説明

回路基板構造

【課題】安価な構造で、製造性が良く、信頼性を失うことが無い回路基板構造を実現する。
【解決手段】第1の基板と第2の基板とが平面を構成するように前記第1の基板の一方の端縁と第2の基板の一方の端縁とをコネクタ接続するコネクターと、一方の面が前記第1の基板と第2の基板とに接し前記第1の基板と第2の基板とを一平面に整列する基準平面部とこの基準平面部に一方の端縁が接続され前記コネクターを覆って設けられコの字状をなすコネクター回避平面部とこのコネクター回避平面部の他方側に設けられ前記第1の基板と第2の基板とに設けられた切欠き端部が直交して挿入され前記第1の基板と第2の基板の回動を規制する基板回動規制孔とを有する基板間接続金具と、を具備したことを特徴とする回路基板構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板構造に関するものである。
更に詳述すれば、安価な構造で、製造性が良く、信頼性を失うことが無い回路基板構造を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
図10は従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図で、例えば、情報分電盤に使用された例に付いて説明する。
図において、情報分電盤は複数の入出力コネクタ1とUSBコネクタ2、LED3の表示を有する。
【0003】
接続された機器は情報分電盤を介して、PCと情報の送受信を行う。
LEDの表示は情報分電盤の稼動状態を表示する。
接続された機器からPCへの情報は、複数の入出力コネクタ1により集約され、USBドライバ回路によりUSB規格に準拠した信号に変換され、PCに送信される。
【0004】
PCから機器への情報はその逆で送信される。
上記機能を有する回路が1枚の基板4上で実現される。基板4はスタッドとネジにより前面カバー5へ装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−253103号公報
【特許文献2】特開2000−277931号公報
【特許文献3】特開2004−274925号公報
【特許文献4】特開2009−022083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような装置においては、以下の問題点がある。
このような回路基板は多数の入出力コネクタを有するため基板サイズは大きくなる。
また、USBドライバ回路は通信機能を実現する部分は複雑な回路を要する。
これらの要求を満たす回路基板は、大きな多層板となり高価になってしまう。
また、上記基板を製造するには、大きなサイズの回路基板を扱えるマウンタが必要になってしまう。
【0007】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、安価な構造で、製造性が良く、信頼性を失うことが無い回路基板構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1の回路基板構造においては、
第1の基板と第2の基板とが平面を構成するように前記第1の基板の一方の端縁と第2の基板の一方の端縁とをコネクタ接続するコネクターと、一方の面が前記第1の基板と第2の基板とに接し前記第1の基板と第2の基板とを一平面に整列する基準平面部とこの基準平面部に一方の端縁が接続され前記コネクターを覆って設けられコの字状をなすコネクター回避平面部とこのコネクター回避平面部の他方側に設けられ前記第1の基板と第2の基板とに設けられた切欠き端部が直交して挿入され前記第1の基板と第2の基板の回動を規制する基板回動規制孔とを有する基板間接続金具と、を具備したことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2の回路基板構造においては、請求項1記載の回路基板構造において、
前記第1の基板は多層基板が使用され、前記第2の基板は片面実装基板が使用されたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3の回路基板構造においては、請求項1記載の回路基板構造において、
前記第1の基板はメタル基板が使用され、前記第2の基板はガラスエポキシ基板が使用されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1によれば、次のような効果がある。
価格の高価な種類の基板の方を必要最小限にすることが出来るので、コストを低減できる回路基板構造が得られる。
