説明

含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物の製造方法、含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物、およびこれを用いた多孔質物の製造方法及び多孔質物、絶縁電線の製造方法、絶縁電線ならびに同軸ケーブル

【課題】均質な微細空孔の形成を容易にし、細径、薄肉化に容易に対応できる絶縁電線などの多孔質な絶縁被覆層を形成するためのを提供する含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】含水吸水性ポリマを予め吸水させ膨潤させ、圧力50MPa以上による超音速流速下で解砕微粒化処理し、これを樹脂組成物に撹拌分散した含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物及びこの吸水性ポリマ含有樹脂組成物を硬化後、加熱して水分を除去して空孔を形成した多孔質物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物の製造方法、含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物、およびこれを用いた多孔質物の製造方法及び多孔質物、絶縁電線の製造方法、絶縁電線ならびに同軸ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野をはじめとする精密電子機器類や通信機器類の小型化や高密度実装化が進むなかで、これらに使用される電線・ケーブルもますます細径化が図られている。さらに信号線等では、伝送信号の一層の高速化を求める傾向が顕著であり、これに使用される電線の絶縁体層を薄くかつ可能な限り低誘電率化することにより伝送信号の高速化を図ることが望まれている。
【0003】
この絶縁体には従来、ポリエチレンやふっ素樹脂などの誘電率の低い絶縁材料を発泡させたものが使われている。発泡絶縁体層の形成には、予め発泡させたフィルムを導体上に巻き付ける方法や押出方式が知られており、特に押出方式が広く用いられている。
【0004】
発泡を形成する方法としては、大きく物理的な発泡方法と化学的な発泡方法に分けられる。
【0005】
物理的な発泡方法としては、液体フロンのような揮発性発泡用液体を溶融樹脂中に注入し、その気化圧により発泡させる方法や窒素ガス、炭酸ガスなど押出機中の溶融樹脂に直接気泡形成用ガスを圧入させることにより一様に分布した細胞状の微細な独立気泡体を樹脂中に発生させる方法などがある(特許文献1)。
【0006】
化学的な発泡方法としては、樹脂中に発泡剤を分散混合した状態で成形し、その後熱を加えることにより発泡剤の分解反応を発生させ、分解により発生するガスを利用して発泡させることがよく知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−26846号公報
【特許文献2】特開平11−176262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、溶融樹脂中に揮発性発泡用液体を注入する方法では、気化圧が強く、気泡の微細形成や均質形成が難しく薄肉成形に限界がある。また、揮発性発泡用液体の注入速度が遅いために、高速製造化が難しく、生産性に劣るという問題もある。さらに、押出機中で直接気泡形成用ガスを圧入する方法は、細径薄肉押出形成に限界があること、安全面で特別な設備や技術を必要とするため、生産性に劣ることや製造コストの上昇を招いてしまう問題がある。
【0009】
一方、化学発泡方法は、予め樹脂中に発泡剤を混練し、分散混合し、成形加工後に熱により発泡剤を反応分解させて発生したガスにより発泡をさせるため、樹脂の成形加工温度は、発泡剤の分解温度より低く保持しなければならない問題がある。さらに、素線の径が細くなると、押出被覆では樹脂圧により断線が起こりやすく、高速化が難しくなるという別の問題もある。
【0010】
また、フロン、ブタン、炭酸ガス等を用いる物理発泡は環境負荷が大きい問題や、化学発泡に用いる発泡剤は価格が高いといった問題がある。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決するために、種々検討した結果得られたものであり、その目的は、環境にやさしく容易な低誘電率の多孔質薄膜層形成材料である含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物の製造方法、含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物、およびこれを用いた多孔質物の製造方法及び多孔質物の提供、均質な微細空孔の形成を容易にし、細径、薄肉化に容易に対応できる絶縁電線の製造方法、絶縁電線ならびに同軸ケーブルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、樹脂組成物に含水吸水性ポリマを添加してなる含水吸水性ポリマ含有液状架橋硬化型樹脂組成物の製造方法において、該含水吸水性ポリマは、予め吸水させ膨潤させ、圧力50MPa以上による超音速流速下で解砕微粒化処理したことを特徴とする含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物の製造方法である。
【0013】
