説明

回転体駆動装置及びこの回転体駆動装置を用いた像担持体駆動装置と画像形成装置

【課題】ドラムが回転変動無く高精度に駆動可能でメンテナンスが容易な回転体駆動装置を提供すること。
【解決手段】モータ軸11に設けられた太陽歯車70と、キャリア90に回転自在に保持した遊星歯車80と、遊星歯車80と噛み合う内歯歯車30と、キャリア90の出力軸40とを備えた遊星歯車減速機構を介して、モータ10から感光体ドラム1Yを回転駆動する回転体駆動装置において、出力軸40を浮動支持受け51により浮動状態で支持し、この出力軸40に設けてあるギヤカップリング22を介して感光体ドラム1Yを回転駆動するようにし、キャリア90の回転調心作用により出力軸40とドラムフランジ21の軸心に食い違いが生じても、キャリア90の回転調心作用により無理なく確実に回転を伝達することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムの駆動に遊星歯車等の入出力同軸型歯車機構を用いた駆動装置に係り、特に複写機やプリンタ、ファクシミリなどの感光体ドラムや転写ドラムの駆動に好適な駆動装置及びその駆動装置を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置における感光体ドラムの回転状態は画像品質に大きく影響するため、高精度の回転駆動が要求されるが、ここで駆動源となるモータにより感光体ドラムを駆動する場合、感光体ドラムを支持する本体側板の一方の外側に何対かの外歯歯車(平歯車)で構成された減速手段を設け、この減速手段を介してモータの回転速度を減速し、例えば60rpmなどの所望の回転数(回転速度)でドラムが駆動されるように構成するのが一般的である。
【0003】
しかし、この構成で、例えば50対1などの大きな減速比を得るためには外歯歯車を大径化する必要がある。しかし、この場合、感光体ドラムが複数あり、これら複数のドラムの間の距離を所定の間隔にするためには、外歯歯車を前後方向に互い違いに配置する必要があり、このため装置が奥行方向と高さ方向に大型化してしまうことになる。
【0004】
ところで、大きな減速比が容易に得ることができる構成として遊星歯車機構があり、この遊星歯車機構を減速機に使用する方法が知られている。そして、この構成によれば、太陽歯車、遊星歯車、内歯歯車の歯数によって減速比が定められるため、外歯歯車を用いる構成に比べ、高さ方向の小型化が可能になるが、ここで、更に奥行方向においても小型化するために、減速機構を感光体ドラムに内包させた構成が従来から開示されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0005】
また、ここで更に奥行方向での小型化を狙って、駆動用のモータも減速機構と共に感光体ドラムの内部に配置した装置が、これも従来から開示されている(例えば特許文献2等を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術は、感光体ドラムに対する駆動機構の着脱について配慮がされておらず、このため、モータや各駆動伝達部材及び感光体ドラム等のメンテナンス性が低下すると共に、各部分に分離するのが困難なため、感光体ドラムと駆動機構全体をユニットとして交換しなければならないため、メンテナンスコストの抑制に問題があった。
【0007】
特許文献1に記載の従来技術の場合、感光体ドラムの着脱には、そこに記載されている実施形態において、フランジ(7)から感光体ドラムを離脱させる方法(第1の方法)と、軸(17a)を軸受(14)から抜き、第1支持部(15)から軸受(13)を抜き、遊星ローラ(20)からフランジ(7)を抜くようにする方法(第2の方法)とが考えられる。
【0008】
ここで、まず、第1の方法の場合には、着脱に際して、感光体ドラム端部の円筒状の空洞がフランジと嵌め合うことになるが、このとき感光体ドラムの端部がフランジに片当たりすると感光体ドラムに歪みが生じ、この場合、画像形成に異常が生じてしまう。また、このときラジアル方向の力が加わえられてしまう虞があり、この場合は感光体ドラム端部の円筒状の空洞が歪み、フランジに取り付けられなくなってしまう。
【0009】
次に、第2の方法の場合には、着脱に際して必要なラジアル方向とスラスト方向の位置決めが、軸(17a)と軸受(14)嵌め合いと第1支持部(15)と軸受(13)の嵌め合いで決ることになり、従って、この場合は、2箇所で同時に位置決めすることになるため、部材の成型精度や取り付け精度等を予めかなり高くしておかないと難しい。また、遊星ローラ(20)と摩擦部材(31)は各当接部にて強く圧接されていないと駆動伝達に支障をきたすため、これらをフランジ(7)と嵌め合わせるのは極めて困難なことになる。
【0010】
また、この従来技術では、遊星歯車(71)を用いた歯車の噛み合いによる駆動伝達についても開示しているが、この場合においては、フランジ(7)に設けた内歯歯車(72)と遊星歯車(71)とが噛み合うようにスラスト方向に移動させて組み付けると歯当たりしてしまう虞があり、ここで、さらに複数の遊星歯車を用いるようにした場合には、複数箇所で同時に歯当たりなく噛み合うように組み付ける必要があるが、これは歯当たり箇所の増加を意味するから極めて困難なことになってしまう。
【0011】
従って、従来技術は、モータや各駆動伝達部材及び感光体ドラム等のメンテナンス性が低下すると共に、各部分に分離するのが困難なため、感光体ドラムと駆動機構全体をユニットとして交換しなければならなくなり、メンテナンスコストの抑制に問題が生じてしまうのである。
【0012】
本発明の目的は、小型化と着脱が簡単で、メンテナンスが容易な回転体駆動装置及びこれを用いた像担持体駆動装置と画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、第1の手段は、駆動源からの回転を所望の回転数に減速して円筒状回転体に伝達する減速手段を備え、該減速手段を該円筒状回転体の側端部内に配設した回転体駆動装置において、前記円筒状回転体を前記減速手段に対して着脱可能に支持し、且つ該円筒状回転体の回転軸方向及び回転軸方向と垂直な方向における位置決めをする位置決め手段を有し、前記減速手段の出力軸は、前記円筒状回転体の側端部に対して、回転軸方向には摺動可能で回転軸方向と垂直な方向には遊隙を有する結合部により回転伝達可能に結合されていることを特徴とする。
【0014】
第1の手段によれば、減速機構がドラムの側端部に内包させているので、本体装置の高さと奥行を小型化でき、前記側端部が前記減速機構のハウジングの外周部にある軸受により着脱可能に位置決め支持されているので、着脱に際して必要な位置決め箇所が1箇所で済み、従って、複数の位置決め箇所を有する従来の装置に比べ着脱が容易である。
【0015】
また、着脱する側の部分から着脱される側の部分への駆動伝達部を遊隙により多少のガタが許される係合方法になっているので、駆動伝達部に厳密な嵌め合い・噛み合わせが要求される従来の装置に比べ着脱が容易であり、この結果、メンテナンス性が向上し、消耗・破損した部材のみを交換しやすいため、メンテナンスコストの抑制に大きく寄与する。
【0016】
上記目的を達成するため、第2の手段は、第1の手段において、前記減速手段がキャリアに出力軸が結合された遊星歯車機構であり、前記出力軸が前記キャリアだけで支持されていることを特徴とする。
【0017】
第2の手段によれば、出力軸を有する遊星キャリアが軸受などで支持されていないため、遊星歯車機構自体に備わっている自動調心機能により、出力軸よりも上流側(モータ側)の部品の成型誤差、偏心誤差、取り付け誤差等に起因する回転変動が抑制され、この結果、遊星機構を感光体ドラムの減速機として用いても、色ムラのない高精度の回転駆動が得られる。
【0018】