価格の高価な種類の基板の方を必要最小限にして小さくできるので、大きな基板を扱えるマウンタがなくとも製造でき、製造性を高めることができる回路基板構造が得られる。
【0012】
基板間接続金具により、水平接続構造の寸法精度を確保することでコネクタ嵌合精度を確保し、また基板間接続の強度を補強できるので、信頼性を確保できる回路基板構造が得られる。
【0013】
本発明の請求項2によれば、次のような効果がある。
第1の基板は多層基板が使用され、第2の基板は片面実装基板が使用されたので、多層基板に高密度パターン回路部分を使用し、片面実装基板に疎密度パターン回路部分を使用する使い分けが容易に出来る回路基板構造が得られる。
【0014】
本発明の請求項3によれば、次のような効果がある。
第1の基板はメタル基板が使用され、第2の基板はガラスエポキシ基板が使用されたので、発熱電子部品をメタル基板に使用し、熱に弱い電子部品をガラスエポキシ基板に容易に配置できる回路基板構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の背面図である
【図4】図1の要部構成斜視説明図である
【図5】図1の要部組立説明図である
【図6】図1の部品説明図である
【図7】図1の部品説明図である
【図8】図1の部品説明図である
【図9】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図10】従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成斜視説明図で、情報分電盤の回路基板構造として使用された例である。
図2は図1の平面図、図3は図1の背面図である。
図4は図1の要部構成斜視説明図、図5は図1の要部組立説明図である。
図5(a)は正面図、図5(b)は平面図、図5(c)は側面図である。
【0017】
図6,図7,図8は図1の部品説明図である。
図6(a)は正面図、図6(b)は平面図、図6(c)は右側面図、図6(d)は左側面図である。
図において、図10と同一記号の構成は同一機能を表す。
以下、図10との相違部分のみ説明する。
【0018】
図1〜図8において、コネクター11は、第1の基板12と第2の基板13とが平面を構成するように、第1の基板12の一方の端縁と第2の基板13の一方の端縁とをコネクタ接続する。
この場合は、第1の基板12は多層基板が使用され、第2の基板13は片面実装基板が使用されている。
【0019】
基板間接続金具14は、基準平面部141とコネクター回避平面部142と基板回動規制孔143とを有する。
基準平面部141は、一方の面が、第1の基板12と第2の基板13とに接し、第1の基板12と第2の基板13とを一平面に整列する。
この場合は、ねじ15により固定される。
【0020】
コネクター回避平面部142は、基準平面部141に一方の端縁が接続され、コネクター11を覆って設けられコの字状をなす。
基板回動規制孔143は、コネクター回避平面部142の他方側に設けられ、第1の基板12と第2の基板13とに設けられた切欠き端部121,131が直交して挿入され、第1の基板12と第2の基板13の回動を規制する。
なお、基板回動規制孔143は、最終組立前の第1の基板12と第2の基板13とが、重みによって垂直方向に曲がるのを防止している。
【0021】
以上の構成において、図10従来例において、1枚の大きな多層基板4で実現していた回路を、多層基板12と片面実装基板13の2枚の基板に分けた。
これにより、多層基板12の面積を小さくできるため、基板コストを下げることができる。また、基板サイズが小さくなることにより、特別なマウンタを用意する必要なく製造することができる。
【0022】
しかしながら、2枚の基板12、3を接続する基板間接続コネクタ11は高精度の位置決めが必要である。これは、大きな位置ずれが生じると、接続コネクタ11の接続不良が生じるためである。
このため、基板間接続コネクタ11の位置決めは、基板間接続金具14によって行われる。
【0023】
ここにおいて、情報分電盤に具体的に使用された場合は、以下の如くなる。
多層基板12は、USBドライバ基板として使用され、USBコネクタ2とUSBドライバ回路が実装される。
コネクタ11を通して通信された信号を、USB規格に準拠した信号へ変換し、USBコネクタ2を介してPCと通信する。
ICが実装され、回路パターンは複雑になるため多層基板が必要とされる。
【0024】
片面実装基板13には、入出力コネクタ1が実装される。
入出力信号をまとめ、コネクタ11を通してUSBドライバ回路と通信する。
複雑な回路パターンは必要ないため、片面実装基板13で十分である。
【0025】
