説明

固体撮像装置及び電子機器

【課題】画素サイズの微細化に伴う飽和信号量のばらつきを抑制できる固体撮像装置を提供する。
【解決手段】画素共有単位がアレイ状に配列された画素部と、画素共有単位の各転送トランジスタの転送ゲート電極に接続されて、上面から見て水平方向に延長しかつ垂直方向に並行して配列された転送配線35〜38を有する。さらに、上面から見て画素共有単位内の所要の転送配線に隣接して、転送配線と並行して配列された並行配線57〜60を有する。そして、並行配線に、転送ゲート電極の電位変動を抑制する電圧が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、及びこの固体撮像装置を備えたカメラ等に適用される電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置として、CMOS固体撮像装置が知られている。CMOS固体撮像装置は、電源電圧が低く、低消費電力のため、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、さらにカメラ付き携帯電話などの各種携帯端末機器、等に使用されている。
【0003】
CMOS固体撮像装置は、光電変換部であるフォトダイオードと複数の画素トランジスタからなる画素が複数、規則性をもって2次元アレイ状に配列された画素部と、画素部の周辺に配置された周辺回路部とを有して構成される。
【0004】
従来の表面照射型CMOS固体撮像装置は、光学的な観点から画素部に設けられた配線を光電変換部であるフォトダイオード上になるべく配置しないように、配線と配線の間隔を最小デザインルールで規定した間隔にして構成するのが一般的である。
【0005】
表面照射型CMOS固体撮像装置では、一般的に蓄積時間が長い場合や入射光量が大きい場合に、フォトダイオードでの蓄積電荷がフォトダイオードの容量を超えてオーバーフローし、ブルーミングと呼ばれる現象が発生し、画質劣化の一因となっていた。そのため、縦型オーバーフローと呼ばれる基板側に電荷を逃がす構造にして、ブルーミング防止に対処している。すなわち、転送ゲートがオフになっている状況で、ポテンシャルが低い電位となるように設計し、飽和信号量Qsの低下を防ぐと共に、先の転送ゲートの電位変動に対してほとんど影響しないように設計し、飽和信号量のばらつきを回避している。
【0006】
また、最近は裏面照射型CMOS固体撮像装置が注目されている(特許文献1、2参照)。裏面照射型CMOS固体撮像装置では、光入射が配線を配置した側とは反対側の基板裏面になることで、画素部の配線はフォトダイオード上にも配置することが可能になり、レイアウト自由度が飛躍的に向上する。画素サイズの微細化に伴い、複数のフォトダイオードに転送トランジスタを除く他の1つの画素トランジスタ群を共有させた画素共有方式のCMOS体撮像装置も知られている(特許文献3、4参照)。
【0007】
画素サイズが1.5μm程度までは画素共有方式によって配線と配線の間隔をそれほど密にせずともレイアウトすることが可能である。また、裏面照射型CMOS固体撮像装置では、ブルーミング対策として、横型オーバーフローを形成することが一般的である。横型オーバーフローは、転送ゲート下からフローティングディフージョン部を通じて電荷を逃がすようにしている。裏面照射型CMOS固体撮像装置では、横型オーバーフロー構造の影響で転送ゲートの電位変動に対して不利である。しかし、画素サイズが大きいときには転送配線間の間隔を比較的大きくとれることや、画素開口率が最大にはならないが転送配線間の間隔をとりやすい共有方式を採用することで転送配線間のカップリングを比較的小さくし、上記問題を回避してきた。すなわち、画素サイズが大きいと配線間隔が密になることがないので、転送配線間のカップリングによる転送ゲートの電位変動で信号をロスするという問題が生じない。また、画素共有方式を転送配線間が密にならないように縦4画素で共有することで、転送ゲートの電位変動による信号ロスの問題が生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−115994号公報
【特許文献2】特開2003−31785号公報
【特許文献3】特開2008−294218号公報
【特許文献4】特開2009−135319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば1μm程度以下に画素サイズの微細化が進むと、裏面照射型CMOS固体撮像装置では、画素部での配線の配置自由度が高いと言っても、隣接配線同士の間隔が相対的にデザインルールで規定される間隔に近いものになってくる。また、画素サイズの微細化によりフォトダイオードの開口率を最大化するために、横2×縦2n(n=1、2、・・)画素共有単位を用いるようになると、必然的に配線を密集させなければならなくなり、隣接配線同士の間隔が小さくなる。
【0010】
このように隣接配線同士の間隔が小さくなると、配線間の容量結合が無視できなくなる。特に、転送ゲートにパルス電圧を供給する転送配線では、他の配線の影響で転送ゲートのオフ時電圧が変動すると、転送ゲート下のシリコン内のポテンシャルが変動する。このポテンシャル変動で、フォトダイオードに蓄積されている電荷がフローティングディフージョン部(FD)に漏れ出してしまい、飽和信号量(Qs)が変化したり、各フォトダイオード間の飽和信号量のばらつきが大きくなる等の可能性がある。そのため、飽和信号量の仕様を低く設定せざるを得なくなり撮像特性上の問題となる。
【0011】
特に、裏面照射型CMOS固体撮像装置の場合、前述のように構造上の問題で横型オーバーフロー型にする必要がある。すなわち、意図的に転送ゲートがオフ状態でも転送ゲート下のポテンシャルを表面照射型CMOS固体撮像装置と比較しても相対的に高い電位にして、オーバーフローし易いようにやや転送ゲート下を開き気味にする必要がある。そのため、転送ゲート電圧の変動に対してシリコン内のポテンシャル変動は、表面照射型CMOS固体撮像装置のそれと比較しても大きくなる。結果として、飽和信号量の低下や容量結合の影響の受け方次第では飽和信号量のばらつきが大きくなるという問題がある。
【0012】
本発明は、上述の点に鑑み、画素サイズの微細化に伴う飽和信号量のばらつきを抑制できる固体撮像装置を提供するものである。
本発明は、かかる固体撮像装置を備えたカメラなどに適用される電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る固体撮像装置は、複数の光電変換部に転送トランジスタを除く他の1つの画素トランジスタ群を共有させた画素共有単位がアレイ状に配列された画素部を有する。画素部では、画素共有単位の各転送トランジスタの転送ゲート電極に接続されて、上面から見て水平方向に延長しかつ垂直方向に並行して配列された転送配線を有する。さらに、上面から見て画素共有単位内の所要の転送配線に隣接して、転送配線と並行して配列された並列配線を有する。そして、並列配線に、転送ゲート電極の電位変動を抑制する電圧が供給される。この電圧としては、パルス電圧あるいは一定電圧とするのが好ましい。
【0014】
本発明の固体撮像装置では、転送配線に隣接して転送配線の電位変動を抑制する電圧を供給する並行配線を有するので、各転送配線間の容量結合の影響が低減し、画素駆動時の転送ゲート電極の電位変動が抑制される。
【0015】
本発明に係る固体撮像装置は、光電変換部と画素トランジスタとからなる単位画素がアレイ状に配列された画素部を有する。画素部では、各単位画素の画素トランジスタを構成する転送トランジスタが転送ゲート電極に接続されて、上面から見て水平方向に延長しかつ垂直方向に並行して配列された転送配線を有する。さらに、最外側転送配線に隣接して上面から見て転送配線と並行して配列された並列配線を有し、少なくとも一方の並列配線にパルス電圧が供給される。
【0016】
本発明の固体撮像装置では、最外側転送配線に隣接して並行配線が配列され、少なくとも一方の並行配線にパルス電圧が供給されるので、各転送配線間の結合容量が同等になり、画素駆動時の転送ゲート電極の電位変動が抑制される。
【0017】
本発明に係る電子機器は、固体撮像装置と、固体撮像装置のフォトダイオードに入射光を導く光学系と、固体撮像装置の出力信号を処理する信号処理回路とを備える。固体撮像装置は、上記の本発明の固体撮像装置で構成される。画素駆動時の転送ゲート電極の電位変動が抑制される。
【0018】
