可撓性吸熱器
ポリマーを含むベース部と、ベース部から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部とを含む可撓性吸熱器物品が提供される。ベース部は熱伝導性粒子を含み、突出部は突出部内の長寸法の方向に実質的に配向された非球形熱伝導性粒子を含む。熱界面材料を、ベース部と連続して提供してもよい。ポリマーを含み、第1の表面と第2の表面とを有するベース部と、ベース部の第1の表面から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部と、ベース部の第2の表面と連続した金属層とを含み、ベース部および突出部が熱伝導性粒子を含む、可撓性吸熱器物品も提供される。可撓性吸熱器の製造方法も提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールまたはテープ形態で提供されるものを包含する可撓性ポリマーのヒートシンク(吸熱器)物品および吸熱器物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートシンク、すなわち吸熱器は、対流、放射または更なる伝導により、熱生成コンポーネントから環境へ熱エネルギーを伝導する。吸熱器は、通常、環境に対する熱消失を改善する広い表面積を有している。アルミニウム(または銅のようなその他金属)の押出し品が吸熱器の一般的な形態である。これらの押出し品は剛性ベース部と広い表面積のフィンを有している。金属吸熱器は、通常、導電性であり、電子装置の電磁干渉問題の一因になっている。金属吸熱器のその他の種類としては、様々な形状の可撓性銅ホイルが挙げられ、これは、任意で一主面または両主面に絶縁性コーティングを有していてもよい。セラミックス、金属および焼結吸熱器は、通常、剛性である。
【0003】
熱伝導性ポリマーは、熱交換器、電子装置、両極性板および熱界面材料に用いられている。高モジュラスの熱可塑性または分散された伝導性粒子を含有するエポキシ材料から形成された射出成型吸熱器は、金属ホイルにラミネートされたポリマーフィンからなる複合体吸熱器と説明されてきた。非金属吸熱器は、電磁および無線周波分野の干渉問題を減じることができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡単に述べると、本発明は、ポリマーを含むベース部と、ベース部から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部とを含む可撓性吸熱器物品を提供する。ベース部のポリマーは熱伝導性粒子を含み、突出部のポリマーは突出部内の長寸法の方向に実質的に配向された非球形熱伝導性粒子を含む。可撓性吸熱器は、ベース部分に、および任意でベース部から延在する突出部にある程度の可撓性を有している。
【0005】
他の面において、本発明は、ポリマーを含み、第1の表面と第2の表面とを有するベース部と、ベース部の第1の表面から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部と、ベース部の第2の表面と連続した金属層と、任意で金属層と連続した熱界面材料とを含み、ベース部のポリマーおよび突出部のポリマーが熱伝導性粒子を含み、任意で、熱界面材料がベース部と混和した表面を有し、任意で、吸熱器物品がロール形態で提供されている可撓性吸熱器物品を提供する。
【0006】
更に他の面において、本発明は、多数の熱伝導性粒子を含む第1のポリマー組成物を提供する工程と、多数の非球形熱伝導性粒子を含む第2のポリマー組成物を提供する工程と、第1および/または第2のポリマーから吸熱器ベース部を形成する工程と、第2のポリマーおよび任意で第1のポリマーから吸熱器ベース部と連続した多数の矩形突出部を形成する工程と、任意で、ベース部の第2の表面と連続した金属層を提供する工程と、任意で、ベース部または金属層と連続した熱界面材料を提供する工程とを含み、非球形熱伝導性粒子が突出部の長手方向に沿って実質的に配向されている可撓性吸熱器の製造方法を提供する。
【0007】
本明細書において、「長寸法(major dimension)」とは、粒子の寸法、例えば、直径、長さ、幅、断面または厚さの最大を意味し、「短寸法(minor dimension)」とは、粒子の寸法の最小を意味する。これらの寸法は、公知のスクリーニング技術または粒子分粒装置により直接測定または分類することができる。「実質的に配向された」とは、粒子が、均一配向反射のないX線回折により示される通り、配向されていない、または不規則配向の粒子よりは、かなりの程度、長寸法に平行な軸から+/−45°以内の方向に配向されていることを意味する。ある実施形態においては、配向はこれより大きい。「実質的に同じ」とは、実質的に同じ組成の少なくとも約85wt%が同一であり、実質的に同じ組成間の変化が組成物中の各ポリマーの約15wt%未満である組成のことを意味する。逆に、かかる意味において「異なる」とは、組成が約15wt%を超えて異なることを意味する。「実質的に同じ」組成には、異なる量だが同一の材料が含まれていても良い。
【0008】
本発明は、多くの利点を提供するものであるが、そのうちのいくつかについて説明する。本発明の吸熱器は、少なくとも約5ワット/メートル−ケルビン(W/mK)、より好ましくは少なくとも約10、ある態様においては少なくとも約20のバルク伝導性を有する材料を用いる。アルミニウムは、約200W/mKという非常に高いバルク伝導性を有しているが、吸熱器は意外にも、約30mm未満のポリマー突出部高さでアルミニウム吸熱器の性能に達する。可撓性吸熱器に用いる材料は、特別なバルク伝導性を有しているが、用いる非球形熱伝導性粒子の配向によって、バルク伝導性より高いレベルまで配向方向に沿って伝導性が増大する。
【0009】
本発明の他の利点は、吸熱器の可撓性にある。吸熱器ベース部は可撓性とすることができ、一方、ポリマー突出部も可撓性である、あるいは比較的剛性のままである。このように、本発明の吸熱器は、粗面から平坦でない表面まで、任意の実際的な大きさの平坦でない表面に、さらにはマクロチップ寸法にまで合致するよう適合させることができる。
【0010】
吸熱器の可撓性ベース部によってまた、単一吸熱器物品が2つ以上の同一平面上でない装置で熱消失を行うよう、完全に同一平面上でない表面に吸熱器を配置させることもできる。可撓性によってまた、吸熱器が直接または間接的に取り付けられるコンポーネントおよび/または広い表面構造の衝撃および振動を減じるという制動の点でも利点が得られる(すなわち、可撓性吸熱器によって、直接取り付けられるチップ装置に対する制動がなされ、吸熱器を有するこのチップが取り付けられる印刷回路基板にさらに制動がなされる)。可撓性吸熱器はまた、アルミニウム吸熱器に比べて、雑音伝達も減じ、振動コンポーネントに取り付けると、チューニングフォークと似た音を伝達することができる。
【0011】
吸熱器は、ロール形態で提供でき(例えば、図1Aの可撓性吸熱器は内径約12cmのロールで示されている)、ダイカットによるなどして任意の所望の形状に切断される。吸熱器はさらに、熱伝導性接着層のような熱界面材料層を含んでいてもよい。突出部の品質、位置、サイズおよびベース部の厚さは、熱源の不均一な温度領域に適用するべく、独立して変えることができる。さらに、ウェブ、レール、フィン、ホイル、帆等、任意の組み合わせを用いて、熱および気流を誘導することができる。ポリマー突出部は、一定または異なる高さおよび/または形状とすることができる。接着剤を含んでいてもよいポリマー突出部およびベース部は、様々なプロセスにより独立して、または同時に作製することができる。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の好ましい実施形態の説明および特許請求の範囲から明白となろう。本開示の原理の上記概要は、例示の各実施形態または本開示のそれぞれの実施を説明することを意図するものではない。以下の図面および詳細な説明により、ここに開示された原理を利用した特定の好ましい実施形態により詳細に実証する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、ポリマーを含むベース部と、ベース部から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部とを含む可撓性吸熱器物品を提供する。ベース部のポリマーは熱伝導性粒子を含み、突出部のポリマーは突出部内の長寸法の方向に実質的に配向された非球形熱伝導性粒子を含む。熱流の一次方向は、一般的に、突出部の長寸法に関係している。このように、粒子配列を用いると、不規則な粒子配列よりも即時に、熱源から離して熱の方向を変えることにより効率的に吸熱器を改善することができる。一面において、熱流の好ましい方向の熱伝導性は、好ましい方向に垂直な方向の熱伝導性よりも少なくとも約5%以上、より好ましくは少なくとも約10%以上(あるいはこれより大きい)である。もう1つの面において、熱流の好ましい方向の熱伝導性は、好ましい方向に垂直な方向の熱伝導性よりも少なくとも約1.5〜約5以上(さらにこれより大きい)係数である。
【0014】
図1Bに、本発明の一実施形態による吸熱器物品20の側面断面図が示されている。吸熱器物品20は、複数のポリマー突出部26を備えた第1の表面24を有するベース部21を含んでいる。ポリマー突出部は、規則的または不規則な配列で構成してよい。ポリマー突出部は、別個の実質的に垂直なポスト、円錐または延在する列またはレール、またはこれらの組み合わせであってよい。ポリマー突出部の集団は、異なる高さおよび/または形状である。針葉樹に似たアンダーカット特徴部分を備えた六角またはその他多角形、対角線、正弦、レール/ポスト等の任意のレイアウトをポリマー突出部に用いることができる。
【0015】
ポリマー突出部26およびベース部21は、任意の公知のポリマー、特に、溶融処理可能または押出し可能なポリマーから作成することができる。好適な例としては、熱可塑性ポリマー、エラストマーポリマー、熱硬化性ポリマーおよび熱可塑性エラストマーが挙げられる。かかる材料の2種類以上を、層およびブレンドのような組み合わせて用いてよい。さらに、ポリマー突出部26およびベース部21は、同じまたは異なる材料を含んでいてもよい。熱硬化性ポリマーは、化学または熱剤、触媒、放射線、熱、光およびこれらの組み合わせを介する等、任意の公知の手段を介して架橋できる。一面において、ポリマーのガラス遷移温度は約25℃未満、より好ましくは約10℃未満、さらには約0℃未満である。すなわち、ポリマーは室温では完全には硬いガラス状ではない。
【0016】
図1Bの実施形態において、ベース部21はポリマー材料のポリマー突出部26と一体形成されている。これは突出部と同じ材料であってもなくてもよい。突出部およびベース部のポリマーは同一、同様または異なっていてもよい。本発明の一態様において、突出部およびベース部は実質的に同じポリマー組成で構成されている。「実質的に同じ」とは、実質的に同じ組成の少なくとも約85重量パーセント(wt%)、より好ましくは少なくとも約90wt%、ある実施形態においては少なくとも約95wt%が同一である組成を有することを意味する。実質的に同じ組成間の変化は、これに対応して、組成物の各ポリマーの約15wt%未満、より好ましくは約10wt%未満、ある実施形態においては約5wt%未満である。逆に、かかる意味において「異なる」とは、組成が約15wt%を超えて異なることを意味する。突出部およびベース部に用いる特別な熱伝導性粒子の選択および量は同一、同じまたは異なる。この選択は、ポリマーの選択からは独立して変更することができる。本発明の一態様において、特定のポリマーおよび粒子は、同一または同じであり、製造の複雑度が減じる。
【0017】
ベース部21とポリマー突出部26の組み合わせは、吸熱ウェブ(ヒートシンクウェブ)と呼ぶことができる。ポリマー突出部26は、略平行な側壁(例えば、円柱)を有していても、僅かにテーパ35を有していて、鋳型からの取外しを促進してもよい。図1Bの突出部は、長寸法28(高さ)および短寸法29(幅、最低のテーパで示されている)および近接するポリマー突出部26間の距離30で示されている。すなわち、断面幅より高さが大きい。一態様において、矩形、三角、梯形、半球、T、「クリスマスツリー」、逆アンカおよびその他断面へと導かれる直線および/または湾曲側壁のような、所望の二次元形状をポリマー突出部に用いることができ、これらはアンダーカット特徴部分で具体的かつ任意で言及した組み合わせであってもよい。他の態様において、円筒、円錐、円錐台、角錐、角錐台、半球、半球台、矩形、四角形、六角形、八角形、その他多角形形状等任意の三次元形状をポリマー突出部に用いることができる。当業者であれば、特定の目的に好適な形状および特定の形状に合ったプロセスを見分けられる。さらに、混成形状にはプロセスの組み合わせを用いることができる。
【0018】
1種類以上の形状を吸熱器物品20に用いることができる。特定の形状の選択は、表面積、形状周囲の気流、可撓性、伝導性等をはじめとする特質により決まる。テーパのついた幅を有する形状であってもよい。突出部は、平坦、丸、波または不規則形状のような任意の形状で終わらせることができる。ポリマー突出部は同じまたは異なる高さを有していてよい。突出部の側部は、平坦、凹凸または不規則形状のような突出部形状と適合性のある任意の形状としてよい。さらに、突出部は、突出部の最薄部分より少なくとも10%広い、より好ましくは少なくとも15%広く膨張した表面積の上部分を備えたポストを含んでいてもよい。上部は、マッシュルーム、爪、傘、帽子、電球、逆翼、矢印、フック、二重フックまたは三重フックのような形状であってもよく、全体の形状に加えて、凹凸を独立して備えており、また上部は対称でも非対称であってもよい。追加の上部特徴部分は、吸熱器周囲の気流を支援し、表面積を加えて熱損失を改善することができる。かかる突出部は、冷却流体(空気、水またはその他流体)の流れを補助または誘導して、熱移動効率を増大したり、突出部周囲を流れる冷却流体の使用を改善することができる。冷却流体の流れを誘導して、吸熱器の設計によってより完全に通過させて、全体の吸熱器設計の消失性能を改善し、冷却媒体の使用においてよりフレキシブルなシステム設計を与えることができる。突出部上の特徴部分はまた、「新鮮な」冷却媒体を吸熱器設計の特定の部分へと導くことができるような設計とすることもできる。新鮮な冷却流体(空気、水、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company, St.Paul,MN)製フロリナート(登録商標)(Fluorinert)フッ素化流体等)を、失われる冷却媒体を補充/交換する吸熱器設計の中間(所望の部分または領域)へと導くことができる。例えば、一態様において、吸熱器設計の中間領域が、一方の流れ方向から主として導かれる冷却媒体を用いるように冷却流体は導かれ、新鮮な媒体は、吸熱器設計の側面で最初に入った他の冷却流体が失われるにつれて、吸熱器内部ボリューム領域(ポリマー突出部により成形されたボリューム)へと導かれる。この追加の新鮮な流体は、吸熱器に対する冷却流体の全体の流れを増大することができ、吸熱器設計における冷却流体の圧力も増大することができる。吸熱器領域における冷却媒体の全体の流れを増大させると、全体の熱移動および吸熱器性能が改善される。ポリマー突出部の流体を導く上部はまた、周囲の突出部よりも高い突出部にあり、低い突出部上、周囲またはその上に延在する特徴部分を有していてもよい。低い突出部はこれらの追加の特徴部分を有していてもいなくてもよい。本発明におけるかかる設計の変更によって、主に、熱を消失するポリマー突出部と、熱を消失し、冷却流体を導いて、特定の設計において選択された様々な種類のポリマー突出部中での熱消失を改善する上部特徴部分を備えた他のポリマー突出部とを備えた、可撓性吸熱器が提供される。
【0019】
本発明の一面において、ポリマー突出部の少なくとも一部はまた、延在する帆を備えたマストの形状を採ってもよい。帆は、マストの一部分または全部に含まれていてよく、可撓性吸熱器ベース部の上、かつ/またはこれを超えて延在することができる。帆は表面積および熱損失を増大する。一態様において、帆は、ベース部に直接接続されていないため、吸熱器の曲げ剛性に悪影響は及ぼさない。
【0020】
他の面において、本発明のポリマー突出部は、溝、ディンプル、リセスおよび/またはリブ等追加の特徴部分を有している。これらの特徴部分を設計すると、突出部周囲の流体の流れを修正することができる。例えば、追加の表面特徴部分によって乱流を増大することができる。より多くの乱流の流れは、吸熱器突出部から冷却流体周囲までの熱の伝達を改善する。追加の特徴部分はまた、ある突出部の種類によっては熱移動表面積も増大することができる。
【0021】
任意の公知の熱伝導性粒子を本発明に用いることができる。カーボンブラック、ダイヤモンド、カーボンファイバー、金属またはニッケルのようなその他の伝導性材料でコートされたカーボンファイバー、セラミックファイバーメッシュ、セラミックスであり、例えば、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウムを含むセラミックス、金属ホイルを含めた、アルミニウム、酸化鉄、銅、ステンレス鋼等のような金属が挙げられる。好適な粒子は、サイズ、種類(六角、斜方晶、立方体等の結晶形態等)、凝集粒子サイズ、アスペクト比、粒子の表面物理特性を向上する表面コーティング、pH特性(例えば、ルイス酸またはルイス塩基粒子をはじめとする酸性、塩基性)および粒子ブレンドにより変えることができる。中空、中実、または金属コートされた粒子を用いてもよい。当然のことながら、ホイルおよび/またはメッシュ材料は、ポリマー突出部26のシートではなく粒子として提供され、かかるシートまたはスクリムをさらにベース部21に用いることができる。粒子はまた、電磁および/または無線周波数(EMI/RFI)での干渉を吸収または減少するべく選択してもよい。かかる粒子としては、酸化鉄およびニッケルコートされた粒子が挙げられる。ポリマー突出部および/またはベース部はスクリムを含んでいてもよく、ニッケルまたはニッケルされたコートスクリム、カーボンスクリム、ニッケルコートされたカーボンスクリムおよびこれらの組み合わせから任意で選択される。粒子のサイズを選択して、ポリマー(好ましくは均一なもの)内の熱伝導性、適切な分配および粒子配向を提供する。特定の選択および配向の詳細は後述してある。一態様において、長寸法が少なくとも約5ミクロン(μm)の粒子が用いられる。非球形または矩形粒子はポリマー突出部の長寸法に沿って配置されている。これらの粒子は、約1対1を超える、より好ましくは約1.25、さらには1.5対1を超えるアスペクト比(長寸法対短寸法)を有している。他の態様において、矩形粒子のアスペクト比は約2対1を超える、より好ましくは約5対1を超える、10対1またはそれ以上である。
【0022】
ポリマー突出部26もまた可撓性とすることができる。一実施形態において、突出部は、偏向が突出部の最薄の領域で生じるときに、破断、亀裂または塑性変形することなく、突出部の中心線から離れる突出部の厚さ(最薄の領域)の少なくとも約50%偏向可能である。すなわち、円錐状突出部の特定の実施形態は、厚み(直径)のあるベース部分よりも薄い(円形断面の場合には直径)先端領域でより偏向する。
【0023】
ポリマー突出部は、任意の有用なサイズとすることができる。最低有用なサイズは、熱生成表面から熱を消失させるものである。通常、最低高さは、少なくとも約0.5mm、より好ましくは少なくとも約0.7mm、さらに1mmである。最大高さは、意図する用途、ロール様式、製造のし易さ、熱消失および可撓性のような因子により制限される(例えば、非常に高い可撓性突出部は、曲がって、冷却流体の流れを制限する恐れがあり、一方、短い突出部は実質的に垂直なままとなる)。通常、最大高さは、ある実施形態においては、約30mm未満、より好ましくは約20mm未満、さらに15mmである。吸熱器に用いる材料の伝導性が増大すると、ポリマー突出部の最大有用な高さが増大し、30mmを超える高さが有用である。ポリマー突出部寸法および間隔は、最適な熱移動のために設計されており、最大に達するまで、表面積を増大すると、通常、熱流が増大する。同様に、単位ベース部面積当たりの多いポリマー突出部は、通常、最大に達するまで熱流を増大する。通常、冷却流体の流れの突出部間の距離は少なくとも約0.5mm、より好ましくは少なくとも約1mmである。
【0024】
一実施形態において、低出力用途に有用な吸熱器は、約15mmまでの最大高さを備えたポリマー突出部と、独立して、約10mmまでの最大ポスト直径、同じく独立して、約7または8mmまでのポスト間の間隔を有しているのが好ましい。これより小さい寸法だと、熱性能が悪化し、これより大きな寸法だと、性能は改善されず、原材料が多く必要になってコストが増大する。設計の詳細は、「吸熱器の設計および分析(Design and Analysis of Heat Sinks)」クラウスおよびバーコーエン、ジョンウィリー・アンド・ソン社、ニューヨーク(Kraus and Bar−Cohen, John Wiley and Sons, Inc., New York)(1995年)、239〜271頁にある。
【0025】
通常、突出部は、ベース部の厚さの少なくとも半分で、ベース部より上に延在している。ベース部の厚さ対突出部の高さの比率は、少なくとも0.5:1、少なくとも1:1、少なくとも1:2、少なくとも1:3、少なくとも1:6および少なくとも1:8から選択される。
【0026】
ポリマー突出部26は非球形粒子を含む。これらの粒子は矩形であり、各突出部内で長寸法の方向に沿って実質的に配列されている。高いアスペクト比の粒子としては、ファイバー、ロッド、ニードル、ウィスカ、楕円面およびフレークが例示される。
【0027】
ポリマーブレンドのバルク伝導性が増大すると、高い突出部が熱消失を補助する。非球形粒子の配列が増大すると、配列方向に沿った伝導性が増大し、粒子密度が増大して、さらに熱消失が改善される。例えば、窒化ホウ素板のx−y面に沿った熱伝導性は、板の厚さ(z方向)よりも大きい。窒化ホウ素六方晶構造のZ方向の熱伝導率は2.0W/mKであり、x−y面の熱伝導率は400W/mKである。これは、「熱伝導性エポキシ化合物フィラーの特徴および性能(Characterization and Performance of Thermally Conductive Epoxy Compound Fillers)」R.Fヒル、SMTA国際シンポジウム(National Symposium )「新生パッケージング技術(Emerging Packaging Technologies)」ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク(Research Triangle Park, NC)、1996年11月18〜21日に記載されている。配向は、ポリマーマトリックスの粘度を減少する、ファイバーのような高アスペクト比の粒子を用いる、溶融形成中の剪断を増大する、略球状粒子に沿って板および/またはファイバーのような異なる粒子タイプの組み合わせを用いて、伝導性を改善し、かつ配向を改善する等の様々な手段により改善することができる。配向は、公知の方法、例えば、x線回折により示すことができる。
【0028】
ベース部21は、ベース部の可撓性を修正するべく選択された1つ以上の特徴部分を含んでいてもよい。例えば、ギザ、スリット、チャネル、カットアウト、ノッチ、穴、スルーホール、ヒンジ、異なる厚さの領域またはこれらの任意の組み合わせを用いて、ベース部の可撓性を増大することができる。ベース部の可撓性は、方向を変えたり、異なる設計にすることができる。例えば、可撓性を、突出部材の設計のために異なる曲げ剛性を与えるために、幅より高さの高い単一のモノリシック要素または複数の要素の突出部の設計に基づいて一方向に高くすることができる。曲げ剛性はまた、突出部アスペクト比、曲率、うねり、ベース部からの異なる全体の高さ等、任意の方向に吸熱器物品20を超えて変えることもできる。図16に、吸熱器100が回路基板112上の様々な高さのチップ110に可撓性をもって合致する一実施形態を示す。チップ110は比較的平坦に示されているが、本発明の吸熱器は、凹凸面のある代表的な市販のチップに合致するものである。
【0029】
図17に示す実施形態において、吸熱器ベース部122は回路基板126のチップ124に適合されている。吸熱器120はチップ124の低出力領域と連続した薄いベース部領域を有しており、吸熱器120はチップ124の高出力領域と連続した厚いベース部領域を有している。図18に示す実施形態において、吸熱器130は成形面に接触するべく適合されたベース部132を備えて示されている。図示した実施例において、回路基板136は、ベース部132へと設定される露出またはパッケージングチップ134を有している、またはベース部132はチップまたはパッケージング装置の少なくとも一部を許容すべく適合されたキャビティを有していてもよい。図19に示す他の態様においては、ベース部142は、チップまたはパッケージング装置の上面を超えて、任意でチップまたはパッケージング装置の1つ以上の側部の少なくとも一部周囲に延在できる。吸熱器ベース部は波形としたり、波形層を含むことができる。吸熱器ベース部は、バッキング層のような選択的に不均一な表面または1枚以上の追加の層を適用するようなテクスチャードまたは輪郭のある表面を含むことができる。
