説明

受光素子、半導体装置とその製造方法、光ピックアップ装置及び光ディスク記録再生装置

【課題】受光素子におけるアノード抵抗を低減し、分割された隣合うフォトダイオード間のリーク電流の発生を抑制する。
【解決手段】第1導電型の半導体基板(52)または第1導電型の半導体層と、この第1導電型の半導体基板(52)または半導体層に形成された第1導電型の分離領域(55)とを有する。また、第1導電型の半導体基板(52)または半導体層に形成され、分離領域(55)で分離された複数の第2導電型の半導体層(53A,53B)と、分離領域及び複数の第2導電型の半導体層を含む受光領域)61)上に形成された反射防止膜(57)を有する。さらに、第1導電型の半導体基板または半導体層に電気的に接続され、反射防止膜(57)を構成する上層膜(59)で被覆されて分離領域(55)の表面に沿って形成されたシリサイドによる第1電極(64)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子、半導体装置とその製造方法、光ピックアップ装置及び光ディスク記録再生装置に関する。詳しくは、受光素子、この受光素子を搭載した半導体装置とその製造方法、受光素子を用いた光ピックアップ装置及び光ディスク記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク記録再生装置は、各種の光ディスクを記録媒体として、データの記録・再生を行う装置である。光ディスクとしては、例えば、CD(コンパクト・ディスク:CD−R、CD−RWを含む)やDVD(デジタル・ヴァーサタイル・ディスク)、Blu−ray Disc(登録商標:以下BD(ブルーレイ・ディスク)という)などが知られている。光ディスク記録再生装置は、光ピックアップ装置を備えている。光ピックアップ装置は、ピックアップ内部に発光素子及び受光素子を有している。光ピックアップ装置の受光素子には、pn接合型やpin接合型のフォトダイオードが用いられている。
【0003】
フォトダイオードは、用途によって、主にRFフォトダイオードとFRONTフォトダイオードに分けられる。RFフォトダイオードは、主にRF信号のモニタ、及びトラッキングサーボ、フォーカスサーボの役割がある。FRONTフォトダイオードは、レーザパワーをモニタし、APC(Auto Power Control)を行う役割がある。通常、RFフォトダイオードには、複数の領域に分割されたフォトダイオードが用いられる。
【0004】
図14A、Bに、一般的なフォトダイオードを示す。図14Aはフォトダイオードの概略平面図を、図14Bは図14AのA−A線上の概略断面図をそれぞれ表している。このフォトダイオード1は、p型シリコン基板2の表面側にn型半導体層3が形成され、p型シリコン基板2とn型半導体層3とによってpn接合型のダイオード構造に構成されている。フォトダイオード1は、p型シリコン基板2をアノード、n型半導体層3をカソードとして構成される。つまり、フォトダイオード1は、p型シリコン基板―n型カソードのアノードコモンとなっており、フォトダイオードへの入射光を、光電変換により電気信号(フォトカレント)に変換するようになっている。
【0005】
フォトダイオード1のn型半導体層3の表面には、光の反射率を低減させる目的で、シリコン酸化(SiO)膜4Aおよびシリコン窒化(Si)膜4Bの積層構造からなる反射防止膜4が形成される。反射防止膜4の周端部分を含む外側領域上には、シリコン酸化(SiO)膜からなる層間絶縁膜5が形成され、この層間絶縁膜5の開口部6内に臨む部分が受光面、すなわち受光領域7となる。受光領域7では反射防止膜4が露出している。
【0006】
フォトダイオード1のカソード電極は、n型半導体層3の受光領域7より外側へ延長した部分、すなわち層間絶縁膜5下のn型半導体層3に電気的に接続される。カソード電極8は、金属で形成され、n型半導体層3に接続されると共に、反射防止膜4を貫通し、層間絶縁膜5の上面にまで達するように形成される。フォトダイオード1のアノード電極9は、p型シリコン基板2の表面側に形成した高不純物濃度のp型半導体層10に、電気的に接続される。アノード電極9は、金属で形成され、カソード電極8より外側に位置してp型半導体層10に接続されると共に、層間絶縁膜5の上面にまで達するように形成される。n型半導体層3を取り囲むように、STI(Shallow Trench Isolation)構造の分離領域11が形成される。
【0007】
フォトダイオード1の受光領域7を形成する際には、反射防止膜4上に形成した層間絶縁膜5を選択的にエッチングして開口部6を形成することが必要となる。層間絶縁膜5のエッチングに際しては、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とのエッチングレートの違いを利用し、シリコン窒化膜4Bをストッパーとして用いるのが一般的である。このとき、シリコン窒化膜4Bへのダメージを無くすために、層間絶縁膜5のエチング(エッチング)にはウェットエッチングが用いられる。ここで、フォトダイオード1のカソード電極8は、層間絶縁膜5に用いられるエッチャントによってエッチングされ易い金属により形成されている。そのため、層間絶縁膜5内に設けられたカソード電極8までもがエッチングされないように、開口部6の位置ズレを考慮して、カソード電極8を開口端6Aから十分に離して形成して置くことが重要となる(特許文献1参照)。
【0008】
一方、前述のように、光ピックアップ装置に使用されるRFフォトダイオードは、複数の領域に分割されている。通常、フォトダイオードを並べて配置する方法では、複数のフォトダイオードを互いに離して形成する必要がある。このため、フォトダイオードの分離幅が広くなったり、フォトダイオード間に入射した光が無駄になったりする。そこで、現状では、例えば、図15や図16に示すように、フォトダイオード間の分離幅を狭くするために、不純物拡散層による分離構造が採用されている。
【0009】
図15、図16は、光ピックアップ装置用の半導体装置に採用されているフォトダイオードの例を示す。図15Aは概略平面図、図15Bは図15AのA−A線上の概略断面図である。図16Aは概略平面図、図16Bは図16AのA−A線上の概略断面図である。
【0010】
図15A、Bに示すフォトダイオード21は、p型シリコン基板22の表面側にn型半導体層23を形成し、n型半導体層23を表面からp型シリコン基板22に達するp型半導体層による分離領域30により2分割して構成される。2分割された一方のn型半導体層23Aとp型シリコン基板22とにより第1のフォトダイオード21Aが構成され、他方のn型半導体層23Bとp型半導体基板22とにより第2のフォトダイオード21Bが構成される。シリコン酸化(SiO)膜24Aとシリコン窒化(Si)膜24Bの積層構造の反射防止膜24が、n型半導体層23A及び23Bと分離領域30上に形成される。
【0011】
受光領域27は、図15Aに示すように、分離領域30及びn型半導体層23A、23Bを含む、破線で囲まれた領域となる。破線を境にその外側にシリコン酸化(SiO)膜からなる層間絶縁膜(図示せず)が形成される。破線で囲まれた内部が、層間絶縁膜の開口部26に相当する。
【0012】
それぞれのフォトダイオード21A及び21Bのカソード電極28A及び28Bは、受光領域27の外側にそれぞれのn型半導体層23A、23Bに電気的に接続される。これらカソード電極28A及び28Bは、図14と同様の構成で金属により形成される。またフォトダイオード21A及び21Bのアノード電極29は、2つのフォトダイオード21A及び21Bを取り囲むように、環状に形成され、受光領域27の外側のp型シリコン基板22に達するp型半導体領域(図示せず)に電気的に接続される。アノード電極29は、2つのフォトダイオード21A、21Bに対して共用され、図14と同様の構成で金属により形成される。
【0013】
図16A、Bに示すフォトダイオード31は、p型シリコン基板32の表面側にn型半導体層33を形成し、n型半導体層33をSTI構造40とその直下のp型半導体層41とのよる分離領域43により2分割して構成される。2分割された一方のn型半導体層33Aとp型シリコン基板32とにより第1のフォトダイオード31Aが構成され、他方のn型半導体層33Bとp型半導体基板32とにより第2のフォトダイオード31Bが構成される。シリコン酸化(SiO)膜34Aとシリコン窒化(Si)膜34Bの積層構造の反射防止膜34が、n型半導体層33A及び33Bと分離領域34上に形成される。
【0014】
受光領域37は、図16Aに示すように、分離領域43及びn型半導体層33A、33Bを含む、破線で囲まれた領域となる。破線を境にその外側にシリコン酸化(SiO)膜からなる層間絶縁膜(図示せず)が形成される。破線で囲まれた内部が、層間絶縁膜の開口部36に相当する。
【0015】
それぞれのフォトダイオード31A及び31Bのカソード電極38A及び38Bは、受光領域37の外側にそれぞれのn型半導体層33A、33Bに電気的に接続される。これらカソード電極38A及び38Bは、図15と同様の構成で金属により形成される。またフォトダイオード31A及び31Bのアノード電極39は、2つのフォトダイオード31A及び31Bを取り囲むよおうに、環状に形成され、受光領域37の外側のp型シリコン基板32に達するp型半導体領域(図示せず)に電気的に接続される。アノード電極39は、2つのフォトダイオード31A、31Bに対して共用され、図14と同様の構成で金属により形成される。
【0016】
図17に、フォトダイオードを複数の領域に分割した受光素子の他の例の概略構成を示す。この受光素子45は、p型シリコン基板の表面側にn型半導体層46を形成し、表面からp型シリコン基板に達するp型半導体層による分離領域47によりn型半導体層46を5つに分離して構成される。p型シリコン基板と各分離された5つのn型半導体層46A〜46Eとにより、5つに分割されたフォトダイオード45A〜45Eが構成される。図17では、中央の四角形状のフォトダイオード45Aと、このフォトダイオード45Aを取り囲む4つのフォトダイオード45B〜45Eとにより複雑なフォトダイオード構造に構成される。
【0017】
フォトダイオードが複数の分割された受光素子は、特許文献2、3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2003−163344号公報
【特許文献2】特開2001−148503号公報
【特許文献3】特開2007−329512号公報
