説明

回転機用巻線接続装置、回転機用固定子及び回転機

【課題】回転機の小型化を図りながら各相の固定子巻線をスター接続することができる巻線接続技術を提供する。
【解決手段】巻線接続装置の保持基板100には、半径M1、M2、M3を有する円弧に沿ってそれぞれ溝111Xと111Y、111W、111Vが形成されている。また、半径M1を有する円弧と半径M2を有する円弧に沿っているとともに、半径M1を有する円弧と半径M2を有する円弧にまたがっている溝111Uが形成されている。溝111UにはU相バスバー200U、溝111VにはV相バスバー200V、溝111WにはW相バスバー200Wが、溝111Xには第1の中性点バスバー200Xが、溝111Yには第2の中性点バスバー200Yが収容される。U相、V相及びW相の固定子巻線は、U相、V相、W相バスバー、第1の中性点バスバー及び第2の中性点バスバーによって2重スター接続されるとともに外部に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機等の回転機の固定子コアに巻かれている固定子巻線を接続する巻線接続技術に関する。
【背景技術】
【0002】
回転機、例えば、電動機では、固定子コアに巻かれたU相、V相、W相の固定子巻線を接続する巻線接続装置が用いられている。3相(U相、V相、W相)の固定子巻線を接続する方法としてはスター接続方法やデルタ接続方法が知られているが、循環電流が流れないスター接続方法が用いられることが多い。U相、V相、W相の固定子巻線をスター接続するとともに外部に接続する巻線接続装置としては、例えば、特許文献1に記載されている巻線接続装置が知られている。特許文献1に記載の巻線接続装置では、U相、V相及びW相の固定子巻線をスター接続するために必要なU相用接続金具、V相用接続金具、W相用接続金具及び中性点用接続金具をそれぞれ異なる半径を有する円弧形状に形成している。そして、各接続金具を、絶縁樹脂により形成された収容ケースに、各接続金具の円弧形状の中心が一致するように(同心に)収容している。
【特許文献1】特開2005−130667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
各相の固定子巻線をスター接続するための従来の巻線接続装置では、U相用接続金具、V相用接続金具、W相用接続金具及び中性点用接続金具が、異なる半径を有する円弧形状に形成されている。このため、収容ケースの外径寸法、したがって、電動機の外径寸法は、U相用接続金具、V相用接続金具、W相用接続金具及び中性点用接続金具を径方向に並べて収容可能な長さ以上に設定する必要がある。
ところで、自動車に搭載されている電動パワーステアリングに使用される電動機等は、設置スペースの制限がある。このため、このような用途に使用される電動機の小型化が強く要望されている。
しかしながら、各相の固定子巻線をスター接続するための従来の巻線接続装置では、電動機の小型化には限界がある。
本発明は、このような点にかんがみて創案されたものであり、電動機の小型化を図りながら各相の固定子巻線をスター接続することができる巻線接続技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1発明は、回転機の固定子の固定子コアに巻かれた第1相〜第3相の固定子巻線をスター接続するとともに外部に接続する回転機用巻線接続装置である。本発明の回転機用巻線接続装置は、好適には、電動機に用いられる。第1相〜第3相の固定子巻線は、典型的には、U相〜W相の固定子巻線が対応する。
本発明の回転機用巻線接続装置は、接続部材と、接続部材を保持する保持部材を有している。保持部材は、固定子コアの軸方向の一方側に設けられる。回転子コアの軸方向は、回転子が固定子に回動可能に取り付けられている状態において、回転子の回転軸の軸方向と一致する方向である。接続部材は、第1〜第4の導電部材により構成される。導電部材としては、好適には、導電性を有する金属板により形成されたバスバーが用いられる。
第1の導電部材は、本体部と、当該本体部に設けられ、第1相の固定子巻線の端部に接続される第1の巻線接続端子及び外部に接続される第1の外部接続端子を有している。第2の導電部材は、本体部と、当該本体部に設けられ、第2相の固定子巻線の一方の端部に接続される第2の巻線接続端子及び外部に接続される第2の外部接続端子を有している。第3の導電部材は、本体部と、当該本体部に設けられ、第3相の固定子巻線の一方の端部に接続される第3の巻線接続端子及び外部に接続される第3の外部接続端子を有している。第4の導電部材は、本体部と、当該本体部に設けられ、第1相〜第3相の固定子巻線それぞれの他方の端部に接続される第4の巻線接続端子を有している。典型的には、第1〜第3の導電部材は、U相〜W相の固定子巻線の一方の端部を外部に接続し、第4の導電部材は、U相〜W相の固定子巻線の他方の端部を共通に接続する(スター接続する)。各相の固定子巻線は1つの部分固定子巻線で構成することもできるし、複数の部分固定子巻線を直列接続、並列接続あるいは直列接続と並列接続を組み合わせて接続することによって構成することもできる。接続部材は、各相の固定子巻線を多重スター接続(例えば、二重スター接続、三重スター接続)するものであってもよい。
本発明では、第1〜第4の導電部材が保持部材に保持されている状態では、保持部材の軸方向に直角な方向から見て、第1〜第4の導電部材の本体部のうち、少なくとも1つの本体部を除く他の本体部は、異なる半径を有する円弧に沿って配置され、少なくとも1つの本体部は、異なる半径を有する円弧のうちの1つの円弧と他の1つの円弧に沿っているとともに、当該1つの円弧と他の1つの円弧にまたがって配置されている。典型的には、第1〜第4の導電部材の本体部のうち、3つの導電部材の本体部は、異なる半径を有する円弧に沿って配置され、残りの1つの導電部材の本体部は、異なる半径を有する円弧のうちの1つの円弧と他の1つの円弧に沿っているとともに、当該1つの円弧と他の1つの円弧にまたがって配置される。保持部材の軸方向は、保持部材が固定子コアに配設されている状態において、回転子コアの軸方向と一致する方向である。
「異なる半径を有する円弧のうちの1つの円弧に沿っている」態様には、「異なる半径を有する円弧のうちの1つの円弧の半径と略等しい半径を有する円弧に沿っている」態様が包含される。また、「異なる半径を有する円弧のうちの他の1つの円弧に沿っている」態様には、「異なる半径を有する円弧のうちの他の円弧の半径と略等しい半径を有する円弧に沿っている」態様が包含される。すなわち、本発明では、第1〜第4の導電部材の本体部は、保持部材の軸方向に直角な径方向に3層(略3層を含む)に配置される。「導電部材の本体部が異なる半径のうちの1つの半径に沿って配置される態様」としては、例えば、「導電部材の本体部の径方向の内側あるいは外側あるいは中央部が異なる半径のうちの1つの半径に沿って配置される態様」が用いられる。
導電部材を保持部材に保持する態様としては、典型的には、保持部材に設けられた収容部に導電部材を収容する態様が用いられるが、導電部材とともに保持部材を一体に形成する態様等を用いることもできる。
第1〜第4の導電部材は、1つの部材により構成してもよいし、複数の部材により構成してもよい。
本発明では、第1相〜第3相の固定子巻線をスター接続するとともに外部に接続するための第1〜第4の導電部材を保持部材の軸方向に直角な径方向に3層(略3層を含む)に配置することができる。これにより、回転機用巻線接続装置、回転機用固定子さらには回転機を小型化することができる。
【0005】
本発明の第2発明は、請求項2に記載された構成を備える回転機用巻線接続装置である。
本発明では、保持部材には、第1〜第4の導電部材の本体部を収容する複数の収容部が形成されている。導電部材の本体部を収容する収容部としては、典型的には、溝が用いられる。本発明では、保持部材に設けられている複数の収容部は、保持部材の軸方向に直角な方向から見て、少なくとも1つの収容部を除く他の収容部は、異なる半径を有する円弧に沿って形成され、少なくとも1つの収容部は、異なる半径を有する円弧のうちの1つの円弧と他の1つの円弧に沿っているとともに、当該1つの円弧と他の1つの円弧にまたがって形成されている。典型的には、複数の収容部のうち、3つの導電部材の本体部が収容される収容部は、異なる半径を有する円弧に沿って形成され、残りの1つの導電部材の本体部が収容される収容部は、異なる半径を有する円弧のうちの1つの円弧と他の円弧に沿っているとともに、当該1つの円弧と他の1つの円弧にまたがって形成される。
そして、第1〜第4の導電部材の本体部のうちの少なくとも1つの本体部は、少なくとも1つの収容部に収容可能に形成され、少なくとも1つの本体部を除く他の本体部は、少なくとも1つの収容部を除く他の収容部に収容可能に形成されている。第1〜第4の導電部材の本体部のうちの少なくとも1つの本体部は、少なくとも1つの収容部の、異なる半径を有する円弧のうちの1つの円弧に沿って形成されている箇所に収容される部分と、他の1つの円弧に沿って形成されている個所に収容される部分と、当該1つの円弧と他の1つの円弧にまたがって形成されている個所に収容される部分により構成されるのが好ましい。
なお、複数の収容及び第1〜第4の導電部材の形状は、保持部材の軸方向に直角な径方向に3層(略3層を含む)に配置されるように適宜設定される。
本発明では、収容部を有する保持部材と第1〜第4の導電部材を別々に形成することができるため、保持部材や第1〜第4の導電部材を容易に形成することができる。
【0006】
本発明の第3発明は、請求項3に記載された構成を有する回転機用巻線接続装置である。
本発明では、第1〜第4の導電部材の本体部を複数の収容部に位置決めする位置決め部材が設けられている。位置決め部材の構成、配設位置、数等は、適宜選択することができる。
本発明では、導電部材の本体部を保持部材の収容部の所定位置に容易に配置することができる。
【0007】
本発明の第4発明は、請求項4に記載された構成を有する回転機用巻線接続装置である。
本発明では、位置決め部材が、位置決め用の突部と、位置決め用の突部が係合可能な位置決め用の凹部により構成されている。位置決め用の突部は、第1〜第4の導電部材の本体部と複数の収容部の一方に設けられ、位置決め用の凹部は、他方に設けられる。位置決め用の突部及び位置決め用の凹部の配設位置は適宜選択することができるが、収容部を形成する溝の底部と、導電部材の本体部の、溝の底部に対応する箇所(導電部材の本体部の底部)に形成するのが好ましい。
本発明では、位置決め部材を位置決め用の突部と位置決め用の凹部により構成しているため、簡単な構成で容易に導電部材の本体部を収容部の適切な位置に配置することができる。
【0008】
本発明の第5発明は、請求項5に記載された構成を有する回転機用巻線接続装置である。
