説明

回転駆動装置

【課題】チャンバ内に配置された動力源から有効に放熱をすることが可能な回転駆動装置を提供すること
【解決手段】本発明の回転駆動装置は、隔壁と、駆動ユニットと、支持体とを具備する。隔壁は、搬送機構が収容されるチャンバに固定され、チャンバに導通する真空室を画成する。駆動ユニットは、真空室に収容され、搬送機構を駆動する。支持体は、上記真空室の外部に臨む放熱面を有し、上記隔壁に固定され上記駆動ユニットを支持する。
この構成により、真空室に収容された駆動ユニットにおいて発生する熱は、支持体に伝導し、放熱面から大気中に放熱される。このため、駆動ユニットにおいて発生する熱を有効に放熱させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバ内に配置される搬送装置を駆動するため回転駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空チャンバ等のチャンバ内において基板等の搬送対象物を搬送するための搬送ロボットは広く利用されている。このような搬送ロボットは多くが、チャンバ内に配置された搬送アームをモータ等の動力源によって駆動する構成となっている。ここで、動力源はチャンバの室外に配置され、シールを介してチャンバ内に導入された駆動軸によって搬送アームに接続される構成が一般的である。真空は熱伝導性が大気に比べて低いため、動力源をチャンバ内に配置すると放熱が困難となるからである。
【0003】
例えば特許文献1に記載の「搬送ロボット」は、搬送アームを伸縮、旋回駆動させるための複数のモータを有しているが、これらのモータは真空室と隔てられた空間に設けられている。モータから伸びる駆動軸は、真空室を画成する隔壁を貫通して搬送アームに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−223204号公報(段落[0049]、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のように、動力源を真空室の室外に配置する場合には駆動軸が真空隔壁を貫通する必要がある。このため、駆動軸シールでのリークやトルク損失、シールや駆動軸の寿命等の問題がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、チャンバ内に配置された動力源から有効に放熱をすることが可能な回転駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る回転駆動装置は、隔壁と、駆動ユニットと、支持体とを具備する。
上記隔壁は、搬送機構が収容されるチャンバに固定され、上記チャンバに導通する真空室を画成する。
上記駆動ユニットは、上記真空室に収容され、上記搬送機構を駆動する。
上記支持体は、上記真空室の外部に臨む放熱面を有し、上記隔壁に固定され上記駆動ユニットを支持する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の各実施形態に係る搬送システムを示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る回転駆動装置の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る回転駆動装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る回転駆動装置は、隔壁と、駆動ユニットと、支持体とを具備する。
上記隔壁は、搬送機構が収容されるチャンバに固定され、上記チャンバに導通する真空室を画成する。
上記駆動ユニットは、上記真空室に収容され、上記搬送機構を駆動する。
上記支持体は、上記真空室の外部に臨む放熱面を有し、上記隔壁に固定され上記駆動ユニットを支持する。
【0010】
この構成によれば真空室に収容された駆動ユニットにおいて発生する熱は、支持体に
伝導し、放熱面から大気中に放熱される。このため、駆動ユニットにおいて発生する熱を有効に放熱させることが可能である。駆動ユニットを真空室外に配置する必要がないため、回転動力を真空室内に導入するための軸シール等が不要となる。
【0011】
上記隔壁は、上記チャンバに対向する第1の端部と反対側の第2の端部とを有する筒体であり、上記支持体は、上記第2の端部に固定された板状の本体部を含んでもよい。
【0012】
この構成によれば、駆動ユニットにおいて発生する熱は、本体部を介して上記放熱面から放熱するものとすることが可能である。
【0013】
上記駆動ユニットは、搬送機構に回転動力を伝達する駆動軸と、上記駆動軸を回転させる駆動源とを有し、上記本体部は、上記真空室に臨む第1の面と、上記駆動源が配置され上記第1の面とは反対側の第2の面とを有し、上記回転駆動装置は、上記第2の面に固定され、上記駆動源を収容する収容空間を形成する容器をさらに具備してもよい。
【0014】
この構成によれば、駆動ユニットにおいて発生する熱は、本体部の第1の面を介して本体部に伝導し、放熱面から放熱するものとすることが可能である。
