説明

吸収係数および応力を低減しつつ炭素膜のエッチング選択性を改善する方法

【課題】透明性が高く、エッチング選択性が高く、アッシング可能なハードマスク(AHM)を提供する。
【解決手段】プラズマ化学気相成長チャンバ内に基板を配置する段階を備える成膜方法を開示する。炭素系の第1のアッシング可能ハードマスク(AHM)層10を基板上に成膜する。第1のAHM層の成膜時に、シリコン、シラン、ホウ素、窒素、ゲルマニウム、炭素、アンモニア、および、二酸化炭素から成る群から選択される少なくとも1つのドーパントでドープを行う。少なくとも1つのドーパントの原子濃度は、第1のAHM層の5%以上である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国仮特許出願第61/474,118号(出願日:2011年4月11日)に基づく恩恵を主張する。当該仮出願の内容は全て、参照により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、アッシング可能ハードマスク(AHM)膜に関する。特に、炭素系AHM膜を成膜するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書の背景技術の説明では、本開示が成された背景の概要を説明することを目的とする。本願で発明者として名前を挙げている人物の研究は、この「背景技術」セクションに記載されている限りにおいて、出願時に先行技術と認められない側面と同様に、本開示に対する先行技術と明示的または暗示的に認められるものではない。
【0004】
アッシング可能ハードマスク(AHM)膜は、半導体基板の処理時に利用されることが多い。例えば、AHM膜は、基礎となる誘電体層、ポリ層、または、導電層の上方に成膜されるとしてよい。AHM膜は、基礎層のエッチングを制御するために用いられるとしてよい。AHM膜は、適切なプラズマエッチングアッシング材料を用いて後から剥離されるとしてよい。
【0005】
従来のAHM膜は、エッチングレートを高くすることによってのみ高い透明性(低い減衰係数k)が実現可能である。しかし、エッチングレートが高くなると、エッチング選択性が低くなってしまう。同様に、AHM膜は、エッチングレートが低くなると、エッチング選択性が高くなるが、この場合には引張応力が高くなる傾向がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
このセクションでは、本開示の要約を簡単に説明する。尚、本開示の範囲または特徴を全て網羅しているわけではない。
【0007】
プラズマ化学気相成長チャンバ内に基板を配置する段階と、炭素系の第1のアッシング可能ハードマスク(AHM)層を基板上に成膜する段階と、第1のAHM層の成膜時に、シリコン、シラン、ホウ素、窒素、ゲルマニウム、炭素、アンモニア、および、二酸化炭素から成る群から選択される少なくとも1つのドーパントでドープを行う段階とを備える成膜方法を開示する。少なくとも1つのドーパントの原子濃度は、第1のAHM層の5%以上である。
【0008】
他の特徴を挙げると、第1のAHM層は、非晶質炭素を含む。当該方法は、プラズマエッチングアッシング材料で第1のAHM層にアッシングを実施する段階をさらに備える。プラズマエッチングアッシング材料は、フッ素を含まない。プラズマエッチングアッシング材料は、フッ素を含む。プラズマエッチングアッシング材料は、酸素および窒素を含む。プラズマエッチングアッシング材料は、水素、アンモニアおよび窒素を含む。
【0009】
他の特徴を挙げると、基板は、誘電体層、ポリ層および導電層のうち1つを含み、誘電体層の上に第2のAHM層が配置されている。第1のAHM層は、基板の第2のAHM層上に成膜されている。第2のAHM層は、ノンドープ層である。少なくとも1つのドーパントの原子濃度は、第1のAHM層および第2のAHM層のうち5%以上70%以下である。第1のAHM層の厚みは、第1のAHM層および第2のAHM層の厚みの合計のうち10%以上90%以下である。
【0010】
プラズマ化学気相成長チャンバ内に基板を配置する段階と、基板上に層を成膜する段階と、層上に第1のアッシング可能ハードマスク(AHM)層を成膜する段階と、炭素系の第2のAHM層を第1のAHM層上に成膜する段階と、第2のAHM層の成膜時に、シリコン、シラン、ホウ素、窒素、ゲルマニウム、炭素、アンモニア、および、二酸化炭素から成る群から選択される少なくとも1つのドーパントでドープを行う段階とを備える成膜方法を開示する。少なくとも1つのドーパントの原子濃度は、第1のAHM層および第2のAHM層の5%以上である。