本発明では、保持部材に、第1相〜第3相の固定子巻線の一方の端部あるいは他方の端部を、保持部材に保持されている第1〜第4の導電部材の第1〜第4の巻線接続端子に案内する案内部が設けられている。案内部は、保持部材の軸方向に直角な方向から見て、保持部材の軸方向に直角な径方向の外側から内側に向かって開口間隔が漸減するように形成されている(V字状の)外側開口部と、外側開口部に連接され、保持部材の径方向に直角な径方向に沿って同じ(略同じを含む)開口間隔で延び、内側が閉じている形状に形成されている(U字状の)内側開口部を有している。「内側が閉じている形状」は、固定子巻線の一方の端部あるいは他方の端部が係止される形状であればよい。
外側開口部は、テーパ形状の内壁、曲線形状の内壁、段差状の内壁等により形成することができる。また、内側開口部は、直線形状の内壁と曲線形状あるいは直線形状の端壁により形成することができる。
本発明では、第1相〜第3相の固定子巻線の端部を第1〜第4の導電部材の第1〜第4の巻線接続端子の位置(好適には、巻線接続端子の接続位置)に案内することができるため、第1相〜第3相の固定子巻線の端部と第1〜第4の導電部材の第1〜第4の巻線接続端子との接続作業が容易となる。
【0009】
本発明の第6発明は、請求項6に記載された構成を有する回転機用巻線接続装置である。
本発明では、保持部材は、第1〜第4の導電部材の本体部を保持する筒形状の本体部と、本体部から、保持部材の軸方向に直角な径方向の外側に延びる鍔部により構成されている。
第1〜第4の導電部材の第1〜第4の巻線接続端子は、第1〜第4の導電部材の本体部が保持部材の本体部に保持されている状態で、保持部材の本体部から、保持部材の軸方向に直角な径方向の外側に延びているとともに、保持部材の軸方向に直角な径方向の外側の先端箇所に第1相〜第3相の固定子巻線の一方の端部あるいは他方の端部が挿入可能な凹部が形成されている。
そして、案内部は、保持部材の鍔部に、第1〜第4の導電部材の第1〜第4の巻線接続端子に形成されている凹部に対応する箇所に設けられている。
本発明では、第1相〜第3相の固定子巻線の端部を第1〜第4の導電部材の巻線接続端子に接続する作業がより容易となる。
【0010】
本発明の第7発明は、請求項7に記載された構成を有する回転機用巻線接続装置である。
本発明では、保持部材には、案内部を構成する内側開口部が設けられている箇所に補強部材を設けている。例えば、保持部材が筒形状の本体部と、本体部から径方向の外側に延びる鍔部を有し、案内部が鍔部に設けられているとともに、案内部の内側開口部が、保持部材の軸方向に直角な方向から見て、同じ開口間隔で延びる直線形状の内壁と、曲線形状あるいは直線形状の端壁により形成されている場合には、保持部材として、内側開口部の内壁と端壁に沿い、鍔部から保持部材の軸方向に沿って延びるように形成された壁状のリブが用いられる。リブは、内壁と端壁に沿って連続して形成するのが好ましいが、離散的に形成することもできる。補強部材の配設領域は、適宜設定可能である。
保持部材に案内部を設ける場合、保持部材の強度が低下する虞がある。例えば、保持部材の鍔部に案内部を設ける場合には、鍔部の厚さが薄いため、鍔部の強度が弱くなる虞がある。本発明では、案内部の内側開口部が設けられている箇所に補強部材を設けている。これにより、保持部材の強度を確保することができる。また、補強部材が、案内部の内側開口部を形成する内壁と端壁に沿い、鍔部から保持部材の軸方向に沿って延びるように形成される場合には、補強部材が、固定子巻線の端部を巻線接続部端子の接続部(例えば、先端部に形成された凹部)に溶接等によって接続する際のガイド部(ガイド溝)として作用する。これにより、固定子巻線を巻線接続端子に接続する作業が一層容易となる。
【0011】
本発明の第8発明は、請求項8に記載された構成を有する回転機用巻線接続装置である。
本発明では、保持部材は、第1〜第3の導電部材を保持している状態で、第1〜第3の導電部材の第1〜第3の外部接続端子と対向する箇所にナットが配置されている。そして、保持部材は、ナットとともに樹脂により一体成形されている。
本発明では、保持部材は、第1相〜第3相の固定子巻線を外部に接続する第1〜第3の導電部材の外部接続端子が配置される箇所にナットが配置された状態で、絶縁特性を有する樹脂により一体成形されている。これにより、第1〜第3の導電部材の外部接続端子を外部端子に接続するための部材によって保持部材の軸方向の長さが長くなるのを抑制することができる。
【0012】
本発明の第9発明は、請求項9に記載された構成を有する回転機用固定子である。
本発明の回転機用固定子は、好適には電動機の固定子として用いられる。
本発明では、固定子コアに設けられた第1〜第3の固定子巻線をスター接続するとともに外部に接続する巻線接続装置として前述した回転機用巻線接続装置を用いている。これにより、固定子及び回転機を小型化することができる。
【0013】
本発明の第10発明は、請求項10に記載された構成を有する回転機用固定子である。
本発明では、固定子コアは、複数の分割コアにより構成されている。そして、第1相〜第3相の固定子巻線は、隣接して配置される少なくとも2つの分割コアに連続して巻かれている。「固定子巻線が、隣接して配置される少なくとも2つの分割コアに連続して巻かれている」態様は、「固定子巻線が、途中で切断されることなく、隣接して配置される少なくとも2つの分割コアに巻かれている」態様を意味する。
本発明では、固定子巻線を複数の分割コアに連続して巻いているため、固定子巻線を接続するための部品や作業を省略することができる。
【0014】
本発明の第11発明は、請求項11に記載された構成を有する回転機用固定子である。
本発明では、保持部材の固定子コアに対する軸方向及び周方向への移動を規制する移動規制部材を設けている。これにより、保持部材を固定子コアに強固に取り付けることができる。
【0015】
本発明の第12発明は、請求項12に記載されたとおりの回転機用固定子である。
本発明では、固定子コアには、第1相〜第3相の固定子巻線が巻かれる箇所に絶縁部材が設けられている。絶縁部材としては、好適には、絶縁特性を有する樹脂により形成された絶縁部材が用いられる。例えば、固定子コアを複数の分割コアにより構成し、各分割コアに固定子巻線を巻く場合(部分固定子巻線を巻く場合を含む)には、各分割コアの、固定子巻線が巻かれる箇所に絶縁特性を有する樹脂により形成される絶縁部材が設けられる。
そして、移動規制部材を、固定子コアに設けられた絶縁部材と保持部材の一方に設けられた爪部と、他方に設けられ、一方に設けられた爪部が軸方向及び周方向の移動を規制された状態で係合可能な係合部により構成する。係合部としては、例えば、軸方向の両側及び周方向の両側に壁部を有する凹部が用いられる。
これにより、簡単な構成で保持部材の移動を規制することができる。
【0016】
本発明の第13発明は、請求項13に記載された構成を有するとおりの回転機である。
本発明を用いれば、小型の回転機を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1〜8に記載の回転機用巻線接続装置、請求項9〜12に記載の回転機用固定子、請求項13に記載の回転機を用いれば、固定子コアに巻かれている第1相〜第3相の固定子巻線をスター接続するとともに外部に接続するための第1〜第4の導電部材を保持する保持部材の径方向(保持部材の軸方向と直角な方向)の長さを短縮することができ、回転機を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
第1の実施の形態は、本発明の巻線接続装置を、回転子コアの外周面に永久磁石を配置した回転子と、固定子巻線が巻回された固定子コアを有する固定子により構成される電動機(「表面磁石型電動機」と呼ばれる)に用いたものである。
本実施の形態の電動機は、自動車に搭載される電動パワーステアリング等に使用される。電動パワーステアリング等に使用される電動機では、大電流用の太い電線を固定子コアに巻回するため、分割コア構造の固定子コアが用いられる。
本実施の形態の固定子巻線の接続状態を図1及び図2に示す。
本実施の形態では、部分固定子巻線L1〜L12が巻回される分割コアC1〜C12により、12スロット(スロット番号1〜スロット番号12)を有する固定子コアが構成されている。分割コアC1〜C12には部分固定子巻線C1〜C12が巻回されている。本実施の形態では、隣接して配置される2つの分割コアC1とC2、C3とC4、C5とC6、C7とC8、C9とC10、C11とC12に部分固定子巻線L1とL2、L3とL4、L5とL6、L7とL8、L9とL10、L11とL12を連続して巻回し、固定子巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2を構成している。分割コアC1に巻回されている部分固定子巻線L1の一方の端部(固定子巻線U1の一方の端部)は中性点バスバー1(導電部材)の巻線接続端子x1に接続され、分割コアC2に巻回されている部分固定子巻線L2の他方の端部(固定子巻線U1の他方の端部)はU相バスバー(導電部材)の巻線接続端子u2に接続されている。部分固定子巻線L1の他方の端部と部分固定子巻線L2の他方の端部は繋がっている。分割コアC3に巻回されている部分固定子巻線L3の一方の端部(固定子巻線V1の一方の端部)はV相バスバー(導電部材)の巻線接続端子v2に接続され、分割コアC4に巻回されている部分固定子巻線L4の他方の端部(固定子巻線V1の他方の端部)は中性点バスバー1の巻線接続端子x2に接続されている。部分固定子巻線L3の他方の端部と部分固定子巻線L4の一方の端部は繋がっている。分割コアC5に巻回されている部分固定子巻線L5の一方の端部(固定子巻線W1の一方の端部)は中性点バスバー1の巻線接続端子x3に接続され、分割コアC6に巻回されている部分固定子巻線L6の他方の端部(固定子巻線W1の他方の端部)はW相バスバー(導電部材)の巻線接続端子w2に接続されている。部分固定子巻線L5の他方の端部と部分固定子巻線L6の一方の端部は繋がっている。分割コアC7に巻回されている部分固定子巻線L7の一方の端部(固定子巻線U2の一方の端部)はU相バスバーの巻線接続端子u3に接続され、分割コアC8に巻回されている部分固定子巻線L8の他方の端部(固定子巻線U2の一方の端部)は中性点バスバー2(導電部材)の巻線接続端子y1に接続されている。部分固定子巻線L7の他方の端部と部分固定子巻線L8の一方の端部は繋がっている。分割コアC9に巻回されている部分固定子巻線L9の一方の端部(固定子巻線V2の一方の端部)は中性点バスバー2の巻線接続端子y2に接続され、分割コアC10に巻回されている部分固定子巻線L10の他方の端部(固定子巻線V2の他方の端部)はV相バスバーの巻線接続端子v3に接続されている。部分固定子巻線L9の他方の端部と部分固定子巻線L10の一方の端部は繋がっている。分割コアC11に巻回されている部分固定子巻線L11の一方の端部(固定子巻線W2の一方の端部)はW相バスバーの巻線接続端子w3に接続され、分割コアC12に巻回されている部分固定子巻線L12の他方の端部(固定子巻線W2の他方の端部)は中性点バスバー2の巻線接続端子y3に接続されている。部分固定子巻線L11の他方の端部と部分固定子巻線L12の一方の端部は繋がっている。