ここで、遊星キャリアを出力とする遊星歯車機構において、出力軸(遊星キャリア)が遊星歯車のみにより支持されている構成を採らなかったとすると、上記の各種の誤差が回転変動となって感光体ドラムに伝達され、色ムラを引き起こすが、しかし、この第2の手段によれば、そのような虞はない。
【0019】
上記目的を達成するため、第3の手段は、第2の手段において、前記円筒状回転体が前記側端部にフランジを備え、前記結合部が、前記キャリアの出力軸と前記フランジの内部側面の中心部により形成されるギヤカップリングで構成されていることを特徴とする。
第3の手段によれば、簡単な構成でキャリアの調心による回転変動の抑制が効果的に発揮され、高精度で回転伝達が可能になる。
【0020】
上記目的を達成するため、第4の手段は、第2の手段において、前記キャリアが駆動源軸浮動支持受けを備え、
前記駆動源の軸の先端が前記駆動源軸浮動支持受けに入り込んだ形に構成されていることを特徴とする。
第4の手段によれば、簡単な構成でキャリアの調心による回転変動の抑制が効果的に発揮され、高精度で回転伝達が可能になる。
【0021】
上記目的を達成するため、第5の手段は、第2の手段において、前記円筒状回転体が前記側端部にフランジを備え、
前記結合部が、前記キャリアの出力軸と前記フランジの内部側面の中心部により形成されるオルダムカップリングで構成されていることを特徴とする。
第5の手段によれば、簡単な構成で遊星キャリアの調心による回転変動の抑制が効果的に発揮され、高精度で回転伝達が可能になる。
【0022】
上記目的を達成するため、第6の手段は、第1の手段において、前記減速手段を遊星歯車機構で構成し、当該遊星歯車機構のキャリアに結合された出力軸をギャップ付の浮動支持受けで回転自在に支持し、前記出力軸を前記キャリアだけにより支持されるようにした上で、前記浮動支持受けのギャップを、前記遊星歯車機構の太陽歯車に存在する偏芯と組み付け誤差、前記遊星歯車に存在する偏芯、前記遊星歯車機構の内歯歯車に存在する組み付け誤差、前記浮動支持受けに存在する偏芯と組み付け誤差の各々の二乗和平方根以上になるように構成したことを特徴とする。
第6の手段によれば、各部に存在する誤差を吸収して的確に調心することができるので、キャリアを確実に浮動支持することができる。
【0023】
上記目的を達成するため、第7の手段は、第2の手段から第6の手段の何れかの手段において、前記遊星歯車機構が多段遊星歯車減速手段により構成されていることを特徴とする。
【0024】
遊星歯車機構による減速機の場合、1段で対応可能な減速比は大体1/10以下である。一方、駆動源として効率の良いDCモータを採用した場合、モータの回転数は2000rpm〜6000rpm程度で使用されることになり、遊星歯車が1段の減速機では対応できないが、多段遊星歯車減速機にすることにより、モータの仕様に合わせて効率の良い減速比が設計でき、従って、この第7の手段によれば、適用条件についての自由度が広がる。
【0025】
上記目的を達成するため、第8の手段は、第7の手段において、前記多段遊星歯車減手段が第1と第2の2段の遊星歯車減速機であり、前記第1の遊星歯車減速機のキャリアと前記第2の遊星歯車減速機の太陽歯車が一体になって前記第2の遊星歯車減速機のキャリアと共に浮動支持されているように構成したことを特徴とする。
【0026】
第8の手段によれば、遊星歯車減速機が2段構成されていても、1段目の遊星キャリアと2段目の太陽歯車それに2段目の遊星キャリアが浮動支持されているので、各遊星キャリアで調心が働くようになり、この結果、回転変動が抑制される。
【0027】
上記目的を達成するため、第9の手段は、第8の手段において、前記第2の遊星歯車減速機の太陽歯車の軸の先端部を半球形にして前記第2の遊星歯車減速機のキャリアの一方の端面に接するように構成し、前記駆動源の軸の先端を半球形にして前記第1の遊星歯車減速機のキャリアの一方の端面に接するように構成したことを特徴とする。
【0028】
第9の手段によれば、遊星歯車減速機の歯車をハスバ歯車で構成し、滑り接触による噛み合いが得られるようにすることができるので、ドラムの回転が滑らかになる。この結果、感光体ドラムの減速機として用いた場合でも、色ムラのない高精度の回転駆動が得られる。
【0029】
ここで、遊星歯車減速機の歯車をハスバ歯車とした場合、太陽歯車にはスラスト方向に力が働き、そのスラスト方向も回転方向で変わる。このとき第9の手段によれば、そのスラスト方向への移動を、半球形にしたモータ軸の先端と、同じく半球形にした太陽歯車の軸の先端で規制しているので、接触抵抗を小さく抑えた状態でスラストを受けることができる。
【0030】
上記目的を達成するため、第10の手段は、第1の手段において、前記駆動源を前記減速手段と共に前記円筒状回転体の側端部内に配設したことを特徴とする。
第10の手段によれば、前記減速機構と共にモータもドラムの側端部内に配設されるので、高さ方向の小型化に加え、更に奥行方向においても小型化が可能になる。
【0031】
上記目的を達成するため、第11の手段は、第10の手段において、前記駆動源の背面にブラケットを設け、当該ブラケットにより前記減速手段と前記駆動源が装置側板に保持されていることを特徴とする。
第11の手段によれば、モータが背面に駆動支持ブラケットが備えられているので、モータの熱が駆動支持ブラケットを介して装置側板に伝達されるようになり、この結果、ドラムの温度上昇による色ムラが防止できる。
【0032】
上記目的を達成するため、第12の手段は、第11の手段において、前記ブラケットに放熱フィンが設けられていることを特徴とする。
第12の手段によれば、放熱フィンによる放熱が得られるので、ドラムの温度上昇による色ムラを更に効果的に抑えることができる。
【0033】
上記目的を達成するため、第13の手段は、第1の手段から第12の手段の何れかの手段を用いて像担持体駆動装置の像担持用ドラムを駆動することを特徴とする。
第13の手段によれば、像担持体駆動装置の小型化と高画質化が図れる。
【0034】
上記目的を達成するため、第14の手段は、第1の手段から第12の手段の何れかの手段を用いて画像形成装置の感光ドラムを駆動することを特徴とする。
第14の手段によれば、画像形成装置の小型化と高画質化が図れる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、円筒状回転体の側端部に減速手段が内包されるため、本体装置の高さと奥行を抑え小型化することができる。
また、本発明によれば、円筒状回転体に対する駆動源と減速手段の位置決め箇所が1箇所になっているので、着脱に際しての位置合わせを1箇所の位置決め箇所だけで行なえば良いため、複数の位置決め箇所を有する装置に比べ着脱が容易である。
【0036】
更に本発明によれば、着脱する側から着脱される側へ駆動力を伝達する部分が多少のガタが許されるように遊隙を有する係合になっているので、駆動力の伝達部分厳密な嵌め合い・噛み合わせを要求される場合の装置に比して着脱が容易であり、この結果、メンテナンス性が向上し、且つ、消耗・破損した部材のみの交換が容易になるため、メンテナンスコストが下げられる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る回転体駆動装置が適用された装置の一例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る回転体駆動装置の第1の実施形態を示す側断面図である。
【図3】本発明に係る回転体駆動装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【図4】本発明に係る回転体駆動装置の第1の実施形態の分解図である。
【図5】本発明に係る回転体駆動装置の第2の実施形態を示す側断面図である。
【図6】本発明に係る回転体駆動装置の第3の実施形態を示す側断面図である。
