説明

回路基板およびその製造方法、回路装置およびその製造方法

【課題】耐圧と小型化を両立させた回路基板、回路装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】回路基板10は金属基板12と、金属基板12の上面を被覆する絶縁層14と、絶縁層14の上面に形成された所定形状の導電パターン16とを備えた構成となっている。そして、金属基板12の側面は、上面から傾斜して連続する第1側面22と、下面から傾斜して連続する第2側面24とを含む構成となっている。更に、導電パターン16から成るパッド26に接近する側辺では、第1側面22の幅が第2側面24よりも狭く構成されている。このことにより、パッド26と金属基板12との耐圧が確保されると共に、回路基板10の小型化も実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板およびその製造方法、回路装置およびその製造方法に関する。特に本発明は、上面に複数の回路素子が実装される回路基板およびその製造方法、回路装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板上に実装された回路素子から成る回路装置を形成する場合、一枚の大型の基板の上面に多数個のユニットを構成する導電パターンを構成して、導電パターンに回路素子を接続した後に、各ユニットを分離する方法が従来から採用されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
図10を参照して、従来の回路基板およびその製造方法を説明する。図10(A)、図10(B)および図10(C)は各工程を示す断面図である。
【0004】
図10(A)を参照して、先ず、基板100の上面に多数個のユニット106を構成する導電パターン104を形成し、各ユニット106の境界に第1溝108および第2溝110を設ける。
【0005】
基板100の平面的な大きさは多数個のユニット106が形成される程度であり、例えば厚みが1.5mm程度のアルミニウムから成る基板が採用される。この様な基板1000の上面は、フィラーが混入された樹脂材料から成る絶縁層102により被覆される。
【0006】
絶縁層102の上面には、厚みが数十μm程度の導電箔をエッチングすることにより所定形状にパターニングされた導電パターン104が形成されている。ここで、ユニット106とは、1つの回路装置を構成する単位要素のことであり、各ユニット106毎に同一の形状の導電パターン104が形成されている。ここでは図示されていないが、基板100には、マトリックス状に多数個のユニット106が配置される。
【0007】
第1溝108は、各ユニット106の境界に沿って基板100の上面から形成された溝であり、V字型の断面形状を有する。基板100には、マトリックス状にユニット106が形成されているので、各ユニット106の間に設けられる第1溝108は格子状に形成される。ここで、基板100の厚みが1.5mmの場合、第1溝108の深さは0.6mm程度に形成されている。
【0008】
第2溝110は、第1溝108が形成される箇所に対応して、基板100の下面に設けられている。第2溝110の幅および深さは、第1溝108と同様に形成されている。
【0009】
上記した第1溝108および第2溝110は、高速で回転するカットソーを用いて、基板100を部分的に切削することにより形成される。
【0010】
図10(B)を参照して、次に、各ユニット106の導電パターン104に回路素子112を電気的に接続する。ここで、回路素子112としては、トランジスタまたはIC等の半導体素子や、チップ抵抗やチップコンデンサ等のチップ素子が示されている。IC等の半導体素子は、金属細線を経由して導電パターン104と接続される。
【0011】
図10(C)を参照して、次に、第1溝108および第2溝110が設けられた箇所にて基板100を分割して、各ユニット106に分離する。第1溝108および第2溝110が設けられた領域では、基板100の厚みが局所的に薄くなっているので、この領域にて基板100は容易に分離できる。基板100の分離方法としては、両溝が設けられた箇所にて基板100を曲折して分離する方法、この箇所にて基板100をダイシングする方法等がある。
【0012】
上記した分離の工程が終了した後は、導電パターン104から成るパッドにリードを固着し、封止樹脂やケース材を用いて回路素子112および基板100を封止して、回路装置が完成する。
【0013】
上記した方法により回路装置を製造することにより、多数個の回路装置を効率的に製造することが可能となる。
【0014】
