説明

吊り下げゲッター材料ベース構造

【課題】広いガス吸収面積と低い熱慣性をもたらす、知られているゲッター材料構造を熱的に活性化するために必要な熱活性化出力よりも低い熱活性化出力で済むゲッター材料ベース構造を提供すること。
【解決手段】ゲッター構造(100)は、基材(102)と、少なくとも1つの支持材(110、112)を使って基材(102)に機械的に接続された少なくとも1つのゲッター材料ベース層(108)とを備え、基材(102)と接触する支持材(110、112)の表面はゲッター材料層(108)の、支持材(110、112)と接触している第1の面(107)の表面よりも小さく、前記第1の面の反対側の、ゲッター材料層(108)の第2の面(109)は少なくとも部分的に露出されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲッター材料ベースの構造に関する。このような構造は、特に、微小電気機械システム(MEMS)またはナノ電気機械システム(NEMS)、例えば、加速度計、ジャイロメーター、または高真空環境もしくは圧力制御環境内に配置されることを意図されている他のデバイスの分野において使用されうる。
【背景技術】
【0002】
ゲッター材料は、ガス状分子に関して吸収性および/または吸着性を、本質的におよび/またはその顕微鏡的形態上有する材料であり、したがって閉環境内に配置されたときに化学ガスポンプを形成することができる。このタイプの材料は、さらに、高真空環境または圧力制御環境を形成するために、真空管、電界効果を利用したシステムまたはMEMSもしくはNEMSなどの多くのマイクロエレクトロニクス応用製品において使用されうる。MEMSまたはNEMSが封入されている場合、デバイスの周囲に形成された高真空環境によって、例えば、共鳴機械システムの動作を改善できるだけでなく、環境ガスによる光放射の吸収に敏感な光学系の動作も改善できる。
【0003】
非蒸発性のゲッター材料は、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、またはこれら3つの金属の二元合金などの金属である。このような非蒸発性ゲッター材料は、一般に、化学ポンプが薄層の形で形成されるチャンバの壁に直に蒸着される。この材料は、次いで、この材料が蒸着されたチャンバの壁を通しての加熱により熱的に活性化される。米国特許第6 923 625 B2号では、そのような薄いゲッター材料層の形成について説明している。
【0004】
このような薄いゲッター材料層のポンピング容量は、吸収されるガスと接触している材料の表面によって決定される。この表面が広ければ広いほど、ゲッター材料の吸収能力は大きくなる。米国特許第6 923 625 B2号では、薄いゲッター材料層が突起部を有する表面に蒸着されうることを特に指摘している。したがって、突起部の側壁に蒸着されたゲッター材料の表面により、キャビティ内のゲッター材料の全吸収面を増やすことができる。
【0005】
このような薄いゲッター材料層の大きな不利点は、出力、つまり、熱的に活性化するのに必要なエネルギーの量と加熱時間である。
【0006】
欧州特許第1 518 599 A2号では、基板上に蒸着されたものが低い活性化温度を持つゲッター材料をベースとするゲッター材料の2つの重ね合わせた層の形成について説明している。ゲッター材料のこのような積み重ねにより、ガス吸収能力を高めることができ、またこのような積み重ねは、単一の薄いゲッター材料層に必要な活性化温度よりも低い活性化温度で熱的に活性化可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6 923 625 B2号
【特許文献2】欧州特許第1 518 599 A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、広いガス吸収面積と低い熱慣性をもたらす、知られているゲッター材料構造を熱的に活性化するために必要な熱活性化出力よりも低い熱活性化出力で済むゲッター材料ベース構造を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明では、基材と、少なくとも1つの支持材を使って基材に機械的に接続された少なくとも1つのゲッター材料ベース層とを備え、基材と接触する支持材の表面は、支持材と接触するゲッター材料層の主面の表面よりも小さい、ゲッター構造を提案する。
【0010】
また、本発明は、基材と、少なくとも1つの支持材を使って基材に機械的に接続された少なくとも1つのゲッター材料をベースとする少なくとも1つの層とを備え、基材と接触する支持材の表面は、ゲッター材料層の、支持材と接触している第1の面、つまり側面の表面よりも小さく、前記第1の面の反対側の、ゲッター材料層の第2の面は少なくとも部分的に露出されている、ゲッター構造に関する。
【0011】
「少なくとも部分的に露出されている」という表現は、層の第2の面がどの要素によっても完全には覆われていない、つまり、この面でガス吸収を生じさせることが可能であることを意味する。
【0012】
したがって、この支持材のおかげで、ゲッター材料は基材と直に熱的接触をしない。さらに、基材と接触している支持材の表面が、支持材と接触しているゲッター材料層の表面よりも小さいとした場合、ゲッター材料の熱的活性化の出力、つまり、エネルギーの量および加熱時間は、したがって、ゲッター材料層または基材上に直接蒸着されたゲッター材料層の積み重ねの熱的活性化に使用される出力よりも低い。
【0013】
さらに、第2の面は、少なくとも部分的に露出されているため、これにより、ゲッター材料に対する熱慣性が低くなる。
【0014】
ゲッター材料層の熱慣性は、ゲッター構造の全熱慣性の少なくとも10%である可能性がある。
【0015】
ゲッター材料層が蒸着される基材と接触している支持材の部分の表面は、支持材と接触しているゲッター材料層の主面の表面よりも小さいものとしてよい。
【0016】
ゲッター材料層の主面の表面の一部、例えば、最大でも10%、または20%、または30%、または40%、または50%は、例えばゲッター材料と基材との間に配置されているスペーサーによって形成される支持材と接触しうる。
【0017】
支持材と接触しているゲッター材料層の第1の面の表面は、支持材と接触していないゲッター材料層の第1の面の表面よりも小さいものとしてよい。
【0018】
ゲッター材料層は、支持材を唯一の伝導性熱橋として使用することができる。したがって、ゲッター材料層は、支持材がゲッター材料層とともに伝導性熱橋を形成する唯一の要素であり、ゲッター材料層は伝導性熱橋を形成する他のどの要素とも接触してないため「熱的に自由」である。
【0019】
ゲッター材料層と接触している支持材の表面、つまり、支持材とゲッター材料との間の界面は、ゲッター材料層の第1の面の表面より小さいものとしてよい。
