説明

固体撮像装置

【課題】 受光感度を向上させることができる固体撮像装置を提供する。
【解決手段】 半導体基板11と、半導体基板11上に形成されるウェル領域12と、ウェル領域12内に形成されるフォトダイオード層21と、ウェル領域12上のフォトダイオード層21に隣接し、ゲート酸化膜17と半導体材料18との積層構造である読み出しゲート電極15と、読み出しゲート電極15の側部に形成されるドレイン層20を備える。そして、フォトダイオード層21側の半導体材料18の一部が、ドレイン層20側の半導体材料18の一部よりも薄いことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、固体撮像装置であるCMOSセンサの構造は、例えば、半導体基板上にP−ウェル領域が設けられ、このP−ウェル領域の表面に素子分離領域が選択的に形成されている。この素子分離領域間の素子形成領域には、フォトダイオード層、読み出しゲートトランジスタが隣接するように形成されている。この読み出しゲートトランジスタは、P−ウェル領域表面に形成され、ゲート酸化膜とシリコン膜との積層構造をとり、読み出しゲート電極に隣接したフォトダイオード層の逆側のP−ウェル領域表面にドレイン領域が形成されている。そして、フォトダイオード層は、P−ウェル領域内に一端が読み出しゲート電極の下部にまで延在したN型の不純物領域が形成され、P−ウェル領域表面には、読み出しゲート電極に設けられたゲート酸化膜が形成されている。
【0003】
しかしながら、近年のCMOSセンサの高性能化に伴い、マトリクス状に形成されるCMOSセンサの微細化が進んでいる。そのため、1画素を小さくすると、フォトダイオード層が小さくなり、受光感度が下がってしまうという問題点がある。
【0004】
そこで、この感度低下を防ぐために、フォトダイオード層表面にシリコンナイトライド膜を載せてCMOSセンサの感度をあげる従来技術がある(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この従来技術だけでは、大きな感度の増加は期待できない。
【特許文献1】特開2003−188367号公報(第20頁、図14、図28)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、受光感度を向上させることができる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の固体撮像装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に形成されるウェル領域と、前記ウェル領域内に形成されるフォトダイオード層と、前記ウェル領域上の前記フォトダイオード層に隣接し、ゲート酸化膜と半導体材料との積層構造であるゲート電極と、前記ゲート電極の側部に形成されるドレイン層と、を備え、前記フォトダイオード層側の前記半導体材料の一部が前記フォトダイオード層と逆側の前記半導体材料の一部よりも薄いことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、固体撮像装置の受光感度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。各実施例の固体撮像装置では、CMOSセンサを例にとって説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の実施例1に係るCMOSセンサの構造を示す平面図及び断面図である。図1(a)は、本発明の実施例1に係るCMOSセンサの構造を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A´面の断面図を示す。
【0010】
図1(a)に示すように、P型半導体基板11上にP−ウェル領域12が設けられ、このP−ウェル領域12の表面に素子分離領域13が選択的に形成されている。この素子分離領域13間の素子形成領域14には、読み出しゲート電極15、フォトダイオード層形成領域16が隣接して形成されている。
【0011】
この読み出しゲート電極15は、その読み出しゲート電極の一部がフォトダイオード層形成領域16に張り出した構造をしている。また、図1(b)に示すように、P−ウェル領域12表面に形成され、ゲート酸化膜17と多結晶シリコン膜18との積層構造をとり、読み出しゲート電極15に隣接したフォトダイオード層形成領域16の逆側のP−ウェル領域12表面にドレイン領域20が形成されている。また、この読み出しゲート電極15の多結晶シリコン膜18は、フォトダイオード層21側の多結晶シリコン膜18の一部が多結晶シリコン膜18の膜厚に比べ、薄く形成され、薄膜化部分19を有している。また、P−ウェル領域12表面には、読み出しゲート電極の多結晶シリコン膜18下部にゲート酸化膜17が形成されている。
