので、取付作業が容易となる。また、取付作業中に参照レンズユニットが落下したりすることを防止することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明では、干渉計に用いる参照レンズを筒体状のレンズ枠に保持した参照レンズユニットを、参照レンズユニット取付部を介して干渉計本体に着脱可能に取り付ける参照レンズユニットの取付方法であって、前記レンズ枠は、筒体軸方向の端部に設けられた前記参照レンズのレンズ光軸に直交する位置合わせ面と、筒体径方向の位置決め、および筒体軸方向において前記端部と反対側の端部側から前記位置合わせ面に向かう押圧力の伝達を行うため、前記端部の外周側に前記レンズ光軸と同軸に設けられた外周被係止部とを備え、前記参照レンズユニット取付部は、前記レンズ枠の前記軸方向位置合わせ面が前記干渉計本体の外部側から当接可能に設けられた、前記干渉計本体の測定基準軸に直交する位置決め面と、該位置決め面上で前記測定基準軸を中心とする円周上の互いに離間した2位置に、前記位置決め面から外部側に離れるにつれて前記測定基準軸側に向かって径方向内側に傾斜する傾斜面を有し、該傾斜面と前記位置決め面との間で前記レンズ枠の前記外周被係止部が係止可能に設けられた基準係止部とを備え、前記レンズ枠の前記位置合わせ面を、前記参照レンズユニット取付部の前記位置決め面に対向させた状態で、前記レンズ枠の前記外周被係止部を前記2位置の基準係止部に係止させ、前記測定基準軸を挟んで前記2位置の基準係止部と反対側の前記外周被係止部の少なくとも1箇所を、可動押圧部材によって前記測定基準軸に向かう径方向および前記測定基準軸に沿って前記位置決め面側に向かう方向に押圧し、前記レンズ枠の前記位置合わせ面と、前記参照レンズユニット取付部の前記位置決め面とが密着して当接された位置で、前記可動押圧部材を前記位置決め面上に押圧して位置決めすることにより、前記参照レンズユニットを前記参照レンズユニット取付部に取り付ける方法とする。
この発明によれば、請求項1に記載の参照レンズユニットの取付構造を用いて、参照レンズユニットを参照レンズユニット取付部に取り付ける方法となっているので、請求項1に記載の発明と同様の作用を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の参照レンズユニットの取付構造および方法によれば、レンズ枠をレンズ光軸まわりに回転させることなく参照レンズユニットを参照レンズユニット取付部に取り付けることができるので、磨耗による劣化を抑制することができるとともに参照レンズユニットの交換の作業性を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る参照レンズユニットの取付構造を備える干渉計装置の概略構成を示す模式的な正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る参照レンズユニットの模式的な正面図および平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る参照レンズユニット取付部の模式的な斜視図である。
【図4】図3におけるB視の下面図、そのE視の側面図およびD−D断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る押し当て機構の構成を示す図3におけるA−A断面図、および押し当て機構の動作を説明するための断面図である。
【図6】図4におけるF−F断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る参照レンズユニットの取付方法を説明する模式的な斜視図である。
【図8】図7におけるG視の下面図、そのJ−J断面図およびK−K断面図の一部である。
【図9】本発明の第1の実施形態の第1変形例の参照レンズユニットを示す模式的な断面図、および本発明の第1の実施形態の第2変形例の参照レンズユニットの取付構造を示す模式的な断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る参照レンズユニット取付部の模式的な下面図、およびそのL視の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0013】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る参照レンズユニットの取付構造について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る参照レンズユニットの取付構造を備える干渉計装置の概略構成を示す模式的な正面図である。