固体撮像素子の製造方法
【課題】マイクロレンズアレイの下面から受光部までの厚さを小さくして、クロストーク発生や感度低下を防止した固体撮像素子の製造方法を提供する。
【解決手段】平坦化層上に緑色フィルタ用の感光性材料を塗布し、角部を切り欠いた矩形のパターンを有する緑色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、非孤立的な矩形の緑色フィルタを形成する工程と、赤色フィルタ用の感光性材料を塗布し、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有する赤色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の赤色フィルタを形成する工程と、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有する青色フィルタ用の感光性材料を塗布し、青色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の青色フィルタを形成する工程と、によりカラーフィルタを形成する。
【解決手段】平坦化層上に緑色フィルタ用の感光性材料を塗布し、角部を切り欠いた矩形のパターンを有する緑色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、非孤立的な矩形の緑色フィルタを形成する工程と、赤色フィルタ用の感光性材料を塗布し、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有する赤色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の赤色フィルタを形成する工程と、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有する青色フィルタ用の感光性材料を塗布し、青色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の青色フィルタを形成する工程と、によりカラーフィルタを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子と撮像装置に係り、特にクロストーク発生や感度低下を防止した固体撮像素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、静止画像、動画像を撮像するデジタルカメラ、ビデオカメラが様々な分野で普及してきている。これらのカメラには、CCD、CMOS等の固体撮像素子が用いられている。このような固体撮像素子の構造は、例えば、受光部と金属電極を形成した基板上に絶縁層を介して遮光層、パッシベーション層、下平坦化層、カラーフィルタ、上平坦化層、および、マイクロレンズアレイを備えたものである。そして、半導体技術の進歩とともに、固体撮像素子の画素の微細化が一段と進み、カメラ自体の小型化も進んできている。例えば、固体撮像素子の1画素の平均的寸法は5〜6μmであり、さらに小さい場合には1〜2μmとなっている。従来の固体撮像素子では、マイクロレンズアレイの下面から受光部までの厚さが5μmを超えており、上記のような画素の微細化が進むと、カメラレンズからの斜めの入射光線のクロストーク発生(例えば、カラーフィルタの赤色フィルタに入射した光線が青色フィルタや緑色フィルタに対応した受光部に入り込む)や、感度低下(本来、受光部に入射すべき光線が金属電極等でけられ入射光量が低下する)が問題となってくる。このように、積層構造である固体撮像素子を断面で見たとき、横方向の画素寸法に対して、縦方向(積層方向)の受光部表面からカラーフィルタを経てマイクロレンズ下面に至る厚みの方が大きい場合、斜め入射光に対しての悪影響が種々生じる。
【0003】
一方、固体撮像素子の製造における低コスト化、歩留まり向上、および、固体撮像素子内での光減衰量の低減を目的として、下平坦化層を設けることなく、直接カラーフィルタを形成することが提案されている(特許文献1)。このような構造の固体撮像素子では、カラーフィルタから受光部までの厚さを小さくすることができる。
また、カラーフィルタは、通常、矩形の赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタが配列されたものであり、隣接するフィルタの辺と辺は接しているものの、角部は丸みを帯びているため、空隙部が存在している。このような空隙部には、いずれの色のフィルタも存在しないため、空隙部に入射した光線は適切な色分離が行われず、また、空隙部の界面で屈折して迷光となり、その結果、クロストーク等を引き起こすという問題があった。さらに、上平坦化層が薄い場合、カラーフィルタの空隙部の影響を受けて上平坦化層の表面にも凹凸を生じ、上平坦化層にカラーフィルタを構成する各色のフィルタの配列ピッチと異なる配列ピッチで形成されるマイクロレンズの変形等を引き起こすという問題もあった。このため、カラーフィルタ上に形成する上平坦化層の厚みを大きくする必要があり、これにより、上記のようなクロストークや感度低下を生じ易くなるという問題もあった。
【0004】
このような空隙部の発生を防止するために、ポジ型のカラーレジストの対応するマスクパターン遮光部の寸法調整と、オーバー露光を行うことにより、空隙部を生じないように色フィルタを形成したり、各角部に接する各色フィルタのうち、いずれか1色のフィルタで角部を埋めることが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−217394号公報
【特許文献2】特開2006−269775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に示されるような構造の固体撮像素子では、下平坦化層を設けずに、凹凸のある表面にカラーフィルタを形成するので、形成されたカラーフィルタ表面も凹凸のあるものとなる。このため、マイクロレンズアレイを形成する面の平坦性を考慮すると、カラーフィルタ上に形成する上平坦化層の厚みを大きくする必要がある。したがって、マイクロレンズアレイの下面から受光部までの厚さを小さくすることはできず、上記のようなクロストーク発生や感度低下を低減することはできない。
また、特許文献2に示される方法では、適切なオーバー露光とするための紫外線照射エネルギーの制御が必要であり、また、色フィルタのエッジ部をテーパー形状とするために紫外線照射に照度分布をもたせる必要があり、工程管理が煩雑であるという問題があった。
【0007】
さらに、上述の方法では、ポジ型のカラーレジストの露光に使用するマスクとして、角部に微小な遮光パターンを設けたマスクを使用することにより、いずれか1色のフィルタで角部が埋められる。しかし、市松状に存在する緑色フィルタと、他の2色のフィルタとでは、角部における露光時のコントラストの減少程度が異なる。このため、角部に微小な遮光パターンを設けたマスクを使用するだけでは、空隙部の発生を防止できない場合がある。また、逆に角部に盛り上がりが発生し、カラーフィルタ上に形成される上平坦化層の表面に凹凸を生じ、マイクロレンズの変形等を引き起こすという問題や、これを回避するために上平坦化層の厚みを大きくする必要があるという問題もあった。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、マイクロレンズアレイの下面から受光部までの厚さを小さくして、クロストーク発生や感度低下を防止した固体撮像素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明は、平坦化層と、該平坦化層上に配設されたカラーフィルタと、該カラーフィルタ上に配設された複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、前記平坦化層の下方に前記マイクロレンズに対応した複数の受光部を備えた固体撮像素子の製造方法であって、カラーフィルタの形成は、平坦化層上に緑色フィルタ用の感光性材料を塗布し、緑色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、非孤立的な矩形の緑色フィルタを形成する工程と、赤色フィルタ用の感光性材料を塗布し、赤色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の赤色フィルタを形成する工程と、青色フィルタ用の感光性材料を塗布し、青色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の青色フィルタを形成する工程と、を有し、前記緑色フィルタ用フォトマスクは、角部を切り欠いた矩形のパターンを有するフォトマスクを使用し、前記赤色フィルタ用フォトマスクと前記青色フィルタ用フォトマスクは、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有するフォトマスクを使用するような構成とした。
【0009】
本発明の他の態様として、矩形の辺を延長した交点から角部の切り欠きまでの最大距離を切り欠き寸法とし、また、角部から外側に突出するサブパターンの最大長をサブパターン寸法としたときに、該切り欠き寸法およびサブパターン寸法は、マスク露光条件での露光装置の解像限界以下の寸法とするような構成とした。
【発明の効果】
【0010】
このような本発明の製造方法では、角部を切り欠いた矩形のパターンを有する緑色フィルタ用フォトマスクにおいて、角部に設けられた切り欠きが、近接したパターンの双方からの露光量を適度に抑制するので、角部がシャープに接した非孤立的な緑色フィルタを形成することができ、また、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有する赤色フィルタ用フォトマスクと青色フィルタ用フォトマスクにおいて、サブパターンが、角部における露光時のコントラストの減少を抑制するので、丸みを帯びずシャープな形状の角部をもつ孤立的な赤色フィルタと青色フィルタを形成することができ、これにより、各色のフィルタ間での空隙部や盛り上がりの発生を抑制して平坦性に優れたカラーフィルタを形成することができ、カラーフィルタ上に直接マイクロレンズを設ける場合であっても、塗布されたマイクロレンズ形成材料がレベリングされて変形のない良好なマイクロレンズを形成することができ、したがって、マイクロレンズアレイの下面から受光部までの厚さを小さくすることが可能であり、クロストーク発生や感度低下を防止した固体撮像素子を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の固体撮像素子の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の固体撮像素子を構成するカラーフィルタの一例を示す図である。
【図3】マイクロレンズ形成用のフォトマスクを説明するための図である。
【図4】非孤立的に配列される緑色フィルタ用のフォトマスクの一例を示す部分平面図である。
【図5】図4に示されるフォトマスクの1個のパターンを示す図である。
【図6】非孤立的に配列されるフィルタ用のフォトマスクの他の例を示す図である。
【図7】非孤立的に配列されるフィルタ用のフォトマスクの他の例を示す図である。
【図8】孤立的に配列される赤色フィルタ用のフォトマスクの一例を示す部分平面図である。
【図9】図8に示されるフォトマスクの1個のパターンを示す図である。
【図10】孤立的に配列されるフィルタ用のフォトマスクの他の例を示す図である。
【図11】孤立的に配列されるフィルタ用のフォトマスクの他の例を示す図である。
【図12】孤立的に配列されるフィルタ用のフォトマスクの他の例を示す図である。
【図13】本発明の固体撮像素子の製造方法におけるカラーフィルタの形成を説明するための工程図である。
【図14】本発明の撮像装置の一例を説明するための図である。
【図15】本発明の撮像装置の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[固体撮像素子]
図1は本発明の固体撮像素子の一実施形態を示す概略構成図である。図1において、固体撮像素子1は、一定の配置ピッチで設けられた複数の受光部3と電極4を備える基板2と、基板2上に絶縁層5を介して順次設けられた遮光層6、パッシベーション層7、平坦化層8、カラーフィルタ9、および、マイクロレンズアレイ10を有している。
基板2はシリコン基板であり、受光部3はpn接合が形成された公知のフォトダイオードであってよく、通常、正方格子状に配置される。電極4はフォトダイオードである受光部3で発生した信号電荷を転送するものであり、電極4の上面(マイクロレンズアレイ10側)に遮光膜を備えるものであってもよい。
