説明

回路動作の検証装置及び回路動作の検証方法

【課題】電圧規格や電流規格を満たさない箇所があった場合に、その影響を反映させて検証を行うことができる回路動作の検証装置を提供する。
【解決手段】回路動作の検証装置は、結線情報4と、定格情報6とを用い、回路に入力する信号パターン7が与えられると、その入力パターン7に基づいて回路動作を検証する(S1〜S5)。そして、検証の結果、回路素子に印加される電圧や通電される電流等が定格値を超えることで破壊に至る回路素子が存在すると、当該回路素子を破壊の態様に応じた破壊状態モデルに置換し(S6)、破壊状態モデルに置換した回路について検証を継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路動作を検証する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
設計した回路の動作を、回路シミュレータ等のツールを用いて検証する場合に、各回路素子に印加される電圧や通電される電流が定格範囲を超えると、一般には警告メッセージ等が出力されるようになっている(定格チェック,SOA(Safe Operating Area)チェック)。例えば特許文献1には、論理回路の故障診断を行うもので、シミュレーションの結果予め定義した故障が発生すると、その故障が発生した素子を含む論理回路のシンボルをトランジスタレベルのモデルに置き換える技術が開示されている。また、特許文献2には、回路動作をシミュレーションする際に、各回路素子について電圧規格や電流規格を満たすかどうかの検証も一括して行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−26962号公報(図1,図4,図6参照)
【特許文献2】特開2002−175345号公報(図1,図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの従来技術では、検証の結果、電圧規格や電流規格を満たさない箇所があり、その結果が出力されてユーザに通知されるとしても、回路動作のシミュレーション結果には影響が反映されない。そのため、回路素子の一部が破壊されるような故障が発生した場合に、回路動作がどのように変化するのかが明確にならないという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電圧規格や電流規格を満たさない箇所があった場合に、その影響を反映させて検証を行うことができる回路動作の検証装置及び回路動作の検証方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の回路動作の検証装置によれば、回路動作検証手段は、回路素子間接続情報と、各回路素子に印加される電圧,通電される電流,発生する熱についての定格情報とを用い、回路に入力する信号パターンが与えられると、その信号パターンに基づいて回路動作を検証する。そして、破壊状態モデル置換手段は、検証の結果、定格値を超えることで破壊に至る回路素子が存在すると、当該回路素子を、破壊の態様に応じた破壊状態モデルに置換し、回路動作検証手段は、破壊状態モデルに置換した回路について検証を継続する。
したがって、一部の回路素子が破壊されることになる場合についてもシミュレーションが継続され、上記破壊の影響が、周辺の回路素子にどのように及ぶことになるかを検証できる。尚、ここで言う「検証」には、回路動作をシミュレーションすることと、そのシミュレーションに応じて変化する電圧,電流が定格値を超えるか否かを判断することとの双方を含むものとする。
【0007】
請求項2記載の回路動作の検証装置によれば、回路動作検証手段は、回路図で示される回路を半導体集積回路として形成したレイアウト情報に含まれる、寄生回路素子の情報も用いて回路動作を検証する。したがって、例えば配線抵抗値や浮遊容量等も考慮して、回路素子が破壊に至るか否かを判定することができる。
【0008】
請求項3記載の回路動作の検証装置によれば、定格情報に、複数の回路素子間を接続する配線についての定格値も含み、破壊状態モデル置換手段は、配線についても破壊状態モデルに置換する。すなわち、レイアウト情報では、配線が選択された材料に応じてどのような電流密度になるかや、配線幅や配線長が具体的に特定されているので、それらの情報により配線に断線や配線間の短絡が生じるか否かが判定できる。したがって、配線に生じたそのような結果が反映されたシミュレーションを行うことができる。
【0009】
請求項4記載の回路動作の検証装置によれば、回路素子の1つが電圧駆動型トランジスタである場合、破壊状態モデルに、電圧駆動型トランジスタの閾値電圧が標準値から変化したものを含む。例えばMOSFETのような電圧駆動型トランジスタに生じる破壊の態様には、端子間の断線や短絡だけでなく、印加される電圧や通電される電流が定格値を超えることで閾値電圧が変化する、というものも想定される。したがって、そのような破壊の態様を反映させたシミュレーションも行うことができる。
