説明

固体撮像装置および撮像装置

【課題】多層膜の構造上の問題を克服し、色分離を効率良く行い、感度やS/N比を向上させることができる固体撮像装置および撮像装置を提供する。
【解決手段】所定の第1の色を透過する有機材料のカラーフィルタを有する第1の色分離画素と、前記第1の色と異なる第2の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素と、前記第1および第2の色と異なる第3の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第3の色分離画素とを備え、前記第2および第3の色分離画素は、互いに隣接せずに、前記第1の色分離画素に隣接するように配列されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、全波長を透過する白画素と、多層膜やフォトニック結晶を用いて分光を行う画素とを有する固体撮像装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像装置において、1画素あたりの面積の縮小に伴い、フォトダイオードの面積が減少し、光電変換される電子(ホール)の数も減少していた。また、画素の面積の縮小は、光の集光においても不利であり、固体撮像装置の感度の低下、S/N比の低下を招いていた。
また、図11に示されるベイヤー配列や補色配列のカラーフィルタを用いた色分離では、カラーフィルタによる感度低下や混色による色分離の不完全さなどが問題になり、固体撮像装置の感度の低下やS/N比の低下を招いていた。
このため、色分離を行いながら、可能な限り多くの光を取り入れる方法が探索されている。この一つの方法として、全波長を透過するW(white;白)画素を用いる方法がある。例えば、図11に示されるベイヤー配列のG(green)画素の代わりに白画素を用いたり、RGB(red ,green and blue)画素に加えて白画素を設けたりする(特許文献1)。また、別の方法として、屈折率差を利用した誘電体多層膜やフォトニック結晶を用いて分光を行う方法がある(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−304706号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】米国特許5323233号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通常の有機材のカラーフィルタで白画素を用いる方法では、カラーコーディングを行っても色分離が十分できず、画作りがうまくできないという問題点があった。また、誘電体多層膜やフォトニック結晶を用いて分光を行う方法では、多層膜の成膜を複数回行うため、通常のベイヤー配列や補色配列では、分光を行うのに十分な多層膜を形成することが困難であった。
【0006】
図12は、従来の固体撮像装置の他の例を示す図であり、図12(A)は平面図、図12(B)はA−A’断面図である。
図12(A)に示すように、この固体撮像装置は、RGBのカラーフィルタをベイヤー配列で構成したものである。ベイヤー配列は、2行2列の4画素を2つのG画素201、B画素202およびR画素203で構成する。図12(B)に示すように、G画素201、B画素202およびR画素203は、それぞれ半導体基板101に光電変換領域102を形成し、その上部に配線・遮光膜103、色分離のための多層膜104、OCL(オンチップレンズ)105を順次に形成することにより構成される。
このようにG画素201、B画素202およびR画素203を多層膜104を用いて構成すると、先に形成されるG画素201の多層膜104は、半導体基板201の表面に対し平行な層が形成されるものの、G画素201に隣接し後に形成されるB画素202の多層膜104は、先に形成された多層膜104の上に乗っかり、折れ曲がって埋め込まれたような構造、言い換えれば、多層膜104の周囲部が折れ曲がり、その部分は半導体基板201の表面に対し平行な方向に多層膜104が重なる構造となってしまい、多層膜104が色分離の働きをしないか、色分離の特性が悪化してしまう。
【0007】
本技術は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、全波長を透過する白画素と、多層膜やフォトニック結晶を用いて分光を行う画素とを用い、色分離を効率良く行い、感度やS/N比を向上させることができる固体撮像装置および撮像装置を提供することにある。
また、本技術の目的は、従来の多層膜の構造上の問題を克服し、色分離を効率良く行い、感度やS/N比を向上させることができる固体撮像装置および撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、固体撮像装置は、全波長を透過する白画素と、所定の第1の波長より高い波長領域をカットする多層膜またはフォトニック結晶を有する第1の色分離画素と、前記第1の波長より高い第2の波長より高い波長領域をカットする多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素とを備えたことを特徴とする。