請求項2の発明は、液状架橋硬化型樹脂組成物に予め吸水させ膨潤させた含水吸水性ポリマを添加させ、その含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を、圧力50MPa以上による超音速流速下で分散処理したことを特徴とする含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物の製造方法である。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2の製造方法により製造されたことを特徴とする含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物である。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1又は2の製造方法により製造された含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を架橋硬化した後、加熱により水分を除去して多数の空孔を形成したことを特徴とする多孔質物の製造方法である。
【0016】
請求項5の発明は、前記加熱にマイクロ波加熱を用いることを特徴とする請求項4に記載の多孔質物の製造方法である。
【0017】
請求項6の発明は、請求項4または5に記載の方法により製造されたこと特徴とする多孔質物である。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1又は2の方法により製造された含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を、導体の外周に被覆し、その吸水性ポリマ含有樹脂組成物を硬化させた後、その硬化させた含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を加熱して前記吸水性ポリマの水分を除去して絶縁被覆層を形成することを特徴とする絶縁電線の製造方法である。
【0019】
請求項8の発明は、前記絶縁被覆層の厚さが100μm以下であり、前記絶縁被覆層の空隙率が20%〜60%である請求項7に記載の絶縁電線の製造方法である。
【0020】
請求項9の発明は、前記絶縁被覆層の空隙を形成する空孔の断面が略円形であり、その最大径部と最小径部との比が2以下であり、厚さ方向の空孔径Dが前記絶縁被覆層の厚さtに対して、D<1/2tで形成される請求項7又は8に記載の絶縁電線の製造方法である。
【0021】
請求項10の発明は、前記加熱にマイクロ波加熱を用いる請求項7〜9いずれかに記載の絶縁電線の製造方法である。
【0022】
請求項11の発明は、請求項7〜10のいずれかに記載の製造方法により得られた絶縁電線である。
【0023】
請求項12の発明は、請求項11に記載の絶縁電線の外周にシールド層を設けたことを特徴とする同軸ケーブルである。
【0024】
請求項13の発明は、請求項1又は2に記載の含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を導体の外周に被覆し、含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を硬化させ絶縁被覆層を形成させた後、加熱して絶縁被覆層中の前記含水吸水性ポリマの水分を除去して前記絶縁被覆層の中に空孔を形成することを特徴とする絶縁電線の製造方法。
【0025】
請求項14の発明は、前記加熱にマイクロ波加熱を用いることを請求項13に記載の絶縁電線の製造方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、含水吸水性ポリマを圧力50MPa以上による超音速流速下で解砕微粒化処理を施したものを、液状架橋硬化型樹脂組成物に分散させたものや、含水吸水性ポリマを添加した液状架橋硬化型樹脂組成物を、圧力50MPa以上による超音速流速下で分散処理したものを硬化させた後、加熱により脱水させることで、空孔サイズが均一でバラツキの少ない多孔質物や多孔質被覆電線が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の多孔質膜被覆電線の横断面図である。
【図2】発明の多孔質膜被覆電線を用いた多層被覆ケーブルの横断面図である。
【図3】本発明の多孔質膜被覆電線を用いた同軸ケーブルの横断面図である。
【図4】本発明の実施例1により作製した厚さ200μmのフィルム断面を500倍に拡大したものである。
【図5】本発明の実施例2により作成した厚さ200μmのフィルム断面を500倍に拡大した顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例3により作成した厚さ200μmのフィルム断面を500倍に拡大した顕微鏡写真である。
【図7】本発明の実施例4により作成した厚さ200μmのフィルム断面を500倍に拡大した顕微鏡写真である。
【図8】比較例1により作成した厚さ200μmのフィルム断面を500倍に拡大した顕微鏡写真である。
【図9】比較例2により作成した厚さ200μmのフィルム断面を500倍に拡大した顕微鏡写真である
【図10】マイクロ波加熱と120℃オーブン加熱による脱水効率を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0029】
