説明

商品流通システム

【課題】本発明は、利用者の個人情報の開示を最小限に抑えると共にセキュリティ性を向上することが出来、更にシステム運営が単純化出来、顧客の利便性も向上出来る商品流通システムを提供する。
【解決手段】ロッカー装置1の記憶部に商品の預入者3が予め登録した預入者認識情報が記憶され、ロッカー装置1の制御部は商品の預入制御と引取制御を行い、該制御部による預入制御は、入力部から入力されるか若しくは通信部により受信される商品の預入者3の預入者認識情報が記憶部に予め記憶された商品の預入者3の預入者認識情報と一致したときに、収容部6の開閉扉を施錠する施錠機構を駆動して収容部6の開閉扉の解錠制御を行うと共に、入力部から入力されるか若しくは通信部により受信される当該商品の引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報と当該商品の代金情報とを記憶部に記憶する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の収容部を有するロッカー装置を利用して商品の受け渡しと決済を行うように構成した商品流通システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット通信販売、インターネットオークション、バーチャルモール店舗等の通信回線を利用した商品の無店舗販売システム(無店舗流通システム)が広く普及している。例えばインターネット通信販売の場合、顧客はパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」という)をインターネットに接続し、通信販売会社のホームページにアクセスして商品発注を行う。その際、通信販売会社側は商品代金の回収を確実にするため、例えば顧客の住所、氏名、電話番号、更に場合によってはクレジットカード番号等の顧客情報の入力を要求する。
【0003】
しかし、顧客側にすれば、提供した情報が悪用されるという恐れが常に意識されるので、安易に情報を提供することには抵抗がある。またインターネット通信販売等による商品が配達される際に留守になることがあり、更に安全上から自宅での商品受取りを希望しない場合も多く、それらが無店舗販売システムの利用者拡大の阻害用件にもなっている。
【0004】
そこで、これらの問題を解決する方法として、ロッカー装置を利用して商品の受け渡しを行うと共に、商品の代金支払いを第三者機関である決済管理事業者を介して行う方法が一部で採用されている。ロッカー装置は専門の管理会社が運営管理し、鉄道の駅、空港、ホテル、コンビニエンスストア(以下、「コンビニ」という)等の各所に設置し、例えば通信回線を利用して共通の管理装置により遠隔管理する。
【0005】
各ロッカー装置には通し番号若しくは整理番号等の番号が付され、ホームページ等で設置場所とその番号を公開し、利用者はその番号により受け渡し場所のロッカー装置を指定出来るようになっている。
【0006】
決済管理事業者はコンピュータによる決済管理システムを運営し、無店舗販売システムを利用する顧客は、自己の住所、氏名、電話番号等の顧客情報を決済管理システムに予め登録しておく。顧客は商品購入の際に、インターネット通信販売会社等の通信販売画面等に購入する商品、自己の電話番号及び引き取る地域若しくは場所に設置されたロッカー装置の番号を入力すると共に、決済管理システムに当該商品の代金を入金する。
【0007】
一方、商品を受注したインターネット通信販売会社等は、例えば決済管理事業者から前記入金の通知を受け取った後、指定されたロッカー装置の収容部に商品を預け入れると共に、電話等により収容部の扉の解錠情報を顧客に通知する。そして顧客は受け取った解錠情報をロッカー装置に入力して注文した商品を引き取り、インターネット通信販売会社等は商品の代金に相応する金額を決済管理事業者から受け取る。
【0008】
しかし上記方法はロッカー装置の管理事業者に加えて決済管理事業者を介在させるので流通システムが複雑化するという問題がある。また顧客は決済事業者に自己の住所、氏名、電話番号等の多くの顧客情報を予め登録する必要があり、それらの情報が決済管理システムから外部に漏れる事故も想定する必要がある。
【0009】
そこで、顧客情報を最小限にした商品の受け渡しと決済のシステムが特許文献1(特開2002−117455号公報)に提案されている。特許文献1に提案されたシステムは、ロッカー装置と受注管理装置を備え、顧客は管理装置に対し購入する商品とロッカー装置を指定すると共に、自己のメール番号を通知する。管理装置は注文された商品の注文コードを顧客に通知すると共に、ロッカー装置の特定の収容部への商品配送を指定する。顧客はロッカー装置に出向き、受け取った注文コードを入力し、且つ代金を支払うことにより収容部の開閉扉が解錠されるので、注文した商品を取り出すことが出来る。