図2(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る参照レンズユニットの模式的な正面図および平面図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る参照レンズユニット取付部の模式的な斜視図である。図4(a)は、図3におけるB視の下面図である。図4(b)は、図4(a)におけるE視の側面図である。図4(c)は、図4(a)におけるD−D断面図である。図5(a)は、本発明の第1の実施形態に係る押し当て機構の構成を示す図3におけるA−A断面図である。図5(b)は、押し当て機構の動作を説明するための断面図である。図6は、図4(a)におけるF−F断面図である。
【0014】
本実施形態の参照レンズユニットの取付構造を備える干渉計装置50(干渉計)は、図1に示すように、被測定体60の被測定面60aの面形状や曲率半径を測定するためのものである。
被測定体60としては、例えば、レンズ、反射鏡、平板ガラス等の適宜の光学素子を採用することができる。図1には、被測定体60の一例として両凸レンズが描かれている。
干渉計装置50の概略構成は、基台部51上に立設された支柱部材52と、支柱部材52の上端部側に固定された干渉計本体53と、干渉計本体53の下端部において参照レンズユニット取付部4を介して着脱可能に設けられ干渉測定の参照面を備える参照レンズユニット1と、参照レンズユニット1から出射される測定光の光軸上に被測定体60を保持する被測定体保持部55と、被測定体保持部55を鉛直軸に沿って移動可能に保持する移動ステージ54とを備える。
干渉計本体53には、特に図示しないが、干渉縞を形成するための光源、干渉光学系およびカメラなどが内蔵され、測定光を鉛直軸に沿って鉛直下方に出射できるようになっている。以下では、この干渉計本体53内の干渉光学系および干渉計本体53から出射される測定光の光軸を測定基準軸Oで表す。
【0015】
参照レンズユニット1は、図2(a)、(b)に示すように、参照レンズ3およびレンズ枠2からなる。
参照レンズ3は、被測定体60の被測定面60aの形状に対応して、高精度に仕上げられた参照面3aを有するレンズである。参照面3aは、参照レンズユニット1を参照レンズユニット取付部4に取り付けた状態では干渉光学系の最外の光学面を構成し、被測定体保持部55上に配置された被測定体60に対向するような位置関係で、レンズ枠2内に固定されている。
【0016】
レンズ枠2は、参照レンズ3を内部に固定する全体として筒状体、具体的な例としては、略円筒状の筒体である。
レンズ枠2の軸方向(筒体軸方向)における一方の端部である参照レンズ3の参照面3aと反対側の端部には、参照レンズ3のレンズ光軸Pに直交する位置合わせ面2aと、レンズ光軸Pと同軸に設けられ、レンズ光軸Pに沿う方向のうちの他方の端部側から一方の端部側に向かう方向に拡径する円錐傾斜面2b(外周被係止部)とで構成された丸アリ部2Aを備えている。
円錐傾斜面2bの傾斜角は、位置合わせ面2aに対してθ(ただし、0<θ<90°)とされ、位置合わせ面2aから軸方向に沿う距離hの範囲に設けられている。
位置合わせ面2aの外径dは、本実施形態では、レンズ枠2の外径と略同程度の外径とされ、円錐傾斜面2bは、レンズ枠2の外周面から内径方向に傾斜して設けられている。このため、本実施形態の丸アリ部2Aは、レンズ枠2の外周面に対しては凹形状とされている。
【0017】
参照レンズユニット取付部4は、図3、図4(a)に示すように、中央に干渉計本体53から出射される測定光を透過させるための円孔状の開口部5bを有する全体として円環状の取付板5に、押し当て機構6が設けられたものである。
取付板5の板厚方向の一方の側には、干渉計本体53に固定するための平面からなる本体固定部5aが形成されている。
本体固定部5aは、開口部5bの中心が干渉計本体53の測定基準軸O上に整列するように固定されている。以下では、誤解のおそれのない限り、取付板5の相対的な位置関係を説明する場合に、干渉計本体53に取り付けられた状態での測定基準軸Oに対する位置関係で説明する場合がある。
取付板5の板厚方向の他方の側には、参照レンズユニット1の位置合わせ面2aを干渉計本体53の測定基準軸Oに沿って位置決めするための平面である位置決め面5cが形成されている。位置決め面5cは、取付板5が干渉計本体53に固定された状態では、干渉計本体53の測定基準軸Oに直交する平面となっている。