絶縁層5は、例えば、CVD法で成膜された酸化シリコン等の透明層からなり、受光部3と電極4を被覆するように形成されている。遮光層6は、個々の受光部3に対応して配置された複数の開口部を有するものであり、遮光性の金属層(例えば、Al、Al/Si/Cu合金等)で形成することができる。また、パッシベーション層7は窒化珪素、二酸化珪素等からなり、平坦化層8は樹脂材料で形成することができる。
【0013】
カラーフィルタ9は、図2に示されるように、矩形の赤色フィルタ9R、緑色フィルタ9G、青色フィルタ9Bが配列されたものであり、これらの各色のフィルタは各受光部3に対応している。カラーフィルタ9を構成する緑色フィルタ9Gは、角部が接し市松状に配列された非孤立的フィルタである。また、赤色フィルタ9Rと青色フィルタ9Bは、緑色フィルタ9Gの非形成部位に配列された孤立的フィルタである。そして、このカラーフィルタ9は、マイクロレンズアレイ10側の表面が、最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差が0.25μm以下である。尚、本発明におけるカラーフィルタ表面の粗さは、原子間力顕微鏡、あるいは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定する。
マイクロレンズアレイ10は、各受光部3、カラーフィルタ9の各色フィルタに対応して形成された複数のマイクロレンズ11からなっている。
【0014】
このような本発明の固体撮像素子1は、カラーフィルタ9とマイクロレンズアレイ10との間に平坦化層が存在しないので、マイクロレンズアレイ10の下面から受光部3までの厚さが小さいもの、例えば、5μm未満の厚みとなる。さらに、カラーフィルタ9の表面は、最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差が0.25μm以下であり平坦性に優れている。したがって、カラーフィルタ9に直接設けられているマイクロレンズ11は、その配列ピッチがカラーフィルタ9を構成する各色のフィルタの配列ピッチと異なる場合であっても、変形のない良好な形状である。これにより、固体撮像素子1は、斜めの入射光線のクロストークが防止され、かつ、良好な感度を具備している。勿論、本発明は、マイクロレンズ11の配列ピッチがカラーフィルタ9を構成する各色のフィルタの配列ピッチと同じである場合を排除するものではない。
【0015】
上述の固体撮像素子の実施形態は例示であり、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、カラーフィルタ9の表面の平坦性を更に向上させるために、カラーフィルタ9とマイクロレンズアレイ10との間に平坦化層が介在するものであってもよい。この場合も、カラーフィルタ9の表面の平坦性が優れるので、平坦化層の厚みは0.1〜0.25μmの範囲とすることができ、マイクロレンズアレイ10の下面から受光部3までの厚さは5μm未満の厚みが維持できる。
【0016】
[固体撮像素子の製造方法]
本発明の固体撮像素子の製造方法の一実施形態について、上記の固体撮像素子1の製造を例として説明する。
まず、基板2に受光部3、電極4を形成する。フォトダイオードからなる受光部3は、例えば、基板2としてn型のシリコン基板を使用し、公知の手法により形成することができる。また、電極4は所望の導電性膜を成膜し、これをパターニングして形成することができる。
次に、受光部3と電極4を被覆するように、CVD法で酸化シリコン等の透明層を形成して絶縁層5とする。この絶縁層5の形成では、成膜後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化を行ってもよい。
【0017】
次に、絶縁層5上に、受光部3の受光領域に開口部を有するように遮光層6を形成する。この遮光層6の形成は、例えば、遮光性の金属層(例えば、Al、Al/Si/Cu合金等)を成膜し、この金属層上にポジ型の感光性レジストを塗布し、露光、現像のフォトリソグラフィー工程によってレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクとして金属層をエッチングして開口部を形成して遮光層を得ることができる。
次いで、遮光層6を被覆するようにパッシベーション層7を形成する。このパッシベーション層7の形成は、例えば、CVD法により窒化珪素膜、二酸化珪素膜等を成膜することにより行うことができる。その後、パッシベーション層7上に樹脂材料をスピンコート法により塗布して平坦化層8を形成する。
次に、平坦化層8上にカラーフィルタ9を形成し、このカラーフィルタ9上に直接マイクロレンズ11を形成してマイクロレンズアレイ10とする。
カラーフィルタ9の形成は、本発明の製造方法の特徴的工程であるので、詳細に後述する。
【0018】
マイクロレンズ11の形成方法としては特に制限はないが、例えば、マイクロレンズ材料としてポジ型フォトレジストを用い、塗布、露光、現像のフォトリソグラフィー工程の後、フォトレジストをポストベークして溶融し凸レンズ状に成形する方法を挙げることができる。このように溶融して凸レンズ状に成形するマイクロレンズ形成方法は、マイクロレンズ間に必ず隙間を必要とする形成方法である。マイクロレンズ間に隙間の無い効率的なマイクロレンズの形成方法として、露光波長では解像しないような微細なドットパターンで、マイクロレンズの三次元形状を階調表現した階調フォトマスクを用いてフォトレジストを露光、現像する方法を用いることができる。図3は、このようなドットパターンの一例を示す図であり、1画素分の領域上に表現された20個×20個のドットを有している。この例では、黒い部分が遮光部であり、白い部分が光透過部である。このようなドットパターンを有する階調フォトマスクを介して露光、現像することにより、微細ドットで階調表現された形状をフォトレジスト層に転写してマイクロレンズ11を形成することができる。
尚、後述するように、カラーフィルタ9の表面の平坦性を更に向上させるために、平坦化層を形成した後にマイクロレンズ11を形成してもよい。
【0019】
次に、カラーフィルタ9の形成方法を説明する。本発明でのカラーフィルタ9の形成は、平坦化層8上に緑色フィルタ用の感光性材料を塗布し、緑色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、非孤立的な矩形の緑色フィルタ9Gを形成する工程と、赤色フィルタ用の感光性材料を塗布し、赤色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の赤色フィルタ9Rを形成する工程と、青色フィルタ用の感光性材料を塗布し、青色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の青色フィルタ9Bを形成する工程と、を有している。そして、緑色フィルタ用フォトマスクとして、角部を切り欠いた矩形のパターンを有するフォトマスクを使用し、赤色フィルタ用フォトマスクと青色フィルタ用フォトマスクとして、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有するフォトマスクを使用する。尚、本発明におけるフォトマスクが有するパターン、サブパターンとは、赤色フィルタ9R、緑色フィルタ9G、青色フィルタ9Bの形成にネガ型感光材料を使用する場合には、光透過部であり、一方、ポジ型感光材料を使用する場合には、遮光部である。以下の説明においても同様である。
【0020】
まず、本発明でカラーフィルタの形成に使用するフォトマスクを説明する。
図4は、非孤立的に配列される緑色フィルタ9G用のフォトマスクを示す部分平面図であり、図5は図4に示されるフォトマスクの1個のパターンを示す図である。図4および図5において、フォトマスク21Gは、矩形のパターン22Gを市松状に備えており、各矩形パターン22Gは、4個の角部22aに切り欠き部23を有している。
【0021】
ここで、角部を接して矩形のパターンが非孤立的に配列された従来のフォトマスクについて説明する。このような角部を接して矩形のパターンが非孤立的に配列されたフォトマスクでは、角部における露光時のコントラストの減少が、矩形のパターンが孤立的に配列されたフォトマスクの場合と異なっている。すなわち、角部を接して矩形のパターンが非孤立的に配列されたフォトマスクでは、角部が双方のパターンから露光されるため、角部における露光時のコントラストの減少は、近接パターンが存在しない矩形パターンの角部における露光時のコントラストの減少よりも少ないものとなる。このため、上記のような角部の切り欠き部23を備えていないフォトマスク(角部を接して矩形のパターンが非孤立的に配列されたフォトマスク)を使用して露光、現像して形成されたフィルタは、ネガ型感光材料を使用した場合には、角部が太く接続されたものとなり、また、ポジ型感光性材料を使用した場合には、角部が離れたものとなり、いずれの場合もシャープな矩形のフィルタを形成することができない。しかし、本発明では、フォトマスク21Gを使用することにより、角部22aに設けられた切り欠き部23が、近接したパターンの双方から露光される角部22aの露光量を適度に抑える作用をなす。これにより、角部がシャープに接した非孤立的な緑色フィルタ9を形成することができる。
【0022】
尚、各パターン22Gが有する切り欠き部23は、矩形の辺を延長した交点Pから角部22aの切り欠きまでのX軸方向およびY軸方向での最大距離Lを切り欠き寸法Lとしたときに、この切り欠き寸法Lをマスク露光条件での露光装置の解像限界以下の寸法とする。切り欠き寸法Lが解像限界を超えるような大きさである場合、切り欠き部23の形状がそのままフィルタの形状に反映されてしまい、シャープな矩形の緑色フィルタが得られない。また、切り欠き寸法Lの下限は、例えば、i線ステッパーによる露光を用いる場合には、40nm程度(被露光体上に投影された際の寸法)とすることができる。
上記の例では、切り欠き部23は角部22aを直線的に切り欠いた形状であるが、これに限定されず、例えば、図6および図7に示すような形状の切り欠き部23であってもよい。
【0023】
図8は、孤立的に配列される赤色フィルタ9R用のフォトマスクを示す部分平面図であり、図9は図8に示されるフォトマスクの1個のパターンを示す図である。図8および図9において、フォトマスク21Rは、矩形のパターン22Rを備えており、各矩形パターン22Rは、4個の角部22aに矩形のサブパターン24を有している。
このように孤立的に配列された矩形パターン22Rの角部22aにサブパターン24を有しているフォトマスク21Rを使用することにより、サブパターン24が角部における露光時のコントラストの減少を抑制するので、丸みを帯びずシャープな形状の角部をもつ孤立的な赤色フィルタ9Rを形成することができる。
【0024】
尚、各パターン22Rが有するサブパターン24は、X軸方向およびY軸方向での角部から外側に突出するサブパターンの最大長をサブパターン寸法L′としたときに、このサブパターン寸法L′をマスク露光条件での露光装置の解像限界以下の寸法とする。また、サブパターン24が矩形のパターン22Rの角部22aから外側へ突出する最大距離を突出距離dとしたときに、この突出距離dもマスク露光条件での露光装置の解像限界以下の寸法とする。サブパターン寸法L′や突出距離dが解像限界を超えるような大きさであると、使用する感光性材料がネガ型の場合、角部22aの露光量が過大となり、形成されたフィルタは、角部が突出した形状となり、シャープな矩形の赤色フィルタが得られない。また、サブパターン寸法L′や突出距離dの下限は、例えば、i線ステッパーによる露光を用いる場合には、40nm程度(被露光体上に投影された際の寸法)とすることができる。
【0025】
サブパターン24は、図10に示されるように、パターン22Rから離間して設けてもよい。この場合、パターン22Rとサブパターン24との離間距離d′は、マスク露光条件での露光装置の解像限界以下となるように設定することが好ましく、離間距離d′が大き過ぎると、サブパターン24による角部22aの露光時のコントラストの減少抑制効果が得られず好ましくない。
上記の例では、サブパターン24は矩形であるが、サブパターン24の形状はこれに限定されるものではない。例えば、図11(A)に示すような三角形であってもよく、この場合も、図11(B)に示すようにサブパターン24はパターン22Rから離間したものであってよい。そして、突出距離d、離間距離d′は上述の範囲内とすることが好ましい。また、図12(A)に示すようにサブパターン24が円形であってもよく、この場合も、図12(B)に示すようにサブパターン24はパターン22Rから離間したものであってよい。そして、突出距離d、離間距離d′は上述の範囲内とすることが好ましい。