このように、隣接して配置される複数の分割コアに巻線を連続して巻回することにより、巻線を接続する接続部材や接続作業の負担を軽減することができる。
【0019】
これにより、本実施の形態では、複数の部分固定子巻線により各相(U相、V相、W相)の固定子巻線が構成され、各相の固定子巻線により2重スター接続された固定子巻線が構成されている。すなわち、部分固定子巻線L1〜L12により、第1のU相、V相、W相の固定子巻線U1、V1、W1と第2のU相、V相、W相の固定子巻線U2、V2、W2が構成され、さらに、第1のU相、V相、W相の固定子巻線U1、V、W1と第2のU相、V相、W相の固定子巻線U2、V2、W2により2重スター接続された固定子巻線が構成されている。
U相の固定子巻線(U1とU2)、V相の固定子巻線(V1とV2)、W相の固定子巻線(W1とW2)のいずれか1つの固定子巻線が本発明の「第1相の固定子巻線」に対応し、他の1つが本発明の「第2相の固定子巻線」に対応し、他の1つが本発明の「第3相の固定子巻線」に対応する。
U相バスバーの外部接続端子u1、V相バスバーの外部接続端子v1、W相バスバーの外部接続端子w1には外部端子が接続され、外部の三相電源からU相、V相、W相の固定子巻線U1、U2、V1、V2、W1、W2に電流が供給される。
なお、本実施の形態では、回転子は、8極あるいは10極あるいは14極に構成されている。
固定子巻線の相数、固定子コアのスロット数、回転子の磁極数は、種々の組み合わせが可能である。また、部分固定子巻線を連続して巻回する分割コアの数は、適宜設定可能である。
【0020】
本実施の形態の電動機10の構成及び組み立て方法を、図3〜図25を参照して説明する。
なお、図3は、本実施の形態の電動機10の縦断面図であり、図4は、図3のIV−IV線矢視図である。
図5は、巻線接続装置を構成する保持基板100の平面図であり、図6は、図5のVI−VI線矢視図である。図7は、保持基板100に接続部材(U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Y)を収容して接続装置を構成する動作を説明する図である。図8〜図17は、巻線接続装置を構成する接続部材であるU相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yの斜視図、平面図である。図18は、保持基板100に接続部材(U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Y)を保持した巻線接続装置の平面図であり、図19は、図18のXIX−XIX線矢視図である。
図20は、固定子巻線70が巻回された固定子コア50に、巻線接続装置(図18、図19)を取り付ける動作を説明する図である。
図21は、固定子コア50を構成する分割コア50Aの斜視図であり、図22は、絶縁部材が取り付けられた分割コア50Aの斜視図である。
図23、図24は、巻線接続装置の固定子コア50に対する軸方向及び周方向の移動を規制する移動規制部材を説明する図である。
図25は、固定子に外部端子を接続する動作を説明する図である。
【0021】
電動機10は、概略、ハウジングと、ハウジングの内側に配置される固定子と、固定子と間隙を介して回転可能に支持される回転子により構成されている。
ハウジングは、円筒形状のケース21を有している。ケース21の軸方向の一方側にはブラケット22が設けられ、他方側にはブラケット24が設けられている。ブラケット22には軸受23が設けられ、ブラケット24には軸受25が設けられている。ケース21、ブラケット22、24は、非磁性材料により形成される。
回転子は、回転子コア31を有している。回転子コア31は、例えば、薄い板状の電磁鋼板を積層して形成される。回転子コア31は、円筒形状に形成されている。回転子コア31の外周面には、磁極数に応じた数の永久磁石が配置されている。回転子コア31の中心部に設けられている軸孔には、回転軸33が圧入等により挿入されている。回転軸33は、軸受23、25により回転可能に支持されている。
また、本実施の形態では、各相の固定子巻線への電流の供給を制御するために、回転子の位置を検出する回転位置検出器が設けられている。本実施の形態では、回転位置検出器としてレゾルバが設けられている。レゾルバは、レゾルバ回転部28aとレゾルバ固定部28bにより構成されている。レゾルバ回転部28aは、回転軸33に設けられており、レゾルバ固定部28bは、ブラケット22の、レゾルバ回転部28aと対向する箇所に設けられている。レゾルバ固定部28bは、外部から電流が供給されるとともに、回転子の位置を示す回転位置検出信号を外部に出力する。なお、回転位置検出器は、レゾルバに限定されず、公知の種々の回転位置検出器を用いることができる。
【0022】
固定子は、固定子コア50と、固定子コア50に巻回されている固定子巻線70と、固定子巻線70(詳しくは、部分固定子巻線あるいは各相の固定子巻線)をスター接続するとともに外部に接続する巻線接続装置を有している。
固定子コア50は、例えば、薄い板状の電磁鋼板を積層して形成される。固定子コア50は、円筒形状に形成されている。本実施の形態では、固定子コア50を複数の分割コア50A〜50Lにより構成している。分割コア50A〜50Lの構成は後述する。分割コア50A〜50Lは、図4に示すように、ケース21の内周側に並べて配設されている。固定子巻線70は、複数の分割コア50A〜50L(図1の分割コアC1〜C12に対応する)に巻回されている複数の部分固定子巻線70A〜70L(図1の部分固定子巻線L1〜L12に対応する)により構成されている。
本明細書では、「固定子コア50の軸方向」は、回転子が固定子に回動可能に配設されている状態において、回転子の回転軸33の軸方向(図3の左右方向)と同じ方向を意味する。
【0023】
巻線接続装置は、固定子コア50の軸方向の一方側に設けられ、固定子巻線70(各部分固定子巻線あるいは各相の固定子巻線)をスター接続するとともに外部に接続するための接続部材と、接続部材を保持する保持基板100により構成されている。
接続部材は、複数のバスバーにより構成されている。U相、V相、W相の固定子巻線をスター接続するとともに外部に接続するためには、少なくとも4個のバスバーが必要である。本実施の形態では、固定子巻線を2重スター接続するための接続部材として、U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yを用いている。U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yは、それぞれ保持基板100に形成されている溝111U、111V、111W、111X、111Yに収容される。
溝111U、111V、111W、111X、111Yが本発明の「収容部」に対応する。
【0024】
従来の巻線接続装置では、U相バスバーを収容する溝、V相バスバーを収容する溝、W相バスバーを収容する溝、中性点バスバーを収容する溝が、それぞれ異なる半径を有する円弧形状に形成されている。すなわち、保持基板には、同じ中心位置から異なる半径を有する4つの円弧に沿って各溝が形成されている。このため、U相バスバーとU相バスバーを収容する溝、V相バスバーとV相バスバーを収容する溝、W相バスバーとW相バスバーを収容する溝、中性点バスバーと中性点バスバーを収容する溝が保持基板の径方向に4層に配置されることになり、保持基板の外径寸法、したがって、電動機の外径寸法の低減には限界があった。
ここで、U相バスバーとU相バスバーを収容する溝、V相バスバーとV相バスバーを収容する溝、W相バスバーとW相バスバーを収容する溝、中性点バスバーと中性点バスバーを収容する溝のうち2つのバスバーと溝を同じ半径を有する円弧形状に形成することにより、バスバーと溝を保持基板の径方向に沿って3層に配置することが考えられる。しかしながら、この場合、同じ半径を有する円弧形状に形成する2つのバスバーが周方向に重なってしまう。このため、この手法は用いることができない。
本実施の形態では、U相バスバーを収容する溝、V相バスバーを収容する溝、W相バスバーを収容する溝、中性点バスバーを収容する溝のうち、少なくとも1つのバスバーを収容する溝を除く他のバスバーを収容する溝は、異なる半径を有する円弧に沿って形成し、少なくとも1つのバスバーを収容する溝は、異なる半径を有する円弧のうちの1つの円弧と他の1つの円弧に沿っているとともに、当該1つの円弧と他の1つの円弧にまたがって形成する手法を用いている。これにより、U相バスバーを収容する溝、V相バスバーを収容する溝、W相バスバーを収容する溝、中性点バスバーを収容する溝を保持基板の径方向に沿って3層(3列)に配置することが可能となり、保持基板の外径寸法、したがって、電動機の外径寸法を低減することができる。
【0025】
本実施の形態では、U相バスバー200UとU相バスバー200Uを収容する溝111U、V相バスバー200VとV相バスバー200Vを収容する溝111V、W相バスバー200WとW相バスバー200Wを収容する溝111W、第1の中性点バスバー200Xと第1の中性点バスバー200Xを収容する溝111X、第2の中性点バスバー200Yと第2の中性点バスバー200Yを収容する溝111Yのうち、U相バスバー200Uと溝111Uを除く他のバスバーと溝(V相バスバー200Vと溝111V、W相バスバー200Wと溝111W、第1の中性点バスバー200Xと溝111X、第2の中性点バスバー200Yと溝111Y)を、それぞれ異なる半径を有する円弧形状部により構成し、U相バスバー200Uと溝111Uを、U相バスバー200Uと溝111Uを除く他のバスバーと溝を構成する円弧形状部の半径のいずれかと同じ半径を有するが、互いに異なる半径を有する第1の円弧形状部と第2の円弧形状部、第1の円弧形状と第2の円弧形状部を連結する連結部により構成している。
なお、第1の円弧形状部、第2の円弧形状部と連結部により構成するバスバーと溝は、U相バスバー200UとU相バスバー200Uを収容する溝111Uに限定されず、他のバスバーと当該他のバスバーを収容する溝であってもよい。