【0010】
【特許文献1】特開2002−117455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述の特許文献1で提案されたシステムは、商品の注文ごとに注文コードを顧客に通知する必要があり、顧客はその注文コードをロッカー装置に入力して解錠しなければならない。そのためシステム運営が複雑化すると共に顧客の利便性も十分でないと言う問題がある。また顧客が注文コードを紛失したとき、或いは顧客が注文コードの盗難にあったときは注文した商品の引き取りが出来なくなるという問題もある。
【0012】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、利用者の個人情報の開示を最小限に抑えると共にセキュリティ性を向上することが出来、更にシステム運営が単純化出来、顧客の利便性も向上出来る商品流通システムを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するための本発明に係る商品流通システムの第1の構成は、商品を収容する複数の収容部と、該各収容部の開閉扉を施錠する施錠機構と、制御部と、記憶部と、入力部と、代金決済部と、通信部とを有するロッカー装置を備え、前記ロッカー装置で商品の受け渡しとその代金決済を行うように構成した商品流通システムにおいて、前記記憶部には商品の預入者が予め登録した預入者認識情報が記憶され、前記制御部は商品の預入制御と引取制御を行い、前記制御部による預入制御は、前記入力部から入力されるか若しくは前記通信部により受信される商品の預入者の預入者認識情報が前記記憶部に予め記憶された前記商品の預入者の預入者認識情報と一致したときに、前記施錠機構を駆動して前記収容部の開閉扉の解錠制御を行うと共に、前記入力部から入力されるか若しくは前記通信部により受信される当該商品の引取者の携帯電話番号情報と当該商品の代金情報とを前記記憶部に記憶する制御を行うように構成され、前記制御部による引取制御は、前記通信部により受信した前記商品の引取者の携帯電話番号情報が、前記記憶部に予め記憶された当該商品の引取者の携帯電話番号情報と一致し、且つ、前記代金決済部に入力された金額情報が前記記憶部に予め記憶された当該商品の代金情報と一致したときに、前記施錠機構を駆動して当該商品を収容した収容部の開閉扉の解錠制御を行うように構成されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る商品流通システムの第2の構成は、前記第1の構成において、前記ロッカー装置の記憶部には、商品の引取者が予め登録した携帯電話番号情報が登録引取者認識情報として記憶され、前記制御部による引取制御は、前記通信部により受信した前記商品の引取者の入力携帯電話番号情報が、前記記憶部に記憶された登録引取者認識情報及び前記商品の預入者により入力されて前記記憶部に予め記憶された当該商品の引取者の入力携帯電話番号情報と一致し、且つ、前記代金決済部に入力された金額情報が前記記憶部に予め記憶された当該商品の代金情報と一致したときに、前記施錠機構を駆動して当該商品を収容した収容部の開閉扉の解錠制御を行うように構成されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る商品流通システムの第3の構成は、前記第1、第2の構成において、前記ロッカー装置を複数管理する管理装置が設けられ、該管理装置は前記各ロッカー装置と通信回線により通信する通信手段と、該各ロッカー装置を利用する商品の預入者が登録した金融機関の口座番号情報を記憶する記憶手段と、制御手段とを備え、該制御手段は、商品の預入者が前記ロッカー装置に預け入れた商品の代金が引取者の代金支払いにより決済されたことを前記ロッカー装置から前記通信手段により受信する制御と、当該代金に相応する金額を前記記憶手段に予め記憶された商品の預入者が登録した金融機関の口座に振り込む制御を行うように構成されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る商品流通システムの第4の構成は、前記第3の構成において、前記管理装置の記憶手段には、前記各ロッカー装置を利用する商品の預入者が予め登録した電子メールアドレス情報が記憶され、前記管理装置の制御手段は、前記ロッカー装置に預け入れた商品の代金に相応する金額を前記記憶手段に記憶された商品の預入者が登録した金融機関の口座に振り込んだ事実を前記記憶手段に記憶された当該商品の預入者の電子メールアドレスに電子メールで通知する制御を行うように構成されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る商品流通システムの第5の構成は、前記第3、第4の構成において、前記管理装置の記憶手段には、前記各ロッカー装置を利用する商品の預入者が予め登録した預入者認識情報と、商品の引取者が予め登録した携帯電話番号情報が記憶され、前記管理装置の制御手段は、前記商品の預入者の預入者認識情報と当該商品の引取者の携帯電話番号情報とをそれぞれ前記通信手段により前記各ロッカー装置に通知する制御を行い、前記各ロッカー装置の制御部は、該各ロッカー装置の通信部を介して受信した前記商品の預入者の預入者認識情報と、該商品の引取者の携帯電話番号情報とを該各ロッカー装置の記憶部に記憶する制御を行うように構成されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る商品流通システムの第6の構成は、前記第5の構成において、前記管理装置の記憶手段には、前記各ロッカー装置を利用する商品の引取者の電子メールアドレス情報が記憶され、前記各ロッカー装置の制御部は、前記ロッカー装置に当該引取者宛ての商品が預け入れられたことを前記各ロッカー装置の通信部により前記管理装置に通知し、前記管理装置の制御手段は、前記管理装置の通信手段により受信した当該商品の預入情報を前記管理装置の記憶手段に記憶された当該引取者の電子メールアドレスに電子メールで通知する制御を行うように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る商品流通システムの第1の構成によれば、商品の預入者(商品の売主)は自己の預入者認識情報を入力するだけで注文を受けた商品をロッカー装置の収容部に預入出来る。また商品の引取者(商品の購入者)は商品を注文する際に商品の預入者に自己の携帯電話番号と引き取るべきロッカー装置の番号だけを通知すれば足りるので、一般に支障を生じると考えられるような顧客情報は一切開示する必要がない。
【0020】
更に商品の引取者がロッカー装置から注文した商品を引き取る際には、自己の携帯電話機でロッカー装置を呼び出す等により、その携帯電話番号情報をロッカー装置に入力し商品代金の支払いを行うだけで良い。そのため、従来のように商品の預入者が商品の注文ごとに注文コードを商品の引取者に通知する必要がなく、商品の引取者が注文コードを紛失する等の事故を心配する必要もなくなる。
【0021】
また、本発明に係る商品流通システムの第2の構成によれば、ロッカー装置を利用する引取者に関する前記第1の構成における携帯電話番号情報の認証に加え、当該引取者が予め登録された者であるか否かを登録取引者認識情報として登録された携帯電話番号情報により認証するので、本システムの運用上のセキュリティ性を一層高めることが出来る。
【0022】
また、本発明に係る商品流通システムの第3の構成によれば、複数のロッカー装置を管理装置により集中管理し、各ロッカー装置を利用する複数の商品の預入者にそれぞれの商品代金に相応する金額(例えは商品代金からシステム利用手数料を差し引いた金額)を自動的に且つ迅速に決済することが出来るので、商品の預入者は利用した複数のロッカー装置に対する代金回収を容易に行うことが出来る。
【0023】
また、本発明に係る商品流通システムの第4の構成によれば、商品の預入者は商品の代金が自己の金融機関の口座に振り込まれたことを電子メールにより迅速且つ確実に知ることが出来る。
【0024】
また、本発明に係る商品流通システムの第5の構成によれば、各ロッカー装置に記憶されるべき商品の預入者の預入者認識情報と、商品の引取者が予め登録した携帯電話番号情報とが管理装置を経由して各ロッカー装置の記憶部に一括して記憶出来るので、商品の預入者や引取者は自己の預入者認識情報または携帯電話番号情報を管理装置に一旦登録すれば、各ロッカー装置をすべて利用出来る状態になり、且つ、商品の預入者と引取者の両方の認識情報が同時に管理出来るので、商品の預入者や引取者の利便性が高まると共に、システムのセキュリティ性がより一層高まる。
【0025】
