説明

双眼鏡

【課題】光学仕様を容易に変更できる双眼鏡を提供する。
【解決手段】対物レンズ11と、合焦レンズ12と、接眼レンズ14とからなる光学系10を2つの鏡筒のそれぞれの内部に収容して構成される双眼鏡Bであって、対物レンズ11として、鏡筒に着脱自在に取り付けられる第1の対物レンズ11Dと、第1の対物レンズ11Dと光学仕様が異なり第1の対物レンズ11Dに替えて鏡筒に着脱自在に取り付けられる第2の対物レンズ11Cとを備え、合焦レンズ12として、鏡筒に着脱自在に取り付けられる第1の合焦レンズ12Dと、第1の合焦レンズ12Dに替えて鏡筒に着脱自在に取り付けられる第2の合焦レンズ12Cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系を鏡筒の内部に収容してなる双眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
双眼鏡は、野鳥観察やスポーツ観戦など多岐にわたって広く利用されている。双眼鏡の光学系は、対物レンズと、合焦レンズと、接眼レンズとから構成され、各レンズがモールド成形された取付枠に保持され、各レンズを保持した取付枠がモールド成形された鏡筒内に収容される(例えば、特許文献1参照)。双眼鏡には、予め所定倍率が設定された単倍型と、例えば7〜15倍の範囲で変倍可能なズーム型とがある。一般にズーム型双眼鏡は、接眼レンズの焦点距離を変更させて変倍させるとともに、変倍範囲の全域でバランスのとれた収差補正が行われるように設計されている。このため、状況に応じた倍率で対象物を観察できる反面、倍率によってはアイレリーフが短くなるとともに、単倍型と比べて結像性能が劣る。このようなことから、単倍型双眼鏡に対するニーズも依然として高い。なお、双眼鏡の利用時は手ブレの影響を受けるため、一般には8倍程度の比較的低倍でなければ充分な観察を行えないとされるが、双眼鏡の扱いに慣れた利用者は、12倍程度の比較的高倍であっても充分な観察を行えるとされている。
【0003】
【特許文献1】実開平6−2329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各双眼鏡メーカは、利用者の多様なニーズに応えるため、倍率や対物レンズの有効径などの光学仕様が異なる各種の単倍型双眼鏡を製品としてラインアップしている。しかしながら、生産上の観点から製品展開には限界があり、例えば倍率は飛び飛びの値にならざるをえない(8倍、10倍、12倍など)。また、各種の双眼鏡が製造されているが、光学部品を保持する取付枠やこれらを収容する鏡筒は、光学仕様に合った最適設計がなされており、各製品に応じて作成された金型から成形されている。例えば利用者が求める光学仕様にカスタマイズするためには、結果的にその仕様に合った取付枠や鏡筒を成形する金型を新たに作成しなければならないおそれがあり、現状ではこのような既存製品に対する光学仕様の変更は一切行われていない。また、双眼鏡に限らず、光学部品の取付は、光軸調整や収差補正の観点から非常に高い位置精度で行われている。このため、利用者が所望する光学仕様に変更するために所有する双眼鏡を分解しても、収差補正が良好とされる範囲内で再度組み立て上げることは非常に困難である。
【0005】
このような現状であるため、例えば、低倍設定された単倍型双眼鏡を所有する利用者が扱いに慣れ、より高倍設定された双眼鏡を求める場合、そのように倍率設定された双眼鏡を新たに購入しなければならなかった。また、アクロマートの対物レンズを設けた双眼鏡を所有する利用者がアポクロマートへの変更を求める場合、新たにアポクロマートの対物レンズを設けた双眼鏡を購入しなければならなかった。このとき、倍率や有効径など、色消し性能以外の仕様については変更したくないとしても、これらの仕様が所有する双眼鏡と同一に設計された製品が既存製品の中にあるとは限らない。
【0006】
このような問題に鑑み、本発明は、光学仕様を容易に変更できる双眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的達成のため、本発明に係る双眼鏡は、対物レンズと、光軸方向に移動可能な合焦レンズと、接眼レンズとを有して構成される双眼鏡光学系を鏡筒内に収容した双眼鏡であって、対物レンズおよび合焦レンズが鏡筒に対して着脱自在に取り付けられている。そして、対物レンズとして、鏡筒に着脱自在に取り付けられる第1の対物レンズと、この第1の対物レンズと光学仕様が異なり第1の対物レンズに替えて鏡筒に取り付けられる第2の対物レンズとを備え、合焦レンズとして、鏡筒に着脱自在に取り付けられる第1の合焦レンズと、第1の合焦レンズに替えて鏡筒に取り付けられる第2の合焦レンズとを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、対物レンズや合焦レンズの着脱交換だけで光学仕様が変更される。このため、利用者は、所望の光学仕様の双眼鏡を得られる機会が増え、また、購入後における光学仕様の変更を低コストで行うことができる。一方、メーカは、双眼鏡の実質的な製品展開の拡大を低コストで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図6に一部を示すように、双眼鏡Bは、図示しない基盤と、基盤の左右に取り付けられる鏡筒1と、基盤および左右の鏡筒1の外面を保護するカバー2とから構成され、両鏡筒1の内部に光学系10(図1)を構成する光学部品が収容される。図1に示すように、光学系10は、対物レンズ11、合焦レンズ12、正立プリズム13および接眼レンズ14からなる。