U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200Wには、各相の固定子巻線の一方の端部を外部に接続するための巻線接続端子と外部接続端子が設けられている。本実施の形態では、図7に示すように、固定子巻線を2重スター接続するために、2つの巻線接続端子202u1と202u2、202v1と202v2、202w1と202w2、1つの外部接続端子204u、204v、204wが設けられている。また、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yには、各相の固定子巻線の他方の端部をスター接続するために巻線接続端子202x1〜202x3と202y1〜202y3が設けられている。巻線接続端子202u1、202u2、202v1、202v2、202w1、202w2、202x1〜202x3、202y1〜202y3の先端箇所には、固定子巻線(部分固定子巻線)の端部が挿入可能な凹部が形成されている。固定子巻線(部分固定子巻線)の端部は、各バスバーに設けられている巻線接続端子の先端箇所に形成されている凹部に挿入された状態で巻線接続端子に接合される。接合方法としては、例えば、TIG溶接等の溶接方法が用いられる。
【0026】
また、図4に示すように、ケース21の外周には、コネクタ80が取り付けられる。コネクタ80には、外部端子81U、81V、81Wが設けられている。外部端子81U、81V、81Wは、例えば、導電材料により形成された金属板が用いられる。コネクタ80がケース21の外周部に取り付けられることにより、外部端子81U、81V、81Wが、U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200Wの外部接続端子204u、204v、204wと対向する箇所に配置される。そして、外部端子81U、81V、81Wと外部接続端子204u、204v、204wは、ネジ82U、82V、82Wにより接続される。
保持基板100は本発明の「保持部材」に対応する。また、U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200Xと第2の中性点バスバー200Yのいずれか1つが本発明の「第1の導電部材」に対応し、他の1つが本発明の「第2の導電部材」に対応し、他の1つが本発明の「第3の導電部材」に対応し、他の1つが本発明の「第4の導電部材」に対応する。
【0027】
巻線接続装置の構成を、図5〜図19により説明する。なお、本明細書では、「保持基板100(保持部材)の軸方向」は、保持基板100が固定子コア50の軸方向の一方の端部に配置されている状態において、固定子コア50の軸方向と同じ方向(図5の前後方向、図6の左右方向)を意味する。
巻線接続装置を構成する保持基板100を、図5、図6により説明する。保持基板100は、例えば、絶縁性を有する樹脂により形成される。
保持基板100は、円筒形状(筒形状)の本体部110と、本体部110から、保持基板100の軸方向(本体部110の軸方向)に直角な径方向(図5では外周方向、図6では、上方向および下方向)に延びる鍔部150により構成されている。本実施の形態では、鍔部150は、保持基板100の軸方向の、固定子コア50と対向する側(図6では右側)に形成されている。
本体部110の内側には、保持基板100の軸方向に直角な方向から見て、円弧形状を有する内周面110aと、円弧形状の内周面110aに沿った面から切り欠いた切欠面110bが形成されている。本実施の形態では、切欠面110bは2段に形成されている。切欠面110bは、前述したレゾルバ(位置検出器)を配設可能な空間が構成されるように形成されている。
【0028】
また、本体部110には、保持基板100の軸方向の、固定子コア50と対向する側と反対側の端面に、巻線接続装置を構成する接続部材、すなわち、U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yを収容する溝(収容部)111U、111V、111W、111X、111Yが形成されている。
本体部110(保持基板100)の溝111U、111V、111W、111X、111Yに収容される(保持される)U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yは、図8〜図17に示されている。
U相バスバー200Uと溝111U、V相バスバー200Vと溝111V、W相バスバー200Wと溝111W、第1の中性点バスバー200Xと溝111X、第2の中性点バスバー200Yと溝111Yのうち、1つのバスバーと当該バスバーが収容される溝を除く他のバスバーと溝、本実施の形態では、U相バスバー200Uと溝111Uを除くV相バスバー200Vと溝111V、W相バスバー200Wと溝111W、第1の中性点バスバー200xと溝111X、第2の中性点バスバー200Yと溝111Yは、保持基板100の軸方向に直角な方向から見て、異なる半径を有する円弧形状に形成される。
例えば、図5に示されているように、溝111Vは、内周面の半径がM3である円弧形状部を有するように形成され、溝111Wは、内周面の半径がM2(M2>M3)である円弧形状部を有するように形成され、溝111Xと溝111yは、内周面の半径がM1(MI>M2)である円弧形状部を有するように形成される。そして、溝111Uは、溝111V、111W、111X、111Yの円弧形状部の半径のいずれかと等しい半径を有するが、互いに異なる半径を有する第1の円弧形状部111u1と第2の円弧形状部111u2、第1の円弧形状部111u1と第2の円弧形状部111u2を連結する連結部111u3を有するように形成される。例えば、図5に示すように、溝111Uは、内周面の半径が溝111Wの内周面の円弧形状部の半径M2と等しい第1の円弧形状部111u1と、内周面の半径が溝111X及び溝111Yの内周面の半径M1と等しい第2の円弧形状部111u2と、連結部111u3を有するように形成される。
なお、半径M1、M2、M3は、溝111U、111V、111W,111X、111Yの中心部の円弧形状の半径あるいは外周面の円弧形状の半径であってもよい。また、溝111U、111V、111W、111X、111Yの円弧形状には、略円弧形状も含まれる。
【0029】
溝111U、111V、111W、111X、111Yには、U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yを位置決めするための位置決め用の突部が形成されている。本実施の形態では、図5に示すように、溝111U、111V、111W、111X、111Yの底面に、周方向に離れた位置に位置決め用の突部112u1と112u2、112v1と112v2、112w1と112w2、112x1〜112x3、112y1〜112y3が形成されている。
【0030】
保持基板100の本体部110の外周側には、円形形状の外部端子取付部120U、120V、120Wが形成されている。外部端子取付部120U、120V、120Wは、溝111U、111V、111WにU相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200Wが収容されている状態で、U相バスバー200Uに設けられている外部接続端子204u、V相バスバー200Vに設けられている外部接続端子204v、W相バスバー200Wに設けられている外部接続端子204wが対向する箇所に形成される。
また、外部端子取付部120U、120V、120Wには、ナット121U、121V、121Wが配置されている。本実施の形態では、樹脂により保持基板100を形成する時に、ナット121U、121V、121Wを一体に成形している。ナット121U、121V、121Wは、ナット121U、121V、121Wのネジ穴にネジを挿入することができるように、ナット121U、121V、121Wのネジ穴の入口部が外部端子取付部120U、120V、120Wから露出するように一体に成形される。ネジを挿入可能なナット121U、121V、121Wを保持基板100と一体に成形することにより、U相バスバー200Uに設けられている外部接続端子204u、V相バスバー200Vに設けられている外部接続端子204v、W相バスバー200Wに設けられている外部接続端子204wに、コネクタ80に設けられている外部端子81U、81V、81Wを接続するために必要な部品によって電動機10の軸方向の長さが長くなるのを抑制することができる。
【0031】
保持基板100の鍔部150には、溝111U、111V、111W、111X、111YにU相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yが挿入(収容)されている状態で、固定子巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2(分割コア50A〜50Lに巻回されている部分固定子巻線70A〜70L)の一方の端部あるいは他方の端部をU相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yに設けられている巻線接続端子の接続部(本実施の形態では、後述する、巻線接続端子の先端部に形成されている凹部)に案内する案内部151a〜151lが設けられている。案内部151a〜151lは、保持基板100の溝111U、111V、111W、111X、111YにU相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yが挿入(収容)されている状態で、U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yの巻線接続端子の接続部(本実施の形態では、巻線接続端子の先端部に形成されている凹部)に対向する箇所に配置される。
案内部151aは、図5に示すように、外側開口部152aと内側開口部153aを有している。外側開口部152aは、保持基板100の軸方向に直角な方向から見て、保持基板100の軸方向に直角な径方向の外側から内側に向かって開口間隔が漸減するように、V字状に形成されている。外側開口部152aは、テーパ形状の内壁、曲線形状の内壁、段差状の内壁等により形成される。内側開口部153aは、保持基板100の軸方向に直角な方向から見て、外側開口部152aに連設され、径方向に同じ(略同じを含む)開口間隔で延び、径方向の内側が閉じるように、U字状に形成されている。内側開口部は、直線形状の内壁と曲線形状あるいは直線形状の端壁により形成される。内側開口部153aの「内側が閉じている形状」は、固定子巻線の端部が係止される形状であればよい。なお、案内部151aは、他の形状に形成することもできる。
他の案内部151b〜151lは、符号aがb〜lに変更されだけで、案内部151aと同様の構成である。
【0032】
保持基板100の鍔部150に案内部151a〜151lを設ける場合、鍔部150の厚さが薄いと、鍔部150の強度が弱くなる虞がある。このため、保持基板100の鍔部150の強度を確保するための補強部材を設けるのが好ましい。
本実施の形態では、鍔部150に、案内部151a〜151lの内側開口部が配置されている箇所に補強部材155a〜155lが設けられている。
本実施の形態では、補強部材155aは、内側開口部153aを形成する内壁と端壁に沿い、鍔部150から、保持基板100の軸方向に直角な径方向に、保持部材100に保持されている各バスバーの巻線接続端子の接続部(巻線接続端子の先端部に形成されている凹部)に向けて延びている壁状のリブとして形成されている。リブ(補強部材)は、内壁と端壁に沿って連続的に設けてもよいし、離散的に設けてもよい。また、径方向の長さは適宜選択することができる。
