回転電機およびそれを搭載した自動車
【課題】 搭載性に優れ、かつ小型高出力の回転電機を実現する回転電機のステータを提供する。
【解決手段】 圧粉磁性体からなるステータコア100において、ヨーク部20は、ティース10の軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を含む。ティース10は、軸方向の長さがステータコア100の径方向外方に向けて漸減し、かつ周方向の長さがステータコア100の径方向外方に向けて漸増する。ステータコア100は、径方向に垂直な断面のいずれにおいて、ヨーク部20の軸方向端面とティース10の軸方向端面との高低差が、コイルエンド部の軸方向の長さに略等しい。また、ティース10の径方向に垂直な断面積は、径方向外方に向けて略一定であり、当該断面積がティース10とヨーク部20との接合部において確保される。また当該断面積の1/2がヨーク部20の周方向の断面において確保される。
【解決手段】 圧粉磁性体からなるステータコア100において、ヨーク部20は、ティース10の軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を含む。ティース10は、軸方向の長さがステータコア100の径方向外方に向けて漸減し、かつ周方向の長さがステータコア100の径方向外方に向けて漸増する。ステータコア100は、径方向に垂直な断面のいずれにおいて、ヨーク部20の軸方向端面とティース10の軸方向端面との高低差が、コイルエンド部の軸方向の長さに略等しい。また、ティース10の径方向に垂直な断面積は、径方向外方に向けて略一定であり、当該断面積がティース10とヨーク部20との接合部において確保される。また当該断面積の1/2がヨーク部20の周方向の断面において確保される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、固定子(以下、ステータとも称する)と回転子(以下、ロータとも称する)とから構成される回転電機およびそれを搭載した自動車に関し、より特定的には、回転電機のステータに関する。
【背景技術】
【0002】
ステータとロータとからなる回転電機において、ステータは、複数のスロットが形成されたステータコアと、スロット間に設けられる櫛歯(以下、ティースとも称する)に巻回されたコイルとから構成される。また、ロータは、ロータコアと、磁力を帯びた磁石と、回転軸となるシャフトとから構成される。
【0003】
かかる構成において、コイルに電力が供給されることにより、磁界が発生する。発生した磁界に基づいて、ロータとステータとの間に磁束の流れが形成されることによって、ロータは回転力を得る。例えば回転電機を動力源とする自動車においては、この回転力によって車輪が駆動される。
【0004】
ここで、ステータにおいては、スロットの断面積に対するコイルが占有する断面積の面積比(以下、占積率とも称する)の向上を目的としたステータ構造が、従来から多数開示されている(たとえば特許文献1および2参照)。
【0005】
図14は、たとえば特許文献1に開示される回転電機におけるステータの構造を示す図である。
【0006】
図14(A)は、ステータを構成することになる1極分の積層コア51に巻線52が巻回された状態を、図14(B)は、同図(A)の水平断面をそれぞれ示す。
【0007】
積層コア51は、所定数の電磁鋼板を積層して形成されており、ティース部53とヨーク部54とのなす両側の空間が、巻線52の配置のためのスロット部55として機能する。
【0008】
積層コア51には、後述するコアエンド部材57が装着された状態で、スロット部55の内面を覆うように絶縁キャップ56が被せられる。この絶縁キャップ56の外周に巻線52が所定回数だけ巻回されて、図14(A)の状態となる。
【0009】
図14(B)を参照して、ティース部53の幅寸法Wについては、ステータ外周からステータ内周に向かって漸次幅狭となるように、両端面がテーパ状に形成され、これによってティース部53の両側に形成されるスロット部55の投影形状が、平行四辺形もしくは長方形となるように設定されている。
【0010】
図14(C)は、同図(A)の巻線52と絶縁キャップ56とを取り除いた状態を、図14(D)は、同図(C)のD方向矢視図をそれぞれ示す。
【0011】
図14(C)を参照して、積層コア51の積層方向両端面には、ティース部53の投影形状と略同一の輪郭形状を持つコアエンド部材57がそれぞれ装着される。コアエンド部材57は、磁性粉末成形体にて形成され、表面の巻線受圧面57aは、ステータ外周から内周側に向かって段階的に高くなるように形成されている(図14(D)参照)。
【0012】
以上の構成において、積層コア51が回転電機の一部として機能する際には、ティース部53を磁束が通過する。このとき、ティース部53におけるステータ内周側の先端部では、その幅寸法Wが小さいために磁束密度が高くなり、磁束が飽和する可能性がある。そこで、当該ステータ構造においては、積層コア51の鋼板積層方向の両端面に配したコアエンド部材57を磁路として機能させている。ただし、コアエンド部材57は、材質によって磁気特性が異なるため、径方向に沿って内周側、外周側および中央部分における等価断面積が求められ、その値が互いに等しくなるように設定される。
【0013】
このような構成によれば、スロット部55のデッドスペースが縮小化されることにより、スロット部55での巻線52の占積率が向上し、小型で高出力な回転電機を実現することができる。
【特許文献1】特開2002−369418号公報
【特許文献2】特表2002−544753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図14に示す従来のステータ構造においては、巻線52の占積率が向上する一方で、同図(D)から明らかなように、ティース部53の軸方向両端面に配したコアエンド部材57によって、軸方向に形成される巻線52の巻回部分(コイルエンド部)がヨーク部54から突出した形状となる。そのため、当該ステータから構成される回転電機において、その搭載性に問題を有していた。
【0015】
また、ティース部分がコアエンド部材57によって軸方向に展開された3次元的な構造を持つのに対し、ヨーク部54は、周方向と径方向とからなる2次元的な構造のままであることから、ティース部分を通過する鎖交磁束を確保するためには、ヨーク部54を径方向に厚くせざるを得ず、低減可能な体格に限界が生じていた。
【0016】
さらに、従来のステータ構造では、突出したコイルエンド部によって、ステータの軸方向の長さが増加してしまうため、巻線52を含めた全軸長での小型化が困難であった。
【0017】
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、搭載性に優れ、かつ小型高出力の回転電機およびそれを搭載した自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明によれば、回転電機であって、ステータと、ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備える。ステータは、環状に延在するヨーク部とヨーク部の内周側に環状に配列された複数のティースを有するティース部とからなるステータコアと、各複数のティースにそれぞれ巻回されるコイルとを含む。ヨーク部は、各複数のティースの軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を有する。各複数のティースは、軸方向の長さが径方向外方に向けて漸減し、かつ周方向の長さが径方向外方に向けて漸増する。
【0019】
この発明によれば、回転電機であって、ステータと、ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備える。ステータは、環状に延在するヨーク部とヨーク部の内周側に環状に配列された複数のティースを有するティース部とからなるステータコアと、各複数のティースにそれぞれ巻回されるコイルとを含む。ヨーク部は、各複数のティースの軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を有する。各複数のティースは、ステータコアの内周側端部において、軸方向の長さが周方向の長さよりも長く、ステータコアの外周側端部において、周方向の長さが軸方向の長さよりも長い。
【0020】
好ましくは、突出部の軸方向の長さは、コイルのコイルエンド部の最外周側の軸方向の長さに略等しい。
【0021】
好ましくは、ステータは、径方向に垂直な断面のいずれにおいて、ヨーク部の軸方向端面とティースの軸方向端面との間隔が、コイルエンド部の軸方向の長さに略等しい。
【0022】
好ましくは、各複数のティースは、径方向に垂直な断面が、径方向外方に向けて略等面積である。
【0023】
好ましくは、ヨーク部の周方向に垂直な断面は、ティースの径方向に垂直な断面の略半分以上の面積からなる。
【0024】
好ましくは、ヨーク部と各複数のティースとの接合部の断面積は、ティースの径方向に垂直な断面の面積に対して同等以上である。
【0025】
好ましくは、各複数のティースは、径方向に垂直な断面の角部が曲面形状である。
【0026】
好ましくは、各複数のティースは、軸方向端面が曲面形状である。
【0027】
好ましくは、ステータコアは、圧粉磁心の成形体からなる。
【0028】
好ましくは、ステータコアは、軸方向に分割された少なくとも2以上の圧粉磁心の成形体からなる。
【0029】
好ましくは、少なくとも2以上の圧粉磁心の成形体は、軸方向の一方端に位置する第1成形体と軸方向の他方端に位置する第2成形体とを含む。第1成形体および第2成形体の少なくとも一方は、ステータコアの軸方向の長さが互いに異なる複数の回転電機の間で同一の形状を有する。
【0030】
この発明によれば、自動車は、車輪と、各々が車輪を駆動する、複数の請求項12の回転電機とを備える。
【0031】
この発明によれば、自動車は、車輪と、各々が車輪を駆動する、請求項1から請求項12のいずれか1項の回転電機とを備える。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、ステータは、ヨーク部がティース部に対して軸方向外方に突出していることにより、コイル巻着後の搭載性に優れ、かつ小型高出力の回転電機を実現することができる。
【0033】
また、ステータコアを複数の圧粉磁心を軸方向に結合して構成することにより、簡易かつ低コストの成形工程で、多彩な出力の回転電機を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0035】