尚、孤立的に配列される青色フィルタ9B用のフォトマスク21B(図示せず)は、上記のフォトマスク21Rと同様に構成することができ、ここでの説明は省略する。
【0026】
次に、上述のフォトマスク21G、21R、21Bを用いたカラーフィルタ9の形成の例を、図13を参照しながら説明する。
まず、緑色フィルタ用の感光性材料を平坦化層8上に塗布し、フォトマスク21Gを用いて露光、現像して、非孤立的な緑色フィルタ9Gを形成する(図13(A))。この緑色フィルタ9Gは、角部が接したシャープな矩形であり、しがたって、緑色フィルタ9Gの非形成部位(孤立的に存在)もシャープな矩形となっている。
次に、赤色フィルタ用の感光性材料を緑色フィルタ9Gも被覆するように塗布し、フォトマスク21Rを用いて露光、現像して、孤立的な赤色フィルタ9Rを形成する(図13(B))。この赤色フィルタ9Rは、丸みを帯びずシャープな形状の角部をもつ矩形であり、しがたって、緑色フィルタ9Gの非形成部位(赤色フィルタ9Rの形成部位)が、空隙部の発生が抑制されるように赤色フィルタ9Rで埋められる。
【0027】
次いで、青色フィルタ用の感光性材料を緑色フィルタ9G、赤色フィルタ9Rも被覆するように塗布し、フォトマスク21Bを用いて露光、現像して、孤立的な青色フィルタ9Bを形成する(図13(C))。この青色フィルタ9Bは、丸みを帯びずシャープな形状の角部をもつ矩形であり、しがたって、緑色フィルタ9Gの非形成部位(青色フィルタ9Bの形成部位)が、空隙部の発生が抑制されるように青色フィルタ9Bで埋められる。
これにより、矩形の緑色フィルタ9G、赤色フィルタ9R、青色フィルタ9Bで構成され、各色のフィルタ間、特に角部での空隙部や盛り上がりの発生が抑制され、表面の最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差が0.25μm以下であるカラーフィルタ9が得られる。
尚、赤色フィルタ9Rと青色フィルタ9Bの形成順序は逆であってもよい。
【0028】
上述の本発明の固体撮像素子の製造方法では、平坦化層を介在させることなくカラーフィルタ9上にカラーフィルタ9を構成する各色のフィルタの配列ピッチと異なる配列ピッチで直接マイクロレンズ11を設けても、マイクロレンズ11に変形を生じることがない。例えば、上述の階調フォトマスクを用いてマイクロレンズ11を形成する方法では、画素サイズ2μm、マイクロレンズアレイ10の下面から受光部3までの厚さを4.6μmとなるように設計した場合、マイクロレンズ11の焦点距離を4.6μmに合わせると、マイクロレンズ11の高さは0.53μmとなり、マイクロレンズ材料の塗布膜厚は0.6μm程度に設定される。上記のように形成されたカラーフィルタ9は、最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差が0.25μm以下であり、このような微細な凹凸はマイクロレンズ材料のレベリング機能にて吸収され、マイクロレンズ11に変形を生じることがない。勿論、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差が0.25μmを超えるようなカラーフィルタであっても、マイクロレンズ材料の塗布厚みを大きくすれば、凹凸を吸収して変形のないマイクロレンズを形成することはできる。しかし、マイクロレンズアレイ10の下面から受光部3までの厚さが5μm以上となったり、マイクロレンズの焦点距離の制御が困難となり受光部3に効率的に集光できないという問題が生じる。
【0029】
このように、本発明の製造方法では、マイクロレンズアレイの下面から受光部までの厚さを小さくすることが可能であり、クロストーク発生や感度低下を防止した固体撮像素子を製造することができる。尚、本発明は、カラーフィルタ9上に直接形成するマイクロレンズ11の配列ピッチを、カラーフィルタ9を構成する各色のフィルタの配列ピッチと同じとすることを排除するものではない。
上述の製造方法の実施形態は例示であり、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、カラーフィルタ9の表面の平坦性を更に向上させるために、カラーフィルタ9上に平坦化層を形成した後にマイクロレンズ11を形成してもよい。この場合、カラーフィルタ9の表面が平坦性に優れるので、カラーフィルタ9上に形成する平坦化層の厚みは極めて薄くすることができ、例えば、0.1〜0.25μmの範囲とすることができる。
【0030】
[撮像装置]
図14は、本発明の撮像装置の一実施形態を示す概略断面図である。図14において、本発明の撮像装置31は、本発明の固体撮像素子32を備えた基板33と、固体撮像素子32の外側に配した封止用部材34と、この封止用部材34を介して固体撮像素子32と所望の間隙を設けて対向するように配設された保護材35とを備えている。また、固体撮像素子32は配線36、表裏導通ビア37を介して外部端子38に接続されている。このようなセラミックパッケージ型の撮像装置31は、種々のデジタルカメラ、ビデオカメラ等に使用することができ、カメラの高感度化、小型化、薄型化が可能である。
【0031】
また、図15は、本発明の撮像装置の他の実施形態を示す概略断面図である。図15に示される本発明の撮像装置41は、携帯電話用カメラモジュールの例であり、本発明の固体撮像素子42を備えた基板43と、固体撮像素子42の外側に配した封止用部材44と、固体撮像素子42と所望の間隙を設けて対向するように配設された赤外カットフィルタ45と、赤外カットフィルタ45上に配設された鏡筒46と、この鏡筒46内に装着されたレンズユニット47を備えている。このような撮像装置41は、本発明の固体撮像素子42がシェーディング補正されていて高感度のものであるため、小型化、薄型化が可能である。
本発明の撮像装置は上述の実施形態に限定されるものではなく、固体撮像素子として本発明の固体撮像素子を備えるものであればよく、従来の種々の撮像装置の構成をそのまま採用することができる。
【実施例】
【0032】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
まず、画素受光部ピッチ2.0μm、画素数2592個×1944個のフォトダイオードからなり、受光部からパッシベーション層表面までの厚さが3.5μmであるCMOSセンサーを形成したウェハを用意した。
(平坦化層の形成)
次に、ウェハ表面をスピンスクラパーで洗浄した後、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って平坦化層(厚み0.3μm)を形成した。
【0033】
(カラーフィルタの形成)
ネガ型感光性の緑色材料(G用材料)、赤色材料(R用材料)、青色材料(B用材料)として以下の材料を用意した。
G用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SG−4000L
R用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SR−4000L
B用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SB−4000L
また、カラーフィルタの各色フィルタの配置ピッチを2.0μmとし、緑色フィルタ用のフォトマスクとして、図4および図5に示されるフォトマスクを準備した。このフォトマスクは、1辺が2.0μmの矩形のパターン(光透過部)を有し、各パターンの角部の直角二等辺三角形形状の切り欠き部の切り欠き寸法Lは0.1μmとなるようにした。尚、露光装置は((株)ニコン製 NSR−2505i14E2(1/5縮小型))であり、設定した露光条件での解像限界が0.35μmであった。上記のフォトマスクの寸法は、露光装置にてウェハ上に投影された際の寸法であり、以下のフォトマスクの寸法に関する記載においても同様である。
【0034】
また、赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクとして、図8および図9に示されるフォトマスクを準備した。このフォトマスクは、1辺が2.0μmの矩形のパターン(光透過部)と、矩形のサブパターン(光透過部)を有し、サブパターンの寸法L′は0.2μm、突出距離dは0.23μmとした。
そして、緑色フィルタ、赤色フィルタ、青色フィルタの形成順序で、上記材料をスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、ポストベークを行って、緑色フィルタ、赤色フィルタ、青色フィルタで構成されたカラーフィルタ(厚み0.8μm)を平坦化層上に形成した。尚、現像液として、富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CD−2000の50%希釈液を使用した。
【0035】
上記のように形成したカラーフィルタについて、最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を原子間顕微鏡(SIIナノテクノロジー(株)製 L−trace)を用いて下記条件で測定した結果、0.22μmであり、平坦性が良好であることが確認された。使用した探針はSIIナノテクノロジー(株)製 DF−40であり、走査モードはDFMとした。
【0036】
(測定条件)
スキャナ感度X/Y/Z : 260.00 / 260.00 / 14.32 nm/V
Sensor Z : 971.91 nm/V
カンチレバー定数 : バネ定数 56.000 N/m
ねじれバネ定数 100.0 N/m
共振周波数 327.00 kHz
レバーの長さ 200.0 μm
針の高さ 10.00 μm
走査モード : 1画面測定
測定データ : 形状像 (センサー信号)
走査エリア/周波数 : 19.995 × 19.995 μm / 1.00Hz
走査中心X/Y : 11876 / -14790 nm
回転角度 : -1.0°
Xデータ数/Yデータ数 : 256 / 256
振幅減衰率 : -0.098
バイアス電圧 : 0.000 V
Iゲイン/Pゲイン : 0.2000 / 0.0488
ローパス/ハイパスフィルタ: 1.010 kHz /0.000 Hz
Qカーブゲイン : 1.00
加振電圧 : 1.882 V
共振周波数 : 343.039 kHz
測定周波数 : 342.850 kHz
振動振幅 : 0.447 V
Q値 : 642.105
リニアライズ : 済み(CL補正)
フィルタ/FFT : 0 / 0
マスク : 未
【0037】
尚、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位が走査型電子顕微鏡(SEM)観察にて判断できる場合は、これら2点を結ぶ断面をSEMにて観察・寸法計測することによっても、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定することができる。この場合、上記断面を形成するには集束イオンビーム加工(FIB)を用いることが好ましい。
【0038】
(マイクロレンズの形成)
カラーフィルタ上に、マイクロレンズ材料としてJSR(株)製 MFR401Lをスピン塗布(膜厚0.6μm)し、プリベークの後、図3に示されるような階調フォトマスクを用いて1/5縮小型のi線ステッパーによる露光を行い、現像、後露光、ポストベークを行って、マイクロレンズを形成した。尚、現像液として、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)の1.19%液を使用した。
上記の露光において使用した階調フォトマスクでは、配置ピッチを1.999μmとした。このようにカラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを原子間力顕微鏡を用いて観察した結果、変形は見られず、高さ0.53μm、焦点距離4.6μmの良好なレンズであることが確認された。
【0039】
次に、ボンディングパッド部の窓開けを行った。すなわち、ポジレジスト(住友化学(株)製 i線用ポジレジスト PFI−27)をスピン塗布し、次いで、プリベーク後、ボンディングパッド部およびスクライブ部に対応するパターンを有するフォトマスク用いて露光、現像を行った。これにより、ボンディングパッド部およびスクライブ部に開口を有するレジストパターンが形成され、このレジストパターンをマスクとして酸素アッシングを行って、当該箇所上の平坦化層をエッチング除去した。次いで、レジスト剥離液を用いてポジレジストを除去した。