他の補強部材155b〜155lは、符号aがb〜lに変更されるだけで、案内部材155aと同様の構成である。
【0033】
保持基板100は、固定子コア50の軸方向の一方側に取り付けられる。本実施の形態では、図6、図23、図24に示すように、保持基板100の固定子コア50に対する軸方向及び周方向の移動を規制する移動規制部材を設けている。移動規制部材は、保持基板100側に設けられている保持基板側移動規制部材(保持部材側移動規制部材)160a〜160eと、固定子コア50側に設けられている固定子コア側移動規制部材60a〜60lにより構成されている。
保持基板側移動規制部材160a〜160eは、保持基板100の鍔部150の、固定子コア50と対向する側(図6の右側)の端面150aに設けられている。保持基板側移動規制部材160aは、鍔部150の端面150aから保持部材100の軸方向に沿って延びている外周面162a、外周面162aの周方向の両端部から径方向の内側に延びている側面163a、164a、外周面162aより固定子コア50側に配置されている底面161a、底面161aの径方向の内側の端部から端面150aの方向に、径方向の内側に向けて傾斜している傾斜面165a、傾斜面165aの径方向の内側の端部から端面150aの方向に延びている内周面166a、内周面166aと外周面162aの間に径方向に形成されている段差面167aを有している。鍔部150の固定子コア50と対向する側の端面150aと、外周面162aと、側面163a及び164aと、段差面167aによって凹部が形成されている。この凹部は、後述する、固定子コア側移動規制部材60a〜60lの爪部が係合する係合部として作用する。この係合部に固定子コア側移動規制部材60a〜60lの爪部が係合している状態では、鍔部150の端面150aと段差面167aによって爪部の、保持基板100の軸方向への移動が規制され、側面163aと164aによって爪部の、保持基板100の周方向への移動が規制される。
保持基板側移動規制部材160b〜160eは、符号aがb〜eに変更されるだけで、保持基板側移動規制部材160aと同様の構成である。
【0034】
保持基板100の溝111U、111V、111W、111X、111Yに挿入(収容)されるU相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yの構成を説明する。
なお、本明細書では、「バスバーの本体部の軸方向」は、バスバーが保持基板100に保持されている状態で、保持基板100の軸方向と同じ方向を意味する。
U相バスバー200Uは、図8、図9に示されている。U相バスバー200Uは、導電性材料により形成された金属板を切断して板状体を得、板状体を曲げ加工して形成される。
U相バスバー200Uは、本体部と、巻線接続端子202u1、202u2、外部接続端子204uを有している。
本体部は、帯状の板状体により構成され、内周面の半径がM2である第1の円弧形状部200u1、内周面の半径がM1である第2の円弧形状部200u2、第1の円弧形状部200u1と第2の円弧形状部200u2を連結する連結部200u3を有している。
本実施の形態では、巻線接続端子202u1は、本体部の長手方向の一方側の端部に設けられ、巻線接続端子202u2は、本体部の長手方向の他方側の端部に設けられ、外部接続端子204uは、本体部の中央部付近に設けられている。また、巻線接続端子202u1、202u2、外部接続端子204uは、本体部から、本体部の軸方向に交差する方向(典型的には直角な方向)に曲げ加工されている。すなわち、本体部から、本体部の厚さ方向に延びている。
巻線接続端子202u1、202u2の先端箇所には、固定子巻線(部分固定子巻線)の端部が挿入可能な凹部203u1、203u2が形成されている。
外部接続端子204uの中央部には、U相バスバー200Uが溝111Uに収容された状態において、外部端子取付部120Uに設けられているナット121Uのネジ穴の入口部に対向する箇所に孔205uが形成されている。
また、本体部の軸方向の、U相バスバー200Uが挿入される溝111Uの底面に対向する側の端面(底面)には、溝111Uの底面に形成されている位置決め用の突部112u1、112u2と係合可能な位置決め用の凹部201u1、201u2が形成されている。位置決め用の突部112u1、112u2と位置決め用の凹部201u1、201u2によって、U相バスバー200Uを溝111Uの所定位置に位置決めする位置決め部材が構成される。
【0035】
V相バスバー200Vは、図10、図11に示されている。V相バスバー200Vは、導電性材料により形成された金属板を切断して板状体を得、板状体を曲げ加工して形成される。
V相バスバー200Vは、本体部と、巻線接続端子202v1、202v2、外部接続端子204vを有している。
本体部は、帯状の板状体により構成され、内周面の半径がM3である円弧形状部200Vを有している。
本実施の形態では、巻線接続端子202v1は、本体部の長手方向の一方側の端部に設けられ、巻線接続端子202v2は、本体部の長手方向の他方側の端部に設けられ、外部接続端子204vは、本体部の中央部より巻線接続端子202v1方向に寄った位置に設けられている。巻線接続端子202v1、202v2、外部接続端子204vは、本体部から、本体部の軸方向に交差する方向に曲げ加工されている。すなわち、本体部から、本体部の厚さ方向に延びている。
巻線接続端子202v1、202v2の先端箇所には、固定子巻線(部分固定子巻線)の端部が挿入可能な凹部203v1、203v2が形成されている。
外部接続端子204vの中央部には、V相バスバー200Vが溝111Vに収容された状態において、外部端子取付部120Vに設けられているナット121Vのネジ穴の入口部に対向する箇所に孔205vが形成されている。
また、本体部の軸方向の、V相バスバー200Vが挿入される溝111Vの底面に対向する側の端面(底面)に、溝111Vの底面に形成されている位置決め用の突部112v1、112v2と係合可能な位置決め用の凹部201v1、201v2が形成されている。位置決め用の突部112v1、112v2と位置決め用の凹部201v1、201v2によって、V相バスバー200Vを溝111Vの所定位置に位置決めする位置決め部材が構成される。
【0036】
W相バスバー200Wは、図12、図13に示されている。W相バスバー200Wは、導電性材料により形成された金属板を切断して板状体を得、板状体を曲げ加工して形成される。
W相バスバー200Wは、本体部と、巻線接続端子202w1、202w2、外部接続端子204wを有している。
本体部は、帯状の板状体により構成され、内周面の半径がM2である円弧形状部200wを有している。
本実施の形態では、巻線接続端子202w1は、本体部の長手方向の一方側の端部に設けられ、巻線接続端子202w2は、本体部の長手方向の他方側の端部に設けられ、外部接続端子204wは、巻線接続端子202w1に近接した位置に設けられている。巻線接続端子202w1、202w2、外部接続端子204wは、本体部から、本体部の軸方向に交差する方向に曲げ加工されている。すなわち、本体部から、本体部の厚さ方向に延びている。
巻線接続端子202w1、202w2の先端箇所には、固定子巻線(部分固定子巻線)の端部が挿入可能な凹部203w1、203w2が形成されている。
外部接続端子204wの中央部には、W相バスバー200Wが溝111Wに収容された状態において、外部端子取付部120Wに設けられているナット121Wのネジ穴の入口部に対向する箇所に孔205wが形成されている。
また、本体部の長手方向の、W相バスバー200Wが挿入される溝111Wの底面に対向する側の端面(底面)に、溝111Wの底面に形成されている位置決め用の突部112w1、112w2と係合可能な位置決め用の凹部201w1、201w2が形成されている。位置決め用の突部112w1、112w2と位置決め用の凹部201w1、201w2によって、W相バスバー200Wを溝111Wの所定位置に位置決めする位置決め部材が構成される。
【0037】
第1の中性点バスバー200Xは、図14、図15に示されている。第1の中性点バスバー200Xは、導電性材料により形成された金属板を切断して板状体を得、板状体を曲げ加工して形成される。
第1の中性点バスバー200Xは、本体部と、巻線接続端子202x1、202x2、202x3を有している。
本体部は、帯状の板状体により構成され、内周面の半径がM1である円弧形状部200xを有している。
本実施の形態では、巻線接続端子202x1は、本体部の長手方向の一方側の端部に設けられ、巻線接続端子202x3は、本体部の長手方向の他方側の端部に設けられ、外部接続端子202x2は、巻線接続端子202x3に近接する位置に設けられている。巻線接続端子202x1、202x2、202x3は、本体部から、本体部の軸方向に交差する方向に曲げ加工されている。すなわち、本体部から、本体部の厚さ方向に延びている。
巻線接続端子202x1、202x2、202x3の先端箇所には、固定子巻線(部分固定子巻線)の端部が挿入可能な凹部203x1、203x2、203x3が形成されている。
また、本体部の長手方向の、第1の中性点バスバー200Xが挿入される溝111Xの底面に対向する側の端面(底面)に、溝111Xの底面に形成されている位置決め用の突部112x1、112x2、112x3と係合可能な位置決め用の凹部201x1、201x2、201x3が形成されている。位置決め用の突部112x1〜112x3と位置決め用の凹部201x1〜201x3によって、第1の中性点バスバー200Xを溝111Xの所定位置に位置決めする位置決め部材が構成される。
【0038】
第2の中性点バスバー200Yは、図16、図17に示されている。第2の中性点バスバー200Yは、導電性材料により形成された金属板を切断して板状体を得、板状体を曲げ加工して形成される。
第2の中性点バスバー200Yは、本体部と、巻線接続端子202y1、202y2、202y3を有している。
本体部は、帯状の板状体により構成され、内周面の半径がM1である円弧形状部200yを有している。
本実施の形態では、巻線接続端子202y1は、本体部の長手方向の一方側の端部に設けられ、巻線接続端子202y3は、本体部の長手方向の他方側の端部に設けられ、外部接続端子202y2は、巻線接続端子202y1に近接する位置に設けられている。巻線接続端子202y1、202y2、202y3は、本体部から、本体部の軸方向に交差する方向に曲げ加工されている。すなわち、本体部から、本体部の厚さ方向に延びている。
巻線接続端子202y1、202y2、202y3の先端箇所には、固定子巻線(部分固定子巻線)の端部が挿入可能な凹部203y1、203y2、203y3が形成されている。