【0018】
位置決め面5c上には、押し当て機構6と測定基準軸Oを挟んで反対側において、取付板5の外縁部から径方向内側に向かう円弧状の領域に、位置決め面5cからの高さがH(ただし、H<h)の段状部である基準側アリ溝部5A(基準係止部)が設けられている。
また、測定基準軸Oを挟んで基準側アリ溝部5Aと対向し、かつ押し当て機構6に隣接する領域には、位置決め面5cからの高さがHの段状部であるガイド側アリ溝部5Cが設けられている。
このため、基準側アリ溝部5Aは、ガイド側アリ溝部5Cおよび押し当て機構6と対向して設けられている。
【0019】
基準側アリ溝部5Aは、段状部の測定基準軸O側の端面が位置決め面5c上の基端部から測定基準軸O側に角度θで傾斜して張り出された傾斜面5dを備えている。
測定基準軸Oに対する傾斜面5dの径方向の位置は、傾斜面5dおよび位置決め面5cに、それぞれ参照レンズユニット1の円錐傾斜面2bおよび位置合わせ面2aを密着して当接させたときに、参照レンズ3のレンズ光軸Pの径方向の位置が測定基準軸Oに整列されるように設定される。
【0020】
またガイド側アリ溝部5Cは、段状部の測定基準軸O側の端面が位置決め面5c上の基端部から測定基準軸O側に角度θで傾斜して張り出された傾斜面5fを備えている。
測定基準軸Oに対する傾斜面5fの径方向の位置は、傾斜面5dの基端部と傾斜面5fの基端部とが、距離W(ただし、W>d)をあけて平行となるように配置されており、これにより、位置決め面5c上に台形状の断面が一方向に延ばされたアリ溝部5Dが形成されている。
距離Wは、基準側アリ溝部5Aおよびガイド側アリ溝部5Cで構成されるアリ溝部5Dに参照レンズユニット1の丸アリ部2Aが鉛直方向に係止可能かつ溝延設方向に挿通可能となるように設定する。すなわち、丸アリ部2Aがアリ溝部5Dに係合された後に、丸アリ部2Aが、アリ溝部5Dから測定基準軸Oの方向(鉛直方向)に抜け落ちないようにするためには、次式が成り立つように設定する。
【0021】
W<d+2・H/tanθ ・・・(1)
【0022】
基準側アリ溝部5Aおよびガイド側アリ溝部5Cで挟まれた位置決め面5c上には、位置決め面5cから離れる方向に拡径し、位置決め面5cと母線とのなす角度がθとなる円錐傾斜面5eを有する高さHの円錐台状の位置決め突起5B(基準係止部)が設けられている。
測定基準軸Oに対する位置決め突起5Bの径方向の位置は、参照レンズユニット1の円錐傾斜面2bを、基準側アリ溝部5Aの傾斜面5dおよび位置決め突起5Bの円錐傾斜面5eにそれぞれ密着して当接させるとともに、参照レンズユニット1の位置合わせ面2aを位置決め面5cに密着して当接させたときに、参照レンズ3のレンズ光軸Pが干渉計本体53の測定基準軸Oに整列するように設定される。
【0023】
押し当て機構6は、押し当て機構本体7と、押し当て機構本体7から付勢される押圧部材9(可動押圧部材)とを備える。
押し当て機構本体7は、図4(a)、図5(a)、(b)に示すように、取付板5の位置決め面5c上に垂直に立設された回動軸8に対して、回動軸8回りに回動可能に取り付けられた回動ブロック7aと、回動ブロック7aの回動の径方向に延ばされた棒状とされ回動ブロック7a側の棒状の一端部が回動ブロック7aから回動の周方向に立設された回動支軸7dに回動可能に支持された棒状の操作レバー7bとを備える。
【0024】
操作レバー7bには、回動支軸7dの位置から操作レバー7bの他端部側に離間した位置に、操作レバー7bの軸線および回動支軸7dの軸線と直交する方向において、位置決め面5c側に延ばして設けられた係止ピン7cが設けられている。
係止ピン7cの操作レバー7bからの突出高さは、操作レバー7bを位置決め面5cに平行となる位置に回動させたときに、位置決め面5cの内側に食い込むような高さに設定されている。
位置決め面5c上には、この係止ピン7cを係止するため取付板5の板厚方向に貫通された係止孔5g(図3、図5(a)参照)が設けられている。
係止孔5gは平面視では、操作レバー7bをその軸線方向が位置決め面5cに平行な状態で回動軸8回りに回動したときの係止ピン7cの描く旋回円上に配置されている。
係止孔5gの平面視の孔形状は、旋回円の径方向幅が、係止孔5gに係止された係止ピン7cを操作レバー7bの回動支軸7d回りの回動動作によって係止解除する際に、係止ピン7cの先端部の移動軌跡が係止孔5gの内周面と干渉しない大きさとされている。また係止ピン7cの旋回円の周方向の幅は、係止ピン7cのピン外径よりわずかに大きい幅とされている。
【0025】