先ず、図1〜図3により、本発明の含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物が適用される多孔質膜被覆電線、多層被覆ケーブル、同軸ケーブルを説明する。
図1は、多孔質膜被覆電線の横断面図であり、複数本の導体3の外周に微細な空孔2を有する含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物からなる絶縁被覆層1を被覆して多孔質膜被覆電線10が形成される。
【0030】
図2は、図1に示した多孔質膜被覆電線10を用いた多層被覆ケーブルの横断面図であり、多孔質膜被覆電線10の外周にスキン層又は被覆層4を形成して多層被覆ケーブル11を形成したものである。
【0031】
図3は、図1に示した多孔質膜被覆電線10を用いた同軸ケーブルの横断面図であり、多孔質膜被覆電線10の導体3を内側導体とし、多孔質膜被覆電線10の外周にシールド線又はシールド層5を形成し、さらにその外周に被覆層6を形成して同軸ケーブル12を形成したものである。
【0032】
さて、多孔質膜被覆電線の絶縁被覆層として用いる含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物は、吸水性ポリマを、予め吸水させ膨潤させ、圧力50MPa以上による超音速流速下で解砕微粒化処理して形成するか、或いは、液状架橋硬化型樹脂組成物に予め吸水させ膨潤させた含水吸水性ポリマを添加させた含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を、圧力50MPa以上による超音速流速下で分散処理し手形成される。
【0033】
この含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を導体3の外周に被覆し、その吸水性ポリマ含有樹脂組成物を硬化させた後、その硬化させた含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を加熱して吸水性ポリマの水分を除去して空孔2を有する絶縁被覆層1が形成される。
【0034】
通常吸水性ポリマは、非常に良く水を吸い込み、保水力が強いため多少の圧力を加えても吸水した水を放出しない高分子物質であり、この吸水性ポリマに水を吸水させたものが含水吸水性ポリマである。
【0035】
吸水性ポリマとしては、ナトリウムを含まず、吸水量が20g/g以上のものが好ましい。代表的なものとしては、ポリアルキレンオキサイド系樹脂があげられる。ナトリウムを含まないというのは、電気絶縁性を低下させる要因になり易いためである。
【0036】
吸水量は、吸水性ポリマ1gあたりに吸水される水の量(g)で、吸水量が20g/gより小さくなると、空孔の形成効率が低くなることや吸水性ポリマを多く使用する必要があるためである。
【0037】
液状架橋硬化型樹脂組成物とは、紫外線、熱、電子線、可視光などにより硬化するもので、特に限定するものではないが、好ましくは紫外線や熱、あるいは併用で架橋硬化する樹脂組成物がよく、さらに好ましくは紫外線架橋硬化型樹脂組成物がよい。
【0038】
樹脂組成物としては、エチレン系、ウレタン系、シリコーン系、ふっ素系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリカーボネート系など公知の樹脂組成を選択できるが、樹脂組成物の誘電率として4以下、好ましくは3以下のものが良い。
【0039】
含水吸水性ポリマ含有液状架橋硬化型樹脂組成物中の含水率としては、20〜70wt%が良い。20wt%より少ないと、低誘電率化効果が得にくくなるためである。また70wt%より多くなると安定した多孔質膜の形成が著しく困難になるためである。好ましくは25〜65wt%が良い。
【0040】
圧力50MPa以上による超音速流速下で解砕微粒化処理は、市販の高圧ホモジナイザーを用いることで実現できる。圧力50MPa以上とするのは、これより圧力が低くなると、解砕効果が弱く微粒化効率が低くなることや、処理回数を増すなどの手間がかかるためである。吸水膨潤させた含水吸水性ポリマと高圧下での超音速流速を組合せることで、含水吸水性ポリマの微粒化、均質化が容易にできる。これを液状架橋硬化型樹脂組成物に分散させることで、微細で均質な空孔を有するものを得ることができる。超音速流速とするのは、超音速流速下で生じる空洞化現象を利用し、空洞部が崩壊する際に生じる高い圧力差により、吸水膨潤しゲル状となった含水吸水性ポリマを微細に引裂くためである。
【0041】
また含水吸水性ポリマ含有液状架橋硬化型樹脂組成物を高圧ホモジナイザー処理することで、含水吸水性ポリマの微細化、均質化、均一分散を同時にすることができる。
【0042】
吸水膨潤させた吸水性ポリマを分散させるのは、吸水膨潤によりゲル状となった吸水性ポリマは水を多く含み、水と液状架橋硬化型樹脂組成物とは非相溶のため、撹拌分散の際に、独立分散しやすく且つ球状となって分散しやすくなる。このため硬化後の脱水によって得られる空孔形状が球に近い形状とすることができ、つぶれに対して強いものが得られやすくなるためである。
【0043】
架橋硬化後、加熱により脱水させるのは、脱水による体積収縮による空隙率の低下が防止できるほか、膜厚や外径の変化を防止し、安定したものを得ることができるためである。さらに、予め空孔となる部分をもって被覆を形成できるため、発泡させる必要が無く、従来のガス注入や発泡剤によるガス発泡に生じやすい導体と発泡層間の膨れや剥離による密着力低下がまったくなく安定したものが得られる。
