説明

回転式拡散装置及び結晶シリコン粒子の製造方法

【課題】 結晶シリコン粒子に対して、pn接合を形成するための不純物を含むシリコン層を均一に形成することができ、表面に不純物を含むシリコン層が形成された結晶シリコン粒子を容易に回収できる製造装置を提供すること。
【解決手段】 回転式拡散装置は、内部に第1導電型の結晶シリコン粒子12を入れて回転して攪拌させながら酸素及び第2導電型の不純物を含む不純物ガスを導入することによって、結晶シリコン粒子12の表面に第2導電型の不純物を拡散させて第2導電型のシリコン層を形成する横置き型の拡散管11と、拡散管11を傾斜させることによって第2導電型のシリコン層が表面に形成された結晶シリコン粒子12を拡散管11の一端部の開口から取り出す傾斜機構とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電等に使用される光電変換装置に用いられる結晶シリコン粒子の表面にpn接合を形成する不純物を拡散させるための回転式拡散装置、及びその回転式拡散装置を用いた結晶シリコン粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光電変換装置としての太陽電池は、光電変換効率等の性能面の良さ、資源の有限性への配慮、あるいは製造コストの低さ等といった市場ニーズを捉えて開発が進められている。太陽電池の材料としては、単結晶または多結晶のシリコン等の大きな結晶体(バルク体)を切断して基板を作製して用いている。しかしながら、この方法では、切断ロスが多いという点で省資源に対して問題点がある。このことから、今後の市場において有望な光電変換装置の一つとして、結晶シリコン粒子を用いた光電変換装置がある。
【0003】
結晶シリコン粒子を作製するための原料としては、例えば単結晶シリコンを粉砕した結果として発生するシリコンの微小粒子や、流動床法で気相合成された高純度シリコンから成る粒子等が用いられている。これらの原料から粒径の揃った球状の結晶シリコン粒子を作製するには、それらの原料をサイズあるいは重量によって分別した後に、赤外線や高周波を用いて坩堝等の容器内で溶融し、その後自由落下させる方法(例えば、特許文献1,2参照)、また高周波プラズマを用いる方法(例えば、特許文献3参照。)によって行う。
【0004】
上記方法で得られた第1の導電型の結晶シリコン粒子の表面に、第2の導電型の半導体層を形成する方法としては、高温の石英管中で不純物を拡散する熱拡散法、第2の導電型の薄膜を形成する方法などがある。特許文献4には、シリコン球の上下に拡散源を設置し、熱拡散する方法が開示されている。また、特許文献5には、多数のシリコン球を拡散管内に収容し、拡散管を回転させてシリコン球の表面に不純物を拡散させる方法が開示されている。
【特許文献1】国際公開第99/22048号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4188177号明細書
【特許文献3】特開平5−78115号公報
【特許文献4】米国特許第5223452号明細書
【特許文献5】特開2007−80975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、結晶シリコン粒子は小さな粒子であるため、シリコンウエハのように石英ボートに立てた状態で多数枚を整列させて熱拡散することはできず、また特許文献4に示す拡散方法では、量産性が乏しく、大面積の光電変換装置の生産には適していないという問題点があった。
【0006】
また、特許文献5においては、表面に不純物を拡散させた結晶シリコン粒子を回収する方法が示されていない。例えば回収するために拡散管を外し垂直に立てたとしても、拡散管の胴体部より入り口側が極端に小さいため、また、胴体部と入り口側の小径部との繋ぎ部がほぼ階段状になっているため、回収できない結晶シリコン球が存在する可能性があり、効率的に回収することができない。従って、量産性に乏しいという問題点がある。
【0007】
したがって、本発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、多数の結晶シリコン粒子に対して、pn接合を形成するための不純物を含むシリコン層を均一に形成することができ、表面に不純物を含むシリコン層が形成された結晶シリコン粒子を容易に回収できる製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の回転式拡散装置は、内部に第1導電型の結晶シリコン粒子を入れて回転して攪拌させながら酸素及び第2導電型の不純物を含む不純物ガスを導入することによって、前記結晶シリコン粒子の表面に第2導電型の不純物を拡散させて前記第2導電型のシリコン層を形成する横置き型の拡散管と、前記拡散管を傾斜させることによって前記第2導電型のシリコン層が表面に形成された前記結晶シリコン粒子を前記拡散管の一端部の開口から取り出す傾斜機構とを具備しているものである。
【0009】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記拡散管を設置した基台を傾斜させるものである。
【0010】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記傾斜機構は、前記拡散管が回転した状態で前記基台を傾斜させるものである。