【0020】
それに加えて、支持材の側面に配置されているが、支持材とは接触していないゲッター材料の表面により、ゲッター材料層の全吸収面を増やすことができる。実際、このような構造をとると、ゲッター材料層の前面を使用できるだけでなく、ゲッター材料の後面の一部でガス吸収を行わせることもできる。したがって、ゲッター材料の量が同じであれば、そのような吊り下げゲッター材料構造では、基材上直接蒸着された薄い層またはゲッター材料層の積み重ねに比べてより大きな吸収能力を得ることができる。
【0021】
さらに、ゲッター材料層の第2の面を覆う要素がなければ、そのようなゲッター構造は、要素によってゲッター材料層が覆われる従来技術のデバイスと異なり、低い熱慣性を有する。このような低い熱慣性および基材とゲッター材料層との間の直接熱的接触の欠如を考慮すると、ゲッター材料の周囲の他の要素に関して独立にゲッター材料を活性化することが可能である。
【0022】
この構造は、前記(複数の)層が1つまたは複数の異なるゲッター材料をベースとするものでよい、1つまたは複数のゲッター材料層を備えることができる。
【0023】
基材は、有利には、ガラスなどの少なくとも1つの断熱材をベースとするものとしてよく、これにより、基材とゲッター材料との間の断熱効果を改善することができる。代替えの態様では、基材は、シリコン、コバールなどの他の材料をベースとするものでもよい。
【0024】
支持材の少なくとも一部が、ドープシリコンなどの導電性材料をベースとしている場合には、支持材と支持材と接触することが意図されている他の導電性材料との間に電気絶縁体を配置することもできる。
【0025】
支持材は、少なくとも部分的にはゲッター材料をベースとすることができる。
【0026】
支持材は、ゲッター材料と基材との間に配置された少なくとも1つのスペーサーを備えることができる。
【0027】
支持材は、少なくとも1つの抵抗材料をベースとする少なくとも1つの構造化された層および抵抗層と基材との間に配置された少なくとも1つのスペーサーを備えることができ、ゲッター材料は、抵抗層に当たるように配置されうる。したがって、基材とゲッター材料との間に断熱を施すために、抵抗層を使用し、前記抵抗材料に電流を流すことによりゲッター材料のジュール効果によって熱的活性化を行わせることができる。有利なことに、抵抗層は、タングステンをベースとするものとしてよい。しかし、この抵抗層は、金、モリブデン、またはゲッター材料のジュール効果に適した他の材料をベースとすることもできる。
【0028】
また、抵抗層とゲッター材料層との間に、例えばPtまたはWNをベースとする、障壁層を集積化することが可能であり、これにより、ゲッター材料の拡散を回避することができる。
【0029】
抵抗層が使用される場合、スペーサーは、抵抗材料をベースとするものでよい。それに加えて、抵抗層は、蛇行構造化パターンを持つものとしてよい。蛇行は、本明細書全体を通して、安全ピン型の屈曲部を多数有する連続するラインを意味する。このパターンは、さらに、らせん状に巻かれた連続するラインも形成しうる。このパターンに従って構造化された抵抗材料の層を使用すると、特に、良好な耐熱性が得られる。そこで、抵抗材料と接触しているゲッター材料層の表面の大部分が加熱される。
【0030】
ゲッター材料層は、抵抗層のパターンと実質的に類似しているパターンに従って構造化されうる。
【0031】
代替えの態様では、抵抗材料層は、ゲッター材料層の上に形成され、ゲッター材料層は基材、または支持材と抵抗層との間に配置されうる。
【0032】
他の代替えの態様では、抵抗層の役割は、ゲッター材料層それ自体によっても果たされうる。この場合、ジュール効果による熱的活性化は、電流を直接、ゲッター材料層内に通すことにより達成されうる。
【0033】
スペーサーは、ゲッター材料層の主面の平面に平行な平面内で、表面積が約4μmから25μmまでの範囲内である断面を備えることができる。この表面は、好ましくは、ゲッター材料層と基材との間の熱橋、したがって熱損失を制限するように最小にされる。しかし、この表面の値は、最小の表面を必要とする場合があるゲッター構造を形成する技術プロセスに特に依存する可能性がある。それに加えて、この表面の値は、さらに、この構造を形成し、またゲッター材料の良好な固着を形成するのに必要な機械的強度に依存し、例えば、吊り下げ部分の変形が応力勾配の効果または座屈効果のせいで生じるように見える場合、これらの変形が新たに熱橋を形成しないか、または望ましくないスペースを占有しないように十分に広い表面を選択する。4μmから25μmの表面断面積は、スペーサーの断面に関してゲッター材料の吊り下げ表面の最適化が行われたMEMS技術プロセスに対応しうる。
【0034】
それに加えて、支持材が、複数のスペーサーを備える場合、2つの隣接するスペーサーは、互いに約20μmから50μmの距離だけ隔てられ、これにより、断熱と機械的強度とをうまく折り合わせることができる。この距離は、構造が厚さ約0.5μmから2μmの抵抗層を備える場合に特に有利である。
【0035】
支持材は、ゲッター材料層と基材との間に配置されたキャビティの周壁を含んでいてもよい。
【0036】
構造は、さらに、キャビティ内へのアクセス手段を形成することができる、ゲッター材料層に開けられた少なくとも1つの開口部を備えることもできる。ゲッター材料層によって形成されるキャビティの内壁は、したがって、さらに、ガス化学種を吸収することができる表面を形成することもできる。
【0037】
この構造は、さらに、支持材とゲッター材料層との間、および/または支持材と基材との間に配置された、断熱層および/または接着層も含むことができる。
【0038】
断熱層は、半導体酸化物をベースとすることができ、および/または接着層は、チタンおよび/またはクロムおよび/またはジルコニウム、またはそれらの層を形成するのに適した他の材料をベースとすることができる。
【0039】
基材は、ゲッター材料によって吸収されることが可能な少なくとも1つの波長を透過する少なくとも1つの材料をベースとすることができる。したがって、ゲッター材料の熱的活性化は、基材を通過するレーザービームまたは赤外線などの光線を使って達成されうる。
【0040】
本発明は、さらに、壁によって画定された少なくとも1つのキャビティを備え、そこに少なくとも1つのマイクロ電子デバイスが配置され、キャビティの少なくとも1つの壁が上述のようなゲッター構造によって形成され、ゲッター構造のゲッター材料層がそのキャビティ内に配置されるマイクロ電子システムに関する。マイクロ電子デバイスは、ゲッター材料層の第2の面の反対側に配置できる。
【0041】
マイクロ電子デバイスは、ゲッター構造によって形成されるものと異なるキャビティの壁に配置されうる。
【0042】
