説明

可溶性グアニレートシクラーゼ活性化剤

式Iの化合物は、サイクリックグアノシン一リン酸(「cGMP」)の生体における産生を調節することができ、一般的にはcGMPバランスの障害に関連する疾患の治療及び予防に適している。発明は、更に、式Iの化合物を調製する工程、前記の疾患の治療及び予防のための化合物の使用及びこれを目的とする製剤調製のための化合物の使用、並びに式Iの化合物を含有する製剤に関する。
式I
【化1】


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
サイクリックGMPは、cGMP依存性プロテインキナーゼ、ホスホジエステラーゼ及びイオンチャネルを調節することにより、多数の異なる作用を引き起こす重要な細胞内メッセンジャーである。例としては、平滑筋の弛緩、血小板活性化の抑制、及び平滑筋細胞増殖阻害と白血球粘着阻害がある。cGMPは、いくつかの細胞外及び細胞内刺激に対する応答として、粒子状及び可溶性グアニレートシクラーゼによって産生される。粒子状のグアニレートシクラーゼの場合、刺激は、本質的に心房性ナトリウム利尿ペプチド又は脳ナトリウム利尿ペプチド等のペプチド性メッセンジャーによりもたらせられる。対照的に、細胞質基質のヘテロ二量体ヘムタンパク質である可溶性グアニレートシクラーゼ(「sGC」)は、本質的に、酵素的に生成される低分子量因子のファミリーによって制御される。最も重要な刺激物質は、一酸化窒素(「NO」)又は近縁の化学種である。一酸化炭素又はヒドロキシルラジカル等の他の因子の機能は、いまだほとんど不明である。NOによる活性化の機序として、NOのヘムへの結合による五配位ヘムニトロシル錯体の生成が提案されている。基礎状態で鉄と結合する随伴性のヒスチジン放出が、酵素を活性立体配座に転換する。
【0002】
活性型可溶性グアニレートシクラーゼは、各々1個のα及びβサブユニットから構成される。配列、組織特異的分布及び異なる発生段階での発現に関し、互いに異なる数種類のサブユニットのサブタイプが開示されている。サブタイプα及びβは、主に脳及び肺で発現するが、一方βは特に肝臓及び腎臓で見出される。サブタイプαは、ヒト胎児脳に存在することが明らかにされた。α及びβと呼ばれるサブユニットがヒト脳から分離されたが、α及びβに相同的である。最新の研究は、触媒ドメインに挿入断片を含むα2iサブユニットを示している。全てのサブユニットが触媒ドメイン領域における高い相同性を示している。酵素は、おそらくヘテロ二量体当たり1個のヘムを含有し、ヘムは、β1−Cys−78及び/又はβ1−His−105を介して結合しており調節中枢の一部である。
【0003】
病的症状下では、グアニレートシクラーゼ活性化因子の生成が減少し、又はフリーラジカル生成の増加に起因してその分解が促進される。それぞれのcGMP媒介性の細胞応答の減弱により生じるsGCの活性化減低下が、例えば血圧上昇、血小板活性化又は細胞増殖及び細胞接着の増加へと導く。結果として、内皮機能不全、アテローム性動脈硬化、高血圧、安定又は不安定狭心症、血栓症、心筋梗塞、脳卒中又は勃起不全を引き起こす。sGCの薬理的刺激は、cGMP産生を正常化する可能性を示しており、それ故に当該疾患の治療及び/又は予防を可能とする。
【0004】
sGCの薬理的刺激のために、その活性がNO放出中間体、例えば有機硝酸塩に基づく化合物が用いられてきた。この治療の欠点は、耐性の発生及び活性の低下であり、これに起因し必要とされる高投与量である。
【0005】
NO放出を介しては作用しない種々のsGC刺激剤がヴェスリー(Vesely)により一連の刊行物で開示された。しかし、化合物は、たいていはホルモン、植物ホルモン、ビタミン又は例えばトカゲ毒等の天然化合物であるが、細胞溶解液においてcGMP生成に関し弱い効果を有するだけである。ヴェスリー(D.L.Vesely)、「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・クリニカル・インヴェスティゲーション(Eur.J.Clin.Invest.)」、1985年、第15巻、p.258;ヴェスリー(D.L.Vesely)、「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Comm.)」、1979年、第88巻、p.1244。プロトポルフィリンIXによるヘムフリーのグアニレートシクラーゼの刺激が、イグナロら(Ignarro et al.)、「アドバンシズ・イン・ファルマコロジー(Adv.Pharmacol.)」、1994年、第26巻、p.35によって証明された。ペッティボンらは(Pettibone et al.)、「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファルマコロジー(Eur.J.Pharmacol.)」、1985年、第116巻、p.307、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファートの抗高血圧作用を開示し、これをsGCの刺激に起因するものとした。ユーらによれば(Yu et al.)、「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファルマコロジー(Brit.J.Pharmacol.)」、1995年、第114巻、p.1587、ラット単離大動脈において弛緩作用を有するイソリキリチゲニンは、又sGCをも活性化する。コーら(Ko et al.)、「ブラッド(Blood)」、1994年、第84巻、p.4226、ユーら(Yu et al.)、「バイオケミカル・ジャーナル(Biochem.J.)」、1995年、第306巻、p.787及びウーらは(Wu et al.)、「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファルマコロジー(Brit.J.Pharmacol.)」、1995年、第116巻、p.1973、1−ベンジル−3−(5−ヒドロキシメチル−2−フリル)インダゾールのsGC刺激活性を証明し、並びに抗増殖性作用及び血小板抑制作用を証明した。sGC刺激活性を示すピラゾール及び縮合ピラゾールは、欧州特許出願公開第908,456号及びドイツ特許出願公開第19,744,027号に開示されている。
【0006】
そのN−アリール基がチオ置換基を保有する一連の2−スルホニルアミノ安息香酸N−アリールアミド類が文献に述べられている。これらの化合物は、通常N−アリール基が、容易に酸化される置換基、この場合はヒドロキノン誘導体とみなされるが例えば互いにパラの位置にある2のヒドロキシ基等、を更に保有するが、感光材料の調製用添加物である(参照、例えば「ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)」、第119巻、抄録番号105757;第120巻、抄録番号41858;第123巻、抄録番号70224;又は第126巻、抄録番号257007)。英国特許出願公開第876,526号(「ケミカル・アブストラクツ」第56巻、抄録番号15432e)は、ウールの虫食い防護に使用できる3,5−ジクロロ−2−メチルスルホニル安息香酸N−(5−クロロ−2−(4−クロロフェニルメルカプト)−フェニル)−アミドを開示している。
【0007】
本発明の化合物は、グアニレートシクラーゼの高活性化に効果を与え、それ故に低cGMPレベルに関連する疾患の治療と予防に適していることが、明らかとなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、可溶性グアニレートシクラーゼを活性化する化合物であって、疾患、例えば、高血圧症、心不全(heart failure)、肺高血圧症、狭心症、糖尿病、心不全(cardiac insufficiency)、血栓症又はアテローム性動脈硬化等の心血疾患の治療及び予防にとり有用な薬学的に活性な化合物に関する。式Iの化合物は、サイクリックグアノシン一リン酸(「cGMP」)
式I
【化1】

【0009】
の生体における産生を調節することができ、一般的にはcGMPバランスの障害に関連する疾患の治療及び予防に適している。発明は、更に、式Iの化合物を調製する工程、前記の疾患の治療及び予防のための化合物の使用及びこれを目的とする製剤調製のための化合物の使用、並びに式Iの化合物を含有する製剤に関する。
【0010】
発明の詳細な説明及び好ましい実施態様
本発明は、可溶性グアニレートシクラーゼを活性化する式Iの化合物及びその薬学的に許容可能な塩に関する。
【0011】
式I
【化2】

【0012】
式中、
【化3】

【0013】
は、8又は9員環のヘテロアリールであり;
及びRは、各出現時に、独立して−H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され;
は、各出現時に、独立して−C−Cアルキル、−CF及びアリールからなる群から選択され;
は、各出現時に、独立して−H、ハロ、アリール、ヘテロアリール、−C−Cアルキル、−C3−10シクロアルキル、−OR、−NO、−CN、−CO、−NR、−S(O)、チオキソ、アジド、−C(=O)R、−OC(O)、−OC(=O)OR、−OC(=O)NR、−SONRNR、−NR(C=)、−NRSO、−NRC(=O)OR、−NRC(O)NR、−NRSONR、−C2−10アルケニル、及び−C2−10アルキニル、からなる群から選択され、ここで前記アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、及びアルキニルは、ハロ、−C−Cアルキル、−OR、オキソ、アリール、ヘテロアリール、−C3−10シクロアルキル、−NO、−CN、−CO、−NR、−S(O)、チオキソ、アジド、−C(=O)R、−O(C=O)、−OC(=O)OR、−OC(=O)NR、−SONRNR、−NR(C=O)、−NRSO、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR、−NRSONR及び−CFから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されており;
は、−C−Cアルキル、−(CROR、−(CRS(O)、−(CRCF、−(CR−C3−10シクロアルキル、−(CRアリール、−(CRヘテロアリール、−(CR−C2−10アルケニル、−(CR−C2−10アルキニル、及び−(CRC(O)Oアルキルからなる群から選択され、ここで前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル及びアルキニルは、ハロ、−C−Cアルキル、−CF、−CN及び−ORから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されており;
Rは、各出現時に、独立して−H、−C−Cアルキル、−CF、及びアリールからなる群から選択され;
及びRは、独立して−H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され;
及びRがC−Cアルキルであるときは、それらは任意に結合してシクロアルキルを生成することができ;
mは、0(ゼロ),1,2、又は3であり:
pは、0(ゼロ),1又は2であり;
rは、0(ゼロ),1,2,3,4,5又は6であり;並びに
zは、0(ゼロ)又は1である。
【0014】
更なる実施態様として、本発明は、式IIの化合物及びその薬学的に許容可能な塩に関する。
【0015】
式II
【化4】

【0016】
式中、
【化5】

【0017】
は、8又は9員環のヘテロアリールであり;
は、各出現時に、独立して−H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され;
は、各出現時に、独立して−H、ハロ、アリール、ヘテロアリール、−C−Cアルキル及び−C3−10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで前記アリール、ヘテロアリール、アルキル及びシクロアルキルは、ハロ、−C−Cアルキル及び−CFから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されており;
は、−C−Cアルキル、−(CRCF、−(CR−C3−10シクロアルキル、−(CRアリール、−(CRヘテロアリール、−(CRアルケニル、−(CRアルキニル、及び−(CRC(O)Oアルキルからなる群から選択され、ここで前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル及びアルキニルは、ハロ、−C−Cアルキル、−CF、−CN及び−ORから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されており;
Rは、各出現時に、独立して−H、−C−Cアルキル、及びアリールからなる群から選択され;
及びRは、独立してH及びC−Cアルキルからなる群から選択され;
及びRがC−Cアルキルであるときは、それらは任意に結合してシクロアルキルを生成することができ;
mは、0,1,2又は3であり;及び
rは、0,1,2,3,4,5,又は6である。
【0018】
他の実施態様において、
【化6】

【0019】
は、
【化7】

【0020】
[式中、
*は、ピリミジニル環への結合を示し、及び**は、構造式I又はIIの−CH−Rへの結合を示し;
、X、X及びXは、N又はCHから独立して選択される、但しX、X、X及びXの中の1つのみがNであり、;他の全ての可変要素は前述の定義通りである。]である。
【0021】
他の実施態様において、
【化8】

【0022】
は、
【化9】

【0023】
[式中、
*は、ピリミジニル環への結合を示し、**は、構造式I又はIIの−CH−Rへの結合を示し;
、X、X及びXは、N又はCHから独立して選択される、但しX、X、X及びXの中の1つのみがNであり;及び他の全ての可変要素は前述の定義通りである。]である。
【0024】
一実施態様において、Rは−C−Cアルキルである。一実施態様において、Rは−C−Cアルキルである。更に他の実施態様において、R及びRは、メチルである。
【0025】
更なる実施態様において、本発明は式IIの化合物及びその薬学的に許容可能な塩に関する。
【0026】
式II
【化10】

【0027】
[式中、
【化11】

【0028】
は、
【化12】

【0029】
であり;
は、CH及びNからなる群から選択され;
は、各出現時に、独立して−H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され;
は、各出現時に、独立して−H、ハロ、及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここで前記アルキルは、ハロ、−C−Cアルキル及び−CFから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されており;
は、−C−Cアルキル、−(CRCF、−(CR−C3−10シクロアルキル、及び−(CRアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、シクロアルキル及びアリールは、ハロ、−C−Cアルキル及び−CFから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されており;
Rは、独立して−H、−C−Cアルキル、及びアリールから選択され;
及びRは、各々−C−Cアルキルであり;
mは、0,1,2又は3であり;及び
rは、0,1,2又は3である。]である。
【0030】
他の実施態様において、本発明の化合物は、以下に列挙する群及びその薬学的に許容可能な塩から選択される。
【表1】