【0010】
鏡筒1は、モールド成形により所定の内径を有した円筒状に成形されている。図6に一方の鏡筒1の一端開口1a側の断面図を示すように、鏡筒1の内部空間に、対物レンズ11、合焦レンズ12および正立プリズム13が配置されている。なお、図示しない他端開口側には、接眼レンズが配置されている。対物レンズ11は、対物レンズ取付枠51に保持され、合焦レンズ12は、合焦レンズ取付枠52に保持され、正立プリズム13は、プリズム取付枠53に保持される。各取付枠51〜53は、モールド成形により略円筒状に成形されている。プリズム取付枠53は、正立プリズム13を保持した状態で他端開口から鏡筒1の内部に収容され、所定位置に位置決めされる。
【0011】
対物レンズ取付枠51は、外径が鏡筒1の内径より僅かに小さい円筒状に成形されており、鏡筒1の内部空間に一端開口1aから収容される。また、対物レンズ取付枠51の外側からリング54が取り付けられる。リング54は鏡筒1の内部における固定位置を軸方向に調整可能になっている。これにより、対物レンズ取付枠51が鏡筒1の内部空間に対して軸方向に位置決めされる。
【0012】
合焦レンズ取付枠52は、略円筒状に成形されている。合焦レンズ取付枠52の内部には、それぞれ円筒状に成形された第1〜第3スペーサ55〜57が設けられる。第1スペーサ55は、外径が合焦レンズ取付枠52の内径より僅かに小さい円筒状に成形され、合焦レンズ取付枠52の内部に嵌合される。第2および第3スペーサ56,57は、外径が第1スペーサ55の内径と等しい円筒状に成形され、第1スペーサ55の内部に嵌合される。
【0013】
このような合焦レンズ取付枠52において、合焦レンズ12は、第1スペーサ55の内部に収容されるとともに、第2および第3スペーサ56,57に挟持される。すなわち、第1スペーサ55により合焦レンズ12の径方向の位置決め(軸合わせ)が行われ、第1スペーサ55の内径は、取り付けられる合焦レンズ12の外径に合わせて設定される。また、第2および第3スペーサ56,57により合焦レンズ12が軸方向に位置決めされ、第2および第3スペーサ56,57の軸方向長さは、合焦レンズ12の取り付け位置に合わせて設定される。さらに、第3スペーサ57の外側からリング58が取り付けられる。これにより、合焦レンズ12および第1〜第3スペーサ55〜57が、合焦レンズ取付枠52の内部に保持される。このような構造により、合焦レンズ12は、合焦レンズ取付枠52の内部において、軸方向に、所定範囲内(例えば50.0mm)で取り付け位置の調整を行うことができる。
【0014】
なお、基盤には、利用者が回転操作可能なピント調整ダイヤルが取り付けられている。このピント調整ダイヤルの回転と同期して回転するボールねじ59が、カバー2の内部において鏡筒1の側方に、鏡筒1の軸方向に延びて取り付けられている。このボールねじ59には、駒部材60の一端が螺合している。駒部材60は、ボールねじ51が回転するとボールねじ59の軸上を移動する。また、合焦レンズ取付枠52は、外周面に溝部52aが形成されている。さらに、鏡筒1には基盤側に所定の抜き穴1bが形成されている。この抜き穴1bは、鏡筒1の軸方向に対して所定長さ(例えば4.0mm)だけ切り欠かれて形成されている。駒部材60の他端は、この抜き穴1bを介して鏡筒1の内部空間に収容された合焦レンズ取付枠52の溝部52aに嵌合している。このため、ピント調整ダイヤルが回転操作されると、合焦レンズ取付枠52が鏡筒1の内部空間を軸方向に移動する。また、このとき合焦レンズ取付枠52の移動範囲は、抜き穴1bの上記所定長さにより規定される。
【0015】
双眼鏡Bの光学系10について、図1(a)を参照して概要説明する。なお、図1では、光軸Lの左側を物体側としている。図1(a)に示すように、光学系10は、ケプラー望遠鏡をベースとし、物体側から対物レンズ11、合焦レンズ12、正立プリズム13および接眼レンズ14が順に並んで配置され、正立像15が正立プリズム13と接眼レンズ14との間に形成される。
【0016】
