説明

回転型処理装置

【課題】被処理物を容器内で移動させながら、加熱,乾燥,焙煎,水蒸気加熱,水蒸気蒸留,水蒸気抽出等の各種の処理を、いわゆるバッチ処理方式によって行う際に好適に利用可能な、研究開発段階において使用するに好適な、回転型処理装置を提供すること。
【解決手段】被処理物の供給・取出し部を有し、被処理物を保持する回転可能な筒状体と、筒状体に収容され、筒状体の内壁に摺接する、3枚のブレードから構成される1つ以上のブレードブロックと、ブレードブロックを含む筒状体を外部から加熱する加熱手段と、ブレードブロックを含む筒状体内に、過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気発生・供給手段とを備え、ブレードブロックを含む筒状体は、その回転軸に沿う一端部が回転駆動部に接続されており、他端部には被処理物の供給・取出しのための開閉可能な蓋部を有し、回転軸上の1点を中心として垂直面内で揺動可能であることを特徴とする回転型処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を筒状体(円筒状体)の容器内で移動させながら、加熱,乾燥,焙煎,水蒸気加熱,水蒸気蒸留,水蒸気抽出等の各種の処理を、いわゆるバッチ処理方式によって行う際に好適に利用可能な回転型処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱された円筒体を回転させることにより、この円筒体内に供給された被処理物に対して熱処理を行う回転型処理装置(回転レトルト炉)が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。これらのうち、例えば特許文献1に示される装置は、水平方向に挿設した炉芯管の外周面が耐熱部材で被覆され、上記炉芯管をモータ駆動してなる回転レトルト炉であって、上記炉芯管の内部には炉芯管の内径より小さい翼片を放射状に形成したビーター部材を挿脱可能に遊嵌して設けたことを特徴とする回転レトルト炉の加熱促進装置である。
【0003】
この装置は、従来の回転レトルト炉における被処理物の炉芯管内面への付着に起因する処理の均一性の低下という問題を解消するために提案されたものであり、前述の特許文献2〜5に示される装置と同様に、この装置においても、被処理物の乾燥処理を行う場合には、乾燥処理で発生した水蒸気を効率よく装置外に排出する必要があるものであって、上記水蒸気が被処理物と接触してしまうと、乾燥効率が低下してしまうとともに、水蒸気による結露によって円筒体内における被処理物の移動(流動)が妨げられてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−84077号公報
【特許文献2】特開昭62−190383号公報
【特許文献3】特開昭64−58982号公報
【特許文献4】特開昭64−58983号公報
【特許文献5】特開昭64−58984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような回転レトルト炉については、種々の処理への適用性の検証などのため、研究開発段階において使用したいという希望も存在しているのであるが、上記特許文献1〜5に記載の装置は、連続処理を前提とした、いわば商業的に利用するのに適した製造設備を提案しているものであって、研究開発段階において使用するには、その規模(大きさ),使用方法等の点で、適性を有するものであるとはいえないものであった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、前記従来技術に基づく問題点を解消した、被処理物を容器内で移動させながら、加熱,乾燥,焙煎,水蒸気加熱,水蒸気蒸留,水蒸気抽出等の各種の処理を、いわゆるバッチ処理方式によって行う際に好適に利用可能な、研究開発段階において使用するに好適な、回転型処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る回転型処理装置は、被処理物の供給・取出し部を有し、前記被処理物を保持する回転可能な筒状体と、前記筒状体に収容され、前記筒状体の内壁に摺接する、3枚のブレードから構成される1つ以上のブレードブロックと、前記ブレードブロックを含む筒状体を外部から加熱する加熱手段と、前記ブレードブロックを含む筒状体内に、過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気発生・供給手段とを備え、前記ブレードブロックを含む筒状体は、その回転軸に沿う一端部が回転駆動部に接続されており、他端部には前記被処理物の供給・取出しのための開閉可能な蓋部を有し、前記回転軸上の1点を中心として垂直面内で揺動可能であることを特徴とする。