操作レバー7bと回動ブロック7aとの間には、係止ピン7cの近傍で操作レバー7bを取付板5側に付勢するコイルばね12(疎巻きの円筒状スプリング)が設けられている。
このため、操作レバー7bは、コイルばね12から図5(a)の紙面内で時計回りのモーメントを受けている。ただし、操作レバー7bは、回動ブロック7aに設けられた不図示のストッパにより、回動位置が規制されており、操作レバー7bにコイルばね12の付勢力以外の外力を加えない状態では、図5(a)に示すように、位置決め面5cに平行な水平状態に保たれている。
【0026】
押圧部材9は、図4(a)、図6に示すように、回動軸8が配置される一端部側の回動ブロック7aの側面に操作レバー7bの軸線方向に平行に延ばして配置された平板部9aと、平板部9aの位置決め面5c側の端部から位置決め面5cと平行かつ回動ブロック7aの側面から離間する方向に延ばされた平面視円弧状(図4(a)参照)の突起部9bとから形成された断面L字状のブロック部材である。
【0027】
平板部9aの端部には、図6に示すように、板厚方向に貫通してスライド孔9dが設けられている。
そして、平板部9aは、平板部9aに対向する回動ブロック7aの側面に螺設され、スライド孔9dに挿入され先端部側に抜け止め形状を有するガイド部材10によって、この回動ブロック7aの側面とガイド部材10の先端部との間で平板部9aの板厚方向に移動可能に支持されている。
また、平板部9aに対向する回動ブロック7aの側面に形成されたコイルばね保持穴7eにはコイルばね11が配置されている。
平板部9aは、このコイルばね11によって、平板部9aが対向する回動ブロック7aの側面から離間する方向に付勢されている。
【0028】
突起部9bの位置決め面5cに対向する平面9eは、位置決め面5cと平行にわずかに離間され、平面9eの裏面側の平面9fの位置決め面5cからの距離はHとされる。
突起部9bの平面視円弧状の端面の形状は、平面9eから平面9fに向かう方向に、角度θで拡径する円錐傾斜面9cとされている。
【0029】
以上に説明したレンズ枠2と参照レンズユニット取付部4とは、参照レンズユニット1を参照レンズユニット取付部4を介して干渉計本体53に着脱可能に取り付ける際の参照レンズユニットの取付構造を構成している。
以下では、参照レンズユニット1の着脱動作について、本実施形態の参照レンズユニットの取付方法とともに説明する。
図7(a)、(b)は、それぞれ本発明の第1の実施形態に係る参照レンズユニットの取付方法を説明する模式的な斜視図である。図8(a)は、図7(b)におけるG視の下面図である。図8(b)は、図8(a)におけるJ−J断面図およびK−K断面図の一部である。
【0030】
参照レンズユニット1を参照レンズユニット取付部4に取り付けるには、図7(a)に示すように、操作レバー7を下方に押し下げて(矢印b方向)回動支軸7d回りに回動させ、取付板5の係止孔5gから係止ピン7cの係止解除を行う。次いで、図3、図4(a)に示すように、操作レバー7bを測定基準軸Oから離間する方向(図示矢印a方向)に、回動軸8を中心として回動させ、押圧部材9をアリ溝部5Dの延びる範囲から退避させる。
次に、丸アリ部2Aを上側に向けて、参照レンズユニット1を保持し、測定基準軸Oを挟んで位置決め突起5Bと対向する方向(図4(a)のE矢視方向)から、丸アリ部2Aを、アリ溝部5D側に挿入する。そして、丸アリ部2Aの位置合わせ面2aの外周側一部を、位置決め面5cの外周側一部に当接させる。
【0031】
次に、参照レンズユニット1をアリ溝部5Dの延設方向に沿って、位置決め突起5B側に平行移動させる。このとき、基準側アリ溝部5Aの傾斜面5dおよびガイド側アリ溝部5Cの傾斜面5fは、平行移動方向のガイド部材となっており、丸アリ部2Aの円錐傾斜面2bと線接触した状態となるので、参照レンズユニット1の自重を支えつつ水平移動させると、接触面積が大きなねじ方式の取付作業に比べて、参照レンズユニット1を格段に軽荷重で摺動移動させることが可能である。
【0032】
丸アリ部2Aが位置決め突起5Bの円錐傾斜面5eに当接したら参照レンズユニット1の移動を停止する。丸アリ部2Aは、アリ溝5Dの傾斜面5d、5fおよび5eによって下方に抜け止めされた状態で、円錐傾斜面2b上の3箇所において参照レンズユニット取付部4に係止される(図4(a)参照)。
このように係止された後は、作業者は参照レンズユニット1を下方から支える必要はなくなる。
次に、図8(a)に示すように、操作レバー7bを回動軸8回りに測定基準軸Oに近づく方向(図示矢印c参照)に回動させる。