【0011】
他の特徴としては、層は、ポリ層、誘電体層および導電層のうち1つを含む。第1のAHM層および第2のAHM層は、非晶質炭素を含む。当該方法はさらに、第1のプラズマエッチングアッシング材料で第1のAHM層にアッシングを実施する段階を備える。第1のプラズマエッチングアッシング材料は、フッ素を含んでいない。当該方法はさらに、第2のプラズマエッチングアッシング材料で第2のAHM層にアッシングを実施する段階を備える。第2のプラズマエッチングアッシング材料は、フッ素を含む。
【0012】
他の特徴としては、第1のプラズマエッチングアッシング材料は、酸素および窒素、ならびに、水素、アンモニアおよび窒素のうち一方の組み合わせを含む。少なくとも1つのドーパントの原子濃度は、第1のAHM層および第2のAHM層のうち5%以上70%以下である。第1のAHM層の厚みは、第1のAHM層および第2のAHM層の厚みの合計のうち10%以上90%以下である。
【0013】
プラズマ化学気相成長(PECVD)チャンバと、PECVDチャンバ内に配置されているシャワーヘッドとを備える基板処理システムを開示する。ペデスタルは、基板を支持するべく、PECVDチャンバ内に配置されている。コントローラは、基板上に炭素系の第1のアッシング可能ハードマスク(AHM)層を成膜するための命令と、第1のAHM層の成膜時に、シリコン、シラン、ホウ素、窒素、ゲルマニウム、炭素、アンモニア、および、二酸化炭素から成る群から選択される少なくとも1つのドーパントでドープを行うための命令とを有している。少なくとも1つのドーパントの原子濃度は、第1のAHM層の5%以上である。
【0014】
他の特徴を挙げると、第1のAHM層は、非晶質炭素を含む。コントローラはさらに、フッ素を含むプラズマエッチングアッシング材料で、第1のAHM層にアッシングを実施するための命令を有する。コントローラはさらに、酸素および窒素、ならびに、水素、アンモニアおよび窒素のうち一方と、フッ素とを含むプラズマエッチングアッシング材料で第1のAHM層にアッシングを実施するための命令を有する。
【0015】
他の特徴を挙げると、基板は、誘電体層と、誘電体層上に配置されている第2のAHM層とを含む。第1のAHM層は、基板の第2のAHM層上に成膜されている。第2のAHM層は、ノンドープ層である。少なくとも1つのドーパントの原子濃度は、第1のAHM層および第2のAHM層のうち5%以上70%以下である。第1のAHM層の厚みは、第1のAHM層および第2のAHM層の厚みの合計のうち10%以上90%以下である。
【0016】
本明細書に記載する説明から他の適用可能性も明らかとなる。この「発明の概要」に記載した説明および具体例は、例示を目的とするのみであって、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下の詳細な説明および添付図面を参照しつつ本開示をより深く理解されたい。添付図面は以下の通りである。
【0018】
【図1A】本開示に係るドープAHM層を1以上備える基板を示す図である。
【図1B】本開示に係るドープAHM層を1以上備える基板を示す図である。
【図1C】本開示に係るドープAHM層を1以上備える基板を示す図である。
【0019】
【図2】図1Aの基板を製造する方法の一例を示す図である。
【0020】
【図3A】本開示に係るドープAHM層を1以上備える基板を示す図である。
【図3B】本開示に係るドープAHM層を1以上備える基板を示す図である。
【0021】
【図4】図3Aの基板を製造する方法の一例を示す図である。
【0022】
【図5】ドープAHM層およびノンドープAHM層について、剥離処理時間の関数としてAHMの厚みを示すグラフである。
【0023】
【図6A】ドープAHM膜を備える基板の処理を示す図である。
【図6B】ドープAHM膜を備える基板の処理を示す図である。
【図6C】ドープAHM膜を備える基板の処理を示す図である。
【図6D】ドープAHM膜を備える基板の処理を示す図である。
【図6E】ドープAHM膜を備える基板の処理を示す図である。
【図6F】ドープAHM膜を備える基板の処理を示す図である。
【0024】
【図7】基板処理チャンバの一例を示す図である。
【0025】
