説明

口腔粘膜を介して5−HTアゴニストを運搬するための組成物及びその使用方法

本発明は、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)アゴニストの口腔粘膜を介する運搬のための新規組成物を提供する。特に、本発明の組成物中の緩衝系は、唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させることによって、5-HTアゴニストのイオン化形態から非イオン化形態への実質的に完全な変換を促進する。結果として、5-HTアゴニストの投与は、経口粘膜によって迅速且つ効率的に吸収される。更に、口腔粘膜を介する5-HTアゴニストの運搬は、都合よく薬物の肝初回通過代謝を迂回し、そして消化管中の薬物の酵素分解を回避する。偏頭痛を治療するために本発明の組成物を用いる方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多様なタイプの投与形態が存在しているが、とりわけ経口投与のための固型投与形態は患者にとって最適であり、且つ最も広く使用されている。これらの投与形態は、典型的に錠剤、カプセル剤、又は液剤として製剤化された医薬であり、嚥下される。しかしながら経口投与は、消化管での酵素分解の間、及び吸収の間、肝初回通過代謝の間のロス等のいくつかの不都合を有する。これらの薬剤のロスは、薬物応答におけるバラツキの増加だけではなく、しばしばより多い開始用量の薬剤を要求する。更に、これらの薬物は血流に入るために消化管系を通過するから、治療効果へ到達する時間は、非常に長く、典型的に約45分、又はそれよりも長い。
【0002】
従って、粘膜を介した移送に関与する薬物投与経路を含む、他の薬物投与経路が調査されてきた。口腔中の粘膜を経由する多様な粘膜(例えば、口腔、直腸、膣、眼、鼻、等)の薬物運搬は、患者にとって、最も容易に許容されるものであると思われる。更に伝統的な経口投与による問題を回避するために、口腔粘膜を経由した薬物運搬は、口腔粘膜自体の特性による所定の他の利点を有す。例えば口腔粘膜は、高度に血管新生し、そしてリンパ排泄部位を都合よく備える。
【0003】
一般的に、口腔粘膜は、5つの主要な領域:口床(舌下)、頬(バッカル)、歯茎(歯肉)、口蓋(パラタル)、及び唇のライン、に分けることができる。これらの領域はそれらの組織、薬物透過性、及び薬物に対する生理学的応答に関して互いに異なる。例えば、透過性という観点では、舌下はパラタルよりも透過性であるバッカルよりもより透過性である。この透過性は、一般的にこれらの膜の相対的な厚さ及び角質化の程度に基づく(相対的に薄く且つ非-角質化である舌下粘膜、より厚く且つ非-角質化であるバッカル粘膜、及び中間の厚さであるが角質化されていないパラタル粘膜による)。
【0004】
更なる多様な粘膜の透過性の相違、薬物運搬の範囲は、運搬される薬物の特性によっても影響される。任意の粘膜を通過するための分子の能力は、その大きさ、その脂溶性、及びイオン化される程度、その他の要因に依存する。
【0005】
イオン化される薬物の範囲は、更に粘膜を介する運搬に関連して調査されてきた。イオン化は分子の解離定数、又はpKa、及び分子の周囲環境のpHに依存する。非-イオン化形態にある薬物は、受動拡散を経由して膜を横断するために十分に脂溶性である。実際にpH分離仮説によれば、非-イオン化、非-極性薬剤のみが脂質膜を透過するであろう。
【0006】
平衡での薬物の非-イオン化形態の濃度は、膜の両側で同じである。受動拡散を行う濃度勾配である場合、薬物の非-イオン化形態のパーセンテージの増加は、対応して薬物の経粘膜吸収を増加させる。膜を介する最大限の吸収は、薬物がその非-イオン化形態中で100%である場合に起こると考えられている。同様に、膜を介する吸収は、イオン化増加の範囲に比例して減少する。従って、唾液pHを変化させることによって、口腔粘膜を介する薬物吸収の範囲に影響を与えることができる。
【0007】
公知のいくつかの経粘膜投与形態は、唾液及びバッカル粘膜周囲の組織のpHを変化させるために、単一緩衝剤を使用することを含む。しかしながら、これらの単一緩衝剤は、典型的に酸又は塩基と反応して、使用者の唾液の最初のpHに依存する最終pHを作り出す。最終pHを得るために使用される緩衝剤は、大きなバラツキをもたらす使用者の最初のpHに依存する。イオン化の範囲、及びそれによる粘膜を介する吸収の範囲は、任意の種類の精度によっては予測できない。これは正確な投与量を計算し、患者の応答におけるバラツキを最小化し、そして規制当局が課す薬物の一貫性を証明する場合、重大な問題を引き起こし得る。更に、単一緩衝剤は、最適な吸収のための時間帯を通して典型的に所定のpHを持続することができない。一方、当業界において、所定の緩衝剤よりも有用なものが開示されており、これら前記の問題は余分な緩衝剤の無頓着な付加による弊害を容易には取り除かず、口腔粘膜への危険且つ不可逆的なダメージの原因であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
経粘膜吸収を増加させるために、最初のpHに依存する最終pHを達成し、そして維持することができる緩衝系は、未だ実証されていない。
【0009】
同様に、短期間で薬物のイオン化形態の非-イオン化形態への実質的に完全な変換を促進し、事実上口腔粘膜を介する薬物投与全体の迅速な運搬を生み出すために重要である緩衝系は、未だ実証されていない。従来の投与形態では、担体から放出される薬物の速度におけるバラツキによって、薬物運搬において大きなバラツキをもたらした。即ち、以前に発表されたチューインガム又はロゼンジにおける薬物放出速度は、使用者の咀嚼又は吸い込み(sucking)の速度に大きく依存する。使用者間でのそれらの速度のバラツキは、更に全身循環に入る最終薬物量の予測能を悪化させる。更にチューインガムからの薬物放出の速度は、ガムベースから放出される薬物の能力に依存する。多くの場合、ガムベースは強く薬物に粘着し、薬物の部分を吸収させるために利用できなくされる。
【0010】
従って、安全且つ安定な方法で薬剤の吸収を促進させる緩衝系を有する口腔粘膜を介する治療剤を運搬するための組成物は、当業界において必要とされている。同様に最初のpHと無関係である最終pHを生み出す、そして所定の時間帯で最終pHを維持する緩衝系を有する口腔粘膜を介する治療剤を運搬するための組成物は、当業界において必要とされている。更に、イオン化形態から非-イオン化形態へ治療剤を実質的に完全に変換することを迅速に促進することを可能にする組成物は、当業界において必要とされている。本発明はこれら及び他の必要性を満たしている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
本発明は5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)アゴニストの口腔粘膜を介する運搬のための新規の組成物を提供する。特に、本発明の組成物中の緩衝系は、約9.9を越えるpHへ唾液のpHを上昇させることにより、5-HTアゴニストをそのイオン化形態から非-イオン化形態へ実質的に完全に変換させることを促進する。結果として、5-HTアゴニストの投与は、口腔粘膜により迅速且つ有効に吸収される。更に、5-HTアゴニストの口腔粘膜を介する運搬は、都合よく薬物の肝初回通過代謝を迂回し、そして消化管中の薬物の酵素分解を回避する。偏頭痛を治療するための本発明の組成物の使用方法も提供する。
【0012】
1つの観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩、重炭酸塩、及び金属酸化物を含んで成る3成分(ternary)の緩衝系、
を含んで成り、ここでの3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0013】
他の観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩、重炭酸塩、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含んで成る3成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0014】
更なる他の観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩、及び金属酸化物、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選定される2つ以上の緩衝剤を含む緩衝系、
を含んで成り、ここでの緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0015】
また更なる他の観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩、及び金属酸化物を含む2成分(binary)の緩衝系、
を含んで成り、ここでの2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0016】
更なる観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含む2成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0017】
他の観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)金属酸化物、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含む2成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0018】
更なる観点では、本発明は必要とされる患者への偏頭痛治療のための方法を提供し、当該方法は:
治療有効量の5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩、担体、及び3成分の緩衝系(炭酸塩、重炭酸塩、及び金属酸化物を含む)を含む組成物を患者に投与することを含んで成り、ここでの3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0019】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、後述の詳細な説明及び図から当業者に明確になるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
発明の詳細な説明
I.定義
本明細書において使用される以下の用語は、特に断わりのない限り、それらの意味とされる。
【0021】
用語"偏頭痛"とは、強度な、ズキズキする(throbbing)、典型的には片側の頭痛を言い、鋭痛により特徴づけられ、そしてしばしば吐き気、嘔吐、光及び/又は音への過敏症、息苦しさ又は鼻水、涙目、めまい、情緒変調、異痛症(allodynia)、及び視覚障害等の徴候を伴う。偏頭痛は典型的に繰り返し発生する頭痛であり、そして最も偏頭痛で苦しむ人々 (即ち、患者)は、少なくとも一ヶ月に一回の偏頭痛発作を経験する。偏頭痛はいつでも発生し得、そして仮に未治療ならば、約4時間から約3日間存続し得る。当業者は偏頭痛の徴候は患者間で異なるだけでなく、所定の患者における偏頭痛発作間でも異なり得ることを理解するであろう。偏頭痛による疼痛は、強度においては中程度から重篤であり、そして頭部の両側の一方及び他の領域(例えば首の後ろ、顔面、眼、及び洞(the sinuses))に影響を及ぼすことができる。本発明の組成物による治療に適した偏頭痛のタイプは、制限されずに前兆を有さない偏頭痛及び前兆を有す偏頭痛を含む。用語"前兆を有さない偏頭痛"とは、偏頭痛の最も一般的なタイプを言い、そして強度な、ズキズキする頭痛を含み、典型的に光及び/又は音への過敏症を伴う。用語"前兆を伴う偏頭痛"とは、前兆が先立つ偏頭痛のタイプを言う。
【0022】
本明細書において使用される用語"前兆"とは、幾人かの偏頭痛で苦しむ人々の、偏頭痛発作前に有する視覚障害を言う。典型的に前兆は偏頭痛に先立ち、次第に速やかに発達し、そして約1時間未満存続する。一般的に、偏頭痛で苦しむ10人の患者のうちの約3人が、偏頭痛発作の前に前兆を経験する。前兆は制限されずに、視覚変化(例えば、偏狭(tunnel vision)、盲点、かすみ目(blurred visio)、閃光灯を見ること、ギザギザの線を見ること、点を見ること、及び焦点を合わせにくいこと);知覚又は運動変化(例えば、しびれ感、或いは唇、顔、又は片側もしくは両側の手のうずき、並びに片側もしくは両側の腕及び/又は足の衰弱);並びに発語又は言語変化(例えば言語理解の不能、言語障害、及び正常に話すことの不能)を含む徴候に付随して起こる。
【0023】
用語"治療剤"及び"薬物"とは、本明細書において同義的に使用され、医薬的、薬理的、精神治療学的、又は治療的効果を有する物質を言う。好適には、治療剤又は薬物は5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)アゴニストである。本発明において使用するための適した5-HTアゴニストは、制限されずに、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、フロバトリプタン、F 11356、医薬的に許容され得るそれらの塩類、及びそれらの組合せを含む。特に好適な態様での5-HTアゴニストは、全ての適した形態にあるスマトリプタンである。本発明の他の態様における、治療剤又は薬物は5-HTアゴニスト及び5-HTアンタゴニストの組合せである。本発明において使用するための適した5-HTアンタゴニストは、制限されずに、オンダンセトロン、パロノセトロン、トロピセトロン、レリセトロン(lerisetron)、アロセトロン、グラニセトロン、ドラセトロン、ベルネセトロン(bernesetron)、ラモセトロン、アザセトロン、イタセトロン、ザコプリド(zacopride)、シラセトロン(cilasetron)、及び任意の他の5-HTアンタゴニスト(イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、3-ピロリン、又はピロリジン基を含む)を含む。本発明の更に他の態様では、治療剤又は薬物は、5-HTアゴニスト及び非-ステロイド性抗炎症剤(NSAID)との組合せにある。本発明の使用のために適したNSAIDsは制限されずに、伝統的なNSAIDs である、例えばアスピリン(即ち、アセチルサリチル酸)、イブプロフェン、フルルビプロフェン、アセトアミノフェン、ジクロフェナック、ジフルニサル、エトドラク、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ナプロキセン、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、及びトルメチン;選択的シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブ;並びにそれらの組合せを含む。
【0024】
用語"治療有効量"とは、それらを必要とする患者において治療効果を達成することができる5-HTアゴニストの量を言う。例えば、5-HTアゴニストの治療有効量は偏頭痛又は群発性頭痛に関連する1つ以上の徴候を予防又は緩和することができる量であり得る。
【0025】
用語"生物学的利用能"とは、吸収される、或いは体内の治療部位での利用能を開始する薬物の率及び/又は範囲を言う。
【0026】
本明細書において使用される語句"5-HTアゴニストのイオン化形態から非-イオン化形態への実質的に完全な変換"とは、5-HTアゴニストのイオン化形態から非-イオン化形態への約50%を越える変換を言う。例えば、緩衝系は、5-HTアゴニストのイオン化形態から非-イオン化形態への少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%変換が好ましい。いくつかの態様では当該変換は、投与後約10分以内に起こる。
【0027】
用語"投与する"とは、本発明の組成物の口腔粘膜への投与を言う。口腔粘膜中への適した部位への投与の例は、制限されずに、口床の粘膜(舌下粘膜)、頬の粘膜(バッカル粘膜)、歯茎の粘膜(歯肉粘膜)、口蓋の粘膜(パラタル粘膜)、唇のラインの粘膜、及びそれらの組合せの粘膜を含む。好適には、本発明の組成物は舌下粘膜、バッカル粘膜、又はそれらの組合せへ投与される。
【0028】
II.概要
本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストの運搬のための新規組成物を提供する。特に、本発明の組成物における緩衝系は、唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させることにより、5-HTアゴニストのイオン化形態から非-イオン化形態への実質的に完全な変換を促進する。更に、口腔粘膜を介する5-HTアゴニストの運搬は、消化管中で都合よく薬物の肝初回通過代謝を迂回して、そして薬物の酵素分解を回避する。結果として、5-HTアゴニストは、伝統的な経口(例えば、錠剤)投与よりも、実質的により短時間で、且つ実質的により高濃度で全身循環に達する。偏頭痛を治療するために本発明の組成物を使用する方法も提供する。
【0029】
本発明は、酸化物成分(例えば酸化マグネシウム)の緩衝系への付加が、
(a)開始pHに無関係に唾液のpHを約9.9以上に上昇させ;(b)緩衝系に存在している炭酸塩成分の腐食性(corrosivity)を減少させ;(c)第二の結合剤として働き、それによってステアリン酸の必要性を排除し;そして(d)所望されるpHを生み出すために必要とされる炭酸塩成分の量を減少させる、という究極の利益があるという驚くべき発見に基づく。任意の特定の理論に拘泥されることを意図せずに、酸化物成分(例えば、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウム)は細胞保護的試薬として作用し、緩衝化した組成物中に存在している炭酸塩及び重炭酸塩成分の高いpHに対して細胞を保護すると信じられている。
【0030】
III .態様の説明
1つの観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩、重炭酸塩及び金属酸化物を含む3成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0031】
1つの態様では、当該3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関係なく、唾液のpHを約9.9から約11、例えは、約9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0へ上昇させる。他の態様では、5-HTアゴニストはスマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、フロバトリプタン、及びそれらの組合せから成る群から選定される。ある態様では、スマトリプタンは好適な5-HTアゴニストである。特定の例では、当該組成物は更に 5-HTアンタゴニストを含んで成る。他の特定の例では、当該組成物は更に非-ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を含んで成る。他の態様では、炭酸塩は炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、及び炭酸マグネシウムから成る群から選定される。また更なる態様では、重炭酸塩は重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム、重炭酸アンモニウム、及び重炭酸マグネシウムから成る群から選定される。また更なる他の態様では、金属酸化物はアモルファスの酸化マグネシウム又は酸化アルミニウムである。好適な態様では、3成分の緩衝系は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及びアモルファスの酸化マグネシウムを含む。好適な他の態様では、当該重炭酸ナトリウムは、乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウムである。
【0032】
他の態様では、本発明の組成物はロゼンジ、チューインガム、チュアブル錠、及び遅溶錠又は速溶錠等の溶解錠(dissolving tablet)からなる群から選定される投与形態である。好適な組成物は、ロゼンジ又は溶解錠である。5-HTアゴニストを含むロゼンジ、チューインガム、及び速溶錠組成物の発表は、後述の実施例で提供する。
【0033】
好適な態様では、5-HTアゴニストは舌下粘膜、バッカル粘膜、及びそれらの組合せから成る群から選定される口腔粘膜を介して運搬される。好適には、5-HTアゴニストは舌下粘膜を介して運搬されるため、当該組成物は舌下で投与される。
【0034】
他の態様では、担体は典型的に固体、半固体、又は液体(例えば結合剤、ガムベース、又はそれらの組合せ等)である。本発明の組成物中で使用するために適した結合剤は、制限されずに、糖アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール、及びキシリトール);糖類(例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、グルコース、及び粉体糖);他の物質(例えば、イノシトール、糖蜜、マルトデキストリン、スターチ 、セルロース、微晶性セルロール、ポリビニルピロリドン、アカシアガム、グアーガム、トラガカントガム、アルギン酸塩、アイリッシュモスの抽出物、パンワール(panwar)ガム、ghattiガム、isapol husksの粘液、Veegume(登録商標)、larch arabogalactan、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸(例えばカルボポール)、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸2カルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール;及びそれらの組合せを含む。本発明の組成物に使用するための適したガムベースは、例えば当業界において公知である、特に多くの水不溶性及び唾液不溶性ガムベース材料から選定される材料を含む。特定の例では、当該ガムベースは少なくとも1つの疎水性ポリマー及び少なくとも1つの親水性ポリマーを含む。ガムベースのための限定的でない適した疎水性及び親水性ポリマーの例は、天然及び合成的ポリマー(例えばエラストマー、ゴム、及びそれらの組合せ)の両方を含む。適切な天然ポリマーの例は、制限されずに植物由来の物質(例えば、チクル、ジェルトン、ガッタパーチャ、クラウンガム、及びそれらの組合せ)を含む。適した合成ポリマーの例は、エラストマー(例えばブタジエン-スチレンコポリマー、イソブチレン及びイソプレンコポリマー(例えば"ブチルラバー")、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリビニルエステル(例えば、ポリビニルアセテート及びポリビニルアセテートフタレート)、及びそれらの組合せ)を含む。他の例では、当該ガムベースは、ブチルラバー(即ち、イソブチレン及びイソプレンコポリマー)、ポリイソブチレン、及び任意に、ポリビニルアセテート(例えば、およそ12,000の分子量を有す)の混合物を含む。
【0035】