また、本体部の長手方向の、第2の中性点バスバー200Yが挿入される溝111Yの底面に対向する側の端面(底面)に、溝111Yの底面に形成されている位置決め用の突部112y1、112y2、112y3と係合可能な位置決め用の凹部201y1、201y2、201y3が形成されている。位置決め用の突部112y1〜112y3と位置決め用の凹部201y1〜201y3によって、第2の中性点バスバー200Yを溝111Yの所定位置に位置決めする位置決め部材が構成される。
【0039】
なお、半径M1、M2、M3は、U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー300W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yの中心部の円弧形状の半径あるいは外周面の円弧形状の半径であってもよい。また、U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー300W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yの円弧形状には、略円弧形状も含まれる。
また、以上では、便宜上、バスバーと当該バスバーが収容される溝(例えば、U相バスバー200Uと溝111U)の内周面の半径を同じ半径であるものとして説明したが、実際には、バスバーを溝に挿入可能とするためには、双方の半径を若干異ならせて挿入代を設ける必要がある。本明細書では、「バスバーとバスバーを挿入(収容)する溝を同じ半径を有する円弧形状に形成する」態様には、バスバーと溝を、バスバーを溝に挿入可能とするための挿入代が設けられる程度異なる半径を有する円弧形状に形成する態様も包含される。すなわち、バスバーと溝は、厳密に、同じ半径を有する円弧形状に形成されていなくてもよい。
【0040】
次に、前述した保持基板100とU相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー300W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yを用いて巻線接続装置を構成する。
すなわち、図7に示されているように、U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー300W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yの本体部を、保持基板100の溝111U、111V、111W、111X、111Yに収容することによって巻線接続装置を得る。
U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yを、保持基板100の溝111U、111V、111W、111X、111Yに収容した巻線接続装置は、図18、図19に示されている。
【0041】
次に、U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー300W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yを保持している巻線接続装置を、固定子巻線70が巻回されている固定子コア50に取り付けることによって固定子を得る。
前述したように、本実施の形態では、複数の分割コア50A〜50Lによって固定子コア50を構成している。
分割コア50A〜50Lは同じ構成であるため、分割コア50Aについて説明する。分割コア50Aは、図21、図22に示されている。
分割コア50Aは、薄い板状の電磁鋼板を積層して形成される。分割コア50Aは、円弧形状を有する外周部51aと内周部52a、外周部51aと内周部52aを連結する連結部53aを有している。内周部52aと連結部53aによりティース部54aが形成される。
内周部52aと外周部51aの間には、連結部53aを覆う絶縁部材が設けられている。絶縁部材は、例えば、絶縁特性を有する樹脂により形成される。本実施の形態では、絶縁部材は、第1の絶縁部材56a1と第2の絶縁部材56a2により構成されている。
第1の絶縁部材56a1は、巻線接続装置の保持基板100と対向する側に設けられる。第1の絶縁部材56a1には、固定子コア側移動規制部材60aが設けられている。固定子コア側移動規制部材60aは、保持基板100側に配置されている上面61aと、固定子コア50が構成されたときに、固定子コア50の軸方向に直角な径方向の内側に配置される、周方向に沿った内周面62aと、径方向の外側に配置される、周方向に沿った外周面63aと、内周面62a及び外周面63aの周方向両側に配置されている側面64a及び65aと、上面61aの径方向外側の端部から、保持基板100と対向する側と反対側に延び、径方向の外側に傾斜している傾斜面66aと、傾斜面66aの、保持基板100と対向する側と反対側の端部と外周面63aとの間に形成されている段差面67aを有している。上面61a、内周面62a、外周面63a、側面64a及び65a、傾斜面66a、段差面67aによって爪部が構成されている。この固定子鉄心側移動規制部材60a(爪部)は、保持基板側移動規制部材160a〜160dの凹部(係合部)に係合可能である。
そして、固定子巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2(部分固定子巻線70A〜70L)が巻回された分割コア50A〜50Lを、ケース21の内周側に並べて配置することにより、固定子コア50を構成する。
【0042】
固定子巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が巻回された固定子コア50と、U相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yを溝111U、111V、111W、111X、111Yに挿入(収容)した保持基板(巻線接続装置)100を取り付ける際には、固定子巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2の端部をU相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yの巻線接続端子202u1、202u2、202v1、202v2、202w1、202w2、202x1〜202x3、202y1〜202y3に接続する。
この時、保持基板100に設けられている案内部151a〜151lによって、固定子巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2の端部がU相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yの巻線接続端子202u1、202u2、202v1、202v2、202w1、202w2、202x1〜202x3、202y1〜202y3に案内される。すなわち、保持基板100を固定子コア50の軸方向の一方側に配置した状態で各相の固定子巻線の端部を固定子コア50の軸方向と交差する径方向の内側方向に押すことによって、各相の固定子巻線の端部は、保持基板100の鍔部150に設けられている案内部151a〜151lによって、保持基板100に保持されているU相バスバー200Y、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yの巻線接続端子に案内される。これにより、各相の固定子巻線の端部と各バスバーの巻線接続端子との接続作業を容易に行うことができる。
また、本実施の形態では、各バスバーの巻線接続端子を保持基板100の本体部から保持基板100の軸方向に直角な径方向の外側に延ばすとともに、巻線接続端子の先端箇所に固定子巻線の端部を挿入可能な凹部を形成し、案内部151a〜151lによって、各相の固定子巻線の端部が各バスバーの巻線接続端子の先端部に形成されている凹部に案内されるように構成されている。これにより、各相の固定子巻線と各バスバーの巻線接続端子との接続作業をより容易に行うことが出来る。
また、本実施の形態では、保持基板100の鍔部150に、案内部151a〜151lの内側開口部が配置されている箇所に補強部材155a〜155lを設けている。これにより、保持基板100の鍔部150の強度を確保することができる。特に、補強部材155a〜155lを、案内部151a〜151lの内側開口部を形成する内壁と端壁に沿い、保持基板100の軸方向に沿って、巻線接続端子の先端箇所に形成されている凹部に向かって延びるリブとして形成する場合には、補強部材を、固定子巻線の端部を巻線接続端子の先端部に形成されている凹部に溶接等によって接続する際のガイド部(ガイド溝)として用いることができる。この場合には、固定子巻線の端部を巻線接続端子に接続する作業が一層容易となる。
【0043】
また、保持基板100は、保持基板100に設けられている保持基板側移動規制部材160a〜160eと固定子コア50の絶縁部材に設けられている(固定子コア50を構成する分割コア50A〜50Lの絶縁部材に設けられている)固定子コア側移動規制部材60a〜60lによって、固定子コア50に対する軸方向及び周方向への移動が規制された状態で固定子コア50に取り付けられる。なお、本実施の形態では、保持基板側移動規制部材の数は、固定子コア側移動規制部材の数より少ない。このため、保治基板側移動規制部材が設けられている箇所でのみ移動規制部材が作用する。
ここで、図23、図24を用いて、固定子コア側移動規制部材60bと保持基板側移動規制部材160dにより移動が規制される動作を説明する。
各バスバーを保持している保持基板100を、固定子巻線70が巻回されている固定子コア50に押し付けると、固定子コア側移動規制部材60bの傾斜面66bと保持基板側移動規制部材160dの傾斜面165dの作用により、固定子コア側移動規制部材60bの段差部67bが保持基板移動規制部材160dの径斜面165dを乗り越えて段差部167dと係合する。この状態では、固定子コア側移動規制部材60bの爪部は、保持基板100の鍔部150の端面150aと保持基板側移動規制部材160dの段差面167dによって保持基板100(固定子コア10)の軸方向(図23の上下方向)への移動が規制され、保持基板側移動規制部材160dの側面163d及び164dによって保持基板100(固定子コア50)の周方向への移動が規制される。
【0044】
固定子コイル70を巻回した固定子コア50に、各バスバーを保持している保持基板100を取り付けることによって固定子が構成される。
その後、ケース21にコネクタ80を取り付け、巻線接続装置を構成する保持基版100に保持されているU相バスバー200Uの外部接続端子204u、V相バスバー200Vの外部接続端子204v、W相バスバー200Wの外部接続端子204wと、コネクタ80に設けられている外部端子81U、81V、81Wを、ネジ82U、82V、82を、保持基板100の外部端子取付部120U、120V、120Wに取り付けられているナットのネジに通すことによって接続する。
