説明

吸音体およびこれを用いた移動体

【課題】移動体の周囲の騒音を効果的に吸収し、かつ一連の耐環境性能を具備した移動体を提供する。
【解決手段】移動体を構成するボディー1の外側面11には、パネル状の吸音体2が取り付けられている。
吸音体2は、シリコーンゴムから成る皮膜31、皮膜31の前面側(トンネルの壁面等と対向する側)に積層される第1の多孔質体層32および皮膜31の背面側(移動体のボディーと対向する側)に積層される第2の多孔質体層33を有する積層体3と、積層体3の外表面を覆う防水層4と、防水層4の前面側に積層体3と平行に配設される板状の補強層5と、必要に応じて第1の多孔質体層32の前面側と防水層4間に積層体3と平行に配設される板状の防炎層6と、必要に応じて補強層5と防水層4間に積層体3と平行に配設される板状の保護層7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音体およびこれを用いた移動体に係り、特に、車両等の高速で移動する移動体に騒音低減機能を搭載した移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両等の高速で移動する移動体においては、移動体の車室内の静粛性を向上させる観点から、移動体のエンジンルームと車室とを区画するダッシュパネルの車室内側面に吸音材を取り付けることが行なわれている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、上記の吸音材としては、ゴムシート等の遮音材の背面にフェルト、ポリウレタンフォーム等の多孔質基材を積層したものが使用されている。
【0004】
しかしながら、このような構成の騒音低減機能を搭載した移動体においては、トンネル内を走行する際の反響音を効率よく吸収することができないという難点があった。すなわち、単にダッシュパネルの車室内側面に吸音材を取り付けた構成では、走行時に発生するトンネルの壁面からの反響音を吸収することができないため、当該反響音が移動体の室内に到達するおそれがあった。また、単に、ゴムシート等の遮音材の背面にフェルト、ポリウレタンフォーム等の多孔質基材を積層した吸音材においては、500[Hz]以下の中〜低周波領域の吸音特性が劣るという難点があった。
【0005】
このため、車両などの高速で移動する移動体の外側面に吸音材を施工する方法も案出されているが、単に移動体の外側面に上記のような吸音材を施工した構成では、次のように耐環境性能が不十分になるという難点があった。
【0006】
第1に、吸音材として、フェルトやポリウレタンフォーム等を使用した場合には、露出したフェルトやポリウレタンフォーム等が水等で濡れると吸音特性、特に低周波領域における吸音特性が低下するという難点があった。
【0007】
第2に、従来の吸音材では、トンネル内等で対向車とすれ違う際の気圧の影響により、吸音材が容易に脆弱化して吸音特性が低下する上、吸音材が容易に破損し、損傷するおそれがあった。
【0008】
第3に、従来の吸音材では、防炎性が劣ることから、吸音材の表面への着火により発煙し、火炎が伝播するおそれがあった。
【0009】
第4に、従来の吸音材では、耐寒性や耐熱性が劣ることから、移動体が寒冷地や酷暑地を走行することで、吸音特性が大幅に低下するおそれがあった。
【0010】
【特許文献1】実開平7−5966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、高速で移動する車両等の移動体の周囲の騒音を効果的に吸収し得るものであって、耐水性、防炎性、耐圧性および通気性等の一連の耐環境性能を具備した吸音体およびこれを用いた移動体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様である吸音体は、シリコーンゴムまたはアクリル樹脂から成る皮膜、皮膜の前面側に積層される第1の多孔質体層および皮膜の背面側に積層される第2の多孔質体層を有する積層体と、積層体の外表面を覆う防水層と、防水層の前面側に積層体と平行に配設される板状の補強層とを備えるものである。
【0013】
本発明の第2の態様である吸音体は、シリコーンゴムまたはアクリル樹脂から成る皮膜、皮膜の前面側に積層される第1の多孔質体層および皮膜の背面側に積層される第2の多孔質体層を有する積層体と、積層体の外表面を覆う防水層と、防水層の前面側に積層体と平行に配設される板状の補強層とを備え、第1の多孔質体層の前面側と防水層間には板状の防炎層が積層体と平行に配設されているものである。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様である吸音体において、補強層と防水層間には板状の保護層が積層体と平行に配設されているものである。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様の何れかの態様である吸音体において、防水層の背面側には板状の緩衝層が積層体と平行に配設されているものである。
【0016】
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様の何れかの態様である吸音体において、皮膜は、無機化合物および/または炭素繊維を含むものである。
【0017】
本発明の第6の態様は、第5の態様である吸音体において、無機化合物は、Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物またはSi、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物の混合物から成るものである。