対物レンズ11は、クラウンガラスから成形される両凸レンズ101と、フリントガラスから成形される凹メニスカスレンズ102とのダブレット11aからなる正レンズであり、色収差の補正を良好に行うことができる。なお、両凸レンズ101および凹メニスカスレンズ102は、互いの貼り合わせ面における曲率半径が等しくなるように成形されている。合焦レンズ12は、凹メニスカスレンズ103からなり、上記のとおり、ピント調整ダイヤルの回転に応じて光軸方向に移動する。正立プリズム13は、ダハプリズムに対する補助プリズムである第1プリズム104と、ダハプリズムである第2プリズム105とから構成される。両プリズム104,105を対物レンズ11と接眼レンズ13の間に設けることにより、光路を長く確保できるとともに、像を正立させることができる。接眼レンズ14は、物体側から平凹レンズ106および両凸レンズ107のダブレット14aと、凸メニスカスレンズ108とを順に並べてなる正レンズである。また、平凹レンズ106および両凸レンズ107は、互いの貼り合わせ面における曲率半径が等しくなるように成形されている。
【0017】
このように構成される双眼鏡Bは、販売製品の光学仕様を設定するため、双眼鏡として相応しい数値範囲内に設定された光路全長および有効径に基づき、レンズの径、光学面の曲率半径、光学面間の距離など、光学系10の設計が適切に行われる。そして、設計どおりになるように、鏡筒1、レンズおよびプリズム、レンズやプリズムの取付枠51〜53がそれぞれ成形される。なお、鏡筒1および取付枠51〜53はモールド成形されるため、同時にこれらを成形するための金型の設計および作成も行われる。取付枠51〜53に保持されたレンズやプリズムは、鏡筒1の内部空間に高い位置精度で取り付けられる。
【0018】
ここで、図1(a)に示す光学系10を有した双眼鏡が販売製品として出荷されているとする。以下、販売製品におけるデフォルトの光学仕様が設定された光学系10をデフォルト光学系10Dとし、デフォルト光学系10Dに設けられる対物レンズ11をデフォルト用対物レンズ11Dとし、デフォルト光学系10Dに設けられる合焦レンズ12をデフォルト用合焦レンズ12Dとする。
【0019】
また、この双眼鏡Bは、利用者の購入後であっても、図1(b)〜(d)に例示するように仕様変更できるようになっている。このような光学仕様の変更を可能にするため、双眼鏡Bには、デフォルト用対物レンズ11Dに替えて鏡筒1に取り付けられるカスタマイズ用対物レンズ11Cと、デフォルト用合焦レンズ12Dに替えて鏡筒1に取り付けられるカスタマイズ用合焦レンズ12Cとが備えられる。以下、このようなカスタマイズ用対物レンズ11Cやカスタマイズ用合焦レンズ12Cを有して構成される光学系10をカスタマイズ光学系10Cとする。
【0020】
なお、デフォルト用対物レンズ11Dに替えてカスタマイズ用対物レンズ11Cを取り付けるときは、まず、リング54を取り外して一体開口1aから外部に取り出し、対物レンズ取付枠51を一端開口1aから外部に取り出す。そして、対物レンズ取付枠51からデフォルト用対物レンズ11Dを取り外し、替わりにカスタマイズ用対物レンズ11Cを保持させる。カスタマイズ用対物レンズ11Cを保持した対物レンズ取付枠51を鏡筒1の内部空間に再び収容し、さらに、その外側からリング54を再び取り付ける。このとき、リング54の固定位置を調整することにより、所定の調整範囲内(例えば1.0mm)でカスタマイズ用対物レンズ11Cの光軸方向に対する位置を調整できる。
【0021】
また、デフォルト用合焦レンズ12Dに替えてカスタマイズ用合焦レンズ12Cを取り付けるときは、まず、上記と同様に、リング54および対物レンズ取付枠51を取り出す。そして、合焦レンズ取付枠52に設けられたリング58を取り外し、さらに、第3スペーサ57、デフォルト設定用合焦レンズ12D、第2スペーサ56、第1スペーサ55の順で合焦レンズ取付枠52から取り外し、これらを一端開口1aから外部に取り出す。
【0022】
そして、カスタマイズ用合焦レンズ12Cの外径に合わせて内径が設定された第1スペーサ55を合焦レンズ取付枠52の内部に嵌合させ、カスタマイズ用合焦レンズ12Cの光軸方向に対する位置に合わせて軸方向長さが設定された第2スペーサ56を第1スペーサ55の内部に嵌合させ、カスタマイズ用合焦レンズ12Cを第1スペーサ55の内部に嵌合させ、第3スペーサ57を第1スペーサ55の内部に嵌合させ、リング58を合焦レンズ取付枠52に取り付ける。これにより、カスタマイズ用合焦レンズ12Cが第1〜第3スペーサ55〜57により保持される。そして、上記のとおり、対物レンズ取付枠51およびリング54が再び取り付けられる。なお、合焦レンズ取付枠52は、駒部材60を介して基盤側に連結されているが、溝部52aとの嵌合を解放すれば、一端開口1aから外部に取り出すことができる。すなわち、合焦レンズ取付枠52に対する第1〜第3スペーサ55〜57、合焦レンズおよびリング58の着脱を鏡筒1の外部で行い、アセンブリ化された状態で鏡筒1に再び収容させることもできる。
【0023】