【0044】
含水吸水性ポリマ分散液状架橋硬化型樹脂組成物には、必要に応じて分散剤、レベリング剤、カップリング剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、電気絶縁性向上剤、充填剤などを公知のものを加えて用いることができる。
【0045】
本発明において、絶縁被覆層1の厚さは、100μm以下、絶縁被覆層1の空隙率は20%以上〜60%以下が好ましい。また、空隙を形成する空孔2は、球状で、最大・最小径部の比が2以下、厚さ方向の空孔径Dは、選択される含水吸水性ポリマの粒径dがd<1/2tであり、絶縁被覆層厚さtに対してD<1/2tで形成されていることが好ましい。
【0046】
医療用プローブケーブルなどを代表とする同軸ケーブルでは、細径化、伝送信号高速化が進められており、絶縁被覆層の薄肉化、低誘電率化が必須であり、絶縁被覆層の低誘電率化には空孔形成が有効である。しかし、空隙率が高すぎたり、空孔径が大きすぎたりすると絶縁被覆層がつぶれやすく安定した信号伝送が得られない問題が生じることから、本発明の絶縁被覆層の空隙率、空孔径Dと絶縁被覆層の厚さtを上記のように規定することで、薄肉、低誘電率でしかも耐つぶれに優れた絶縁電線を得ることができる。
【0047】
空隙率を20%以上、60%以下とするのは、空隙率が20%より小さいと、低誘電率化効果が低く、空隙率が60%より大きくなると、絶縁被覆層の成形性、耐つぶれ性などが低下しやすくなるためである。
【0048】
空孔の最大と最小径部の比を2以下とするのは、2より大きくなると、つぶれが生じやすくなるためである。厚さ方向の空孔径Dは、選択される含水吸水性ポリマの粒径dがd<1/2tである。また、絶縁被覆層厚さtに対してD<1/2tとするのは、1/2tより大きくなると、空隙率が高いほどつぶれが生じやすい問題があるためである。
【0049】
含水吸水性ポリマによる空孔のサイズや形状は、圧力、処理回数などで調整でき、さらに予め組成物中に空孔となる部分が形成された状態で被覆を形成できることから制御が容易にできる。
【0050】
吸水させた吸水性ポリマの水を加熱脱水するのにマイクロ波加熱を利用することが好ましい。マイクロ波加熱を利用するのは、水はマイクロ波により、急速に加熱されるため吸水性ポリマや周囲の樹脂などに影響をあたえることなく、短時間で加熱脱水ができ効率よく空孔形成ができるためである。
【0051】
また、導波管型マイクロ波加熱炉を用いることで、連続的に加熱脱水ができる。さらに通常の加熱炉と組合せて用いてもよい。
【0052】
図10はマイクロ波加熱と120℃オーブン加熱で、電線の絶縁被覆層中の水を加熱脱水したときの加熱時間と脱水率の関係を示したものである。
【0053】
図10より、マイクロ波加熱の法が、通常の電気炉やオーブン加熱に比べ、図極めて短時間で効率よく脱水できることがわかる。
【0054】
以上、絶縁電線の絶縁被覆層について説明したが、本発明の含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物により得られる多孔質(発泡状物)は、緩衝材、衝撃吸収フィルム(シート)、光反射板などへの利用もできる。
【0055】
また、液状架橋硬化型樹脂組成物であることから、異形状物表面に多孔質層の形成ができる。
【実施例】
【0056】
以下に本発明の実施例と比較例を説明する。
【0057】
液状架橋樹脂組成物(ベース樹脂組成物)として表1に示す樹脂組成物Aを調製した。
【0058】
【表1】

【0059】
樹脂組成物Aについて、15MILブレードを用いて厚さ約200μmのフィルムを窒素雰囲気下にて紫外線照射量500mJ/cm2により硬化させて作製し、空洞共振法(@10GHz)により求めた誘電率は2.65であった。
【0060】
含水吸水性ポリマは以下のように調整したものを準備した。
【0061】
含水吸水性ポリマ:平均粒径50μmの吸水性ポリマ(アクアコーク(登録商標)TWP−PF:住友精化製)を蒸留水と1:31の比率で混ぜ合わせ24時間静置したものを用意した。
【0062】
先ず実施例1〜4と比較例1として、含水吸水性ポリマを圧力を変えて超音速流速下で分散処理し、これを樹脂組成物Aに撹拌分散させて含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物とした。また実施例5は、樹脂組成物Aと含水吸水性ポリマを撹拌分散させた後、圧力を変えて超音速流速下で分散処理して含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物とし、比較例2は、樹脂組成物Aと含水吸水性ポリマを撹拌分散させたものを含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物とした。
【0063】
また、比較例3は、押出成形用熱可塑性樹脂として、代表的な低誘電材料であるテトラフロロエチレン・パーフロロアルキルビニールエーテル共重合体(PFA)を用いた。
【0064】
この実施例1〜5と比較例1〜3を表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
表2における、実施例及び比較例の評価は以下のようにして行った。
【0067】
<フィルム成形性>
