説明

周辺光検知機能を備えた表示装置

【課題】周辺光検知機能を備えた表示装置を提供する。
【解決手段】本表示装置は、照明源と、該照明源によって提供された光を変調するための表示変調器と、光レベルを検出する光センサー配列体と、該光センサー配列体から受信した信号を処理するためのプロセッサーとを備え、該光センサー配列体は、互いに離れた位置にある複数の光センサーを備え、該各光センサーは周辺光に曝され、該プロセッサーは、1つ以上の光センサーの位置における該周辺光の局所的遮断を見つけるために該複数の光センサーの信号を処理し、該周辺光のレベルの推定値を求めるよう設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、例えば、照明光源を使用しこの照明光源からの光を変調する表示パネルを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、この種の変調する表示パネルの最も典型的な例であり、通常、能動板と受動板とを備え、液晶材料が間に挟まれている。能動板はトランジスタスイッチ素子アレイを備え、通常各表示ピクセルに1つのトランジスタが対応している。また、各ピクセルは、該ピクセルの輝度を制御するための信号が印加される能動板上の1つのピクセル電極と対応している。
【0003】
周辺光のレベルは、光源を変調するために使用される表示パネルの性能に大きな影響を持つ。同様に、周辺光のレベルは、発光ピクセルからなる表示パネル、例えばLED表示パネルの性能にも影響する。
【0004】
表示パネルの性能は、光センサー(光検出器)からの情報を使用して表示パネルの動作を変更することで改善されることがこれまで認識されてきた。例えば、表示パネルのバックライトの光度は、周辺光の特性を検知可能な光センサーからの情報に応答して調整され、周辺光のレベルが低い時、表示パネルの消費電力を低減するよう、また、周辺光のレベルが高い時、良質な出力を提供するよう調整されてもよい。この調整手段は、表示が常に最適な輝度となることを保証するために使用できる。
【0005】
必要な光センサーは、表示パネルの能動板の一部として薄膜技術を使用して形成することができる。これは、追加のプロセスステップ又は別の構成要素を必要としない光センサー能力を追加するための便利な方法である。感光素子は、例えば薄膜トランジスタ、薄膜ダイオード、ラテラル(lateral)ダイオード、又は感光性抵抗器であってもよい。
【0006】
図1は表示パネル10と、バックライト12と、光センサー14と、表示パネルとバックライトとを制御する制御回路16とを備えた表示システムを示す。制御回路16が検出された照度の変化に応答して表示パネルとバックライトの動作を変更できるよう信号が光センサー14から制御回路16に供給される。
【0007】
センサー14からの出力信号に、表示パネル前面における周辺光18からの寄与と、バックライト12によって生成された光20からの寄与とが存在する。
【0008】
図2は、光センサーを表示パネル内に組込む方法を簡略化して示す。この例では、表示パネルは、間に液晶層28を挟む2つのガラス基板24、26からなる。光センサーは、バックライトに最も近い下方ガラス基板26上に作製された光センサー素子30のアレイとして構成されている。表示パネルの前面からの周辺光は、上方ガラス基板24と液晶層28とを通過して光センサー素子30に到達することが可能である。
【0009】
光センサーはこのガラスの両側からの光に感応することができるか、又は金属(又は他のマスク)を使用して一方の側又は両側からの光から遮蔽されることができる。図2の例では、バックライト34からの光は、下方ガラス基板26を通過し光センサーに到達できることが示されている。例えば不透明な層を光センサーを形成する薄膜層群の基部に設けることで、バックライトから光センサーへの光の直接経路を遮断することができる。
【0010】
従って、光センサーを周辺光信号(又はトップライト表示パネルの場合は周辺光+トップライト)、バックライト信号、又は両方の信号を測定するために使用することができる。個別のセンサーの組合せを様々な減算及び差異測定を実行するために使用できる。また、光センサーは色フィルターと一緒に使用することで、R、G、B信号を得ることができ、また、周辺光が変化する時、画像の色相を変えるのにも使用できる。
【0011】
図の完全性のために図2は光マスク層36を示す。黒マスク層の使用は、無変調光が通過できる能動板の領域を遮蔽し、動作特性が光に依存するトランジスタを遮蔽することは周知である。上方と下方の偏光子38、40も示されている。黒マスク層は周辺光が光センサー素子30に到達するのを許す開口を有する。
【0012】
表示パネルのバックプレーンとして使用される基板(低温ポリシリコンLTPS又は非晶質シリコンaSi:H)上に光センサー群(及びその制御回路)を一体化することができ、コストと複雑さを低減し、小型化につながる。表示パネルに使用されるTFT及びダイオード自身が感光性があるのでこれが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