【0011】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記傾斜機構は、先端部が前記基台に繋がって油圧駆動装置により伸縮駆動されるロッドを有するものである。
【0012】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記拡散管は、全体が直胴状の形状であるものである。
【0013】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記拡散管は、大径部である中央部と、小径部である前記一端部と、前記中央部と前記一端部との間の錐体状に形成された中継部とを有するものである。
【0014】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記拡散管の前記中継部の前記中央部に対する傾斜角である第1の傾斜角が、前記傾斜機構によって前記拡散管が傾斜されているときの傾斜角である第2の傾斜角よりも小さく設定されているものである。
【0015】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記拡散管の周囲に冷却機構が設けられているものである。
【0016】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記冷却機構は空冷式冷却機構である。
【0017】
本発明の結晶シリコン粒子の製造方法は、横置き型の拡散管の内部に第1導電型の結晶シリコン粒子を入れて前記拡散管を回転させて攪拌させながら酸素及び第2導電型の不純物を含む不純物ガスを導入することによって、前記結晶シリコン粒子の表面に第2導電型の不純物を拡散させて前記第2導電型のシリコン層を形成し、次に、前記拡散管を傾斜させることによって前記第2導電型のシリコン層が表面に形成された前記結晶シリコン粒子を前記拡散管の一端部の開口から取り出すものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の回転式拡散装置は、内部に第1導電型の結晶シリコン粒子を入れて回転して攪拌させながら酸素及び第2導電型の不純物を含む不純物ガスを導入することによって、前記結晶シリコン粒子の表面に第2導電型の不純物を拡散させて前記第2導電型のシリコン層を形成する横置き型の拡散管と、前記拡散管を傾斜させることによって前記第2導電型のシリコン層が表面に形成された前記結晶シリコン粒子を前記拡散管の一端部の開口から取り出す傾斜機構とを具備していることから、第2導電型のシリコン層が表面に形成された結晶シリコン粒子を効率的に回収することができる。また、傾斜機構の傾斜角度を調整することにより、拡散管内に留まる結晶シリコン粒子がないようにすることができる。
【0019】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記拡散管を設置した基台を傾斜させることから、拡散管を直接傾斜させずにすむため、例えば拡散管を回転させたまま結晶シリコン粒子を回収することができる。
【0020】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記傾斜機構は、前記拡散管が回転した状態で前記基台を傾斜させることから、拡散管内で結晶シリコン粒子を転がしながら回収できるため、結晶シリコン粒子の引っ掛かり等をなくして、拡散管内に留まる結晶シリコン粒子がないようにすることができる。また、結晶シリコン粒子を回収した後に、新たな結晶シリコン粒子を拡散管内に収容して、引き続き拡散処理を続行することができる。
【0021】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記傾斜機構は、先端部が前記基台に繋がって油圧駆動装置により伸縮駆動されるロッドを有することから、簡易な構成でもって拡散管を傾斜させることができる。
【0022】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記拡散管は、全体が直胴状の形状であることから、拡散管内において結晶シリコン粒子の引っ掛かり等をなくして、回収時に拡散管内に留まる結晶シリコン粒子がないようにすることができる。
【0023】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記拡散管は、大径部である中央部と、小径部である前記一端部と、前記中央部と前記一端部との間の錐体状に形成された中継部とを有することから、拡散処理を拡散管の中央部で集中的に行うことができる。
【0024】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記拡散管の前記中継部の前記中央部に対する傾斜角である第1の傾斜角が、前記傾斜機構によって前記拡散管が傾斜されているときの傾斜角である第2の傾斜角よりも小さく設定されていることから、拡散管が傾斜されているときに結晶シリコン粒子を拡散管の一端部の開口から容易に回収することができる。その結果、回収時に拡散管内に留まる結晶シリコン粒子がないようにすることができる。
【0025】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記拡散管の周囲に冷却機構が設けられていることから、拡散処理を終えた結晶シリコン粒子を速やかに冷却して回収することができ、量産性が向上しコスト低減が達成される。