樹脂組成物を、ガラス板上に4MIL,7MIL,15MILのブレードを用いて、幅100mm、長さ200mmの塗膜を形成し、窒素雰囲気下で、紫外線照射コンベア装置を用いて紫外線照射量500mJ/cm2を照射し硬化させ、膜厚約50,100,200μmの平滑なフィルム成形ができるかどうか確認した。
【0068】
<空隙率>
次式により空隙率を求めた。
【0069】
空隙率(%)=[1−(脱水後の試料重量/脱水後の試料体積)/(含水させない場合の樹脂試料の重量/含水させない場合の樹脂試料の体積)]×100
<誘電率>
フィルム試料を幅2mm、長さ100mmの短冊状にし、空洞共振法により、周波数10GHzにて誘電率を3本測定し、その平均値を求めた。
【0070】
<a/b>
フィルム及び電線被覆層断面の電子顕微鏡を用いた5箇所の断面写真より観察される10μm以上の空孔について、空孔断面の最大径部aと最小径部bを測定し、a/bを求めた。
【0071】
<平均空孔径及び標準偏差>
フィルム及び電線被覆層断面を電子顕微鏡で撮影した5箇所の断面写真を、画像処理ソフト「Win RooF 三谷商事(株)製」を用いて、画像内の空孔の平均サイズを平均空孔径として求めた。また、同時に空孔径の標準偏差についても求めた。
【0072】
次に、表2に示した実施例1〜5と比較例1〜3をさらに詳しく説明する。
【0073】
<実施例1>
樹脂組成物A100重量部に、含水吸水性ポリマを高圧ホモジナイザー(PANDA 2K型NiroSoavi社製)を用い圧力600MPaで、1回処理したものを64重量部加え、50℃に加温しながら30分、500rpmで撹拌分散した含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物1(樹脂組成物l)を得た。
【0074】
樹脂組成物1についてフィルム成形性が良好なことを確認した。これを、マイクロ波加熱装置(発振周波数2.45GHz)を用いて、5分間加熱した後、断面を電子顕微鏡で観察した結果、多数の空孔が形成されていることを確認し、各フィルムについて完全脱水後のフィルム体積と重量から求めた空隙率はそれぞれ35.5%、35.6%、36.1%で、含水率とほぼ一致することを確認した。また、200μmフィルムにおいて空洞共振法により誘電率を測定したところ、1.94(@10GHz)であった。さらに200μmフィルムにおいて電子顕微鏡を用いた5箇所の断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、いずれも2以下であり、形成される空孔は球状に近い形状で分散されていることを確認した。断面写真より画像処理ソフトにより求めた平均空孔径は18.6μm、標準偏差値は14.8であった。
【0075】
次に樹脂組成物1を、加圧塗布槽でより導体48AWG(7/0.013 S−MF−AG合金線、日立電線製)上に、速度50m/minで被覆し、これを紫外線照射炉(アイグラフィックス製6kW;2灯)に通して硬化させた後、導波管型マイクロ加熱炉及び赤外線加熱炉を通して加熱脱水処理して、被覆厚50μmと100μmの電線を得、断面観察により絶縁被覆層には多数の空孔が形成されていることを確認、また1m当りの被覆層の体積及び重量から空隙率を換算したところそれぞれ34.1%,34.5%でフィルムの結果とほぼ一致することを確認した。
【0076】
さらに電子顕微鏡を用いた5箇所の絶縁被覆層断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、いずれも2以下であり、形成される空孔は球状に近い形状で分散されていることを確認した。
【0077】
この電子顕微鏡を図4に示した。
【0078】
<実施例2>
樹脂組成物A100重量部に、含水吸水性ポリマを高圧ホモジナイザー(PANDA 2K型NiroSoavi社製)を用い圧力100MPaで、1回処理したものを64重量部加え、50℃に加温しながら30分、500rpmで撹拌分散した含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物2(樹脂組成物2)を得た。
【0079】
樹脂組成物1についてフィルム成形性が良好なことを確認した。これを、マイクロ波加熱装置(発振周波数2.45GHz)を用いて、5分間加熱した後、断面を電子顕微鏡で観察した結果、多数の空孔が形成されていることを確認し、各フィルムについて完全脱水後のフィルム体積と重量から求めた空隙率はそれぞれ34.7%、34.6%、35%で、含水率とほぼ一致することを確認した。また、200μmフィルムにおいて空洞共振法により誘電率を測定したところ、1.96(@10GHz)であった。さらに200μmフィルムにおいて電子顕微鏡を用いた5箇所の断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、いずれも2以下であり、形成される空孔は球状に近い形状で分散されていることを確認した。断面写真より画像処理ソフトにより求めた平均空孔径は16.4μm、標準偏差値は10.7であった。
【0080】
次に樹脂組成物2を、加圧塗布槽でより導体48AWG(7/0.013 S−MF−AG合金線、日立電線製)上に、速度50m/minで被覆し、これを紫外線照射炉(アイグラフィックス製6kW;2灯)に通して硬化させた後、導波管型マイクロ加熱炉及び赤外線加熱炉を通して加熱脱水処理して、被覆厚50μmと100μmの電線を得、断面観察により絶縁被覆層には多数の空孔が形成されていることを確認、また1m当りの被覆層の体積及び重量から空隙率を換算したところそれぞれ33.5%,34%でフィルムの結果とほぼ一致することを確認した。