このように、本発明に係る双眼鏡は、簡単に対物レンズ11および合焦レンズ12を着脱交換できるようになっている。しかも、リング54の固定位置の調整により、対物レンズ11の光軸方向に対する位置調整を簡単に行うことができる。また、合焦レンズ12の径を変更したい場合であっても、第1スペーサ55の内径を変更することにより簡単に対応でき、変更前と変更後とで同じ合焦レンズ取付枠52に合焦レンズ12を保持させることができる。また、合焦レンズ12の光軸方向に対する位置を変更したい場合であっても、第2および第3スペーサ56,57の軸方向長さを変更することにより簡単に対応でき、変更前と変更後とで同じ合焦レンズ取付枠52に合焦レンズ12を保持させることができる。このような構造であるため、以下に示すように、光学仕様の変更を簡単に行うことができる。
【0024】
表1には、デフォルト光学系10Dにおける各レンズの諸元値を示している。表1には、左側から、第1欄mに、各光学面に対して物体側から順に付した番号(面番号と称する)を示し、第2欄rに、同じ行の面番号に対応する光学面の曲率半径が示され、第3欄dに、同じ行の面番号に対応する光学面から次の光学面までの光軸上の距離(面間隔と称する)が示され、第4欄ndに、同じ行の面番号に対応する光学面から次の光学面までにおけるd線に対する屈折率が示され、第5欄νdに、同じ行の面番号に対応する光学面から次の光学面までにおけるd線に対するアッベ数が示されている。なお、図1(a)において、各光学面に対し、第1欄mの面番号と対応させるためにm1〜m14の符号を付している。図1(a),表1に示すように、ダブレット11a,14aの貼り合わせ面は一つの光学面としている。第2欄rにおいて、光学面が物体側に凸面を向けるときを正とし、光学面が平面のときは0.0と示される。第2欄rおよび第3欄dにおいて、単位はミリメートルである。第4欄ndおよび第5欄νdにおいて、空気の屈折率およびアッベ数は記載が省略されている。なお、以下の表2〜表4も、このようにして表1と同じ要領で作成されている。また、以下において、例えば「曲率半径r1」は光学面m1の曲率半径を示し、「面間隔d1」は光学面m1から光学面m2までの距離を示し、「屈折率nd1」および「アッベ数νd1」は、両凸レンズ101の屈折率およびアッベ数を示す。
【0025】
(表1)
m r d nd νd
1 63.0 8.0 1.517 64.1
2
-38.7 2.0 1.607 40.4
3 -143.0 36.2
4 80.2 2.0 1.517 64.1
5 39.2 30.0
6
0.0 40.0 1.569 56.0
7
0.0 5.0
8
0.0 40.0 1.569 56.0
9
0.0 16.8
10
0.0 2.0 1.755 27.6
11 17.0 10.0 1.620 60.3
12
-24.0 0.2
13 19.0 5.0 1.620 60.3
14
175.3
【0026】
表1に示すように、デフォルト光学系10Dは、光学面m1から光学面m14までの距離が197.2mmであり、倍率Mが8倍に設定されている。また、アッベ数νd1に示すように、この対物レンズ11Dの両凸レンズ101の硝材は、一般的な光学ガラスである。このような硝材からなる両凸レンズ101を有した対物レンズ11Dにより、デフォルト光学系10Dにおいて、アクロマート色消しが実現される。
【0027】
図2には、デフォルト光学系10Dの球面収差(a)、非点収差(b)および歪曲収差(c)を示している。図2(a)および図2(b)に、d線、F線およびC線に対する収差図を示し、図2(c)に、d線に対する収差図を示している。図2(b)では、実線がサジタル像面、点線がメリディオナル像面を示している。なお、図3〜図5も、このようにして図2と同じ要領で作成されている。図2に示すように、デフォルト光学系10Dは、各収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されている。
【0028】
図1(b)には、デフォルト用合焦レンズ12Dに替えてカスタマイズ用合焦レンズ11Cを取り付けた第1のカスタマイズ光学系10Caを示している。第1のカスタマイズ光学系10Caは、カスタマイズ用合焦レンズ12Cとして、第1のカスタマイズ用合焦レンズ12Caを有している。なお、対物レンズ11は、デフォルト用対物レンズ11Dになっている。表2には、第1のカスタマイズ用光学系10Caにおける各レンズの諸元値を示している。図3には、第1のカスタマイズ用光学系10Caにおける収差図を示している。
【0029】
(表2)
m r d nd
νd
1 63.0 8.0 1.517 64.1
2
-38.7 2.0 1.607 40.4
3 -143.0 7.5
4
130.0 2.0 1.517 64.1
5 70.2 58.6
6
0.0 40.0 1.569 56.0
7
0.0 5.0