【図7】本発明に係る回転体駆動装置の第3の実施形態における要部の説明図である。
【図8】本発明に係る回転体駆動装置の第4の実施形態を示す側断面図である。
【図9】本発明に係る回転体駆動装置の第5の実施形態を示す側断面図である。
【図10】本発明に係る回転体駆動装置の第7の実施形態を示す側断面図である。
【図11】本発明に係る回転体駆動装置の第7の実施形態における駆動モジュールの縦断面図である。
【図12】本発明に係る回転体駆動装置の第7の実施形態の詳細を示す側断面図である。
【図13】本発明に係る回転体駆動装置の第7の実施形態の詳細を示す一部断面図である。
【図14】遊星歯車機構の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る回転体駆動装置について、本発明を画像形成装置の一種である電子写真方式のカラー複写機に適用した場合の一の実施形態を用いて詳細に説明する。
なお、ここに説明する実施形態は、乾式二成分現像剤を採用した乾式二成分現像方式によるタンデム式の複写機(以下、単に複写機という)を対象としたものであるが、しかし、本発明の適用対象は、これに限られるものではない。
【0039】
図1は、上記実施形態に係る実施形態の画像形成部を示した概略構成図で、この複写機は、図示しない画像読取部から画像データを受け取って画像形成処理を行うもので、このため、図示のように、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色用の潜像担持体となる4個の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを備えている。
【0040】
ここで、これらの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkは、駆動ローラを含む回転可能な複数のローラに支持された無端ベルト状の中間転写ベルト5に接触するように、そのベルト移動方向に沿って並配され、このとき、これら感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkの周りには、帯電器2Y、2M、2C、2Bkと、各色対応の現像装置9Y、9M、9C、9Bk、それにクリーニング装置4Y、4M、4C、4Bk、除電ランプ3Y、3M、3C、3Bk等の電子写真プロセス用部材が、各々プロセス順に配設されている。
【0041】
そして、この実施形態に係る複写機によりフルカラー画像を形成する場合、後述する感光体ドラム駆動装置により、感光体ドラム1Yを図中矢印の方向に回転駆動しながら帯電器2Yで一様帯電した後、図示しない光書込装置からの光ビームLYを照射して感光体ドラム1Y上にY静電潜像を形成する。そこで、このY静電潜像は、現像装置9Yにより、現像剤中のYトナーにより現像される。
【0042】
この現像時には、現像ローラと感光体ドラム1Yとの間に所定の現像バイアスが印加されている、そこで現像ローラ上のYトナーは、感光体ドラム1Y上のY静電潜像部分に静電吸着する。そして、このように現像されて形成されたYトナー像は、感光体ドラム1Yの回転に伴い、感光体ドラム1Yと中間転写ベルト5とが接触する1次転写位置に搬送される。
【0043】
そして、この1次転写位置において、中間転写ベルト5の裏面に、1次転写ローラ6Yにより所定のバイアス電圧が印加され、このバイアス印加によって発生した1次転写電界により、感光体ドラム1Y上のYトナー像を中間転写ベルト5側に引き寄せ、中間転写ベルト5上に1次転写するのである。以下、同様にして、Mトナー像、Cトナー像、Bkトナー像も、中間転写ベルト5上のYトナー像に順次重ね合うように1次転写される。
【0044】
こうして中間転写ベルト5上に4色重なり合ったトナー像は、中間転写ベルト5の回転に伴い、2次転写ローラ7と対向する2次転写位置に搬送されるが、この2次転写位置には、図示しないレジストローラにより、所定のタイミングで転写紙が搬送され、この2次転写位置において、2次転写ローラ7により転写紙の裏面に所定のバイアス電圧が印加され、このバイアス印加により発生した2次転写電界及び2次転写位置での当接圧により、中間転写ベルト5上のトナー像が転写紙上に一括して2次転写される。
【0045】
ここで、このトナー像が一括して2次転写された転写紙は、この後、定着ローラ対8により定着処理がなされてから装置外に排出されるが、このとき、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkの駆動に、本発明の特徴部分である回転体駆動装置、すなわち減速手段として遊星歯車減速機構などの入出力同軸型歯車機構を備えた回転体駆動装置が適用され、この結果、複写機としての機能が得られることになっている。
【0046】
そこで、次に、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkに適用されている回転体駆動装置について説明する。なお、これらの感光体ドラムは、何れも同一構成の回転体駆動装置により回転駆動されているので、以下、感光体ドラム1Yの感光体駆動装置を代表にして説明する。
【0047】
まず、図2と図3は、本発明に係る回転体駆動装置の第1の実施形態であり、従って、ここには円筒状回転体としてのドラムの中で代表となっている感光体ドラム1Yが示されている。このとき図2は側断面図であり、感光体ドラムの回転軸方向と直交する方向から見た断面図で、図3は縦断面図であり、感光体ドラムの回転軸方向から見た断面図である。
【0048】
ところで、このような回転体駆動装置は、通常、駆動源としてのモータと減速手段としての遊星歯車減速機に大別できるが、ここで、この実施形態では、モータ10は被駆動体である感光体ドラム1Yの外側に残し、内側空間に遊星歯車減速機が配設してある場合のものであり、従って、この図2において、モータ軸11が遊星歯車減速機の入力軸となる。
【0049】
この実施形態による遊星歯車減速機の基本構成は、モータ軸11に設けられた太陽歯車70と、この太陽歯車70の回りに等分配置されて噛み合う2個の遊星歯車80と、遊星歯車80を回転自在に支持するキャリアピン100、キャリアピン100が固定されているキャリア90、それに遊星歯車80と噛み合う内歯歯車30からなり、このときキャリアピン100とキャリア90は一体部品として、或いはキャリアピン100をキャリア90に圧入固定した部品として作られている。
【0050】
そして、キャリア90には回転を出力する出力軸40が一体成形され、この出力軸40を支持するための支持蓋50が内歯歯車30の内歯ハウジング31の端部に固定され、この支持蓋50の中心部には、キャリア90と一体になって回転する出力軸40を浮動状態で支持する浮動支持受け51が設けられている。このとき、当該浮動支持受け51は、ポリアセタール、テフロン(登録商標)などの樹脂材や銅焼結材などの摺動性の良い材質で作られている。
【0051】
また、モータ10は、内歯歯車30が設けられている内歯ハウジング31の端部内周面aに固定され、感光体ドラム1Yと同軸になって支持されているが、このとき内歯ハウジング31は、その外周面bで複写機本体の所定の部分にある側板(装置側板又は本体側板ともいう)32の開口部に嵌合して位置決め固定され、当該内歯ハウジング31の外周面cには軸受け33が設けられている。
従って、この実施形態では、モータ10は、側板32の外側に配置され、遊星歯車減速機は側板32の内側(感光体ドラム側)に配置されていることになる。
【0052】