【0018】
本発明の第7の態様は、第5の態様である吸音体において、炭素繊維は、繊維径が10〜30μm、長さの平均値が0.3〜2mm、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部とされているものである。
【0019】
本発明の第8の態様は、第1の態様乃至第7の態様の何れかの態様である吸音体において、皮膜の燃焼発熱量は、8MJ/m以下とされているものである。
【0020】
本発明の第9の態様は、第1の態様乃至第7の態様の何れかの態様である吸音体において、皮膜の燃焼発熱速度は、[200kW/m]・10sec以下とされているものである。
【0021】
本発明の第10の態様は、第1の態様乃至第9の態様の何れかの態様である吸音体において、第1の多孔質体層および/または第2の多孔質体層は、ポリエチレンテレフタレートフェルト、発泡ポリエチレン、発泡ウレタンの何れかまたはこれらの混合物から成るものである。
【0022】
本発明の第11の態様は、第1の態様乃至第10の態様の何れかの態様である吸音体において、防水層は、不燃性でかつ耐水性を有するもので形成されているものである。
【0023】
本発明の第12の態様は、第1の態様乃至第10の態様の何れかの態様である吸音体において、防水層は、金属箔または金属クラフト紙で形成されているものである。
【0024】
本発明の第13の態様は、第1の態様、第3の態様乃至第10の態様の何れかの態様である吸音体において、防水層の前面側は、防水性および防炎性を有するもので形成されているものである。
【0025】
本発明の第14の態様は、第1の態様乃至第10の態様の何れかの態様である吸音体において、防水層の前面側は、アルミニウム系ガラスクロスで形成されているものである。
【0026】
本発明の第15の態様は、第1の態様乃至第14の態様の何れかの態様である吸音体において、防水層の背面側に通気部が設けられているものである。
【0027】
本発明の第16の態様は、第1の態様乃至第15の態様の何れかの態様である吸音体において、通気部は、防水層の内面側から防水層の外面側に向かって空気が通過し、かつ防水層の外面側から防水層の内面側に向かって水分が通過しないもので形成されているものである。
【0028】
本発明の第17の態様は、第15の態様である吸音体において、通気部は、撥水性ガラスクロスまたはゴアテックス(登録商標)で形成されているものである。
【0029】
本発明の第18の態様は、第1の態様乃至第17の態様の何れかの態様である吸音体において、補強層は、積層体を保護し、かつ音を透過させる性質を有するもので形成されているものである。
【0030】
本発明の第19の態様は、第1の態様乃至第17の態様の何れかの態様である吸音体において、補強層は、多数の開口を有する金属製の板状体で形成されているものである。
【0031】
本発明の第20の態様は、第1の態様乃至第17の態様の何れかの態様である吸音体において、補強層は、パンチングメタルまたはエキスパンドメタルで形成されているものである。
【0032】
本発明の第21の態様は、第19の態様である吸音体において、板状体の開口率は、40〜70%とされているものである。
【0033】
本発明の第22の態様は、第2の態様乃至第21の態様の何れかの態様である吸音体において、防炎層は、ガラスクロスで形成されているものである。
【0034】
本発明の第23の態様は、第3の態様乃至第22の態様の何れかの態様である吸音体において、保護層は、金属板に多数個の微細穿孔を設けて成る微細穿孔板、金属製不織布若しくは板状の金属多孔質体の何れかまたはこれらを組み合わせたもので形成されているものである。
【0035】
本発明の第24の態様は、第4の態様乃至第23の態様の何れかの態様である吸音体において、緩衝層は、その弾性率が第1の多孔質体層または第2の多孔質体層よりも小さいもので形成されているものである。
【0036】
本発明の第25の態様である移動体は、第1の態様乃至第24の態様の何れかの態様の吸音体を備え、吸音体は、移動体のボディーの外側面に吸音体を構成する補強層を外側に向けてボディーの外側面と平行に配設されているものである。
【0037】
本発明の第26の態様である移動体は、第1の態様乃至第24の態様の何れかの態様である吸音体を備え、当該吸音体は、前面側に開口部を有する金属製のケースに吸音体を構成する補強層を外側に向けて収納され、当該ケースは、移動体のボディーの外側面に補強層を外側に向けてボディーの外側面と平行に配設されているものである。
【0038】
本発明の第27の態様は、第25の態様または第26の態様である移動体において、移動体のボディーの外側面に凹陥部が設けられ、凹陥部に吸音体または金属製のケースが配設されているものである。
【発明の効果】
【0039】
本発明の第1の態様乃至第27の態様の吸音体およびこれを用いた移動体によれば、移動体のボディーの外側面に、シリコーンゴムまたはアクリル樹脂から成る皮膜、皮膜の前面側に積層される第1の多孔質体層および皮膜の背面側に積層される第2の多孔質体層から成る積層体を配設することで、高速で移動する車両等の移動体の周囲の騒音(移動体がトンネル内を走行する際に発生するトンネルの壁面からの反響音や移動体内部の騒音等)を効果的に吸収することができ、また、吸音材としての積層体に防水層や補強層等を設けることで、次のように耐水性、防炎性、耐圧性および通気性等の一連の耐環境性能を具備した吸音体およびこれを用いた移動体を提供することができる。