そして、係止ピン7cが位置決め面5cの係止孔5gの下方に位置する回動位置で回動軸8回りの回動を停止する。
このとき、押し当て機構本体7の回動軸8回りの回動に伴って押圧部材9(図6参照)が、丸アリ部2Aに向かって進出され、突起部9bの円錐傾斜面9cが丸アリ部2Aの円錐傾斜面2bに当接する。これにより、丸アリ部2Aは、円錐傾斜面2bの周方向の3箇所(図8(a)、図8(b)、図6に示す点d、e、fを通る円錐傾斜面2bの母線)で、基準側アリ溝部5A、位置決め突起5B、および押圧部材9と当接される。
【0033】
さらに操作レバー7bを回動軸8回りに回動させ、押圧部材9によって丸アリ部2Aの押圧を続けると、円錐傾斜面2bは周方向の3箇所で中心に向けて付勢される。これらの付勢力は、丸アリ部2Aを径方向内側に付勢する分力成分と、丸アリ部2Aを位置決め面5c側に付勢する分力成分とを有する。
このため、丸アリ部2Aの円錐傾斜面2bは、当接する基準側アリ溝部5Aの傾斜面5d、位置決め突起5Bの円錐傾斜面5e、押圧部材9の円錐傾斜面9cの傾斜に沿って位置決め面5c側に移動され、位置合わせ面2aが位置決め面5cに密着して当接される(図6、図8(b)参照)。
このとき、丸アリ部2Aは、傾斜面5d、円錐傾斜面5e、および円錐傾斜面9cと、位置決め面5cとの間に係止されている。
これにより、参照レンズユニット1は、測定基準軸Oの沿う方向に位置決めされる。
また平面視では、参照レンズユニット1は、図8(a)に示すように、測定基準軸Oと参照レンズ3のレンズ光軸Pとが整列するように位置決めされる。
このようにして、参照レンズユニット1が、参照レンズユニット取付部4の取付位置に位置決めされる。
このように、丸アリ部2Aは、筒体径方向の位置決め、および筒体軸方向において、位置合わせ面5cに向かう押圧力の伝達を行うため、レンズ枠2の端部の外周側にレンズ光軸Pと同軸に設けられた外周被係止部を構成している。
【0034】
また、この位置決め状態では、係止ピン7cの上方には係止孔5gが位置している。このため、操作レバー7bの下方への押圧を解除すると、コイルばね12の付勢力により操作レバー7bが回動支軸7dを中心に上方(図5(b)の矢印g方向)に回動し、係止ピン7cが下方から係止孔5g内に貫入して係止孔5gに係止され、操作レバー7bの回動軸8回りの位置が固定される(図5(a)、図7(b)参照)。
以上で、参照レンズユニット1の参照レンズユニット取付部4への取り付けが終了する。
また、上記の動作を逆順に行うことにより、参照レンズユニット1を参照レンズユニット取付部4から離脱させることができる。
【0035】
このように、本実施形態の参照レンズユニットの取付構造によれば、レンズ枠2をレンズ光軸Pまわりに回転させることなく参照レンズユニット1を参照レンズユニット取付部4に取り付けることができるので、参照レンズユニット1および参照レンズユニット取付部4の磨耗による劣化を抑制することができる。
また、参照レンズユニット1をレンズ光軸P回りに回転させなくてよいため、着脱時間が短縮される。参照レンズユニット1を外す際にも、アリ溝部5Dに係止状態としてから離脱させることができるため、参照レンズユニット1を誤って落としたりする事故が発生しにくくなる。
このように本実施形態では、参照レンズユニット1の交換の作業性を向上することができる。
【0036】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図9(a)は、本発明の第1の実施形態の第1変形例の参照レンズユニットを示す模式的な断面図である。図9(b)は、本発明の第1の実施形態の第2変形例の参照レンズユニットの取付構造を示す模式的な断面図である。
【0037】
本実施形態の第1変形例の参照レンズユニット20は、図9(a)に示すように、上記第1の実施形態の参照レンズユニット1のレンズ枠2に代えて、レンズ枠21を備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0038】
本変形例のレンズ枠21は、略円筒状とされ、丸アリ部2Aが、端部の外周円筒面から径方向外側に張り出して設けられている。
このような構成でも、上記第1の実施形態と同様にして、参照レンズユニット取付部4に着脱することができる。
【0039】
本実施形態の第2変形例は、図9(b)に示すように、上記第1の実施形態の参照レンズユニット30は、上記第1の実施形態のレンズ枠2に代えて、レンズ枠31を備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0040】