一方、感光体ドラム1Yの端部にはドラムフランジ21が取り付けられているが、このドラムフランジ21は円筒形部分を備え、これにより感光体ドラム1Yの内側に挿入された状態で感光体ドラム1Yの端面に嵌合されている。そして、この円筒形部分の内側の空間に内歯ハウジング31が入り込み、その外周面cにある軸受け33がドラムフランジ21の端部に嵌合することにより、このドラムフランジ21が内歯ハウジング31に回転自在に支持され、ひいては感光体ドラム1Yが内歯ハウジング31に回転自在に支持されることになる。
【0053】
また、このときドラムフランジ21において、感光体ドラム1Yの中に入り込んでいる端面の中心部分で、遊星歯車減速機の出力軸40が入り込む部分にはギヤカップリング22が設けてあるが、このギヤカップリング22は、スプラインジョイントなどとも呼ばれ、回転結合部分で軸方向に伸縮可能になっている結合手段のことである。
【0054】
ここで、図4は、遊星歯車減速機構とモータ10が感光体ドラム1Yから取り外される途中の状態を示したもので、この図に示すように、ギヤカップリング22は、ドラムフランジ21の中心にあるスリーブ21Sの内面に形成してある内歯24と、出力軸40の端部にあるハブ41の外面に形成してある外歯42を構成要素としている。
【0055】
従って、図2に示すように、外歯42の中に内歯24が入り込んだ形にすることにより、ギヤカップリング22は、軸方向には伸縮可能な状態で回転トルクの伝達が可能で、回転軸方向と垂直な方向には遊隙によりガタが許される結合手段として機能することになる。このとき、遊星歯車出力軸にピンを打ち、このピンとフランジの凹部の係合による回転駆動機構を、ギヤカップリングの代わりに用いても良い。
【0056】
このときのモータ10の回転は、以下のようにして感光体ドラム1Yに伝達される。図2において、モータ10が作動し、モータ軸11が回転すると太陽歯車70の回転が遊星歯車80に伝達され、遊星歯車80はキャリアピン100に回転自在に支持されているので自転し、このとき内歯歯車30と噛み合っているので内歯歯車30に沿って公転する。
【0057】
そこで、この公転によりキャリア90が回転し、同軸上に設けられた出力軸40が一体になって回転する。そして、この出力軸40の回転がギヤカップリング22を介してドラムフランジ21に伝達され、感光体ドラム1Yが回転駆動されることになる。
【0058】
このとき、ギヤカップリング22を構成する外歯42と内歯24はインボリュート歯形による歯車で構成してあり、キャリア90の回転調心作用により出力軸40とドラムフランジ21の軸心に食い違いが生じて外歯42と内歯24の噛み合い位置がずれても無理なく確実に回転を伝達することができる。
従って、この実施形態によれば、感光体ドラム1Yの側端部に遊星歯車減速機構の全体が内包されるため、本体装置の高さと奥行の小型化が得られる。
【0059】
また、この実施形態よれば、感光体ドラム1Yに対する駆動機構の位置決め箇所が、軸受け33におけるドラムフランジ21と内歯ハウジング31の結合部分の1箇所だけになっているので、着脱に際しての位置合わせが簡単になり、この結果、複数の位置決め箇所を有する装置に比して着脱が容易であり、メンテナンス性が向上する。
【0060】
更に、この実施形態によれば、ギヤカップリング22を備え、これにより着脱する側の構成から着脱される側の構成への駆動伝達部に多少のガタが許される係合になっている。従って、駆動伝達部に厳密な嵌め合い・噛み合わせを要求される装置に比べ着脱が容易であり、この結果、メンテナンス性が向上し、且つ、消耗・破損した部材のみの交換が容易になるため、メンテナンスコストが下げられる。
【0061】
また、この実施形態の場合、出力軸40は、浮動支持受け51とギヤカップリング22に挿通されているだけなので、浮動支持状態のままになっている。そして、この結果、出力軸40とドラムフランジ21の軸心に食い違いが生じて外歯42と内歯24の噛み合い位置がずれても、キャリア90の回転調心作用により無理なく確実に回転を伝達することができる。そこで、以下、この回転調心作用が得られる理由について説明する。
【0062】
歯車を用いた回転伝達機構には寸法誤差や組立誤差の存在がコスト的に不可避で、例えば遊星歯車機構の場合、太陽歯車、遊星歯車、キャリア、及び内歯歯車を基本部品とし、太陽歯車には、その回りに等分配置された複数の遊星歯車が噛み合い、遊星歯車はキャリアに設けられたキャリアピンに回転自在に支持された状態で内歯歯車に噛み合っているので、入出力同軸型歯車減速機構も例外ではない。
【0063】
そして、遊星歯車による減速機構の場合、内歯歯車は固定され、太陽歯車は入力軸に固定され、キャリアは出力軸に固定されている。そこで、モータの軸を入力軸に結合させ、入力軸を回転駆動すると、太陽歯車の回転が遊星歯車に伝達され、固定された内歯歯車に沿って自転しながら太陽歯車の回りを公転し、この遊星歯車の公転がそのままキャリアの回転となり、キャリアの同軸上に設けられた出力軸から減速された回転出力が得られることになる。
【0064】
そうすると、この遊星歯車機構の場合、モータから入力軸に与えられる回転を回転変動なく高精度で出力軸に伝達するには、とにかく機構部分の寸法精度を高めてやれば良いと認識するのが当業者なら自然なことであるといえる。
【0065】
例えば、遊星歯車機構として、図14示すように、太陽歯車70がモータ10の軸に取付けられ、キャリアピン100により複数個の遊星歯車80を回転可能に保持したキャリア90が出力軸40に取り付けられている遊星歯車機構を想定した場合、モータ10が固定されたモータブラケット20に内歯歯車30を固定し、内歯歯車30の反対側に出力軸40を支持するための支持蓋50を設け、この支持蓋50に玉軸受(ボールベアリング)61を嵌合し、これに出力軸40を回転自在に、且つ組み付け精度良く支持させてやれば、太陽歯車70とキャリア90に対する出力軸40及び内歯歯車30の同軸度精度が確保されるものと認識するのが一般的である。
【0066】
しかし、このとき太陽歯車70の偏芯と組み付け誤差、遊星歯車80の偏芯、内歯歯車30の組付け誤差、支持蓋50の穴位置誤差と組付け誤差等々により、遊星歯車80の公転軌道と内歯歯車30の同軸精度の確保には限界が生じてしまう。そして、このような同軸誤差のある状態で、玉軸受61により出力軸40を支持蓋50に支持させると、同軸誤差がそのまま回転伝達誤差になってしまい、従って、良好な回転特性を得ることができない。
【0067】
しかるに従来技術は、このような入出力同軸型歯車減速機構における寸法誤差や組立誤差の存在に配慮がされておらず、そのままトルクが伝達されるようにしており、従って、従来技術では高精度の回転駆動の維持に問題が生じてしまうのである。
【0068】
ところで、遊星歯車機構においては、少なくとも3個の遊星歯車を均等配置することにより、各歯車における噛み合い部がキャリアの回転中心に対して対称になって位置し、このため回転中心方向の力が働いたとしても、それは各歯車で相殺される。
【0069】
従って、遊星歯車の回転軸(キャリアピン)を持ったキャリアは、単に遊星歯車を保持するだけの部材に留まらず、遊星歯車が公転する際の公転軌道を維持させる部材でもあり、このときキャリアの中心に対して対称に各遊星歯車が配置されているため、キャリアは太陽歯車と内歯車だけで回転可能に支持され、ここで負荷トルクが与えられると、キャリアの回転中心は遊星歯車機構全体の中心に移動して安定するので、これが回転調心作用として得られるのである。
【0070】
但し、このとき上記した誤差の存在により、厳密には中心付近で微小距離を移動してしまうことになるが、ここで、図14示すように、出力軸40を玉軸受61により支持蓋50に支持させたとすると、出力軸40は、回転自在ではあるが回転軸上では固定された状態にされ、キャリアの回転中心が遊星歯車機構全体の中心に移動することができなくなってしまい、この結果、上記した中心付近での微小距離の移動がそのまま回転伝達誤差となって出力軸40に現れてしまうのである。
【0071】