次に、図11(A)を参照して、上記製造方法により製造された基板100および回路装置の構成を説明する。先ず、上記した溝を形成する製造方法により製造される基板100の側面は傾斜面を含む形状と成っている。具体的には、基板100の側面は、上面から連続して傾斜する第1側面118と、下面から連続して傾斜する第2側面120とから構成されている。ここでは、第1側面118と第2側面の大きさは等しい。また、基板100の周辺部には導電パターン104をランド状に形成したパッド116が設けられており、このパッド116にはリード114が固着されている。
【0015】
また、基板100を分離する方法としては幾つかの他の方法が提案されている。例えば、特許文献2を参照すると、金属基板2を区切るとともに金属基体1を貫通する溝3を設けることにより、各金属基板2の金属基体1からの分離が容易となる事項が開示されている。
【0016】
更に、特許文献3にはプリント基板分割機が開示されている。特に、この文献の図1等を参照すると、回転自在に備えられた回転刃31、32を使用して、プリント基板4を分割することが開示されている。
【0017】
また、特許文献4を参照すると、金属ベースプリント基板の分割方法が開示されている。特に、この文献の図1に示された工程図を参照すると、先ず、上面が絶縁層3により被覆された金属ベース板2の分離部位aにVカット溝6を設けている。そして、Vカット溝6の上方の絶縁層3をレーザーにより除去した後に、Vカット溝6が設けられた箇所にて応力を加えることで金属ベース板2を分離している。
【特許文献1】特開2003−318334号公報
【特許文献2】特開平7−142861号公報
【特許文献3】特開平6−79689号公報
【特許文献4】特開平10−22630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、図11(A)に示した構成の基板100では、高耐圧と小型化を両立させることが困難な問題があった。具体的には、上述したように第1側面118および第2側面120の大きさは同等程度であり、両者の幅L30は0.3mm程度である。また、金属材料が露出する基板100の端部とパッド116とは、耐圧を確保するためにある程度離間させる必要がある。例えば、両者が離間する距離L31は0.5mm程度である。更に、第1側面118および第2側面120が外側に等しく傾斜して突出するので、その分基板100の面積が大きくなり、装置全体の小型化が困難になる。
【0019】
また、図11(B)を参照して、基板100に、互いに深さが等しい第1溝108を格子状に設けると、第1溝108同士が直角に交差する箇所に於いて、金属バリが発生してしまう恐れがあった。気体や液体を高圧で基板100に吹き付けることにより、この金属バリをある程度除去することはできるが、全ての金属バリを除去することは困難である。そして、導電性の金属バリが基板100に残存してしまうと、製品としての回路装置に金属バリが付着してしまい、ショートが起きる恐れがある。
【0020】
本発明は上記した問題を鑑みてなされ、本発明の目的は、耐圧と小型化を両立させた回路基板およびその製造方法、回路装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の回路基板は、金属から成る金属基板と、前記金属基板の上面を被覆する絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された導電パターンとを備えた回路基板であり、前記金属基板の側面は、上面から連続して傾斜する第1側面と、下面から連続して傾斜する第2側面とを含み、前記導電パターンから成るパッドに接近する前記金属基板の側辺では、前記第1側面の幅を前記第2側面よりも短くすることを特徴とする。
【0022】
本発明の回路装置は、金属から成る金属基板と、前記金属基板の上面を被覆する絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された導電パターンと、前記導電パターンと電気的に接続された回路素子とを備えた回路装置であり、前記金属基板の側面は、上面から連続して傾斜する第1側面と、下面から連続して傾斜する第2側面とを含み、前記導電パターンから成るパッドに接近する前記金属基板の側辺では、前記第1側面の幅を前記第2側面よりも短くすることを特徴とする。
【0023】