【0040】
第1に、吸音材としての積層体の外表面に防水層を設けることで、積層体を構成する多孔質体層が水等で濡れるおそれがなくなり、ひいては安定した吸音特性を有する吸音体およびこれを用いた移動体を提供することができる。
【0041】
第2に、吸音材としての積層体を構成する皮膜や第1、第2の多孔質体層を難燃性を有する材料で形成することで、車両用材料難燃試験に合格し得る移動体を提供することができ、また、積層体の前面側に防炎層を配設し、若しくは防水層の前面側を防水性および防炎性を有する材料で形成することで、吸音材への着火時の発煙性、火炎伝播性が極めて小さくなり、難燃性に優れた吸音体およびこれを用いた移動体を提供することができる。
【0042】
第3に、吸音材としての積層体を構成する皮膜の両側に多孔質体層を配設することで、トンネル内等で対向車がすれ違う際に生じる気圧の影響を当該多孔質体層で吸収させることができ、ひいては安定した吸音特性を有する吸音体およびこれを用いた移動体を提供することができる。
【0043】
第4に、吸音材としての積層体を覆う防水層の背面側に通気部を設けることで、トンネル内等で対向車がすれ違う際に防水層内の圧力が上昇するところ、当該圧力の上昇が通気部で吸収され、ひいては防水層が破裂し、破損する等のおそれのない吸音体およびこれを用いた移動体を提供することができる。
【0044】
第5に、吸音体を全体として−20〜60℃の温度範囲に耐える材料で形成することで、移動体が寒冷地や酷暑地を通過しても安定した吸音特性を有する吸音体およびこれを用いた移動体を提供することができる。
【0045】
第6に、吸音材としての積層体の前面側に補強層や保護層を設けることで、当該積層体が補強層や保護層で機械的に保護され、ひいては吸音材としての積層体が破損し損傷する等のおそれのない吸音体およびこれを用いた移動体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の吸音体およびこの吸音体を用いた移動体の好ましい実施の形態例について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の吸音体を用いた移動体の好ましい実施の形態例を示す説明図、図2は本発明における吸音体の好ましい実施の形態例を示す断面図である。
【0047】
図1において、本発明における移動体、例えば40人乗りのバス等の高速で移動する移動体はボディー1を備えており、当該ボディーの外側面11に設けられた窓部12の下方部位には、例えば30枚程度のパネル状の吸音体2が取り付けられている。なお、図1(b)においては、説明を簡単にするため6枚の吸音体2が図示されている。
【0048】
各吸音体2は、それぞれ矩形状を呈しており、これらの吸音体2は、図2に示すようなもので構成されている。
【0049】
同図において、吸音体2は、シリコーンゴムから成る皮膜31、皮膜31の前面側(トンネルの壁面等と対向する側)に積層される第1の多孔質体層32および皮膜31の背面側(移動体のボディーと対向する側)に積層される第2の多孔質体層33を有する積層体3と、積層体3の外表面を覆う防水層4と、防水層4の前面側に積層体3と平行に配設される板状の補強層5と、必要に応じて第1の多孔質体層32の前面側と防水層4間に積層体3と平行に配設される板状の防炎層6と、必要に応じて補強層5と防水層4間に積層体3と平行に配設される板状の保護層7とを備えている。
【0050】
防水層4は、不燃性でかつ耐水性を有するシートから成り、かかるシートで積層体3の外表面を折り畳むようにして包被したもので構成されている。このような不燃性でかつ耐水性を有するシートとしては、厚さが20μm程度のアルミクラフト紙や当該アルミクラフト紙と同程度の厚さを有するアルミ箔が好適する。このような構成のシートで積層体3の外表面を覆うことで、積層体3の外表面がカバーされ、また積層体3を構成する第1、第2の多孔質体層32、33が水等で濡れることがなくなり、ひいては安定した吸音特性を有する吸音材を提供することができる。
【0051】
符号8は防水層4の背面側の一部に設けられた通気部を示しており、当該通気部8は、例えば防水層4の背面側の一部に設けられた矩形状の開口部41に耐水性および通気性を有するシートを当該開口部41を閉塞するように設けられたもので構成されている。
【0052】
このような耐水性および通気性を有するシートとしては、シートの内面側からシートの外面側に向かって空気が通過し、かつシートの外面側からシートの内面側に向かって水分が浸入しないもの、具体的には、撥水性ガラスクロスやゴアテックス(Gore−Tex)(登録商標)が好適する。
【0053】
防水層4の背面側にこのような構成の通気部8を設けることで、防水層4の内圧上昇を防止することができる。すなわち、積層体3を覆う防水層4の背面側に通気部8を設けた場合には、トンネル内等で対向車がすれ違う際に防水層4内の圧力が上昇するところ、当該圧力の上昇を通気部8で吸収することができ、ひいては防水層4が破裂し損傷するおそれのない吸音体を提供することができる。
【0054】