【特許文献4】特開平11−40790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
RFフォトダイオードでは、複数のフォトダイオードに分割した構成が採られる。例えば、図15に示すフォトダイオード21では、2つのフォトダイオードをp型半導体層30による分離領域により分離して構成される。このp型半導体層30による分離領域の形成工程は、p型シリコン基板の他部に形成するMOSトランジスタ用のP型半導体ウェル領域の形成工程と兼用している。分離領域のp型半導体層30は、例えば、1017cm−3程度の不純物濃度のボロンにより形成されている。しかし、反射防止膜形成工程時の熱酸化により、ボロン不純物の再分布が起こり、分離領域の表面濃度が低下してしまう。
【0020】
更に、チップ組立ての際に、反射防止膜表面には電荷が帯電する事例も報告されている(特許文献4参照)。反射防止膜表面にプラス(+)の電荷が蓄積された場合、反射防止膜の膜厚は、50nm程度と非常に薄いため、p型半導体30の表面にチャネルが発生する。これらの現象により、p型半導体層30の表面濃度が極端に低くなる、もしくはn層化するため、分離領域の表面を介して、フォトダイオード間にリーク電流が流れてしまう。
【0021】
これに対して、図16に示すように、分離領域43にSTI構造41、もしくはLOCOS構造を形成する事で、リーク電流を抑制することができる。すなわち、分離領域43の表面の絶縁膜厚を厚くすることで、寄生MOSトランジスタの寄生閾値電圧Vthを下げ、チャネルの発生を防ぎ、リーク電流を抑えることが可能である。しかし、分離領域43に厚い絶縁膜が形成されるため、分離領域での感度低下が発生し、かつ感度ばらつきが大きくなってしまう。分離領域43のp型半導体層40で発生した電荷も感度に寄与する。
【0022】
また、図15及び図16に示すように、アノード電極29,39は2つのフォトダイオードを取り囲むようにフォトダイオードの開口端部から十分離れた位置に形成される。離領域43の幅は1μm程度と非常に細く、かつシート抵抗が1kΩ/□程度あるため、分離領域からフォトダイオードの開口端部外側に形成したアノード電極29、39の取り出しまでの抵抗が大きくなり、結果としてアノード抵抗が大きくなってしまう。アノード抵抗が大きくなることで、周波数特性が低下してしまう。
【0023】
また、図17で示す複数のフォトダイオードを複雑に配置した構成においても、上述した隣接するフォトダイオード間のリーク電流の発生、アノード抵抗の増大が問題となる。
【0024】
一方、カソード電極についても問題がある。図14、図15に示すように、フォトダイオード1において、カソード電極8を層間絶縁膜5の開口端6Aから遠く離れた部位に形成した場合には、光入射位置からカソード電極8までの距離が長くなり、カソードの抵抗Rが大きくなる。そのため、特に、受光領域の面積が大きく、容量Cの大きなFRONTフォトダイオードでは、CR積が大きくなり、周波数特性が低下してしまう。
【0025】
また、RFフォトダイオードでは、例えば、図17の複数のフォトダイオードを複雑に配置した場合、中央のフォトダイオード45Aのカソード電極配線(図示せず)の形成に際して、隣接するフォトダイオード45C、45E同士の間隔D2が広がってしまう。すなわち、中央のフォトダイオード45Aのカソード電極配線は、層間絶縁膜の開口部の位置ズレを考慮して、他のフォトダイオードの端縁(層間絶縁膜の開口端)から十分に離して引き回わされる。このとき、カソード電極に関して互いに隣接するフォトダイオード45C、45E間の間隔D2が広がってしまう。
【0026】
間隔D2が広がることは、フォトダイオード45の領域の面積が小さくなることと等しい。すなわち、フォトダイオード45に入射する光が減少し、信号レベルが低減し、演算精度を落としてしまう。そこで、カソード電極配線を形成する代わりに、中央のフォトダイオード45Aのカソード領域を、半導体基板の表面に形成した拡散層で構成し、間隔D2をあまり広げずに済むようにする手段が考えられる。しかし、そのようにした場合には、間隔D2を狭くすることはできるが、カソード抵抗が大きくなり、周波数特性が低下してしまう。
【0027】
上述した図面に示したフォトダイオードの各領域の導電型を逆導電型とした場合には、上記のアノード電極がカソード電極となり、カソード電極がアノード電極となる。この場合も、アノード電極及びカソード電極を互いに置き換えた状態で上述と同様の不都合が生じるものであった。
【0028】
本発明は、上述の点に鑑み、主にフォトダイオードのアノード抵抗(領域の導電型を逆にしたときにはカソード抵抗)の低減、複数に分離されたフォトダイオードの隣接するフォトダイオード間のリーク電流の抑制を図った、受光素子を提供するものである。
また、本発明は、このような受光素子を備えた半導体装置とその製造方法、光ピックアップ装置及び光ディスク記録再生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明に係る受光素子は、第1導電型の半導体基板または第1導電型の半導体層と、この半導体基板または半導体層に形成された第1導電型の分離領域と、上記半導体基板または半導体層に形成され、分離領域で分離された複数の第2導電型の半導体層を有する。更に本発明は、分離領域及び複数の第2導電型の半導体層を含む受光領域上に形成された反射防止膜と、半導体基板または半導体層に電気的に接続され、反射防止膜を構成する上層膜で被覆され分離領域の表面に沿って形成されたシリサイドによる第1電極を有する。
【0030】
本発明の受光素子では、第1導電型の半導体基板または第1導電型の半導体層と、複数に分離された第2導電型の半導体層とから複数のフォトダイオードが構成される。第1導電型の分離領域の表面に沿ってシリサイドによる第1電極、すなわちアノード電極(もしくはカソード電極)が形成される。この構成により、反射防止膜表面が帯電した時に、分離領域表面のチャネルの発生を防ぐことができる。シリサイドのシート抵抗が小さいので、アノード抵抗(もしくはカソード抵抗)が低減される。第1電極が反射防止膜の上層膜で被覆されているので、受光領域形成時の層間絶縁膜のエッチングで、第1電極がエッチングダメージを受けることがない。
【0031】
本発明に係る半導体装置は、受光素子と他の半導体素子を備える。受光素子は、上述した本発明の受光素子で構成される。
【0032】
本発明に係る半導体装置では、受光素子が上記本発明の受光素子で形成されるので、受光素子において反射防止膜表面が帯電した時に、分離領域表面のチャネルの発生を防ぐことができる。シリサイドのシート抵抗が小さいので、アノード抵抗(もしくはカソード抵抗)が低減される。
【0033】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体基板または第1導電型の半導体層に受光素子形成領域と他の半導体素子形成領域を有し、受光素子形成領域に第1導電型の分離領域により分離された複数の第2導電型の半導体層を形成する工程を有する。次に、第1導電型の半導体基板または半導体層、分離領域及び前記複数の第2導電型の半導体層上に、反射防止膜を構成する第1絶縁膜を形成する工程を有する。次に、第1絶縁膜の前記分離領域に対応する部分を一部エッチング除去して開口を形成する工程と、第1絶縁膜の開口に露出した分離領域にシリサイドによる第1電極を形成する工程を有する。次に、第1絶縁膜上に第1電極を被覆するように反射防止膜を構成する第2絶縁膜を形成する工程と、反射防止膜上に、受光領域に対応する部分に開口部を有する層間絶縁膜を形成する工程を有する。上記第1導電型の半導体基体と複数の第2導電型の半導体層とにより、複数のフォトダイオードを形成する。
【0034】
本発明の半導体装置の製造方法では、一連の工程により、反射防止膜表面が帯電した時に、分離領域表面のチャネルの発生を防ぐことができる。かつ、アノード抵抗(もしくはカソード抵抗)が低減された複数のフォトダイオードからなる受光素子を形成することができる。
【0035】
本発明に係る光ピックアップ装置は、光ディスクに向かって光を出力する発光素子と、光ディスクと発光素子との間に設けられた光学系と、発光素子から出射された光のうち光ディスクで反射された光を受光する受光素子とを備える。受光素子は、上述した本発明の受光素子で構成される。
【0036】
本発明に係る光ディスク記録再生装置は、光ピックアップ装置と、入力された情報を光ピックアップ装置に送信し、または光ディスクに書き込まれた情報を光ピックアップ装置から受信する情報処理部を備える。光ピックアップ装置は、上述した本発明の光ピックアップ装置で構成される。受光素子は、上述した本発明の受光素子で構成される。
【0037】
本発明の光ピックアップ装置、光ディスク記録再生装置では、その複数のフォトダイオードからなる受光素子として、上記本発明の受光素子で構成される。このため、受光素子において、反射防止膜表面が帯電した時に、分離領域表面のチャネルの発生を防ぐことができ、かつアノード抵抗(もしくはカソード抵抗)が低減される。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、その受光素子において、隣合うフォトダイオード間のリーク電流を抑制することができる。また、分離領域におけるアノード抵抗(もしくはカソード抵抗)を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】A,B 本発明の第1実施の形態に係る受光素子を示す概略平面図、そのA−A線上の断面図である。
【図2】A,B 本発明の第2実施の形態に係る受光素子を示す概略平面図、そのA−A線上の断面図である。
【図3】本発明の第3実施の形態に係る受光素子を示す概略平面図である。
【図4】図3のA−A線上の断面図である。
【図5】図3のB−B線上の断面図である。
【図6】A,B 本発明の第4実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法を示す製造工程図(その1)である。
【図7】C,D 本発明の第4実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法を示す製造工程図(その2)である。
【図8】E,F 本発明の第4実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法を示す製造工程図(その3)である。