【0015】
上記隔壁は、第1の駆動軸を回転可能に支持する第1のハウジングと第2の駆動軸を回転可能に支持する第2のハウジングとがシールを介して積層された第1の隔壁部と、第1の駆動軸を回転駆動する第1の駆動源と第2の駆動軸を回転駆動する第2の駆動源とを収容する第2の隔壁部とを有してもよい。
【0016】
この構成によれば、駆動ユニットにおいて発生する熱は本体部に伝導し、放熱面から放熱するものとすることが可能である。
【0017】
上記支持体は、上記真空室に収容される第1の部分と、上記真空室の外部に臨む第2の部分とを有し、上記放熱面は上記第2の部分に形成されてもよい。
【0018】
この構成によれば、駆動ユニットにおいて発生する熱は、支持体の第1の部分から第2の部分に伝導し、放熱面から放熱するものとすることが可能である。
【0019】
上記隔壁は、第1の駆動軸を回転可能に支持する第1のハウジングと、上記第1のハウジングに積層された第2の駆動軸を回転可能に支持する第2のハウジングと、上記第1の駆動軸を回転駆動する第1の駆動源と、上記第2の駆動軸を回転駆動する第2の駆動源とを収容する容器であり、上記放熱面は、大気に面する第1の面と、上記容器に面する第2の面とを有してもよい。
【0020】
この構成によれば、駆動ユニットにおいて発生する熱は、支持体から、第1のハウジング及び第2のハウジングを介して放熱面に伝達し、第1の面から大気中に、第2の面から容器を介して大気中に放熱するものとすることが可能である。
【0021】
上記第2の部分は、上記チャンバに当接するフランジであってもよい。
【0022】
この構成によれば、フランジを介して第1の駆動源及び第2の駆動源を放熱することが可能となる。
【0023】
上記回転駆動装置は、上記真空室の外に配置され、上記放熱面を冷却する冷却機構
をさらに具備していてもよい。
【0024】
この構成によれば、放熱面を能動的に冷却することによって、放熱面からの放熱量を向上させることが可能である。
【0025】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
【0026】
[搬送システムの構成]
本実施形態に係る基板搬送システムの構成について説明する。
図1は搬送システム1の構成を示す模式図である。
【0027】
図1に示すように、搬送システム1は、回転駆動装置2、アーム3、ハンド4及び真空チャンバ5を有する。真空チャンバ5内に、先端にハンド4が接続されたアーム3が配置され、アーム3は真空チャンバ5外に配置された回転駆動装置2によって支持されている。また、ハンド4には、搬送対象物の例として基板Wが載置されている。
【0028】
このような搬送システム1は、例えば真空チャンバ5内においてアーム3の伸縮により基板Wを搬送するためのシステムである。なお、アーム3及びハンド4の構成は適宜変更可能である。
【0029】
[回転駆動装置の構成]
図2は、回転駆動装置2の構造を示す断面図である。
図2に示すように、回転駆動装置2は、チャンバ接続部10、固定板11、第1モータ31、第2モータ41、第1ハウジング32、第2ハウジング42、第1駆動軸33、第2駆動軸43、第1駆動ギヤ34、第2駆動ギヤ44、第1従動ギヤ35、第2従動ギヤ45、第1従動軸36、第2従動軸46、複数の軸受け12、複数のOリング13及び容器14を有する。チャンバ接続部10には、回転駆動装置2を真空チャンバ5に接続するためのフランジ部10aが形成されている。
【0030】
第1モータ31、第1ハウジング32、第1駆動軸33、第1駆動ギヤ34、第1従動ギヤ35及び第1従動軸36は第1駆動ユニットを構成する。第1ハウジング32は、Oリング13を介して第2ハウジング42に気密に接続されている。第1ハウジング32は、軸受け12を介して第1駆動軸33及び第1従動軸36を回転可能に支持する。第1モータ31は、第1駆動軸33に接続され、第1駆動軸33を回転させるための回転動力を生成する。第1モータ31は、真空環境下で動作することが可能なモータとすることができる。
【0031】
第1駆動軸33は、第1モータ31によって発生する回転動力を第1駆動ギヤ34及び第1従動ギヤ35を介して第1従動軸36に伝達する。第1駆動ギヤ34は、第1駆動軸33の回転によって回転し、噛合する第1従動ギヤ35を回転させる。第1従動ギヤ35は、噛合する第1駆動ギヤ34の回転によって回転し、接続されている第1従動軸36を回転させる。第1従動ギヤ35は、第1ハウジング32に、軸受け12を介して支持されている。
【0032】
第1従動軸36は、第1従動ギヤ35の回転によって回転し、上述したアーム3を回転駆動する。第1従動軸36は、第1従動ギヤ35に、回転軸が第1従動ギヤ35と同軸となるように接続されている。
【0033】