8
0.0 40.0 1.569 56.0
9
0.0 16.8
10
0.0 2.0 1.755 27.6
11 17.0 10.0 1.620 60.3
12
-24.0 0.2
13 19.0 5.0 1.620 60.3
14
175.3
【0030】
表1と表2を比べると、第1のカスタマイズ用光学系10Caは、曲率半径r4,r5および面間隔d3,d5が変更されている。一方で、光学面m3から光学面m5までの距離および光学面m1から光学面m14の距離は同じである。
【0031】
すなわち、第1のカスタマイズ用合焦レンズ12Caは、デフォルト用合焦レンズ12Dに対し、凹メニスカスレンズ204の曲率半径が両面m3,m4とも大きくなっている。また、対物レンズ11Dと正立プリズム13との間の距離を同じままとして、合焦レンズ12Caが対物レンズ11Dに近付けられている。これにより、第1のカスタマイズ光学系10Caは、対物レンズ側の焦点距離が短くなり、デフォルト光学系10Dに対して倍率が低く設定される。表2から、第1のカスタマイズ光学系10Caの倍率M′が、7倍に設定されていることがわかる。
【0032】
このとき、第1のカスタマイズ用合焦レンズ12Caは、図1(a),(b)に示すように、デフォルト用合焦レンズ12Dに対して径がわずかに大型化するが、第1スペーサ55の内径を変更することにより、デフォルト用合焦レンズ12Dに合わせて作成された合焦レンズ取付枠52に第1のカスタマイズ用合焦レンズ12Caを保持させることができる。また、合焦レンズ12Caと対物レンズ11Dとの対向間隔(面間隔d3)が7.5mmに変更されており、デフォルト光学系10Dに対して合焦レンズを29.7mmだけ物体側にシフトさせる必要がある。しかしながら、このシフト量であれば、第2および第3スペーサ56,57の軸方向長さの変更により、十分に対応できる。しかも、この対向間隔であれば、ピント調整ダイヤルによる合焦レンズ12Caの光軸方向への移動も差し支えなく行うことができ、合焦性能を損なわせることがない。さらに、図3に示すように、第1のカスタマイズ光学系10Caにおいても各収差が良好に補正されており、デフォルト光学系10Dと比べて結像性能が損なわれていない。
【0033】
このように第1のカスタマイズ光学系10Caの倍率M′は、デフォルト光学系10Dの倍率Mに対し、倍率が1だけ小さくなっている。デフォルト光学系10Dの倍率Mに対し、さらに小さな倍率を設定するには、合焦レンズ12Cと対物レンズ11の間隔をさらに短くし、合焦レンズ12Cの径を大型化する必要がある。そうすると、デフォルト用合焦レンズ11Dに合わせて作成された合焦レンズ取付枠52にカスタマイズ用合焦レンズ12Cを収容できなくなる。さらには、対物レンズ側の焦点距離が短くなりすぎ、Fナンバーが明るくなりすぎて正立プリズム13で光束がケラれ、明るさの減少を招くおそれがある。したがって、合焦レンズ12の着脱交換により倍率が低くなるように変更するにあたっては、このような問題を回避してデフォルト光学系10Dに対して性能が損なわれないように、M′≧M−1の範囲で行うことが好ましい。さらに、より安全には、M′≧M−0.5の範囲で倍率を変更させることが好ましい。
【0034】
図1(c)には、デフォルト用合焦レンズ12Dに替えてカスタマイズ用合焦レンズ11Cを取り付けた第2のカスタマイズ光学系10Cbを示している。第2のカスタマイズ光学系10Cbは、カスタマイズ用合焦レンズ12Cとして、第2のカスタマイズ用合焦レンズ12Cbを有する。なお、対物レンズ11は、デフォルト用対物レンズ11Dになっている。表3には、第2のカスタマイズ用光学系10Cbにおける各レンズの諸元値を示している。図4には、第2のカスタマイズ用光学系10Cbにおける収差図を示している。
【0035】
(表3)
m r d nd νd
1 63.0 8.0 1.517 64.1
2
-38.7 2.0 1.607 40.4
3 -143.0 50.8
4 80.2 2.0 1.517 64.1
5 39.2 15.4
6
0.0 40.0 1.569 56.0
7
0.0 5.0
8
0.0 40.0 1.569 56.0
9
0.0 16.8
10
0.0 2.0 1.755 27.6
11 17.0 10.0 1.620 60.3
12
-24.0 0.2
13 19.0 5.0 1.620 60.3
14
175.3
【0036】
表1と表3を比べると、第2のカスタマイズ光学系10Cbは、面間隔d3,d5が変更されている。一方で、曲率半径r4、光学面m3から光学面m5までの距離、光学面m1から光学面m14までの距離は同じである。
【0037】