【図9】G,H 本発明の第4実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法を示す製造工程図(その4)である。
【図10】本発明の第4実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法を示す製造工程図(その5)である。
【図11】本発明の第4実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法の製造工程図で示す受光素子の概略平面図である。
【図12】本発明の第5実施の形態に係る光ピックアップ装置及び光ディスク記録再生装置を示す構成図である。
【図13】A,B 第5実施の形態におけるモニタ用の受光素子の実施の形態を示す概略平面図、そのA−A線上の断面図である。
【図14】A,B 従来のフォトダイオードの一例を示す概略平面図、そのA−A線上の断面図である。
【図15】A,B 従来のフォトダイオードの他の例を示す概略平面図、そのA−A線上の断面図である。
【図16】A,B 従来のフォトダイオードのさらに他の例を示す概略平面図、そのA−A線上の断面図である。
【図17】複数に分割されたフォトダイオードの例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1実施の形態(受光素子の構成例)
2.第2実施の形態(受光素子の構成例)
3.第3実施の形態(受光素子の構成例)
4.第4実施の形態(半導体装置の構成及びその製造方法の例)
5.第5実施の形態(光ピックアップ及び光ディスク記録再生装置の構成例)
【0041】
<1.第1実施の形態>
[受光素子の構成例]
図1A、Bに、本発明に係る受光素子の第1実施の形態の概略構成を示す。図1Aは平面図、図1Bは図1のA−A線上の断面図である。第1実施の形態に係る受光素子51は、第1導電型の半導体基板52の上面に、第1導電型と異なる第2導電型の複数の半導体層53[53A,53B]が形成される。本例では第1導電型を例えばp型とし、第2導電型を例えばn型としている。従って、本実施の形態では、p型半導体基板52に複数、本例では2つのn型半導体層53A及び53Bが形成される。このp型半導体基板52とn型半導体層53Aでpn接合型の第1のフォトダイオードPD1が構成され、p型半導体基板52とn型半導体層53Bでpn接合型の第2のフォトダイオードPD2が構成される。この受光素子51は、光ディスクからの反射光を検知する用途に好適に適用可能なものである。
【0042】
半導体基板52は、第1導電型であるp型の不純物がドープされたシリコン基板である。半導体層53A、53Bは、例えば半導体基板52の上面に第2導電型であるn型の不純物をドープすることにより形成される。なお、半導体基板52の代わりに半導体基板52上に基板52と同導電型のp型エピタキシャル成長層を形成した基板を使用しても良い。
【0043】
複数のn型半導体層53A、53Bは、半導体層54による分離領域(いわゆる素子分離領域)55により電気的に分離される。分離領域55を構成する半導体層54は、p型半導体基板52よりも高濃度の第1導電型、すなわちp型の半導体層で形成される。分離領域55を構成するp型半導体層54は、p型半導体基板52に達するように形成され、かつ、各n型半導体層53A、53Bを取り囲むように形成される。2つのn型半導体層53[53A,53B]を含む領域の外周には、STI構造の分離領域56が形成されている。
【0044】
2つのn型半導体層53A、53Bと両n半導体層53A及び53B間の分離領域55を含む領域上に反射防止膜57が形成される。さらに、一部この反射防止膜57の端部上を含むように、フォトダイオードPD1、PD2を含む受光領域61の外側には、受光領域61を取り囲むように層間絶縁膜62が形成される。層間絶縁膜62は、例えばシリコン酸化(SiO)膜で形成される。すなわち、受光領域61上は層間絶縁膜62が形成されず、受光領域61における反射防止膜57の上層膜であるシリコン窒化膜59が、層間絶縁膜62の開口部62Aに露出している。この開口部62Aから露出している部分が受光素子51の受光面、いわゆる受光領域61となる。
【0045】
反射防止膜57は、外部からフォトダイオードPD1、PD2に入射する光のうち、受光素子51にて検出したい波長帯の光に対する反射率を低減させるものである。反射防止膜57は、本例では第1絶縁膜58及び第2絶縁膜59を半導体表面から順次積層した2層膜で形成される。第1絶縁膜58としては、例えばシリコン酸化(SiO)膜が用いられ、第2絶縁膜59としては、第1絶縁膜58とは異なる絶縁材料膜、例えばシリコン窒化(Si)膜が用いられる。
【0046】
ここで、反射防止膜57の上層膜である第2絶縁膜59は、製造工程において層間絶縁膜62の選択エッチングに用いられるエッチャントとしてHF(フッ化水素)が用いられる場合には、第2絶縁膜59は、上述のシリコン窒化膜により構成されるのが好ましい。なお、第1絶縁膜58及び第2絶縁膜59のそれぞれの膜厚は、受光素子にて検出したい光の波長帯との関係などによって規定される。
【0047】
この反射防止膜57は、製造工程において、層間絶縁膜62を選択的にエッチングして開口部62Aを形成する際のエッチングストッパ層としても機能することが好ましい。具体的には、第2絶縁膜59は、層間絶縁膜62をエッチングすることの可能なエッチャントに対して耐性を有する材料により構成されることが好ましい。
【0048】
2つのn型半導体層53A及び53B間の分離領域55の表面に沿ってシリサイドによる第1電極、つまりアノード電極64が形成される(図1B参照)。このアノード電極64は、反射防止膜57の上層膜であるシリコン窒化膜59で被覆されるように、下層膜であるシリコン酸化膜58の開口58aを通して、分離領域55を構成するp型半導体層54にオーミックに接触し電気的に接続される。アノード電極64は、分離領域55のp型半導体層54の表面に形成した高濃度の、すなわちp型半導体層54よりも高濃度のp型半導体領域65と、例えばコバルト(Co)などの金属との反応によるシリサイドで形成される。アノード電極55の端部は受光領域61を越えて層間絶縁膜62内まで延長される。アノード電極55の端部には、これより層間絶縁膜62の上面にまで達するように、例えばアルミニウム(Al)、タングステン(W)などの金属によるアノード電極接続端子66が形成される。
【0049】
アノード電極64が形成される分離領域55は、入射光にとっては反射ミラーとして作用し、入射光の分離領域55におけるp型半導体層54への入射を妨げる要因となり得る。従って、アノード電極64の幅w1は出来るだけ狭いことが好ましい。アノード電極形成領域には、アノード抵抗を低減することを目的として、前述した高濃度のn型半導体領域65が形成される。このn型半導体領域65の形成工程は、後述するように、受光素子以外の例えばpチャネルMOSトランジスタのソース/ドレイン領域の形成工程と兼用することが可能である。
【0050】
一方、2つのn型半導体層53A、53Bにそれぞれ電気的に接続されたシリサイドによる第2電極、つまりカソード電極67A、67Bが形成される。このカソード電極67A、67Bは、受光領域61の外縁に相当する層間絶縁膜62下の位置にあって、反射防止膜57の上層膜であるシリコン窒化膜59に被覆されるように形成される。すなわち、カソード電極67A、67Bは、反射防止膜57の下層膜であるシリコン酸化膜58の開口58bを通して、2つのn型半導体層53A、53Bにオーミックに接触し電気的に接続される。カソード電極67A及び67Bは、アノード電極64と平行し、かつアノード電極64に対して対称位置に形成される。
【0051】
カソード電極67A、67Bは、それぞれのn型半導体層53A、53Bの表面に形成したn型半導体層53A、53Bよりも高濃度のn型半導体領域68と、例えばコバルト(Co)などの金属との反応によるシリサイドで形成される。カソード電極67A、67Bの端部には、これより層間絶縁膜62の上面にまで達するように、例えばアルミニウム(Al)、タングステン(W)などの金属によるカソード電極接続端子69A、69Bが形成される。
【0052】
アノード電極64、カソード電極67A及び67Bを構成するシリサイドは、単位面積当りの抵抗が極めて小さく(例えば数Ω/□)することの可能な材料である。このシリサイドは、高濃度半導体領域65、68などのような、金属材料の抵抗値よりも比較的高い抵抗値を有する部材とは異なり、金属材料の代替材料として用いることが可能な材料である。
【0053】
反射防止膜57は、全てのn型半導体層53A、53B及びn型半導体層53A及び53B間の分離領域55の上面に跨って形成され、各半導体層53A、53Bに対応して形成された全てのフォトダイオードPD1、PD2に対して1つの受光領域61を有する。つまり、層間絶縁膜62は、1つの受光領域61に対応して開口部62Aが1つだけ形成される。従って、本実施の形態では、フォトダイオード毎に層間絶縁膜に開口部を別個形成した場合よりも、受光領域61への入射光量が大きい。
【0054】
上述の受光素子51では、例えば、アノード電極接続端子66を接地電位にしつつカソード電極接続端子69A、69Bとアノード電極端子66との間に逆バイアス電圧が印加される。そうすると、p型の半導体基板52と各n型の半導体層53[53A,53B]との界面およびその近傍において空乏層が形成される。このときに、外部からの光が受光領域に入射すると、所定の波長帯の光が反射防止膜57を透過してフォトダイオードPD1、PD2の空乏層に入射したのち、空乏層に吸収され、吸収された光の出力レベルに応じた電気信号(フォトカレント)に変換される。この電気信号、すなわち電流信号は、個々のフォトダイオードPD1、PD2のカソード電極接続端子69A、69Bおよびアノード電極接続端子66に電気的に接続されたワイヤ(図示せず)を介して演算回路(図示せず)に入力される。上記電流信号は、演算回路において電圧信号に変換され、受光素子51がRFフォトダイオードとして用いられる場合には、ピット信号、トラッキング信号およびフォーカス信号として用いられる。
【0055】
上例では、フォトダイオードPD1、PD2をpn接合型のフォトダイオードで構成した。フォトダイオードPD1、PD2としては、その他、p型半導体領域とn型半導体領域の間に非常に薄い濃度のi型半導体領域を有するpin接合型のフォトダイオードで構成することもできる。後述する他の実施の形態においても、同様である。