【0030】
図1Bを参照すると、さらなる層(例えば、22、34、36)が任意でベース部21の第2の表面25に適用されている。バッキング層22は、吸熱器物品20を安定化および/または強化する、伸張に抵抗し引裂き抵抗を改善する、および様々なその他機能等さらなる機能性を提供する。バッキング層22は、例えば、接着剤、または自身を接着剤とすることのできる熱界面材料とすることができる。任意のバッキング層34を、同様の目的に用いてもよい。この場合は、バッキング層22は強化層とすることができる。
【0031】
バッキング層22および/または34は、熱生成装置の表面に吸熱器物品20を取り付けるために提供することができる。取り付けが接着剤ボンドであるときは、剥離ライナ36を用いることができる。例えば、吸熱器物品20のロールを自身の周囲に巻きつけるときは、剥離ライナ36を用いることができる。このように、バッキング層は、ポリマー突出部を支持する1枚以上の層を含むことができる。ある実施形態において、1枚以上のバッキング層をポリマー突出部と一体化させることができる。任意の公知の形成プロセス、例えば、共押出し、コーティングおよびラミネーションをバッキングに用いることができる。
【0032】
任意の接着剤層は、一般に、熱生成装置または熱生成装置が装着された基材にボンドを与えるために選択された材料を含む。感圧、熱硬化性、熱可塑性、ホットメルト、または他のサーマルボンドフィルム、放射線硬化または硬化性、溶剤活性化可能または溶剤活性化、低表面エネルギー接着剤およびストライプ、島または層のようなこれらの組み合わせといった任意の公知の接着剤タイプを用いることができる。エポキシ、ウレタン、合成ゴム、天然ゴム、ポリオレフィン、シリコーン、イオノマー、シアネートエステル、アクリルおよび組み合わせ、不連続領域またはこれらの層のような任意の公知の接着剤の化学的性質を用いることができる。例えば、高粘着性接着剤の領域は、本明細書に記載したような高熱伝導性熱界面材料の領域で不連続にしてもよい。接着剤は、強化フィラメントや熱伝導性粒子のような特定の目的のために通常含まれる1種類以上の公知の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、難燃剤、可塑剤、粘着付与剤、処理助剤、帯電防止剤および油が例示される。有用な難燃剤としては、ハロゲン化および非ハロゲン化有機化合物、有機リン含有化合物(有機リン酸塩等)、無機化合物および元々難燃性のポリマーが挙げられる。これらの添加剤を接着剤に添加または組み込んで、難燃性を改善する。難燃添加剤の性質は重要ではなく、単一の添加剤または2種類以上の別個の難燃添加剤の混合物を用いることができる。かかる難燃添加剤の詳細な説明は米国特許第6,280,845号明細書にある。選択した態様において、かかる難燃添加剤のレベルは、UL−94格付けV1および/またはV0に適合する可燃格付けを与えるように設定する。
【0033】
バッキング層22は任意で接着剤にラミネートまたは含浸することができる。用途に応じて、接着剤は吸熱器物品を表面に剥離可能にボンドまたは永久ボンドしてよい。剥離可能なボンディング接着剤としては、例えば、再加工可能、熱剥離可能、伸張剥離可能、溶剤剥離可能等の材料が挙げられる。
【0034】
任意の熱界面材料層は、相変化材料、グリースまたは共晶合金相変化材料を含んでいてよい。相変化材料は、熱伝導性フィラーの入ったワックスベース部(一般的にパラフィンワックス)である。グリースは炭化水素系またはシリコーン系とすることができる。共晶合金は、相変化または融点の比較的低い金属合金である。錫、インジウム、鉛、カドミウム、ビスマス、金、銀、銅等の材料を様々に組み合わせて作成して、最終用途および所望の製造適用方法の温度範囲にわたって所望のレオロジー特性を与えることができる。熱界面材料は、同じ材料の不連続領域、または2種類以上の材料の不連続領域に提供することができる。ベース部および/または熱界面材料にキャリパー変化を与えてもよい。例えば、かかるキャリパー変化は、熱流、接着、表面ウェットアウト、接触面積および可撓性から選択される1つ以上の特性を改善することができる。通常、これらの特性の1つ以上の改善が望ましい。一態様において、ベース部は、ポリマー突出部の下附近に薄い領域と、ポリマー突出部間に厚い領域を有していて、これによって全体のベース部可撓性が維持され、ポリマー突出部に対する熱伝導性が増大する。かかる実施形態において、熱界面材料は、ベース部の下側のキャリパー変化に適用して、熱生成コンポーネントとの接触のために全体に平滑な表面を与えることができる。これによって、熱源からの熱流を大きくできる薄い領域と、大きな機械的剥離接着力を与える厚い領域を提供することによって、熱流を改善することができる。
【0035】
本発明の可撓性吸熱器はまた、吸熱器と、それが取り付けられる構造間の熱膨張係数(CTE)の差により生成される応力も減じる。例えば、本発明の吸熱器のCTEは、吸熱器を取り付けるパッケージのCTEより大きくてよい。応力はCTEかけるモジュラスの積であるため、本発明の可撓性吸熱器の低モジュラスによって応力が減じる。さらに、上述した制動特性(または後述の粘弾性挙動)によって、経時で応力が弛緩される。これは、公知の金属吸熱器物品では達成できない。
【0036】
可撓性吸熱器ベース部および/またはポリマー突出部に用いるポリマーのヤング率を70°F(21℃)で測定すると、一般的には100,000psi(689MPa)、好ましくは40,000psi(276MPa)、最も好ましくは15,000psi(103MPa)である。比較として、アルミニウムのモジュラスは約10,000,000psi(68,950MPa)である。
【0037】
本発明の吸熱器の可撓性によって、室温で、吸熱器機能に大きな悪影響を及ぼすことなく、約30cm未満、より好ましくは約10cm未満(ある実施形態においては、約5cm未満、さらにそれより下)の半径まで曲げられる。すなわち、吸熱器は、破損したり、ねじれたり、吸熱器と、熱生成基材間にギャップを残す形状まで大幅に塑性変形しない。一方、アルミニウム吸熱器は永久湾曲したり、ねじれる。他の態様において、1〜3mmの厚さのベース部を有する吸熱器試料は、人間が自力で容易に適用できる力、好ましくは約350kPa未満、より好ましくは約175kPa未満、最も好ましくはこれより低い力で約30cm未満の半径に合致する。1〜3mmの厚さのベース部を有するかかる合致し易い吸熱器は、約100,000N/m未満の剛性を有している。本発明の吸熱器は、適用したら吸熱器が「スプリングバック」しないような低レベルの弾性回復力を有しているのが好ましい。
【0038】
可撓性吸熱器に用いる熱導電性フィラーと混合したポリマーの曲げモジュラス(ISO−6721−1のような単一片持ちばりビーム法を用いる)は、70°F(21℃)で測定すると、通常、約10GPa未満、より好ましくは約7GPa未満、ある実施形態においては、約5、1未満、さらには約0.5GPa未満である。本発明の2つの原型の吸熱器を測定した。より可撓性の吸熱器の曲げモジュラスは約47MPa(およびTg−16℃)であり、可撓性の少ない吸熱器の曲げモジュラスは約3400MPa(およびTg−60℃)であった。剛性は本発明に有用な可撓性の他の尺度である。剛性は、通常、厚さの三乗で増大する。低曲げモジュラスの材料を用いると、吸熱器の可撓性を維持しながら、より厚いベース部を形成できる。本発明のベース部(厚さ1〜3mm)の剛性は、好ましくは約100,000N/m未満、より好ましくは約50,000、40,000、30,000未満、さらに約20,000N/m未満である。他の実施形態において、ベース部材料の剛性は、約10,000N/m未満、より好ましくは約5、1未満、さらに0.5N/mである。これとは対照的に、比較のポリマー吸熱器ベース部(厚さ2.9mm)の剛性は400,000N/mを超え、曲げモジュラスは約7400MPa(およびTgは90℃を超える)、比較例のアルミニウム吸熱器ベース部(厚さ1.9mm)の剛性は550,000N/mを超え、曲げモジュラスは約95GPaである。機械的特性を試験する前にポストを除去した。
【0039】
可撓性吸熱器ベース部および/またはポリマー突出部に用いるポリマーの制動損失係数(いかに効率的に材料が振動、衝撃エネルギー、音等を消失するかの尺度)は、70°F(21℃)で測定するときに、最終用途設計、および吸熱器に取り付けられる構造に振動および/または衝撃制動を加えるために吸熱器を用いる程度に応じて異なる。最終用途構造に取り付けるときに、吸熱器の一般的な操作温度で加えられた制動については、損失因子は、一般的に、約0.01を超える、好ましくは約0.10を超える、最も好ましくは約0.30を超える。比較として、アルミニウムの損失係数は室温で約0.001である。本発明の吸熱器は、一般的に、近接するコンポーネントからの振動、ブザーまたはその他音を増幅しない。
【0040】
本発明の吸熱器のその他の利点は、自身およびそれが取り付けられる構造に対する機械的損傷に抵抗する能力である。可撓性吸熱器設計のポリマー突出部およびベース部の可撓性によって、曲がったり、湾曲したり、偏向したり、かつ/または力(例えば、衝撃力、異なるエネルギーおよび期間の振動力)を吸収することができる。例えば、衝撃力は、吸熱器が取り付けられる熱生成装置にはあまり伝達されず、吸熱器および装置への損傷を最小とすることができる。吸熱器は、それが取り付けられる装置の振動制動器または防振装置として作用する。これとは正反対に、比較例の金属の吸熱器設計は、全ての力を熱生成装置に伝達する。所望の温度および周波数(例えば、70°F(21℃)および500Hz)での、可撓性吸熱器を用いる、衝撃、振動および/または衝撃力の伝達は、同じ力をかけたときの、同様の幾何形状の比較例のアルミニウム吸熱器に比べて、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも約50%減じる。例えば、既知の重量の振り子は、既知の量の衝撃エネルギーを、吸熱器の突出部の一部に与え、その構造に伝達されたエネルギーの量は公知の手段により測定される。衝撃による突出部の塑性変形を測定する。吸熱器を取り付けた熱生成構造への損傷(例えば、チップ破損、応力、ベース部の構造からの剥離等)、および繰り返しの衝撃に対する吸熱器の能力を測定する。本発明の吸熱器は堅牢であり、製造および/または使用環境で生じる衝撃力により容易に損傷(永久塑性変形)されることはない。一態様において、本発明の吸熱器は、衝撃力から、好ましくは元のX−Y−Z体積位置の50%以内(好ましくは25%以内、より好ましくは10%以内)まで回復できる。本発明の吸熱器は、誤って接触したコンポーネントまたは構造を容易に損傷することはなく、それが取り付けられた構造へ、最大の衝撃力の大量の機械的エネルギーを通過させることはない。さらに、損傷が生じても、可撓性吸熱器の局所になると考えられる。
【0041】
本発明の吸熱器は、可撓性吸熱器が装置の寸法に合致して、装置に過剰の力を伝達するよりも過剰の取り付け力下で弾性変形したり偏向するため、熱生成装置を損傷するリスクを少なくして取り付けることができる。これとは対照的に、公知の吸熱器は剛性で、これらの力を伝達して、装置損傷のリスクが遥かに大きい。
【0042】
改善された表面ウェットアウトが本発明の他の利点である。本発明の吸熱器は、平面、平面でない、波形またはその他表面に合致して、熱生成装置表面の平面さに依存することなく良好な熱界面を提供する。通常、透明な試験基材を用いてウェットアウト属性を判断する。試験基材としては、平ガラスおよび様々な直径の時計ガラスが例示される。一態様において、ベース部の厚さおよび接着剤および/または熱界面材料厚さの組み合わせを選択して、少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約70%の基材表面ウェットアウトを与える。他の実施形態において、ベース部の厚さおよび接着剤および/または熱界面材料厚さの組み合わせを選択して、少なくとも約80%、90%、さらには99%の基材表面ウェットアウトを与える。
【0043】
好ましい界面は、最低量の空気またはボイドをトラップして、表面界面と密着する。本発明の吸熱器の可撓性および表面に合致する特徴によって、遥かに薄い熱界面材料(テープ、パッド、エポキシ、グリース、ペースト、合金相変化材料、相変化材料等)を吸熱器ベース部と熱生成表面の間に用いることができる。薄い熱界面材料は、熱生成構造と可撓性吸熱器の間の熱インピーダンスを減じ、かつ、可撓性吸熱器と熱生成構造の間の密着性を維持する。押出しアルミニウムの従来の吸熱器は、円筒度(TIR)により測定すると、1インチ長さ当たり0.001〜約0.005インチ(1mm長さ当たり0.025〜0.127ミリメートル(mm))の範囲の平面度を有している。平面でないこと、吸熱器毎に存在し得る製造のばらつき、および従来の非可撓性吸熱器の元々の剛性により、平面でない吸熱器により生じるギャップを熱界面材料で確実に充填するには厚い熱界面材料が必要とされる。可撓性吸熱器設計は、可撓性および合致しやすさによりこの欠点を克服するものであり、容易に平坦化または平滑化でき、熱生成構造の表面に非常によく適合する。構造表面が平面でない場合には(一般的なチップ装置のプラスチックまたはセラミックパッケージの凹凸形状におけるTIRは1〜9ミル(0.025〜0.229mm)である)、従来の高モジュラスアルミニウム押出し吸熱器は、さらに厚い界面材料、または平面でない剛性吸熱器と平面でない構造の間の不均一性を充填するために非常に合致し易い界面材料(エポキシやグリース等)を必要とする。当然のことながら、かかる厚い熱界面材料領域には、高い熱インピーダンスが付随してくる。
【0044】
熱界面材料(例えば、エポキシ、グリース、相変化材料、ペースト、テープ等)は、材料のコスト、および吸熱器を熱生成構造に提供するための全体のシステムコストに対する製造の複雑さを付加するものである。吸熱器およびそれが適用される構造が平面でなければないほど、非可撓性の従来の吸熱器では、ギャップを確実に充填するために大量の熱界面材料が必要となる。厚い熱界面材料にはまた、高熱インピーダンスに加えて欠点がある。例えば、グリースは、周りを汚し、構造および吸熱器表面を汚染する可能性があり、さらに、吸熱器を保持するのに、クリップ、ネジまたはその他機械的な手段を必要とする。このように、一般的な押出しアルミニウム吸熱器は、匹敵する表面ウェットアウトを得るためには、本発明の可撓性吸熱器に比べて、大量の熱界面材料(これに伴う低い熱インピーダンス)を必要とする。
【0045】
熱界面材料でギャップを充填するとまた、吸熱器と熱生成構造間の捕捉空気の可能性も増大し、これはまた熱導電性を減少させる。具体的には、空気の熱伝導性は約0.02W/mKであるが、多くの熱界面材料は約0.1W/mK〜約20W/mK以上である。このように、吸熱器と構造間の界面中の空気が熱インピーダンスを増大する。本発明の可撓性吸熱器は、熱生成表面に合致してこの懸念を最小にし、ギャップを最小にする。
【0046】
ウェットアウト対界面での熱インピーダンスの程度も変化する。追加の熱界面材料なしで可撓性吸熱器を用いたアセンブリは、低ウェットアウトパーセント(界面材料に対して)を有するが、熱流が漸進的であるため、低出力用途にもまだ使うことができる。一般的に、アセンブリに望ましいパーセントウェットアウトは、(1)ワット/in2でのチップ出力密度、(2)冷却されるチップまたは熱生成品目の所望の操作温度および(3)冷却媒体のタイプ、温度および吸熱器突出部設計の流量をはじめとする因子に依存している。冷却媒体の流れおよび温度が固定しているとすると、チップの出力が増大すると、冷却(または加熱)される構造と接触する可能性のある界面ベース部領域の全体の熱的流れという点で、吸熱器ベース部と構造の間の界面でのウェットアウトの程度の影響がより重要になるということが分かる。出力密度が増大するにつれて、パーセントウェットアウトはより重要になる。第2の熱界面材料を加えずに、本発明の可撓性吸熱器を用いる理由としては、(1)より低コストの構造の可能性、(2)低出力密度用途については、界面材料なしで得られるウェットアウトの程度がシステムの所望の操作温度範囲に見合うことが挙げられる。より合致し易いポリマーを本発明の吸熱器ベース部に用いると、熱界面材料の厚さを減少または最小(さらには排除)して、可撓性吸熱器の直接コストが低くなる。例えば、シリコーンやフルオロポリマーエラストマーのような軟性ポリマー材料を、熱生成構造と直接接触するベース部材料として用いることができる。本発明の全吸熱器物品はまた、シリコーンまたはフルオロポリマーエラストマーをポリマーとして用いることもできる。この設計には、ある程度の圧力下でそれを適所に保持して、良好な界面接触を適用中に確実に維持するために、追加の機械的チップ、スクリムまたはウェブを必要とする場合がある。ウェットアウトの程度は、圧縮圧力により異なり、一般的には2〜50psi(13.8〜345MPa)の範囲またはそれ以上である。この設計には、吸熱器を適所に保持するのに十分な材料内の接着レベルが含まれる。
【0047】
例えば、約1.5×1.5インチ(38×38mm)で、TIRが1インチ当たり約0.002〜0.003インチ(1cm当たり0.005〜0.008cm)のベース部を備えた一般的な押出しアルミニウム吸熱器は、平ガラスパネル(インチ当たり約0.001インチ(cm当たり0.0025cm)の平面度)上に約70%を超える表面ウェットアウトを得るために約0.015インチ〜約0.020インチ(0.038〜0.51cm)の熱伝導性テープ(3Mブランド8815または3M8820熱伝導性熱界面テープ、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Co., St.Paul,MN)より入手可能)を必要とする。同じベース部寸法の可撓性吸熱器設計では、このガラスパネル上に少なくとも約75%のウェットアウトを得るためには、僅か約0.002〜0.005インチ(0.05〜0.13mm)の厚さのテープしか必要としない。このように、本発明は、可撓性吸熱器およびより薄い熱界面を提供して、押出しアルミニウム吸熱器と厚い熱界面テープの組み合わせに比べてコストおよび熱インピーダンスを減じる。
【0048】
可撓性吸熱器物品にはまた、伝導性、機械的強度および/または接着力のような1つ以上の特性を改善するために選択された向上層も含めることができる。この層には、プライマーまたは接着促進剤、スクリム(熱伝導性ポリマー、フィラー、ニッケルまたはニッケルコートされたスクリム、カーボンスクリム、ニッケルコートされたカーボンスクリム、これらの組み合わせおよび/またはブレンド材料)、配向ワイヤ、不規則ワイヤメッシュ(スチールウール等)、不織メッシュ(セラミック、金属等)またはホイル(アルミニウム、銅等)が含まれていてもよい。スクリムは、ベース部に対していくつかの高熱伝導性材料のベース部の内側、外側または部分的に埋め込むことができ、これは可撓性吸熱器設計(例えば、可撓性ポリマーケース中のワイヤ)の可撓性に大きな悪影響を及ぼさず、吸熱器の熱拡散性能が改善される。追加の熱拡散特徴部分を備えた吸熱器の可撓性は、内部熱拡散特徴部分なしのこれに匹敵する設計の吸熱器の曲げ剛性を、約20倍未満、好ましくは約10倍未満、より好ましくは約5倍未満、ある実施形態においては約2倍未満、増大させることができる。吸熱器ベース部下に局所ホットスポットのある用途においては、この熱拡散は望ましい。
【0049】
接着剤(または熱界面材料)は、接着剤および/または熱界面マトリックスを架橋でき、それらのサイズを増大する程度までマトリックスを通して露出することのできる熱伝導性粒子を含有していてもよい。このように、粒子は、接着剤および/または熱界面材料内に含有されており、熱源基材と吸熱器物品20の間の経路の熱伝導性を改善する。これらの粒子は、吸熱器物品20のベース部21近傍またはこれに衝突する十分なサイズであり、第2の表面25に押し付けられる。これらの粒子は、任意で、ベース部の逆の接着剤表面に衝突する。さらに、これらの粒子は、吸熱器物品を使用する際に、熱源基材に押し付けられる。通常、これらの粒子のサイズを接着剤の厚さと同じまで増大すると、基材と吸熱器の間の熱伝導性が増大する。
【0050】
粒子サイズの選択は、用途によって異なる。例えば、長寸法が少なくとも約1〜2μmおよび約30μm以下、好ましくは約5〜20μmの粒子は、グリース、相変化材料、液体、およびボンド部が25〜100μmの範囲のテープ(中央演算装置(CPU)と吸熱器の間にあるような)のような物品に好適である。約20〜30μmより大きな50〜250μmの粒子は、熱基材と冷基材の間に大きなギャップが存在するシリコーンパッドといった厚い製品に用いられる。さらに、異なる粒子サイズ材料の組み合わせを用いることができる。通常、大きな粒子を用いて、バルク伝導性を増大する。これは、薄いギャップを有する基材を離したかかる粒子の最大寸法により制限される。粒子の短寸法は、長寸法と略同じ(通常、球状粒子用)またはそれより小さい(針状粒子、ファイバー、板等用)。
【0051】
選択した粒子の少なくとも一部が吸熱器物品の取り付け中に塑性変形可能であるときは、これらの粒子サイズは、上述したサイズより大きくすることができる。
【0052】
一実施形態において、吸熱器物品を加熱して、熱源チップパッケージまたは装置に吸熱器物品を合致させて成形するプラテンまたはダイにより、新たな形状へと改良することができる。このように、この面における吸熱器物品は、熱可塑的に改良可能であり、任意の所望の形状の様々なチップおよび/またはチップパッケージへとカスタマイズすることができる。例えば、湾曲した、平坦でない、または完全には平坦な表面でないチップに、本発明の吸熱器物品のベース部および/または接着剤および/または熱界面材料の改良により容易に対応する。このタイプの改良は、かなりの程度平坦でない、または湾曲したこれらのパッケージ(熱生成装置)に特に有用である。
【0053】
本発明の吸熱器の追従性及びリフォーム性の特徴によって、エンドユーザの設計および実施に多くのアセンブリオプションが与えられる。例えば、エンドユーザは、元々はパッケージ「A」に適用される本発明の吸熱器材料のロールから始めて、吸熱器材料の同じロールからパッケージ「B」用の異なるベース部寸法に切断することができる。さらに、エンドユーザは、追従性の程度を増大するために、ベース部に溝またはスリットを含めることができる。特に、高さが異なる2つ以上の装置を印刷回路基板の同じ領域で橋架けして、パッケージチップからの熱の消失を補助する金属スラグを備えたヒートスラグボールグリッドアレイ(HSBGA)パッケージのような独特なパッケージに吸熱器を追従させ、一般的なボールグリッドアレイ(BGA)プラスチックパッケージフォーマットへ、またはそこから吸熱することができる。本発明の吸熱器は、独立して、選択した領域においてホットプレスして、上述した同じPCB上のパッケージ「C」のような装置に追従させることができる。吸熱器の他の領域を、パッケージ端部に張り出させて、追加の熱流およびチップからの吸熱経路を与えることができる。
【0054】
本発明によるウェブベース部の吸熱器はまた、意図した用途について、低コストおよび良好な性能の組み合わせで吸熱器設計を与える。多くの装置が熱を多く生成すると、低コストの吸熱器は、広範囲の出力密度、装置寿命および環境条件にわたって熱を消失する手段を提供する。例えば、装置の寿命を高価な吸熱器を用いて大幅に延ばす必要がないときは、寿命のあまり見込めない装置で、ほどほどの熱消失の低コスト吸熱器を使えばよい。他の例では、使用環境条件において高温スパイクを緩和したいという場合は、本発明以前は吸熱器が用いられていなかったところでも、合致し易い可撓性吸熱器を使えばよい。
【0055】
他の実施形態において、吸熱器は2層接着剤構造を含んでいてもよい。ポリマー突出部、および任意でベース部の内側層は、吸熱器物品を使用する通常の温度で非粘着性の組成物へと硬化する接着剤を含む。ベース部は、吸熱器物品を使用する通常の温度で粘着性のままである、感圧接着剤(PSA)のような接着層を含む外側層を含む。感圧接着剤とは、使用温度で通常粘着性で、圧力印加により表面にボンドする接着剤のことである。
【0056】
本実施形態に好適な材料の一例は、構造化可能な、または構造化ハイブリッド接着剤である。本明細書において、構造化接着剤とは、実質的に完全な硬化後は流動せず、かつ/または熱硬化する接着剤のことを意味する。構造化ハイブリッド接着剤は、硬化前または部分硬化後の第1の段階、例えば、PSA段階があり、さらに、例えば、実質的な完全硬化後の構造化段階の第2の段階まで硬化可能である。これを用いる際、吸熱器物品はまた、好ましくは、ベース部の少なくとも1枚の外側層がPSAのままであり、ベース部のポリマー突出部および内側層が硬化構造化接着剤を含む、二重層または多層構造としてもよい。