本発明の回路基板の製造方法は、多面取り可能な基板の上面に、各ユニットを構成する導電パターンを形成する工程と、前記基板の上面に、前記各ユニットの境界に沿って互いに直交する第1溝および前記第1溝よりも浅い第2溝を設け、前記第1溝に対向する前記基板の下面に浅い第3溝を設け、前記第2溝に対向する前記基板の下面に前記第3溝よりも深い第4溝を設ける工程と、前記各溝が設けられた箇所にて前記基板を前記各ユニットに分離する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の回路装置の製造方法は、多面取り可能な基板の上面に、各ユニットを構成する導電パターンを形成する工程と、前記基板の上面に、前記各ユニットの境界に沿って互いに直交する第1溝および前記第1溝よりも浅い第2溝を設け、前記第1溝に対向する前記基板の下面に浅い第3溝を設け、前記第2溝に対向する前記基板の下面に前記第3溝よりも深い第4溝を設ける工程と、前記各ユニットの前記導電パターンに回路素子を電気的に接続する工程と、前記各溝が設けられた箇所にて前記基板を前記各ユニットに分離する工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、金属基板の側面を上面から連続して傾斜する第1側面と、下面から連続して傾斜する第2側面とから構成し、パッドが接近する側辺に於いて第1側面の幅を短くしている。この様に構成することで、金属材料が露出する金属基板の端面とパッドとを離間して耐圧を確保することができる。更には、導電パターンが配置可能な回路基板上面の有効面積が大きくなる。
【0026】
更に、製法上では、基板の上面に直交する第1溝および第2溝を設ける際に、第2溝を第1溝よりも浅く形成している。このことにより、両者が交差する箇所にて金属バリが発生することが抑制される。
【0027】
更に本発明では、基板の両面に分離用の溝を設けるが、深い第1溝の下方に浅い第3溝を設け、浅い第2溝の下方に深い第4溝を設けている。このことにより、深い溝が基板の同一箇所に設けられないので、これらの溝が形成された状態でも基板全体の機械的強度が一定以上に保たれている。従って、製造工程の途中段階に於ける基板の折れ曲がりが抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<第1の実施の形態:回路基板および回路装置の構成>
図1を参照して、本実施の形態の回路基板10の構成を説明する。図1(A)は回路基板10を上方から見た斜視図であり、図1(B)は図1(A)のB-B’線に於ける断面図であり、図1(C)は図1(A)のC−C’線に於ける断面図である。
【0029】
図1の各図を参照して、回路基板10は金属基板12と、金属基板12の上面を被覆する絶縁層14と、絶縁層14の上面に形成された所定形状の導電パターン16とを備えた構成となっている。
【0030】
金属基板12は、アルミニウムまたは銅等を主材料とする金属から成る基板であり、その平面的な大きさは、例えば縦×横=1cm×2cm程度である。また、金属基板12の厚みは、例えば1.5mm程度である。金属基板12がアルミニウムから成る基板の場合は、金属基板12の上面および下面は、陽極酸化により形成されたアルマイト膜により被覆されている。
【0031】
絶縁層14は、金属基板12の上面の全域を覆うように形成されており、粒状のアルミナ等のフィラーが高充填された樹脂材料から成る。絶縁層14の厚みは例えば50μm程度である。
【0032】
導電パターン16は、絶縁層14の上面に貼着された銅等の導電箔を所定形状にエッチングすることにより形成される。図1(A)を参照すると、導電パターン16は、回路素子が接続されるランドや、このランド同士を接続される配線を構成している。更に、パッド状に形成された導電パターン16から成るパッド26が、金属基板12の右側の側辺(第1側辺12A)に沿って設けられている。このパッド26には、入出力端子となるリードが固着される。この図では、第1側辺12Aのみに沿ってパッド26が設けられているが、第1側辺12Aに対向する第2側辺12Bに沿ってもパッド26を設けても良い。
【0033】
図1(A)を参照して、金属基板12は4つの側辺を有する四角形形状であり、具体的には、紙面上にて横方向に対向する第1側辺12Aおよび第2側辺12Bと、紙面上にて縦方向に対向する第3側辺12Cおよび第4側辺12Dを備えている。第1側辺12Aおよび第2側辺12Bは長手方向で対向しており、第3側辺12Cと第4側辺12Dとは短手方向で対向している。そして、第1側辺12Aおよび第2側辺12Bと、第3側辺12Cおよび第4側辺12Dとでは、金属基板12の側面の形状が異なる。
【0034】