更なる実施態様において、本発明の化合物は以下の群、及びそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される:
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−チエノ[2、3−c]ピラゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[7−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−b]ピリダジン−5−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[6−クロロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[6−フルオロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[3−(2,3−ジフルオロベンジル)−6−フルオロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[3−(2−シクロペンチルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン。
【0031】
一般式Iの化合物において、原子は、天然の同位体存在比を示しても、又は原子の中の一以上が、同じ原子番号を有するが自然界に主に見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する特定の同位体を強化されていてもよい。本発明は、式Iの化合物の全ての適した同位体のバリエーションを含むことを意味する。例えば、水素(H)の異なる同位元素には、軽水素(1H)及び重水素(2H)が含まれる。軽水素は、自然界に優勢に見出される水素の同位体である。重水素強化により、インビボでの半減期延長又は必要用量の減少等の一定の治療上の有利性を与えることができ、又は生体試料のキャラクタリゼーション用の標準物質として有用な化合物を提供することができる。同位体的に強化された式Iの範囲内の化合物は、過度の実験を要せず、当業者に公知の従来技術により、又は同位体的に適切に強化した試薬及び/又は中間体を使用して本明細書のスキーム及び実施例に記載されたものと類似の過程により調製することができる。
【0032】
特に断りがない限り本明細書で使用するとき、「アルキル」とは、特定の炭素原子数を有する分枝鎖及び直鎖双方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図する。用語「シクロアルキル」は、ヘテロ原子を含まない炭素環式化合物を意味する。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカヒドロナフチルその他が含まれる。明細書を通して、アルキル基に対して通常使用される略語が用いられ、例えば、メチルは、「Me」又はCHを含む従来の略語、又は明確な末端基を有さない長い結合の記号、例えば
【化13】

【0033】
により表すことができ、エチルは「Et」又はCHCHにより、プロピルは「Pr」又はCH2CHにより、ブチルは「Bu」又はCHCHCHCH等により表すことができる。例えば「C1−6アルキル」(又は「C−Cアルキル」)は、全ての異性体を含み、明示された炭素原子数を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基を意味する。C1−6アルキルには、全てのヘキシルアルキル及びペンチルアルキル異性体と同様に、n−、イソ−、sec−及びt−ブチル、n−プロピル及びイソプロピル、エチル及びメチルが含まれる。「C1−4アルキル」は、n−、イソ−、sec−及びt−ブチル、n−プロピル及びイソプロピル、エチル及びメチルを意味する。数が明示されていない場合、1−10個の炭素原子は、直鎖又は分枝鎖アルキル基を意図している。「アルキル基が置換されていないか又は1−3個のフッ素原子で置換されているC1−6アルキル」というフレーズは、一以上の炭素原子に結合したフッ素原子を0、1、2、又は3個有するアルキル基のことを指している。例えば、「CF」基は、同一の炭素原子に結合した3個のフッ素原子を有するメチル基である。
【0034】
「アルケニル」は、他に断らない限り、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する炭素鎖を意味し、炭素鎖は、直鎖又は分枝又はそれらの組合せであり得る。アルケニルの例には、これに限定されないが、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、その他が含まれる。用語「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有しヘテロ原子を含まない炭素環式化合物を意味する。
【0035】
「アリール」は、他に断らない限り、6−12個の炭素原子を含む単環式及び二環式の芳香環を意味する。アリールの例には、これに限定されないが、フェニル、ナフチル、インデニル等が含まれる。「アリール」は、またアリール基に縮合した単環式環を含む。例として、テトラヒドロナフチル、インダニル、等が含まれる。好ましいアリールはフェニルである。
【0036】
「ヘテロアリール」は、他に断らない限り、O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、各環が5から10個の原子を有する単環式又は二環式の芳香環又は環系を意味する。例には、これに限定されないが、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル等が含まれる。ヘテロアリールには、非芳香族性又は部分的芳香族性である複素環式化合物と縮合した芳香族複素環基、及びシクロアルキル環と縮合した芳香族複素環基も含まれる。ヘテロアリールの例には、これに限定されないが、更に、インダゾリル、チエノピラゾリル、イミダゾピリダジニル、ピラゾロピラゾリル、ピラゾロピリジニル、イミダゾピリジニル及びイミダゾチアゾリルが含まれる。ヘテロアリールには、例えばピリジニウムのような荷電型の基も含まれる。
【0037】
「ヘテロシクリル」は、他に断らない限り、その結合箇所が炭素又は窒素である、N、S及びOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5又は6員環の単環式飽和環を意味する。「ヘテロシクリル」の例には、これに限定されないが、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロフルオロ(2,3−b)ピリジル、ベンゾオキサジニル、等が含まれる。この用語には、窒素を介して結合した2−又は4−ピリドン誘導体又はN−置換−(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン類(N−置換ウラシル)のような芳香族性のない部分不飽和の単環式環も含まれる。ヘテロシクリルには、更に、例えばピペリジニウムのような荷電した形態部分も含まれる。
【0038】
「ハロゲン(又はハロ)」には、他に断らない限り、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)及びヨウ素(ヨード)が含まれる。フルオロ及びクロロが好ましい。
【0039】
明示的に反対の記載がない限り、示された置換基による置換は、このような環置換が化学的に許容され安定な化合物が得られる限りにおいて、環内(例えば、アリール、ヘテロアリール環、又は飽和複素環内)のいずれの原子上であってもよい。「安定な」化合物とは、調製し単離可能な化合物であって、その構造及び性質が残存する又は本明細書記載の目的(例えば、被験者への治療的又は予防的投与)のために化合物の使用を許容するに十分な一定時間本質的に変化せずに残存することができる化合物である。
【0040】
本発明には、式Iの化合物の全ての立体異性体が含まれる。式Iの化合物に存在する不斉中心は、全て互いに独立してS立体配置又はR立体配置を有し得る。本発明には、全ての可能なエナンチオマー(鏡像異性体)及びジアステレオマー(鏡像異性体以外の立体異性体)及び2種以上の立体異性体の混合物、例えばエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの全ての比率での混合物が含まれる。従って、エナンチオマーは、左旋性及び右旋性の双方の対掌体として鏡像異性的に純粋な形態において、ラセミ体の形態において及び2種類のエナンチオマーの全ての比率での混合物の形態において、本発明の対象である。本発明には、シス/トランス異性においてシス型及びトランス型の双方と同様これらの型の全ての比率での混合物が含まれる。個々の立体異性体の調製は、必要ならば、例えばクロマトグラフィー又は分別結晶法の常法による混合物の分離によって、又は立体化学的に均一な出発原料を合成に使用することによって、又は立体選択的な合成によって実施することができる。必要に応じて、立体異性体の分離の前に誘導体化を実施することができる。立体異性体混合物の分離は、式Iの化合物の段階又は合成の間の中間体の段階で実施することができる。本発明には、式Iの化合物の全ての互変異性体も含まれる。
【0041】
式Iの化合物が一以上の酸性基又は塩基性基を含む場合、本発明には、対応する生理学的又は毒性学的に許容可能な塩、特に薬学的に利用可能な塩も含まれる。従って、酸性基を含む式Iの化合物は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩として、これらの置換基に存在し得、本発明に従って使用することができる。このような塩の例は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はアンモニア若しくは例えばエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン若しくはアミノ酸等の有機アミンとの塩である。一以上の塩基性基、例えばプロトン化され得る基を含む式Iの化合物は、例えば、塩酸、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酪酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、等との塩として、無機酸又は有機酸との酸付加塩の形態で存在し得、本発明に従って使用することができる。式Iの化合物が分子内に酸性基と塩基性基を同時に含む場合、本発明には、既述の塩形態に加え、分子内塩即ちベタイン(双性イオン)も含まれる。塩は、当業者に公知の常法により、例えば、溶媒又は分散剤中の有機酸又は無機酸又は塩基との配合により、又は他の塩からのアニオン交換又はカチオン交換により、式Iの化合物から得ることができる。本発明には、生理学的適合性が低いために、薬剤への直接の使用には適していないが、例えば、化学反応のための又は生理学的に許容可能な塩の調製のための中間体として使用し得る、式Iの化合物の全ての塩も含まれる。
【0042】
本明細書の実施例によって説明する際、
【化14】

【0043】
は、5又は6員環に縮合し、その結果、縮合環が2の隣接する原子を共有する5員環からなる、8又は9員環の二環式ヘテロアリール環系を表す。特に、8又は9員環ヘテロアリールは、2個
の窒素を含む5員環であり、任意に一以上のヘテロ原子(N、O又はS)を含む第二の環に縮合した、第一の環、から構成される。第一の環の2個の窒素は、全部が第一の環にあってもよく、又は2個の窒素の1個が第二の環との縮合部位で共有されていてもよい。8又は9員環二環式ヘテロアリールは、第一の環を介して、より具体的には、二環式ヘテロアリールの両環により共有された2個の原子の各々に隣接する、第一の環の各々の原子を介して、構造式I又はIIのピリミジニル環及び−CH−R基に結合している。
【0044】
一実施態様において、
【化15】