【0056】
第1実施の形態に係る受光素子51によれば、2つのフォトダイオードPD1とPD2との間のp型半導体層54による分離領域55上に、アノード電極64が形成される。しかもアノード電極64は反射防止膜57の上層膜であるシリコン窒化膜59で被覆される。この構成により、製造、組立時に反射防止膜57の表面が帯電した場合でも、分離領域表面のチャネルの発生を防ぎ、フォトダイオードPD1とPD2間のリーク電流を抑制することができる。分離領域55上にシリサイドによるアノード電極64を形成することで、拡散層に比べてシリサイドのシート抵抗が低く、すなわち数Ω/□程度に低くすることができるので、アノード抵抗を低減することができる。アノード抵抗が低減することにより、周波数特性を向上することができる。
【0057】
アノード電極64をシリサイドで形成するので、アノード電極64の電極幅を狭くすることができる。電極幅が狭くできることで、その分、フォトダイオードPD1、PD2の面積を拡大するこができ、感度の向上が図れる。また、シリサイド層の製造工程での寸法バラツキが極めて小さいので、感度のバラツキを小さくできる。フォトダイオードPD1、PD2の面積を変えなければ、アノード電極幅を狭くした分、チップ面積を小さくできる。
【0058】
反射防止膜57の上層膜であるシリコン窒化膜59は、層間絶縁膜(本例ではシリコン酸化膜)62の選択エッチングに用いられるエッチャントに対して耐性を有している。アノード電極64は、このシリコン窒化膜59の下部に形成されているので、層間絶縁膜62の選択エッチング時に、エッチングダメージを受けることがなく、アノード電極としての性能を維持することができる。
【0059】
また、カソード電極67A、67Bが、アノード電極64と同様に、シリサイドで形成されると共に、反射防止膜57を構成する上層膜であるシリコン窒化膜59に被覆されるように形成される。この構成により、カソード電極67A、67Bを層間絶縁膜62の開口部62Aの端縁の近くに配置することができる。すなわち、カソード電極67A、67Bを、開口部62Aの位置ズレを考慮して、開口部62Aの端縁から十分に離して形成する必要がない。このため、光入射位置からカソード電極67A、67Bまでの距離D1を短くすることができる。この結果、カソード抵抗を低減することができ、また、受光領域61の外側のpn接合容量を低減することができ、周波数特性を向上することができる。
【0060】
特に、カソード電極67A、67Bとして低抵抗材料であるシリサイドを用いているので、周波数特性を大幅に向上させることができる。カソード電極67A、67Bは、受光領域61の外縁に形成されるので、フォトダイオード領域の面積が小さくなることはない。これにより、フォトダイオード以外の領域が狭くなり、加算出力の低減を防ぐことができる。
【0061】
層間絶縁膜62の選択エッチング工程で、仮にカソード電極67A、67Bが開口部62A内に入りこむ状態になっても、カソード電極67A、67Bは、反射防止膜57の上層膜59で被覆されているので、エッチングダメージを受けることがない。従って、カソード電極としての性能を維持することができる。
【0062】
従来は、層間絶縁膜の開口部の位置ズレを考慮してカソード電極と開口部の端縁間の距離を十分に離していた。しかし、本実施の形態では、カソード電極67A、67Bと開口部62Aの端縁間の距離D1を縮める際に、受光領域61の面積を従来の受光素子の受光領域の面積よりも小さくしなければならいといった制約は何もない。つまり、本実施の形態では、カソード電極67A、67Bと層間絶縁膜62の開口部端縁との距離D1と同様、受光領域61の面積についても自由に変更可能であり、レイアウトの自由度が極めて高い。
【0063】
<2.第2実施の形態>
[受光素子の構成例]
図2A、Bに、本発明に係る受光素子の第2実施の形態の概略構成を示す。本実施の形態に係る受光素子71は、第1実施の形態と同様に、第1導電型の半導体基板52の上面に、第2導電型の複数、本例では2つの半導体層53[53A,53B]が形成される。本例では第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としている。このp型半導体基板52とn型半導体層53Aでpn接合型の第1のフォトダイオードPD1が構成され、p型半導体基板52とn型半導体層53Bでpn接合型の第2のフォトダイオードPD2が構成される。
【0064】
複数のn型半導体層53A、53Bは、半導体層54による分離領域(いわゆる素子分離領域)55により電気的に分離される。分離領域55を構成する半導体層54は、p型半導体基板52よりも高濃度の第1導電型、すなわちp型の半導体層で形成される。分離領域55を構成するp型半導体層54は、p型半導体基板52に達するように形成され、かつ、各n型半導体層53A、53Bを取り囲むように形成される。
【0065】
2つのn型半導体層53A、53Bと両n型半導体層53A及び53B間の分離領域55を含む領域上に反射防止膜57が形成される。さらに、一部この反射防止膜57の端部上を含むように、フォトダイオードPD1、PD2を含む受光領域61の外側には、層間絶縁膜62が形成される。
【0066】
2つのn型半導体層53A及び53B間の分離領域55、すなわちp型半導体層54には、これと電気的に接続されたシリサイドによる第1電極、つまりアノード電極64が形成される。また、2つのn型半導体層53A、53Bには、これらとそれぞれ電気的に接続されたシリサイドによる第2電極、つまりカソード電極67A、67Bが形成される。
【0067】
そして、本実施の形態においては、特に、受光領域61の外縁に形成されたそれぞれのカソード電極67A、67Bが受光領域61内にまで延在して形成される。図2では、受光領域外縁のカソード電極67A、67Bとそれぞれ連続するように、受光領域61内で分枝した枝状カソード電極67Aa、67Bbが形成される。また、枝状カソード電極67Aa、67Bbにおいては、それぞれ互いに隣接する電極同士の間隔がほぼ等間隔となっている。
【0068】
この枝状カソード電極67Aa、67Bbは、受光領域外縁のカソード電極67A、67Bと同様にシリサイドで形成され、対応するn型半導体層53A、53Bに電気的に接続される。枝状カソード電極67Aa、67Bbは、カソード電極67A、67Bと同様に、n型半導体層53A、53Bの表面に形成した高濃度のn型半導体領域68と、コバルト(Co)などの金属との反応によるシリサイドで形成される。
【0069】
カソード電極67A、67B、各枝状カソード電極67Aa、67Bb、さらにアノード電極64は、反射防止膜57の上層膜である第2絶縁膜59により被覆されている。
その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、図1A,Bと対応する部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0070】
第2実施の形態に係る受光素子71によれば、受光領域61内に延在するように枝状カソード電極67Aa、67Bbが形成されるので、光入射位置からカソード電極67[67A,67Aa,67B,67Bb]までの距離をさらに短くすることができる。従って、さらにカソード抵抗を低減し周波数特性をさらに向上することができる。
【0071】
なお、この場合には、枝状カソード電極67Aa、67Bbが受光領域61内に形成されるので、入射光が枝状カソード電極67Aa,67Bbの影響によって若干失われる。しかし、カソード電極を金属により構成していた従来の受光素子では、カソード電極を受光領域内に形成することができず、光入射位置からカソード電極までの距離を短くするには、受光領域を複数に分割することが必要であった。第2実施の形態では、受光領域を複数に分割する必要がない。従って、本実施の形態は、加算出力の低下を最低限抑えた上で、周波数特性を特に重視する用途に対して好ましい構成を備えていると言える。
【0072】
第2実施の形態に係る受光素子71では、その他、第1実施の形態で説明したと同様の効果を奏する。
【0073】
<第3実施の形態>
[受光素子の構成例]
図3〜図5に、本発明に係る受光素子の第3実施の形態の概略構成を示す。図3は平面図、図4は図3のA−A線上の断面図、図5は図3のB−B線上の断面図である。第3実施の形態に係る受光素子73は、第1導電型の半導体基板52の上面に、複数の第2導電型の半導体層53[53A〜53E]を形成し、複数のpn接合型のフォトダイオードPD[PD1〜PD5]を形成して構成される。本例では、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型として構成される。また、複数のフォトダイオードは、5つに分割されたフォトダイオードPD1〜PD5から成り、中央のフォトダイオードPD1を4つのフォトダイオードPD2〜PD5で囲むようにして構成される。この受光素子73は、光ディスクからの反射光を検知する用途に好適に適用可能なものである。
【0074】
フォトダイオードPDを構成する複数のn型半導体層53は、中央のn型半導体層53Aを中心として、残りの4つのn型半導体層53B〜53Eが中央のn型半導体層53Aを取り囲むように、所定の間隔を介して配置される。すなわち、各n型半導体層53A〜53Eは、p型半導体層54による分離領域55を介して分割配置される。
【0075】
中央のn型半導体層53Aは、例えば四角形状に形成される。中央のn型半導体層53Aを囲む他のn型半導体層(以下、周囲の半導体層という)53B〜53Eは、中央のn型半導体層53Aと対向する部分が一部切り欠かれたほぼL字形状に形成される。
【0076】
この中央のn型半導体層53Aは、カソード電極を引き出すための引き出し領域74を一体に有している。引き出し領域74が、中央のn型半導体層53Aから一体に連続して、n型半導体層53Dと53Eとの間を通って延長するn型半導体層により形成される。この引き出し領域74が形成されている間隙の幅D2は、引き出し領域が形成されない他の間隙の幅D3、D4よりも広くなっている。
【0077】
各n型半導体層53A〜53E及びこれらを分割する分離領域55を含む領域の全面上に反射防止膜57が形成される。この反射防止膜57は、前述と同様に第1絶縁膜、例えばシリコン酸化膜58と、第2絶縁膜、例えばシリコン窒化膜59との2層膜で形成される。また、5つのフォトダイオードPD1〜PD5を含む受光領域61の外側には、層間絶縁膜62が形成される。層間絶縁膜62は、例えばシリコン酸化膜で形成される。すなわち、受光領域61上は層間絶縁膜62が形成されず、受光領域61における反射防止膜57の上層膜であるシリコン窒化膜59が、層間絶縁膜62の開口部62Aに露出している。