補強層5は、後述する積層体3を機械的に保護し、かつ音を透過させる性質を有する板状体で構成されている。具体的には多数の開口を有する金属製の板状体、例えば開口率が40〜70%程度で厚さが2mm程度のステンレス製のパンチングメタル若しくはエキスパンドメタルで構成されている。ここで、板状体の開口率を40〜70%としたのは、開口率が40%未満では音が十分に透過せず、また、開口率が70%を超えると板状体の全体的な機械的強度が弱くなり、積層体3の保護が不十分となるからである。
【0055】
防炎層6は、積層体3への着火時における発煙性、火炎伝播性を小さくし、積層体3が燃焼しないようにするためのもので、このような防炎層6としては車両用材料難燃試験に合格し得るガラスクロスが好適する。
【0056】
ここで、図2に示す実施例では、防炎層6を第1の多孔質体層32の前面側と防水層4間に配設しているが、当該防炎層6は防水層4自身に防炎性の機能を持たせてもよい。具体的には、防水層4の前面側のみを防水性および防炎性を有する材料、例えばアルミガラスクロス等の金属クロスで形成してもよい。
【0057】
保護層7は、積層体3を物理的な衝撃から保護するためのバリア層で、具体的には、厚さが1〜2mm程度のアルミニウム等から成る金属板に直径が1.0mm以下の多数個の微細穿孔を散点状に設けて成る微細穿孔板(MPP)または金属製不織布若しくは三次元網目構造を持つ板状の金属多孔質体(発泡金属)の何れか若しくはこれらの材料を複数組み合わせて成るもので構成されている。このような保護層7を積層体3の前面側に設けることで、積層体3を物理的な衝撃から保護することができると共に、吸音特性をより一層向上させることができる。
【0058】
積層体3を構成する皮膜31としては、100Hz乃至200Hzの低周波領域において優れた吸音特性を発揮する材料、具体的には、本発明者等が先に開発し出願している吸音材(特願2005−77593)が好適する。
【0059】
この吸音材は、シリコーンゴムから成る皮膜31を備えており、当該皮膜31は、難燃性を有し、かつ燃焼時に有害ガスを発生しない材料で形成されている。具体的には、シリコーンゴムに2:1〜1:1の比で、Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物またはSi、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物の混合物から成る無機化合物を混入したもので形成されている。
【0060】
このような構成の皮膜31においては、ネットワーク構造のシリコーンゴムの多孔室部分に嵩さ密度が高くかつ粒径の小さい硫酸バリウム等を混入することで、不燃性でかつ柔軟性がある上、所定の面密度を有する皮膜を形成することができる。
【0061】
なお、皮膜31は、製品形態の自由度を向上させ、現場における施工を簡単にするため、接着やシリコーングラフト反応等により、後述する第1、第2の多孔質体層32、33と一体化することが好ましい。
【0062】
図3は、本発明の実施例における皮膜31の吸音率、面密度、皮膜厚、発熱量、発熱速度を比較例とともに示した説明図である。
【0063】
ここで、本実施例における皮膜31は、シリコーンゴムに2:1の比でシリカ、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸バリウムを混入したもので形成されており、比較例としてウレタンから成る皮膜が使用されている。
【0064】
なお、発熱量は建築基準法第2条第9号に規定する方法により、発熱速度はISO5660に規定する方法により測定した。
【0065】
同図より、本実施例における皮膜31は、その皮膜厚を比較例の皮膜厚より略1/3程度薄くしても、比較例と同等の吸音率および面密度を得ることができる。また、建築基準法第2条第9号に規定する不燃グレードに適合させることができ、さらに、燃焼発熱速度を[200kW/m]・10sec未満にすることができる。
【0066】
次に、このような構成の皮膜31に要求される諸性能について説明する。
【0067】
第1に、皮膜31としては単位体積当たりの燃焼発熱量が8MJ/m以下のものを使用することが好ましい。皮膜31の単位体積当たりの燃焼発熱量が8MJ/mを越えると、本実施例による製品の適用法規である建築基準法第2条第9号に規定される不燃グレードに適合できないからである。なお、皮膜31の燃焼発熱量は皮膜31の原料用樹脂に配合させる無機フィラーの種類や配合量などにより調節することができる。
【0068】
このような無機化合物を含むシリコーンゴムから成る皮膜31によれば、幅100mm、長さ100mm、厚さ3〜50mmの試験片において、ISO5660で規定する燃焼発熱量試験において、単位体積当たりの燃焼発熱量を8MJ/m以下にすることができる。
【0069】
第2に、皮膜31としては燃焼発熱速度が[200kW/m] ・10sec以下のもの使用することが好ましい。皮膜31の燃焼発熱速度が[200kW/m] ・10secを越えると、建築基準法第2条第9号に規定の不燃グレードに適合しないからである。
【0070】
このような無機化合物を含むシリコーンゴムから成る皮膜31によれば、幅100mm、長さ100mm、厚さ3〜50mmの試験片において、ISO5660で規定する燃焼発熱速度試験において、燃焼発熱速度を[200kW/m] ・10sec以下にすることができる。
【0071】
次に、皮膜31の前面側に積層される第1の多孔質体層32および皮膜31の背面側に積層される第2の多孔質体層33は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フェルト、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタンの何れかまたはこれらの混合物から成るもので形成されている。