【0081】
さらに電子顕微鏡を用いた5箇所の絶縁被覆層断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、いずれも2以下であり、形成される空孔は球状に近い形状で分散されていることを確認した。
【0082】
この電子顕微鏡を図5に示した。
【0083】
<実施例3>
樹脂組成物A100重量部に、含水吸水性ポリマを高圧ホモジナイザー(PANDA 2K型NiroSovi社製)を用い、圧力130MPaで、1回処理したものを64重量部加え、50℃に加温しながら30分、500rpmで撹拌分散した含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物3(樹脂組成物3)を得た。
【0084】
樹脂組成物3についてフィルム成形性が良好なことを確認した。これを、マイクロ波加熱装置(発振周波数2.45GHz)を用いて、5分間加熱した後、断面を電子顕微鏡で観察した結果、多数の空孔が形成されていることを確認し、各フィルムについて完全脱水後のフィルム体積と重量から求めた空隙率はそれぞれ33.7%,34%,34.7%で含水率に近いことを確認した。また、200μmフィルムにおいて空洞共振法により誘電率を測定したところ1.96(@10GHz)であった。さらに200μmフィルムにおいて電子顕微鏡を用いた5箇所の断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、いずれも2以下であり、形成される空孔は球状に近い形状で分散されていることを確認した。断面写真より画像処理ソフトにより求めた平均空孔径は15μm、標準偏差値は7であった。
【0085】
次に樹脂組成物3を、加圧塗布槽でより導体48AWG(7/0.013 S−MF−AG合金線、日立電線製)上に、速度50m/minで被覆し、これを紫外線照射炉(アイグラフィックス製6kW2灯)に通して硬化させた後、導波管型マイクロ加熱炉及び赤外線加熱炉を通して加熱脱水処理して、被覆厚50μmと100μmの電線を得、断面観察により被覆層には多数の空孔が形成されていることを確認、また1m当りの被覆層の体積及び重量から空隙率を換算したところそれぞれ33%、34.4%でフィルムの結果とほぼ一致することを確認した。さらに電子顕微鏡を用いた5箇所の被覆層断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、いずれも2以下であり、形成される空孔は球状に近い形状で分散されていることを確認した。
【0086】
この電子顕微鏡を図6に示した。
【0087】
<実施例4>
樹脂組成物A100重量部に、含水吸水性ポリマを高圧ホモジナイザー(PANDA 2K型NiroSoavi社製)を用い、圧力130MPaで3回処したものを64重量部加え、50℃に加温しながら30分、500rpmで撹拌分散した含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物4(樹脂組成物4)を得た。
【0088】
樹脂組成物4についてフィルム成形性が良好なことを確認した。これを、マイクロ波加熱装置(発振周波数2.45GHz)を用いて、5分間加熱した後、断面を電子顕微鏡で観察した結果、多数の空孔が形成されていることを確認し、各フィルムについて完全脱水後のフィルム体積と重量から求めた空隙率はそれぞれ33.6%,34.5%,35.5%で含水率に近いことを確認した。また、200μmフィルムにおいて空洞共振法により誘電率を測定したところ1.95(@10GHz)であった。さらに200μmフィルムにおいて電子顕微鏡を用いた5箇所の断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、いずれも2以下であり、形成される空孔は球状に近い形状で分散されていることを確認した。断面写真より画像処理ソフトにより求めた平均空孔径は13.5μm、標準偏差値は5.5であった。
【0089】
次に樹脂組成物4を、加圧塗布槽でより導体48AWG(7/0.013 S−MF−AG合金線、日立電線製)上に速度50m/minで被覆し、これを紫外線照射炉(アイグラフィックス製6kW2灯)に通して硬化させた後、導波管型マイクロ加熱炉及び赤外線加熱炉を通して加熱脱水処理して、被覆厚50μmと100μmの電線を得、断面観察により被覆層には多数の空孔が形成されていることを確認、また1m当りの被覆層の体積及び重量から空隙率を換算したところそれぞれ33.5%,34%でフィルムの結果とほぼ一致することを確認した。さらに電子顕微鏡を用いた5箇所の被覆層断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、いずれも2以下であり、形成される空孔は球状に近い形状で分散されていることを確認した。
【0090】
この電子顕微鏡を図7に示した。
【0091】
<実施例5>
樹脂組成物A100重量部に、含水吸水性ポリマを64重量部加え、50℃に加温しながら30分、500rpmで撹拌分散した後、これを高圧ホモジナイザー(PANDA 2K型Niro Soavi社製)を用い圧力130MPaで1回処理した含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物5(樹脂組成物5)を得た。