周辺光制御の問題の1つは、光検出器が遮られる場合があることである。例えば偶発的に指で覆われたり手の陰になったりして、周辺光の誤った示度を与える。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明が提供する表示装置は、照明源と、該照明源によって提供された光を変調するための表示変調器と、光レベルを検出する光センサー配列体と、該光センサー配列体から受信した信号を処理するためのプロセッサーとを備え、該光センサー配列体は、互いに離れた位置にある複数の光センサーを備え、該各光センサーは周辺光に曝され、該プロセッサーは、1つ以上の光センサーの位置における該周辺光の局所的遮断を見つけるために該複数の光センサーの信号を処理し、該周辺光のレベルの推定値を求めるよう設定されている。
【0015】
この構成は、2つ以上の位置に配置された複数の光センサーと、これらの光センサーからの入力に依存する信号を出力するプロセッサー(簡単なロジック回路であってもよい)とを使用する。
【0016】
前記プロセッサーは、前記複数の光センサーの信号を比較し、1つ以上の光センサーからの信号のレベルが他の各光センサーからの信号よりかなり低い場合、該1つ以上の光センサーからの信号を無視するよう設定されていてもよい。これにより、光センサーが覆われているか又は暗い影の中にあることが見つかった場合、その光センサーの信号を無視することが可能となる。信号を分析するために、例えば所定の閾値を使用できる。閾値の例は1つのセンサーの出力が他の全てのセンサーの10%未満であるかである。
【0017】
前記プロセッサーは、前記複数の光センサーの信号を比較し、全ての光センサーからの信号のレベルが互いに近い場合、これら全ての信号を結合するよう設定されていてもよい。従って、遮蔽されていると判定された光センサーがない場合、全ての光センサー信号の平均を取る。光センサー信号を比較するために所定の差マージンを使用できる。
【0018】
また、本発明は表示装置の照明源を制御する方法を提供する。該表示装置は該照明源によって提供された光を変調するための表示変調器を備え、この制御方法は、互いに離れた位置にありそれぞれ周辺光に曝される複数の光センサーを備える光センサー配列体を光レベルを検出するために使用することと、1つ以上の光センサーの位置における周辺光の局所的遮断を見つけるために検出された光レベルを処理し、該周辺光のレベルの推定値を求めることと、該周辺光レベルを使用して該表示装置を制御することとを含む。
前記表示装置を制御することは、前記照明源を制御することを含んでよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、複数の光センサー(各光センサーは周辺光に曝される)からの信号が処理される表示装置を提供する。1つ以上の光センサーの位置における周辺光の局所的遮断を見つけることで、周辺光レベルの正確な推定値が得られる。
【0020】
本発明の表示装置と方法は、図1と図2に示された既知の構成を使用できる。
図3は本発明の方法の実施形態を示す。
ステップ50において、複数の一体化された光センサーからの光センサー信号が得られる。
ステップ52において、光センサー信号レベルが比較される。これは、1つ以上の光センサーの位置における光の局所的遮断を検出するのを可能にするために実行される。
【0021】
例えば、1つ以上の光センサーからの信号が他の各光センサーからの信号よりかなり低い場合、局所障害物又は陰が存在すると仮定することができ、従ってこの光センサー信号は無視されるべきである。ある光センサー信号を無視すべきかを決定するために、例えば次のような所定の閾値を使用できる。
最も明るい光センサー信号の50%未満(又は例として40%、30%、20%、又は10%未満)の信号レベルの光センサー、或いは、平均光センサー信号の50%未満(又は例として40%、30%、20%、又は10%未満)の信号レベルの光センサー。
【0022】
無視すべき信号が存在せず全ての光センサー信号のレベルが互いに近いと見なせる場合は、全ての光センサーからの信号は結合され、例えば平均を取ってもよい。この場合、全ての光センサー信号は、所定の差マージン内に入るであろう。
【0023】
遮られたセンサーを周辺光レベルの決定から除外するために多くの異なるアルゴリズムを使用できる。
【0024】
センサーの数が小さい(例えば、4)場合、最小の信号を見つけ、それを平均値計算から単に除外する等の簡単な手法を使用することができる。この手法は、遮られたセンサーがない場合、又は遮られたセンサーは1つだけである場合、機能する。これは最も起こりそうなシナリオである。
【0025】