図1は、この発明の実施の形態に従う回転電機のステータにおける1極分のステータコアの斜視図である。なお、図示は省略するが、ステータコアは、全体として、図1の1極分のスタータコア100を回転電機の極数だけ環状に配した中空円筒形状を有する。そして、ステータコアは、環状のヨーク部と、ヨーク部の内周側に径方向内方を指して環状に配列された所定数のティースからなるティース部と、互いに隣り合うティースの間に形成され、軸方向に延在する所定数のスロットとを含む。ティースおよびスロットの個数は、回転電機の極数に対応している。
【0036】
図1を参照して、ステータコア100は、任意の1極において、ヨーク部20とティース10とが略T字形状を構成する。ステータコア100は、磁性粉末を成形用金型にて圧縮成形した磁心(以下、圧粉磁心とも称する)からなり、ヨーク部20とティース10とが一体的に成形される。なお、ステータコア100の成形工程については、後に詳述する。
【0037】
ティース10の周方向(θ方向に相当)の両脇には、隣り合うティース10(図示せず)との間において、スロットがそれぞれ形成される。コイルは、図示は省略するが、このティース10を跨ぐようにして隣り合うスロットに挿入されることにより、ティース10の各々に巻回して固着される。
【0038】
本実施の形態において、ステータコア100は、ヨーク部20とティース10との間で軸方向(z方向に相当)の長さが異なることを第1の特徴とする。詳細には、図1に示すように、ヨーク部20は、ティース10の軸方向の両端面からそれぞれ軸方向外方に突出した突出部を有する。このため、ヨーク部20は、軸方向において、この突出部だけティース10よりも長くなっている。この点において、この発明によるステータ構造は、ヨーク部とティース部との間で軸方向の長さを同じとする従来のステータ構造とは異なる。
【0039】
さらに、この発明によるステータコア100は、ティース10において、径方向に垂直な断面の形状が、径方向に沿って徐々に変化する、異形断面を有することを第2の特徴とする。例えば、図1のティース10において、最も内周側に位置する断面(図中のA断面に相当)と、最も外周側に位置する断面(図中のC断面に相当)と、これらの中間に位置する断面(図中のB断面に相当)とでは、互いに形状が異なっている。なお、これらのA〜C断面を含む径方向の各断面の間には、以下に述べるように、面積が互いに等しく、かつアスペクト比が互いに異なるという関係が成立している。なお、これらの特徴は、ステータコア100を圧粉磁心としたことによって、その成形性を生かし、容易に実現することができる。
【0040】
図2は、図1のステータコア100の周方向の断面図である。
【0041】
図2を参照して、ステータコア100において、ティース10は、略扇形状の断面を有しており、内周側に向かって周方向の長さが次第に短くなっている。具体的には、図1に示す径方向に沿ったA〜C断面の各々について、周方向の長さをそれぞれL1θ,Lθ,L2θとすると、これらの間には、L1θ<Lθ<L2θの関係が成り立つ。
【0042】
ティース10の軸方向に垂直な断面をこのような扇形状とすることによって、ティース10の両脇に形成されるスロット30は、それぞれ、図中の斜線領域で示すように、略矩形状となる。すなわち、斜線領域において、C断面における周方向の幅hと、A断面における周方向の幅jとが略等しくなる。これにより、スロット30におけるコイルの占積率が向上する。詳細には、例えば平角銅線をコイルとして用いたときには、コイルはスロット30の内部に規則性をもって整列されることから、コイルの緻密化が可能となり、占積率をさらに向上させることができる。
【0043】
図3は、図1のステータコア100の軸方向の断面図である。
【0044】
図3から明らかなように、ティース10は、軸方向の長さが、径方向に沿って徐々に変化する。詳細には、軸方向の長さは、ステータ外周側に向かって次第に短くなる。図1に示す径方向に沿ったA〜C断面の各々について、軸方向の長さをそれぞれL1Z,LZ,L2Zとすると、これらの間には、L1Z>LZ>L2Zの関係が成り立つ。さらに、最も長いA断面の軸方向の長さL1Zにおいても、ヨーク部20の軸方向の長さよりも短いことが分かる。
【0045】
ここで、図2および図3によれば、ティース10は、A〜C断面の間で、周方向および軸方向の長さに関して、L1θ<Lθ<L2θおよびL1Z>LZ>L2Zの関係を有することが分かる。すなわち、ティース10は、ステータ内周側から外周側に向かって、周方向の長さが長く、かつ軸方向の長さが短くなる。本願発明は、ティース10の形状を周方向のみならず、軸方向にも変化させた点において、ティース部53の軸方向の長さを一定とする図14に示す従来のステータ構造とは相違する。また、ヨーク部20の軸方向の長さが、ティース10の軸方向の長さの最大値よりもさらに長いという点において、ヨーク部54の軸方向の長さがティース部分(ティース部53+コアエンド部材57)の軸方向の長さよりも短い図14に示す従来のステータ構造とは相違する。
【0046】
さらに、ティース10の最外周側においてティース10と接合されるヨーク部20は、上述したように、ティース10の軸方向の両端面から軸方向外方に向けて突出した突出部を有する。この突出部の軸方向の長さmは、ヨーク部20の軸方向端面とティース10の最外周側の端面との高低差に値する。さらに、ヨーク部20の軸方向端面とティース10の最内周側の端面とにおいても、軸方向の長さkの高低差が生じている。
【0047】
ここで、コイルをティース10に巻回したときに、軸方向に沿ってスロット30から突出したコイルの両端部分は、コイルエンド部40を形成する。ティース部分(コアエンド部材を含む)の軸方向の長さがヨーク部の軸方向の長さよりも長い従来のステータ構造においては、このコイルエンド部40は、ステータコアの軸方向の両端面から突出した状態となる。そのため、上述したように、搭載性において不具合が生じる。
【0048】
そこで、本実施の形態では、図3に示すように、コイルエンド部40の軸方向の端面と、ヨーク部20の軸方向の端面との高低差をなくし、両端面が略同一平面をなすように、ティース10およびヨーク部20の形状を設定する。
【0049】
詳細には、スロット30におけるコイルの巻回スペースは、図2の斜線領域で示したように、A断面およびC断面において、それぞれ周方向の幅jおよび周方向の幅hを有する。このため、コイルを巻回したときに、軸方向に形成されるコイルエンド部40においても、A断面およびC断面において、それぞれ軸方向に、幅jおよび幅hとほぼ等しい高さを有することとなる。仮に、ティース10の軸方向端面がヨーク部20の軸方向端面と同じ高さであるとすれば、コイルエンド部40は、A断面およびC断面において、それぞれ高さjおよびhだけステータコア100から突出することになる。
【0050】
そこで、この突出部分をなくすために、本実施の形態によるステータコア100では、A断面におけるヨーク部20の軸方向端面とティース10の軸方向端面との高低差kを、コイルエンド部40のA断面の軸方向の高さjと略同じとなるように設定する。さらに、C断面におけるヨーク部20の軸方向端面とティース10の軸方向端面との高低差m(=ヨーク部20の突出部の軸方向の長さ)を、コイルエンド部40のC断面の高低差hと略同じとなるように設定する。
【0051】
このような構成とすることにより、コイルをティース10に巻回したときに形成されるコイルエンド部40は、ステータコア100から軸方向に突出することなく、その体格内にほぼ収まることから、回転電機の搭載性を改善することができる。
【0052】
以上のように、本実施の形態による回転電機は、ステータコア100のヨーク部20に突出部を設けたこと、およびティース10を径方向に沿って異形断面としたことによって、高いコイルの占積率を保ちながら、搭載性が向上される。
【0053】
ここで、スロット30におけるコイルの占積率が高められると、ティース10の内部に発生する磁束が増加し、より大きな出力トルクの発生が期待される。しかしながら、ステータコア100の内部において、磁束の飽和などによって無効となる磁束が増加すれば、トルク変動や鉄損が生じ、却って回転電機の制御性能を劣化させることになる。
【0054】
このため、本実施の形態では、先述したように、ティース10の形状において、径方向に垂直な断面を一定面積に保ちながら、そのアスペクト比を変化させる構成とする。また、ヨーク部20の形状において、漏洩磁束の低減を考慮した構成とする。以下にその詳細を説明する。
【0055】
図4は、図1に示すステータコア100におけるティース10の径方向に垂直な断面を説明するための図である。
【0056】
図4を参照して、図1におけるティース10のA〜C断面は、いずれも略矩形状であり、軸方向および周方向の各辺において、上述したように、それぞれ、L1Z>LZ>L2Z、およびL1θ<Lθ<L2θの関係を有する。
【0057】
さらに、A〜C断面は、その断面積をそれぞれSA,SB,SCとすると、これらの間に、SA=SB=SCの関係を有する。すなわち、ティース10の形状は、径方向に垂直な断面を一定面積に保ちながら、軸方向の辺と周方向の辺との比(アスペクト比)が漸次変化している。特に、本願発明では、図4に示すように、A断面とC断面との関係において、一定面積を保ちながら、アスペクト比を反転させた設計とすることも可能である。
【0058】
ここで、ティース10の径方向に垂直な断面を面積一定としたのは、以下の理由による。
【0059】
ステータコア100の内部で生じた磁束は、ティース10の内部を径方向(ティース10のA〜C断面に垂直な方向)に通過する。このとき、ティース10の内部において、磁束集中による局部的な磁束飽和が起こると、コイルを鎖交する有効磁束が減少する。このとき生じた無効磁束によって、回転電機には、コギングトルクと称されるトルク変動や鉄損が発生する。これらのコギングトルクや鉄損は、モータ効率を低下させるだけでなく、騒音や振動の原因となることから、ステータコア100内の磁束密度分布を均一にし、磁束飽和を緩和する必要が生じる。そこで、図4で述べたように、ティース10の径方向に垂直な断面を一定面積とすれば、ティース10における磁束密度分布を均一にでき、コギングトルクや鉄損の発生を抑えることができる。
【0060】
図5は、ステータコア100の内部における磁束の流れを示す説明図である。
【0061】
図5を参照して、ティース10の内部を径方向に沿って通過した磁束は、矢印で示すように、ティース10とヨーク部20との接合面(以下、単に接合面とも称する)を介してヨーク部20へ流れ込む。ヨーク部20に流入した磁束は、さらにヨーク部20の内部を周方向に互いに逆向きに流れる。
【0062】