【0026】
また、本発明の回転式拡散装置は好ましくは、前記冷却機構は空冷式冷却機構であることから、水冷式の冷却機構に比べて軽量化されたものとなり、また水冷管等も必要がないため構造が簡略化されたものとなる。
【0027】
本発明の結晶シリコン粒子の製造方法は、横置き型の拡散管の内部に第1導電型の結晶シリコン粒子を入れて前記拡散管を回転させて攪拌させながら酸素及び第2導電型の不純物を含む不純物ガスを導入することによって、前記結晶シリコン粒子の表面に第2導電型の不純物を拡散させて前記第2導電型のシリコン層を形成し、次に、前記拡散管を傾斜させることによって前記第2導電型のシリコン層が表面に形成された前記結晶シリコン粒子を前記拡散管の一端部の開口から取り出すものであることから、第2導電型のシリコン層が表面に形成された結晶シリコン粒子を効率的に回収することができる。また、傾斜機構の傾斜角度を調整することにより、拡散管内に留まる結晶シリコン粒子がないようにすることができ、量産性を高めることができ、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本実施の形態の回転式拡散装置及び結晶シリコン粒子の製造方法について図面に基づいて以下に詳細に説明する。
【0029】
図1、図6、図7、図8は、本実施の形態の回転式拡散装置について各例を示す側面図である。また、図2、図4は本実施の形態の拡散管の断面図であり、図3は比較例の拡散管断面図である。図9は、本実施の形態の回転式拡散装置によって作製された結晶シリコン粒子を評価するために作製した光電変換装置の断面図である。
【0030】
本実施の形態の回転式拡散装置は、内部に第1導電型の結晶シリコン粒子12を入れて回転して攪拌させながら酸素及び第2導電型の不純物を含む不純物ガスを導入することによって、結晶シリコン粒子12の表面に第2導電型の不純物を拡散させて第2導電型のシリコン層を形成する横置き型の拡散管11と、拡散管11を傾斜させることによって第2導電型のシリコン層が表面に形成された結晶シリコン粒子12を拡散管11の一端部の開口から取り出す傾斜機構とを具備している。
【0031】
上記の構成により、第2導電型のシリコン層が表面に形成された多数の結晶シリコン粒子12を効率的に回収することができる。また、傾斜機構の傾斜角度を調整することにより、拡散管11内に留まる結晶シリコン粒子12がないようにすることができる。
【0032】
なお、図1において、1は拡散管11を内部に収容した断熱容器、2は不純物ガスの排出口、3は不純物ガスの導入口、4は電気モーター等の回転装置、5は空気等の冷却ガスの導入口、6は冷却ガスの排出口、7は基台8の傾斜の支点部、8は基台、9は油圧駆動装置、10はオキシ塩化リンの収納部である。
【0033】
本実施の形態の回転式拡散装置は好ましくは、拡散管11を設置した基台8を傾斜させるものである。この場合、拡散管11を直接傾斜させずにすむため、例えば拡散管11を回転させたまま結晶シリコン粒子12を回収することができる。
【0034】
拡散管11の回転速度は、2〜60rpm程度がよく、この場合、回転速度がおそすぎることによって多数の結晶シリコン粒子12が固まった状態で崩れる現象が発生し、全ての結晶シリコン粒子12の表面に均一に第2導電型のシリコン層が形成されにくくなるのを低減できる。また、回転速度が速すぎることによって遠心力により拡散管11の内面に結晶シリコン粒子12が押し付けられ滞留してしまい、個々の結晶シリコン粒子12において第2導電型のシリコン層の形成にムラが発生することを低減できる。
【0035】
拡散管11は石英,SiC等から成る。この場合、不純物の点で石英が好ましい。特に、拡散管11は外部から中が見えるように、石英等の透明な材料から成ることが好ましい。
【0036】
基台8は、重量のある石英等から成る拡散管11を設置する強度があればよく、例えば鉄板、ステンレススチール板等から成る。また、基台8は、平板状等の板状体である。
【0037】
基台8の傾斜角度は、結晶シリコン粒子12を転がして回収できる角度であればよく、20°〜40°である。この角度範囲であれば、結晶シリコン粒子12を適度な速度で転がして残らず回収できる。
【0038】
基台8を傾斜させる傾斜機構は、先端部が基台8に繋がって油圧駆動装置9により伸縮駆動されるロッド(ピストンロッド)を有するものが好ましい。この場合、簡易な構成でもって拡散管11を傾斜させることができる。また、傾斜機構は、油圧駆動装置9に限らず、エアシリンダーとピストンロッドを有するエア駆動装置、歯車,チェーン,ワイヤー等を電気モーターによって駆動して基台8を傾斜させるモーター駆動装置等の種々の駆動装置を備えたものとすることができる。
【0039】
また、本実施の形態の回転式拡散装置は好ましくは、傾斜機構は、拡散管11が回転した状態で基台8を傾斜させる。この場合、拡散管11内で結晶シリコン粒子12を転がしながら回収できるため、結晶シリコン粒子12の引っ掛かり等をなくして、拡散管11内に留まる結晶シリコン粒子12がないようにすることができる。また、結晶シリコン粒子12を回収した後に、新たな結晶シリコン粒子12を拡散管11内に収容して、引き続き拡散処理を続行することができる。
【0040】