本変形例のレンズ枠31は、上記第1の実施形態のレンズ枠2の丸アリ部2Aに代えて、外径d、位置合わせ面2aからの厚さがt(ただし、t<H)の角断面を有する円環状突起32(外周被係止部)を備える。
測定基準軸Oに対する円環状突起32の外径dおよび厚さtは、円環状突起32の位置合わせ面2aを位置決め面5cに密着して当接させ、かつ円環状突起32の位置合わせ面2aと反対側の角部32aを基準側アリ溝部5Aの傾斜面5dおよび位置決め突起5Bの円錐傾斜面5eに密着して当接させたときに、参照レンズ3のレンズ光軸Pの径方向の位置が測定基準軸Oに一致されるように設定される。
さらに、円環状突起32の形状は、アリ溝部5Dに鉛直方向に係止可能かつ溝延設方向に挿通可能となるように、次式を満足するように設定する。
【0041】
W<d+2・H/tanθ ・・・(2)
【0042】
本変形例によれば、上記第1の実施形態と同様に、押圧部材9を円環状突起32に向けて移動させると、円環状突起32の角部32aが押圧される。このとき、円環状突起32は、基準側アリ溝部5Aの傾斜面5d、位置決め突起5Bの円錐傾斜面5e、および押圧部材9の円錐傾斜面9cと点接触した状態で、径方向内側および軸方向の位置決め面5c側に向けて付勢され、これらの付勢力は、丸アリ部2Aを径方向内側に付勢する分力成分と、丸アリ部2Aを位置決め面5c側に付勢する分力成分とを有する。そして、角部32aは、点接触された傾斜面5d、円錐傾斜面5e、円錐傾斜面9cに沿って軽荷重で移動することが可能である。
このため、上記第1の実施形態と同様に、位置合わせ面2aが位置決め面5cに密着して当接するように移動される。そのため、上記第1の実施形態と同様に、位置決めされる。
このように、円環状突起32は、筒体径方向の位置決め、および筒体軸方向において、位置合わせ面5cに向かう押圧力の伝達を行うため、レンズ枠21の端部の外周側にレンズ光軸Pと同軸に設けられた外周被係止部を構成している。
本変形例は、外周被係止部に傾斜面が設けられていない場合の例となっている。
【0043】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る参照レンズユニットの取付構造について説明する。
図10(a)は、本発明の第2の実施形態に係る参照レンズユニット取付部の模式的な下面図である。図10(b)は、図10(a)におけるL視の側面図である。
【0044】
本実施形態の参照レンズユニットの取付構造は、上記第1の実施形態の参照レンズユニット取付部4に代えて、図10(a)、(b)に示す参照レンズユニット取付部14を備えるものであり、干渉計装置50に対し、参照レンズユニット1を着脱可能に取り付けるために好適に用いることができるものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0045】
参照レンズユニット取付部14は、上記第1の実施形態の参照レンズユニット取付部4の取付板5に代えて、取付板15を備える。取付板15は、取付板5から基準側アリ溝部5A、位置決め突起5B、ガイド側アリ溝部5Cを削除し、位置決め突起5Bと同一形状の位置決め突起15A、15B(基準係止部)を備える。
位置決め突起15A、15Bは、上記第1の実施形態と同様の位置に進出された押圧部材9とともに、上記第1の実施形態と同様にして丸アリ部2Aの径方向の位置を位置決めし、位置合わせ面2aを位置決め面5cに密着して当接させるように、測定基準軸Oを中心とする円周上において、周方向に離間して配置される。
【0046】
これらの周方向の相対位置は、押圧部材9を位置決め時の位置に進出させたときには、位置決め突起15A、15Bの各中心、および押圧部材9の進出位置の中心を結んで形成される三角形が鋭角三角形となる位置関係とする。
さらに、押圧部材9をこの進出位置から退避させたときには、押圧部材9と位置決め突起15A、および押圧部材9と位置決め突起15Bのうちの少なくともいずれかの間に、丸アリ部2Aが挿通可能なアリ溝状の空間が形成されるような位置関係とする。
【0047】
次に、参照レンズユニット取付部14を、干渉計装置50に用いた場合の参照レンズユニットの取付方法について説明する。
参照レンズユニット取付部14によって、参照レンズユニット1を取り付けるには、先ず図10(a)に示すように、操作レバー7bを測定基準軸Oから離間する方向に、回動軸8を中心として回動させ、押圧部材9を、位置決め突起15A、15Bから離間する方向の退避位置に退避させる。