【0012】
そして、フォトダイオード層形成領域16には、P−ウェル領域12内に一端が読み出しゲート電極15の張り出し部分の下部にまで延在したN型の不純物領域21が形成され、また、このフォトダイオード層形成領域16のP−ウェル領域12表面には、P型の不純物を高濃度にイオン注入してなるサーフェスシールド層22が設けられ、このフォトダイオード層形成領域16の表面での空乏化を防いでいる。
【0013】
上記のように構成される本発明の実施例1に係るCMOSセンサは、以下の製造方法で形成することができる。図2、図3は、その本発明の実施例1に係るCMOSセンサの製造方法を示す断面図である。ここで、図1と同一の構成については、同一の符号を附して説明する。
【0014】
まず、図2(a)に示すように、P型半導体基板11の表面上にP−ウェル領域12及び素子分離領域13のための絶縁膜を形成する。そして、その素子分離領域13間のP−ウェル領域12である素子形成領域14表面にゲート酸化膜17を形成する。
【0015】
次に、図2(b)に示すように、素子形成領域14にフォトレジスト23をマスクに、リンなどのN型の不純物を所定の深さになるようにイオン注入し、フォトダイオード層形成領域16にN型不純物領域21を形成する。
【0016】
次に、図2(c)に示すように、フォトレジスト23を除去した後、例えば、CVD法によって全面に多結晶シリコン膜18を堆積させる。そして、この多結晶シリコン膜18をフォトレジストをマスクにエッチングして、読み出しゲート電極15を形成する。このとき、N型不純物領域21の一部が読み出しゲート電極15の下部にまで達するように、読み出しゲート電極15の形成を行う。
【0017】
次に、図2(d)に示すように、フォトダイオード層形成領域16を覆うようにフォトレジスト24を形成する。そして、このフォトレジスト24をマスクに、リンなどのN型不純物をイオン注入して、読み出しゲート電極15に対して自己整合的にN型ドレイン領域20を形成する。
【0018】
次に、図3(a)に示すように、フォトレジスト24を除去した後、フォトダイオード層形成領域16側の読み出しゲート電極15上部の一部が露出するように、フォトレジスト25を形成する。
【0019】
次に、図3(b)に示すように、このフォトレジスト25をマスクに、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)若しくはCDE(Chemical Dry Etching)を用いて、読み出しゲート電極15の一部を選択的にエッチングし、フォトダイオード層形成領域16側に薄膜化部分19を形成する。このとき、エッチングされたフォトダイオード層形成領域16側の読み出しゲート電極15の多結晶シリコン膜18の膜厚は、ゲート長に対してしきい値が変化しない程度の膜厚であることが望ましく、本実施例では、例えば、エッチング前の多結晶シリコン膜18の膜厚の20分の1以下であることが望ましい。
【0020】
次に、図3(c)に示すように、読み出しゲート電極15のN型ドレイン領域20を覆うようにフォトレジスト26を形成する。そして、フォトレジスト26をマスクに、ボロンなどのP型不純物をイオン注入して、読み出しゲート電極15に対して自己整合的にサーフェスシールド層22を形成する。そして、図3(d)に示すように、フォトレジスト26を除去することにより、本実施例の固体撮像装置を形成することができる。
【0021】
以上の構成により、本発明の実施例1に係るCMOSセンサは、フォトダイオード側の読み出しゲート電極の一部に通常の読み出しゲート電極よりも薄い領域を設けることにより、フォトダイオード層に受光される光の障壁を減らすことができ、受光感度を上げることができる。また、受光感度を上げることができるので、微細化されても受光感度を下げることなく、微細化に適したCMOSセンサを形成することができる。
【0022】
ここで、読み出しゲート電極に用いられている多結晶シリコン膜は、吸収係数が高く、特に青色の光が多結晶シリコン膜に吸収されてしまうという問題点がある。しかし、本発明の実施例1に係る固体撮像装置の構成により、フォトダイオード層側の読み出しゲート電極の一部が薄膜化されているので、読み出しゲート電極に吸収される青色の光を少なくすることができ、青色の光に対しては受光感度を上げる効果がさらに期待できる。また、多結晶シリコン膜に吸収されやすいものとして、緑色の光や紫外光が上げられるが、これらの光に対しても同様に受光感度をさらに上げる効果が期待できる。また、本実施例では、読み出しゲート電極として、多結晶シリコン膜を用いていたが、その他にもシリコンを含む材料で読み出しゲート電極を形成してもかまわない。