【0008】
また、前記ブレードブロックを含む筒状体内に過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気発生・供給手段は、電磁誘導加熱により発生させた過熱水蒸気を、前記ブレードブロックを含む筒状体の一端部の、前記回転駆動部との接続部に設けられた挿通管を介して供給するものであることが好ましい。
【0009】
また、前記ブレードブロックを含む筒状体の一端部に設けられている開閉可能な蓋部には、排出量が調整可能な排出口が設けられており、さらにこの排出口の近傍には排出気体を回収するための、吸引手段に接続される回収手段が設けられていることが好ましい。
またさらに、前記回収手段は、前記ブレードブロックを含む筒状体の揺動に対応可能に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被処理物を容器内で移動させながら、加熱,乾燥,焙煎,水蒸気加熱,水蒸気蒸留,水蒸気抽出等の各種の処理を、いわゆるバッチ処理方式によって行う際に好適に利用可能な回転型処理装置を実現できるという顕著な効果を奏する。
【0011】
より具体的には、上述のような各種の処理を、材料や処理条件等を任意に変更しながら、少量の材料により、比較試験するというような、研究開発段階において使用するのに好適な回転型処理装置を実現できるという顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転型処理装置(ロータリーキルン)のブロック構成を示す図である。
【図2】実施形態の装置要部の一部断面側面図である。
【図3】(a)は同装置の筒状体の端部側面図、(b)は同蓋部の内面の正面図である。
【図4】(a),(b)は同装置の筒状体と蓋部との係止機構を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る回転型処理装置の一実施形態としての、バッチ式熱処理機(以下、ロータリーキルンという)10の概略構成を示すブロック図である。
図1において、12は本実施形態に係るロータリーキルン10の基体となる筒状体、14はその駆動機構部、16は上記筒状体12の加熱機構部、18は過熱水蒸気の発生・供給機構部、20は本ロータリーキルン10の全体的な制御を行う制御部を示している。
【0015】
図2は、上記ロータリーキルン10の要部概略構成を示す一部断面側面図である。
筒状体12は、図の左方が封止されている筒状体で構成されており、この封止部を介して、後述する駆動機構部14と接続されている。すなわち、封止部を構成する筒状体12の底板12Bには、内部に導通口12Dを有する駆動用シャフト12Cが固定されており、この駆動用シャフト12CはベースR上に、軸受けm,m’により片持ち方式で支持されている。
【0016】
また、駆動用シャフト12C上の、上記軸受けm,m’の筒状体12とは反対の側、すなわち図の左方には、駆動機構部14に設けられているモータ14Mとの間に掛け渡されたベルト14Bにより接続されるプーリ14Pが取り付けられている。
上記構成により、筒状体12は、駆動機構部14のモータ14Mの回転に従って、ベルト駆動方式により回転駆動される。いうまでもなく、この回転駆動の回転数等は、前記制御部20からの指示により、任意に調整することができる。
【0017】
また、筒状体12は、前記制御部20からの指示に基づいて、加熱機構部16により加熱制御される。すなわち、加熱機構部16は、上記筒状体12の周囲に配置されている電磁誘導加熱手段16A(いわゆる、IHヒータ)のコイルへの供給電力を調整することにより、被処理物の内部組織を均一に加熱することができ、また、その温度を任意に制御可能に構成されているものである。
ここで、筒状体12は、電磁波を効率的に吸収し、なおかつ錆び難いような材質(具体的には、例えばSUS430など)により構成することが好ましい。
【0018】
次に、過熱水蒸気の発生・供給機構部18について説明する。過熱水蒸気の発生・供給機構部18は、水を通すコイル状配管18Bの周囲に配置されている、上記筒状体12の周囲に配置されているのと同様のIHヒータのコイル18Aへの供給電力を調整することにより、水を蒸発させてそれをさらに加熱して、過熱水蒸気とする際の温度を任意に制御可能に構成されているものである。
ここで、原料となる水は、タンクTからポンプPにより、制御部20を介して指示することにより、任意の流量で供給することが可能である。
【0019】