【0057】
ポリマー突出部は、硬化または構造化接着剤領域を含んでいてよく、ベース部はPSAまたは構造化接着剤の層を含む。一態様において、両領域とも、異なる硬化レベルの実質的に同じ前駆体組成物を含んでいる。ポリマー突出部は、非粘着性表面まで硬化させるのが好ましく、ポリマー突出部の逆のベース部の側部はそれより少ない程度まで硬化させる。
【0058】
接着剤は、接着剤から出たポリマー突出部を成形するために鋳型またはツールのキャビティに提供することができる。接着剤は、溶剤系または水系接着剤であってよく、溶剤または水の乾燥および除去に際して、接着剤が鋳型の形状を保持するようなものとする。接着剤はまた、実質的に溶剤不含(100%固体)であってもよく、鋳型またはツールの形状に重合または硬化される。乾燥、硬化または重合した接着剤を、ポリマー突出部領域の硬化前または後に、同一、同じまたは異なる接着剤によりコーティングまたはラミネーションによりベース部に提供することができる。ベース部のPSA領域が望ましいときは、ポリマー突出部領域においてかなりの程度まで硬化のレベルを制御する。他の態様において、吸熱器ベース部およびポリマー突出部を硬化して、構造化接着剤を形成する。ベース部を、上述したように、熱界面層のような他の層に提供することができる。二重層または多層吸熱器はまた、ホットメルト構造化接着剤およびPSAを用いて共押出しにより作成することができる。
【0059】
これらの実施形態に有用な材料としては、適切な公知の硬化剤と共に、アクリレート、シリコーン、ポリエステルおよび/またはポリオレフィン接着剤のような他の接着剤とエポキシ接着剤の組み合わせ、シリコーンおよびアクリレート接着剤が挙げられる。
【0060】
本発明の吸熱器物品は、任意の公知の方法により作成することができる。一面において、熱伝導性粒子の配列を与える方法が望ましい。好適なプロセスとしては、例えば、真空形成、熱形成、圧縮成型、連続成型(複製)、異型押出し(スルー成型)、射出成型、エンボス加工および冷間形成が挙げられる。現在好ましい方法を、押出し複製または異型押出しにより形成された少なくとも片側にポリマー突出部を有するベース部の形成について説明する。
【0061】
図2を参照すると、略示されたプロセスには、1層以上の溶融ポリマー材料210を鋳型ロール230へと押出すよう構成された押出しダイ205を備えた押出し機を含む3本ロール成型装置200が示されている。本実施形態において、鋳型ロール230は、外側円筒表面に、溶融ポリマー材料210が鋳型ロール230の円筒表面を通過するにつれて移される所望の表面パターンを有している。図示した実施形態において、鋳型ロール230の表面は、複数のポリマー突出部270を形成すべく構成された複数の配列されたキャビティ260を有している。キャビティ260は、好適な表面ステム構造をポリマー材料210から形成する所望の構成、サイズおよび形状としてよい。一実施形態において、十分な追加量の溶融ポリマー材料210が、鋳型ロール230に押出されて、バッキング層の少なくとも一部を形成する。
【0062】
鋳型ロール230は回転可能で、対向ロール220に沿ってニップ250を形成している。このニップ250は、溶融ポリマー材料210がキャビティ260に流れるのを補助する。ニップ250の幅を調整して、ポリマー材料210の選択した厚さのバッキング層の形成を補助することができる。任意で、バッキング層242を同時にニップ250に入れる。エラストマー材料の組成およびポリマー突出部270の幾何形状によって、吸熱器物品280を鋳型ロール230から効率的に取り外すのにバッキング層242は有用であり、吸熱器物品280の一体化部分を形成する。さらに、吸熱器物品280は鋳型ロール230を出た後、第3のロール240を移動してもよい。このプロセスにおいて、3本のロール220、230および240の全ての温度はそれぞれ、独立して選択的に制御して、ポリマー材料210の所望の冷却を行ってもよい。
【0063】
鋳型ロール230は、連続処理(ウェブ、テープ、円筒ドラム、ベルト等)またはバッチ処理(射出成型や圧縮成型等)のいずれかに用いるタイプであってよい。ポリマー突出部270を形成するための鋳型ロール230を作成するとき、鋳型ロール230のキャビティ260は、1つ以上の化学、電気および機械加工または形成プロセスのような任意の好適なやり方で形成してもよい。ドリル加工、機械加工、レーザドリル加工、e−ビームドリル加工、ウォータジェット機械加工、鋳造、エッチング、ダイ打抜き、ダイアモンド旋削、型彫り、ローレット切り等が例示される。鋳型ロールはまた、スペーサワイヤを備えたノッチのついたワイヤや、スペーサプレートにより分離されたノッチのついたプレートから構成されていてもよい。キャビティの配置が、吸熱器物品の間隔および配向を決める。ポリマー突出部270は、一般的に、キャビティ260の形状に対応する形状を有している。鋳型キャビティは、溶融ポリマー材料が適用されて、ポリマー材料のキャビティへの注入を促す表面に対向するキャビティの端部で開いている。キャビティが閉じたら、真空をキャビティに適用して溶融ポリマー材料がキャビティ全体を実質的に充填する。この代わりに、注入材料がキャビティ中の空気を圧縮できるように形成されたステム構造の長さより閉じたキャビティを長くすることができる。鋳型キャビティは、表面ステム構造の剥離を促すように設計されて、角度のついた側壁またはキャビティ壁に剥離コーティングを含んでいてもよい。鋳型表面もまた、鋳型からポリマー材料ベース部層を剥すのを促すために選択された剥離コーティングを有していてもよい。ある実施形態において、キャビティは、表面での正接に垂直以外でロールの表面に対して角度を付けることができる。
【0064】
鋳型は、剛性から可撓性まで及ぶ好適な材料から作成することができる。鋳型コンポーネントは、金属、セラミック、ポリマー材料または、キャビティがラップ材料中にあるポリマーラップを備えた金属ロールのような組み合わせで作成することができる。鋳型を形成する材料は、ベース部層および表面トポグラフィーを形成するのに用いる特別な流動性ポリマー材料に関連した熱エネルギーに耐えられる十分な完全性と耐久性を有していなくてはならない。さらに、鋳型を形成する材料は、キャビティを様々な方法により形成でき、安価であり、長い実用寿命を持ち、許容される品質の材料を一貫して製造し、処理パラメータを変更できるものが好ましい。
【0065】
溶融ポリマー材料は、鋳型ロールキャビティへと流れて、鋳型の表面を覆い、カバー材料層を形成する、同一または異なる組成のポリマー材料の別個のストリームを用いてカバー材料層を形成する。溶融ポリマー材料の流れを促すために、ポリマー材料は、適切な温度まで加熱してから、キャビティをコートしなければならない。このコーティング技術は、カレンダコーティング、鋳造コーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、押出し、グラビアコーティング、ナイフコーティング、スプレーコーティング等のような従来の技術とすることができる。図2に、単一押出し機と押出しダイの構成を示す。しかしながら、2台(以上)の押出し機および関連のダイを用いると、複数のポリマー材料のニップ250への同時押出しにより、多成分(例えば、積層、ストライプまたはブレンド)のラミネートカバー材料を得ることができる。
【0066】
溶融ポリマー材料210の鋳型ロール230へのフローを、対向ロール220と鋳型ロール230間の圧力の印加によって補助してもよい。バッキング層242が多孔性材料を含むときは、3本ロール成型装置200を用いて、溶融ポリマー材料210の浸透度を制御することができる。この装置で、溶融ポリマー材料210の品質を制御して、バッキング層242の表面を僅かに浸透させたり、ポリマー材料210を導入した逆側の多孔性バッキング層242を浸透して、部分的、実質的または完全にバッキング層242を封入することもできる。溶融材料210の多孔性バッキング層242への浸透はまた、溶融ポリマー材料210の温度、ニップ250のポリマー材料210の量および/または鋳型キャビティの線速度と組み合わせた押出し機流量により制御してもよい。溶融ポリマー材料210の鋳型ロール230へのフローはまた、ポリマー材料を適用する前にキャビティの真空排気により補助してもよい。
【0067】
溶融ポリマー材料210をキャビティ260および鋳型ロール230表面にコートし終わったら、ポリマー材料を冷却して、固化し、所望の外側表面トポグラフィー(例えば、ポリマー突出部260)を形成する。固化したポリマー材料を鋳型ロール230から分離する。ポリマー材料210は、冷却および固化させると、やや収縮することが多く、図1に示すように、材料(例えば、表面突出部構造およびベース部または追加のバッキング層)および一体フィルム層の鋳型からの剥離が促される。鋳型の一部または全体を冷却して、表面ステム構造およびベース部または追加のバッキング層の固化を補助してもよい。冷却は、水、空気、その他熱移動流体またはその他冷却プロセスのような公知の手段により直接または間接的に行うことができる。
【0068】
いくつかの成型プロセスは、上述した構造化ハイブリッド実施形態のような硬化性または熱硬化性ポリマーを用いる。かかる樹脂を用いるときは、樹脂は、一般的に、未硬化または未重合の液体として、かつ/または溶融状態で鋳型に適用される。樹脂が鋳型にコートされた後、樹脂が固化するまで重合または硬化し冷却する(必要な場合)。通常、重合プロセスには、重合を促すための硬化時間、またはエネルギー源への露出、またはその両方が含まれる。エネルギー源は、電子ビーム、紫外線または可視光のような熱またはその他放射エネルギーである。樹脂の固化後、鋳型から取り外す。ある実施形態においては、ポリマー突出部を鋳型キャビティから取り外した後、熱硬化性樹脂をさらに重合または硬化するのが望ましい。好適な熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フルオロポリマー樹脂等が例示される。
【0069】
本発明の可撓性吸熱器を製造する他の方法の概略を図3に示し、また、出力を図4、図5および図6に示す。通常、本方法には、ダイ32を通した押出し機31からの第1の押出しポリマー30が含まれ、ダイは所望の突出部断面形状に対応する形状断面を有している。ある有用な形状を図4に示す。ベース部33および矩形の間隔のあいたリブ34は、ベース部33の上部表面から突出しており、所望の断面形状を有している。図3において、ポリマー30は、冷却液体(例えば、水)の充填された冷却タンク36を通して、ローラ35周囲を動き、その後、リブ34が、カッター38により長さに沿って間隔のあいた位置で横方向に切断されて(ただし、ベース部33の全厚ではない)、ポリマー突出部の所望の形状に対応する長さを有する不連続ポリマー突出部37を形成する(図5参照)。カッター38は、往復運動または回転刃、レーザー、またはウォータジェットのような公知の手段を含むことができる。
【0070】
一面において、リブ34を切断した後、ポリマー30のベース部33を、少なくとも約1.25対1の延伸比、好ましくは約2、さらに4:1の伸張比で、好ましくは、異なる表面速度で駆動される第1の対のニップローラ40および41と第2の対のニップローラ42および43の間で長手方向に延伸する。この態様において、延伸前にローラ41を加熱してベース部33を暖め、ローラ42を冷却して矩形ベース部33を安定化させる。この延在によって、リブ34の不連続なポリマー突出部37間に空間が形成されて、完成した吸熱器においてポリマー突出部となる。あるいは、カッター38を選択して、材料を除去して、近接するポリマー突出部間に所望の量の空間を残すこともできる。
【0071】
図4に、本発明の一態様における異型押出しレールを示す。ベース部33がレール34を支持している。図5において、図4に図示するような吸熱レール物品は長手方向に切断されて、不連続なポリマー突出部37を形成している。図6において、図5に示す吸熱レール物品は、不連続なポリマー突出部37を分離するように描かれている、または図4の吸熱レール物品は長手方向に切断されて、材料が除去され不連続なポリマー突出部37を形成している。
【0072】
可撓性吸熱器の一面において、リブ34は、近接端部間で、少なくとも約0.50ミリメートル(mm)、より好ましくは約0.6〜1.0mm離れているのが好ましい。ベース部延在プロセスを用いて、吸熱器中でポリマー突出部周囲に十分な冷却流体流れを与えるレベルまでポリマー突出部を分離する。一態様において、突出部は、少なくとも約0.10mm、好ましくは約0.6〜1.0mm分離している。
【0073】
本発明の目的および利点を以下の実施例によりさらに説明するが、これらの実施例に挙げられた特定の材料および量、その他条件および詳細は本発明を不当に限定するものではない。
【実施例】
【0074】
試験方法
1)冷却性能
可変電源(カリフォルニア州パロアルトのヒューレットパッカード(Hewlett Packard,Palo Alto,CA)より入手可能なE3611A DC電源)を用いて、連続して流れる熱を生成する10オームの抵抗器を駆動した。雰囲気空気を直接吹き付ける高設定でファン(テキサス州オースチンの3Mエレクトリカルスペシャルティーズディヴィジョン(3M Electrical Specialties Division,Austin,TX)より入手可能な3M961イオン化送風機)により冷却した吸熱器によりこの熱は消失した。K型熱電対(コネチカット州スタンフォードのオメガエンジニアリング社(Omega Engineering Inc.,Stamford,CT)より入手可能)を抵抗器表面の極近くに据え付けて、装置の温度を測定した。全体の装置をフェノール筐体に緩く保持させて、四隅で抵抗器の絶縁を補助し、再現可能な配置ができるようにした。試験中、電源の電圧および電流は、それぞれ4.0ボルトおよび0.4アンペアに予め設定した。ファンを「高」(1分当たり600〜700フィート(1分当たり183〜213m)程度の気流速度)に設定し、フェノール筐体の直角から10cm(4インチ)に配置し、僅かに下方に角度をつけた。実施例に特に断りのない限り、各吸熱器試料の底面積は1平方センチメートルであり、各試料を試料と同じサイズの3M8805熱伝導性接着剤転写テープ(ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company,St.Paul,MN)より入手可能)片を用いて抵抗器に装着した。
【0075】
まず、試料を装着せず、ファンによる冷却をしないで、装置の基線温度T1を測定することにより、試験を行った。第2の基準線読取T2を高設定のファンにより作成し、試料を装着し、「高」のファンにより読取T3を行った。通常、測定間で20分の時間の間隔を用いて、温度を安定させた。
【0076】
温度を記録し、試料の有り無しで温度の差(デルタT)を次のようにして計算した。
デルタT=(T2−T3)
【0077】
2)ウェットアウト能
試料を熱伝導性テープ(2ミル9882、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company, St.Paul,MN)より入手可能)を用いて凹時計ガラスの凹面に装着した。あるいは、試料を熱伝導性テープ(5ミル8805、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company, St.Paul,MN)より入手可能)を用いて平ガラスに装着した。平面スキャナを用いて下から(ガラスを通して)装着した試料に画像形成した。市販のソフトウェア(ミッドランド州シルバースプリングスのメディアサイバーネティクス(Media Cybernetics,Silver Springs,MD)より入手可能なイメージプロプラス(Image Pro Plus))を用いてグレースケール画像の暗部分の面積を測定することによりウェットアウトを判断した。ウェットアウト能(%)を次のようにして計算した。
%ウェットアウト=(暗部分の総面積/試料の総面積)×100
【0078】
ソフトウェアは、画像に強度(グレー強度)の度数分布を与え、画像強度ヒストグラムを出力する。さらに、ソフトウェアは、ウェットアウトパーセントを大幅に変更することなく、強度スケールを修正し、一つの画像中のコントラストを改善する1/4トーン向上に用いた。
【0079】
3)粒子配向
ブルカー一般領域検出回折システム(Bruker General Area Detector Diffraction System)(GADDS)マイクロディフラクトメータ、銅K放射線および散乱放射線のハイスター(HiStar)2D検出レジストリ(ブルカー(Bruker)AXS社(Inc.,)ウィスコンシン州、マジソン(Madison,WI))によりX線透過幾何形状データを集めた。ディフラクトメータは300μmの入射ビームコリメータとグラファイト入射ビームモノクロメータを備えていた。検出器は、試料から検出器の距離を6cmとして、0度(2)の散乱角度で中心に位置合せされている。試料は傾けなかった。50kVおよび50mAのX線生成器設定を用いた。各2D画像について、グラファイト(002)回折面により生成された強度は異方性があることが分かり、不連続な鋭い反射が観察され、これは大きな配向が存在することを示していた(すなわち、グラファイト粒子は実質的に位置合せされている)。粒子の非配向(不規則)分配により生成された回折強度は等方的であり、均一な強度の連続環として観察された。試験した試料は、よく整合されていなかった(さらには不規則)いくつかの粒子と共に実質的に位置合せされた粒子から構成されていた。高レベルに位置合せされた粒子の吸熱器が好ましい。方位トレースのグラファイト(002)最大は、グラファイト粒子位置合せの程度を測定するものであった。方位トレースには、オリジン(ORIGIN)(マサチューセッツ州ノーサンプトンのオリジンラボ社(OriginLab Corp.,Northampton,MA))を用いてプロファイルフィッティングが行われる。ピークフィッティングには、ガウスピーク形モデルおよび線形バックグラウンドモデルを用いた。グラファイト位置合せの範囲は、方位トレース最大の半値全幅(FWHM)とした。記録された値は、2回の測定(2D画像で180度離した)に基づいた標準偏差に従うものである。全範囲は、理論的には0〜180度であり、低い値の方が位置合せが大きいことを示している。
【0080】
粒子の配向はまた、任意で、公知の画像処理技術により支援して、試料を切断し、粒子を数えることにより測定することもできる。
【0081】
【表1】
【0082】
実施例1
図2に示すプロセスおよび装置を用いて、装置可撓性吸熱器物品を作成した。
【0083】
ポリマーAのペレットを単軸押出し機(ニュージャージー州セダーグルーブのキリオンエクストルーダ社(Killion Extruders, Inc. Cedar Grove,NJ)より入手可能な型番KTS−125)に供給して溶融処理した。押出し機の直径は約3.2cm(1.25in)、スクリュー回転数は80rpm、昇温プロフィールは約100℃から約250℃までであった。ポリマーA樹脂を、250℃で加熱ネック管へと押出し機を通して搬送し、最終的には、最大ダイリップ開口部0.102cm(0.040インチ)の250℃に加熱された15.2cm(6インチ)幅シートダイとした。樹脂を、17.2MPa(2500psi)のシートダイから連続的に放出して、溶融ポリマーシートを形成した。
【0084】
図2を参照すると、上述した通りに形成された溶融ポリマーシート210を、1分当たり0.61メートル(2フィート)で回転する、3本の温度制御された、回転する、直径30.5cm(12インチ)の円筒ロールの水平スタックのニップロール220と鋳造ロール230の間のニップ212へ導入した。スタックの3本のロールは全て研磨されたクロムめっき鋼であった。
【0085】
ニップロール220を鋳造ロール230へ0.24MPa(35psi)の圧力で押した。鋳造ロール230は、直径約2mm、深さ約16mm、六角配列のキャビティを含む表面を与えた(同じ横列のキャビティの中心間の距離は約3mm、1つの列の穴の中心から近接する横列の穴の中心まで測定した2つの近接する横列の距離は約2.6mm、近接する横列のキャビティ間のオフセット距離は1.5mmであった)。鋳造ロールおよびニップロールを32℃まで加熱した。
【0086】
溶融ポリマーシート210をニップに供給し、布帛スクリムを同時に、水平スタックのニップロール220と鋳造ロール230の間のニップ212へ供給し、ニップへ回転させた。布帛スクリム250をニップへ回転すると、溶融ポリマーの一部が浸透して、耐久性よく布帛に溶融ボンドされて、ラミネートを形成した。溶融ポリマーをニップロール240の表面により固化すると、ニップロール220からラミネートが剥れて、鋳造ロール230からニップロール240へ沿った。このようにして形成された物品は、ツールから得られるパターンを有しており、続いてニップロール240から剥されて、布帛スクリムバッキングを除去し、一表面にポリマー突出部を有する吸熱器物品とした。吸熱器物品の厚さは合計で0.6cmであり、主寸法(高さ)が約0.5cmのポリマー突出部(ポスト)を備えていた。
【0087】
上記のようにして作成した吸熱器物品の冷却性能について試験した。試料のフットプリントは1.3cm×1.3cmであった。抵抗器の温度は冷却なし(T1)で63℃、ファン冷却(T2)で47℃であった。冷却性能の結果は、T3=39.6℃およびデルタT=7.4℃であった。X線回折(36.5度(3.3標準偏差))を介してかなりの粒子配向が観察された。
【0088】
実施例2
シリコーン鋳型を用いたポリマーCおよびポリマーDからの溶融複製により、図7に示すような2つの可撓性吸熱器物品(2Aおよび2B)を作成した。
【0089】
図7に示すような吸熱器物品を作成するのに用いるシリコーン鋳型を、シリコーン樹脂を市販のアルミニウム吸熱器に鋳造することにより作成した。樹脂を一晩室温で硬化させ、硬化樹脂を吸熱器から除去してシリコーン鋳型とした。
【0090】
ポリマーC(吸熱器物品2Aの作成用)かポリマーD(吸熱器物品2Bの作成用)のいずれかの長さ1.18cm(3インチ)、幅0.32cm(1/8インチ)の厚いプラークを1つまたは2つ鋳型に位置合せして、シリコーンコートされた紙ライナ間に挟んで、190℃(374°F)および454.5kg(0.5トン)の圧力で溶融プレスした後、30秒間冷間プレスして冷やした。溶融プレスの前に、吸熱器物品の鋳型からの剥離を促すために、シリコーン鋳型表面に鋳型剥離剤の薄層をときおり適用した。
【0091】
図7に示す実施例2Aおよび2Bの吸熱器物品は、それぞれ、幅が約1.8mm(0.071インチ)、長さが約1.8mm(0.071インチ)、高さが約3.5mm(0.138インチ)で、中心から中心までの間隔が約4mm(0.16インチ)、ベース部厚さが約1mm(0.039インチ)の正方形マトリックスデザインの正方形のストレートサイドのポリマー突出部を有していた。
【0092】
吸熱器物品2Aおよび2Bの冷却性能を試験し、凹面時計ガラス上で9882接着剤を用いて吸熱器物品2Aの表面ウェットアウト能を試験した。ウェットアウト能は、後の試料より低かった。その理由は、この早期の試作品のベース部表面は粗く、使用可能な最も薄い熱転写テープを用いたためであった。結果を下記の第1表に示す。抵抗器の温度は冷却なし(T1)で71.5℃、ファン冷却(T2)で49.3℃であった。X線回折(42.5度(2.4標準偏差))を介してかなりの粒子配向が観察された。
【0093】
実施例3
図8に示す吸熱器物品を、シリコーン鋳型およびポリマーCを用いて実施例2と同様にして作成した。シリコーン鋳型を市販のアルミニウム吸熱器から作成した。
【0094】
得られた吸熱器物品は、片側にテーパのついたポリマー突出部の正方形マトリックスデザインを有していた。突出部のテーパ側の幅は、上部で約1.6mm(0.63インチ)、突出部がベース部に接合する点で約2.2mm(0.87インチ)であった。突出部の直線側の幅は約2.5mm(0.098インチ)であった。各突出部の高さは約9mm(0.35インチ)であり、突出部の中心から中心までの間隔は約5mm(0.2インチ)であった。吸熱器物品ベース部の厚さは約1.7mm(0.067インチ)であった。
【0095】
吸熱器物品の冷却性能およびウェットアウト能を9882接着剤により凹部表面で試験した。ウェットアウト能は、後の試料より低かった。その理由は、この早期の試作品のベース部表面は粗く、使用可能な最も薄い熱転写テープを用いたためであった。結果を下記の第1表に示す。抵抗器の温度は冷却なし(T1)で71.5℃、ファン冷却(T2)で49.3℃であった。X線回折(38.9度(0.8標準偏差))を介してかなりの粒子配向が観察された。
【0096】
実施例4A、4Bおよび4C
構造化アルミニウム板をシリコーン鋳型の代わりに用いた以外は、実施例2に記載した溶融複製により、図9に示す3つの可撓性吸熱器物品(4A、4Bおよび4C)を作成した。ポリマーE(吸熱器物品4C作成用)を、ポリマーC(吸熱器物品4A作成用)およびポリマーD(吸熱器物品4B作成用)に加えて用いた。