また、固体撮像装置は、全波長を透過する白画素と、所定の第1の波長より低い波長領域をカットする多層膜またはフォトニック結晶を有する第1の色分離画素と、前記第1の波長より低い第2の波長より低い波長領域をカットする多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素とを備えたことを特徴とする。
また固体撮像装置は、全波長を透過する白画素と、所定の第1の波長より高い波長領域をカットする多層膜またはフォトニック結晶を有する第1の色分離画素と、前記第1の波長より低い第2の波長より低い波長領域をカットする多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素とを備えたことを特徴とする。
また撮像装置は、固体撮像装置を用いた撮像部と、前記撮像部を制御する制御部と、前記撮像部を操作する操作部とを有し、前記固体撮像装置は、全波長を透過する白画素と、所定の第1の波長より高い波長領域をカットする多層膜またはフォトニック結晶を有する第1の色分離画素と、前記第1の波長より高い第2の波長より高い波長領域をカットする多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また固体撮像装置は、全波長を透過する白画素と、所定の第1の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第1の色分離画素と、前記第1の色と異なる第2の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素とを備え、前記第1および第2の色分離画素は、互いに隣接せずに、前記白画素に隣接するように配列されていることを特徴とする。
また固体撮像装置は、全波長を透過する白画素と、所定の第1の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第1の色分離画素と、前記第1の色と異なる第2の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素とを備え、前記第1および第2の色分離画素は、互いに隣接せずに、前記白画素に隣接するように配列されていることを特徴とする。
また、撮像装置は、固体撮像装置を用いた撮像部と、前記撮像部を制御する制御部と、前記撮像部を操作する操作部とを有し、前記固体撮像装置は、全波長を透過する白画素と、可視光である第1の色を透過する分光特性を有する多層膜またはフォトニック結晶を有する第1の色分離画素と、前記第1の色と異なる可視光である第2の色を透過する分光特性を有する多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素とを備え、前記第1および第2の色分離画素は、互いに隣接せずに、前記白画素に隣接するように配列されていることを特徴とする。
【0010】
そして本技術の固体撮像装置は、所定の第1の色を透過する有機材料のカラーフィルタを有する第1の色分離画素と、前記第1の色と異なる第2の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素と、前記第1および第2の色と異なる第3の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第3の色分離画素とを備え、前記第2および第3の色分離画素は、互いに隣接せずに、前記第1の色分離画素に隣接するように配列されていることを特徴とする。
また本技術の撮像装置は、固体撮像装置を用いた撮像部と、前記撮像部を制御する制御部と、前記撮像部を操作する操作部とを有し、前記固体撮像装置は、所定の第1の色を透過する有機材料のカラーフィルタを有する第1の色分離画素と、前記第1の色と異なる第2の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素と、前記第1および第2の色と異なる第3の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第3の色分離画素とを備え、前記第2および第3の色分離画素は、互いに隣接せずに、前記第1の色分離画素に隣接するように配列されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述した固体撮像装置及び撮像装置によれば、白画素により全波長の光からの信号が得られ、第1の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶により第1の波長より高い波長領域がカットされた光からの信号が得られ、第2の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶により第1の波長より高い第2の波長より高い波長領域がカットされた光からの信号が得られる。そして、これら3種類の信号で色分離および画作りを行う。