またこの場合、拡散管11が回転した状態で基台8を傾斜させる際に、回転速度をおそくしてもよい。即ち、傾斜及び回転によって結晶シリコン粒子12を効率よく転がすことができるので、拡散処理時よりも回転速度をおそくしてもよいことになる。勿論、拡散管11が停止した状態で基台8を傾斜させてもよい。
【0041】
また、図2、図8に示すように、本実施の形態の回転式拡散装置は好ましくは、拡散管11は、全体が直胴状の形状である。この場合、拡散管11内において結晶シリコン粒子12の引っ掛かり等をなくして、回収時に拡散管11内に留まる結晶シリコン粒子12がないようにすることができる。全体が直胴状の形状の拡散管11は、円筒状、楕円筒状、四角筒状等の多角筒状等の形状である。楕円筒状である場合、多数の結晶シリコン粒子12を効率良く攪拌するのに有利である。
【0042】
また、拡散管11は、内面に軸方向(長手方向)に延びるように形成された襞部(フィン)が1つ以上形成されていてもよい。この場合、多数の結晶シリコン粒子12を効率よく攪拌することができる。また、襞部に限らず、多数の突起、多数の凹部が形成されていてもよい。この場合にも、多数の結晶シリコン粒子12を効率よく攪拌することができる。
【0043】
また、図4、図6に示すように、本実施の形態の回転式拡散装置は好ましくは、拡散管11は、大径部である中央部と、小径部である一端部と、中央部と一端部との間の錐体状に形成された中継部とを有する。この場合、拡散処理を拡散管11の中央部で集中的に行うことができる。またこの場合、熱拡散するためのヒーターが、拡散管11の中央部を囲むように設けられていることが好ましい。これにより、ヒーターの大きさを必要最小限のものとして、効率よく熱拡散処理を行うことができる。
【0044】
拡散管11の大径部である中央部は、拡散管11全体の長さの15〜50%程度の長さであればよい。この範囲内であれば、拡散管11の中央部において不純物ガスが均一に流れ易い。
【0045】
拡散管11の中継部は、直線的に形成されたものに限らず、全体として曲面をなすような形状であってもよい。
【0046】
また、全体が直胴状の形状の拡散管11は、結晶シリコン粒子12が拡散管11の両端部に移動する可能性があり、拡散管11の均熱領域から外れてしまうことも考えられるので、拡散管11全体を均熱領域とする必要がある。それに比べて、図4の構成の拡散管11は、拡散処理中に結晶シリコン粒子12が中央部の大径部に留まっているので、拡散管11の中央部のみを均熱領域とすればよく、より好ましいものである。
【0047】
また、図4、図5に示すように、本実施の形態の回転式拡散装置は好ましくは、拡散管11の中継部の中央部に対する傾斜角である第1の傾斜角θ1が、傾斜機構によって拡散管11が傾斜されているときの傾斜角である第2の傾斜角θ2よりも小さく設定されている。この場合、拡散管11が傾斜されているときに結晶シリコン粒子12を拡散管11の一端部の開口から容易に回収することができる。その結果、回収時に拡散管11内に留まる結晶シリコン粒子12がないようにすることができる。
【0048】
例えば、第1の傾斜角θ1は10°〜20°程度であり、第2の傾斜角θ2は20°〜45°程度であり、θ1<θ2である。
【0049】
なお、図3は従来の拡散管31を示す。この拡散管31は、結晶シリコン粒子12に拡散処理を施した後に結晶シリコン粒子12を取り出す際に拡散管31を傾斜させても、全ての結晶シリコン粒子12を取り出すことはできない。拡散管31を拡散装置から外して垂直に立てて初めて全ての結晶シリコン粒子12を取り出すことができる。また、例えば拡散処理の終わった結晶シリコン粒子12が拡散管31内に残存していた場合、残存した結晶シリコン粒子12に再度拡散処理が行われることになり、その結晶シリコン粒子12において第2導電型のシリコン層の厚みが所望の厚みを超えてしまう。その結果、光電変換装置において所望の光電変換特性が得られ難くなる。また、拡散処理後に拡散管31内に残存した結晶シリコン粒子12を除去するために、拡散処理する毎に拡散管31の内面をエッチングすることもできるが、その場合量産的でなく製造コストの低い光電変換装置を製造できない。本実施の形態の回転式拡散装置は、このような問題点を解消できるものである。
【0050】
また、本実施の形態の回転式拡散装置は好ましくは、拡散管11の周囲に冷却機構が設けられている。この場合、拡散処理を終えた結晶シリコン粒子12を速やかに冷却して回収することができ、量産性が向上しコスト低減が達成される。冷却機構は空冷式冷却機構であることが好ましい。この場合、水冷式の冷却機構に比べて軽量化されたものとなり、また水冷管等も必要がないため構造が簡略化されたものとなる。
【0051】
本実施の形態の回転式拡散装置の詳細について、図6を用いて説明する。内部にヒーターが設けられた断熱容器1の中に拡散管11が入っている。拡散管11の一端の開口は不純物ガスの導入口3、他端の開口は不純物ガスの排出口2となっている。導入口3よりバブリングされた酸素ガス(窒素ガスを含んでいてもよい),オキシ塩化リンが導入される。排出口2は排ガス処理装置に接続されている。
【0052】
拡散管11を回転させる回転装置4は、拡散管11の両端部の外面と接しており、回転装置4のローラー等が回転することにより拡散管11を回転させる。回転装置4のローラー等の回転数、回転方向を制御することにより、拡散管11の回転数、回転方向を任意に制御できる。
【0053】