また更なる態様では、本発明の組成物は、甘味剤、香味剤、保護剤、可塑剤、ワックス、エラストマーの溶媒、充填材料、保存剤、又はそれらの組合せを更に含むことができる。また更なる他の態様では、本発明の組成物は、潤滑剤、湿式剤、乳化剤、可溶化剤、懸濁剤、着色剤、崩壊剤、又はそれらの組合せを更に含むことができる。好適な態様では、本明細書中に発表した組成物中の薬物の平均粒子径は、典型的な平均薬物の粒子径である約75から約100マイクロと比較して、約20マイクロである。他の好適な態様では、本明細書中に発表した組成物中の薬物の平均粒子径は、担体成分(例えば、ガムベース、結合剤等)の平均粒子径以下である。
【0036】
本発明の好適な態様では、5-HTアゴニストはスマトリプタンであり、そして3成分の緩衝系は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及びアモルファスの酸化マグネシウムを含む。かかる組成物は、好適には舌下投与のためにロゼンジ、キャンディー、又は溶解錠の形態に製剤化される。結果として舌下投与でのスマトリプタンは、舌下粘膜を介して運搬される。好適な重炭酸ナトリウムは乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウムである。特定の例では、組合せた又は個々の炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの重量パーセントと同等以上のアモルファスの酸化マグネシウムの重量パーセントが好適である。他の特定の例では、組合せた又は個々の重量パーセントの炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウム未満のアモルファスの酸化マグネシウムの重量パーセントが使用される(例えば約0.1%から約10%)。
【0037】
特定の例では、当該組成物は約2.5から約4.5重量パーセントのスマトリプタン;約4.0から約7.0重量パーセントの炭酸ナトリウム;約8.0から約12.0重量パーセントの乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウム;及び約20から約30重量パーセントのアモルファスの酸化マグネシウムを含んで成る。好適な態様では、当該組成物は約3.5重量パーセントのスマトリプタン;約5.5重量パーセントの炭酸ナトリウム;約9.0重量パーセントの乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウム;及び約25重量パーセントのアモルファスの酸化マグネシウムを含んで成る。
【0038】
他の観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩、重炭酸塩、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含む3成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0039】
1つの態様では、当該3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9から約11のpHに上昇させる。本発明の使用のために適した5-HTアゴニストは、上記に発表した。また本発明の3成分の緩衝系において使用するための適切な炭酸塩及び重炭酸塩も、上記に発表した。特定の例では、当該組成物は5-HTアンタゴニストを更に含む。特定の他の例では、当該組成物は更にNSAIDを含む。
【0040】
適切なクエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩は、制限されずに当業界において公知の任意のクエン酸、リン酸、又はホウ酸の塩を含む。例えば、いくつかの態様では、クエン酸塩はクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、及びクエン酸アンモニウムから成る群から選定される。他の態様では、リン酸塩はリン酸一ナトリウム(monobasic sodium phosphate)、リン酸二ナトリウム(dibasic sodium phosphate)、リン酸一カリウム(monobasic potassium phosphate)、リン酸二カリウム(dibasic potassium phosphate)、リン酸一カルシウム(monobasic calcium phosphate)、リン酸二カルシウム(dibasic calcium phosphate)、リン酸一マグネシウム(monobasic magnesium phosphate)、リン酸二マグネシウム(dibasic magnesium phosphate)、リン酸一アンモニウム(monobasic ammonium phosphate)、及びリン酸二アンモニウム(dibasic ammonium phosphate)から成る群から選定される。更なる他の態様では、ホウ酸塩は、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、及びホウ酸アンモニウムから成る群から選定される。特定の例では、3成分の緩衝系は、炭酸塩、重炭酸塩、及びクエン酸塩を含んで成る。特定の他の態様では、3成分の緩衝系は、炭酸塩、重炭酸塩、及びリン酸塩を含んで成る。更なる例では、3成分の緩衝系は、炭酸塩、重炭酸塩及びホウ酸塩を含んで成る。
【0041】
他の態様では、本発明の組成物は上記の任意の投与形態にある。好適には、5-HTアゴニストは上記の通りに口腔粘膜を介して運搬される。更なる他の態様では、担体は、結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される。本発明の組成物において使用するために適した結合剤及びガムベースは、上記に発表した。
【0042】
また更なる態様では、本発明の組成物は、上記の1つ以上の追加試薬を更に含むことができる。好適な態様では、本明細書で発表した組成物における薬物の平均粒子径は約20マイクロであり、及び/又は担体成分(例えば、ガムベース、結合剤等)の平均粒子径以下である。
【0043】
本発明の好適な態様では、5-HTアゴニストはスマトリプタンであり、そして3成分の緩衝系は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含んで成る。かかる組成物は、舌下投与のために好適にはロゼンジ、キャンディー、又は溶解錠の形態に製剤化される。
【0044】
更なる他の観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩、又は重炭酸塩、及び金属酸化物、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選定される2つ以上の緩衝剤を含む緩衝系、
を含んで成り、ここでの緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0045】
1つの態様では、当該緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9から約11のpHに上昇させる。本発明の使用のために適した5-HTアゴニストは、上記に発表した。また本発明の緩衝系において使用するための適切な炭酸塩及び重炭酸塩も、上記に発表した。特定の例では、当該組成物は5-HTアンタゴニストを更に含む。特定の他の例では、当該組成物は更にNSAIDを含む。
【0046】
他の態様では、金属酸化物は、酸化マグネシウム又は酸化アルミニウムである。好適には、酸化マグネシウムはアモルファスの酸化マグネシウムである。適したクエン酸塩、リン酸塩及びホウ酸塩は、制限されずに、当業界において公知の、上記のような任意のクエン酸、リン酸、又はホウ酸の塩を含む。特定の例では、緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、金属酸化物、及びクエン酸、リン酸、又はホウ酸塩を含む。特定の他の態様では、緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、クエン酸塩、及びリン酸塩を含む。特定の例では、緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、クエン酸塩、及びホウ酸塩を含む。特定の他の例では、緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩を含む。
【0047】
また更に他の態様では、本発明の組成物は、上記の任意の投与形態にある。好適には、5-HTアゴニストは、上記のような口腔粘膜を介して運搬される。また更なる他の態様は、担体は結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される。本発明の組成物中で使用するための適した結合剤及びガムベースは、上記に発表した。
【0048】
更なる態様では、本発明の組成物は、1つ以上の上記の追加試薬を更に含むことができる。好適な態様では、本明細書中に発表した組成物中の薬物の平均粒子径は、約20マイクロであり、及び/又は担体成分(例えば、ガムベース、結合剤等)の平均粒子径以下である。
【0049】
本発明の好適な態様では、5-HTアゴニストはスマトリプタンであり、且つ緩衝系は炭酸ナトリウム、又は重炭酸ナトリウム並びに金属酸化物、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選定される2つ以上の緩衝剤を含む。かかる組成物は、好適には舌下投与のためにロゼンジ、キャンディー、又は溶解錠の形態で製剤化される。
【0050】
また更なる他の観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩、及び金属酸化物を含む2成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0051】
1つの態様では、当該2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9から約11のpHに上昇させる。本発明の使用のために適した5-HTアゴニストは、上記に発表した。また本発明の2成分の緩衝系において使用するための適切な炭酸塩、重炭酸塩、及び金属酸化物も、上記に発表した。特定の例では、当該組成物は更に5-HTアンタゴニストを含む。特定の他の例では、当該組成物は更にNSAIDを含む。
【0052】
他の態様では、本発明の組成物は、上記の任意の投与形態にある。好適には、5-HTアゴニストは上記の通り口腔粘膜を介して運搬される。更なる他の態様では、担体は結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される。本発明の組成物中で使用するための適切な結合剤及びガムベースは、上記に発表した。
【0053】
また更に他の態様では、本発明の組成物は、上記の1つ以上の追加試薬を更に含むことができる。好適な態様では、本明細書中に発表した組成物中の薬物の平均粒子径は約20マイクロであり、及び/又は担体成分(例えばガムベース、結合剤等)の平均粒子径以下である。
【0054】
本発明の好適な態様では、5-HTアゴニストはスマトリプタンであり、且つ2成分の緩衝系は炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム及びアモルファスの酸化マグネシウムを含む。かかる組成物は、好適には舌下投与のために、ロゼンジ、キャンディー、又は溶解錠の形態に製剤化される。特定の例では、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの重量パーセントと同等以上のアモルファスの酸化マグネシウムの重量パーセントが好適である。他の特定の例では、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの重量パーセント未満のアモルファスの酸化マグネシウムの重量パーセントが使用される(例えば、約0.1%から約10%)。
【0055】
更なる観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含む2成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0056】
1つの態様では、当該2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9から約11のpHに上昇させる。本発明の使用のために適した5-HTアゴニストは、上記に発表した。また本発明の2成分の緩衝系において使用するための適切な炭酸塩、重炭酸塩、及びクエン酸、リン酸、及びホウ酸塩も、上記に発表した。特定の例では、当該組成物は5-HTアンタゴニストを更に含む。特定の他の例では、当該組成物は更にNSAIDを含む。
【0057】
他の態様では、本発明の組成物は、上記の任意の投与形態にある。好適には5-HTアゴニストは上記のような口腔粘膜を介して運搬される。更に他の態様では、担体は結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される。本発明の組成物中で使用するための適した結合剤及びガムベースは上記に発表した。
【0058】
また更に他の態様では、本発明の組成物は、更に1つ以上の上記の追加試薬を含むことができる。好適な態様では、本明細書中に発表した組成物中の薬物の平均粒子径は約20マイクロであり、及び/又は担体成分(例えば、ガムベース、結合剤等)の平均粒子径以下である。
【0059】
本発明の好適な態様では、5-HTアゴニストはスマトリプタンであり、且つ2成分の緩衝系は炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム及びクエン酸、リン酸、又はホウ酸塩を含む。かかる組成物は、好適には舌下投与のために、ロゼンジ、キャンディー、又は溶解錠の形態に製剤化される。
【0060】
他の観点では、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストを運搬するための組成物を提供し、当該組成物は:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)金属酸化物、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含む2成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0061】
1つの態様では、当該2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを約9.9から約11のpHに上昇させる。本発明の使用のために適した5-HTアゴニストは、上記に発表した。また本発明の2成分の緩衝系において使用するための適切な金属酸化物、及びクエン酸、リン酸、及びホウ酸塩も、上記に発表した。特定の例では、当該組成物は5-HTアンタゴニストを更に含む。特定の他の例では、当該組成物は更にNSAIDを含む。
【0062】
他の態様では、本発明の組成物は、上記の任意の投与形態にある。好適には5-HTアゴニストは上記のような口腔粘膜を介して運搬される。更に他の態様では、担体は結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される。本発明の組成物中で使用するための適した結合剤及びガムベースは上記に発表した。
【0063】
また更に他の態様では、本発明の組成物は、更に1つ以上の上記の追加試薬を含むことができる。好適な態様では、本明細書中に発表した組成物中の薬物の平均粒子径は約20マイクロであり、及び/又は担体成分(例えば、ガムベース、結合剤等)の平均粒子径以下である。
【0064】
本発明の好適な態様では、5-HTアゴニストはスマトリプタンであり、且つ2成分の緩衝系はアモルファスの酸化マグネシウム、並びにクエン酸、リン酸、又はホウ酸塩を含む。かかる組成物は、好適には舌下投与のために、ロゼンジ、キャンディー、又は溶解錠の形態に製剤化される。
【0065】
更なる観点では、本発明は偏頭痛治療を必要とする患者への偏頭痛治療のための方法を提供し、当該方法は:
治療有効量の5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩、担体、及び3成分の緩衝系(炭酸塩、重炭酸塩、及び金属酸化物を含む)を含む組成物を患者に投与することを含んで成り、ここでの3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【0066】
好適な態様では、当該組成物は、口腔粘膜、例えば、舌下粘膜、バッカル粘膜、又はそれらの組合せを介する5-HTアゴニストを運搬する。好適な組成物は、5-HTアゴニストが舌下粘膜を介して運搬されるため、舌下投与される。本発明の組成物で処理され得る適切な偏頭痛は、制限させずに前兆を有さない偏頭痛及び前兆を有する偏頭痛を含む。
【0067】
1つの態様では、当該3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9から約11のpHに上昇させる。本発明の使用のために適した5-HTアゴニストは、上記に発表した。また本発明の3成分の緩衝系において使用するための適切な炭酸塩、重炭酸塩、及び金属酸化物も、上記に発表した。特定の例では、当該組成物は5-HTアンタゴニストを更に含む。特定の他の例では、当該組成物は更にNSAIDを含む。
【0068】
炭酸塩、重炭酸塩、及び金属酸化物を含む3成分の緩衝系に加えて、他の緩衝系も本発明の組成物中で使用するために適している。例えば、代替的な態様では、当該3成分の緩衝系は、炭酸塩、重炭酸塩、及びクエン酸、リン酸、又はホウ酸塩を含む。他の代替態様では、当該緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、並びに金属酸化物、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選定される2つ以上の緩衝剤を含む。更に他の代替態様では、当該緩衝系は炭酸塩、又は重炭酸塩及び金属酸化物を含んで成る2成分の緩衝系である。また更なる代替他の態様では、当該緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、並びにクエン酸、リン酸、又はホウ酸塩を含んで成る2成分の緩衝系である。更なる代替態様では、当該緩衝系は、金属酸化物及びクエン酸、リン酸、又はホウ酸塩を含んで成る2成分の緩衝系である。また更なる代替態様では、当該緩衝系は炭酸塩及び重炭酸塩、好適には炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む2成分の緩衝系である。
【0069】
他の態様では、本発明の組成物は、上記の任意の投与形態にある。更に他の態様では、担体は結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される。本発明の組成物の使用のために適する結合剤及びガムベースは、上記に発表した。
【0070】
更に他の態様では、本発明の組成物は、1つ以上の上記の追加試薬を更に含むことができる。好適な態様では、本明細書中に発表した組成物中の薬物の平均粒子径は約20マイクロであり、及び/又は担体成分(例えば、ガムベース、結合剤等)の平均粒子径以下である。
【0071】
本発明の好適な態様では、5-HTアゴニストはスマトリプタンであり、且つ3成分の緩衝系は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及びアモルファスの酸化マグネシウムを含む。かかる組成物は、好適には舌下投与のために、ロゼンジ、キャンディー、又は溶解錠の形態に製剤化される。特定の例では、組合せた又は個々の炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの重量パーセントと同等以上のアモルファスの酸化マグネシウムの重量パーセントが好適である。他の特定の例では、組合せた又は個々の炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの重量パーセント未満のアモルファスの酸化マグネシウムの重量パーセントが使用される(例えば約0.1%から約10%)。
【0072】
A.5-HTアゴニスト
本発明の5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)アゴニストは好適にはスマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、フロバトリプタン、F 11356、医薬的に許容され得るそれらの塩類、及びそれらの組合せから選定される。より好適には、全ての適切な形態における5-HTアゴニストはスマトリプタンである。本明細書で発表した5-HTアゴニストは、血管上での選択的又は非選択的血管作用を有する塩基性化合物である。
【0073】
一般的な本発明の5-HTアゴニストはイオン化形態及び非イオン化形態を有する。特定の例では、5-HTアゴニストは、最初に少なくとも部分的にイオン化形態で存在している。特定の他の例では、5-HTアゴニストは、最初に非-イオン化形態で存在している。以下により詳細に発表するように、本明細書で発表した組成物の緩衝系は、5-HTアゴニストをそのイオン化形態から非-イオン化形態へ実質的に全て変換することを助長する。或いは、当該緩衝系は最初に非イオン化形態にある5-HTアゴニストが、非-イオン化形態のままであることを確実にすることを助長する。
【0074】
本明細書において使用される用語、"5-HTアゴニスト"とは、発表されている5-HTアゴニストの全ての医薬的に許容され得る形態を含む。例えば、5-HTアゴニストはラセミ又は異性体混合物、イオン交換樹脂へ結合した固体複合体等であり得る。更に、5-HTアゴニストは溶媒和形態であり得る。更に用語"5-HTアゴニスト"とは、全ての発表されている5-HTアゴニストの医薬的に許容され得る塩類、誘導体、及びアナログ、並びにそれらの組合せを含むことを意図する。例えば、5-HTアゴニストの医薬的に許容され得る塩類は、制限されずに、それらのコハク酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩(bitartarate)、二塩酸塩、サリチル酸塩、半コハク酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、塩酸塩、カルバミン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、及び安息香酸塩の形態、並びにそれらの組合せ等を含む。
【0075】
5-HTアゴニストのイオン化形態から非-イオン化形態への変換は、製剤に係るpHに関連する:pH=pKa + Log10(非-イオン化濃度/イオン化濃度)。pHがpKaと同じである場合、等モル量の非-イオン化形態及びイオン化形態が存在する。本明細書で発表した5-HTアゴニストのような塩基性化合物について、pHがpKaよりも高い一つの単位である場合、非-イオン化形態、対、イオン化形態の比率は、91:9である。同様に、pHがpKaより高い2つの単位である場合、非-イオン化形態、対、イオン化形態の比率は、100:1である。上記を留意すると、非-イオン化形態は脂溶性であり、それによって天然では疎油性であるイオン化形態よりも口腔粘膜等の粘膜を通して通過することがより可能になる。従って、唾液のpHを上昇させることは、本明細書において発表した5-HTアゴニスト等の塩基性化合物についてのイオン化形態を非-イオン化形態へ変換させるために好適であり、且つ最終pHは上記製剤の使用を成すことにより決定することができる。
【0076】
本発明の5-HTアゴニストは、偏頭痛等の症状の治療に有用であるインドール誘導体であり、以下の塩基性インドール核を有し:
【化1】