【図8】処理チャンバ用の制御システムを示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に記載する説明は、本質的に一例に過ぎず、開示内容、その応用または利用を制限するものではない。分かりやすく説明することを目的として、複数の図面にわたって同様の構成要素を特定する際に同じ参照番号を用いる。本明細書で用いる場合、「A、BおよびCのうち少なくとも1つ」という表現は、非排他的論理和を用いて(A or B or C)の論理演算を意味するものと解釈されたい。方法を構成するステップは、本開示の原則を変更することなく、さまざまな順序で実行され得ると理解されたい。
【0027】
本開示に係る炭素系のアッシング可能ハードマスク(AHM)膜は、シリコン(Si)、シラン(SiH)、ホウ素(B)、窒素(N)、ゲルマニウム(Ge)、炭素(C)、アンモニア(NH)、二酸化炭素(CO)、および、これらの組み合わせから成る群から選択される1以上のドーパントでドープすることによって形成される。AHM膜をドープすることによって、到達すべきエッチングレートを低くすることができる。エッチングレートが低くなると、エッチング選択性が高くなる。
【0028】
本明細書で説明するドープAHM膜はさらに、従来のAHM膜に比べて、透明性が高く、応力が小さい傾向がある。ドープAHM膜はさらに、アッシングが可能であり、フッ素を含むプラズマエッチングアッシング材料で容易に剥離することができる。これについては以下で詳細に説明する。また、ドープAHM膜は、通常のプラズマエッチングアッシング材料に対して選択性を持つ。
【0029】
図1Aから図1Cおよび図2を参照すると、1以上のAHM層を備える基板の例が図示されている。図1Aでは、ドープAHM層10が基板20上に成膜されている。基板20の外側層は、誘電体層、ポリシリコン(ポリ)層、導電層、または、その他のドープAHM層あるいはノンドープAHM層を含むとしてよい。ドープAHM層10は、PECVD法で成膜されるとしてよいが、他の種類の方法を利用するとしてもよい。
【0030】
1以上の層を追加で成膜するとしてもよい。一例に過ぎないが、図1Bでは、ノンドープAHM層24がドープAHM層10上に成膜されているとしてよい。当該基板は、ハードマスクとして反射防止層(ARL)を用いてノンドープAHM層24に開口を形成して、フッ素系プラズマエッチングアッシング材料または別の適切な材料を用いてドープAHM層10にアッシングを実施する公知の技術に関して利点を持つ。
【0031】
これに代えて図1Cでは、ノンドープAHM層24は、ドープAHM層10上に成膜するとしてよく、ドープAHM層28はノンドープAHM層24上に成膜するとしてよい。
【0032】
想到し得るであろうが、他にもさまざまな層の構成が可能である。例えば、フォトレジスト層、反射防止層、および、その他の種類の層も利用するとしてよい。さらに他の変形も考えられる。
【0033】
図2では、AHMを成膜する方法の一例を図示している。50において、ドープAHM層10を基板20上に成膜する。ドーパントの原子濃度は、5%以上である。他の例を挙げると、ドーパントの原子濃度は、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上または10%以上である。一部の例を挙げると、ドーパントの原子濃度は、最高で25%、50%、70%またはこれより高くてもよい。一部の例を挙げると、ドープレベルは、チャンバに供給される他の前駆体に対するドーパントの分圧によって制御されるとしてよい。52において、1以上の任意の処理工程を実行する。54において、AHM層に対して、任意の適切な方法を用いてアッシングを実行する。
【0034】
一部の例を挙げると、フッ素を含まないプラズマエッチングアッシング材料を用いて、AHM層にアッシングを実行する。例えば、プラズマエッチングアッシング材料は、酸素および/または窒素を含むとしてよい。これに代えて、プラズマエッチングアッシング材料は、水素、アンモニアおよび/または窒素を含むとしてよい。他の例を挙げると、プラズマエッチングアッシング材料はさらに、フッ素を含む。例えば、酸素および窒素の組み合わせにフッ素を追加するとしてもよいし、または、水素、アンモニアおよび窒素の組み合わせに追加するとしてもよい。例えば、1.7%のCFをプラズマエッチングアッシング材料に追加するとしてよいが、他の前駆体および/または濃度を利用するとしてもよい。
【0035】