或いは、センサー信号の中央値を取ってもよい。奇数個のセンサーの場合、これは適切な値を与える。偶数個のセンサーの場合、中央値の両側の2つのセンサー値のうち高い方を使用してもよい。別の手法は、中央値を見つけて、この中央値を超える出力値のセンサー全ての平均を取ることである。
【0026】
ステップ56において、表示装置は周辺光レベルを制御パラメータとして使用して制御される。バックライトLCD表示パネルの例では、この制御はバックライト照明源の制御を含む。
【0027】
光センサー信号は、周辺光レベルに加えて他の情報を得るために使用されてよい。例えば、追加のフィードバックパラメータとしてのバックライト出力レベルについての情報を得るために使用されてもよい。
【0028】
周辺光検知と周辺光レベル検出とを実行するために、次のステップを実行することができる。
(i)センサー光電流が電圧に変換される。
(ii)電圧がデジタル化される。デジタル化は変換器の数を減らすために多重で実行されてよい。
(iii)デジタル化後、いずれかのアルゴリズムをガラス基板上又はガラス基板外で実行してよい。
【0029】
1つの好適な実施形態では、センサー及び表示ピクセル回路が低温ポリシリコンで形成され、表示駆動制御回路及び/又は電流電圧変換回路、A/D変換回路、及び周辺光レベル計算を実行する処理能力を同じ基板上に集積化してもよい。
【0030】
図4は本発明の表示装置の一例を示す。この例では、表示基板62の各角に1つ、合計4つの光センサー60が存在する。前面64は概略的に示されている。
【0031】
本発明の手法は、表示出力を局所的に調整して表示パネルのその領域を横切る影に対して補正することで、表示パネルを横切る影に対して補正するよう拡張することができる。例えば、より大きなセンサーマトリックス(例えば、10×10)は局所的輝度測定を可能にし、データ値を画像処理により変更するか、又は分割されたバックライトの個々のブロックへの電力(又はLED表示パネルの場合、LEDピクセル電力)を調整することで画像を補正することができる。また、本発明の手法を使って、大きく異なる光レベルを示すセンサー信号は無視してもよい。これは、影ではなく障害物による結果であると考えることができるからである。従って、影の領域とより遮られた光センサーとを区別するために異なる閾値を適用してもよい。
【0032】
周辺光レベルに関する得られた情報は、暗い周辺光状態で節電を実施し、明るい周辺光状態で良好な画像鮮明度を保証するためにバックライト(又は他の光源)出力を調整する既知の方法において使用することができる。
【0033】
一体化された光センサーは、表示ピクセルアレイを形成するために使用されるのと同じ薄膜層群を使用して形成される薄膜素子を備えてもよく、光センサーは上述したように光センサー素子アレイとして構成されてもよい。限界においては、1つの光センサー素子が各表示ピクセルに一体化されてもよい。
【0034】
本発明はバックライト又はフロントライトを備えたLCD又は他の光変調表示パネルに周辺光センサーを実現するために使用できる。LED表示パネル等の発光ピクセルを有する表示パネルに使用することもできる。この場合、実施される制御はピクセル出力レベルの制御である。発光ピクセルを備えた表示パネルの場合、ピクセル自身が照明源として、また照明源からの光を変調する表示変調器として働く。これに対応して明細書及び請求項は理解されるべきである。従って、上記LCDの例のように光変調器と照明源は別々の部品である必要はないことは明らかであろう。
【0035】
上記の例では、検出された周辺光レベルは表示パネルの輝度を制御するために使用されるが、代わりに或いは加えて表示パネル動作の他の設定、例えば表示パネルのコントラスト又はガンマ設定又はリフレッシュ周波数を制御するために使用されてもよい。
【0036】
必要な計算を実行する1つの方法は、好ましくは表示基板上に一体化されたアナログ又はデジタル回路を使用することである。しかし、プロセッサー上で動作するコンピュータプログラムを使用してもよい。
【0037】
光センサー信号は情報の所望の使用法に依ってはある周期でサンプリングされてもよい。影補正の場合は、相対的に頻繁な更新を必要とするかもしれない。一方、通常の節電目的の場合は、より少ない頻度の更新を必要とするかもしれない。
【0038】
バックライト制御に使用される場合、バックライトの明るさは、照明源パルス出力のパルス幅、又は指定パルス幅の場合、パルス周波数を調整することで変更できることが知られている。
【0039】
ピクセル出力制御(例えばLED表示パネル)に使用される場合、LEDピクセル(バックライトではなく)への電力レベルを制御することができる。別々の電源を持っている場合、赤、緑、青ピクセルを独立に調整することができる。
【0040】
光センサーは互いに離れた位置にあるとして説明した。これは、影、又は手/指等の障害物の結果として異なる光強度を受け取るよう十分離された別個の光センサーが存在することを意味する。