【0072】
ここで、皮膜31の両側に第1、第2の多孔質体層32、33を積層することで、皮膜31部分が付加質量、すなわち錘の役割として作用し、第1、第2の多孔質体層32、33がバネ、すなわち空気バネの役割として作用し、膜振動による吸音を行わせることができる。また、皮膜31の両側に多孔質体層32、33を設けることで、車両がトンネルに出入りする際の気圧変動、若しくは対向車とすれ違う際に生じる気圧変動を吸収することができ、ひいては皮膜31に破損や損傷を与えない吸音材を提供することができる。特に、シリコーンから成る皮膜31の両側に発泡ウレタンから成る第1、第2の多孔質体層32、33を配設した積層体においては、後述するように積層体の厚さを従来のもの(シリコーンから成る皮膜31の両側にグラスウールから成る第1、第2の多孔質体層32、33を配設した積層体)よりも1/2程度薄く形成することができ、ひいては軽量でかつコンパクトな吸音体を提供することができる。
【0073】
図4は、皮膜(シリコーンゴム)31の厚さを0.5mm、第1の多孔質体層(発泡ウレタン)32の厚さを19mm、第2の多孔質体層(発泡ウレタン)33の厚さを23mmとした第1の実施の形態における吸音材としての積層体3の吸音特性を示している。
【0074】
同図より、第1の実施の形態における吸音材としての積層体3は、250Hz程度以下の低周波領域において優れた吸音特性を示していることが分かる。
【0075】
次に、このように構成された吸音体2を移動体のボディー1の外側面11に取り付ける方法について説明する。
【0076】
先ず、吸音体2は、その全体の強度を向上させるため、図5に示すようなステンレスケース(厚さ2mm程度)等から成る金属製のケース20に収納される。
【0077】
図5(a)において、ケース20は、前面側が開放しており、中央部に一つの隔壁21を設けることで二つの収納部22、22が形成され、全体として側面方向から視て断面E字状を呈している。ここで、二つの収納部22,22は吸音体2の寸法と略等しく設計されている。具体的には収納部22、22の横寸法L1が80mm、縦寸法L2が607mm、奥行寸法が910mmとされている。なお、ケース20はステンレスケースに代えて、アルミニウムケースを使用してもよい。
【0078】
このような構成のケース20の各収納部22,22に、その前面側(開放部側)から矢印で示すように防水層4を有する積層体3および保護層7を順次収納し、さらに、ケース22の前面側(開放部)を補強層5で覆うことで、図5(b)に示すような金属製のケース22で覆われた吸音体2が得られる。これにより、吸音体2を構成する積層体3、防炎層6および防水層4が金属製のケース20の収納部22,22、保護層7(微細穿孔板)および/または補強層5(パンチングメタル)により機械的に保護されることになる。なお、金属製のケース20は常套手段によって移動体のボディー1の外側面11に取り付けられる。
【0079】
図6は、トンネル内を時速60kmで走行させた際の移動体(バス)の室内における騒音レベルの測定結果を示している。ここで、比較例は、耐水性、防炎性、耐圧性および通気性等の一連の耐環境性能を具備しない従来の吸音体(皮膜の両側に多孔質体層のみを設けたもの)を取り付けた移動体のパワーレベルを示しており、実施例は、移動体のボディーの外側面に、第1の実施の形態に係る吸音体、すなわち、積層体(厚さ0.5mmのシリコーンゴムから成る皮膜31の前面側に厚さが19mmの発泡ポリエチレンから成る第1の多孔質体層を、背面側に厚さが23mmの発泡ポリエチレンから成る第2の多孔質体層をそれぞれ積層したもの)の外表面を厚さが20μmのアルミクラフト紙から成る防水層で覆い、防水層の前面側に、ガラスクロスから成る防炎層、厚さが1.0mmのアルミニウム製不織布から成る保護層、厚さが2mm程度で開口率が40%程度のステンレス製のパンチングメタルから成る補強層を順次配設した第1の実施の形態に係る吸音体を使用した移動体のパワーレベルを示している。なお、騒音レベルはJISA1409:1998「残響室法吸音率の測定方法」により測定した。
【0080】
同図より、本実施例における移動体は、騒音低減量は比較例と同様に30[dB]であり、また不燃性も比較例と同様に車両用材料燃焼試験に合格している上、耐水性および耐気圧性も共に比較例よりも優れていることが認められ、本発明における吸音体を用いた移動体が反響音防止対策として有効であり、また、耐水性、防炎性、耐圧性および通気性等の一連の耐環境性能を満たしていることが判る。
【0081】
以上のように、本発明の吸音体を用いた移動体によれば、高速で移動する車両等の移動体を構成するボディーの外側面にシリコーンゴム等の皮膜を有する吸音体を配設することで、移動体の周囲の騒音(移動体がトンネル内を走行する際に発生するトンネルの壁面からの反響音や移動体内部の騒音等)を効果的に吸収することができると共に耐水性、防炎性、耐圧性および通気性等の一連の耐環境性能を満たす移動体を提供することができる。
[第2の実施の形態]
図7は、本発明における吸音体の第2の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図2と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0082】