【0010】
請求項5記載の回路動作の検証装置によれば、破壊状態モデル置換手段は、回路素子に発生する破壊の態様が複数あると、それら複数の態様に応じた複数の破壊状態モデルに置換する。そして、回路動作検証手段は、以降に行う検証を、複数の破壊状態モデルに対応して分岐させて行う。例えば、特定の回路素子について、端子間の短絡と開放との双方が生じる可能性がある場合は、前記回路素子を「短絡破壊モデル」に置き換えた回路と、「開放破壊モデル」に置き換えた回路との双方を作成する。そして、これら2つの破壊モデルを用いた検証をそれぞれ行うようにする。したがって、様々に起こり得る破壊の態様のそれぞれについて検証結果を得ることができる。
【0011】
請求項6記載の回路動作の検証装置によれば、破壊状態モデル置換手段は、ユーザが任意の回路素子を指定したものを、破壊状態モデルに置換可能に構成される。すなわち、ユーザにとっては、特定の信号パターンに基づくシミュレーションの結果によらずとも、特定の回路素子に所定態様の破壊が発生すると、回路動作がどのように変化するのかを知りたい場合もある。そこで、請求項6のように構成すれば、ユーザの指定により破壊状態モデルに置換した回路について検証結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施例であり、回路動作の検証装置が行う処理の内容を示すフローチャート
【図2】ステップS6の処理内容を示すフローチャート
【図3】破壊状態モデルの一例を(a)〜(c)PチャネルMOSFET、(d)配線について示す図
【図4】ステップS3及びS4で行われるシミュレーション及び条件検証を説明する図
【図5】ステップS3でのシミュレーションに、レイアウト情報を加えて行うことを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施例について図面を参照して説明する。図1は、回路動作の検証装置が行う処理の内容を示すフローチャートである。回路図データ1は、正常モデル2,破壊状態モデル3,結線情報4(回路素子間接続情報),レイアウト情報5を統合したものである。正常モデル2は、各回路素子の電気的特性を記述したものであり、破壊状態モデル3は、各回路素子について、印加される電圧や通電される電流,又はその結果発生する熱により破壊された状態を1つ以上記述したものである(詳細は後述する)。
【0014】
結線情報4は、回路図における各回路素子間の接続状態をリスト化したいわゆるネットリストであり、レイアウト情報5は、回路図に示された回路を半導体集積回路として形成した場合のレイアウト設計情報である。また、レイアウト情報5には、配線に関する設計ルール情報、すなわち、配線に使用する材料に応じた電流密度や配線膜厚,最少配線幅等の情報も含まれている。
【0015】
電気的・時間的定格情報6は、各回路素子に印加される電圧や電流,発熱の定格値を示すものであり、入力パターン7は、回路の動作をシミュレーションするために使用する信号の入力パターンである。これらを用いて、以降の回路動作の検証が行われる。尚、以降の処理は、検証装置としてのパーソナルコンピュータやワークステーション(図示せず)等においてソフトウェアにより実現される。
【0016】
先ず、ステップS1において初期化を行う。具体的には、回路図データ1を読み込んでコンピュータのメモリに格納し、入力パターン7を読み込んで初期値解析を行い、各回路素子の全端子の電圧と電流値;初期電圧値及び初期電流値,並びに各回路素子の初期温度を求める。更に、シミュレーションにおける実時間を表す時間TIMEに「0」を代入する。この時間TIMEはシミュレーションの進行に伴って増加する。
尚、回路図データ1に含まれる正常モデル2には、例えば個々の回路素子を区別するインスタンス情報や、シミュレーションの計算に使用するデバイス・パラメータであるデバイス情報(例えばMOSトランジスタであればゲート長やゲート幅など)や、回路素子の各端子を区別するための名称等がある。
【0017】
次に、ステップS2において現時点の時間TIMEがシミュレーション終了時刻か否かを判定し、終了時刻であれば(YES)検証結果を例えば例えばデータファイルに出力したり、ディスプレイに表示する等して(ステップS7)処理を終了するが、終了時刻でなければ(NO)ステップS3に移行する。ステップS3では、現時刻における各ノードの電圧値及び電流値を計算する。
【0018】