ここで、このようなティース10〜接合面〜ヨーク部20に至る磁束の経路において、漏洩磁束が生じることによっても、先述したコギングトルクが発生することが知られている。この漏洩磁束を抑えるためには、磁束の経路において、磁束が通過する断面積が減少しないことが必要とされる。これには、ティース10の径方向に垂直な断面に対して、接合面の面積が同等以上であればよい。さらに、ヨーク部20の周方向に垂直な断面の面積が、ティース10の径方向に垂直な断面の少なくとも1/2以上であればよい。
【0063】
すなわち、接合面の面積の1/2(斜線領域S2の面積に相当)およびヨーク部20の周方向に垂直な断面積(斜線領域S3の面積に相当)のいずれか一方でもティース10の径方向に垂直な断面積S1(=全面積SAの1/2に相当)を下回れば、その箇所において漏洩磁束が生じることになる。なお、上記の1/2とは、ティース10を通過した磁束が、ヨーク部20において周方向で互いに反対方向に分流されることによる。
【0064】
すなわち、本実施の形態において、ヨーク部20の形状は、上述したコイルエンド部40との関係に加えて、S1≦S2,S3の関係を満たすように決定される。
【0065】
以上のように、この発明によれば、ヨーク部20に配した突出部とティース10に配した異形断面とによって、搭載性に優れ、かつ小型高出力の回転電機を実現することができる。このとき、ティース10およびヨーク部20の形状を、無効磁束の低減を考慮して決定することから、回転電機の効率低下および騒音・振動の発生が抑えられる。
【0066】
次に、この発明によるステータコアを基本構造とする、実際のステータコアの構成例を示す。
【0067】
図6は、図1に示すステータコア100の他の構成例を示す斜視図である。なお、図6は、図1と同様に、ステータコア100Aの1極分の構造を示す。
【0068】
ステータコア100Aは、図1のステータコア100におけるティース10をティース10Aに変更したものである。詳細には、ステータコア100Aは、図6に示すように、ティース10Aの軸方向の両端面が曲面形状であることを特徴とする。なお、ティース10Aおよびヨーク部20の基本的な構造は、図1のティース10およびヨーク部20と同じであることから、その詳細については説明を省略する。
【0069】
以下に、ティース10Aの軸方向端面を曲面形状としたことによる効果について説明する。
【0070】
ステータコア100Aは、その製造工程において、磁性粉末を加圧成形して成形体を形成した後に、当該成形体のコイルが巻着される部分に絶縁処理が施される。絶縁処理は、粉体塗装、ディッピングもしくは酸化処理などによって成型体の表面に絶縁皮膜を形成することによって行なわれる。このとき、ティース10Aにおいても、所定の膜厚の絶縁皮膜が被膜される。コイルは、この絶縁皮膜の上からティース10Aに巻着される。
【0071】
ここで、ティースの軸方向端面がティース10のように平面形状であるときには、軸方向端面の角部における絶縁皮膜が、局所的なコイルの応力を受けて劣化する可能性がある。これに対し、ティースの軸方向端面を曲面状としたティース10Aにおいては、コイルが曲面上に沿って巻回されるため、絶縁皮膜に対するコイルの局所的な応力が緩和され、劣化を防止することができる。
【0072】
また、ティース10Aは、ティース表面を覆う絶縁皮膜の膜厚をより均一化できるという効果を有する。径方向に垂直な断面が略矩形状の場合、絶縁処理の方法によっては、角部の膜厚が過小または過大となるケースが起こりうる。具体的には、ディッピングでは、角部の膜厚が過小となり、静電塗装では、角部の膜厚が過大となる傾向が生じる。そこで、ティース10Aのように、軸方向端面を曲面形状とすれば、角部が緩やかになることから、このような絶縁皮膜の膜厚不均一が回避され、品質向上を図ることができる。
【0073】
さらに、ステータコア100Aを、図7(A)に示すように、ティース10Bの径方向に垂直な断面を全て曲面形状とすれば、絶縁皮膜の膜厚を均一にできるとともに、コイルの占積率において、以下のような効果が得られる。
【0074】
図7(A)は、図6におけるステータコアの変更例を説明するためのティースの径方向に垂直な断面図である。なお、図7(B)は、一般的なステータコアにおけるティースの径方向に垂直な断面図である。
【0075】
本変更例に係るティース10Bは、図7(A)に示すように、略楕円形状の断面を有しており、図7(B)に示す断面に見られる角部を含まない。
【0076】
通常、コイルの巻着時には、巻線52の撓みや捻れなどを防止するために、所定量の張力を掛けながら、巻線52をティースに巻回する。しかしながら、一般的なステータコアでは、ティースの径方向に垂直な断面が略矩形状であることから、図7(B)の領域RGNで示すように、角部に巻線52の巻き太りが生じてしまう。これは、巻線52の周長を冗長させるとともに、コイルの占積率を低下させる要因となる。
【0077】
そこで、図7(A)のように、ティース10Bの全面を曲面形状とすれば、巻線52をティース10Bに効率良く巻回することができ、コイルの占積率を高めることができる。さらに、コイルが緻密化されることによってコイルエンド部が小型化されるため、回転電機の体格低減に有効である。また、ティース10Bを覆う絶縁皮膜においては、巻線52の応力が緩和されることから、その劣化を防止でき、高い信頼性を実現しうる。
【0078】
なお、図7(A)では、ティース10Bの全面を曲面形状としたが、通常のティースの矩形状断面において、角部のみに曲面形状を設けることによっても、同様の効果を得ることができる。
【0079】
以上のように、図1のステータコア100において、さらにティース10の径方向に垂直な断面に曲面形状を設けることにより、コイルの占積率を一層向上させることができるとともに、高い信頼性を実現することができる。
【0080】
最後に、この発明によるステータコア100の成形工程について説明する。上述したステータコア100,100A,100Bはいずれも、その成形性を生かし、圧粉磁心により構成される。圧粉磁心の成形工程においては、一般に、粒子ごとに酸化膜が被膜された磁性粉末を成形用金型に充填し、これを加圧成形することによって所望の形状に一体的に成形する方法が採用される。この成形方法をこの発明によるステータコア100に適用すると、図8のようになる。
【0081】
図8は、一般的な成形方法を適用したときのステータコア100の成形工程を示す図である。図8を参照して、磁性粉末は、各粒子に酸化膜が被膜された後に、成形用金型となるダイ200に充填される。そして、充填された磁性粉末は、ダイ200の上方に配されたパンチ201,203および下方に配されたパンチ202,204により垂直方向に加圧される。なお、図8における加圧方向は、成形後のステータコア100の軸方向に対応する。このようにして、ステータコア100は一体的に成形される。
【0082】
ここで、図8の圧粉磁心の成形工程において、ダイ200の上方に配されたパンチ201,203は、加圧によってヨーク部20を成形するパンチ203と、加圧によってティース10を成形するパンチ201との2つのパンチで構成される。ダイ200の下方においても同様に、ヨーク部20を成形するパンチ204とティース10を成形するパンチ202とで構成される。すなわち、ヨーク部20とティース10とは、互いに異なる加圧手段によって加圧成形される。
【0083】
このようにダイ200の上方および下方のパンチ201〜204をそれぞれ分割した構成としたのは、この発明によるステータコア100において、ティース10が径方向に沿って異形断面を有することに起因する。
【0084】
詳細には、上方および下方のパンチ201〜204をそれぞれ単体のパンチで構成した場合、ティース10とヨーク部20とを構成する磁性粉末は、当該単体のパンチに設定された一定のストローク(移動量)で一律に加圧される。このとき、ティース10の軸方向長さがステータ外周側に向かって次第に短くなることから、加圧過程においてティース10を構成する磁性粉末にかかる圧力は、径方向において不均一となり、ステータ内周側にかかる圧力がステータ外周側にかかる圧力よりも高くなる。そのため、ティース10を構成するはずの磁性粉末は、圧力がより低いティース10のステータ外周側からヨーク部20へと流れ込む。したがって、加圧成形後のステータコア100において、磁性粉末の密度には、ティース10のステータ内周側が相対的に低く、かつティース10のステータ外周側およびヨーク部20が相対的に高いといった偏りが生じてしまう。
【0085】
そして、このような磁性粉末の密度の偏りは、ステータコア100全体の強度を低下させることとなる。特に、ヨーク部20とティース10との接合部分であるステータコア100の括れ部分において亀裂が生じるおそれがある。また、ティース10にコイルを巻回して形成したステータを搭載した回転電機においては、ステータコア100の内部で生じる磁束が不均一となり、所望のモータ性能を得ることができないという問題も起こり得る。
【0086】
そこで、このような磁性粉末の密度の偏りを解消する手段として、図8に示すように、単体のパンチを、ティース10を成形するパンチ201,202とヨーク部20とを成形するパンチ203,204とに分割し、各々のパンチで独立した加圧制御を行なう構成とする。これによれば、成形体の磁性粉末の密度が均一となるように、ダイ200の上方に配されたパンチ201のストロークとパンチ203のストロークとは個別に制御される。同様に、ダイ200の下方に配されたパンチ202のストロークとパンチ204のストロークとには個別に制御される。すなわち、合計4つのパンチ201〜204のストロークを別個に制御することによって、磁性粉末の密度が均一な成形体を形成することができる。
【0087】
ところが、このような加圧制御を実際の成形工程に適用するにあたっては、合計4つのパンチ201〜204のストロークを別個に制御することから、加圧制御における自由度は4となり、制御が複雑化するという問題が新たに生じる。結果として、製造コストが増大し、生産性を低下させてしまう。したがって、生産性の向上のためには、加圧制御の自由度はできる限り少ないことが望まれる。
【0088】
また、上記の加圧制御により成形されたステータコア100を搭載した回転電機においては、用途に応じた所望の出力トルクを得るための設計変更に際して、多大なコストが発生するという問題も起きる。詳細には、回転電機において高出力化を図る手段としては、通常、ステータコアに巻回するコイルの巻数を増やすこと、あるいはティースの径方向に垂直な断面積を増加することによって、ティース内部に発生する磁束を増加することが行なわれる。ここで、図8に示す一体成形型のステータコア100において、ティース10の径方向に垂直な断面積を増やそうとすれば、別途、より大型の成形用金型が必要となる。すなわち、一体成形型のステータコア100を適用した回転電機においては、出力トルクのバリエーションを満たすだけの多種類の成形用金型が必要となる。これは、設計変更に必要なコストを増大させる。