【0078】
周囲のn型半導体層のうち、n型半導体層53Bと53Cとの間の分離領域55上、すなわちそのp型半導体層54の表面には、p型半導体層54と電気的に接続されたシリサイドによるアノード電極64が形成される。アノード電極64は、n型半導体層53B及び53Cの間の分離領域55に沿って受光領域61の外縁にまで延長して形成される。
【0079】
図3の例では、シリサイドによるアノード電極64を、n型半導体層53Bとn型半導体層53Cとの間のみに形成している。実際はその他のアノード電極の構成として、シリサイドによるアノード電極64を、n型半導体層53Bとn型半導体層53Cの間に形成すると共に、これより一体に他のn型半導体層間へも延長して形成しても良い。例えば、図3のアノード電極64が中央のn型半導体層53Aと周辺のn型半導体層53Bとの間にも延長した構成とすることもできる。さらには、図3のアノード電極64が中央のn型半導体層53Aと周辺のn型半導体層53B及び53Cとの間にも延長した構成とすることもできる。あるいはアノード電極64が中央のn型半導体層53Aを取り囲むように、n型半導体層53Aと周辺のn型半導体層53B、53C、53E及び53Dとの間にも延長した構成とすることもできる。
【0080】
一方、各フォトダイオードPD1〜PD5におけるn型半導体層53A〜53E上には、n型半導体層53A〜53Eに電気的に接続されたシリサイドによるカソード電極76A〜76Eが形成される。中央のn型半導体層53Aに接続されたカソード電極76Aは、受光領域61内のn型半導体層53Aから引き出し領域74に沿って、端部が受光領域61の外縁に延長されるように、T字形状に形成される。周囲のn型半導体層53B〜53Eに接続されたカソード電極76B〜76Eは、それぞれ受光領域61の外縁に形成される。
【0081】
中央のn型半導体層53A及びその引き出し領域74に接続されたカソード電極76Aのうち、受光領域61内に延在する部分は、入射光にとって反射ミラーとして作用し、入射光のn型半導体層53Aへの入射を妨げる要因となり得る。従って、カソード電極76Aのうち、受光領域61内の部分は、その幅を出来るだけ狭くして形成することが好ましい。
【0082】
なお、引き出し領域74に入射する光を極力低減したい場合には、引き出し領域74の幅を成るべく狭くし、カソード電極76Aの幅に出来るだけ近づけることが好ましい。中央のフォトダイオードPD1では、引き出し領域74に入射した光と、中央のn型半導体層53Aに入射した光とを区別することが困難だからである。
【0083】
周囲のn型半導体層53B〜53Eに接続されたカソード電極76B〜76Eは、受光領域61の外縁に沿って延在している。つまり、カソード電極76B〜76Eは、層間絶縁膜62下に形成される。従って、カソード電極76B〜76Eは、入射光のn型半導体層53B〜53Eへの入射を妨げるものではない。
【0084】
アノード電極64、カソード電極76[76A〜76E]の端部には、それぞれ層間絶縁膜62の上面にまで達するアノード電極接続端子66、カソード電極接続端子77A〜77Eが電気的に接続されている。
【0085】
アノード電極64は、前述と同様に、p型半導体層54の表面に形成した高濃度のp型半導体領域65と、例えばコバルトなどの金属との反応によるシリサイドで形成される。また、各カソード電極76A〜76Eは、前述と同様に、それぞれのn型半導体層53A〜53Eの表面に形成した高濃度のn型半導体層68と、例えばコバルトなどの金属との反応によるシリサイドで形成される。各アノード電極64、カソード電極76A〜76Eは、前述と同様に反射防止膜57を構成する上層膜であるシリコン窒化膜59により被覆される。
【0086】
その他の構成は、第1実施の形態で説明したと同様であるので、図1A、Bと対応する部分には同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0087】
上述の受光素子73では、例えば、アノード電極接続端子66を接地電位にしつつカソード電極接続端子77A〜77Eとアノード電極端子66との間に逆バイアス電圧が印加される。そうすると、p型の半導体基板52と各n型の半導体層53[53A〜53E]との界面およびその近傍において空乏層が形成される。このときに、外部からの光が受光領域に入射すると、所定の波長帯の光が反射防止膜57を透過してフォトダイオードPD1〜PD5の空乏層に入射したのち、空乏層に吸収され、吸収された光の出力レベルに応じた電気信号(フォトカレント)に変換される。この電気信号、すなわち電流信号は、個々のフォトダイオードPD1〜PD5のカソード電極接続端子69A〜69Eおよびアノード電極接続端子66に電気的に接続されたワイヤ(図示せず)を介して演算回路(図示せず)に入力される。上記電流信号は、演算回路において電圧信号に変換され、受光素子73がRFフォトダイオードとして用いられる場合には、ピット信号、トラッキング信号およびフォーカス信号として用いられる。
【0088】
第3実施の形態に係る受光素子73によれば、アノード電極64が、フォトダイオードPD2とPD3との間のp型半導体層54による分離領域55上に形成され、しかも反射防止膜57の上層膜であるシリコン窒化膜59で被覆される。この構成により、製造、組立時に反射防止膜57の表面が帯電した場合でも、分離領域表面のチャネルの発生を防ぎ、フォトダイオードPD2とPD3間のリーク電流を抑制することができる。分離領域55上にシリサイドによるアノード電極64を形成することで、拡散層に比べてシリサイドのシート抵抗が低く、すなわち数Ω/□程度に低くすることができるので、アノード抵抗を低減することができる。アノード抵抗が低減することにより、周波数特性を向上することができる。
【0089】
アノード電極64をシリサイドで形成するので、アノード電極64の電極幅を狭くすることができる。電極幅が狭くできることで、その分、フォトダイオードPD2、PD3の面積を拡大するこができ、感度の向上が図れる。また、感度のバラツキを小さくできる。
【0090】
反射防止膜57の上層膜であるシリコン窒化膜59は、層間絶縁膜(本例ではシリコン酸化膜)62の選択エッチングに用いられるエッチャントに対して耐性を有している。アノード電極64は、このシリコン窒化膜59の下部に形成されているので、層間絶縁膜62の選択エッチング時に、エッチングダメージを受けることがなく、アノード電極としての性能を維持することができる。
【0091】
また、カソード電極76A〜76Eが、アノード電極64と同様に、シリサイドで形成されると共に、反射防止膜57を構成する上層膜であるシリコン窒化膜59に被覆されて形成される。この構成により、カソード電極76A〜76Eを層間絶縁膜62の開口部62Aの端縁の近くに配置することができる。すなわち、カソード電極76A〜76Eを、開口部62Aの位置ズレを考慮して、開口部62Aの端縁から十分に離して形成する必要がない。このため、光入射位置からカソード電極76A〜76Eまでの距離を短くすることができる。この結果、カソード抵抗を低減することができ、また、受光領域61の外側のpn接合容量を低減することができ、周波数特性を向上することができる。
【0092】
また、カソード電極76A〜76Eとして低抵抗材料であるシリサイドを用いているので、周波数特性を大幅に向上させることができる。また、本実施の形態では、カソード電極76B〜76Eが受光領域61の外周囲に形成されるので、フォトダイオード領域の面積が小さくなることはない。また、カソード電極76Aを層間絶縁膜62で覆う必要がないので、カソード電極を拡散層で構成した場合と比較して、引き出し領域74の形成されている間隙の幅D2を狭くすることができる。これにより、フォトダイオード以外の領域が狭くなり、加算出力の低減を防ぐことができる。これらのことから、カソード電極76Aを拡散層で構成した場合と比較して、受光素子の加算出力を向上させることができる。
【0093】
なお、本発明実施の形態でも、前述の実施の形態と同様に、カソード電極76B〜76Eと層間絶縁膜62の開口部62Aの端縁との距離D1や、受光領域61の面積についても自由に変更可能であり、レイアウトの自由度が極めて高い。
その他、第1実施の形態で説明したと同様の効果を奏する。
【0094】
上例では、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型として受光素子を構成したが、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型として受光素子を構成することもできる。この場合、各半導体層の導電型は上述の実施の形態の導電型と逆にして構成される。すなわち、n型半導体基板に複数のp型半導体層を形成してpn接合型のフォトダイオードを有する受光素子を構成することもできる。
【0095】
上例と導電型を逆にしてpn接合型のフォトダイオードを形成した構成においては、複数のフォトダイオード間のn型の分離領域にカソード電極が形成され、受光領域の外側近傍のp型半導体領域にアノード電極が形成される。このような構成の受光素子においては、上例のアノードとカソードを置き換えて上述した同様の効果を奏するものである。
【0096】
上述したように、本発明の実施の形態に係る受光素子においては、フォトダイオード間の分離領域の上面にアノード電極(もしくはカソード電極)を形成し、アノード電極(もしくはカソード電極)の材料にシリサイドを用いる。そして、このアノード電極(もしくはカソード電極)を反射防止膜の上層膜で被覆して構成される。この構成により、反射防止膜表面が帯電したときに、分離領域表面のチャネルの発生を防ぎ、リーク電流を抑えることができる。また、シリサイドのシート抵抗を数オーム/□程度とすることができるので、分離領域におけるアノード抵抗(もしくはカソード抵抗)を小さくすることができる。括弧内は、フォトダイオードの半導体領域の導電型を図示とは逆導電型にした場合である。以下の記載も同様である。
【0097】
本実施の形態では、カソード電極(もしくはアノード電極)の材料にシリサイドを用い、カソード電極を反射防止膜の上層膜で被覆し、カソード電極(もしくはアノード電極)と層間絶縁膜の開口部の端縁との距離を短くしている。この構成により、通常のメタルによるカソード電極(もしくはアノード電極)と比較して受光領域の面積が等しいとき、pn接合位置で規定したフォトダイオード面積を小さくすることができる。したがって、フォトダイオードにおけるpn接合容量を小さくすることができる。