【0097】
得られた吸熱器物品は、厚さ約1mm(0.039インチ)のベース部にテーパの付いた側部レール形状ポリマー突出部(以降レールと呼ぶ)の波パターンを有していた。レールはベース部で約1mm(0.039インチ)からピークで約0.2mmまでテーパがついていた。各レールの高さは約2mm(0.079インチ)であった。
【0098】
吸熱器物品の冷却性能について試験した。結果を下記の第1表に示す。抵抗器の温度は冷却なし(T1)で71.5℃、ファン冷却(T2)で49.3℃であった。粒子配向は測定しなかった。
【0099】
実施例5
図11に示す可撓性吸熱器物品を異型押出しにより作成した。
【0100】
ポリマーCのペレットを、40rpmで操作される、3ゾーンの25.4mm(1インチ)単軸押出し機(ドイツ、カールスルーエのハーケ社(Haake Corp.,Karlsruhe,Germany)より入手可能)へ供給した。押出し機をパージ化合物で清浄にした。単軸押出し機のゾーンの設定点温度は、ゾーン1:170℃(338°F)、ゾーン2:200℃(392°F)およびバレル3:210℃(410°F)であった。ポリマーCを、押出し機を通して、図10に示す形状を有する異型ダイへと処理し、ベース部厚さAは0.76mm、押出し高さBは6.35mm、全体のレール幅Cは22.1mm、突出部Dの幅は0.76mm、近接する突出部レールEの間隔は約1.0mmであった。ポリマーを少なくとも100psi(0.69MPa)の圧力でダイから放出し、直線の連続吸熱器物品を形成するように誘導した。異型ダイを通して押出されたレールに水を流して、ダイから出る際にポリマーを即時に冷却した。
【0101】
得られた吸熱器物品は、約1mm〜2mmの厚さのベース部に直線の側部レールのパターンを有していた。レール突出部は約5.5mm(0.217インチ)の高さであった。近接するフィン間の距離は約0.5mm(0.02インチ)であった。
【0102】
吸熱器物品の冷却性能について試験した。結果を下記の第1表に示す。抵抗器の温度は冷却なし(T1)で71.5℃、ファン冷却(T2)で49.3℃であった。X線回折(47.5度(2.0標準偏差))を介してかなりの粒子配向が観察された。
【0103】
比較例AおよびB
2つの吸熱器(AおよびB)の冷却性能について試験した。比較例Aは、全体の高さが4mmで、16のピンを備えており、比較例Bは全体の高さが10mmでピンは9つであった。
【0104】
【表2】
【0105】
各吸熱器のフットプリントは約1.3cm×1.3cmであり、「NT」とは試験せずという意味である。
【0106】
実施例6
実施例5の手順を用いた異型押出しにより、図11に示すような2つの可撓性吸熱器物品(6Aおよび6B)を作成した。ポリマーBを用いて吸熱器物品6Aを作成し、ポリマーCを用いて吸熱器物品6Bを作成した(実施例5と同様にして作成)。各物品の厚さは約2mmであった。
【0107】
吸熱器物品の冷却性能について試験した。結果を下記の第2表に示す。抵抗器の温度はファン冷却(T2)で53.4℃であった。
【0108】
【表3】
【0109】
実施例7
ホットプレスを用いて、正方形パターンでポリマー突出部を有する7つの吸熱器物品を作成した。
【0110】
厚さ9mmのシリコーンツールに正方形パターンで穴を開けることにより鋳型を作成した。各ポリマー突出部は、所望のポストサイズおよび下記の第3表に示した間隔を有するポストの形状であった。
【0111】
樹脂ペレットを鋳型に配置した。シリコーン剥離紙を、ペレットでカバーされていない鋳型側部のペレットに配置した。「サンドイッチ」構造を加熱(193.5℃(380°F))プラテンに配置した。第2の193.5℃のプラテンをその構造と接触させた。約30秒後、プラテンを8.27MPa(1200psi)の圧力下で約30秒間圧迫した。
【0112】
得られた吸熱器物品をシリコーン鋳型から取外し、冷却性能について試験した。用いた樹脂、ポストの直径、近接するポストの中心間の距離、および冷却性能を下記の第3表に示してある。吸熱器物品ベース部の厚さは1mm〜2mmであった。ポスト直径(mm)はPDと記し、DBCは近接するポストの中心間の距離(mm)である。
【0113】
【表4】
【0114】
実施例8
ホットプレスを用いて、図12に示す六角形パターンでポリマー突出部を有する12の吸熱器物品を作成した。
【0115】
各突出部が、下記の第4表に示した所望のポストサイズおよび間隔を有するポストの形状の六角形パターンであった以外は、実施例7に記載した通りにして、鋳型を作成した。吸熱器物品を、実施例7の手順に従って形成した。
【0116】
得られた吸熱器物品を鋳型から取外し、冷却性能について試験した。用いた樹脂、ポストの直径、ポストの中心間の距離、および冷却性能を下記の第4表に示してある。吸熱器物品ベース部の厚さは1mm〜2mmであった。抵抗器の温度はファン冷却(T2)で47℃であった。第4表において、PDはポスト直径であり、D2は同じ横列の近接ポスト間の距離であり、D3は2つの近接する横列のポスト間の距離であり、D4は2つの近接する横列のポスト間のオフセット距離である。距離は全てミリメートルである。
【0117】
【表5】
【0118】
実施例9
ホットプレスおよび様々な重量比で樹脂ポリマーCとポリマーBのブレンドを用いて、六角形パターンを有する9つの吸熱器物品を作成した。
【0119】
下記の第5表に示す所望のポストサイズおよび間隔を与える鋳型を実施例8と同様にして作成した。吸熱器物品を、実施例7の手順に従って形成した。樹脂は二軸押出し機で予めブレンドしておいてからペレットへと形成した。
【0120】
得られた吸熱器物品を鋳型から取外し、冷却性能について試験した。用いたポリマーC/ポリマーBの重量比、ポストの直径、ポストの中心間の距離、吸熱器物品の厚さ、および冷却性能を下記の第5表に示してある。抵抗器の温度はファン冷却(T2)で47℃であった。第5表において、比はポリマーC対ポリマーBの重量比である。
【0121】
【表6】
【0122】
実施例10〜14および比較例C〜J
ウェットアウト能を、平ガラスおよび2枚の時計ガラス試験基材を、8805接着剤と共に用いて上述した通りにして評価した。第1は小時計ガラス、6インチ(150mm)時計ガラス(シャロウフォームウォッチガラス、火造り端部で覆われた凹、透明、軟ソーダ石灰、ミネソタ州ミネアポリスのVWRサイエンティフィクプロダクツ(VWR Scientific Products,Minneapolis,MN)よりカタログ番号66112−209として入手可能)で、第2は大時計ガラス、8インチ(200mm)の時計ガラス(VWRカタログ番号66112−242)であった。各サイズの時計ガラスの凹凸側を用いた。実施例10および比較例C〜Eの可撓性吸熱器の寸法は約38×38mmであった。ポスト高さが6.5mmで、寸法が27mm×27mmの本発明の可撓性吸熱器を実施例11〜14で試験し、市販のアルミニウム吸熱器(27mm×27mm、ピン高さ10mm)を比較例F〜Jで用いた。結果を以下の表および図13〜図15に示す。図13Aは、図13B〜図13Dに示すアルミニウム吸熱器と比較することができる。図14A(本発明)は、図15A(従来)と比較でき、同様に、図14および図15のB、CおよびDを比較することができる。図14Cは、画像を改善するために1/4トーン改善されたコントラストで示されており、これは、ウェットアウトパーセントを大幅に変えるものではなかった。下記の表および/または図面中の数字を比較すると、本発明のウェットアウトの利点が大きく示されている。
【0123】
【表7】
【0124】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および原理から逸脱することなしに当業者に明白であり、本発明はここに規定した説明のための実施形態に不当に限定されないものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1A】本発明の一実施形態によるロールの形態にある吸熱器物品の斜視図である。
【図1B】本発明の一実施形態による吸熱器物品の側面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による方法のための3本ロール成型装置の概略図である。
【図3】本発明の他の実施形態による方法のための異型押出し装置の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態の吸熱器構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態の中間処理段階の吸熱器を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態の吸熱器構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態の斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態の斜視図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態の斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態を作成するのに用いる異型押出しダイの概略図である。
【図11】図10のダイを用いて作成した本発明の他の実施形態の斜視図である。
【図12】突出部のパターンの概略図である。
【図13A】本発明の一実施形態の平ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図13B】比較例のウェットアウト能を示す図である。
【図13C】比較例のウェットアウト能を示す図である。
【図13D】比較例のウェットアウト能を示す図である。
【図14A】本発明の一実施形態の6インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図14B】本発明の一実施形態の6インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図14C】本発明の一実施形態の8インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図14D】本発明の一実施形態の8インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図15A】比較例の吸熱器の6インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図15B】比較例の吸熱器の6インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図15C】比較例の吸熱器の8インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図15D】比較例の吸熱器の8インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図16】様々なチップ高さに追従する本発明の一面による吸熱器の側面図である。
【図17】本発明の一実施形態による吸熱器物品の側面図である。
【図18】本発明の一実施形態による吸熱器物品の側面図である。
【図19】本発明の一実施形態による吸熱器物品の斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールまたはテープ形態で提供されるものを包含する可撓性ポリマーのヒートシンク(吸熱器)物品および吸熱器物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートシンク、すなわち吸熱器は、対流、放射または更なる伝導により、熱生成コンポーネントから環境へ熱エネルギーを伝導する。吸熱器は、通常、環境に対する熱消失を改善する広い表面積を有している。アルミニウム(または銅のようなその他金属)の押出し品が吸熱器の一般的な形態である。これらの押出し品は剛性ベース部と広い表面積のフィンを有している。金属吸熱器は、通常、導電性であり、電子装置の電磁干渉問題の一因になっている。金属吸熱器のその他の種類としては、様々な形状の可撓性銅ホイルが挙げられ、これは、任意で一主面または両主面に絶縁性コーティングを有していてもよい。セラミックス、金属および焼結吸熱器は、通常、剛性である。
【0003】
熱伝導性ポリマーは、熱交換器、電子装置、両極性板および熱界面材料に用いられている。高モジュラスの熱可塑性または分散された伝導性粒子を含有するエポキシ材料から形成された射出成型吸熱器は、金属ホイルにラミネートされたポリマーフィンからなる複合体吸熱器と説明されてきた。非金属吸熱器は、電磁および無線周波分野の干渉問題を減じることができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡単に述べると、本発明は、ポリマーを含むベース部と、ベース部から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部とを含む可撓性吸熱器物品を提供する。ベース部のポリマーは熱伝導性粒子を含み、突出部のポリマーは突出部内の長寸法の方向に実質的に配向された非球形熱伝導性粒子を含む。可撓性吸熱器は、ベース部分に、および任意でベース部から延在する突出部にある程度の可撓性を有している。
【0005】
他の面において、本発明は、ポリマーを含み、第1の表面と第2の表面とを有するベース部と、ベース部の第1の表面から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部と、ベース部の第2の表面と連続した金属層と、任意で金属層と連続した熱界面材料とを含み、ベース部のポリマーおよび突出部のポリマーが熱伝導性粒子を含み、任意で、熱界面材料がベース部と混和した表面を有し、任意で、吸熱器物品がロール形態で提供されている可撓性吸熱器物品を提供する。
【0006】
更に他の面において、本発明は、多数の熱伝導性粒子を含む第1のポリマー組成物を提供する工程と、多数の非球形熱伝導性粒子を含む第2のポリマー組成物を提供する工程と、第1および/または第2のポリマーから吸熱器ベース部を形成する工程と、第2のポリマーおよび任意で第1のポリマーから吸熱器ベース部と連続した多数の矩形突出部を形成する工程と、任意で、ベース部の第2の表面と連続した金属層を提供する工程と、任意で、ベース部または金属層と連続した熱界面材料を提供する工程とを含み、非球形熱伝導性粒子が突出部の長手方向に沿って実質的に配向されている可撓性吸熱器の製造方法を提供する。
【0007】
本明細書において、「長寸法(major dimension)」とは、粒子の寸法、例えば、直径、長さ、幅、断面または厚さの最大を意味し、「短寸法(minor dimension)」とは、粒子の寸法の最小を意味する。これらの寸法は、公知のスクリーニング技術または粒子分粒装置により直接測定または分類することができる。「実質的に配向された」とは、粒子が、均一配向反射のないX線回折により示される通り、配向されていない、または不規則配向の粒子よりは、かなりの程度、長寸法に平行な軸から+/−45°以内の方向に配向されていることを意味する。ある実施形態においては、配向はこれより大きい。「実質的に同じ」とは、実質的に同じ組成の少なくとも約85wt%が同一であり、実質的に同じ組成間の変化が組成物中の各ポリマーの約15wt%未満である組成のことを意味する。逆に、かかる意味において「異なる」とは、組成が約15wt%を超えて異なることを意味する。「実質的に同じ」組成には、異なる量だが同一の材料が含まれていても良い。
【0008】
本発明は、多くの利点を提供するものであるが、そのうちのいくつかについて説明する。本発明の吸熱器は、少なくとも約5ワット/メートル−ケルビン(W/mK)、より好ましくは少なくとも約10、ある態様においては少なくとも約20のバルク伝導性を有する材料を用いる。アルミニウムは、約200W/mKという非常に高いバルク伝導性を有しているが、吸熱器は意外にも、約30mm未満のポリマー突出部高さでアルミニウム吸熱器の性能に達する。可撓性吸熱器に用いる材料は、特別なバルク伝導性を有しているが、用いる非球形熱伝導性粒子の配向によって、バルク伝導性より高いレベルまで配向方向に沿って伝導性が増大する。
【0009】
本発明の他の利点は、吸熱器の可撓性にある。吸熱器ベース部は可撓性とすることができ、一方、ポリマー突出部も可撓性である、あるいは比較的剛性のままである。このように、本発明の吸熱器は、粗面から平坦でない表面まで、任意の実際的な大きさの平坦でない表面に、さらにはマクロチップ寸法にまで合致するよう適合させることができる。
【0010】
吸熱器の可撓性ベース部によってまた、単一吸熱器物品が2つ以上の同一平面上でない装置で熱消失を行うよう、完全に同一平面上でない表面に吸熱器を配置させることもできる。可撓性によってまた、吸熱器が直接または間接的に取り付けられるコンポーネントおよび/または広い表面構造の衝撃および振動を減じるという制動の点でも利点が得られる(すなわち、可撓性吸熱器によって、直接取り付けられるチップ装置に対する制動がなされ、吸熱器を有するこのチップが取り付けられる印刷回路基板にさらに制動がなされる)。可撓性吸熱器はまた、アルミニウム吸熱器に比べて、雑音伝達も減じ、振動コンポーネントに取り付けると、チューニングフォークと似た音を伝達することができる。
【0011】
吸熱器は、ロール形態で提供でき(例えば、図1Aの可撓性吸熱器は内径約12cmのロールで示されている)、ダイカットによるなどして任意の所望の形状に切断される。吸熱器はさらに、熱伝導性接着層のような熱界面材料層を含んでいてもよい。突出部の品質、位置、サイズおよびベース部の厚さは、熱源の不均一な温度領域に適用するべく、独立して変えることができる。さらに、ウェブ、レール、フィン、ホイル、帆等、任意の組み合わせを用いて、熱および気流を誘導することができる。ポリマー突出部は、一定または異なる高さおよび/または形状とすることができる。接着剤を含んでいてもよいポリマー突出部およびベース部は、様々なプロセスにより独立して、または同時に作製することができる。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の好ましい実施形態の説明および特許請求の範囲から明白となろう。本開示の原理の上記概要は、例示の各実施形態または本開示のそれぞれの実施を説明することを意図するものではない。以下の図面および詳細な説明により、ここに開示された原理を利用した特定の好ましい実施形態により詳細に実証する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、ポリマーを含むベース部と、ベース部から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部とを含む可撓性吸熱器物品を提供する。ベース部のポリマーは熱伝導性粒子を含み、突出部のポリマーは突出部内の長寸法の方向に実質的に配向された非球形熱伝導性粒子を含む。熱流の一次方向は、一般的に、突出部の長寸法に関係している。このように、粒子配列を用いると、不規則な粒子配列よりも即時に、熱源から離して熱の方向を変えることにより効率的に吸熱器を改善することができる。一面において、熱流の好ましい方向の熱伝導性は、好ましい方向に垂直な方向の熱伝導性よりも少なくとも約5%以上、より好ましくは少なくとも約10%以上(あるいはこれより大きい)である。もう1つの面において、熱流の好ましい方向の熱伝導性は、好ましい方向に垂直な方向の熱伝導性よりも少なくとも約1.5〜約5以上(さらにこれより大きい)係数である。
【0014】
図1Bに、本発明の一実施形態による吸熱器物品20の側面断面図が示されている。吸熱器物品20は、複数のポリマー突出部26を備えた第1の表面24を有するベース部21を含んでいる。ポリマー突出部は、規則的または不規則な配列で構成してよい。ポリマー突出部は、別個の実質的に垂直なポスト、円錐または延在する列またはレール、またはこれらの組み合わせであってよい。ポリマー突出部の集団は、異なる高さおよび/または形状である。針葉樹に似たアンダーカット特徴部分を備えた六角またはその他多角形、対角線、正弦、レール/ポスト等の任意のレイアウトをポリマー突出部に用いることができる。
【0015】
ポリマー突出部26およびベース部21は、任意の公知のポリマー、特に、溶融処理可能または押出し可能なポリマーから作成することができる。好適な例としては、熱可塑性ポリマー、エラストマーポリマー、熱硬化性ポリマーおよび熱可塑性エラストマーが挙げられる。かかる材料の2種類以上を、層およびブレンドのような組み合わせて用いてよい。さらに、ポリマー突出部26およびベース部21は、同じまたは異なる材料を含んでいてもよい。熱硬化性ポリマーは、化学または熱剤、触媒、放射線、熱、光およびこれらの組み合わせを介する等、任意の公知の手段を介して架橋できる。一面において、ポリマーのガラス遷移温度は約25℃未満、より好ましくは約10℃未満、さらには約0℃未満である。すなわち、ポリマーは室温では完全には硬いガラス状ではない。
【0016】
図1Bの実施形態において、ベース部21はポリマー材料のポリマー突出部26と一体形成されている。これは突出部と同じ材料であってもなくてもよい。突出部およびベース部のポリマーは同一、同様または異なっていてもよい。本発明の一態様において、突出部およびベース部は実質的に同じポリマー組成で構成されている。「実質的に同じ」とは、実質的に同じ組成の少なくとも約85重量パーセント(wt%)、より好ましくは少なくとも約90wt%、ある実施形態においては少なくとも約95wt%が同一である組成を有することを意味する。実質的に同じ組成間の変化は、これに対応して、組成物の各ポリマーの約15wt%未満、より好ましくは約10wt%未満、ある実施形態においては約5wt%未満である。逆に、かかる意味において「異なる」とは、組成が約15wt%を超えて異なることを意味する。突出部およびベース部に用いる特別な熱伝導性粒子の選択および量は同一、同じまたは異なる。この選択は、ポリマーの選択からは独立して変更することができる。本発明の一態様において、特定のポリマーおよび粒子は、同一または同じであり、製造の複雑度が減じる。
【0017】
ベース部21とポリマー突出部26の組み合わせは、吸熱ウェブ(ヒートシンクウェブ)と呼ぶことができる。ポリマー突出部26は、略平行な側壁(例えば、円柱)を有していても、僅かにテーパ35を有していて、鋳型からの取外しを促進してもよい。図1Bの突出部は、長寸法28(高さ)および短寸法29(幅、最低のテーパで示されている)および近接するポリマー突出部26間の距離30で示されている。すなわち、断面幅より高さが大きい。一態様において、矩形、三角、梯形、半球、T、「クリスマスツリー」、逆アンカおよびその他断面へと導かれる直線および/または湾曲側壁のような、所望の二次元形状をポリマー突出部に用いることができ、これらはアンダーカット特徴部分で具体的かつ任意で言及した組み合わせであってもよい。他の態様において、円筒、円錐、円錐台、角錐、角錐台、半球、半球台、矩形、四角形、六角形、八角形、その他多角形形状等任意の三次元形状をポリマー突出部に用いることができる。当業者であれば、特定の目的に好適な形状および特定の形状に合ったプロセスを見分けられる。さらに、混成形状にはプロセスの組み合わせを用いることができる。
【0018】
1種類以上の形状を吸熱器物品20に用いることができる。特定の形状の選択は、表面積、形状周囲の気流、可撓性、伝導性等をはじめとする特質により決まる。テーパのついた幅を有する形状であってもよい。突出部は、平坦、丸、波または不規則形状のような任意の形状で終わらせることができる。ポリマー突出部は同じまたは異なる高さを有していてよい。突出部の側部は、平坦、凹凸または不規則形状のような突出部形状と適合性のある任意の形状としてよい。さらに、突出部は、突出部の最薄部分より少なくとも10%広い、より好ましくは少なくとも15%広く膨張した表面積の上部分を備えたポストを含んでいてもよい。上部は、マッシュルーム、爪、傘、帽子、電球、逆翼、矢印、フック、二重フックまたは三重フックのような形状であってもよく、全体の形状に加えて、凹凸を独立して備えており、また上部は対称でも非対称であってもよい。追加の上部特徴部分は、吸熱器周囲の気流を支援し、表面積を加えて熱損失を改善することができる。かかる突出部は、冷却流体(空気、水またはその他流体)の流れを補助または誘導して、熱移動効率を増大したり、突出部周囲を流れる冷却流体の使用を改善することができる。冷却流体の流れを誘導して、吸熱器の設計によってより完全に通過させて、全体の吸熱器設計の消失性能を改善し、冷却媒体の使用においてよりフレキシブルなシステム設計を与えることができる。突出部上の特徴部分はまた、「新鮮な」冷却媒体を吸熱器設計の特定の部分へと導くことができるような設計とすることもできる。新鮮な冷却流体(空気、水、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company, St.Paul,MN)製フロリナート(登録商標)(Fluorinert)フッ素化流体等)を、失われる冷却媒体を補充/交換する吸熱器設計の中間(所望の部分または領域)へと導くことができる。例えば、一態様において、吸熱器設計の中間領域が、一方の流れ方向から主として導かれる冷却媒体を用いるように冷却流体は導かれ、新鮮な媒体は、吸熱器設計の側面で最初に入った他の冷却流体が失われるにつれて、吸熱器内部ボリューム領域(ポリマー突出部により成形されたボリューム)へと導かれる。この追加の新鮮な流体は、吸熱器に対する冷却流体の全体の流れを増大することができ、吸熱器設計における冷却流体の圧力も増大することができる。吸熱器領域における冷却媒体の全体の流れを増大させると、全体の熱移動および吸熱器性能が改善される。ポリマー突出部の流体を導く上部はまた、周囲の突出部よりも高い突出部にあり、低い突出部上、周囲またはその上に延在する特徴部分を有していてもよい。低い突出部はこれらの追加の特徴部分を有していてもいなくてもよい。本発明におけるかかる設計の変更によって、主に、熱を消失するポリマー突出部と、熱を消失し、冷却流体を導いて、特定の設計において選択された様々な種類のポリマー突出部中での熱消失を改善する上部特徴部分を備えた他のポリマー突出部とを備えた、可撓性吸熱器が提供される。