次いで、ウェハのダイシングを行い、パッケージ組立を行って、本発明の固体撮像素子を作製した。この固体撮像素子におけるマイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは4.6μmであった。
【0040】
[実施例2]
緑色フィルタ用のフォトマスクとして、図7に示されるパターンを有するフォトマスクを使用し、また、赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクとして、図12(A)に示されるパターンおよびサブパターンを有するフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。尚、緑色フィルタ用のフォトマスクにおける切り欠き部の切り欠き寸法Lは0.15μmとし、また、赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクにおけるサブパターンの寸法L′は0.25μm、突出距離dは0.2μmとした。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.23μmであり、平坦性が良好であることが確認された。さらに、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。
また、この固体撮像素子におけるマイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは、実施例1と同様に、4.6μmであった。
【0041】
[実施例3]
ポジ型感光性の緑色材料(G用材料)、赤色材料(R用材料)、青色材料(B用材料)を使用し、また、フォトマスクのパターン、サブパターンを遮光部とした他は、実施例1と同様に、緑色フィルタ用のフォトマスク、および、赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクを準備し、これらのフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.23μmであり、平坦性が良好であることが確認された。さらに、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。
また、この固体撮像素子におけるマイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは、実施例1と同様に、4.6μmであった。
【0042】
[実施例4]
赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクとして、図10に示されるパターンおよびサブパターンを有するフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。尚、赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクにおけるサブパターンの寸法L′は0.2μmとし、離間距離d′は0.05μmとした。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.25μmであり、平坦性が良好であることが確認された。さらに、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。
また、この固体撮像素子におけるマイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは、実施例1と同様に、4.6μmであった。
【0043】
[比較例1]
緑色フィルタ用のフォトマスクとして、切り欠き部をもたず、角部を接して矩形のパターンが非孤立的に配列されたフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて、実施例1と同様に観察した結果、各緑色フィルタの角部が太く接続されており、この部位に赤色フィルタ、青色フィルタの角部が重なって、角部に盛り上がり部(高さ約0.2μm)が存在しており、また、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.45μmであり、平坦性が悪いことが確認された。そして、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを確認した結果、赤色フィルタ、青色フィルタの角部の盛り上がりの影響を受けた変形が見られた。
【0044】
[比較例2]
比較例1と同様にして、カラーフィルタの形成までを行った。
次に、このカラーフィルタを被覆するように、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って平坦化層(0.5μm)を形成した。この平坦化層の厚みは、形成した平坦化層の最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部に相当する箇所の最も凹となっている部位との高低差を実施例1と同様に測定し、実施例1のカラーフィルタの表面粗さ(高低差)と同様(0.22μm)となるのに必要な厚みとして設定した。
次いで、平坦化層上に、実施例1と同様に、マイクロレンズを形成して、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子において、マイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。しかし、マイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは5.1μmであり、実施例1に比べ厚いものであった。
【0045】
[比較例3]
緑色フィルタ用のフォトマスクとして、直角二等辺三角形形状の切り欠き部の切り欠き寸法Lを、露光装置の解像限界(0.35μm)を超える0.4μmとしたフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて原子間力顕微鏡を用いて観察した結果、角部に空隙部が存在することが確認され、また、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.5μmであり、平坦性が悪いことが確認された。そして、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを確認した結果、カラーフィルタの角部の空隙部の影響を受けた変形が見られた。
【0046】
[比較例4]
比較例3と同様にして、カラーフィルタの形成までを行った。
次に、このカラーフィルタを被覆するように、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って平坦化層(0.5μm)を形成した。この平坦化層の厚みは、形成した平坦化層の最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部に相当する箇所の最も凹となっている部位との高低差を実施例1と同様に測定し、実施例1のカラーフィルタの表面粗さ(高低差)と同様(0.22μm)となるのに必要な厚みとして設定した。
次いで、平坦化層上に、実施例1と同様に、マイクロレンズを形成して、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子において、マイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。しかし、マイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは5.1μmであり、実施例1に比べ厚いものであった。
【0047】
[比較例5]
緑色フィルタ用のフォトマスクは実施例1と同じフォトマスクを使用し、赤色フィルタ用のフォトマスクおよび青色フィルタ用のフォトマスクはサブパターンの無いフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて原子間力顕微鏡を用いて観察した結果、角部に空隙部が存在することが確認された。また、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.3μmであり、平坦性が悪いことが確認された。そして、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを確認した結果、カラーフィルタの角部の空隙部の影響を受けた変形が見られた。
【0048】
[比較例6]
比較例5と同様にして、カラーフィルタの形成までを行った。
次に、このカラーフィルタを被覆するように、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って平坦化層(0.4μm)を形成した。この平坦化層の厚みは、形成した平坦化層の最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部に相当する箇所の最も凹となっている部位との高低差を実施例1と同様に測定し、実施例1のカラーフィルタの表面粗さ(高低差)と同様(0.22μm)となるのに必要な厚みとして設定した。
次いで、平坦化層上に、実施例1と同様に、マイクロレンズを形成して、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子において、マイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。しかし、マイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは5.0μmであり、実施例1に比べ厚いものであった。
【0049】
[比較例7]
比較例1と同様にして、カラーフィルタの形成までを行った。
次に、このカラーフィルタを被覆するように、マイクロレンズ材料としてJSR(株)製 MFR401Lをスピン塗布(膜厚1.0μm)し、その後、実施例1と同様にしてマイクロレンズを形成し、固体撮像素子を作製した。
上記のマイクロレンズ材料の塗布厚みは、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを原子間力顕微鏡で観察した結果、変形は見られず良好なレンズとなるのに必要な厚みとして設定した。
この固体撮像素子では、マイクロレンズに変形は見られず良好なレンズであったが、マイクロレンズの高さは0.9μmとなり、実施例1に比べて厚いものであった。また、これによりマイクロレンズの焦点距離は、実施例1における4.6μmに対して2.7μmと小さく、フォトダイオード(受光部)への効率的な集光が困難なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
小型で高信頼性の固体撮像素子、撮像装置が要求される種々の分野において適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1…固体撮像素子
2…基板
3…受光部
4…電極
5…絶縁層
6…遮光層
7…パッシベーション層
8…平坦化層
9…カラーフィルタ
9G…緑色フィルタ
9R…赤色フィルタ
9B…青色フィルタ
10…マイクロレンズアレイ
21G…緑色フィルタ用のフォトマスク
21R…赤色フィルタ用のフォトマスク
22G,22R…パターン
23…切り欠き部
24…サブパターン
31,41…撮像装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子と撮像装置に係り、特にクロストーク発生や感度低下を防止した固体撮像素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、静止画像、動画像を撮像するデジタルカメラ、ビデオカメラが様々な分野で普及してきている。これらのカメラには、CCD、CMOS等の固体撮像素子が用いられている。このような固体撮像素子の構造は、例えば、受光部と金属電極を形成した基板上に絶縁層を介して遮光層、パッシベーション層、下平坦化層、カラーフィルタ、上平坦化層、および、マイクロレンズアレイを備えたものである。そして、半導体技術の進歩とともに、固体撮像素子の画素の微細化が一段と進み、カメラ自体の小型化も進んできている。例えば、固体撮像素子の1画素の平均的寸法は5〜6μmであり、さらに小さい場合には1〜2μmとなっている。従来の固体撮像素子では、マイクロレンズアレイの下面から受光部までの厚さが5μmを超えており、上記のような画素の微細化が進むと、カメラレンズからの斜めの入射光線のクロストーク発生(例えば、カラーフィルタの赤色フィルタに入射した光線が青色フィルタや緑色フィルタに対応した受光部に入り込む)や、感度低下(本来、受光部に入射すべき光線が金属電極等でけられ入射光量が低下する)が問題となってくる。このように、積層構造である固体撮像素子を断面で見たとき、横方向の画素寸法に対して、縦方向(積層方向)の受光部表面からカラーフィルタを経てマイクロレンズ下面に至る厚みの方が大きい場合、斜め入射光に対しての悪影響が種々生じる。