式中Rは、典型的にアルキル、アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルケニル基であり、そしてRlは典型的にスルホンアミド、オキサゾリジノン、トリアゾール、又はスルホニル基であり、いずれも任意に置換されてよい。より詳細には、本発明の5-HTアゴニストは、好適には以下の構造のスマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、フロバトリプタン、及びF11356:
【化2】

【化3】

【化4】

から成る群から選定される。
【0077】
上記5-HTアゴニストの、第一、第二、又は第三アミンは、典型的に化合物のイオン化の程度を制御する。
【0078】
本発明の5-HTアゴニストは、1つ以上の5-HT1受容体サブタイプと高い親和性で結合する。任意の特定の理論に拘泥されずに、偏頭痛治療における本発明の5-HTアゴニストの治療活性は、1つ以上の以下のメカニズム:(1)5-HTアゴニストにより頭蓋内血管(例えば、動静脈吻合)上に位置し、血管収縮を刺激する5-HT1受容体の活性化;及び(2)三叉神経系中の知覚神経終末上に位置し、炎症性神経ペプチド(例えば、血管活性腸管ペプチド、サブスタンスP、カルシトシン遺伝子-関連ペプチド)放出を阻害する5-HTl受容体の活性化に帰する。
【0079】
本発明の他の態様では、5-HTアンタゴニスト及び/又は非-ステロイド性抗炎症剤(NSAID)は、5-HTアゴニストとの組合せにおいて運搬される。5-HTアンタゴニストは、典型的に3つの主な成分:(1)芳香族構造;(2)カルボニルを含む連鎖部位;及び(3)へテロ環基を含む面外の塩基性窒素から成る。これらの群が特異的な空間に存在する配置を有することを以下に示す:
【化5】

【0080】
本発明において使用するための適切な5-HTアンタゴニストは、制限されずに、カルボニルリンカーが縮合芳香族環(表1参照)、及び5-HTアンタゴニスト中に組み入れら、ここでのカルボニルリンカーは芳香族環及び塩基性窒素基(表2参照)に直接結合している(即ち、スペーサーユニットとして)、5-HTアンタゴニストを含む。
【表1】