【0045】

【化16】

【0046】
である。
【0047】
他の実施態様において、
【化17】

【0048】

【化18】

【0049】
であり、式中、X、X及びXは、CH又はNから選択されるが、但し1個はNである。
【0050】
更に他の実施態様において、
【化19】

【0051】
は、
【化20】

【0052】
であり、X及びXはCHである。本明細書で用いる際、*は、ピリミジニル環への結合を示し、及び**は、構造式I又はIIの−CH−Rへの結合を示す。
【0053】
一実施態様においては、Rは、独立して−H、ハロ、アリール、ヘテロアリール、−C−Cアルキル、及び−C3−10シクロアルキル、から選択され、ここで前記アリール、ヘテロアリール、アルキル及びシクロアルキルは、ハロ、−C−Cアルキル、−OR、オキソ及びCFから選択される1ないし3の置換基により任意に置換されている。更なる実施態様において、Rはアリール又は−C−Cアルキルであり、ここで前記アリール又は−C−Cは、ハロ又はCF3から選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されている。
【0054】
一実施態様において、Rは、−C−Cアルキル、−(CR−C3−10シクロアルキル、−(CRアリール、−(CRヘテロアリール、及び−(CRC(O)Oアルキルからなる群から選択され、ここで前記アルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、ハロ、−C−Cアルキル、−CF、−CN及び−ORから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されている。他の実施態様において、Rは、−C−Cアルキル及び−(CRアリールから選択され、ここで前記アルキル及びアリールは、ハロ、−C−Cアルキル及び−CFから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されている。
【0055】
及びRの双方がアルキルであるときは、それらは、それらが通常結合している炭素と結合して、3−6員のシクロアルキル環を生成する。一実施態様において、R及びRは、それぞれ−C−Cアルキルである。他の実施態様において、R及びRはそれぞれメチルである。
【0056】
本発明は、以下に記載され本発明の化合物が得られる、式Iの化合物の調剤方法にも関する。
【0057】
本発明の式Iの化合物は、可溶性グアニレートシクラーゼ(sGC)の活性化を介してcGMP濃度の増加をもたらし、それ故に、それらは、低い又は減少したcGMPレベルに関連する障害、又はそれによって生ずる障害の治療及び予防、又は現状のcGMPレベルの増加が望まれる障害のその治療又は予防のための有用な薬剤である。式Iの化合物によるsGCの活性化は、例えば、以下に記載する活性アッセイにより試験することができる。
【0058】
低cGMPレベルと関連するか、又はcGMPレベルの増加が望まれる障害及び症状であって、その治療及び予防のために式Iの化合物を使用することが可能な障害及び症状は、例えば、内皮障害、拡張機能障害、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全(heart failure)、肺高血圧症、安定及び不安定狭心症、血栓症、再狭窄、心筋梗塞、脳卒中、心不全(cardiac insufficiency)又は肺高血圧症等の心血管疾患、又は、例えば、勃起障害、気管支喘息、慢性腎機能障害及び糖尿病である。式Iの化合物は、更に肝硬変の治療、及び限定された記憶特性又は学習能力の改善にも使用することができる。
【0059】
式Iの化合物及びその生理学的に許容可能な塩は、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトに、単独、又は相互混合物、又は医薬製剤の形態よる薬剤として、投与することができる。用語「患者」には、医学的状態の予防又は治療のために即時の効能のある薬剤を使用する、動物、好ましくは哺乳動物、とくにヒトが含まれる。患者への薬剤の投与には、自己投与及び他人による患者への投与が含まれる。患者は、既存の疾患又は医学的状態の治療を必要としていてもよいし、又は前記の疾患又は医学的状態のリスクを予防又は低減するための予防投与処置を望んでいてもよい。
【0060】
それ故に、本発明の課題は、薬剤として使用するための式Iの化合物及びその生理学的に許容可能な塩、可溶性グアニレートシクラーゼ活性化のための、及びcGMPバランス障害の正常化のためのその使用、及び特に前記の症候群の治療と予防投与におけるその使用並びにこれらを目的とする薬剤の調製のためのその使用でもある。
【0061】
治療的に有効な量とは、組織、器官、動物又はヒトの、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により探究されている、生物学的又は医学的応答を引き出す薬剤又は医薬品の量を意味することを意図している。予防的に有効な量とは、組織、器官、動物又はヒトの、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により探究されている、生物学的又は医学的事象の発生リスクを防止又は低減することのできる医薬品の量を意味することを意図している。明確な一日投与量とは、同時に、例えば、高血圧症の治療のために治療的に有効な量、及び例えば、心筋梗塞の予防のために予防的に有効な量の双方であり得ることと了解されたい。
【0062】
更に、本発明の課題は、活性成分として有効量の少なくとも式Iの化合物及び/又はその生理学的に許容可能な塩、並びに通常の薬学的に許容可能な担体、すなわちの薬学的に許容可能な担体及び/又は添加剤から構成される医薬製剤(又は医薬組成物)である。
【0063】
従って、本発明の課題は、例えば、活性成分として有効量の前記化合物及び/又はその生理学的に許容可能な塩及び通常の薬学的に許容可能な担体から構成される薬剤、医薬製剤として使用するための前記化合物及びその生理学的に許容可能な塩、及び前記症候群の治療又は予防における前記化合物及び/又はその生理学的に許容可能な塩の使用、並びにこれらの目的のために薬剤を調製するためのそれらの使用である。
【0064】
本発明の薬剤は経口的に、例えば、丸剤、錠剤、ラッカー塗布錠剤(lacquered tablets)、糖衣錠、顆粒、硬及び軟ゼラチンカプセル、水溶液、アルコール性又は油性溶液、シロップ、エマルション若しくは懸濁液、又は経直腸的に、例えば坐剤の形態で投与することができる。投与は、非経口的に、例えば、注射又は注入用溶液の形態で皮下注射、筋肉内注射、静脈注射で投与することができる。他の適切な投与形態は、例えば、軟膏、チンキ剤、スプレー剤又は経皮吸収治療システムの形態における経皮又は局所投与、又は点鼻薬又はエアロゾル混合物の形態のような吸入投与、又は例えばマイクロカプセル、インプラント、プラスチックの桿状体(rods)である。好ましい投与形態は、たとえば、治療すべき疾患及びその重症度に依存する。
【0065】
式Iの活性化合物及び/又はその生理学的に許容可能な塩の医薬製剤中の量は、通常は1投与量あたり0.2ないし200mg、好ましくは1ないし200mgであるが、医薬製剤のタイプ次第で、更に高くてもよい。医薬製剤は、通常、0.5ないし90重量%の式Iの化合物及び/又はその生理学的に許容可能な塩から成る。医薬製剤の調製は、それ自体公知の方法により実施することができる。この目的のため、1種以上の式Iの化合物及び/又はその生理学的に許容可能な塩を、1種以上の固形又は液状の薬学的担体物質及び又は添加剤(補助物質)と共に、必要であれば、治療又は予防的作用を有する他の薬学的活性化合物と組み合わせ、医学又は獣医学における薬剤として用いることができる適切な投与形態又は投与量にする。
【0066】
丸剤、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセルの製造のために、例えば、乳糖、デンプン、例えばトウモロコシデンプン又はデンプン誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等を用いることが可能である。軟ゼラチンカプセル及び座剤のための担体は、例えば、脂肪、ろう、半流動性及び液状ポリオール、天然油又は硬化油等である。液剤、例えば、注射用液剤、エマルション又はシロップの液剤の調製ための適切な担体は、例えば、水、生理的食塩水、エタノール等のアルコール類、グリセリン、ポリオール類、ショ糖、転化糖、グルコース、マンニトール、植物油等である。また、式Iの化合物及びその生理学的に許容可能な塩を凍結乾燥し、得られた凍結乾燥物を、例えば、注射又は注入用製剤を調製するために使用することも可能である。マイクロカプセル、インプラント又はプラスチックの桿状体のための適切な担体は、例えば、グリコール酸と乳酸の共重合体である。
【0067】
活性化合物及び担体に加え、医薬製剤は、通常の添加剤、例えば、賦形剤、崩壊剤、バインダー、滑沢剤、展着剤、安定剤、乳化剤、分散剤、防腐剤、甘味料、着色料、着香料、芳香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝物質、溶剤、可溶化剤、持続効果を達成するための薬剤、浸透圧を変えるための塩、コーティング剤又は抗酸化剤を含むこともできる。
【0068】
投与すべき式Iの活性化合物及び/又はその生理学的に許容可能な塩の投与量は、個々のケースに依存し、通常、最適な効果を達成するために個々の事情に適合させるべきである。従って、それは治療すべき障害の性質及び重症度、また、治療すべきヒト又は動物の性、年齢、体重及び個体の反応性、使用する化合物の効果及び作用持続時間、治療が急性又は慢性又は予防的であるかどうか、又は式Iの化合物に加え、他の活性化合物を投与するかどうかに依存する。一般に、体重約75kgの成人への望ましい結果を得るための投与として、約0.01ないし100mg/kg、好ましくは0.01ないし10mg/kg、特には0.3ないし5mg/kgの1日投与量が適切である。1日投与量は、単回投与で投与することできるが、又は特に大量を投与する時には、数回、例えば、2、3又は4回の個々の投与に分割することができる。場合によっては、個体の反応性次第で、所定の1日投与量から上下にはずすことが必要となる。
【0069】
式Iの化合物は、可溶性グアニレートシクラーゼを活性化する。この性質のために、医学及び獣医学における薬学的活性化合物としての使用とは別に、それらは、このようなグアニレートシクラーゼへの効果を意図する科学的ツールとして又は生化学研究のための補助手段としても使用することができ、そして診断目的、例えば、細胞試料又は組織試料のインビトロ診断においても使用することができる。式Iの化合物及びその塩は、更に、前記の通り、他の薬学的活性化合物の調製のための中間体としても使用することができる。
【0070】
前記化合物は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、アラセプリル、ベナゼプリル、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モベルチプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリル又はトランドラプリル)、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト(例えば、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン)、中性エンドペプチダーゼ阻害剤(例えば、チオルファン及びホスホラミドン)、アルドステロンアンタゴニスト、レニン阻害剤(例えば、ジ−及びトリ−ペプチドの尿素誘導体(参照、米国特許第5,116,835号)、アミノ酸及び誘導体(米国特許第5,095,119号及び第5,104,869号)、非ペプチド結合により連結したアミノ酸鎖(米国特許第5,114,937号)、ジ−及びトリ−ペプチド誘導体(米国特許第5,106,835号)、ペプチジルアミノジオール類(米国特許第5,063,208号及び第4,845,079号)及びペプチジルベータ−アミノアシルアミノジオールカルバメート類(米国特許第5,089,471号);以下の米国特許第5,071,837号;第5,064,965号;第5,063,207号;第5,036,054号;第5,036,053号;第5,034,512号及び第4,894,437号に開示された種々の他のペプチドアナログ、及び小分子のレニン阻害剤(ジオールスルホンアミド類及びスルフィニル類を含む(米国特許第5,098,924号))、N−モルホリノ誘導体(米国特許第5,055,466号)、N−ヘテロシクリルアルコール類(米国特許第4,885,292号)及びピロールイミダゾロン類(米国特許第5,075,451号);また、ペプスタチン誘導体(米国特許第4,980,283号)及びスタトン含有ペプチドのフルオロ−及びクロロ誘導体(米国特許第5,066,643号)、エナルクレイン、RO 42−5892、A 65317、CP 80794、ES 1005、ES 8891、SQ 34017、アリスキレン(2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(2−カルバモイル−2−メチルプロピル)−5−アミノ−4−ヒドロキシ−2,7−ジイソプロピル−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)−フェニル]−オクタンアミドヘミフマレート)、SPP600、SPP630及びSPP635)、エンドセリン受容体アンタゴニスト、血管拡張剤、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン、ニフェジピン、ベラパミル、ジルチアゼム、ガロパミル、ニルジピン、ニモジピン、ニカルジピン)、カリウムチャネル活性化剤(例えば、ニコランジル、ピナシジル、クロマカリム、ミノキシジル、アプリルカリム、ロプラゾラム)、利尿薬(例えば、ヒドロクロロチアジド)、交感神経遮断薬、ベータ−アドレナリン作用遮断薬(例えば、プロプラノロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール、メトプロロール又は酒石酸メトプロロール)、アルファ−アドレナリン作用遮断薬(例えば、ドキサゾシン、プラゾシン又はアルファメチルドパ)、中枢アルファアドレナリン作用アゴニスト、末梢血管拡張薬(例えば、ヒドララジン)、高脂血症治療薬(例えば、シンバスタチン、ロバスタチン、エゼチミブ、アトルバスタチン、プラバスタチン)、インシュリン増感剤及び関連化合物を含む代謝変換薬(例えば、ムラグリタザル、グリピジド、メトホルミン、ロシグリタゾン)から成る他の薬理学的活性化合物と、又はニトロプルシド及びジアゾキシドを含む前記疾患の予防又は治療に有益な他の薬剤と併用しても用いられる。
【0071】
式Iの化合物は、示した実施例を考慮にいれつつ、R、R、R及びRが前記の通り定義された(他に断らない限り)、以下に提示する一般的なスキームに従って合成することができる。合成スキーム及び実施例を通して、他に断らない限り、略語は以下の意味で使用される。
【表2】


以下の例は、本発明がより完全に理解され得るために提供する。他に断らない限り、出発原料は市販品を入手可能である。それらは、決して本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0072】
スキーム
本発明の一実施態様において、化学構造1の化合物は、スキーム1に示した順序に従って調製することができる。環状構造Zは、5又は6員のアリール又はヘテロアリール環を表す。アルファブロモエステル3存在下の水素化ナトリウム、カリウムtert−ブトキシド又は炭酸カリウム等の塩基によるマロノニトリル2の脱プロトン反応で化合物4を産生する。反応は、典型的にはDMF又はTHF等の溶媒中で行う。市販品が入手できない場合、化合物3は、相当するエステルから四塩化炭素等の溶媒中でN−ブロモサクシニミドで臭素付加することにより調製することができる。化合物4を、MeOH、n−BuOH又はt−BuOH等のアルコール溶媒中で、アミノグアニジンヒドラゾン5及びNaOMe、NaOEt又はt−BuOK等の塩基と100℃ないし150℃で反応することによりピリミジンヒドラゾン6を得る。反応は、塩基無添加でも実施し得る。化合物1は、化合物6を、DMF又はNMP等の溶媒中で、CuI及びトランス−N,N‘−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン又はN,N‘−ジメチルエチレンジアミン等のリガンドにより雰囲気温度160℃で処理して調製する。反応は、リガンド無添加でも実施し得る。インダゾールを生成する銅が介在するヒドラゾンの環化は、リュら(Liu,R. et al.)、「シンセチック・コニュニケーションズ(Synthetic Communications)」、2008年、第32巻(2)、p.249により開示された条件を使用しても実施することができる。スキーム1に示した銅が介在する環化は、臭化物6に加えて相当する塩化物又はヨウ化物で実施することもできる。
【0073】
スキーム1
【化21】

【0074】
アミノグアニジンヒドラゾン5の調製をスキーム2に概説する。メチルエステル7をTHF中でカルボン酸8及びNaHMDS等の塩基と反応することによりケトン9を得る。変換は、アリール酢酸化合物(8、R=アリール)に対し最も効率的である。化合物5は、ケトン9を、メタノール等のアルコール溶媒中でアミノグアニジンヒドラゾン及びボロントリフルオリド - エチルエーテル コンプレックスによって100℃で処理することにより調製する。
【0075】
スキーム2
【化22】

【0076】
ケトン9は、当業者に周知の方法を使用して調製することができる。スキーム3にいくつかの方法を示す。アルデヒド10にアルキル又はアリール塩化マグネシウム11(又は臭化、ヨウ化マグネシウム)を添加することによりベンジルアルコール12を得る。市販されていなければ、化合物11は、ライ(Lai,Y.H.)、「シンセシス(Synthesis)」、1981年、p.585により開示された通り、金属マグネシウムを使用して相当するハロゲン化物から調製することができる。ケトン9は、化合物12を三酸化クロム等の酸化剤で処理することにより調製される。ケトン9は、アミド15に11を添加することによっても調製される。代わりに、ケトン9は、ズーら(Zhu,L et al.)、「ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)」、1991年、第56巻(4)、p.1445により開示された通り、Pd(PPh等のパラジウム触媒を使用して、酸塩化物13及び亜鉛化合物14から調製してもよい。R2がCHCOEtであるケトン9は、青木ら(Aoki,S. et al.)、「テトラへドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)」、1989年、第30巻(47)、p.6541により開示された通り、PdCl(PPh等のパラジウム触媒を使用して、酸塩化物13及び1−エチルオキシ−1−(トリメチルシリルオキシ)シクロプロパンから調製することができる。
【0077】
スキーム3
【化23】

【0078】
構造18(AないしD)を有する本発明化合物の一実施態様は、スキーム4に示した順序により調製することができる。アミジン17へのニトリル16の変換は、ガリギパチ(Garigipati,R.S.)、「テトラへドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)」、1990年、第31巻(14)、p.1969により開示された通り、トルエン等の非極性溶媒中100℃でアミノ(クロロ)メチルアルミニウム等の試薬により達成することができる。マロンニトリル4とのアミジン17の反応によりスキーム1に記載したと同様にして18が生成する。
【0079】
スキーム4
【化24】

【0080】
スキーム5に、ニトリル中間体16の調製を概説する。アミノメチル化合物19を、DCM等の溶媒中でカルボン酸8及びEDC等のカップリング試薬及びDIEA等の有機塩基とカップリングすることによりアミド20を生成することができる。これは、還流条件下DCE等の塩素系溶媒中、塩化ホスホリルによりイミダゾピリジン21に変換することができる。21の22へのヨウ素化は、DCM又はアセトニトリル等の溶媒中、雰囲気温度で又は還流条件下でNISにより達成することができる。ニトリル16は、Pd(PPh又はPd(dba)等の適切な触媒及びDMF等の極性溶媒中のdppf等の適切なリガンドの存在下、ヨウ化物22をシアン化亜鉛で処理することにより調製することができる。
【0081】
スキーム5
【化25】