すなわち、第2のカスタマイズ用合焦レンズ12Cbの凹メニスカスレンズ304は、デフォルト用合焦レンズ12Dと比べて曲率半径r5が変更され、さらに、図1(a),(c)に示すように、径がわずかに小型化されている。また、対物レンズ11Dと正立プリズム13との間の距離を同じままとして、合焦レンズ12Cbの位置が対物レンズ11Dから遠ざけられている。これにより、対物レンズ側の焦点距離が長くなり、第2のカスタマイズ光学系10Cbは、デフォルト光学系10Dに対し、倍率が高く設定される。表3から、第2のカスタマイズ光学系10Cbの倍率M′は、9倍に設定されていることがわかる。
【0038】
このとき、第2のカスタマイズ用合焦レンズ12Cbは、径が小型化されているが、第1スペーサ55の内径を大きくすることにより、合焦レンズ取付枠52に保持させることができる。また、合焦レンズ12Cbが正立プリズム13に近付けられ、合焦レンズ12Cbおよび正立プリズム13の対向間隔(面間隔d5)は、15.4mmに変更されており、デフォルト光学系10Dに対して合焦レンズ12Cbを14.6mmだけプリズム側にシフトさせて取り付ける必要がある。しかしながら、このシフト量であれば、第2および第3スペーサ56,57の軸方向長さの変更により、十分に対応できる。しかも、この対向間隔であれば、ピント調整ダイヤルによる合焦レンズ12Caの光軸方向への移動も差し支えなく行うことができ、合焦性能を損なわせることがない。さらに、図4に示すように、第2のカスタマイズ光学系10Cbにおいても各収差がよく補正されており、デフォルト光学系10Dに対して結像性能が損なわれていない。
【0039】
このように第2のカスタマイズ光学系10Cbの倍率M′は、デフォルト光学系10Dの倍率Mに対し、倍率が1だけ大きくなっている。デフォルト光学系10Dの倍率Mに対し、さらに大きな倍率を設定するには、合焦レンズ12Cと正立プリズム13との間隔をさらに短くする必要があり、近距離での合焦を困難にさせるおそれがある。合焦レンズ12の着脱交換により倍率を高めに変更するにあたっては、このような問題を回避してデフォルト光学系10Dに対して性能を損なわせることがないように、M′≦M+1の範囲で行うことが好ましい。さらに、より安全には、M′≦M+0.5の範囲で倍率を変更することが好ましい。
【0040】
図1(d)には、デフォルト用対物レンズ11Dに替えてカスタマイズ用対物レンズ11Cを取り付けた第3のカスタマイズ光学系10Ccを示している。なお、合焦レンズ12は、デフォルト用合焦レンズ12Dになっている。表3には、第3のカスタマイズ用光学系10Ccにおける各レンズの諸元値を示している。図5には、第3のカスタマイズ用光学系10Ccにおける収差図を示している。
【0041】
(表4)
m r d nd
νd
1
57.0 8.0 1.447 91.2
2 -40.3 2.0 1.617 54.0
3 -94.7 36.4
4
80.2 2.0 1.517 64.1
5
39.2 30.0
6 0.0 40.0 1.569 56.0
7 0.0 5.0
8 0.0 40.0 1.569 56.0
9 0.0 16.8
10 0.0 2.0 1.755 27.6
11
17.0 10.0 1.620 60.3
12 -24.0 0.2
13
19.0 5.0 1.620 60.3
14 175.3
【0042】
表1と表4を比べると、第3のカスタマイズ光学系10Ccは、曲率半径r1,r2,r3、面間隔d3、屈折率nd1,nd2、アッベ数νd1,νd2が変更されている。また、面間隔d3を除く他の面間隔は同じであり、全長がその分だけ長くなっている。なお、第3のカスタマイズ光学系10Ccの倍率M′は、デフォルト光学系10Dと同じ8倍に設定されている。
【0043】
カスタマイズ用対物レンズ11Cは、両凸レンズ401および凹メニスカスレンズ402がいずれも、デフォルト用対物レンズ11Dに対し、アッベ数νd1,νd2が大きくなっている。このアッベ数νd1から、両凸レンズ401が、異常分散ガラス(EDガラスとも称される)から成形されており、デフォルト用対物レンズ11Dの両凸レンズ101と硝材が異なることがわかる。
【0044】
カスタマイズ用対物レンズ11Cは、硝材の変更に伴って屈折率nd1,nd2が変更されている。第3のカスタマイズ光学系10Ccは、デフォルト光学系10Dと同じ倍率を確保するため、対物レンズ11Ccにおける光学面r1〜r3の曲率半径がそれぞれ変更され、対物レンズ11Cと合焦レンズ12Dとの対向間隔(面間隔d3)が36.4mmに変更されており、デフォルト光学系10Dに対して対物レンズ11Cを物体側に0.2mmだけシフトさせる必要がある。しかしながら、このシフト量であれば、リング54の固定位置の調整範囲内であり、十分対応できる。
【0045】