この実施例においては、図7に示すように、図2に示す防水層4の背面側に板状の緩衝層9が積層体3と平行に配設されている。
【0083】
緩衝層9は、第1、第2の多孔質体層32、33に付与される圧力を分散させるために設けるもので、その弾性率は第1、第2の多孔質体層32、33の弾性率よりも小さい材料で形成されている。具体的には、発泡ウレタンや液封したシリコ−ン樹脂等から形成されている。
【0084】
このような構成の緩衝層9を有する吸音体2´においては、車両がトンネルに出入りする際の気圧や対向車とすれ違う際に生じる気圧を第1、第2の多孔質体層32、33および緩衝層9で吸収するところ、弾性率が大きくされた第1、第2の多孔質体層32、33よりも先に弾性率が小さくされた緩衝層9が変形し、ひいては第1、第2の多孔質体層32、33の変形を少なくすることで吸音材としての積層体3の吸音特性の低下を防止することができる。
【0085】
この実施例においても、第1の実施例と同様に、高速で移動する車両等の移動体を構成するボディーの外側面にシリコーンゴム等の皮膜を有する吸音体を配設することで、移動体の周囲の騒音を効果的に吸収することができると共に一連の耐環境性能を満たす移動体を提供することができ、更に、防水層の背面側に緩衝層を配設することで、多孔質体層に付与される圧力を分散させることができ、ひいてはより安定した吸音特性を有する移動体を提供することができる。
[第3の実施の形態]
前述の実施例においては、皮膜として、無機化合物を含むシリコーンゴムを使用した場合について説明しているが、シリコーンゴムに代えて、無機化合物を含むアクリル樹脂を使用してもよい。
【0086】
この実施例では、当該皮膜31は、アクリル樹脂に2:1〜1:1の比で、Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物またはSi、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物の混合物から成る無機化合物、並びに次に示す炭素繊維を混入したもので形成されている。
【0087】
このような構成の皮膜31においては、アクリル樹脂に炭素繊維を添加することで、不燃性でかつ柔軟性がある上、所定の面密度を有する樹脂皮膜を形成することができる。
【0088】
ここで炭素繊維としては、繊維径が10〜30μm、長さの平均値が0.3〜2mm、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部のものを使用することが好ましい。ここで、繊維径を10〜30μmとしたのは、繊維径を10μm未満にすると樹脂間の結合が低下するからであり、繊維径が30μmを超えると樹脂の柔軟性が低下するからである。また、長さの平均値が0.3〜2mmとしたのは、長さの平均値を0.3mm未満にすると樹脂間の結合が低下するからであり、長さの平均値が2mmを超えると樹脂の柔軟性が低下するからである。さらに、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部としたのは、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5部未満では樹脂間の結合が低下するからであり、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し10部を超えると樹脂の柔軟性が低下するからである。
【0089】
図8は、第3の実施の形態における樹脂皮膜の吸音率、面密度、皮膜厚、発熱量、発熱速度を比較例とともに示した説明図である。
【0090】
ここで、第3の実施の形態における皮膜31は、アクリル樹脂に2:1の比でシリカ、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを混入したもの形成されており、比較例としてウレタンから成る樹脂皮膜が使用されている。
【0091】
なお、発熱量は建築基準法第2条第9号に規定する方法により、発熱速度はISO5660に規定する方法により測定した。
【0092】
同図より、第3の実施の形態における皮膜31は、その皮膜厚を比較例の皮膜厚より略1/3程度薄くしても、比較例と同等の吸音率および面密度を得ることができる。また、建築基準法第2条第9号に規定する不燃グレードに適合させることができ、さらに、燃焼発熱速度を[200kW/m]・10sec未満にすることができる。
[第4の実施の形態]
図9は、吸音体2を収納する他の実施例における金属製のケースの説明図である。
【0093】
図9(a)において、この実施例においては、ケース20´の前面側および一方の側面側が開放され、中央部に二つの隔壁21´を所定の間隔をおいて平行に設けることで、全体として側面方向から視て三つの矩形状の収納部22´、22´、22´が形成されている。ここで、三つの収納部22´、22´、22´は図5に示すケース20と同様に吸音体2、2´の寸法と略等しく設計されている。このような構成のケース20´は、複数のU字状のチャンネル部材および複数の矩形状の板材を組み合わせることで容易に形成することができる。
【0094】
このような構成のケース20´の各収納部22´、22´、22´に、その側面側から矢印で示すように防水層4を有する積層体3および保護層7を配設した立方体状の補強層5を除く吸音体2、2´を収納し、さらに、ケース22´の前面側に補強層5を配設し、一方の側面側に板材23を配設することで、図9(b)に示すような金属製のケース22´で覆われた吸音体2、2´を得ることができる。
