説明

可変線容量の分配方法

本発明は、導電性格子をプラスチックパネル(24)に印刷する装置(40)及び方法を提供し、また、結果としての生産物を提供する。ノズル(48)がアーム(42)の端部に取り付けられ、ノズル(48)が導電性インク源に連結される。インク源(49)に連結された流量調整弁(47)は、ノズルからのインクの流量を調整し、制御装置によって制御される。制御装置は、最初の導電性トレースをパネルに適用し、次の導電性トレースを最初の導電性トレースの近くあるいはその上に適用するようになっており、その長さの一部に沿って格子線の容量を変えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連技術の相互参照)
この出願は、「可変線容量の分配方法」という名称の、2006年10月25日付けで出願された米国予備出願一連番号60/862,906の優先権を主張し、その全ての内容が参照として本出願に取り込まれる。
【0002】
本発明は、プラスチックあるいはガラス製のグレイジングパネル(glazing panel)に導電性のヒータ格子を印刷する装置及び方法に関する。より詳細には、本発明は、自動車のバックライトとして使われるグレイジングパネルへの導電性ヒータ格子の印刷に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリカーボネート(PC)やポリメチルメチルアクリレート(PMMA)のようなプラスチック材料が、現在、センターピラーやヘッドランプやサンルーフのような自動車用部品の製造に用いられている。自動車の後部窓(バックライト)装置は、その証明された利点、特にスタイリングやデザイン、軽量化や、安全性や安全確保の分野での利点によって、これら材料の応用例を提供している。特に、プラスチック材料は、自動車製造者に、全体としてのデザインや形を複雑にすることによって自動車の差別化を計る機能と共に、後部窓を機能部品の一体化によって成形プラスチック装置に組み込む際の複雑さを減じる機能を提供している。従来のガラス製バックライト装置よりも軽いので、このような装置を自動車に組み込むことは、自動車の重心を軽くし(そして自動車の操縦性と安全性を改善し)、燃料消費率を改善するのに役に立つ。更に、安全性の向上が実現される、特に、自動車に保持される乗員の転覆事故可能性において、安全性が向上する。
【0004】
プラスチック製の窓を実施することに関わる多くの利点があるにも拘らず、この窓は、広範な商品化の以前に存在していたはずの技術的な障害がないわけではない。材料の特性に関わる制限は、高温に長期間曝される間のプラスチックの安定性と、熱伝達に対するプラスチックの言々された能力を含んでいる。後者に関しては、自動車のバックライトとして用いられるためには、プラスチック材料は、除霜装置や防曇装置(以下では、「除霜装置」という)の使用と互換性がなければならない。商業的な承認のために、プラスチック製のバックライトは、ガラス製バックライトの除霜や防曇のための性能基準に適合していなければならない。
【0005】
ガラスとプラスチックの材料特性の違いは、熱伝達を考えると、明白である。ガラスの熱伝導率(T=22.39×10−4cal/cm−sec−℃)は、典型的なプラスチック(例えば、ポリカーボネートのT=4.78×10−4cal/cm−sec−℃)のほぼ4から5倍である。従って、ガラス製の窓で効果的に作動するように設計された除霜装置は、プラスチック製の窓を除霜あるいは防曇(以下では、「除霜」という)するのに必ずしも効率的ではないかもしれない。プラスチックの低い熱伝導率は、プラスチック製の窓の表面を通るヒータ格子線から熱を放散することを制限する。従って、同様の出力では、ガラス製の窓のヒータ格子は、視認領域の全体を除霜するが、プラスチック製の窓の同じヒータ格子が格子線に近い視認領域の部分だけを除霜するということになる。
【0006】
解決すべきガラスとプラスチックの2番目の違いは、印刷されたヒータ格子によって示される電気伝導率に関する。比較的高い軟化温度(例えば、Tsoften>>1000℃)によって実証される、ガラスの耐熱性は、ガラス製の窓の表面上の金属ペーストの焼結がほぼ無機ガラス原料或いはメタリックワイヤを生じることを許容する。ガラスの軟化温度は、典型的なプラスチック樹脂のガラス転移温度(例えば、ポリカーボネートT=145℃)よりも著しく高いので、金属ペーストは、プラスチックパネルに焼結されない。むしろ、プラスチック樹脂の温度Tよりも低い温度でパネルに硬化される。
【0007】
金属ペーストは、典型的には、適用されるプラスチックの表面に接合されるポリマー樹脂に分散される金属粒子からなる。金属ペーストン硬化は、誘電体層中に分散される密接された金属粒子を有する導電ポリマーマトリックスを提供する。分散導電性粒子間の誘電体層(例えば、ポリマー)の存在は、ガラス基板へ焼き付けられた寸法的に同様のヒータ格子線と比較して、硬化ヒータ格子線の導電性の減少や、抵抗の増加を導き出す。導電性のこの違いは、ガラス製窓に比べて、プラスチック製窓によって示される霜取り性能が劣ることを明らかにしている。