そこで、この知見に基づき、上記実施形態では、浮動支持受け51とギヤカップリング22を設け、これにより出力軸40が浮動支持状態のままになるように構成したのである。
ところで、以上の実施形態は、上記した第1〜第3の手段に対応したものである。そこで、次に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0072】
図5は、本発明の第2の実施形態で、上記した第4の手段に対応したものであり、図において、91はモータ軸浮動支持受けであり、その他は、図2と図3で説明した第1の実施形態と同じである。
モータ軸浮動支持受け91は、キャリア90のモータ軸11に対向している面の中央に設けられ、その中にモータ軸11の先端が入り込んだ形になるようにしてある。
【0073】
この第2の実施形態によれば、キャリア90が出力軸40の浮動支持受け61とモータ軸浮動支持受け91の2箇所で浮動支持されることになり、キャリア90の回転による回転調心作用が、より安定して得られる。
【0074】
図6は、本発明の第3の実施形態で、上記した第5の手段に対応したものであり、図において、23はオルダムカップリング部、24は出力ハブ、25はドラムフランジハブ、それに26はスライダであり、その他は、図2と図3で説明した第1の実施形態と同じである。ここで、図7は、オルダムカップリング部23の詳細(A視)である。
【0075】
そして、このオルダムカップリング部23は、出力軸40に設けた出力ハブ24と、ドラムフランジ21の円筒状空間奥壁面中心部に設けられたドラムフランジハブ25、それにスライダ26とで構成されている。
【0076】
このとき出力ハブ24とドラムフランジハブ25には、各々直径方向に向かう突起が形成してある。そして、円板状のスライダ26の両面には各々出力ハブ24とドラムフランジハブ25の突起に嵌合して相互に摺動可能な形状の溝が形成してあり、このとき、その一方の面と他方の面では、図6と図7に示されているように、相互に直交する方向に溝が形成してある。
【0077】
そこで、図6に示されているように、出力ハブ24とドラムフランジハブ25の間に、突起と溝が嵌合させた状態でスライダ26を介在させてやれば、オルダムカップリング部23が形成され、この結果、キャリア90の回転による調心作用でドラムフランジ21との軸心に食い違いが生じてもスライダ26の移動により食い違いを吸収して無理なく確実に回転を伝達することができる。
【0078】
ところで、以上の実施形態においては、例えは図2に示されているように、出力軸40と浮動支持受け60の間に浮動支持ギャップGが形成されている。
そこで、この浮動支持ギャップGの大きさについて説明すると、これは、キャリア90の調心に関わる誤差要因である太陽歯車70の偏芯と組み付け誤差、遊星歯車80の偏芯、内歯歯車80の組み付け誤差を合わせた誤差以上にするのが望ましい。
【0079】
何故なら、そうしなければ回転調心作用が中途半端になって、所望の効果が期待できなくなってしまう虞が生じてしまうからであり、しかも、このとき、更に浮動支持受け60の偏芯(孔の偏芯)と組み付け誤差も考慮したギャップにする必要がある。
【0080】
そこで、まず、太陽歯車70の偏芯をe1、太陽歯車70の組み付け誤差をe2、遊星歯車80の偏芯をe3、内歯歯車30の偏芯をe4、内歯歯車30の組み付け誤差をe5、浮動支持受け60の偏芯をe6、浮動支持受け60の組み付け誤差をe7とする。
【0081】
そして、第4の実施形態として、この浮動支持受けのギャップGを、(1)式に示すように、偏芯と組み付け誤差の二乗和平方根以上にすれば、各誤差分を吸収して調心するのに必要な条件を成立させることができる。なお、これは上記した第6の手段に対応する。
【0082】
G≧√(e1)2+(e2)2+(e3)2+(e4)2+(e5)2+(e6)2+(e7)2 …………(1)
【0083】
次に、図8は、本発明の第5の実施形態で、これは、遊星歯車減速機を多段構成にしたもので、上記した第7の手段に対応する。
そして、図示のように、第1太陽歯車71と第1キャリア92、第1キャリアピン101、内歯歯車34、それに第1遊星歯車81により、まず第1段の遊星歯車減速機が構成され、次に、内歯歯車34を共通にして、第2太陽歯車72と第2キャリア93、第2キャリアピン102、それに第2遊星歯車82により、第2段の遊星歯車減速機が構成されている。
【0084】
このとき、第1太陽歯車71はモータ軸11に取り付けられ、第2太陽歯車72は第1キャリア92に取り付けられ、第2キャリア93に出力軸40が取り付けられ、これによりモータ10の回転は、まず、第1段の遊星歯車減速機により減速され、更に第2段の遊星歯車減速機により減速されてから出力軸40に取り出され、感光体ドラム1Yを回転駆動することになる。
【0085】
従って、詳細な説明は省くが、モータ10と遊星歯車減速機の同軸支持、遊星歯車減速機の本体側板32との位置決め支持、及び感光体ドラム1Yとドラムフランジ21の構成は、前述の1段構成の場合と基本的には同じである。
【0086】
しかし、この場合、第2太陽歯車72と第2遊星歯車82、第2キャリア93と第2キャリアピン102が追加されるので、それに応じて内歯歯車34が第1と第2の遊星歯車に噛み合うために長くなり、この結果、ドラムフランジ21の凹形状の円筒状空間が長くなってしまう点で異なっている。
【0087】
次に、この図8の実施形態の動作について、1段の場合と異なっている点に重点をおいて説明する。
まず、第1キャリア92は、第2太陽歯車72と一体で回転する構成になっているが、これは、キャリアに別部品で製作した太陽歯車を圧入などで固定して一体化するか、キャリアと太陽歯車を同一部品で一体加工して構成する。
【0088】
第2太陽歯車72の回りには3個の第2遊星歯車82が等分配置されて噛み合い、第2遊星歯車82は回転自在に第2キャリアピン102に支持され、第2キャリアピン102は第2キャリア93に固定されている。このとき第2遊星歯車82は、固定支持された内歯歯車34にも噛み合っている。
【0089】
そこで、この内歯歯車34は、減速比などの設計条件に応じて、第1遊星歯車81と第2遊星歯車82についての噛み合い歯車諸元を同じにして一体で構成したり、歯車諸元を変えて別体で構成したりするが、ここで、この実施形態では、諸元を同じにして一体構成した場合を示している。
【0090】
モータ10の回転は以下のように伝達される。まず、第1太陽歯車71が回転し、これが第1遊星歯車81に伝達され、この第1遊星歯車81は第1キャリアピン101に回転自在に支持されて自転するとともに、固定された内歯歯車34と噛み合い、それに沿って公転する。この公転によって第1キャリア92が回転し、同軸上に設けられた第2太陽歯車72が一体で回転するので、これが第2太陽歯車72から第2遊星歯車82に伝達され、第2キャリアピン102に回転自在に支持されて第2遊星歯車82が自転するとともに、固定された内歯歯車34と噛み合い、それに沿って公転する。
【0091】
そこで、この公転によって第2キャリア93が回転し、同軸上に設けられた出力軸40が一体で回転することになり、多段にしたことによる大きな減速比で感光体ドラム1Yを駆動することができる。
従って、3段以上の多段にした場合も、この繰り返しにより回転が伝達されることになる。
【0092】
ここで、この図8の実施形態においては、第1キャリア92と第2太陽歯車72は一体で構成されており、このとき第1キャリア92の片側側面はモータ浮動支持受け91を介してモータ軸11に浮動支持され、第2太陽歯車72のもう一方の端部は第2キャリア93の片側側面に対して第2太陽歯車浮動支持受け61を介して浮動嵌合し、更に第2キャリア93と一体構成の出力軸40が支持蓋50の中心部に設けられた浮動支持受け60により浮動支持されているのが特徴である。
【0093】