マイクロ電子デバイスは、少なくとも1つのMEMSおよび/または1つのNEMSを備えることができる。
【0043】
本発明は、さらに、基材と接触する支持材の表面が、支持材と接触するゲッター材料の、主面と呼ばれうる面の表面より小さい、少なくとも1つのゲッター材料をベースとする層を基材に機械的に接続する支持材の少なくとも形成を含むゲッター構造を形成するプロセスに関する。
【0044】
本発明は、さらに、ゲッター構造を形成するプロセスであって、少なくとも、
− 犠牲層を基材上に蒸着する段階と、
− ゲッター材料を蒸着し、犠牲層がゲッター材料層と基材との間に配置されるように少なくとも1つのゲッター材料ベース層を形成する段階と、
− 犠牲層の少なくとも一部を除去し、ゲッター材料層を基材に機械的に接続する支持材を形成する段階であって、基材と接触している支持材の表面は、例えばゲッター材料層の、主面と呼ばれる面の表面より小さく、前記面は支持材と接触している、段階とを含むプロセスに関する。
【0045】
支持材と接触するゲッター材料層の面の反対側にある、ゲッター材料層の第2の面は、少なくとも部分的に露出させることができる。
【0046】
ゲッター材料の蒸着は、さらに、犠牲層の周囲で行うこともでき、犠牲層の周囲に蒸着されたゲッター材料は支持材の少なくとも一部を形成することができる。
【0047】
プロセスは、さらに、犠牲層を蒸着する段階とゲッター材料を蒸着する段階との間に、犠牲層を貫く少なくとも1つの開口部を形成する段階を含み、その際に、ゲッター材料の蒸着は、さらに、開口部内でも行われ、開口部内に蒸着されたゲッター材料が支持材の少なくとも一部を形成することができる。
【0048】
プロセスは、さらに、ゲッター材料を蒸着する段階と犠牲層の一部を除去する段階との間に、犠牲層へのアクセス手段を形成することができる、ゲッター材料を貫く少なくとも1つの開口部を形成する段階を含み、その際に、犠牲層の一部の除去は、少なくともこの開口部を使って行うことができる。
【0049】
犠牲層を貫く開口部の形成および/またはゲッター材料を貫く開口部の形成は、少なくとも1つのリソグラフィ段階と1つのエッチング段階とによって行われうる。
【0050】
犠牲層の残り部分は、犠牲層の一部を除去する段階の後に、支持材の少なくとも一部を形成しうる。
【0051】
プロセスは、さらに、犠牲層を蒸着する段階とゲッター材料を蒸着する段階との間に、犠牲層を構造化する段階を含むこともできる。
【0052】
プロセスは、さらに、ゲッター材料を蒸着する段階と犠牲層の一部を除去する段階との間に、ゲッター材料層を構造化する段階を含むこともできる。
【0053】
プロセスは、さらに、犠牲層を蒸着する段階とゲッター材料を蒸着する段階との間、またはゲッター材料を蒸着する段階と犠牲層の一部を除去する段階との間で行われる、少なくとも1つの抵抗材料をベースとする層を犠牲層またはゲッター材料層上に蒸着する少なくとも1つの段階を含むことができ、その際に、ゲッター材料層は抵抗層上に、または抵抗層の下に配置されうる。
【0054】
プロセスは、さらに、抵抗層を蒸着する段階の後に、抵抗層を構造化する段階および/または抵抗層を貫く開口部を形成する段階を含むことができる。
【0055】
プロセスは、さらに、例えば、抵抗層とゲッター材料層との間に配置されたPtまたはWNをベースとする障壁層を蒸着する段階を含むことができる。
【0056】
プロセスは、さらに、支持材上に(犠牲層を蒸着する段階とゲッター材料を蒸着する段階との間に行われる)、および/または基材上に(犠牲層を蒸着する段階の前に行われる)、断熱層および/または接着層を蒸着する段階を含むことができる。
【0057】
ゲッター材料の蒸着は、蒸発および/または噴霧によって実行されうる。
【0058】
犠牲層の一部の除去は、例えばポリマーベースの犠牲層の場合にはプラズマエッチング、または例えば金属材料ベースの犠牲層の場合にはウェットエッチングの段階によって実行されうる。
【0059】
プロセスは、さらに、ゲッター材料を蒸着する段階の後に、保護層をゲッター材料上に蒸着する段階と、犠牲層の一部を除去する段階の後に行われる保護層を除去する段階とを含むこともできる。
【0060】
本発明は、さらに、マイクロ電子システムを製造するプロセスであって、少なくとも、
− 上述のようなゲッター構造を形成するプロセスを実行する段階と、
− 例えば基材上に形成された壁によって画定され、少なくとも1つのマイクロ電子デバイスが配置されるキャビティを閉じる段階であって、ゲッター構造がキャビティの壁を形成し、ゲッター構造のゲッター材料層がキャビティ内に配置される、段階とを含むプロセスに関する。
【0061】
本発明は、付属の図面を参照しつつ、純粋に指示および非制限的な目的のために用意されている例示的な実施形態の説明に照らして理解するのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階、ならびに特定の実施形態による、これもまた本発明の主題である、マイクロ電子システムを製造するプロセスの段階を示す図である。
【図2】第1の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階、ならびに特定の実施形態による、これもまた本発明の主題である、マイクロ電子システムを製造するプロセスの段階を示す図である。
【図3】第1の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階、ならびに特定の実施形態による、これもまた本発明の主題である、マイクロ電子システムを製造するプロセスの段階を示す図である。
【図4】第1の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階、ならびに特定の実施形態による、これもまた本発明の主題である、マイクロ電子システムを製造するプロセスの段階を示す図である。
【図5】第2の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階を示す図である。
【図6】第2の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階を示す図である。
【図7】第2の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階を示す図である。
【図8】第2の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階を示す図である。
【図9】第1の実施形態の代替えの態様による、本発明の主題である、ゲッター構造を示す図である。
【図10】第3の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階を示す図である。