本発明の電子機器では、上記本発明の固体撮像装置を備えるので、画素駆動時の転送ゲート電極の電位変動が抑制される。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る固体撮像装置によれば、画素駆動時の転送ゲート電極の電位変動が抑制されるので、画素サイズの微細化に伴う飽和信号量のばらつきを抑制することができる。
【0020】
本発明に係る電子機器によれば、固体撮像装置において、画素駆動時の転送ゲート電極の電位変動が抑制されるので、画素サイズの微細化に伴う飽和信号量のばらつきを抑制することができる。従って、画質が向上した高品質の電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る固体撮像装置の第1実施の形態を示す要部の概略構成図である。
【図2】第1実施の形態のさらに詳細に示した要部の概略構成図である。
【図3】本発明に係る固体撮像装置の第2実施の形態を示す要部の概略構成図である。
【図4】本発明に係る固体撮像装置の第3実施の形態を示す要部の概略構成図である。
【図5】本発明に係る固体撮像装置の第4実施の形態を示す要部の概略構成図である。
【図6】本発明に係る固体撮像装置の第5実施の形態を示す要部の概略構成図である。
【図7】本発明に係る固体撮像装置の第6実施の形態を示す要部の概略構成図である
【図8】本発明に係る固体撮像装置に適用されるCMOS固体撮像装置の一例を示す概略構成図である。
【図9】単位画素の一例を示す等価回路図である。
【図10】単位画素の他の例を示す等価回路図である。
【図11】画素共有単位の例を示す等価回路図である。
【図12】本発明の第7実施の形態に係る電子機器を示す要部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.CMOS固体撮像装置の概略構成例
2.第1実施の形態(固体撮像装置の構成例)
3.第2実施の形態(固体撮像装置の構成例)
4.第3実施の形態(固体撮像装置の構成例)
5.第4実施の形態(固体撮像装置の構成例)
6.第5実施の形態(固体撮像装置の構成例)
7.第6実施の形態(固体撮像装置の構成例)
8.第7実施の形態(電子機器の構成例)
【0023】
<1.CMOS固体撮像装置の概略構成例>
図8に、本発明の各実施の形態に適用されるCMOS固体撮像装置の一例の概略構成を示す。本例の固体撮像装置1は、図8に示すように、半導体基板11例えばシリコン基板に光電変換部を含む複数の画素2が規則的に2次元アレイ状に配列された画素部(いわゆる撮像領域)3と、周辺回路部とを有して構成される。画素2としては、1つの光電変換部と複数の画素トランジスタからなる単位画素を適用することができる。また、画素2としては、複数の光電変換部に転送トランジスタ除く他の1つの画素トランジスタ群を共有させたいわゆる画素共有の構造を適用することができる。複数の画素トランジスタは、後述するように、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅トランジスタの3トランジスタ、あるいは選択トランジスタを追加した4トランジスタで構成することができる。
【0024】
周辺回路部は、垂直駆動回路4と、カラム信号処理回路5と、水平駆動回路6と、出力回路7と、制御回路8などを有して構成される。
【0025】
制御回路8は、入力クロックと、動作モードなどを指令するデータを受け取り、また固体撮像装置の内部情報などのデータを出力する。すなわち、制御回路8では、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基いて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5及び水平駆動回路6などの動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、これらの信号を垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5及び水平駆動回路6等に入力する。
【0026】
垂直駆動回路4は、例えばシフトレジスタによって構成され、画素駆動配線を選択し、選択された画素駆動配線に画素を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素を駆動する。すなわち、垂直駆動回路4は、画素部3の各画素2を行単位で順次垂直方向に選択走する。そして、垂直信号線9を通して各画素2の光電変換素子となる例えばフォトダイオードにおいて受光量に応じて生成した信号電荷に基く画素信号をカラム信号処理回路5に供給する。
【0027】
カラム信号処理回路5は、画素2の例えば列ごとに配置されており、1行分の画素2から出力される信号を画素列ごとにノイズ除去などの信号処理を行う。すなわちカラム信号処理回路5は、画素2固有の固定パターンノイズを除去するためのCDSや、信号増幅、AD変換等の信号処理を行う。カラム信号処理回路5の出力段には水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線10との間に接続されて設けられる。
【0028】
水平駆動回路6は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から画素信号を水平信号線10に出力させる。
【0029】
出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線10を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。例えば、バファリングだけする場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理などが行われる場合もある。入出力端子12は、外部と信号のやりとりをする。
【0030】
図9に、単位画素の一例の等価回路を示す。本例に係る単位画素21は、破線で囲まれた光電変換部となるフォトダイオードPDと、3つの画素トランジスタとから構成される。3つの画素トランジスタは、転送トランジスタTr1、リセットトランジスタTr2及び増幅トランジスタTr3から構成される。ここでは、これら画素トランジスタTr1〜Tr3として、例えばnチャネルのMOSトランジスタが用いられる。
【0031】
フォトダイオードPDは、転送トランジスタTr1に接続される。転送トランジスタTr1は、フローティングディフージョン部FDを介してリセットトランジスタTr2に接続される。フォトダイオードPDで光電変換され、ここに蓄積された信号電荷(ここでは、電子)は、転送トランジスタTr1のゲートに転送配線14を通して転送パルスφTRGが与えられることによってフローティングディフージョン部FDへ転送される。
【0032】
フローティングディフージョン部FDは、増幅トランジスタTr3のゲートに接続される。ここでは、リセットトランジスタTr2のソース(転送トランジスタTr1のドレイン)がフローティングディフージョン部FDとして構成される。フォトダイオードPDからフローティングディフージョン部FDへの信号電荷の転送に先立って、リセットゲートにリセット配線15を通してリセットパルスφRSTが与えられることによってフローティングディフージョン部FDの電位がリセットされる。
【0033】
増幅トランジスタTr3のソースが垂直信号線9に接続される。画素の選択・非選択の区別はフローティングディフージョン部FDの電位によってなされる。増幅トランジスタTr3は、リセットトランジスタTr2によってリセットした後のフローティングディフージョン部FDの電位をリセットレベルとして垂直信号線9に出力する。さらに増幅トランジスタTr3は、転送トランジスタTr1によって信号電荷を転送した後のフローティングディフージョン部FDの電位を信号レベルとして垂直信号線9に出力する。
【0034】
図10に、単位画素の他の例の等価回路を示す。本例に係る単位画素22は、光電変換部となるフォトダイオードPDと、4つの画素トランジスタとから構成される。4つの画素トランジスタは、転送トランジスタTr1、リセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3および選択トランジスタTr4から構成される。ここでは、これら画素トランジスタTr1〜Tr4として、例えばnチャネルのMOSトランジスタが用いてられる。
【0035】