様々な変形は当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】バックライト出力レベルを制御するために光検知を使用する既知の表示装置を示す。この表示装置は一部変更され、本発明の制御方法を実行するよう制御されることができる。
【図2】一体化された光センサーを使用する既知のアクティブマトリクス液晶パネルの断面図である。この液晶パネルは本発明の表示装置において使用することができる。
【図3】本発明の制御方法の例を説明するための図である。
【図4】本発明の表示装置を示す。
【符号の説明】
【0042】
10 表示変調器(表示パネル)
12 照明源(バックライト)
14 光センサー配列体(光センサー)
16 プロセッサー(制御回路)
30 光センサー素子
38、40 偏光子
60 光センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明源(12)と、
該照明源によって提供された光を変調するための表示変調器(10)と、
光レベルを検出する光センサー配列体(14)と、
該光センサー配列体から受信した信号を処理するためのプロセッサー(16)と
を備え、
該光センサー配列体は、互いに離れた位置にある複数の光センサー(60)を備え、該各光センサーは周辺光に曝され、該プロセッサー(16)は、1つ以上の光センサー(60)の位置における該周辺光の局所的遮断を見つけるために該複数の光センサーの信号を処理し、該周辺光のレベルの推定値を求めるよう設定されている表示装置。
【請求項2】
前記プロセッサー(16)は、前記複数の光センサーの信号を比較し、1つ以上の光センサー(60)からの信号のレベルが他の各光センサーからの信号よりかなり低い場合、該1つ以上の光センサーからの信号を無視する請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記プロセッサー(16)は、1つ以上の光センサー(60)からの信号のレベルが他の各光センサーからの信号より所定の閾値超だけ低い場合、該1つ以上の光センサーからの信号を無視する請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記プロセッサー(16)は、前記複数の光センサーの信号を比較し、全ての光センサー(60)からの信号のレベルが互いに近い場合、これら全ての信号を結合する請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記プロセッサー(16)は、該表示装置の基板(62)上に一体化されたロジック回路として実現されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
表示装置の照明源(12)を制御する方法であって、
該表示装置は該照明源(12)によって提供された光を変調するための表示変調器(10)を備え、
互いに離れた位置にありそれぞれ周辺光に曝される複数の光センサー(60)を備える光センサー配列体を光レベルを検出するために使用することと、
1つ以上の光センサー(60)の位置における周辺光の局所的遮断を見つけるために検出された光レベルを処理し、該周辺光のレベルの推定値を求めることと、
該周辺光レベルを使用して該表示装置を制御することと
を含む制御方法。
【請求項7】
前記表示装置を制御することは、前記照明源(12)を制御することを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記処理することは、前記複数の光センサーの信号を比較し、1つ以上の光センサーからの信号のレベルが他の各光センサーからの信号よりかなり低い場合、該1つ以上の光センサーからの信号を無視することを含む請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記処理することは、1つ以上の光センサーからの信号のレベルが他の各光センサーからの信号より所定の閾値超だけ低い場合、該1つ以上の光センサーからの信号を無視することを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記処理することは、前記複数の光センサーの信号を比較し、全ての光センサーからの信号のレベルが互いに近い場合、これら全ての信号を結合することを含む請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−86664(P2009−86664A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−248008(P2008−248008)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(503141075)統寶光電股▲ふん▼有限公司 (155)
【Fターム(参考)】