【実施例2】
【0023】
図4は、本発明の実施例2に係るCMOSセンサの構造を示す平面図及び断面図である。図4(a)は、本発明の実施例2に係るCMOSセンサの構造を示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B´面の断面図を示す。
【0024】
本実施例の実施例1との違いは、実施例1では、フォトダイオード層形成領域16に張り出していた読み出しゲート電極15の一部をエッチングすることにより、フォトダイオード層形成領域16に張り出していた読み出しゲート電極15の一部を薄膜化して、薄膜化部分19を形成していたが、本実施例では、図4に示すように、フォトダイオード層形成領域16に面する読み出しゲート電極15を薄膜化している。尚、実施例1と同一の構成については、同一符号を附して説明を省略する。
【0025】
ここで、図4において、フォトダイオード層21に張り出した部分が含まれない読み出しゲート電極を示したが、図1のように、読み出しゲート電極の一部が、フォトダイオード層21側に張り出した構造をしていてもかまわない。その場合、フォトダイオード層21側に張り出した読み出しゲート電極も薄膜化部分を形成することになる。
【0026】
上記のように構成される本発明の実施例2に係るCMOSセンサの製造方法は、実施例1と同様の方法で形成することができ、説明は省略する。
【0027】
以上の構成により、本発明の実施例2に係るCMOSセンサは、実施例1に比べ、フォトダイオード層側のゲート電極を薄膜化部分にすることにより、フォトダイオード層に受光される光の障壁をさらに減らしているので、フォトダイオード層によって受光される光の受光感度をさらに上げることができる。また、同様に、受光感度を上げることができるので、微細化されても受光感度を下げることなく、微細化に適したCMOSセンサを形成することができる。
【0028】
ここで、読み出しゲート電極に用いられている多結晶シリコン膜は、吸収係数が高く、特に青色の光が多結晶シリコン膜に吸収されてしまうという問題点がある。しかし、本発明の実施例2に係る固体撮像装置の構成により、フォトダイオード層側の読み出しゲート電極の一部が薄膜化されているので、読み出しゲート電極に吸収される青色の光を少なくすることができ、青色の光に対しては受光感度を上げる効果がさらに期待できる。また、青色以外にも多結晶シリコン膜に吸収されやすいものとして、緑色の光や紫外光が上げられるが、これらの光に対しても同様に受光感度をさらに上げる効果が期待できる。また、本実施例では、読み出しゲート電極として、多結晶シリコン膜を用いていたが、その他にもシリコンを含む材料で読み出しゲート電極を形成してもかまわない。
【実施例3】
【0029】
図5は、本発明の実施例3に係るCMOSセンサの構造を示す平面図である。本実施例に係るCMOSセンサの構造を示す断面図は、図1(b)と同様の構成をしているので、説明は省略する。尚、実施例1と同一の構成については、同一符号を附して説明を省略する。
【0030】
図5に示すように、本実施例では、フォトダイオード層形成領域16に張り出していた読み出しゲート電極15の際だけでなく、張り出していない読み出しゲート電極15の際までサーフェスシールド層22を形成している。
【0031】
ここで、多結晶シリコン膜18の薄膜化部分19は、読み出しゲート電極の張り出した部分に形成されているが、それ以外にも実施例2のようにフォトダイオード層側の読み出しゲート電極の一部を薄膜化してもかまわない。
【0032】
上記のように構成される本発明の実施例3に係るCMOSセンサの製造方法は、実施例1と同様の方法で形成することができ、説明は省略する。
【0033】
以上の構成により、本発明の実施例3に係るCMOSセンサは、実施例1と同様、フォトダイオード層によって受光される光の受光感度を上げることができる。また、同様に、受光感度を上げることができるので、微細化されても受光感度を下げることなく、微細化に適したCMOSセンサを形成することができる。
【0034】
また、サーフェスシールド層が張り出していない読み出しゲート電極の際まで形成するので、読み出しゲート電極をマスクにして、サーフェスシールド層を自己整合的に形成することができ、製造工程を簡略することができる。
【0035】
ここで、読み出しゲート電極に用いられている多結晶シリコン膜は、吸収係数が高く、特に青色の光が多結晶シリコン膜に吸収されてしまうという問題点がある。しかし、本発明の実施例3に係る固体撮像装置の構成により、フォトダイオード層側の読み出しゲート電極の一部が薄膜化されているので、読み出しゲート電極に吸収される青色の光を少なくすることができ、青色の光に対しては受光感度を上げる効果がさらに期待できる。また、青色以外にも多結晶シリコン膜に吸収されやすいものとして、緑色の光や紫外光が上げられるが、これらの光に対しても同様に受光感度をさらに上げる効果が期待できる。また、本実施例では、読み出しゲート電極として、多結晶シリコン膜を用いていたが、その他にもシリコンを含む材料で読み出しゲート電極を形成してもかまわない。