【表2】

【表3】

【0081】
表1及び2に示す通り、5-HTアンタゴニストの普遍的な特徴は、塩基性窒素基である。塩基性窒素基は、一般的にイミダゾール基又は窒素を含むヘテロ二環式誘導体として分類され得る。
【0082】
上記製剤を用いた全ての5-HTアンタゴニストの親油性化及びイオン化は、5-HTアンタゴニストを含む媒体のpHを、塩基性窒素基のpKaに対応させて調整することにより制御及び調節することができる。例えば、イミダゾール基中に窒素を含む5-HTアンタゴニストは約7.4の範囲のpKaを有するので、それらの非-イオン化、親油性形態を、約8.4を越えるpHで実質的に変換することができる。同様に、二環中に窒素を含む5-HTアンタゴニストは約8.8のpKaを有するので、それらの非-イオン化、親油性形態を、約9.8を越えるpHで実質的に変換することができる。本発明中で使用するための適切な5-HTアンタゴニストの具体的例は、制限させずに、オンダンセトロン、パロノセトロン、トロピセトロン、レリセトロン(lerisetron)、アロセトロン、グラニセトロン、ドラセトロン、ベルネセトロン(bernesetron)、ラモセトロン、アザセトロン、イタセトロン、ザコプリド(zacopride)、シラセトロン(cilasetron)、及び任意の他の5-HTアンタゴニスト(イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、3-ピロリン、又はピロリジン基を含む)を含む。
【0083】
本発明の使用のために適したNSAIDsは制限されずに、伝統的なNSAIDsである、例えばアスピリン(即ち、アセチルサリチル酸)、イブプロフェン、フルルビプロフェン、アセトアミノフェン、ジクロフェナック、ジフルニサル、エトドラク、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ナプロキセン、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、及びトルメチン;選択的シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブ);並びにそれらの組合せを含む。
【0084】
B.緩衝系
炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの2成分の組成物は、一般的に唾液のpHを約8.0-9.8に上昇させることができるが、炭酸塩成分は、約9.0-9.8のpHが所望させる場合、重炭酸塩成分よりも実質的に多い量で存在しなければならない。しかしながら、より高レベルの炭酸塩による口腔粘膜及び他の口腔組織上の腐食効果が、一般的に発現する。このように、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムのみを含む2成分の組成物は、本発明の治療剤を、口腔粘膜を介して運搬させるための有用性を減少させた。
【0085】
本発明は、炭酸塩、重炭酸塩、及び酸化物成分(例えば、酸化マグネシウム、又は酸化アルミニウム)を含む、3成分の緩衝系の1つの態様を提供することにより、かかる制限を克服する。塩基性緩衝剤は、典型的に本発明の緩衝系中で使用されるが、当業者は、当該緩衝系が全体として唾液のpHを、約9.9を越えるpH(例えば、約9.9-11)に上昇させる限り、酸性試薬も当該緩衝系のpHを調整するために使用することができることを理解するであろう。
【0086】
個々の緩衝系成分の濃度は特注され、かくして最終の唾液のpHは、例えば、少なくとも約2分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、又は少なくとも約60分の時間帯で達成及び維持される。これは典型的に個々の緩衝系成分の量を調整することに関与し、且つ時間をかけた最終pHを測定する、感覚的且つ安全な手順を含む。この方法における、適した個々の緩衝系成分の重量率の選定は、わずか数個の試験で容易に決定することができる。例えば、3成分の緩衝系の炭酸塩、対、重炭酸塩の重量比は、約1:10から約10:1、好適には約1:5から約5:1、より好適には約1:3から約3:1、そして更により好適には約1:2から約2:1であることができる。
【0087】
炭酸塩は、一般的に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、及び炭酸マグネシウムから選択される。好適には、炭酸塩は炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムである。最適な炭酸塩は、炭酸ナトリウムである。同様に、重炭酸塩は、一般的に重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム、重炭酸アンモニウム、及び重炭酸マグネシウムから選定される。好適には、重炭酸塩は、重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウムである。最適な重炭酸塩は、重炭酸ナトリウムである。いくつかの態様では、乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウムが好適である。炭酸塩及び重炭酸塩の3成分の緩衝系で使用される量は、金属酸化物を使用する場合、開始pHに関係なく、唾液のpHを約9.5、好適には約9.9以上、及びより好適には約9.9から約11(例えば、約9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0)のpHに上昇させために十分な量であり得る。
【0088】
特定の例では、3成分の緩衝系での重炭酸塩の量は、炭酸塩の量と同等以上である。例えば、重炭酸ナトリウム塩、対、炭酸ナトリウム塩の重量比は約1:1から約10:1、好適には約1:1から約5:1、及びより好適には from 約1:1から約3:1であることができる。特に好適な態様では、重炭酸塩、対、炭酸塩の重量比は、約1.5:1から約2:1である。特定の他の例では、3成分の緩衝系の重炭酸塩の量は炭酸塩の量よりも少ない。
【0089】
非常に驚くべきことに、3成分の緩衝系の第三成分としての酸化マグネシウム等の酸化物成分の付加は、(a)最初のpHに関係なく唾液pHを約9.9以上のpHへ上昇させ;(b)炭酸塩成分の腐食性を減少させ;(c) 第二の結合剤として働き、それによってステアリン酸の必要性を排除し;そして(d)所望のpHを生み出すために必要とされる炭酸塩成分の量を減少させる、という究極の利益がここに見出された。任意の特定の理論に拘泥されることを意図せず、酸化物成分(例えば、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウム)は、細胞保護剤として作用し、緩衝組成物中で、炭酸塩及び重炭酸塩の高いpHに対して細胞を保護すると信じられている。
【0090】
本発明の組成物の3成分の緩衝系中で使用される酸化物成分の量は、残存成分(remaining components)を使用する場合、開始pHに関係なく、唾液pHを約9.5、好適には約9.9以上、そしてより好適には約9.9から約11のpHに上昇させるために十分な量である。いくつかの態様では、アモルファスの酸化マグネシウムが好適である。特定の例では、酸化成分の重量パーセントは、炭酸塩及び重炭酸塩を組合せた重量パーセトと同等以上である。例えば、酸化成分、対、炭酸塩及び重炭酸塩の重量比は、約1:1から約10:1、好適には約1:1から約5:1、そしてより好適には約1:1から約3:1、そして最適には約1.5:1から約2:1であり得る。特定の他の例では、酸化成分の重量パーセントは炭酸塩又は重炭酸塩のいずれかの重量パーセントと同等以上である。更に他の例では、酸化成分の重量パーセントは、上記のような最適な唾液pH、及び良好な口当たり特性を提供するために十分である、組合せた又は個々の炭酸塩及び重炭酸塩の重量パーセント未満である。
【0091】
上記を考慮した、いくつかの最適な態様における本発明の緩衝系は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及びアモルファスの酸化マグネシウムを含む3成分の緩衝系である。
【0092】
或いは、他の態様では、本発明の緩衝系は、炭酸塩、重炭酸塩、及びクエン酸、リン酸又はホウ酸塩のような第三の緩衝剤を含む、3成分の緩衝系である。個々の緩衝系成分の濃度は特注であり、かくして最終の唾液pHは、ある時間帯、例えば、少なくとも約2分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、又は少なくとも約60分で達成され、そして維持される。
【0093】
適切な炭酸塩及び重炭酸塩は上記に発表した。3成分の緩衝系において使用される炭酸塩及び重炭酸塩の量は、開始pHに関係なく、第三の緩衝剤を使用する場合、唾液のpHを約9.5、好適には約9.9以上、及びより好適には約9.9から約11のpHに上昇させるために十分な量である。
【0094】
第三の緩衝剤は一般的にクエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、及びクエン酸アンモニウム);リン酸塩(例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸一マグネシウム、リン酸二マグネシウム、リン酸一アンモニウム、及びリン酸二アンモニウム);ホウ酸塩(例えば、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、及びホウ酸アンモニウム);アルコルビン酸塩(例えば、アルコルビン酸カリウム、又はアルコルビン酸ナトリウム);酢酸塩(例えば、酢酸カリウム、又は酢酸ナトリウム);及びアルカリ性スターチから選定される。しかしながら、当業者は、クエン酸、リン酸、ホウ酸、アスコルビン酸、又は酢酸の任意の塩が本発明の緩衝系における使用に本質的に適していることを理解するだろう。3成分の緩衝系で使用される第三の緩衝剤の量は、開始pHに関係なく、残存成分を使用する場合、唾液のpHを約9.5、好適には約9.9以上、及びより好適には約9.9から約11のpHに上昇させるために十分な量である。
【0095】
特定の例では、3成分の緩衝系における炭酸塩又は重炭酸塩の量は、第三の緩衝剤と同等以上の量である。例えば、炭酸塩又は重炭酸塩、対、第三の緩衝剤の重量比は約1:1から約10:1、好適には約1:1から約5:1、そしてより好適には約1:1から約3:1であり得る。特定の他の例では、3成分の緩衝系での炭酸塩又は重炭酸塩の量は、第三の緩衝剤量未満である。例えば、炭酸塩又は重炭酸塩、対、第三の緩衝剤の重量比は約1:1から約1:10、好適には約1:1から約1:5、及びより好適には約1:1から約1:3であり得る。
【0096】
或いは、更なる他の態様では、本発明の緩衝系は、炭酸塩又は重炭酸塩、並びに金属酸化物、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選定される2つ以上の緩衝剤を含んで成る緩衝系である。個々の緩衝系成分の濃度は特注であり、かくして最終の唾液のpHはある時間帯、例えば、少なくとも約2分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、又は少なくとも約60分で達成及び維持される。
【0097】
適切な炭酸塩及び重炭酸塩は上記の通りである。緩衝系で使用される炭酸塩又は重炭酸塩の量は、開始pHに関係なく、残存成分を使用する場合、唾液のpHを約9.5、好適には約9.9以上、及びより好適には約9.9から約11のpHに上昇させるために十分な量である。
【0098】
2つ以上の緩衝剤は、一般的に金属酸化物、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アルコルビン酸塩、酢酸塩、及びアルカリ性スターチから選定される。適した金属酸化物は、制限されずに酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムを含む。適したクエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アルコルビン酸塩、及び酢酸塩は、制限されずに、当業界において公知の上記のような、任意のクエン酸、リン酸、ホウ酸、アスコルビン酸、又は酢酸の塩を本質的に含む。緩衝系において使用される追加の緩衝剤の量は、開始pHに関係なく、炭酸塩又は重炭酸塩を使用する場合、唾液のpHを約9.5、好適には約9.9以上、及びより好適には約9.9から約11のpHに上昇させるために十分な量である。
【0099】
特定の例では、緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、金属酸化物、及びクエン酸、リン酸、又はホウ酸塩を含んで成る。好適には、金属酸化物はアモルファスの酸化マグネシウムである。特定の例では、緩衝系は、炭酸塩又は重炭酸塩、クエン酸、及びリン塩を含んで成る。特定の例では、緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、クエン酸塩、及びホウ酸塩を含んで成る。特定の他の例では、緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩を含んで成る。
【0100】
特定の例では、緩衝系での炭酸塩又は重炭酸塩の量は、金属酸化物又はクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩量と同等以上である。例えば炭酸塩又は重炭酸塩、対、金属酸化物、又はクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩の重量比は、約1:1から約10:1、好適には約1:1から約5:1、及びより好適には約1:1から約3:1であり得る。他の特定の例では、緩衝系での炭酸塩又は重炭酸塩の量は、金属酸化物、或いはクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩以下の量である。例えば、炭酸塩又は重炭酸塩、対、金属酸化物、又はクエン酸塩、リン酸塩、もしくはホウ酸塩の重量比は、約1:1から約1:10、好適には約1:1から約1:5、及びより好適には、約1:1から約1:3であり得る。
【0101】
或いは、更なる他の態様では、本発明の緩衝系は、炭酸塩又は重炭酸塩、及び金属酸化物を含む2成分の緩衝系である。個々の緩衝系成分の濃度は特注であり、かくして最終の唾液pHは、ある時間帯、例えば、少なくとも約2分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、又は少なくとも約60分で達成され、そして維持される。
【0102】
適切な炭酸塩、重炭酸塩、及び金属酸化物を上記に発表した。2成分の緩衝系で使用される炭酸塩又は重炭酸塩の量は、酸化物成分を使用する場合、開始pHに関係なく、唾液のpHを約9.5、好適には約9.9以上、及びより好適には約9.9から約11のpHに上昇させるために十分な量である。特定の例では、2成分の緩衝系の酸化物成分の量は、炭酸塩又は重炭酸塩のいずれかの量と同等以上である。例えば、酸化物成分、対、炭酸塩又は重炭酸塩の重量比は約1:1から約10:1、好適には約1:1から約5:1、及びより好適には約1:1から約3:1であり得る。特定の他の例では、2成分の緩衝系の酸化物成分の量は、炭酸塩又は重炭酸塩のいずれかの量未満である。
【0103】
或いは、更なる態様では、本発明の緩衝系は、炭酸塩又は重炭酸塩、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩等の第二の緩衝剤を含む2成分の緩衝系である。それぞれの緩衝系成分の濃度は特注であり、かくして最終の唾液のpHは、ある時間帯、例えば少なくとも約2分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、又は少なくとも約60分で達成及び維持される。
【0104】
適した炭酸塩及び重炭酸塩を上記に発表した。2成分の緩衝系で使用される炭酸塩又は重炭酸塩の量は、第二の緩衝剤を用いた場合、最初のpHに関係なく、唾液のpHを約9.5、好適には約9.9以上、そしてより好適には約9.9から約11へのpHへ上昇させるために十分な量である。特定の例では、2成分の緩衝系での第二の緩衝剤の量は、炭酸塩又は重炭酸塩のいずれかの量と同等以上である。例えば、第二の緩衝剤、対、炭酸塩又は重炭酸塩の重量比は、約1:1から約10:1、好適には約1:1から約5:1、及びより好適には約1:1から約3:1であり得る。特定の例では、2成分の緩衝系での第二の緩衝剤の量は、炭酸塩又は重炭酸塩以下の量である。例えば、第二の緩衝剤、対、炭酸塩又は重炭酸塩の重量比は、約1:1から約1:10、好適には、約1:1から約1:5、及びより好適には約1:1から約1:3であり得る。
【0105】
第二の緩衝剤は、一般的に上記のクエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、及びアルカリ性スターチから選定される。2成分の緩衝系で使用される第二の緩衝剤の量は、開始のpHに関係なく、炭酸塩又は重炭酸塩を使用する場合、唾液のpHを約9.5、好適には約9.9以上、及びより好適には約9.9から約11のpHに上昇させるために十分な量である。
【0106】
或いは、他の態様では、本発明の緩衝系は、金属酸化物及びクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む2成分の緩衝系である。それぞれの緩衝系成分の濃度は特注であり、かくして最終の唾液のpHは、ある時間帯、例えば、少なくとも約2分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約2分、又は少なくとも約60分で達成され、そして維持される。
【0107】
金属酸化物は、典型的に酸化マグネシウム又は酸化アルミニウムである。好適には、酸化マグネシウムはアモルファスの酸化マグネシウムである。適したクエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩は、制限されずに、当業界において公知の上記の任意のクエン酸、リン酸、又はホウ酸の塩を本質的に含む。2成分の緩衝系において使用される金属酸化物の量は、開始pHに関係なく、クエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を用いた場合、唾液のpHを約9.5、好適には約9.9以上、及びより好適には約9.9から約11のpHへ上昇させるために十分な量である。同様に、開始pHの関係なく、2成分の緩衝系で使用されるクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩の量は、金属酸化物を使用する場合、唾液のpHを約9.5、好適には約9.9以上、及びより好適には約9.9から約11のpHへ上昇させるために十分である量である。
【0108】
特定の例では、2成分の緩衝系での金属酸化物の量は、クエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩と同等以上の量である。例えば、金属酸化物、対、クエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩の重量比は、約1:1から約10:1、好適には約1:1から約5:1、及びより好適には約1:1から約3:1であり得る。他の特定の例では、2成分の緩衝系中の金属酸化物の量は、クエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩の量と同等以下である。例えば、金属酸化物、対、クエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩の重量比は、約1:1から約1:10、好適には約1:1から約1:5、及びより好適には約1:1から約1:3であり得る。
【0109】
治療剤の非-イオン化形態への実質的な変換を支持するために、唾液pHを変化させる緩衝系の能力に焦点を当てた上述の検討では、当該緩衝系は、口腔粘膜を介する吸収の範囲に補助的な利益効果も有し得る。例えば緩衝系は、治療剤の分子の立体配置にある程度影響を及ぼす最終の唾液のpHを次々に作り出すことができ、ここでの口腔粘膜を介する吸収は増加される。緩衝系のこれらの補助的な有益な影響は、本発明の更なる利点であり、そして本明細書で開示される緩衝系及び組成物の一般的な範囲内にあると理解される。
【0110】
C.投与形態
本発明の組成物は固体、半-固体、凍結乾燥パウダー、又は液体投与形態(例えば、錠剤(例えは、チュアブル、遅溶錠、速溶錠)、丸剤、カプセル、ロゼンジ、キャンディー、ガム、パウダー、液剤、懸濁物、乳濁物、エアロゾル等)の形態をとり得る。好適な投与形態は、チューインガム、速溶錠、キャンディー、又はロゼンジである。
【0111】
本明細書で開示した治療剤の吸収の速度及び範囲に影響を及ぼし得る特有の要因を保持するそれぞれの対象又は患者への投与形態(例えばチューインガム、速溶錠、又はロゼンジ)は、経口投与のための伝統的な投与形態を越える利益を提供する。例えば、これらの個々の投与形態は、肝初回通過代謝、消化管中での分解、及び吸収の間での薬物ロスを回避する。結果として、投与ごとに求められる治療剤の量は、例えば、経口投与のための丸剤又は錠剤に製剤化されるならば、要求される量未満となるだろう。同様に、個々のこれらの投与形態による治療剤の生物学的利用能は増加し、それによって治療活性の発現時間が減少する。
【0112】
本明細書において使用される用語、"投与形態"とは、ヒト対象及び他の哺乳動物のための統一的な投与として適した物理的に分離した単位を言い、個々の単位は計算されて予め決定された治療剤の量を含み、1つ以上の担体等の適した医薬賦形剤との関連の中で、所望される発現、耐性、及び治療効果を生み出す。かかる投与形態を調製するための方法は公知であり、又は当業者にとって明白であろう。例えば、いくつかの態様では、本発明のチューインガムでの投与形態は、米国特許No.4,405,647中で発表された手順に従い調製することができる。他の態様では、本発明の錠剤、ロゼンジ、又はキャンディー投与形態は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed., Lippincott, Williams & Wilkins (2003);Pharmaceutical Dosage Forms, Volume 1:Tablets, 2nd Ed. , Marcel Dekker, Inc., New York, N. Y. (1989);及び同等の刊行物に発表された手順によって調製することができる。いずれにしても投与される投与形態は、本発明の教示に従い投与する場合、処理される条件を緩和するための治療有効量における治療剤の量を含むであろう。
【0113】