このため、白画素により明るい信号が得られ、第1および第2の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶により、従来の有機材料のカラーフィルタに比べ、色分離特性の優れた信号を得ることができる。したがって、固体撮像装置の感度およびS/N比を向上させることができる。
また上述した固体撮像装置によれば、白画素により全波長の光からの信号が得られ、第1の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶により第1の波長より低い波長領域がカットされた光からの信号が得られ、第2の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶により第1の波長より低い第2の波長より低い波長領域がカットされた光からの信号が得られる。そして、これら3種類の信号で色分離および画作りを行う。
このような構成の場合にも、上記と同様の効果を奏する。
また上述した固体撮像装置によれば、白画素により全波長の光からの信号が得られ、第1の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶により第1の波長より高い波長領域がカットされた光からの信号が得られ、第2の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶により第1の波長より低い第2の波長より低い波長領域がカットされた光からの信号が得られる。そして、これら3種類の信号で色分離および画作りを行う。
このような構成の場合にも、上記と同様の効果を奏する。
【0012】
また上述した固体撮像装置及び撮像装置によれば、白画素により全波長の光からの信号が得られ、第1の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶により第1の色の信号が得られ、第2の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶により第2の色の信号が得られる。そして、これら3種類の信号で色分離および画作りを行う。また、第1および第2の色分離画素は、互いに隣接せずに、白画素に隣接するように配列される。
第1および第2の色分離画素は、白画素に周囲が囲まれることになる。白画素は、色分離の必要がないので、多層膜やフォトニック結晶を形成する必要がなく、前記第1および第2の色分離画素の多層膜やフォトニック結晶が形成される部分には、透明材料を埋め込めば良い。この透明材料は、第1および第2の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶を形成した後に形成することができる。前記第1および第2の色分離画素は白画素に周囲を囲まれるので、第1および第2の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶の形成時には、多層膜またはフォトニック結晶を形成すべき部分およびその周囲は平らにすることができる。このため、先に形成された隣接する他の画素の多層膜に後に形成された画素の多層膜が乗っかって、その周辺部の多層膜が折れ曲がり、折れ曲がった部分の多層膜が半導体基板の表面と平行な方向に重なるような従来の問題点を解消し、半導体基板の表面の垂直方向に多層膜またはフォトニック結晶の各層を形成することができる。したがって、所望の色分離特性を有する第1および第2の色分離画素を確実に構成することができるので、固体撮像装置の感度およびS/N比を向上させることができる。
【0013】
そして本技術の固体撮像装置によれば、第1の色分離画素の有機材料のカラーフィルタにより第1の色の信号が得られ、第2の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶により第2の色の信号が得られ、第3の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶により第3の色の信号が得られる。そして、これら3種類の信号で色分離および画作りを行う。また、第2および第3の色分離画素は、互いに隣接せずに、第1の色分離画素に隣接するように配列される。