図1(B)を参照して、第1側辺12Aおよび第2側辺12Bに於ける金属基板12の側面の形状を説明する。この断面に於ける金属基板12の側面は、外側に突出する傾斜面と成っている。具体的には、金属基板12の側面は、上面から連続して外側に傾斜する第1側面22と、下面から連続して外側に傾斜する第2側面24とを含む。そして、第1側辺12Aおよび第2側辺12Bに於いては、第1側面22の幅は第2側面24よりも狭く構成されている。具体的には、第1側面22の幅L1が0.1mmであるのに対して、第2側面24の幅L2は0.4mm程度である。更に、第1側面22の厚みL3は0.2mmであり、第2側面24の厚みは1.0mm程度である。
【0035】
本形態では、上記のように第1側面22を第2側面24よりも小さくすることで、金属基板12の大型化を抑制して、パッド26と金属基板12との間の耐圧が確保される。具体的には、金属基板12の側面はアルミニウム等の金属材料が露出する面であるので、パッド26を絶縁層14の右端に配置すると、金属基板12の側面とパッド26とがショートしてしまう恐れがある。また、両者の耐圧を確保するために絶縁層14の右端からパッド26を離間させて内側に配置させると、回路基板10の上面に於けるデッドスペースが増大して、装置の小型化が困難になる。
【0036】
そこで本形態では、第1側面22を第2側面24よりも小さくすることで、第1側面22の幅L1を狭くしている。このことにより、パッド26等を配置可能な回路基板10の上面の有効面積が大きくなり、絶縁層14の端部からパッド26を離間させることによる金属基板12の面積の増大が抑制される。具体的には、絶縁層14の右端とパッド26とが離間する距離L6は、0.8mm程度以上とすると、十分な耐圧が確保される。
【0037】
図1(C)を参照して、第3側辺12Cおよび第4側辺12D(図1(A)参照)に関しては、第1側面22と第2側面24との大小関係は、第1側辺12Aおよび第2側辺12Bと逆になる。即ち、第1側面22の幅および厚さは、第2側面24よりも大きく形成される。具体的には、第1側面の幅L8は0.4mm程度であり、高さL9は1.0mm程度である。更に、第2側面24の幅L11は0.1mm程度であり、高さL10は0.2mm程度である。
【0038】
図2を参照して、次に、上記した回路基板10が適用された混成集積回路装置30(回路装置)の構成を説明する。図2(A)は混成集積回路装置30を上方から見た斜視図であり、図2(B)は図2(A)のX−X’線における断面図である。
【0039】
図2(A)および図2(B)を参照して、回路基板10の上面および側面は全面的に封止樹脂28により被覆されている。更に、回路基板10上の導電パターン16に電気的に接続された回路素子18も封止樹脂28により被覆される。封止樹脂28は、粒状のアルミナ等のフィラーが混入された樹脂材料から成る。ここで、封止樹脂28の樹脂材料としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂が採用される。ここでは、放熱性を向上させるために、金属基板12の下面は封止樹脂28により被覆されずに外部に露出している。しかしながら、耐圧性を向上させるために、金属基板12の下面を封止樹脂28により被覆しても良い。
【0040】
本実施の形態では、金属基板12の側面が、外側に突出する傾斜面である第1側面22および第2側面24とから構成されている。従って、傾斜面である第1側面22および第2側面24と封止樹脂28との間にアンカー効果が発生して、封止樹脂28と回路基板10との剥離が抑制される利点がある。
【0041】
回路基板10の上面に形成されたパッド26の上面には、半田等の導電性接着材を介してリード20の一端が固着されており、リード20の他端は封止樹脂28から外部に露出している。上記したように、パッド26は、絶縁層14の端部(金属材料が露出する金属基板12の側面)から十分に離間されているので、両者の耐圧は十分に確保されている。従って、リード20から高電圧がパッド26に印加されても、金属基板12とパッド26とのショートが防止される。
【0042】
回路素子18は、導電パターン16の所定の箇所に、半田等の導電性接着材を介して実装される。回路素子18としては、受動素子、能動素子または樹脂封止型パッケージ等を全般的に採用することができる。また、パワー系のトランジスタを実装する場合は、導電パターン上に固着されたヒートシンク上にその素子が実装される。また、IC等の半導体素子は、金属細線を経由して導電パターン16に接続される。
【0043】
更に、図2(B)を参照して、絶縁層14を部分的に除去して開口部を設け、この開口部を経由して導電パターン16と金属基板12とを接続しても良い。このことで、金属基板12を固定電位(例えば電源電位や接地電位)とすることができる。
【0044】