以下では図3A、図3Bおよび図4を参照すると、ドープAHM層の別の例が図示されている。図3Aでは、ドープAHM層80が、ドープされていない、または、ドープレベルが低い別のAHM層84上に成膜される。本明細書で用いる場合、AHM膜のドープレベルが低い、という表現は、ドーピング濃度が4%未満であることを意味する(濃度単位は原子濃度である)。ドーピング濃度が4%未満であるAHM膜は大抵の場合、フッ素を含まないプラズマエッチングアッシング材料を用いて、完全に、または、略全てアッシングで除去される。ノンドープAHM層84を基板88上に成膜する。基板88の外側層は、誘電体層を含むとしてよい。ドープAHM層80は、PECVD法によって成膜するとしてよいが、他の方法を利用するとしてもよい。
【0036】
1以上の層をさらに成膜するとしてよい。一例に過ぎないが、図3Bに示すように、ノンドープAHM層90をドープAHM層80上に成膜するとしてよい。
【0037】
想到し得るように、他にもさまざまな層の構成が可能である。例えば、フォトレジスト、反射防止層およびその他の種類の層も利用するとしてよい。さらに別の変更も考えられる。
【0038】
図4において、AHM層を成膜する方法の一例を図示している。100において、第1のAHM層を基板上に成膜する。第1のAHM層は、ドープされていない層またはドープ濃度が低い層である。104において、第2のAHM層を成膜する。第2のAHM層は、5%以上の濃度にドープされている(濃度単位は原子濃度)。他の例を挙げると、ドーパントの原子濃度は、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上または10%以上である。これに代えて、第2のAHM層は、第1のAHM層および第2のAHM層の組み合わせについて、濃度が5%以上になるように、ドープされている。一部の例を挙げると、ドーパントの原子濃度は、最高で25%、50%、70%またはこれより高くてもよい。
【0039】
一例に過ぎないが、第1の層はドープ濃度が0%で厚み(第1の厚み)が第1の層および第2の層の合計の厚みの半分に等しい場合、総合ドープ濃度を5%から25%とするためには、第2の層のドープ濃度を10%以上50%以下とする(濃度単位は原子濃度)。ノンドープAHM層または低ドープ濃度AHM層と組み合わせて用いる場合、ドープAHM層は、合計の厚みの10%から90%を占めるとしてよく、ノンドープAHM層または低ドープ濃度AHM層は、合計の厚みの90%から10%を占めるとしてよい。一部の例では二層構造を開示しているが、用途によってはさらに層を追加するとしてもよい。例えば、ノンドープAHM層を2つのノンドープAHM層の間に挟持するとしてもよい。
【0040】
108において、1以上の層を追加で第2の層上に任意で成膜する。112において、追加で成膜された1以上の層に任意でエッチングを実施する。118において、第2の層にエッチングを実施する。一部の例によると、フッ素を含まないプラズマエッチングアッシング材料を用いて第2の層にアッシングを実施する。他の例を挙げると、後述するように、フッ素を含むプラズマエッチングアッシング材料を用いるとしてよい。
【0041】
上記において、通常の動作パラメータおよび動作条件を表1、表2および表3に記載する。具体例を開示しているが、他の条件およびパラメータを利用するとしてもよい。
【表1】

【表2】

【表3】

【0042】
以下で図5を参照すると、実線は、フッ素を含まないプラズマエッチングアッシング材料を用いてアッシング可能なAHM膜の例を示す。点線は、フッ素を含むプラズマエッチングアッシング材料を用いてアッシング可能なAHM膜の例を示す。ノンドープAHM層のエッチングを150に示す。図示されているように、ノンドープAHM層は、エッチングレートが非常に高く、選択性が比較的低い。第2のドープAHM層(シリコンでドープ)のエッチングは、フッ素を含まないプラズマエッチングアッシング材料を用いた場合を160で示し、フッ素を含むプラズマエッチングアッシング材料を用いた場合を164で示す。当該膜は、エッチングレートが比較的低く、選択性が比較的高い。図示されているように、160に示すフッ素を含まないプラズマエッチングアッシング材料を用いたドープAHM層のエッチングでは、AHM層は完全には剥離されない(約50−60オングストロームでエッチングは停止)。これとは対照的に、164に示すフッ素を含むプラズマエッチングアッシング材料を用いたAHM層のエッチングでは、はるかに多くのAHM層が剥離される。
【0043】
第3のドープAHM層(シリコンでドープ)のエッチングは、フッ素を含まないプラズマエッチングアッシング材料を用いた場合を170に示し、フッ素を含むプラズマエッチングアッシング材料を用いた場合を174に示す。第3のドープ膜は、シランを含む。図から分かるように、170に示すようにフッ素を含まないプラズマエッチングアッシング材料を用いてドープAHM層をエッチングしても、AHM層は完全には剥離されない(エッチングは約1100−1200オングストロームで停止)。これとは対照的に、174に示すようにフッ素を含むプラズマエッチングアッシング材料を用いてAHM層をエッチングすると、はるかに多くのAHM層が剥離される。第3のAHM層でも、エッチング選択性がさらに改善していることが分かる。