フォトダイオードPDは、転送トランジスタTr1に接続される。転送トランジスタTr1は、フローティングディフージョン部FDを介してリセットトランジスタTr2に接続される。フォトダイオードPDで光電変換され、ここに蓄積された信号電荷(ここでは、電子)は、転送トランジスタTr1のゲートに転送配線14を通して転送パルスφTRGが与えられることによってフローティングディフージョン部FDに転送される。
【0036】
フローティングディフージョン部FDは、増幅トランジスタTr3のゲートに接続される。フォトダイオードPDからフローティングディフージョン部FDへの信号電荷の転送に先立って、リセットゲートにリセット配線15を通してリセットパルスφRSTが与えられることによってフローティングディフージョン部FDの電位がリセットされる。
【0037】
増幅トランジスタTr3のソースが、選択トランジスタTr4のドレインに接続され、選択トランジスタのソースが垂直信号線9に接続される。選択トランジスタTr4のゲートに選択配線16を通して選択パルスφSELが与えられることによってオン状態となり、画素が選択される。増幅トランジスタTr3は、リセットトランジスタTr2によってリセットした後のフローティングディフージョン部FDの電位をリセットレベルとして選択トランジスタTr4を介して垂直信号線9に出力する。さらに増幅トランジスタTr3は、転送トランジスタTr1によって信号電荷を転送した後のフローティングディフージョン部FDの電位を信号レベルとして選択トランジスタTr4を介して垂直信号線9に出力する。なお、選択トランジスタ115を、増幅トランジスタTr3のドレイン側に接続した構成を採ることも可能である。このときは、増幅トランジスタTr3のソースが垂直信号線9に接続される。
【0038】
図11に、複数画素共有の等価回路を示す。図11では、2画素共有単位23、4画素共有単位24、8画素共有単位25をそれぞれ示している。例えば、2画素共有単位23は、2つの光電変換部となるフォトダイオードPD1、PD2に、転送トランジスタTr11、Tr12をのぞく他の1つの画素トランジスタ群を共有させて構成される。即ち、2画素共有単位23は、2つのフォトダイオードPDと、2つの転送トランジスタTr11及びTr12と、各1つのフローティングディフージョンFD、リセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3及び選択トランジスタTr4とにより構成される。なお、選択トランジスタを省略する構成もある。各フォトダイオードPD1、PD2にそれぞれに対応して転送トランジスタTr11、Tr12が接続される。各転送トランジスタTr11、Tr12が、共有するフローティングディフージョン部FDを介してリセットトランジスタTr2に接続され、フローティングディフージョン部FDが増幅トランジスタTr3のゲートに接続される。増幅トランジスタTr3のソースは、選択トランジスタTr4のドレインに接続される。選択トランジスタTr4のソースは垂直信号線9に接続される。各転送トランジスタTr11、Tr12のゲートに、それぞれ転送配線31、32を通して転送パルスφTG1、φTG2が印加される。リセットトランジスタTr2のゲートに、リセット配線15を通してリセットパルスφRSTが印加される。選択トランジスタTr4のゲートに、選択配線16を通して選択パルスφSELが印加される。
【0039】
4画素共有単位24は、2画素共有単位23の回路構成にさらに2つのフォトダイオードPD3、PD4と、2つの転送トランジスタTr13、Tr14を追加して構成される。すなわち、計4つのフォトダイオードPD[PD1〜PD4]に対応する4つの転送トランジスタTr11〜Tr14が接続され、各転送トランジスタTr11〜Tr14のソースがフローティングディフージョン部FDに共通に接続される。
【0040】
8画素共有単位25は、4画素共有単位24の回路構成にさらに4つのフォトダイオードPD5〜PD8と、4つの転送トランジスタTr15〜Tr18を追加して構成される。すなわち、計8つのフォトダイオードPD[PD1〜PD8]に対応する8つの転送トランジスタTr11〜Tr18が接続され、各転送トランジスタTr11〜Tr18のソースがフローティングディフージョン部FDに共通に接続される。
【0041】
図9、図10、図11のいずれの場合も、リセットトランジスタ及び増幅トランジスタのドレイン端子t1及びt2にはある電圧が供給されるが、共通/非共通、一定(固定)電圧、パルス駆動による電圧供給か、方法は問わない。通常は、ドレイン端子t1、t2に電源VDDが接続される。2系統の電源とすることもできる。すなわち、リセットトランジスタと増幅トランジスタのドレインを共通にするか、あるいは非共通(それぞれ独立)とすることもできる。独立した場合はそれぞれ異なる電源電圧に設定することも可能である。また、いずれも電源電圧を想定しているので通常は一定(固定)電圧であるが、駆動時のみ高い電圧をいれるようなパルス駆動としても問題はない。
【0042】
本発明の基本的な考え方について説明する。CMOS固体撮像装置では、飽和信号量の減少を避けるために、転送ゲートの電位変動に起因するシリコン内のポテンシャルの変動を抑制することが考えられるが、実現するのは非常に難しい。すなわち、現実的には配線間の容量結合が少なからず存在するので、上記ポテンシャル変動の抑制が困難である。また、裏面照射型CMOS固体撮像装置では、画質劣化に対して横型オーバーフローを形成することが必須であり、転送ゲートがオフ時に表面照射型CMOS固体撮像装置と比較して相対的に低い電位を保つことも現実的に厳しい。
【0043】
飽和信号量のばらつきを抑制するために、転送ゲートの電位変動を均一にすることができれば、転送ゲート下のシリコン内ポテンシャルの変動も同じになり、飽和信号量のばらつきはなくなる。転送ゲートの電位変動を均一にするためには、画素部における配線配置という視点からの対応が必要になる。そこで、画素部における配線の配置を工夫することで転送配線と他配線との結合容量を均一化することができれば、転送配線の電位変動が各転送ゲートで同じになり、飽和信号量のばらつきを抑制することが可能になる。本発明は、このような考えを基に、飽和信号量のばらつきを抑制できるCMOS固体撮像装置を構成するものである。
【0044】
本発明では、上述の構成を有する画素が2次元アレイ状に配列されている全ての固体撮像装置に対して実施可能である。特に画素共有のCMOS固体撮像装置に適用して好適である。 また、本発明では、裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用して好適である。
【0045】
<2.第1実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図1に、本発明に係る固体撮像装置の第1実施の形態を示す。本実施の形態は、4画素、8画素、あるいは横2×縦2n(nは正の整数、すなわちn=1、2、3、・・)画素の画素共有単位を2次元アレイ状に配列した裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用できる。これらの画素共有単位は、共有画素数にかかわらず、横2×縦2の計4画素が1単位となるため、図1は、この横2×縦2の計4画素の1単位を用いて説明する。
【0046】
第1実施の形態に係る固体撮像装置は、8画素共有単位を2次元アレイ状に配列した裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用した場合である。第1実施の形態に係る固体撮像装置41は、図1に示すように、8画素のフォトダイオードPD[PD1〜PD8]を配列した8画素共有単位42が2次元アレイ状に配列されて画素部が構成される。裏面照射型CMOS固体撮像装置41では、通常のように、半導体基板の表面側に画素トランジスタが形成され、その上方に層間絶縁膜を介してメタル層による複数層の配線を配置した配線層が形成される。半導体基板の裏面側にカラーフィルタ層及びオンチップレンズが形成され、基板裏面側から光入射される。すなわち、裏面照射型は、配線層が光入射面と反対側に形成された構成を有する。
【0047】
8画素共有単位42は、横2×縦2の計4つのフォトダイオードPDに対して1つのフローティングディフージョン部FDを共有する構成が、縦に2組配列される。すなわち、横2×縦2の計4画素を1単位とする第1構成部43と第2構成部44が縦方向に配置される。
【0048】