また、本発明に係る商品流通システムの第6の構成によれば、商品の引取者が自己の電子メールアドレス情報を管理装置に登録しても良いと判断したときは、それを登録するだけで、何れのロッカー装置を利用する場合でも、注文した商品の引き取り可能状態を電子メールにより確実且つ迅速に知ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図により本発明に係る商品流通システムの一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る商品流通システムの構成を示す概念図、図2はロッカー装置に設けられる制御装置と管理装置に設けられる制御装置の構成を示すブロック図、図3は本発明に係る商品流通システムにおける商品の流通を説明する図、図4は本発明に係る商品流通システムにおける商品の預入手順を示すフローチャート、図5は本発明に係る商品流通システムにおけるロッカー装置に預け入れられた商品の引取手順を示すフローチャートである。
【0027】
図1及び図2において、1はロッカー装置、2は該ロッカー装置1を複数管理する管理装置、3は商品の預入者(商品の売主)、4は商品の引取者(顧客)の携帯電話機、5は商品の預入者3の配送部門若しくは依頼した外部の配送事業者の配送車である。尚、図1にはロッカー装置1が1基のみ示されているが、同様な構成からなる複数のロッカー装置1を共通の管理装置2で管理するようになっている。
【0028】
ロッカー装置1は商品を収容する複数の収容部6と操作部7を有し、各収容部6には電子錠式で施錠・解錠されるオートロック式の開閉扉が設けられる。操作部7の背面には、図2に示して後述する制御部9や通信部14等が設けられ、管理装置2には、図2に示して後述する制御手段17、各ロッカー装置1と通信回線20により通信する通信手段19等が設けられる。またインターネット通信販売会社等の商品の預入者3には図示しない通信装置や記憶装置を備えた管理システムが備えられる。
【0029】
図2はロッカー装置1に設けられる制御装置8と、管理装置2に設けられる制御装置16のブロック図である。ロッカー装置1の制御装置8はコンピュータで構成される制御部9、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリ、外部記憶装置等で構成される記憶部10、キーボードやタッチパネル、カード読取装置等で構成される入力部11、液晶やプラズマディスプレー等で構成される表示部12、プリンタ等で構成される出力部13、モデム等で構成される通信部14及び各収容部6の開閉扉の施錠または解錠を行う施錠機構を選択駆動するための駆動部15、代金投入部、カード読込部及び金銭検査部等により構成される代金決済部21を備えている。
【0030】
ロッカー装置1の記憶部10には商品の預入者3が予め登録した預入者認識情報が記憶されており、ロッカー装置1の制御部9は商品の預入制御と引取制御を行う。
【0031】
また、ロッカー装置1の記憶部10には、商品の引取者が予め登録した携帯電話機4の携帯電話番号情報が登録引取者認識情報として記憶されている。
【0032】
一方、管理装置2の制御装置16はコンピュータで構成される制御手段17、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリ、外部記憶装置等で構成され、各ロッカー装置1を利用する商品の預入者3が登録した金融機関の口座番号情報を記憶する記憶手段18及びモデム等で構成される通信手段19を備えている。
【0033】
尚、ロッカー装置1の通信部14、管理装置2の通信手段19、商品の預入者3の図示しない通信装置、商品の引取者の携帯電話機4はインターネット等の無線通信回線20を介して相互に通信出来るようになっており、ロッカー装置1で商品の受け渡しとその代金決済を行うことが出来るように構成されている。
【0034】
管理装置2の制御手段17は、商品の預入者がロッカー装置1に預け入れた商品の代金が引取者の代金支払いにより決済されたことをロッカー装置1から通信手段19により受信すると共に、当該代金に相応する金額を記憶手段18に予め記憶された商品の預入者3が登録した金融機関の口座に振り込む制御を行う。
【0035】
また、管理装置2の記憶手段18には、各ロッカー装置1を利用する商品の預入者3が予め登録した電子メールアドレス情報が記憶され、管理装置2の制御手段17は、ロッカー装置1に預け入れた商品の代金に相応する金額を記憶手段18に記憶された商品の預入者3が登録した金融機関の口座に振り込んだ事実を記憶手段18に記憶された当該商品の預入者3の電子メールアドレスに電子メールで通知する。
【0036】
また、管理装置2の記憶手段18には、各ロッカー装置1を利用する商品の預入者3が予め登録した預入者認識情報と、商品の引取者が予め登録した携帯電話機4の携帯電話番号情報が記憶され、管理装置2の制御手段17は、商品の預入者3の預入者認識情報と当該商品の引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報とをそれぞれ通信手段19により各ロッカー装置1に通知すると共に、各ロッカー装置1の制御部9は、該各ロッカー装置1の通信部14を介して受信した商品の預入者3の預入者認識情報と、該商品の引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報とを該各ロッカー装置1の記憶部10に記憶する制御を行う。