【0019】
本発明の一面において、ポリマー突出部の少なくとも一部はまた、延在する帆を備えたマストの形状を採ってもよい。帆は、マストの一部分または全部に含まれていてよく、可撓性吸熱器ベース部の上、かつ/またはこれを超えて延在することができる。帆は表面積および熱損失を増大する。一態様において、帆は、ベース部に直接接続されていないため、吸熱器の曲げ剛性に悪影響は及ぼさない。
【0020】
他の面において、本発明のポリマー突出部は、溝、ディンプル、リセスおよび/またはリブ等追加の特徴部分を有している。これらの特徴部分を設計すると、突出部周囲の流体の流れを修正することができる。例えば、追加の表面特徴部分によって乱流を増大することができる。より多くの乱流の流れは、吸熱器突出部から冷却流体周囲までの熱の伝達を改善する。追加の特徴部分はまた、ある突出部の種類によっては熱移動表面積も増大することができる。
【0021】
任意の公知の熱伝導性粒子を本発明に用いることができる。カーボンブラック、ダイヤモンド、カーボンファイバー、金属またはニッケルのようなその他の伝導性材料でコートされたカーボンファイバー、セラミックファイバーメッシュ、セラミックスであり、例えば、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウムを含むセラミックス、金属ホイルを含めた、アルミニウム、酸化鉄、銅、ステンレス鋼等のような金属が挙げられる。好適な粒子は、サイズ、種類(六角、斜方晶、立方体等の結晶形態等)、凝集粒子サイズ、アスペクト比、粒子の表面物理特性を向上する表面コーティング、pH特性(例えば、ルイス酸またはルイス塩基粒子をはじめとする酸性、塩基性)および粒子ブレンドにより変えることができる。中空、中実、または金属コートされた粒子を用いてもよい。当然のことながら、ホイルおよび/またはメッシュ材料は、ポリマー突出部26のシートではなく粒子として提供され、かかるシートまたはスクリムをさらにベース部21に用いることができる。粒子はまた、電磁および/または無線周波数(EMI/RFI)での干渉を吸収または減少するべく選択してもよい。かかる粒子としては、酸化鉄およびニッケルコートされた粒子が挙げられる。ポリマー突出部および/またはベース部はスクリムを含んでいてもよく、ニッケルまたはニッケルされたコートスクリム、カーボンスクリム、ニッケルコートされたカーボンスクリムおよびこれらの組み合わせから任意で選択される。粒子のサイズを選択して、ポリマー(好ましくは均一なもの)内の熱伝導性、適切な分配および粒子配向を提供する。特定の選択および配向の詳細は後述してある。一態様において、長寸法が少なくとも約5ミクロン(μm)の粒子が用いられる。非球形または矩形粒子はポリマー突出部の長寸法に沿って配置されている。これらの粒子は、約1対1を超える、より好ましくは約1.25、さらには1.5対1を超えるアスペクト比(長寸法対短寸法)を有している。他の態様において、矩形粒子のアスペクト比は約2対1を超える、より好ましくは約5対1を超える、10対1またはそれ以上である。
【0022】
ポリマー突出部26もまた可撓性とすることができる。一実施形態において、突出部は、偏向が突出部の最薄の領域で生じるときに、破断、亀裂または塑性変形することなく、突出部の中心線から離れる突出部の厚さ(最薄の領域)の少なくとも約50%偏向可能である。すなわち、円錐状突出部の特定の実施形態は、厚み(直径)のあるベース部分よりも薄い(円形断面の場合には直径)先端領域でより偏向する。
【0023】
ポリマー突出部は、任意の有用なサイズとすることができる。最低有用なサイズは、熱生成表面から熱を消失させるものである。通常、最低高さは、少なくとも約0.5mm、より好ましくは少なくとも約0.7mm、さらに1mmである。最大高さは、意図する用途、ロール様式、製造のし易さ、熱消失および可撓性のような因子により制限される(例えば、非常に高い可撓性突出部は、曲がって、冷却流体の流れを制限する恐れがあり、一方、短い突出部は実質的に垂直なままとなる)。通常、最大高さは、ある実施形態においては、約30mm未満、より好ましくは約20mm未満、さらに15mmである。吸熱器に用いる材料の伝導性が増大すると、ポリマー突出部の最大有用な高さが増大し、30mmを超える高さが有用である。ポリマー突出部寸法および間隔は、最適な熱移動のために設計されており、最大に達するまで、表面積を増大すると、通常、熱流が増大する。同様に、単位ベース部面積当たりの多いポリマー突出部は、通常、最大に達するまで熱流を増大する。通常、冷却流体の流れの突出部間の距離は少なくとも約0.5mm、より好ましくは少なくとも約1mmである。
【0024】
一実施形態において、低出力用途に有用な吸熱器は、約15mmまでの最大高さを備えたポリマー突出部と、独立して、約10mmまでの最大ポスト直径、同じく独立して、約7または8mmまでのポスト間の間隔を有しているのが好ましい。これより小さい寸法だと、熱性能が悪化し、これより大きな寸法だと、性能は改善されず、原材料が多く必要になってコストが増大する。設計の詳細は、「吸熱器の設計および分析(Design and Analysis of Heat Sinks)」クラウスおよびバーコーエン、ジョンウィリー・アンド・ソン社、ニューヨーク(Kraus and Bar−Cohen, John Wiley and Sons, Inc., New York)(1995年)、239〜271頁にある。
【0025】
通常、突出部は、ベース部の厚さの少なくとも半分で、ベース部より上に延在している。ベース部の厚さ対突出部の高さの比率は、少なくとも0.5:1、少なくとも1:1、少なくとも1:2、少なくとも1:3、少なくとも1:6および少なくとも1:8から選択される。
【0026】
ポリマー突出部26は非球形粒子を含む。これらの粒子は矩形であり、各突出部内で長寸法の方向に沿って実質的に配列されている。高いアスペクト比の粒子としては、ファイバー、ロッド、ニードル、ウィスカ、楕円面およびフレークが例示される。
【0027】
ポリマーブレンドのバルク伝導性が増大すると、高い突出部が熱消失を補助する。非球形粒子の配列が増大すると、配列方向に沿った伝導性が増大し、粒子密度が増大して、さらに熱消失が改善される。例えば、窒化ホウ素板のx−y面に沿った熱伝導性は、板の厚さ(z方向)よりも大きい。窒化ホウ素六方晶構造のZ方向の熱伝導率は2.0W/mKであり、x−y面の熱伝導率は400W/mKである。これは、「熱伝導性エポキシ化合物フィラーの特徴および性能(Characterization and Performance of Thermally Conductive Epoxy Compound Fillers)」R.Fヒル、SMTA国際シンポジウム(National Symposium )「新生パッケージング技術(Emerging Packaging Technologies)」ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク(Research Triangle Park, NC)、1996年11月18〜21日に記載されている。配向は、ポリマーマトリックスの粘度を減少する、ファイバーのような高アスペクト比の粒子を用いる、溶融形成中の剪断を増大する、略球状粒子に沿って板および/またはファイバーのような異なる粒子タイプの組み合わせを用いて、伝導性を改善し、かつ配向を改善する等の様々な手段により改善することができる。配向は、公知の方法、例えば、x線回折により示すことができる。
【0028】
ベース部21は、ベース部の可撓性を修正するべく選択された1つ以上の特徴部分を含んでいてもよい。例えば、ギザ、スリット、チャネル、カットアウト、ノッチ、穴、スルーホール、ヒンジ、異なる厚さの領域またはこれらの任意の組み合わせを用いて、ベース部の可撓性を増大することができる。ベース部の可撓性は、方向を変えたり、異なる設計にすることができる。例えば、可撓性を、突出部材の設計のために異なる曲げ剛性を与えるために、幅より高さの高い単一のモノリシック要素または複数の要素の突出部の設計に基づいて一方向に高くすることができる。曲げ剛性はまた、突出部アスペクト比、曲率、うねり、ベース部からの異なる全体の高さ等、任意の方向に吸熱器物品20を超えて変えることもできる。図16に、吸熱器100が回路基板112上の様々な高さのチップ110に可撓性をもって合致する一実施形態を示す。チップ110は比較的平坦に示されているが、本発明の吸熱器は、凹凸面のある代表的な市販のチップに合致するものである。
【0029】
図17に示す実施形態において、吸熱器ベース部122は回路基板126のチップ124に適合されている。吸熱器120はチップ124の低出力領域と連続した薄いベース部領域を有しており、吸熱器120はチップ124の高出力領域と連続した厚いベース部領域を有している。図18に示す実施形態において、吸熱器130は成形面に接触するべく適合されたベース部132を備えて示されている。図示した実施例において、回路基板136は、ベース部132へと設定される露出またはパッケージングチップ134を有している、またはベース部132はチップまたはパッケージング装置の少なくとも一部を許容すべく適合されたキャビティを有していてもよい。図19に示す他の態様においては、ベース部142は、チップまたはパッケージング装置の上面を超えて、任意でチップまたはパッケージング装置の1つ以上の側部の少なくとも一部周囲に延在できる。吸熱器ベース部は波形としたり、波形層を含むことができる。吸熱器ベース部は、バッキング層のような選択的に不均一な表面または1枚以上の追加の層を適用するようなテクスチャードまたは輪郭のある表面を含むことができる。
【0030】
図1Bを参照すると、さらなる層(例えば、22、34、36)が任意でベース部21の第2の表面25に適用されている。バッキング層22は、吸熱器物品20を安定化および/または強化する、伸張に抵抗し引裂き抵抗を改善する、および様々なその他機能等さらなる機能性を提供する。バッキング層22は、例えば、接着剤、または自身を接着剤とすることのできる熱界面材料とすることができる。任意のバッキング層34を、同様の目的に用いてもよい。この場合は、バッキング層22は強化層とすることができる。
【0031】
バッキング層22および/または34は、熱生成装置の表面に吸熱器物品20を取り付けるために提供することができる。取り付けが接着剤ボンドであるときは、剥離ライナ36を用いることができる。例えば、吸熱器物品20のロールを自身の周囲に巻きつけるときは、剥離ライナ36を用いることができる。このように、バッキング層は、ポリマー突出部を支持する1枚以上の層を含むことができる。ある実施形態において、1枚以上のバッキング層をポリマー突出部と一体化させることができる。任意の公知の形成プロセス、例えば、共押出し、コーティングおよびラミネーションをバッキングに用いることができる。
【0032】
任意の接着剤層は、一般に、熱生成装置または熱生成装置が装着された基材にボンドを与えるために選択された材料を含む。感圧、熱硬化性、熱可塑性、ホットメルト、または他のサーマルボンドフィルム、放射線硬化または硬化性、溶剤活性化可能または溶剤活性化、低表面エネルギー接着剤およびストライプ、島または層のようなこれらの組み合わせといった任意の公知の接着剤タイプを用いることができる。エポキシ、ウレタン、合成ゴム、天然ゴム、ポリオレフィン、シリコーン、イオノマー、シアネートエステル、アクリルおよび組み合わせ、不連続領域またはこれらの層のような任意の公知の接着剤の化学的性質を用いることができる。例えば、高粘着性接着剤の領域は、本明細書に記載したような高熱伝導性熱界面材料の領域で不連続にしてもよい。接着剤は、強化フィラメントや熱伝導性粒子のような特定の目的のために通常含まれる1種類以上の公知の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、難燃剤、可塑剤、粘着付与剤、処理助剤、帯電防止剤および油が例示される。有用な難燃剤としては、ハロゲン化および非ハロゲン化有機化合物、有機リン含有化合物(有機リン酸塩等)、無機化合物および元々難燃性のポリマーが挙げられる。これらの添加剤を接着剤に添加または組み込んで、難燃性を改善する。難燃添加剤の性質は重要ではなく、単一の添加剤または2種類以上の別個の難燃添加剤の混合物を用いることができる。かかる難燃添加剤の詳細な説明は米国特許第6,280,845号明細書にある。選択した態様において、かかる難燃添加剤のレベルは、UL−94格付けV1および/またはV0に適合する可燃格付けを与えるように設定する。
【0033】
バッキング層22は任意で接着剤にラミネートまたは含浸することができる。用途に応じて、接着剤は吸熱器物品を表面に剥離可能にボンドまたは永久ボンドしてよい。剥離可能なボンディング接着剤としては、例えば、再加工可能、熱剥離可能、伸張剥離可能、溶剤剥離可能等の材料が挙げられる。
【0034】
任意の熱界面材料層は、相変化材料、グリースまたは共晶合金相変化材料を含んでいてよい。相変化材料は、熱伝導性フィラーの入ったワックスベース部(一般的にパラフィンワックス)である。グリースは炭化水素系またはシリコーン系とすることができる。共晶合金は、相変化または融点の比較的低い金属合金である。錫、インジウム、鉛、カドミウム、ビスマス、金、銀、銅等の材料を様々に組み合わせて作成して、最終用途および所望の製造適用方法の温度範囲にわたって所望のレオロジー特性を与えることができる。熱界面材料は、同じ材料の不連続領域、または2種類以上の材料の不連続領域に提供することができる。ベース部および/または熱界面材料にキャリパー変化を与えてもよい。例えば、かかるキャリパー変化は、熱流、接着、表面ウェットアウト、接触面積および可撓性から選択される1つ以上の特性を改善することができる。通常、これらの特性の1つ以上の改善が望ましい。一態様において、ベース部は、ポリマー突出部の下附近に薄い領域と、ポリマー突出部間に厚い領域を有していて、これによって全体のベース部可撓性が維持され、ポリマー突出部に対する熱伝導性が増大する。かかる実施形態において、熱界面材料は、ベース部の下側のキャリパー変化に適用して、熱生成コンポーネントとの接触のために全体に平滑な表面を与えることができる。これによって、熱源からの熱流を大きくできる薄い領域と、大きな機械的剥離接着力を与える厚い領域を提供することによって、熱流を改善することができる。
【0035】
本発明の可撓性吸熱器はまた、吸熱器と、それが取り付けられる構造間の熱膨張係数(CTE)の差により生成される応力も減じる。例えば、本発明の吸熱器のCTEは、吸熱器を取り付けるパッケージのCTEより大きくてよい。応力はCTEかけるモジュラスの積であるため、本発明の可撓性吸熱器の低モジュラスによって応力が減じる。さらに、上述した制動特性(または後述の粘弾性挙動)によって、経時で応力が弛緩される。これは、公知の金属吸熱器物品では達成できない。
【0036】
可撓性吸熱器ベース部および/またはポリマー突出部に用いるポリマーのヤング率を70°F(21℃)で測定すると、一般的には100,000psi(689MPa)、好ましくは40,000psi(276MPa)、最も好ましくは15,000psi(103MPa)である。比較として、アルミニウムのモジュラスは約10,000,000psi(68,950MPa)である。
【0037】
本発明の吸熱器の可撓性によって、室温で、吸熱器機能に大きな悪影響を及ぼすことなく、約30cm未満、より好ましくは約10cm未満(ある実施形態においては、約5cm未満、さらにそれより下)の半径まで曲げられる。すなわち、吸熱器は、破損したり、ねじれたり、吸熱器と、熱生成基材間にギャップを残す形状まで大幅に塑性変形しない。一方、アルミニウム吸熱器は永久湾曲したり、ねじれる。他の態様において、1〜3mmの厚さのベース部を有する吸熱器試料は、人間が自力で容易に適用できる力、好ましくは約350kPa未満、より好ましくは約175kPa未満、最も好ましくはこれより低い力で約30cm未満の半径に合致する。1〜3mmの厚さのベース部を有するかかる合致し易い吸熱器は、約100,000N/m未満の剛性を有している。本発明の吸熱器は、適用したら吸熱器が「スプリングバック」しないような低レベルの弾性回復力を有しているのが好ましい。
【0038】
可撓性吸熱器に用いる熱導電性フィラーと混合したポリマーの曲げモジュラス(ISO−6721−1のような単一片持ちばりビーム法を用いる)は、70°F(21℃)で測定すると、通常、約10GPa未満、より好ましくは約7GPa未満、ある実施形態においては、約5、1未満、さらには約0.5GPa未満である。本発明の2つの原型の吸熱器を測定した。より可撓性の吸熱器の曲げモジュラスは約47MPa(およびTg−16℃)であり、可撓性の少ない吸熱器の曲げモジュラスは約3400MPa(およびTg−60℃)であった。剛性は本発明に有用な可撓性の他の尺度である。剛性は、通常、厚さの三乗で増大する。低曲げモジュラスの材料を用いると、吸熱器の可撓性を維持しながら、より厚いベース部を形成できる。本発明のベース部(厚さ1〜3mm)の剛性は、好ましくは約100,000N/m未満、より好ましくは約50,000、40,000、30,000未満、さらに約20,000N/m未満である。他の実施形態において、ベース部材料の剛性は、約10,000N/m未満、より好ましくは約5、1未満、さらに0.5N/mである。これとは対照的に、比較のポリマー吸熱器ベース部(厚さ2.9mm)の剛性は400,000N/mを超え、曲げモジュラスは約7400MPa(およびTgは90℃を超える)、比較例のアルミニウム吸熱器ベース部(厚さ1.9mm)の剛性は550,000N/mを超え、曲げモジュラスは約95GPaである。機械的特性を試験する前にポストを除去した。
【0039】
可撓性吸熱器ベース部および/またはポリマー突出部に用いるポリマーの制動損失係数(いかに効率的に材料が振動、衝撃エネルギー、音等を消失するかの尺度)は、70°F(21℃)で測定するときに、最終用途設計、および吸熱器に取り付けられる構造に振動および/または衝撃制動を加えるために吸熱器を用いる程度に応じて異なる。最終用途構造に取り付けるときに、吸熱器の一般的な操作温度で加えられた制動については、損失因子は、一般的に、約0.01を超える、好ましくは約0.10を超える、最も好ましくは約0.30を超える。比較として、アルミニウムの損失係数は室温で約0.001である。本発明の吸熱器は、一般的に、近接するコンポーネントからの振動、ブザーまたはその他音を増幅しない。
【0040】
本発明の吸熱器のその他の利点は、自身およびそれが取り付けられる構造に対する機械的損傷に抵抗する能力である。可撓性吸熱器設計のポリマー突出部およびベース部の可撓性によって、曲がったり、湾曲したり、偏向したり、かつ/または力(例えば、衝撃力、異なるエネルギーおよび期間の振動力)を吸収することができる。例えば、衝撃力は、吸熱器が取り付けられる熱生成装置にはあまり伝達されず、吸熱器および装置への損傷を最小とすることができる。吸熱器は、それが取り付けられる装置の振動制動器または防振装置として作用する。これとは正反対に、比較例の金属の吸熱器設計は、全ての力を熱生成装置に伝達する。所望の温度および周波数(例えば、70°F(21℃)および500Hz)での、可撓性吸熱器を用いる、衝撃、振動および/または衝撃力の伝達は、同じ力をかけたときの、同様の幾何形状の比較例のアルミニウム吸熱器に比べて、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも約50%減じる。例えば、既知の重量の振り子は、既知の量の衝撃エネルギーを、吸熱器の突出部の一部に与え、その構造に伝達されたエネルギーの量は公知の手段により測定される。衝撃による突出部の塑性変形を測定する。吸熱器を取り付けた熱生成構造への損傷(例えば、チップ破損、応力、ベース部の構造からの剥離等)、および繰り返しの衝撃に対する吸熱器の能力を測定する。本発明の吸熱器は堅牢であり、製造および/または使用環境で生じる衝撃力により容易に損傷(永久塑性変形)されることはない。一態様において、本発明の吸熱器は、衝撃力から、好ましくは元のX−Y−Z体積位置の50%以内(好ましくは25%以内、より好ましくは10%以内)まで回復できる。本発明の吸熱器は、誤って接触したコンポーネントまたは構造を容易に損傷することはなく、それが取り付けられた構造へ、最大の衝撃力の大量の機械的エネルギーを通過させることはない。さらに、損傷が生じても、可撓性吸熱器の局所になると考えられる。
【0041】
本発明の吸熱器は、可撓性吸熱器が装置の寸法に合致して、装置に過剰の力を伝達するよりも過剰の取り付け力下で弾性変形したり偏向するため、熱生成装置を損傷するリスクを少なくして取り付けることができる。これとは対照的に、公知の吸熱器は剛性で、これらの力を伝達して、装置損傷のリスクが遥かに大きい。
【0042】
改善された表面ウェットアウトが本発明の他の利点である。本発明の吸熱器は、平面、平面でない、波形またはその他表面に合致して、熱生成装置表面の平面さに依存することなく良好な熱界面を提供する。通常、透明な試験基材を用いてウェットアウト属性を判断する。試験基材としては、平ガラスおよび様々な直径の時計ガラスが例示される。一態様において、ベース部の厚さおよび接着剤および/または熱界面材料厚さの組み合わせを選択して、少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約70%の基材表面ウェットアウトを与える。他の実施形態において、ベース部の厚さおよび接着剤および/または熱界面材料厚さの組み合わせを選択して、少なくとも約80%、90%、さらには99%の基材表面ウェットアウトを与える。
【0043】
好ましい界面は、最低量の空気またはボイドをトラップして、表面界面と密着する。本発明の吸熱器の可撓性および表面に合致する特徴によって、遥かに薄い熱界面材料(テープ、パッド、エポキシ、グリース、ペースト、合金相変化材料、相変化材料等)を吸熱器ベース部と熱生成表面の間に用いることができる。薄い熱界面材料は、熱生成構造と可撓性吸熱器の間の熱インピーダンスを減じ、かつ、可撓性吸熱器と熱生成構造の間の密着性を維持する。押出しアルミニウムの従来の吸熱器は、円筒度(TIR)により測定すると、1インチ長さ当たり0.001〜約0.005インチ(1mm長さ当たり0.025〜0.127ミリメートル(mm))の範囲の平面度を有している。平面でないこと、吸熱器毎に存在し得る製造のばらつき、および従来の非可撓性吸熱器の元々の剛性により、平面でない吸熱器により生じるギャップを熱界面材料で確実に充填するには厚い熱界面材料が必要とされる。可撓性吸熱器設計は、可撓性および合致しやすさによりこの欠点を克服するものであり、容易に平坦化または平滑化でき、熱生成構造の表面に非常によく適合する。構造表面が平面でない場合には(一般的なチップ装置のプラスチックまたはセラミックパッケージの凹凸形状におけるTIRは1〜9ミル(0.025〜0.229mm)である)、従来の高モジュラスアルミニウム押出し吸熱器は、さらに厚い界面材料、または平面でない剛性吸熱器と平面でない構造の間の不均一性を充填するために非常に合致し易い界面材料(エポキシやグリース等)を必要とする。当然のことながら、かかる厚い熱界面材料領域には、高い熱インピーダンスが付随してくる。
【0044】
熱界面材料(例えば、エポキシ、グリース、相変化材料、ペースト、テープ等)は、材料のコスト、および吸熱器を熱生成構造に提供するための全体のシステムコストに対する製造の複雑さを付加するものである。吸熱器およびそれが適用される構造が平面でなければないほど、非可撓性の従来の吸熱器では、ギャップを確実に充填するために大量の熱界面材料が必要となる。厚い熱界面材料にはまた、高熱インピーダンスに加えて欠点がある。例えば、グリースは、周りを汚し、構造および吸熱器表面を汚染する可能性があり、さらに、吸熱器を保持するのに、クリップ、ネジまたはその他機械的な手段を必要とする。このように、一般的な押出しアルミニウム吸熱器は、匹敵する表面ウェットアウトを得るためには、本発明の可撓性吸熱器に比べて、大量の熱界面材料(これに伴う低い熱インピーダンス)を必要とする。