従って、この場合を第6の実施形態とすると、これは上記した第8の手段に対応し、遊星歯車減速機が2段構成されていても、1段目の遊星キャリアと2段目の太陽歯車それに2段目の遊星キャリアが浮動支持されているので、各遊星キャリアで調心が働くようになり、この結果、回転変動が更に大きく抑制される。
【0094】
次に、図9は、本発明の第7の実施形態で、これは、上記した第9の手段に対応したものであり、このため、まず、モータ軸11の先端を球形にした第1太陽球形承け部12とし、これが第1キャリア92の端面に接するようにし、次に、第2太陽歯車72の軸の先端部を球形にした第2太陽球形承け部73とし、これが第2キャリア93の端面に接するようにしてある。
【0095】
ここで遊星歯車減速機の噛み合い振動を低減する手段として、各歯車をハスバ歯車で構成するのが有効である。しかし、ハスバ歯車の場合、スラスト方向に力が働くため、各歯車は作用反作用の関係で互いにスラスト方向に力を受ける。そこで、中間で浮動支持されている一体構成の第2太陽歯車72と第1キャリア92については、スラスト方向の移動を規制する必要がある。また、このときの移動方向は回転方向で反対になる。
【0096】
そこで、この図9の実施形態では、上記したように構成し、第1太陽球形承け部12と第2太陽球形承け部73を設け、これにより第2太陽歯車72と第1キャリア92のスラスト方向の移動が規制されるようにしたのであり、従って、この図9の実施形態によれば、遊星歯車減速機の歯車をハスバ歯車で構成しても、スラスト方向への移動が半球形にしたモータ軸の先端と太陽歯車の軸の先端で規制しているので、接触抵抗を小さく抑えた状態でスラストを受けることができ、従って、遊星歯車減速機の歯車をハスバ歯車で構成して滑り接触による噛み合いを得ることができ、この結果、感光体ドラムの減速機として用いた場合でも、色ムラのない高精度の回転駆動が得られる。
【0097】
ところで、以上に説明した実施形態は、何れもモータ10は、被駆動体である感光体ドラム1Yの外側に残し、当該ドラムの内部には減速機だけが配設してある場合のものである。
そこで、次に、駆動源であるモータも、被駆動体であり円筒状回転体としての感光体ドラム内に配設した場合の本発明の実施形態について説明する。
【0098】
ここで、この背景には、装置の小型化が強く要望されているにもかかわらず、従来の構成では、減速機構の一部と感光体ドラムの駆動軸の一部を複合化しているものは見られるものの、減速機構とモータの双方をドラムの内部に内包させることにより、奥行き(ドラムの長手方向)寸法の大幅な削減をもたらしているものが少ない点がある。
【0099】
一方、このようなモータ内包機構の採用に際しては以下の課題がある。
まず、感光体ドラムに装着したときの回転精度(作用荷重を考慮のフレ精度)を保障する必要があり、感光体ドラムの交換容易性を確保し、交換に伴う精度劣化が起こらないようにする必要があり、そして、減速機構と共にモータをドラムの内部に内包した場合の熱による問題発生を回避する必要がある。
【0100】
このため、以下の実施形態では、装置の小型化を狙い、減速機構とモータで構成される駆動モジュールを感光体ドラム内に内包するものであるが、このとき、感光体ドラムの内部に設けたハウジングに、回転支持構造と回転駆動伝達構造を設け、これにより強度と精度を保障しつつ、着脱自在に結合できるようにした。また、モータをドラム内に内包してもモータの発熱による影響が起こらない構造とした。
【0101】
そこで、まず、図10は、本発明の第9の実施形態で、上記した第10手段と第11の手段に対応したものであり、これは、駆動用のモータと遊星歯車減速機構を組み合わせ駆動モジュールとして一体化した上で、当該駆動モジュールを感光体ドラムの内部に着脱自在に保持したもので、このとき図10は断面図であり、このときの駆動モジュールの詳細が図11である。
【0102】
図10において、感光体ドラム1Yの一方の端部(図では右側の端部)にはドラムフランジ21が取り付けられ、他方の端部(図では左側の端部)には別のドラムフランジ28が対をなして取り付けられている。そして、複写機本体の右側には装置側板32があり、これに駆動支持ブラケット14が着脱自在に取り付けられる。従って、この駆動支持ブラケット14が駆動源の背面に設けたブラケットとなる。
【0103】
このとき装置側板32には開口が設けてあり、この開口の中に駆動支持ブラケット14の円筒部分が入り込んだ形で当該駆動支持ブラケット14が着脱自在に取り付けられている。このとき、詳しくは後述するが、駆動モジュールMの一方の端部、つまり駆動支持ブラケット14に取り付けられている方の端部とは反対側の端部は、ドラムフランジ21に回転自在に保持されている。
【0104】
また、このとき、複写機本体の左側には別の装置側板35があり、これにドラム支持ブラケット29が設けられ、それに取り付けられているドラム支持軸13にドラムフランジ28が軸支されている。
この結果、感光体ドラム1Yは、一方では駆動モジュールMにより回転可能に支持され、他方ではドラム支持ブラケット29のドラム支持軸13により回転可能に支持された状態で、複写機本体に組み付けられることになる。
【0105】
次に、駆動モジュールMについて、図11により説明する。
ここで、この駆動モジュールMの場合、その遊星歯車減速機構には、一例として、図9で説明した減速機を用い、このとき図11では図9の支持蓋50に代えて一方のエンドキャップ52を設け、内歯ハウジング31に代えては他方のエンドキャップ53を設け、これらの間に内歯歯車34を設け、モータ10は他方のエンドキャップ53に設けている。
【0106】
そして、モータ10に駆動支持ブラケット14を取り付け、これにより、図10に示すように、駆動モジュールMが感光体ドラム1Yに内包された状態で、当該駆動モジュールMを装置側板32に取り付けることができるように構成したのであり、このとき図示してないが、出力軸40の左端近傍にはギヤカップリング22が設けてあり、その他の構成は、図9の場合と同じである。
【0107】
次に、この実施形態について図12と図13により更に詳細に説明する。
まず、この実施形態では、図12に示すように、エンドキャップ52にある回転支持部58(図13参照)にボールベアリング又は滑り軸受59を設け、これによりドラムフランジ21が、駆動モジュールMの一方の端部、つまり駆動支持ブラケット14に取り付けられている方の端部とは反対側の端部に回転自在に保持されるように構成してある。
【0108】
また、この実施形態では、図13(a)、(b)に詳細に示すように、ドラムフランジ21の一部を延長させてアーム54とし、これにクリック凸部55を設け、ドラムフランジ21には、更に回転止め56を設け、この回転止め56に対応して感光体ドラム1Yの内面に回転止めガイド57を設け、これにより段付けされた位置まで嵌め込みスラスト方向の位置決めが行われるように構成してある。
【0109】
このとき、スラスト方向の移動や抜けを防止するために、アーム54にはバネ性を持たせ、クリック凸部55に、解除のための変形方向Aで示す微少な変位が与えられるようにしておき、これに対応して回転止めガイド57には、図13の(b)に示すように、クリック凸部55がはめ込まれる部分Bが形成してあり、クリック凹部55を部分Bに嵌めて位置決めさせるようにしてある。
【0110】
また、このとき、アーム54を更に延長させ、感光体ドラム1Yの端部から若干突出させるようにしても良く、この場合、作業者はこの突き出し部をつまむことによりクリック凹部55を部分Bから簡単に解除でき、この結果、スラスト方向への引き抜きが容易で、交換作業が簡単になる。
【0111】
このときの回転方向での位置の規制は、ドラムフランジ28の2箇所に設けた回転止め56と感光体ドラム1Yの回転止めガイド57が互いに嵌め合わされることにより規制され、従って、この実施形態によれば、回転方向とスラスト方向の位置決めと、必要に応じた取り外しが実現出来ることになる。