【0092】
樹脂組成物5についてフィルム成形性が良好なことを確認した。これを、マイクロ波加熱装置(発振周波数2.45GHz)を用いて、5分間加熱した後、断面を電子顕微鏡で観察した結果、多数の空孔が形成されていることを確認し、各フィルムについて完全脱水後のフィルム体積と重量から求めた空隙率はそれぞれ34%,34.7%,35.1%で含水率に近いことを確認した。また、200μmフィルムにおいて空洞共振法により誘電率を測定したところ1.96(@10GHz)であった。さらに200μmフィルムにおいて電子顕微鏡を用いた5箇所の断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、いずれも2以下であり、形成される空孔は球状に近い形状で分散されていることを確認した。断面写真より画像処理ソフトにより求めた平均空孔径は14.7μm、標準偏差値は6であった。
【0093】
次に樹脂組成物5を、加圧塗布槽でより導体48AWG(7/0.013 S−MF−AG合金線、日立電線製)上に速度50m/minで被覆し、これを紫外線照射炉(アイグラフィックス製6kW)2灯に通して硬化させた後、導波管型マイクロ加熱炉及び赤外線加熱炉を通して加熱脱水処理して、被覆厚50μmと100μmの電線を得、断面観察により被覆層には多数の空孔が形成されていることを確認、また1m当りの被覆層の体積及び重量から空隙率を換算したところそれぞれ33.2%,34%でフィルムの結果とほぼ一致することを確認した。さらに電子顕微鏡を用いた5箇所の被覆層断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、いずれも2以下であり、形成される空孔は球状に近い形状で分散されていることを確認した。
【0094】
<比較例1>
樹脂組成物A100重量部に、含水吸水性ポリマを高圧ホモジナイザー(PANDA 2K型NiroSoavi社製)を用い圧力40MPaで1回処理したものを64重量部加え、50℃に加温しながら30分、500rpmで撹拌分散した含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物6(樹脂組成物6)を得た。
【0095】
樹脂組成物6についてフィルム成形はできることを確認したが、マイクロ波加熱装置(発振周波数2.45GHz)を用いて、5分間加熱した後、断面を電子顕微鏡で観察した結果、200μmフィルムでは多数の空孔形成が確認されたが、50μmフィルムではほとんど空孔がなく、100μmフィルムも空孔が少ないものであった。各フィルムについて完全脱水後のフィルム体積と重量から求めた空隙率は、200μmフィルム以外は含水率とまったく異なるものであった。また、200μmフィルムにおいて空洞共振法により誘電率を測定したところ1.96(@10GHz)であった。さらに200μmフィルムにおいて電子顕微鏡を用いた5箇所の断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、2を越えるものも多く、楕円形状のものが多いことを確認した。断面写真より画像処理ソフトにより求めた平均空孔径は24.9μm、標準偏差値は24であった。
【0096】
次に樹脂組成物6を、実施例と同様に被覆厚50μmと100μmの電線を得ることを試みたが、50μmでは断線が多発し電線を得ることができなかった。 100μmでは電線を得ることはできたが、断面観察により被覆層には実施例の半分程度しか空孔が形成されていないものであった。さらに電子顕微鏡を用いた5箇所の被覆層断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、2をこえてしまう空孔が形成されることを確認した。
【0097】
この電子顕微鏡を図8に示した。
【0098】
<比較例2>
樹脂組成物A100重量部に、含水吸水性ポリマを64重量部加え、50℃に加温しながら30分、500rpmで撹拌分散した含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物7(樹脂組成物7)を得た。
【0099】
樹脂組成物7についてフィルム成形はできることを確認したが、マイクロ波加熱装置(発振周波数2.45GHz)を用いて、5分間加熱した後、断面を電子顕微鏡で観察した結果、200μmフィルムでは多数の空孔形成が確認されたが、50μmフィルムではほとんど空孔がなく、100及び200μmフィルムも空孔が少ないものであった。各フィルムについて完全脱水後のフィルム体積と重量から求めた空隙率は、実施例に比べはるかに小さいものであった。また、200μmフィルムにおいて空洞共振法により誘電率を測定したところ2.22(@10GHz)であった。さらに200μmフィルムにおいて電子顕微鏡を用いた5箇所の断面写真より観察される空孔について、a/bを測定したところ、2を大きく越えるものも多く、楕円形状のものが多いことを確認した。断面写真より画像処理ソフトにより求めた平均空孔径は137μm、標準偏差値は89であった。
【0100】
次に樹脂組成物7を、実施例と同様に被覆厚50μmと100μmの電線を得ることを試みたが、いずれも断線が多発し電線を得ることができなかった。
【0101】
この電子顕微鏡を図9に示した。
【0102】
<比較例3>