【0098】
本実施の形態では、カソード電極(もしくはアノード電極)の材料にシリサイドを用い、カソード電極を反射防止膜の上層膜で被覆し、カソード電極(もしくはアノード電極)を受光領域内に形成した構成とすることができる。シリサイドのシート抵抗を数Ω/□程度とすることができるので、カソード抵抗(もしくはアノード抵抗)を小さくすることができる。
【0099】
本実施の形態では、複数のフォトダイオードに囲まれた中央のフォトダイオードのカソード電極(もしくはアノード電極)及び受光領域外側への電極の引き回しをシリサイドにより形成した構成とすることができる。この場合も他のフォトダイオードのカソード電極(もしくはアノード電極)の材料にシリサイドが用いられ、全てのフォトダイオードのカソード電極(もしくはアノード電極)が反射防止膜の上層膜で被覆される。この構成により、複数のフォトダイオードに囲まれた中央のフォトダイオードのカソード(もしくはアノード)引き回し電極の幅を狭くすることができる。しかも、シリサイドのシート抵抗は数Ω/□程度とすることができるので、フォトダイオード領域へ入射する光を増やし、信号レベルを高めることができる。さらに、カソード抵抗(もしくはアノード抵抗)を小さくすることができる。
【0100】
<4.第4実施の形態>
[半導体装置の構成及びその製造方法の例]
本発明の第4実施の形態を説明する。本発明の実施の形態に係る半導体装置は、上述の実施の形態に係る受光素子と、この受光素子を駆動する駆動素子などの他の半導体素子とを、同一の半導体基板あるいは半導体層に搭載した構成とする。また、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、同一の半導体基板あるいは半導体層の受光素子形成領域に上述の受光素子を形成し、他の半導体素子形成領域に他の半導体素子を形成する工程を有する。
【0101】
通常、受光素子を構成する半導体装置では、同一の半導体基板に、受光素子とこれを駆動する駆動素子などの他の半導体素子が一体に形成されて成る。半導体基板上の各素子、すなわち受光素子及び他の半導体素子は、製造工程を削減するために、一部の工程を共用して形成される。例えば、受光素子のカソード電極、アノード電極をシリサイドによって形成する場合には、半導体基板上の他の半導体素子においてシリサイドを用いる工程を共用することが可能である。
【0102】
図6〜図11に、本発明の第4実施の形態として半導体装置とその製造方法を示す。本実施の形態では受光素子として第1実施の形態の受光素子を用いた。図6〜図10における受光素子部分の断面は、図11(平面図)に示す第1実施の形態に係る受光素子51のB−B線上の断面である。本実施の形態では、受光素子51と、3V程度の耐圧を有する低耐圧のnチャネルMOSトランジスタTr2と、10V程度の耐圧を有する高耐圧のnチャネルMOSトランジスタTr1とを搭載した半導体装置及びその製造に適用した場合である。
【0103】
先ず、図6Aに示すように、第1導電型、本例ではp型のシリコン半導体基板52を用意する。このp型半導体基板52の受光素子形成領域81に、基板52より高濃度のp型半導体層54による分離領域55を形成し、また分離領域55で分離した複数、本例では2つのn型半導体層53A、53Bを形成する。p型半導体基板52と、n型半導体層43A,53Bとにより、pn接合型の2つのフォトダイオードPD1、PD2が形成される。
【0104】
また、p型半導体基板52の低耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域83、高耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域82にそれぞれp型半導体ウェル領域84を形成する。このp型半導体ウェル領域84と、上記の分離領域55となるp型半導体層54とは、同じ工程で同時形成する。
【0105】
受光素子形成領域81上には、この領域を保護するための保護用絶縁膜85、例えばシリコン酸化(SiO)膜を形成する。その後、MOSトランジスタ形成領域82,83にそれぞれゲート絶縁膜(シリコン酸化膜)86を形成し、ゲート絶縁膜86上にポリシリコンによるゲート電極87を形成する。次いで、ゲート電極87被覆するように、MOSトランジスタ形成領域82、83の全面にサイドウォール用の絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)88を形成する。
【0106】
次に、図6Bに示すように、表面全面にフォトレジスト層89を形成した後、受光素子形成領域81のフォトレジスト層を選択的に除去して、2つのフォトダイオードPD1、PD2及びその間の分離領域55を含む領域に開口89Aを形成する。この開口89Aを介して保護用絶縁膜85をウェットエッチングにより選択的に除去する。なお、フォトレジスト層89の開口89Aの形成は、光学マスクを介した選択露光、及び現像処理でなされる。以下のフォトレジスト層の開口の形成も同じである。
【0107】
次に、図7Cに示すように、フォトレジスト層89を除去した後、表面全面に反射防止膜の下層膜となる第1絶縁膜58を形成する。この第1絶縁膜58は、例えばシリコン酸化膜を用いる。
【0108】
次に、図7Dに示すように、フォトレジスト層90を表面全体に形成したのち、フォトレジスト層90に対して、所望の開口90A〜90Gを形成する。すなわち、受光素子形成領域81では分離領域となるP型半導体層54、2つのn型半導体層53A、53Bの互いに離れた側の端縁に相当する位置に開口90A、90B、90Cを形成する。高耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域82では、ゲート電極87、ゲート電極87から所要の距離を残してその両側に対応する位置に開口90D、90E、90Fを形成する。低耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域83では、全てのフォトレジスト層90が除去された開口90Gを形成する。
【0109】
そして、このフォトレジスト層90の開口90A〜90Gを介して第1絶縁膜58及びサイドウォール用絶縁膜88をドライエッチングにより選択的に除去する。受光素子形成領域81では、第1絶縁膜58に開口58A,58B、58Cが形成される。
高耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域82では、第1絶縁膜58及びサイドウォール用絶縁膜88が選択的にエッチング除去される。そして、ゲート電極87が露出する開口88D、ソース/ドレイン領域を形成すべき位置のp型半導体ウェル領域84が露出する開口88E、88Fが形成される。
低耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域83では、第1絶縁膜58が全てエッチング除去され、サイドウォール用絶縁膜88がエッチバックされることにより、ゲート電極87の側面にサイドウォール層88aが形成される。
【0110】
次に、図8Eに示すように、受光素子形成領域81では開口58B、58Cを残して他部上にフォトレジスト層91を形成する。このフォトレジスト層91は、両MOSトランジスタ形成領域82,83には形成されない。この状態で、n型不純物をイオン注入する。例えば、ヒ素を、打ち込みエネルギー50eV、不純物濃度1×1015cm−3の条件でイオン注入する。
【0111】
これにより、受光素子形成領域81では、n型半導体層53A、53Bにそれぞれn型半導体層53A、53Bより高濃度のn型半導体領域68を形成する。高耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域82では、p型半導体ウェル領域84にソース領域92S及びドレイン領域92Dが形成される。低耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域83では、p型半導体ウェル領域84にソース領域93S及びドレイン領域93Dが形成される。
【0112】
次に、フォトレジスト層91を除去し、図8Fに示すように、改めて受光素子形成領域81の分離領域のp型半導体層54に対応する部分のみに開口94Aを有するフォトレジスト層94を表面全面に形成する。この状態で、p型不純物、例えばボロンをイオン注入してp型半導体層54の表面に、これより高濃度のp型半導体領域65を形成する。このときのボロンのイオン注入では、例えば、打ち込みエネルギーが10keV程度、ボロン不純物濃度が1×1015cm−3程度とすることができる。
【0113】
次に、フォトレジスト層94を除去する。この状態において、受光素子形成領域81では、n型半導体層68、分離領域55の高濃度p半導体領域65のそれぞれの表面が露出している。高耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域82では、ソース領域92S、ドレイン領域92D、ポリシリコンによるゲート電極87のそれぞれの表面が露出している。低耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域83は、ソース領域93S、ドレイン領域93D、ポリシリコンによるゲート電極87のそれぞれの表面が露出している。
【0114】
次に、図9Gに示すように、表面全体にシリサイドを形成すべき金属、例えばコバルト(Co)層95を被着形成する。
【0115】
次に、図9Hに示すように、熱処理を行い、コバルトを下地の半導体に拡散させる。即ちコバルトを、夫々露出しているゲート電極87、ソース領域92S、93S、ドレイン領域92D、92D、高濃度n型半導体領域68、高濃度p型半導体領域65に拡散させ、コバルトシリサイド(例えばCoSi2)からなるシリサイド層96を形成する。その後、未反応のコバルトを除去する。
【0116】
次に、図10に示すように、表面全体に反射防止膜の上層膜となる第2絶縁膜59、例えばシリコン窒化膜を形成する。受光素子形成領域81では、第1絶縁膜58及び第2絶縁膜59により、2層膜構造の反射防止膜57が形成される。
【0117】