【0037】
管理装置2の記憶手段18には、各ロッカー装置1を利用する商品の引取者の電子メールアドレス情報が記憶され、各ロッカー装置1の制御部9は、ロッカー装置1に当該引取者宛ての商品が預け入れられたことを各ロッカー装置1の通信部14により管理装置2に通知し、管理装置2の制御手段17は、管理装置2の通信手段19により受信した当該商品の預入情報を管理装置2の記憶手段18に記憶された当該引取者の電子メールアドレスに電子メールで通知する。
【0038】
次に図3を参照して図1の商品流通システムによる商品の流通方法を説明する。本実施形態では管理装置2により複数のロッカー装置1を集中管理する場合である。先ず、ステップSにおいて、本システムを利用する商品の預入者(商品の売主)3は通信回線20を介して管理装置2に自己に関する預入者認識情報、例えば自己の認識コード情報または携帯電話番号情報(実際には携帯電話機の電話番号情報とそれに続く機器識別番号情報を含む、以下同じ)を登録する。その際、電子メールアドレス情報を登録すると商品の預入情報や商品の代金に相応する金額の振込み情報を管理装置2から通信回線20により受け取ることが可能になる。
【0039】
これらの情報の登録により当該預入者3は本システムの利用者として又は利用会員として登録されたものとして取り扱われる。尚、商品の預入者3がロッカー装置1への商品の預入作業を外部の搬送事業者に委託する場合は、当該委託された搬送事業者がその認識情報を管理し使用する。
【0040】
一方、ステップSにおいて、本システムを利用する商品の引取者(商品を購入する顧客)は、自己の携帯電話機4の携帯電話番号情報を管理装置2に登録する。その際、電子メールアドレス情報を登録すると、注文した商品の預入情報を管理装置2から通信回線20により受け取ることが可能になる。そして、これらの情報の登録により当該商品の引取者は本システムの利用者として又は利用会員として登録されたものとして取り扱われる。
【0041】
ステップSにおいて、商品の引取者がインターネットに接続し、例えばインターネット通信販売会社のホームページやインターネットオークションの売主が商品を展示しているサイトにアクセスし、購入を希望する商品を見出したときに、商品の引取者はそのサイトに注文したい商品情報(例えば商品番号)を入力すると共に、希望する場所若しくは地域に設置されたロッカー装置1の番号と自己の携帯電話機4の携帯電話番号を入力する。
【0042】
商品の預入者3は注文情報を受信すると、ステップSにおいて、受注可能な場合は当該商品を受注した事実と配送予定日(指定されたロッカー装置1への預入予定日)を商品の引取者の携帯電話機4に通知する。次いで、ステップSにおいて、商品の預入者3は注文商品を自己の配送部門または外部に委託した配送事業者により指定されたロッカー装置1に配送して預け入れる。
【0043】
ロッカー装置1に注文された商品が預け入れられると、ステップSにおいて、管理装置2からその商品の引取者の携帯電話機4に商品預入通知がメールされ、商品の引取者は当該ロッカー装置1に出向き、ステップSにおいて、携帯電話機4による引取者認識と商品代金の支払いにより収容部6の開閉扉を解錠して注文した商品を引き取る。商品代金の支払いは現金、クレジットカード、スイカカード(東日本旅客鉄道株式会社の登録商標)やデビットカード等の金銭カード等、携帯電話機4の架電料金扱い等で行うことが出来る。
【0044】
商品代金の支払いを現金で行う場合は、代金決済部21を構成する代金投入部から現金を投入し、カード類で行う場合はカード読込部からカードを挿入し、携帯電話機4の架電料金扱いにする場合は入力部11のタッチセンサからその旨入力する。何れの場合でも代金決済部21を構成する金銭検査部で代金が商品代金と一致するか否か検査し、一致した場合はその情報を制御部9に送り、該制御部9は記憶部10にその代金支払い情報を記憶し且つ収容部6の開閉扉の解錠制御を行う。
【0045】
商品の引取者による商品代金の支払いがなされとき、ロッカー装置1の制御部9はその支払い情報を通信回線20により管理装置2に通知する。管理装置2の制御手段17はその支払い情報を当該商品の預入者3に電子メールにて通知する(ステップS)。
【0046】