【0008】
上記したことを念頭において、パネルに印刷されたヒータ格子の品質を制御することは、そのパネルと共に使われる除霜装置の効率や効力を最大にするために重要であることが明らかである。様々なパラメータが、格子線の幅や、高さ(すなわち、容積)矢、直線度の変化を含む印刷されたヒータ格子の品質に影響する。幅や高さに存在する変化が大きくなれば、除霜装置の効力の負の衝撃が多くなる。除霜装置の様々な部分における不揃いの抵抗加熱を導く格子線とバスバーの様々な部分での不揃いの抵抗につながる。直線度に関しては、設計の融通性と曲線度を高めるために、プラスチック窓組立体の能力のために、問題となってきた審美性に主に関わっている。
【0009】
除霜装置は、パネルの内面又は外面、あるいは、保護層の表面に、導電性インクやペースト及び当業者に公知の様々な方法を用いて直接印刷される。そのような方法は、限定されるわけではないが、スクリーン印刷、インクジェット印刷及び自動分配方法を含んでいる。自動分配方法は、ドリップ・ドラッグ(drip and drag)や、ストリーミング(streaming)や簡単な流れ分配のような接着用途の当業者に公知の技術である。インクやペーストの割合のための低速で高流動性が、線の品質の低下の可能性にも拘らず、幅の広い高い格子線を作り出すことができる。反対に、高速で低流動性は、細くて低い格子線を作り出す。特に、スクリーン印刷では、格子線の高さは、容易に変えることはできない。
【先行特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願11/321,567号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記から、格子線がパネルに印刷される際の品質と一貫性を効果的に制御できる方法及び装置の必要があることがわかる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
関連技術の列挙される欠点とその他の制限を解消するために、本発明は、導電性インクで形成された格子線をプラスチック基板又はパネルに印刷するための装置を提供する。この装置は、アームの端部が印刷されるパネルの表面に対向するように支持ベッドに対して位置決めされたパネルと関節接合可能なアームを支持するようにされた支持ベッドを含む。分配ノズルは、アームによって運ばれ、アームの端部に取り付けられており、ノズルは、導電性インク源と、ノズルをアームに取り付けるノズル高さアクチュエータに連結されている。最後に、流量調整弁が、インク源とノズルに連結されており、これにより、ノズルからの導電性インクの流量が調整されるようになっている。装置はまた、パネルの表面に対する高さ信号を出力するようになった高さセンサを有している。アームと、流量調整弁とノズル高さアクチュエータと高さセンサに連結された制御装置は、ノズルをパネル表面の所定のパターンに従って動かし、所定量の格子線を分配するように、アームを関節でつなぐようになっている。制御装置は、少なくともパターンの一部をさかのぼり格子線の量を変えるようになっている。
【0013】
本発明は、また、導電性のプリントパターンをプラスチックパネルに印刷する方法を含んでいる。この方法は、パネルの表面に最も近いノズルを位置決めし、ノズルを表面に対して動かし、格子を形成するために導電性インクを表面に分配し、格子を形成する格子線の量を変えるために少なくとも格子の一部をさかのぼる工程を含んでいる。
【0014】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、添付されこの明細書の一部をなす請求の範囲と図面を参照して、以下の記載から、当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明を利用して形成される窓組立体の4つの実施例の構成図である。
【図1B】本発明を利用して形成される窓組立体の4つの実施例の構成図である。
【図1C】本発明を利用して形成される窓組立体の4つの実施例の構成図である。
【図1D】本発明を利用して形成される窓組立体の4つの実施例の構成図である。
【図2】窓組立体のパネルを超える分配ヘッドを横断するロボットアームを含む、本発明による装置の斜視図である。
【図3】パネルを超えるロボットアームと分配ヘッドの部分正面図である。