本明細書において使用される用語、"担体"とは、典型的に治療剤等の薬物のための希釈剤又はビヒクルとして使用される挿入物質を言う。更にこの用語は、典型的に挿入物質(組成物に粘着性(cohesive)を与える)を包含する。本発明の組成物中で使用するための適した担体は、制限されずに、固体、半-固体、又は液体(例えば結合剤又はガムベース)を含む。結合剤の限定的でない例は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルトデキストリン、ラクトース、デキストロース、スクロース、グルコース、イノシトール、粉体化糖、糖蜜、スターチ、セルロール、微晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、アカシアガム、グアーガム、トラガカントガム、アルギン酸塩、アイリッシュモスの抽出物、パンワール(panwar)ガム、ghattiガム、isapol husksの粘液、Veegum(商標)、larch arabogalactan、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸(例えば、カルボポール)、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、及びそれらの組合せを含む。それらの結合剤は、例えば、凍結乾燥(例えばFundamentals of Freeze-Drying, Pharm. Biotechnol., 14: 281-360(2002);Lyophililization of Unit Dose Pharmaceutical Dosage Forms, Drug. Dev.Ind. Pharm., 29: 595-602 (2003)を参照);固体-溶液調製(例えば米国特許No.6,264,987を参照);及び適した潤滑試薬による潤滑剤ダスティング及び湿式-造粒調製(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 上記を参照)等の当業界において公知の方法によって、予めそれらの流動能及び風味を改善するように処理することができる。例えば、SPI ファーマグループ(New Castle, DE)により販売させているMammogem(商標)及びSorbogem(商標)はそれぞれマンニトール及びソルビトールの凍結乾燥処理した形態である。典型的に、本発明の組成物は、約25重量%から約90重量%の結合剤を含み、そして好適には約50重量%から約80重量%の結合剤を含む。しかしながら、当業者は本発明の組成物は、任意の結合剤なしで作製できることを理解するであろう(例えば高度に砕け易い投与形態を作製する)。
【0114】
ガムベースの限定的でない例は、当業界において公知の多くの水不溶性及び唾液不溶性ガムベース材料の中から選定された材料を含む。例えば、いくつかの例では、ガムベースは少なくとも一つの疎水性ポリマー及び少なくとも1つの親水性ポリマーを含む。ガムベースのための適した親水性及び疎水性ポリマーの限定的でない例は、天然及び合成の両ポリマー(例えば、エラストマー、ゴム、及びそれらの組合せ)を含む。適した天然ポリマーの例は、制限されずに植物由来の物質(例えば、チクル、ジェルトン、ガッタパーチャ、 クラウンガム、及びそれらの組合せ)を含む。適した合成ポリマーの例は、エラストマー、例えばブタジエン-スチレンコポリマー、イソブチレン及びイソプレンコポリマー(例えば"ブチルラバー")、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリビニルエステル(例えば、ポリビニルアセテート及びポリビニルアセテートフタレート)、及びそれらの組合せを含む。他の例では、ガムベースは、ブチルラバー(即ち、イソブチレン及びイソプレンコポリマー)、ポリイソブチレン、及び任意に、ポリビニルアセテ−ト(例えば、およそ12,000の分子量を有する)の混合物を含む。典型的にガムベースは約25重量%から約75重量%のそれらのポリマー、及び好適には約30重量%から約60重量%のそれらのポリマーを含む。
【0115】
本発明の組成物は、更に潤滑剤;湿式剤;乳化剤;可溶化剤; 懸濁剤;保存剤(例えばメチル-、エチル-、及びプロピル-ヒドロキシ-ベンゾエート、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びブチル化ヒドロキシアニソール);甘味剤;香味剤;着色剤;及びクロスポビドン、及びクロスカルメロースナトリウム及び他のクロスリンクしたセルロースポリマー等の崩壊剤(即ち、溶解剤)を含むことができる。
【0116】
潤滑剤は、ダイ及びパンチ表面への投与形態の付着を防ぎ、そして粒子内摩擦を減少させることができる。更に潤滑剤は、ダイのくぼみから投与形態の排出を促進させることができ、且つ処理する間の顆粒流動速度を改善させる。適切な潤滑剤の例は、制限されずに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シメチコン、二酸化ケイ素、タルク、水素化ベジタブルオイル、ポリエチレングリコール、ミネラルオイル、及びそれらの組合せを含む。本発明の組成物は、約0重量%から約10重量%、そして好適には約1重量%から約5重量%の潤滑剤を含むことができる。
【0117】
甘味剤は、有し得る任意の不快な風味をマスクすることにより組成物の口当りを改善するために使用することができる。適切な甘味剤の例は、制限されずに、サッカライドファミリー(例えば、モノ-、ジ-、トリ-、ポリ-、及び、及びオリゴサッカライド);糖類(例えば、スクロース、グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、マルトデキストリン、及びポリデキストロール);サッカリン及びそれらの塩類(例えば、ナトリウム及びカルシウム塩):シクラミン酸及びそれらの塩類;ジペプチド甘味剤;塩素化糖誘導体(例えば、スクラロース及びジヒドロカルコン);糖アルコール(例えば、ソルビトール、ソルビトールシロップ、マンニトール、キシリトール、ヘキサ-レゾルシノール等、及びそれらの組合せから選定される化合物を含む。水素化スターチか加水分解物、及び3,6-ジヒドロ-6-メチル-1-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシドのカリウム、カルシウム、及びナトリウム塩も使用してよい。上記のソルビトール、マンニトール、及びキシリトール、の単独又は組合せは、好適な甘味剤である。本発明の組成物は、約0重量%から約80重量%の甘味剤、好適には約5重量%から約75重量%、及びより好適には約25重量%から約50重量%の甘味剤を含むことができる。
【0118】
香味剤は組成物の口当りを改善するためにも用いることができる。適した香味剤の例は、制限されずに、天然及び/又は合成(即ち、人工)の化合物(例えば、ペパーミント、スペアミント、ウィンターグリーン、シナモン、メントール、チェリー、ストロベリー、スイカ、グレープ、バナナ、モモ、パイナップル、アプリコット、ナシ、ラズベリー、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、プラム、リンゴ、フルーツパンチ、パッションフルーツ、チョコレート(例えば、ホワイト、ミルク、ダーク)、バニラ、キャラメル、コーヒー、ヘーゼルナッツ、それらの組合せ等を含む。着色剤は、組成物のカラーコード、例えば治療剤のタイプ及び投与を示すためのカラーコードに使用できる。適した着色剤は、制限されずに、天然及び/又は人工化合物、例えば、FD & C着色剤、天然ジュース濃縮物、顔料(例えば、酸化チタン、二酸化ケイ素、及び酸化亜鉛、それらの組合せ等)を含む。本発明の組成物は、約0重量%から約10重量%の香味剤及び/又は着色剤、好適には、約0.1重量%から約5重量%、及びより好適には約2重量%から約3重量%を含むことができる。
【0119】
1.チューインガム
投与形態がチューインガムである場合、本発明の組成物は、5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩、担体(例えば、ガムベース、2成分又は3成分の緩衝系)、及び任意に保護剤を含む。チューインガム組成物は、更に潤滑剤、湿式剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、甘味剤、香味剤、及び着色剤を含んで良い。典型的に、チューインガム組成物は、約0.001重量%から約10.0重量%の5-HTアゴニスト、より典型的には約0.01重量%から約5.0重量%、及び更により典型的には、約0.1重量%から約3.0重量%の5-HTアゴニストを含む(選定される形態がどのようなものであろうと、その遊離塩基形態ごとに測定される)。当業者は、上記パーセンテージが使用される5-HTアゴニストの具体的な起源、最終製剤中で所望される5-HTアゴニストの量、及び所望される5-HTアゴニストの具体的な放出速度に依存して変化するであろうと理解する。チューインガム組成物の2成分又は3成分の緩衝系は、少なくとも約9.5、好適には少なくとも約9.9、及びより好適には約9.9から約11の範囲を超える最終唾液pHを提供する。チューインガム組成物は、典型的に約20重量%から約95重量%、より典型的には約30重量%から約85重量%、及び最も典型的には約50重量%から約70重量%のガムベースを含む。
【0120】
チューインガム組成物は、更に保護剤を含み得る。保護剤は少なくとも治療剤の部分、典型的に2剤の混合剤をコートする。保護剤は、約0.1から約100の重量率において、好適には約1から約50の重量率において、及びより好適には約1から約10の重量率において治療剤と混合してよい。任意の特定の理論に拘泥されることなく、保護剤は、治療剤をガムベースからより容易に放出させることができるため、治療剤及びガムベース間の粘着を減少させる。この方法で、当該治療剤は、口腔粘膜を介して約5から約20分の咀嚼、好適には約10分の咀嚼で運搬され得る。多種多様の保護剤を使用することができる。適切な保護剤の例は、制限されずに、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、グリセリルベヘネート、グリセリルパルミトステアレート、水素化ヒマシ油、水素化ベジタブルオイルタイプI、軽油、ラウリル硫酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、cab-o-sil、タルク、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの組合せを含む。
【0121】
ガムベースは可塑剤(例えば、柔軟剤又は乳化剤)を更に含んでよい。かかる可塑剤は、例えば、所望される一貫性(consistency)に対するガムベースの粘性を減少させるのを助長し、そしてその全ての質感(texture)及び咬合を改善することができる。可塑剤は咀嚼での治療剤の放出を促進させることもできる。限定的でない例では、可塑剤はレシチン、モノ-及びジグリセリド、ラノリン、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、グリセロールトリアセテート、グリセロールモノステアレート、グリセリン、及びそれらの組合せを含む。ガムベースは典型的に約0重量%から約20重量%、及びより好適には約5重量%から約15重量%の可塑剤を含む。
【0122】
ガムベースは、更にワックス、例えば、蜜ろう及び微晶性ワックス、脂肪、又はオイル(例えば大豆油及び綿実油、及びそれらの組合せ)を含み得る。典型的に、ガムベースは約0重量%から約25重量%、及びより典型的には約15重量%から約20重量%のそれらのワックス及びオイルを含む。
【0123】
更に、ガムベースは1つ以上のエラストマー溶媒(例えば、ロジン及び樹脂)を含んでよい。かかる溶媒の限定的でない例は、メチル、グリセロール、及び樹脂のペンタエリスリトールエステル、修飾した樹脂、例えば、水素化、二量化、又は多量化ロジン、又はそれらの組合せ(例えば、ペンタエリスリトールエステルの部分的水素化ウッドロジン、ペンタエリスリトールエステルのウッドロジン、グリセロールエステルのウッドロジン、グリセロールエステルの部分的二量化ロジン、グリセロールエステルの多量化ロジン、グリセロールエステルのトール油ロジン、グリセロールエステルのウッドロジン及び部分的水素ウッドロジン及び部分的水素化メチルエステルのロジン(例えば、ポリマーのα-ピネン、又はβ-ピネン);テルペン樹脂(ポリテルペン、及びそれらの組合せ))を含む。典型的にガムベースは、約0重量%から約75重量%のエラストマー溶媒、及びより典型的には約10重量%未満のエラストマー溶媒を含む。
【0124】
ガムベースは最終チューインガム組成物の咀嚼能を増強させる充填材料を更に含むことができる。実質的に最終的なチューインガム製剤の他の成分と反応しない充填物が好適である。適した充填物の例は、制限されずに、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム(即ち、タルク)、第二リン酸カルシウム、金属ミネラル塩(例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、及びケイ酸アルミニウム)、及びそれらの組合せを含む。典型的にガムベースは、約0重量%から約30重量%の充填剤、及びより典型的には約10重量%から約20重量%の充填剤を含む。
【0125】
当業者は、ガムベースをその個々の成分から調製する必要がないことを理解するであろう。例えば、ガムベースはそこに含まれる所望される成分を購入することができ、そして付加剤を含ませるために修飾することができる。いくつかの製造業者は、所望されるチューインガム組成物での使用のために適するガムベースを製造する。かかるガムベースの例は、制限されずに、Pharmgum(商標)M,S,又はC(SPI Pharma Group;New Castle,DE)を含む。一般的に、Pharmagum(商標)はガムベース、甘味剤、可塑剤、及び糖の混合物を含む。
【0126】
特定の例では、チューインガム組成物は、治療剤中心充填物(centerfill)を含む。中心充填物は、速放の治療剤が好適である場合に特に適している。更に中心充填物中の治療剤のカプセル化は、治療剤が有し得る任意の所望されない風味をマスクすることを補助し得る。これらの例では、ガムベースは、少なくとも部分的に中心充填物を取り囲む。中心充填物は少なくとも1つの治療剤を含み、そして液体又は半-液体材料であってよい。中心充填物材料は合成ポリマー、半-合成ポリマー、低脂肪、又は脂肪不存在であることができ、そして1つ以上の甘味剤、香味剤、着色剤、及び/又香料を含むことができる。好適には、中心充填物は本明細書で発表した2成分又は3成分の緩衝系を含む。中心充填物チューインガムを調製するための方法は、例えば、米国特許No.3,806,290で発表され、本明細書中に参照によりその全体を組み入れた。
【0127】
チューインガム組成物は、任意の所望される形状、大きさ、及び質感を有することができる。例えば、当該組成物は、スティック、タブ、ガムボール等の形状を有すことができる。同様に、チューインガムは任意の所望される色であることができる。例えば、チューインガムは赤、青、緑、オレンジ、黄、紫、藍、及びそれらの混合の任意の陰影であってよく、そして治療剤のタイプ及び投与量を示すためのカラーコードと成り得る。当該チューインガムを包装するために、当業界において周知の方法によって個々に包まれ、又は一片ずつ一緒にグループ化され得る。
【0128】
2.錠剤
投与形態が錠剤、例えば溶解錠(即ち、崩壊錠)又はチュアブル錠である場合、本発明の組成物は、5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩、担体(例えば結合剤、及び2成分又は3成分の緩衝系)を含む。錠剤組成物は潤滑剤、湿式剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、甘味剤、香味剤、着色剤、及び崩壊剤を更に含み得る。典型的に、本発明の錠剤組成物は、約0.001重量%から約10.0重量%の5-HTアゴニスト(選定される形態がどのようなものであっても、遊離塩基形態ごとに測定される)、及びより典型的には約1.0重量%から約5.0重量%の5-HTアゴニストを含む。ある態様では、約3.5重量%の5-HTアゴニストが使用される。当業者は前記パーセンテージが、使用される5-HTアゴニストの具体的な起源、最終製剤で所望される5-HTアゴニストの量、及び所望される5-HTアゴニストの具体的な放出速度に依存して変化するだろうと理解する。錠剤組成物の緩衝系は、少なくとも約9.5、好適には約9.9、及びより好適には約9.9から約11の範囲を越える最終唾液pHを提供する。
【0129】
特定の態様では、錠剤は、咀嚼を必要としない、患者の唾液によって溶解する溶解錠、例えば遅溶又は速溶錠である。例えば、患者の舌の上に置かれる溶解錠は、治療剤のバッカル運搬のために使用することができる。或いは、患者の舌下に置かれた溶解錠は、治療剤の舌下線への運搬のために用いることができる。このタイプの投与形態は、特に小児及び高齢患者のために所望され得る。なぜなら小さな子供及び高齢者は、ある種のものを咀嚼するのに困難を有すことがしばしばあるからである。典型的に溶解錠は、投与後、約1から約15分以内、好適には約2から約10分以内、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、又は10分以内で溶解するように製剤化される。当業者は、遅溶錠よりも早く溶解する速溶錠は、典型的に患者の唾液によって迅速よりもむしろ徐々に溶解することを理解するだろう。好適な態様では、遅く溶解する又は迅速に溶解する錠剤は、舌下粘膜を介して治療剤を運搬する。
【0130】
特定の他の態様では、錠剤は、患者によって咀嚼されるチュアブル錠であり、そして迅速又は徐々に溶解するように製剤化される。例えば、患者の舌の上に置かれるチュアブル錠は、治療剤のバッカル運搬のために使用することができる。咀嚼している間、チュアブル錠は、口の中のあちこちへ動くことができ、そして時折、歯茎と頬又は舌下の間に置かれる。結果として、チュアブル錠中に含まれる少なくとも治療剤の一部分は、舌下(即ち、舌下粘膜を介して)でも運搬され得る。典型的に、チュアブル錠は、投与後、約1から約15分以内、好適には約2から約10分以内、例えば約2、3、4、5、6、7、8、9、又は10分以内で溶解するように製剤化される。
【0131】
上記の通り、本発明の溶解及びチュアブル錠は、典型的に投与後、約1から15分以内に溶解するように製剤化される。しかしながら、これらの時間枠は、口腔粘膜(例えば、舌下及び/又はバッカル粘膜)への治療剤の最大限の暴露に影響されるが、それらは常に使用者のコンプライアンス(例えば、しばしば使用者が飲み下すことによって、最大の経粘膜吸収を妨げる)に影響されるわけではない。結果として、特定の例では、患者のコンプライアンスと口腔粘膜への治療剤の最大限の暴露時間の間のバランスを決定することが所望されるだろう。これは例えば、緩衝系又は治療剤の単位投与ごとの濃度又は量を減じずに、錠剤サイズ(例えば、約700-800mgから約200-300 mg)を減じることによって、達成され得る。更に、錠剤製剤への微妙な変化は、例えば、一つの香味剤を他に置き換える(例えばスペアミントをチョコレートに)又は一つの結合剤又は甘味剤を他に置き換える(例えば、マンニトール又はソルビトールをラクトースに)ことは、唾液分泌を減少させるために使用され得る。
【0132】
本発明の錠剤中に存在する担体は、典型的に錠剤を半固体状態に保つために有用である結合剤であり、そして固体又は液体であってよく、そして例えば高い-融点の脂肪又はワックス材料であってよい。結合剤として適した材料は、上記で詳細に検討され、そして本発明の錠剤組成物中で単独又は組み合わせて使用してよい。更に、結合剤、例えばマンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、及びイノシトールは、口の中での崩壊を許容し又は増強する特質を与えることができる。
【0133】
錠剤組成物は保護剤を更に含んでよい。保護剤は少なくとも治療剤の一部、典型的に2剤の混合をコートする。保護剤は約0.1から約100の重量率、好適には約1から約50の重量率、及びより好適には約1から約10の重量率にある治療剤と混合され得る。任意の特定の理論に拘泥されずに、保護剤は、治療剤と結合剤との間の粘着を減少させるため、治療剤は結合剤からより容易に放出され得る。本方法において、治療剤は約5から約20分、好適には約10分以内に口腔粘膜を介して運搬され得る。保護剤として適切な材料は、上記で詳細に検討され、そして本発明の錠剤組成物中で単独又は組合せて使用され得る。
【0134】
錠剤組成物は、1つ以上のエラストマー溶媒、例えばロジン及び樹脂も含む。かかる溶媒の限定的でない例は、上記に詳細に検討され、そして本発明の錠剤組成物中で単独又は組み合わせて使用され得る。更に、錠剤組成物は、ワックス、例えば、蜜ろう、及び微晶性ワックス、脂肪、又は大豆油及び綿実油等のオイル、及びそれらの組合せを更に含み得る。更に錠剤組成物は、可塑剤(例えば柔軟剤又は乳化剤)を追加に含み得る。かかる可塑剤は、例えば、溶解錠の唾液溶液の粘性を、所望される一貫性へ減少させることを助長し、そしてその全ての質感及び咬合を改善し、そして治療剤の放出の促進を助長し得る。かかる可塑剤の限定的でない例は、上記に詳細に検討され、そして本発明の錠剤中で単独又は組合せて使用され得る。
【0135】
特定の例では、錠剤組成物は治療剤中心充填物を含む。中心充填物は、速放の治療剤が好適である場合、特に適切であり得る。更に、治療剤の中心充填物への封入は、当該治療剤が有し得る任意の所望されない風味をマスクすることを助長し得る。これらの例での結合剤は、少なくとも1部分の中心充填物を取り囲む。中心充填物は、少なくとも1つの治療剤を含み、そして液体又は半-液体材料であってよい。中心充填物材料は低脂肪、又は脂肪不存在であることができ、そして1つ以上の甘味剤、香味剤、着色剤、及び/又は香料を含む。好適には、中心充填物は本明細書で発表したような2成分又は3成分の緩衝系を含む。
【0136】
他の例では、本発明の錠剤組成物は多層化される。この方法では、崩壊又はチュアブル錠は2つ以上の治療剤、例えば2つ以上の5-HTアゴニスト、又は1つ以上の非-5-HTアゴニスト治療剤との組合せにある1つ以上の5-HTアゴニストを提供するためにデザインすることができる。例えば2層化錠剤を有す場合、第一層は5-HTアゴニスト、そして第二層は、同一又は異なる5-HTアゴニスト又は非5-HTアゴニスト治療剤を含む。典型的に第一層は錠剤の溶解又はチュアブル部分を含み、そして第二(即ち、次の)層は、第一層によりコートされる。このタイプの製剤は、所望される5-HTアゴニストの速放が、第二の治療剤の消化管吸収の後に続く場合に特に適するであろう。第二の治療剤の消化管吸収は、例えば、合併症を緩和するため、或いは錠剤の溶解又はチュアブル部分における5-HTアゴニストの治療利益を支持するために所望され得る。或いは、第二層は第一層の側面の層として存在する。第二層は典型的に少なくとも1つの治療剤を含み、そして上記の通り、1つ以上の甘味剤、香味剤、着色剤、及び香料も含むことができる。いくつかの例では、第二層は更に本明細書において発表した通り、2成分又は3成分の緩衝系を含む。
【0137】
更に他の例では、5-HTアゴニストの組合せは、非-5-HTアゴニスト治療剤の存在の有無を問わず、多層化錠の形態を採用する必要がないが、代わりに単一の均質錠剤層を含む。このタイプの製剤は、少なくとも1つの治療剤の消化管吸収が所望される場合にも使用され得る。この場合、2つ以上の治療剤のイオン化の相対的範囲が、それらがどのように吸収されるかを決定する。例えば、イオン化されていないそれらの治療剤は、口腔粘膜を通して吸収されるが、イオン化された治療剤は消化管吸収のために嚥下される。