図4は商品の預入手順を具体的に示すフローチャートである。先ず、預け入れすべき商品の配送担当者は、ステップS11でロッカー装置1の表示部12に表示されるメニュー画面から「預入」を選択する。すると表示部12に例えば「預入者の認識情報を入力してください」とのメッセージが表示されるので、配送担当者はステップS12で商品の預入者認識情報をロッカー装置1に入力する。
【0047】
預入者認識情報が認識コードである場合は、ロッカー装置1に備えた操作部7のタッチセンサ等による入力部11から認識コードを入力し、預入者認識情報が該預入者の携帯電話機の携帯電話番号情報である場合は、ロッカー装置1の表示部12に表示される電話番号を呼び出すと、その呼び出し信号が預入者の預入者認識情報として通信部14から制御部9に入力される。
【0048】
次にステップS13でロッカー装置1の制御部9による預入制御は、入力部11から入力されるか若しくは通信部14により受信される商品の預入者3の預入者認識情報が記憶部10に予め記憶された商品の預入者3の預入者認識情報と一致したときに、収容部6の開閉扉の施錠機構を駆動部15により駆動して該収容部6の開閉扉の解錠制御を行うが、入力部11或いは通信部14から入力された預入者3の預入者認識情報と、記憶部10に予め記憶された商品の預入者3の預入者認識情報とが一致しないと判断したときは、ステップS14でその旨のメッセーを表示部12に表示して前記ステップS12に戻り、前記ステップS13において、入力部11或いは通信部14から入力された預入者3の預入者認識情報と、記憶部10に予め記憶された商品の預入者3の預入者認識情報とが一致したと判断したときはステップS15に移る。
【0049】
配送担当者はステップS15で操作部7のタッチセンサ等の入力部11を操作し、預け入れる商品の引取者の引取者認識情報として、該引取者から通知された携帯電話機4の携帯電話番号を入力する。
【0050】
制御部9による預入制御は、入力部11から入力されるか若しくは通信部14により受信される当該商品の引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報と当該商品の代金情報とを記憶部10に記憶する制御を行うが、制御部9はステップS16で入力した引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報が記憶部10に予め記憶された引取者の登録引取者認識情報としての携帯電話番号情報の中に存在するか否かを判断し、存在していないと判断したときはステップS17でその旨のメッセージを表示部12に表示して前記ステップS15に戻り、前記ステップS16において、前記ステップS15で入力した引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報が記憶部10に予め記憶された引取者の登録引取者認識情報としての携帯電話番号情報の中に存在していると判断したときはステップS18で空いている収容部6の開閉扉の解錠制御を行うように駆動部15を制御する。
【0051】
尚、商品の引取者の引取者認識情報の登録をしないシステムとした場合は、ステップS16が省略され、ステップS15から直接ステップS18に移る。
【0052】
次に配送担当者はステップS19で商品をロッカー装置1の収容部6に収容して開閉扉を閉じることにより商品の預入を行う。収容部6の開閉扉を閉じるとステップS20で施錠機構が作動して開閉扉は自動施錠(オートロック)される。その際、出力部13から配送伝票が出力される。配送伝票には例えば預入者名、預入日時、預け入れた収容部6の番号、引取者の携帯電話機4の携帯電話番号等が記載される。
【0053】
次にステップS21で制御部9は空き状態から商品収容状態に変わった収容部6の状態を使用状況情報として記憶部10に記憶する。この記憶内容は制御部9が新たに商品を収容出来る空き収容部6を検索する場合に利用される。
【0054】
図5は預け入れられた商品の引取手順を具体的に示すフローチャートである。先ず商品の引取者は指定したロッカー装置1に出向き、ステップS31で表示部12に表示されたメニューの中から「引取」を選択する。すると表示部12に例えば「表示された電話番号におかけください」というメッセージが表示されるので、ステップS32で商品の引取者は携帯電話機4で表示部12に表示された電話番号に電話する。
【0055】