【0095】
この実施例においても、吸音体2、2´が金属製のケース22´で覆われることで、その全体の強度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
前述の実施例においては、図面に示した特定の実施の形態をもって本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、次のように構成してもよい。
【0097】
第1に、前述の実施例においては、ボディーの外側面に直接吸音体を配設する場合について述べているが、移動体を構成するボディーの外側面の下方部位に吸音体を配設するに十分な凹陥部を設け、当該凹陥部にケースで包被したパネル状の吸音体をボディーの外側面と平行に配設してもよい。
【0098】
第2に、前述の実施例においては、バス等の移動体を構成するボディーの外側面に吸音体を配設した場合について述べているが、トラックや新幹線等の移動体を構成するボディーの外側面に吸音体を配設してもよい。
【0099】
第3に、前述の実施例においては、吸音材として積層体と補強層との間に保護層を配設した場合について述べているが、補強層のみで吸音材としての積層体を機械的に保護できる場合には当該保護層は配設しなくてもよい。
【0100】
第4に、前述の実施例においては、皮膜を接着やシリコーングラフト反応等の手段により多孔質体層と一体化させる場合について述べているが、皮膜および/または多孔質体層を加熱し、皮膜および/または多孔質体層が軟化する温度(例えば、80℃)になったときに、多少の圧力を付与することで両者を一体化させてもよい。
【0101】
第5に、前述の実施例においては、皮膜の燃焼発熱量および燃焼発熱速度について述べているが、低周波吸音材自身の燃焼発熱量を8MJ/m以下、燃焼発熱速度を[200kW/m]・10sec以下としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明における吸音体を用いた移動体の説明図で、分図(a)は移動体の正面図、分図(b)は移動体の側面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における吸音体の断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるシリコーンゴムとフィラーの混合比を示す説明図。
【図4】本発明の第1の実施の形態における吸音材(積層体)の吸音特性を示す説明図。
【図5】本発明の第1の実施の形態における吸音体のケースへの収納状況を示す説明図で、分図(a)は吸音体のケースへの収納状況を示す断面図、分図(b)は吸音体を収納したケースの断面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態における吸音体を用いた移動体のパワーレベルと周波数との関係を示す説明図。
【図7】本発明の第2の実施の形態における吸音体の断面図。
【図8】本発明の他の実施の形態におけるアクリル樹脂とフィラーの混合比を示す説明図。
【図9】本発明の他の実施の形態における吸音体のケースへの収納状況を示す説明図で、分図(a)は吸音体のケースへの収納状況を示す斜視図、分図(b)は吸音体を収納したケースの斜視図。
【符号の説明】
【0103】
1・・・ボディー
11・・・外側面
2、2´・・・吸音体
3・・・積層体(吸音材)
31・・・皮膜
32・・・第1の多孔質体層
33・・・第2の多孔質体層
4・・・防水層
5・・・補強層
6・・・防炎層
7・・・保護層
20、20´・・・ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴムまたはアクリル樹脂から成る皮膜、前記皮膜の前面側に積層される第1の多孔質体層および前記皮膜の背面側に積層される第2の多孔質体層を有する積層体と、前記積層体の外表面を覆う防水層と、前記防水層の前面側に前記積層体と平行に配設される板状の補強層とを備えることを特徴とする吸音体。
【請求項2】
シリコーンゴムまたはアクリル樹脂から成る皮膜、前記皮膜の前面側に積層される第1の多孔質体層および前記皮膜の背面側に積層される第2の多孔質体層を有する積層体と、前記積層体の外表面を覆う防水層と、前記防水層の前面側に前記積層体と平行に配設される板状の補強層とを備え、
前記第1の多孔質体層の前面側と前記防水層間には板状の防炎層が前記積層体と平行に配設されていることを特徴とする吸音体。
【請求項3】
前記補強層と前記防水層間には板状の保護層が前記積層体と平行に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の吸音体。
【請求項4】
前記防水層の背面側には板状の緩衝層が前記積層体と平行に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載の吸音体。
【請求項5】
前記皮膜は、無機化合物および/または炭素繊維を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載の吸音体。
【請求項6】
前記無機化合物は、Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物または前記Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物の混合物から成ることを特徴とする請求項5記載の吸音体。