上記した構成の混成集積回路装置30には、様々な電気回路を内蔵させることができる。例えば、回路基板10の上面に形成された回路素子18および導電パターン16により、インバーター回路、オーディオパワーアンプ等が構築される。
【0045】
図3を参照して、他の形態の回路装置31の構成を説明する。図3(A)は回路装置31を上方から見た斜視図であり、図3(B)は図3(A)のB−B’線に於ける断面図であり、図3(C)は図3(A)のC−C’線に於ける断面図である。
【0046】
図3(A)および図3(B)を参照して、回路装置31の基本的な構成は上述した混成集積回路装置30と共通しており、相違点は多数個の発光素子40が金属基板32の上面に配置されることにある。具体的には、回路装置31は、アルミニウム等の金属から成る金属基板32と、この金属基板32の上面を被覆する絶縁層36と、導電パターン34と、導電パターン34に電気的に接続された発光素子40とを備えた構成と成っている。即ち、ここで説明する回路装置31は、多数個の発光素子40を備えることで照明器具として機能する。
【0047】
図3(A)を参照して、回路装置31を構成する金属基板32の平面的大きさなは、例えば縦×横=0.5mm×20cm程度の極めて細長い四角形形状を呈している。そして、金属基板32は、短手方向で対向する第1側辺32Aおよび第2側辺32Bと、長手方向で対向する第3側辺32Cおよび第4側辺32Dを備えている。
【0048】
金属基板32の上面は絶縁層36により被覆されており、この絶縁層36の上面に導電パターン34が形成されている。図3(A)を参照して、導電パターン34は、金属基板32の長手方向に沿って一列に配置され、両端に配置された導電パターン34は、外部と接続されるパッドとして機能している。
【0049】
金属基板32の上面には、LEDである発光素子40が実装されており、発光素子40の上面に形成された電極は、金属細線42を経由して導電パターン34と接続されている。ここでは、金属基板32の上面に実装された発光素子40は、金属細線42および導電パターン34を経由して全てが直列に接続されても良い。
【0050】
発光素子40は、絶縁層36を部分的に除去して設けた開口部38の内部に配置され、発光素子40は金属基板32の上面に直に実装される。ここで、発光素子40の実装に用いられる接合材44の材料としては、半田等の熱伝導性に優れたものが採用される。
【0051】
図3(B)を参照して、金属基板32の第1側辺32Aの側面は、上面から連続して外側に傾斜する第1側面46と、下面から連続して外側に傾斜する第2側面48とから構成されている。そして、上記と同様に、第1側面46の幅は第2側面48よりも狭く形成されている。第1側面46の幅を狭くすることにより、絶縁層36の左端と導電パターン34とを十分に離間させると共に、金属基板32の平面的な大きさを抑制することができる。絶縁層36の左端と導電パターン34とが離間する距離L12は、例えば0.8mm程度以上である。
【0052】
尚、図示されていないが、図3(A)に示す金属基板32の第2側辺32Bの構成も、第1側辺32Aと同様である。
【0053】
図3(C)を参照して、長手方向の第3側辺32Cおよび第4側辺32Dでは、第1側面46の方が、第2側面48よりも大きく形成されている。
【0054】
<第2の実施の形態:回路基板および回路装置の製造方法>
本実施の形態では、図4以降の図を参照して、回路基板および回路装置の製造方法を説明する。
【0055】
図4を参照して、先ず、大型の基板50の上面および下面にV型の断面形状を有する溝を形成する。図4(A)を参照して、基板50は多数個の回路基板が形成可能な大型のものであり、形成される回路基板の大きさに応じてダイシングラインが格子状に規定される。ここでは、紙面上にて横方向にダイシングラインD1が規定されており、縦方向にD2が規定されている。ここでは、基板50としてアルミニウム等の金属から成る基板を採用するが、基板50の材料としてはガラスエポキシ等の樹脂材料やセラミックが採用されても良い。
【0056】
図4(B)を参照して、カットソー52、54を使用して上記したダイシングラインに沿ってダイシングを行うことにより、基板50の上面および下面にV型の断面形状を有する溝を設ける。ここでは、高速で回転するカットソー52、54を使用して、基板50の上面および下面に対して、ダイシングラインD1に沿って同時に溝を形成する。ダイシングラインD1に沿ったダイシングが終了した後は、ダイシングラインD2に沿ってダイシングを行う。この工程により、基板50の上面および下面に格子状に溝が形成される。また、図4(C)を参照して、カットソー52、54の刃先56は、形成される溝の形状に対応したV型の形状を呈している。
【0057】