制御部9による引取制御は、通信部14により受信した商品の引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報が、記憶部10に予め記憶された当該商品の引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報と一致し、且つ、代金決済部21に入力された金額情報が記憶部10に予め記憶された当該商品の代金情報と一致したときに、各収容部6の開閉扉を施錠する施錠機構を駆動して当該商品を収容した収容部6の開閉扉の解錠制御を行い、更に通信部14により受信した商品の引取者の携帯電話機4による入力携帯電話番号情報が、記憶部10に記憶された登録引取者認識情報及び商品の預入者3により入力されて記憶部10に予め記憶された当該商品の引取者の携帯電話機4による入力携帯電話番号情報と一致し、且つ、代金決済部21に入力された金額情報が記憶部10に予め記憶された当該商品の代金情報と一致したときに、各収容部6の開閉扉を施錠する施錠機構を駆動して当該商品を収容した収容部6の開閉扉の解錠制御を行うが、ここでは、先ず制御部9はステップS33において、前記ステップS32で入力された商品の引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報と、前記図4のステップS15において、配送担当者が入力した商品の引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報とを比較し、一致しないと判断したときはステップS34でその旨のメッセージを表示部12に表示してステップS32に戻り、前記ステップS33において、前記ステップS32で入力された商品の引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報と、前記図4のステップS15において、配送担当者が入力した商品の引取者の携帯電話機4の携帯電話番号情報とが一致したと判断したときは表示部12に支払い金額が表示され、ステップS35で商品の引取者は表示部12に表示される金額を支払う。尚、この金額表示は制御部9が記憶部10に記憶された当該商品の代金情報を検索して行う。
【0056】
ステップS35で商品の引取者が表示部12に表示された金額を支払うと、ステップS36で制御部9は当該商品を収容している収容部6の開閉扉の解錠制御を行うように駆動部15を制御して該収容部6の開閉扉を解錠する。
【0057】
次にステップS37で引取者が収容部6に収容されている商品を取り出し、開閉扉を閉じると、ステップS38で施錠機構が作動して開閉扉は自動施錠(オートロック)される。次にステップS39で制御部9は空き状態から商品収容状態に変わった収容部6の状態を使用状況情報として記憶部10に記憶する。この記憶内容は制御部9が新たに商品を収容出来る空き情報を検索する場合に利用される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の活用例として、複数の収容部を有するロッカー装置を利用して商品の受け渡しと決済を行うように構成した商品流通システムに適用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る商品流通システムの構成を示す概念図である。
【図2】ロッカー装置に設けられる制御装置と管理装置に設けられる制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る商品流通システムにおける商品の流通を説明する図である。
【図4】本発明に係る商品流通システムにおける商品の預入手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る商品流通システムにおけるロッカー装置に預け入れられた商品の引取手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1…ロッカー装置
2…管理装置
3…預入者(商品の売主)
4…引取者(顧客)の携帯電話機
5…配送車
6…収容部
7…操作部
8…制御装置
9…制御部
10…記憶部
11…入力部
12…表示部
13…出力部
14…通信部
15…駆動部
16…制御装置
17…制御手段
18…記憶手段
19…通信手段
20…通信回線
21…代金決済部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を収容する複数の収容部と、該各収容部の開閉扉を施錠する施錠機構と、制御部と、記憶部と、入力部と、代金決済部と、通信部とを有するロッカー装置を備え、前記ロッカー装置で商品の受け渡しとその代金決済を行うように構成した商品流通システムにおいて、
前記記憶部には商品の預入者が予め登録した預入者認識情報が記憶され、前記制御部は商品の預入制御と引取制御を行い、