低誘電性熱可塑性ポリマのテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)を用い、28mm押出機で、液化炭酸ガスを圧入しながらより導体48AWG(7/0.013 S−MF−AG合金線、日立電線製)上に、被覆厚50μmの押出被覆を試みたが、速度数m/minでも断線が多発し、多孔質(発泡)電線を得ることができなかった。
【0103】
以上、実施例及び比較例で説明したとおり、実施例では含水吸水性ポリマを圧力50MPa以上による超音速流速下で解砕微粒化処理を施したものを液状架橋硬化型樹脂組成物に分散させたもの(実施例1、2、3、4)や含水吸水性ポリマを添加した液状架橋硬化型樹脂組成物を圧力50MPa以上による超音速流速下で分散処理したもの(実施例5)を硬化させた後、加熱により脱水させることで、空孔サイズが均質でバラツキの少ない多孔質物や多孔質被覆電線が容易に得られる。一方、処理圧力が低い比較例1や処理を施さない比較例2では薄肉化が困難であり、形成される空孔のサイズ、形状などのバラツキも大きいものであった。また、従来押出方式の比較例3ではまったく高速化は困難であった。
【符号の説明】
【0104】
1 絶縁被覆層
2 空孔
3 導体
4 スキン層又は被覆層
5 シールド線又はシールド層
6 被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物に含水吸水性ポリマを添加してなる含水吸水性ポリマ含有液状架橋硬化型樹脂組成物の製造方法において、
該含水吸水性ポリマは、予め吸水させ膨潤させ、圧力50MPa以上による超音速流速下で解砕微粒化処理したことを特徴とする含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
液状架橋硬化型樹脂組成物に予め吸水させ膨潤させた含水吸水性ポリマを添加させ、その含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を、圧力50MPa以上による超音速流速下で分散処理したことを特徴とする含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2の製造方法により製造されたことを特徴とする含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1又は2の製造方法により製造された含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を架橋硬化した後、加熱により水分を除去して多数の空孔を形成したことを特徴とする多孔質物の製造方法。
【請求項5】
前記加熱にマイクロ波加熱を用いることを特徴とする請求項4に記載の多孔質物の製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の方法により製造されたこと特徴とする多孔質物。
【請求項7】
請求項1又は2の方法により製造された含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を、導体の外周に被覆し、その吸水性ポリマ含有樹脂組成物を硬化させた後、その硬化させた含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を加熱して前記吸水性ポリマの水分を除去して絶縁被覆層を形成することを特徴とする絶縁電線の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁被覆層の厚さが100μm以下であり、前記絶縁被覆層の空隙率が20%〜60%である請求項7に記載の絶縁電線の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁被覆層の空隙を形成する空孔の断面が略円形であり、その最大径部と最小径部との比が2以下であり、厚さ方向の空孔径Dが前記絶縁被覆層の厚さtに対して、D<1/2tで形成される請求項7又は8に記載の絶縁電線の製造方法。
【請求項10】
前記加熱にマイクロ波加熱を用いる請求項7〜9いずれかに記載の絶縁電線の製造方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれかに記載の製造方法により得られた絶縁電線。
【請求項12】
請求項11に記載の絶縁電線の外周にシールド層を設けたことを特徴とする同軸ケーブル。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を導体の外周に被覆し、含水吸水性ポリマ含有樹脂組成物を硬化させ絶縁被覆層を形成させた後、加熱して絶縁被覆層中の前記含水吸水性ポリマの水分を除去して前記絶縁被覆層の中に空孔を形成することを特徴とする絶縁電線の製造方法。
【請求項14】
前記加熱にマイクロ波加熱を用いることを請求項13に記載の絶縁電線の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図10】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−215891(P2010−215891A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187019(P2009−187019)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】