第2および第3の色分離画素は、第1の色分離画素に周囲が囲まれることになる。第1の色分離画素のカラーフィルタは、第2および第3の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶の形成後に形成することができる。第2および第3の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶の形成時には、多層膜またはフォトニック結晶を形成すべき部分およびその周囲は平らにすることができる。このため、先に形成された隣接する他の画素の多層膜に後に形成された画素の多層膜が乗っかって、その周辺部の多層膜が折れ曲がり、折れ曲がった部分の多層膜が半導体基板の表面と平行な方向に重なるような従来の問題点を解消し、半導体基板の表面の垂直方向に多層膜またはフォトニック結晶の各層を形成することができる。したがって、所望の色分離特性を有する第2および第3の色分離画素を確実に構成することができるので、固体撮像装置の感度およびS/N比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1の固体撮像装置の画素のカラー配列を示す図である。
【図2】実施形態1の固体撮像装置の各画素の分光特性を示す図である。
【図3】実施形態2の固体撮像装置の各画素の分光特性を示す図である。
【図4】実施形態3の固体撮像装置の各画素の分光特性を示す図である。
【図5】実施形態4の固体撮像装置の画素のカラー配列を示す図である。
【図6】実施形態5の固体撮像装置の構成を示す図であり、図6(A)は平面図、図6(B)はA−A’断面図である。
【図7】実施形態5の固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【図8】多層膜またはフォトニック結晶の面積を画素サイズの面積より大きくした例を示す図である。
【図9】実施形態6の固体撮像装置の構成を示す図であり、図9(A)は平面図、図9(B)はA−A’断面図である。る。
【図10】本技術に係る撮像装置の構成を示す図である。
【図11】従来のカラーフィルタを有する固体撮像装置の一例であり、図11(A)はベイヤー配列を示す図、図11(B)はRGBの画素の分光特性を示す図である。
【図12】従来の固体撮像装置の他の例を示す図であり、図12(A)は平面図、図12(B)はA−A’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術の固体撮像装置及び撮像装置の実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態1
図1は、実施形態1の固体撮像装置の画素のカラー配列を示す図である。図2は、実施形態1の固体撮像装置の各画素の分光特性を示す図である。
この固体撮像装置は、複数行複数列の多数の画素を有し、その配列は、図1に示される2行2列の4画素の繰り返しパターンとなる。その4画素は、2つのW画素21、B’画素22およびR’画素23を有する。W画素21、B’画素22およびR’画素23は、それぞれベイヤー配列のG画素、B画素およびR画素に対応する。
【0016】
図2に示すように、W画素21は、入射される光の全波長を透過する。W画素21は、従来の有機材料のカラーフィルタを有せず、カラーフィルタのあった部分は透明材料で構成される。B’画素22は、従来の有機材料のカラーフィルタの代わりとなる誘電体の多層膜またはフォトニック結晶を有し、この多層膜またはフォトニック結晶は、ある波長X以上の光をカットする。R’画素23は、従来の有機材料のカラーフィルタの代わりとなる誘電体の多層膜またはフォトニック結晶を有し、この多層膜またはフォトニック結晶は、波長Xより高い波長Y以上の光をカットする。
【0017】
これら3つの色信号で色分離、画作りを行う。W画素21、B’画素22およびR’画素23により得られる色信号をそれぞれW、B’およびR’で表し、ベイヤー配列のG画素、B画素およびR画素により得られる信号をそれぞれG、BおよびRで表すと、
Bは B’、
Rは W−R’、
Gは R’−B’ または W−R−B
というように対応付けることができる。
B’画素22およびR’画素23の多層膜またはフォトニック結晶は、屈折率差の大きく、分離特性の良いものが好ましい。
【0018】
このように実施形態1によれば、W画素21により全波長の光からの色信号が得られ、B’画素22の多層膜またはフォトニック結晶により、ある波長X以上の波長領域がカットされた光からの色信号が得られ、R’23画素の多層膜またはフォトニック結晶により、波長Xより高い波長Y以上の波長領域がカットされた光からの色信号が得られる。
このため、W画素21により明るい信号が得られ、B’画素22およびR’23のそれぞれの多層膜またはフォトニック結晶により、従来の有機材料のカラーフィルタに比べ、色分離特性の優れた信号を得ることができる。したがって、固体撮像装置の感度およびS/N比を向上させることができる。
【0019】
実施形態2
図3は、実施形態2の固体撮像装置の各画素の分光特性を示す図である。