【0089】
そこで、この発明では、ステータコア100の生産性を高める手段として、以下に示すように、複数個の圧粉磁心の成形体で一体のステータコア100を形成する構成とする。なお、以下に示すステータコア100については、図8の一体成形型のステータコア100と対比させて、分割型のステータコア100とも称する。
【0090】
図9は、この発明による回転電機における1極分のステータコア100の斜視図である。また、図10は、図9のステータコア100の軸方向の断面図である。
【0091】
図9を参照して、ステータコア100は、軸方向(z方向)に沿って結合された3個の成形体D1〜D3からなる。成形体D1〜D3において、軸方向の両端にそれぞれ位置する成形体D1と成形体D3とは、同一の形状を有し、軸方向に垂直方向の一方端面(軸方向端面と反対側の端面に相当)を水平面とする。また、成形体D1と成形体D3とに挟まれた成形体D2は、図10に斜線領域で示すように、軸方向に垂直方向の一方端面(直線LN1を含む端面)と他方端面(直線LN2を含む端面)とが互いに平行となっている。すなわち、ステータコア100は、2種類の形状の成形体D1(=D3),D2が軸方向に結合されて構成される。
【0092】
次に、各々の成形体D1〜D3の成形工程について説明する。図11は、成形体D1(=D3)の成形工程を説明するための図である。
【0093】
図11を参照して、成形体D1は、ダイ200に充填された磁性粉末を、ダイ200の上方に配されたパンチ206および下方に配されたパンチ202,204により垂直方向に加圧して成形される。このとき、図11から明らかなように、成形体D1の水平面となる一方端面は、単体のパンチ206により加圧される。また、成形体D1の他方端面は、ティース10を成形するパンチ202とヨーク部20を成形するパンチ204とによって加圧される。そして、パンチ202とパンチ204とは、上述したように、成形体D1の磁性粉末の密度が均一となるように、別個にストロークが制御される。すなわち、成形体D1の成形工程において、加圧制御における自由度は3となる。これは、図8に示す一体成形型のステータコア100の成形工程における自由度4よりも低いことから、加圧制御が著しく簡易化されることは明らかである。
【0094】
図12は、成形体D2の成形工程を説明するための図である。
【0095】
図12を参照して、成形体D2は、ダイ200に充填された磁性粉末を、ダイ200の上方および下方に配されたパンチ206,208により垂直方向に加圧して成形される。
このとき、成形体D2の軸方向端面はいずれも水平面であることから、単体のパンチで加圧される。すなわち、成形体D2の成形工程における加圧制御の自由度は2と低く、容易に成形することができる。また、上方および下方のパンチ206,208のストロークを調整することによって、容易に軸方向の長さを変更することが可能となる。
【0096】
そして、図11および図12の成形工程によって形成された成形体D1〜D3は、軸方向に結合されて一体化され、ステータコア100を構成する。なお、成形体D1〜D3の結合は、たとえば成形体D1〜D3を一体的に回転電機の収容部材であるハウジングに圧入すること、もしくは成形体D1〜D3からなるステータコア100のティース10にコイルを巻回することなどによって行なわれる。
【0097】
以上のように、この発明によるステータコア100は、分割型のステータコアを採用したことによって加圧制御の自由度が低減されることから、製造コストの増大を抑え、生産性を向上することが可能となる。
【0098】
さらに、この発明によるステータコア100は、以下に示すように、回転電機の出力トルクの設計変更に伴なうコストを大幅に低減できるという効果も奏する。
【0099】
たとえば図13に示すように、ティース10の径方向に垂直な断面積が異なる2つのステータコア100C(図13(a)参照)およびステータコア100D(図13(b)参照)を形成するときにおいて、大きさの異なる成形用金型を必要とせず、簡易かつ低コストに形成することができる。
【0100】
詳細には、ステータコア100Cは、出力トルクが相対的に小さい回転電機に搭載されるものであり、ティース10の径方向に垂直な断面積が相対的に小さい。一方、ステータコア100Dは、出力トルクが相対的に大きい回転電機に搭載されるものであり、ティース10の径方向に垂直な断面積が相対的に大きい。この発明によれば、径方向の断面積が互いに異なるステータコア100Cおよびステータコア100Dは、軸方向の両端に位置する成形体D1,D3をそれぞれ共通とし、成形体D2_b,D2_cの軸方向長さを変更することによって形成される。このときの成形体D2_b,D2_cの軸方向長さの変更は、上述した図12の成形工程において、パンチ206,208のストロークを調整することにより、容易に行なうことができる。もしくは、所定の軸方向長さを有する成形体D2を1単位とし、所望の軸方向長さとなるように、単位数を設定することによっても、容易に行なうことができる。
【0101】
すなわち、この発明によれば、各々が容易に成形され得る複数個の成形体を結合して一体のステータコア100を構成することにより、成形工程における加圧制御の自由度を低減して、生産性を高めることができる。さらに、ステータコア100の設計変更におけるコストの増加を招くことなく、多彩な出力性能を有する回転電機を実現することができる。
【0102】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0103】
この発明は、回転電機および回転電機を動力源として搭載する自動車に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】この発明の実施の形態に従う回転電機のステータにおける1極分のステータコアの斜視図である。
【図2】図1のステータコアの周方向の断面図である。
【図3】図1のステータコアの軸方向の断面図である。
【図4】図1に示すステータコアにおけるティースの径方向に垂直な断面を説明するための図である。
【図5】ステータコアの内部における磁束の流れを示す説明図である。
【図6】図1に示すステータコアの他の構成例を示す斜視図である。
【図7】図6におけるステータコアの変更例を説明するためのティースの径方向に垂直な断面図(図7(A))および一般的なステータコアにおけるティースの径方向に垂直な断面図(図7(B))である。
【図8】一般的な成形方法を適用したときのステータコアの成形工程を示す図である。
【図9】この発明による回転電機における1極分のステータコアの斜視図である。
【図10】図9のステータコアの軸方向の断面図である。
【図11】成形体D1(=D3)の成形工程を説明するための図である。
【図12】成形体D2の成形工程を説明するための図である。
【図13】出力トルクの異なる回転電機における1極分のステータコアの斜視図である。
【図14】特許文献1に開示される回転電機におけるステータの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
10,10A,10B ティース、20,54 ヨーク部、30 スロット、40 コイルエンド部、51 積層コア、52 巻線、53 ティース部、55 スロット部、56 絶縁キャップ、57 コアエンド部材、57a 巻線受容面、100,100A〜100D ステータコア、200 ダイ、201〜204,206,208 パンチ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、固定子(以下、ステータとも称する)と回転子(以下、ロータとも称する)とから構成される回転電機およびそれを搭載した自動車に関し、より特定的には、回転電機のステータに関する。
【背景技術】
【0002】
ステータとロータとからなる回転電機において、ステータは、複数のスロットが形成されたステータコアと、スロット間に設けられる櫛歯(以下、ティースとも称する)に巻回されたコイルとから構成される。また、ロータは、ロータコアと、磁力を帯びた磁石と、回転軸となるシャフトとから構成される。
【0003】
かかる構成において、コイルに電力が供給されることにより、磁界が発生する。発生した磁界に基づいて、ロータとステータとの間に磁束の流れが形成されることによって、ロータは回転力を得る。例えば回転電機を動力源とする自動車においては、この回転力によって車輪が駆動される。
【0004】
ここで、ステータにおいては、スロットの断面積に対するコイルが占有する断面積の面積比(以下、占積率とも称する)の向上を目的としたステータ構造が、従来から多数開示されている(たとえば特許文献1および2参照)。
【0005】
図14は、たとえば特許文献1に開示される回転電機におけるステータの構造を示す図である。
【0006】
図14(A)は、ステータを構成することになる1極分の積層コア51に巻線52が巻回された状態を、図14(B)は、同図(A)の水平断面をそれぞれ示す。
【0007】
積層コア51は、所定数の電磁鋼板を積層して形成されており、ティース部53とヨーク部54とのなす両側の空間が、巻線52の配置のためのスロット部55として機能する。
【0008】
積層コア51には、後述するコアエンド部材57が装着された状態で、スロット部55の内面を覆うように絶縁キャップ56が被せられる。この絶縁キャップ56の外周に巻線52が所定回数だけ巻回されて、図14(A)の状態となる。
【0009】
図14(B)を参照して、ティース部53の幅寸法Wについては、ステータ外周からステータ内周に向かって漸次幅狭となるように、両端面がテーパ状に形成され、これによってティース部53の両側に形成されるスロット部55の投影形状が、平行四辺形もしくは長方形となるように設定されている。
【0010】
図14(C)は、同図(A)の巻線52と絶縁キャップ56とを取り除いた状態を、図14(D)は、同図(C)のD方向矢視図をそれぞれ示す。
【0011】
図14(C)を参照して、積層コア51の積層方向両端面には、ティース部53の投影形状と略同一の輪郭形状を持つコアエンド部材57がそれぞれ装着される。コアエンド部材57は、磁性粉末成形体にて形成され、表面の巻線受圧面57aは、ステータ外周から内周側に向かって段階的に高くなるように形成されている(図14(D)参照)。
【0012】
以上の構成において、積層コア51が回転電機の一部として機能する際には、ティース部53を磁束が通過する。このとき、ティース部53におけるステータ内周側の先端部では、その幅寸法Wが小さいために磁束密度が高くなり、磁束が飽和する可能性がある。そこで、当該ステータ構造においては、積層コア51の鋼板積層方向の両端面に配したコアエンド部材57を磁路として機能させている。ただし、コアエンド部材57は、材質によって磁気特性が異なるため、径方向に沿って内周側、外周側および中央部分における等価断面積が求められ、その値が互いに等しくなるように設定される。