【0036】
また、上記各実施例では、読み出しゲート電極として、ゲート酸化膜を介した多結晶シリコン膜の一層の構造を示したが、それに限定されるわけではなく、例えば、多結晶シリコン膜とシリサイドとからなような2層の積層構造の読み出しゲート電極においても、本実施例と同様の効果が得られる。さらに読み出しゲート電極を二層以上の多層積層構造にしてもかまわない。この場合、例えば、ゲート電極の薄膜化部分は、ゲート電極の多層積層構造の所望の上層部分をエッチングすることにより、形成することができる。そのため、積層されたゲート電極の選択比の違いを用いて、薄膜化部分のエッチングを行うことができるので、多結晶シリコン膜の一層の読み出しゲート電極に比べ、薄膜化部分の膜厚を制御しやすい。
【0037】
なお、本発明は、上述したような実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。例えば、本実施例では、CMOSセンサを例に説明をしてきたが、それ以外にもCCDセンサにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1に係る固体撮像装置の構造を示す平面図及び断面図。
【図2】本発明の実施例1に係る固体撮像装置の製造方法を示す工程断面図。
【図3】本発明の実施例1に係る固体撮像装置の製造方法を示す工程断面図。
【図4】本発明の実施例2に係る固体撮像装置の構造を示す平面図及び断面図。
【図5】本発明の実施例3に係る固体撮像装置の構造を示す平面図及び断面図。
【符号の説明】
【0039】
11 P型シリコン基板
12 P型ウェル領域
13 素子分離領域
14 素子形成領域
15 読み出しゲート電極
16 フォトダイオード層形成領域
17 ゲート酸化膜
18 多結晶シリコン膜
19 薄膜化部分
20 N型ドレイン領域
21 N型不純物領域(フォトダイオード層)
22 サーフェスシールド層
23、24、25、26 フォトレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成されるウェル領域と、
前記ウェル領域内に形成されるフォトダイオード層と、
前記ウェル領域上の前記フォトダイオード層に隣接し、ゲート酸化膜と半導体材料との積層構造であるゲート電極と、
前記ウェル領域内の前記ゲート電極の側部に形成されるドレイン層と、
を備え、前記フォトダイオード層側の前記半導体材料の一部が前記半導体材料の膜厚よりも薄いことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記ゲート電極は、前記フォトダイオード層側の前記半導体材料の一部に段差を有することを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記ゲート電極は、前記フォトダイオード層側の一部に前記フォトダイオード層側に突出した突出部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記フォトダイオード層は、前記ゲート電極下部の一部まで延在することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記フォトダイオード層は、青色、緑色、紫外光のうち少なくとも一つを受光することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記半導体材料は、シリコンを含む材料であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記ウェル領域上にサーフェスシールド層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記半導体材料は、少なくとも2層以上の積層構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項7にいずれか1項に記載の固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−27569(P2007−27569A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210278(P2005−210278)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】