【図4】本発明を利用したパネルに配置されるヒータ格子線の近接断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照すると、除霜装置又はヒータ格子16を有するプラスチック組立体20の様々な例の断面が示されている。ヒータ格子16は、プラスチック窓組立体20の内面22上のプラスチック窓組立体20(例A)の外面18に向けて位置決めされ、又はプラスチック窓組立体20の自身のプラスチックパネル(例D)内に包まれている。各例におけるヒータ格子16の取りうる位置はそれぞれ、窓組立体20の総合性能とコストに関連して異なる恩恵を提供する。ヒータ格子16を窓組立体20の外面18(例A)に向けて位置決めすることは、窓組立体20を除霜するのに必要な時間を最短にするために好ましい。ヒータ格子16を組立体20のプラスチックパネル24の内面22(例B及びC)に位置決めすることは、適用の容易性と低製造コストに関連して恩恵を提供する。
【0017】
透明プラスチック基板又はパネル24は、熱可塑性ポリマー樹脂あるいはその混合物又は組み合わせからなっている。適切な熱可塑性樹脂は、限定されるわけではないが、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂及びポリスルフォン樹脂を含み、また、その共重合体及び混合物を含んでいる。パネル24は、型成形、熱成形や押し出しなどの様々な公知の技術を用いて、窓に成形される。パネル24は、不透明な樹脂を用いて境界を成形することによって帰線消去境界の形態のパネル24に不透明なインクを印刷することで適用される不透明度領域26を含んでいる。
【0018】
ヒータ格子16は、プラスチックパネル24の内面28又は外面30に直接印刷されてもよい。あるいは、1つ以上の保護層32,34の表面に印刷されてもよい。いずれの構成においても、印刷は、導電性インクを用いて行われる。導電性インクは、顔料、染料、及び/又は審美的(色)及び/又は機能的理由(電気伝導率)のための充填剤と混ぜられてもよい。通常の顔料は、白色顔料(例えば、二酸化チタン)、酸化鉄イエロー、クロムイエロー、チタンイエロー、ジアリライドイエロー(diarylide yellow)、モノアリライド(モノアゾ)イエロー(monoarylide (monoazo) yellow)、ニッケルアゾイエロー、バットイエローやベンゾイミダゾロンイエローのような黄色顔料、酸化鉄、トルイジンレッド、ナフトールレッド、キナクリドンなどの赤色顔料、鉄青、フェロシアン鉄アンモニウム、銅フタロシアニン、フタロブルー、フタログリーンなどの青色及び緑色顔料、カーボンブラックやアセチレンブラックなどの黒色顔料を含む。通常の染料は、様々な色の金属錯塩を含む。通常の充填材は、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム(クレイ)、ケイ酸マグネシウム、二酸化シリコンや硫酸バリウムを含む。正の温度係数(PTC)を有する材料は、充填剤としても使われる。この充填材は、分配線の温度調節機構として機能する。
【0019】
最終構成において、プラスチックパネル24は、紫外線放射への露光のような自然現象や、酸化やパネル24の外側の単一保護層32の使用中やパネル24の内側の追加的保護層34の使用中の磨耗から保護される。ここで用いられる用語で、少なくとも1つの保護層32を有する透明なプラスチックパネル24は、「グレイジング」と定義される。
【0020】
保護層32と34は、プラスチックフィルムでも有機塗料でも、無機塗料でもそれらの混合物でもよい。プラスチックフィルムは、透明パネルと同じ組成でも異なる組成でもよい。フィルムと塗料は、紫外線吸収剤(UVA)分子と、分散剤のようなレオロジー制御添加物と、界面活性剤と透明充填材(例えば、シリカ、酸化アルミニウムなど)からなり、耐摩耗性を向上しており、その他の添加剤は、光学的、化学的又は物理的特性を改良している。有機塗料の例は、限定されるわけではないが、ウレタンやエポキシドやアクリレートやその混合物を含んでいる。無機塗料の例は、シリコンや、酸化アルミニウムやフッ化バリウムや窒化ホウ素や酸化ハフニウムやフッ化ランタンやフッ化マグネシウムや酸化マグネシウムや酸化スカンジウムや一酸化シリコンや二酸化シリコンや窒化シリコンや酸窒化シリコンや酸炭化シリコンや炭化シリコンや酸化タンタルや酸化チタンや酸化すずや酸化インジウムすずや酸化イットリウムや酸化亜鉛やセレン化亜鉛や硫化亜鉛や酸化ジルコニウムやチタン酸ジルコニウムやガラスやその混合物を含む。
【0021】
保護層32,34として適用される保護塗料は、当業者に公知の適切な技術によって応用される。これらの技術は、バキュームアシステッド蒸着工程や、ソルゲルコーティングを基板に適用するのに用いられるような大気コーティング工程に用いられる技術のように、反応種からの蒸着を含んでいる。バキュームアシステッド蒸着工程の例は、限定されるわけではないが、プラズマ補強化学蒸着法、イオンアシストプラズマ蒸着、マグネトロンスパッタリング、電子ビーム蒸着及びイオンビームスパッタリングを含んでいる。大気コーティング工程の例は、限定されるわけではないが、カーテンコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティング、浸せきコーティング及び流し塗りを含んでいる。