上側の1構成部43は、4つのフォトダイオードPD1〜PD4と、この4つのフォトダイオードPD1〜PD4に対して4つの転送ゲート電極461〜464と、1つの第1フローティングディフージョン部FD1を有して構成される。各フォトダイオードPD1〜PD4と、第1フローティングディフージョン部FD1と、各転送ゲート電極461〜464とにより、転送トランジスタTr11〜Tr14が構成される。フローティングディフージョン部FD1は、4つのフォトダイオードPD1〜PD4に囲まれた中央部に配置され、各転送ゲート電極461〜464は、各フォトダイオードPD1〜PD4のコーナ部に対応する位置に配置される。
【0049】
下側の第2構成部44は、4つのフォトダイオードPD5〜PD8と、この4つのフォトダイオードPD5〜PD8に対して4つの転送ゲート電極465〜468と、1つの第2フローティングディフージョン部FD2を有して構成される。各フォトダイオードPD5〜PD8と、第2フローティングディフージョン部FD2と、各転送ゲート電極465〜468とにより、転送トランジスタTr15〜Tr18が構成される。フローティングディフージョン部FD2は、4つのフォトダイオードPD5〜PD8に囲まれた中央部に配置され、各転送ゲート電極465〜468は、各フォトダイオードPD5〜PD8のコーナ部に対応する位置に配置される。
【0050】
第1構成部43と第2構成部44との間に選択トランジスタTr4及び増幅トランジスタTr3が配置される。下側の第2構成部44の下側にリセットトランジスタTr2が配置される。選択トランジスタTr4は、一対のソース/ドレイン領域47及び48と、選択ゲート電極51を有して構成される。増幅トランジスタTr3は、一対のソース/ドレイン領域48及び49と、増幅ゲート電極52を有して構成される。リセットトランジスタTr2は、一対のソース/ドレイン領域53及び54と、リセットゲート電極55を有して構成される。上記各ゲート電極は、例えばポリシリコン膜で形成される。第1フローティングディフージョン部FD1と第2フローティングディフージョン部FD2は、共に増幅トランジスタTr3の増幅ゲート電極52及びリセットトランジスタTr2のソース領域に接続される。
【0051】
本実施の形態の特徴的構成を、図1の破線で囲う下側の第2構成部44と、リセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3及び選択トランジスタTr4を有する(横2×縦2)画素について説明する。上側の第1構成部43においてもほぼ同様の構成となる。
【0052】
上面から見て各転送ゲート電極465〜468に電気的に接続された転送配線35〜38が、画素部の水平方向に延長し、かつ垂直方向に並行するように、所要の間隔をもって配列される。例えば、4本の転送配線35〜38のうち、少なくとも1本の転送配線がフォトダイオードPDの中心付近を横切るように並行して配置される。本例では、フォトダイオードPDの中心付近を転送配線35、38が横切るようになす。このときに、4本の転送配線35〜38は、線幅と配線間の間隔がそれぞれ同一であることが好ましいが、必ずしも同一にする必要はない。4本の転送配線35〜38は、後述する同一層内あるいは異なる層のメタル層を用いて上面から見て並走することが必要である。
【0053】
最外側転送配線35、38の外側には、これに隣接して上面から見て転送配線35,38と並行する後述の並行配線が配列される、少なくとも一方の並行配線がパルス電圧を供給する配線とされる。本例では、最外転送配線35及び38に対して、それぞれ2本の並行配線57、59及び58、60が配置される。例えば、読み出しが下側の転送配線38から順に上側の転送配線35に向かって行われる場合は、少なくとも一方の並行配線、すなわち下側の最外転送配線38側の並行配線58、60のいずれか1本の並行配線にパルス電圧が供給される。逆に、読み出しが上側の転送配線35から順に下側の転送配線38に向かって行われる場合は、少なくとも一方の並行配線、すなわち上側の最外転送配線35側の並行配線57、58のいずれか1本の並行配線にパルス電圧が供給される。一方の最外転送配線側の1本の並行配線にパルス電圧を供給するだけで十分である。両最外転送配線側のそれぞれの1本宛ての並行配線、すなわち2本の並行配線に同時にパルス電圧を供給するような構成にした場合には、変動が大きくなるので逆に好ましくない。例えば、転送配線37は、転送配線38からしか影響を受けないので、同程度の影響を転送配線38が受けるようになることが好ましい。並行配線は、転送配線35〜38と同じ層のメタル層で形成するか、互いに上下隣接する層のメタル層で形成することができる。
【0054】
本例では、最外側転送配線35、38の外側に、上面から見て転送配線35、38と並行するように、並行配線57〜60が配列される。すなわち、転送配線35の外側に並行配線57及び59が配列され、転送配線38の外側に並行配線58及び60が配列される。
【0055】
並行配線57は、増幅トランジスタTr3及び選択トランジスタTr4上に沿って配列される。並行配線59は、並行配線57と転送配線35との間に配列される。並行配線58は、リセットトランジスタTr2上に沿って配列され、並行配線60は、並行配線58と転送配線38との間に配列される。
【0056】
例えば、転送配線35〜38と、及び平行配線57及び58は、同一の層のメタル層で形成され、並行配線59及び60は、転送配線35〜38、並行配線57及び58のメタル層の上または下に隣接する層のメタル層で形成される。
【0057】
また、4本の転送配線35〜38については、上下隣接する2層のメタル層に分けて互いに並走するように形成することもできる。このときは、上面から見て4本の転送配線が並走する。
【0058】
さらに他の例として、4本の転送配線35〜38については、上下隣接する2層のメタル層で分けて、上下の転送配線が重なるように並行して形成することもできる。最新の先端プロセスでは、層間の厚みが薄くなり、同一層内の配線間の間隔に近い厚みとすることも可能であり、各転送配線35〜38の相互間の距離を揃えることが可能となる。従って、この場合も、4つの転送配線35〜38の配線間の結合容量を均一にすることができる。
【0059】
並行配線57、58、59、60には、一定電圧またはパルス電圧が与えられる。一定電圧としては、例えば電源電圧またはグランド電圧とすることができる。パルス電圧としては、転送パルス以外のパルス電圧、例えばリセットパスル、選択パスルとすることができる。
【0060】
例えば、並行配線57、59の場合、並行配線57にパルス電圧を与え、並行配線59に一定電圧を与える。逆に、並行配線57に一定電圧を与え、並行配線59にパルス電圧を与える。並行配線58、60の場合、並行配線58にパルス電圧を与え、並行配線60に一定電圧を与える。逆に、並行配線58に一定電圧を与え、並行配線60にパルス電圧を与える。
【0061】
具体例としては、パルス電圧をリセットパルス電圧、選択パルス電圧とし、一定電圧を電源電圧とすることができる。すなわち、上側の並行配線59を選択ゲート電極51に接続する選択配線とし、その外側の並行配線57を電源配線とし、下側の並行配線60をリセットゲート電極55に接続するリセット配線とし、その外側の並行配線58を電源配線とすることができる。あるいは、その逆に、上側の並行配線59を電源配線とし、その外側の並行配線57を選択配線とし、下側の並行配線60を電源配線とし、その外側の並行配線58をリセット配線とすることができる。図1の例では、2系統の電源を用いるので、転送配線35〜38の両外側の並行配線57、58または59、60に供給される一定電圧は、それぞれの電源電圧となる。
【0062】
本実施の形態では、各転送配線35〜38とその隣接する配線との間の結合容量が同じになるように、転送配線35〜38及びその外側のパルス電圧を供給する並行配線59、60または57、58の各間隔が実質的に同じになるように配置することが好ましい。例えば、並行配線59、60にパルス電圧が供給される場合、並行配線59、58にパルス電圧が供給される場合のいずれに対しても、各隣接する配線間隔は、実質的に等間隔となるように形成することが好ましい。
【0063】
図2を用いて、第1実施の形態をより詳しく説明する。図2は、2組の8画素共有単位42を垂直方向に配列した構成を示す。図示の例では、並行配線59を選択パルスφSEL供給の選択配線とし、並行配線60をリセットパルスφRST供給のリセット配線とし、並行配線57、58を電源電圧供給の電源配線とした場合である。以下、各並行配線を選択配線59、リセット配線60、電源配線59、58という。
【0064】