続くステップS4では、条件検証(定格チェック)が行われる。即ち、メモリ上に展開された回路素子情報(正常モデル2)における各回路素子の各端子について、シミュレーションにより得られた各端子の電圧値,電流値,及びこれらより計算される発熱量を使用して条件検証を行う。ここでは、上記の電圧値,電流値,発熱量が、電気的・時間的定格情報6において規定されている各回路素子の定格値を超えているか否かを判定する。定格値を超えていなければ(NO)ステップS5に移行し、時間TIMEに増分を加えて更新すると、ステップS2に戻る。
【0019】
一方、ステップS4において、何れかにつき定格値を超えたものがあれば(YES)、定格値を超えた回路素子を、破壊状態モデル3に置き換えてから(ステップS6)ステップS5に移行する。尚、ステップS1〜S5,S7は回路動作検証手段に相当し、ステップS6は破壊状態モデル置換手段に相当する。
【0020】
図4は、ステップS3及びS4で行われるシミュレーション及び条件検証を説明する図である。定格値には、一瞬でも超えると破壊に至る値と、断続的ではあっても、時間的な累積結果が所定値に達すると破壊に至る値(時間的定格値,例えば発熱による破壊に関連する)とがあり、これらの何れか一方を超えると、対応する回路素子の正常モデル2を、破壊態様に応じた破壊状態モデル3に置換することになる。
【0021】
また図5は、ステップS3におけるシミュレーションに、レイアウト情報5を加えて行うことを説明する図である。同図では、パッド11にPチャネルMOSFET12のゲートが接続されており、パッド11とグランドパッド13との間にツェナーダイオード14が接続されている。この場合、ツェナーダイオード14が保護素子であり、PチャネルMOSFET12が被保護素子となる。このような回路を半導体集積回路としてレイアウト設計した場合に、ツェナーダイオード14を配置する位置により、保護素子として正常に機能するか否かが左右されることがある。
【0022】
すなわち、ツェナーダイオード14をパッド11の近傍に配置すれば、パッド11からツェナーダイオード14のカソードに至る配線経路の抵抗値が比較的小さく、パッド11からPチャネルMOSFET12のゲートに至る配線経路の抵抗値が比較的大きくなることから、ツェナーダイオード14は保護素子として正常に機能し易くなる。逆に、ツェナーダイオード14をパッド11から離してPチャネルMOSFET12のゲート近傍側に配置すると、上記配線抵抗(寄生回路素子)の大小関係が場合により逆転することもあるため(図5は、この状態を示している)、ツェナーダイオード14は保護素子として正常に機能し難くなる。したがって、それぞれの配線抵抗値(実際には、レイアウト情報5から具体数値が決定される)を計算に入れてシミュレーションを行う。
【0023】
また、寄生回路素子としてはその他浮遊容量や寄生インダクタンス等があるので、配線に付随する浮遊容量の大きさを考慮して信号の立ち上りや立下りの時間をシミュレートしたり、寄生インダクタンスの影響による信号波形の変化等をシミュレートすることもできる。
【0024】
図3(a)〜(c)は、破壊状態モデル3の一例をPチャネルMOSFETについて示したものである。(a)ショートモデルについては、ゲート−ドレイン間,ゲート−ソース間,ドレイン−ソース間,又はこれらを組み合わせたもの(図では全てを組み合わせたものを示しているが、勿論全てに限らず一部の組み合わせで良い)等がある。(b)オープンモデルについては、ゲート,ソース,ドレイン間,又はこれらを組み合わせたもの(組み合わせについては(a)と同様)等がある。
【0025】
(c)のVth変動モデルは、PチャネルMOSFET(電圧駆動型トランジスタ)の閾値電圧が標準値(初期値)より変動したモデルを示しており、実線の矢印は閾値電圧が低下した場合,破線の矢印は閾値電圧が上昇した場合に対応する。すなわち、MOSFETにおける閾値の変動は、素子破壊の一態様である。また、図3(d)は配線L1,L2間がショートしたモデルを示している。すなわち、レイアウト情報5では、配線が選択された材料に応じてどのような電流密度になるかや、配線膜厚,配線幅や配線長が具体的に特定されているので、それらの情報により配線に断線や配線間の短絡が生じるか否かが判定できる。
【0026】
これらの破壊モデルについては、シミュレーションでの各端子における電圧,電流の挙動により、どのような壊れ方(ショート,オープン等)をするかが破壊モードとして記述されている。例えば、定格値を超える過電圧が印加されたことによる端子間ショートや、定格値を超える過電流が流れたり、或いは定格値を超える電力が入力されて熱破壊が発生したことによる端子間オープン等である。
尚、破壊状態モデル3については、図3に示すものに限らず、NチャネルMOSFETやIGBT,バイポーラトランジスタや抵抗素子,コンデンサ等の素子についても、同様にショートモデルやオープンモデル等が用意されている。
【0027】