前記制御部による預入制御は、前記入力部から入力されるか若しくは前記通信部により受信される商品の預入者の預入者認識情報が前記記憶部に予め記憶された前記商品の預入者の預入者認識情報と一致したときに、前記施錠機構を駆動して前記収容部の開閉扉の解錠制御を行うと共に、前記入力部から入力されるか若しくは前記通信部により受信される当該商品の引取者の携帯電話番号情報と当該商品の代金情報とを前記記憶部に記憶する制御を行うように構成され、
前記制御部による引取制御は、前記通信部により受信した前記商品の引取者の携帯電話番号情報が、前記記憶部に予め記憶された当該商品の引取者の携帯電話番号情報と一致し、且つ、前記代金決済部に入力された金額情報が前記記憶部に予め記憶された当該商品の代金情報と一致したときに、前記施錠機構を駆動して当該商品を収容した収容部の開閉扉の解錠制御を行うように構成されることを特徴とする商品流通システム。
【請求項2】
前記ロッカー装置の記憶部には、商品の引取者が予め登録した携帯電話番号情報が登録引取者認識情報として記憶され、前記制御部による引取制御は、前記通信部により受信した前記商品の引取者の入力携帯電話番号情報が、前記記憶部に記憶された登録引取者認識情報及び前記商品の預入者により入力されて前記記憶部に予め記憶された当該商品の引取者の入力携帯電話番号情報と一致し、且つ、前記代金決済部に入力された金額情報が前記記憶部に予め記憶された当該商品の代金情報と一致したときに、前記施錠機構を駆動して当該商品を収容した収容部の開閉扉の解錠制御を行うように構成されることを特徴とする請求項1に記載の商品流通システム。
【請求項3】
前記ロッカー装置を複数管理する管理装置が設けられ、該管理装置は前記各ロッカー装置と通信回線により通信する通信手段と、該各ロッカー装置を利用する商品の預入者が登録した金融機関の口座番号情報を記憶する記憶手段と、制御手段とを備え、該制御手段は、商品の預入者が前記ロッカー装置に預け入れた商品の代金が引取者の代金支払いにより決済されたことを前記ロッカー装置から前記通信手段により受信する制御と、当該代金に相応する金額を前記記憶手段に予め記憶された商品の預入者が登録した金融機関の口座に振り込む制御を行うように構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の商品流通システム。
【請求項4】
前記管理装置の記憶手段には、前記各ロッカー装置を利用する商品の預入者が予め登録した電子メールアドレス情報が記憶され、前記管理装置の制御手段は、前記ロッカー装置に預け入れた商品の代金に相応する金額を前記記憶手段に記憶された商品の預入者が登録した金融機関の口座に振り込んだ事実を前記記憶手段に記憶された当該商品の預入者の電子メールアドレスに電子メールで通知する制御を行うように構成されることを特徴とする請求項3に記載の商品流通システム。
【請求項5】
前記管理装置の記憶手段には、前記各ロッカー装置を利用する商品の預入者が予め登録した預入者認識情報と、商品の引取者が予め登録した携帯電話番号情報が記憶され、前記管理装置の制御手段は、前記商品の預入者の預入者認識情報と当該商品の引取者の携帯電話番号情報とをそれぞれ前記通信手段により前記各ロッカー装置に通知する制御を行い、前記各ロッカー装置の制御部は、該各ロッカー装置の通信部を介して受信した前記商品の預入者の預入者認識情報と、該商品の引取者の携帯電話番号情報とを該各ロッカー装置の記憶部に記憶する制御を行うように構成されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の商品流通システム。
【請求項6】
前記管理装置の記憶手段には、前記各ロッカー装置を利用する商品の引取者の電子メールアドレス情報が記憶され、前記各ロッカー装置の制御部は、前記ロッカー装置に当該引取者宛ての商品が預け入れられたことを前記各ロッカー装置の通信部により前記管理装置に通知し、前記管理装置の制御手段は、前記管理装置の通信手段により受信した当該商品の預入情報を前記管理装置の記憶手段に記憶された当該引取者の電子メールアドレスに電子メールで通知する制御を行うように構成されることを特徴とする請求項5に記載の商品流通システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−158706(P2008−158706A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345138(P2006−345138)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(506053629)ポストキューブシステム株式会社 (7)
【Fターム(参考)】