【0003】
一方、固体撮像素子の製造における低コスト化、歩留まり向上、および、固体撮像素子内での光減衰量の低減を目的として、下平坦化層を設けることなく、直接カラーフィルタを形成することが提案されている(特許文献1)。このような構造の固体撮像素子では、カラーフィルタから受光部までの厚さを小さくすることができる。
また、カラーフィルタは、通常、矩形の赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタが配列されたものであり、隣接するフィルタの辺と辺は接しているものの、角部は丸みを帯びているため、空隙部が存在している。このような空隙部には、いずれの色のフィルタも存在しないため、空隙部に入射した光線は適切な色分離が行われず、また、空隙部の界面で屈折して迷光となり、その結果、クロストーク等を引き起こすという問題があった。さらに、上平坦化層が薄い場合、カラーフィルタの空隙部の影響を受けて上平坦化層の表面にも凹凸を生じ、上平坦化層にカラーフィルタを構成する各色のフィルタの配列ピッチと異なる配列ピッチで形成されるマイクロレンズの変形等を引き起こすという問題もあった。このため、カラーフィルタ上に形成する上平坦化層の厚みを大きくする必要があり、これにより、上記のようなクロストークや感度低下を生じ易くなるという問題もあった。
【0004】
このような空隙部の発生を防止するために、ポジ型のカラーレジストの対応するマスクパターン遮光部の寸法調整と、オーバー露光を行うことにより、空隙部を生じないように色フィルタを形成したり、各角部に接する各色フィルタのうち、いずれか1色のフィルタで角部を埋めることが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−217394号公報
【特許文献2】特開2006−269775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に示されるような構造の固体撮像素子では、下平坦化層を設けずに、凹凸のある表面にカラーフィルタを形成するので、形成されたカラーフィルタ表面も凹凸のあるものとなる。このため、マイクロレンズアレイを形成する面の平坦性を考慮すると、カラーフィルタ上に形成する上平坦化層の厚みを大きくする必要がある。したがって、マイクロレンズアレイの下面から受光部までの厚さを小さくすることはできず、上記のようなクロストーク発生や感度低下を低減することはできない。
また、特許文献2に示される方法では、適切なオーバー露光とするための紫外線照射エネルギーの制御が必要であり、また、色フィルタのエッジ部をテーパー形状とするために紫外線照射に照度分布をもたせる必要があり、工程管理が煩雑であるという問題があった。
【0007】
さらに、上述の方法では、ポジ型のカラーレジストの露光に使用するマスクとして、角部に微小な遮光パターンを設けたマスクを使用することにより、いずれか1色のフィルタで角部が埋められる。しかし、市松状に存在する緑色フィルタと、他の2色のフィルタとでは、角部における露光時のコントラストの減少程度が異なる。このため、角部に微小な遮光パターンを設けたマスクを使用するだけでは、空隙部の発生を防止できない場合がある。また、逆に角部に盛り上がりが発生し、カラーフィルタ上に形成される上平坦化層の表面に凹凸を生じ、マイクロレンズの変形等を引き起こすという問題や、これを回避するために上平坦化層の厚みを大きくする必要があるという問題もあった。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、マイクロレンズアレイの下面から受光部までの厚さを小さくして、クロストーク発生や感度低下を防止した固体撮像素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明は、平坦化層と、該平坦化層上に配設されたカラーフィルタと、該カラーフィルタ上に配設された複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、前記平坦化層の下方に前記マイクロレンズに対応した複数の受光部を備えた固体撮像素子の製造方法であって、カラーフィルタの形成は、平坦化層上に緑色フィルタ用の感光性材料を塗布し、緑色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、非孤立的な矩形の緑色フィルタを形成する工程と、赤色フィルタ用の感光性材料を塗布し、赤色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の赤色フィルタを形成する工程と、青色フィルタ用の感光性材料を塗布し、青色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の青色フィルタを形成する工程と、を有し、前記緑色フィルタ用フォトマスクは、角部を切り欠いた矩形のパターンを有するフォトマスクを使用し、前記赤色フィルタ用フォトマスクと前記青色フィルタ用フォトマスクは、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有するフォトマスクを使用するような構成とした。
【0009】
本発明の他の態様として、矩形の辺を延長した交点から角部の切り欠きまでの最大距離を切り欠き寸法とし、また、角部から外側に突出するサブパターンの最大長をサブパターン寸法としたときに、該切り欠き寸法およびサブパターン寸法は、マスク露光条件での露光装置の解像限界以下の寸法とするような構成とした。
【発明の効果】
【0010】
このような本発明の製造方法では、角部を切り欠いた矩形のパターンを有する緑色フィルタ用フォトマスクにおいて、角部に設けられた切り欠きが、近接したパターンの双方からの露光量を適度に抑制するので、角部がシャープに接した非孤立的な緑色フィルタを形成することができ、また、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有する赤色フィルタ用フォトマスクと青色フィルタ用フォトマスクにおいて、サブパターンが、角部における露光時のコントラストの減少を抑制するので、丸みを帯びずシャープな形状の角部をもつ孤立的な赤色フィルタと青色フィルタを形成することができ、これにより、各色のフィルタ間での空隙部や盛り上がりの発生を抑制して平坦性に優れたカラーフィルタを形成することができ、カラーフィルタ上に直接マイクロレンズを設ける場合であっても、塗布されたマイクロレンズ形成材料がレベリングされて変形のない良好なマイクロレンズを形成することができ、したがって、マイクロレンズアレイの下面から受光部までの厚さを小さくすることが可能であり、クロストーク発生や感度低下を防止した固体撮像素子を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の固体撮像素子の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の固体撮像素子を構成するカラーフィルタの一例を示す図である。
【図3】マイクロレンズ形成用のフォトマスクを説明するための図である。
【図4】非孤立的に配列される緑色フィルタ用のフォトマスクの一例を示す部分平面図である。
【図5】図4に示されるフォトマスクの1個のパターンを示す図である。
【図6】非孤立的に配列されるフィルタ用のフォトマスクの他の例を示す図である。
【図7】非孤立的に配列されるフィルタ用のフォトマスクの他の例を示す図である。
【図8】孤立的に配列される赤色フィルタ用のフォトマスクの一例を示す部分平面図である。
【図9】図8に示されるフォトマスクの1個のパターンを示す図である。
【図10】孤立的に配列されるフィルタ用のフォトマスクの他の例を示す図である。
【図11】孤立的に配列されるフィルタ用のフォトマスクの他の例を示す図である。
【図12】孤立的に配列されるフィルタ用のフォトマスクの他の例を示す図である。
【図13】本発明の固体撮像素子の製造方法におけるカラーフィルタの形成を説明するための工程図である。
【図14】本発明の撮像装置の一例を説明するための図である。
【図15】本発明の撮像装置の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[固体撮像素子]
図1は本発明の固体撮像素子の一実施形態を示す概略構成図である。図1において、固体撮像素子1は、一定の配置ピッチで設けられた複数の受光部3と電極4を備える基板2と、基板2上に絶縁層5を介して順次設けられた遮光層6、パッシベーション層7、平坦化層8、カラーフィルタ9、および、マイクロレンズアレイ10を有している。
基板2はシリコン基板であり、受光部3はpn接合が形成された公知のフォトダイオードであってよく、通常、正方格子状に配置される。電極4はフォトダイオードである受光部3で発生した信号電荷を転送するものであり、電極4の上面(マイクロレンズアレイ10側)に遮光膜を備えるものであってもよい。
絶縁層5は、例えば、CVD法で成膜された酸化シリコン等の透明層からなり、受光部3と電極4を被覆するように形成されている。遮光層6は、個々の受光部3に対応して配置された複数の開口部を有するものであり、遮光性の金属層(例えば、Al、Al/Si/Cu合金等)で形成することができる。また、パッシベーション層7は窒化珪素、二酸化珪素等からなり、平坦化層8は樹脂材料で形成することができる。
【0013】
カラーフィルタ9は、図2に示されるように、矩形の赤色フィルタ9R、緑色フィルタ9G、青色フィルタ9Bが配列されたものであり、これらの各色のフィルタは各受光部3に対応している。カラーフィルタ9を構成する緑色フィルタ9Gは、角部が接し市松状に配列された非孤立的フィルタである。また、赤色フィルタ9Rと青色フィルタ9Bは、緑色フィルタ9Gの非形成部位に配列された孤立的フィルタである。そして、このカラーフィルタ9は、マイクロレンズアレイ10側の表面が、最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差が0.25μm以下である。尚、本発明におけるカラーフィルタ表面の粗さは、原子間力顕微鏡、あるいは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定する。
マイクロレンズアレイ10は、各受光部3、カラーフィルタ9の各色フィルタに対応して形成された複数のマイクロレンズ11からなっている。
【0014】
このような本発明の固体撮像素子1は、カラーフィルタ9とマイクロレンズアレイ10との間に平坦化層が存在しないので、マイクロレンズアレイ10の下面から受光部3までの厚さが小さいもの、例えば、5μm未満の厚みとなる。さらに、カラーフィルタ9の表面は、最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差が0.25μm以下であり平坦性に優れている。したがって、カラーフィルタ9に直接設けられているマイクロレンズ11は、その配列ピッチがカラーフィルタ9を構成する各色のフィルタの配列ピッチと異なる場合であっても、変形のない良好な形状である。これにより、固体撮像素子1は、斜めの入射光線のクロストークが防止され、かつ、良好な感度を具備している。勿論、本発明は、マイクロレンズ11の配列ピッチがカラーフィルタ9を構成する各色のフィルタの配列ピッチと同じである場合を排除するものではない。
【0015】
上述の固体撮像素子の実施形態は例示であり、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、カラーフィルタ9の表面の平坦性を更に向上させるために、カラーフィルタ9とマイクロレンズアレイ10との間に平坦化層が介在するものであってもよい。この場合も、カラーフィルタ9の表面の平坦性が優れるので、平坦化層の厚みは0.1〜0.25μmの範囲とすることができ、マイクロレンズアレイ10の下面から受光部3までの厚さは5μm未満の厚みが維持できる。
【0016】
[固体撮像素子の製造方法]
本発明の固体撮像素子の製造方法の一実施形態について、上記の固体撮像素子1の製造を例として説明する。