【図11】第3の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階を示す図である。
【図12】第3の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階を示す図である。
【図13】第3の実施形態による、本発明の主題である、ゲッター構造を形成するプロセスの各段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
後述のさまざまな図の同一の、類似の、または同等の部分には、図同士の間の一貫性を保持するために同じ参照番号が使用されている。
【0064】
図に示されているさまざまな部分は、図を読み取りやすくするために、必ずしも均等目盛に従って示されてはいない。
【0065】
さまざまな可能性(代替えの態様および実施形態)は、相互に排他的ではないと理解されなければならず、互いに組み合わせることができる。
【0066】
最初に、図1から4を参照すると、これらは第1の実施形態によるゲッター構造100を形成するプロセス、さらにはゲッター構造100を備える、特定の実施形態による、マイクロ電子システム1000を製造するプロセスの各段階を示している。
【0067】
ゲッター構造100は、例えばガラスベースの基材102から作られる。基材102は、さらに、シリコンなどの半導体をベースとするものでもよく、適宜、酸化物ベースの層または基材102の断熱効果をもたらすことが可能な他の材料で覆うことが可能である。図1に示されているように、例えば樹脂、感光性樹脂などのポリマー、または銅もしくはアルミニウムなどの金属をベースとする、犠牲層104が、基材102上に蒸着される。犠牲層104を形成するために、他の犠牲材料、例えば酸化物が使用されうる。一般に、犠牲層104は、約1μmから10μmまでの厚さを有することができる。樹脂を使用することで、特に、厚みのある犠牲層104を形成することができる。それに加えて、犠牲層104が樹脂をベースとするものである場合、犠牲層104の熱クリープ特性を利用して、この層の段差のある通路を滑らかにすることが可能であり、したがって、その後この犠牲層104上に蒸着されたゲッター材料層の機械的強度を改善することができ有利である。また、樹脂をベースとするものである場合、犠牲層のストービングを行うことも可能である。
【0068】
次いで、犠牲層104は、少なくとも1つのゲッター材料をベースとする層の蒸着を受け入れるために、例えばリソグラフィおよび適宜エッチングにより構造化される。特にこの犠牲層104を貫く開口部106が形成される。図1には、単一の開口部106が示されている。
【0069】
次に、図2からわかるように、ゲッター材料が犠牲層104上に蒸着される。例えば銅および/またはクロムをベースとする保護サブ層の予備的蒸着を犠牲層104に対し行うことが可能であり、次いでゲッター材料層がこの保護サブ層上に蒸着される。この第1の実施形態では、ゲッター材料は、チタンであり、例えば蒸着もしくは噴霧または他の好適な蒸着技術によって蒸着される。代替えの態様では、ゲッター材料は、クロムおよび/またはチタンおよび/またはジルコニウムおよび/またはこれらの材料の合金、および/またはガス状分子の吸収および/または吸着の特性を有する他の材料をベースとすることができる。
【0070】
蒸着されたゲッター材料は、特に犠牲層104の上に、第1の面107が犠牲層104と接触しているゲッター材料層108を形成する。ゲッター材料層108は、さらに、第1の面107の反対側に第2の面109を備える。面107および109は、ゲッター材料層108の2つの主面を形成する。一般に、ゲッター材料層108の厚さは、約0.2μmから2μmまでの範囲とすることができる。ゲッター材料は、さらに、犠牲層104の周りの、基材102上に蒸着され、層108が置かれる周壁110を形成する。周壁110は、ゲッター材料の連続部分によってここに形成されるが、互いに隔てられている複数のゲッター材料部分によっても形成が可能であり、支柱を形成しうる。最後に、ゲッター材料は、さらに、開口部106内にも蒸着され、これによりスペーサー112、つまり支柱をゲッター材料層108と基材102との間に形成する。図2の実施例では、単一のスペーサー112が示されている。したがって、周壁110およびスペーサー112は、ゲッター材料層108が置かれる支持材を形成する。
【0071】
次いで、ゲッター材料層108は、リソグラフィ段階とエッチング段階とにより構造化され、特に、犠牲層104にアクセスできるようにする開口部114を形成する。この構造がゲッター材料層の下に配置された保護サブ層を含む場合、開口部114も、この保護サブ層を貫いて形成される。
【0072】
最後に、ゲッター材料層108を貫いてすでに形成されている開口部114を使って犠牲層104の選択的エッチングが行われる(図3を参照)。ポリマー材料ベースの犠牲層の場合、エッチングは、好ましくはオゾンプラズマタイプである。このエッチングは、層108の下に、特に周壁110によって画定されたキャビティ116を形成し、これにより、ゲッター材料層108から第1の面107を取り除く。
【0073】
こうして、基材102と直接的に接触しないが、この場合周壁110とこれもまたゲッター材料をベースとするスペーサー112とによって形成される支持材を使って機械的に接続されるゲッター材料層108が得られる。これらのスペーサー112は、寸法(直径、辺など)が例えば約2μmから5μmの範囲にある任意の形状、つまり任意の幾何学的形状の断面を有することができる。したがって、周壁110およびスペーサー112と接触しているゲッター材料層108の第1の面107の平面に平行な平面内で、スペーサー112は、表面積が約4μmから25μmまでである断面を有することができる。それに加えて、2つの隣接するスペーサー112を隔てる距離は、例えば、約20μmから50μmまでの範囲であり、したがって、スペーサー112の間のこの層108の座屈の危険性に関して層108の良好な機械的強度が保証される。
【0074】
一般に、犠牲層104は、ゲッター材料および/または保護サブ層の材料に関して選択的にエッチングできる材料をベースとすることができる。この犠牲層104の厚さは、大きな段差のある通路の場合に、犠牲層を除去した後に良好な機械的強度とするために、過度に薄いまたは厚いゲッター材料層を形成しないように望ましいゲッター材料層108の厚さに比例することが有利である。例えば、厚さが約1μmから2μmの範囲内であるゲッター材料層108については、犠牲層104は、約0.5μmから1μmの範囲の厚さを有することができる。
【0075】