【0013】
このような構成によれば、スロット部55のデッドスペースが縮小化されることにより、スロット部55での巻線52の占積率が向上し、小型で高出力な回転電機を実現することができる。
【特許文献1】特開2002−369418号公報
【特許文献2】特表2002−544753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図14に示す従来のステータ構造においては、巻線52の占積率が向上する一方で、同図(D)から明らかなように、ティース部53の軸方向両端面に配したコアエンド部材57によって、軸方向に形成される巻線52の巻回部分(コイルエンド部)がヨーク部54から突出した形状となる。そのため、当該ステータから構成される回転電機において、その搭載性に問題を有していた。
【0015】
また、ティース部分がコアエンド部材57によって軸方向に展開された3次元的な構造を持つのに対し、ヨーク部54は、周方向と径方向とからなる2次元的な構造のままであることから、ティース部分を通過する鎖交磁束を確保するためには、ヨーク部54を径方向に厚くせざるを得ず、低減可能な体格に限界が生じていた。
【0016】
さらに、従来のステータ構造では、突出したコイルエンド部によって、ステータの軸方向の長さが増加してしまうため、巻線52を含めた全軸長での小型化が困難であった。
【0017】
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、搭載性に優れ、かつ小型高出力の回転電機およびそれを搭載した自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明によれば、回転電機であって、ステータと、ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備える。ステータは、環状に延在するヨーク部とヨーク部の内周側に環状に配列された複数のティースを有するティース部とからなるステータコアと、各複数のティースにそれぞれ巻回されるコイルとを含む。ヨーク部は、各複数のティースの軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を有する。各複数のティースは、軸方向の長さが径方向外方に向けて漸減し、かつ周方向の長さが径方向外方に向けて漸増する。
【0019】
この発明によれば、回転電機であって、ステータと、ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備える。ステータは、環状に延在するヨーク部とヨーク部の内周側に環状に配列された複数のティースを有するティース部とからなるステータコアと、各複数のティースにそれぞれ巻回されるコイルとを含む。ヨーク部は、各複数のティースの軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を有する。各複数のティースは、ステータコアの内周側端部において、軸方向の長さが周方向の長さよりも長く、ステータコアの外周側端部において、周方向の長さが軸方向の長さよりも長い。
【0020】
好ましくは、突出部の軸方向の長さは、コイルのコイルエンド部の最外周側の軸方向の長さに略等しい。
【0021】
好ましくは、ステータは、径方向に垂直な断面のいずれにおいて、ヨーク部の軸方向端面とティースの軸方向端面との間隔が、コイルエンド部の軸方向の長さに略等しい。
【0022】
好ましくは、各複数のティースは、径方向に垂直な断面が、径方向外方に向けて略等面積である。
【0023】
好ましくは、ヨーク部の周方向に垂直な断面は、ティースの径方向に垂直な断面の略半分以上の面積からなる。
【0024】
好ましくは、ヨーク部と各複数のティースとの接合部の断面積は、ティースの径方向に垂直な断面の面積に対して同等以上である。
【0025】
好ましくは、各複数のティースは、径方向に垂直な断面の角部が曲面形状である。
【0026】
好ましくは、各複数のティースは、軸方向端面が曲面形状である。
【0027】
好ましくは、ステータコアは、圧粉磁心の成形体からなる。
【0028】
好ましくは、ステータコアは、軸方向に分割された少なくとも2以上の圧粉磁心の成形体からなる。
【0029】
好ましくは、少なくとも2以上の圧粉磁心の成形体は、軸方向の一方端に位置する第1成形体と軸方向の他方端に位置する第2成形体とを含む。第1成形体および第2成形体の少なくとも一方は、ステータコアの軸方向の長さが互いに異なる複数の回転電機の間で同一の形状を有する。
【0030】
この発明によれば、自動車は、車輪と、各々が車輪を駆動する、複数の請求項12の回転電機とを備える。
【0031】
この発明によれば、自動車は、車輪と、各々が車輪を駆動する、請求項1から請求項12のいずれか1項の回転電機とを備える。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、ステータは、ヨーク部がティース部に対して軸方向外方に突出していることにより、コイル巻着後の搭載性に優れ、かつ小型高出力の回転電機を実現することができる。
【0033】
また、ステータコアを複数の圧粉磁心を軸方向に結合して構成することにより、簡易かつ低コストの成形工程で、多彩な出力の回転電機を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0035】
図1は、この発明の実施の形態に従う回転電機のステータにおける1極分のステータコアの斜視図である。なお、図示は省略するが、ステータコアは、全体として、図1の1極分のスタータコア100を回転電機の極数だけ環状に配した中空円筒形状を有する。そして、ステータコアは、環状のヨーク部と、ヨーク部の内周側に径方向内方を指して環状に配列された所定数のティースからなるティース部と、互いに隣り合うティースの間に形成され、軸方向に延在する所定数のスロットとを含む。ティースおよびスロットの個数は、回転電機の極数に対応している。
【0036】
図1を参照して、ステータコア100は、任意の1極において、ヨーク部20とティース10とが略T字形状を構成する。ステータコア100は、磁性粉末を成形用金型にて圧縮成形した磁心(以下、圧粉磁心とも称する)からなり、ヨーク部20とティース10とが一体的に成形される。なお、ステータコア100の成形工程については、後に詳述する。
【0037】
ティース10の周方向(θ方向に相当)の両脇には、隣り合うティース10(図示せず)との間において、スロットがそれぞれ形成される。コイルは、図示は省略するが、このティース10を跨ぐようにして隣り合うスロットに挿入されることにより、ティース10の各々に巻回して固着される。
【0038】
本実施の形態において、ステータコア100は、ヨーク部20とティース10との間で軸方向(z方向に相当)の長さが異なることを第1の特徴とする。詳細には、図1に示すように、ヨーク部20は、ティース10の軸方向の両端面からそれぞれ軸方向外方に突出した突出部を有する。このため、ヨーク部20は、軸方向において、この突出部だけティース10よりも長くなっている。この点において、この発明によるステータ構造は、ヨーク部とティース部との間で軸方向の長さを同じとする従来のステータ構造とは異なる。
【0039】
さらに、この発明によるステータコア100は、ティース10において、径方向に垂直な断面の形状が、径方向に沿って徐々に変化する、異形断面を有することを第2の特徴とする。例えば、図1のティース10において、最も内周側に位置する断面(図中のA断面に相当)と、最も外周側に位置する断面(図中のC断面に相当)と、これらの中間に位置する断面(図中のB断面に相当)とでは、互いに形状が異なっている。なお、これらのA〜C断面を含む径方向の各断面の間には、以下に述べるように、面積が互いに等しく、かつアスペクト比が互いに異なるという関係が成立している。なお、これらの特徴は、ステータコア100を圧粉磁心としたことによって、その成形性を生かし、容易に実現することができる。
【0040】
図2は、図1のステータコア100の周方向の断面図である。
【0041】
図2を参照して、ステータコア100において、ティース10は、略扇形状の断面を有しており、内周側に向かって周方向の長さが次第に短くなっている。具体的には、図1に示す径方向に沿ったA〜C断面の各々について、周方向の長さをそれぞれL1θ,Lθ,L2θとすると、これらの間には、L1θ<Lθ<L2θの関係が成り立つ。
【0042】
ティース10の軸方向に垂直な断面をこのような扇形状とすることによって、ティース10の両脇に形成されるスロット30は、それぞれ、図中の斜線領域で示すように、略矩形状となる。すなわち、斜線領域において、C断面における周方向の幅hと、A断面における周方向の幅jとが略等しくなる。これにより、スロット30におけるコイルの占積率が向上する。詳細には、例えば平角銅線をコイルとして用いたときには、コイルはスロット30の内部に規則性をもって整列されることから、コイルの緻密化が可能となり、占積率をさらに向上させることができる。
【0043】
図3は、図1のステータコア100の軸方向の断面図である。
【0044】
図3から明らかなように、ティース10は、軸方向の長さが、径方向に沿って徐々に変化する。詳細には、軸方向の長さは、ステータ外周側に向かって次第に短くなる。図1に示す径方向に沿ったA〜C断面の各々について、軸方向の長さをそれぞれL1Z,LZ,L2Zとすると、これらの間には、L1Z>LZ>L2Zの関係が成り立つ。さらに、最も長いA断面の軸方向の長さL1Zにおいても、ヨーク部20の軸方向の長さよりも短いことが分かる。
【0045】
ここで、図2および図3によれば、ティース10は、A〜C断面の間で、周方向および軸方向の長さに関して、L1θ<Lθ<L2θおよびL1Z>LZ>L2Zの関係を有することが分かる。すなわち、ティース10は、ステータ内周側から外周側に向かって、周方向の長さが長く、かつ軸方向の長さが短くなる。本願発明は、ティース10の形状を周方向のみならず、軸方向にも変化させた点において、ティース部53の軸方向の長さを一定とする図14に示す従来のステータ構造とは相違する。また、ヨーク部20の軸方向の長さが、ティース10の軸方向の長さの最大値よりもさらに長いという点において、ヨーク部54の軸方向の長さがティース部分(ティース部53+コアエンド部材57)の軸方向の長さよりも短い図14に示す従来のステータ構造とは相違する。
【0046】