【0082】
アミノメチル化合物19Dは、スキーム6に概説した通り調製することができる。ピリダジン23は、ドスタルとハイニッシュ(Dostal,W. and Heinisch,G.)、「ヘテロシクルズ(Heterocycles)」、1986年、793により開示された化学反応を使用することにより、2−シアノピリダジン25に変換することができる。ニトリル25の還元は、高圧の水素付加条件下、メタノール又はエタノール等のアルコール溶媒中のパラジウム炭素等の適切な触媒、及び塩酸等の適切な酸を使用することにより達成することができ、そして2−アミノメチルピリダジン塩酸塩19Dを生成する。
【0083】
スキーム6
【化26】

【0084】
アミノメチル化合物19B及び19Cは、スキーム7に概説した通り調製することができる。2−クロロ−5−ニトロピリジンにジエチルアセトアミドマロン酸エステルを添加することにより化合物27を生成する。水素及びパラジウム炭素による27の還元によりアミン28を得る。示した条件を使用した28のサンドマイヤー反応によりハロ(クロロ又はフルオロ)ピリジン29を得る。塩基による29のけん化、その後の塩酸による処理によりアミノメチル化合物19B及び19Cを得る。
【0085】
スキーム7
【化27】

【0086】
構造36を有する本発明の化合物の一実施態様は、スキーム8に概説する通り調製する。ケトン30は、スキーム2及び3の化合物9のためにと同様に調製することができる。化合物30をアルコール中でヒドロキシルアミンと反応することによりオキシム31を生成する。金属亜鉛による還元、その後のクロログリオキシル酸メチルとの反応により化合物33を得る。34を生じる塩化ホスホリルを使用した33の環化は、スキーム5に記載したと同様にして実施することができる。エステル34のアミジン35への変換は、トルエン等の非極性溶媒中100℃でアミノ(クロロ)メチルアルミニウム等の試薬により達成することができる。スキーム1で記載したと同様にして、アミジン35のマロノニトリル4との反応により36が生成する。
【0087】
スキーム8
【化28】

【0088】
構造40を有する本発明の化合物の一実施態様は、スキーム9に概説する通り調製する。DMF等の溶媒中で炭酸セシウム又は水素化ナトリウム等の塩基及びハロゲン化アルキルによるニトリルインダゾール37のアルキル化により化合物38を生成する。スキーム4に記載したと同様にして化合物38は化合物40に変換することができる。
【0089】
スキーム9
【化29】

【0090】
構造44を有する本発明の化合物の一実施態様は、スキーム10に概説する通り調製する。ディングら(Ding,Y. et al.)、「テトラヘドロン(Tetrahedron)」1997年、第53巻(8)、p.249、により記載された通り、不飽和ニトリル41のブロモ酢酸エチル、亜鉛及びチタニウムビスシクロペンタジエニルジクロリド触媒剤との反応により化合物42を生成する。化合物44は、スキーム1に記載の条件を使用して化合物42から調製する。加えて、化合物4は、相当する6員環アミドを生成する目的で、スキーム4,8及び9において化合物42に代替することができる。
【0091】
スキーム10
【化30】

【0092】
本発明の化合物は、当業者に周知の方法を使用して調製することができる。このような一方法は、ボロン酸又はボロン酸エステル及びハロゲン化アリールのパラジウム介在カップリングである。本方法の一例をスキーム11に示す。イミダゾピリジン45は、[1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物等の触媒により、フェニルボロン酸等の任意の適切なボロン酸又はボロン酸エステルにカップリングすることができる。
【0093】
スキーム11
【化31】

【0094】
代表例
以下の実施例は、本発明をより十分に説明するために提示しており、決して範囲を限定するものと解釈してはならない。他に断らない限り次の通りである。
【0095】
1)全ての操作は、室温又は雰囲気温度(RT)、即ち、18−25℃の範囲
の温度で実施した;
2)反応は、一般的に、窒素かアルゴンの不活性雰囲気下、入手可能な市販品の無水物を使用して行う;
3)マイクロ波による反応は、Biotage Initiator(登録商標)又はCEM Ecplorer(登録商標)系を使用して実施した;
4)溶媒の蒸発は、50℃までの浴槽温度、減圧下(4.5−30mmHg)ロータリーエバポレーターを使用して実施した;
5)反応の経過は、薄層クロマトグラフィー(TLC)及び/又は、本明細書ではLCMSと称するが、並列型液体クロマトグララフィー(HPLC)−高感度質量分析法(MS)により追跡したが、反応時間はあくまでも説明用に用いたにすぎない;
6)全ての最終化合物の構造は、次の測定法、即ちMS又はプロトン核磁気共鳴法(1H NMR)の少なくとも一つにより検証した。純度は、次の測定法、即ちTLC又はHPLCの少なくとも一つにより検証した。
【0096】
7)1H NMRのスペクトルは、所定の溶媒を使用し400、500又は600MHzでVarian Unity又はVarian Inova分析装置に記録した;リスト化するときには、NMRのデータは、残存する溶媒ピークに相対的な百万分率で与えられる(多重度及び水素数)、主要で特長的なプロトンに対するデルタ値の形式である;信号形に対し使用された従来の略語は:s.シングレット;d.ダブレット(見かけ);t.トリプレット(見かけ);m.マルチプレット;br.ブロード;等である;
8)MSデータは、Hewlett−Packard(Agilent1100)HPLC装置とインターフェースでつなぎ、MassLynx/OpenLynxソフトウェア―で作動する、Waters Micromass unitに記録した;エレクトロスプレーイオン化法では陽イオン(ES+)又は陰イオン(ES−)検出;及びダイオードアレイ検出を使用した;分析的HPLC/質量分析法の条件として使用される種々の方法について以下に収載する:
分析的HPLC/質量分析法条件:
LC1: カラム:Waters Xterra MS C−18、3.5μ、
3.0x50mm
温度:50℃
溶出液:10:90ないし98:2 v/v アセトニトリル/水+
0.05%TFA(又はHCOOH)溶出時間3.75分
流速:1.0mL/min、注入量 10μL
検出器:PDA検出器、200−600nm
MS:質量数範囲 150−750 amu(原子質量単位);陽イ
オンイレクトロスプレーイオン化
LC2: カラム:Waters Xterra IS C−18、3.5μ、
2.1x20mm
温度:50℃
溶出液:10:90ないし98:2 v/v アセトニトリル/水+
0.05%TFA(又はHCOOH)溶出時間1.25分
流速:1.5mL/min、注入量 5μL
検出器:PDA検出器、200−600nm
MS:質量数範囲 150−750 amu;陽イオンイレクトロス
プレーイオン化
LC3: カラム:Waters Xterra IS C−18、3.5μ、
2.1x20mm
温度:50℃
溶出液:10:90ないし98:2 v/v アセトニトリル/水+
0.05%TFA(又はHCOOH)溶出時間3.25分
流速:1.5mL/min、注入量 5μL
検出器:PDA検出器、200−600nm
MS:質量数範囲 150−750 amu;陽イオンイレクトロス
プレーイオン化
LC4: カラム:Waters Sunfire C−18、5μ、4.6x50mm
温度:50℃
溶出液:10:90ないし100:0 v/v アセトニトリル/水+
0.05%TFA 溶出時間3.25分
流速:1.2mL/min、注入量 10μL
検出器:PDA検出器、200−600nm
MS:質量数範囲 150−700 amu;陽イオンイレクトロスプレー
イオン化
L5: カラム:YMC Pro C18、5μ、4.6x50mm
温度:50℃
溶出液:5:95ないし98:2 v/v アセトニトリル/水+
0.05%TFA 溶出時間3.00分
流速:2.5mL/min、注入量 10μL
検出器:PDA検出器、200−600nm
MS:質量数範囲 150−700 amu;陽イオンイレクトロスプレー
イオン化
9)分取逆相HPLCによる化合物の精製は、YMC−Pack Pro C18カラム(150x内径20mm)を使用し、水/アセトニトリル(0.1%TFA)のグラジエント(典型的には5%アセトニトリルから95%アセトニトリル)により20mL/minで溶出するGilsonシステムに基づいて、又はSufire Prep C18 OBD 5μMカラム(100x内径30mm)を使用し、水/アセトニトリル(0.1%TFA)のグラジエントにより50mL/minで溶出する島津システムに基づいて実施した;
10)分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)による化合物の精製は、Analtech又はE.Merckから市販されている、シリカゲルでコートされた20x20cmのガラスプレートにより行った。
【0097】
11)フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Kieselgel60(0.063−0.200mm(SiO))を使用したガラス製のシリカゲルカラムに基づいて、又はBiotage Horizonを使用したBiotage SiOカートリッジ及びBiotage SP−1システムに基づいて、又はCombiFlashRfシステムを使用したTeledyne Isco SiOカートリッジに基づいて行った。
【0098】
12)化学記号は、通常の意味を表すが、次の略語も使用した:h(時間)、min(分間)、v(容量)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq又はequiv(当量)、IC50(可能な最大阻害の50%を生じるモル濃度)、EC50(可能な最大有効の50%を生じるモル濃度)、uM(マイクロモル)、nM(ナノモル)。
【0099】
中間体1
メチル3,3−ジシアノ−2,2−ジメチルプロパノエイト
【化32】

【0100】
機械的撹拌器、温度計、凝縮器及び窒素バブラーを装着した12Lの三つ口丸底フラスコにマロノニトリル(251g、3.802moles)及びTHF(2リットル)を充填した。次に、カリウムt−ブトキシド(1M THF、3.802L、3.802moles)を添加した。混合液を50℃で30分間撹拌した。2−ブロモイソ酪酸メチル(688g、3.80moles)を添加し、混合液を一晩50℃で撹拌した。反応液を1N HCl水溶液とEtOAcとの間で分配した。有機相を食塩水で洗浄し、MgSOで脱水し、ろ過し次に濃縮して表示の生産物を得た。H NMR(400 MHz、CDCN):δ 4.35(s、1H);3.73(s、3H);1.43(s、6H)。
【0101】
中間体2
メチル2−(ジシアノメチル)−2−メチルブタノエイト
【化33】

【0102】
ステップA
【化34】

【0103】
2−メチル酪酸エチル(0.868g、7.47mmol)、N−ブロモスクシンイミド(1.4g、7.87mmol)及び2,2‘−アゾビス(イソブチロニトリル)(0.129g、0.787mmol)を含有する四塩化炭素溶液(30mL)を3時間還流した。溶液を室温に冷却しろ過した。ろ液を濃縮し、残留物をヘキサン/EtOAcのグラジエントを使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表示の生産物を得た。H NMR(CDCl、400 MHz):δ 3.78(s、3H);2.19−2.09(m、2H);1.87(s、3H);0.98(t、J=7.4 Hz、3H)。
【0104】
ステップB
【化35】

【0105】
マロノニトリル(0.484g、7.32mmol)を含有するDMF溶液(4mL)を氷浴中で冷却した水素化ナトリウム(60wt%、0.30g、7.49mmol)を含有するDMF懸濁液(3mL)に滴下して添加した。10分後に、ステップA由来の中間体(1.099g、5.63mmol)を含有するDMF溶液(3mL)を添加した。氷浴を取り除き、溶液を室温で一晩撹拌した。溶液をエチルエーテルと1N HCl水溶液との間で分配した。有機相を1N HCl水溶液、食塩水で洗浄し、MgSOで脱水した。溶液をろ過し濃縮した。残留物をヘキサン/EtOAcのグラジエントを使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表示の生産物を得た。H NMR(CDCl、400 MHz):δ 4.18(s、1H);3.80(s、3H);1.96−1.79(m、2H);1.53(s、3H);0.91(t、J=7.4 Hz、3H)。
【0106】
中間体3
メチル2−(ジシアノメチル)−2−メチルペンタノエイト
【化36】

【0107】
表示の生産物は、中間体2の記載と同様にして2−メチル吉草酸メチルから調製した。H NMR(CDCl、400 MHz):δ 4.18(s、1H);3.79(s、3H);1.85−1.70(m、2H);1.52(s、3H);1.31−1.17(m、2H);0.94(t、J=7.4 Hz、3H)。
【0108】
中間体4
エチル4,4−ジシアノ−3,3−ジメチルブタノエイト
【化37】

【0109】
亜鉛粉末(1.23g、18.85mmol)をイソプロピリデンマロノニトリル(1.0g、9.42mmol)、ブロモ酢酸エチル(3.15g、18.85mmol)及びビス(2,4‐シクロペンタジエニル)ジクロロチタン(IV)(235mg、0.94mmol)を含有するTHF溶液(20mL)に添加した。1時間撹拌後、溶液を酢酸エチルと1N HCl水溶液との間で分配した。有機相を水、食塩水で洗浄し、MgSOで脱水しろ過した。溶液を濃縮し、未精製の残留物をヘキサン/EtOAcのグラジエントを使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表示の生産物を得た。H NMR(400 MHz、CDCN):δ 4.55(s、1H);4.10(q、J=7.2 Hz、2H);2.48(s、2 H);1.24(s、6H);1.21(t、J=7.2 Hz、3H)。
【0110】
実施例1
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化38】

【0111】
ステップA
【化39】

【0112】
ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドを含有するTHF溶液(1.0M、194mL、194mmol)を、2−ブロモ−5−クロロ安息香酸メチル(16.10g、64.5mmol)及び4,4,4−トリフルオロ酪酸(9.17g、64.5mmol)を含有する−78℃のTHF溶液(400mL)に滴下し添加した。−78℃で15分間撹拌後、溶液を0℃に加温し、2時間更に撹拌した。過剰の1N HCl水溶液(約400mL)で反応を停止し、室温で一晩撹拌した。溶液を濃縮し、大部分のTHFを除去した。次に溶液をEtOAcで希釈し、1N NaHCO(2回)及び食塩水で洗浄した。次に有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮した。残留物をヘキサン/EtOAcのグラジエントを使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表示の生産物(固形物)を得た。H NMR(500 MHz、CDCl3):δ 7.58(d、J=8.4Hz、1H);7.41(d、J=2.5 Hz、1H);7.33(dd、J=8.5、2.5 Hz、1H);3.22(t、J=7.8 Hz、2H);2.68−2.56(m、2H)。LC4rt=4.25min、m/z=非イオン化(M+H)。
【0113】
ステップB
【化40】