拡散管11は基台8上に設置されており、支点部7を傾斜の支点として、油圧駆動装置9に備えられた伸縮駆動されるロッドが伸びることにより、基台8を押し上げる。これにより、拡散管11を傾斜させることができる。オキシ塩化リンは収納容器等から成る収納部13に設置してあり、配管、パイプ等を介して導入口3から拡散管11内に導入される。不純物ガスの供給量、バルブ開閉等の制御は、任意に制御できる。
【0054】
次に、本実施の形態の結晶シリコン粒子の製造方法について以下に説明する。
【0055】
まず、坩堝にシリコン原料を投入して、抵抗加熱ヒーターでシリコン原料全体を溶融させる。溶融したシリコン融液の液面をアルゴンガス等によって例えば0.5MPa以下で加圧し、坩堝の下端に設けられたノズルのノズル孔から押し出すことにより、シリコン融液を噴出して、多数の滴状にする。多数の滴状とされたシリコン融液は、落下管の中を自由落下し、落下中に凝固して結晶シリコン粒子となり、容器に収容される。得られた結晶シリコン粒子は、多結晶粒子または粒界が数個程度しかない擬似単結晶粒子から成る。
【0056】
このような結晶シリコン粒子は、太陽電池等の光電変換装置を作製するために使用される。従って、溶融されるシリコン原料には、所望の半導体とするための不純物を含有させておく。所望の抵抗値の第1の導電型(例えばp型)とするための不純物(ドーパント)、例えばp型ドーパントがドーピングされる。p型ドーパントとしては、ホウ素,アルミニウム,ガリウム,インジウムがあるが、シリコンに対する偏析係数が大きい点、及びシリコン溶融時の蒸発係数が小さい点から、ホウ素を用いることが好ましい。
【0057】
ジェット法により自由落下しながら固化した結晶シリコン粒子12は、この時点ではほぼ球形状のものの他に、涙滴形、流線形、複数個が連結した形状等であり、大部分が多結晶粒子から成る。多結晶粒子から成る結晶シリコン粒子12を用いて太陽電池等の光電変換装置を作製した場合、良好な光電変換特性が得られない。この原因は、結晶シリコン粒子12中に含まれるFe,Cr,Ni,Mo等の金属の不純物と、結晶粒界における再結合効果によるものである。
【0058】
上記の問題点を改善するために、温度制御した加熱炉の中で結晶シリコン粒子12を再溶融させて、酸素ガス及び窒素ガスを含む雰囲気ガス中で降温することにより製造された単結晶粒子から成る結晶シリコン粒子12を用いる。即ち、再溶融(リメルト)工程を付加する。再溶融工程を経た結晶シリコン粒子12は、最終固化部(微小突起部)に不純物が偏析するため、この最終固化部をエッチング法等によって除去することにより、不純物を大幅に低減した単結晶粒子から成る結晶シリコン粒子12が得られる。
【0059】
または、ジェット法により結晶シリコン粒子12を製造する際に、過冷却度を40℃〜200℃程度と小さくすることにより、涙滴形の擬似単結晶粒子から成る結晶シリコン粒子12を製造する。涙滴形の結晶シリコン粒子12は、粒界が数個しかない単結晶に近い結晶品質を有する擬似単結晶粒子である。過冷却度を小さくする手段としては、粒状のシリコン融液が落下する落下経路に過冷却度を制御するヒーターを設ける構成、坩堝から排出された直後の落下中の粒状のシリコン融液に酸化シリコン等の微粒子から成る結晶核を衝突させる方法等がある。
【0060】
得られた擬似単結晶粒子から成る結晶シリコン粒子12を用いて光電変換装置を作製してもよく、または擬似単結晶粒子から成る結晶シリコン粒子12について、再溶融工程を付加して単結晶化したものを用いて光電変換装置を作製してもよい。再溶融工程を付加する場合、上述したように結晶シリコン粒子12の最終固化部(微小突起部)をエッチング法等によって除去する。
【0061】
第1の導電型の結晶シリコン粒子12はp型、n型のいずれでもよい。例えば、シリコンに添加してp型を呈するB,Alを1×1014〜1×1018atoms/cm3程度添加したものである。この結晶シリコン粒子12の平均粒径は、光電変換素子として有効に機能するためには10〜1000μm程度がよく、より好ましくは10〜600μm程度、さらに好ましくは50〜500μm程度がよい。また、ジェット法により効率よく製造するためには、200〜500μm程度がよい。
【0062】
次に、結晶シリコン粒子12の表面に第2導電型のシリコン層(シリコン部)を形成する。即ち、本実施の形態の結晶シリコン粒子の製造方法は、横置き型の拡散管11の内部に多数の第1導電型の結晶シリコン粒子12を入れて拡散管11を回転させて攪拌させながら酸素及び第2導電型の不純物を含む不純物ガスを導入することによって、結晶シリコン粒子12の表面に第2導電型の不純物を拡散させて第2導電型のシリコン層を形成し、次に、拡散管11を傾斜させることによって第2導電型のシリコン層が表面に形成された多数の結晶シリコン粒子12を拡散管11の一端部の開口から取り出すものである。
【0063】
第2の導電型のシリコン層は、上記の熱拡散法により形成する。第2の導電型のシリコン層とするためのドーパントとしては、V族のP,As,Sb、III族のB,Al,Gaなどを用いる。石英からなる拡散管11に不純物ガスを導入しながら結晶シリコン粒子12の表面に第2の導電型のシリコン層を形成する。例えば、オキシ塩化リン(POCl3)、塩化ホウ素(BCl3)ガス等を酸素ガスとともに拡散管11に導入する。
【0064】