【0044】
以下で図6Aから図6Fを参照すると、基板200の誘電体層204のエッチング処理の一例が図示されている。図6Aでは、ドープされていない、または、ドープ濃度が低い第1のAHM層208が誘電体層204上に成膜される。第1のAHM層208上に、本明細書で説明するドープされた第2のAHM層212が成膜される。第2のAHM層212上に、反射防止層(ARL)216が成膜される。ARL216上に、底部反射防止コーティング(BARC)層220が成膜される。BARC層220上に、フォトレジスト層224が成膜される。図6B−図6Cでは、フォトリソグラフィーパターニングおよび開口エッチング等の1以上の処理工程を実施した後の基板を図示している。図6Dでは、パターニング後にAHM層212´および層206´が残っている様子が図示されている。
【0045】
ドープAHM層212´は、誘電体層204をエッチングする際に、補助的なマスク材料となる。残ったドープAHM層212´により、誘電体層204に対して、高いエッチング選択性が実現される。さらに、ドープAHM層212は、減数係数および応力が小さい。また、ドープAHM層212は、化学機械研磨を利用せずとも、誘電体エッチング処理時に除去される。図6E−図6Fにおいて、誘電体層204のエッチングが完了し、第1のAHM層208´が完全に除去されている。想到するであろうが、ドープAHM層を利用することによって、フォトレジストで通常可能になるよりも深いフィーチャをエッチングで形成することが可能になる。
【0046】
以下で図7を参照すると、ドープされているアッシング可能ハードマスク膜は、任意の適切な基板処理チャンバ内で成膜されるとしてよい。一例に過ぎないが、図7にリアクタ300を図示する。リアクタ300は、プラズマ化学気相成長(PECVD)法を実施する。PECVDシステムは、さまざまな形態をとり得る。PECVDシステムは通常、1以上の基板を収納し、基板処理に適しているチャンバまたは「リアクタ」(複数のステーションを含む場合もある)を1以上備える。各チャンバは、処理対象の基板を1以上収納するとしてよい。一部の例では、基板は半導体ウェハであってよい。
【0047】
1以上のチャンバは、基板を1以上の所定位置で保持する(一の位置では動き、例えば、回転、振動、その他の攪拌を加えるとしてもよいし、静止させておくとしてもよい)。成膜を行う基板は、処理中、一のリアクタチャンバ内のステーション間で輸送されるとしてよい。膜の成膜は、一のステーションで全て行われるとしてもよいし、膜の一部分については任意の数のステーションで成膜を行うとしてもよい。各基板は、処理中、ペデスタル、基板チャックおよび/または他の基板保持装置によって所定位置に保持される。特定の処理の場合、当該装置には、基板を加熱するための、加熱板等の加熱部が含まれるとしてよい。
【0048】
例えば、図7に示すリアクタ300は、リアクタの他の構成要素を内部に収容し、プラズマを閉じ込める処理チャンバ324を備える。プラズマは、接地されているヒータブロック320と協働するシャワーヘッド314を含むキャパシタ型システムによって生成されるとしてよい。整合ネットワーク306に接続されている高周波RF生成器302および低周波RF生成器304が、シャワーヘッド314に接続されている。整合ネットワーク306が供給する電力および周波数は、処理ガスからプラズマを生成するのに十分なレベルにある。
【0049】
リアクタ内では、基板ペデスタル318が基板316を支持している。ペデスタル318は通常、成膜反応および/またはプラズマ処理反応の実行中および各反応の間において基板を保持および輸送するべく、チャック、フォーク、または、リフトピンを有する。チャックは、静電チャック、機械チャック、または、その他のさまざまな種類のチャックであってよい。
【0050】
処理ガスは、吸気口312から導入される。複数のソースガスライン310がマニホルド308に接続されている。処理ガスは、事前に混合しているとしてもよいし、混合していないとしてもよい。適切なバルブ機構および質量流量制御機構を利用して、処理の成膜段階およびプラズマ処理段階において正しくガスを供給するようにする。
【0051】