【0045】
以上のように、本実施の形態では、固定子の固定子コアに巻回されているU相、V相、W相の固定子巻線をスター接続するとともに外部に接続するためのU相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X及び第2の中性点バスバー200Yと、各バスバーを収容する溝111U、111V、111W、溝111X及び111Yのうち、V相バスバー200Vと溝111V、W相バスバー200Wと溝111W、第1の中性点バスバー200Xと溝111X及び第2の中性点バスバー200Yと溝111Yを、異なる半径を有する円弧形状部により構成し、U相バスバー200Uと溝111Uを、異なる半径のうちの1つの半径と等しい半径を有する第1の円弧形状部、異なる半径のうちの他の1つの半径と等しい半径を有する第2の円弧形状部、第1及び第2の円弧形状部を連結する連結部により構成している。
これにより、U相バスバー、V相バスバー、W相バスバー、中性点バスバーを保持基板の径方向に3層(3列)に配置することができる。このため、巻線接続装置の外径寸法を低減することができ、電動機の小型化を図ることができる。
また、本実施の形態では、巻線接続装置の保持基板100の固定子コア50に対する軸方向及び周方向の移動を規制する移動規制部材を設けている。これにより、巻線接続装置を固定子コア50に強固に取り付けることができる。
また、保持基板100の溝(収容部)111U、111V、111W、111X、111Yに位置決め用の突部を設けるとともに、各溝(収容部)に収容するU相バスバー200U、V相バスバー200V、W相バスバー200W、第1の中性点バスバー200X、第2の中性点バスバー200Yに、位置決め用の突部が係合可能な位置決め用の凹部を設けている。これにより、各バスバーを各溝の所定の位置に容易に配置することができる。
また、巻線接続装置の保持基板100の本体部に保持されている各バスバーの巻線接続端子を保持基板100の本体部から保持基板の軸方向に直角な径方向の外側に延ばし、径方向の外側の先端部に凹部を形成するとともに、巻線接続装置の保持基板100に、固定子コア50に巻回されている固定子巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2の端部を、保持基板100に保持されている各バスバーの巻線接続端子の先端部に形成されている凹部に案内する案内部を設けている。これにより、固定子巻線の端部を接続する作業が容易となる。
さらに、保持基板100に、案内部を構成する内側開口部が設けられている箇所に補強部材を設けている。これにより、保持基板の強度を保ちながら、固定子巻線の端部をバスバーの巻線接続端子に容易に接続することができる。また、この補強部材を固定子巻線の端部を巻線接続端子に接続する際のガイド部として用いることにより、固定子巻線の巻線接続端子への接続作業を一層容易となる。
【0046】
第1の実施の形態では、中性点バスバーを第1の中性点バスバー200X及び第2の中性点バスバー200Yにより構成したが、1つの中性点バスバーにより構成することもできる。1つの中性点バスバーを用いた第2の実施の形態を図26、図27により説明する。なお、図27は、第2の実施の形態の巻線接続装置の平面図であり、図28は、第2の実施の形態の巻線接続装置で用いている中性点バスバー200Zの平面図である。
第2の実施の形態では、中性点バスバー200Zと中性点バスバー200Zを収容する溝111Zの構成が、図7、図18に示した第1の実施の形態と異なっている。
中性点バスバー200Zは、本体部と、巻線接続端子202z1〜202z6を有している。本体部は、帯状の板状体により構成され、内周面の半径がM1である円弧形状部200zを有している。巻線接続端子202z1〜202z6は、本体部から径方向外側に曲げ加工されている。また、巻線接続端子202z1〜202z6の先端箇所には、固定子巻線の端部が挿入可能な凹部203z1〜203z6が形成されている。巻線接続端子202z1〜202z6には、固定子コア50に巻回された固定子巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2の他方の端部が接続される。
中性点バスバー200Zを収容する溝111Zは、内周面の半径がM1である円形形状部を有するように形成される。
また、図示は省略しているが、第1の実施の形態と同様に、溝111Zの底面には位置決め用の突部が形成されているとともに、中性点バスバー200Zの、溝111Zの底面と対向する側の端面(底面)には、位置決め用の突部と係合可能な位置決め用の凹部が形成されている。
【0047】
以上の実施の形態では、固定子と回転子を備え、固定子は、固定子コアと、固定子コアに巻回されたU相、V相、W相の固定子巻線と、U相、V相、W相の固定子巻線をスター接続するとともに外部に接続する巻線接続装置により構成されている回転機について説明したが、本発明は、固定子コアと、固定子コアに巻回されたU相、V相、W相の固定子巻線と、U相、V相、W相の固定子巻線をスター接続するとともに外部に接続する巻線接続装置を備える固定子として構成することもできるし、固定子コアに巻回されたU相、V相、W相の固定子巻線をスター接続するとともに外部に接続する巻線接続装置として構成することもできる。
【0048】
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、変更が可能である。
例えば、固定子巻線を2重スター接続する場合について説明したが、本発明の巻線接続技術は、固定子巻線を1重スター接続する場合や、3重以上の多重スター接続する場合に用いることができる。
U相バスバー、V相バスバー、W相バスバー、中性点バスバーと各バスバーを収容する溝のうち、U相バスバーとU相バスバーを収容する溝以外のバスバーと溝を、異なる半径を有する円弧形状部で構成し、U相バスバーとU相バスバーを収容する溝を、異なる半径を有する円弧のうちの1つの円弧の半径と等しい半径を有する第1の円弧形状部、他の1つの円弧の半径と等しい半径を有する第2の円弧形状部、第1の円弧形状部と第2の円弧形状部を連結する連結部により構成したが、他のバスバートと溝を第1の円弧形状部、第2の円弧形状部、連結部により構成することもできる。また、少なくとも1つのバスバーと溝を第1の円弧形状部、第2の円弧形状部、連結部により構成することによって同様の効果を得ることができる。
少なくとも1つのバスバーと溝の第1の円弧形状部及び第2の円弧形状部の半径は、他のバスバーと溝の円弧形状部の半径のうちの1つの半径及び他の1つの半径と厳密に一致していなくてもよい。少なくとも1つのバスバーと溝の第1の円弧形状部及び第2の円弧形状部の半径が、他のバスバーと溝の円弧形状部のうちの1つの半径及び他の1つの半径と若干異なっている態様も、「少なくとも1つのバスバーと溝の第1の円弧形状部及び第2の円弧形状部の半径が、他のバスバーと溝の円弧形状部の半径のうちの1つの半径及び他の1つの半径と一致している」態様に包含される。
少なくとも1つのバスバーと溝を第1の円弧形状部、第2の円弧形状部、連結部により構成し、少なくとも1つのバスバーと溝を除くバスバーと溝を円弧形状部により構成したが、少なくとも1つの溝を第1の円弧形状部、第2の円弧形状部、連結部により構成し、少なくとも1つの溝を除く溝を、円弧形状部により構成することもできる。この場合には、各バスバーは、対応する溝に収容可能に構成されていればよい。
バスバーを保持基板(巻線接続装置)に形成された溝に位置決めする位置決め部材としては、位置決め用の突部と位置決め用の凹部により構成される位置決め部材に限定されず、種々の構成の位置決め部材を用いることができる。また、位置決め部材の配設位置や数も適宜設定可能である。位置決め部材は省略することもできる。
固定子巻線の端部を巻線接続端子の接続部に案内する案内部としては、種々の構成の案内部を用いることができる。さらに、案内部に設ける補強部材としては、リブに限定されず、種々の補強部材を用いることができる。案内部や補強部材は省略することもできる。
保持基板(巻線接続装置)の固定子コアに対する軸方向及び周方向の移動を規制する移動規制部材としては、種々の構成の移動規制部材を用いることができる。移動規制部材は省略することもできる。
バスバーを保持基板(巻線接続装置)の軸方向と直角な径方向に3層(3列)に配置する態様として、保持基板(巻線接続装置)に溝(収容部)を形成し、バスバーを保持基板に形成した溝(収容部)に収容する態様を用いたが、保持基板(巻線接続装置)を、バスバーとともに、樹脂によって一体成形する態様を用いることもできる。この態様を用いる場合には、バスバーを保持基板(巻線接続装置)に形成されている溝に収容する作業が不要となる。
U相バスバー、V相バスバー、W相バスバー、中性点バスバーの配置位置、周方向の長さ等は、適宜変更可能である。また、巻線接続端子や外部接続端子の各バスバーでの配設位置は、適宜選択することができる。なお、外部接続端子の各バスバーでの配設位置は、各バスバーが保持基板に保持されている状態において各外部接続端子が近傍に配置されるように設定するのが好ましい。
実施の形態で説明した各構成要素は、単独で使用することもできるし、適宜選択した複数の構成要素を組み合わせて用いることもできる。
回転機の磁極数、スロット数は適宜変更可能である。
回転子コアの外周面に永久磁石を配置した回転子と、固定子巻線が巻回された固定子コアを有する固定子により構成される電動機(表面磁石型電動機)について説明したが、本発明の巻線接続技術は、磁極数に対応した数の磁石挿入孔が形成され、磁石挿入孔に永久磁石が挿入された回転子コアを有する回転子と、固定子巻線が巻回された固定子コアを有する固定子により構成される電動機(「永久磁石埋込型電動機」と呼ばれる)や、永久磁石を用いていない電動機等の種々の構成の電動機に用いることができる。また、電動機に限定されず、種々の構成の回転機に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施の形態である電動機10の固定子巻線の結線図である。
【図2】第1の実施の形態である電動機10の固定子巻線の結線状態を示す図である。
【図3】第1の実施の形態である電動機10の軸方向に沿った縦断面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視図である。
【図5】第1の実施の形態の電動機10の巻線接続装置で用いている保持基板100の正面図である。
【図6】図5のVI−VI線矢視図である。
【図7】接続部材を保持基板100に保持する動作を説明する図である。
【図8】第1の実施の形態の電動機10の巻線接続装置で用いているU相バスバー200Uの斜視図である。
【図9】U相バスバー100の平面図である。