【0022】
具体例として、プリント除霜装置16を備えたエグザテック(Exatec)(登録商標)900自動車窓グレイジング装置(エグザテック、エルエルシー、ウィクソム、ミシガン(Exatec,LLC,Wixom,Michigan))からなるポリカーボネートパネル24は、一般に、図1Cの実施例に相当する。この特別の場合においては、透明ポリカーボネートパネル24は、多層コーティング装置(エグザテック(Exatec)(登録商標)SHP−9Xあるいはエグザテック(Exatec)(登録商標)SHX(エグザテック、エルエルシー、ウィクソム、ミシガン(Exatec,LLC,Wixom,Michigan))と、自動車の内装に面するようにされた保護層34の露出面のヒータ格子16を印刷された「ガラス状」コーティング(SiO)の蒸着層で保護される。更なる代替的な構成として、ヒータ格子16は、保護層32,34の層の頂部に配置され、保護層の追加的層で上塗りされる。例えば、ヒータ格子16は、シリコン保護塗装(例えば、ジーイーシリコン(GE Silicones)のAS4000)の頂部に配置され、「ガラス状」フィルムで上塗りされてもよい。
【0023】
本発明に戻ると、図2は、装置40の1実施例を示しており、この装置は、一連のヒータ格子線54を形成するために、導電性インクを支持38に置かれたパネル24(又はグレイジング)に分配するためのロボットアーム又はその他の装置である。装置40は、支持面に静止状態で取り付けられるロボットアーム42と、ロボットアーム42の端部に取り付けられる分配ヘッド44を含んでいる。制御装置45が、ロボットアーム42と、分配ヘッド44と、導電性インク源49に流体連結される流量調整弁47に電気的に連結されている。ロボットアーム42は、関節動作可能で、分配ヘッド44をパネル24の表面22のあらゆる点に移動することができる。導電性材料を分配する装置40の他の実施例は、参照として取り込まれる、2005年12月29日出願の米国特許出願11/321,567号に提供されるものを含む。ここで本発明の記載を通して用いられる分配なる用語は、本願及び上述した特許出願に記載された蒸着方法及び装置のあらゆる実施例を包含するものである。あるいは、分配ヘッド44は固定され、支持38が分配ヘッド44に対して動くように関節接合されてもよい。
【0024】
好ましい作用において、ロボットアーム42は、分配ヘッド44をパネル25を横切って直線方向に動かし、分配ヘッドは、導電性インクをインク源49からパネル25へと順に分配して、ヒータ格子線54を形成する、その一部が明瞭化のために図2に示されている。これは、例示的な実施例であり、その他の例が、曲線のような他のパターンでヒータ格子線54を分配してもよい。
【0025】
分配ヘッド44を更に詳しく見ると、それはまず、ロボットアーム42によって支持された基部46からなる。センサ50とアクチュエータ52が基部46に連結され、そこにノズル48が取り付けられ、更に、導電性インク源49と流量調整弁47に連結される。流量調整弁47は、インク源49からノズル48までのインクの流量を制御できるものであればどんな装置でもかまわない。作動中、導電性インクは、流量調整弁によって、ノズル48を通ってパネル24の内面22に分配される。流量調整弁47は、限定されるわけではないが、オーガ、ピストン又はギア機構を介して生じるとして知られるような、確実に流体を分配する手段を含むことができる。印刷の開始及び停止時に集結した過剰材料が滴り落ちるのを最小にするために、材料の流れは、「吸い戻し」へと流量調整弁によって逆転され、過剰材料の分配を防止する。このことは、スクリュー式供給装置のオーガの回転を反転したり、圧力式供給装置に真空を適用することを含む様々な方法で成し遂げられる。
【0026】
所望の幅と高さの格子線54を形成するようにインクが分配されることを保証するために、センサ50は、パネル24の表面22からの分配ヘッド48の距離を直接又は間接に測定する。その結果、制御装置45は、分配ヘッド44を表面22を超えて所望の位置に動かすようにロボットアーム42を制御する一方、センサ50からの入力に基づいてアクチュエータ52を用いてノズル48のz軸位置(パネル24に対する高さ)を積極的に制御する。アクチュエータ52は、格子線54の所望の特性に依存して、ノズル48の位置をz軸に沿って表面22から、正確な高さ56内、典型的には0から3mm以下、より好ましくは0.5から1mm、へと動かす(図2参照)。アクチュエータ52は、リニアモータであるが、同様の精度と応答時間を有する何らの電気、油圧、空圧、圧電、電磁、その他のアクチュエータ52を用いることができる。あるいは、アクチュエータ52は、支持38をノズル48に対してz軸で関節移動するために支持38(図示せず)に取り付けられてもよい。
【0027】