処理ガスは、排気口322を通ってチャンバ324から出て行く。真空ポンプ326(例えば、一段階型または二段階型の機械乾式ポンプおよび/またはターボ分子ポンプ)は、処理ガスを引き出して、閉ループ制御流量制限デバイス、例えば、スロットルバルブまたは振り子式バルブによってリアクタ内を適切な低圧に維持する。
【0052】
成膜が終わる毎および/または成膜後のプラズマアニーリング処理が終わる毎に、必要な成膜および処理が全て完了するまで、基板にインデックスを付与することが可能である。または、複数の成膜および処理を、基板にインデックスを付与する前に、一のステーションで実行することができる。
【0053】
以下では図8を参照すると、図7のシステムを制御する制御モジュール400を図示している。制御モジュール400は、プロセッサ、メモリ、および、1以上のインターフェースを備えるとしてよい。制御モジュール400は、感知した値に部分的に基づいて、システム内のデバイスを制御するために用いられるとしてよい。一例に過ぎないが、制御モジュール400は、感知した値およびその他の制御パラメータに基づき、バルブ402、フィルタヒータ404、ポンプ406、および、その他のデバイス408のうち1以上を制御するとしてよい。制御モジュール400は、一例に過ぎないが、圧力計410、流量計412、温度センサ414、および/または、その他のセンサ416から、感知した値を受信する。制御モジュール400はさらに、前駆体の供給時および膜の成膜時の処理条件を制御するべく利用されるとしてよい。制御モジュール400は通常、1以上のメモリデバイスおよび1以上のプロセッサを有する。
【0054】
制御モジュール400は、前駆体供給システムおよび成膜装置の動作を制御するとしてよい。制御モジュール400は、処理タイミング、供給システム温度、フィルタ間の圧力の相違、バルブ位置、ガスの混合、チャンバ内圧力、チャンバ温度、基板温度、RF電力レベル、基板チャックまたはペデスタルの位置、および、特定処理の他のパラメータを制御する命令群を含むコンピュータプログラムを実行する。制御モジュール400はさらに、圧力の相違をモニタリングして、1以上の経路から1以上の別の経路への気体状の前駆体の供給を自動的に切り替えるとしてよい。一部の実施形態では、制御モジュール400に対応付けられているメモリデバイスに格納されている他のコンピュータプログラムを利用するとしてもよい。
【0055】
通常、制御モジュール400に対応付けられているユーザインターフェースが設けられている。ユーザインターフェースは、ディスプレイ418(例えば、装置および/または処理条件の表示スクリーンおよび/またはグラフィックソフトウェアディスプレイ)、および、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォン等のユーザ入力デバイス420を有しているとしてよい。
【0056】
一連の処理に含まれる前駆体の供給、成膜処理および他の処理を制御するためのコンピュータプログラムを、任意の従来のコンピュータが読み取り可能なプログラミング言語で記述するとしてよい。コンパイル型オブジェクトコードまたはスクリプトをプロセッサによって実行すると、プログラムで特定されているタスクが実行される。
【0057】
制御モジュールのパラメータは、例えば、フィルタ圧力の相違、処理ガスの組成、および、流量、温度、圧力、RF電力レベルおよび低周波RF周波数等のプラズマ条件、冷却ガス圧、および、チャンバ壁温度等の処理条件に関連して決まる。
【0058】
システムソフトウェアは、さまざまなやり方で設計または構成するとしてよい。例えば、さまざまなチャンバ構成要素用のサブルーチンまたは制御オブジェクトを、本発明に係る成膜処理を実行するために必要なチャンバ構成要素の処理を制御するべく記述するとしてよい。この目的を実現するためのプログラムまたはプログラムの一部分の例としては、基板位置決めコード、処理ガス制御コード、圧力制御コード、ヒータ制御コード、および、プラズマ制御コードを含む。
【0059】
基板位置決めプログラムは、基板をペデスタルまたはチャックにロードするため、および、吸気口および/またはターゲット等のチャンバの他の部分と基板との間の間隙を制御するために用いられるチャンバ構成要素を制御するためのプログラムコードを含むとしてよい。処理ガス制御プログラムは、ガス組成および流量を制御するためのコード、および、任意で、チャンバ内の圧力を安定化させるべく成膜前にチャンバにガスを導入するためのコードを含むとしてよい。フィルタ監視プログラムは、測定された差分を所定値と比較するコードおよび/または経路を切り換えるコードを含む。圧力制御プログラムは、例えば、チャンバの排気システムのスロットルバルブを制御することによって、チャンバ内の圧力を制御するためのコードを含むとしてよい。ヒータ制御プログラムは、前駆体供給システム、基板、および/または、システムの他の部分の構成要素を加熱するための加熱部に対する電流を制御するためのコードを含むとしてよい。これに代えて、ヒータ制御プログラムは、基板チャックに対するヘリウム等の熱伝達ガスの供給を制御するとしてもよい。