【0112】
従って、この実施形態においては、感光体ドラム1Yに対する駆動モジュールMの位置決め箇所が、図12に示すように、駆動支持ブラケット14が本体側板32に取り付けられている側板嵌合部Pを取り付け第1の基準とし、ボールベアリング又は滑り軸受59が設けられている回転支持部58を取り付け第2の基準としたとき、これら第1と第2の基準だけで済むので、着脱に際しての位置合わせが簡単になり、この結果、複数の位置決め箇所を有する装置に比して着脱が容易であり、メンテナンス性が向上する。
【0113】
ここで、駆動モジュールMの装置本体への取り付けについて更に詳しく説明すると、この実施形態では、遊星歯車減速機構とモータが一体型のモジュールとして構成されているので、モータ10の背面に取り付け位置を保障する駆動支持ブラケット14が取り付けてあり、この駆動支持ブラケット14の取り付けを本体側板32に、側板嵌合部Pを第1の基準として固定することにより、駆動機構全体が、感光体ドラム1Yの回転に必要な精度と強度を有することになる。
【0114】
更に、この駆動支持ブラケット14の本体側板32に取り付ける部分(側板嵌合部P(第1の基準))と、遊星歯車減速機構の回転支持部58(第2の基準)との関係を位置だしすることで精度が保障される。そして、この構造とすることによって、感光体ドラム1Yは、装置に対して長手方向に何れの方向にも容易に着脱が可能となる。
【0115】
また、この実施形態の場合、出力軸40は、浮動支持受け51とギヤカップリング22に挿通されているだけなので、浮動支持状態のままになっている。そして、この結果、出力軸40とドラムフランジ21の軸心に食い違いが生じて外歯42と内歯24の噛み合い位置がずれても、キャリア90の回転調心作用により無理なく確実に回転を伝達することができる。
【0116】
ところで、このように、駆動用のモータと遊星歯車減速機構を組み合わせ駆動モジュールMとして一体化した上で、当該駆動モジュールMを感光体ドラム1Yの内部に着脱自在に保持させるようにした場合、モータの発熱による感光体ドラムの温度上昇が問題になる。
【0117】
しかしながら、この図10と図11の実施形態の場合、モータ10に駆動支持ブラケット14が取り付けられ、更に、この駆動支持ブラケット14は装置側板32に取り付けられている。従って、モータ10の温度が上昇した場合、熱が駆動支持ブラケット14に伝達されるので、その温度が上昇し、この結果、装置側板32に熱が伝達され、放熱が得られる。
【0118】
従って、この実施形態によれば、感光体ドラム1Yにモータが内包されていても、その温度が上昇する虞がない。このとき、駆動支持ブラケット14として、アルミニウムやアルミニウム合金など熱伝導性が良好な材料を用い、更に厚い部材にしてやれば、更に温度上昇の抑制が期待できる。
【0119】
このとき、図14に示されているように、駆動支持ブラケット14に、更にフィン15を設けるようにしてやれば、放熱が更に効果的になり、より一層の温度上昇抑制を得ることができる。ここで装置全体としては、このフィン15に気流を導くことで、放熱効果は更に大きくなる。
【0120】
ところで、減速機構やモータを、感光体ドラム1Yの内部に正しく内包させるためには、ドラムフランジ21をドラムの端部から、ほぼこれらの長さ分内部に入ったところに固定させる必要がある。しかも、このときドラム内周とガタなく嵌合させる必要があるが、この実施形態の場合、図11に示した駆動モジュールMを感光体ドラム1Yに挿入させてゆくだけで、出力軸40の左端近傍にあるギヤカップリング22(図示してない)がドラムフランジ21のギヤカップリング22に嵌合し、アーム54のクリック凸部55が部分Bに嵌合し、組み立てが完了する。
【0121】
このとき、ギヤカップリング22は、上記したように、軸方向には伸縮可能な状態で回転トルクの伝達が可能で、回転軸方向と垂直な方向には遊隙によりガタが許される結合手段として機能するので、位置合わせに留意は特に必要ない。
そして、この結果、反対に感光体ドラム1Yから駆動モジュールMを取り外す場合には、アーム54をつまんでクリック凸部55が部分Bから外れるようにしてやればよく、これにより感光体ドラム1Yから簡単に駆動モジュールMを引き出すことができる。
【0122】
この場合の取り外しの必要性は、組み立て性向上に加えて、昨今の環境考慮のリサイクル化実現のためと、感光体ドラムの回収が行われた場合の分解分別の容易性のためでもあり、従って、この実施形態は、この点でも有利で極めて効果的である。
【0123】
ところで、この図10の実施形態は、ドラムフランジ機構により感光体ドラムを回転可能に支持し、駆動モジュールとともに本体に取り付けたものであり、従って、フランジの回転力伝達部では、遊星歯車減速機構の出力軸との係合が行われており、このため遊星歯車減速機構の出力軸40が回転精度確保のために浮動支持されており、このため、出力軸40の軸受け部には若干量のガタ(数十μmオーダの回転方向のガタ)を持たせてある。
【0124】
そして、この実施形態の場合、この部分では回転力伝達の機能のみを受け持つものとし、ドラムの支持を受け持つ部分は、遊星歯車減速機構の出力軸と同心円状に設けた段付き部に、専用の回転支持部を設ける構成にしてある。従って、必要な感光体ドラムのフレ精度の確保のためのフランジ側の加工精度は、この回転支持部を基準として行えばよい。
【0125】
ところで、この実施形態では、図12に示すように、ボールベアリング又は滑り軸受59が用いられているが、このとき低コスト化を狙う場合やドラムから受ける軸受け部負荷が比較的小さい場合は、滑り軸受けを用いる。ここで、ドラムフランジ21と回転支持部58の双方がプラスティックの場合は、摺動材料の選択かグリースの添加程度で良い。場合によっては摩耗を考慮し、いずれかの表面にDLC(ダイアモンド ライク カーボン)コーティングなどを行う。
【0126】
また、この実施形態の場合、図12から明らかなように、モータ10の駆動のためのモータ信号線に関しても、特別な引き出し処理を必要としない。着脱を容易にするためのコネクタを適当な箇所に設けるだけで良い。
【0127】
ここで、上記実施形態による効果について纏めると、以下のようになる。
減速機構およびモータをドラム内に内包させて、モータ端部を本体側板、あるいはAIOユニットを構成する側板に固定することが出来る。
通常装置の側板より外側に配置される減速機構や駆動源となるモータが、ほとんど全てモータ内部に内包されるので、ここに相当する部分の容積の装置小型化が図れる。
【0128】
感光体ドラムの外周面及びその延長上に不要な突起物が設定されないので、ドラム周辺に配置される各種の作像プロセス機構に不都合を与えない。
モータ駆動のための信号線の処理にも困難さを伴うことが一切ない。
【0129】
遊星歯車減速機構の出力軸にドラムを支持させた場合、ドラムに作用する現像やクリーニング等の撓み荷重をそのまま受けることになり、回転精度を劣化させるため良くないが、このとき、遊星歯車減速機構の出力軸回転精度が遊星歯車から伸びる出力軸を浮動支持すれば高精度回転が得られることは知見として与えられている。
【0130】
そこで、減速機構に設けた回転支持部を基準として回転させることにより、ドラムに撓み力が作用しても、回転時の同軸性(フレ精度)の確保が行うことが出来、かつ高精度な回転伝達も実現することが可能である。
【0131】
一般に、感光体ドラムは装置に対して、交換可能な様に設定される必要があるが、このとき装置に対して回転支持部の取り付け基準を設けることで、再現性のある交換が可能である。また精度劣化を起こすことがない。
感光体ドラム、減速機構、モータをAIOに組み込んだ形態のもので交換される場合があるが、同様に再現性のある交換が可能である。