【0045】
熱界面材料でギャップを充填するとまた、吸熱器と熱生成構造間の捕捉空気の可能性も増大し、これはまた熱導電性を減少させる。具体的には、空気の熱伝導性は約0.02W/mKであるが、多くの熱界面材料は約0.1W/mK〜約20W/mK以上である。このように、吸熱器と構造間の界面中の空気が熱インピーダンスを増大する。本発明の可撓性吸熱器は、熱生成表面に合致してこの懸念を最小にし、ギャップを最小にする。
【0046】
ウェットアウト対界面での熱インピーダンスの程度も変化する。追加の熱界面材料なしで可撓性吸熱器を用いたアセンブリは、低ウェットアウトパーセント(界面材料に対して)を有するが、熱流が漸進的であるため、低出力用途にもまだ使うことができる。一般的に、アセンブリに望ましいパーセントウェットアウトは、(1)ワット/in2でのチップ出力密度、(2)冷却されるチップまたは熱生成品目の所望の操作温度および(3)冷却媒体のタイプ、温度および吸熱器突出部設計の流量をはじめとする因子に依存している。冷却媒体の流れおよび温度が固定しているとすると、チップの出力が増大すると、冷却(または加熱)される構造と接触する可能性のある界面ベース部領域の全体の熱的流れという点で、吸熱器ベース部と構造の間の界面でのウェットアウトの程度の影響がより重要になるということが分かる。出力密度が増大するにつれて、パーセントウェットアウトはより重要になる。第2の熱界面材料を加えずに、本発明の可撓性吸熱器を用いる理由としては、(1)より低コストの構造の可能性、(2)低出力密度用途については、界面材料なしで得られるウェットアウトの程度がシステムの所望の操作温度範囲に見合うことが挙げられる。より合致し易いポリマーを本発明の吸熱器ベース部に用いると、熱界面材料の厚さを減少または最小(さらには排除)して、可撓性吸熱器の直接コストが低くなる。例えば、シリコーンやフルオロポリマーエラストマーのような軟性ポリマー材料を、熱生成構造と直接接触するベース部材料として用いることができる。本発明の全吸熱器物品はまた、シリコーンまたはフルオロポリマーエラストマーをポリマーとして用いることもできる。この設計には、ある程度の圧力下でそれを適所に保持して、良好な界面接触を適用中に確実に維持するために、追加の機械的チップ、スクリムまたはウェブを必要とする場合がある。ウェットアウトの程度は、圧縮圧力により異なり、一般的には2〜50psi(13.8〜345MPa)の範囲またはそれ以上である。この設計には、吸熱器を適所に保持するのに十分な材料内の接着レベルが含まれる。
【0047】
例えば、約1.5×1.5インチ(38×38mm)で、TIRが1インチ当たり約0.002〜0.003インチ(1cm当たり0.005〜0.008cm)のベース部を備えた一般的な押出しアルミニウム吸熱器は、平ガラスパネル(インチ当たり約0.001インチ(cm当たり0.0025cm)の平面度)上に約70%を超える表面ウェットアウトを得るために約0.015インチ〜約0.020インチ(0.038〜0.51cm)の熱伝導性テープ(3Mブランド8815または3M8820熱伝導性熱界面テープ、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Co., St.Paul,MN)より入手可能)を必要とする。同じベース部寸法の可撓性吸熱器設計では、このガラスパネル上に少なくとも約75%のウェットアウトを得るためには、僅か約0.002〜0.005インチ(0.05〜0.13mm)の厚さのテープしか必要としない。このように、本発明は、可撓性吸熱器およびより薄い熱界面を提供して、押出しアルミニウム吸熱器と厚い熱界面テープの組み合わせに比べてコストおよび熱インピーダンスを減じる。
【0048】
可撓性吸熱器物品にはまた、伝導性、機械的強度および/または接着力のような1つ以上の特性を改善するために選択された向上層も含めることができる。この層には、プライマーまたは接着促進剤、スクリム(熱伝導性ポリマー、フィラー、ニッケルまたはニッケルコートされたスクリム、カーボンスクリム、ニッケルコートされたカーボンスクリム、これらの組み合わせおよび/またはブレンド材料)、配向ワイヤ、不規則ワイヤメッシュ(スチールウール等)、不織メッシュ(セラミック、金属等)またはホイル(アルミニウム、銅等)が含まれていてもよい。スクリムは、ベース部に対していくつかの高熱伝導性材料のベース部の内側、外側または部分的に埋め込むことができ、これは可撓性吸熱器設計(例えば、可撓性ポリマーケース中のワイヤ)の可撓性に大きな悪影響を及ぼさず、吸熱器の熱拡散性能が改善される。追加の熱拡散特徴部分を備えた吸熱器の可撓性は、内部熱拡散特徴部分なしのこれに匹敵する設計の吸熱器の曲げ剛性を、約20倍未満、好ましくは約10倍未満、より好ましくは約5倍未満、ある実施形態においては約2倍未満、増大させることができる。吸熱器ベース部下に局所ホットスポットのある用途においては、この熱拡散は望ましい。
【0049】
接着剤(または熱界面材料)は、接着剤および/または熱界面マトリックスを架橋でき、それらのサイズを増大する程度までマトリックスを通して露出することのできる熱伝導性粒子を含有していてもよい。このように、粒子は、接着剤および/または熱界面材料内に含有されており、熱源基材と吸熱器物品20の間の経路の熱伝導性を改善する。これらの粒子は、吸熱器物品20のベース部21近傍またはこれに衝突する十分なサイズであり、第2の表面25に押し付けられる。これらの粒子は、任意で、ベース部の逆の接着剤表面に衝突する。さらに、これらの粒子は、吸熱器物品を使用する際に、熱源基材に押し付けられる。通常、これらの粒子のサイズを接着剤の厚さと同じまで増大すると、基材と吸熱器の間の熱伝導性が増大する。
【0050】
粒子サイズの選択は、用途によって異なる。例えば、長寸法が少なくとも約1〜2μmおよび約30μm以下、好ましくは約5〜20μmの粒子は、グリース、相変化材料、液体、およびボンド部が25〜100μmの範囲のテープ(中央演算装置(CPU)と吸熱器の間にあるような)のような物品に好適である。約20〜30μmより大きな50〜250μmの粒子は、熱基材と冷基材の間に大きなギャップが存在するシリコーンパッドといった厚い製品に用いられる。さらに、異なる粒子サイズ材料の組み合わせを用いることができる。通常、大きな粒子を用いて、バルク伝導性を増大する。これは、薄いギャップを有する基材を離したかかる粒子の最大寸法により制限される。粒子の短寸法は、長寸法と略同じ(通常、球状粒子用)またはそれより小さい(針状粒子、ファイバー、板等用)。
【0051】
選択した粒子の少なくとも一部が吸熱器物品の取り付け中に塑性変形可能であるときは、これらの粒子サイズは、上述したサイズより大きくすることができる。
【0052】
一実施形態において、吸熱器物品を加熱して、熱源チップパッケージまたは装置に吸熱器物品を合致させて成形するプラテンまたはダイにより、新たな形状へと改良することができる。このように、この面における吸熱器物品は、熱可塑的に改良可能であり、任意の所望の形状の様々なチップおよび/またはチップパッケージへとカスタマイズすることができる。例えば、湾曲した、平坦でない、または完全には平坦な表面でないチップに、本発明の吸熱器物品のベース部および/または接着剤および/または熱界面材料の改良により容易に対応する。このタイプの改良は、かなりの程度平坦でない、または湾曲したこれらのパッケージ(熱生成装置)に特に有用である。
【0053】
本発明の吸熱器の追従性及びリフォーム性の特徴によって、エンドユーザの設計および実施に多くのアセンブリオプションが与えられる。例えば、エンドユーザは、元々はパッケージ「A」に適用される本発明の吸熱器材料のロールから始めて、吸熱器材料の同じロールからパッケージ「B」用の異なるベース部寸法に切断することができる。さらに、エンドユーザは、追従性の程度を増大するために、ベース部に溝またはスリットを含めることができる。特に、高さが異なる2つ以上の装置を印刷回路基板の同じ領域で橋架けして、パッケージチップからの熱の消失を補助する金属スラグを備えたヒートスラグボールグリッドアレイ(HSBGA)パッケージのような独特なパッケージに吸熱器を追従させ、一般的なボールグリッドアレイ(BGA)プラスチックパッケージフォーマットへ、またはそこから吸熱することができる。本発明の吸熱器は、独立して、選択した領域においてホットプレスして、上述した同じPCB上のパッケージ「C」のような装置に追従させることができる。吸熱器の他の領域を、パッケージ端部に張り出させて、追加の熱流およびチップからの吸熱経路を与えることができる。
【0054】
本発明によるウェブベース部の吸熱器はまた、意図した用途について、低コストおよび良好な性能の組み合わせで吸熱器設計を与える。多くの装置が熱を多く生成すると、低コストの吸熱器は、広範囲の出力密度、装置寿命および環境条件にわたって熱を消失する手段を提供する。例えば、装置の寿命を高価な吸熱器を用いて大幅に延ばす必要がないときは、寿命のあまり見込めない装置で、ほどほどの熱消失の低コスト吸熱器を使えばよい。他の例では、使用環境条件において高温スパイクを緩和したいという場合は、本発明以前は吸熱器が用いられていなかったところでも、合致し易い可撓性吸熱器を使えばよい。
【0055】
他の実施形態において、吸熱器は2層接着剤構造を含んでいてもよい。ポリマー突出部、および任意でベース部の内側層は、吸熱器物品を使用する通常の温度で非粘着性の組成物へと硬化する接着剤を含む。ベース部は、吸熱器物品を使用する通常の温度で粘着性のままである、感圧接着剤(PSA)のような接着層を含む外側層を含む。感圧接着剤とは、使用温度で通常粘着性で、圧力印加により表面にボンドする接着剤のことである。
【0056】
本実施形態に好適な材料の一例は、構造化可能な、または構造化ハイブリッド接着剤である。本明細書において、構造化接着剤とは、実質的に完全な硬化後は流動せず、かつ/または熱硬化する接着剤のことを意味する。構造化ハイブリッド接着剤は、硬化前または部分硬化後の第1の段階、例えば、PSA段階があり、さらに、例えば、実質的な完全硬化後の構造化段階の第2の段階まで硬化可能である。これを用いる際、吸熱器物品はまた、好ましくは、ベース部の少なくとも1枚の外側層がPSAのままであり、ベース部のポリマー突出部および内側層が硬化構造化接着剤を含む、二重層または多層構造としてもよい。
【0057】
ポリマー突出部は、硬化または構造化接着剤領域を含んでいてよく、ベース部はPSAまたは構造化接着剤の層を含む。一態様において、両領域とも、異なる硬化レベルの実質的に同じ前駆体組成物を含んでいる。ポリマー突出部は、非粘着性表面まで硬化させるのが好ましく、ポリマー突出部の逆のベース部の側部はそれより少ない程度まで硬化させる。
【0058】
接着剤は、接着剤から出たポリマー突出部を成形するために鋳型またはツールのキャビティに提供することができる。接着剤は、溶剤系または水系接着剤であってよく、溶剤または水の乾燥および除去に際して、接着剤が鋳型の形状を保持するようなものとする。接着剤はまた、実質的に溶剤不含(100%固体)であってもよく、鋳型またはツールの形状に重合または硬化される。乾燥、硬化または重合した接着剤を、ポリマー突出部領域の硬化前または後に、同一、同じまたは異なる接着剤によりコーティングまたはラミネーションによりベース部に提供することができる。ベース部のPSA領域が望ましいときは、ポリマー突出部領域においてかなりの程度まで硬化のレベルを制御する。他の態様において、吸熱器ベース部およびポリマー突出部を硬化して、構造化接着剤を形成する。ベース部を、上述したように、熱界面層のような他の層に提供することができる。二重層または多層吸熱器はまた、ホットメルト構造化接着剤およびPSAを用いて共押出しにより作成することができる。
【0059】
これらの実施形態に有用な材料としては、適切な公知の硬化剤と共に、アクリレート、シリコーン、ポリエステルおよび/またはポリオレフィン接着剤のような他の接着剤とエポキシ接着剤の組み合わせ、シリコーンおよびアクリレート接着剤が挙げられる。
【0060】
本発明の吸熱器物品は、任意の公知の方法により作成することができる。一面において、熱伝導性粒子の配列を与える方法が望ましい。好適なプロセスとしては、例えば、真空形成、熱形成、圧縮成型、連続成型(複製)、異型押出し(スルー成型)、射出成型、エンボス加工および冷間形成が挙げられる。現在好ましい方法を、押出し複製または異型押出しにより形成された少なくとも片側にポリマー突出部を有するベース部の形成について説明する。
【0061】
図2を参照すると、略示されたプロセスには、1層以上の溶融ポリマー材料210を鋳型ロール230へと押出すよう構成された押出しダイ205を備えた押出し機を含む3本ロール成型装置200が示されている。本実施形態において、鋳型ロール230は、外側円筒表面に、溶融ポリマー材料210が鋳型ロール230の円筒表面を通過するにつれて移される所望の表面パターンを有している。図示した実施形態において、鋳型ロール230の表面は、複数のポリマー突出部270を形成すべく構成された複数の配列されたキャビティ260を有している。キャビティ260は、好適な表面ステム構造をポリマー材料210から形成する所望の構成、サイズおよび形状としてよい。一実施形態において、十分な追加量の溶融ポリマー材料210が、鋳型ロール230に押出されて、バッキング層の少なくとも一部を形成する。
【0062】
鋳型ロール230は回転可能で、対向ロール220に沿ってニップ250を形成している。このニップ250は、溶融ポリマー材料210がキャビティ260に流れるのを補助する。ニップ250の幅を調整して、ポリマー材料210の選択した厚さのバッキング層の形成を補助することができる。任意で、バッキング層242を同時にニップ250に入れる。エラストマー材料の組成およびポリマー突出部270の幾何形状によって、吸熱器物品280を鋳型ロール230から効率的に取り外すのにバッキング層242は有用であり、吸熱器物品280の一体化部分を形成する。さらに、吸熱器物品280は鋳型ロール230を出た後、第3のロール240を移動してもよい。このプロセスにおいて、3本のロール220、230および240の全ての温度はそれぞれ、独立して選択的に制御して、ポリマー材料210の所望の冷却を行ってもよい。
【0063】
鋳型ロール230は、連続処理(ウェブ、テープ、円筒ドラム、ベルト等)またはバッチ処理(射出成型や圧縮成型等)のいずれかに用いるタイプであってよい。ポリマー突出部270を形成するための鋳型ロール230を作成するとき、鋳型ロール230のキャビティ260は、1つ以上の化学、電気および機械加工または形成プロセスのような任意の好適なやり方で形成してもよい。ドリル加工、機械加工、レーザドリル加工、e−ビームドリル加工、ウォータジェット機械加工、鋳造、エッチング、ダイ打抜き、ダイアモンド旋削、型彫り、ローレット切り等が例示される。鋳型ロールはまた、スペーサワイヤを備えたノッチのついたワイヤや、スペーサプレートにより分離されたノッチのついたプレートから構成されていてもよい。キャビティの配置が、吸熱器物品の間隔および配向を決める。ポリマー突出部270は、一般的に、キャビティ260の形状に対応する形状を有している。鋳型キャビティは、溶融ポリマー材料が適用されて、ポリマー材料のキャビティへの注入を促す表面に対向するキャビティの端部で開いている。キャビティが閉じたら、真空をキャビティに適用して溶融ポリマー材料がキャビティ全体を実質的に充填する。この代わりに、注入材料がキャビティ中の空気を圧縮できるように形成されたステム構造の長さより閉じたキャビティを長くすることができる。鋳型キャビティは、表面ステム構造の剥離を促すように設計されて、角度のついた側壁またはキャビティ壁に剥離コーティングを含んでいてもよい。鋳型表面もまた、鋳型からポリマー材料ベース部層を剥すのを促すために選択された剥離コーティングを有していてもよい。ある実施形態において、キャビティは、表面での正接に垂直以外でロールの表面に対して角度を付けることができる。
【0064】
鋳型は、剛性から可撓性まで及ぶ好適な材料から作成することができる。鋳型コンポーネントは、金属、セラミック、ポリマー材料または、キャビティがラップ材料中にあるポリマーラップを備えた金属ロールのような組み合わせで作成することができる。鋳型を形成する材料は、ベース部層および表面トポグラフィーを形成するのに用いる特別な流動性ポリマー材料に関連した熱エネルギーに耐えられる十分な完全性と耐久性を有していなくてはならない。さらに、鋳型を形成する材料は、キャビティを様々な方法により形成でき、安価であり、長い実用寿命を持ち、許容される品質の材料を一貫して製造し、処理パラメータを変更できるものが好ましい。
【0065】
溶融ポリマー材料は、鋳型ロールキャビティへと流れて、鋳型の表面を覆い、カバー材料層を形成する、同一または異なる組成のポリマー材料の別個のストリームを用いてカバー材料層を形成する。溶融ポリマー材料の流れを促すために、ポリマー材料は、適切な温度まで加熱してから、キャビティをコートしなければならない。このコーティング技術は、カレンダコーティング、鋳造コーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、押出し、グラビアコーティング、ナイフコーティング、スプレーコーティング等のような従来の技術とすることができる。図2に、単一押出し機と押出しダイの構成を示す。しかしながら、2台(以上)の押出し機および関連のダイを用いると、複数のポリマー材料のニップ250への同時押出しにより、多成分(例えば、積層、ストライプまたはブレンド)のラミネートカバー材料を得ることができる。
【0066】
溶融ポリマー材料210の鋳型ロール230へのフローを、対向ロール220と鋳型ロール230間の圧力の印加によって補助してもよい。バッキング層242が多孔性材料を含むときは、3本ロール成型装置200を用いて、溶融ポリマー材料210の浸透度を制御することができる。この装置で、溶融ポリマー材料210の品質を制御して、バッキング層242の表面を僅かに浸透させたり、ポリマー材料210を導入した逆側の多孔性バッキング層242を浸透して、部分的、実質的または完全にバッキング層242を封入することもできる。溶融材料210の多孔性バッキング層242への浸透はまた、溶融ポリマー材料210の温度、ニップ250のポリマー材料210の量および/または鋳型キャビティの線速度と組み合わせた押出し機流量により制御してもよい。溶融ポリマー材料210の鋳型ロール230へのフローはまた、ポリマー材料を適用する前にキャビティの真空排気により補助してもよい。
【0067】
溶融ポリマー材料210をキャビティ260および鋳型ロール230表面にコートし終わったら、ポリマー材料を冷却して、固化し、所望の外側表面トポグラフィー(例えば、ポリマー突出部260)を形成する。固化したポリマー材料を鋳型ロール230から分離する。ポリマー材料210は、冷却および固化させると、やや収縮することが多く、図1に示すように、材料(例えば、表面突出部構造およびベース部または追加のバッキング層)および一体フィルム層の鋳型からの剥離が促される。鋳型の一部または全体を冷却して、表面ステム構造およびベース部または追加のバッキング層の固化を補助してもよい。冷却は、水、空気、その他熱移動流体またはその他冷却プロセスのような公知の手段により直接または間接的に行うことができる。
【0068】
いくつかの成型プロセスは、上述した構造化ハイブリッド実施形態のような硬化性または熱硬化性ポリマーを用いる。かかる樹脂を用いるときは、樹脂は、一般的に、未硬化または未重合の液体として、かつ/または溶融状態で鋳型に適用される。樹脂が鋳型にコートされた後、樹脂が固化するまで重合または硬化し冷却する(必要な場合)。通常、重合プロセスには、重合を促すための硬化時間、またはエネルギー源への露出、またはその両方が含まれる。エネルギー源は、電子ビーム、紫外線または可視光のような熱またはその他放射エネルギーである。樹脂の固化後、鋳型から取り外す。ある実施形態においては、ポリマー突出部を鋳型キャビティから取り外した後、熱硬化性樹脂をさらに重合または硬化するのが望ましい。好適な熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フルオロポリマー樹脂等が例示される。
【0069】
本発明の可撓性吸熱器を製造する他の方法の概略を図3に示し、また、出力を図4、図5および図6に示す。通常、本方法には、ダイ32を通した押出し機31からの第1の押出しポリマー30が含まれ、ダイは所望の突出部断面形状に対応する形状断面を有している。ある有用な形状を図4に示す。ベース部33および矩形の間隔のあいたリブ34は、ベース部33の上部表面から突出しており、所望の断面形状を有している。図3において、ポリマー30は、冷却液体(例えば、水)の充填された冷却タンク36を通して、ローラ35周囲を動き、その後、リブ34が、カッター38により長さに沿って間隔のあいた位置で横方向に切断されて(ただし、ベース部33の全厚ではない)、ポリマー突出部の所望の形状に対応する長さを有する不連続ポリマー突出部37を形成する(図5参照)。カッター38は、往復運動または回転刃、レーザー、またはウォータジェットのような公知の手段を含むことができる。
【0070】
一面において、リブ34を切断した後、ポリマー30のベース部33を、少なくとも約1.25対1の延伸比、好ましくは約2、さらに4:1の伸張比で、好ましくは、異なる表面速度で駆動される第1の対のニップローラ40および41と第2の対のニップローラ42および43の間で長手方向に延伸する。この態様において、延伸前にローラ41を加熱してベース部33を暖め、ローラ42を冷却して矩形ベース部33を安定化させる。この延在によって、リブ34の不連続なポリマー突出部37間に空間が形成されて、完成した吸熱器においてポリマー突出部となる。あるいは、カッター38を選択して、材料を除去して、近接するポリマー突出部間に所望の量の空間を残すこともできる。
【0071】
図4に、本発明の一態様における異型押出しレールを示す。ベース部33がレール34を支持している。図5において、図4に図示するような吸熱レール物品は長手方向に切断されて、不連続なポリマー突出部37を形成している。図6において、図5に示す吸熱レール物品は、不連続なポリマー突出部37を分離するように描かれている、または図4の吸熱レール物品は長手方向に切断されて、材料が除去され不連続なポリマー突出部37を形成している。
【0072】
可撓性吸熱器の一面において、リブ34は、近接端部間で、少なくとも約0.50ミリメートル(mm)、より好ましくは約0.6〜1.0mm離れているのが好ましい。ベース部延在プロセスを用いて、吸熱器中でポリマー突出部周囲に十分な冷却流体流れを与えるレベルまでポリマー突出部を分離する。一態様において、突出部は、少なくとも約0.10mm、好ましくは約0.6〜1.0mm分離している。
【0073】
本発明の目的および利点を以下の実施例によりさらに説明するが、これらの実施例に挙げられた特定の材料および量、その他条件および詳細は本発明を不当に限定するものではない。
【実施例】
【0074】
試験方法
1)冷却性能
可変電源(カリフォルニア州パロアルトのヒューレットパッカード(Hewlett Packard,Palo Alto,CA)より入手可能なE3611A DC電源)を用いて、連続して流れる熱を生成する10オームの抵抗器を駆動した。雰囲気空気を直接吹き付ける高設定でファン(テキサス州オースチンの3Mエレクトリカルスペシャルティーズディヴィジョン(3M Electrical Specialties Division,Austin,TX)より入手可能な3M961イオン化送風機)により冷却した吸熱器によりこの熱は消失した。K型熱電対(コネチカット州スタンフォードのオメガエンジニアリング社(Omega Engineering Inc.,Stamford,CT)より入手可能)を抵抗器表面の極近くに据え付けて、装置の温度を測定した。全体の装置をフェノール筐体に緩く保持させて、四隅で抵抗器の絶縁を補助し、再現可能な配置ができるようにした。試験中、電源の電圧および電流は、それぞれ4.0ボルトおよび0.4アンペアに予め設定した。ファンを「高」(1分当たり600〜700フィート(1分当たり183〜213m)程度の気流速度)に設定し、フェノール筐体の直角から10cm(4インチ)に配置し、僅かに下方に角度をつけた。実施例に特に断りのない限り、各吸熱器試料の底面積は1平方センチメートルであり、各試料を試料と同じサイズの3M8805熱伝導性接着剤転写テープ(ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company,St.Paul,MN)より入手可能)片を用いて抵抗器に装着した。