実施形態2の固体撮像装置は、図1に示される実施形態1の固体撮像装置と同様の構成であるが、B’画素22およびR’画素23の多層膜またはフォトニック結晶の分光特性が異なる。
図3に示すように、R’画素23は、多層膜またはフォトニック結晶を有し、この多層膜またはフォトニック結晶は、ある波長Y以下の光をカットする。B’画素22は、多層膜またはフォトニック結晶を有し、この多層膜またはフォトニック結晶は、波長Yより低い波長X以下の光をカットする。
このように実施形態2の固体撮像装置を構成しても、実施形態1の固体撮像装置と同様の効果を奏する。
【0020】
実施形態3
図4は、実施形態3の固体撮像装置の各画素の分光特性を示す図である。
実施形態3の固体撮像装置は、図1に示される実施形態1の固体撮像装置と同様の構成であるが、B’画素22およびR’画素23の多層膜またはフォトニック結晶の分光特性が異なる。
図4に示すように、R’画素23は、多層膜またはフォトニック結晶を有し、この多層膜またはフォトニック結晶は、ある波長Y以上の光をカットする。B’画素22は、多層膜またはフォトニック結晶を有し、この多層膜またはフォトニック結晶は、波長Yより低い波長X以下の光をカットする。
このように実施形態3の固体撮像装置を構成しても、実施形態1の固体撮像装置と同様の効果を奏する。
【0021】
実施形態4
図5は、実施形態4の固体撮像装置の画素のカラー配列を示す図である。
図5に示すように、実施形態4の固体撮像装置は、図1に示される実施形態1の固体撮像装置のW画素21、B’画素22およびR’画素23をいわゆるクリアビット配列に構成したものである。
このように実施形態4の固体撮像装置を構成しても、実施形態1の固体撮像装置と同様の効果を奏する。
【0022】
図6は、実施形態5の固体撮像装置の構成を示す図であり、図6(A)は平面図、図6(B)はA−A’断面図である。
実施形態5の固体撮像装置は、複数行複数列の多数の画素を有し、その配列は、図6(A)に示される2行2列の4画素の繰り返しパターンとなる。その4画素は、2つのW画素31、B画素32およびR画素33を有する。この配列の特徴は、B画素32およびR画素33は、互いに隣接せず、かつ、B画素32およびR画素33は、W画素31に隣接して囲まれる点、言い換えれば、B画素32およびR画素33の境界を構成する各辺は、白画素の境界と境界を分かち合う点にある。
W画素31は、入射される光の全波長を透過する。B画素32は、誘電体の多層膜またはフォトニック結晶を有し、この多層膜またはフォトニック結晶は、Bの波長の光を透過する。R画素33は、誘電体の多層膜またはフォトニック結晶を有し、この多層膜またはフォトニック結晶は、Rの波長の光を透過する。
B画素32およびR33の多層膜の材料としては、例えばSi02/SiN、NbO/Si、TaO/Siなどの組み合わせが考えられるが、屈折率差を大きくとれる組み合わせが好ましい。
【0023】
図6(B)に示すように、W画素31、B画素32およびR画素33は、それぞれ半導体基板11に光電変換領域12を形成し、その上部に配線・遮光膜13を形成するまでは同じ構成であるが、その上部の構成が異なる。W画素31の場合には透明材料15が形成され、B画素32およびR画素33の場合には、色分離のための多層膜またはフォトニック結晶14が形成される。これらの上部には、同じ構成のそれぞれのOCL(オンチップレンズ)16が形成される。
【0024】
図7は、実施形態5の固体撮像装置の製造方法を示す図である。
図7(A)に示すように、まず、従来良く知られる方法により、半導体基板11に光電変換領域12が形成され、その上部に配線・遮光膜13に形成される。
次に、図7(B)に示すように、配線・遮光膜13の上部の全面にB画素32の多層膜またはフォトニック結晶14Aが形成され、図7(C)に示すように、B画素32の色分離に必要な部分(多層膜またはフォトニック結晶14)のみ残し不要な部分がエッチングにより除去される。
次に、R画素33に対して図7(B)および図7(C)の工程が繰り返される。
次に、W画素31に透明材料15が埋め込まれて、その上部にOCL(オンチップレンズ)16が形成される。なお、透明材料15が埋め込みは、OCL16の形成工程や平坦化工程と兼ねる場合もある。
【0025】
前述のように、B画素32およびR画素33は、互いに隣接せず、W画素31に隣接して囲まれる。このため、図7(B)の多層膜またはフォトニック結晶14Aの形成工程では、多層膜またはフォトニック結晶14を形成すべき部分およびその周囲は平らにすることができる。このため、先に形成された隣接する他の画素の多層膜に後に形成される画素の多層膜の乗っかってその周辺部が折れ曲がり、折れ曲がった部分の多層膜が半導体基板の表面と平行な方向に重なるような従来の問題点を解消し、半導体基板の表面の垂直方向に多層膜またはフォトニック結晶の各層を形成することができる。したがって、確実に所望の色分離特性を実現するB画素32およびR画素33を構成することができるので、固体撮像装置の感度およびS/N比を向上させることができる。