本実施形態では、丸アリ部2Aを上側に向けた参照レンズユニット1を、鉛直下方から位置決め突起15A、15B、および押圧部材9の間に挿入できるように、押圧部材9を位置決め突起15A、15Bから十分離間させた位置まで退避させる。
次に、鉛直下方から位置決め突起15A、15B、および押圧部材9の間に挿入された丸アリ部2Aの円錐傾斜面2bを位置決め突起15A、15Bの各円錐傾斜面5e側に押し当てて、それぞれ円錐傾斜面2bの周方向の2箇所で係止させる。
この状態で、操作レバー7bを、回動軸8回りに測定基準軸Oに近づく方向(図示の矢印q参照)に回動させる。
そして、係止ピン7cが位置決め面5cの係止孔5gの下方に位置する回動位置で回動軸8回りの回動を停止する(図10(a)の二点鎖線で示す押圧部材9参照)。
このとき、押し当て機構本体7の回動軸8回りの回動に伴って、押圧部材9が丸アリ部2Aに向かって進出し、突起部9bの円錐傾斜面9cが丸アリ部2Aの円錐傾斜面2bに当接される。これにより、丸アリ部2Aは、円錐傾斜面2bの周方向の3箇所(図10(a)に示す点j、k、mを通る円錐傾斜面2bの母線)で、位置決め突起15A、15B、および押圧部材9と当接される。
【0048】
さらに操作レバー7bを回動軸8回りに回動させ、押圧部材9によって、丸アリ部2Aの押圧を続けると、円錐傾斜面2bは周方向の3箇所で中心に向けて付勢される。これらの付勢力は、丸アリ部2Aを径方向内側に付勢する分力成分と、丸アリ部2Aを位置決め面5c側に付勢する分力成分とを有する。
このため、丸アリ部2Aの円錐傾斜面2bは、当接する位置決め突起15A、15Bの各円錐傾斜面5e、および押圧部材9の円錐傾斜面9cの傾斜に沿って位置決め面5c側に移動され、位置合わせ面2aは、位置決め面5cに当接される。
このとき、丸アリ部2Aは、各円錐傾斜面5e、および円錐傾斜面9cと、位置決め面5cとの間に係止されている。
これにより、参照レンズユニット1は、測定基準軸Oの沿う方向に位置決めされる。
また平面視では、参照レンズユニット1は、図10(a)に示すように、測定基準軸Oと参照レンズ3のレンズ光軸Pとが整列するように位置決めされる。
このようにして、参照レンズユニット1が、参照レンズユニット取付部14の取付位置に位置決めされる。
【0049】
また、この位置決め状態では、係止ピン7cの上方には係止孔5gが位置しており、上記第1の実施形態と同様に操作レバー7bを操作することにより、係止ピン7cを係止孔5gに係止させて回動軸8回りの位置を固定することができる。
以上で、参照レンズユニット1の参照レンズユニット取付部14への取り付けが終了する。
また、上記の動作を逆順に行うことにより、参照レンズユニット1を参照レンズユニット取付部14から離脱させることができる。
【0050】
このように、本実施形態の参照レンズユニットの取付構造によれば、レンズ枠2をレンズ光軸Pまわりに回転させることなく参照レンズユニット1を参照レンズユニット取付部14に取り付けることができるので、参照レンズユニット1および参照レンズユニット取付部14の磨耗による劣化を抑制することができる。
また、参照レンズユニット1をレンズ光軸P回りに回転させなくてよいため、着脱時間が短縮される。
また、上記第1の実施形態のように、丸アリ部2Aをアリ溝に位置合わせすることなく、鉛直下方から取り付けることができるので、より迅速に参照レンズユニット1の交換を行うことができる。
【0051】
なお、上記の説明では、参照レンズユニットの外周被係止部が周方向に連続する丸アリ部や円環状突起の場合の例で説明したが、外周被係止部は、少なくとも基準係止部および可動押圧部材に係止される3位置の近傍に形成されていればよく、周方向に断続して形成されていてもよい。
【0052】
また、上記の各実施形態、各変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、20、30 参照レンズユニット
2、21、31 レンズ枠
2A 丸アリ部
2a 位置合わせ面
2b 円錐傾斜面(外周被係止部)
3 参照レンズ
3a 参照面
4、14 参照レンズユニット取付部
5A 基準側アリ溝部(基準係止部)
5B、15A、15B 位置決め突起(基準係止部)
5C ガイド側アリ溝部
5D アリ溝部
5c 位置決め面
5d、5f 傾斜面
5e 円錐傾斜面(傾斜面)
5g 係止孔
6 押し当て機構
9 押圧部材(可動押圧部材)
9b 突起部
9c 円錐傾斜面(傾斜面)
32 円環状突起(外周被係止部)
32a 角部
50 干渉計装置(干渉計)
53 干渉計本体
60 被測定体
60a 被測定面