さらに、図5に示すように、この第3のカスタマイズ光学系10Ccにおいても各収差がよく補正されており、デフォルト光学系10Dに対して結像性能が損なわれていない。特に、F線、C線に対する収差については、デフォルト光学系10Dよりも良好に補正されていることがわかる。これは、対物レンズ11Cの両凸レンズ401の硝材を異常分散ガラスに変更したことによる。このように、対物レンズ11を交換するときには、デフォルト用対物レンズ11Dの両凸レンズ101のアッベ数をνd1とし、カスタマイズ用対物レンズ11Cの両凸レンズ401のアッベ数をνd1′とするとき、20≦νd1′−νd1の範囲で行うようにして硝材を変更することにより、対物レンズ11Cによる分散を有効に低下させることができ、色収差の補正を有効に行わせることができる。
【0046】
このように、本発明に係る双眼鏡Bは、対物レンズ11や合焦レンズ12の着脱交換だけで、容易に光学仕様を変更でき、これにより、利用者は所望の光学仕様に設定された双眼鏡Bを得る機会が増える。メーカは実質的な製品展開の拡大を低コストで行うことができる。
【0047】
このとき、合焦レンズ12を着脱交換して対物レンズ全体の焦点距離を変更することにより、容易に倍率が変更される。さらに、デフォルト光学系10Cの倍率をMとし、カスタマイズ光学系10Cの倍率をM′としたとき、M−1≦M′≦M+1の範囲に収まるように倍率を変更している。これにより、デフォルト光学系10Dに合わせて成形された合焦レンズ取付枠52にカスタマイズ用合焦レンズ12Cを保持させることができ、同じくデフォルト光学系10Dに合わせて成形された鏡筒1の内部に収容させることができる。したがって、新たな鏡筒を作成することなく倍率を変更できる。また、各収差を良好に補正でき、デフォルト光学系10Dに対して結像性能が損なわれることがない。また、合焦レンズ12の取付位置を変更することにより対物レンズ11側の焦点距離を変化させて倍率の変更を行わせているが、上記範囲を満足するように設定することにより、合焦性能を損なわせることもない。
【0048】
さらに、この双眼鏡Bは、対物レンズ11の着脱交換により、容易に色消し性能が変更される。このとき、20≦νd1′−νd1の条件を満足することにより、デフォルト光学系10Dに対し、確実に色収差の補正を良好にすることができる。
【0049】
なお、上記実施例では、8倍に設定された双眼鏡に対して7倍あるいは9倍に倍率を変更する場合を説明したが、これはデフォルト光学系10Dに対する倍率変更時の好ましい上限および下限を例示したものであり、M−1≦M′≦M+1の範囲であれば、例えば7.5倍や8.5倍に変更するなど同様に対応して変更させることができる。また、デフォルト光学系10Dの倍率が8倍のものを販売製品として例示したが、この倍率Mは8倍に限らずどのような倍率のものであっても同様に実施することができる。これにより、メーカは実質的な製品展開の拡大を図ることができる。また、合焦レンズ12の着脱交換による倍率の変更と対物レンズ11の着脱交換による色消し性能の向上とを同時に行わせることも可能である。なお、正立プリズム13をダハプリズム型としたが、ポロプリズム型であっても同様に実施することができる。
【0050】
また、第1および第2のカスタマイズ光学系10Ca,10Cbにおいては、合焦レンズ12の曲率半径の変更や、対物レンズ11と合焦レンズ12との距離を変更して倍率を変更しているが、合わせて対物レンズ11の曲率半径を変更してもよい。このように、合焦レンズ12とともに対物レンズ11も同時に仕様変更することで、収差補正をより良好に行うことができる。
【0051】
さて、このような双眼鏡Bのカスタマイズサービスについて、簡単に説明する。このサービスでは、メーカ、利用者および小売店が主体となる。メーカは、双眼鏡の製造工場を有する。この製造工場には、鏡筒やレンズなどを成形する部品成形現場と、レンズを取付枠に保持させるとともにレンズを保持した取付枠を鏡筒に収容させる組立現場と、鏡筒や取付枠を成形するための金型や各光学部品を保管する保管現場とを有する。小売店には、原則的に、デフォルト光学系を有した双眼鏡が発送され、利用者は、小売店に陳列される複数種の双眼鏡の中からデフォルト光学系として所望の仕様が設定されているものを選定して購入する。ここで、利用者が双眼鏡の扱いに慣れ、例えばより高い倍率に設定された双眼鏡を求める場合、従来では新たにそのような倍率に設定された双眼鏡を購入しなければならかった。本発明に係る双眼鏡Bにおいては、利用者は、M−1≦M′≦M+1の範囲内において、所望する倍率を小売店に報告して所有する双眼鏡を預けると、小売店によりその倍率がメーカに伝達されるとともに、この双眼鏡が製造工場に搬送される。
【0052】
メーカの製造工場では、変更後の倍率が、M−1≦M′≦M+1の範囲内である限り、同じ鏡筒を用い、保管現場からM′を設定するにあたって最適とされる交換用の合焦レンズと第1〜第3スペーサが選択され、組立現場において合焦レンズの着脱交換が行われる。ここで、取り出された合焦レンズは、再度保管現場にて管理され、リユースされる。
【0053】