本例では、8画素共有単位42内において、選択配線59が電源配線となる並行配線57を挟んで両側に並行に配置される。2本の選択配線59は互いに電気的に接続される。また、下側の電源配線58の外側に、フォトダイオードPD、画素トランジスタが形成される半導体ウェル領域に安定したウェルコンタクト電圧、すなわちグランド電圧を供給するためのグランド配線61が配列される。図2においては、転送配線31〜38がそれぞれ対応する転送トランジスタTr11〜Tr18(符号は図1参照)の各転送ゲート電極461〜468(符号は図1参照)に電気的に接続される。
【0065】
上述した第1実施の形態に係る固体撮像装置によれば、転送配線35〜38が並行して配列され、最外側転送配線35、38に隣接するように並行配線57,59及び58、60が配列される。そして、並行配線59と60、あるいは57と58をパルス配線とするとき、転送配線35〜38は最外側転送配線35,38を含めて全てパルス配線が至近距離に存在する。従って、画素駆動時に全ての転送配線35〜38は容量結合で同等の電位変動となり、画素間の飽和信号量のばらつきを抑制することができる。すなわち、画素サイズを微細化していっても、転送ゲート電極の電位変動を抑制でき、転送ゲート下のシリコン内ポテンシャル変動を抑えることができ、画素間の飽和信号量のばらつきを抑えることができる。このため、飽和信号量の仕様を高く設定することができ、画素特性(飽和信号量)を上げることができる。
任意にしている配線間隔をデザインルール内で変更できるので、この配線間隔を変化させることで微調整することが可能になる。
【0066】
並行配線のうちのいずれか一方の並行配線57又は59、あるいは58又は60をパルス電圧供給の配線とするときも、各転送配線35〜38での隣接配線間の結合容量が均一化され、転送ゲート電極の電位変動を抑制することができる。従って、画素サイズを微細化していっても、転送ゲート下のシリコン内ポテンシャル変動を抑えることができ、画素間の飽和信号量のばらつきを抑えることができる。
【0067】
少なくとも一方の並行配線をパルス電圧供給線とすることの効果を説明する。4本並走する転送配線35〜38は、最外転送配線を除いて1本の隣接転送配線から影響を受ける。そのため、最外転送配線もパルス電圧が供給される1本の隣接並行配線から影響受けることで、他の転送配線と同様の影響を受けるようになり好ましい。配線の間隔で制御できる面もあり、両最外転送配線に隣接する2本の並行配線ともにパルス電圧供給配線としても、電位変動を均一化することは不可能ではない。ただし、両方とも一定電圧であると電位変動が起きず、例えば転送配線35〜37と、転送配線38では電位変動が異なるため、飽和信号量のばらつきが生じる。
一方、一定電圧を供給する並行配線があることで、最外配線の電位変動量を均一化しやすくなる。2本のうち1本の並行配線がパルス配線であると、最外転送配線38は1本のパルス配線から影響を受け、中にある例えば転送配線35〜37と同程度の影響を受け易い。しかし、2本ともパルス配線であると1本はかなり間隔をあける必要がある。そうしないと最外転送配線の電位変動が大きくなり、飽和信号量のばらつき抑制にはなりにくくなる。
【0068】
上面から見て、転送配線を水平方向に少なくとも1本、本例では転送配線35、38をフォトダイオードPD上、好ましくはフォトダイオードPDの中心付近を通るように配置することにより、転送配線35〜38の間隔を広くとることができる。転送配線間の間隔を広くした分、配線間の容量結合の影響を低減でき、さらに電荷蓄積時のゲート下のポテンシャ変動を抑制することができ、飽和信号量のばらつきを抑制することができる。特に、裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用して好適である。
【0069】
<3.第2実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図3に、本発明に係る固体撮像装置の第2実施の形態を示す。本実施の形態は、4画素、8画素、あるいは横2×縦2n(nは正の整数、すなわちn=1、2、3、・・)画素の画素共有単位を2次元アレイ状に配列した裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用できる。これらの画素共有単位は、共有画素数にかかわらず、横2×縦2の計4画素が1単位となるため、図3は、図1と同様に、この横2×縦2の計4画素の1単位を用いて説明する。
【0070】
第2実施の形態に係る固体撮像装置は、8画素共有単位を2次元アレイ状に配列した裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用した場合である。第2実施の形態に係る固体撮像装置71は、図1の第1実施の形態に係る固体撮像装置41において、さらに転送配線35〜38の配線間と、最外側転送配線35、38とこれらに隣接する並行配線59、60との間にシールド配線63を挿入して構成される。このシールド配線63は、電源電圧またはグランド電圧に固定することが望ましいが、電位的にフローティングでもよい。シールド配線63は、転送配線35〜38と同層のメタル層で形成することが望ましが、転送配線となるメタル層に隣接する上又は下のメタル層で形成することも可能である。このシールド配線63は、転送配線35〜38同士あるいは最外側転送配線35,38と隣接する並行配線、例えば並行配線59、60との直接的な容量結合を排除するための配線となる。
【0071】
その他の構成は、図1、図2を用いて説明した第1実施の形態と同様であるので、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0072】
第2実施の形態に係る固体撮像装置71によれば、転送配線35〜38の配線間と、最外側転送配線35、38とこれらに隣接する並行配線59、60との間に、シールド配線63が挿入されることにより、転送配線間同士の直接的な容量結合が排除される。これによって、画素駆動時に全ての転送配線35〜38での電位変動が抑制され、画素間の飽和信号量のばらつきを抑制することができる。この固体撮像装置71では、図1で説明した、最外側転送配線35、38に隣接して並行配線によるパルス配線を配置したことによる効果と相俟って、さらなる飽和信号量のばらつきが抑制される。従って、画素サイズを微細化していっても、転送ゲート下のシリコン内ポテンシャル変動を抑えることができ、画素間の飽和信号量のばらつきを抑えることができる。このため、飽和信号量の仕様を高く設定することができ、画素特性を上げることができる。
ただし、デザインルール的にシールド配線の挿入が困難であったり、無理に間隔を最小幅にしてシールド配線を挿入しても製造上の歩留りの観点で効果が得られない場合には、シールド配線は挿入しない。
【0073】
<4.第3実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図4に、本発明に係る固体撮像装置の第3実施の形態を示す。本実施の形態は、4画素、8画素、あるいは横2×縦2n(nは正の整数、すなわちn=1、2、3、・・)画素の画素共有単位を2次元アレイ状に配列した裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用できる。これらの画素共有単位は、共有画素数にかかわらず、横2×縦2の計4画素が1単位となるため、図4は、図1と同様に、この横2×縦2の計4画素の1単位を用いて説明する。
【0074】
第3実施の形態に係る固体撮像装置73は、8画素共有単位を2次元アレイ状に配列した裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用した場合である。第3実施の形態に係る固体撮像装置73は、4本の転送配線35〜38と、最外側転送配線35,38に隣接するパルス電圧が供給される並行配線57、58が同じ層のメタル層で形成されて構成される。すなわち、本実施の形態の固体撮像装置73では、図1の第1実施の形態に係る固体撮像装置41において、並行配線59,60が省略される。
【0075】
そして、例えば、並行配線57は、選択トランジスタTr4の選択ゲート電極51に接続して選択パルスφSELを供給する選択配線とする。並行配線58は、リセットトランジスタTr2のリセットゲート電極55に接続してリセットパルスφRSTを供給するリセット配線とする。さらに、上面から見て転送配線35〜38を横切るように、他のメタル層による垂直方向に延長する配線、例えば垂直信号線64が形成される。このとき、垂直信号線64は、全ての転送配線35〜38と同一線幅で交差するように形成される。