図2は、ステップS6の処理内容を示すフローチャートである。ステップS4で「YES」と判断すると、定格値を超えた回路素子に対応する破壊状態モデルがあるか否かを判断し(ステップS11)、破壊状態モデルがあれば(YES)、その回路(ネットリスト)中の上記回路素子を破壊状態モデルに差し替えて置換する(ステップS12)。その差し替えを行う場合、破壊状態モデルに対し、シミュレーションにおける破壊前(定格値を超える前)に各端子に与えられていた電圧,電流,電荷の情報やそれらの微分値を受け渡す。
尚、微分値を受け渡すのは、検証装置におけるシミュレーションでは一般に、電圧,電流及びそれらの微分値を用いてニュートン・ラプラス法を用いて収束値を得るように計算を行っているからである。そして、破壊状態モデルに差し替えた回路についてシミュレーションを再開し、継続する。
【0028】
また、破壊状態モデルへの差し替えは、上述したように各モデルについて記述されている破壊モードと壊れ方との対応関係が比較されて、何れの破壊状態モデルに差し替えるかが自動的に決定される。また、破壊状態モデルへの差し替えは1種類だけに限ることなく、破壊モードによっては複数の壊れ方をすることも想定される。例えば、過電流が流れる時間によっては、端子間ショートと端子間オープンとが発生する場合があり、何れも発生し得る中間的な時間があることも想定される。そのような場合には複数の破壊状態モデルに差し替えることで、シミュレーションの対象とする回路を複数に分岐させ、それぞれについてシミュレーション結果を出すようにする。
【0029】
加えて、シミュレーションの途中で一部の素子を破壊状態モデルに置換したものについて結果を出した場合、ステップS7における「結果の出力」では、回路図をディスプレイに表示する際に置換した破壊状態モデルを表示する。これにより、破壊が生じた素子についてはどのような態様の破壊であるのかをユーザに対して視覚的に報知できる。
【0030】
以上のように本実施例によれば、回路動作の検証装置は、結線情報4と、定格情報6とを用い、回路に入力する信号パターン;入力パターン7が与えられると、その入力パターン7に基づいて回路動作を検証する。そして、検証の結果、回路素子に印加される電圧や通電される電流等が定格値を超えることで破壊に至る回路素子が存在すると、当該回路素子を破壊の態様に応じた破壊状態モデルに置換し、破壊状態モデルに置換した回路について検証を継続するようにした。
【0031】
したがって、一部の回路素子が破壊されることになる場合についてもシミュレーションが継続され、上記破壊の影響が、周辺の回路素子にどのように及ぶことになるかを、結線情報4に基づくトポロジー依存の回路モデルについて検証できる。また、検証装置は、レイアウト情報5に含まれる寄生回路素子の情報も用いて回路動作を検証するので、例えば配線抵抗値や浮遊容量等も考慮して、回路素子が破壊に至るか否かを判定することができる。更に、定格情報6に、複数の回路素子間を接続する配線についての定格値も含み、配線についても破壊状態モデルに置換するので、配線に生じたオープンやショート破壊等の結果が反映されたシミュレーションを行うことができる。
【0032】
加えて、回路素子の1つがMOSFETである場合、破壊状態モデルに、閾値電圧Vthが標準値から変化したものを含むので、そのような破壊の態様を反映させたシミュレーションも行うことができる。更にまた、回路素子に発生する破壊の態様が複数あると、それら複数の態様に応じた複数の破壊状態モデルに置換し、以降に行うシミュレーションを複数の破壊状態モデルに対応して分岐させて行うので、様々に起こり得る破壊の態様のそれぞれについて検証結果を得ることができる。
【0033】
本発明は上記し又は図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
ユーザが任意の回路素子を指定したものを、破壊状態モデルに置換可能とするように構成しても良い(ステップS12の丸数字「3」)。すなわち、ユーザにとっては、特定の信号パターンに基づくシミュレーションの結果によらずとも、特定の回路素子に所定態様の破壊が発生すると、回路動作がどのように変化するのかを知りたい場合もある。そこで、上記のように構成すれば、ユーザの指定により破壊状態モデルに置換した回路について検証結果を得ることができる。
【0034】
レイアウト情報を加えて行う検証は、必要に応じて行えば良い。
閾値が変動した破壊状態モデルについては、IGBT(電圧駆動型トランジスタ)についても同様に用意することができる。また、閾値が変動するという破壊状態が想定されない場合には、対応するモデルを設ける必要はない。
1つの回路素子について同時に複数の破壊態様が想定されない場合には、複数の破壊状態モデルへの置換,及びその置換に伴うシミュレーションの分岐は、行う必要がない。