センサ50は、パネル24の表面22からの高さ56を測定できるものであればよく、半反射及び/又は透明表面に関連して測定可能である。例示のセンサ50は、レーザ三角測量センサであるが、他の非接触センサ50を用いることができ、例えば、光通信センサ(すなわち、反射光の強度を測定するセンサ)、空圧センサ、超音波センサ、磁気センサその他のセンサを用いることができる。更に、適切な方法(すなわち回転接触、摺動接触など)で表面22に接触する適切な手段を備えた接触センサが、本発明に適用可能なものとして予期される。
【0028】
図示の例では、センサ50は、エミッタ58とレシーバ60からなる三角測量レーザ装置からなっている。内面22からのノズル48の距離を測定するために、レーザ光が、エミッタ58から放射され、表面22に向けられるか反射される。光は、レシーバ60に反射して戻され、エミッタ58のレシーバ60に対する相対位置に基づいて、センサ50は、三角測量で、センサ50の基準点からの表面22の距離を計算する。高さ56は、センサ50からの信号とアクチュエータ52とノズル48の公知の位置に基づいて制御装置45によって計算される。その結果、制御装置45は、パネル24の表面での変化を補償するためにz軸に沿ってノズル48を上下したり、表面22上での所定の高さ56を維持するようにアクチュエータ52に指示する。高さ測定の光学的変位センサのノイズ比への信号を上げるために、部分的に透明な基板パネルを保持するために用いられる取付具の表面は、平らな黒ペンキのような反射防止塗装を施されている。その他の反射防止方法は、表面模様付け及び/又は邪魔板のようなものを含むことができる。
【0029】
本実施例は、z軸の変化を補償するが、代替実施例は、パネル24を横切るときに表面22の法線方向にノズル48を保持するためにx軸及びy軸での変化を補償してもよい。そのような実施例は、ノズルを操作するために、複数のセンサ50とアクチュエータ52を用いることができる。ある実施例では、少なくとも2つの追加のセンサ50が、パネルの曲率を決定するために表面22の位置(x軸及びy軸)を測定する。これらセンサからの入力に基づいて、制御装置45は、z軸に沿って動かすことに加えて、x軸及びy軸周りにノズル48を正確に回転するように、ロボットアーム42及び/又は追加のアクチュエータに指令をする。その結果、制御装置45は、パネル24を横切って動く時にはいつも表面22の法線方向にノズル48を保持する。
【0030】
製造過程における部品間の変動性のために適用誤差を減じるために、支持38が、基板を所定の形状に変形するための十分なクランプ力と剛性を備えた精密基板取付具であってもよい。例えば、パネル24を支持38にクランプするために支持38の複数の孔(図示せず)に真空が適用されてもよい。
【0031】
導電性インクに接触する装置のこれらの部分は、インクの流動学における温度誘導変化の効果を最小限にするために、所定の温度に加熱されてもよい。好ましくは、この温度は、インクを負の方向に(すなわち、縮小方向に)するのに十分高くはない室温での変動を取り囲むのに十分高い。例えば、パネル24、ノズル48、流量調整弁47及び導電性インク49の源は、すべて加熱される。
【0032】
複数の直線運動からなる複合経路に沿った連続的で円滑な動作を達成するために、分配装置及び/又は基板の適切な位置決めが必要である。適切な位置決めが始まるプログラムされた速度のパーセンテージを指示することによって、関節運動装置が、各個々のプログラムされた位置で止まる必要なく円滑に動くことができる。このことは、全体のサイクルタイムを減じるが、分配された特色の外観を向上する。
【0033】
その結果、この装置は、分配ヘッドがパネル24を横切って動かされるときの速度に基づいて、パネル24に対する分配ヘッド44の高さ(h)56と、インクが分配される流速(r)を変える(増やしたり減らしたりする)ことによって、ヒータ格子線54の特性の正確な制御を許可している。従って、パネル24の輪郭に対するノズル48の高さ56を正確に調節し及び/又はノズル48からの導電性インクの流速を調節することによって、装置40は、幅64と高さ66を有する直線に沿ってインクを分配することができ、その結果、格子線54の矛盾しない容積単位(図4を参照)を達成することができるのである。高さ66と幅64、そして格子線54の容積は、長さに亘って又は格子線56の部分において抵抗率を制御するために変更可能である。このことは、熱的性能のための適切な電流密度を達成するために多くの応用において必要である。電流密度を減じ、格子の特定の部分での「ホットスポット」を軽減するために格子線54の容積を増加することが望ましい。最近の自動車用除霜装置の設計においては、格子線は、除霜装置のバスバー隣接端に近い大きな幅と、バスバー間の格子の中心における小さな幅への傾斜を有する。本発明では、バスバー近くで大きな容積がなされ、バスバー間の格子線の中心近くで小さな容積がなされる。
【0034】