第2モータ41、第2ハウジング42、第2駆動軸43、第2駆動ギヤ44、第2従動ギヤ45及び第2従動軸46は第2駆動ユニットを構成する。第2ハウジング42は、Oリング13を介してチャンバ接続部10に気密に接続されている。第2ハウジング42は、軸受け12を介して第2駆動軸43及び第2従動軸46を回転可能に支持する。第2モータ41は、第2従動軸46を回転させるための回転動力を生成する。第2モータ41は、真空環境下で動作することが可能なモータとすることができる。
【0034】
第2駆動軸43は、第2モータ41によって発生する回転動力を第2駆動ギヤ44及び第2従動ギヤ45を介して第2従動軸46に伝達する。第2駆動ギヤ44は、第2駆動軸43の回転によって回転し、噛合する第2従動ギヤ45を回転させる。第2従動ギヤ45は、噛合する第2駆動ギヤ44の回転によって回転し、接続されている第2従動軸46を回転させる。第2従動ギヤ45は、第2ハウジング42に、軸受け12を介して支持されている。
【0035】
第2従動軸46は、第2従動ギヤ45の回転によって回転し、上述したアーム3を回転駆動する。第2従動軸46は、第2従動ギヤ45に、回転軸が第2従動ギヤ45と同軸となるように接続されている。
【0036】
図2に示すように、第1駆動ユニットの第1モータ31と第2駆動ユニットの第2モータ41は、固定板11に固定されている。固定板11は、熱伝導性材料、例えばアルミニウムあるいは無酸素銅からなり、十分な厚さを有する。固定板11は、Oリング13を介して第1ハウジング32に気密に接続されている。
【0037】
固定板11には、第1モータ31及び第2モータ41を覆う容器14が、Oリング13を介して気密に接続されている。容器14と固定板11により、第1モータ31及び第2モータ41が収容される収容空間が形成される。固定板11には、この収容空間の真空排気を可能とするための貫通孔11aが形成されている。
【0038】
チャンバ接続部10、第2ハウジング42、第1ハウジング32及び容器14により、回転駆動装置2内に真空室が形成される。真空室は、回転駆動装置2が真空チャンバ5に固定されると、真空チャンバ5内と連通し、かつ外部と遮断される室であり、真空チャンバ5内と一体の空間を形成する。即ち、真空チャンバ5が真空排気されると、真空室も真空排気される。ここで、固定板11は、上記のように真空室内において第1モータ31及び第2モータ41を支持すると共に、その外周面の一部が真空室外に露出している。以下、この真空室外に露出する固定板11の表面を「放熱面」とし、図2に放熱面11bとして示す。
【0039】
[回転駆動装置の動作]
回転駆動装置2の動作について説明する。
図示しない真空排気手段によって真空チャンバ5が真空排気されると、真空チャンバ5に連通する回転駆動装置2の真空室も真空排気される。即ち、第1モータ31及び第2モータ41は真空雰囲気に置かれる。
【0040】
この状態で、第1モータ31及び第2モータ41に駆動電力が印加されると、第1モータ31が第1駆動軸33を回転駆動し、第2モータ41が第2駆動軸43を回転駆動する。第1駆動軸33が回転駆動されると、第1駆動軸33に設けられている第1駆動ギヤ34が、噛合する第1従動ギヤ35を介して第1従動軸36を回転させる。また、第2駆動軸43が回転駆動されると、第2駆動軸43に設けられている第2駆動ギヤ44が、噛合する第2従動ギヤ45を介して第2従動軸46を回転させる。このようにして、第1従動軸36及び第2従動軸46に軸支されているアーム3が駆動され、ハンド4に載置された基板Wが搬送される。
【0041】
駆動電力の印加により第1モータ31及び第2モータ41において発生する熱は、固定板11に伝導し、固定板11の放熱面11bから放熱される。放熱面11bは真空室外、即ち大気に面しているため、熱が有効に放熱される。また、固定板11に接合された第1ハウジング32及び容器14の表面からも、熱が大気中に放熱される。このように、第1モータ31及び第2モータ41は真空中に配置されているが、熱伝導により放熱することが可能である。したがって、モータの回転動力を伝達するための駆動軸を真空隔壁に貫通させる必要がなく、この駆動軸シールでのリークやトルク損失、シールや駆動軸の寿命等の問題を解消することが可能である。
【0042】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態において第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。本実施形態では、第1の実施形態と回転駆動装置の構成が異なる。
【0043】
[回転駆動装置の構成]
図3は、本実施形態に係る回転駆動装置102の構造を示す断面図である。
図3に示すように、回転駆動装置102は、チャンバ接続部110、固定板111、第1モータ131、第2モータ141、第1ハウジング132、第2ハウジング142、第1駆動軸133、第2駆動軸143、第1駆動ギヤ134、第2駆動ギヤ144、第1従動ギヤ135、第2従動ギヤ145、第1従動軸136、第2従動軸146、複数の軸受け112及び容器113を有する。チャンバ接続部110には、回転駆動装置102を真空チャンバ5に接続するためのフランジ部110aが形成されている。
【0044】