【0138】
錠剤組成物は、任意の所望される形状、大きさ、及び質感を有すことができる。例えば、錠剤は棒、タブ、ペレット、球等の形状を有すことができる。同様に錠剤は、任意の所望される色にすることができる。例えば、錠剤は赤、青、緑、オレンジ、黄、紫、藍、及びそれらの混合の任意の陰影であってよく、そして治療薬のタイプ及び投与量を示すためのカラーコードと成り得る。当該錠剤を包装するために、当業界において周知の方法によって個々に包まれ、又は一片ずつ一緒にグループ化され得る。
【0139】
3.ロゼンジ
投与形態がロゼンジ又はキャンディーである場合、本発明の組成物は、5-HTアゴニスト又はそれらの医薬的に許容され得る塩、担体(例えば、結合剤、及び2成分又は3成分の緩衝系)を含む。ロゼンジ又はキャンディー組成物は、更に潤滑剤、湿式剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、甘味剤、香味剤、着色剤、及び崩壊剤を含み得る。ロゼンジ及びキャンディーの一般的な検討が提供されている(例えば、Pharmaceutical Dosage Forms, Volume 1:Tablets, 2nd Ed., Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., ページ75-418(1989))。
【0140】
典型的に、本発明のロゼンジ又はキャンディー組成物は、約0.001重量%から約10.0重量%の5-HTアゴニスト(選定される形態がどのようなものであろうと、その遊離塩基形態ごとに測定される)、好適には約1.0重量%から約5.0重量%、そしてより好適には約2.5重量%から約4.5重量%の5-HTアゴニストを含む。当業者は、上記パーセンテージが使用される5-HTアゴニストの具体的な起源、最終製剤で所望される5-HTアゴニストの量、及び所望される5-HTアゴニストの具体的な放出速度に依存して変化するだろうということを理解する。ロゼンジ又はキャンディー組成物のための緩衝系は、典型的に炭酸塩及び/又は重炭酸塩を有すアモルファスの酸化マグネシウムを含む2成分又は3成分の緩衝系である。例えば、3成分の緩衝系は、典型的に約4.0重量%から約7.0重量%の炭酸ナトリウム;約8.0重量%から約12.0重量%の乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウム;及び約20重量%から約30重量%のアモルファスの酸化マグネシウムを含む。当該緩衝系は、少なくとも約9.5、好適には少なくとも約9.9、及びより好適には約9.9から約11の範囲内を越える最終唾液pHを提供する。好適な態様では、ロゼンジ又はキャンディー組成物は、約3.5重量%の5-HTアゴニスト、約5.5重量%の炭酸ナトリウム、約9.0重量%の乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウム、及び約25重量%のアモルファスの酸化マグネシウムを含む。スマトリプタンロゼンジ組成物の例は、以下の実施例5に提供する。
【0141】
特定の態様では、ロゼンジ又はキャンディーは、咀嚼を必要としないで患者の唾液により溶解する。例えば、患者の舌の上に置かれたロゼンジは、治療剤のバッカル運搬のために使用され得る。或いは、患者の舌下に置かれたロゼンジは、治療剤の舌下線への運搬のために使用され得る。このタイプの投与形態は、特に小児及び高齢患者のために所望され得る。なぜなら小さな子供及び高齢者は、ある種のものを咀嚼するのに困難を有すことがしばしばあるからである。典型的に、ロゼンジは投与後、約1から約15分以内、好適には約2から約10分以内、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、又は10分以内に溶解するように製剤化される。好適な態様では、ロゼンジ又はキャンディーは、舌下粘膜を介して治療剤を運搬する。
【0142】
上記の通り、本発明のロゼンジは、典型的に投与後、約1から15分以内に溶解するように製剤化される。しかしながら、これらの時間枠は、口腔粘膜(例えば、舌下及び/又はバッカル粘膜)への治療剤の最大限の暴露に影響されるが、それらは常に使用者のコンプライアンス(例えば、しばしば使用者が飲み下すことによって、最大の経粘膜吸収を妨げる)に影響されるわけではない。結果として、特定の例では、患者のコンプライアンスと口腔粘膜への治療剤の最大限の暴露時間の間のバランスを決定することが所望されるだろう。これは例えば、緩衝系又は治療剤の単位投与ごとの濃度又は量を減じずに、ロゼンジサイズ(例えば、約700-800mgから約200-300 mg)を減じることによって、達成され得る。更に、ロゼンジ製剤への微妙な変化は、例えば、一つの香味剤を他に置き換える(例えばスペアミントをチョコレートに)又は一つの結合剤又は甘味剤を他に置き換える(例えば、マンニトール又はソルビトールをラクトースに)ことは、唾液分泌を減少させるために使用され得る。
【0143】
本発明のロゼンジ中の担体の存在は、典型的に半固体状態を維持しているロゼンジ中で有用な結合剤であり、そして固体又は液体であってよく、そして例えば、高融点の脂肪、又はワックス材料であってよい。結合剤として適した材料は、上記に詳細に検討され、そして本発明のロゼンジ組成物中で単独又は組み合わせて使用してよい。更に、結合剤、例えばマンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、及びイノシトールは、口の中での崩壊を許容又は増強する特質を与えることができる。
【0144】
ロゼンジ組成物は、更に保護剤を含み得る。保護剤は少なくとも治療剤の部分、典型的に2剤の混合剤をコートする。保護剤は約0.1から約100の重量比において、好適には約1から約50の重量比において、及びより好適には約1から約10重量比において治療剤と混合され得る。任意の特定の理論に拘泥されずに、保護剤は治療剤及び結合剤の間の粘着を減少させるために、当該治療剤を結合剤からより容易に放出させることができる。この方法では、当該治療剤は、約5から約20分以内、好適には約10分以内で口腔粘膜を介して運搬することができる。保護剤として適切な材料は、上記に詳細に検討され、そして本発明のロゼンジ組成物中で単独又は組み合わせて使用してよい。
【0145】
ロゼンジ組成物は、1つ以上のエラストマー溶媒、例えば、ロジン及び樹脂を含み得る。かかる溶媒の限定的でない例は、上記に詳細に検討され、そして本発明の錠剤組成物中で単独又は組合せで使用してよい。更に、ロゼンジ組成物は、ワックス、例えば蜜ろう及び微晶性ワックス、脂肪又はオイル、例えば大豆油及び綿実油、及びそれらの組合せを含み得る。更に、ロゼンジ組成物は、可塑剤、例えば柔軟剤又は乳化剤を含んでよい。かかる可塑剤は、例えば、所望される一貫性(consistency)に対する溶解したロゼンジの唾液溶液の粘性を減少させるのを助長し、そしてその全ての質感(texture)及び咬合を改善することができ、そして治療剤の放出を促進させることを助長する。限定的でない例では、かかる可塑剤は上記で詳細に検討され、そして本発明のロゼンジ組成物中で単独又は組合せて使用され得る。
【0146】
特定の例では、ロゼンジ組成物は治療剤の中心充填剤を含む。中心充填物は、速放の治療剤が好適である場合に特に適している。更に中心充填物における治療剤の封入は、治療剤が有し得る任意の所望されない風味をマスクすることを補助し得る。これらの例では、結合剤は、少なくとも部分的に、中心充填物を取り囲む。中心充填物は少なくとも1つの治療剤を含み、そして液体又は半-液体材料であってよい。中心充填物材料は合成ポリマー、半-合成ポリマー、低脂肪、又は脂肪不存在であることができ、そして1つ以上の甘味剤、香味剤、着色剤、及び/又香料を含むことができる。好適には、中心充填物は本明細書で発表した2成分又は3成分の緩衝系を含む。
【0147】
特定の例では、本発明のロゼンジ組成物は多層化される。この方法では、ロゼンジは2つ以上の治療剤、例えば2つ以上の5-HTアゴニスト、又は1つ以上の非-5-HTアゴニスト治療剤を有す組成物中に1つ以上の5-HTアゴニストを提供するためにデザインすることができる。例えば、2層化ロゼンジでは、第一層は5-HTアゴニストを含み、そして第二層は、同一又は異なる5-HTアゴニスト又は非5-HTアゴニスト治療剤を含む。典型的に、第一層はロゼンジの溶解部分を含み、そして第二(即ち、次の)層は、第一の層によりコートされる。このタイプの製剤は、5-HTアゴニストの速放が、所望される第二の治療剤の消化管吸収の後に起こる場合に特に適し得る。第二の治療剤の消化管吸収は、例えば、合併症を緩和するため、或いはロゼンジの一部の溶解における5-HTアゴニストの治療利益を維持するために所望され得る。或いは、第二層は第一層の側面の層として存在する。第二層は典型的に少なくとも1つの治療剤を含み、そして上記の通り、1つ以上の甘味剤、香味剤、着色剤、及び香料も含むことができる。いくつかの例では、第二層は更に本明細書において発表した通り、2成分又は3成分の緩衝系を含む。
【0148】
更に他の例では、5-HTアゴニストの組合せ、非-5-HTアゴニスト治療剤の存在の有無を問わず、多層化ロゼンジの形態を採用する必要がないが、代わりに単一の均質錠剤層を含む。このタイプの製剤は、少なくとも1つの治療剤の消化管吸収を所望する場合にも使用され得る。この場合、2つ以上の治療剤のイオン化の相対的範囲が、それらがどのように吸収されるかを決定する。例えば、イオン化されていないそれらの治療剤は、口腔粘膜を通して吸収されが、イオン化剤は消化管吸収のために嚥下される。
【0149】
ロゼンジ組成物は、任意の所望される形状、大きさ、及び質感を有すことができる。例えば、ロゼンジは棒、タブ、ペレット、球等の形状を有すことができる。同様にロゼンジは、任意の所望される色にすることができる。例えば、ロゼンジは赤、青、緑、オレンジ、黄、紫、藍、及びそれらの混合の任意の陰影であってよく、そして治療薬のタイプ及び投与量を示すためのカラーコードと成り得る。当該ロゼンジを包装するために、当業界において周知の方法によって個々に包まれ、又は一片ずつ一緒にグループ化され得る。
【0150】
上記の好適な投与形態に加えて、本発明の組成物は、口腔粘膜を介する5-HTアゴニストの運搬のための溶液製剤の形態を採ることもできる。例えば、溶液製剤は、2つのチャンバーシリンジ運搬系を用いることによって舌下投与することができ、ここで上位のチャンバーは非緩衝化5-HTアゴニスト溶液を含み、下位のチャンバーは乾燥緩衝系成分を含み、そして非-透過膜は、上位及び下位のチャンバーを分離する。シリンジを押し下げることは、非-透過膜を破裂させて、非緩衝化5-HTアゴニスト溶液と乾燥緩衝系成分の混合を可能にする。その後、得られた緩衝化5-HTアゴニスト溶液をシリンジの先端から放出させる。そのようにして、単に患者の舌下のどこかにシリンジの先端を置き、そしてシリンジを押し下げることによって、本発明の溶液製剤は患者の舌下粘膜を介して5-HTアゴニストを運搬するために使用することができる。
【0151】
従って、本発明は口腔粘膜を介する5-HTアゴニストの運搬のための組成物を更に提供し、前記組成物は:(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩、好適にはスマトリプタン;(b)担体;及び(c)炭酸塩及び重炭酸塩を含む2成分の緩衝系を含んで成り、ここでの2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関係なく、唾液のpHを約9.9を越えるpHに上昇させる。好適には、当該組成物は、口腔粘膜へ投与される直前に調製される溶液である。特定の好適な態様では、2成分の緩衝系は、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含み、ここでの重炭酸ナトリウム、対、炭酸ナトリウムの重量比は、約2:1から約5:1である。他の態様では、炭酸ナトリウムは、重炭酸ナトリウムと同量、又は過剰量で使用される。より詳細には、当該組成物は15分未満(例えば、約1-15分)、好適には約5分から約10分においてスマトリプタンのピークプラズマレベルを提供する。
【0152】
D.投与方法
本発明の組成物は、治療への応用、例えば、偏頭痛の治療において有用である。重要なことは、本発明の組成物は、唾液の開始pHに関係なく、唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させることにより、口腔粘膜を介する5-HTアゴニストの迅速な運搬を提供する。特に、口腔粘膜を介する治療剤の運搬は、肝初回通過代謝、消化管中での分解、及び吸収の間の薬物のロスを回避する。結果として、当該治療剤は、伝統的な経口(例えば錠剤)投与よりも実質的により短期間で、且つ実質的により高濃度で全身循環に達する。
【0153】
本発明の組成物は、ヒト及び獣医治療の分野で特に有用性を有する。一般的に投与される用量は、5-HTアゴニストのピコモーラからマイクロモーラーの濃度を適宜部位へ運搬するために有効であろう。
【0154】
本発明の組成物の投与は、好適には口腔粘膜への任意の許容される投与型を経由して実施される。口腔粘膜への投与の適した部位の例は、制限されずに、口床(舌下粘膜)、頬(バッカル粘膜)、歯茎(歯肉粘膜)、口蓋(パラタル)、及び唇のライン、及びそれらの組合せの粘膜を含む。それらの領域はそれらの組織、薬物透過性、及び薬物への生理学的応答に関して互いに区別される。好適には、本発明の組成物は舌下粘膜、バッカル粘膜、又はそれらの組合せで投与される。
【0155】
口腔粘膜、豊富な血液供給処理、及び適切な薬物透過性は、特に全身薬物運搬のための魅力のある投与経路である。更に肝初回通過代謝を迂回する口腔粘膜を介する治療剤の運搬は、消化管中の酵素分解を回避し、そしてより薬物吸収のために適切な酵素微生物叢(flora)を提供する。本明細書で使用される用語"舌下運搬"とは、口床及び/又は舌の腹部(ventral tongue)の上皮粘膜を介する治療剤の投与を言う。本明細書で使用される用語"バッカル運搬"とは、頬の上皮粘膜を介する治療剤の投与を言う。
【0156】
口腔粘膜は最外部の重層扁平上皮の層から成る。この層の真下に基底膜、即ち、粘膜固有層が横たわり、最深部の層として粘膜下層が続く。上皮の口腔粘膜は、体の他の部位で見出された重層扁平上皮と類似し、ここでは、分裂的に活性な基底細胞層を含み、表層へと分化している多くの中間層を通して発達する。ここでの細胞は、上皮の表面から脱落する(Gandhi etal.,Ind.J Pharm. Sci., 50: 145-152(1988))。例えば、バッカル粘膜の上皮は約40-50細胞層の厚さである一方、舌下上皮は、いくぶん少ない細胞層を含む。上皮細胞は基底層から表層へ進行するにつれて大きくなり、そして平たくなる。
【0157】
5-6日と見積もられたバッカル粘膜上皮のターンオーバーの時間は、口腔粘膜中の舌下粘膜上皮及び他の上皮のターンオーバー時間を表す(Harris et al., J Pharm. Sci., 81:1-10 (1992))。口腔粘膜の厚さは、口腔中の部位によって変化する。例えば、バッカル粘膜は、約500-800μmの厚さで測定されるが、堅い及び柔らかいパラタル粘膜、舌下粘膜、舌の腹部、及び歯茎の粘膜は、約100-200μumの厚さで測定される。上皮の組成物は、口腔中の部位によっても変化する。例えば、機械的ストレス(即ち、歯肉及び硬い口蓋)にかけた粘膜領域は、表皮と同様に角化される。しかしながら、柔らかい口蓋、舌下領域、及びバッカル領域の粘膜は角化されない(Harris etal.,上記)。角化された上皮は、バリア機能を提供することに関連するセラミド及びアシルセラミドのような中性脂質を含む。結果として、これらの上皮は、比較的に水に対して非透過性である。非-角化上皮との対比では、かかる舌下及びバッカル上皮は、アシルセラミドを含まず、そして少量のセラミドのみを有す(Wertz etal., Crit. Rev.Ther. Drug Carr.Sys., 8:237-269 (1991);Squier et al., J:Invest. Dermat., 96: 123-126(1991);Squier et al.,in Oral Mucosal Drug Delivery, Ed. M. J. Rathbone, Marcel Dekker, Inc. , New York, New York, 1-26 (1996))。非-角化上皮は、更に極性脂質(例えば、硫酸コレステロール及びグルコシルセラミド)以外の少量の中性脂質を含む。このようにこれらの上皮は、角化上皮よりもかなり水に対して透過性であることが見出された(Harris et al., 上記 ; Wertz et al., 上記 ; Squier et al., 上記, 1991)。
【0158】
一般的に口腔粘膜は、表皮及び腸粘膜との間のいくぶん漏れやすい上皮中間物である。例えば、バッカル粘膜の透過性は、皮膚の透過性よりも約4-4000倍大きいと見積もられる(Galey et al., J:Invest. Dermat., 67: 713-717 (1976))。口腔粘膜の異なる領域の透過性は、一般的にバッカル粘膜よりも大きい舌下粘膜、及びパラタル粘膜よりも大きいバッカル粘膜の順に減少する(Harris et al., 上記)。この透過性は、一般的に比較的薄く角化されていない舌下粘膜、より厚く角化されていないバッカル粘膜、及び中間の厚さであるが角化されたパラタル粘膜との相対的な厚さ、及びこれらの膜の角化の程度に基づく。
【0159】
口腔粘膜の上皮細胞は、細胞表面上の特定の領域へ結合するか、又は結合しないタンパク質及び糖質の複合体を第一に含む粘膜によって囲まれている。粘膜は細胞間の接着に役割を果たし、及び潤滑剤として作用し、他に関連して動く細胞を許容する(Tabak et al., J.Oral Pathol.,11:1-17(1982))。体内の他のどこかで見出された重層扁平上皮における粘膜は、特殊化された粘膜分泌細胞、例えば杯細胞により合成されるが;口腔粘膜中では、粘膜は、唾液の一部としてメジャー及びマイナーな唾液腺により分泌される(Tabak et al., 上記;Rathbone et al., Adv. Drug Del.Rev.,13:1-22(1994))。生理学的なpHでは、粘膜ネットワークは、糖質上のシアル酸及び硫酸残基の存在により負電荷を運搬する。このpHでは、粘膜は、粘着性(gelatinous)の層として上皮細胞表面へ結合する、強い粘着性ゲル構造を形成することができる(Gandhi etal., 上記)。任意の特定の理論に拘泥されずに、本発明の緩衝系は、糖質上に存在するシアル酸残基を中和し、そして治療剤との相互作用を妨げることによって、更に薬物透過を増強させる。
【0160】
口腔環境の他の特徴は、唾液腺によって生産させる唾液の存在である。唾液は口腔の全ての組織のための保護的流動体である。唾液は約1%の有機及び無機材料を有す水性流動体である。唾液組成物の主要決定要因は、時刻、刺激のタイプ、及び刺激の程度等の因子に次々と依存する流動速度である。唾液pHは典型的に約5.5から約7.0の範囲にあり、流動速度に依存している。例えば、高速流動では、ナトリウム及び重炭酸塩の濃度は増加し、増加したpHを導く。なぜなら1日の唾液容量は約0.5から約2 リットルであり、口腔は、本発明の口腔投与形態の水和及び/又は溶解のための水性環を提供する。
【0161】
舌下粘膜は口腔の最も高い透過可能領域であり、そして便利で、入手し易く、そして良好に受け入れられる投与経路において薬物の迅速な吸収及び高い生物学的利用能を提供する(Harris et al., 上記)。適切な舌下投与形態は、制限されずに、錠剤(例えば、速溶、遅溶)、ロゼンジ、キャンディー、及び液剤を充填したソフトゼラチンカプセルを含む。かかる系は、舌下粘膜を介して全身に吸収される前に舌下領域で非常に高い薬物濃度を生み出す。結果として、舌下粘膜は、作用の迅速な発現を生み出すために特に適切であり、そして舌下投与形態はより短期間の運搬が要求される、及び/又はより少ない投与回数の治療計画による薬物を運搬するために使用できる。バッカル粘膜は舌下領域よりもかなり透過能が少ないが、薬物の迅速な吸収及び高い生物学的利用能は、バッカル投与でも観察することができる。適切なバッカル投与形態は、制限されずに、シューインガム、錠剤(例えば、速溶、遅溶)、ロゼンジ、キャンディー等を含む。バッカル粘膜及び舌下粘膜は共に薬物の増加した吸収及び生物学的利用能について、消化管をはるかに凌駕する。
【0162】
口腔粘膜を通して薬物の透過能を増加させるための透過増強剤は、本発明の投与形態に含ませることができる。当該透過増強剤は、口腔粘膜の特性を変化させて透過を増強させるタイプであってよく、又は治療剤の特性を変化させて口腔粘膜を通す透過を増強させるタイプであってもよい。適切な透過増強剤は、制限されずにポリエチレン23-ラウリウエーテル、アプロチン(aprotin)、アゾン、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、シクロデキストリン、硫酸デキストラン、ラウリン酸、プロピレングリコール、リゾホスファチジルコリン、メントール、メトキシサリチレート、オレイン酸メチル、オレイン酸、ホスファチジルコリン、ポリオキシエチレン、ポリソルベート80、エチレンジアミン4酢酸("EDTA")ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、及び特定のスルホキシド及びグリコシド、及びそれらの組合せを含む。
【0163】
IV.実施例
以下の実施例は、制限されずに、特許請求の範囲における発明を説明するために提供される。
【実施例1】
【0164】
スマトリプタン膜アッセイ
本実施例は、スマトリプタン投与形態の膜透過におけるpH調整の有益な効果を説明する。
【0165】
イオン化の範囲におけるpH調整の効果、及びそれによる粘膜を横断する治療剤の範囲は、膜アッセイを用いて実証することができる;例えばKansy et al., J Med. Chem., 41:1007-1010 (1998);及びAvdeef, Curr.Topics Med Chem., 1:277-351 (2001)を参照。このアッセイは脂質で覆った膜を使用し、脂質粘膜透過を予測する。当該膜組織は、ドナー及び受容細胞間にはさまれたドデカン膜から成る。脂質で覆った膜は、口腔粘膜より孔が少ない。従って、膜アッセイにおいて見られる増強は、in vivoにおいて非常に拡大するようである。
【0166】
スマトリプタンの解離定数(pKa)は9.5であり、それ故に当該薬物はpH11.5で100%、及びpH10.5で90%非-イオン化されるだろう。膜アッセイはコハク酸スマトリプタンを用いて、9.0、9.5、及び10.0のpH値で実施した。これらの溶液の最終pH値は、新たに調製した0.01Mの重炭酸ナトリウム/炭酸ナトリウム緩衝液を用いて調整した。透過は受容細胞中でのスマトリプタン濃度を決定することによって測定され、そしてPe(cm/秒での有効透過性)として表される。以下の表3に示すように、スマトリプタンの有効透過性はpHにより増加する。
【表4】