容積は、幅、高さ、及び/又は格子線を作るための分配される導電性インクの量を変えることによって変化させることができる。トレースの幅及び/又は高さを変えることは、インクをより高く分配することを必要とし、これにより、線品質の低下(すなわち、うねりや曲がり)を引き起こす。インク供給割合を調節することは、電流装置では困難であるので、分配される導電性インクの量を増やしたり減らしたりすることによって容積を変えることは、問題であり、格子の分配の途中での機械設備の変化を必要とすることがあり、これは休止時間を必要とし製造コストを増やすことになる。
【0035】
しかし、幅64’と高さ66’を介して、容積は、最小容積を有する最初の1組の格子線を分配することによって変えることができる。この最小容積は、例えば、自動車の除霜装置の格子の中央の容積に相当する。より太い格子線は、最初の格子線を帰線し、材料(追加容積)が必要な領域(すなわち、自動車の除霜装置の格子のバスバー付近)での最初の格子線に隣接して及び/又はそれを超えてより多くの材料を分配することによって提供される。格子線の最初の容積を維持したいならば、帰線過程においてそのような領域に何らの追加的材料を分配しない。このことにより、所望の審美的特徴を備え、機会への設備変更を必要としない可変線容積が得られる。
【0036】
等業者は容易に理解できるように、上記は、この発明の原理の実現を図示したものである。この記載は、この発明の適用の範囲を限定するものではなく、この発明は、以下の請求の範囲で定義するこの発明の精神から逸脱することなく、変更や改良することができるものである。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性インクをプラスチックパネルに印刷するための装置であって、この装置は、
部材の端部が印刷されるパネルの表面に対向するように支持に対して位置決めされた該部材と前記パネルを支持するようにされた支持であって、前記支持と前記部材が互いに関節動作可能になった支持と、
前記部材によって運ばれ前記部材の端部に取り付けられているノズルであって、該ノズルは、導電性インク源と連結されている、ノズルと、
前記ノズルを前記部材に取り付けるノズル高さアクチュエータと、
前記インク源と前記ノズルに連結されている流量調整弁であって、前記ノズルからの導電性インクの流量が該流量調整弁によって調整されるようになっている、流量調整弁と、
前記パネルの表面に対する高さ信号を出力するようになった高さセンサと、
前記アームと、前記流量調整弁と、前記ノズル高さアクチュエータと、前記高さセンサに連結された制御装置であって、該制御装置が前記ノズルをパネル表面の所定のパターンに従って定義するように前記支持に対する前記部材の相対関節運動をなすようにされている、制御装置とを有し、該制御装置は、前記ノズルが動かされる速度と、前記高さセンサからの高さ信号と、前記ノズルからの導電性インクの流速のうちの少なくとも1つの機能として、前記流量制御弁と前記ノズル高さアクチュエータの少なくとも1つを制御し、所定の容積の最初の導電性トレースが前記パネルに適用されるようになっており、また、前記制御装置は、少なくとも導電性トレースの一部をさかのぼり結果としての導電性トレースの容量を変えるようになっていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記パネルの支持が、関節運動可能であり、前記ノズルを運ぶ前記部材が、固定されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ノズル高さアクチュエータが、関節接合された支持が追従する経路を訂正するフィードバック機構であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ノズル高さアクチュエータが、前記部材が追従する経路を訂正するフィードバック機構であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記フィードバック機構が、リアルタイムで経路を訂正することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記基板を超えるノズル高さが、関節移動速度と分配率に応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記パネルを支持するようにされた前記支持が、反射防止塗料を塗布されるか、表面模様付けされるか、あるいは邪魔板加工されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記反射防止塗料が、平らな黒ペンキであることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記パネルを支持するようなされた支持が、前記パネルを所定の形状に変形し、前記パネルをその形状に保持するようにされていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記支持が、前記パネルを保持するための真空減を含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