第2の導電型のシリコン層の不純物濃度は、1×1017〜1×1022atoms/cm程度がよい。この場合、不純物濃度が低すぎることによって第2の導電型のシリコン層におけるフェルミ準位が不足して、光電変換装置における解放電圧が低下し易くなることを抑制することができる。また、不純物濃度が高すぎることによって結晶シリコン粒子12の表面に五酸化リンが現れ、不純物の拡散が不均一となり易いことを抑制することができる。
【0065】
また、拡散処理の温度は750〜1000℃程度がよい。この場合、温度が低すぎることによって拡散処理が効率的に進まないことを抑制することができる。また、温度が高すぎることによって結晶シリコン粒子12の表面に形成された不純物(リン等)含有ガラス層が拡散管11の内面に付着してしまい、均一な拡散が困難になるばかりか、拡散処理後に結晶シリコン粒子12が取り出し難くなることを抑制することができる。
【0066】
拡散処理後に、結晶シリコン粒子12を内蔵した状態の拡散管11内に窒素ガスのみを流して、アニール処理を5分〜2時間程度行うことがよい。このとき、温度を拡散時の温度と同じか、やや下げて行うのがよい。アニール処理を行うことにより、拡散する不純物の深さ方向の濃度分布、濃度傾斜等のプロファイルを容易に制御できる。
【0067】
拡散処理後に結晶シリコン粒子12を冷却するために、冷却ガスの導入口5から空気,窒素ガス等を断熱容器1内に導入し、拡散管11の周囲に流し、排出口6から排気する。これにより、冷却速度を向上させることができる。この場合、拡散管11を回転させながら冷却することがよく、更に冷却速度を向上させることができる。
【0068】
図9に示す光電変換装置は、本実施の形態の製造方法によって得られた結晶シリコン粒子12を用いて作製したものである。図9の光電変換装置は、導電性基板15の一主面(この例では上面)に、p型の結晶シリコン粒子12を多数個、その下部を例えば接合層16によって接合し、結晶シリコン粒子12の隣接するもの同士の間に絶縁物質17を介在させるとともにそれら結晶シリコン粒子12の上部を絶縁物質17から露出させて配置し、これら結晶シリコン粒子12にn型のシリコン層18及び透光性導体層19が設けられている。
【0069】
導電性基板15は、少なくとも表面に導電性の金属層が形成されていればよく、金属基板であっても良い。例えば、ガラス,セラミック等の絶縁基板上に金属層を形成したものでも良い。導電性基板15として好ましくは、銀,アルミニウム,銅等の高光反射性の金属から成るのがよく、より好ましくは、少なくとも表面にアルミニウム層が形成されているものがよい。アルミニウム製の導電性基板15または表面にアルミニウム層が形成された導電性基板15である場合、結晶シリコン粒子12を導電性基板15の表面に接合した際に、接合部にアルミニウム−シリコン共晶が形成される。これにより、アルミニウムが良好なp型ドーパントであるため、接合界面にp+層が形成されることによって、BSF(Back Surface Field)効果が発現する。また、結晶シリコン粒子12と導電性基板15との強い接合強度が実現できる。
【0070】
光電変換装置は、例えば以下のようにして製造される。まず、アルミニウムから成る導電性基板15上に結晶シリコン粒子12を多数個(数1000個程度)配置する。次に、これを還元雰囲気中で全体的に加熱して、アルミニウム(Al)−シリコン(Si)の共晶温度(577℃)以上に加熱することにより、結晶シリコン粒子12の接合部にAl−Siの共晶部が形成され、結晶シリコン粒子12が導電性基板15に接合層16を介して接合される。なお、接合層16は、アルミニウムとシリコンの合金から成る層である。
【0071】
次に、結晶シリコン粒子12の隣接するもの同士の間に介在するように、導電性基板15上にポリイミドから成る絶縁物質17を配設し、結晶シリコン粒子12間にムラ無くまた全面にコーティングする。絶縁物質17の材料としては、酸化珪素(SiO),酸化アルミニウム(Al),酸化鉛(PbO),酸化硼素(B),酸化亜鉛(ZnO)等を任意成分とするガラスも選択可能であるが、ポリイミドは熱処理温度を低く抑えることが可能で弾性係数も小さく、導電性基板15と絶縁物質17の熱膨張差を吸収する点で好ましい。
【0072】
絶縁物質17の厚みはその材料の絶縁抵抗により異なるが、ポリイミドの場合1μm以上であることが好ましい。また、絶縁物質17は、少なくとも結晶シリコン粒子12の天頂部が露出するように形成されることにより、結晶シリコン粒子12の上部に形成される透光性導体層19またはアモルファスシリコン膜と結晶シリコン粒子12との有効な接触を可能とする。また、結晶シリコン粒子12間の絶縁物質17の表面形状は、隣接する結晶シリコン粒子12同士の間において、結晶シリコン粒子12側が高く結晶シリコン粒子12間の中央部が低い凹形状をしていることがよい。この場合、光電変換モジュールの封止樹脂との屈折率の差により、結晶シリコン粒子12の無い非受光領域における光の乱反射を促進し、光電変換効率を向上させることができる。
【0073】
次に、結晶シリコン粒子12の上に透光性導体層19を形成し、各結晶シリコン粒子12で発生した光電流を収集できるようにする。この透光性導体層19は、錫ドープ酸化インジウム層、酸化スズ層、酸化亜鉛層等からなり、厚みを850Å程度に設定することによって反射防止効果を有している。透光性導体層19は、量産に適した信頼性の高い膜質を得るにはスパッタリング法で形成するのが通常であるが、CVD法、ディップ法、電析法等により形成することもできる。透光性導体層19は、第2の導電型のシリコン層18上に上部電極として形成されるとともに、絶縁物質17上にも形成され、結晶シリコン粒子12から形成された光電変換素子を多数個並列に接続することができる。