O 測定基準軸
P レンズ光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉計に用いる参照レンズを筒体状のレンズ枠に保持した参照レンズユニットを、参照レンズユニット取付部を介して干渉計本体に着脱可能に取り付ける参照レンズユニットの取付構造であって、
前記レンズ枠は、
筒体軸方向の端部に設けられた前記参照レンズのレンズ光軸に直交する位置合わせ面と、
筒体径方向の位置決め、および筒体軸方向において前記端部と反対側の端部側から前記位置合わせ面に向かう押圧力の伝達を行うため、前記端部の外周側に前記レンズ光軸と同軸に設けられた外周被係止部とを備え、
前記参照レンズユニット取付部は、
前記レンズ枠の前記位置合わせ面が前記干渉計本体の外部側から当接可能に設けられた、前記干渉計本体の測定基準軸に直交する位置決め面と、
該位置決め面上で前記測定基準軸を中心とする円周上の互いに離間した2位置に、前記位置決め面から外部側に離れるにつれて前記測定基準軸側に向かって径方向内側に傾斜する傾斜面を有し、該傾斜面と前記位置決め面との間で前記レンズ枠の前記外周被係止部が係止可能に設けられた基準係止部と、
前記位置決め面に対向する外部側で、前記測定基準軸を挟んで前記2位置の基準係止部と反対側に、前記測定基準軸に向かう径方向に進退可能に設けられた可動押圧部材とを備え、
前記レンズ枠の前記外周被係止部を、前記参照レンズユニット取付部の前記2位置の基準係止部および前記可動押圧部材の間に挟んだ状態で、該可動押圧部材を進退させることにより、前記参照レンズユニットを前記参照レンズユニット取付部に対して着脱させることを特徴とした参照レンズユニットの取付構造。
【請求項2】
前記レンズ枠の前記外周被係止部は、
前記参照レンズユニット取付部の前記基準係止部の前記傾斜面と同一角度で傾斜した筒体周方向に連続して形成された円錐傾斜面からなることを特徴とする請求項1に記載の参照レンズユニットの取付構造。
【請求項3】
前記参照レンズユニット取付部は、
前記位置決め面上に、前記レンズ枠の前記外周被係止部を係止して、前記レンズ枠を前記測定基準軸に向かう径方向に案内するアリ溝部が設けられ、
該アリ溝部が前記2位置のうちの1つの基準係止部を兼ねることを特徴とする請求項1または2に記載の参照レンズユニットの取付構造。
【請求項4】
干渉計に用いる参照レンズを筒体状のレンズ枠に保持した参照レンズユニットを、参照レンズユニット取付部を介して干渉計本体に着脱可能に取り付ける参照レンズユニットの取付方法であって、
前記レンズ枠は、
筒体軸方向の端部に設けられた前記参照レンズのレンズ光軸に直交する位置合わせ面と、
筒体径方向の位置決め、および筒体軸方向において前記端部と反対側の端部側から前記位置合わせ面に向かう押圧力の伝達を行うため、前記端部の外周側に前記レンズ光軸と同軸に設けられた外周被係止部とを備え、
前記参照レンズユニット取付部は、
前記レンズ枠の前記軸方向位置合わせ面が前記干渉計本体の外部側から当接可能に設けられた、前記干渉計本体の測定基準軸に直交する位置決め面と、
該位置決め面上で前記測定基準軸を中心とする円周上の互いに離間した2位置に、前記位置決め面から外部側に離れるにつれて前記測定基準軸側に向かって径方向内側に傾斜する傾斜面を有し、該傾斜面と前記位置決め面との間で前記レンズ枠の前記外周被係止部が係止可能に設けられた基準係止部とを備え、
前記レンズ枠の前記位置合わせ面を、前記参照レンズユニット取付部の前記位置決め面に対向させた状態で、前記レンズ枠の前記外周被係止部を前記2位置の基準係止部に係止させ、
前記測定基準軸を挟んで前記2位置の基準係止部と反対側の前記外周被係止部の少なくとも1箇所を、可動押圧部材によって前記測定基準軸に向かう径方向および前記測定基準軸に沿って前記位置決め面側に向かう方向に押圧し、
前記レンズ枠の前記位置合わせ面と、前記参照レンズユニット取付部の前記位置決め面とが密着して当接された位置で、前記可動押圧部材を前記位置決め面上に押圧して位置決めすることにより、
前記参照レンズユニットを前記参照レンズユニット取付部に取り付ける参照レンズユニットの取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−164379(P2010−164379A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5976(P2009−5976)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】