第1モータ131、第1ハウジング132、第1駆動軸133、第1駆動ギヤ134、第1従動ギヤ135及び第1従動軸136は第1駆動ユニットを構成する。第1ハウジング132は、第2ハウジング142に接続されている。第1ハウジング132は、軸受け112を介して第1駆動軸133及び第1従動軸136を回転可能に支持する。第1ハウジング132は熱電導性の高い材料によって構成されている。第1モータ131は、第1駆動軸133に接続され、第1駆動軸133を回転させるための回転動力を生成する。第1モータ131は、真空環境下で動作することが可能なモータとすることができる。
【0045】
第1駆動軸133は、第1モータ131によって発生する回転動力を第1駆動ギヤ134及び第1従動ギヤ135を介して第1従動軸136に伝達する。第1駆動ギヤ134は、第1駆動軸133の回転によって回転し、噛合する第1従動ギヤ135を回転させる。第1従動ギヤ135は、噛合する第1駆動ギヤ134の回転によって回転し、接続されている第1従動軸136を回転させる。第1従動ギヤ135は、第1ハウジング132に、軸受け112を介して支持されている。
【0046】
第1従動軸136は、第1従動ギヤ135の回転によって回転し、上述したアーム3を回転駆動する。第1従動軸136は、第1従動ギヤ135に、回転軸が第1従動ギヤ135と同軸となるように接続されている。
【0047】
第2モータ141、第2ハウジング142、第2駆動軸143、第2駆動ギヤ144、第2従動ギヤ145及び第2従動軸146は第2駆動ユニットを構成する。第2ハウジング142は、チャンバ接続部110に接続されている。第2ハウジング142は、軸受け112を介して第2駆動軸143及び第2従動軸146を回転可能に支持する。第2ハウジング142は熱電導性の高い材料によって構成されている。第2モータ141は、第2従動軸146を回転させるための回転動力を生成する。第2モータ141は、真空環境下で動作することが可能なモータとすることができる。
【0048】
第2駆動軸143は、第2モータ141によって発生する回転動力を第2駆動ギヤ144及び第2従動ギヤ145を介して第2従動軸146に伝達する。第2駆動ギヤ144は、第2駆動軸143の回転によって回転し、噛合する第2従動ギヤ145を回転させる。第2従動ギヤ145は、噛合する第2駆動ギヤ144の回転によって回転し、接続されている第2従動軸146を回転させる。第2従動ギヤ145は、第2ハウジング42に、軸受け12を介して支持されている。
【0049】
第2従動軸146は、第2従動ギヤ145の回転によって回転し、上述したアーム3を回転駆動する。第2従動軸146は、第2従動ギヤ145に、回転軸が第2従動ギヤ145と同軸となるように接続されている。
【0050】
図2に示すように、第1駆動ユニットの第1モータ131と第2駆動ユニットの第2モータ141は固定板111に固定されている。固定板111は、熱伝導性材料、例えばアルミニウムあるいは無酸素銅からなり、十分な厚さを有する。固定板111は、第1ハウジング32に接続されている。
【0051】
第1駆動ユニット、第2駆動ユニット、固定板111は容器113に収容されている。第1駆動ユニットの第1モータ131及び第2駆動ユニットの第2モータ141は固定板111に固定された状態で容器113に収容されている。固定板111と容器113の間には、第1モータ131及び第2モータ141が収容されている収容空間を真空排気するために間隙が設けられている。
【0052】
チャンバ接続部110及び容器113により、回転駆動装置102内に真空室が形成される。真空室は、回転駆動装置102が真空チャンバ5に固定されると真空チャンバ5内と連通し、かつ外部と遮断される室であり、真空チャンバ5内と一体の空間を形成する。即ち、真空チャンバ5が真空排気されると、真空室も真空排気される。なお、チャンバ接続部110及び真空容器113は、熱伝導性の高い材料によって構成されている。
【0053】
固定板111は第1ハウジング132に接合され、第1ハウジング132は第2ハウジング142に接合され、さらに第2ハウジング142はチャンバ接続部110に接合されている。チャンバ接続部110は、その外周面の一部が真空室外に臨んでいる。以下、この真空室外に臨むチャンバ接続部110の表面を「放熱面」とし、図3に放熱面110bとして示す。放熱面110bは、大気に面する第1の面110cと真空容器113に接する110dによって構成されている。
【0054】
[回転駆動装置の動作]
回転駆動装置102の動作について説明する。
図示しない真空排気手段によって真空チャンバ5が真空排気されると、真空チャンバ5に連通する回転駆動装置102の真空室も真空排気される。即ち、第1モータ131及び第2モータ141は真空雰囲気に置かれる。
【0055】