図4に示されているように、ゲッター構造100は、MEMSまたはNEMSなどのマイクロ電子デバイス1006が配置されるキャビティ1004を備える基材1002上に集積化される。ゲッター構造100は、キャビティ1004の上壁を形成する。したがって、ゲッター材料層108は、周壁110とスペーサー112によって形成された支持材によって、デバイス1006の上の、キャビティ1004内に吊り下げられる。図4では、基材102は、ガラスフリット封着によってキャビティ1004の側壁1008に接続される。また、陽極封着または分子結合に関連する形状を考えることも可能である。基材102がガラスベースであり、壁1008がシリコンベースである場合、キャビティ1004の内側の真空状態を維持するために、良好な気密性をもたらす陽極封着が好ましくは形成される。
【0076】
次いで、構造100のゲッター材料、つまり、この場合、層108とともに周壁110およびスペーサー112によって形成される支持材に対し熱活性化が行われる。図4の実施例では、熱活性化は、ビーム1010が示されているレーザー発生源を使って行われる。この第1の実施形態では、基材102は、少なくともゲッター材料のレベルにおいて局所的に、ビーム1010の波長に対し透過的である。したがって、これらのビームによって供給されるエネルギーは、キャビティ1004内に存在する構造100のゲッター材料によって吸収される。
【0077】
熱活性化は、さらに、例えばλ=1μmの波長を有する赤外線によって実行されうる。この場合、ゲッター材料層108が、0.1μmを超える厚さを有する場合、光エネルギーの約45%を吸収する。したがって、この熱活性化を行うために使用されるランプの出力は、ゲッター材料層、スペーサー、および周壁の材料の寸法および熱伝導率、さらにはスペーサー間の間隔、つまり、ゲッター材料層108を支持するスペーサーの密度、および基材の熱伝導率に依存する。例えば、それぞれによって形成される熱橋が約25μW/K(1μmの酸化物ベースの断熱層を有するシリコン基材の場合)に等しく、また分布密度が約40,000スペーサー数/cmに等しいスペーサーについては、ゲッター材料を300℃のオーダーの温度に加熱するために700W/cmのランプが使用されうる。スペーサーの密度および/またはスペーサーおよび/または周壁の熱伝導率が低減された場合、および/または基材の熱伝導率が、例えばシリコン基材の代わりにガラス基材を使用することにより著しく低減される場合に、出力の低いランプを使用することができる。
【0078】
この熱活性化では、特に層108の第1の面107および第2の面、さらには周壁110およびスペーサー112によって形成される支持材を使って、ゲッター材料がキャビティ1004内に存在するガス状分子を吸収し、したがって、例えばこのキャビティ1004内に高真空状態を作り出すことが可能である。ゲッター材料のこの熱活性化は、側壁1008への構造100の組み立て中または組み立て後に行うことができる。熱活性化温度は、ゲッター材料の化学的性質またはゲッター材料を形成する合金の組成に依存する。この温度は、約200℃から500℃までの範囲としてよく、また熱活性化を行うために、例えば数分間、あるいは1時間またはそれ以上長く維持することができる。
【0079】
また、熱伝導率が十分である場合に電流を直接ゲッター材料に通すことによりジュール効果による熱活性化を行うことが可能である。
【0080】
キャビティ1004の壁に蒸着された単一のゲッター材料層と比較すると、この吊り下げゲッター材料層108構造100では、キャビティ1004のガス環境とも接触する、キャビティ116のゲッター材料壁、ならびに特に層108の第1の面107および露出されたままの第2の面により広い吸収面を形成することができる。さらに、ゲッター材料層108上に移された要素はどれも、吊り下げゲッターを含む構造に対し熱慣性を加えない。
【0081】
上述の第1の実施形態の代替えの態様では、ゲッター材料は犠牲層104の周りに蒸着されず、ゲッター材料層108を支持する周壁を形成しないようにすることが可能である。そのため、ゲッター材料層108は、犠牲層104を貫く開口部106内に蒸着されたゲッター材料によって形成されるスペーサー112によってのみ支持される。
【0082】
構造100を形成するプロセスにおいて、ゲッター材料の保護層を層108上に蒸着し、また適宜周壁110上に蒸着することも可能である。したがって、ゲッター材料をキャビティ1004内に封じ込める前にゲッター材料の汚染、酸化、およびガス吸収が生じる危険性を最小限に抑えられる。この保護層は、例えば、クロムおよび/または銅をベースとするものでよい。この保護層は、約5nmから500nmまでの範囲の厚さを有することができる。この保護層は、キャビティ1004を閉じるためにゲッター構造が使用される前に、例えば選択的な化学エッチングによって除去される。しかし、この保護層が、ゲッター効果に対する障壁としても使用される場合、この層は、金属、酸化物、または窒化物をベースとするものとしてよい。
【0083】
また、犠牲層とゲッター効果に対し障壁を形成しえないゲッター材料層との間に蒸着された保護サブ層を使用することも可能である。したがって、ゲッター層の背面とキャビティの反対側にあるサブ層は、ゲッター機能を有することができる。この保護層は、全部または部分的にのみ、温存されるか、または除去されうる。
【0084】
図9は、代替えの一実施形態によるゲッター構造100を示している。図3に示されているゲッター構造に関して、この代替え実施形態によるゲッター構造100は、ゲッター材料層108の蒸着の前に犠牲層104上に蒸着される、例えばクロムおよび/または銅をベースとする、保護サブ層を備える。それに加えて、ゲッター材料層108は、ゲッター材料層とさらにゲッター材料層108上に蒸着された保護層105を含む二重層であり、この保護層はさらにクロムおよび/または銅をベースとすることもできる。開口部114は、ゲッター材料層108を貫いて形成されており、さらには保護層105および保護サブ層103をも貫いている。最後に、この代替え実施形態では、犠牲層104の一部は温存されている。このような保護層は、ゲッター材料の層に当たるように配置された大きな要素と異なり、ゲッター材料がガス吸収を行うことを妨げないことに留意されたい。さらに、このような保護層は、ゲッター材料との伝導性熱橋を形成しない。
【0085】
次に、図5から8を参照すると、これは、第2の実施形態によるゲッター構造200を形成するプロセスの段階を示している。
【0086】
図5に示されているように、ゲッター構造200は、例えば第1の実施形態に関連して説明されているものと同様の基材102を備え、この上に犠牲層104が形成されるが、これもまた上述のものと同様である。
【0087】
次いで、犠牲層104上に接着層202が蒸着される(図6を参照)。この接着層202は、チタンおよび/またはジルコニウムおよび/またはクロムをベースとすることができる。接着層202を形成するように選択された材料に応じて、これは、ガス化学種に関して吸収特性を持つことができる。この接着層202の厚さは、約5nmから100nmまでの範囲としてよい。