【0026】
なお、図8に示すように、多層膜またはフォトニック結晶の面積を画素サイズの面積より大きくすれば、混色をいっそう低減することができる。
この実施形態6では、B画素32およびR画素33は、便宜上、それぞれBおよびRの色を透過するものとしている。カラー配列は、2色+全波長、3色+全波長など、色の組み合わせは任意である。実施形態4のようなクリアビット配列も良い。
【0027】
図9は、実施形態6の固体撮像装置の構成を示す図であり、図9(A)は平面図、図9(B)はA−A’断面図である。
図9に示すように、実施形態6の固体撮像装置は、実施形態5の固体撮像装置のW画素31をGの有機材料のカラーフィルタ41を有するG画素40に置き換えたものである。この場合も、B画素32およびR画素33は、互いに隣接せず、G画素40に隣接して囲まれる。Gの有機材料のカラーフィルタ41は、実施形態5の固体撮像装置のW画素31の透明材料15と同様に、B画素32およびR画素33のそれぞれの多層膜またはフォトニック結晶の後に形成することができる。
したがって、先に形成された隣接する他の画素の多層膜に後に形成される画素の多層膜が乗っかってその周辺部が折れ曲がり、折れ曲がった部分の多層膜が半導体基板の表面と平行な方向に重なるような従来の問題点を解消し、半導体基板の表面の垂直方向に多層膜またはフォトニック結晶の各層を形成することができる。したがって、所望の色分離特性を有するB画素32およびR画素33を確実に構成することができるので、固体撮像装置の感度およびS/N比を向上させることができる。
【0028】
以下、本技術を適用した撮像装置の具体例を説明する。
図10は本例のCMOSイメージセンサを用いたカメラ装置の構成例を示すブロック図である。
図10において、撮像部310は、例えば図1〜図9のいずれかに示したイメージセンサを用いて被写体の撮像を行い、撮像信号をメイン基板に搭載されたシステムコントロール部320に出力する。すなわち、撮像部310では、上述したイメージセンサの出力信号に対し、AGC(自動利得制御)、OB(オプティカルブラック)クランプ、CDS(相関二重サンプリング)、A/D変換といった処理を行い、デジタル撮像信号を生成して出力する。
なお、本例では、撮像部310内で撮像信号をデジタル信号に変換してシステムコントロール部320に出力する例について示しているが、撮像部310からアナログ撮像信号をシステムコントロール部320に送り、システムコントロール部320側でデジタル信号に変換する構成であってもよい。また、撮像部310内での処理も種々の方法があり、特に限定しないことは勿論である。
【0029】
また、撮像光学系300は、鏡筒内に配置されたズームレンズ301や絞り機構302等を含み、イメージセンサの受光部に被写体像を結像させるものであり、システムコントロール部320の指示に基づく駆動制御部330の制御により、各部を機械的に駆動してオートフォーカス等の制御が行われる。
【0030】
また、システムコントロール部320には、CPU321、ROM322、RAM323、DSP324、外部インターフェース325等が設けられている。
CPU321は、ROM322及びRAM323を用いて本カメラ装置の各部に指示を送り、システム全体の制御を行う。
DSP324は、撮像部310からの撮像信号に対して各種の信号処理を行うことにより、所定のフォーマットによる静止画または動画の映像信号(例えばYUV信号等)を生成する。
外部インターフェース325には、各種エンコーダやD/A変換器が設けられ、システムコントロール部320に接続される外部要素(本例では、ディスプレイ360、メモリ媒体340、操作パネル部350)との間で、各種制御信号やデータをやり取りする。
【0031】
ディスプレイ360は、本カメラ装置に組み込まれた例えば液晶パネル等の小型表示器であり、撮像した画像を表示する。なお、このようなカメラ装置に組み込まれた小型表示器に加えて、外部の大型表示装置に画像データを伝送し、表示できる構成とすることも勿論可能である。
メモリ媒体340は、例えば各種メモリカード等に撮影された画像を適宜保存しておけるものであり、例えばメモリ媒体コントローラ341に対してメモリ媒体を交換可能なものとなっている。メモリ媒体340としては、各種メモリカードの他に、磁気や光を用いたディスク媒体等を用いることができる。
操作パネル部350は、本カメラ装置で撮影作業を行うに際し、ユーザが各種の指示を行うための入力キーを設けたものであり、CPU321は、この操作パネル部350からの入力信号を監視し、その入力内容に基づいて各種の動作制御を実行する。
【0032】