【0060】
成膜時に監視されるセンサの例としては、これらに限定されないが、質量流量制御モジュール、圧力計410等の圧力センサ、および、供給システム、ペデスタルまたはチャック(例えば、温度センサ414)に配置されているサーモカップルが含まれる。これらのセンサから得られるデータと共に、適切にプログラミングされたフィードバックアルゴリズムおよび制御アルゴリズムを用いて所望の処理条件を維持するとしてよい。上記の説明では、単一チャンバ型またはマルチチャンバ型の半導体処理ツールにおいて本発明の実施形態を実施する方法を説明した。
【0061】
本開示の教示内容は、幅広く、さまざまな形態で実施することができる。このため、本開示は具体例を含んでいるが、図面、明細書および請求項を参照することによってその他の変形例も明らかになるので、本開示の真の範囲は具体例に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ化学気相成長チャンバ内に基板を配置する段階と、
炭素系の第1のアッシング可能ハードマスク(AHM)層を前記基板上に成膜する段階と、
前記第1のAHM層の成膜時に、シリコン、シラン、ホウ素、窒素、ゲルマニウム、炭素、アンモニア、および、二酸化炭素から成る群から選択される少なくとも1つのドーパントでドープを行う段階と
を備え、
前記少なくとも1つのドーパントの原子濃度は、前記第1のAHM層の5%以上である
成膜方法。
【請求項2】
前記第1のAHM層は、非晶質炭素を含む請求項1に記載の成膜方法。
【請求項3】
プラズマエッチングアッシング材料で前記第1のAHM層にアッシングを実施する段階をさらに備える請求項1に記載の成膜方法。
【請求項4】
前記プラズマエッチングアッシング材料は、フッ素を含まない請求項3に記載の成膜方法。
【請求項5】
前記プラズマエッチングアッシング材料は、フッ素を含む請求項3に記載の成膜方法。
【請求項6】
前記プラズマエッチングアッシング材料は、酸素および窒素を含む請求項3に記載の成膜方法。
【請求項7】
前記プラズマエッチングアッシング材料は、水素、アンモニアおよび窒素を含む請求項3に記載の成膜方法。
【請求項8】
前記基板は、
誘電体層、ポリ層および導電層のうち1つを含む層と、
前記層の上に配置されている第2のAHM層と
を有する請求項1に記載の成膜方法。
【請求項9】
前記第1のAHM層は、前記基板の前記第2のAHM層上に成膜されている請求項8に記載の成膜方法。
【請求項10】
前記第2のAHM層は、ノンドープ層である請求項8に記載の成膜方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのドーパントの前記原子濃度は、前記第1のAHM層および前記第2のAHM層のうち5%以上70%以下である請求項8に記載の成膜方法。
【請求項12】
前記第1のAHM層の厚みは、前記第1のAHM層および前記第2のAHM層の厚みの合計のうち10%以上90%以下である請求項8に記載の成膜方法。
【請求項13】
前記第1のAHM層上に第2のAHM層を成膜する段階をさらに備え、
前記第2のAHM層は、ノンドープ層である請求項1に記載の成膜方法。
【請求項14】
前記第2のAHM層上に第3のAHM層を成膜する段階をさらに備え、
前記第3のAHM層は、シリコン、シラン、ホウ素、窒素、ゲルマニウム、炭素、アンモニア、および、二酸化炭素から成る群から選択される少なくとも1つのドーパントでドープされており、前記少なくとも1つのドーパントの原子濃度は、前記第1のAHM層のうち5%以上である請求項13に記載の成膜方法。
【請求項15】
プラズマ化学気相成長チャンバ内に基板を配置する段階と、
前記基板上に層を成膜する段階と、
前記層上に第1のアッシング可能ハードマスク(AHM)層を成膜する段階と、
炭素系の第2のAHM層を前記第1のAHM層上に成膜する段階と、
前記第2のAHM層の成膜時に、シリコン、シラン、ホウ素、窒素、ゲルマニウム、炭素、アンモニア、および、二酸化炭素から成る群から選択される少なくとも1つのドーパントでドープを行う段階と