【0088】
図7に示されているように、ゲッター材料は、次いで、接着層202上に蒸着されて、例えば第1の実施形態に関連して上で説明されているものと同様の層108を形成する。この層108は、次いで構造化され、これにより、この層108を貫く開口部114が形成される。接着層202により、ゲッター材料と犠牲層104との接着性を向上させることができる。
【0089】
次いで、特にゲッター材料層108内に形成される開口部114を通して、犠牲層104と接着層202のエッチングが行われる。したがって、犠牲層104の残り部分は、接着層202の残り部分が配置されるスペーサー204を形成し、さらにスペーサー206を形成する。
【0090】
したがって、上述の第1の実施形態のように、基材102と直接的に熱的接触しないゲッター材料層108が得られるが、この場合、この材料層は、犠牲層104の材料をベースとするスペーサー204および接着層202の材料をベースとするスペーサー206によって形成される支持材を使って基材に接続される。スペーサー204、206の幾何学的形状および分布は、前のほうで説明されているスペーサー112の幾何学的形状および分布と類似している場合がある。
【0091】
上述のように、次いで、ゲッター構造200は、マイクロ電子デバイスが配置されるキャビティを備える基材上に集積化され、キャビティ壁を形成する。構造200のゲッター材料、つまりこの場合には、層108も、熱的に活性化される。
【0092】
それに加えて、吊り下げゲッター材料構造では、従来技術のゲッター構造に関してより広い吸収表面を形成することができるが、それは、スペーサー206と接触している層108の表面のみが、ゲッター材料層108の全吸収面の一部でないからである。したがって、ガス吸収は、露出されたままの層108の第2の面109、またスペーサー206と接触していない層108の第1の面107の一部によって行われる。
【0093】
図10から13を参照すると、これは、第3の実施形態によるゲッター構造300を形成するプロセスの段階を示している。
【0094】
ゲッター構造300は、シリコンベースの基材302を備え、この上に、酸化ケイ素層304が形成され、基材302の周りに断熱層が形成される(図10)。第1の実施形態のように、犠牲層104が酸化物層304上に形成されて構造化され、これにより、この層104を貫く開口部が形成される。加熱材料として使用されることが意図されている材料、例えば、タングステンまたは他の好適な材料が、犠牲層104上に蒸着され、これにより、層308が形成される。図11に示されているように、加熱材料のこの蒸着は、「蛇行」パターンに従って構造化される、つまり、一連の安全ピンの形で複数の屈曲部を持つ連続するラインを形成する。代替えの態様では、このパターンは、さらに、らせん状に巻かれた連続するラインも形成しうる。このような構造化により、層308は良好な耐熱性をもたらしうる。犠牲層104の隣に蒸着された加熱材料の一部は、周壁310を形成し、また犠牲層104を貫いて形成される開口部内に蒸着された加熱材料は、犠牲層104の上に蒸着された加熱材料によって形成される層308を支持するスペーサー312を形成する。また、周壁310が存在しないという場合もありえ、このときに層308はスペーサー312のみによって支持される。
【0095】
図12に示されているように、ゲッター材料層108は、加熱材料層308上に蒸着される。適宜、ゲッター材料が加熱材料の電気抵抗に比べて低い電気抵抗を有する場合に、ゲッター材料層108の蒸着の前に、電気的絶縁層が加熱材料層308上に蒸着されうる。このような電気的絶縁層は、例えば、酸化ケイ素および/または窒化ケイ素をベースとし、例えば、約100nmから1μmまでの範囲の厚さを有する。層108は、さらに、ゲッター材料層108を貫く開口部114を形成するように構造化され、これにより、加熱材料層308を貫いて形成された開口部306を使って犠牲層104へのアクセス手段を形成する。
【0096】
したがって、ゲッター材料層108は、この場合、基材302から分離され、層308、周壁310、および加熱材料スペーサー312によって形成された支持材によって支持される。スペーサー312の密度および/またはこれらの支柱312の寸法は、ゲッター材料層108に加えて、加熱材料層308が存在することで加わる機械的応力に合わせて設定される。
【0097】
次いで、犠牲層104が、例えば、開口部306および開口部114を通じてのエッチングにより除去され、これにより、加熱材料およびゲッター材料によって形成される構造が解放される。層308の下に形成されたキャビティ316が、こうして得られ、その中にスペーサー312が配置される。この場合、周壁310がキャビティ316を画定する。
【0098】
前述の実施形態のように、次いで、ゲッター構造300は、マイクロ電子デバイスが配置されるキャビティを備える基材上に集積化され、これにより、キャビティの壁を形成する(図13)。構造300のゲッター材料、つまりこの場合には、層308も、加熱材料層308に電流を通すことにより熱的に活性化される。加熱材料層308に電流を通すことができるように加熱材料と接触させるために、特に、1つまたは複数の接点を基材302内に形成されたビアホールを通して形成することができる。したがって、ガス吸収は、特にゲッター材料層108の第2の面109によって行われる。
【符号の説明】
【0099】
100 ゲッター構造
102 基材
103 保護サブ層
104 犠牲層
105 保護層
106 開口部
107 第1の面
108 ゲッター材料層
109 第2の面
110 周壁
112 スペーサー
114 開口部
116 キャビティ
200 ゲッター構造
202 接着層
204 スペーサー
206 スペーサー
300 ゲッター構造
302 シリコンベースの基材
304 酸化ケイ素層
306 開口部
308 層
310 周壁
312 スペーサー
316 キャビティ
1000 マイクロ電子システム
1002 基材
1004 キャビティ
1006 マイクロ電子デバイス
1008 側壁
1010 ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(102、302)と、少なくとも1つの支持材(110、112、204、308、310、312)を使って前記基材(102、302)に機械的に接続された少なくとも1つのゲッター材料ベース層(108)とを備え、前記基材(102、302)と接触する前記支持材(110、112、204、308、310、312)の表面は、前記ゲッター材料層(108)の前記支持材(110、112、204、308、310、312)と接触している第1の面(107)の表面よりも小さく、前記第1の面(107)の反対側の、前記ゲッター材料層(108)の第2の面(109)は少なくとも部分的に露出されている、ゲッター構造(100、200、300)。