次いで、詳細図示が省略するも、受光素子領域81及びMOSトランジスタ形成領域82、83上に、層間絶縁膜を介して複数層の配線を配置した多層配線層を形成する。例えば2層配線層とした場合について説明する。反射防止膜57の上層膜となる第2絶縁膜59を形成した後に、第1層間絶縁膜を形成し、第1層間膜上に第1メタル配線(例えばアルミニウム(Al))を形成する。さらに第1メタル配線を含む全面に第2層間絶縁膜を形成し、第2層間絶縁膜上に第2メタル配線(例えばアルミニウム(Al))形成し、最上層にパシベーション膜となる絶縁膜を形成する。各半導体素子の電極、第1メタル配線、第2メタル配線の相互間に接続は、層間絶縁膜のコンタクトホール内に埋め込んだプラグ導電層(例えばタングステン(W))を介してなされる。
【0118】
受光素子形成領域81でのアノード電極64とアノード電極接続端子66の接続、カソード電極67A、67Bとカソード電極接続端子69A、69Bの接続は、後に形成される開口部62Aの外側の多層配線層で行われる。この場合、アノード電極接続端子66及びカソード電極接続端子69A、69Bは、多層配線層において互いに接続された第1プラグ導電層、第1メタル配線、第2プラグ配線及び第2メタル配線により形成される。図10で示す層間絶縁膜62は、全ての積層された層間絶縁膜を合計したものを表しており、多層配線層に相当する。
【0119】
その後、層間絶縁膜62を選択エッチングして開口部62Aを形成し、受光領域61上の反射防止膜57を露出させる。
【0120】
受光素子形成領域81では、シリサイド層96によりアノード電極64及びカソード電極67A、67Bが形成され、各アノード電極64及びカソード電極67A,67Bが反射防止膜57の第2絶縁膜59にて被覆された受光素子51が形成される。また、高耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域82では、それぞれシリサイド層96を有するゲート電極87、ソース領域92S及びドレイン領域92Dが形成される。これによって、ソース領域92S及びドレイン領域92Dがゲート電極87から離れた構成の高耐圧nチャネルMOSトランジスタTr1が形成される。低耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域83では、それぞれシリサイド層96を有するゲート電極87、ソース領域93S及びドレイン領域93Dが形成され、低耐圧nチャネルMOSトランジスタTr2が形成される。かくして目的の半導体装置98が得られる。
【0121】
第4実施の形態に係る半導体装置によれば、受光素子として上述の実施の形態の受光素子を搭載している。この受光素子は、上述したように、隣合うフォトダイオード間でのリーク電流の発生が抑制され、またアノード電極及びカソード電極の抵抗を低減し、フォトダイオードの受光領域外のpn接合容量を小さくすることができる。従って、信頼性の高いこの種の半導体装置が得られる。本実施の形態の半導体装置は、光学ピックアップ装置、光学ディスク記録再生装置における光ディスクからの反射光を検知する用途に適用して好適である。
【0122】
第4実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、信頼性の高い受光素子を搭載した半導体装置を製造することができる。そして、シリサイドによるアノード電極及びカソード電極の形成を、他の半導体素子、本例ではMOSトランジスタにおけるシリサイド層の形成工程を共用している。また、MOSトランジスタにおけるp型半導体ウェル領域の形成工程と受光素子の分離領域となるp型半導体層の形成工程と共用している。また受光素子のn型半導体層表面の高濃度n型半導体領域の形成工程を、nチャネルMOSトランジスタのn型のソース/ドレイン領域の形成工程と共用している。また受光素子のp型半導体層表面の高濃度p型半導体領域の形成工程を、pチャネルMOSトランジスタのp型のソース/ドレイン領域の形成工程と共用している。従って、製造工程を簡略化することができる。
上例の半導体装置では、受光素子51を搭載した場合であるが、他の実施の形態の受光素子71、73を搭載した構成とすることもできる。
【0123】
上述の第4実施の形態の受光素子及びその製造方法においても、図示の導電型を逆にして構成される受光素子にも同様に適用することができる。
【0124】
<5.第5実施の形態>
[光ピックアップ及び光ディスク記録再生装置の構成例]
本発明の第5実施の形態を説明する。上述の実施の形態に係る受光素子51、71、73は、光ディスク(記録媒体)に情報を記録する、あるいは光ディスクに記録された情報を再生するための光ピックアップ装置、及びこの光ピックアップ装置を備えた光ディスク記録再生装置に適用することができる。
【0125】
図12に、本発明の第5実施の形態に係る光ディスク記録再生装置の概略構成を示す。第5実施の形態に係る光ディスク記録再生装置100は、光ピックアップ装置110と、情報処理部120とを備える。
【0126】
情報処理部120は、光ディスク101に記録された情報を光ピックアップ装置110から受信したり、入力された情報を光ピックアップ装置110に送信したりする送受信回路を有する。情報処理部120は、その他に、受光素子102(103)からの出力に基いて、光源である半導体発光装置LDの出力が安定するように半導体発光装置LDを制御するAPC回路(自動出力制御回路:Auto Power Control Unit)を有する。
【0127】
光ピックアップ装置110は、CD、DVD、BD等の光ディスクにおける記録再生に用いられる。上記光ピックアップ装置110は、特に、例えばDVD等の光ディスク101における高密度記録再生に用いられる。光ピックアップ装置110は、記録媒体である光ディスク101が載置される領域に向かって光を出力する半導体発光装置LDと、光ディスク101が載置される領域と半導体発光装置LDとの間に設けられた光学系とを備える。光ディスク101の表面には、例えば数μmの大きさの多数のピットが形成されている。光学系は、半導体発光装置LDから光ディスク101への光路中に配設され、例えばグレーティング(GRT)111、偏光ビームスプリッタ(PBS)112、平行化レンズ(CL)113、1/4波長板(λ/4板)114、対物レンズ(OL)115とを備える。
【0128】
この光学系は、例えば、半導体発光装置LDから出力された光のうち、偏光ビームスプリッタ112で反射されずに偏光ビームスプリッタ112を透過した光の光路上に、半導体発光装置LDの出力をモニタする受光素子103を有する。さらに、光学系は、光ディスク101からの反射光のうち偏光ビームスプリッタ112を透過した光の光路上に、円筒レンズ(CyL)116と、半導体発光装置LDから射出された光のうち光ディスク101で反射された光を受光する受光素子102とを有する。
【0129】
光ディスク101で反射した光を受光する受光素子102は、複数に分割されたフォトダイオードを有する、上述の実施の形態に係る受光素子51、71、73のいずれかが用いられる。半導体発光装置LDの出力をモニタする受光素子103は、例えば、後述の図13A、Bに示す受光素子76を用いることができる。
【0130】
図12では、受光素子102,103として表したが、実用上は、受光素子102とこの受光素子102を駆動する駆動素子などの他の半導体素子を搭載した半導体装置が用いられる。また、同様に、受光素子103とこの受光素子103を駆動する駆動素子などの他の半導体素子を搭載した半導体装置が用いられる。
【0131】
図13A、Bに示す受光素子76は、第1導電型、例えばp型の半導体基板52の上面に第2導電型、例えばn型の半導体層53が形成されpn接合型のフォトダイオードPDで構成される。半導体基板52の代わりに、半導体基板52上にp型エピタキシャル成長層を形成した基板を使用しても良い。
【0132】
前述の実施の形態で説明したと同様に、n型半導体層53の上面には、第1絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)58と第2絶縁膜(例えばシリコン窒化膜)59を積層した2層膜構造の反射防止膜57が形成される。さらに、反射防止膜57の周端縁上を含む外側上に層間絶縁膜62が形成される。層間絶縁膜62の開口部62A内の領域がフォトダイオードPDの受光領域(受光面)61となる。受光領域61の外縁に相当する層間絶縁膜62下のn型半導体層83に電気的に接続されたシリサイドによる第2電極、つまりカソード電極67が形成される。このカソード電極67は、反射防止膜57の上層膜である第2絶縁膜59に被覆されるように形成される。
【0133】
カソード電極67は、n型半導体層53の表面に形成したn型半導体層53よりも高濃度のn型半導体領域(拡散層)68と、例えばコバルト(Co)などの金属との反応によるシリサイドで形成される。カソード電極67の端部には、これより層間絶縁膜62の上面にまで達するように、例えばアルミニウム(Al)、タングステン(W)などの金属によるカソード電極接続端子69が形成される。
【0134】
一方、フォトダイオードPDを構成するn型半導体層53の外周には、p型半導体基板52に達するように、半導体基板52より高濃度のp型半導体層54による分離領域55が形成される。この分離領域55のp型半導体層54に電気的に接続したアノード電極77が形成される。アノード電極77の端部には、これより層間絶縁膜62の上面にまで達するように、アノード電極接続端子78が形成される。アノード電極77及びアノード電極接続端子78は、例えばアルミニウム(Al)、タングステン(W)などの金属で形成される。
【0135】
この受光素子76によれば、前述したと同様に、特にカソード電極67がシリサイドで形成されると共に、反射防止膜57の上層膜であるシリコン窒化膜59に被覆される。この構成により、層間絶縁膜62の開口部62Aの端縁からカソード電極67までの距離D1を短くすることができ、シリサイドの低抵抗と相俟って、カソード抵抗を低減することができる。また、受光領域61の外側のpn接合容量を低減することができ、周波数特性を向上することができる。
【0136】