【実施例2】
【0167】
スマトリプタン薬物動態試験
本実施例は、本発明のスマトリプタン溶液の薬物動態プロファイルを、市販の同等投与量(dose equivalent)の経口錠と比較して説明する。
【0168】
脂質で覆った膜は、口腔の粘膜よりも孔が少ないため、膜アッセイで見られる増強は、市販の同等投与量の経口錠と比較して、スマトリプタンの増強したバッカル吸収及びより高い生物学的利用能を得るin situにおいて非常に拡大されるようである。バッカル投与されるスマトリプタン製剤の薬物動態プロファイルを評価するために、pH10で150 mgの重炭酸ナトリウム及び50 mgの炭酸ナトリウムで緩衝させた25mgのコハク酸スマトリプタン溶液(製剤A)を、市販の経口錠製剤(製剤B) 、即ち、イミトレックス(登録商標)(GlaxoSmithKline;Research Triangle Park, NC)の同等投与量と、10時間一晩絶食後の4人の健常人に投与し、比較した。被験者の統計は以下の表4に示す。
【表5】

【0169】
処置間に3日間のウォッシュアウト期間を有する、単回投与、オープンラベル、無作為、2つの処置、2通りのクロスオーバー試験を実施した。本試験で用いたサンプルサイズは、安全性/耐性をアッセイするための典型的なものであり(Simon et al., J. Natl. Cancer Inst., 89 : 1138-1147 (1997))、そして投与経路の比較のために典型的なものである(Chang et aL, Ann, Pharmacother., 33: 781-786 (1999))。更に、本試験のクロスオーバー特質により、個々の被験者は彼又は彼女自身のコントロールで行動する。その結果として、年齢、性別、及び生理学的及び酵素学的の差異等の変数をコントロールする;(例えば、Chow et al., Marcel Dekker, 1992, ページ30を参照)。製剤Aの血液サンプルを、投与後、0、5、10、15、20、30、45、60、90、120、180、240、及び360分で採取した。製剤Bの血液サンプルを、投与後、0、10、20、30、45、60、90、120、180、240、及び360分で採取した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)-タンデム質量分析(MS)アッセイを実行し、血漿スマトリプタンレベルを決定した。当該アッセイパラメーターを以下の表5に示す。
【表6】

【0170】
図1は製剤A(25 mgのコハク酸スマトリプタン溶液バッカル剤)、及び製剤B(25 mgのコハク酸スマトリプタン経口錠剤)の時間経過の血漿濃度の平均値を示す。以下の表6は、両製剤のために測定された薬物動態パラメーターを示す。当該試験では、投与直後の時間の濃度は、市販の経口錠のために観察された濃度よりも3倍を越える血漿スマトリプタン濃度を生成する口腔粘膜を介するスマトリプタンの運搬を実証する。更に、ピークの血漿スマトリプタン濃度はバッカル投与後10分以内に達成された。一方ピークの血漿スマトリプタン濃度は、市販の経口錠投与後、60分までは達成されなかった。このように当該試験は、緩衝溶液からのスマトリプタンは迅速に吸収され、そして市販の経口錠よりも実質的に良好な生物学的利用能を有することを示す。
【表7】

【実施例3】
【0171】
スマトリプタンガム組成物
この実施例は、本発明のスマトリプタンチューインガム組成物を説明する。
【0172】
スマトリプタンは、上記のようなチューインガム組成物として製剤化することができる。これらの態様では、当該チューインガムの単位投与又は単回分(serving)は、約0.1から約100ミリグラム(mg)のスマトリプタン(遊離塩基形態において測定された)、好適には約1から約50 mg、及びより好適には約2から約25 mgのスマトリプタンを含む。他の態様では、単位投与は約2から約20 mgのスマトリプタン、好適には約5から約15mgのフマトリプタンを含む。余分のスマトリプタン(例えば約10重量%から約25重量%まで)は、"過多量(overage)"として又は"流出(washed away)"されることを期待できる量として付加することができ、そうしなければ咀嚼中に放出又は吸収されない。
【0173】
所定の重量%にあるスマトリプタンチューインガム組成物は、約0.001%から約2.0%のスマトリプタン(選定される形態がどのようなものであろうと、その遊離塩基形態ごとに測定される)、及び好適には約0.002%から約1.0%のスマトリプタンを含む。いくつかの態様では、約0.008%のスマトリプタンが使用される。当業者は上記パーセンテージが利用されるスマトリプタンの具体的な起源、最終製剤中で所望されるスマトリプタンの量、及び所望されるスマトリプタンの具体的な放出速度に依存して変化するであろうことを理解する。スマトリプタンチューインガム組成物の緩衝系は、少なくとも約9.5、好適には約9.9、そしてより好適には約9.9から約11の範囲を越える最終唾液pHを提供する。
【0174】
スマトリプタンチューインガムは以下の手順に従って作製した。二酸化ケイ素USP(0.35kg)を#20メッシュスクリーンを通過させ、その後、0.810 kgの粒状マンニトールUSP、及び9.430 kgのPharmagum Cを含むブレンダー中に取り込んだ。当該材料を10分間混ぜた。コハク酸スマトリプタンEP(0.173 kg)を乳鉢及び乳棒を用いて二酸化ケイ素(0.02 kg)により粉砕した。0.228kgのステアリン酸マグネシウムと一緒に残存している二酸化ケイ素を乳鉢に付加し、その間、粉砕を継続した。粉砕材料をプラスチックの袋に移動させ、乳鉢を0.01kgの二酸化ケイ素を用いてすすいで、そして袋の中に移動させた。その後、袋の内容物を5分間混ぜた。
【0175】
等量の混合した袋の内容物及び混合したマンニトールガムベース混合物を更に5分間混ぜた。本工程を全てのスマトリプタンとガムベース混合物が互いに混合させるまで繰り返した。その後、炭酸ナトリウム(0.110kg)、重炭酸ナトリウム(0.570 kg)、アカシアガム(0.43kg)、キサンタンガム(0.013kg)、及びアスパラテーム(0.072kg)を天然及び人工香味剤を有すブレンダーへ取り込み、そして10分間、0.090 kgの二酸化ケイ素を混ぜた。使用した香味剤は以下の通りである:天然及び人工グレープフレーバーS.D.(0.215 kg);天然及び人工チェリーフレーバー(0.108 kg);天然及び人工フルーツパンチフレーバーS.D.(0.180kg);天然チェリーWONFDURAROME(商標)フレーバー(0.215kg);及び天然パッションフルーツタイプDURAROME(商標)フレーバー(0.035kg)。
【0176】
混合物を#12メッシュスクリーンに通して、その後、更に15分混ぜた。ステアリン酸マグネシウム(0.114kg)を#20メッシュスクリーンに通して、当該混合物に付加して、そして5分間混ぜた。混合物を収集し、そしてプラスチックの袋に入れた。2つのシリカゲル乾燥剤の袋をプラスチックの袋の周囲に置いて、周囲の湿度を吸収させた。その後、当該混合物を、錠剤プレスを用いて圧縮しそして小型化した。上記手順を用いることによる、チューインガム中の薬物(即ち、スマトリプタン)の平均粒子径は約20マイクロである(典型的な平均薬物粒子径は約75から約100マイクロ)。更に、チューインガム中の薬物の平均粒子径は、担体成分(例えば、ガムベース、結合剤等)の平均粒子径以下である。
【0177】
本発明のスマトリプタンチューインガム組成物は、例えば偏頭痛治療のために使用することができる。口の中に一口大のガム組成物を入れた後、被験者は任意の非-医薬タイプのチューインガムを普通に噛むように、約20-30分、およそ平均約10-45咀嚼/分の割合で当該ガムを咀嚼する。その後、当該ガムを捨てる。
【0178】
単回分(serving)のスマトリプタンチューインガムは、典型的に血流に取り込まれるスマトリプタン濃度レベルが、血漿1ミリリットル(ml)当り、少なくとも約5から約300ナノグラム(ng)となるようにデザインされる。最大血漿濃度(Cmax)へ到達する時間(Tmax)に対する最大血漿濃度(Cmax)の比率は、好適には約10 ng/ml x hrから約1000 ng/ml x hrの範囲、及びより好適には約100 ng/ml x hrから約500 ng/ml x hrの範囲内である。本発明のチューインガム組成物は、口腔粘膜を介してスマトリプタンを運搬するために都合がよい、確かな、実用的な、そして無痛の系を提供する。特に、スマトリプタンの治療有効量は、担体からスマトリプタンが放出された後、20分、10分以内、又は1-2分以内でさえ、血流に入るために、チューインガム組成物がスマトリプタンを迅速に運搬することを可能にする。
【実施例4】
【0179】
スマトリプタン速溶錠組成物
この実施例は、本発明の速溶スマトリプタン錠組成物を説明する。
【0180】
所定の重量%にあるスマトリプタン速溶錠剤組成物は、典型的に約0.001%から約10.0%のスマトリプタン(選定される形態がどのようなものであろうと、その遊離塩基形態ごとに測定される)、及びより典型的には約1.0%から約5.0%のスマトリプタンを含む。いくつかの態様では約3.5%のスマトリプタンが使用される。当業者は上記パーセンテージが利用されるスマトリプタンの具体的な起源、最終製剤中で所望されるスマトリプタンの量、及び所望されるスマトリプタンの具体的な放出速度に依存して変化するであろうことを理解する。スマトリプタン速溶錠組成物の緩衝系は、少なくとも約9.5、好適には少なくとも約9.9、そしてより好適には約9.9から約11の範囲を越える最終唾液pHを提供する。
【0181】
スマトリプタン速溶錠は以下の手順によって作製した。マンニトール(3.633 kg)及びソルビトール(0.330 kg)を10分間混ぜた。重炭酸ナトリウム(0.330 kg)、炭酸ナトリウム(0.165 kg)、天然ペパーミントフレーバー(0.125 kg)、天然メントールフレーバー(0.025 kg)、及びスクラロース(0.020 kg)を10分間で別個に混ぜた。ステアリン酸(0.125 kg)、ステアリン酸マグネシウム(0.075kg)、及びコハク酸スマトリプタン(0.172 kg)を10分間混ぜ、その後、#12メッシュスクリーンに通した。その後混合した混合物を一緒に錠剤に付加し、そして圧縮した。本手順を用いることによる、速溶錠中の薬物(即ち、スマトリプタン)の平均粒子径は、約20マイクロである(典型的な平均薬物の粒子径は約75から約100マイクロである)。更に、速溶錠中の平均粒子径は、担体成分(例えば、ガムベース、結合剤等)の平均粒子径以下である。
【0182】
本発明のスマトリプタン速溶錠は、例えば偏頭痛の治療のために使用することができる。このように、速溶錠は口腔粘膜を介してスマトリプタンを運搬するために都合がよい、確かな、実用的な、そして無痛の系を提供する。特に、スマトリプタンの治療有効量は、担体からスマトリプタンが放出された後、20分、10分以内、又は1-2分以内でさえ、血流に入るため、速溶錠はスマトリプタンを迅速に運搬することを可能にする。
【実施例5】
【0183】
スマトリプタンロゼンジ組成物
この実施例は、本発明のスマトリプタンロゼンジ組成物を説明する。
【0184】
所定の重量%にあるスマトリプタンロゼンジ組成物は、典型的に約0.001%から約10.0%のスマトリプタン(選定される形態がどのようなものであろうと、その遊離塩基形態ごとに測定される)、好適には約1.0%から約5.0%、及びより好適には約2.5%から約4.5%のスマトリプタンを含む。スマトリプタンロゼンジ組成物のための緩衝系は、典型的に炭酸塩及び/又は重炭酸塩を有すアモルファスの酸化マグネシウムを含む、2成分又は3成分の緩衝系である。例えば、3成分の緩衝系は、典型的に約4.0%から約7.0%の炭酸ナトリウム;約8.0%から約12.0%の乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウム;及び約20%から約30%のアモルファスの酸化マグネシウムを含む。好適な態様では、スマトリプタンロゼンジ組成物は、約3.5%のスマトリプタン、約5.5%の炭酸ナトリウム、約9.0%の乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウム、及び約25%のアモルファスの酸化マグネシウムを含む。当該緩衝系は、少なくとも約9.5、好適には約9.9、そして更に好適には約9.9から約11の範囲内を越える最終唾液pHを提供する。
【0185】
スマトリプタン舌下ロゼンジは表7に示す製剤によって作製した。簡潔には、マンニトール及びソルビトールを混ぜた。炭酸ナトリウム、乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、天然及び人工スペアミントフレーバー、及びスクラロースを別個に混ぜた。ステアリン酸マグネシウム及びスマトリプタンを混ぜ、その後、#12メッシュスクリーンを通した。その後混合した混合物を一緒に付加し、そして圧縮し、白色の円形ロゼンジを製造した。本手順を用いることによる、ロゼンジ中の薬物(即ち、スマトリプタン)の平均粒子径は、約20マイクロである(典型的な平均薬物の粒子径は約75から約100マイクロである)。更に、ロゼンジ中の平均粒子径は、担体成分(例えば、ガムベース、結合剤等)の平均粒子径以下である。個々のロゼンジの単位重量は250 mgであった。
【表8】