【0114】
スクリューキャップ付圧力容器に、ステップA由来の中間体(3.22g、10.2mmol)、アミノグアニジン塩酸塩(1.69g、15.3mmol)、メタノール(25mL)及びボロントリフルオリド−エチルエーテルコンプレックス(2.6mL、20.4mmol)を加えた。反応溶液を100℃で70分間加熱した。溶液を濃縮し、残留物をEtOAcと1N NaOH水溶液の間で分配した。有機相を1N NaOH水溶液で2回及び食塩水(1回)で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過し濃縮してヒドラゾンのE、Z異性体混合物として表示の化合物を得た。H NMR(400 MHz、CDCN):δ 7.54(d、J=8.4 Hz);7.24−7.17(m、1H);7.10(d、J=2.59 Hz、1H);2.68−2.51(m、4H)。LC4rt=2.79min、m/z=371(M+H)。
【0115】
ステップC
【化41】

【0116】
ステップB由来の中間体(6.3g、16.95mmol)、中間体1(5.63g、33.9mmol)及びカリウム t−ブトキシド(2.0g、16.95mmol)を含有するn−ブタノール溶液(90mL)を含むスクリューキャップ付管を130℃で75分間加熱した。溶液を濃縮し、残留物をEtOAcと1N NaOH水溶液の間で分配した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過し濃縮した。LC4rt=2.90min、m/z=505(M+H)。
【0117】
ステップD
【化42】

【0118】
ステップC由来の未精製の中間体(8.51g、16.8mmol)、ヨウ化第一銅(0.64g、3.37mmol)及びN,N‘−ジメチルエチレンジアミン(1.78g、20.2mmol)を含有するDMF溶液(200mL)を室温で30分間撹拌した。反応混合物をセライトでろ過し、フィルターパッドを少量のDMFで数回洗浄した。ろ液をEtOAcで希釈し、水(3回)及び食塩水で洗浄した。有機相を濃縮し、残留物を水/アセトニトリル(0.1%TFA添加)のグラジエントを使用した逆相HPLCで精製して、表示の化合物を得た。H NMR(400 MHz、CDCN):δ 8.97(s、1H);8.75(d、J=9.0 Hz、1H);7.82(s、1H);7.47(dd、J=9.0、1.9 Hz、1H);5.60(s、2H);3.27−3.19(m、2H);2.80−2.66(m、2H)、1.38(s、6H)。LC4rt=3.73min、m/z=425(M+H)。
【0119】
実施例2
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化43】

【0120】
MeOH(約10mL)中の実施例1の化合物(9mg、0.02mmol)及び水酸化パラジウム炭素(20wt%、15mg)を水素雰囲気下(バルーン)で撹拌した。数時間撹拌後に溶液をセライトでろ過し濃縮した。残留物を溶出液として5%MeOH/DCMを使用した分取TLCで精製して、表示の化合物を得た。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 11.08(s、1H);8.82(d、J=8.5 Hz、1H);7.89(d、J=8.0 Hz、1H);7.53(t、J=7.8 Hz、1H);7.31(t、J=7.5 Hz、1H);6.94(s、2H);3.28−3.21(m、2H);2.89−2.77(m、2H);1.35(s、6H)。LC4rt=3.42min、m/z=391(M+H)。
【0121】
実施例3
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化44】

【0122】
ステップA
【化45】

【0123】
2,3,6トリフルオロフェニル酢酸(5g、26.3mmol)及び2−ブロモ−5−クロロ安息香酸メチルを含有する−78℃に冷却したTHF溶液(53mL)に、NaHMDS(110mL、65.7mmol、0.6M)をゆっくりと添加した。次に、反応液を0℃に加温した。30分間撹拌後、1N HCl水溶液(100mL)を添加して反応を停止した。生じた混合液を室温で1時間激しく撹拌した。反応混合液を濃縮して過剰な溶媒を除去した。残留物をEtOACで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2回)、水及び食塩水で洗浄した。次に、有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮して表示の生産物を得た。H NMR(400 MHz、CDCN):δ 7.66−7.61(m、2H);7.40(dd、J=8.6、2.6 Hz、1H);7.25(m、1H);6.98(m、1H);4.34(s、2H)。LC4rt=4.41min、(M+H)非イオン化。
【0124】
ステップB
【化46】

【0125】
スクリューキャップ付圧力容器に、ステップA由来の中間体(800mg、2.20mmol)、アミノグアニジン塩酸塩(280mg、2.53mmol)、メタノール(20mL)及びトリフルオロボラン/ジメチルエーテル(0.63mL、4.95mmol)を充填した。100℃で1時間撹拌後、トリフルオロボラン/ジメチルエーテル(1mL)及びアミノグアニジン塩酸塩(200mg)を添加し、反応溶液を100℃で3時間加熱した。溶液を濃縮し、残留物をEtOAcと1N NaOH水溶液の間で分配した。有機相を1N NaOH水溶液(2回)、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。次に、溶液をろ過し濃縮して表示の生産物を得た。LC1rt=2.69min、m/z=419(M+H)。
【0126】
ステップC
【化47】

【0127】
ステップB由来の中間体(100mg、0.24mmol)及び中間体1(120mg、0.72mmol)を含有するメタノール溶液(3mL)をマイクロ波中135℃で20分間加熱した。溶液を濃縮して表示の化合物を得、精製せずに次の段階に使用した。LC1rt=2.82min、m/z=553(M+H)。
【0128】
ステップD
【化48】

【0129】
ステップC由来の未精製の化合物(約0.24mmol)に3mLのNMP及びヨウ化第一銅(45mg、0.24mmol)を添加した。反応溶液を160℃で11分間加熱した。冷却した反応溶液をDCMと6%水酸化アンモニウム水溶液の間で分配した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮した。溶出液として5%MeOH/DCM(0.5%NHOH水溶液添加)使用して、未精製物をシリカゲル栓子でろ過した。集めた物質を次に、水/アセトニトリルのグラジエント(0.1%TFA添加)を使用した逆相HPLCで精製して表示の生産物を得た。H NMR(400 MHz、CHOH−d):δ 8.78(d、J=9.1 Hz、1H);7.65(s、1H);7.45(d、J=9.1 Hz、1H);7.24−7.18(m、1H);
6.97(t、J=8.3 Hz、1H);4.43(s、2H);1.42(s、6H)。LC1rt=3.33min、m/z=473(M+H)。
【0130】
実施例4
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化49】

【0131】
表示の化合物は、実施例2に記載した水素添加手法を使用して実施例3から調製した。H NMR(400 MHz、CDCN):δ 8.81(s、1H);8.75(d、J=8.6 Hz、1H);7.71(d、J=8.1 Hz、1H);7.48(t、J=7.8 Hz、1 H);7.29−7.13(m、2H);6.99−6.92(m、1H);5.54(s、2H);4.42(s、2H);1.37(s、6H)。LC1rt=3.08min、m/z=439(M+H)。
【0132】
実施例5
4−アミノ−2−(5−フルオロ−3−ヘキシル−1H−インダゾール−1−イル)−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化50】

【0133】
ステップA
【化51】

【0134】
n−ヘキシルマグネシウムブロミド(2.0Mジエチルエーテル溶液、12.3mL、24.6mmol)のジエチルエーテル溶液を、2−ブロモ−5−フルオロベンズアルデヒド(5g、24.63mmol)のジエチルエーテル溶液(50mL)に滴下して添加した。室温で30分間撹拌後、溶液をEtOAcと1N HCl水溶液の間で分配した。有機相を水及び食塩水で洗浄した。次に、溶液を無水硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過し濃縮した。未精製物をヘキサン/EtOAcのグラジエントを使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製して表示の化合物を得た。H NMR(400 MHz、CDCN):δ 7.50(dd、J=8.8、5.3 Hz、1H);7.28(dd、J=10.1、3.2 Hz、1H);6.90(m、1H);4.86(m、1H);3.41(d、J=4.5 Hz、1H);1.73−1.58(m、2H);1.56−1.20(m、8H);0.85(t、J=6.4 Hz、3H)。LC4rt=4.62、非イオン化。
【0135】
ステップB
【化52】

【0136】
ステップA由来の生産物(約3g、10.4mmol)をアセトン(50mL)に溶解し、酸化クロム溶液(約3mL、10.0mmol)の色が消えるまで、三酸化クロム(2/1 水/濃硫酸中3.7M)を添加した。過剰の試薬は、少量のイソプロピルアルコールで反応停止した。溶液をろ過し濃縮した。残留物をEtOAcと水との間で分配した。有機相を水及び食塩水で洗浄した。次に、溶液を無水硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過し濃縮して表示の化合物を得た。H NMR(400 MHz、CDCN):δ 7.62(dd、J=8.8、5.0 Hz、1H);7.20(dd、J=8.7、3.1 Hz、1H);7.11(m、1H);2.84(t、J=7.3 Hz、2H);1.66−1・56(m、2H);1.35−1.24(m、6H);0.86(t、J=6・6 Hz、3H)。LC4rt=4.69min、(M+H)非イオン化。
【0137】
ステップC
【化53】

【0138】
表示の生産物は、実施例1に記載したと同様にしてステップB由来の中間体から調製した。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 11.13(s、1H);8.85(dd、J=9.2,4.6 Hz、1H);7.66(dd、J=8.6、2.6 Hz、1H);7.37(m、1H);7.01(s、2H);3.35−3.31(m、2H);2.94(t、J=7.5 Hz、2H);1.76−1.68(m、2H);1.5(s、6H);1.31−1.21(m、4H);0.84(t、J=6.8 Hz、3H)。LC4rt=4.07min、m/z397(M+H)。
【0139】
実施例6
4−アミノ−2−[5−ブロモ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化54】

【0140】
表示の生産物は、実施例3に記載したと同様にして2,5−ジブロモ安息香酸メチル及び2,3,6トリフルオロフェニル酢酸から調製した。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 11.06(broad s、1 H);8.76(d、J=8.9 Hz、1H);8.07(s、1H);7.64(dd、J=8.9、2.0 Hz、1H);7.52−7.44(m、1H);7.21−7.16(m、1H);6.96(s、2H);4.45(s、2H);1.32(s、6 H)。LC4rt=4.00min、m/z=518(M+H)。
【0141】
実施例7
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[5−ピリジン−4−イル−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化55】

【0142】
(50mg、0.097mmol)、4−ピリジンボロン酸 (59mg、0.48、mmol)、1,1‘−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン二塩化パラジウム(5mg、0.0077mmol)、炭酸カリウム水溶液(1N,0.48mL、0.48mmol)を含有する1,4−ジオキサン/DMF溶液(5mL、1/1)を、100℃で30分間加熱した。未精製の反応液を水/アセトニトリルのグラジエントを使用した逆相HPLCで精製した。分離した物質は、9/1/0.05のDCM/MeOH/NHOH水溶性溶出液を使用してTLCにより更に精製して主題の生産物を得た。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 11.09(s、1H);8.90(d、J=8.8 Hz、1H);8.68(d、J=5.0 Hz、2H);8.31(s、1H);7.59(d、J=8.8 Hz、1H);7.80(d、J=5.1 Hz、2H);7.50−7.43(m、1H);7.24−7.16(m、1H);6.98(s、2H);4.54(s、2H);1.34(s、6H)。LC5rt=1.63min、m/z=516(M+H)。
【0143】
実施例8
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化56】

【0144】
主題の化合物は、3−ブロモ−4−ホルミルチオフェン及び1,1,1−トリフルオロ−4−ヨードブタンから実施例5に記載された手順に従って調製した。H NMR(400 MHz、CDCN):δ 8.68(s、1h);7.56(d、J=2.8 Hz、1H);7.48(d、J=2.8 Hz、1H);5.46(s、2H);2.92(t、J=7.5 Hz、2H);2.33−2.19(m、2H);1.76−1.72(m、2H);1.36(s、6H)。LC4rt=3.34min、m/z=411(M+H)。
【0145】
実施例9
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化57】

【0146】
標題の化合物は、4−ブロモ−3−チオフェンカルボン酸メチル及び2,3,6トリフルオロフェニル酢酸から実施例1に記載された手順に従って調製した。1H NMR(400 MHz、CDCN):δ 8.95(s、1H);7.56(d、J=2.8Hz、1H);7・26−7.16(m、2H);7.02−6.93(m、1H);5.49(s、2H);4.27(s、2H);1.36(s、6H)。LCrt=3.46min、m/z=445(M+H)
実施例10
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−4,6−ジヒドロ−1H−チエノ[3,4−C]ピラゾール−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化58】

【0147】
実施例9(15mg、0.034mmol)、トリエチルシラン(0.7mL、4.38mmol)及びTFA(0.3mL、4.04mmol)を含有する1,2−ジクロロエタン溶液(1mL)をスクリューキャップ付管に入れ75℃で3時間加熱した。溶液を濃縮し、残留物をEtOAcと1N NaOH水溶液との間で分配した。有機相を食塩水で洗浄しMgSOで脱水した。溶液をろ過し濃縮した。残留物を逆相HPLCで精製して主題の化合物を得た。H NMR(400 MHz、CDCN):δ 8.73(s、1H);7.24−7.11(m、1H);6.99−6.91(m、1H);5.46(s、2H);4.31(t、J=3.0 Hz、2H);3.98(s、2H);3.61(t、J=3.0 Hz、2H);1.33(s、6H)。LC4rt=3.57、m/z=447(M+H)
実施例11
4−アミノ−2−[3−(2−シクロペンチルエチル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化59】