【請求項7】
前記炭素繊維は、繊維径が10〜30μm、長さの平均値が0.3〜2mm、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部であることを特徴とする請求項5記載の吸音体。
【請求項8】
前記皮膜の燃焼発熱量は、8MJ/m以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか1項記載の吸音体。
【請求項9】
前記皮膜の燃焼発熱速度は、[200kW/m]・10sec以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか1項記載の吸音体。
【請求項10】
前記第1の多孔質体層および/または前記第2の多孔質体層は、ポリエチレンテレフタレートフェルト、発泡ポリエチレン、発泡ウレタンの何れかまたはこれらの混合物から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項9何れか1項記載の吸音体。
【請求項11】
前記防水層は、不燃性でかつ耐水性を有するもので形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10何れか1項記載の吸音体。
【請求項12】
前記防水層は、金属箔または金属クラフト紙で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10何れか1項記載の吸音体。
【請求項13】
前記防水層の前面側は、防水性および防炎性を有するもので形成されていることを特徴とする請求項1、請求項3乃至請求項10何れか1項記載の吸音体。
【請求項14】
前記防水層の前面側は、アルミニウム系ガラスクロスで形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10何れか1項記載の吸音体。
【請求項15】
前記防水層の背面側に通気部が設けられていることを特徴とする特徴とする請求項1乃至請求項14何れか1項記載の吸音体。
【請求項16】
前記通気部は、前記防水層の内面側から前記防水層の外面側に向かって空気が通過し、かつ前記防水層の外面側から前記防水層の内面側に向かって水分が通過しないもので形成されていることを特徴とする請求項15記載の吸音体。
【請求項17】
前記通気部は、撥水性ガラスクロスまたはゴアテックス(登録商標)で形成されていることを特徴とする請求項15項記載の吸音体。
【請求項18】
前記補強層は、前記積層体を保護し、かつ音を透過させる性質を有するもので形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項17何れか1項記載の吸音体。
【請求項19】
前記補強層は、多数の開口を有する金属製の板状体で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項17何れか1項記載の吸音体。
【請求項20】
前記補強層は、パンチングメタルまたはエキスパンドメタルで形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項17何れか1項記載の吸音体。
【請求項21】
前記板状体の開口率は、40〜70%であることを特徴とする請求項19記載の吸音体。
【請求項22】
前記防炎層は、ガラスクロスで形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項21何れか1項記載の吸音体。
【請求項23】
前記保護層は、金属板に多数個の微細穿孔を設けて成る微細穿孔板、金属製不織布若しくは板状の金属多孔質体の何れかまたはこれらを組み合わせたもので形成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項22何れか1項記載の吸音体。
【請求項24】
前記緩衝層は、その弾性率が前記第1の多孔質体層または前記第2の多孔質体層よりも小さいもので形成されていることを特徴とする請求項4乃至請求項23何れか1項記載の吸音体。
【請求項25】
請求項1乃至請求項24何れか1項記載の吸音体を備え、前記吸音体は、移動体のボディーの外側面に前記吸音体を構成する補強層を外側に向けて前記ボディーの外側面と平行に配設されていることを特徴とする移動体。
【請求項26】
請求項1乃至請求項24何れか1項記載の吸音体を備え、前記吸音体は、前面側に開口部を有する金属製のケースに前記吸音体を構成する補強層を外側に向けて収納され、前記ケースは、移動体のボディーの外側面に前記補強層を外側に向けて前記ボディーの外側面と平行に配設されていることを特徴とする移動体。
【請求項27】
前記移動体のボディーの外側面に凹陥部が設けられ、前記凹陥部に前記吸音体または前記金属製のケースが配設されていることを特徴とする請求項25または請求項26項記載の移動体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−326482(P2007−326482A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159815(P2006−159815)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(306013119)昭和電線デバイステクノロジー株式会社 (118)
【Fターム(参考)】