過熱水蒸気の発生・供給機構部18で発生させた過熱水蒸気は、配管を介して、上記筒状体12の駆動用シャフト12Cの内部に形成されている導通口12Dに導かれ、ここから、上記筒状体12の内部に導入される。
このようにして、上記筒状体12の内部において、筒状体12自体のIHヒータによる加熱作用、外部から供給される過熱水蒸気(場合によっては、飽和水蒸気)による加熱ないしは乾燥作用が実現される。
【0020】
なお、ここでの各部の制御は、マイクロコンピュータと記憶装置(ROM,RAM)から構成される制御部20により実施される。いうまでもなく、制御部20には、本実施形態に係るロータリーキルン10のオペレータによる入力,オペレータへの出力のための、公知の入出力手段が備えられている。
【0021】
ところで、上記筒状体12には、図3(a)に示すように、前記筒状体12内に収容され、その内壁に摺接する、3枚のブレード12Fから構成されるブレードブロック(ビーターとも呼ばれる)12Eが1つ配置されている。このブレードブロック(ビーター)12Eは、筒状体12の内径よりもやや小さい径を有するように構成されており、筒状体12の回転に従って、間欠的に回動して筒状体12の内壁を叩いて振動させることにより、筒状体12の内壁への被処理物の付着、並びに被処理物相互の付着を防止する機能を有するものである。
【0022】
また、上記筒状体12の駆動部側とは反対の側(すなわち、図の右方)には、被処理物を上記筒状体12の内部に供給・取出しするための着脱可能な蓋部12Aが設けられている。この蓋部12Aは、回転駆動される上記筒状体12の停止位置に影響されることのないように、ここでは3本のピン12Aa(図3(b)並びに図4(a)参照)とこれが嵌合する、筒状体12の端面に設けられた、いわゆる「鍵穴型」の係合穴(図3(a)並びに図4(a)参照)とにより、蓋部12Aの3本のピン12Aaを、筒状体12の係合穴12aに嵌合し回動させて係止することにより、蓋部12Aを着脱(開閉)するように構成されている。
【0023】
以下に、上記蓋部12Aの筒状体12の端面への着脱時の動作のうちの取付け時の動作を、図4(a),(b)を用いて説明する。
蓋部12Aに設けられているピン12Aaは、図4(a)に示すように、首部12A1と頭部12A2から構成されており、また、筒状体12の端面に設けられている係合孔12aは、図4(a),(b)に示すように、上記ピン12Aaの頭部12A2を図中の矢印a方向に挿入した後、上記頭部12A2を図中の矢印b方向にスライド(実際には、蓋部12Aを回動させる)させることで、係合させるものである。
あるいは筒状体12の開口部の内周に雌ネジを設け、一方、蓋部12Aの外周部に雄ネジを設けて、これら二者を螺合させて係止する構成としてもよい。
【0024】
次に、上記筒状体12の揺動機構について説明する。
前述のように、上記筒状体12は、その回転軸上の1点を中心として垂直面内で揺動可能に構成されている。この揺動機構は、例えばベースRの中央部をピン30Pにより回動自在に支承しておき、上記ベースRの他端の近傍等に、サーボモータにより駆動されるシリンダータイプのアクチュエータ32を配して、上記シリンダーのロッドを適宜の長さとし、上記筒状体12の上記他端を上下動させて、筒状体12を水平に維持したり、または傾斜したままとすることにより、上記筒状体12を上述のように揺動させるものである。
【0025】
筒状体12の内部の温度分布は、その長手方向に必ずしも一様なものとはならないことがあるが、上記揺動機構を用いれば、被処理物を図2の左右方向に移動させることができ、これにより被処理物の処理度合いの偏りを無くすことができる。
揺動のパターンとしては、例えば、筒状体12を右下方へ5度傾斜させて所定時間回転させ、次に筒状体12を水平に戻して所定時間回転、その後、筒状体12を左下方へ5度傾斜させて所定時間回転させるといったサイクルを繰り返すものが挙げられる。
【0026】
なお、この揺動機構は、上記筒状体12内に被処理物を供給する際には、筒状体12の開口部をある程度上向きに傾けるために用いることができ、逆に、処理の終了した被処理物を、上記筒状体12から取出す際には、筒状体12の開口部をある程度下向きに傾けるために用いることができるものである。筒状体12を回転させながら被処理物を取出すと、被処理物の残留がなくきれいに取出すことができる。
これらの操作を行う際においては、制御部20を介してその指示を行うことにより、上述の動作を実行させることも可能である。
【0027】
次に、上記筒状体12の開口部に設ける排出口12Gについて説明する。
ここで、排出口12Gには、2とおりの設置方式があり、1つ目は筒状体12の開口部の蓋部12Aに直接取り付ける方式、2つ目は上記蓋部12Aから離れた位置に設ける方式である。