【0148】
ステップA
【化60】

【0149】
2−ブロモベンゾイルクロリド(7.92mL、60.6mmol)及びDIEA(21.17mL、121mmol)を含有するDCM溶液(121mL)に、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(5.91g、60.6mmol)を含むDCM溶液(121mL)を加えた。30分後、反応液を酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し減圧下で濃縮した。残留物を0−100%酢酸エチル/ヘキサンのグラジエントを使用しフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0150】
ステップB
【化61】

【0151】
‐78℃に冷却した、シクロペンチルアセチレン(700mg、7.43mmol)及びステップA由来のワインレブアミド(1815mg、7.43mmol)を含有する溶液に、LiHMDS(7.43mL、7.43mmol)を添加した。15分後、氷浴を取り除き、反応液を室温に加温した。飽和塩化アンモニウム溶液を添加して反応を停止した。生じた混合液を酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄し硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し減圧下で濃縮した。残留物を0−100%の酢酸エチル/ヘキサンのグラジエントを使用したフラッシュクロマトグラフィーBiotage SP1により精製して表示の化合物を得た。
【0152】
ステップC
【化62】

【0153】
ステップB由来の中間体(300mg、1.08mmol)を含有する酢酸エチル溶液(20mL)に白金酸化物(IV)(25mg、0.108mmol)を添加した。生じた反応混合液を水素バルーン下24時間撹拌した。反応液をセライトでろ過した。ろ液を減圧下濃縮した。H NMR(CDCl、500 MHz)δ7.62(d、1H)、7,38(d、2H),7.30(m、1H)、2.95(t、2H)、1.85−1.72(m、5H)、1.67−1.53(m、4H)、1.15(m、2H)。
【0154】
ステップD
【化63】

【0155】
表示の化合物は、実施例1に記載したと同様にしてステップC由来の中間体から調製した。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 8.80(d、J=8.53 Hz,1H);7.80(d、J=7.87 Hz、1H);7.49(t、J=7.83 Hz、1H);7.28(t、J=7.39 Hz、1H);6.91(s、2H);2.96(t、J=7.47 Hz、2H);1.84−1.74(m、5H);1.61−1.53(m、3H);1.52−1.42(m、1H);1.34(s、6H);1.19−1.09(m、2H)。LC2rt=1.22min、m/z391(M+H)
実施例1ないし11に記載したものと本質的に同一の手順を使用することにより、以下の表1及び表2の化合物を作製した。
表1
【表3】



表2
【表4】


実施例58
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[7−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−B]ピリダジン−5−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化64】

【0156】
ステップA
【化65】

【0157】
ピリダジン(3.63mL、49.9mmol)のDCM溶液(60mL)に、トリメチルシリルシアニド(11.99mL、90、mmol)及び塩化アルミニウム(20mg、0.150mmol)を添加した。反応混合液を室温で10分間撹拌した後、パラ−トルエンスルホニルクロリド(16.38mL、86mmol)DCM溶液(100mL)を滴下ロートで30分間かけて徐々に加えた。生じた明るいオレンジ色の溶液を室温に一晩撹拌放置した。反応混合物を濃縮して、明褐色の固形物を得た。この物質にEtOH(100mL)を添加した。白色沈殿が生じたが、焼結ロートでろ過した。沈殿をエタノールで洗浄し収集した。LC3rt=1.4min、m/z=261(M+H)。
【0158】
ステップB
【化66】

【0159】
ステップA由来の中間体(10g、38.3mmol)の無水THF溶液(90mL)に、DBU(7.21mL、47.8mmol)を添加した。生じた溶液を室温で30分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液(40mL)を添加して反応を停止した。生じた混合液を水(30mL)で希釈し、酢酸エチルで数回抽出した(水層に生産物がなくなるまで)。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮した。酢酸エチル・ヘキサンのグラジエントを使用したシリカゲルクロマトグラフィーで残留物を精製し白色の固形物を得た。H NMR(500 MHz、CDCl) δ 9.4(m、2H)、7.9(m、2H),7.7(m、1H)。LC1rt=0.11min、m/z=106(M+H)。
【0160】
ステップC
【化67】

【0161】
ステップB由来の中間体(5.96g、56.7mmol)のMeOH溶液(35mL)に6N HCl(20.89mL、125mmol)続いてPd/C(0.905g、8.51mmol)を添加した。反応混合液を、水素40psi下、2時間パル・シェーカー(Parr shaker)に保持した。反応混合液をセライトでろ過し、MeOH600mLで洗浄し、ろ液を濃縮した。残留物をトルエンで数回共沸した。暗褐色の固形物を得た。LC1rt=0.36min、m/z=110(M+H)
ステップD
【化68】

【0162】
2,3,6−トリフルオロフェニル酢酸(5.5g、29mmol)及びステップC由来の中間体(5.0g、34mmol)を含有するDCM溶液(20mL)に、EDC(7.9g、41.2mmol)続いてDIEA(17.99mL,103mmol)を添加した。反応液を室温で18時間撹拌後、DCM(100mL)で希釈し、水(2回)で洗浄した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮して褐色の固形物を得た。LC3rt=0.6min、m/z=282(M+H)。
【0163】
ステップE
【化69】

【0164】
ステップD由来の中間体(2.6g、9.2mmol)の1,2−ジクロロエタン溶液(25mL)に、POCl(5mL、53mmol)を添加した。生じた混合液を3時間還流した。反応混合液を室温に冷却し濃縮した。残留物を水と酢酸エチルとの間で分配した。有機層を固形の炭酸水素ナトリウムで中性化し、次に酢酸エチルで(3回)抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮した。残留物を、10−100%の酢酸エチル−ヘキサンのグラジエントを使用したBiotage SP1によるフラッシュクロマトグラフィーで精製し黄色の固形物を得た。H NMR δ(ppm)(DMSO−d):8.31(1H、dd、J=4.3、1.7 Hz)、8.09(1H、dd、J=9.2、1.6 Hz)、7.49−7.36(2H、m)、7.17−7.10(1H、m)、6.72(1H、dd、J=9.2、4.2 Hz),4.45(2H、s)。LC3rt=0.4min、m/z=264(M+H)。
【0165】
ステップF
【化70】

【0166】
ステップE由来の中間体(1.7g、6.46mmol)の無水アセトニトリル溶液(25mL)に、NIS(1.85g、8.22mmol)を添加した。反応混合物を還流で20分間加熱した。反応混合液を室温に冷却し濃縮した。残留物を酢酸エチルに懸濁し、飽和炭酸水素ナトリウム(2回)及び飽和チオ硫酸ナトリウム(2回)で洗浄した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮した。残留物を、5−50%の酢酸エチル−ヘキサンのグラジエントを使用したBiotage SP1によるフラッシュクロマトグラフィーで精製して明黄色の固形物を得た。H NMR δ(ppm)(DMSO−d):8.39−8.33(1H、m)、7.81(1H、d、J=9.3 Hz)、7.49−7.40(1H、m)、7.15(1H、s)、6.83−6.77(1H、m)、4.48(s、2H)。LC3rt=1.87min、m/z=390(M+H)。
【0167】
ステップG
【化71】

【0168】
ステップF由来の中間体(1.5g、4.25mmol)のDMF溶液(5mL)に、シアン化亜鉛(0.162mL、2.55mmol)、Pddba(0.078g、0.085mmol)、DPPF(0.141g、0.255mmol)及び水(0.5mL)を添加した。生じた溶液を110℃で1時間加熱した。反応液を室温に冷却し、15%NHOH溶液(10mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮した。残留物を、10−100%の酢酸エチル−ヘキサンのグラジエントを使用したBiotage SP1により精製して明黄色の固形物を得た。H NMR δ(ppm)(DMSO−d):8.64(1H、dd、J=4.4、1.6 Hz)、8.40(1H、dd、J=9.3、1.5 Hz)、7.52−7.43(1H、m)、7.25−7.14(2H、m)、4.52(2H、s)。LC2rt=1.08min、m/z=289(M+H)。
【0169】
ステップH
【化72】

【0170】
トリメチルアルミニウム溶液(2.0Mトルエン、10mL、20mmol)を、塩化アンモニウム(1.07g、20mmol)のトルエン懸濁液(30mL)に0℃で添加した。次に、溶液を室温で2時間撹拌し、0.5Mアミノ(クロロ)メチルアルミニウムのトルエン溶液を得た。ステップG由来の中間体(2g、7.93mmol)のトルエン溶液(1mL)に、アミノ(クロロ)メチルアルミニウム(0.5Mトルエン溶液16mL、8mmol)を添加した。生じた混合液を110℃で3時間撹拌し放置した。反応混合液を室温に冷却し、シリカゲル及び1:1メタノール−クロロホルム(50mL)で反応を停止した。生じたスラリーを30分間激しく撹拌した。反応混合液をシリカゲルパッド(1“)でろ過し、メタノールで洗浄した。ろ液を濃縮した明黄色の固形物を得た。LC2rt=0.22min、m/z=306(M+H)。
【0171】
ステップI
【化73】

【0172】
ステップH由来の中間体(10mg、0.033mmol)、中間体1(16.33mg、0.098mmol)及びナトリウムメトキシド(2.65mg、0.049mmol)を含有するメタノール溶液(1mL)をマイクロ波中140℃で20分間加熱した。次に、反応液を逆相HPLCで精製し標題の化合物を得た。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 10.83(s、1H);9.00−8.96(m、1H);8.45−8.43(m、1H);7.53−7.42(m、1H);7.21−7.13(m、1H);6.99−6.95(m、1H);6.63(s、2H);4.51(s,2H);1.30(s、6H)。LC2rt=1.06min、m/z=440(M+H)
実施例59
4−アミノ−2−[6−クロロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−A]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化74】

【0173】
ステップA
【化75】

【0174】
撹拌した水素化ナトリウム(50%オイル懸濁液46g、1mol)のジメチルホルムアミド(酸化カルシウムCaOからの蒸留物500mL)のスラリーに、アセトアミドマロン酸ジエチル(217g、1mol)のジメチルホルムアミド溶液(1200mL)をゆっくりと添加した。初回の反応後、スラリーを45℃で1.5時間加熱し、次に2−クロロ−5−ニトロピリジン(159g、1mol)を含有するDMF溶液(800mL)を添加した。2−クロロ−5−ニトロピリジンの添加の間に混合液は暗褐色になった。混合液を45℃で一晩撹拌した。冷却後、混合液を塩酸(0.2N)1000mLで希釈し、ジクロロメタン(1200mL、3回)で抽出した。有機相を併せ、無水硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過し溶媒を蒸発して暗褐色のオイルを得た。オイルをそのまま(シリカゲル300gに)注入し、ドライ充填シリカゲルカラムでクロマトグラフした。カラムを石油エーテル−酢酸エチル(8:1次に5:1)で溶出した。表示の化合物を含有する画分を併せて、濃縮し淡い黄色の固形物を得た。Mp82−83℃。
【0175】
ステップB
【化76】

【0176】
ステップA由来の中間体(115g、0.33mol)及びPd/C触媒2.5g(10%)を含有するメタノール混合液200mLを、60psiで一晩水素添加した。混合液をセライトでろ過し、ろ液を濃縮してジエチル(5−アミノ−2−ピリジル)アセトアミドマロン酸エステルを灰白色の固形物として得た。Mp:154−155℃。
【0177】
ステップC
【化77】

【0178】
ジエチル(5−アミノ−2−ピリジル)アセトアミドマロン酸エステル(ステップB)を55g(0.17mol)含有する3.5N塩酸200mLを−10℃に冷却し、次に亜硝酸ナトリウムを12.2g(0.17mol)含有する水溶液50mLを滴下処理した。添加が完了したときに、反応混合物を5℃以下で2時間撹拌し、次に、塩化第二銅(69g、0.51mol)の濃塩酸200mLに添加した。混合液を雰囲気温度で2時間撹拌し、ジクロロメタン300mLで希釈した。有機相を分別し、MgSOで脱水しろ過した。溶媒を蒸発して暗緑色の固形物を得た。未精製の生産物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル=1:5)で精製し、表示の化合物を淡黄色の固形物として得た。MP:89−90℃。
【0179】
ステップD
【化78】

【0180】
ジエチル(5−クロロ−2−ピリジル)アセトアミドマロン酸エステル(70g、0.21mol)を95%エタノール(200mL)に溶解した。撹拌溶液(2℃)に水酸化ナトリウム溶液(105mL、8N)を添加した。2時間後、混合液を5℃に冷却し、塩酸(6N、〜40mL)でpH2に酸性化した。エタノールを減圧下で蒸発し数種の固形物を含む混合物を得た。混合物を塩酸(5N、150mL)と混合し、80℃で4時間加熱し、次に室温で一晩保持した。水酸化ナトリウム溶液(4N)をゆっくりと添加して、混合液をpH10に調整した。混合液をDCM(200mL、4回)で抽出し、次に有機相を併せ無水NaSOで脱水しろ過した。溶媒を蒸発し表示の化合物を淡黄色のオイルとして得た。
【0181】
ステップE
【化79】