まず、基板2に受光部3、電極4を形成する。フォトダイオードからなる受光部3は、例えば、基板2としてn型のシリコン基板を使用し、公知の手法により形成することができる。また、電極4は所望の導電性膜を成膜し、これをパターニングして形成することができる。
次に、受光部3と電極4を被覆するように、CVD法で酸化シリコン等の透明層を形成して絶縁層5とする。この絶縁層5の形成では、成膜後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化を行ってもよい。
【0017】
次に、絶縁層5上に、受光部3の受光領域に開口部を有するように遮光層6を形成する。この遮光層6の形成は、例えば、遮光性の金属層(例えば、Al、Al/Si/Cu合金等)を成膜し、この金属層上にポジ型の感光性レジストを塗布し、露光、現像のフォトリソグラフィー工程によってレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクとして金属層をエッチングして開口部を形成して遮光層を得ることができる。
次いで、遮光層6を被覆するようにパッシベーション層7を形成する。このパッシベーション層7の形成は、例えば、CVD法により窒化珪素膜、二酸化珪素膜等を成膜することにより行うことができる。その後、パッシベーション層7上に樹脂材料をスピンコート法により塗布して平坦化層8を形成する。
次に、平坦化層8上にカラーフィルタ9を形成し、このカラーフィルタ9上に直接マイクロレンズ11を形成してマイクロレンズアレイ10とする。
カラーフィルタ9の形成は、本発明の製造方法の特徴的工程であるので、詳細に後述する。
【0018】
マイクロレンズ11の形成方法としては特に制限はないが、例えば、マイクロレンズ材料としてポジ型フォトレジストを用い、塗布、露光、現像のフォトリソグラフィー工程の後、フォトレジストをポストベークして溶融し凸レンズ状に成形する方法を挙げることができる。このように溶融して凸レンズ状に成形するマイクロレンズ形成方法は、マイクロレンズ間に必ず隙間を必要とする形成方法である。マイクロレンズ間に隙間の無い効率的なマイクロレンズの形成方法として、露光波長では解像しないような微細なドットパターンで、マイクロレンズの三次元形状を階調表現した階調フォトマスクを用いてフォトレジストを露光、現像する方法を用いることができる。図3は、このようなドットパターンの一例を示す図であり、1画素分の領域上に表現された20個×20個のドットを有している。この例では、黒い部分が遮光部であり、白い部分が光透過部である。このようなドットパターンを有する階調フォトマスクを介して露光、現像することにより、微細ドットで階調表現された形状をフォトレジスト層に転写してマイクロレンズ11を形成することができる。
尚、後述するように、カラーフィルタ9の表面の平坦性を更に向上させるために、平坦化層を形成した後にマイクロレンズ11を形成してもよい。
【0019】
次に、カラーフィルタ9の形成方法を説明する。本発明でのカラーフィルタ9の形成は、平坦化層8上に緑色フィルタ用の感光性材料を塗布し、緑色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、非孤立的な矩形の緑色フィルタ9Gを形成する工程と、赤色フィルタ用の感光性材料を塗布し、赤色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の赤色フィルタ9Rを形成する工程と、青色フィルタ用の感光性材料を塗布し、青色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の青色フィルタ9Bを形成する工程と、を有している。そして、緑色フィルタ用フォトマスクとして、角部を切り欠いた矩形のパターンを有するフォトマスクを使用し、赤色フィルタ用フォトマスクと青色フィルタ用フォトマスクとして、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有するフォトマスクを使用する。尚、本発明におけるフォトマスクが有するパターン、サブパターンとは、赤色フィルタ9R、緑色フィルタ9G、青色フィルタ9Bの形成にネガ型感光材料を使用する場合には、光透過部であり、一方、ポジ型感光材料を使用する場合には、遮光部である。以下の説明においても同様である。
【0020】
まず、本発明でカラーフィルタの形成に使用するフォトマスクを説明する。
図4は、非孤立的に配列される緑色フィルタ9G用のフォトマスクを示す部分平面図であり、図5は図4に示されるフォトマスクの1個のパターンを示す図である。図4および図5において、フォトマスク21Gは、矩形のパターン22Gを市松状に備えており、各矩形パターン22Gは、4個の角部22aに切り欠き部23を有している。
【0021】
ここで、角部を接して矩形のパターンが非孤立的に配列された従来のフォトマスクについて説明する。このような角部を接して矩形のパターンが非孤立的に配列されたフォトマスクでは、角部における露光時のコントラストの減少が、矩形のパターンが孤立的に配列されたフォトマスクの場合と異なっている。すなわち、角部を接して矩形のパターンが非孤立的に配列されたフォトマスクでは、角部が双方のパターンから露光されるため、角部における露光時のコントラストの減少は、近接パターンが存在しない矩形パターンの角部における露光時のコントラストの減少よりも少ないものとなる。このため、上記のような角部の切り欠き部23を備えていないフォトマスク(角部を接して矩形のパターンが非孤立的に配列されたフォトマスク)を使用して露光、現像して形成されたフィルタは、ネガ型感光材料を使用した場合には、角部が太く接続されたものとなり、また、ポジ型感光性材料を使用した場合には、角部が離れたものとなり、いずれの場合もシャープな矩形のフィルタを形成することができない。しかし、本発明では、フォトマスク21Gを使用することにより、角部22aに設けられた切り欠き部23が、近接したパターンの双方から露光される角部22aの露光量を適度に抑える作用をなす。これにより、角部がシャープに接した非孤立的な緑色フィルタ9を形成することができる。
【0022】
尚、各パターン22Gが有する切り欠き部23は、矩形の辺を延長した交点Pから角部22aの切り欠きまでのX軸方向およびY軸方向での最大距離Lを切り欠き寸法Lとしたときに、この切り欠き寸法Lをマスク露光条件での露光装置の解像限界以下の寸法とする。切り欠き寸法Lが解像限界を超えるような大きさである場合、切り欠き部23の形状がそのままフィルタの形状に反映されてしまい、シャープな矩形の緑色フィルタが得られない。また、切り欠き寸法Lの下限は、例えば、i線ステッパーによる露光を用いる場合には、40nm程度(被露光体上に投影された際の寸法)とすることができる。
上記の例では、切り欠き部23は角部22aを直線的に切り欠いた形状であるが、これに限定されず、例えば、図6および図7に示すような形状の切り欠き部23であってもよい。
【0023】
図8は、孤立的に配列される赤色フィルタ9R用のフォトマスクを示す部分平面図であり、図9は図8に示されるフォトマスクの1個のパターンを示す図である。図8および図9において、フォトマスク21Rは、矩形のパターン22Rを備えており、各矩形パターン22Rは、4個の角部22aに矩形のサブパターン24を有している。
このように孤立的に配列された矩形パターン22Rの角部22aにサブパターン24を有しているフォトマスク21Rを使用することにより、サブパターン24が角部における露光時のコントラストの減少を抑制するので、丸みを帯びずシャープな形状の角部をもつ孤立的な赤色フィルタ9Rを形成することができる。
【0024】
尚、各パターン22Rが有するサブパターン24は、X軸方向およびY軸方向での角部から外側に突出するサブパターンの最大長をサブパターン寸法L′としたときに、このサブパターン寸法L′をマスク露光条件での露光装置の解像限界以下の寸法とする。また、サブパターン24が矩形のパターン22Rの角部22aから外側へ突出する最大距離を突出距離dとしたときに、この突出距離dもマスク露光条件での露光装置の解像限界以下の寸法とする。サブパターン寸法L′や突出距離dが解像限界を超えるような大きさであると、使用する感光性材料がネガ型の場合、角部22aの露光量が過大となり、形成されたフィルタは、角部が突出した形状となり、シャープな矩形の赤色フィルタが得られない。また、サブパターン寸法L′や突出距離dの下限は、例えば、i線ステッパーによる露光を用いる場合には、40nm程度(被露光体上に投影された際の寸法)とすることができる。
【0025】
サブパターン24は、図10に示されるように、パターン22Rから離間して設けてもよい。この場合、パターン22Rとサブパターン24との離間距離d′は、マスク露光条件での露光装置の解像限界以下となるように設定することが好ましく、離間距離d′が大き過ぎると、サブパターン24による角部22aの露光時のコントラストの減少抑制効果が得られず好ましくない。
上記の例では、サブパターン24は矩形であるが、サブパターン24の形状はこれに限定されるものではない。例えば、図11(A)に示すような三角形であってもよく、この場合も、図11(B)に示すようにサブパターン24はパターン22Rから離間したものであってよい。そして、突出距離d、離間距離d′は上述の範囲内とすることが好ましい。また、図12(A)に示すようにサブパターン24が円形であってもよく、この場合も、図12(B)に示すようにサブパターン24はパターン22Rから離間したものであってよい。そして、突出距離d、離間距離d′は上述の範囲内とすることが好ましい。
尚、孤立的に配列される青色フィルタ9B用のフォトマスク21B(図示せず)は、上記のフォトマスク21Rと同様に構成することができ、ここでの説明は省略する。
【0026】
次に、上述のフォトマスク21G、21R、21Bを用いたカラーフィルタ9の形成の例を、図13を参照しながら説明する。
まず、緑色フィルタ用の感光性材料を平坦化層8上に塗布し、フォトマスク21Gを用いて露光、現像して、非孤立的な緑色フィルタ9Gを形成する(図13(A))。この緑色フィルタ9Gは、角部が接したシャープな矩形であり、しがたって、緑色フィルタ9Gの非形成部位(孤立的に存在)もシャープな矩形となっている。
次に、赤色フィルタ用の感光性材料を緑色フィルタ9Gも被覆するように塗布し、フォトマスク21Rを用いて露光、現像して、孤立的な赤色フィルタ9Rを形成する(図13(B))。この赤色フィルタ9Rは、丸みを帯びずシャープな形状の角部をもつ矩形であり、しがたって、緑色フィルタ9Gの非形成部位(赤色フィルタ9Rの形成部位)が、空隙部の発生が抑制されるように赤色フィルタ9Rで埋められる。
【0027】
次いで、青色フィルタ用の感光性材料を緑色フィルタ9G、赤色フィルタ9Rも被覆するように塗布し、フォトマスク21Bを用いて露光、現像して、孤立的な青色フィルタ9Bを形成する(図13(C))。この青色フィルタ9Bは、丸みを帯びずシャープな形状の角部をもつ矩形であり、しがたって、緑色フィルタ9Gの非形成部位(青色フィルタ9Bの形成部位)が、空隙部の発生が抑制されるように青色フィルタ9Bで埋められる。
これにより、矩形の緑色フィルタ9G、赤色フィルタ9R、青色フィルタ9Bで構成され、各色のフィルタ間、特に角部での空隙部や盛り上がりの発生が抑制され、表面の最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差が0.25μm以下であるカラーフィルタ9が得られる。
尚、赤色フィルタ9Rと青色フィルタ9Bの形成順序は逆であってもよい。
【0028】
上述の本発明の固体撮像素子の製造方法では、平坦化層を介在させることなくカラーフィルタ9上にカラーフィルタ9を構成する各色のフィルタの配列ピッチと異なる配列ピッチで直接マイクロレンズ11を設けても、マイクロレンズ11に変形を生じることがない。例えば、上述の階調フォトマスクを用いてマイクロレンズ11を形成する方法では、画素サイズ2μm、マイクロレンズアレイ10の下面から受光部3までの厚さを4.6μmとなるように設計した場合、マイクロレンズ11の焦点距離を4.6μmに合わせると、マイクロレンズ11の高さは0.53μmとなり、マイクロレンズ材料の塗布膜厚は0.6μm程度に設定される。上記のように形成されたカラーフィルタ9は、最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差が0.25μm以下であり、このような微細な凹凸はマイクロレンズ材料のレベリング機能にて吸収され、マイクロレンズ11に変形を生じることがない。勿論、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差が0.25μmを超えるようなカラーフィルタであっても、マイクロレンズ材料の塗布厚みを大きくすれば、凹凸を吸収して変形のないマイクロレンズを形成することはできる。しかし、マイクロレンズアレイ10の下面から受光部3までの厚さが5μm以上となったり、マイクロレンズの焦点距離の制御が困難となり受光部3に効率的に集光できないという問題が生じる。