【0074】
その後、直列抵抗値を低くするために、透光性導体層19上に銀ペースト等を一定間隔のくし状に塗布してグリット電極とする。導電性基板15を一方の電極(下部電極)にし、透光性導体層19をもう他方の電極(上部電極)とすることにより、太陽電池としての光電変換装置が得られる。この光電変換装置は、低コストかつ高光電変換効率であることに加えて、表面が耐候性樹脂フィルムでラミネートされた光電変換モジュールとすれば、クラックが入るなどの破壊モードが回避できるため、軽量かつ高耐候性の光電変換システムが作製できる。さらには、設置架台やコンバーターを有するトータルシステムにおいても効果を発揮し得るものである。
【実施例】
【0075】
本実施の形態による回転拡散装置及び結晶シリコン粒子の製造方法の実施例について以下に説明する。
【0076】
まず、結晶シリコン粒子12を以下のようにして作製した。アルゴンガスから成る不活性雰囲気ガス中で坩堝へシリコン原料を充填し、1450℃の温度に昇温し溶融させた。坩堝は、石英から成り、高周波誘導加熱のための高周波電力10kVAを入力できる高周波誘導加熱装置を付加したものとした。
【0077】
次に、シリコン原料を溶融状態に維持しながら、シリコン原料の融液の液面にアルゴンガスのガス圧力(0.5MPa)を加えて、レーザ加工により開口された直径100μmの円形のノズル孔を有するノズルより、連続的に全量噴出した。ノズルより排出された粒状のシリコン融液を落下管中を自由落下させ固化させることにより、平均粒径500μm程度の均一な直径を有する多数の球状の結晶シリコン粒子12を作製した。
【0078】
次に、結晶シリコン粒子12を石英ガラス製の台板上に多数の層を成すように、重層的に多数個(約100万個)載置し、加熱炉内に設置した。そして、酸素ガスと窒素ガスの反応性ガスを、雰囲気ガスであるアルゴンガスとともに加熱炉内に導入して、結晶シリコン粒子12の表面にシリコン酸窒化膜を形成しながら室温から昇温した。シリコンの融点(1414℃)以上の1450℃まで加熱し、5分間保持して、結晶シリコン粒子12の表面のシリコン酸窒化膜の内側のシリコンを溶融させた後、降温して固化させることによって単結晶化させた。
【0079】
この結晶シリコン粒子12の表面を、NaOHから成るエッチング液を用いて異方性エッチングして、算術平均粗さ5μm程度の微細な凹凸構造(テクスチャー)を形成した。この凹凸構造によって、結晶シリコン粒子12の表面に入射した光を有効に吸収するとともに、隣接する結晶シリコン粒子12側へ散乱させて、光電変換効率を向上させることができる。
【0080】
次に、多数(100万個)の結晶シリコン粒子12を回転式拡散装置の拡散管11に入れて、キャリアガスである窒素ガスを導入しながら900℃に昇温した。900℃に達した後、拡散管11を3rpm(毎分3回転)の回転速度で回転させながら、酸素ガスとPOClを窒素ガスでバブリングして不純物ガスを拡散管11内に導入し、30分間そのままの状態とした。
【0081】
次に、拡散管11に導入するガスを窒素ガスのみとして、20分間そのままの状態として0.6μmの厚さのn型のシリコン層を、結晶シリコン粒子12の表面に形成した。
【0082】
次に、拡散管11を強制空冷によって冷却して、温度が700℃になった時点で回転を止めた。100℃以下になった時点で拡散管11の一端の開口の蓋を開けて、再び回転させながら拡散管11を30度に傾斜させて、全ての結晶シリコン粒子12を石英製の回収容器に回収した。傾斜機構は、ロッドを伸縮駆動する油圧駆動装置9を用いた。
【0083】
なお、拡散管11は石英から成り、断面形状が円形であり、大径部である中央部と、小径部である一端部と、中央部と一端部との間の錐体状に形成された中継部とを有する形状とした。拡散管11の大径部である中央部は、拡散管11全体の長さの20%程度の長さとした。また、拡散管11の中継部の中央部に対する傾斜角である第1の傾斜角θ1を15°、傾斜機構によって拡散管11が傾斜されているときの傾斜角である第2の傾斜角θ2を30°とした。この構成により、全ての結晶シリコン粒子12を約10秒で回収することができた。
【0084】
次に、15万個の結晶シリコン粒子12を、厚み500μmのアルミニウム製の導電性基板15上に最密六方状に配設した。
【0085】
次に、窒素ガス及び水素ガスを含む還元性雰囲気ガスを用いた加熱炉中で、600℃の温度で結晶シリコン粒子12を導電性基板15上に接合した。このとき、導電性基板15と結晶シリコン粒子12との接合界面には、Al−Si共晶から成る接合部16が形成されていた。この接合部16によって、結晶シリコン粒子12は導電性基板15に強い接着強度で接合された。
【0086】
次に、ロールコーターによって導電性基板15上に突出した結晶シリコン粒子12の上半分をレジスト層で被覆し、フッ硝酸エッチング液によって結晶シリコン粒子12のレジスト層で覆われていない露出した部分の表面のn型のシリコン層を取り除き、レジスト層を除去した。
【0087】