【図10】第1の実施の形態の電動機10の巻線接続装置で用いているV相バスバー200Vの斜視図である。
【図11】V相バスバー200Vの平面図である。
【図12】第1の実施の形態の電動機10の巻線接続装置で用いているW相バスバー200Wの斜視図である。
【図13】W相バスバー200Wの平面図である。
【図14】第1の実施の形態の電動機10の巻線接続装置で用いている第1の中性点バスバー200Xの斜視図である。
【図15】第1の中性点バスバー200Xの平面図である。
【図16】第1の実施の形態の電動機10の巻線接続装置で用いている第2の中性点バスバー200Yの斜視図である。
【図17】第2の中性点バスバー200Yの平面図である。
【図18】第1の実施の形態の電動機10の巻線接続装置の平面図である。
【図19】図18のXIX−XIX線矢視図である。
【図20】固定子巻線70が巻回されている固定子コア50に第1の実施の形態の巻線接続装置を取り付ける動作を説明する図である。
【図21】分割コアの斜視図である。
【図22】絶縁部材が取り付けられている分割コアの斜視図である。
【図23】移動規制部材を説明する図である。
【図24】図23のXXIV線矢視図である。
【図25】固定子に外部端子を接続する動作を説明する図である。
【図26】第2の実施の形態の巻線接続装置の平面図である。
【図27】第2の実施の形態の巻線接続装置で用いている中性点バスバー200Zの平面図である。
【符号の説明】
【0050】
10 電動機
21 ケース
31 回転子コア
33 回転軸
50 固定子コア
60a〜60l 固定子鉄心側移動規制部材
50A〜50L 分割コア
70 固定子巻線
80 コネクタ
81U、81V、81W 外部端子
82U、82V、82W ネジ
100 保持基板(保持部材)
111U、111V、111W、111X、111Y、111Z 溝(収容部)
112u1、112u2、112v1、112v2、112w1、112w2、112x1〜112x3、112y1〜112y3 位置決め用の突部
120U、120V、120W 外部接続線取付部
121U、121V、121W ナット
151a〜151l 案内部
160a〜160e 保持部材側移動規制部材
155a〜155l 補強部材
200U U相バスバー(U相導電部材)
200V V相バスバー(V相導電部材)
200W W相バスバー(W相導電部材)
200X 第1の中性点バスバー(第1の中性点導電部材)
200Y 第2の中性点バスバー(第2の中性点導電部材)
200Z 中性点バスバー
201u1、201u2、201v1、201v2、201w1、201w2、201x1〜201x3、201y1〜201y3 位置決め用の凹部
202u1、202u2、202v1、202v2、202w1、202w2、202x1〜202x3、202y1〜202y3、202z1〜202z6 巻線接続端子
203u1、203u2、203v1、203v2、203w1、203w2、203x1〜203x3、203y1〜203y3、203z1〜203z6 凹部
204u、204v、204w 外部接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子の固定子コアに設けられた第1相の固定子巻線、第2相の固定子巻線及び第3相の固定子巻線をスター接続するとともに、前記第1相の固定子巻線、第2相の固定子巻線及び第3相の固定子巻線を外部に接続する接続部材と、前記固定子コアの軸方向の一方側に設けられ、前記接続部材を保持する保持部材を備える回転機用巻線接続装置であって、
前記接続部材は、第1の導電部材、第2の導電部材、第3の導電部材及び第4の導電部材により構成されており、
前記第1の導電部材は、本体部と、当該本体部に設けられ、前記第1相の固定子巻線の一方の端部に接続される第1の巻線接続端子及び外部に接続される第1の外部接続端子を有し、
前記第2の導電部材は、本体部と、当該本体部に設けられ、前記第2相の固定子巻線の一方の端部に接続される第2の巻線接続端子及び外部に接続される第2の外部接続端子を有し、
前記第3の導電部材は、本体部と、当該本体部に設けられ、前記第3相の固定子巻線の一方の端部に接続される第3の巻線接続端子及び外部に接続される第3の外部接続端子を有し、
前記第4の導電部材は、本体部と、当該本体部に設けられ、前記第1相の固定子巻線、第2相の固定子巻線及び第3相の固定子巻線それぞれの他方の端部に接続される第4の巻線接続端子を有しており、
前記第1の導電部材、第2の導電部材、第3の導電部材及び第4の導電部材が前記保持部材に保持されている状態では、前記保持部材の軸方向に直角な方向から見て、前記第1の導電部材の本体部、第2の導電部材の本体部、第3の導電部材の本体部及び第4の導電部材の本体部のうちの少なくとも1つの本体部を除く本体部は、異なる半径を有する円弧に沿って配置され、前記少なくとも1つの本体部は、前記異なる半径を有する円弧のうちの1つの円弧と他の1つの円弧に沿っているとともに、当該1つの円弧と他の1つの円弧にまたがって配置されている、
ことを特徴とする回転機用巻線接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転機用巻線接続装置であって、
前記保持部材には、前記第1の導電部材の本体部、第2の導電部材の本体部、第3の導電部材の本体部及び第4の導電部材の本体部を収容する複数の収容部が形成されており、
前記保持部材の軸方向に直角な方向から見て、前記複数の収容部のうちの少なくとも1つの収容部を除く収容部は、異なる半径を有する円弧に沿って形成され、前記少なくとも1つの収容部は、前記異なる半径を有する円弧のうちの1つの円弧と他の1つの円弧に沿っているとともに、当該1つの円弧と他の1つの円弧にまたがって形成されており、前記第1の導電部材の本体部、第2の導電部材の本体部、第3の導電部材の本体部及び第4の導電部材の本体部のうちの少なくとも1つの本体部は、前記少なくとも1つの収容部に収容可能に形成され、前記少なくとも1つの本体部を除く本体部は、前記少なくとも1つの収容部を除く収容部に収容可能に形成されている、
ことを特徴とする回転機用巻線接続装置。
【請求項3】
請求項2に記載の回転機用巻線接続装置であって、前記第1〜第4の導電部材の本体部を前記複数の収容部に位置決めする位置決め部材が設けられていることを特徴とする回転機用巻線接続装置。
【請求項4】
請求項3に記載の回転機用巻線接続装置であって、前記位置決め部材は、前記第1〜第4の導電部材の本体部と前記複数の収容部の一方に設けられた位置決め用の突部と、他方に設けられ、前記位置決め用の突部に係合可能な位置決め用の凹部により構成されていることを特徴とする回転機用巻線接続装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の回転機用巻線接続装置であって、
前記保持部材には、前記第1相〜第3相の固定子巻線の一方の端部あるいは他方の端部を、前記保持部材に保持されている前記第1〜第4の導電部材の第1〜第4の巻線接続端子に案内する案内部が設けられており、
前記案内部は、前記保持部材の軸方向に直角な方向から見て、前記保持部材の軸方向に直角な径方向の外側から内側に向かって開口間隔が漸減するように形成されている外側開口部と、前記外側開口部に連設され、保持部材の軸方向に直角な径方向に沿って同じ開口間隔で延び、内側が閉じている形状に形成されている内側開口部を有している、
ことを特徴とする回転機用巻線接続装置。
【請求項6】
請求項5に記載の回転機用巻線接続装置であって、
前記保持部材は、前記第1〜第4の導電部材の本体部を保持する筒形状の本体部と、本体部から径方向の外側に延びる鍔部により構成されており、
前記第1〜第4の導電部材の第1〜第4の巻線接続端子は、前記保持部材の本体部から径方向の外側に延びているとともに、径方向の外側の先端箇所に前記第1相〜第3相の固定子巻線の一方の端部あるいは他方の端部を挿入可能な凹部が形成されており、
前記案内部は、前記保持部材の鍔部に、前記第1〜第4の導電部材の第1〜第4の巻線接続端子に形成されている凹部に対応する箇所に設けられている、
ことを特徴とする回転機用巻線接続装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の回転機用巻線接続装置であって、前記保持部材には、前記案内部の内側開口部の箇所に補強部材が設けられていることを特徴とする回転機用巻線接続装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の回転機用巻線接続装置であって、前記保持部材は、前記第1〜第3の導電部材が前記保持部材に保持されている状態で前記第1〜第3の導電部材の第1〜第3の外部接続端子と対向する箇所に配置されるナットとともに、樹脂により一体成形されていることを特徴とする回転機用巻線接続装置。
【請求項9】
固定子コアと、前記固定子コアに設けられた第1相の固定子巻線、第2相の固定子巻線及び第3相の固定子巻線と、前記固定子コアの軸方向の一方側に設けられ、前記第1相の固定子巻線、第2相の固定子巻線巻および第3相の固定子巻線をスター接続するとともに外部に接続する巻線接続装置を備える回転機用固定子であって、
前記巻線接続装置として請求項1〜8のいずれかに記載の回転機用巻線接続装置を用いていることを特徴とする回転機用固定子。
【請求項10】
請求項9に記載の回転機用固定子であって、
前記固定子コアは、複数の分割コアにより構成されており、
前記第1相〜第3相の固定子巻線は、隣接して配置される少なくとも2つの分割コアに連続して巻かれている、
ことを特徴とする回転機用固定子。
【請求項11】
請求項9または10に記載の回転機用固定子であって、前記保持部材の前記固定子コアに対する軸方向及び周方向の移動を規制する移動規制部材が設けられていることを特徴とする回転機用固定子。
【請求項12】
請求項11に記載の回転機用固定子であって、
前記固定子コアには、前記第1相〜第3相の固定子巻線が巻かれる箇所に絶縁部材が設けられており、前記移動規制部材は、前記絶縁部材と前記保持部材の一方に設けられた爪部と、他方に設けられ、前記一方に設けられた爪部が軸方向及び周方向の移動を規制された状態で係合可能な係合部により構成されていることを特徴とする回転機用固定子。
【請求項13】
回転子と固定子を備える回転機であって、前記固定子として請求項10〜12のいずれかに記載の回転機用固定子を用いていることを特徴とする回転機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−187875(P2008−187875A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21680(P2007−21680)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000100872)アイチエレック株式会社 (58)
【Fターム(参考)】