なお、この排出口12Gを設ける目的としては、吸排気のバランスをとる以外に、排気中の必要成分を利用するために回収するという目的や、排出した場合に有害物質となる成分を処分するために回収(除去)するという目的がある。
【0028】
以下では、上記1つ目の方式について、簡単に説明する。
この場合には、筒状体12の開口部の蓋部12Aに排出用のパイプを取り付けておき、必要に応じて、このパイプにホースなどの配管を接続し、その先を吸引装置に接続する。
これにより、筒状体12の開口部からの排出物を確実に回収することが可能になる。
【0029】
排出物の回収をそれほど厳密に行う必要がない場合には、上記2つ目の方式によっても、実際上、問題が発生することはない。
この場合には、例えば、上記筒状体12の開口部の蓋部12Aに取り付けられている排出用のパイプの近傍に、これよりやや広い口径を有する吸気配管を用意し、その先を、吸引装置に接続するのがよい。
【0030】
以下に、上述のように構成される本実施形態に係るロータリーキルンを用いて、被処理物の加熱処理を行った実施例を説明する。
ここでは、穀物の1種であるとうもろこしを、焦がさずに目的含水率まで乾燥(焙煎)する場合を説明する。
【0031】
〔実施例〕
まず、被処理物に対する今回の処理条件を、制御部20に記憶させる。ここで設定する条件としては、ロータリーキルン10の加熱条件(昇温や降温等の温度パターン),回転条件(回転速度やその上下パターン),揺動条件(傾斜角度,時間,サイクル等),過熱水蒸気を使用する場合は、その温度並びに供給量(速度),処理時間などを挙げることができる。
また、水蒸気を発生させるための水を、過熱水蒸気の発生・供給機構部18の保持タンク内に供給する。
排出口12Gへの排出パイプ(ホース)の取り付け等の準備状況を確認し、問題がなければ、全体の動作を起動し、処理条件が実現されるのを待つ。
【0032】
処理条件が満たされた(設定値に達した)ら、ロータリーキルン10の筒状体12を所定角度だけ揺動させて、その筒状体12の開口部の蓋部12Aが所定角度だけ上向になるような位置に停止させる。
次いで、筒状体12の開口部の蓋部12Aを開き、所定量のとうもろこしを筒状体12内に供給する。
その後、筒状体12の開口部の蓋部12Aを閉じて、被処理物の加熱処理を開始する。
【0033】
所定時間の被処理物の加熱処理が終了すると、ロータリーキルン10は自動停止する。次いで、筒状体12の開口部の蓋部12Aを開け、その後、ロータリーキルン10を再度所定角度だけ揺動させて、その筒状体12の開口部が所定角度だけ下方に向くような位置に停止させ、処理済みの被処理物をロータリーキルン10から取出す。上述したように、筒状体12を回転させながら被処理物を取出すと、被処理物の残留がなくきれいに取出すことができる。
【0034】
この実施例の場合には、処理条件の設定がほぼ適切であったので、回収した被処理物の計測の結果、目的とする「焦がさずに目的含水率まで乾燥する」ことができた。
また、基準となる条件に適合する被処理物の回収率(回収量/供給量)は、含水率の変化を考慮して、ほぼ90%程度であることが確認できた。
【0035】
以下に、本実施形態に係るロータリーキルン10を用いて、茶葉「べにふうき(茶農林44号)」を加熱処理した例を示す。「べにふうき」は、抗アレルギー作用を持つと言われるメチル化カテキンを多く含む緑茶であり、花粉症の緩和に効果があると着目されている。しかしながら、常法で調製された「べにふうき」茶葉を熱水抽出(いわゆる、お茶を淹れる)して飲用すると、その苦味、渋味が強く感じられるため、茶葉から苦味成分、渋味成分を除去する必要がある。その最も効果的な方法は加熱処理であるが、上記メチル化カテキンは熱に弱いという性質があり、加熱による苦味成分、渋味成分の除去の代償として、メチル化カテキンの減少を伴うという問題がある。
【0036】
本実施形態に係るロータリーキルン10を用いて、「べにふうき」茶葉について過熱水蒸気を用いた加湿加熱処理を行った。筒状体12の設定温度(焙煎温度)、筒状体12内に供給する過熱水蒸気に関する条件を、表1に示すとおり様々に変えて処理を行い、表中のデータを得た。なお、筒状体12の容積は2.3Lであり、1回のべにふうき茶葉投入量は200gとした。
【0037】
【表1】

【0038】
表1中のEGCG3"Meはメチル化エピガロカテキンガレート、ECG3"Meはメチル化エピカテキンガレートを指している。