このようにしてカスタマイズ光学系を有した双眼鏡が、再び小売店に発送され、利用者に戻る。メーカは、このカスタマイズサービスのために鏡筒や取付枠を作成するための新たな金型を用意する必要がなく、利用者が所有する双眼鏡の構造物をそのまま利用し、レンズを着脱交換するだけで仕様変更された双眼鏡を利用者に提供できる、したがって、利用者は、新たに双眼鏡を購入しなおすよりも低価格で所望する光学仕様に設定された双眼鏡を得る機会を増やすことができる。メーカは、予め想定される様々な倍率に応じて最適な合焦レンズや対物レンズの仕様を設計しておけば、その設計にしたがってレンズを着脱交換するだけで実質的な製品展開の拡大を低コストで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】双眼鏡の光学系の構成図であり、(a)がデフォルト光学系、(b)が第1のカスタマイズ光学系、(c)が第2のカスタマイズ光学系、(d)が第3のカスタマイズ光学系をそれぞれ示している。
【図2】デフォルト光学系における収差図であり、(a)が球面収差、(b)が非点収差、(c)が歪曲収差をそれぞれ示している。
【図3】第1のカスタマイズ光学系における収差図であり、(a)が球面収差、(b)が非点収差、(c)が歪曲収差をそれぞれ示している。
【図4】第2のカスタマイズ光学系における収差図であり、(a)が球面収差、(b)が非点収差、(c)が歪曲収差をそれぞれ示している。
【図5】第3のカスタマイズ光学系における収差図であり、(a)が球面収差、(b)が非点収差、(c)が歪曲収差をそれぞれ示している。
【図6】本発明に係る双眼鏡の部分断面図である。
【符号の説明】
【0055】
B 双眼鏡 1 鏡筒
10 光学系 11 対物レンズ
12 合焦レンズ 14 接眼レンズ
10D デフォルト光学系 10C カスタマイズ光学系
11D デフォルト用対物レンズ 11C カスタマイズ用対物レンズ
12D デフォルト用合焦レンズ 12C カスタマイズ用合焦レンズ
101,401 両凸レンズ(凸レンズ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズと、光軸方向に移動可能な合焦レンズと、接眼レンズとからなる光学系を2つの鏡筒のそれぞれの内部に収容して構成される双眼鏡であって、
前記対物レンズとして、前記鏡筒に着脱自在に取り付けられる第1の対物レンズと、前記第1の対物レンズと光学仕様が異なり、前記第1の対物レンズに替えて前記鏡筒に着脱自在に取り付けられる第2の対物レンズとを備え、
前記合焦レンズとして、前記鏡筒に着脱自在に取り付けられる第1の合焦レンズと、前記第1の合焦レンズに替えて前記鏡筒に着脱自在に取り付けられる第2の合焦レンズとを備えて構成されることを特徴とする双眼鏡。
【請求項2】
前記第1の対物レンズおよび前記第2の対物レンズは、互いの有効径が等しく、互いの硝材が異なることを特徴とする請求項1に記載の双眼鏡。
【請求項3】
前記対物レンズは、凸レンズと凹メニスカスレンズとが貼り合わされてなり、
前記第1の対物レンズに替えて前記第2の対物レンズが取り付けられるときにおいて、前記第1の対物レンズの凸レンズのアッベ数をνdとし、前記第2の対物レンズの凸レンズのアッベ数をνd′とするとき、
20≦νd′−νd
の条件を満足することを特徴とする請求項2に記載の双眼鏡。
【請求項4】
前記第1の合焦レンズおよび前記第2の合焦レンズは、互いの焦点距離および前記鏡筒内における取付位置の少なくともいずれか一方が異なり、前記第1の合焦レンズを設けた前記光学系の倍率と、前記第2の合焦レンズを設けた前記光学系の倍率とが変更されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の双眼鏡。
【請求項5】
前記合焦レンズの着脱交換とともに、前記対物レンズを着脱交換して前記第1の合焦レンズを設けた前記光学系の倍率と、前記第2の合焦レンズを設けた前記光学系の倍率とを変更させることを特徴とする請求項4に記載の双眼鏡。
【請求項6】
前記第1の合焦レンズに替えて前記第2の合焦レンズが取り付けられるときにおいて、前記第1の合焦レンズを設けた前記光学系の倍率をMとし、前記第2の合焦レンズを設けた前記光学系の倍率をM′とするとき、
M−1≦M′≦M+1
の条件を満足することを特徴とする請求項4または5に記載の双眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−187856(P2007−187856A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5586(P2006−5586)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(501439264)株式会社 ニコンビジョン (86)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】