【符号の説明】
【0035】
図面中、1は回路図データ、3は破壊状態モデル、4は結線情報(回路素子間接続情報)、5はレイアウト情報、6は電気的・時間的定格情報、7は入力パターン(信号パターン)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路図に基づく回路素子間接続情報と、
各回路素子に印加される電圧,及び/又は各回路素子に通電される電流,及び/又は各回路素子に発生する熱についての定格値を示す定格情報とを用い、
回路に入力する信号パターンが与えられると、前記信号パターンに基づいて回路動作を検証する回路動作検証手段を備える検証装置において、
前記検証の結果、前記定格値を超えることで破壊に至る回路素子が存在すると、前記回路素子を、前記破壊の態様に応じた破壊状態モデルに置換する破壊状態モデル置換手段を備え、
前記破壊状態モデルに置換した回路について検証を継続することを特徴とする回路動作の検証装置。
【請求項2】
前記回路動作検証手段は、前記回路図で示される回路を半導体集積回路として形成したレイアウト情報に含まれる寄生回路素子の情報も用いて、回路動作を検証することを特徴とする請求項1記載の回路動作の検証装置。
【請求項3】
前記定格情報に、複数の回路素子間を接続する配線についての定格値も含み、
前記破壊状態モデル置換手段は、前記配線についても前記破壊状態モデルに置換することを特徴とする請求項2記載の回路動作の検証装置。
【請求項4】
前記回路素子の1つが電圧駆動型トランジスタであり、
前記破壊状態モデルに、前記電圧駆動型トランジスタの閾値電圧が標準値から変化したものを含むことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の回路動作の検証装置。
【請求項5】
前記破壊状態モデル置換手段は、回路素子に発生する破壊の態様が複数あると、それら複数の態様に応じた複数の破壊状態モデルに置換し、
前記回路動作検証手段は、以降に行う検証を、前記複数の破壊状態モデルに対応して分岐させて行うことを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の回路動作の検証装置。
【請求項6】
前記破壊状態モデル置換手段は、ユーザが任意の回路素子を指定して破壊状態モデルに置換可能であることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の回路動作の検証装置。
【請求項7】
回路図に基づく回路素子間接続情報と、
各回路素子に印加される電圧,及び/又は各回路素子に通電される電流,及び/又は各回路素子に発生する熱についての定格値を示す定格情報と、
回路に入力する信号パターンと基づいて回路動作を検証する検証方法において、
各回路素子について、前記電圧又は前記電流又は前記発熱が前記定格値を超えることで破壊される態様に応じた破壊状態モデルを用意しておき、
前記検証の結果、前記定格値を超えることで破壊に至る回路素子が存在すると、前記回路素子を、前記破壊の態様に応じた破壊状態モデルに置換して検証を継続することを特徴とする回路動作の検証方法。
【請求項8】
前記回路図で示される回路を半導体集積回路として形成したレイアウト情報を用い、
前記レイアウト情報に含まれる寄生回路素子の情報も併せて回路動作を検証することを特徴とする請求項7記載の回路動作の検証方法。
【請求項9】
前記定格情報に、複数の回路素子間を接続する配線についての定格値も含み、
前記配線についても、前記破壊状態モデルを用いることを特徴とする請求項8記載の回路動作の検証方法。
【請求項10】
前記回路素子の1つが電圧駆動型トランジスタであり、
前記破壊状態モデルに、前記電圧駆動型トランジスタの閾値電圧が標準値から変化したものを含むことを特徴とする請求項7ないし9の何れかに記載の回路動作の検証方法。
【請求項11】
回路素子に発生する破壊の態様が複数あると、それら複数の態様に応じた複数の破壊状態モデルに置換することで、以降に行う検証を、前記複数の破壊状態モデルに対応して分岐させて行うことを特徴とする請求項7ないし10の何れかに記載の回路動作の検証方法。
【請求項12】
ユーザが任意の回路素子を前記破壊状態モデルに置換した回路についても検証が可能であることを特徴とする請求項7ないし11の何れかに記載の回路動作の検証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−41499(P2013−41499A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178960(P2011−178960)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】