さらに、ティース10の最外周側においてティース10と接合されるヨーク部20は、上述したように、ティース10の軸方向の両端面から軸方向外方に向けて突出した突出部を有する。この突出部の軸方向の長さmは、ヨーク部20の軸方向端面とティース10の最外周側の端面との高低差に値する。さらに、ヨーク部20の軸方向端面とティース10の最内周側の端面とにおいても、軸方向の長さkの高低差が生じている。
【0047】
ここで、コイルをティース10に巻回したときに、軸方向に沿ってスロット30から突出したコイルの両端部分は、コイルエンド部40を形成する。ティース部分(コアエンド部材を含む)の軸方向の長さがヨーク部の軸方向の長さよりも長い従来のステータ構造においては、このコイルエンド部40は、ステータコアの軸方向の両端面から突出した状態となる。そのため、上述したように、搭載性において不具合が生じる。
【0048】
そこで、本実施の形態では、図3に示すように、コイルエンド部40の軸方向の端面と、ヨーク部20の軸方向の端面との高低差をなくし、両端面が略同一平面をなすように、ティース10およびヨーク部20の形状を設定する。
【0049】
詳細には、スロット30におけるコイルの巻回スペースは、図2の斜線領域で示したように、A断面およびC断面において、それぞれ周方向の幅jおよび周方向の幅hを有する。このため、コイルを巻回したときに、軸方向に形成されるコイルエンド部40においても、A断面およびC断面において、それぞれ軸方向に、幅jおよび幅hとほぼ等しい高さを有することとなる。仮に、ティース10の軸方向端面がヨーク部20の軸方向端面と同じ高さであるとすれば、コイルエンド部40は、A断面およびC断面において、それぞれ高さjおよびhだけステータコア100から突出することになる。
【0050】
そこで、この突出部分をなくすために、本実施の形態によるステータコア100では、A断面におけるヨーク部20の軸方向端面とティース10の軸方向端面との高低差kを、コイルエンド部40のA断面の軸方向の高さjと略同じとなるように設定する。さらに、C断面におけるヨーク部20の軸方向端面とティース10の軸方向端面との高低差m(=ヨーク部20の突出部の軸方向の長さ)を、コイルエンド部40のC断面の高低差hと略同じとなるように設定する。
【0051】
このような構成とすることにより、コイルをティース10に巻回したときに形成されるコイルエンド部40は、ステータコア100から軸方向に突出することなく、その体格内にほぼ収まることから、回転電機の搭載性を改善することができる。
【0052】
以上のように、本実施の形態による回転電機は、ステータコア100のヨーク部20に突出部を設けたこと、およびティース10を径方向に沿って異形断面としたことによって、高いコイルの占積率を保ちながら、搭載性が向上される。
【0053】
ここで、スロット30におけるコイルの占積率が高められると、ティース10の内部に発生する磁束が増加し、より大きな出力トルクの発生が期待される。しかしながら、ステータコア100の内部において、磁束の飽和などによって無効となる磁束が増加すれば、トルク変動や鉄損が生じ、却って回転電機の制御性能を劣化させることになる。
【0054】
このため、本実施の形態では、先述したように、ティース10の形状において、径方向に垂直な断面を一定面積に保ちながら、そのアスペクト比を変化させる構成とする。また、ヨーク部20の形状において、漏洩磁束の低減を考慮した構成とする。以下にその詳細を説明する。
【0055】
図4は、図1に示すステータコア100におけるティース10の径方向に垂直な断面を説明するための図である。
【0056】
図4を参照して、図1におけるティース10のA〜C断面は、いずれも略矩形状であり、軸方向および周方向の各辺において、上述したように、それぞれ、L1Z>LZ>L2Z、およびL1θ<Lθ<L2θの関係を有する。
【0057】
さらに、A〜C断面は、その断面積をそれぞれSA,SB,SCとすると、これらの間に、SA=SB=SCの関係を有する。すなわち、ティース10の形状は、径方向に垂直な断面を一定面積に保ちながら、軸方向の辺と周方向の辺との比(アスペクト比)が漸次変化している。特に、本願発明では、図4に示すように、A断面とC断面との関係において、一定面積を保ちながら、アスペクト比を反転させた設計とすることも可能である。
【0058】
ここで、ティース10の径方向に垂直な断面を面積一定としたのは、以下の理由による。
【0059】
ステータコア100の内部で生じた磁束は、ティース10の内部を径方向(ティース10のA〜C断面に垂直な方向)に通過する。このとき、ティース10の内部において、磁束集中による局部的な磁束飽和が起こると、コイルを鎖交する有効磁束が減少する。このとき生じた無効磁束によって、回転電機には、コギングトルクと称されるトルク変動や鉄損が発生する。これらのコギングトルクや鉄損は、モータ効率を低下させるだけでなく、騒音や振動の原因となることから、ステータコア100内の磁束密度分布を均一にし、磁束飽和を緩和する必要が生じる。そこで、図4で述べたように、ティース10の径方向に垂直な断面を一定面積とすれば、ティース10における磁束密度分布を均一にでき、コギングトルクや鉄損の発生を抑えることができる。
【0060】
図5は、ステータコア100の内部における磁束の流れを示す説明図である。
【0061】
図5を参照して、ティース10の内部を径方向に沿って通過した磁束は、矢印で示すように、ティース10とヨーク部20との接合面(以下、単に接合面とも称する)を介してヨーク部20へ流れ込む。ヨーク部20に流入した磁束は、さらにヨーク部20の内部を周方向に互いに逆向きに流れる。
【0062】
ここで、このようなティース10〜接合面〜ヨーク部20に至る磁束の経路において、漏洩磁束が生じることによっても、先述したコギングトルクが発生することが知られている。この漏洩磁束を抑えるためには、磁束の経路において、磁束が通過する断面積が減少しないことが必要とされる。これには、ティース10の径方向に垂直な断面に対して、接合面の面積が同等以上であればよい。さらに、ヨーク部20の周方向に垂直な断面の面積が、ティース10の径方向に垂直な断面の少なくとも1/2以上であればよい。
【0063】
すなわち、接合面の面積の1/2(斜線領域S2の面積に相当)およびヨーク部20の周方向に垂直な断面積(斜線領域S3の面積に相当)のいずれか一方でもティース10の径方向に垂直な断面積S1(=全面積SAの1/2に相当)を下回れば、その箇所において漏洩磁束が生じることになる。なお、上記の1/2とは、ティース10を通過した磁束が、ヨーク部20において周方向で互いに反対方向に分流されることによる。
【0064】
すなわち、本実施の形態において、ヨーク部20の形状は、上述したコイルエンド部40との関係に加えて、S1≦S2,S3の関係を満たすように決定される。
【0065】
以上のように、この発明によれば、ヨーク部20に配した突出部とティース10に配した異形断面とによって、搭載性に優れ、かつ小型高出力の回転電機を実現することができる。このとき、ティース10およびヨーク部20の形状を、無効磁束の低減を考慮して決定することから、回転電機の効率低下および騒音・振動の発生が抑えられる。
【0066】
次に、この発明によるステータコアを基本構造とする、実際のステータコアの構成例を示す。
【0067】
図6は、図1に示すステータコア100の他の構成例を示す斜視図である。なお、図6は、図1と同様に、ステータコア100Aの1極分の構造を示す。
【0068】
ステータコア100Aは、図1のステータコア100におけるティース10をティース10Aに変更したものである。詳細には、ステータコア100Aは、図6に示すように、ティース10Aの軸方向の両端面が曲面形状であることを特徴とする。なお、ティース10Aおよびヨーク部20の基本的な構造は、図1のティース10およびヨーク部20と同じであることから、その詳細については説明を省略する。
【0069】
以下に、ティース10Aの軸方向端面を曲面形状としたことによる効果について説明する。
【0070】
ステータコア100Aは、その製造工程において、磁性粉末を加圧成形して成形体を形成した後に、当該成形体のコイルが巻着される部分に絶縁処理が施される。絶縁処理は、粉体塗装、ディッピングもしくは酸化処理などによって成型体の表面に絶縁皮膜を形成することによって行なわれる。このとき、ティース10Aにおいても、所定の膜厚の絶縁皮膜が被膜される。コイルは、この絶縁皮膜の上からティース10Aに巻着される。
【0071】
ここで、ティースの軸方向端面がティース10のように平面形状であるときには、軸方向端面の角部における絶縁皮膜が、局所的なコイルの応力を受けて劣化する可能性がある。これに対し、ティースの軸方向端面を曲面状としたティース10Aにおいては、コイルが曲面上に沿って巻回されるため、絶縁皮膜に対するコイルの局所的な応力が緩和され、劣化を防止することができる。
【0072】
また、ティース10Aは、ティース表面を覆う絶縁皮膜の膜厚をより均一化できるという効果を有する。径方向に垂直な断面が略矩形状の場合、絶縁処理の方法によっては、角部の膜厚が過小または過大となるケースが起こりうる。具体的には、ディッピングでは、角部の膜厚が過小となり、静電塗装では、角部の膜厚が過大となる傾向が生じる。そこで、ティース10Aのように、軸方向端面を曲面形状とすれば、角部が緩やかになることから、このような絶縁皮膜の膜厚不均一が回避され、品質向上を図ることができる。
【0073】
さらに、ステータコア100Aを、図7(A)に示すように、ティース10Bの径方向に垂直な断面を全て曲面形状とすれば、絶縁皮膜の膜厚を均一にできるとともに、コイルの占積率において、以下のような効果が得られる。
【0074】
図7(A)は、図6におけるステータコアの変更例を説明するためのティースの径方向に垂直な断面図である。なお、図7(B)は、一般的なステータコアにおけるティースの径方向に垂直な断面図である。
【0075】
本変更例に係るティース10Bは、図7(A)に示すように、略楕円形状の断面を有しており、図7(B)に示す断面に見られる角部を含まない。
【0076】
通常、コイルの巻着時には、巻線52の撓みや捻れなどを防止するために、所定量の張力を掛けながら、巻線52をティースに巻回する。しかしながら、一般的なステータコアでは、ティースの径方向に垂直な断面が略矩形状であることから、図7(B)の領域RGNで示すように、角部に巻線52の巻き太りが生じてしまう。これは、巻線52の周長を冗長させるとともに、コイルの占積率を低下させる要因となる。
【0077】
そこで、図7(A)のように、ティース10Bの全面を曲面形状とすれば、巻線52をティース10Bに効率良く巻回することができ、コイルの占積率を高めることができる。さらに、コイルが緻密化されることによってコイルエンド部が小型化されるため、回転電機の体格低減に有効である。また、ティース10Bを覆う絶縁皮膜においては、巻線52の応力が緩和されることから、その劣化を防止でき、高い信頼性を実現しうる。