【0076】
その他の構成は、図1を用いて説明した第1実施の形態と同様であるので、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0077】
第3実施の形態に係る固体撮像装置73によれば、最外側転送配線35,38の外側にパルス電圧を供給する並行配線57、58が形成されるので、画素駆動時に全ての転送配線35〜38は、同じ容量結合により同等の電位変動となる。従って、転送ゲート電極の電位変動を抑制し、転送ゲート下のシリコン内ポテンシャル変動を抑え、画素間の飽和信号量のばらつきを抑制することができる。また、垂直方向に延長する例えば垂直信号線64が配置されても、この垂直信号線64は全てに転送配線35〜38と同一線幅で交差されるので、垂直信号線の電位の影響は全ての転送配線に対して同じとなり、大きな問題とならない。
【0078】
<5.第4実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図5に、本発明に係る固体撮像装置の第4実施の形態を示す。本実施の形態は、4画素、8画素、あるいは横2×縦2n(nは正の整数、すなわちn=1、2、3、・・)画素の画素共有単位を2次元アレイ状に配列した裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用できる。これらの画素共有単位は、共有画素数にかかわらず、横2×縦2の計4画素が1単位となるため、図5は、図4と同様に、この横2×縦2の計4画素の1単位を用いて説明する。
【0079】
第4実施の形態に係る固体撮像装置75は、8画素共有単位42を2次元アレイ状に配列した裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用した場合である。第4実施の形態に係る固体撮像装置75は、図4の第3実施の形態に係る固体撮像装置73において、さらに転送配線35〜38の配線間と、最外側転送配線35、38とこれらに隣接する並行配線57、58との間にシールド配線63を挿入して構成される。このシールド配線63は、電源電圧またはグランド電圧に固定することが望ましいが、電位的にフローティングでもよい。シールド配線63は、転送配線35〜38と同層のメタル層で形成することが望ましが、転送配線となるメタル層に隣接する上層又は下層のメタル層で形成することも可能である。このシールド配線63は、転送配線35〜38同士あるいは最外側転送配線35,38と隣接する並行配線、例えば並行配線59、60との直接的な容量結合を排除するための配線となる。
【0080】
その他の構成は、第3実施の形態で説明したと同様であるので、図4と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0081】
第4実施の形態に係る固体撮像装置75によれば、転送配線35〜38の配線間と、最外側転送配線35、38とこれらに隣接する並行配線57、58との間に、シールド配線63が挿入されることにより、転送配線間同士の直接的な容量結合が排除される。これによって、画素駆動時に全ての転送配線35〜38での電位変動が抑制され、画素間の飽和信号量のばらつきを抑制することができる。
この固体撮像装置75では、図4で説明した、最外側転送配線35、38に隣接して並行配線57、58によるパルス配線を配置したことによる効果と相俟って、さらなる飽和信号量のばらつきが抑制される。従って、画素サイズを微細化していっても、転送ゲート下のシリコン内ポテンシャル変動を抑えることができ、画素間の飽和信号量のばらつきを抑えることができる。このため、飽和信号量の仕様を高く設定することができ、画素特性を上げることができる。
【0082】
<6.第5実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図6に、本発明に係る固体撮像装置の第5実施の形態を示す。第5実施の形態に係る固体撮像装置77は、横2×縦2画素とした4画素共有単位を2次元アレイ状に配列した裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用した場合である。第5実施の形態に係る固体撮像装置77は、4画素のフォトダイオードPDP[PD1〜PD4]を配列した4画素共有単位78が2次元アレイ状に配列されて画素部が構成される。
【0083】
本例の4画素共有単位78は、破線Aで囲われた領域である。4画素共有単位78は、横2×縦2の計4つのフォトダイオードPDを有する。横に配列された2つのフォトダイオードPD1とPD2は、共通の第1フローティングディフージョン部FDaに接続され、横に配列された2つのフォトダイオードPD3とPD4は、共通の第2フローティングディフージョン部FDbに接続される。
【0084】
一方、垂直方向に隣接する4画素共有単位78間で、縦方向に隣接する2画素のフォトダイオードを跨ぐように共通の転送ゲート電極が形成される。すなわち、4画素共有単位78内のフォトダイオードPD1と、上側に隣接する4画素共有単位78のフォトダイオードPD3との2つのフォトダイオードを跨ぐように共通の第1転送ゲート電極81が形成される。4画素共有単位78内のフォトダイオードPD2と、上側に隣接する4画素共有単位78のフォトダイオードPD4との2つのフォトダイオードを跨ぐように共通の第2転送ゲート電極82が形成される。4画素共有単位78内のフォトダイオードPD3と、下側に隣接する4画素共有単位78のフォトダイオードPD1との2つのフォトダイオードを跨ぐように共通の第3転送ゲート電極83が形成される。4画素共有単位78内のフォトダイオードPD4と、下側に隣接する4画素共有単位78のフォトダイオードPD2との2つのフォトダイオードを跨ぐように共通の第4転送ゲート電極81が形成される。これによって、4つのフォトダイオードPD1〜PD4にそれぞれ接続された4つの転送トランジスタTr11〜Tr14が構成される。
【0085】
本例の4画素共有単位78は、図示しないが、4つのフォトダイオードPDが、1つのリセットトランジスタTr2,増幅トランジスタTr3、選択トランジスタTr4を共有している。これらのリセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3、選択トランジスタTr4は、種々のレイアウトが考えられる。
【0086】
本実施の形態では、上面から見て、4画素共有単位78内において、2本の転送配線79及び80が水平方向に延長し、かつ垂直方向に並行するように配列される。1本の転送配線79は、例えば第1転送ゲート電極81に接続され、他の1本の転送配線80は、例えば第4転送ゲート電極82に接続される。上側に隣接する4画素共有単位78の転送配線80が第2転送ゲート電極82に接続される。下側に隣接する4画素共有単位78の転送配線79が第3転送ゲート電極83に接続される。
【0087】
転送ゲート電極が2画素に跨って形成されるため、転送配線が少なくて済む。このとき2本の転送配線79及び80が並走するので、少なくとも1本の転送配線はフォトダイオードPD上、好ましくはフォトダイオードPDの中央付近を通るように水平方向に配置される。本例では2本の転送配線79及び80がフォトダイオードPD上を通って配置される。
【0088】
垂直方向に隣接する4画素共有単位78間の2本の転送配線79及び80の間には、シールド配線86が並行して配置される。また、4画素共有単位78内の垂直方向に隣り合うフォトダイオードPD間に転送配線79及び80と並行する並行配線85が配置される。
【0089】
シールド配線86は、電源電圧またはグランド電圧による一定電圧を供給配線とすることができる。あるいは転送配線79及び80が2本で一組のため、シールド配線86は、パルス電圧を供給するパスル配線とすることもできる。 このとき、シールド配線86以外の隣接する並行配線85はパルス配線同士か、一定電圧を供給する配線同士とする。
【0090】
並行配線85は、固定電圧を供給する配線、またはパルス電圧を供給するパルス配線とすることができる。固定電圧は、電源電圧またはグランド電圧である。シールド配線86と並行配線85に供給する電圧の組み合わせは、次の組み合わせが可能である。シールド配線86又は並行配線85の一方がパルス配線で他方が一定電圧とすることができる。シールド配線86と並行配線85の両方ともパルス電圧とすることができる。シールド配線86と並行配線85の両方とも一定電圧とすることができる。ここでのパルス配線は、上例と同様に、リセットトランジスタ、選択トランジスタに必要なパルスを供給すリセット配線、選択配線である。