図5を参照して、上記工程により溝が形成された基板50の形状を説明する。図5(A)は先工程にて溝が形成された基板50を示す斜視図であり、図5(B)は図5(A)のB−B’線における断面図であり、図5(C)は図5(A)のC−C’線における断面図である。
【0058】
図5(A)を参照して、基板50の上面には、格子状に第1溝58および第2溝60が形成される。ここで、第2溝60は第1溝58よりも浅く形成される。基板50の下面には、上面の第1溝58および第2溝60に対応した箇所に、第3溝62および第4溝64が形成される。ここで、第1溝58に対応して設けられる第3溝62は、第2溝60に対応して設けられる第4溝よりも浅く形成される。
【0059】
また、基板50の上面にて第1溝58および第2溝60により囲まれる領域が1つのユニット66であり、このユニット66毎に同一形状の導電パターン(不図示)が形成されている。
【0060】
図5(B)を参照して、各ユニット66の境界には、上面から第2溝60が形成され、下面からは第4溝64が形成されている。ここで、第2溝60は第4溝64よりも浅く形成されている。具体的には、浅く形成される第2溝60の幅L20は0.2mm程度であり、深さL21は0.2mm程度である。一方、基板50の下面から形成される第4溝64の幅L24は0.8mm程度であり、深さL23は1.0mm程度である。また、基板50の厚み方向に対して両溝が形成されない部分の厚みL22は0.4mm程度である。
【0061】
図5(C)を参照して、ここでは、上面から形成される第1溝58の方が下面から形成される第3溝62よりも深く形成されている。ここで、第1溝58の大きさは図5(B)に示した第4溝64と同様であり、第3溝62の大きさは図5(B)に示した第2溝60と同様でよい。
【0062】
図6を参照して、上記工程により各溝が形成された基板50の構成を説明する。図6(A)は基板50を示す平面図であり、図6(B)は第1溝58と第2溝60とが交差する箇所を撮影した画像である。
【0063】
図6(A)を参照して、基板50の上面に形成された各ユニット66の境界に沿って、第1溝58と第2溝60とが格子状に形成されている。紙面上では、幅が0.8mm程度に広い第1溝58が縦方向に形成され、幅が0.2mm程度に狭い第2溝が横方向に形成される。そして、各ユニット66は紙面上にて横方向に細長い矩形であり、上方の側辺に沿って多数個のパッド26が形成されている。即ち、本工程では、パッド26が整列されるユニット66の長手方向に沿って、幅が狭い第2溝60を設けている。このことにより、幅が狭い第2溝60が占有する面積が小さいので、ユニット66の端部からパッド26を離間させることができる。
【0064】
図6(B)を参照して、本工程では、第1溝58と第2溝60との深さや幅が大きく異なるので、両者の交差する箇所にて金属バリが発生することが抑制される。また、両者が交差する箇所にて金属バリが発生したとしても、その量は従来例と比較すると極めて少ない。従って、導電性の金属バリに起因したショート等が抑制される。尚、図6(B)を参照して、第2溝60の下方に形成される第4溝64(図5(B)参照)と第1溝58とが交差することにより、基板50を貫通する孔部が形成される。
【0065】
ここで、図5(B)および図5(C)を参照して、厚み方向に深く形成される第1溝58および第4溝64の深さを調整することにより、金属バリの発生を更に抑制することができる。具体的には、図5(B)に示す第4溝64の深さL23を、基板50の厚みの半分以下程度(例えば0.7mm)とする。更に、図5(C)に示す第1溝58の厚みも同様に0.7mm程度とする。この様にすることで、第1溝58と第4溝64とを加算した長さが基板50の厚み(例えば1.5mm)よりも短くなるので、両者が交差する箇所にて図6(B)に示したような孔部が形成されない。結果的に、金属バリを低減させる効果が更に大きくなる。また、この様に第4溝64の深さを調整することにより、溝が形成されない部分の残圧L22(図5(B)参照)は例えば0.6mm程度となる。
【0066】
図7を参照して、次に、基板50の各ユニットに回路素子18を配置して接続する。実装される回路素子18としては、トランジスタやIC等の能動素子や、チップ抵抗やチップコンデンサ等の受動素子が採用される。回路素子18の実装には、導電性ペーストや半田等の導電性の固着材が使用される。また、半導体素子の上面に形成された電極と導電パターン16とは、金属細線を経由して接続される。ここで、実装を行う本工程は各ユニット66が連結された状態のまま行われているが、本工程の実装を行う前に基板50を各ユニット66に分離しても良い。このことにより、図1に示した構成の回路基板10が構成される。