所定の温度に加熱されるべき、前記ノズルと、前記流量調整弁と、導電性インク源を加熱する手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記所定の温度が、室温による粘度の変動を減じるのに十分に高く、前記導電性インクの劣化を避けるのに十分低いことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記流量調整弁が、前記インクが分配されないときに前記導電性インクの滴りや垂れ下がりを減じるために負のあるいは反対の流れを作るようにされていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記負のあるいは反対の流れが、スクリュー式供給装置に用いられるオーガの回転を反転することによって作り出されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記負のあるいは反対の流れが、圧力式供給装置に真空を適用することによって作り出されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記制御装置が、最初の導電性トレースに隣接する次の導電性トレースを適用するように最初の導電性トレースをさかのぼることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記制御装置が、最初の導電性トレース上の次の導電性トレースを適用するように最初の導電性トレースをさかのぼることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記制御装置が、前記パネル上の前記最初の導電性トレース近くの次の導電性トレースを適用するように最初の導電性トレースをさかのぼることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
窓パネルと、前記窓パネルの表面に配置され導電性インクから形成されるヒータ格子であって、該ヒータ格子が、前記窓パネルの少なくとも一部を横切って延びる複数の格子線を含み、該格子線が、最初の導電性トレースを含み、前記格子線の少なくとも一部が各格子線を通る電流量を最適化あるいは正常化するためにその長さの一部に沿って格子線の容積を増やす少なくとも1つの次の導電性トレースを含み、当該次の導電性トレースが、最初の導電性トレースに隣接して配置されていることを特徴とする窓除霜装置。
【請求項20】
前記次の導電性トレースが、前記窓パネル上の前記最初の導電性トレースの近くに配置されていることを特徴とする請求項19に記載のヒータ格子。
【請求項21】
前記次の導電性トレースが、前記最初の導電性トレースの頂部に配置されていることを特徴とする請求項19に記載のヒータ格子。
【請求項22】
第1の次の導電性トレースが前記窓パネル上の前記最初の導電性トレースの近くに配置されており、もう一つの次の導電性トレースが前記最初の導電性トレースの少なくとも一部の頂部上に配置されていることを特徴とする請求項19に記載のヒータ格子。
【請求項23】
導電性の格子をプラスチックパネルに印刷する方法であって、該方法は、
印刷される表面を有するプラスチックパネルの表面に最も近いノズルを位置決めする工程と、
前記ノズルを前記パネルの表面に対して動かす工程と、
導電性インクを前記ノズルから前記パネルの表面に分配して、所定の容積を有する複数の格子線で形成された導電性格子を形成する工程と、
前記格子線の少なくとも一部をさかのぼって、その長さの少なくとも一部に沿って格子線の容積を変える工程とを有することを特徴とする方法。
【請求項24】
さかのぼる工程が、前記パネルの表面上の最初の導電性トレースの近くの次の導電性トレースを提供することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
さかのぼる工程が、最初の導電性トレースの頂部上に少なくとも部分的に次の導電性トレースを提供することを特徴とする請求項23に記載のヒータ格子。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−508630(P2010−508630A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534856(P2009−534856)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/082528
【国際公開番号】WO2008/052116
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(505365404)エクスアテック、エル.エル.シー. (51)
【Fターム(参考)】