このようなカメラ装置に、本技術を適用することにより、種々の被写体に関し、高品位の撮影を行うことができる。なお、以上の構成において、システムの構成要素となる単位デバイスや単位モジュールの組み合わせ方、セットの規模等については、製品化の実情等に基づいて適宜選択することが可能であり、本技術の撮像装置は、種々の変形を幅広く含むものとする。
【0033】
また、本技術の固体撮像装置及び撮像装置において、撮像対象(被写体)としては、人や景色等の一般的な映像に限らず、偽札検出器や指紋検出器等の特殊な微細画像パターンの撮像にも適用できるものである。この場合の装置構成としては、図10に示した一般的なカメラ装置ではなく、さらに特殊な撮像光学系やパターン解析を含む信号処理系を含むことになり、この場合にも本技術の作用効果を十分発揮して、精密な画像検出を実現することが可能となる。
さらに、遠隔医療や防犯監視、個人認証等のように遠隔システムを構成する場合には、上述のようにネットワークと接続した通信モジュールを含む装置構成とすることも可能であり、幅広い応用が実現可能である。
【符号の説明】
【0034】
11……半導体基板、12……光電変換領域、13……配線層・遮光膜、14……多層膜またはフォトニック結晶、15……透明材料、16……オンチップレンズ、21……W画素、22……R’画素、23……G’画素。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1の色を透過する有機材料のカラーフィルタを有する第1の色分離画素と、
前記第1の色と異なる第2の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素と、
前記第1および第2の色と異なる第3の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第3の色分離画素とを備え、
前記第2および第3の色分離画素は、互いに隣接せずに、前記第1の色分離画素に隣接するように配列されている
固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1の色分離画素、前記第2の色分離画素および第3の色分離画素は、ベイヤー配列のRGB(red ,green and blue)の画素に対応して配列され、前記第1の色分離画素がGの画素に対応し、前記第1の色分離画素および第2の色分離画素の何れか一方がRの画素に対応し、何れか他方がBの画素に対応する
請求項1項記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1の色分離画素、前記第2の色分離画素および第3の色分離画素は、クリアビット配列のRGBの画素に対応して配列され、前記第1の色分離画素がGの画素に対応し、前記第1の色分離画素および第2の色分離画素の何れか一方がRの画素に対応し、何れか他方がBの画素に対応する
請求項1項記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第1、第2および第3の色と異なる第4の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第4の色分離画素とを備え、
前記第2、第3および第4の色分離画素は、互いに隣接せずに、前記第1の色分離画素に隣接するように配列されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記第2および第3の色分離画素の多層膜またはフォトニック結晶の面積は、前記第2および第3の色分離画素のそれぞれの画素サイズの面積より大きい
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
固体撮像装置を用いた撮像部と、前記撮像部を制御する制御部と、前記撮像部を操作する操作部とを有し、
前記固体撮像装置は、
所定の第1の色を透過する有機材料のカラーフィルタを有する第1の色分離画素と、
前記第1の色と異なる第2の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素と、
前記第1および第2の色と異なる第3の色を透過する多層膜またはフォトニック結晶を有する第3の色分離画素とを備え、
前記第2および第3の色分離画素は、互いに隣接せずに、前記第1の色分離画素に隣接するように配列されている
撮像装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−95316(P2012−95316A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263632(P2011−263632)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【分割の表示】特願2007−41107(P2007−41107)の分割
【原出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】