【0029】
このように、本発明の製造方法では、マイクロレンズアレイの下面から受光部までの厚さを小さくすることが可能であり、クロストーク発生や感度低下を防止した固体撮像素子を製造することができる。尚、本発明は、カラーフィルタ9上に直接形成するマイクロレンズ11の配列ピッチを、カラーフィルタ9を構成する各色のフィルタの配列ピッチと同じとすることを排除するものではない。
上述の製造方法の実施形態は例示であり、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、カラーフィルタ9の表面の平坦性を更に向上させるために、カラーフィルタ9上に平坦化層を形成した後にマイクロレンズ11を形成してもよい。この場合、カラーフィルタ9の表面が平坦性に優れるので、カラーフィルタ9上に形成する平坦化層の厚みは極めて薄くすることができ、例えば、0.1〜0.25μmの範囲とすることができる。
【0030】
[撮像装置]
図14は、本発明の撮像装置の一実施形態を示す概略断面図である。図14において、本発明の撮像装置31は、本発明の固体撮像素子32を備えた基板33と、固体撮像素子32の外側に配した封止用部材34と、この封止用部材34を介して固体撮像素子32と所望の間隙を設けて対向するように配設された保護材35とを備えている。また、固体撮像素子32は配線36、表裏導通ビア37を介して外部端子38に接続されている。このようなセラミックパッケージ型の撮像装置31は、種々のデジタルカメラ、ビデオカメラ等に使用することができ、カメラの高感度化、小型化、薄型化が可能である。
【0031】
また、図15は、本発明の撮像装置の他の実施形態を示す概略断面図である。図15に示される本発明の撮像装置41は、携帯電話用カメラモジュールの例であり、本発明の固体撮像素子42を備えた基板43と、固体撮像素子42の外側に配した封止用部材44と、固体撮像素子42と所望の間隙を設けて対向するように配設された赤外カットフィルタ45と、赤外カットフィルタ45上に配設された鏡筒46と、この鏡筒46内に装着されたレンズユニット47を備えている。このような撮像装置41は、本発明の固体撮像素子42がシェーディング補正されていて高感度のものであるため、小型化、薄型化が可能である。
本発明の撮像装置は上述の実施形態に限定されるものではなく、固体撮像素子として本発明の固体撮像素子を備えるものであればよく、従来の種々の撮像装置の構成をそのまま採用することができる。
【実施例】
【0032】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
まず、画素受光部ピッチ2.0μm、画素数2592個×1944個のフォトダイオードからなり、受光部からパッシベーション層表面までの厚さが3.5μmであるCMOSセンサーを形成したウェハを用意した。
(平坦化層の形成)
次に、ウェハ表面をスピンスクラパーで洗浄した後、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って平坦化層(厚み0.3μm)を形成した。
【0033】
(カラーフィルタの形成)
ネガ型感光性の緑色材料(G用材料)、赤色材料(R用材料)、青色材料(B用材料)として以下の材料を用意した。
G用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SG−4000L
R用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SR−4000L
B用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SB−4000L
また、カラーフィルタの各色フィルタの配置ピッチを2.0μmとし、緑色フィルタ用のフォトマスクとして、図4および図5に示されるフォトマスクを準備した。このフォトマスクは、1辺が2.0μmの矩形のパターン(光透過部)を有し、各パターンの角部の直角二等辺三角形形状の切り欠き部の切り欠き寸法Lは0.1μmとなるようにした。尚、露光装置は((株)ニコン製 NSR−2505i14E2(1/5縮小型))であり、設定した露光条件での解像限界が0.35μmであった。上記のフォトマスクの寸法は、露光装置にてウェハ上に投影された際の寸法であり、以下のフォトマスクの寸法に関する記載においても同様である。
【0034】
また、赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクとして、図8および図9に示されるフォトマスクを準備した。このフォトマスクは、1辺が2.0μmの矩形のパターン(光透過部)と、矩形のサブパターン(光透過部)を有し、サブパターンの寸法L′は0.2μm、突出距離dは0.23μmとした。
そして、緑色フィルタ、赤色フィルタ、青色フィルタの形成順序で、上記材料をスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、ポストベークを行って、緑色フィルタ、赤色フィルタ、青色フィルタで構成されたカラーフィルタ(厚み0.8μm)を平坦化層上に形成した。尚、現像液として、富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CD−2000の50%希釈液を使用した。
【0035】
上記のように形成したカラーフィルタについて、最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を原子間顕微鏡(SIIナノテクノロジー(株)製 L−trace)を用いて下記条件で測定した結果、0.22μmであり、平坦性が良好であることが確認された。使用した探針はSIIナノテクノロジー(株)製 DF−40であり、走査モードはDFMとした。
【0036】
(測定条件)
スキャナ感度X/Y/Z : 260.00 / 260.00 / 14.32 nm/V
Sensor Z : 971.91 nm/V
カンチレバー定数 : バネ定数 56.000 N/m
ねじれバネ定数 100.0 N/m
共振周波数 327.00 kHz
レバーの長さ 200.0 μm
針の高さ 10.00 μm
走査モード : 1画面測定
測定データ : 形状像 (センサー信号)
走査エリア/周波数 : 19.995 × 19.995 μm / 1.00Hz
走査中心X/Y : 11876 / -14790 nm
回転角度 : -1.0°
Xデータ数/Yデータ数 : 256 / 256
振幅減衰率 : -0.098
バイアス電圧 : 0.000 V
Iゲイン/Pゲイン : 0.2000 / 0.0488
ローパス/ハイパスフィルタ: 1.010 kHz /0.000 Hz
Qカーブゲイン : 1.00
加振電圧 : 1.882 V
共振周波数 : 343.039 kHz
測定周波数 : 342.850 kHz
振動振幅 : 0.447 V
Q値 : 642.105
リニアライズ : 済み(CL補正)
フィルタ/FFT : 0 / 0
マスク : 未
【0037】
尚、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位が走査型電子顕微鏡(SEM)観察にて判断できる場合は、これら2点を結ぶ断面をSEMにて観察・寸法計測することによっても、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定することができる。この場合、上記断面を形成するには集束イオンビーム加工(FIB)を用いることが好ましい。
【0038】
(マイクロレンズの形成)
カラーフィルタ上に、マイクロレンズ材料としてJSR(株)製 MFR401Lをスピン塗布(膜厚0.6μm)し、プリベークの後、図3に示されるような階調フォトマスクを用いて1/5縮小型のi線ステッパーによる露光を行い、現像、後露光、ポストベークを行って、マイクロレンズを形成した。尚、現像液として、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)の1.19%液を使用した。
上記の露光において使用した階調フォトマスクでは、配置ピッチを1.999μmとした。このようにカラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを原子間力顕微鏡を用いて観察した結果、変形は見られず、高さ0.53μm、焦点距離4.6μmの良好なレンズであることが確認された。
【0039】
次に、ボンディングパッド部の窓開けを行った。すなわち、ポジレジスト(住友化学(株)製 i線用ポジレジスト PFI−27)をスピン塗布し、次いで、プリベーク後、ボンディングパッド部およびスクライブ部に対応するパターンを有するフォトマスク用いて露光、現像を行った。これにより、ボンディングパッド部およびスクライブ部に開口を有するレジストパターンが形成され、このレジストパターンをマスクとして酸素アッシングを行って、当該箇所上の平坦化層をエッチング除去した。次いで、レジスト剥離液を用いてポジレジストを除去した。
次いで、ウェハのダイシングを行い、パッケージ組立を行って、本発明の固体撮像素子を作製した。この固体撮像素子におけるマイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは4.6μmであった。
【0040】
[実施例2]
緑色フィルタ用のフォトマスクとして、図7に示されるパターンを有するフォトマスクを使用し、また、赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクとして、図12(A)に示されるパターンおよびサブパターンを有するフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。尚、緑色フィルタ用のフォトマスクにおける切り欠き部の切り欠き寸法Lは0.15μmとし、また、赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクにおけるサブパターンの寸法L′は0.25μm、突出距離dは0.2μmとした。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.23μmであり、平坦性が良好であることが確認された。さらに、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。
また、この固体撮像素子におけるマイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは、実施例1と同様に、4.6μmであった。
【0041】
[実施例3]
ポジ型感光性の緑色材料(G用材料)、赤色材料(R用材料)、青色材料(B用材料)を使用し、また、フォトマスクのパターン、サブパターンを遮光部とした他は、実施例1と同様に、緑色フィルタ用のフォトマスク、および、赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクを準備し、これらのフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.23μmであり、平坦性が良好であることが確認された。さらに、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。
また、この固体撮像素子におけるマイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは、実施例1と同様に、4.6μmであった。
【0042】
[実施例4]
赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクとして、図10に示されるパターンおよびサブパターンを有するフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。尚、赤色フィルタ用、青色フィルタ用のフォトマスクにおけるサブパターンの寸法L′は0.2μmとし、離間距離d′は0.05μmとした。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.25μmであり、平坦性が良好であることが確認された。さらに、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。