【0075】
まず、試料を装着せず、ファンによる冷却をしないで、装置の基線温度T1を測定することにより、試験を行った。第2の基準線読取T2を高設定のファンにより作成し、試料を装着し、「高」のファンにより読取T3を行った。通常、測定間で20分の時間の間隔を用いて、温度を安定させた。
【0076】
温度を記録し、試料の有り無しで温度の差(デルタT)を次のようにして計算した。
デルタT=(T2−T3)
【0077】
2)ウェットアウト能
試料を熱伝導性テープ(2ミル9882、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company, St.Paul,MN)より入手可能)を用いて凹時計ガラスの凹面に装着した。あるいは、試料を熱伝導性テープ(5ミル8805、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company, St.Paul,MN)より入手可能)を用いて平ガラスに装着した。平面スキャナを用いて下から(ガラスを通して)装着した試料に画像形成した。市販のソフトウェア(ミッドランド州シルバースプリングスのメディアサイバーネティクス(Media Cybernetics,Silver Springs,MD)より入手可能なイメージプロプラス(Image Pro Plus))を用いてグレースケール画像の暗部分の面積を測定することによりウェットアウトを判断した。ウェットアウト能(%)を次のようにして計算した。
%ウェットアウト=(暗部分の総面積/試料の総面積)×100
【0078】
ソフトウェアは、画像に強度(グレー強度)の度数分布を与え、画像強度ヒストグラムを出力する。さらに、ソフトウェアは、ウェットアウトパーセントを大幅に変更することなく、強度スケールを修正し、一つの画像中のコントラストを改善する1/4トーン向上に用いた。
【0079】
3)粒子配向
ブルカー一般領域検出回折システム(Bruker General Area Detector Diffraction System)(GADDS)マイクロディフラクトメータ、銅K放射線および散乱放射線のハイスター(HiStar)2D検出レジストリ(ブルカー(Bruker)AXS社(Inc.,)ウィスコンシン州、マジソン(Madison,WI))によりX線透過幾何形状データを集めた。ディフラクトメータは300μmの入射ビームコリメータとグラファイト入射ビームモノクロメータを備えていた。検出器は、試料から検出器の距離を6cmとして、0度(2)の散乱角度で中心に位置合せされている。試料は傾けなかった。50kVおよび50mAのX線生成器設定を用いた。各2D画像について、グラファイト(002)回折面により生成された強度は異方性があることが分かり、不連続な鋭い反射が観察され、これは大きな配向が存在することを示していた(すなわち、グラファイト粒子は実質的に位置合せされている)。粒子の非配向(不規則)分配により生成された回折強度は等方的であり、均一な強度の連続環として観察された。試験した試料は、よく整合されていなかった(さらには不規則)いくつかの粒子と共に実質的に位置合せされた粒子から構成されていた。高レベルに位置合せされた粒子の吸熱器が好ましい。方位トレースのグラファイト(002)最大は、グラファイト粒子位置合せの程度を測定するものであった。方位トレースには、オリジン(ORIGIN)(マサチューセッツ州ノーサンプトンのオリジンラボ社(OriginLab Corp.,Northampton,MA))を用いてプロファイルフィッティングが行われる。ピークフィッティングには、ガウスピーク形モデルおよび線形バックグラウンドモデルを用いた。グラファイト位置合せの範囲は、方位トレース最大の半値全幅(FWHM)とした。記録された値は、2回の測定(2D画像で180度離した)に基づいた標準偏差に従うものである。全範囲は、理論的には0〜180度であり、低い値の方が位置合せが大きいことを示している。
【0080】
粒子の配向はまた、任意で、公知の画像処理技術により支援して、試料を切断し、粒子を数えることにより測定することもできる。
【0081】
【表1】
【0082】
実施例1
図2に示すプロセスおよび装置を用いて、装置可撓性吸熱器物品を作成した。
【0083】
ポリマーAのペレットを単軸押出し機(ニュージャージー州セダーグルーブのキリオンエクストルーダ社(Killion Extruders, Inc. Cedar Grove,NJ)より入手可能な型番KTS−125)に供給して溶融処理した。押出し機の直径は約3.2cm(1.25in)、スクリュー回転数は80rpm、昇温プロフィールは約100℃から約250℃までであった。ポリマーA樹脂を、250℃で加熱ネック管へと押出し機を通して搬送し、最終的には、最大ダイリップ開口部0.102cm(0.040インチ)の250℃に加熱された15.2cm(6インチ)幅シートダイとした。樹脂を、17.2MPa(2500psi)のシートダイから連続的に放出して、溶融ポリマーシートを形成した。
【0084】
図2を参照すると、上述した通りに形成された溶融ポリマーシート210を、1分当たり0.61メートル(2フィート)で回転する、3本の温度制御された、回転する、直径30.5cm(12インチ)の円筒ロールの水平スタックのニップロール220と鋳造ロール230の間のニップ212へ導入した。スタックの3本のロールは全て研磨されたクロムめっき鋼であった。
【0085】
ニップロール220を鋳造ロール230へ0.24MPa(35psi)の圧力で押した。鋳造ロール230は、直径約2mm、深さ約16mm、六角配列のキャビティを含む表面を与えた(同じ横列のキャビティの中心間の距離は約3mm、1つの列の穴の中心から近接する横列の穴の中心まで測定した2つの近接する横列の距離は約2.6mm、近接する横列のキャビティ間のオフセット距離は1.5mmであった)。鋳造ロールおよびニップロールを32℃まで加熱した。
【0086】
溶融ポリマーシート210をニップに供給し、布帛スクリムを同時に、水平スタックのニップロール220と鋳造ロール230の間のニップ212へ供給し、ニップへ回転させた。布帛スクリム250をニップへ回転すると、溶融ポリマーの一部が浸透して、耐久性よく布帛に溶融ボンドされて、ラミネートを形成した。溶融ポリマーをニップロール240の表面により固化すると、ニップロール220からラミネートが剥れて、鋳造ロール230からニップロール240へ沿った。このようにして形成された物品は、ツールから得られるパターンを有しており、続いてニップロール240から剥されて、布帛スクリムバッキングを除去し、一表面にポリマー突出部を有する吸熱器物品とした。吸熱器物品の厚さは合計で0.6cmであり、主寸法(高さ)が約0.5cmのポリマー突出部(ポスト)を備えていた。
【0087】
上記のようにして作成した吸熱器物品の冷却性能について試験した。試料のフットプリントは1.3cm×1.3cmであった。抵抗器の温度は冷却なし(T1)で63℃、ファン冷却(T2)で47℃であった。冷却性能の結果は、T3=39.6℃およびデルタT=7.4℃であった。X線回折(36.5度(3.3標準偏差))を介してかなりの粒子配向が観察された。
【0088】
実施例2
シリコーン鋳型を用いたポリマーCおよびポリマーDからの溶融複製により、図7に示すような2つの可撓性吸熱器物品(2Aおよび2B)を作成した。
【0089】
図7に示すような吸熱器物品を作成するのに用いるシリコーン鋳型を、シリコーン樹脂を市販のアルミニウム吸熱器に鋳造することにより作成した。樹脂を一晩室温で硬化させ、硬化樹脂を吸熱器から除去してシリコーン鋳型とした。
【0090】
ポリマーC(吸熱器物品2Aの作成用)かポリマーD(吸熱器物品2Bの作成用)のいずれかの長さ1.18cm(3インチ)、幅0.32cm(1/8インチ)の厚いプラークを1つまたは2つ鋳型に位置合せして、シリコーンコートされた紙ライナ間に挟んで、190℃(374°F)および454.5kg(0.5トン)の圧力で溶融プレスした後、30秒間冷間プレスして冷やした。溶融プレスの前に、吸熱器物品の鋳型からの剥離を促すために、シリコーン鋳型表面に鋳型剥離剤の薄層をときおり適用した。
【0091】
図7に示す実施例2Aおよび2Bの吸熱器物品は、それぞれ、幅が約1.8mm(0.071インチ)、長さが約1.8mm(0.071インチ)、高さが約3.5mm(0.138インチ)で、中心から中心までの間隔が約4mm(0.16インチ)、ベース部厚さが約1mm(0.039インチ)の正方形マトリックスデザインの正方形のストレートサイドのポリマー突出部を有していた。
【0092】
吸熱器物品2Aおよび2Bの冷却性能を試験し、凹面時計ガラス上で9882接着剤を用いて吸熱器物品2Aの表面ウェットアウト能を試験した。ウェットアウト能は、後の試料より低かった。その理由は、この早期の試作品のベース部表面は粗く、使用可能な最も薄い熱転写テープを用いたためであった。結果を下記の第1表に示す。抵抗器の温度は冷却なし(T1)で71.5℃、ファン冷却(T2)で49.3℃であった。X線回折(42.5度(2.4標準偏差))を介してかなりの粒子配向が観察された。
【0093】
実施例3
図8に示す吸熱器物品を、シリコーン鋳型およびポリマーCを用いて実施例2と同様にして作成した。シリコーン鋳型を市販のアルミニウム吸熱器から作成した。
【0094】
得られた吸熱器物品は、片側にテーパのついたポリマー突出部の正方形マトリックスデザインを有していた。突出部のテーパ側の幅は、上部で約1.6mm(0.63インチ)、突出部がベース部に接合する点で約2.2mm(0.87インチ)であった。突出部の直線側の幅は約2.5mm(0.098インチ)であった。各突出部の高さは約9mm(0.35インチ)であり、突出部の中心から中心までの間隔は約5mm(0.2インチ)であった。吸熱器物品ベース部の厚さは約1.7mm(0.067インチ)であった。
【0095】
吸熱器物品の冷却性能およびウェットアウト能を9882接着剤により凹部表面で試験した。ウェットアウト能は、後の試料より低かった。その理由は、この早期の試作品のベース部表面は粗く、使用可能な最も薄い熱転写テープを用いたためであった。結果を下記の第1表に示す。抵抗器の温度は冷却なし(T1)で71.5℃、ファン冷却(T2)で49.3℃であった。X線回折(38.9度(0.8標準偏差))を介してかなりの粒子配向が観察された。
【0096】
実施例4A、4Bおよび4C
構造化アルミニウム板をシリコーン鋳型の代わりに用いた以外は、実施例2に記載した溶融複製により、図9に示す3つの可撓性吸熱器物品(4A、4Bおよび4C)を作成した。ポリマーE(吸熱器物品4C作成用)を、ポリマーC(吸熱器物品4A作成用)およびポリマーD(吸熱器物品4B作成用)に加えて用いた。
【0097】
得られた吸熱器物品は、厚さ約1mm(0.039インチ)のベース部にテーパの付いた側部レール形状ポリマー突出部(以降レールと呼ぶ)の波パターンを有していた。レールはベース部で約1mm(0.039インチ)からピークで約0.2mmまでテーパがついていた。各レールの高さは約2mm(0.079インチ)であった。
【0098】
吸熱器物品の冷却性能について試験した。結果を下記の第1表に示す。抵抗器の温度は冷却なし(T1)で71.5℃、ファン冷却(T2)で49.3℃であった。粒子配向は測定しなかった。
【0099】
実施例5
図11に示す可撓性吸熱器物品を異型押出しにより作成した。
【0100】
ポリマーCのペレットを、40rpmで操作される、3ゾーンの25.4mm(1インチ)単軸押出し機(ドイツ、カールスルーエのハーケ社(Haake Corp.,Karlsruhe,Germany)より入手可能)へ供給した。押出し機をパージ化合物で清浄にした。単軸押出し機のゾーンの設定点温度は、ゾーン1:170℃(338°F)、ゾーン2:200℃(392°F)およびバレル3:210℃(410°F)であった。ポリマーCを、押出し機を通して、図10に示す形状を有する異型ダイへと処理し、ベース部厚さAは0.76mm、押出し高さBは6.35mm、全体のレール幅Cは22.1mm、突出部Dの幅は0.76mm、近接する突出部レールEの間隔は約1.0mmであった。ポリマーを少なくとも100psi(0.69MPa)の圧力でダイから放出し、直線の連続吸熱器物品を形成するように誘導した。異型ダイを通して押出されたレールに水を流して、ダイから出る際にポリマーを即時に冷却した。
【0101】
得られた吸熱器物品は、約1mm〜2mmの厚さのベース部に直線の側部レールのパターンを有していた。レール突出部は約5.5mm(0.217インチ)の高さであった。近接するフィン間の距離は約0.5mm(0.02インチ)であった。
【0102】
吸熱器物品の冷却性能について試験した。結果を下記の第1表に示す。抵抗器の温度は冷却なし(T1)で71.5℃、ファン冷却(T2)で49.3℃であった。X線回折(47.5度(2.0標準偏差))を介してかなりの粒子配向が観察された。
【0103】
比較例AおよびB
2つの吸熱器(AおよびB)の冷却性能について試験した。比較例Aは、全体の高さが4mmで、16のピンを備えており、比較例Bは全体の高さが10mmでピンは9つであった。
【0104】
【表2】
【0105】
各吸熱器のフットプリントは約1.3cm×1.3cmであり、「NT」とは試験せずという意味である。
【0106】
実施例6
実施例5の手順を用いた異型押出しにより、図11に示すような2つの可撓性吸熱器物品(6Aおよび6B)を作成した。ポリマーBを用いて吸熱器物品6Aを作成し、ポリマーCを用いて吸熱器物品6Bを作成した(実施例5と同様にして作成)。各物品の厚さは約2mmであった。
【0107】
吸熱器物品の冷却性能について試験した。結果を下記の第2表に示す。抵抗器の温度はファン冷却(T2)で53.4℃であった。
【0108】
【表3】
【0109】
実施例7
ホットプレスを用いて、正方形パターンでポリマー突出部を有する7つの吸熱器物品を作成した。
【0110】
厚さ9mmのシリコーンツールに正方形パターンで穴を開けることにより鋳型を作成した。各ポリマー突出部は、所望のポストサイズおよび下記の第3表に示した間隔を有するポストの形状であった。
【0111】
樹脂ペレットを鋳型に配置した。シリコーン剥離紙を、ペレットでカバーされていない鋳型側部のペレットに配置した。「サンドイッチ」構造を加熱(193.5℃(380°F))プラテンに配置した。第2の193.5℃のプラテンをその構造と接触させた。約30秒後、プラテンを8.27MPa(1200psi)の圧力下で約30秒間圧迫した。
【0112】
得られた吸熱器物品をシリコーン鋳型から取外し、冷却性能について試験した。用いた樹脂、ポストの直径、近接するポストの中心間の距離、および冷却性能を下記の第3表に示してある。吸熱器物品ベース部の厚さは1mm〜2mmであった。ポスト直径(mm)はPDと記し、DBCは近接するポストの中心間の距離(mm)である。
【0113】
【表4】
【0114】
実施例8
ホットプレスを用いて、図12に示す六角形パターンでポリマー突出部を有する12の吸熱器物品を作成した。
【0115】
各突出部が、下記の第4表に示した所望のポストサイズおよび間隔を有するポストの形状の六角形パターンであった以外は、実施例7に記載した通りにして、鋳型を作成した。吸熱器物品を、実施例7の手順に従って形成した。
【0116】
得られた吸熱器物品を鋳型から取外し、冷却性能について試験した。用いた樹脂、ポストの直径、ポストの中心間の距離、および冷却性能を下記の第4表に示してある。吸熱器物品ベース部の厚さは1mm〜2mmであった。抵抗器の温度はファン冷却(T2)で47℃であった。第4表において、PDはポスト直径であり、D2は同じ横列の近接ポスト間の距離であり、D3は2つの近接する横列のポスト間の距離であり、D4は2つの近接する横列のポスト間のオフセット距離である。距離は全てミリメートルである。
【0117】
【表5】
【0118】
実施例9
ホットプレスおよび様々な重量比で樹脂ポリマーCとポリマーBのブレンドを用いて、六角形パターンを有する9つの吸熱器物品を作成した。
【0119】
下記の第5表に示す所望のポストサイズおよび間隔を与える鋳型を実施例8と同様にして作成した。吸熱器物品を、実施例7の手順に従って形成した。樹脂は二軸押出し機で予めブレンドしておいてからペレットへと形成した。
【0120】
得られた吸熱器物品を鋳型から取外し、冷却性能について試験した。用いたポリマーC/ポリマーBの重量比、ポストの直径、ポストの中心間の距離、吸熱器物品の厚さ、および冷却性能を下記の第5表に示してある。抵抗器の温度はファン冷却(T2)で47℃であった。第5表において、比はポリマーC対ポリマーBの重量比である。
【0121】
【表6】
【0122】
実施例10〜14および比較例C〜J
ウェットアウト能を、平ガラスおよび2枚の時計ガラス試験基材を、8805接着剤と共に用いて上述した通りにして評価した。第1は小時計ガラス、6インチ(150mm)時計ガラス(シャロウフォームウォッチガラス、火造り端部で覆われた凹、透明、軟ソーダ石灰、ミネソタ州ミネアポリスのVWRサイエンティフィクプロダクツ(VWR Scientific Products,Minneapolis,MN)よりカタログ番号66112−209として入手可能)で、第2は大時計ガラス、8インチ(200mm)の時計ガラス(VWRカタログ番号66112−242)であった。各サイズの時計ガラスの凹凸側を用いた。実施例10および比較例C〜Eの可撓性吸熱器の寸法は約38×38mmであった。ポスト高さが6.5mmで、寸法が27mm×27mmの本発明の可撓性吸熱器を実施例11〜14で試験し、市販のアルミニウム吸熱器(27mm×27mm、ピン高さ10mm)を比較例F〜Jで用いた。結果を以下の表および図13〜図15に示す。図13Aは、図13B〜図13Dに示すアルミニウム吸熱器と比較することができる。図14A(本発明)は、図15A(従来)と比較でき、同様に、図14および図15のB、CおよびDを比較することができる。図14Cは、画像を改善するために1/4トーン改善されたコントラストで示されており、これは、ウェットアウトパーセントを大幅に変えるものではなかった。下記の表および/または図面中の数字を比較すると、本発明のウェットアウトの利点が大きく示されている。
【0123】
【表7】
【0124】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および原理から逸脱することなしに当業者に明白であり、本発明はここに規定した説明のための実施形態に不当に限定されないものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1A】本発明の一実施形態によるロールの形態にある吸熱器物品の斜視図である。
【図1B】本発明の一実施形態による吸熱器物品の側面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による方法のための3本ロール成型装置の概略図である。
【図3】本発明の他の実施形態による方法のための異型押出し装置の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態の吸熱器構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態の中間処理段階の吸熱器を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態の吸熱器構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態の斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態の斜視図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態の斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態を作成するのに用いる異型押出しダイの概略図である。
【図11】図10のダイを用いて作成した本発明の他の実施形態の斜視図である。
【図12】突出部のパターンの概略図である。
【図13A】本発明の一実施形態の平ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図13B】比較例のウェットアウト能を示す図である。
【図13C】比較例のウェットアウト能を示す図である。
【図13D】比較例のウェットアウト能を示す図である。
【図14A】本発明の一実施形態の6インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図14B】本発明の一実施形態の6インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図14C】本発明の一実施形態の8インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図14D】本発明の一実施形態の8インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図15A】比較例の吸熱器の6インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図15B】比較例の吸熱器の6インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図15C】比較例の吸熱器の8インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図15D】比較例の吸熱器の8インチ時計ガラス基材ウェットアウト能を示す図である。
【図16】様々なチップ高さに追従する本発明の一面による吸熱器の側面図である。
【図17】本発明の一実施形態による吸熱器物品の側面図である。
【図18】本発明の一実施形態による吸熱器物品の側面図である。
【図19】本発明の一実施形態による吸熱器物品の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを含むベース部と、
前記ベース部から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部と
を含む可撓性吸熱器物品であって、
前記ベース部のポリマーが熱伝導性粒子を含み、
前記突出部のポリマーが、前記突出部内の長寸法の方向に実質的に配向された非球形熱伝導性粒子を含み、前記吸熱器の可撓性によって、吸熱機能に大幅な悪影響を及ぼすことなく室温で約30cm未満の半径まで曲げることができる、可撓性吸熱器物品。
【請求項2】
前記突出部および前記ベース部が実質的に同じポリマー組成物から構成されており、前記組成物が任意で1種類以上の接着剤を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記突出部および前記ベース部が異なるポリマー組成物から構成されており、前記組成物が任意で1種類以上の接着剤を含み、前記組成物が任意で硬化性である、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記突出部中の前記粒子および前記ベース部中の前記粒子が実質的に同じ粒子である、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記突出部および前記ベース部が同じ組成物の粒子を含んでいる、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記非球形粒子は細長いものであり、任意で約1.25対1を超えるアスペクト比を有している、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記吸熱器の前記ベース部中の前記ポリマーの曲げモジュラスが約7GPa未満である、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記熱伝導性粒子が、カーボンブラック、カーボンファイバー、コートされたカーボンファイバー、ダイアモンド、セラミックファイバーメッシュ、セラミックス、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、金属、金属箔およびこれらの組合せよりなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記粒子が電磁および/または無線周波数で干渉を減じるべく選択され、前記粒子が任意で酸化鉄およびニッケルコートされた粒子から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