【0067】
図8を参照して、次に、基板50を各ユニット66に分離する。各ユニット66の分離は、ユニット66同士の境界にて基板50を曲折させることにより行う方法と、鋭利なカッターを使用した方法が考えられる。
【0068】
図8(A)を参照して、基板50を曲折させることにより、個々のユニット66を分割する方法を説明する。この方法では、紙面上にて左側の第2溝60および第4溝64が形成された箇所が支点と成るように、基板50を部分的に折り曲げる。第2溝60および第4溝64が形成された箇所は、両溝が形成されていない厚み部分のみで連結されているので、この箇所で折り曲げることにより、この連結部分から容易に基板50を分離することができる。また、基板50の上面に形成された電気回路が破壊されないように、曲折を行う際には基板50の側面を保持する。
【0069】
図8(B)を参照して、丸カッター70により、基板50の分割を行う方法を説明する。先端が鋭利に形成された円盤状の丸カッター70は、回転自在に支持部68に備えられている。そして、第2溝60に丸カッター70を押し当てながら支持部68を移動させることにより、第2溝60と第4溝64との間の基板50の残りの厚み部分を除去している。
【0070】
また、上記したユニット66の分離は、図5(A)に示す第1溝58および第3溝62が形成された箇所に於いても行われる。更に、各ユニット66を分離する方法としては、上記した方法の他にも、レーザー照射、打ち抜き等が採用されても良い。
【0071】
図9を参照して、次に、上記の工程により分離された金属基板12を封止する。本工程では、上金型74および下金型76から成る金型72を使用したトランスファーモールドにより回路素子18および金属基板12を封止する。
【0072】
本工程では、先ず、金属基板12の上面に形成されたパッド26に半田を介してリード20を固着した後に、金型72のキャビティ78に金属基板12を収納させる。次に、不図示のゲートから液状の熱硬化性樹脂をキャビティ78に注入することにより、回路素子18と金属基板12の上面および側面を封止する。ここで、封止樹脂28による樹脂封止に替えて、ケース材を適用した封止構造が採用されても良い。
【0073】
以上の工程により、図2に構成を示した混成集積回路装置30が製造される。また、図3に示した回路装置31の製造方法も上記と基本的には同様である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の回路基板を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)および(C)は断面図である。
【図2】本発明の混成集積回路装置を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。
【図3】本発明の混成集積回路装置を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)および(C)は断面図である。
【図4】本発明の回路装置の製造方法を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)および(C)は斜視図である。
【図5】本発明の回路装置の製造方法を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)および(C)は断面図である。
【図6】本発明の回路装置の製造方法を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は金属バリを示す画像である。
【図7】本発明の回路装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】本発明の回路装置の製造方法を示す図であり、(A)および(B)は断面図である。
【図9】本発明の回路装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】背景技術の回路装置の製造方法を示す図であり、(A)−(C)は断面図である。
【図11】(A)は背景技術の回路装置を示す断面図であり、(B)は金属バリを示す画像である。
【符号の説明】
【0075】
10 回路基板
12 金属基板
12A 第1側辺
12B 第2側辺
12C 第3側辺
12D 第4側辺
14 絶縁層
16 導電パターン
18 回路素子
20 リード
22 第1側面
24 第2側面
26 パッド
28 封止樹脂
30 混成集積回路装置
31 回路装置
32 金属基板
32A 第1側辺
32B 第2側辺
32C 第3側辺