を備え、
前記少なくとも1つのドーパントの原子濃度は、前記第1のAHM層および前記第2のAHM層の5%以上である成膜方法。
【請求項16】
前記層は、ポリ層、誘電体層および導電層のうち1つを含む請求項15に記載の成膜方法。
【請求項17】
前記第1のAHM層および前記第2のAHM層は、非晶質炭素を含む請求項16に記載の成膜方法。
【請求項18】
第1のプラズマエッチングアッシング材料で前記第1のAHM層にアッシングを実施する段階と、
第2のプラズマエッチングアッシング材料で前記第2のAHM層にアッシングを実施する段階と
をさらに備え、
前記第1のプラズマエッチングアッシング材料は、フッ素を含んでおらず、
前記第2のプラズマエッチングアッシング材料は、フッ素を含む請求項15に記載の成膜方法。
【請求項19】
前記第1のプラズマエッチングアッシング材料は、
酸素および窒素、ならびに、
水素、アンモニアおよび窒素
のうち一方の組み合わせを含む請求項18に記載の成膜方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのドーパントの前記原子濃度は、前記第1のAHM層および前記第2のAHM層のうち5%以上70%以下である請求項15に記載の成膜方法。
【請求項21】
前記第1のAHM層の厚みは、前記第1のAHM層および前記第2のAHM層の厚みの合計のうち10%以上90%以下である請求項15に記載の成膜方法。
【請求項22】
前記第2のAHM層上に第3のAHM層を成膜する段階をさらに備え、
前記第3のAHM層は、ノンドープ層である請求項15に記載の成膜方法。
【請求項23】
プラズマ化学気相成長(PECVD)チャンバと、
前記PECVDチャンバ内に配置されているシャワーヘッドと、
基板を支持するべく、前記PECVDチャンバ内に配置されているペデスタルと、
コントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記基板上に第1のアッシング可能ハードマスク(AHM)層を成膜するための命令と、
前記第1のAHM層の成膜時に、シリコン、シラン、ホウ素、窒素、ゲルマニウム、炭素、アンモニア、および、二酸化炭素から成る群から選択される少なくとも1つのドーパントでドープを行うための命令と
を有しており、
前記少なくとも1つのドーパントの原子濃度は、前記第1のAHM層の5%以上である基板処理システム。
【請求項24】
前記第1のAHM層は、非晶質炭素を含む請求項23に記載の基板処理システム。
【請求項25】
前記コントローラはさらに、フッ素を含むプラズマエッチングアッシング材料で、前記第1のAHM層にアッシングを実施するための命令を有する請求項23に記載の基板処理システム。
【請求項26】
前記コントローラはさらに、
酸素および窒素、ならびに、
水素、アンモニアおよび窒素
のうち一方と、
フッ素と
を含むプラズマエッチングアッシング材料で前記第1のAHM層にアッシングを実施するための命令を有する請求項23に記載の基板処理システム。
【請求項27】
前記基板は、
層と、
前記層上に配置されている第2のAHM層と
を含む請求項23に記載の基板処理システム。
【請求項28】
前記層は、誘電体層、ポリ層および導電層のうち1つを含む請求項27に記載の基板処理システム。
【請求項29】
前記第1のAHM層は、前記基板の前記第2のAHM層上に成膜されている請求項27に記載の基板処理システム。
【請求項30】
前記第2のAHM層は、ノンドープ層である請求項27に記載の基板処理システム。
【請求項31】
前記少なくとも1つのドーパントの前記原子濃度は、前記第1のAHM層および前記第2のAHM層のうち5%以上25%以下である請求項27に記載の基板処理システム。
【請求項32】
前記第1のAHM層の厚みは、前記第1のAHM層および前記第2のAHM層の厚みの合計のうち10%以上90%以下である請求項27に記載の基板処理システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−238846(P2012−238846A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−90201(P2012−90201)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(501080848)ノベルス・システムズ・インコーポレーテッド (20)
【氏名又は名称原語表記】NOVELLUS SYSTEMS, INCORPORATED
【Fターム(参考)】