EMI、RFIおよび/または熱伝導性を減じるべく選択された金属層および/またはスクリムをさらに含み、前記スクリムが任意でニッケルまたはニッケルコートされたスクリム、カーボンスクリム、ニッケルコートされたカーボンスクリムおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記ポリマー材料の1つ以上の表面が金属層および/または樹脂コーティングを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記吸熱器物品の前記ベース部に適用された接着促進剤をさらに含む、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記突出部が、前記突出部の厚さの少なくとも約50%まで、壊れることなく歪み可能である、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
複数の高さでチップを有する、および/または異なる表面平面度の装置を有する回路基板に追従するように適合された、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記吸熱器物品を熱生成装置またはかかる装置を含む構造に機械的に取り付けるよう成形された特徴部分を前記ベース部にさらに含む、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記ベース部が成形表面と接触するべく適合されている、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
前記ベース部と連続した熱界面材料をさらに含み、前記熱界面材料が任意で硬化性である、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
前記熱界面材料が、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、低表面エネルギー接着剤、エポキシ、サーマルボンドフィルム、相変化材料、グリースおよび共晶合金相変化材料のうちの2種類以上を含む、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記熱界面材料が2種類以上の材料の不連続領域で与えられる、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記熱界面材料がキャリパー変化を含む、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記キャリパー変化が、熱流、接着、表面ウェットアウト、接触面積および可撓性から選択される1つ以上の特性を改善するべく選択される、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記熱界面材料が導電性接着剤を含む、請求項17に記載の物品。
【請求項23】
前記接着剤がEMI/RFIシールド性である、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
ベース部の厚さおよび接着剤の厚さの組み合わせが、試験基材表面のウェットアウトが少なくとも約40%となるように選択される、請求項22に記載の物品。
【請求項25】
前記接着剤が、基材と前記吸熱器物品間の熱伝導性粒子のない接着剤に比べて、熱伝導性を増大させる十分なサイズの熱伝導性粒子を含み、任意で前記粒子が前記接着剤内に含まれ、前記ベース部と衝突し、任意で前記ベース部の逆の前記接着剤表面と衝突する、請求項22に記載の物品。
【請求項26】
ポスト形状が、方向性気流および増大した表面積から選択される1つ以上の特徴部分を提供するべく選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項27】
前記吸熱器物品が熱可塑的に改良可能である、請求項1に記載の物品。
【請求項28】
前記ベース部および/または前記突出部が2種類以上のポリマーのブレンドを含み、前記ポリマーが任意で1種類以上の接着剤を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項29】
前記ベース部および/または突出部ポリマー組成物中に1種類以上の添加剤および/またはフィラーをさらに含む、請求項1に記載の物品。
【請求項30】
前記ベース部が表面として提供されうる波形層を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項31】
前記ベース部がその可撓性を増大するよう適合された特徴部分を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項32】
前記可撓性特徴部分は、ギザ、スリット、チャネル、カットアウト、ノッチ、穴またはこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項40に記載の物品。
【請求項33】
前記吸熱器物品がV1および/またはV0のUL−94可燃格付けを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項34】
ロール形態で提供される、請求項1に記載の物品。
【請求項35】
ベース部の厚さ対突出部の高さの比率が、少なくとも1:2、少なくとも1:3、少なくとも1:6および少なくとも1:8から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項36】
前記突出部がテーパーの付いた形状を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項37】
ポリマーを含み、かつ第1の表面と第2の表面とを有するベース部と、
前記ベース部の前記第1の表面から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部と、
前記ベース部の前記第2の表面と連続した金属層と、
任意で前記金属層と連続した熱界面材料と
を含む、可撓性吸熱器物品であって、
前記ベース部の前記ポリマーおよび前記突出部の前記ポリマーが熱伝導性粒子を含み、
任意で、前記熱界面材料が前記ベース部と混和した表面を有し、任意で、前記吸熱器物品がロール形態で提供されている、可撓性吸熱器物品。
【請求項38】
前記熱界面材料が2種類以上の材料の不連続領域に与えられる、請求項37に記載の物品。
【請求項39】
前記熱界面材料が、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、低表面エネルギー接着剤、エポキシ、サーマルボンドフィルム、相変化材料、グリースおよび共晶合金相変化材料のうちの2種類以上を含む、請求項38に記載の物品。
【請求項40】
前記熱界面材料がキャリパー変化を含む、請求項37に記載の物品。
【請求項41】
前記キャリパー変化が、熱流、接着、表面ウェットアウト、接触面積および可撓性から選択される1つ以上の特性を改善するべく選択される、請求項40に記載の物品。
【請求項42】
前記熱界面材料が導電性接着剤を含み、前記接着剤が任意でEMI/RFIシールドである、請求項37に記載の物品。
【請求項43】
ベース部の厚さおよび接着剤の厚さの組み合わせが、試験基材表面のウェットアウトが少なくとも約40%となるように選択される、請求項42に記載の物品。
【請求項44】
前記接着剤が、基材と前記吸熱器物品間の熱伝導性粒子のない接着剤に比べて、熱伝導性を増大させる十分なサイズの熱伝導性粒子を含み、任意で前記粒子が前記接着剤内に含まれ、前記ベース部と衝突し、任意で前記ベース部の逆の前記接着剤表面と衝突する、請求項42に記載の物品。
【請求項45】
前記接着剤が、少なくとも約1μmの長寸法を有する熱伝導性粒子をさらに含む、請求項42に記載の物品。
【請求項46】
多数の熱伝導性粒子を含む第1のポリマー組成物を提供する工程と、
多数の非球形熱伝導性粒子を含む第2のポリマー組成物を提供する工程と、
前記第1および/または第2のポリマーから吸熱器ベース部を形成する工程と、
前記第2のポリマーおよび任意で前記第1のポリマーから前記吸熱器ベース部と連続した多数の矩形突出部を形成する工程と、
任意で、前記ベース部の前記第2の表面と連続した金属層を提供する工程と、
任意で、前記ベース部または前記金属層と連続した熱界面材料を提供する工程とを含み、
前記非球形熱伝導性粒子が前記突出部の長手方向に沿って実質的に配向されている、可撓性吸熱器の製造方法。
【請求項47】
前記第1および第2のポリマー組成物が実質的に同じで、前記組成物が任意で1種類以上の接着剤を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1および第2のポリマー組成物が一工程で提供される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記第1および第2のポリマー組成物が層状フィルムの形態で提供される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記ベース部および突出部を形成する工程が、前記層状フィルムを鋳型へ鋳造することにより実施され、前記鋳型がレールおよび/またはポストの形状のキャビティを任意で有している、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記ベース部および突出部を形成する工程が、前記層状フィルムを、レール状に成形される突出部を形成するように成形されたダイを通して押出し、かつ任意で前記レール突出部をポストへ分離することにより実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記熱界面材料層が前記ベース部にラミネートされている、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記第1および/または第2のポリマー組成物および/または熱界面材料を硬化する工程をさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
前記熱界面材料層が接着剤を含み、前記方法が前記熱界面材料層に隣接する剥離ライナをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記第1および/または第2の形成操作が、異型押出しおよび/または押出し複製を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
前記ベース部の可撓性を増大するべく適合された可撓性特徴部分を提供する工程をさらに含み、前記可撓性特徴部分が任意で、ギザ、スリット、チャネル、カットアウト、ノッチ、穴またはこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記吸熱器のロールを形成する工程をさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項1】
ポリマーを含むベース部と、
前記ベース部から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部と
を含む可撓性吸熱器物品であって、
前記ベース部のポリマーが熱伝導性粒子を含み、
前記突出部のポリマーが、前記突出部内の長寸法の方向に実質的に配向された非球形熱伝導性粒子を含み、前記吸熱器の可撓性によって、吸熱機能に大幅な悪影響を及ぼすことなく室温で約30cm未満の半径まで曲げることができる、可撓性吸熱器物品。
【請求項2】
前記突出部および前記ベース部が実質的に同じポリマー組成物から構成されており、前記組成物が任意で1種類以上の接着剤を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記突出部および前記ベース部が異なるポリマー組成物から構成されており、前記組成物が任意で1種類以上の接着剤を含み、前記組成物が任意で硬化性である、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記突出部中の前記粒子および前記ベース部中の前記粒子が実質的に同じ粒子である、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記突出部および前記ベース部が同じ組成物の粒子を含んでいる、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記非球形粒子は細長いものであり、任意で約1.25対1を超えるアスペクト比を有している、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記吸熱器の前記ベース部中の前記ポリマーの曲げモジュラスが約7GPa未満である、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記熱伝導性粒子が、カーボンブラック、カーボンファイバー、コートされたカーボンファイバー、ダイアモンド、セラミックファイバーメッシュ、セラミックス、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、金属、金属箔およびこれらの組合せよりなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記粒子が電磁および/または無線周波数で干渉を減じるべく選択され、前記粒子が任意で酸化鉄およびニッケルコートされた粒子から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
EMI、RFIおよび/または熱伝導性を減じるべく選択された金属層および/またはスクリムをさらに含み、前記スクリムが任意でニッケルまたはニッケルコートされたスクリム、カーボンスクリム、ニッケルコートされたカーボンスクリムおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記ポリマー材料の1つ以上の表面が金属層および/または樹脂コーティングを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記吸熱器物品の前記ベース部に適用された接着促進剤をさらに含む、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記突出部が、前記突出部の厚さの少なくとも約50%まで、壊れることなく歪み可能である、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
複数の高さでチップを有する、および/または異なる表面平面度の装置を有する回路基板に追従するように適合された、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記吸熱器物品を熱生成装置またはかかる装置を含む構造に機械的に取り付けるよう成形された特徴部分を前記ベース部にさらに含む、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記ベース部が成形表面と接触するべく適合されている、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
前記ベース部と連続した熱界面材料をさらに含み、前記熱界面材料が任意で硬化性である、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
前記熱界面材料が、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、低表面エネルギー接着剤、エポキシ、サーマルボンドフィルム、相変化材料、グリースおよび共晶合金相変化材料のうちの2種類以上を含む、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記熱界面材料が2種類以上の材料の不連続領域で与えられる、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記熱界面材料がキャリパー変化を含む、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記キャリパー変化が、熱流、接着、表面ウェットアウト、接触面積および可撓性から選択される1つ以上の特性を改善するべく選択される、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記熱界面材料が導電性接着剤を含む、請求項17に記載の物品。
【請求項23】
前記接着剤がEMI/RFIシールド性である、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
ベース部の厚さおよび接着剤の厚さの組み合わせが、試験基材表面のウェットアウトが少なくとも約40%となるように選択される、請求項22に記載の物品。
【請求項25】
前記接着剤が、基材と前記吸熱器物品間の熱伝導性粒子のない接着剤に比べて、熱伝導性を増大させる十分なサイズの熱伝導性粒子を含み、任意で前記粒子が前記接着剤内に含まれ、前記ベース部と衝突し、任意で前記ベース部の逆の前記接着剤表面と衝突する、請求項22に記載の物品。
【請求項26】
ポスト形状が、方向性気流および増大した表面積から選択される1つ以上の特徴部分を提供するべく選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項27】
前記吸熱器物品が熱可塑的に改良可能である、請求項1に記載の物品。
【請求項28】
前記ベース部および/または前記突出部が2種類以上のポリマーのブレンドを含み、前記ポリマーが任意で1種類以上の接着剤を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項29】
前記ベース部および/または突出部ポリマー組成物中に1種類以上の添加剤および/またはフィラーをさらに含む、請求項1に記載の物品。
【請求項30】
前記ベース部が表面として提供されうる波形層を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項31】
前記ベース部がその可撓性を増大するよう適合された特徴部分を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項32】
前記可撓性特徴部分は、ギザ、スリット、チャネル、カットアウト、ノッチ、穴またはこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項40に記載の物品。
【請求項33】
前記吸熱器物品がV1および/またはV0のUL−94可燃格付けを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項34】
ロール形態で提供される、請求項1に記載の物品。
【請求項35】
ベース部の厚さ対突出部の高さの比率が、少なくとも1:2、少なくとも1:3、少なくとも1:6および少なくとも1:8から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項36】
前記突出部がテーパーの付いた形状を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項37】
ポリマーを含み、かつ第1の表面と第2の表面とを有するベース部と、
前記ベース部の前記第1の表面から外方へ延在し、それぞれ長寸法と短寸法とを有する複数のポリマー突出部と、
前記ベース部の前記第2の表面と連続した金属層と、
任意で前記金属層と連続した熱界面材料と
を含む、可撓性吸熱器物品であって、
前記ベース部の前記ポリマーおよび前記突出部の前記ポリマーが熱伝導性粒子を含み、
任意で、前記熱界面材料が前記ベース部と混和した表面を有し、任意で、前記吸熱器物品がロール形態で提供されている、可撓性吸熱器物品。
【請求項38】
前記熱界面材料が2種類以上の材料の不連続領域に与えられる、請求項37に記載の物品。
【請求項39】
前記熱界面材料が、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、低表面エネルギー接着剤、エポキシ、サーマルボンドフィルム、相変化材料、グリースおよび共晶合金相変化材料のうちの2種類以上を含む、請求項38に記載の物品。
【請求項40】
前記熱界面材料がキャリパー変化を含む、請求項37に記載の物品。
【請求項41】
前記キャリパー変化が、熱流、接着、表面ウェットアウト、接触面積および可撓性から選択される1つ以上の特性を改善するべく選択される、請求項40に記載の物品。
【請求項42】
前記熱界面材料が導電性接着剤を含み、前記接着剤が任意でEMI/RFIシールドである、請求項37に記載の物品。
【請求項43】
ベース部の厚さおよび接着剤の厚さの組み合わせが、試験基材表面のウェットアウトが少なくとも約40%となるように選択される、請求項42に記載の物品。
【請求項44】
前記接着剤が、基材と前記吸熱器物品間の熱伝導性粒子のない接着剤に比べて、熱伝導性を増大させる十分なサイズの熱伝導性粒子を含み、任意で前記粒子が前記接着剤内に含まれ、前記ベース部と衝突し、任意で前記ベース部の逆の前記接着剤表面と衝突する、請求項42に記載の物品。
【請求項45】
前記接着剤が、少なくとも約1μmの長寸法を有する熱伝導性粒子をさらに含む、請求項42に記載の物品。
【請求項46】
多数の熱伝導性粒子を含む第1のポリマー組成物を提供する工程と、
多数の非球形熱伝導性粒子を含む第2のポリマー組成物を提供する工程と、
前記第1および/または第2のポリマーから吸熱器ベース部を形成する工程と、
前記第2のポリマーおよび任意で前記第1のポリマーから前記吸熱器ベース部と連続した多数の矩形突出部を形成する工程と、
任意で、前記ベース部の前記第2の表面と連続した金属層を提供する工程と、
任意で、前記ベース部または前記金属層と連続した熱界面材料を提供する工程とを含み、
前記非球形熱伝導性粒子が前記突出部の長手方向に沿って実質的に配向されている、可撓性吸熱器の製造方法。
【請求項47】
前記第1および第2のポリマー組成物が実質的に同じで、前記組成物が任意で1種類以上の接着剤を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1および第2のポリマー組成物が一工程で提供される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記第1および第2のポリマー組成物が層状フィルムの形態で提供される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記ベース部および突出部を形成する工程が、前記層状フィルムを鋳型へ鋳造することにより実施され、前記鋳型がレールおよび/またはポストの形状のキャビティを任意で有している、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記ベース部および突出部を形成する工程が、前記層状フィルムを、レール状に成形される突出部を形成するように成形されたダイを通して押出し、かつ任意で前記レール突出部をポストへ分離することにより実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記熱界面材料層が前記ベース部にラミネートされている、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記第1および/または第2のポリマー組成物および/または熱界面材料を硬化する工程をさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
前記熱界面材料層が接着剤を含み、前記方法が前記熱界面材料層に隣接する剥離ライナをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記第1および/または第2の形成操作が、異型押出しおよび/または押出し複製を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
前記ベース部の可撓性を増大するべく適合された可撓性特徴部分を提供する工程をさらに含み、前記可撓性特徴部分が任意で、ギザ、スリット、チャネル、カットアウト、ノッチ、穴またはこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記吸熱器のロールを形成する工程をさらに含む、請求項46に記載の方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2006−513390(P2006−513390A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565000(P2004−565000)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/036485
【国際公開番号】WO2004/061035
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/036485
【国際公開番号】WO2004/061035
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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