【0186】
図2に示す通り、9 mgのスマトリプタンを含む舌下ロゼンジは、10.2を越えるpHを有し、そして25℃、及び60%の相対湿度(RH)で安定なpHを維持した。12.5 mgのスマトリプタンを含む舌下ロゼンジは、約9.9のpHを有し、そして安定なpHを維持した(図2を参照)。
【0187】
本発明のスマトリプタンロゼンジは、例えば、偏頭痛の治療のために使用できる。このように当該ロゼンジは、口腔粘膜を介してスマトリプタンを運搬するために都合がよい、確かな、実用的な、そして無痛の系を提供する。例えば、スマトリプタンのロゼンジは、約2分以上、簡単に口の中(即ち、舌下)で維持される。好適には、スマトリプタンロゼンジは投与後約6分以内に溶解する。
【0188】
本発明のロゼンジ中の炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及び酸化マグネシウムを含む3成分の緩衝系の使用は、開始pHに関係なく、唾液pHを、約9.9を越えるpHに上昇させることによって、治療有効量のスマトリプタンの口腔粘膜(例えば、舌下粘膜)を介する迅速な運搬を可能にする。結果としてスマトリプタンは、担体から放出された後、20分、10分以内、又は1-2分以内でさえ、血流に入る。特に、3成分の緩衝系における酸化マグネシウムはいくつかの重要な機能(例えば、製剤のpHを上昇させること、炭酸ナトリウムの腐食性をマスクすること、第二の結合剤として働き、それによってステアリン酸の必要性を排除すること、そして所望されるpHを作るために必要とされる炭酸ナトリウムの量を軽減すること、を含む)を提供する。
【0189】
本明細書中に引用された全ての刊行物及び特許出願は、個々の刊行物又は特許出願が、それぞれ詳細且つ個別に参照により組み入れられたことを示すかのように、参照により本明細書に組み入れられる。上記発明は、理解を明確にする目的のための説明及び実施例でいくつか詳しく発表したが、本発明の技術的観点から、添付の特許請求の範囲及び精神から離れずに、特定の改変及び修飾を成し得ることは、通常の当業者に容易に明確に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】図1は製剤A(25 mgのコハク酸スマトリプタン溶液バッカル剤)、及び製剤B(25 mgのイミトレックス(登録商標)経口錠剤)の時間経過の血漿中濃度の平均値を示す。
【0191】
【図2】図2は、本発明の舌下でのスマトリプタン組成物の9 mg及び12.5 mgのpH安定性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔粘膜を介して5-HTアゴニストを運搬するための組成物であって、当該組成物が:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩、重炭酸塩、及び金属酸化物を含む3成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの当該3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる組成物。
【請求項2】
前記3成分の緩衝系が、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを約9.9から約11のpHに上昇させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記5-HTアゴニストが、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、フロバトリプタン、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記炭酸塩が、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記重炭酸塩が、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記金属酸化物が、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムから成る群から選定される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記酸化マグネシウムが、アモルファスの酸化マグネシウムである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記3成分の緩衝系が、炭酸ナトリム、重炭酸ナトリウム、及びアモルファスの酸化マグネシウムを含んで成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記担体が、結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ガムベースが、少なくとも1つの疎水性ポリマー及び少なくとも1つの親水性ポリマーを含んで成る、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記結合剤が、糖、糖アルコール、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、ロゼンジ、チューインガム、チュアブル錠、及び溶解錠から成る群から選定される投与形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記溶解錠が、遅溶錠及び速溶錠から成る群から選定される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記口腔粘膜が、舌下粘膜、バッカル粘膜、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
5-HTアンタゴニストを更に含んで成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を更に含んで成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記5-HTアゴニスト又はそれらの医薬的に許容され得る塩の平均粒子径が、前記担体の平均粒子径以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記5-HTアゴニストがスマトリプタンであって、そして前記3成分の緩衝系が、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及びアモルファスの酸化マグネシウムを含んで成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、ロゼンジ又は溶解錠である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、舌下に投与される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記重炭酸ナトリウムが、乾燥剤で覆われた重炭酸ナトリウムである、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
前記アモルファスの酸化マグネシウムの重量パーセントが、炭酸ナトリウムと重炭酸ナトリウムを組合せた重量パーセントを越えるものである、請求項19に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、約2.5から約 4.5重量パーセントのスマトリプタン;約4.0から約7.0重量パーセントの炭酸ナトリウム;約8.0から約12.0重量パーセントの乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウム;及び約20から約30重量パーセントのアモルファスの酸化マグネシウムを含んで成る、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が、約3.5重量パーセントのスマトリプタン;約5.5重量パーセントの炭酸ナトリウム;約9.0重量パーセントの乾燥剤で覆った重炭酸ナトリウム;及び約25重量パーセントのアモルファスの酸化マグネシウムを含んで成る、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
口腔粘膜を介する5-HTアゴニストの運搬のための組成物であって、前記組成物が:
(a)5-HTアゴニスト、又はそれらの医薬的に許容され得る塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩、重炭酸塩、及びクエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩を含む3成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの当該3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる組成物。
【請求項27】
前記3成分の緩衝系が、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを約9.9から約11のpHに上昇させる、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記5-HTアゴニストが、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、フロバトリプタン、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記炭酸塩が、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
前記重炭酸塩が、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項26に記載の組成物。
【請求項31】
前記クエン酸塩が、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、及びクエン酸アンモニウムから成る群から選定される、請求項26に記載の組成物。
【請求項32】
前記リン酸塩が、リン酸一ナトリウム(monobasic sodium phosphate)、リン酸二ナトリウム(dibasic sodium phosphate)、リン酸一カリウム(monobasic potassium phosphate)、リン酸二カリウム(dibasic potassium phosphate)、リン酸一カルシウム(monobasic calcium phosphate)、リン酸二カルシウム(dibasic calcium phosphate)、リン酸一マグネシウム(monobasic magnesium phosphate)、リン酸二マグネシウム(dibasic magnesium phosphate)、リン酸一アンモニウム(monobasic ammonium phosphate)、及びリン酸二アンモニウム(dibasic ammonium phosphate)から成る群から選定される、請求項26に記載の組成物。
【請求項33】
前記ホウ酸塩が、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、及びホウ酸アンモニウムから成る群から選定される、請求項26に記載の組成物。
【請求項34】
金属酸化物を更に含んで成る、請求項26に記載の組成物。
【請求項35】
前記担体が、結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項26に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が、ロゼンジ、チューインガム、チュアブル錠、及び溶解錠から成る群から選定される、請求項26に記載の組成物。
【請求項37】
前記溶解錠が、遅溶錠及び速溶錠から成る群から選定される、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記口腔粘膜が、舌下粘膜、バッカル粘膜、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項26に記載の組成物。
【請求項39】
前記5-HTアゴニスト又はそれらの医薬的に許容され得る塩の平均粒子径が、前記担体の平均粒子径以下である、請求項26に記載の組成物。
【請求項40】
前記5-HTアゴニストがスマトリプタンであって、そして前記3成分の緩衝系が、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含んで成る、請求項26に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物が、ロゼンジ又は溶解錠である、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記組成物が、舌下投与される、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
口腔粘膜を介して5-HTアゴニストを運搬するための組成物であって、当該組成物が:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩、及び金属酸化物、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選択される2つ以上の緩衝剤を含む緩衝系、
を含んで成り、ここでの当該緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる組成物。
【請求項44】
前記3成分の緩衝系が、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを約9.9から約11のpHに上昇させる、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記5-HTアゴニストが、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、フロバトリプタン、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
前記炭酸塩が、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項43に記載の組成物。
【請求項47】
前記重炭酸塩が、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項43に記載の組成物。
【請求項48】
前記担体が、結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項43に記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物が、ロゼンジ、チューインガム、チュアブル錠、及び溶解錠から成る群から選定される投与形態である、請求項43に記載の組成物。
【請求項50】
前記溶解錠が、遅溶錠及び速溶錠から成る群から選定される、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記口腔粘膜が、舌下粘膜、バッカル粘膜、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項43に記載の組成物。
【請求項52】
前記5-HTアゴニスト又はそれらの医薬的に許容され得る塩の平均粒子径が、前記担体の平均粒子径以下である、請求項43に記載の組成物。
【請求項53】
前記組成物が、舌下に投与される、請求項43に記載の組成物。
【請求項54】
口腔粘膜を介して5-HTアゴニストを運搬するための組成物であって、当該組成物が:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩、及び金属酸化物を含む2成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの当該2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる組成物。
【請求項55】
前記2成分の緩衝系が、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを約9.9から約11のpHに上昇させる、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記5-HTアゴニストが、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、フロバトリプタン、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項54に記載の組成物。
【請求項57】
前記炭酸塩が、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項54に記載の組成物。
【請求項58】
前記重炭酸塩が、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項54に記載の組成物。
【請求項59】
前記金属酸化物が、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムから成る群から選定される、請求項54に記載の組成物。
【請求項60】
前記酸化マグネシウムが、アモルファスの酸化マグネシウムである、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記2成分の緩衝系が、炭酸ナトリム及びアモルファスの酸化マグネシウムを含んで成る、請求項54に記載の組成物。
【請求項62】
前記2成分の緩衝系が、重炭酸ナトリム及びアモルファスの酸化マグネシウムを含んで成る、請求項54に記載の組成物。
【請求項63】
前記担体が、結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項54に記載の組成物。
【請求項64】
前記組成物が、ロゼンジ、チューインガム、チュアブル錠、及び溶解錠から成る群から選定される投与形態である、請求項54に記載の組成物。
【請求項65】
前記溶解錠が、遅溶錠及び速溶錠から成る群から選定される、請求項56に記載の組成物。
【請求項66】
前記口腔粘膜が、舌下粘膜、バッカル粘膜、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項54に記載の組成物。
【請求項67】
前記5-HTアゴニスト又はそれらの医薬的に許容され得る塩の平均粒子径が、前記担体の平均粒子径以下である、請求項54に記載の組成物。
【請求項68】
前記5-HTアゴニストがスマトリプタンであって、そして前記2成分の緩衝系が、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム、及びアモルファスの酸化マグネシウムを含んで成る、請求項54に記載の組成物。
【請求項69】
前記組成物が、ロゼンジ又は溶解錠である、請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
前記組成物が、舌下に投与される、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
前記アモルファスの酸化マグネシウムの重量パーセントが、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの重量パーセントを越えるものである、請求項68に記載の組成物。
【請求項72】
口腔粘膜を介して5-HTアゴニストを運搬するための組成物であって、当該組成物が:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含む2成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの当該2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる組成物。
【請求項73】
前記2成分の緩衝系が、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを約9.9から約11のpHに上昇させる、請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
前記5-HTアゴニストが、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、フロバトリプタン、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項72に記載の組成物。
【請求項75】
前記炭酸塩が、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項72に記載の組成物。
【請求項76】
前記重炭酸塩が、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項72に記載の組成物。
【請求項77】
前記担体が、結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項72に記載の組成物。
【請求項78】
前記組成物が、ロゼンジ、チューインガム、チュアブル錠、及び溶解錠から成る群から選定される投与形態である、請求項72に記載の組成物。
【請求項79】
前記溶解錠が、遅溶錠及び速溶錠から成る群から選定される、請求項78に記載の組成物。
【請求項80】
前記口腔粘膜が、舌下粘膜、バッカル粘膜、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項72に記載の組成物。
【請求項81】
前記5-HTアゴニスト又はそれらの医薬的に許容され得る塩の平均粒子径が、前記担体の平均粒子径以下である、請求項72に記載の組成物。
【請求項82】
前記5-HTアゴニストがスマトリプタンであって、そして前記2成分の緩衝系が、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含んで成る、請求項72に記載の組成物。
【請求項83】
前記組成物が、ロゼンジ又は溶解錠である、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
前記組成物が、舌下に投与される、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
口腔粘膜を介して5-HTアゴニストを運搬するための組成物であって、当該組成物が:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)金属酸化物及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含む2成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの当該2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる組成物。
【請求項86】
前記2成分の緩衝系が、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを約9.9から約11のpHに上昇させる、請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
前記5-HTアゴニストが、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、フロバトリプタン、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項85に記載の組成物。
【請求項88】
前記金属酸化物が、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムから成る群から選定される、請求項85に記載の組成物。
【請求項89】
前記酸化マグネシウムが、アモルファスの酸化マグネシウムである、請求項88に記載の組成物。
【請求項90】
前記担体が、結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項85に記載の組成物。
【請求項91】
前記組成物が、ロゼンジ、チューインガム、チュアブル錠、及び溶解錠から成る群から選定される投与形態である、請求項85に記載の組成物。
【請求項92】
前記溶解錠が、遅溶錠及び速溶錠から成る群から選定される、請求項91に記載の組成物。
【請求項93】
前記口腔粘膜が、舌下粘膜、バッカル粘膜、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項85に記載の組成物。
【請求項94】
前記5-HTアゴニスト又はそれらの医薬的に許容され得る塩の平均粒子径が、前記担体の平均粒子径以下である、請求項85に記載の組成物。
【請求項95】
前記5-HTアゴニストがスマトリプタンであって、そして前記2成分の緩衝系が、アモルファスの酸化マグネシウム、及びクエン酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩を含んで成る、請求項85に記載の組成物。
【請求項96】
前記組成物が、ロゼンジ又は溶解錠である、請求項95に記載の組成物。
【請求項97】
前記組成物が、舌下に投与される、請求項96に記載の組成物。
【請求項98】
口腔粘膜を介して5-HTアゴニストを運搬するための組成物であって、当該組成物が:
(a)5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩及び重炭酸塩を含む2成分の緩衝系、
を含んで成り、ここでの当該2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる組成物。
【請求項99】
前記5-HTアゴニストがスマトリプタンであって、そして前記2成分の緩衝系がスマトリプタンと組合されて、経口粘膜へスマトリプタンを運搬する直前の溶液を形成する、請求項98に記載の組成物。
【請求項100】
前記5-HTアゴニストがスマトリプタンであって、そして前記2成分の緩衝系が重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含んで成り、ここでの炭酸ナトリウム、対、重炭酸ナトリウムの重量比は、約2:1から約5:1である、請求項98に記載の組成物。
【請求項101】
前記組成物が、投与後約1-15分以内でピークプラズマ濃度を運搬する、請求項100に記載の組成物。
【請求項102】
偏頭痛治療を必要とする対象への偏頭痛治療のための方法であって、当該方法は:
治療有効量のスマトリプタン又は医薬的に許容され得るそれらの塩、担体、及び炭酸塩及び重炭酸塩を含む2成分の緩衝系を含む組成物を対象に投与することを含んで成り、ここでの当該2成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【請求項103】
前記組成物が溶液組成物である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記2成分の緩衝系が、重炭酸ナトリム及び炭酸ナトリウムを含んで成り、ここでの重炭酸ナトリウム、対、炭酸ナトリウムの重量比率が、約2:1から約5:1であり、そして前記組成物が前記対象に投与後約1−15分以内でピークプラズマ濃度を提供する請求項103に記載の方法。
【請求項105】
偏頭痛治療を必要とする対象への偏頭痛治療のための方法であって、当該方法は:
治療有効量の5-HTアゴニスト又は医薬的に許容され得るそれらの塩、担体、及び炭酸塩、重炭酸塩、及び金属酸化物を含む3成分の緩衝系を含む組成物を前記対象に投与することを含んで成り、ここでの当該3成分の緩衝系は、唾液の開始pHに関わりなく唾液のpHを、約9.9を越えるpHに上昇させる。
【請求項106】
前記3成分の緩衝系が、唾液の開始pHに関わりなく、唾液のpHを約9.9から約11のpHに上昇させる、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記組成物が、口腔粘膜を介して前記5-HTアゴニストを運搬する、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記口腔粘膜が、舌下粘膜、バッカル粘膜、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記偏頭痛が、前兆を伴わない偏頭痛及び前兆を伴う偏頭痛から成る群から選定される、請求項105に記載の方法。
【請求項110】
前記5-HTアゴニストが、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、フロバトリプタン、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項105に記載の方法。
【請求項111】
前記炭酸塩が、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項105に記載の方法。
【請求項112】
前記重炭酸塩が、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムから成る群から選定される、請求項105に記載の方法。
【請求項113】
前記金属酸化物が、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムから成る群から選定される、請求項105に記載の方法。
【請求項114】
前記酸化マグネシウムが、アモルファスの酸化マグネシウムである、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記3成分の緩衝液が、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及びアモルファスの酸化マグネシウムを含んで成る、請求項105に記載の方法。
【請求項116】
前記担体が、結合剤、ガムベース、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項105に記載の方法。
【請求項117】
前記組成物が、ロゼンジ、チューインガム、チュアブル錠、及び溶解錠から成る群から選定される投与形態である、請求項105に記載の方法。
【請求項118】
前記溶解錠が、遅溶錠及び速溶錠から成る群から選定される、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記口腔粘膜が、舌下粘膜、バッカル粘膜、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項105に記載の方法。
【請求項120】
5-HTアンタゴニストを更に含んで成る、請求項105に記載の方法。
【請求項121】
非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を更に含んで成る、請求項105に記載の方法。
【請求項122】
前記5-HTアゴニスト又はそれらの医薬的に許容され得る塩の平均粒子径が、前記担体の平均粒子径以下である、請求項105に記載の方法。
【請求項123】
前記5-HTアゴニストがスマトリプタンであり、そして前記3成分の緩衝系が炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及びアモルファスの酸化マグネシウムを含んで成る、請求項105に記載の方法。
【請求項124】
前記組成物が、ロゼンジ又は溶解錠である、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記組成物が、舌下に投与される、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記アモルファスの酸化マグネシウムの重量パーセントが、炭酸ナトリウムと重炭酸ナトリウムを組合せた重量パーセントを越えるものである、請求項123に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−502839(P2007−502839A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524083(P2006−524083)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/027156
【国際公開番号】WO2005/018565
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506058510)トランソラル ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】