上下の並行配線85は、同じ種類の電圧(パルス電圧、固定電圧)を供給する配線であることが必要である。例えば、転送配線79に注目すると、転送配線79は、少なからず並行配線85から容量的に何らかの影響を受ける。それは上下の並行配線85と上下の転送配線79について言える。上下の並行配線85のうち一方がパルス電圧、他方が一定電圧となると、転送配線79から見た並行配線85は周期的に見て異なった配線になる。それを避けるために上下の並行配線85は同じ種類の電圧(パルス電圧又は一定電圧)を供給する配線である必要がある。
【0091】
第5実施の形態の固体撮像装置77では、次のようにして各画素の電荷が読み出される。フォトダイオードPD1〜PD4が順に読み出されるとして、まず共有単位内の転送配線79にパルス電圧が入りフォトダイオードPD1から電荷がフローティングディフージョン部FDに転送される。このとき上側の共有単位78のフォトダイオードPD3も同時に読みだされる。共有単位78を含む上下共有単位の選択トランジスタがタイミングをずらしてオンし、フォトダイオードPG1と上側共有単位のフォトダイオードPD3が順に読み出される。続いてフォトダイオードPD2を読み出すために、上側共有単位内にある転送配線80がオンし、フォトダイオードPD2の電荷をフローティングディフージョン部FDに転送する。このとき、上側共有単位のフォトダイオードPD4も同時に電荷転送され、フォトダイオードPD1のときと同様に選択トランジスタのタイミングをずらし、フォトダイオードPD2と上側共有単位のフォトダイオードPD4を読み出す。共有単位78内のフォトダイオードPD3.PD4についても同様に読み出す。
【0092】
第5実施の形態に係る固体撮像装置77によれば、垂直方向に隣り合う4画素共有単位78間の転送配線79及び80の間に、一定電圧のシールド配線86が挿入されるので、転送配線間の結合容量を低減することができる。これによって、画素駆動時に全ての転送配線での電位変動が抑制され、シリコン内のポテンシャル変動を抑え、画素間の飽和信号量のばらつきを抑制することができる。
【0093】
シールド配線86をパルス配線とするときも、転送配線79、80における隣接配線間の容量結合の変動を抑えることができ、画素間の飽和信号量のばらつきを抑制することができる。シールド配線86を挿入しない構成としたときにも、転送配線79及び80間の間隔を拡げ、転送配線79及び80がフォトダイオードPD上を通るようにし、並行配線85に一定電圧あるいはパルス電圧を供給する。これにより、容量結合の影響を低減し、画素間の飽和信号量のばらつきを抑制することができる。
【0094】
<7.第6実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図7に、本発明に係る固体撮像装置の第6実施の形態を示す。本実施の形態は、縦方向に4画素を配列した4画素共有単位、あるいは縦方向に2画素を配列した2画素共有単位を2次元アレイ状に配列した裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用した場合である。これらの画素共有単位は、2画素の共有が周期的に配列されるため、横1×縦2の計2画素の1単位を用いて説明する。
【0095】
図7において、破線87が横1×縦4の計4画素による4画素共有単位を示し、破線88が横1×縦2の計2画素による2画素共有単位を示す。第6実施の形態では、4画素共有単位87を2次元アレイ状に配列して固体撮像装置89が構成され、また2画素共有単位88を2次元アレイ状に配列して固体撮像装置90が構成される。
【0096】
第6実施の形態に係る2画素共有の固体撮像装置89は、2画素共有単位88内に、垂直方向に2画素を構成する2つのフォトダイオードPD[PD1、PD2]と、共有する1つのフローティングディフージョン部FDを有する。また、転送ゲート電極91、92を有する第1、第2の転送トランジスタTr11,Tr12と、図示しないが、1つのリセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3、選択トランジスタTr4を有する。
【0097】
固体撮像装置89では、転送ゲート電極91及び92にそれぞれ接続する転送配線95及び96が水平方向に延長し、かつ垂直方向に並行して配列される。転送配線95及び96は、少なくとも一方の転送配線95または96がフォトダイオードPD上、好ましくはフォトダイオードPDの中央付近を通るように、配列される。本例では2本の転送配線95及び96がフォトダイオードPD1、Pd2の中央付近を通るように配列される。
【0098】
本実施の形態では、特に、上面から見て、2本の転送配線95及び96の間に水平方向に延長するシールド配線97が配列されると共に、2本の転送配線95、96の外側に転送配線95、96に並行する並行配線98及び99が配列される。シールド配線97は、電源電圧あるいはグランド電圧による一定電圧を供給する配線とすることができる。シールド配線97及び並行配線98、99は、転送配線95、96と同じ層のメタル層で形成することができる。もしくは、シールド配線97及び並行配線98、99は、転送配線95、96のメタル層の上層または下層のメタル層で形成することも可能である。
【0099】
あるいは、シールド配線97は、パルス電圧を供給するパルス配線とすることもできる。このとき、シールド配線97以外の隣接配線、すなわち並行配線98、99は、パルス配線同士か、一定電圧を供給する配線同士とする。
【0100】
また、シールド配線97を挿入せず、転送配線95及び96間の間隔を拡げ、両転送配線95、96をフォトダイオードPD上に通し、並行配線98及び99をパルス配線もしくは一定電圧を供給する配線として構成することもできる。
【0101】
第6実施の形態に係る2画素共有の固体撮像装置90によれば、2本の転送配線95及び96の間に、一定電圧のシールド配線97が挿入されるときは、転送配線95及び96間同士の直接的な容量結合を排除することができる。これによって、画素駆動時の全ての転送配線93、94での電極に変動が抑制され、シリコン内のポテンシャル変動を抑え、画素間の飽和信号量のばらつきを抑制することができる。
【0102】
シールド配線97をパルス配線とするときも、転送配線95、96における隣接配線間の容量結合の変動を抑えることができ、画素間の飽和信号量のばらつきを抑制することができる。シールド配線97を挿入しない構成としたときにも、転送配線95及び96間の間隔を拡げ、転送配線95及び96がフォトダイオードPD上を通るようにし、並行配線98、99に一定電圧あるいはパルス電圧を供給する。これにより、容量結合の影響を低減し、画素間の飽和信号量のばらつきを抑制することができる。
【0103】
第6実施の形態に係る4画素共有の固体撮像装置89は、4画素共有単位87内に、垂直方向に4画素を構成する4つのフォトダイオードPD[PD1〜PD4]と、共有する2つのフローティングディフージョン部FDを有する。また、転送ゲート電極91、9293,94を有する第1〜第4の転送トランジスタTr1〜Tr14と、図示しないが、1つのリセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3、選択トランジスタTr4を有する。
【0104】
本実施の形態では、図示しないが、同様に上記の転送配線95、96、シールド配線97、並行配線99が上側の2画素に配列される。
【0105】
第6実施の形態に係る4画素共有の固体撮像装置89によれば、上記の固体撮像装置90と同様の作用により、画素間の飽和信号量のばらつきを抑制することができる。
【0106】
上例の固体撮像装置では、信号電荷を電子としたが、信号電荷をホールとした固体撮像装置にも適用できる。その場合には、各半導体領域の導電型を逆導電型として構成される。
【0107】
上例では、本発明を画素共有のCMOS固体撮像装置に適用したが、その他、単位画素を2次元アレイ状に配列したCMOS固体撮像装置にも同様に適用することができる。
【0108】
上例では、本発明を裏面照射型CMOS固体撮像装置に適用したが、表面照射型CMOS固体撮像装置にも適用することができる。
【0109】
本発明は、ベイヤ配列のカラーフィルタを有するCMOS固体撮像装置、画素を斜め配列したハニカム配列のカラーフィルタを有するCMOS固体撮像装置にも適用できる。この場合も転送配線、並行配線、シールド配線は、水平方向に延長するように配置される。