【0182】
化合物2−(アミノメチル)−5−クロロピリジン(18g、0.13mol)をジクロロメタン(50mL)に溶解し、塩酸メタノール溶液(5M、50mL)を添加した。数分間撹拌した後に白色固形物が沈殿し始めた。混合液を0−5℃で1時間撹拌し、固形物をろ過により収集し、ろ液を減圧下で蒸発して灰白色の固形物を得た。固形物を併せ少量の冷DCMで洗浄した。生産物を減圧下で乾燥して表示の化合物を塩酸塩として得た。H−NMR(d−DMSO、400 MHz)δ 8.70(s、3H)、8.62(s、1H)、8.0(dd、J=2.5,6 Hz、1H)、7.60(d、J=8.5 Hz、1H)、4.15(m、2H)。
【0183】
ステップF
【化80】

【0184】
表示の化合物を、最終のピリミジン生成段階においてNaOMe/MeOH溶媒をKOtBu/t−BuOH溶媒に代えた以外は実施例58に記載した手順を使用して、ステップE由来の中間体から調製した。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 10.79(1H、s)、8.75(1H、s)、8.68(1H、d、J=9.7 Hz)、7.49(1H、m)、7.23−7.16(1H、m)、7.05(1H、dd、J=9.7、1.6 Hz)、6.57(2H、s)、4.51(2H、s)。LC2 1.10min(M+1)473。
【0185】
実施例60
4−アミノ−2−[6−フルオロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−A]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化81】

【0186】
ステップA
【化82】

【0187】
実施例59ステップB由来の中間体(80g、0.25mol)を含有する48%HBF4水溶液200mLを撹拌しつつ−5℃に冷却した。亜硝酸ナトリウム(20.7g、0.3mol)水溶液50mLを滴下して添加し、反応混合液を0℃以下に保持した。添加後、溶液を0℃以下で更に1時間撹拌し、次に室温で2時間撹拌した。反応混合液をジクロロメタン(100mL、3回)で抽出し、有機相を併せて無水のMgSOで脱水しろ過した。ろ液を濃縮して黄褐色のオイルを得た。未精製の生産物を石油エーテル/EtOAc=5/1−3/1を使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製して表示の化合物を淡黄色の固形物として得た。
【0188】
ステップB
【化83】

【0189】
ステップA由来のジエチル(5−フルオロ−2−ピリジル)アセトアミドマロン酸エステル(70g、0.21mol)を含有する95%エタノール溶液200mLに水酸化ナトリウム溶液(105mL、8N)を添加した。2時間還流した後、混合液を5℃に冷却し、塩酸(6N、〜40mL)でpH2に酸性化した。溶液中のエタノールを減圧下で蒸発して数種の固形物を含む混合液を得、次に塩酸(5N)150mLを添加した。混合液を80℃で4時間加熱し、次に室温に一晩保持した。水酸化ナトリウム溶液(4N)をゆっくりと混合液に添加してpH10に調整した。混合液をDCM(200mL、4回)で抽出し、次に有機相を併せて無水NaSOで脱水しろ過した。溶媒を蒸発して表示の化合物を淡黄色のオイルとして得たが、それは空気との接触が長引くと分解した。H−NMR(CDCl、400 MHz)δ 8.42(s、1H)、7.4(m、1H)、3.99(s、2H)、1.79(m、2H)。MS:m/z=127(M+H)。
【0190】
ステップC
【化84】

【0191】
ステップB由来の化合物2−(アミノメチル)−5−フルオロピリジン(18g、0.14mol)をジクロロメタン(50mL)に溶解し、塩酸メタノール溶液(5M、50mL)を添加した。数分間撹拌した後、白色の固形物が沈殿し始めた。混合液を0−5℃で1時間撹拌し、固形物をろ過して収集し、ろ液を蒸発して灰白色の固形物を得た。固形物を併せ少量の冷DCMで洗浄した。生産物を減圧下で乾燥して表示の化合物を二塩酸塩として得た。H NMR(d−DMSO、400 MHz)δ 8.70(s、3H)、8.62(s、1H)、7.8(m、1H)、7.64(m、1H)、4.13(m、2H)。MS:m/z=127(M+H)。
【0192】
ステップD
【化85】

【0193】
表示の化合物を、最終のピリミジン生成段階においてNaOMe/MeOH溶媒をKOtBu/t−BuOH溶媒に代えた以外は実施例58に記載した手順を使用して、ステップC由来の中間体から調製した。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 8.74(1H、s)、8.65(1H、s)、7.47(1H、m)、7.25(1H、s)、7.22−7.13(1H、m)、4.52(2H、s)、1.33(6H、s)。LC2rt=1.05min、m/z=457(M+H)。
【0194】
実施例61
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[5−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[5,1−B][1,3]チアゾール−7−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化86】

【0195】
表示の化合物を、最終のピリミジン生成段階においてNaOMe/MeOH溶媒をKOtBu/t−BuOH溶媒に代えた以外は実施例58に記載した手順を使用して、2−アミノエチルチアゾールから調製した。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 10.77(1H、s);8.05(d、J=4.4 Hz、1H);7.50(m、1H);7.43(d、J=4.1 Hz、1H);7.18(m、1H);6.46(broad s、2H);4.42(s、2H;1.29(s、6H)。LC3rt=1.41min、m/z=445(M+H)。
【0196】
実施例62
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[1−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−A]ピリジン−3−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化87】

【0197】
ステップA
【化88】

【0198】
NaHMDS(1.0M THF,15.78mL、15.78mmol)の溶液を、−78℃に冷却した2,3,6トリフルオロフェニル酢酸(1g、5.26mmol)を含有するTHF溶液(11mL)に窒素雰囲気下で添加した。混合液を20分間撹拌した。次に、ピコリン酸メチル(0.634mL、5.26mmol)を添加し、反応液を30分間撹拌した。次に、溶液を室温に加温し、1N塩酸水溶液で反応を停止した。次に、溶液をEtOAcで希釈し、1N NaHCO及び食塩水で洗浄した。次に、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮して表示の化合物を得た。
【0199】
ステップB
【化89】

【0200】
ステップA由来の中間体(1.1g、4.38mmol)をMeOHに溶解し、ヒドロキシルアミン(0.268mL、4.38mmol)を添加した。反応液を一晩撹拌後、溶液を濃縮した。残留物を酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮して表示の化合物を得た。
【0201】
ステップC
【化90】

【0202】
ステップB由来の未精製の中間体(約4.38mmol)をTFAに溶解し0℃に冷却した。それから亜鉛(1.432g、21.89mmol)を一度に添加した。15分後、次に反応混合物を氷と5N NaOHの混合液に注ぎ込んだ。pHをNaOHで10に調整した。次に混合液をDCM(3回)で抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮した。未精製のアミンをヘキサン/EtOAcのグラジエントを使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製して表示の化合物を得た。LC2rt=0.33min、m/z=254(M+H)。
【0203】
ステップD
【化91】

【0204】
ステップC由来の中間体(300mg、1.189mmol)をDCM(3mL)に溶解し、DIEA(208μl、1.189mmol)を添加した。次に、
反応混合液にクロログリオキシル酸メチル(652μl、5.95mmol)を添加した。混合液を室温で一晩撹拌した。反応液を水とDCMとの間で分配した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮して表示の生産物を得た。
【0205】
ステップE
【化92】

【0206】
塩化ホスホリル(5mL、53.6mmol)をステップD由来の中間体(400mg、1.135mmol)に添加した。混合液を105℃で一晩加熱した。次に、反応溶液を氷の上に注ぎこみ炭酸ナトリウムで中和した。混合液をDCMで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮して表示の化合物を得た。LC2rt=1.15min、m/z=335(M+H)。
【0207】
ステップF
【化93】

【0208】
ステップEの中間体(260mg、0.81mmol)にアミノ(クロロ)メチルアルミニウム(0.5Mトルエン溶液、10mL、5mmol)を添加した。反応は、実施例58のステップHに記載したと同様にして行った。LC2rt=0.91min、m/z=305(M+H)。
【0209】
ステップG
【化94】

【0210】
ステップF由来の中間体(246mg、0.81mmol)、中間体1(269mg、1.6mmol)及びカリウムtert−ブトキシド(91mg、0.81mmol)を含有するt−ブタノール溶液(2mL)を、スクリューキャップ付管中140℃で30分間加熱した。反応液を室温に冷却し濃縮した。残留物をEtOAcと水との間で分配した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し濃縮した。未精製物をヘキサン/EtOAcのグラジエント、続いて10%MeOH/DCMを使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製して表示の化合物を得た。H HMR(500 MHz、DMSO−d):δ 10.96(broad s、1H);9.90(d、J=7.3 Hz、1H);7.78(d、J=9.1 Hz、1H);7.38(m、1H);7.11(t、J=9.5 Hz、1H);7.00(t、J=7.8 Hz、1H);6.85(t、J=7.0 Hz、1H);6.79(s、2H);4.30(s、2H);1.32(s、6H)。LC2rt=1.05min、m/z=439(M+H)。
【0211】
実施例58乃至62に記載したと本質的に同じ手順を使用して、表3及び表4に列挙した化合物を作製した。
表3
【表6】


表4
【表7】

実施例95
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インダゾール−3−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化95】

【0212】
ステップA
【化96】

【0213】
カリウムt−ブトキシド(0.972g、8.66mmol)を3−シアノインダゾール(1.24g、8.66mmol)を含有するTHF溶液8mLに添加した。5分後、1,1,1−トリフルオロ−3−ヨードプロパン(1.94g、8.66mmol)を添加した。次に、溶液を60℃に加熱した。1時間後、DMF6mL、カリウムt−ブトキシド(0.972g、8.66mmol)及び1,1,1−トリフルオロ−3−ヨードプロパン(1.94g、8.66mmol)を添加した。60℃で2時間更に撹拌した後、溶液をEtOAcと1N HClとの間で分配した。有機層をMgSOで脱水し、ろ過し濃縮した。残留物をヘキサン/EtOAcのグラジエントを使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製して表示の生産物を得た。H NMR(400 MHz、CD3CN):δ 7.84(d、1H);7.72(d、1H);7.60−7.54(m、1H);7.39(t、1H);4.73(t、2H);2.96−2.82(m、2H)。LC4rt=3.78min、m/z=240(M+H)
ステップB
【化97】

【0214】
アミノ(クロロ)メチルアルミニウム(0.5Mトルエン溶液、6mL、3mmol)及びステップA由来の中間体(306mg、1.279mmol)を100℃で4時間加熱した。溶液を室温に冷却し、シリカゲル7g及びMeOH30mLを添加した。3時間撹拌後、混合液をろ過し濃縮して表示の生産物を得た。LC4rt=2.14min、m/z=257(M+H)
ステップC
【化98】

【0215】
表示の化合物を、実施例1に記載した手順を使用して、ステップB由来の中間体及び中間体1から調製した。H NMR(400 MHz、CD OD):δ 8.64(d、1H);7.58(d、1H);7.44(t、1H);7.24(t、1H);4.73(t、2H);2.97−2.87(m、2H);1.44(s、6H)。LC4rt=2.81min、m/z=391(M+H)
実施例96
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,8−ジヒドロピリド[2,3−D]ピリミジン−7(6H)−オン
【化99】

【0216】
ステップA
【化100】

【0217】
中間体4(143mg、0.736mmol)、実施例3ステップB由来の中間体(103mg、0.245mmol)及びカリウムt−ブトキシド(27mg、0.245mmol)を含有するn−ブタノール溶液(4mL)を140℃で1時間加熱した。溶液をEtOAcと水との間で分配した。有機相を水、食塩水で洗浄しMgSOで脱水した。溶液をろ過し濃縮した。残留物を精製せずに次の段階で使用した。LC4rt=2.94min、m/z=567(M+H)
ステップB
【化101】

【0218】
ステップA由来の未精製の化合物(約0.24mmol)に、DMF6mL、trans−N,N‘−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(35mg、0.25mmol)及びヨウ化第一銅(45mg、0.24mmol)を添加した。反応溶液を15分間撹拌した。反応溶液をEtOAcと6%水酸化アンモニウム水溶液との間で分配した。有機相を食塩水で洗浄し、MgSOで脱水し、ろ過し濃縮した。残留物を逆相HPLCで精製して表示の化合物を得た。H NMR(400 MHz、CDCN):δ 8.76(d、J=8.0 Hz、1H);8.53(s、1H);7.74(m、1H);7.46(m、1H);7.26−7.15(m、1H);7.02−6.93(m、1H);5.63(s、2H);4.38(s、2H);2.48(s、2H);1.35(s、6H)。LC4rt=3.96min、m/z=487(M+H)。
【0219】
実施例96に記載したと本質的に同じ手順を使用して、表5に列挙した化合物を作製した。
表5
【表8】

実施例100
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インダゾール−1−イル]−5−エチル−5−メチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化102】

【0220】
表示の化合物を実施例1に記載したと同様にして中間体2を使用して調製した。LC4 3.86min(M+H)439。ChiralPak AD−Hカラムで40%IPA/COにより溶出してラセミ化合物を分離し、エナンチオマー1(より速い溶出画分)を得た。保持時間=3.91min(4.6x250mm ChiralPak AD−H、2.4ml/min、100bar)。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 11.11(s、1H)、8.83(d、1H、J=8.9 Hz)、8.06(d、1H、J=1.8 Hz)、7.56(dd、1H、J=2.0 Hz、9.0 Hz)、6.94(br s、2H)、3.25−3.22(m、2H)、2.86−2.76(m、2H)、2.13−2.06(m、1H),1.70−1.63(m、1H),1.32(s、3H)、0.54(m、3H)。
【0221】
エナンチオマー2(より遅い溶出画分)のデータ:保持時間=4.31min(4.6x250mm ChiralPak AD−H、2.4ml/min、100bar)。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 11.11(s、1H)、8.83(d、1H、J=8.9 Hz)、8.06(d、1H、J=1.8 Hz)、7.56(dd、1H、J=2.0 Hz、9.0 Hz)、6.94(br s、2H)、3.25−3.22(m、2H)、2.86−2.76(m、2H)、2.13−2.06(m、1H),1.70−1.63(m、1H),1.32(s、3H)、0.54(m、3H)。
【0222】
実施例101
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インダゾール−1−イル]−5−メチル−5−プロピル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−D]ピリミジン−6−オン
【化103】