この結果を、例えばテストNo.7,8,9について見ると、筒状体12の設定温度が150〜160℃、過熱水蒸気の設定温度が160〜170℃の場合、とても飲みよい茶葉が調製されており、その際のメチル化カテキン合計量は、無処理のもの(テストNo.1)と比較しても八十数%と高い比率を維持していることが分かる。つまり、本実施形態に係るロータリーキルン10を用いて加湿加熱処理を行うと、一般に熱に弱いとされているメチル化カテキンを殆ど壊すことなく、茶葉を美味しく加工することができるという優れた効果を発揮することがわかる。
【0039】
また、本実施形態に係るロータリーキルン10を用いた場合、各テストの茶葉について、いずれも筒状体12内への処理済み茶葉の付着といった現象は発生せず、本実施形態に係るロータリーキルン10の操作性が優れていることも実証されている。
【0040】
上述のような優れた特徴を有する上記実施形態並びに実施例は、本発明の一例を示したものであり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更や改良を行ってもよいことはいうまでもない。
【0041】
例えば、上記実施形態においては、ロータリーキルン10の筒状体12内にセットされるブレードブロック(ビーター)12Eを一体構成のものとしたが、装置の大きさによっては、これを複数個に分割して、取り扱いを容易にすることも好ましい。
【0042】
また、いうまでもなく、ロータリーキルン10の筒状体12内の温度の設定のパターンは、前述の制御部20により広範に変更することができ、種々の試料についての種々の条件下での高効率・高精度での加湿加熱処理が可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 ロータリーキルン
12 筒状体
12a 係合孔
12A 筒状体の蓋部
12Aa ピン
12A1 首部
12A2 頭部
12B 筒状体の底板
12C 駆動用シャフト
12D 導通口
12E ブレードブロック(ビーター)
12F ブレード
12G 排出口
14 駆動機構部
m,m’ 軸受け
14M モータ
14B ベルト
14P プーリ
16 加熱機構部
16A 電磁誘導加熱手段(IHヒータ)
18 過熱水蒸気の発生・供給機構部
T 水タンク
P ポンプ
18A IHヒータのコイル
18B 水を通すコイル状配管
20 制御部
30P ピン
32 シリンダータイプのアクチュエータ
R ベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物の供給・取出し部を有し、前記被処理物を保持する回転可能な筒状体と、
前記筒状体に収容され、前記筒状体の内壁に摺接する、3枚のブレードから構成される1つ以上のブレードブロックと、
前記ブレードブロックを含む筒状体を外部から加熱する加熱手段と、
前記ブレードブロックを含む筒状体内に、過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気発生・供給手段とを備え、
前記ブレードブロックを含む筒状体は、その回転軸に沿う一端部が回転駆動部に接続されており、他端部には前記被処理物の供給・取出しのための開閉可能な蓋部を有し、前記回転軸上の1点を中心として垂直面内で揺動可能であることを特徴とする回転型処理装置。
【請求項2】
前記ブレードブロックを含む筒状体内に過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気発生・供給手段は、電磁誘導加熱により発生させた過熱水蒸気を、前記ブレードブロックを含む筒状体の一端部の、前記回転駆動部との接続部に設けられた挿通管を介して供給するものである、請求項1に記載の回転型処理装置。
【請求項3】
前記ブレードブロックを含む筒状体の一端部に設けられている開閉可能な蓋部には、排出量が調整可能な排出口が設けられており、さらにこの排出口の近傍には排出気体を回収するための、吸引手段に接続される回収手段が設けられている、請求項1または2に記載の回転型処理装置。
【請求項4】
前記回収手段は、前記ブレードブロックを含む筒状体の揺動に対応可能に構成されている、請求項3に記載の回転型処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−249359(P2010−249359A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97215(P2009−97215)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000226954)日清エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】