【0078】
なお、図7(A)では、ティース10Bの全面を曲面形状としたが、通常のティースの矩形状断面において、角部のみに曲面形状を設けることによっても、同様の効果を得ることができる。
【0079】
以上のように、図1のステータコア100において、さらにティース10の径方向に垂直な断面に曲面形状を設けることにより、コイルの占積率を一層向上させることができるとともに、高い信頼性を実現することができる。
【0080】
最後に、この発明によるステータコア100の成形工程について説明する。上述したステータコア100,100A,100Bはいずれも、その成形性を生かし、圧粉磁心により構成される。圧粉磁心の成形工程においては、一般に、粒子ごとに酸化膜が被膜された磁性粉末を成形用金型に充填し、これを加圧成形することによって所望の形状に一体的に成形する方法が採用される。この成形方法をこの発明によるステータコア100に適用すると、図8のようになる。
【0081】
図8は、一般的な成形方法を適用したときのステータコア100の成形工程を示す図である。図8を参照して、磁性粉末は、各粒子に酸化膜が被膜された後に、成形用金型となるダイ200に充填される。そして、充填された磁性粉末は、ダイ200の上方に配されたパンチ201,203および下方に配されたパンチ202,204により垂直方向に加圧される。なお、図8における加圧方向は、成形後のステータコア100の軸方向に対応する。このようにして、ステータコア100は一体的に成形される。
【0082】
ここで、図8の圧粉磁心の成形工程において、ダイ200の上方に配されたパンチ201,203は、加圧によってヨーク部20を成形するパンチ203と、加圧によってティース10を成形するパンチ201との2つのパンチで構成される。ダイ200の下方においても同様に、ヨーク部20を成形するパンチ204とティース10を成形するパンチ202とで構成される。すなわち、ヨーク部20とティース10とは、互いに異なる加圧手段によって加圧成形される。
【0083】
このようにダイ200の上方および下方のパンチ201〜204をそれぞれ分割した構成としたのは、この発明によるステータコア100において、ティース10が径方向に沿って異形断面を有することに起因する。
【0084】
詳細には、上方および下方のパンチ201〜204をそれぞれ単体のパンチで構成した場合、ティース10とヨーク部20とを構成する磁性粉末は、当該単体のパンチに設定された一定のストローク(移動量)で一律に加圧される。このとき、ティース10の軸方向長さがステータ外周側に向かって次第に短くなることから、加圧過程においてティース10を構成する磁性粉末にかかる圧力は、径方向において不均一となり、ステータ内周側にかかる圧力がステータ外周側にかかる圧力よりも高くなる。そのため、ティース10を構成するはずの磁性粉末は、圧力がより低いティース10のステータ外周側からヨーク部20へと流れ込む。したがって、加圧成形後のステータコア100において、磁性粉末の密度には、ティース10のステータ内周側が相対的に低く、かつティース10のステータ外周側およびヨーク部20が相対的に高いといった偏りが生じてしまう。
【0085】
そして、このような磁性粉末の密度の偏りは、ステータコア100全体の強度を低下させることとなる。特に、ヨーク部20とティース10との接合部分であるステータコア100の括れ部分において亀裂が生じるおそれがある。また、ティース10にコイルを巻回して形成したステータを搭載した回転電機においては、ステータコア100の内部で生じる磁束が不均一となり、所望のモータ性能を得ることができないという問題も起こり得る。
【0086】
そこで、このような磁性粉末の密度の偏りを解消する手段として、図8に示すように、単体のパンチを、ティース10を成形するパンチ201,202とヨーク部20とを成形するパンチ203,204とに分割し、各々のパンチで独立した加圧制御を行なう構成とする。これによれば、成形体の磁性粉末の密度が均一となるように、ダイ200の上方に配されたパンチ201のストロークとパンチ203のストロークとは個別に制御される。同様に、ダイ200の下方に配されたパンチ202のストロークとパンチ204のストロークとには個別に制御される。すなわち、合計4つのパンチ201〜204のストロークを別個に制御することによって、磁性粉末の密度が均一な成形体を形成することができる。
【0087】
ところが、このような加圧制御を実際の成形工程に適用するにあたっては、合計4つのパンチ201〜204のストロークを別個に制御することから、加圧制御における自由度は4となり、制御が複雑化するという問題が新たに生じる。結果として、製造コストが増大し、生産性を低下させてしまう。したがって、生産性の向上のためには、加圧制御の自由度はできる限り少ないことが望まれる。
【0088】
また、上記の加圧制御により成形されたステータコア100を搭載した回転電機においては、用途に応じた所望の出力トルクを得るための設計変更に際して、多大なコストが発生するという問題も起きる。詳細には、回転電機において高出力化を図る手段としては、通常、ステータコアに巻回するコイルの巻数を増やすこと、あるいはティースの径方向に垂直な断面積を増加することによって、ティース内部に発生する磁束を増加することが行なわれる。ここで、図8に示す一体成形型のステータコア100において、ティース10の径方向に垂直な断面積を増やそうとすれば、別途、より大型の成形用金型が必要となる。すなわち、一体成形型のステータコア100を適用した回転電機においては、出力トルクのバリエーションを満たすだけの多種類の成形用金型が必要となる。これは、設計変更に必要なコストを増大させる。
【0089】
そこで、この発明では、ステータコア100の生産性を高める手段として、以下に示すように、複数個の圧粉磁心の成形体で一体のステータコア100を形成する構成とする。なお、以下に示すステータコア100については、図8の一体成形型のステータコア100と対比させて、分割型のステータコア100とも称する。
【0090】
図9は、この発明による回転電機における1極分のステータコア100の斜視図である。また、図10は、図9のステータコア100の軸方向の断面図である。
【0091】
図9を参照して、ステータコア100は、軸方向(z方向)に沿って結合された3個の成形体D1〜D3からなる。成形体D1〜D3において、軸方向の両端にそれぞれ位置する成形体D1と成形体D3とは、同一の形状を有し、軸方向に垂直方向の一方端面(軸方向端面と反対側の端面に相当)を水平面とする。また、成形体D1と成形体D3とに挟まれた成形体D2は、図10に斜線領域で示すように、軸方向に垂直方向の一方端面(直線LN1を含む端面)と他方端面(直線LN2を含む端面)とが互いに平行となっている。すなわち、ステータコア100は、2種類の形状の成形体D1(=D3),D2が軸方向に結合されて構成される。
【0092】
次に、各々の成形体D1〜D3の成形工程について説明する。図11は、成形体D1(=D3)の成形工程を説明するための図である。
【0093】
図11を参照して、成形体D1は、ダイ200に充填された磁性粉末を、ダイ200の上方に配されたパンチ206および下方に配されたパンチ202,204により垂直方向に加圧して成形される。このとき、図11から明らかなように、成形体D1の水平面となる一方端面は、単体のパンチ206により加圧される。また、成形体D1の他方端面は、ティース10を成形するパンチ202とヨーク部20を成形するパンチ204とによって加圧される。そして、パンチ202とパンチ204とは、上述したように、成形体D1の磁性粉末の密度が均一となるように、別個にストロークが制御される。すなわち、成形体D1の成形工程において、加圧制御における自由度は3となる。これは、図8に示す一体成形型のステータコア100の成形工程における自由度4よりも低いことから、加圧制御が著しく簡易化されることは明らかである。
【0094】
図12は、成形体D2の成形工程を説明するための図である。
【0095】
図12を参照して、成形体D2は、ダイ200に充填された磁性粉末を、ダイ200の上方および下方に配されたパンチ206,208により垂直方向に加圧して成形される。
このとき、成形体D2の軸方向端面はいずれも水平面であることから、単体のパンチで加圧される。すなわち、成形体D2の成形工程における加圧制御の自由度は2と低く、容易に成形することができる。また、上方および下方のパンチ206,208のストロークを調整することによって、容易に軸方向の長さを変更することが可能となる。
【0096】
そして、図11および図12の成形工程によって形成された成形体D1〜D3は、軸方向に結合されて一体化され、ステータコア100を構成する。なお、成形体D1〜D3の結合は、たとえば成形体D1〜D3を一体的に回転電機の収容部材であるハウジングに圧入すること、もしくは成形体D1〜D3からなるステータコア100のティース10にコイルを巻回することなどによって行なわれる。
【0097】
以上のように、この発明によるステータコア100は、分割型のステータコアを採用したことによって加圧制御の自由度が低減されることから、製造コストの増大を抑え、生産性を向上することが可能となる。
【0098】
さらに、この発明によるステータコア100は、以下に示すように、回転電機の出力トルクの設計変更に伴なうコストを大幅に低減できるという効果も奏する。
【0099】
たとえば図13に示すように、ティース10の径方向に垂直な断面積が異なる2つのステータコア100C(図13(a)参照)およびステータコア100D(図13(b)参照)を形成するときにおいて、大きさの異なる成形用金型を必要とせず、簡易かつ低コストに形成することができる。
【0100】
詳細には、ステータコア100Cは、出力トルクが相対的に小さい回転電機に搭載されるものであり、ティース10の径方向に垂直な断面積が相対的に小さい。一方、ステータコア100Dは、出力トルクが相対的に大きい回転電機に搭載されるものであり、ティース10の径方向に垂直な断面積が相対的に大きい。この発明によれば、径方向の断面積が互いに異なるステータコア100Cおよびステータコア100Dは、軸方向の両端に位置する成形体D1,D3をそれぞれ共通とし、成形体D2_b,D2_cの軸方向長さを変更することによって形成される。このときの成形体D2_b,D2_cの軸方向長さの変更は、上述した図12の成形工程において、パンチ206,208のストロークを調整することにより、容易に行なうことができる。もしくは、所定の軸方向長さを有する成形体D2を1単位とし、所望の軸方向長さとなるように、単位数を設定することによっても、容易に行なうことができる。
【0101】