【請求項2】
前記支持材(110、112、204)と接触している前記ゲッター材料層(108)の前記第1の面(107)の前記表面は、前記支持材(110、112、204)と接触していない前記ゲッター材料層(108)の前記第1の面(107)の前記表面よりも小さい請求項1に記載の構造(100、200)。
【請求項3】
前記ゲッター構造層(108)は、唯一の伝導性熱橋として前記支持材(110、112、204、308、310、312)を有する請求項1から2のいずれか一項に記載の構造(100、200、300)。
【請求項4】
前記基材(102)は、ガラスベースである請求項1から3のいずれか一項に記載の構造(100、200)。
【請求項5】
前記ゲッター材料ベース層(108)は、約0.2μmから2μmまでの範囲の厚さを有する請求項1から4のいずれか一項に記載の構造(100、200、300)。
【請求項6】
前記ゲッター材料は、チタンおよび/またはジルコニウムおよび/またはハフニウムをベースとする請求項1から5のいずれか一項に記載の構造(100、200、300)。
【請求項7】
前記支持材(110、112)は、少なくとも部分的にゲッター材料をベースとする請求項1から6のいずれか一項に記載の構造(100)。
【請求項8】
前記支持材は、前記ゲッター材料層(108)と前記基材(102、302)との間に配置された少なくとも1つのスペーサー(112、204、312)を備える請求項1から7のいずれか一項に記載の構造(100、200、300)。
【請求項9】
前記支持材は、少なくとも1つの抵抗材料をベースとする少なくとも1つの構造化された層(308)および前記抵抗層(308)と前記基材(302)との間に配置された少なくとも1つのスペーサー(312)を備え、前記ゲッター材料層(108)は、前記抵抗層(308)に当たるように配置される請求項1から7のいずれか一項に記載の構造(300)。
【請求項10】
前記スペーサー(312)は、抵抗材料をベースとする請求項9に記載の構造(300)。
【請求項11】
前記抵抗層(308)の構造化パターンは、蛇行パターンである請求項9または10のいずれか一項に記載の構造(300)。
【請求項12】
前記ゲッター材料層(108)は、前記抵抗層(308)のパターンと実質的に類似しているパターンに従って構造化される請求項9から11のいずれか一項に記載の構造(300)。
【請求項13】
前記スペーサー(112、204、312)は、前記ゲッター材料層(108)の前記主面の前記平面に平行な平面内で、前記表面積が約4μmから25μmまでの範囲内である断面を備える請求項8から12のいずれか一項に記載の構造(100、200、300)。
【請求項14】
前記支持材が複数のスペーサー(112、204、312)を備える場合に、2つの隣接するスペーサーが約20μmから50μmまでの範囲の距離だけ互いに隔てられている請求項8から13のいずれか一項に記載の構造(100、200、300)。
【請求項15】
前記支持材は、前記ゲッター材料層(108)と前記基材(102、302)との間に配置されたキャビティ(116、316)の周壁(110、310)を備える請求項1から14のいずれか一項に記載の構造(100、300)。
【請求項16】
さらに、前記キャビティ(116、316)へのアクセス手段を形成する、前記ゲッター材料層(108)に開けられた少なくとも1つの開口部(114)を備える請求項15に記載の構造(100、300)。
【請求項17】
さらに、断熱層(304)および前記支持材(204)と前記ゲッター材料層(108)との間に、および/または前記支持材(308、310、312)と前記基材(302)との間に配置された接着層(202、206)を備える請求項1から16のいずれか一項に記載の構造(200、300)。
【請求項18】
前記断熱層(304)は、半導体酸化物をベースとし、および/または接着層(202、206)は、チタンおよび/またはクロムおよび/またはジルコニウムをベースとする請求項17に記載の構造(200、300)。
【請求項19】
前記基材(102)は、前記ゲッター材料によって吸収されることが可能な少なくとも1つの波長を透過する少なくとも1つの材料をベースとする請求項1から18のいずれか一項に記載の構造(100、200)。
【請求項20】
壁(100、1008、1002)によって画定された少なくとも1つのキャビティ(1004)を備え、そこに少なくとも1つのマイクロ電子デバイス(1006)が配置され、前記キャビティ(1004)の少なくとも1つの壁が請求項1から19のいずれか一項に記載のゲッター構造(100)によって形成され、前記ゲッター構造(100)の前記ゲッター材料層(108)が前記キャビティ(1004)内に配置されるマイクロ電子システム(1000)。
【請求項21】
マイクロ電子デバイス(1006)は、前記ゲッター構造(100)によって形成されるものと異なる前記キャビティ(1004)の壁に配置される請求項20に記載のシステム(1000)。
【請求項22】
前記マイクロ電子デバイス(1006)は、少なくとも1つのMEMSおよび/またはNEMSを備える請求項20または21のいずれか一項に記載のシステム(1000)。
【請求項23】
ゲッター構造(100、200、300)を形成するプロセスであって、少なくとも、
− 犠牲層(104)を基材(102、302)上に蒸着する段階と、
− ゲッター材料を蒸着し、前記犠牲層(104)が前記ゲッター材料層(108)と前記基材(102、302)との間に配置されるように少なくとも1つのゲッター材料ベース層(108)を形成する段階と、
− 前記犠牲層(104)を少なくとも部分的に除去し、前記ゲッター材料層(108)を前記基材(102、302)に機械的に接続する支持材(110、112、204、308、310、312)を形成する段階であって、前記基材(102、302)と接触している前記支持材(110、112、204、308、310、312)の前記表面は前記ゲッター材料層(108)の面(107)の前記表面より小さく、前記面(107)は前記支持材(110、112、204、308、310、312)と接触している、段階とを含むプロセス。
【請求項24】