この状態で、第1モータ131及び第2モータ141に駆動電力が印加されると、第1モータ131が第1駆動軸133を回転駆動し、第2モータ141が第2駆動軸143を回転駆動する。第1駆動軸133が回転駆動されると、第1駆動軸133に設けられている第1駆動ギヤ134が、噛合する第1従動ギヤ135を介して第1従動軸136を回転させる。また、第2駆動軸143が回転駆動されると、第2駆動軸143に設けられている第2駆動ギヤ144が、噛合する第2従動ギヤ145を介して第2従動軸146を回転させる。このようにして、第1従動軸136及び第2従動軸146に軸支されているアーム3が駆動され、ハンド4に載置された基板Wが搬送される。
【0056】
駆動電力の印加により第1モータ131及び第2モータ141において発生する熱は、固定板111から、第2ハウジング142、第1ハウジング132を介してチャンバ接続部110に伝導する。チャンバ接続部110に伝導した熱は、第1の面110cから大気中に放熱され、第2の面110dから真空容器113を介して大気中に放熱される。このように、第1モータ131及び第2モータ141は真空中に配置されているが、熱伝導により放熱することが可能である。したがって、モータの回転動力を伝達するための駆動軸を真空隔壁に貫通させる必要がなく、この駆動軸シールでのリークやトルク損失、シールや駆動軸の寿命等の問題を解消することが可能である。
【0057】
本発明はこの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更され得る。
【0058】
上述の各実施携帯では、駆動源の放熱は、放射面から大気への熱伝達によってなされるものとしたが、放熱面に放熱ファン、空冷ファンあるいは水冷配管等の冷却機構を設け、放熱面を積極的に冷却するものとすることも可能である。
【符号の説明】
【0059】
2、102…回転駆動装置
5…真空チャンバ
11、111…固定板
14…カバー
31、41、131、141…モータ
32、42、132、142…ハウジング
33、43、133、142…駆動軸
113…真空容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送機構が収容されるチャンバに固定され、前記チャンバに導通する真空室を画成する隔壁と、
前記真空室に収容され、前記搬送機構を駆動する駆動ユニットと、
前記真空室の外部に臨む放熱面を有し、前記隔壁に固定され前記駆動ユニットを支持する支持体と
を具備する回転駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転駆動装置であって、
前記隔壁は、前記チャンバに対向する第1の端部と反対側の第2の端部とを有する筒体であり、
前記支持体は、前記第2の端部に固定された板状の本体部を含む
回転駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の回転駆動装置であって、
前記駆動ユニットは、搬送機構に回転動力を伝達する駆動軸と、前記駆動軸を回転させる駆動源とを有し、
前記本体部は、前記真空室に臨む第1の面と、前記駆動源が配置され前記第1の面とは反対側の第2の面とを有し、
前記回転駆動装置は、前記第2の面に固定され、前記駆動源を収容する収容空間を形成する容器をさらに具備する
回転駆動装置。
【請求項4】
請求項2に記載の回転駆動装置であって、
前記隔壁は、第1の駆動軸を回転可能に支持する第1のハウジングと第2の駆動軸を回転可能に支持する第2のハウジングとがシールを介して積層された第1の隔壁部と、第1の駆動軸を回転駆動する第1の駆動源と第2の駆動軸を回転駆動する第2の駆動源とを収容する第2の隔壁部とを有する
回転駆動装置。
【請求項5】
請求項1に記載の回転駆動装置であって、
前記支持体は、前記真空室に収容される第1の部分と、前記真空室の外部に臨む第2の部分とを有し、
前記放熱面は前記第2の部分に形成される
回転駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の回転駆動装置であって、
前記隔壁は、第1の駆動軸を回転可能に支持する第1のハウジングと、前記第1のハウジングに積層された第2の駆動軸を回転可能に支持する第2のハウジングと、前記第1の駆動軸を回転駆動する第1の駆動源と、前記第2の駆動軸を回転駆動する第2の駆動源とを収容する容器であり、
前記放熱面は、大気に面する第1の面と、前記容器と接する第2の面とを有する
回転駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の回転駆動装置であって、
前記第2の部分は、前記チャンバに当接するフランジである
回転駆動装置。
【請求項8】
請求項1に記載の回転駆動装置であって、
前記真空室の外に配置され、前記放熱面を冷却する冷却機構
をさらに具備する回転駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−195336(P2012−195336A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56270(P2011−56270)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】