すなわち、この発明によれば、各々が容易に成形され得る複数個の成形体を結合して一体のステータコア100を構成することにより、成形工程における加圧制御の自由度を低減して、生産性を高めることができる。さらに、ステータコア100の設計変更におけるコストの増加を招くことなく、多彩な出力性能を有する回転電機を実現することができる。
【0102】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0103】
この発明は、回転電機および回転電機を動力源として搭載する自動車に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】この発明の実施の形態に従う回転電機のステータにおける1極分のステータコアの斜視図である。
【図2】図1のステータコアの周方向の断面図である。
【図3】図1のステータコアの軸方向の断面図である。
【図4】図1に示すステータコアにおけるティースの径方向に垂直な断面を説明するための図である。
【図5】ステータコアの内部における磁束の流れを示す説明図である。
【図6】図1に示すステータコアの他の構成例を示す斜視図である。
【図7】図6におけるステータコアの変更例を説明するためのティースの径方向に垂直な断面図(図7(A))および一般的なステータコアにおけるティースの径方向に垂直な断面図(図7(B))である。
【図8】一般的な成形方法を適用したときのステータコアの成形工程を示す図である。
【図9】この発明による回転電機における1極分のステータコアの斜視図である。
【図10】図9のステータコアの軸方向の断面図である。
【図11】成形体D1(=D3)の成形工程を説明するための図である。
【図12】成形体D2の成形工程を説明するための図である。
【図13】出力トルクの異なる回転電機における1極分のステータコアの斜視図である。
【図14】特許文献1に開示される回転電機におけるステータの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
10,10A,10B ティース、20,54 ヨーク部、30 スロット、40 コイルエンド部、51 積層コア、52 巻線、53 ティース部、55 スロット部、56 絶縁キャップ、57 コアエンド部材、57a 巻線受容面、100,100A〜100D ステータコア、200 ダイ、201〜204,206,208 パンチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
前記ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備え、
前記ステータは、
環状に延在するヨーク部と前記ヨーク部の内周側に環状に配列された複数のティースを有するティース部とからなるステータコアと、
各前記複数のティースにそれぞれ巻回されるコイルとを含み、
前記ヨーク部は、各前記複数のティースの軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を有し、
各前記複数のティースは、前記軸方向の長さが径方向外方に向けて漸減し、かつ周方向の長さが前記径方向外方に向けて漸増する、回転電機。
【請求項2】
ステータと、
前記ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備え、
前記ステータは、
環状に延在するヨーク部と前記ヨーク部の内周側に環状に配列された複数のティースを有するティース部とからなるステータコアと、
各前記複数のティースにそれぞれ巻回されるコイルとを含み、
前記ヨーク部は、各前記複数のティースの軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を有し、
各前記複数のティースは、前記ステータコアの内周側端部において、軸方向の長さが周方向の長さよりも長く、前記ステータコアの外周側端部において、前記周方向の長さが前記軸方向の長さよりも長い、回転電機。
【請求項3】
前記突出部の軸方向の長さは、前記コイルのコイルエンド部の最外周側の軸方向の長さに略等しい、請求項1または請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記ステータは、前記径方向に垂直な断面のいずれにおいて、前記ヨーク部の軸方向端面と前記ティースの軸方向端面との間隔が、前記コイルエンド部の軸方向の長さに略等しい、請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
各前記複数のティースは、前記径方向に垂直な断面が、前記径方向外方に向けて略等面積である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記ヨーク部の前記周方向に垂直な断面は、前記ティースの前記径方向に垂直な断面の略半分以上の面積からなる、請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記ヨーク部と各前記複数のティースとの接合部の断面積は、前記ティースの前記径方向に垂直な断面の面積に対して同等以上である、請求項6に記載の回転電機。
【請求項8】
各前記複数のティースは、前記径方向に垂直な断面の角部が曲面形状である、請求項7に記載の回転電機。
【請求項9】
各前記複数のティースは、前記軸方向端面が曲面形状である、請求項7に記載の回転電機。
【請求項10】
前記ステータコアは、圧粉磁心の成形体からなる、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項11】
前記ステータコアは、前記軸方向に分割された少なくとも2以上の圧粉磁心の成形体からなる、請求項10に記載の回転電機。
【請求項12】
前記少なくとも2以上の圧粉磁心の成形体は、前記軸方向の一方端に位置する第1成形体と前記軸方向の他方端に位置する第2成形体とを含み、
前記第1成形体および前記第2成形体の少なくとも一方は、前記ステータコアの前記軸方向の長さが互いに異なる複数の前記回転電機の間で同一の形状を有する、請求項11に記載の回転電機。
【請求項13】
車輪と、
各々が前記車輪を駆動する、複数の請求項12の回転電機とを備える、自動車。
【請求項14】
車輪と、
各々が前記車輪を駆動する、請求項1から請求項12のいずれか1項の回転電機とを備える、自動車。
【請求項1】
ステータと、
前記ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備え、
前記ステータは、
環状に延在するヨーク部と前記ヨーク部の内周側に環状に配列された複数のティースを有するティース部とからなるステータコアと、
各前記複数のティースにそれぞれ巻回されるコイルとを含み、
前記ヨーク部は、各前記複数のティースの軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を有し、
各前記複数のティースは、前記軸方向の長さが径方向外方に向けて漸減し、かつ周方向の長さが前記径方向外方に向けて漸増する、回転電機。
【請求項2】
ステータと、
前記ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備え、
前記ステータは、
環状に延在するヨーク部と前記ヨーク部の内周側に環状に配列された複数のティースを有するティース部とからなるステータコアと、
各前記複数のティースにそれぞれ巻回されるコイルとを含み、
前記ヨーク部は、各前記複数のティースの軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を有し、
各前記複数のティースは、前記ステータコアの内周側端部において、軸方向の長さが周方向の長さよりも長く、前記ステータコアの外周側端部において、前記周方向の長さが前記軸方向の長さよりも長い、回転電機。
【請求項3】
前記突出部の軸方向の長さは、前記コイルのコイルエンド部の最外周側の軸方向の長さに略等しい、請求項1または請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記ステータは、前記径方向に垂直な断面のいずれにおいて、前記ヨーク部の軸方向端面と前記ティースの軸方向端面との間隔が、前記コイルエンド部の軸方向の長さに略等しい、請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
各前記複数のティースは、前記径方向に垂直な断面が、前記径方向外方に向けて略等面積である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記ヨーク部の前記周方向に垂直な断面は、前記ティースの前記径方向に垂直な断面の略半分以上の面積からなる、請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記ヨーク部と各前記複数のティースとの接合部の断面積は、前記ティースの前記径方向に垂直な断面の面積に対して同等以上である、請求項6に記載の回転電機。
【請求項8】
各前記複数のティースは、前記径方向に垂直な断面の角部が曲面形状である、請求項7に記載の回転電機。
【請求項9】
各前記複数のティースは、前記軸方向端面が曲面形状である、請求項7に記載の回転電機。
【請求項10】
前記ステータコアは、圧粉磁心の成形体からなる、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項11】
前記ステータコアは、前記軸方向に分割された少なくとも2以上の圧粉磁心の成形体からなる、請求項10に記載の回転電機。
【請求項12】
前記少なくとも2以上の圧粉磁心の成形体は、前記軸方向の一方端に位置する第1成形体と前記軸方向の他方端に位置する第2成形体とを含み、
前記第1成形体および前記第2成形体の少なくとも一方は、前記ステータコアの前記軸方向の長さが互いに異なる複数の前記回転電機の間で同一の形状を有する、請求項11に記載の回転電機。
【請求項13】
車輪と、
各々が前記車輪を駆動する、複数の請求項12の回転電機とを備える、自動車。
【請求項14】
車輪と、
各々が前記車輪を駆動する、請求項1から請求項12のいずれか1項の回転電機とを備える、自動車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−158176(P2006−158176A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126715(P2005−126715)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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