前記支持材(110、112、204、308、310、312)と接触している前記ゲッター材料層(108)の前記面(107)の反対側にある、前記ゲッター材料層(108)の第2の面(109)は、少なくとも部分的に露出する請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記支持材(110、112、204)と接触している前記ゲッター材料層(108)の前記面(107)の前記表面は、前記支持材(110、112、204)と接触していない前記ゲッター材料層(108)の前記面(107)の前記表面よりも小さい請求項23または24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記ゲッター構造層(108)は、唯一の伝導性熱橋として前記支持材(110、112、204、308、310、312)を有する請求項23から25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記ゲッター材料の前記蒸着は、さらに、前記犠牲層(104)の周囲でも行われ、前記犠牲層(104)の周囲に蒸着された前記ゲッター材料は前記支持材(110、310)の少なくとも一部を形成する請求項23から26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
さらに、前記犠牲層(104)を蒸着する段階と前記ゲッター材料を蒸着する段階との間に、前記犠牲層(104)を貫く少なくとも1つの開口部(106)を形成する段階を含み、その際に、前記ゲッター材料の前記蒸着は、さらに、前記開口部(106)内でも行われ、前記開口部(106)内に蒸着された前記ゲッター材料が前記支持材(112、312)の少なくとも一部を形成する、請求項23から27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
さらに、前記ゲッター材料を蒸着する段階と前記犠牲層(104)の前記一部を除去する段階との間に、前記犠牲層(104)へのアクセス手段を形成する、前記ゲッター材料を貫く少なくとも1つの開口部(114)を形成する段階を含み、前記犠牲層部分(104)の除去は、少なくとも前記開口部(114)を使って行われる請求項23から28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記犠牲層(104)を貫く前記開口部(106)の形成および/または前記ゲッター材料を貫く前記開口部(114)の形成は、少なくとも1つのリソグラフィ段階と1つのエッチング段階とによって行われる請求項28または29のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記犠牲層(104)の前記(複数の)残り部分(204)は、前記犠牲層(104)の一部を除去する段階の後に、前記支持材の少なくとも一部を形成する請求項23から30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
さらに、前記犠牲層(104)を蒸着する段階と前記ゲッター材料を蒸着する段階との間に、前記犠牲層(104)を構造化する段階も含む請求項23から31のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項33】
さらに、前記ゲッター材料を蒸着する段階と前記犠牲層(104)の一部を除去する段階との間に、前記ゲッター材料層(108)を構造化する段階も含む請求項23から32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
さらに、前記犠牲層(104)を蒸着する段階と前記ゲッター材料を蒸着する段階との間、または前記ゲッター材料を蒸着する段階と前記犠牲層(104)の一部を除去する段階との間で行われる、少なくとも1つの抵抗材料をベースとする層(308)を前記犠牲層(104)または前記ゲッター材料層(108)上に蒸着する少なくとも1つの段階を含み、前記ゲッター材料層(108)は前記抵抗層(308)上に、または前記抵抗層(308)の下に配置される請求項23から33のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
さらに、前記抵抗層(308)を蒸着する段階の後に、前記抵抗層(308)を構造化する段階および/または前記抵抗層(308)を貫く開口部(306)を形成する段階を含む請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
さらに、前記支持材(204)上に(前記犠牲層(104)を蒸着する段階と前記ゲッター材料を蒸着する段階との間に行われる)、および/または前記基材(302)上に(前記犠牲層(104)を蒸着する段階の前に行われる)、断熱層(304)および/または接着層(202)を蒸着する段階も含む請求項23から35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
前記ゲッター材料の前記蒸着は、蒸発および/または噴霧によって行われる請求項23から36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記犠牲層(104)の前記一部の前記除去は、プラズマエッチングまたはウェットエッチングの段階によって行われる請求項23から37のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項39】
さらに、前記ゲッター材料を蒸着する段階の後に、保護層を前記ゲッター材料上に蒸着する段階と、前記犠牲層(104)の一部を除去する段階の後に行われる前記保護層を除去する段階とを含む請求項23から38のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項40】
マイクロ電子システム(1000)を製造するプロセスであって、少なくとも、
− 請求項23から39のいずれか一項に記載のゲッター構造(100)を形成するプロセスを実行する段階と、
− 壁(100、1002、1008)によって画定され、少なくとも1つのマイクロ電子デバイス(1006)が配置されるキャビティ(1004)を閉じる段階であって、前記ゲッター構造(100)が前記キャビティ(1004)の壁を形成し、前記ゲッター構造(100)の前記ゲッター材料層(108)が前記キャビティ(1004)内に配置される、段階とを含むプロセス。
【請求項41】
前記マイクロ電子デバイス(1006)は、前記ゲッター構造(100)によって形成されるものと異なる前記キャビティ(1004)の壁に配置される請求項40に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−12595(P2010−12595A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−155860(P2009−155860)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】