【0110】
<8.第7実施の形態>
[電子機器の構成例]
上述の本発明に係る固体撮像装置は、例えばデジタルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話、あるいは撮像機能を備えた他の機器、などの電子機器に適用することができる。
【0111】
図12に、本発明に係る電子機器の一例としてカメラに適用した第7実施の形態を示す。本実施の形態に係るカメラは、静止画像又は動画撮影可能なビデオカメラを例としたものである。本実施も形態のカメラ111は、固体撮像装置112と、固体撮像装置112の受光センサ部に入射光を導く光学系113と、シャッタ装置114を有する。さらに、カメラ111は、固体撮像装置112を駆動する駆動回路115と、固体撮像装置112の出力信号を処理する信号処理回路116とを有する。
【0112】
固体撮像装置112は、上述した各実施の形態のCMOS固体撮像装置のいずれかが適用される。固体撮像装置112は、特に、画素共有の裏面照射型CMOS固体撮像装置を適用することが望ましい。光学系(光学レンズ)113は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置112の撮像面上に結像させる。これにより、固体撮像装置112内に、一定期間信号電荷が蓄積される。光学系113は、複数の光学レンズから構成された光学レンズ系としてもよい。シャッタ装置114は、固体撮像装置112への光照射期間及び遮光期間を制御する。駆動回路115は、固体撮像装置112の転送動作及びシャッタ装置14のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路115から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置112の信号転送を行う。信号処理回路116は、各種の信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリなどの記憶媒体に記憶され、或いは、モニタに出力される。
【0113】
第7実施の形態に係るカメラなどの電子機器によれば、固体撮像装置112において、画素サイズの微細化に伴う飽和信号量のばらつきを抑制することができる。従って、画質が向上した高品質の電子機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0114】
41・・固体撮像装置、PD[PD1〜PD4]・・フォトダイオード、FD1、FD2・・フローティングディフージョン部、Tr11〜Tr14,Tr2〜Tr4・・画素トランジスタ、461〜468・・転送ゲート電極、35〜38・・転送配線、57〜60・・並行配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換部に転送トランジスタを除く他の1つの画素トランジスタ群を共有させた画素共有単位がアレイ状に配列された画素部と、
前記画素共有単位の各転送トランジスタの転送ゲート電極に接続されて、上面から見て水平方向に延長しかつ垂直方向に並行して配列された転送配線と、
上面から見て前記画素共有単位内の所要の転送配線に隣接して、前記転送配線と並行して配列された並列配線と
を有し、
前記並列配線に、転送ゲート電極の電位変動を抑制する電圧が供給される
固体撮像装置。
【請求項2】
前記画素共有単位が、2×2n画素(nは正の整数)共有で構成され、
前記並行配線は、前記画素共有単位内の複数の転送配線の最外転送配線に隣接して配列され、
少なくとも一方の並列配線にパルス電圧が供給される
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
各転送トランジスタの前記転送配線が、同じ層のメタル層または上下隣接する層のメタル層で形成され、
前記並行配線が、前記転送配線と同じ層のメタル層または前記転送配線の上下いずれかに隣接する層のメタル層で形成される
請求項1または2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
上面から見て、前記転送配線間及び前記転送配線と前記並行配線間に配列され水平方向に延長するシールド配線を有し、
前記シールド配線の電位が一定電位あるいはフローティング電位である
請求項1乃至3のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記最外側転送配線の外側に、異なる層のメタル層で形成された2つの並行配線を有し、
前記2つの並行配線の一方にパルス電圧が供給され、他方に一定電圧が供給される
請求項1乃至4のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記最外側転送配線に隣接して配列され、転送配線と同じ層のメタル層で形成されてパルス電圧が供給される並行配線と、
前記転送配線及び前記並行配線とは異なる層のメタル層で形成されて前記転送配線及び前記並行配線を横切るように垂直方向に配列された他の配線と
を有する
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項7】
上面からみて、前記転送配線間及び前記転送配線と前記並行配線間に配列され水平方向に延長するシールド配線を有し、
前記シールド配線の電位が固定電位あるいはフローティング電位である
請求項6記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記画素共有単位が2×2画素共有で構成され、
垂直方向に隣接する2画素の転送ゲート電極が共通電極で形成され、
前記垂直方向に隣接する2画素の転送配線の間にシールド配線が形成され、
前記シールド配線に一定電圧またはパルス電圧が供給される
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記画素共有単位が、画素を垂直方向に配列した4画素共有あるいは2画素共有で構成され、
転送配線間にシールド配線が配列され、
前記シールド配線に一定電圧またはパルス電圧が供給される
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記少なくとも1本の転送配線が前記光電変換部上を通って配列される
請求項1乃至9のいずれかに記載された固体撮像装置。
【請求項11】
上面から見て、少なくとも1本の転送配線が水平方向に配列される光電変換部上を通るように配列され、
複数層の配線を有する配線層が光入射面と反対側に形成されて裏面照射型に構成された
請求項1乃至10のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項12】
複数層の配線を有する配線層が光入射面側に形成されて表面照射型に構成された
請求項1乃至10のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項13】
光電変換部と画素トランジスタとからなる単位画素がアレイ状に配列された画素部と、
各単位画素の前記画素トランジスタを構成する転送トランジスタの転送ゲート電極に接続されて、上面から見て水平方向に延長しかつ垂直方向に並行して配列された転送配線と、
最外側転送配線に隣接して上面から見て前記転送配線と並行して配列された並列配線と
を有し、
少なくとも一方の並列配線にパルス電圧が供給される
固体撮像装置。
【請求項14】
上面から見て、転送配線間及び前記転送配線と前記並行配線間に配列され水平方向に延長するシールド配線を有し、
前記シールド配線の電位が一定電位あるいはフローティング電位である
請求項13記載の固体撮像装置。
【請求項15】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置のフォトダイオードに入射光を導く光学系と、
前記固体撮像装置の出力信号を処理する信号処理回路と
を備え、
前記固体撮像装置は、請求項1乃至14のいずれかに記載された固体撮像装置で構成される
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−114324(P2011−114324A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272441(P2009−272441)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】