コネクタ11は、2枚の基板を水平に電気的に接続する。
分電盤のサイズや入出力の数から、コネクタ11には小サイズ多芯数が求められる。このため、使用するコネクタ11は幅手方向に高精度の位置決めを必要とされる。
【0026】
基板間接続金具14は、2枚の基板12,13を水平に機械的に接続する。
2枚の基板12,13は基板間接続金具14の基準平面部141の同一面にねじ止めされる。この結果、基板12,13の垂直方向の高精度の位置決めができる。基板12,13の水平方向についても、ねじ穴のガタでずれを吸収できるため、高精度が確保できる。
【0027】
基板間接続金具14の他端側には、基板回動規制孔143が設けられ、基板12,13が係止されているのは、もし、基板間接続金具14の両側で基板12,13を固定すると、板金加工上で生じるずれにより、基板12,13の高精度の位置決めが実現できなくなるからである。このため、基板回動規制孔143は、位置決めではなく、組み立て途中時に生じる基板12,13の垂直方向のたわみを一定範囲内に制限する機能しか持たない。
【0028】
この結果、価格の高価な種類の基板12の方を、必要最小限にすることが出来るので、コストを低減できる回路基板構造が得られる。
価格の高価な種類の基板12の方を必要最小限にして小さくできるので、大きな基板を扱えるマウンタがなくとも製造でき、製造性を高めることができる回路基板構造が得られる。
【0029】
基板間接続金具14により、水平接続構造の寸法精度を確保することでコネクタ11の嵌合精度を確保し、また、基板12,13間の接続の強度を補強できるので、信頼性を確保できる回路基板構造が得られる。
【0030】
第1の基板12は多層基板が使用され、第2の基板13は片面実装基板が使用されたので、多層基板12に高密度パターン回路部分を使用し、片面実装基板13に疎密度パターン回路部分を使用する使い分けが容易に出来る回路基板構造が得られる。
【0031】
図9は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図9において、第1の基板21にはメタル基板が使用され、第2の基板22はガラスエポキシ基板が使用されている。
【0032】
この結果、第1の基板22はメタル基板が使用され、第2の基板23はガラスエポキシ基板が使用されたので、発熱電子部品をメタル基板に使用し、熱に弱い電子部品をガラスエポキシ基板に容易に配置できる回路基板構造が得られる。
【0033】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【符号の説明】
【0034】
1 入出力コネクタ
2 USBコネクタ
3 LED
4 基板
5 前面カバー
11 コネクター
12 第1の基板
12 多層基板
121 切欠き端部
13 第2の基板
13 片面実装基板
131 切欠き端部
14 基板間接続金具
141 基準平面部
142 コネクター回避平面部
143 基板回動規制孔
15 ねじ
22 第1の基板
22 多層基板
121 切欠き端部
23 第2の基板
23 片面実装基板
231 切欠き端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と第2の基板とが平面を構成するように前記第1の基板の一方の端縁と第2の基板の一方の端縁とをコネクタ接続するコネクターと、
一方の面が前記第1の基板と第2の基板とに接し前記第1の基板と第2の基板とを一平面に整列する基準平面部と
この基準平面部に一方の端縁が接続され前記コネクターを覆って設けられコの字状をなすコネクター回避平面部と
このコネクター回避平面部の他方側に設けられ前記第1の基板と第2の基板とに設けられた切欠き端部が直交して挿入され前記第1の基板と第2の基板の回動を規制する基板回動規制孔と
を有する基板間接続金具と、
を具備したことを特徴とする回路基板構造。
【請求項2】
前記第1の基板は多層基板が使用され、前記第2の基板は片面実装基板が使用されたこと
を特徴とする請求項1記載の回路基板構造。
【請求項3】
前記第1の基板はメタル基板が使用され、前記第2の基板はガラスエポキシ基板が使用されたこと
を特徴とする請求項1記載の回路基板構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−124489(P2011−124489A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282905(P2009−282905)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】