次に、結晶シリコン粒子12が配設された導電性基板15上にポリイミドからなる絶縁物質17を塗布し、窒素ガスから成る雰囲気ガス中で乾燥させた。絶縁物質17の粘度を制御することによって、結晶シリコン粒子12同士の間の隙間に毛細管現象によって隙間無く塗布することができた。導電性基板15上に透光性導体層19として、錫ドープ酸化インジウム層を、スパッタリング法によって全面に厚み85nmとして形成した。
【0088】
最後に、透光性導体層19上に銀ペーストをディスペンサーでグリッド状にパターン形成して、フィンガー電極及びバスバー電極である電極20を形成し、大気中で200℃で焼成し、光電変換装置を作製した。
【0089】
この光電変換装置の電気特性をAM1.5のソーラーシミュレーターによって評価した結果、14%の高い光電変換効率を得ることができた。
【0090】
(比較例)
図3の拡散管31を用いた以外は実施例と同様にして拡散処理を実施した。拡散処理後に拡散管31を20°傾斜させて結晶シリコン粒子12を取り出そうとしたが、投入量の10%程度の結晶シリコン粒子12は取り出すことができなかった。
【0091】
なお、本発明は、以上の実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の回転式拡散装置の側面図である。
【図2】本発明の回転式拡散装置について実施の形態の1例を示し、全体が直胴状の形状である拡散管の断面図である。
【図3】従来の拡散管の断面図である。
【図4】本発明の回転式拡散装置について実施の形態の1例を示し、中央部が大径部とされた拡散管の断面図である。
【図5】図4の拡散管の傾斜時の断面図である。
【図6】本発明の回転式拡散装置について実施の形態の1例を示し、中央部が大径部とされた拡散管を有する回転式拡散装置の透視側面図である。
【図7】図6の回転式拡散装置が傾斜している状態を示す透視側面図である。
【図8】本発明の回転式拡散装置について実施の形態の1例を示し、全体が直胴状の形状である拡散管を有する回転式拡散装置が傾斜している状態を示す透視側面図である。
【図9】本発明の結晶シリコン粒子の製造方法によって得られた結晶シリコン粒子を使用し光電変換装置の部分断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1・・・断熱容器
2・・・不純物ガスの排出口
3・・・不純物ガスの導入口
4・・・回転装置
5・・・冷却ガスの導入口
6・・・冷却ガスの排出口
7・・・支点部
8・・・基台
9・・・油圧駆動装置
10・・・オキシ塩化リンの収納部
11・・・拡散管
12・・・結晶シリコン粒子
13・・・オキシ塩化リン
14・・・結晶シリコン粒子の回収容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に第1導電型の結晶シリコン粒子を入れて回転して攪拌させながら酸素及び第2導電型の不純物を含む不純物ガスを導入することによって、前記結晶シリコン粒子の表面に第2導電型の不純物を拡散させて前記第2導電型のシリコン層を形成する横置き型の拡散管と、前記拡散管を傾斜させることによって前記第2導電型のシリコン層が表面に形成された前記結晶シリコン粒子を前記拡散管の一端部の開口から取り出す傾斜機構とを具備している回転式拡散装置。
【請求項2】
前記傾斜機構は、前記拡散管を設置した基台を傾斜させる請求項1記載の回転式拡散装置。
【請求項3】
前記傾斜機構は、前記拡散管が回転した状態で前記基台を傾斜させる請求項2記載の回転式拡散装置。
【請求項4】
前記傾斜機構は、先端部が前記基台に繋がって油圧駆動装置により伸縮駆動されるロッドを有する請求項2または3記載の回転式拡散装置。
【請求項5】
前記拡散管は、全体が直胴状の形状である請求項1乃至4のいずれか記載の回転式拡散装置。
【請求項6】
前記拡散管は、大径部である中央部と、小径部である前記一端部と、前記中央部と前記一端部との間の錐体状に形成された中継部とを有する請求項1乃至4のいずれか記載の回転式拡散装置。
【請求項7】
前記拡散管の前記中継部の前記中央部に対する傾斜角である第1の傾斜角が、前記傾斜機構によって前記拡散管が傾斜されているときの傾斜角である第2の傾斜角よりも小さく設定されている請求項6記載の回転式拡散装置。
【請求項8】
前記拡散管の周囲に冷却機構が設けられている請求項1乃至7のいずれか記載の回転式拡散装置。
【請求項9】
前記冷却機構は空冷式冷却機構である請求項8記載の回転式拡散装置。
【請求項10】
横置き型の拡散管の内部に第1導電型の結晶シリコン粒子を入れて前記拡散管を回転させて攪拌させながら酸素及び第2導電型の不純物を含む不純物ガスを導入することによって、前記結晶シリコン粒子の表面に第2導電型の不純物を拡散させて前記第2導電型のシリコン層を形成し、次に、前記拡散管を傾斜させることによって前記第2導電型のシリコン層が表面に形成された前記結晶シリコン粒子を前記拡散管の一端部の開口から取り出す結晶シリコン粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−130172(P2009−130172A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304306(P2007−304306)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】