また、この固体撮像素子におけるマイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは、実施例1と同様に、4.6μmであった。
【0043】
[比較例1]
緑色フィルタ用のフォトマスクとして、切り欠き部をもたず、角部を接して矩形のパターンが非孤立的に配列されたフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて、実施例1と同様に観察した結果、各緑色フィルタの角部が太く接続されており、この部位に赤色フィルタ、青色フィルタの角部が重なって、角部に盛り上がり部(高さ約0.2μm)が存在しており、また、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.45μmであり、平坦性が悪いことが確認された。そして、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを確認した結果、赤色フィルタ、青色フィルタの角部の盛り上がりの影響を受けた変形が見られた。
【0044】
[比較例2]
比較例1と同様にして、カラーフィルタの形成までを行った。
次に、このカラーフィルタを被覆するように、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って平坦化層(0.5μm)を形成した。この平坦化層の厚みは、形成した平坦化層の最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部に相当する箇所の最も凹となっている部位との高低差を実施例1と同様に測定し、実施例1のカラーフィルタの表面粗さ(高低差)と同様(0.22μm)となるのに必要な厚みとして設定した。
次いで、平坦化層上に、実施例1と同様に、マイクロレンズを形成して、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子において、マイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。しかし、マイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは5.1μmであり、実施例1に比べ厚いものであった。
【0045】
[比較例3]
緑色フィルタ用のフォトマスクとして、直角二等辺三角形形状の切り欠き部の切り欠き寸法Lを、露光装置の解像限界(0.35μm)を超える0.4μmとしたフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて原子間力顕微鏡を用いて観察した結果、角部に空隙部が存在することが確認され、また、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.5μmであり、平坦性が悪いことが確認された。そして、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを確認した結果、カラーフィルタの角部の空隙部の影響を受けた変形が見られた。
【0046】
[比較例4]
比較例3と同様にして、カラーフィルタの形成までを行った。
次に、このカラーフィルタを被覆するように、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って平坦化層(0.5μm)を形成した。この平坦化層の厚みは、形成した平坦化層の最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部に相当する箇所の最も凹となっている部位との高低差を実施例1と同様に測定し、実施例1のカラーフィルタの表面粗さ(高低差)と同様(0.22μm)となるのに必要な厚みとして設定した。
次いで、平坦化層上に、実施例1と同様に、マイクロレンズを形成して、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子において、マイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。しかし、マイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは5.1μmであり、実施例1に比べ厚いものであった。
【0047】
[比較例5]
緑色フィルタ用のフォトマスクは実施例1と同じフォトマスクを使用し、赤色フィルタ用のフォトマスクおよび青色フィルタ用のフォトマスクはサブパターンの無いフォトマスクを使用してカラーフィルタを形成した他は、実施例1と同様にして、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子に製造おいて、平坦化層上に形成したカラーフィルタについて原子間力顕微鏡を用いて観察した結果、角部に空隙部が存在することが確認された。また、実施例1と同様に、カラーフィルタの最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部の最も凹となっている部位との高低差を測定した結果、0.3μmであり、平坦性が悪いことが確認された。そして、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを確認した結果、カラーフィルタの角部の空隙部の影響を受けた変形が見られた。
【0048】
[比較例6]
比較例5と同様にして、カラーフィルタの形成までを行った。
次に、このカラーフィルタを被覆するように、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って平坦化層(0.4μm)を形成した。この平坦化層の厚みは、形成した平坦化層の最も凸となっている部位と、各色のフィルタ間境界部に相当する箇所の最も凹となっている部位との高低差を実施例1と同様に測定し、実施例1のカラーフィルタの表面粗さ(高低差)と同様(0.22μm)となるのに必要な厚みとして設定した。
次いで、平坦化層上に、実施例1と同様に、マイクロレンズを形成して、固体撮像素子を作製した。
この固体撮像素子において、マイクロレンズを実施例1と同様に観察した結果、変形は見られず良好なレンズであることが確認された。しかし、マイクロレンズアレイの下面からフォトダイオード(受光部)までの厚さは5.0μmであり、実施例1に比べ厚いものであった。
【0049】
[比較例7]
比較例1と同様にして、カラーフィルタの形成までを行った。
次に、このカラーフィルタを被覆するように、マイクロレンズ材料としてJSR(株)製 MFR401Lをスピン塗布(膜厚1.0μm)し、その後、実施例1と同様にしてマイクロレンズを形成し、固体撮像素子を作製した。
上記のマイクロレンズ材料の塗布厚みは、カラーフィルタ上に形成されたマイクロレンズを原子間力顕微鏡で観察した結果、変形は見られず良好なレンズとなるのに必要な厚みとして設定した。
この固体撮像素子では、マイクロレンズに変形は見られず良好なレンズであったが、マイクロレンズの高さは0.9μmとなり、実施例1に比べて厚いものであった。また、これによりマイクロレンズの焦点距離は、実施例1における4.6μmに対して2.7μmと小さく、フォトダイオード(受光部)への効率的な集光が困難なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
小型で高信頼性の固体撮像素子、撮像装置が要求される種々の分野において適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1…固体撮像素子
2…基板
3…受光部
4…電極
5…絶縁層
6…遮光層
7…パッシベーション層
8…平坦化層
9…カラーフィルタ
9G…緑色フィルタ
9R…赤色フィルタ
9B…青色フィルタ
10…マイクロレンズアレイ
21G…緑色フィルタ用のフォトマスク
21R…赤色フィルタ用のフォトマスク
22G,22R…パターン
23…切り欠き部
24…サブパターン
31,41…撮像装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦化層と、該平坦化層上に配設されたカラーフィルタと、該カラーフィルタ上に配設された複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、前記平坦化層の下方に前記マイクロレンズに対応した複数の受光部を備えた固体撮像素子の製造方法において、
カラーフィルタの形成は、平坦化層上に緑色フィルタ用の感光性材料を塗布し、緑色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、非孤立的な矩形の緑色フィルタを形成する工程と、赤色フィルタ用の感光性材料を塗布し、赤色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の赤色フィルタを形成する工程と、青色フィルタ用の感光性材料を塗布し、青色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の青色フィルタを形成する工程と、を有し、
前記緑色フィルタ用フォトマスクは、角部を切り欠いた矩形のパターンを有するフォトマスクを使用し、
前記赤色フィルタ用フォトマスクと前記青色フィルタ用フォトマスクは、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有するフォトマスクを使用することを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項2】
矩形の辺を延長した交点から角部の切り欠きまでの最大距離を切り欠き寸法とし、また、角部から外側に突出するサブパターンの最大長をサブパターン寸法としたときに、該切り欠き寸法およびサブパターン寸法は、マスク露光条件での露光装置の解像限界以下の寸法とすることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項1】
平坦化層と、該平坦化層上に配設されたカラーフィルタと、該カラーフィルタ上に配設された複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、前記平坦化層の下方に前記マイクロレンズに対応した複数の受光部を備えた固体撮像素子の製造方法において、
カラーフィルタの形成は、平坦化層上に緑色フィルタ用の感光性材料を塗布し、緑色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、非孤立的な矩形の緑色フィルタを形成する工程と、赤色フィルタ用の感光性材料を塗布し、赤色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の赤色フィルタを形成する工程と、青色フィルタ用の感光性材料を塗布し、青色フィルタ用フォトマスクを用いて露光、現像して、孤立的な矩形の青色フィルタを形成する工程と、を有し、
前記緑色フィルタ用フォトマスクは、角部を切り欠いた矩形のパターンを有するフォトマスクを使用し、
前記赤色フィルタ用フォトマスクと前記青色フィルタ用フォトマスクは、角部にサブパターンをもつ矩形のパターンを有するフォトマスクを使用することを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項2】
矩形の辺を延長した交点から角部の切り欠きまでの最大距離を切り欠き寸法とし、また、角部から外側に突出するサブパターンの最大長をサブパターン寸法としたときに、該切り欠き寸法およびサブパターン寸法は、マスク露光条件での露光装置の解像限界以下の寸法とすることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−186488(P2012−186488A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103194(P2012−103194)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2008−59003(P2008−59003)の分割
【原出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2008−59003(P2008−59003)の分割
【原出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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