【0132】
また、感光体ドラムに駆動機構が内包された構造であっても、容易に感光体ドラムを装置に対して着脱することが可能である。
駆動モジュールと本体側板の連結に、高熱伝導部材を設けることにより、発熱源となるモータと、熱放射面積の大きな側板とを機械的に接続することが出来るため、大きな放熱効果可が得られる。この結果、ドラム内部における蓄熱をなくして、モータの熱特性、減速機構樹脂ギヤの熱膨張、耐久性等への影響による回転特性の劣化などの虞がなく、感光体上の光書込み特性や、現像特性への影響の虞もない。
【0133】
中間転写ベルト等の駆動ローラにおいても感光体ドラムの駆動と同様に駆動系の小型化に関する要求がある。すなわち、感光体ドラムの駆動系で省スペース化を図り、転写ベルト駆動系で省スペース化を図ることで装置の奥行き寸法が全体に短縮されることになる。しかし、特に転写ベルトのメンテナンスを行う場合は頻繁に装置に対して着脱を行うので、駆動系のギヤなど、精密部品の露出部分を一切なくして構成することは、信頼性の向上面でも効果が大きい。
【符号の説明】
【0134】
1Y、1M、1C、1Bk 感光体ドラム
2Y、2M、2C、2Bk 帯電器
3Y、3M、3C、3Bk 除電ランプ
4Y、4M、4C、4Bk クリーニング装置
5 無端ベルト状の中間転写ベルト
6Y1、6M、6C、6Bk 1次転写ローラ
7 2次転写ローラ
8 定着ローラ対
10 モータ
11 モータ軸
12 第1太陽球形承け部
30 内歯歯車
31 内歯ハウジング
32 側板(装置側板又は本体側板)
33 軸受け
34 内歯歯車
35 別の装置側板
40 出力軸
50 支持蓋
51 浮動支持受け
52 一方のエンドキャップ
53 他方のエンドキャップ
54 アーム
55 クリック凸部
56 回転止め
57 回転止めガイド
60 浮動支持受け
61 玉軸受(ボールベアリング)
70 太陽歯車
71 第1太陽歯車
72 第2太陽歯車
73 第2太陽球形承け部
80 遊星歯車
81 第1遊星歯車
82 第2遊星歯車
90 キャリア
91 モータ軸浮動支持受け
92 第1キャリア
93 第2キャリア
100 キャリアピン
101 第1キャリアピン
102 第2キャリアピン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0135】
【特許文献1】特開2004−219836号公報
【特許文献2】特開2004−46023号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの回転を所望の回転数に減速して円筒状回転体に伝達する減速手段を備え、該減速手段を該円筒状回転体の側端部内に配設した回転体駆動装置において、
前記円筒状回転体を前記減速手段に対して着脱可能に支持し、且つ該円筒状回転体の回転軸方向及び回転軸方向と垂直な方向における位置決めをする位置決め手段を有し、
前記減速手段の出力軸は、前記円筒状回転体の側端部に対して、回転軸方向には摺動可能で回転軸方向と垂直な方向には遊隙を有する結合部により回転伝達可能に結合されていることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転体駆動装置において、
前記減速手段がキャリアに出力軸が結合された遊星歯車機構であり、
前記出力軸が前記キャリアだけで支持されていることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の回転体駆動装置において、
前記円筒状回転体が前記側端部にフランジを備え、
前記結合部が、前記キャリアの出力軸と前記フランジの内部側面の中心部により形成されるギヤカップリングで構成されていることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項4】
請求項2に記載の回転体駆動装置において、
前記キャリアが駆動源軸浮動支持受けを備え、
前記駆動源の軸の先端が前記駆動源軸浮動支持受けに入り込んだ形に構成されていることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項5】
請求項2に記載の回転体駆動装置において、
前記円筒状回転体が前記側端部にフランジを備え、
前記結合部が、前記キャリアの出力軸と前記フランジの内部側面の中心部により形成されるオルダムカップリングで構成されていることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項6】
請求項1に記載の回転体駆動装置において、
前記減速手段を遊星歯車機構で構成し、当該遊星歯車機構のキャリアに結合された出力軸をギャップ付の浮動支持受けで回転自在に支持し、前記出力軸を前記キャリアだけにより支持されるようにした上で、
前記浮動支持受けのギャップを、前記遊星歯車機構の太陽歯車に存在する偏芯と組み付け誤差、前記遊星歯車に存在する偏芯、前記遊星歯車機構の内歯歯車に存在する組み付け誤差、前記浮動支持受けに存在する偏芯と組み付け誤差の各々の二乗和平方根以上になるように構成したことを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6に記載の何れかの回転体駆動装置において、
前記遊星歯車機構が多段遊星歯車減速手段により構成されていることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項8】
請求項7に記載の回転体駆動装置において、
前記多段遊星歯車減手段が第1と第2の2段の遊星歯車減速機であり、前記第1の遊星歯車減速機のキャリアと前記第2の遊星歯車減速機の太陽歯車が一体になって前記第2の遊星歯車減速機のキャリアと共に浮動支持されているように構成したことを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項9】
請求項8に記載の回転体駆動装置において、
前記第2の遊星歯車減速機の太陽歯車の軸の先端部を半球形にして前記第2の遊星歯車減速機のキャリアの一方の端面に接するように構成し、
前記駆動源の軸の先端を半球形にして前記第1の遊星歯車減速機のキャリアの一方の端面に接するように構成したことを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項10】
請求項1に記載の回転体駆動装置において、
前記駆動源を前記減速手段と共に前記円筒状回転体の側端部内に配設したことを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項11】
請求項10に記載の回転体駆動装置において、
前記駆動源の背面にブラケットを設け、当該ブラケットにより前記減速手段と前記駆動源が装置側板に保持されていることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項12】
請求項11に記載の回転体駆動装置において、
前記ブラケットに放熱フィンが設けられていることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項13】
像担持用ドラムの駆動に請求項1から請求項12に記載の何れかの回転体駆動装置を用いたことを特徴とする像担持体駆動装置。
【請求項14】
感光体ドラムの駆動に請求項1から請求項12に記載の何れかの回転体駆動装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−186167(P2011−186167A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50911(P2010−50911)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】