上述の光ディスク記録再生装置100では、半導体発光装置LDから射出された光は、例えば、グレーティング111を通り、偏光ビームスプリッタ112で反射され、平行化レンズ113、1/4波長板114を透過する。1/4波長板114を透過した光は、対物レンズ115を通って光ディスク101に焦点を結び、光ディスク101の表面のピットで反射される。光ディスク101で反射された光は、対物レンズ115、1/4波長板114、平行化レンズ113、偏光ビームスプリッタ112、円筒レンズ116を通って受光素子102に入る。そして、受光素子102からの出力に基き、情報処理部120によってピット信号、トラッキング信号及びフォーカス信号の読取りが行われる。また、半導体発光装置LDからの光の一部は、グレーティング111、偏光ビームスプリッタ112を通って受光素子103に入る。そして、受光素子103からの出力に基いて、半導体発光装置LDに対するフィードバック制御が情報処理部120によって行われる。
【0137】
詳細説明は省略するが、光ディスク101に対する情報の記録は、光ピックアップ装置110と情報処理部120により行われる。
【0138】
第5実施の形態に係る光ピックアップ110、及び光ディスク記録再生装置100によれば、光ディスク101に記録された情報の読み出し(再生)に上述の実施の形態の受光素子102(51、71、73)が用いられる。これにより、読取りにおける周波数特性および加算出力を共に高くなる。
【符号の説明】
【0139】
51、71、73・・受光素子、52・・p型半導体基板、53A、53B・・n型半導体層、54・・p型半導体層、55・・分離領域、56・・STI構造、57・・反射防止膜、58・・第1絶縁膜、59・・第2絶縁膜、61・・受光領域、64・・アノード電極、67A、67B・・カソード電極、PD1〜PD5・・フォトダイオード、81・・受光素子形成領域、82・・高耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域、83・・低耐圧nチャネルMOSトランジスタ形成領域、96・・シリサイド層、Tr1・・高耐圧nチャネルMOSトランジスタ、Tr2・・低耐圧nチャネルMOSトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板または第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層に形成された第1導電型の分離領域と、
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層に形成され、前記分離領域で分離された複数の第2導電型の半導体層と、
前記分離領域及び前記複数の第2導電型の半導体層を含む受光領域上に形成された反射防止膜と、
前記第1導電型の半導体基板または半導体層に電気的に接続され、前記反射防止膜を構成する上層膜で被覆されて前記分離領域の表面に沿って形成されたシリサイドによる第1電極と
を有する受光素子。
【請求項2】
前記受光領域を取り囲むように形成された層間絶縁膜を有する
請求項1記載の受光素子。
【請求項3】
前記複数の第2導電型の半導体層にそれぞれ電気的に接続され、前記受光領域の外縁に前記反射防止膜を構成する上層膜で被覆されるように形成されたシリサイドによる複数の第2電極を有する
請求項2記載の受光素子。
【請求項4】
前記第2電極は、前記反射防止膜を構成する上層膜で被覆されるように受光領域内に延長して形成されている
請求項3記載の受光素子。
【請求項5】
前記複数の第2導電型の半導体層のうち、1つの半導体層が中央に形成され、他の半導体層が中央の半導体層を取り囲むように形成されている
請求項1記載の受光素子。
【請求項6】
受光素子と、他の半導体素子を備え、
前記受光素子は、
第1導電型の半導体基板または第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層に形成された第1導電型の分離領域と、
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層に形成され、前記分離領域で分離された複数の第2導電型の半導体層と、
前記分離領域及び前記複数の第2導電型の半導体層を含む受光領域上に形成された反射防止膜と、
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層に電気的に接続され、前記反射防止膜を構成する上層膜で被覆されて前記分離領域の表面に沿って形成されたシリサイドによる第1電極と
を有する半導体装置。
【請求項7】
前記受光素子において、
前記受光領域を取り囲むように形成された層間絶縁膜と、
前記複数の第2導電型の半導体層にそれぞれ電気的に接続され、前記受光領域の外縁に前記反射防止膜を構成する上層膜で被覆されるように形成されたシリサイドによる複数の第2電極と
を有する請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
第1導電型の半導体基板または第1導電型の半導体層に受光素子形成領域と他の半導体素子形成領域を有し、前記受光素子形成領域に、第1導電型の分離領域により分離された複数の第2導電型の半導体層を形成する工程と、
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層、前記分離領域及び前記複数の第2導電型の半導体層上に、反射防止膜を構成する第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜の前記分離領域に対応する部分を一部エッチング除去して開口を形成する工程と、
前記第1絶縁膜の開口に露出した分離領域にシリサイドによる第1電極を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上に前記第1電極を被覆するように反射防止膜を構成する第2絶縁膜を形成する工程と、
前記反射防止膜上に、受光領域に対応した部分に開口部を有する層間絶縁膜を形成する工程とを有し、
前記第1導電型の半導体基体または前記第1導電型の半導体層と、前記複数の第2導電型の半導体層とにより複数のフォトダイオードを形成する
半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1絶縁膜の前記分離領域に対応する部分と前記受光領域の外縁に対応する部分を一部エッチング除去して複数の開口を形成する工程と、
前記第1絶縁膜の開口に露出した第1導電型の分離領域上にシリサイドによる第1電極を形成し、前記第1絶縁膜の開口に露出した複数の第2導電型の半導体層上にそれぞれシリサイドによる第2電極を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上に前記第1電極及び前記第2電極を被覆するように反射防止膜を構成する第2絶縁膜を形成する工程と
を有する請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層の、他の半導体素子であるMOSトランジスタ形成領域に、前記分離領域と同時に第1導電型の半導体ウェル領域を形成する工程と、
前記半導体ウェル領域に第2導電チャネル型のMOSトランジスタを形成する工程と
を有する請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
光ディスクに向かって光を出力する発光素子と、
前記光ディスクと前記発光素子との間に設けられた光学系と、
前記発光素子から射出された光のうち前記光ディスクで反射された光を受光する受光素子と
を備え、
前記受光素子は、
第1導電型の半導体基板または第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層に形成された第1導電型の分離領域と、
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層に形成され、前記分離領域で分離された複数の第2導電型の半導体層と、
前記第1導電型の分離領域及び前記複数の第2導電型の半導体層を含む受光領域上に形成された反射防止膜と、
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層に電気的に接続され、前記反射防止膜を構成する上層膜で被覆されて前記第1導電型の分離領域の表面に沿って形成されたシリサイドによる第1電極と
を有する光ピックアップ装置。
【請求項12】
前記受光素子において、
前記受光領域を取り囲むように形成された層間絶縁膜と、
前記複数の第2導電型の半導体層にそれぞれ電気的に接続され、前記受光領域の外縁に前記反射防止膜を構成する上層膜で被覆されるように形成されたシリサイドによる複数の第2電極と
を有する請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項13】
光ピックアップ装置と、
入力された情報を前記光ピックアップ装置に送信し、または光ディスクに書き込まれた情報を前記光ピックアップ装置から受信する情報処理部と
を備え、
前記光ピックアップ装置は、
光ディスクに向かって光を出力する発光素子と、
前記光ディスクと前記発光素子との間に設けられた光学系と、
前記発光素子から射出された光のうち前記光ディスクで反射された光を受光する受光素子と
を有し、
前記受光素子は、
第1導電型の半導体基板または第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層に形成された第1導電型の分離領域と、
前記第1導電型の半導体基板または前記第1導電型の半導体層に形成され、前記分離領域で分離された複数の第2導電型の半導体層と、
前記第1導電型の分離領域及び前記複数の第2導電型の半導体層を含む受光領域上に形成された反射防止膜と、
前記第1導電型の半導体基板または半導体層に電気的に接続され、前記反射防止膜を構成する上層膜で被覆されて前記第1導電型の分離領域の表面に沿って形成されたシリサイドによる第1電極と
を有する光ディスク記録再生装置。
【請求項14】
前記受光素子において、
前記受光領域を取り囲むように形成された層間絶縁膜と、
前記複数の第2導電型の半導体層にそれぞれ電気的に接続され、前記受光領域の外縁に前記反射防止膜を構成する上層膜で被覆されるように形成されたシリサイドによる複数の第2電極と
を有する請求項13記載の光ディスク記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−183032(P2010−183032A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27743(P2009−27743)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】