32D 第4側辺
34 導電パターン
36 絶縁層
38 開口部
40 発光素子
42 金属細線
44 接合材
46 第1側面
48 第2側面
50 基板
52 カットソー
54 カットソー
56 刃先
58 第1溝
60 第2溝
62 第3溝
64 第4溝
66 ユニット
68 支持部
70 丸カッター
72 金型
74 上金型
76 下金型
78 キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属から成る金属基板と、前記金属基板の上面を被覆する絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された導電パターンとを備えた回路基板であり、
前記金属基板の側面は、上面から連続して傾斜する第1側面と、下面から連続して傾斜する第2側面とを含み、
前記導電パターンから成るパッドに接近する前記金属基板の側辺では、前記第1側面の幅を前記第2側面よりも短くすることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記金属基板は、長手方向で対向する第1側辺および第2側辺と、短手方向で対向する第3側辺および第4側辺とを有し、
前記パッドは、前記第1側辺または前記第2側辺に接近して設けられ、
前記第1側辺および前記第2側辺では、前記第1側面の幅が前記第2側面よりも短く形成されることを特徴とする請求項1記載の回路基板。
【請求項3】
前記第3側辺および前記第4側辺では、
前記第1側面の幅が前記第2側面よりも長く形成されることを特徴とする請求項1記載の回路基板。
【請求項4】
金属から成る金属基板と、前記金属基板の上面を被覆する絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された導電パターンと、前記導電パターンと電気的に接続された回路素子とを備えた回路装置であり、
前記金属基板の側面は、上面から連続して傾斜する第1側面と、下面から連続して傾斜する第2側面とを含み、
前記導電パターンから成るパッドに接近する前記金属基板の側辺では、前記第1側面の幅を前記第2側面よりも短くすることを特徴とする回路装置。
【請求項5】
前記パッドに固着されるリードを備えることを特徴とする請求項4記載の回路装置。
【請求項6】
前記回路素子を封止すると共に、前記回路基板の少なくとも上面を被覆する封止樹脂を備えることを特徴とする請求項4記載の回路装置。
【請求項7】
多面取り可能な基板の上面に、各ユニットを構成する導電パターンを形成する工程と、
前記基板の上面に、前記各ユニットの境界に沿って互いに直交する第1溝および前記第1溝よりも浅い第2溝を設け、前記第1溝に対向する前記基板の下面に浅い第3溝を設け、前記第2溝に対向する前記基板の下面に前記第3溝よりも深い第4溝を設ける工程と、
前記各溝が設けられた箇所にて前記基板を前記各ユニットに分離する工程と、を備えたことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記導電パターンを形成する工程では、前記導電パターンから成るパッドが前記ユニットの長手方向の側辺に沿って設けられ、
前記各溝を設ける工程では、前記ユニットの長手方向に沿って前記第2溝を設け、前記ユニットの短手方向に沿って前記第1溝を設けることを特徴とする請求項7記載の回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1溝および前記第4溝の深さを、前記基板の厚さの半分以下とすることを特徴とする請求項7記載の回路基板の製造方法。
【請求項10】
多面取り可能な基板の上面に、各ユニットを構成する導電パターンを形成する工程と、
前記基板の上面に、前記各ユニットの境界に沿って互いに直交する第1溝および前記第1溝よりも浅い第2溝を設け、前記第1溝に対向する前記基板の下面に浅い第3溝を設け、前記第2溝に対向する前記基板の下面に前記第3溝よりも深い第4溝を設ける工程と、
前記各ユニットの前記導電パターンに回路素子を電気的に接続する工程と、
前記各溝が設けられた箇所にて前記基板を前記各ユニットに分離する工程と、
を備えたことを特徴とする回路装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−158687(P2009−158687A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334237(P2007−334237)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】