【0223】
表示の生産物は、実施例1に記載したと同様にして中間体3を使用して調製した。LC4 3.95min (M+H)453。ChiralCel AD−Hカラムで40%IPA/COにより溶出してラセミ化合物を分離し、エナンチオマー1(より速い溶出画分)を得た。保持時間=3.53min(4.6x250mm ChiralPak AD−H、2.4ml/min、100bar)。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 10(s、1H)、8.82(d、1H、J=9.0 Hz)、8.06(d、1H、J=1.8 Hz)、7.52(dd、1H、J=2.0 Hz、J=9.0 Hz)、6.94(br s、2H)、3.24−3.22(m、2H)、2.86−2.76(m、2H)、2.10−2.05(m、1H),1.65−1.59(m、1H),1.31(s、3H)、0.94−0.86(m、2H)、0.79−0.76(m、3H)。
【0224】
エナンチオマー2(より遅い溶出画分)のデータ:保持時間=4.19min(4.6x250mm ChiralPak AD−H、2.4ml/min、100bar)。H NMR(500 MHz、DMSO−d):δ 10(s、1H)、8.82(d、1H、J=9.0 Hz)、8.06(d、1H、J=1.8 Hz)、7.52(dd、1H、J=2.0 Hz、J=9.0 Hz)、6.94(br s、2H)、3.24−3.22(m、2H)、2.86−2.76(m、2H)、2.10−2.05(m、1H),1.65−1.59(m、1H),1.31(s、3H)、0.94−0.86(m、2H)、0.79−0.76(m、3H)。
【0225】
実施例100に記載したと本質的に同じ手順を使用して、表6に列挙したラセミ化合物を作製した。
表6
【表9】

実施例1、60及び95に記載したと本質的に同じ手順を使用して、表7に列挙した化合物を作製した。
表7
【表10】


実施例112: sGCのセルベース機能アッセイ(CASAアッセイ)
原理:sGCは、GTPを二次メッセンジャーcGMPに変換するヘムを含む酵素である。cGMPレベルの上昇は、多数の下流経路を介して血管弛緩を含むいくつかの生理的経路に影響を及ぼす。sGCが触媒するcGMP生成速度は、NO、及び最近発見されたNO依存性の活性化因子及び刺激剤により顕著に上昇する。ヘム依存性活性化因子(HDA)は、第一鉄ヘムを含有するsGCを優先的に活性化する。sGC活性化因子の酵素活性への効果を測定するために、ヘテロダイマーのsGCタンパク質を安定して発現する細胞株中でcGMPの生成をモニターするCASAアッセイを開発した。
【0226】
方法:sGCのα1/β1ヘテロダイマーを安定して発現する細胞株CHO−K1を、標準的な形質移入プロトコルを使用して作製した。FUGENE試薬を使用して、CHO−K1細胞にプラスミドpIREShyghsGCα1及びpIRESneo−hsGCβ1により同時形質移入した。両サブユニットを安定して発現するクローンを、ハイグロマイシン及びネオマイシンにより〜2週間掛けて選抜した。アッセイ用にクローン#7を選択し、CHO−K1/sGCと命名した。CHO−K1/sGC細胞は、10%の熱失活牛胎児血清(FBS)、100mg/mLのペニシリン/ストレプトマイシン、0.5mg/mLのハイグロマイシン及び0.25mg/mLのG418を含有するF−K12培地で維持した。アッセイ当日に、細胞を5mMのMgCl、10mMのHEPES及び0.05%のBSAを含有するEBSSアッセイバッファー(EAB)に採取し、細胞密度をEABで2X10/mLに調製した。cGMPの分解を阻害するためにIBMX(3−イソブチル−1−メチルキサンチン)を添加した。化合物は、DMSOストック溶液から希釈し、DMSOの終濃度1%でアッセイ系に添加した。細胞を、1H−(1,2,4)オキサジアゾーロ(4,3−a)キノキサリン-1-オン(ODQ)の添加及び無添加条件下で化合物と共に37℃で1時間培養した。培養期間の終わりに、反応を停止し細胞を溶解した。細胞内cGMPレベルは、標識cGMPの蛍光のその特異的抗体からの転移を検出する、HTRFベース・アッセイ・キット(SisBio、62GM2PEC)を使用して定量した。PRISMソフトウェア―でcGMP量を化合物濃度に対しプロットし、プロットからIP及びDMSO対照に対する最大誘導倍数を引き出した。
【0227】
本発明の化合物は、約1μM以下のEC50を有した。好ましい化合物は、約500nM以下のEC50を。特定の化合物に対する結果は、次の通りである。
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iを有する化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
式I
【化1】

[式中、
【化2】

は、8又は9員環のヘテロアリールであり;
及びRは、各出現時に、独立して−H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され;
は、各出現時に、独立して−C−Cアルキル、−CF及びアリールからなる群から選択され;
は、各出現時に、独立して−H、ハロ、アリール、ヘテロアリール、−C−Cアルキル、−C3−10シクロアルキル、−OR、−NO、−CN、−CO、−NR、−S(O)、チオキソ、アジド、−C(=O)R、−OC(O)、−OC(=O)OR、−OC(=O)NR、−SONRNR、−NR(C=O)、−NRSO、−NRC(=O)OR、−NRC(O)NR、−NRSONR、−C2−10アルケニル、及び−C2−10アルキニル、からなる群から選択され、ここで前記アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、及びアルキニルは、ハロ、−C−Cアルキル、−OR、オキソ、アリール、ヘテロアリール、−C3−10シクロアルキル、−NO、−CN、−CO、−NR、−S(O)、チオキソ、アジド、−C(=O)R、−O(C=O)、−OC(=O)OR、−OC(=O)NR、−SONRNR、−NR(C=O)、−NRSO、−NRC(=O)OR、−NRC(=O)NR、−NRSONR及び−CFから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されており;
は、−C−Cアルキル、−(CROR、−(CRS(O)、−(CRCF、−(CR−C3−10シクロアルキル、−(CRアリール、−(CRヘテロアリール、−(CR−C2−10アルケニル、−(CR−C2−10アルキニル、及び−(CRC(O)Oアルキルからなる群から選択され、ここで前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル及びアルキニルは、ハロ、−C−Cアルキル、−CF、−CN及び−ORから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されており;
Rは、各出現時に、独立して−H、−C−Cアルキル、−CF、及びアリールからなる群から選択され;
及びRは、独立して−H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され;
及びRがC−Cアルキルであるときは、それらは任意に結合してシクロアルキルを形成することができ;
mは、0、1、2、又は3であり:
pは、0、1又は2であり;
rは、0、1、2、3、4、5又は6であり;並びに
zは、0又は1である。]
【請求項2】
構造式IIを有する請求項1記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
式II
【化3】

[式中、
【化4】

は、8又は9員環のヘテロアリールであり;
は、各出現時に、独立して−H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され;
は、各出現時に、独立して−H、ハロ、アリール、ヘテロアリール、−C−Cアルキル及び−C3−10シクロアルキルからなる群から選択され、ここで前記アリール、ヘテロアリール、アルキル及びシクロアルキルは、ハロ、−C−Cアルキル及び−CFから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されており;
は、−C−Cアルキル、−(CRCF、−(CR−C3−10シクロアルキル、−(CRアリール、−(CRヘテロアリール、−(CRアルケニル、−(CRアルキニル、及び−(CRC(O)Oアルキルからなる群から選択され、ここで前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル及びアルキニルは、ハロ、−C−Cアルキル、−CF、−CN及び−ORから選択される1ないし3個の置換基により任意に置換されており;
Rは、各出現時に、独立して−H、−C−Cアルキル、及びアリールからなる群から選択され;
及びRは、独立してH及びC−Cアルキルからなる群から選択され;
及びRがC−Cアルキルであるときは、それらは任意に結合してシクロアルキルを形成することができ;
mは、0、1、2又は3であり;及び
rは、0、1、2、3、4、5、又は6である。]
【請求項3】
【化5】


【化6】

[式中、
*は、ピリミジニル環への結合を示し、**は、構造式IIの−CH−Rへの結合を示し;
、X、X及びXは、N又はCHから独立して選択される、但しX、X、X及びXの中の1つのみがNである。]からなる群から選択される請求項2記載の化合物。
【請求項4】
【化7】


【化8】

[式中、
*は、ピリミジニル環への結合を示し、**は、構造式IIの−CH−Rへの結合を示し;
、X、X及びXは、N又はCHから独立して選択される、但しX、X、X及びXの中の1つのみがNである。]からなる群から選択される請求項2記載の化合物。
【請求項5】
がC−Cアルキルであり、RがC−Cアルキルである請求項4記載の化合物。
【請求項6】
及びRがメチルである請求項5記載の化合物。
【請求項7】
【化9】

【化10】

[式中、
は、CH及びNからなる群から選択され;
は、各出現時に、独立して−H、及び−C−Cアルキルからなる群から選択され;
は、各出現時に、独立して−H、ハロ及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここで前記アルキルは、ハロ、−C−Cアルキル、及び−CFから選択される1ないし3の置換基により任意に置換されており;
は、−C−Cアルキル、−(CRaCF、−(CRa−C3−10シクロアルキル、及び−(CRaアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、シクロアルキル及びアリールは、ハロ、−C−Cアルキル及び−CFから選択される1ないし3の置換基により任意に置換されており;
Rは、独立して−H、−C−Cアルキル及びアリールから選択され;
mは、0、1、2又は3であり;並びに
rは、0、1、2又は3である。]からなる群から選択される請求項2記載の化合物。
【請求項8】
下記の群から選択される化合物及びその薬学的に許容可能な塩。
【表1】














【請求項9】
下記の群から選択される請求項8記載の化合物及びその薬学的に許容可能な塩。
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−チエノ[2、3−c]ピラゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[7−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−b]ピリダジン−5−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[6−クロロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[6−フルオロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[3−(2,3−ジフルオロベンジル)−6−フルオロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[3−(2−シクロペンチルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[5−フルオロ−3−(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[5−クロロ−3−(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[6−フルオロ−3−(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン
4−アミノ−2−[6−クロロ−3−(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン;
4−アミノ−2−[6−クロロ−1−(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル)−1H−インダゾール−3−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン。
【請求項10】
請求項1記載の化合物の有効量を投与する手段からなる可溶性グアニレートシクラーゼを活性化するための方法。
【請求項11】
治療が必要とされる患者に対し請求項1記載の化合物の治療的に有効な量を投与することからなる治療方法であって、心血管疾患、内皮障害、拡張機能障害、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全(heart failure)、肺高血圧症、狭心症、血栓症、再狭窄、心筋梗塞、脳卒中、心不全(cardiac insufficiency)、肺高血圧症、勃起障害、気管支喘息、慢性腎機能障害、糖尿病及び肝硬変からなる群の一以上から選択される患者の症状の治療方法。
【請求項12】
予防が必要とされる患者に対し請求項1記載の化合物の予防的に有効な量を投与することからなる予防方法であって、心血管疾患、内皮障害、拡張機能障害、アテローム性動脈硬化症、心不全(heart failure)、狭心症、血栓症、再狭窄、心筋梗塞、脳卒中、心不全(cardiac insufficiency)、肺高血圧症、勃起障害、気管支喘息、慢性腎機能障害、糖尿病及び肝硬変からなる群の一以上から選択される患者の症状の予防方法。
【請求項13】
治療が必要とされる患者に請求項1記載の化合物の治療的に有効な量を投与することからなる高血圧症の治療方法。
【請求項14】
治療が必要とされる患者に請求項1記載の化合物の治療的に有効な量を投与することからなる心不全(heart failure)の治療方法。
【請求項15】
請求項1記載の化合物及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
請求項1記載の化合物の他に一以上の薬学的に活性な薬剤を含む請求項15記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項16記載の医薬組成物であって、一以上の他の活性薬剤が、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、アルドステロンアンタゴニスト、レニン阻害剤、エンドセリン受容体アンタゴニスト、血管拡張剤、カルシウムチャネル遮断薬、カリウムチャネル活性化剤、利尿薬、交感神経遮断薬、ベータ−アドレナリン作用遮断薬、アルファ−アドレナリン作用遮断薬、中枢アルファアドレナリン作用アゴニスト、末梢血管拡張薬、高脂血症治療薬、代謝変換薬からなる群から選択される医薬組成物。
【請求項18】
心血管疾患、内皮障害、拡張機能障害、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全(heart failure)、肺高血圧症、狭心症、血栓症、再狭窄、心筋梗塞、脳卒中、心不全(cardiac insufficiency)、肺高血圧症、勃起障害、気管支喘息、慢性腎機能障害、糖尿病及び肝硬変からなる群から選択される一以上の症状の治療又は予防に有用な薬剤の調製のための請求項1記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2012−509877(P2012−509877A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537535(P2011−537535)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/064570
【国際公開番号】WO2010/065275
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】